WO2006035585A1

WO2006035585A1 - 電子体温計及び製造方法

Info

Publication number: WO2006035585A1
Application number: PCT/JP2005/016598
Authority: WO
Inventors: Isamu Kobayashi
Original assignee: Citizen Watch Co., Ltd.
Priority date: 2004-09-29
Filing date: 2005-09-09
Publication date: 2006-04-06

Abstract

　電子体温計の製造方法は、感温素子と、該感温素子に接続されるリード線と、該リード線が挿通される挿通路が形成されたプローブ部を有する本体ケースと一端が開口され、他端が閉じられた空洞が形成されたセンサーキャップを有し、挿通路から突出されたリード線と、感温素子とがセンサーキャップ内に収納される電子体温計の製造方法であり、先端に感温素子が取り付けられたリード線をプローブ部の挿通路から突出させた状態において、このプローブ部にセンサーキャップを取り付ける工程を有する。

Description

明細書

電子体温計及び製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、電子体温計及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002] 現在広く普及して!/、る電子体温計は、ボタン型電池を電源とし、腋下あるいは舌下にプローブを接触させ、その中に配置した感温素子 (サーミスタ）の抵抗変化を検出して温度値に変換し、液晶表示部に体温を表示するものが一般的である。これらの電子体温計は、合成樹脂製のケース内に、電源電池、測定回路、液晶表示装置、操作スィッチなどを内蔵する。電子体温計の本体の一方の端部には、プローブが形成され、プローブはサーミスタに接続されるリード線が挿通される挿通路が形成されたプローブ本体と、プローブ本体に取り付けられたセンサーキャップを有し、サーミスタはセンサーキャップの内壁に接触配置され、接着剤を充填して保持されている。このように構成した電子体温計が提案されて！ヽる。

[0003] 特許文献 1 :実用新案登録第 3096508号公報 (第 9頁、図 3)

特許文献 2：実開昭 62— 132436号公報 (第 3〜4頁、図 1)

特許文献 3 :実用新案登録第 3094041号公報 (第 5〜6頁、図 3、図 4)

特許文献 4 :実開昭 62— 170537号公報 (第 1〜4頁、図 1〜図 3)

[0004] 特許文献 1に開示されている電子体温計は、図 15に示すように、温度プローブ 31 は、プローブ本体 32およびプローブ本体 32に固着された中空端部を有するセンサ一キャップ 33を備えている。このセンサーキャップ 33は、熱接触面 33aと、熱接触面 33aに囲まれた空洞 33bを有している。サーミスタ 34は、センサーキャップ 33の熱接触面 33aの内側先端 33cの位置に固着されている。一組のリード線 35はサーミスタ 3 4に接続し、温度信号を伝送する。

[0005] このリード線 35は、その一部 35aがセンサーキャップ 33の熱接触面 33aの内側に固着される。サーミスタ 34の近傍のリード線 35はセンサーキャップ 33の内壁 33cに非接触である。サーミスタ 34近傍力も離れた中間部分をセンサーキャップ 33の熱接触面 33aに密着させている。

[0006] 特許文献 2に開示されている電子体温計の温度計プローブ 41は、図 16に示すように、筒状のプローブ本体 42の先端部にセンサーキャップ 43を嵌装し、このセンサーキャップ 43の先端部分に密着注入された接着剤 46にサーミスタ 44を埋設したものである。サーミスタ 44の先端部はセンサーキャップ 43の内側に当接して、る。

[0007] また、サーミスタ 43のリード線 45は、接着剤 46によってセンサーキャップ 43の内壁に沿った状態でプローブ本体 42側に導かれている。接着剤 46の一部は、センサーキャップ 43の内壁に沿ってスリーブ状にプローブ本体 42側に延出されており、接着剤 46をセンサーキャップ 43の内壁に固着している。

[0008] 上述した電子体温計のプローブでは、測温部力センサーキャップに伝わった熱を、さらにセンサーキャップからリード線にも伝わるようにし、サーミスタに伝わった熱がリ一ド線を介して放出されな、ようにして、る。

[0009] 特許文献 3に開示されている電子体温計は、図 17及び図 18に示すように、センサ一キャップ 53の内側には、サーミスタ 54及びリード線 55が配置されている。サーミスタ 54は接着剤 56でセンサーキャップ 53の先端部の内壁に固定されている。

[0010] リード線 55の一端は、サーミスタ 54と接続し、他端は、電子体温計外側のケース内の図示しない ICに接続されている。センサーキャップ 53内には、熱を伝え難い断熱体 57が充填されていて、サーミスタ 54及びリード線 55がセンサーキャップ 53内にしつ力り固定される。

[0011] 上述したように、センサーキャップ内に断熱体を充填することにより、サーミスタ近傍を含めたセンサーキャップ内にあるリード線全体力センサーキャップ空洞内壁に密着している。

[0012] 特許文献 4には、 2つの電子体温計が開示されている。その一つが、図 19及び図 2 0に示されており、温度測定用の回路部品が実装された回路基板 60を収納するプローブ 61の先端に、サーミスタ 62に接続するリード線 63を係止して中央位置に位置決めするための係止爪 61aが形成され、係止爪 61aはプローブ 61と共に一体形成されている。

[0013] この係止爪 6 laは、センサーキャップ 64がプローブ 61に嵌合したときに、サーミスタ 62をセンサーキャップ 64の内底面に当接するように形成される。サーミスタ 62はこのリード線と接続され、接着剤 66によってセンサーキャップ 64の内底面に固着されている。 67は電池、 65は電池カバーである。

[0014] もう一つは、図 21に示されており、サーミスタ 62のリード線 63力センサーキャップ 64内で係止されていないこと以外は、図 19、図 20に示した電子体温計と同様の構成である。特許文献 4には、これらの製造方法が記載されている。

[0015] 図 19、図 20に示した電子体温計を組立てる場合、先ず、サーミスタ 62のリード線 6 3を回路基板 60の回路に接続する。次いで、プローブ 61の後方に位置する電池 67 及び電池カバー 65を取り除いた状態で、サーミスタ 62及び回路基板 60をプローブ 6 1の後方力も挿入し、プローブ 61の前方に現れたサーミスタ 62のリード線 63を係止爪 61aに係止する。そして、プローブ 61の前方を少量の接着剤 66の入ったセンサーキャップ 64に固定する。なお、プローブ 61とセンサーキャップ 64とは接着剤 66により固着する。サーミスタ 62はセンサーキャップ 63の内底面に接触して固定される。

[0016] 図 21に示した電子体温計は、前記回路基板 60にサーミスタ 62のリード線 63を接続した後、これらをプローブ 61の後方力も挿入する。サーミスタ 62はセンサーキヤップ 64の内壁面に接触するように接着剤 66により固着して!/ヽる。

[0017] 上記した特許文献 1及び特許文献 2に記載の電子体温計は、サーミスタ近傍のリード線がセンサーキャップに接触していないため、サーミスタの熱力この接触しないリード線に逃げてしまい、温度上昇が遅ぐ測定時間が長くなつてしまうという問題があつた o

[0018] また、上記した特許文献 3に記載の電子体温計は、リード線が接続されたサーミスタを、センサーキャップの先端部の内壁に接着剤で固定した後に、断熱体をセンサ一キャップ内に入れることになる。リード線がフリーの状態で断熱体を挿入すると、断熱体の外表面によってリード線がセンサーキャップ内壁に押え付けられて、リード線が弓 Iきずられながら、必要以上にセンサーキャップ内に引き込まれてしまう。

[0019] リード線のセンサーキャップの外側に突出している部分を固定し、リード線がセンサ一キャップ内に引き込まれないようにして断熱体を挿入すると、リード線に張力が発生し、サーミスタカ固定部分の少なくとも一部に応力が集中し、リード線が断線する恐れがあった。

[0020] さらに、上記した特許文献 4に記載の電子体温計の構造及び製造方法ではリード線をセンサーキャップの内壁に密着させることができず、所望の高速電子体温計を製造することはできな、と、う問題があった。

[0021] 本発明は、上述の欠点を解消するものであり、その目的は、リード線を断線させずに製造でき、サーミスタからリード線への熱の逸散を効果的に防止する電子体温計及び電子体温計の製造方法を提供するものである。

発明の開示

[0022] 上記目的を達成するために、本発明の電子体温計の製造方法は、感温素子と、該感温素子に接続されるリード線と、該リード線が挿通される挿通路が形成されたプロ一ブ部を有する本体ケースと一端が開口され、他端が閉じられた空洞が形成されたセンサーキャップを有し、挿通路力突出されたリード線と、感温素子とがセンサーキヤップ内に収納される電子体温計の製造方法であり、先端に感温素子が取り付けられたリード線をプローブ部の挿通路から突出させた状態において、このプローブ部にセンサーキャップを取り付ける工程を有する。

[0023] この取り付け工程において、リード線の突出長さは、センサーキャップがプローブ部に取り付けられた状態において、プローブ部の先端と空洞の内壁の先端との間の距離よりも長くする。

[0024] リード線の突出長さは、センサーキャップがプローブ部に取り付けられた状態において、感温素子近傍のリード線が空洞の内壁に接触し得る程度の長さを有する。

[0025] また、電子体温計はリード線が接続される回路基板を有し、感温素子をリード線に取り付ける工程と、リード線を前記回路基板に接続する工程と、回路基板を前記本体ケースに組込む工程とを備える。これら各工程の実施順は、取り付け工程と接続工程と組込み工程を同順で実施する他、逆順で実施してもよヽ。

[0026] さらに、センサーキャップ内の閉端付近に接着剤を充填する工程を有してもよい。この接着剤を充填する工程は、センサーキャップをプローブ部に取り付ける前に行うことがでさる。

[0027] また、接着剤を充填する工程において、接着剤を感温素子と感温素子付近のリード線のみを固着させる量だけ充填する。

[0028] センサーキャップをプローブ部に取り付ける工程において、空洞の閉端の内壁が感温素子に押し付けられることにより前記感温素子が回動するように構成されている。

[0029] センサーキャップをプローブ部に取り付ける工程は、リード線の突出部分以外の少なくとも一部を固定した状態で行うことができる。

[0030] 空洞は、感温素子を当接させる先端を、略半球または略半楕円球形状に形成することができる。

[0031] 本発明の電子体温計は、感温素子とこの感温素子に接続されるリード線と、これらを収納するプローブ部とを有し、感温素子によって生体の体温を検出する電子体温計であり、プローブ部は、リード線が挿通される挿通路が形成されたプローブ本体と、このプローブ本体に取り付けられるセンサーキャップとを有する。

[0032] このセンサーキャップは空洞を備える。リード線はこの空洞内において、感温素子の近傍において空洞の内壁と接触する接触部分と、感温素子力挿通路に至る個所でセンサーキャップまたはプローブ本体に固着されない非固着部分とを有する。

[0033] 感温素子は、空洞の内壁に接触した状態で固着されている。また、感温素子は、挿通路力突出されたリード線の先端に取り付けられている。

[0034] 空洞の先端側形状は略半球または略半楕円球形状であり、感温素子は空洞の略半球または略半楕円球形状部分に配置され、空洞の略半球、及び略半楕円球形状部分の内壁に接触し且つ固着する。

[0035] 略半球または略半楕円球形状部分には接着剤が充填され、この接着剤は少なくとも感温素子を固着し、また、リード線の感温素子付近を固着してもよい。

図面の簡単な説明

[0036] [図 1]本発明の電子体温計の外観図である。

[図 2]第 1図の電子体温計のプローブ部の部分断面図である。

[図 3]第 1図の電子体温計の A— A線断面図である。

[図 4]第 1図のセンサーキャップの断面図である。

[図 5]第 1図のサーミスタの外観図である。

[図 6]第 5図のリード線を回路基板に接続する工程の説明図である。 [図 7]本体ケースに液晶表示装置、操作スィッチ、電池パネを組込む工程の説明図である。

[図 8]回路基板の組込みとリード線揷通工程の説明図である。

[図 9]センサーキャップに接着剤を充填した状態の断面図である。

[図 10]センサーキャップの取り付け工程の説明図である。

[図 11]サーミスタがセンサーキャップの内壁に対して回動する動作を説明するための図である。

[図 12]サーミスタを内壁に沿って滑らせる構成例を説明するための図である。

[図 13]プローブ本体に下ケースを取り付ける工程の説明図である。

[図 14]組立て工程を説明するフローチャートである。

[図 15]従来の電子体温計の断面図である。

[図 16]従来の電子体温計のプローブ部の部分断面図である。

[図 17]従来の電子体温計のプローブ部の部分切り欠き斜視図である。

[図 18]第 17図のプローブ部の部分断面図である。

[図 19]従来の他の電子体温計の要部拡大斜視図である。

[図 20]第 19図の電子体温計の要部拡大斜視図である。

[図 21]従来の別の電子体温計の断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0037] 以下、図面を用いて本発明を実施するための最良な形態における電子体温計、及び電子体温計の製造方法を説明する。

[0038] 図 1〜図 5は本発明の実施例に係わり、図 1は本発明の電子体温計の外観図、図 2 は図 1の電子体温計のプローブの部分断面図、図 3は図 1の電子体温計の A— A線断面図、図 4はセンサーキャップの断面図、図 5はリード線が接続されたサーミスタの外観図である。

[0039] 図 1〜図 3において、本実施例の電子体温計 1は、本体ケース 2を有する。この本体ケース 2は、熱可塑性エラストマ一などよりなる可撓性の外ケース 5と、 ABS榭脂などよりなる中間部材 3と、内ケース 4とを後述する方法等により一体成形することで形成している。 [0040] 内ケース 4は、その一方の端部は外ケース 5の一方の端部に接続し、他方の端部は電子体温計 1の一端まで延びている。また、内ケース 4及び外ケース 5は、電源電池 1 9、回路基板 6、液晶表示装置 7、操作スィッチ 8等を内蔵する。また、本体ケース 2にはアクリルなどよりなるフロントパネル 21が取り付けられ、電源電池 19の位置には電池蓋 10が取り付けられる。

[0041] 中間部材 3と、外ケース 5の中間部材 3側の一部と、内ケース 4の中間部材 3側の一部とは、プローブ部 20aを構成している。

[0042] 回路基板 6は、内ケース 4に成型された柱状凸部 2eを回路基板 6の図示しない取り付け穴に挿入し、柱状凸部 2eを力しめることによって固定されている。本体ケース 2 には下ケース 9が固着される。この下ケース 9にはブザー 24が取り付けられている。

[0043] プローブ 20の先端位置にはサーミスタ 11が設けられる。サーミスタ 11には回路基板 6と接続するリード線 12が接続されている。中間部材 3の先端にはセンサーキヤップ 13が固着される。センサーキャップ 13は高い熱伝導率の材料、例えば、ステンレス材などを絞り加工して形成される。センサーキャップ 13の中間部材 3への固着は、中間部材 3の先端の外壁面に形成された凹部 3aにエポキシ系の接着剤等を注入し、センサーキャップ 13の筒内に挿入することで行う。なお、センサーキャップ 13の中間部材 3への固着は接着剤等に限らず他の固着手段を用いてもよい。プローブ 20は、プローブ本体 20aとセンサーキャップ 13とから構成される。

[0044] 外ケース 5の材質として熱可塑性エラストマ一材料を用いて可撓性とすることによつて、プローブ部 20aは生体の測温部位の形状に応じて変形し、測温部位に密着して測定しやすくなる。

[0045] この熱過疎性エラストマ一は金属との接着性が悪い。そのため、熱過疎性エラストマー製の外ケース 5に金属製のセンサーキャップ 13を直接に接着させる構成とせず、熱過疎性エラストマ一と金属の両者に接着性のよい中間部材 3を外ケース 5に一体成型し、この中間部材 3にセンサーキャップ 13を接着する構成としている。中間部材 3の材質としては、 ABS榭脂や、 PP榭脂、 PE榭脂、 PC榭脂等の硬質榭脂を用いることができる。プローブ 20が可撓性を必要としない場合は、プローブ部 20aを ABS榭脂等の硬質榭脂のみで形成してもよ、。 [0046] 上記した熱過疎性エラストマ一と硬質樹脂の 2種類の材質の一体成形は、例えば以下の様にして行うことができる。

[0047] 先ず、硬質榭脂材料を成形金型内に供給して内ケース 4と中間部材 3とを別体で成形する。次いで、これらの成形体を別の金型のキヤビティ内に移し、そのキヤビティの残部にエラストマ一榭脂を充填する。この充填過程では、成形金型内において少なくともエラストマー榭脂の材料は溶融した状態で成形体の表面に接触する。その結果。 2つの材料 (硬質榭脂材料及びエラストマー榭脂）は強固に接合し、全体として所定の形状が一体成形される。

[0048] 図 2〜図 5に示すように、プローブ部 20aには揷通路 3bが形成されている。プロ一ブ部 20aを構成する中間部材 3と外ケース 5と内ケース 4のそれぞれに挿通路が形成され、それらの各部の揷通路がつながることで一つの揷通路 3bが構成される。この揷通路 3b内には、サーミスタ 11に接続されたリード線 12が挿通される。

[0049] 図 4を用いてセンサーキャップについて説明する。センサーキャップ 13は、略半球状または略半楕円球状に形成された先端部を有する半球部 13aと、円筒部 13bとより構成される。センサーキャップ 13は、前記半球部 13aと円筒部 13bの内部に空洞 13 cが形成される。空洞 13cの一方は半球部 13aによって閉ざされ、他方は円筒部 13b の開口部で開放されて、る。

[0050] この空洞 13cの長さは、センサーキャップ 13単体では L1 +L2である。ここで、 L2 は中間部材 3の空洞 13c内への挿入長さである。図 2において、長さ L2は、中間部材 3の一端が外ケース 5から突出した突出長さとなる。センサーキャップ 13が中間部材 3に取り付けられた状態では、中間部材 3の突出端は空洞 13c内の長さ L2の部分まで入り込む。従って、長さ L1は、中間部材 3の突出端力もセンサーキャップ 13の半球部 13aの内壁 13dまでの長さとなる。

[0051] 図 5 (a)はサーミスタ 11にリード線 12が接続された状態の上面図、図 5 (b)は図 5 (a )の側面図である。サーミスタ 11には、リード線 12が 2本接続されている。リード線 12 の一端はサーミスタ 11に接続され、他端は回路基盤 6に接続される。

[0052] サーミスタ 11は図示しないチップ型の素子を備える。この素子は 2つの電極部分を備える。リード線 12の一端はこの電極部分に半田付けされ、その接続部分の外側部分はエポキシ榭脂等により絶縁コーティングが施されている。

[0053] また、リード線 12は、サーミスタ 11のチップ型の素子及び回路基板 6にそれぞれ半田付けする両端を除いた部分にエポキシ榭脂等によりコーティングが施されている。上記したように、サーミスタ 11の一方の端部にはリード線 12が接続される。サーミスタ 11の、リード線 12が接続される側とは反対側の端部は略球面形状で丸みを帯びた形状であり、この端部がセンサーキャップ 13の内壁に当接したときに、回動しやすい形状になっている。

[0054] 次に、図 6から図 12を用いて図 1に示した電子体温計の製造方法を説明する。図 6 〜図 12は、本発明の実施例に係わる図であり、図 6は図 5に示すリード線を回路基板に接続する工程を説明するための図であり、図 7は本体ケースに液晶表示装置、操作スィッチ、電池パネを組込む工程を説明するための図であり、図 8は回路基板の組込みとリード線を揷通する工程を説明するための図であり、図 9はセンサーキャップに接着剤を充填した状態を説明するための断面図であり、図 10はセンサーキャップの取り付け工程を説明するための図であり、図 13は本体ケースに下ケースを取り付ける工程を説明するための図であり、図 14は組立て工程を説明するためのフローチヤートである。また、図 11はサーミスタがセンサーキャップの内壁に対して回動する動作を説明するための図であり、図 12は、サーミスタを内壁部に沿って滑らせる構成例を説明するための図である。

[0055] 以下、図 14のフローチャートに従って順に説明する。

[0056] はじめに、図 14の S1工程において、前述したように、中間部材 3と内ケース 4と外ケース 5とを一体に成形する。

[0057] 図 14の S2工程において、回路基板 6に ICやチップコンデンサ等の回路部品を実装する。図 14の S3工程では、図 5に示すように、サーミスタ 11にリード線 12を接続する。この接続工程では、例えば、はじめに、チップ型の素子が備える図示しない電極に、両端以外の部分が榭脂コーティングされたリード線 12を半田付けし、次に、チップ型の素子をエポキシ系の榭脂からなる熔融絶縁部材層に浸して榭脂コーティングする。

[0058] 図 14の S4工程では、リード線を回路基板に接続する。図 6 (a)はリード線が回路基板に未接続の状態を示し、図 6 (b)はリード線が回路基板に接続された状態を示している。 S3工程により、 2本のリード線 12の一端はサーミスタ 11に接続され、他端は自由端となっている。リード線 12は、一端がサーミスタ 11に接続された状態で、他端を回路基板 6のリード線接続電極 6bに半田付けして接続する。なお、図 6において、回路基板 6にはリード線接続電極 6bの他に、回路基板取り付け穴 6aが設けられている

[0059] 図 14の S5工程では、本体ケースに液晶表示装置、操作スィッチ、電池パネを組込む。

[0060] 図 7 (a)、図 7 (b)に示すように、本体ケース 2を構成する内ケース 4に形成されている液晶表示装置組込み穴 2a、操作スィッチ組込み穴 2bに、それぞれ液晶表示装置

7と操作スィッチ 8を組込む。

[0061] 液晶表示装置 7と操作スィッチ 8を組込んだ後、コネクタ 22とスぺーサー 23とを図 7

(b)に示した所定の位置に組み込む。コネクタ 22は、液晶表示装置 7の図示しない電極と回路基板 6の図示しない電極とを接続する。

[0062] 次に、内ケース 4の内側に形成されたマイナスパネ取り付け用の柱状凸部 2ce及び

2cを、マイナスパネが備える取り付け穴に挿入し、同じく内ケース 4の内側に形成されたプラスパネ取り付け用柱状凸部 2de及び 2dを、プラスパネが備える取り付け穴に挿入する。

[0063] その後、マイナスパネ取り付け用柱状凸部 2ce及び 2cと、プラスパネ取り付け用柱状凸部 2de及び 2dとをそれぞれかしめる。これによつて、マイナスパネ 14とプラスバネ 15を内ケース 4に固定する。また、内ケース 4には、基板取り付け用柱状凸部 2e、電池の側面を押さえて位置決めを行う電池押え 16が設けられる。

[0064] 図 14の S6工程では、サーミスタ及び回路基板の組込みとリード線の揷通を行う。

[0065] 図 8 (a)はサーミスタ及び回路基板を組み込む前の状態を示し、図 8 (b)はサーミスタ及び回路基板を組み込んだ状態を示して!/ヽる。

[0066] 図 8 (a)に示すように、サーミスタ 11の先端を、本体ケース 2の内側に設けた開口部 3cから挿入する。

[0067] その後、回路基板 6及びリード線 12をプローブ部 20a側に押し込んで移動させる。これにより、図 8 (b)に示すように、サーミスタ 11は揷通路 3bを通過し、プローブ部 20 aの先端の開口部力突出する。

[0068] 図 8 (b)に示すように、回路基板 6を本体ケース 2内に移動させた後、回路基板 6に形成されている回路基板取り付け穴 6a内に、内ケース 4に形成されている基板取り付け用柱状凸部 2e, 2de, 2ceを挿入する。回路基板取り付け穴 6aは図 8では 6個示しているが、任意の個数とすることができ、基板取り付け用柱状凸部も回路基板取り付け穴 6aの個数に応じて設けることができる。なお、基板取り付け用柱状凸部は、回路基板取り付け穴 6aの設置位置に応じて内ケース 4に設けられる力必ずしも全ての回路基板取り付け穴 6aに対応して設ける必要はない。

[0069] 基板取り付け用柱状凸部 2ceと 2deは、回路基板 6を内ケース 4に取り付ける他に、マイナスパネやプラスパネの取り付けるための構成部材として兼用している。

[0070] 基板取り付け用柱状凸部 2e, 2de, 2ceは、回路基板取り付け穴 6aに挿入した後、力しめることによって回路基板 6を固定する。

[0071] その後、本体ケース 2の挿通路 3bの開口部 3cに、回路基板 6側力も接着剤 17を充填してリード線 12を固着する。なお、固着手段は接着剤に限らず、他の手段を用いてもよい。

[0072] 図 8 (b)において、長さ L2は前記したように中間部材 3の突出長さであり、長さ L3は挿通路 3bのサーミスタ 11側の開口部（中間部材の先端)からサーミスタ 11の先端までの長さであり、サーミスタ 11のプローブ部 20a先端力もの突出長さに相当する。

[0073] 図 8 (b)において、リード線 12の長さは以下のように設定されている。つまり、リード線 12が回路基板 6に取り付けられた状態において、サーミスタ 11の先端が挿通路 3b のサーミスタ 11側の開口部（中間部材の先端)から長さ L3だけが突出するよう長さに設定される。

[0074] ここで、長さ L3は、前述した空洞の長さ L1より長くする。この長さ L3は、センサーキヤップ 13がプローブ部 20aに取り付けられた際に、サーミスタ 11の近傍のリード線 12 力後述する座屈を生じて、空洞 13cの内壁 13dに接触し得る程度の長さとする。

[0075] 図 14の S7工程では、センサーキャップの取り付けを行う。図 9に示すように、センサ一キャップ 13の空洞 13cの半球部 13aのみに、例えば、エポキシ系の接着剤 18を充填する。

[0076] 次に、図 10 (a)に示すように、サーミスタ 11の先端を本体ケース 2の揷通路 3bの先端より所定の長さ L3だけ突出させる。リード線 9の突出長さ L3は、前記したように、センサーキャップ 13が取り付けられることにより、図 3に示すように、サーミスタ 8の近傍のリード線 9が、後述する座屈によって、空洞 13cの内壁 13dに接触し得る程度の長さである。

[0077] 次に、図 10 (b)に示すように、サーミスタ 11を中間部材 3の先端力突出させた状態で、センサーキャップ 13をプローブ部 20aを構成する中間部材 3に接着して取り付ける。その際、センサーキャップ 13の先端内壁 13dがサーミスタ 11の先端に当接する。このとき、サーミスタ 11は回転端となる。

[0078] さらに、センサーキャップ 13を押込むと、リード線 12の一方の端部は回路基板 6に固定され、他方の端部では回転型の座屈が生じる。即ち、図 10 (c)に示すように、リード線 12の一方の端部は、前記したように、回路基板 6側の挿通路 3bの開口部 3c において接着剤 17で固着 (一端固定)されており、他方の端部は、サーミスタ 11の先端がセンサーキャップ 13の内壁 13dに対して、回転可能の状態 (他端回転)で当接している。

[0079] そのため、センサーキャップ 13を押込むと、リード線 12及びサーミスタ 11は長手方向に圧縮荷重を受け、サーミスタ 11は回転し、サーミスタ 11の近傍のリード線 12は座屈により変形する。これによつて、サーミスタ 11の近傍のリード線 12は、センサーキヤップ 13の半球部 13a部分の内壁 13dに接触する。

[0080] センサーキャップ 13のさらなる押込み力中間部材 3の突出部分の全てをセンサーキャップ 13内に挿入される所定位置まで達せさせると、サーミスタ 11とリード線 12は図 2に示した位置に配置される。サーミスタ 11とリード線 12は、この位置で接着材 18 によって固着される。

[0081] 図 2に示すように、センサーキャップ 13と中間部材 3とで形成される空洞 7c内の、サ一ミスタ 11から挿通路 3bの中間部材 3側の開口部に至る箇所において、サーミスタ 1 1の近傍のリード線 12は、空洞 13cの内壁 13dへ接触し且つ固着される接触'固着部 12aと、センサーキャップ 13またはプローブ部 20aに固着されな、非固着部 12bとを有する。

[0082] この非固着部 12bのうち、接触 ·固着部 12aに近い部分は、接着材 18によって固着されてはいないが、センサーキャップ 13の円筒部 13bの内壁 13dに接触している。

[0083] 上記したように、本実施例のリード線 12においては、リード線 12の一端は回路基板 6側の挿通路 3b端部で固定されており、他端はサーミスタ 11がセンサーキャップ 13 の内壁 13dに対して回転可能の状態であり、センサーキャップ 13を押込むことによつて、リード線 12の長手方向に圧縮荷重を受け、サーミスタ 11がセンサーキャップ 13 の内壁 13dで回転し、その近傍のリード線 12が座屈により変形して、センサーキヤップ 13の半球部 13a部の内壁 13dに接触する。

[0084] 次に、サーミスタ 11がセンサーキャップ 13の内壁 13dに対して回動する動作について、図 11を用いて説明する。上記した電子体温計では、サーミスタ 11の先端を円弧状とし、また、センサーキャップ 13の内壁 13dの形状も円弧状とすることで、サーミスタ 11を回動可能に構成として、る。

[0085] この回動動作は、サーミスタとセンサーキャップの内壁部との間で発生する摩擦力、リード線の強度等によって異なる動作パターンが想定される。

[0086] 図 11 (a) ,図 11 (b)は、サーミスタとセンサーキャップの内壁部との間で発生する摩擦力が小さぐリード線力 Sこの摩擦力に耐えられる程度の強度を有している場合を示している。

[0087] この場合には、図 11 (a)に示すように、サーミスタ 11の先端がセンサーキャップの 1 3の内壁 13dと接触した際、サーミスタ 11とセンサーキャップ 13の内壁 13dとの間で摩擦力が発生する。このとき、リード線 12がこの摩擦力に耐えられない程度に弱い場合には、リード線 12はサーミスタ 11が滑り出す前に折れ曲がる。一方、リード線がこの摩擦力に耐えられる程度の強度を有している場合には、リード線が折れ曲がる前に、サーミスタ 11は内壁 13dに沿って滑り出す（図 11 (a)中の矢印参照)。

[0088] サーミスタ 11が内壁 13dに沿って滑り出すと、図 11 (b)に示すように、リード線 12はサーミスタ 11との接続部分の付近で座屈する。リード線 12がサーミスタ 11との接続部分の付近で座屈することで、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁 13dに接触する。 [0089] 図 11 (c) ,図 11 (d)は、サーミスタとセンサーキャップの内壁部との間で発生する摩擦力が大きぐリード線力 Sこの摩擦力に耐えられる程度の強度を有している場合を示している。

[0090] この場合には、図 11 (c)に示すように、サーミスタ 11の先端がセンサーキャップの 1 3の内壁 13dと接触した際、サーミスタ 11とセンサーキャップ 13の内壁 13dとの間で摩擦力が発生する。リード線力 Sこの摩擦力に耐えられる程度の強度を有している場合には、リード線が折れ曲がる前に、サーミスタ 11はその先端付近を回動中心として回動する（図 11 (c)中の矢印参照)。

[0091] サーミスタ 11が先端付近を回動中心として回動すると、図 11 (d)に示すように、リード線 12はサーミスタ 11との接続部分の付近で座屈する。リード線 12がサーミスタ 11との接続部分の付近で座屈することで、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁 13d に接触する。

[0092] 上記座屈において、リード線 12が塑性変形する場合には、リード線 12は内壁 13d と接触した後、その塑性変形によって接触を保持することもできるが、前記したよう〖こ接着剤を用いることでより確実に保持させることができる。

[0093] サーミスタ 11を内壁 13dに沿って滑らせる構成として、前記図 11 (a) , (b)に示した構成の他、以下の図 12に示す構成としてもよい。

[0094] 図 12 (a) , (b)は第 1の構成例を示している。第 1の構成例は、センサーキャップ 13 の内壁 13dにおいて、サーミスタ 11の先端が当接する位置に突起部 25を備える。突起部 25は、例えば略半球状または略半楕円球状とし、摩擦係数を小さく設定する。

[0095] サーミスタ 11の先端が突起部 25に接触すると、サーミスタと突起部の中心軸のわずかな位置ずれによって、サーミスタ 11の押圧力が形成するサーミスタ 11を滑らせる方向の成分が大きくなり、滑りやすい状態となる。

[0096] サーミスタ 11が突起部 25と接触して滑った後は、前記した図 11 (b)と同様にしてリード線 12が座屈し、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁部 13dに接触する。

[0097] 図 12 (c) , (d)は第 2の構成例を示している。第 2の構成例は、センサーキャップ 13 の内壁 13dにおいて、サーミスタ 11の先端が当接する位置に傾斜面 26を備える。

[0098] サーミスタ 11の先端が傾斜面 26に接触すると、サーミスタ 11の押圧力が形成するサーミスタ 11を滑らせる方向の成分が大きくなり、滑りやすい状態となる。

[0099] サーミスタ 11が傾斜面 26と接触して滑った後は、前記した図 11 (b)と同様にしてリード線 12が座屈し、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁 13dに接触する。

[0100] 図 12 (e) , (f)は第 3の構成例を示している。第 3の構成例は、リード線 12の中心軸の位置をセンサーキャップ 13の中心軸の位置力もずらせる構成である。このリード線

12の中心軸の位置は、中間部材 3のセンサーキャップ側の開口部の中心位置をずらせる等の構成でずらせることができる。

[0101] リード線 12の中心軸とサーミスタ 11の中心軸がずれた状態では、リード線 12の先端はセンサーキャップ 13の内壁 13dの傾斜面で接触する。これによつて、サーミスタ

11の押圧力が形成するサーミスタ 11を滑らせる方向の成分が大きくなり、滑りやすい状態となる。

[0102] サーミスタ 11が内壁 13dと接触して滑った後は、前記した図 11 (b)と同様にしてリード線 12が座屈し、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁 13dに接触する。

[0103] 図 12 (g) , (h)は第 4の構成例を示している。第 4の構成例は、リード線 12が中間部材 3のセンサーキャップ側の開口部から突出する際の突出方向をセンサーキャップ 1 3の中心軸の位置力もずらせる構成である。このリード線 12の突出方向は、中間部材 3のセンサーキャップ側の開口部の形状によって構成することができる。

[0104] リード線 12の突出方向がセンサーキャップ 13の中心軸の位置力もずれることで、リード線 12の先端はセンサーキャップ 13の内壁 13dの傾斜面で接触する。これによつて、サーミスタ 11の押圧力が形成するサーミスタ 11を滑らせる方向の成分が大きくなり、滑りやすい状態となる。

[0105] サーミスタ 11が内壁 13dと接触して滑った後は、前記した図 11 (b)と同様にしてリード線 12が座屈し、リード線 12はセンサーキャップ 13の内壁 13dに接触する。

[0106] 図 14の S8の工程では、下ケースの取り付けを行う。この S8の工程では、 ABS榭脂などの硬質樹脂よりなる下ケース 9にブザー 22を取り付け、ブザー 24と回路基板 6を図示しないリード線で接続してから、図 13に示すように、本体ケース 2の裏面側に接着剤などにより取り付ける。

[0107] その後、図 14の S9工程で電池を収納し、図 14の S10工程で電池蓋 10を装着して、製造工程が完了する。

[0108] 次に、上記で述べた構成の電子体温計の製造方法による作用'効果、特にリード線とセンサーキャップとの接触について説明する。

[0109] サーミスタ 11が接続されたリード線 12は、一端が固定され、他端が回転型の状態にあり、上述したように、中間部材 3からサーミスタ 11の先端までの突出長さ L3は、中間部材 3からセンサーキャップ 13の内壁 13dまでの長さ L1より長く設定されているため、サーミスタ 11の近傍のリード線 12を、センサーキャップ 13の空洞 13cの略半球または略半楕円球形状部分 13aの内壁 13dに接触させることができる。

[0110] この構成により、サーミスタ 11とサーミスタ 11の近傍のリード線 12とはセンサーキヤップ 13の内壁 13dと同温度となるため、サーミスタ 11とリード線 12の温度差はなぐサーミスタ 11からリード線 12への熱の逸散を効果的に防止することができる。これにより、体温測定の時間が短縮される。

[0111] また、センサーキャップ 13の空洞 13cの半球部 13aのみに、エポキシ系の接着剤 1 8を充填して、サーミスタ 11とその近傍のリード線 12の接着する必要がある部分のみで接着を行い、残りの部分には接着剤が充填されないため、不要な接着剤による熱容量の増加を削減して、センサーキャップ 13の熱容量を小さくすることができる。

[0112] また、サーミスタ 11付近のリード線 12のみにおいて固着を行い、その他の部分は非着部とすることができるため、従来のように、断熱体をセンサーキャップ内に押込むなどの方法で製造する必要がなぐ断熱体カ^ード線を引き込むことで、リード線への過剰な負荷を無くすことができ、リード線が断線することを防ぐことができる。

[0113] また、サーミスタ 11をセンサーキャップ 13の空洞 13cの内壁に接触させた状態で固着することにより、センサーキャップ 13からサーミスタ 11への熱伝送を良好とすることができる。

[0114] また、挿通路 3bから突出したリード線 12の先端にサーミスタ 11が取り付けられていることにより、サーミスタ 11からリード線 12を伝わる放出熱の経路を 1つだけの限定し、サーミスタ 11からリード線 12への熱の逸散を効果的に防止することができる。

[0115] また、サーミスタ 11を、センサーキャップ 13の先端の略半球または略半楕円球形状に形成された半球部 13aに配置し、この半球部 13aの内壁 13dにサーミスタ 11の近傍のリード線 12を接触し且つ固着することにより、このセンサーキャップ 13の先端の略半球または略半楕円球形状に形成された半球部 13aは接着剤を溜める部分を形成することができ、サーミスタ 11とその近傍のリード線 12を接着するための接着剤を容易に充填することができる。

[0116] また、センサーキャップ 13内の閉端付近に接着剤 18を充填する工程において、サ一ミスタ 11とリード線 12を、センサーキャップ 13の閉端付近に固着することができるとともに、センサーキャップ 13の先端部の強度を補強することができる。

[0117] また、センサーキャップ 13内の閉端付近に接着剤を充填する工程において、センサーキャップ 13をプローブ部 20aに取り付ける前に行うことによって、サーミスタ 11やリード線 12がセンサーキャップ 13内に配置する前に接着剤 18を充填することができ、接着剤 18の充填が容易である。

[0118] また、センサーキャップ 13をプローブ部 20aに取り付ける工程において、センサーキャップ 13の空洞 13cの閉端の内壁 13dがサーミスタ 11に押し付けられることによつてサーミスタ 11が回動する構成は、サーミスタ 11近傍のリード線 12に座屈を生じさせ、センサーキャップ 13の内壁に接触するように容易に変形させることができる。

[0119] また、センサーキャップ 13の空洞 13cは、座屈によって円弧状に曲がったサーミスタ 11近傍のリード線 12が接触するセンサーキャップ 13の内壁 13dの部分は、略半球または略半楕円球形状に形成され、座屈によって円弧状に曲がる円弧状のリード線と同様な形状に形成されているため、サーミスタ 11の近傍のリード線 12が内壁 13 dに接触しやすい。

[0120] 図 6から図 14に示した製造工程では、リード線 12を回路基板 6に接続した後に、回路基板 6を本体ケース 2に組み込む手順として、るが、先に回路基板 6を本体ケース 2に組み込み、その後、リード線 12を回路基板 6に接続する手順としても良い。

[0121] すなわち、回路基板 6を本体ケース 2に取り付ける工程を行ってから、サーミスタ 11 とリード線 12をプローブ部 20aの挿通路 3bの開口部から引き出す工程としても良い。その場合は、例えば、図 8 (b)において、リード線 12を回路基板 6に未接続の状態において回路基板 6を本体ケース 2に組み込み、その後、サーミスタ 11が接続されている側とは反対側のリード線 12の端部を、挿通路 3bの中間部材 3側の開口部から挿入し、リード線 12を回路基板 6側の開口部 3cから引き出して回路基板 6のリード線接続電極 6bに接続するようにしてもよい。

[0122] また、上記した例では、サーミスタ及びリード線を取り付けたプローブ部に取り付けた後、このプローブに対してセンサキャップを取り付ける例を示している力プローブの先端にセンサキャップを取り付けた後、サーミスタ及びリード線をプローブ部に取り付けるようにしてもよい。

[0123] 以上の説明から明らかなように、本発明の電子体温計の製造方法の実施の形態によれば、リード線を断線させずに製造でき、サーミスタからリード線への熱の逸散を効果的に防止する電子体温計を容易に製造することが可能である。

[0124] また、本発明の電子体温計に実施の形態によれば、サーミスタ近傍のリード線を、センサーキャップの内壁に接触させるように接着剤で固着し、センサーキャップの残りの部分をフリーにすることにより、リード線を断線させずに製造でき、サーミスタからリード線への熱の逸散を効果的に防止する。また、高速に体温を測定する電子体温計を提供することができる。

産業上の利用可能性

[0125] 本発明に開示される技術はセンサーを接触部材に取り付ける構成に適用することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 感温素子と、該感温素子に接続されるリード線と、該リード線が挿通される挿通路が形成されたプローブ部を有する本体ケースと一端が開口され、他端が閉じられた空洞が形成されたセンサーキャップを有し、

前記挿通路から突出されたリード線と、前記感温素子とが前記センサーキャップ内に収納される電子体温計の製造方法にぉ、て、

先端に前記感温素子が取り付けられたリード線を前記プローブ部の挿通路力突出させた状態において、このプローブ部に前記センサーキャップを取り付ける工程を有し、

前記工程において、前記リード線の突出長さは、前記センサーキャップがプローブ部に取り付けられた状態において、前記プローブ部の先端と前記空洞の内壁の先端との間の距離よりも長いことを特徴とする電子体温計の製造方法。

[2] 前記リード線の突出長さは、前記センサーキャップがプローブ部に取り付けられた状態において、

前記感温素子近傍のリード線が前記空洞の内壁に接触し得る程度の長さを有することを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項記載の電子体温計の製造方法。

[3] 前記電子体温計は前記リード線が接続される回路基板を有し、

前記感温素子を前記リード線に取り付ける工程と、

前記リード線を前記回路基板に接続する工程と、

前記回路基板を前記本体ケースに組込む工程とを備え、

前記取り付け工程と前記接続工程と前記組込み工程は、同順又は逆順とすることを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項又は第 2項記載の電子体温計の製造方法。

[4] 前記センサーキャップ内の前記閉端付近に接着剤を充填する工程を有することを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項に記載の電子体温計の製造方法。

[5] 前記接着剤を充填する工程は、前記センサーキャップを前記プローブ部に取り付ける前に行うことを特徴とする、特許請求の範囲の第 4項に記載の電子体温計の製造方法。

[6] 前記接着剤を充填する工程にお!ヽて、前記接着剤を前記感温素子と、該感温素子付近のリード線のみを固着させる量だけ充填することを特徴とする、特許請求の範囲の第 4項又は第 5項に記載の電子体温計の製造方法。

[7] 前記センサーキャップを前記プローブ部に取り付ける工程において、前記空洞の閉端の内壁が前記感温素子に押し付けられることにより前記感温素子が回動するように構成されていることを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項又は第 2項に記載の電子体温計の製造方法。

[8] 前記センサーキャップを前記プローブ部に取り付ける工程を、前記リード線の突出部分以外の少なくとも一部を固定した状態で行うことを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項又は第 2項に記載の電子体温計の製造方法。

[9] 前記空洞は、前記感温素子を当接させる先端が、略半球または略半楕円球形状に形成されていることを特徴とする、特許請求の範囲の第 1項又は第 2項に記載の電子体温計の製造方法。

[10] 感温素子と、該感温素子に接続されるリード線と、これらを収納するプローブ部とを有し、前記感温素子によって生体の体温を検出する電子体温計にぉヽて、

前記プローブ部は、前記リード線が挿通される挿通路が形成されたプローブ本体と、このプローブ本体に取り付けられるセンサーキャップとを有し、

前記センサーキャップは空洞を備え、

前記リード線は、前記空洞内において、前記感温素子の近傍において前記空洞の内壁と接触する接触部分と、前記感温素子から前記挿通路に至る個所で前記センサーキャップまたは前記プローブ本体に固着されない非固着部分とを有することを特徴とする電子体温計。

[11] 前記感温素子は、前記空洞の内壁に接触した状態で固着されていることを特徴とする、特許請求の範囲の第 10項に記載の電子体温計。

[12] 前記感温素子は、前記挿通路から突出された前記リード線の先端に取り付けられていることを特徴とする、特許請求の範囲の第 10項又は第 11項に記載の電子体温計。

[13] 前記空洞の先端側形状は略半球または略半楕円球形状であり、

前記感温素子は前記空洞の略半球または略半楕円球形状部分に配置され、前記空洞の略半球または略半楕円球形状部分の内壁に接触し且つ固着することを特徴とする、特許請求の範囲の第 11項に記載の電子体温計。

前記略半球または略半楕円球形状部分には、少なくとも前記感温素子、及び前記リード線の前記感温素子付近を固着する接着剤が充填されていることを特徴とする、特許請求の範囲の第 13項に記載の電子体温計。