明 細 書
体液吸収性物品
技術分野
[0001] 本発明は、紙おむつや、生理用ナプキン、尿取りパッド、失禁パッド等の体液吸収 性物品に関するものである。
背景技術
[0002] 紙おむつや、生理用ナプキン、尿取りパッド、失禁パッド等の体液吸収性物品は、 一般に、表面シートの下に、体液保持性を有する吸収材が備えられた体液吸収構造 を有する。そして、従来、力かる体液保持性を有する吸収材は、例えば、綿状パルプ や合成パルプなどのパルプや、フラッフ状パルプ中に、粒状粉などとされた吸収性ポ リマーが混入された材料で形成されていた。し力しながら、これらの材料からなる吸収 材は、体液を吸収するスピードが遅いため、体液は、吸収材に吸収される前に、物品 端部にまで移動してしまレ、、その端部から漏れが生じるおそれがあった。
[0003] そこで、近年では、表面シートと体液保持性を有する吸収材との間に、不織布シー トを介在させるようになつている(例えば、特許文献 1参照。)。この不織布シートは、 体液をすばやく吸収して、体液の物品端部への移動を阻止する機能を有する。
[0004] しかしながら、不織布シートは、体液の吸収容量が少ないことから、不織布シートを 介在させた体液吸収構造には、次のような問題が残った。
[0005] すなわち、不織布シートは、吸収した体液を、そのまま透過させて体液保持性を有 する吸収材に吸収させるところ、体液保持性を有する吸収材は、前述したように、体 液を吸収するスピードが遅いため、不織布シートの体液透過性が、いわば入口は広 いが出口は狭い先詰まりの状態になる。したがって、体液の吸収容量が少ない不織 布シートでは、体液を繰り返し吸収しなければならない場合など、多量の体液を吸収 する場合に、オーバーフローの状態に陥り、体液の物品端部への移動を完全に阻止 することができず、漏れが生じるおそれがあった。
特許文献 1:特表 2001— 524399号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明の解決しょうとする主たる課題は、体液の漏れ防止効果を完全なものとする ことができる体液吸収性物品を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項 1記載の発明〕
表面シートの下に、体液保持性を有する吸収材が備えられた体液吸収構造であつ て、
前記表面シートと前記体液保持性を有する吸収材との間に、トウからなる繊維集合 体を含む体液透過性を有する吸収材が、介在されている、ことを特徴とする体液吸 収性物品。
[0008] 〔請求項 2記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材が、トウからなる繊維集合体内に吸収性ポリマー を移動させて得た吸収材で形成されてレ、る、請求項 1記載の体液吸収性物品。
[0009] 〔請求項 3記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材及び前記体液透過性を有する吸収材の少なくとも いずれか一方が、トウからなる繊維集合体にバインダーを付与されている、請求項 1 又は請求項 2記載の体液吸収性物品。
[0010] 〔請求項 4記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体が、前記バインダー付与によって、繊維同士の接触部 分が線及び点の少なくともいずれか一方で、接着又は融着されている、請求項 3記 載の体液吸収性物品。
[0011] 〔請求項 5記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体が、前記バインダーの付与量の相違によって形成され た、接着又は融着具合の相違する 2以上の領域を備えている、請求項 4記載の体液 吸収性物品。
[0012] 〔請求項 6記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の幅方向中間部に対して両脇部よりも多量のバインダ
一が付与されて、前記幅方向中間部が前記両脇部よりも接着又は融着具合を高めら れてレ、る、請求項 5記載の体液吸収性物品。
[0013] 〔請求項 7記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の両脇部に対して幅方向中間部よりも多量のバインダ 一が付与されて、前記両脇部が前記幅方向中間部よりも接着又は融着具合を高めら れてレ、る、請求項 5記載の体液吸収性物品。
[0014] 〔請求項 8記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の表裏面近傍に対して表裏面中間部よりも多量のバイ ンダ一が付与されて、前記表裏面近傍が前記表裏面中間部よりも接着又は融着具 合を高められてレ、る、請求項 5記載の体液吸収性物品。
[0015] 〔請求項 9記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の表裏面近傍及び幅方向両端部に対して中心部より も多量のバインダーが付与されて、前記表裏面近傍及び前記幅方向両端部が前記 中心部よりも接着又は融着具合を高められている、請求項 5記載の体液吸収性物品
[0016] 〔請求項 10記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の幅方向断面両端部に対して幅方向断面中間部より も多量のバインダーが付与されて、前記幅方向断面両端部が前記幅方向断面中間 部よりも接着又は融着具合を高められている、請求項 5記載の体液吸収性物品。
[0017] 〔請求項 11記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の幅方向断面中間部に対して幅方向断面両端部より も多量のバインダーが付与されて、前記幅方向断面中間部が前記幅方向断面両端 部よりも接着又は融着具合を高められている、請求項 5記載の体液吸収性物品。
[0018] 〔請求項 12記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の裏面側に、トウ以外の吸収性材料からなる吸収 材が積層されている、請求項 1〜: 11のいずれ力 4項に記載の体液吸収性物品。
[0019] 〔請求項 13記載の発明〕
前記トウ以外の吸収性材料が、パルプ繊維、多孔質フォーム材、コットン繊維及び
不織布の少なくともいずれ力 1つを含む、請求項 12記載の体液吸収性物品。
[0020] 〔請求項 14記載の発明〕
前記トウ以外の吸収性材料からなる吸収材に、エンボスが付与されている、請求項 12又は請求項 13記載の体液吸収性物品。
[0021] 〔請求項 15記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の圧縮レジリエンス RCが、 40〜60%である、請 求項 1〜: 14のレ、ずれ力ゝ 1項に記載の体液吸収性物品。
[0022] 〔請求項 16記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の圧縮エネルギー WC力 4. 0-10. Ogf - cm/ cm2である、請求項 1〜: 15のレ、ずれか 1項に記載の体液吸収性物品。
[0023] 〔請求項 17記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材のトウ繊維密度力 0. 03〜0. 25g/cm3である、 請求項 1〜: 16のいずれ力 1項に記載の体液吸収性物品。
[0024] 〔請求項 18記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の目付けが、 30〜300g/m2である、請求項:!〜 17のいずれ力 1項に記載の体液吸収性物品。
[0025] 〔請求項 19記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の質量が、:!〜 15gである、請求項:!〜 18のいず れか 1項に記載の体液吸収性物品。
[0026] 〔請求項 20記載の発明〕
前記体液透過性を有する吸収材の空隙率が、 60〜85%とされている、請求項:!〜 19のレ、ずれ力ゝ 1項に記載の体液吸収性物品。
[0027] 〔請求項 21記載の発明〕
前記体液透過性を有する吸収材が、前記表面シートと前記体液保持性を有する吸 収材の幅方向中央部との間に、前記体液保持性を有する吸収材の長手方向に沿つ て、介在され、
かつ、前記体液透過性を有する吸収材の両側方の、前記体液透過性を有する吸 収材が介在されていない部位に、前記長手方向に沿って、圧搾加工が施されている
、請求項 1〜 20のレ、ずれか 1項に記載の体液吸収性物品。
[0028] 〔請求項 22記載の発明〕
前記体液透過性を有する吸収材が、前記表面シートと前記体液保持性を有する吸 収材の長手方向中央部との間に、介在され、
かつ、前記体液透過性を有する吸収材の前方及び後方の、前記体液透過性を有 する吸収材が介在されていない部位に、前記体液保持性を有する吸収材の幅方向 に沿って、圧搾加工が施されている、請求項:!〜 20のいずれか 1項に記載の体液吸 収性物品。
[0029] 〔請求項 23記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材と前記体液透過性を有する吸収材との間に、体液 拡散性シートが介在されている、請求項:!〜 22のいずれか 1項に記載の体液吸収性 物品。
[0030] 〔請求項 24記載の発明〕
前記体液拡散性シートに、圧搾加工が、少なくとも前記体液保持性を有する吸収 材の長手方向に延在するように施されている、請求項 23記載の体液吸収性物品。
[0031] 〔請求項 25記載の発明〕
前記表面シートと前記トウからなる繊維集合体を含む吸収材との間に、体液透過性 を有する吸収シートが、介在されている、請求項 1〜24のいずれか 1項に記載の体 液吸収性物品。
[0032] 〔請求項 26記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の構成繊維力 セルロースアセテートの繊維である、 請求項 1〜 25のレ、ずれ力ゝ 1項に記載の体液吸収性物品。
[0033] 〔請求項 27記載の発明〕
前記トウからなる繊維集合体の構成繊維の断面形状が、円形又は楕円形である、 請求項 1〜26のいずれ力 1項に記載の体液吸収性物品。
[0034] 〔請求項 28記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材に、圧搾加工が、少なくとも長手方向に延在する ように施されている、請求項 1〜27のいずれ力 1項に記載の体液吸収性物品。
[0035] 〔請求項 29記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材が、包被シートで包まれている、請求項:!〜 28の レ、ずれか 1項に記載の体液吸収性物品。
[0036] 〔請求項 30記載の発明〕
前記包被シートが、ティッシュぺーパである、請求項 29記載の体液吸収性物品。
[0037] 〔請求項 31記載の発明〕
前記包被シートが、不織布である、請求項 29記載の体液吸収性物品。
[0038] 〔請求項 32記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の裏面側に、保持シートが設けられている、請求 項 1〜31のレ、ずれか 1項に記載の体液吸収性物品。
[0039] 〔請求項 33記載の発明〕
前記保持シートは、 KES試験に基づく圧縮エネルギーが 0. 01〜: 10. OOgf - cm/ cm2で、かつ圧縮レジリエンスが 10〜: 100%の不織布である、請求項 32記載の体液 吸収性物品。
[0040] 〔請求項 34記載の発明〕
前記体液保持性を有する吸収材の厚さが、 0. 1〜: lcmである、請求項 1〜33のい ずれか 1項に記載の体液吸収性物品。
発明の効果
[0041] 本発明によると、体液の漏れ防止効果を完全なものとすることができる。
発明を実施するための最良の形態
[0042] 以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔用途〕
本発明の体液吸収構造は、尿ゃ径血等の体液を吸収する体液吸収性物品一般に 適用することができる。この種の体液吸収性物品としては、例えば、紙おむつや、生 理用ナプキン、尿取りパッド、失禁パッド等を例示することができる。
[0043] 〔体液吸収構造〕
(第 1の形態)
図 1に示すように、第 1の形態の体液吸収構造 50は、使用面側に位置する表面(ト
ップ)シート 51の下に、体液保持性を有する吸収材 53Aが備えられている。そして、 表面シート 51と体液保持性を有する吸収材 53Aとの間には、従来、不織布シートが 介在されていたのに替えて、トウからなる繊維集合体を含む体液透過性を有する吸 収材 52が、介在されている。トウからなる繊維集合体は、不織布シートに比して、体 液の吸収容量が著しく多レ、ので、体液を繰り返し吸収しなければならなレ、場合など、 多量の体液を吸収する場合においても、オーバーフローの状態に陥ることがなぐ体 液の物品端部への移動を完全に阻止することができる。したがって、本体液吸収構 造 50によると、体液の漏れ防止効果が完全なものとなる。
[0044] なお、本体液吸収構造 50においては、体液保持性を有する吸収材 53Aの裏面側 を、例えば、体液透過性を有しない裏面シート 54で覆うことができる。これにより、物 品裏面側への体液の漏れが防止される。
[0045] (第 2の形態)
図 2に示すように、第 2の形態の体液吸収構造 60は、使用面側に位置する表面シ ート 51の下に、体液保持性を有する吸収材 53Bが備えられている。そして、この体液 保持性を有する吸収材 53Bが、トウからなる繊維集合体内に吸収性ポリマーを移動 させて得た吸収材で形成されている。トウからなる繊維集合体内に吸収性ポリマーを 移動させて得た吸収材は、体液を吸収するスピードが速いうえに、体液の吸収容量 が著しく多いので、体液を繰り返し吸収しなければならない場合など、多量の体液を 吸収する場合においても、オーバーフローの状態に陥ることがなぐ体液の物品端部 への移動を完全に阻止することができる。したがって、本体液吸収構造 60によっても 、体液透過性を有する吸収材 52及び体液保持性を有する吸収材 53Aが備えられた 第 1の実施の形態と同様に、体液の漏れ防止効果が完全なものとなる。
[0046] (第 3の形態)
図 3に示すように、第 3の形態の体液吸収構造 70は、第 1の形態の体液吸収構造 5 0を応用したものである。本体液吸収構造 70においては、表面シート 51とトウからな る繊維集合体を含む吸収材、つまり体液透過性を有する吸収材 52との間に、体液透 過性を有する吸収シート 55が、介在されている。本体液吸収構造 70においては、吸 収シート 55の下に備えられた体液透過性を有する吸収材 52が、トウからなる繊維集
合体を含むものであり、吸収スピードが極めて速いため、吸収シート 55は、体液透過 性に関して、いわば入口とともに出口も広い状態になり、体液が直に透過(通過)して しまうことになる。したがって、吸収シート 55は、レ、つたん体液を吸収しても、その後、 直にさらつとした状態に戻ることになり、表面シート 51を介しての逆戻りが防止され、 肌触りが良好になる。もちろん、吸収シート 55を介在させることにより、体液透過性を 有する部材全体 (本形態では、吸収材 52及び吸収シート 55)の吸収容量が増えると の利点もある。
[0047] (第 4の形態)
図 4に示すように、第 4の形態の体液吸収構造 80は、第 2の形態の体液吸収構造 6 0を、第 3の形態と同様の観点に基づいて、応用したものである。本体液吸収構造 80 においては、表面シート 51とトウからなる繊維集合体を含む吸収材、つまり体液保持 性を有する吸収材 53Bとの間に、体液透過性を有する吸収シート 55が、介在されて いる。本体液吸収構造 80においては、吸収シート 55の下に備えられた体液保持性 を有する吸収材 53Bが、トウからなる繊維集合体を含むものであり、吸収スピードが 極めて速いため、吸収シート 55は、体液透過性に関して、第 3の形態の場合と同様 の状態になり、体液が直に透過(通過)してしまうことになる。したがって、吸収シート 5 5は、レ、つたん体液を吸収しても、その後、直にさらつとした状態に戻ることになり、表 面シート 51を介しての逆戻りが防止され、肌触りが良好になる。もちろん、本形態に おいても、吸収シート 55を介在させることにより、吸収容量が増えるとの利点がある。
[0048] (第 5の形態)
図 5に示すように、第 5の形態の体液吸収構造 90は、使用面側に位置する表面シ ート 51の下に、体液保持性を有する吸収材 53Aが備えられている。そして、表面シ ート 51と体液保持性を有する吸収材 53Aとの間には、従来、不織布シートが介在さ れてレ、たのに替えて、トウからなる繊維集合体を含む体液透過性を有する吸収材 52 力 介在されている。トウからなる繊維集合体は、不織布シートに比して、体液の吸収 容量が著しく多いので、体液を繰り返し吸収しなければならない場合など、多量の体 液を吸収する場合においても、オーバーフローの状態に陥り難い。
[0049] 加えて、本体液吸収構造 90においては、体液保持性を有する吸収材 53Aに、ェン
ボス加工等の圧搾加工が、少なくとも長手方向に延在するように施されているため、 この圧搾加工によって形成された圧搾部(高密度部) 57に沿って、体液が迅速に拡 散する。したがって、体液保持性を有する吸収材 53Aが、より広い領域において、体 液の吸収を行うことになる。結果、体液透過性を有する吸収材 52は、体液透過性に 関して、いわば入口に加えて出口も広い状態になり、よりいつそうオーバーフローの 状態に陥り難くなる。以上のことから、本体液吸収構造 90においては、体液の物品 端部への移動が完全に阻止され、体液の漏れ防止効果が著しく優れたものとなる。
[0050] また、体液透過性を有する吸収材 52は、体液透過性に関して、いわば入口に加え て出口も広い状態になることから、体液は、吸収材 52を、直に透過(通過)してしまう ことになる。したがって、体液透過性を有する吸収材 52は、レ、つたん体液を吸収して も、その後、直にさらつとした状態に戻ることになり、表面シート 51を介しての逆戻りが 防止され、肌触りが良好になる。
[0051] 本実施の形態においては、圧搾部 57を、長手方向に延在するように、例えば、紙 おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に適用される場合であれば、その前後方 向に延在するように、かつ、その両側縁 M, M力 体液透過性を有する吸収材 52の 幅方向中央部に位置するように、形成している。ただし、この形成方法に限定する趣 旨ではなぐ例えば、図 2に示す体液吸収構造 100におけると同様に、圧搾部 57の 両端縁 M, M力 体液透過性を有する吸収材 52の両側縁に沿うように形成するなど 、適宜の形成幅とすることができる。
[0052] また、圧搾部 57の形成数も特に限定されず、例えば、本実施の形態のように、 1ラ インとすることのほか、 2ライン、 3ライン、 4ライン又はそれ以上の複数ラインとすること もできる。
[0053] ところで、本形態の圧搾部 57は、少なくとも長手方向に延在するように、つまり、体 液保持性を有する吸収材 53Aの幅方向と交差する方向に延在するように、形成され ているのが好ましい。これは、長手方向への体液拡散性を高めることが、より広い領 域において、体液保持性を有する吸収材 53Aに、体液を吸収させるに資するからで ある。したがって、圧搾部 57が、体液保持性を有する吸収材 53Aの幅方向と、レ、か なる角度で交差するかは特に限定されず、先の観点から、適宜設計するとよい。圧縮
部 57の形成方法としては、以上のほか、例えば、特開 2004— 121382号公報に示 される、エンボス加工によるものと、同様のものを例示することなどもできる。
[0054] なお、本体液吸収構造 90においては、体液保持性を有する吸収材 53Aの裏面側 を、例えば、体液透過性を有しない裏面シート 54で覆うことができる。これにより、物 品裏面側への体液の漏れが防止される。
[0055] (第 6の形態)
図 7に示すように、第 6の形態の体液吸収構造 110は、第 5の形態の体液吸収構造 90, 100を変形したものである。本体液吸収構造 110においては、体液保持性を有 する吸収材 53Aに、圧搾部 57を形成するのに変えて、体液保持性を有する吸収材 53 Aと体液透過性を有する吸収材 52との間に、体液拡散性シート 58を介在させて いる。この体液拡散性シート 58において、表面シート 51及び体液透過性を有する吸 収材 52を透過した体液が、迅速に拡散することになるため、体液保持性を有する吸 収材 53Aが、より広い領域において、体液の吸収を行うことになり、圧搾部 57を形成 した場合と同様の効果が、発揮される。したがって、体液拡散性シート 58は、少なくと も長手方向に延存するように介在させると、好ましレ、ものとなる。
[0056] また、体液拡散性シート 58は、表面シート 51及び体液透過性を有する吸収材 52 の下に介在されているので、本形態によると、使用者の目にとまらない部位において 、体液が拡散することになり、使用者に体液が広く拡散しているとの印象を与えず、 安心感を与えることができる。
[0057] (第 7の形態)
図 8に示すように、第 7の形態の体液吸収構造 120は、第 6の形態の体液吸収構造 110を変形したものである。本体液吸収構造 120においては、体液拡散性シート 58 に、エンボス加工等の圧搾加工力 少なくとも長手方向に延在するように施されてお り、この圧搾カ卩ェによって形成された圧搾部(高密度部) 58A, 58A…に沿って、体 液が迅速に拡散するようになっている。これは、長手方向への体液拡散性を高めるこ とが、より広い領域において、体液保持性を有する吸収材 53Aに、体液を吸収させる に資するとして、体液保持性を有する吸収材 53Aに、少なくとも長手方向に延在する ように、圧搾部 57を形成したのと、同様の理由からである。
[0058] 本圧搾部 58A, 58A…の形成方法は、特に限定されず、体液保持性を有する吸 収材 53Aの圧搾部 57と、同様とすることができる。
[0059] (第 8の形態)
図 9に示すように、第 8の形態の体液吸収構造 130は、第 5の形態の体液吸収構造 90, 100と、第 6の形態の体液吸収構造 110と、を組み合わせたものである。本体液 吸収構造 130においては、体液保持性を有する吸収材 53Aに、エンボス加工等の 圧搾加工が、少なくとも長手方向に延在するように施されているとともに、体液保持性 を有する吸収材 53Aと体液透過性を有する吸収材 52との間に、体液拡散性シート 5 8が、介在されている。したがって、体液の拡散性が相乗的に優れ、より広い領域に おいて、体液保持性を有する吸収材 53Aに、体液が吸収されることになり、体液の物 品端部への移動が完全に阻止され、体液の漏れ防止効果が著しく優れたものとなる
[0060] (その他の形態)
以上、第 1〜第 8の形態では、体液透過性を有する吸収材 52が、レ、かなる領域に 介在されるかを、特に示さなかった。これは、介在領域を、特に限定しない趣旨であ る。つまり、体液透過性を有する吸収材 52は、従来、不織布シートを介在させていた のと同様に、表面シート 51の下に、全面にわたって介在させることも、その一部に介 在させることちできる。
[0061] 一部に介在させる形態としては、例えば、従来、不織布シートを介在させる場合に なされていたのと同様の形態を、具体的には、図 12や図 13、図 16、図 17などに示 すように、幅方向中央部かつ長手方向中央部のみに介在させる形態や、図 14及び 図 15に示すように、幅方向中央部に、かつ前端縁から後端縁まで延在するように、 介在させる形態などを、例示することができる。前者の形態(図 12など)によると、図 1 2の右側に示すように、前後端部を折り曲げるなどして 3つ折り等に折り重ねた場合の 厚さが、厚くならず、商品として提供するのに好ましい構造となる。また、後者の形態( 図 14など)によると、長手方向に関して広い領域で体液が吸収されることになる点で 、好ましい構造となる。
[0062] ところで、以上、図 12〜図 17の例では、体液透過性を有する吸収材 52の配置を、
一部としているほか、一部としたことによって体液透過性を有する吸収材 52に覆われ ないことになつた体液保持性を有する吸収材 53に、エンボス等による圧搾加工を施 し (この圧搾カ卩ェは、表面シート 1などを重ねた状態で、行うことができる。)、もって条 溝 56を形成している。これは、体液が、条溝 56を跨いでの拡散をしにくい、条溝 56 に沿った拡散をし易レ、、という特性を利用して、体液の拡散をコントロールする趣旨 である。
[0063] 具体的には、例えば、図 12に示すように、体液透過性を有する吸収材 52の前方及 び後方に、それぞれ幅方向に沿って条溝 56, 56を形成した形態によると、体液透過 性を有する吸収材 52を伝わって拡散してきた体液力 S、条溝 56, 56でとどめられ、そ れよりも前方又は後方には拡散しにくくなる。したがって、前後漏れを防止し易い構 造となる。また、この形態によると、体液の幅方向への拡散は、迅速になされることに なる。一方、図 13〜図 15に示すように、体液透過性を有する吸収材 52の側方や前 方、後方などに、それぞれ長手方向に沿って条溝 56, 56を形成した形態によると、 体液透過性を有する吸収材 52を伝わって拡散してきた体液力 条溝 56, 56でとど められ、それよりも側方には拡散しにくくなる。したがって、横漏れを防止し易い構造 となる。また、この形態によると、体液の長手方向への拡散は、迅速になされることに なる。
[0064] もちろん、条溝 56, 56は、以上の形態のように、幅方向あるいは長手方向に一直 線に形成しなければならないものではなレ、。例えば、図 15に示すように、その後端部 56A, 56Aが、幅方向に広がった形態とすることもできる。適宜、体液を拡散させた い方向に沿う条溝 56を形成し、また、体液を拡散させたくない方向に直交する条溝 5 6を、形成するとよレ、。また、条溝 56, 56は、以上の形態のように、幅方向及び長手 方向のいずれか一方に沿わせなければならないものではなぐ例えば、図 16及び図 17に示すように、体液透過性を有する吸収材 52の周囲を囲むように形成することも できる。この際、例えば、セカンドシートなどとして、吸収シート 55を介在させるのであ れば、図 16に示すように、条溝 56を、その全てが、吸収シート 55上に位置するように 形成することも、図 17に示すように、その前後端部が、吸収シート 55から外れるように 形成することもできる。
[0065] 以上の条溝 56は、さまざまな態様で形成することができるが、図示例のように、体液 透過性を有する吸収材 52を跨がなレ、ように形成するのが好ましレ、。本発明におレ、て 、かかる吸収材 52は、トウからなる繊維集合体を含むものであるところ、トウからなる 繊維集合体は、体液吸収によりへたり易ぐしたがって、体液透過性を有する吸収材 52上に条溝 56を形成しても、体液吸収によって、条溝 56両側方の吸収材 52も沈ん でしまい、条溝 56による効果が、発揮されなくなってしまうためである。また、特にトウ からなる繊維集合体の構成繊維が、アセテートセルロースである場合は、アセテート セルロースの融点が 230°Cと高ぐ例えば、エンボスなどを深く入れることができない ため、体液透過性を有する吸収材 52を跨がないように形成する必要性が大きくなる。
[0066] 〔体液吸収性物品及びその製造例〕
次に、以上の体液吸収構造を適用するなどした体液吸収性物品、及び、その製造 例について、説明する。
(第 1の例)
図 18に平面図を、図 19にその I— I線断面を示すように、本体液吸収性物品は、表 面シート 51と裏面シート 54との間に、長方形状の体液保持性を有する吸収材 53A が介在されており、この吸収材 53Aと表面シート 1との間に、トウからなる繊維集合体 を含む体液透過性を有する吸収材 52が介在されている。なお、本体液吸収性物品 において、体液保持性を有する吸収材 53Aには、圧搾部(高密度部)が形成されて いる場合もある力 その図示は、省略する。以下、同様である。
[0067] 表面シート 51及び裏面シート 54は、本物品の平面外形と同じ形状とされており、そ の両側部は、体液保持性を有する吸収材 53Aの両側縁よりも側方に延出してレ、る。 この延出は、特に、長手方向中央部において、大きくなつており、この大きく延出した 部位が、例えば、使用時にショーツ等の被服の外面に重なる方向に折り返される、折 り返しフラップとなっている。また、表面シート 51及び裏面シート 54は、少なくともその 前後端部 C, Cが、例えば、ホットメルト接着、超音波シール、ヒートシール (熱融着)、 ヒートプレス(熱圧着)又はこれらの組み合わせによって、本例では、ヒートシールによ つて、接合されている。
[0068] 一方、体液透過性を有する吸収材 52は、体液保持性を有する吸収材 53Aの幅方
向中央部のみに介在されており、また、その前後端縁は、体液保持性を有する吸収 材 53Aの前後端縁位置まで、延在している。
[0069] 本吸収性物品を製造するにあたっては、例えば、図 20に示すように、まず、コンペ ァ等の搬送手段などによって搬送される帯状の体液保持性を有する吸収材 53Aの 表面に、塗布装置 21によって、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。次いで、 その上に、体液透過性を有する吸収材 52を載せて、接着剤の接着力により、両者を 接合する。
[0070] 接合された吸収材 52及び 53Aは、裁断機 22まで搬送されて、裁断され、各物品に 備えられる長さの吸収材 52及び 53Aとなる。したがって、吸収材 52及び 53Aの裁断 部が、各物品に備えられる吸収材 52及び 53Aの前後端縁となり、先に説明したよう に、体液透過性を有する吸収材 52の前後端縁が、体液保持性を有する吸収材 53A の前後端縁位置まで、延在した状態となる。
[0071] 裁断した吸収材 52及び 53Aは、搬送されつつ、リール 23から卷き出された表面シ ート 51、及びリール 24から卷き出された裏面シート 54力 それぞれ吸収材 52の表面 、又は吸収材 53Aの裏面に貼り合わされる。
[0072] 表面シート 51及び裏面シート 54が貼り合わされた吸収材 52及び 53Aは、例えば、 エンボス付与装置 25まで搬送して、エンボスを付与することができる(なお、図 18及 び図 19では、エンボスの記載を省略している。)。このエンボスの付与は、例えば、体 液透過性を有する吸収材 52の両側方に、物品長手方向に沿うように、行うことができ る(図 14参照)。
[0073] エンボスを付与するなどの適宜の加工をした吸収材 52及び 53Aは、ヒートシール 装置 26まで搬送され、その表裏面に貼り合わされた表面シート 51と裏面シート 54と 力 ヒートシール接合される。このヒートシール接合は、各吸収材 52及び 53Aと、その 前後において搬送される吸収材 52及び 53Aと、の間のほぼ中間位置、つまり吸収材 52及び 53Aが介在されていない位置において行われる。このヒートシール箇所は、 本物品の前後端縁を構成することになる。
[0074] (第 2の例)
図 21に平面図を、図 19にその I— I線断面を(なお、この断面図は、第 1の例と同じ
なので、第 1の例を説明するに際して用いた図を、流用している。)、図 22にその II— II線断面を示すように、本吸収性物品は、第 1の例の吸収性物品と、ほぼ同じ形態と されている。
[0075] ただ、本吸収性物品におレ、ては、体液透過性を有する吸収材 52が、体液保持性 を有する吸収材 53Aの幅方向中央部のみに介在されているものの、その前後端縁 5 2a, 52aは、表面シート 51及び裏面シート 54の前後端縁位置まで、延在している( 図 22参照)。この点、体液の前後漏れを防止するという観点や、表面シート 51及び 裏面シート 54の前後端縁の接合を確実なものとするという観点からは、先に説明した 第 1の例の吸収性物品のように、体液透過性を有する吸収材 52の前後端縁が、体液 保持性を有する吸収材 53Aの前後端縁位置まででとどまつているほうが好ましい。し 力 ながら、製造容易性の観点などからの必要性がある場合は、本形態のようにする ことちでさる。
[0076] 具体的には、本吸収性物品を製造するにあたっては、例えば、図 23に示すように、 コンベア等の搬送手段などによって搬送される帯状の体液保持性を有する吸収材 5
3Aを、まず、単独で裁断して、各物品に備えられる長さの吸収材 53Aとすることがで きる。この点、先に説明した第 1の製造例のように、吸収材 53Aに吸収材 52を接合し て力も裁断しょうとすると、特に、本形態のように、吸収材 53Aと吸収材 52の嵩高さ、 柔らかさ等の物性が異なる場合は、正確かつ確実に裁断することができないおそれ がある。し力 ながら、本製造例のように、吸収材 53Aを単独で断裁するのであれば 、かかる問題が生じない。
[0077] 本製造例において、裁断した吸収材 53Aは、その表面に、塗布装置 21によって、 ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、その上に、体液透過性を有する吸収材 52を 載せて、接着剤の接着力により、両者を接合する。
[0078] 接合された吸収材 52及び 53Aは、以後、第 1の製造例と同様に、表面シート 51及 び裏面シート 54の貼り合わせ、エンボスの付与、ヒートシール接合が、行われる。
[0079] ただ、本製造例においては、ヒートシール接合を、体液透過性を有する吸収材 52 が裁断されていない状態において行うので、ヒートシール箇所には、かかる吸収材 5 2が、介在されてレ、ることになる。つまり、本製造例によると、体液透過性を有する吸
収材 52が、表面シート 51及び裏面シート 54の前後端縁位置 (物品前後端縁位置) まで、延在する吸収性物品が、製造されることになる。
[0080] (第 3の例)
図 24に平面図を、図 25にその ΠΙ_ΠΙ線断面を示すように、本吸収性物品も、第 1 や第 2の例の吸収性物品と、ほぼ同じ形態とされている。
[0081] ただ、本吸収性物品におレ、ては、体液透過性を有する吸収材 52が、体液保持性 を有する吸収材 53Αの幅方向中央部かつ長手方向中央部のみに介在され、しかも 、かかる吸収材 52が、クレープ紙 59によって、被覆されている。この点、先に説明し たように、体液透過性を有する吸収材 52を、長手方向中央部のみに介在させると、 3 つ折り等に折り重ねた場合の厚さが軽減し、商品として提供するのに好ましいものと なるが(図 12参照)、使用時において、形状が崩れ、介在の効果が発揮されなくなる 可能性もある。し力 ながら、本物品のように、クレープ紙 59で被覆しておくと、かかる 可能性が低減する。
[0082] このクレープ紙 59を被覆する方法は、特に限定されず、例えば、図 26に示す方法 によることができる。
すなわち、本方法においては、まず、コンベア等の搬送手段などによって搬送され るクレープ紙 59の表面に、塗布装置 21によって、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗 布する。本工程において、クレープ紙 59は、帯状で、かつ体液透過性を有する吸収 材 52よりも幅広とされてレ、る。
[0083] クレープ紙 59の表面に接着剤を塗布したら、次いで、その上に、体液透過性を有 する吸収材 52を載せて、接着剤の接着力により、両者を接合する。そして、クレープ 紙 59及び吸収材 52を、搬送手段によって、搬送しつつ、この搬送過程において、セ 一ラー 27によって、クレープ紙 59の両側部を、吸収材 52の両側端を回りこませて折 り返し被覆する。これにより、体液透過性を有する吸収材 52は、その幅方向への形 状崩れが、クレープ紙 59による抑え込みにより、その前後方向への形状崩れが、タレ ープ紙 59との接合により、抑制されることになる。
[0084] クレープ紙 59で被覆された体液透過性を有する吸収材 52は、その後、裁断機 22 で裁断して、本物品に備えられる長さとする。
[0085] (第 4の例)
以上、第 1〜第 3の例では、表面シート 51と体液保持性を有する吸収材 53Aとの間 に、体液透過性を有する吸収材 52が、 1本(:!枚)介在される物品について、説明し た。ただし、体液透過性を有する吸収材 52を、 1本(:!枚)に限定する趣旨ではない。
[0086] 例えば、図 27〜図 29に示すように、 2枚、 3枚、 4枚又はそれ以上の複数枚(本)を 、図示例では、上側吸収材 52A及び下側吸収材 52Bの 2枚を、積層介在させること も、図 31に示すように、 2本、 3本、 4本又はそれ以上の複数本を、図示例では、中央 吸収材 52C及び両側吸収材 52D, 52Dの 3本を、並歹 IJ介在させることもできる。
[0087] 体液透過性を有する吸収材 52を、積層介在させる方法や、並列介在させる方法は 、特に限定されない。例えば、積層介在させる場合であれば、図 30に示すように、配 置調節手段 28の一対のロール Rl , R1間に、その斜め上方及び下方から、それぞれ 上側吸収材 52A又は下側吸収材 52Bを送り込むことにより、積層状態とすることがで きる。この際、上側吸収材 52A及び下側吸収材 52Bの幅を適宜設計することにより、 図 27〜図 29に示す形態の吸収性物品を製造することができる。なお、図 27の吸収 性物品においては、上側吸収材 52Aに比して、下側吸収材 52Bが、幅狭となってい る。また、図 28の吸収性物品においては、上側吸収材 52A及び下側吸収材 52Bが 、同じ幅となっている。さらに、図 29の吸収性物品においては、上側吸収材 52Aが、 下側吸収材 52Bに比して、幅狭となっている。
[0088] 一方、体液透過性を有する吸収材 52を、並列介在させる場合であれば、図 32に示 すように、配置調節手段 29の一対のロール R3, R3間に、その中央及び斜め両側方 から、それぞれ吸収材 52C又は 52D, 52Dを送り込み、並列状態とすることができる
[0089] 〔トウからなる繊維集合体に対するバインダーの付与〕
ところで、トウは、繊維間の空隙が多く嵩高であり、体液保持性に優れた吸収材とな る一方、体液保持によりへたりやすい。そして、へたってしまうとトウ繊維間の空隙が 減少し、その後の体液保持性が著しく低下する。そこで、次に、このへたり防止に特 化した形態について、説明する。
[0090] 図 33〜42に、バインダーを付与されたトウからなる繊維集合体及び吸収性ポリマ
一で形成されている吸収材 53Bを含む吸収体 200を示す。なお、各図中において、 バインダー付与量の異なる領域を符号 53B , 53Bとして表記する。この場合 53B
1 2 1
→53Bの順にバインダー付与量が多い領域である(53B > 53B )。
2 1 2
[0091] 本吸収体 200は、吸収材 53Bをクレープ紙等で個装することや、図 43〜53に示す ように、吸収材 53Bの裏面側に積繊パルプ等の他の吸収材 61を積層することもでき る。また、本吸収体 200は、体液吸収性物品の構成物品とするのに適し、適度の厚 みを有する平たレ、ものであり、平面視において桥形、ひょうたん形状、楕円形状など の適宜の形状とすることができる。
[0092] 図 33〜37は、吸収体 200の使用面側力 の平面図である。
図 33に示す形態は、トウからなる繊維集合体全体、すなわち表裏面及び内部外部 の全体にバインダーが均一に付与され、トウからなる繊維集合体全体において繊維 同士の接触部分の線及び点の少なくともいずれか一方による接着又は融着具合が 高められている形態である。かかる形態では、へたりが改善され、液透過性も改善さ れたものとなる。
[0093] 図 34に示す形態は、幅方向中間部(53B )に対して両脇部(53B , 53B )よりも多
1 2 2 量のバインダーが付与されて、幅方向中間部(53B )が両脇部(53B , 53B )よりも
1 2 2 接着又は融着具合を高められている形態である。本形態の吸収体 200は、吸収材 5 3Bの長手方向を、生理用ナプキン等の体液吸収性物品の長手方向となるように組 み込む等すると、経血排せつ位置などの体液排出部位近傍の体液吸収速度が速く 両脇部のへたりが少なく、横漏れしづらレ、吸収性物品が構成される。
[0094] 図 35に示す形態は、両脇部(53B , 53B )に対して幅方向中間部(53B )よりも多
1 1 2 量のバインダーが付与されて、両脇部(53B , 53B )が幅方向中間部(53B )よりも
1 1 2 接着又は融着具合を高められている形態である。
[0095] 図 36に示す形態は、繊維集合体の長手方向前後端部(53B, 53B )に対して長
1 1
手方向中間部(53B )よりも多量のバインダーが付与されて、長手方向前後端部(53
2
B, 53B )が長手方向中間部(53B )よりも接着又は融着具合を高められている形
1 1 2
態である。本吸収体 200は、吸収材 53Bの長手方向を、生理用ナプキン等の吸収性 物品の長手方向となるように組み込む等すると、経血排せつ位置などの体液排出部
位近傍の体液吸収速度が速く前後端部のへたりが少なぐ前後漏れしづらい吸収性 物品が構成される。
[0096] 図 37に示す形態は、繊維集合体の周縁部(53B )に対して中央部(53B )よりも多
1 2 量のバインダーが付与されて、周縁部(53B )が中央部(53B )よりも接着又は融着
1 2
具合を高められている形態である。換言すれば、繊維集合体の中央部(53B )を、ス
2 ポット的にバインダー付与量を少なくした形態である。本吸収体 200は、吸収材 53B の長手方向を生理用ナプキン等の吸収性物品の長手方向となるように組み込む等 することで、経血排せつ位置などの体液排出部位近傍の体液吸収速度を速くし、し 力もへたらず、周縁部のへたりがより少なぐ前後横漏れしづらい吸収性物品が構成 される。
[0097] 図 38〜42は、吸収体 200の幅方向断面図である。
図 38に示す形態は、繊維集合体の表裏面近傍(53B
1, 53B )に対して表裏面中 1
間部(53B )よりも多量のバインダーが付与されて、表裏面近傍(53B , 53B )が表
2 1 1 裏面中間部(53B )よりも接着又は融着具合を高められている形態である。本吸収体
2
200は、表裏面近傍(53B , 53B )及び表裏面中間部(53B )のへたりがなぐ特に
1 1 2
表裏面近傍(53B , 53B )のへたりがなぐ体液吸収速度性に優れ、また、表裏面近
1 1
傍(53B
1, 53B )に体液が残存し難ぐ清潔感のある吸収性物品が構成される。
1
[0098] 図 39に示す形態は、表裏面近傍及び幅方向両端部(53B )に対して中心部(53B
1
)よりも多量のバインダーが付与されて、表裏面近傍及び幅方向両端部(53B )が中
2 1 心部(53B )よりも接着又は融着具合を高められている形態である。図 38に示す形
2
態に加えて、幅方向両端部(53B )のへたりが防止されている。この部分の体液吸収
1
速度性にも優れる。
[0099] 図 40に示す形態は、中心部(53B )に対して表裏面近傍及び幅方向両端部(53B
1
)よりも多量のバインダーが付与されて、中心部(53B )が表裏面近傍及び幅方向両
2 1
端部(53B )よりも接着又は融着具合を高められてレ、る形態である。
2
[0100] 図 41に示す形態は、幅方向断面両端部(53B , 53B )に対して幅方向断面中間
1 1
部(53B )よりも多量のバインダーが付与されて、幅方向断面両端部(53B, 53B )
2 1 1 が幅方向断面中間部(53B )よりも接着又は融着具合を高められている形態である。
この形態では、幅方向断面両端部(53B )のへたりが少ない。
1, 53B
1
[0101] 図 42に示す形態は、幅方向断面中間部(53B )に対して、幅方向断面両端部(53
1
B, 53B )よりも多量のバインダーが付与されて、幅方向断面中間部(53B )が幅方
2 2 1 向断面両端部(53B, 53B )よりも接着又は融着具合を高められている形態である。
2 2
[0102] なお、上記平面視で示した形態と、断面視で示した形態は、排他的な関係にあるわ けではな 可能な範囲で双方重複する形態を採ることができる。例えば、使用面側 力もの平面視においては図 34に示される形態であり、幅方向断面視においては図 4 1に示す形態となる吸収体 200も当然に本発明の吸収体に含まれる。
[0103] 一方、図 43〜46に示すように、吸収体 201には、バインダーを付与されたトウから なる繊維集合体及び吸収性ポリマーで形成されている吸収材 53Bと、その裏面側に 積層配置されたトウ以外の吸収性材料からなる吸収材 61と、を備えること力 Sできる。 この場合、例えば、生理用ナプキン等の吸収体として用いる場合には、吸収材 53B の露出面を使用面側(体液排出位置に近い面側)に配置するようにして吸収性物品 を構成すれば、経血等の体液が排出されたときに、吸収材 53Bに素早く吸収保持さ れるとともに他の吸収材 61にも達して保持貯蔵される。また、吸収材 53Bの体液吸収 速度性が高いうえに、バインダー付与による繊維間の結合により繰り返しの体液吸収 速度性にも優れることから、経血が表面で停滞することがなぐ経血が表面材に留ま り汚れた印象を使用者に与えることがなレ、。さらに、使用面側に近い部位の体液吸収 速度性が低下しないので漏れにくいものとなる。
[0104] 吸収材 53Bの吸収体 201表面に対する露出量や露出位置は、使用態様、例えば 吸収性物品内に組み込まれたときの位置等に応じて適宜設計変更することができる 。吸収材 53Bの領域は、使用面側からの平面視で説明すれば、例えば、図 44に示さ れるように、吸収体 201の幅方向中央において、長手方向に延在するように配置する 、図 45に示されるように、体液排出部位に対する部分にスポット的に配置するか、 図 46に示されるように、前方側を広範に、後方を狭小にした形状とするのが好適であ る。吸収体 201の長手方向を生理用ナプキンの長手方向となるように組み込む等す ることで、経血排泄位置などの体液排出部位近傍にのみ繊維集合体を容易に位置 せしめることができ、他の部分を安価な素材として低コストに製造することも可能とな
る。
[0105] また、以上のように吸収材 53Bと他の吸収材 61とを積層させた吸収体 202とするな らば、図 47〜52に示すように、吸収体 202に対してエンボス加工を施すことができる
[0106] エンボス付与態様は特に限定されるものではなレ、が、吸収材 53Bにエンボスを付 与すると、圧搾によって吸収材 53Bの体液保持性が低下する場合もある。したがって 、エンボス eは吸収材 53Bではなく吸収材 61の使用面側に付与するのが好適である 。特には、吸収材 53Bの裏面側に配置する吸収材 61を吸収材 53Bよりも幅及び長さ において大きく構成し、吸収材 61の使用面側に露出する部分(吸収材 53Bと重なつ ていない部分)にエンボス付与するのが好適である。
[0107] エンボス加工を施した吸収体 202の例としては、図 47に示されるように、スポット的 に配置した吸収材 53Bの前後方において、その裏面側に配置された吸収材 61に対 して、その幅方向に線状にエンボス eが付与された形態、図 48に示されるように、スポ ット的に配置した吸収材 53Bの前後方において他の吸収材 61に対して、その長手 方向に線状のエンボス eが複数本付与された形態、図 49に示されるように、吸収体 2 02の幅方向中央に長手方向に延在するように配置した吸収材 53Bの両側において 、吸収材 61に対してその長手方向に沿って線状にエンボス eが付与された形態、図 50に示されるように、吸収体 202の幅方向中央に長手方向に延在するように配置し た吸収材 53Bの両側において、吸収材 61に対して、吸収体 202の前方から長手方 向の中央部まで吸収材 53Bに沿レ、、かつその中央部から斜め後方に向力 ように線 状にエンボス eが付与された形態、が好適である。
[0108] 力かるエンボス eが付与された形態の吸収体 202を、その長手方向が生理用ナプ キン等の長手方向と一致するように組み込むことで、経血排泄位置など体液排出部 位に吸収材 53Bを容易に位置せしめることができるとともに、吸収材 53Bに向かって 排出された体液がエンボス eに沿って拡散し、横漏れしづらい吸収性物品とすること ができる。
[0109] さらに、吸収体 202を吸収性物品に組み込むにあたって、吸収体 202と液透過性 のトップシート 51との間に液透過性のシート材、いわゆるセカンドシートを設けること
があるが、この場合、セカンドシートと吸収体 202とに対して一体的にエンボス eが付 与された形態をとることができる。
[0110] 例えば、図 51及び図 52に示されるように、スポット的に配置した吸収材 53Bの使用 面側がセカンドシート 52Eで被覆され、このセカンドシート 52Eと吸収材 61に対して、 吸収材 53Bを包囲するように線状にエンボス eが付与された形態が好適である。この 形態では、セカンドシート 52Eと吸収体 202の一体性が高められ、エンボス付与によ る横漏れ防止機能とセカンドシート 52Eによる体液逆戻り機能が好適に発揮される吸 収性物品を構成することが可能となる。
[0111] なお、平面視で示される上述の図 43〜52の形態の吸収材 53Bは、繊維集合体全 体に均一にバインダーが付与された形態である力 S、吸収材 53Bの裏面側に他の吸 収材 61を積層配置する吸収体 202におレ、ても、図 33〜42に示した形態の繊維集 合体を用いることができる。例えば、図 53に示すように、両脇部に対して幅方向中間 部よりも多量のバインダーが付与されて、前記両脇部が前記幅方向中間部よりも接 着又は融着具合が高められている繊維集合体を含む吸収体 53Bの裏面側に、厚み 維持領域を形成した吸収材 61が設けられた吸収体 203が挙げられる。
[0112] ここで、トウ以外の吸収性材料としては、パルプ繊維、多孔質フォーム材、コットン繊 維、不織布等を用いることができる。
[0113] また、特にこのように積層構造とする形態では、裏面側に積層配置される吸収材 61 を吸収材 53Bよりも加圧時及び加圧後の厚み低下が少ない材質とすれば、体圧等 の加圧時の吸収材 53Bの厚み低下が補完され、体液保持時のみならず加圧による へたりも抑制された吸収体とすることができる。
[0114] 厚み低下が大きレ、か小さレ、かは、圧縮仕事量 (WC)により表すことができる。圧縮 仕事量 (WC)が低いと加圧時あるいは加圧後の厚み低下が少なくへたりにくいが、 圧縮仕事量 (WC)が高いと加圧時あるいは加圧後の厚み低下が大きくへたりやすレ、 。圧縮仕事量 (WC)は、例えば、ハンディー圧縮試験機 (KES— G5 :カトーテック社 製)により測定することができる。より具体的には、上記試験機において、試験片寸法 及び形状:長さ 200mm X幅 50mmの桥形、測定箇所:長さ 200mm X幅 50mmの 中央部分、測定条件; SENS : 2、力計の種類: lkg、 SPEED RANGE : 0. 1、 DE
F感度: 20、加圧面積 2cm2、取り込み間隔: 0. 1 (標準)、 STROKE SET: 5. 0, 上限カ卩重 50gf/ cm2において測定することができる。そして、吸収性物品の吸収体 として用いる場合には、吸収材 61の圧縮仕事量 (WC)は、 1. 0〜3. Ogf - cm/cm2 であるのが望ましぐ吸収材 53Bの圧縮仕事量 (WC)は、 4. 0〜: 10. Ogf - cm/cm2 であるのが望ましレ、。吸収材 53Bのトウ繊維密度を、 10〜: 100kg/m3の範囲とし、 他の吸収材 61の密度を 10〜100kg/m3の範囲とすると、容易に達成できる。
[0115] また、本吸収体は、複数の吸収材 53Bが積層された吸収体 204とすることもできる。
具体的な態様を、断面図 54〜57を参照しながら説明する。なお、図 54〜57におい て、図中点線で示され符号 51及び符号 54で指示されているものは、便宜のために 示したトップシート 51及びバックシート 54であり、吸収体 204を構成するものではな い。
[0116] 図 54に示されるように、使用面側の吸収材 53Bが裏面側の吸収材 53Bよりも幅
X Y
広に形成された形態、図 55に示されるように、使用面側の吸収材 53Bと裏面側の吸
X
収材 53Bの幅が同じ形態、図 56に示されるように、使用面側の吸収材 53Bが裏面
Y X
側の吸収材 53Bよりも幅狭に形成された形態が挙げられる。力かる複数の吸収材 5
Y
3B , 53Bを備える場合には、各吸収材 53Bの幅の他、バインダー付与量、密度、
X Y
嵩、幅、構成繊維のデニール等が適宜異ならしめられていてもよい。さらに、図 57に 示されるように、吸収体 204の幅方向に分離された複数の吸収材 53B , 53B, 53B
X Y
が配置された形態とすることもできる。この場合にも、各吸収材 53B, 53B , 53B
Z X Y Z
の密度、バインダー付与量、嵩、幅、構成繊維のデニール等を適宜設計することが できる。例えば、幅方向両側がわの吸収材 53B, 53Bをバインダー付与量を多くし
Y Z
た繊維の結合が高いものとし、幅方向中間部の吸収材 53Bをバインダー付与量を
X
少なくした繊維の結合の弱いものとすることができる。
[0117] 図 54〜56に示すように、複数の吸収材 53B, 53Bを積層するにあたっては、図 3
X Y
0に示すように、上下方向から送られてくる帯状の吸収材 53B , 53Bを 2対のロール
X Y
Rl, R1及び R2, R2にて積層状態とした後、適宜大きさにカット等すればよレ、。また 、図 57に示されるような複数の吸収材 53B , 53B, 53Bを、幅方向に並べて設け
X Y Z
るにあたっては、図 32に示すように、帯状の吸収材 53B , 53B , 53Bを、各種ロー
ラ R3〜R6にて寄せ集めた後、適宜大きさにカット等すればょレ、。
[0118] 以上の吸収体を有する吸収性物品及びその製造方法について、生理用ナプキン を例に以下に説明する。
図 58及び図 59に、生理用ナプキンの第 1の形態 210を示す。この第 1の形態の生 理用ナプキン 210は、図 58に示される使用面側からの平面図から理解されるように、 吸収材 53B及び他の吸収材 61がともに生理用ナプキンの長手方向端部に至らず、 また、図 58の V -V断面図である図 59に示されるように、吸収材 61と吸収材 53Bと
1 1
が積層され、かつ吸収材 53Bが使用面側に位置せしめられている形態である。
[0119] この形態の生理用ナプキン 210の製造方法は、図 20に示す。まず、上流からコン ベア等により搬送されてくる積繊パノレプシート等の帯状の吸収材 61の使用面側の適 宜の箇所に塗布装置 21によって接着剤を塗布し、予めバインダーが付与された帯 状の吸収材 53Bを連続的に積層して接着する。次いで、この積層された帯状の吸収 体 210を裁断機 22にて適宜の大きさに裁断して吸収体 210, 210…とし、さらに下流 に搬送する。その後、この吸収体 210, 210…の表面側 (使用面側)に帯状のトップ シート 51、裏面側に帯状のバックシート 54を重ね合せつつコンベア等で下流に搬送 する。次いで、適当間隔で帯状のトップシート 51と帯状のバックシート 54とをヒートシ ール装置 26にて接着し、適宜当該接着部 Hで裁断して個々の生理用ナプキン 210 を得る。なお、接着部 Hは生理用ナプキンの長手方向端部を構成する。
[0120] 次いで、図 60及び図 61に、生理用ナプキンの第 2の形態 211を示す。この第 2の 形態の生理用ナプキン 211は、図 60に示される使用面側からの平面図から理解され るように、吸収材 61が生理用ナプキンの長手方向端部には至っていないが、吸収材 53Bは生理用ナプキンの長手方向端部にまで到達しており、また、図 60の V -V断
2 2 面図である図 61に示されるように、吸収材 61と吸収材 53Bとが積層され、かつ吸収 材 53Bが使用面側に位置せしめられている形態である。
[0121] この形態の生理用ナプキン 211の製造方法は、図 23に示す。まず、上流からコン ベア等にて搬送されてくる積繊パルプシート等の帯状の吸収材 61を裁断機 22にて 適宜の大きさに裁断して吸収材 61, 61…を形成し、さらに下流に搬送する。次いで
'の吸 M R…の体 の- の儲所に途 tつて榇羞吝 II 途布
し、予めバインダーが付与された帯状の吸収材 53Bを連続的に積層して接着しつつ 下流に搬送する。次いで、この吸収材 61, 61…に帯状の吸収材 53Bが積層された 帯状の吸収体 210の表面側 (使用面側)に帯状のトップシート 51、裏面側に帯状の ノ ックシート 54を重ね合せつつコンベアで下流に搬送する。次いで、適当間隔で帯 状のトップシート 51と帯状のバックシート 54とをヒートシール装置 26にて接着し、適 宜当該接着部 Hで裁断して個々の生理用ナプキン 211を得る。
[0122] 次いで、図 62及び図 63に生理用ナプキンの第 3の形態 212を示す。この第 3の形 態の生理用ナプキン 212は、図 62に示される使用面側からの平面図から理解される ように、吸収材 61が生理用ナプキン 212の長手方向端部には至っておらず、吸収材 53Bが吸収材 61の中央部にスポット的に配置されており、また、図 62の V—V断面 図である図 63に示されるように、吸収材 61の使用面側にクレープ紙 Cpで包囲された 吸収材 53Bが積層され位置せしめられている形態である。
[0123] この第 3の形態例の製造方法の一部を、図 26に示す。まず、上流から搬送されてく る帯状のクレープ紙 Cpの使用面側の適宜の位置に塗布装置 21によって接着剤を 塗布する。次いで、この帯状のクレープ紙 Cpの使用面側にこれよりも幅狭の予めバ インダ一が付与された帯状の吸収材 53Bを連続的に重ね合せて接着しつつ下流に 搬送する。その後、セーラー 27にて帯状のクレープ紙 Cpの両側を帯状の吸収材 53 Bの使用面側で折り重ねて帯状の吸収材 53Bを帯状のクレープ紙 Cpで包囲する。 その後これを裁断機 22にて適宜の大きさに裁断する。次いで、図示しないが、裁断 物を適当大きさの吸収材 61の使用面側に配置する力 \あるいは、帯状の吸収材 61 の使用面側に配置した後、裁断する。その後、これの表面側 (使用面側)に帯状のト ップシート、裏面側に帯状のバックシートを重ね合せつつコンベアで下流に搬送し、 さらに適当間隔で帯状のトップシートと帯状のバックシートとをヒートシール装置にて 接着し、この接着部で裁断して個々の生理用ナプキン 212を得る。
[0124] 〔トウからなる繊維集合体に対する高吸収性ポリマーの付与〕
次に、トウからなる繊維集合体に対する高吸収性ポリマー付与の観点を中心とした 形態について、説明する。
図 63には、吸収性物品としてのパンツ型使い捨ておむつの構造例が示されている
。このパンツ型使い捨ておむつ 310は、外面(裏面)側の外装シート 312と内面(表面 M則の吸収性本体 320とを備え、外装シート 312に吸収性本体 320が固定されている 。吸収性本体 320は、尿や軟便などの体液(後述する生理用ナプキンでは経血)を 受け止めて吸収保持する部分である。外装シート 312は着用者に装着するための部 分である。
[0125] 外装シート 312はたとえば図示のように砂時計形状となり、両側が括れており、ここ が着用者の脚を入れる部位となる。吸収性本体 320は任意の形状を採ることができる 力 図示の形態では長方形である。
[0126] 外装シート 312は、図 64に示すように、吸収性本体 320が所定位置に設置され固 定された後、前後に折り畳まれ、外装シート 312の前身頃 312F及び後身頃 312Bの 両側部の接合領域 312Aが熱融着などにより接合される。これによつて、図 64に示す 構造の、ウェスト開口部 WOと一対のレッダ開口部 LOを有するパンツ型使い捨てお むつが得られる。
[0127] 図示の吸収性本体 320の長手方向(すなわち図 64の上下方向。製品の前後方向 でもある。)の中間の幅は、外装シート 312の括れた部分を繋ぐ幅より短い形態が示 されている。この幅の関係は逆でもよいし、同一の幅でもよい。
[0128] 外装シート 312は望ましくは 2枚のたとえば撥水性不織布のシートからなり、これら のシート間に弾性伸縮部材を介在させて、その収縮力により着用者にフィットさせる 形態が望ましい。前記弾性伸縮部材としては、糸ゴムや弾性発泡体の帯状物などを 使用することができる力 多数の糸ゴムを使用するのが望ましい。図示の形態では、 糸ゴム 312C, 312C…力 ウェスト領域 Wにおいては幅方向に連続して設けられ、 腰下領域 Uにおいては両側部分のみに設けられ、股下領域 Lにおいては設けられて いない。糸ゴム 312C, 312C…力 ウェスト領域 W及び腰下領域 Uの両者に設けら れていることで、糸ゴム 312C自体の収縮力が弱いとしても、全体としては腰下領域 U においても着用者に当たるので、製品が着用者に好適にフィットする。
[0129] 実施の形態の吸収性本体 320は、図 65が参照されるように、体液を透過させるたと えば不織布などからなるトップシート 330と、中間シート(セカンドシート) 340と吸収 要素 350とを備える。さらに、両側にバリヤ一力フス 360, 360を備える。
[0130] 吸収要素 350は、トウを開繊したフィラメント 352, 352…の集合体(トウからなる繊 維集合体。以下同じ。)及び高吸収性ポリマー粒子 354, 354…を有する吸収材 53 Bと、この吸収材 53Bの少なくとも裏面及び側面を包む包被シート 358とを有する。さ らに、吸収材 53Bと包被シート 358の裏面側部位(下側の部分)との間に保持シート 380カ設けられてレヽる。
[0131] 代表的に、図 65に示すように、吸収材 53Bの裏面側にはバックシートと呼ばれるプ ラスチックシートなどからなる体液不透過性シート 370が設けられている。この体液不 透過性シート 370の裏面側には、前記の外装シート 312が設けられている。本形態 において、体液不透過性シート 370は、単に吸収材 53Bの裏面側に配されるシート を意味し、図示例では、トップシート 330との間に吸収材 53Bを介在させるシートとな つている。
[0132] 保持シート 380と吸収材 53Bとの間に、高吸収性ポリマー粒子 354をその散布など により介在させる。
[0133] 高吸収性ポリマー粒子 354が、フィラメント 352の集合体への散布.投射時に又は その後の工程、あるいは消費者が使用するまでの流通過程で、フィラメント 352の集 合体を通り抜けることがある。フィラメント 352の集合体を通り抜けた高吸収性ポリマー 粒子 354群の凹凸は、消費者が使用する際に手で触ったとき違和感を与える。そこ で、吸収材 53Bと包被シート 358との間に、不織布などからなる保持シート 380を介 在させるのである。この保持シート 380は、ティッシュぺーパ(クレープ紙)などの包被 シート 358のみでは足りないコシを補強して、消費者が使用する際に手で触ったとき 違和感を軽減又は防止する。
[0134] また、抜け出た吸収性ポリマー粒子 354は、保持シート 380によって保持され、包 被シート 358上を移動することがないため、吸収能力の偏在が生じるおそれもない。 特に、保持シート 380上を高吸収性ポリマー粒子 354が移動するのを防止するため に、予め粘着性を有するホットメルト接着剤などを保持シート 380上に塗布することが できる。図 70にはこのための粘着剤塗布装置 404が図示されている。また、保持シ ート 380の上面 (使用面側に向カゝぅ面)を粗面とすることで、保持シート 380上を高吸 収性ポリマー粒子 354が移動するのを防止するようにしてもよレ、。このための粗面ィ匕
又は毛羽立ち手段としては、不織布の製造時におけるネット面でない非ネット面とす る、マーブル加工を行う、ニードルパンチにより加工する、ブラシッング加工するなど を挙げることができる。
[0135] 図 68では、保持シート 380が吸収材 53Bの下方のみに設けてある力 吸収材 53B の側面を通り吸収材 53Bの上面にまで巻き上げて延在させてもよレ、。また、保持シー ト 380を複数枚重ねて使用することも可能である。
[0136] 上記例は、吸収材 53Bと包被シート 358の裏面側部位との間に保持シート 380を 設ける例である力 保持シート 380は、包被シート 358より裏面側であってもよく(その 形態は図示していない)、要は、吸収材 53Bに対して裏面側に保持シートを設けれ ば、製品の裏面から触る場合におけるジャリジャリした違和感を軽減させるあるいは 生じさせないものとなる。
[0137] 体液不透過性シート 370は、いわゆる額卷きする形態で使用面に延在させる(図示 せず)ことで、体液の横漏れを防止することができるが、実施の形態においては、横 漏れについては、バリヤ一力フス 360を形成する二重のバリヤ一シート 364間に第 2 体液不透過性シート 372を介在させることにより防止している。この形態によれば、バ リヤーカフス 360の起立まで第 2体液不透過性シート 372が延在しているので、トップ シート 330を伝わって横に拡散した体液やバリヤ一力フス 360, 360間の軟便の横漏 れを防止することができる利点もある。
[0138] 中間シート(セカンドシート) 340は、トップシート 330と包被シート 358との間に介在 されている。図 67に示すように、中間シート(セカンドシート) 340を設けない形態も使 用可能である。
[0139] 中間シート(セカンドシート) 340は、トップシート 330を透過した体液を速やかに吸 収材 53Bへ移行させるために、設けるものである。中間シート 340は、トップシート 33 0より体液の透過速度が速 通常「セカンドシート」と呼ばれる。この中間シート 340 は、体液を速やかに吸収材 53Bへ移行させて吸収材 53Bによる吸収性能を高める ばかりでなぐ吸収した体液の吸収材 53Bからの「逆戻り」現象を防止し、トップシート 上を常に乾燥した状態とすることができる。
[0140] 図示の形態の中間シート 340は、吸収材 53Bの幅より短く中央に配置されているが
、全幅にわたって設けてもよい。中間シート 340の長手方向長さは、吸収材 53Bの長 さと同一でもよレ、し、体液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であっても よい。中間シート 340の代表的な素材は体液の透過性に優れる不織布である力 前 述したように、トウからなる繊維集合体を含む体液透過性を有する吸収材 52とする方 力 好ましい。
[0141] 包被シート 358としては、ティッシュぺーパゃ不織布などを使用することができる。こ の包被シート 358ίま、図 65のように、フィラメント 352, 352…の集合体及び高吸収十生 ポリマー粒子 354, 354…の層全体を包む形態のほか、たとえば図 66に示すように、 その層の裏面及び側面のみを包被するものでもよい。必要ならば、層の上下 2層の シートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子 35 4, 354· · ·の移動を防止し難レ、ので望ましレ、形態ではなレ、。
[0142] また、包被シート 358は、必要ならば、吸収材 53Βの上面及び側面のみをクレープ 紙ゃ不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの体液不透過性シートで覆う形態、吸収 材 53Βの上面をクレープ紙ゃ不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの体 液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包被シートの構成要素 となる)。
[0143] 本発明の保持シート 380は、図 68に示すように、吸収材 53Βの側部を周り込ませて もよレ、。また、図 68には、吸収材 53Βの下方に高吸収性ポリマー粒子 354, 354…を 設けた場合、あるいは吸収材 53Β中に含ませた高吸収性ポリマー粒子 354, 354· · · 力 製造から消費者が使用するまでの段階で、フィラメント 352, 352…の集合体から 抜け出て、保持シート 380上に集まった場合を概念的に示した。
[0144] 製品の両側に設けられたバリヤ一力フス 360, 360は、トップシート 330上を伝わつ て横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために設けられているが 、本発明においては付加的な要素である。
[0145] 図示のバリヤ一力フス 360は、撥水性不織布シート 364を二重にしたものであり、吸 収材 53Βの裏面側からトップシート 330の下方への折り込み部分を覆って、表面側 に突出するように形成されている。トップシート 330上を伝わって横方向に移動する 尿を阻止するために、特に、二重の不織布シート 364間に体液不透過性シート 370
の側部を揷入し、表面側に突出するバリヤ一力フス 360の途中まで延在させることも できる。
[0146] また、ノ リヤーカフス 360自体の形状は適宜に設計可能である力 図示の例では、 バリヤ一力フス 360の突出部の先端部及び中間部に弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム 362, 362…が伸張下で固定され、使用状態においてその収縮力により、バリヤ一力 フス 360が起立するようになっている。中間部の糸ゴム 362が先端部の糸ゴム 362, 362よりも中央側に位置してトップシート 330の前後端部に固定される関係で、図 65 のように、ノくリヤーカフス 360の基部側は中央側に向かって斜めに起立し、中間部よ り先端部は外側に斜めに起立する形態となる。
[0147] なお、図示しないが、図 65に示す形状に保持されるように、吸収性本体 320の各 構成部材は、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード又はスパイラル塗布などにより相 互に固定される。後述する図 66〜図 68に示す形態についても同様である。
[0148] 本形態の吸収要素 350は、吸収材 53Bを含む。この吸収材 53Bは、トウを開繊した フィラメント 352, 352…の集合体及び高吸収性ポリマー粒子 354, 354…を有する。 そして、少なくとも体液受け入れ領域において、フィラメント 352, 352…の集合体に 対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子) 354, 354…が実質的に厚み方向全体に 分散されているものである。この実質的に厚み方向全体に分散されている状態を図 6 5の要部拡大図として概念的に示した。
[0149] 吸収材 53Bの上部、下部、及び中間部に SAP粒子 354, 354…が無レ、、あるいは あってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。 したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、フィラメント 352, 352…の集合 体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又 は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散し てレヽる形態も含まれる。また、ー咅 Bの SAP粒子 354, 354…力フィラメント 352, 352 -■ -の集合体中に侵入しなレ、でその表面に残存してレ、る形態や、一部の SAP粒子 35 4, 354…力《フィラメント 352, 352…の集合体を通り抜けて包被シート 358上にある 形態も排除されるものではなレ、。なお、ゲルブロッキングを考慮しない場合には上部 のみ又は中間部のみに偏在させても良く、逆戻りを考慮しなレ、場合は中間部のみ又
は下部のみに偏在している形態でも良い。
[0150] 他方、吸収材 53Bのサイズは、平面投影面積が 400cm2以上であり、かつ厚さが 1 〜10mm、特に l〜5mmであるのが好ましレ、。吸収材 53Bのサイズがこの範囲内に あると、重量や厚さ、コストの増加を来たさずに復元性を向上する上で、極めて有利 である。また、吸収材 53Bの質量は 25g以下、特に 10〜20gとなるように構成するの が好ましい。吸収材 53Bの質量がこの範囲内にあると、専用部材を用いないことによ る利点が特に顕著になる。
[0151] 吸収材 53Bの圧縮レジリエンス RC力 40〜60%、特に 50〜60%とされる。これに より、吸収体自体で十分な復元性を発揮できるようになる。
[0152] さらに、吸収材 53Bの圧縮エネルギー WCは、 4. 0〜: 10. Ogf ' cm/cm2であると、 包装に際して従来と同レベルあるいはそれ以上にコンパクトに圧縮することができる ため好ましい。
[0153] これらの圧縮特性は、開繊等によるフィラメント 352の集合体の繊維密度の調整、 繊維素材の選定、可塑剤等のバインダーの種類の選定'処理の程度の調整、あるい はこれらの組み合わせ等により調整できる。
[0154] ここで、圧縮エネルギー(WC)とは、長さ 200mm、幅 50mmに断裁した試験片(吸 収材 53B)の中央部を、 50gまで押す場合のエネルギー消費量である。
[0155] この圧縮エネルギーは、ハンディー圧縮試験機(KES _G5、カトーテック社製)に よって、測定すること力 Sできる。この試験機による場合の測定条件は、 SENS : 2、力 計の種類: lkg、 SPEED RANGE: STD、 DEF感度: 20、加圧面積:
取り 込間隔: 0. 1 (標準)、 STROKE SET : 5. 0、上限荷重: 50gfZcm
2である。
[0156] 一方、圧縮レジリエンス (RC)とは、繊維が圧縮されたときの回復性を表すパラメ一 タである。したがって、回復性がよければ、圧縮レジリエンスが大きくなる。この圧縮レ ジリエンスは、ハンディー圧縮試験機 (KES— G5、カトーテック社製)によって、測定 することができる。この試験機による場合の測定条件は、上記圧縮エネルギーの場合 と同様である。
[0157] 高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、吸収材の用途で要求される吸収量に応じて 適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、 50〜350g/m2とすること
ができる。ポリマーの目付け量を 50g/m2以下とすることにより、ポリマーの重量によ つて、トウからなるフィラメントの集合体を採用することにより軽量ィ匕効果が発揮されに くくなるのを防止できる。 350g/m2を超えると、効果が飽和するば力りでなぐ高吸収 性ポリマー粒子の過剰により前述のジャリジャリした違和感を与えるようになる。
[0158] 必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収材 53Bの平面方向で散布密度ある いは散布量を調整することができる。例えば、体液の排泄部位を他の部位より散布量 を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め 、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。
[0159] 必要により、高吸収性ポリマー粒子として、粒径分布が異なる複数用意し、厚み方 向に順次散布 ·投射できる。例えば、後記の高吸収性ポリマー粒子散布手段 390を 複数ライン方向に間隔をおいて配置し、先に粒径分布が小さいものを散布 '投射した 後に、粒径分布が大きいものを散布 ·投射することで、吸収材 53B内の下側に粒径 分布が小さいものを、上側に粒径分布が大きいものを分布させることができる。この形 態は、粒径分布が小さいものは、フィラメント 352, 352…の集合体内に奥深く侵入さ せるために有効である。
[0160] 高吸収性ポリマー粒子 354, 354…とフィラメント 352, 352…の集合体との割合は 吸収特性を左右する。吸収材 53Bにおける体液を直接受ける領域での 5cm X 5cm の平面面積内における質量比としては、高吸収性ポリマー粒子/フィラメント質量が 、 1〜: 14、特に 3〜9であることが望ましい。
[0161] 図 74に示すように、トップシート 330の表面側力も厚み方向にエンボスによる凹溝 3 OOEを形成してもよレ、。この場合、トップシート 330のみにエンボスによる凹溝 300E を形成するほ力、図 74に示すように、トップシート 330と中間シート 340との両者にェ ンボスによる凹溝 300Eを形成することができる。また、中間シート 340の上から、ある いは吸収要素 350の上からエンボスによる凹溝 300Eを形成することもできる。凹溝 3 00Eはこれが延在する方向に、体液を誘導し拡散させる効果がある。凹溝 300Eの 延在方向は製品の長手方向が望ましいが、幅方向でも、あるいはこれを組み合わせ た格子状のものでもよい。
[0162] 体液は、吸収材 53Bに到達する前に表面側層の凹溝 300Eを伝って拡散するよう
になり、吸収材 53Bのより広範な部分を吸収に利用することができるようになる。よつ て、製品全体の吸収容量が増大し、吸収容量不足に基づく側方力 の漏れや逆戻り が発生し難い吸収性物品となる。
[0163] 中間シート 340を介在させる場合には、その中間シート 340にエンボスによる凹溝 3 00Eを形成してもよレ、。また、トップシート 330に凹溝 300Eを形成することな 中間 シート 340のみにエンボスによる凹溝 300Eを形成してもよい。
[0164] トップシート 330と中間シート 340との両者にエンボスによる凹溝 300Eを形成させ るために、中間シート 340としては、坪量が 8〜40g/m2、厚さ 0. 2〜: 1. 5mm、トツ プシート 330としては、坪量が 15〜80g/m2、厚さ 0. 2〜3. 5mmの範囲にあるのが 、透液性を阻害しない条件で、エンボス加工を充分に行える点で望ましい。
[0165] ここで、以上の吸収性物品の構造を、より明らかにするために、紙おむつの製造方 法例について説明する。図 69及び図 70に示す例は、図 63、図 64及び図 68に示す パンツ型の使い捨ておむつの製造例である。
[0166] ラインに上流側から包被シート 358が供給され、次いで保持シート 380が供給され る。続いて、後に詳しく説明する開繊工程を経ることによって、トウが開繊されたフイラ メント 352の集合体 352Zが上方から供給され、高吸収性ポリマー粒子散布手段 390 により、上方からフィラメント 352の集合体 352Z上に散布され、フィラメント 352の集 合体 352Zに対して高吸収性ポリマー粒子 354が実質的に厚み方向全体に分散さ れる。その後、セーラー 392を通すことにより吸収要素 350として包被シート 358によ り包み込む。次に、カッター装置 394によりライン方向に分割され、個別の吸収要素 3 50とされる。
[0167] さらに、中間シート(セカンドシート) 340が上方から、実施の形態では吸収要素 35 0全長に対して短い構造であるので、間欠的に供給される。
[0168] 続いて上方からバリヤ一力フス 360の構成要素及びトップシート 330力 下方から 体液不透過性シート 370がそれぞれ供給される。ここで、バリヤ一力フス 360を構成 するバリヤ一シート 364の供給ラインでは、予め、図示しない装置により 2枚の不織布 間に糸ゴム 362が伸張下で、かつ第 2体液不透過性シート 372が固定された状態で の供給がなされ、トップシート 330と共に主ラインに供給される。主ラインに供給され
たバリヤ一力フス 360の構成要素、トップシート 330及び体液不透過性シート 370は 、図 68に示す形状に、セーラー 396により折り畳みがなされる。
[0169] 吸収性本体 320のラインの最後では、カッター装置 398により切断され、長手方向 をラインに沿わせた長方形の吸収性本体 320が得られる。
[0170] 得られた吸収性本体 320は、転回装置 400により吸収性本体 320の長手方向がラ インと直交するように 90度転回される。
[0171] 一方、外装シート 312のラインでは、予め 2枚の不織布シート間に糸ゴム 312Cが介 在された(図 69では図示を省略してある)状態で流れ、かつ、脚周り部分を形成する ためにカッター(図示せず)により楕円形にくりぬかれ、組合せステーション 402に達 すると、その上で、かつ、くりぬき部位間に転回済みの吸収性本体 320が設置され、 ホットメルト接着剤などにより固定され、外装シート 312と結合される。その後、図 69の 水平ラインを境にして上下に折りたたまれ、外装シート 312の前身頃 312F及び後身 頃 312Bの両側部の接合領域 312Aが熱融着などにより接合される。その後、ライン 方向に分断して (分断手段は図示していない)個別製品を得る。
[0172] ベール 352Xからの開繊は、たとえば図 70に示す形態で行われる。すなわち、ベ ール 352Xからトウ 352Yが引き出され、ガイド 420を通してはターン部 422により角 度変えが行われ、プリテンションロール 424のエップを通して第 1ニップ 426A、第 2二 ップ 426B、及び第 3ニップ 426Cを通り、第 2開繊装置 410に導かれ、ここで最終的 な開繊が行われ、フィラメント 352の集合体 352Zとなった状態で、セーラー 392へと 送り込まれる。ここで、第 2ニップ 426Bの一方のローラは、長手方向に小さな間隔を 置いて周方向に連続する溝が多数形成されている。この溝は、フィラメント 352が多 数の溝内に入り込むことで、開繊を促進させる機能がある。
[0173] 第 1ニップ 426Aと第 2ニップ 426Bとの間は、トウ 352Yにテンションをかけるように 張力が付与されており、逆に第 2ニップ 426Bと第 3ニップ 426Cとの間は弛緩される ように、各ニップロールの周速度が設定されている。プリテンションロール 424は、第 1 ニップ 426Aへ円滑にトウ 352Yを供給するために、ベール 352Xから引き剥がしたト ゥ 352Yのテンションをコントロールするように構成されている。
[0174] このように構成された第 1開繊装置では、トウ 352Yにテンションがかけられることで
、捲縮がある程度除去され、フィラメント 352の分離が促進された後に、第 2ニップ 42 6Bと第 3ニップ 426Cとでトウ 352Yの弛緩が行われることで、トウ 352Yが主に幅方 向にばらけるようになる。
[0175] 次に、第 2開繊装置 410に導かれる。第 2開繊装置 410は、例えば、特開昭 59— 5 00422号公報 (W〇 83/03267)に開示されたものと同様な構造であり、概略的に は図 71に示すように、入口 410Aと出口 410Bとの間にベンチユリ一部 410bが形成 されるとともに、入口側に圧空の吹き込み口 410aを備えるとともに、ベンチユリ一部 4 10bに空気の排気孔 410cを有するものである。平面的にはほぼ長方形をなし、図 7 1の紙面を貫通する方向に扁平な形状である。
[0176] 吹き込み口 410aからの圧空の吹き込みによって、ェジェクタ一効果によって入口 4 10Aから空気が入り込み、その結果、トウ 352Yは引き込まれ、前進力が与えられる。 トウ 352Yがベンチユリ一部 410bに至ると、空気の排気孔 410cから排気が行われ、 かつ、ベンチユリ一部 410bの空間が拡大するために、主にトウ 352Yの厚み方向の 開繊が行われる。その際に、図 71の下方にも示したように、幅方向にもばらける。
[0177] 本発明者らは、第 2開繊装置 410のみでは開繊が不十分であり、予め第 1の開繊 装置によって、トウ 352Yに緊張と弛緩を行う開繊をしておくことが望ましいことを知見 した。したがって、上記の 2つの開繊形態を組み合わせて採用することが望ましい。
[0178] 本発明における、フィラメント 352の集合体 352Zに対して高吸収性ポリマー粒子 3 54を実質的に厚み方向全体に分散させるための高吸収性ポリマー粒子散布手段 9 0としては、高吸収性ポリマー粒子 354自体の自重よる落下力のみならず、加速力を 与える手段が望ましい。この例を図 72に示した。
[0179] すなわち、下部に開口を有するケーシング 390a内に投射孔 390dを有する回転ド ラム 390bがウェブの移動方向(図 72での反時計方向)に回転するように構成され、 その内部にシャツタドラム 390cが設けられたものである。これらを要素とする投射部 3 90Aは、ホッパー 390Bと連結され(図 70参照)、高吸収性ポリマー粒子散布手段 39 0が構成されている。
[0180] ホッパー 390Bからの高吸収性ポリマー粒子 354は、回転ドラム 390b内に供給され るように構成されている。ここに、あらかじめケーシング 390aの開口位置に対し、シャ
ッタドラム 390cの開口の位置調整が行われる。図 72の状態では完全一致した全開 状態を示してある。また、回転ドラム 390bの投射孔 390dは、周方向に分割された群 として、図示では周方向に 4つの群として分割され、したがって図示では回転ドラム 3 90bがー回転する過程で、 4枚分の紙おむつに対して高吸収性ポリマー粒子を散布 •投射するようにしてある。
[0181] ケーシング 390a及びあらかじめ位置調整されたシャツタドラム 390cが回転しない で固定している状態で、回転ドラム 390bが回転すると、高吸収性ポリマー粒子 354 は、投射孔 390dを通って落下するとともに、その際に、回転ドラム 390bが回転して いる関係で、高吸収性ポリマー粒子 354に対して半径方向の遠心分力が作用し、高 吸収性ポリマー粒子 354に自由落下以上の加速力が作用し、速い速度でフィラメント 352の集合体 352Z上に散布.投射される。したがって、高吸収性ポリマー粒子 354 をフィラメント 352相互間の空隙内に深く侵入させることができる。高吸収性ポリマー 粒子 354の自由落下のみに依存する方法では、フィラメント 352の集合体 352Zの主 に上部のみに偏在し、フィラメント 352の集合体 352Zに対して高吸収性ポリマー粒 子 354を実質的に厚み方向全体に分散させることができ難い。
[0182] フィラメント 352の集合体 352Z上に高吸収性ポリマー粒子 354を連続的に散布. 投射してもよいが、図 69で参照されるように、吸収要素 350をカッター装置 394により ライン方向に分割し、個別の吸収要素 350とするときに、高吸収性ポリマー粒子 354 の存在によりカッター装置 394の刃が短時間のうちに磨耗してしまう。そこで、高吸収 性ポリマー粒子 354を連続的に散布 '投射するのではなぐ図 72に示すように、ゾー ン 300Zのみに間欠的に散布 ·投射するようにすることが望ましレ、。
[0183] このために、前述のように、回転ドラム 390bの投射孔 390dは、周方向に分割され た群として、図示では周方向に 4つの群として分割して形成することにより、高吸収性 ポリマー粒子 354をゾーン 300Zのみに間欠的に散布.投射するようにしてあるので ある。その結果、ゾーン 300Z, 300Z間でカッター装置 394により分断でき、カッター 装置 394の刃の磨耗を抑制できる。
[0184] なお、高吸収性ポリマー粒子 354の散布量は、主に投射孔 390dの孔径の大小、 ケーシング 390aの開口位置に対するシャツタドラム 390cの開口の位置調整によって
調節でき、加工ラインの速度に合わせて前記開口の位置は追従させると良レ、。また、 高吸収性ポリマー粒子 354の散布パターンは、分割された投射孔 390d群の配置に よって調節できる。
[0185] 一方、必要ならば、高吸収性ポリマー粒子 354を圧力空気とともに、フィラメント 352 の集合体 352Z上に散布 ·投射することで、フィラメント 352の集合体 352Zに対して 高吸収性ポリマー粒子 354が実質的に厚み方向全体に分散させることも可能である 。しかし、フィラメント 352の集合体 352Z上に散布 ·投射した高吸収性ポリマー粒子 3 54が、圧力空気によって散乱し、所定領域外に散布される難点があるので、あまり推 奨できない。
[0186] さらに、高吸収性ポリマー粒子散布手段 390と共に、あるいはこれに換えて、フイラ メント 352の集合体 352Z上に散布された高吸収性ポリマー粒子 354をフィラメント 35 2の集合体 352Zの下方から、吸引するようにしてもよい。
[0187] 次に、トウからなる繊維集合体に対する高吸収性ポリマー付与の観点を中心とした 形態について、図 75及び図 76を参照しながら、別の例(テープ式使い捨ておむつ の形態例)を説明する。なお、図 76は図 75における 314— 314線矢視図であるが、 吸収性本体 320についてはやや誇張して図示してある。
[0188] テープ式使い捨ておむつ 310Aは、おむつの背側両側端部に取り付けられたファ スニング片 430を有し、このファスニング片 430の止着面にフック要素 430Aを有する とともに、おむつ 310Aの裏面を構成するバックシート 312Aを不織布積層体とし、お むつ 310Aの装着に当り、ファスニング片 430のフック要素 430Aをバックシート 312 Aの表面の任意個所に係合可能となしたおむつである。
[0189] 具体例について説明すると、トップシート 330と、実質的に液を透過させない不透 液性シート、例えばポリエチレン等からなる完全に液を透過させなレ、不透液性シート 370との間に、吸収材 53Bを介在させたものである。この吸収材 53Bは、ティッシュぺ ーパによる包被シート 358により全体が包まれており、平面的に視て長方形をなして レ、る。吸収材 53Bと包被シート 358との間には保持シート 380が設けられている。
[0190] さらに、トップシート 330と吸収材 53Bとの間には、中間シート 340が介在されてい る。不透液性シート 370は吸収材 53Bより幅広の長方形をなし、その外方に砂時計
形状の不織布からなるバックシート 312Aが設けられている。
[0191] トップシート 330は吸収材 53Bより幅広の長方形をなし、吸収材 53Bの側縁より若 干外方に延在し、不透液性シート 370とホットメルト接着剤などにより固着されている
[0192] おむつ 310Aの両側部には、使用面側に突出するバリヤ一力フス 360Aが形成さ れ、このバリヤ一力フス 360Aは、実質的に幅方向に連続した不織布からなるバリヤ 一シート 364と、弾性伸縮部材、例えば糸ゴムからなる 1本の又は複数本の脚周り用 弾性伸縮部材としての糸ゴム 362とにより構成されている。 430は面ファスナーによる ファスニング片である。
[0193] ノくリヤーシート 364の内面は、トップシート 330の側縁と離間した位置において固着 始端を有し、この固着始端から不透液性シート 370の延在縁にかけて、幅方向外方 部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。ノくリヤーシート 364の外面は、そ の下面においてバックシート 312Aにホットメルト接着剤などにより固着されている。さ らに、ガスケットカフス用弾性伸縮部材、たとえば糸ゴム 366が設けられている。
[0194] ノくリヤーシート 364の内面の、不透液性シート 370への固着始端は、ノくリヤーカフ ス 360Aの起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品 本体に固定されていない自由部分であり、この自由部分が糸ゴム 362の収縮力によ り起立するようになる。
[0195] 本例では、ファスニング片 430として、面ファスナーを用いることで、バックシート 31 2Aに対して、メカニカルに止着することができる。したがって、いわゆるターゲットテ ープを省略することもでき、かつ、ファスニング片 430による止着位置を自由に選択 すること力 Sできる。
[0196] ファスニング片 430は、プラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材 の基部がバックシート 312Aに、例えば接着剤により接合されており、先端側にフック 要素 430Aを有する。フック要素 430Aはファスニング基材に接着剤により接合され ている。フック要素 430Aは、その外面側に多数の係合片を有する。フック要素 430 Aより先端側に仮止め接着剤部 430Bを有する。製品の組立て末期において、仮止 め接着剤部 430Bがバリヤ一シート 364に接着されることによりファスニング片 430の
先端側の剥離を防止するようにしている。使用時には、その接着力に杭して剥離し、 ファスニング片 430の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部 430 Bより先端側はファスニング基材が露出して摘みタブ部とされている。
[0197] 前身頃の開口部側には、バックシート 312Aの内面側に、デザインシートとしてのタ 一ゲット印刷シート 374が設けられ、ファスニング片 430のフック要素 430Aを止着す る位置の目安となるデザインが施されたターゲット印刷がなされ、外部からバックシー ト 312Aを通して視認可能なように施されてレ、る。
[0198] おむつ 310Aの、装着時には、おむつ 310Aが舟形に体に装着されるので、そして 糸ゴム 362の収縮力が作用するので、脚周りでは、糸ゴム 362の収縮力によりバリヤ 一力フス 360Aが起立する。
[0199] 起立部で囲まれる空間は、尿又は軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に 排尿されると、その尿はトップシート 330を通って吸収材 53B内に吸収されるとともに 、軟便の固形分については、バリヤ一力フス 360Aの起立部がバリヤ一となり、その乗 り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、 平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
[0200] 本形態において、各起立カフスを形成するバリヤ一シート 364は、透液性でなく実 質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、表面シート(不織布 積層体) 330に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい 。いずれにしても、バリヤ一シート 364及びバックシート 312Aは、それぞれ通気性が あり、かつバリヤ一シート 364及びバックシート 312Aは、それぞれ耐水圧が 100mm H O以上のシートであるのが好適である。これによつて、製品の幅方向側部において
2
通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止することができる。
[0201] 他方、吸収材 53Bあるいは吸収性本体 320の構造は生理用ナプキン、失禁パッド 、おむつカバーと併用する吸収パッドなどにも当然に適用できるが、その場合の構造 は、当業者にとって容易に推測できるものと思われるので、説明を省略する。
[0202] 〔各部材の素材等〕
(トウからなる繊維集合体 (フィラメントの集合体) )
トウからなる繊維集合体とは、実質的に連続繊維とみなされる連続繊維として構成
されたトウ (繊維束)からなる(トウを原材料として製造された)ものである。トウ構成繊 維としては、例えば、多糖類又はその誘導体(セルロース、セルロースエステル、キチ ン、キトサンなど)、合成高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステ ル、ボリラクタアミド、ポリビュルアセテートなど)などを用いることができる力 特に、セ ノレロースエステル及びセルロースが好ましレ、。
[0203] セルロースとしては、綿、リンター、木材パルプなど植物体由来のセルロースやバタ テリアセルロースなどが使用でき、レーヨンなどの再生セルロースであってもよぐ再 生セルロースは紡糸された繊維であってもよい。セルロースの形状と大きさは、実質 的に無限長とみなし得る連続繊維から長径が数ミリ〜数センチ (例えば、 lmm〜5c m)程度のもの、粒径が数ミクロン (例えば、 1〜: 100 /i m)程度の微粉末状のものまで 、様々な大きさ力ら選択できる。セルロースは、叩解パルプなどのように、フィブリル化 していてもよい。
[0204] セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート 、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;セルロースアセテートプロビオネ ート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セ ルロースなどの混酸エステル;ポリ力プロラタトングラフト化セルロースエステルなどの セルロースエステル誘導体などを用いることができる。これらのセルロースエステルは 、単独で、又は二種類以上混合して使用することができる。セルロースエステルの粘 度平均重合度は、例えば、 50〜900、好ましくは 200〜800程度である。セルロース エステルの平均置換度は、例えば、 1. 5〜3. 0 (例えば、 2〜3)程度である。
[0205] セルロースエステルの平均重合度は、例えば 10〜1000、好ましくは 50〜900、さ らに好ましくは 200〜800程度とすることができ、セルロースエステルの平均置換度 は、例えば 1〜3程度、好ましくは 1〜2. 15、さらに好ましくは 1.:!〜 2. 0程度とする こと力 Sできる。セルロースエステルの平均置換度は、生分解性を高める等の観点から 選択すること力 Sできる。
[0206] セルロースエステルとしては、有機酸エステル (例えば、炭素数 2〜4程度の有機酸 とのエステル)、特にセルロースアセテートが好適である。セルロールアセテートは、 特に空隙率を高くすることができ、体液の吸収容量を増やすに適するためである。具
体的には、例えば、体液透過性を有する吸収材 52であれば、空隙率(空隙の容量/ 吸収材全体の容量)を、好ましくは 60〜85%と、より好ましくは 75〜85%とすること ができる。
[0207] また、セルロースアセテートの酢化度は、 43〜62%程度である場合が多いが、特 に 30〜50%程度であると生分解性にも優れるため好ましい。特に好ましいセルロー スエステノレは、セノレロースジアセテートである。
[0208] トウ構成繊維は、種々の添加剤、例えば、熱安定化剤、着色剤、油剤、歩留り向上 剤、白色度改善剤等を含有していても良い。
[0209] トウ構成繊維の繊度は、例えば、:!〜 16デニール、好ましくは 1〜: 10デニール、さら に好ましくは 2〜8デニール程度とすることができる。トウ構成繊維は、非捲縮繊維で あってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、 1イン チ(2. 54cm)当たり 5〜75個、好ましくは 10〜50個、さらに好ましくは 15〜50個と すること力 Sできる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を 用いると、嵩高で軽量な吸収材を製造することができるとともに、繊維間の絡み合い により一体性の高いトウを容易に製造できる。トウ構成繊維の断面形状は、特に限定 されず、例えば、円形、楕円形、異形 (例えば、 Y字状、 X字状、 I字状、 R字状など) や中空状などのいずれであってもよレ、。トウ構成繊維は、例えば、 3, 000〜: 1, 000, 000本、好ましくは 5, 000〜1 , 000, 000本程度の単繊維を束ねることにより形成さ れたトウ(繊維束)の形で使用することができる。繊維束は、 3, 000-1 , 000, 000 本程度の連続繊維を集束して構成するのが好ましい。
[0210] トウは、繊維間の絡み合いが弱いため、体液の吸収を繰り返した場合においても、 広レ、空隙を確保する目的(へたり防止)で、繊維の接触部分を接着又は融着する作 用を有するバインダーを用いるのが好ましレ、。なお、このバインダーの用い方につい ては、前述したとおりである。
[0211] バインダーとしては、トリァセチン、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレン グリコールジプロピオネート、ジブチルフタレート、ジメトキシェチルフタレート、クェン 酸トリェチルエステルなどのエステル系可塑剤の他、各種の樹脂接着剤、特に熱可 塑性樹脂を用いることができる。
[0212] 熱可塑性樹脂は、溶融 ·固化により接着力が発現する樹脂であり、水不溶性又は 水難溶性樹脂、及び水溶性樹脂が含まれる。水不溶性又は水難溶性樹脂と水溶性 樹脂とは、必要に応じて併用することもできる。
[0213] 水不溶性又は水難溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ェチ レン一プロピレン共重合体、エチレン一酢酸ビュル共重合体などのォレフィン系の単 独又は共重合体、ポリ酢酸ビュル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル—アタリ ル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーとの共重合体 などのアクリル樹脂、ポリ塩化ビュル、酢酸ビニルー塩ィヒビニル共重合体、ポリスチレ ン、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体などのスチレン系重 合体、変性されていてもよいポリエステル、ナイロン 11、ナイロン 12、ナイロン 610、 ナイロン 612などのポリアミド、ロジン誘導体(例えば、ロジンエステルなど)、炭化水 素樹脂(例えば、テルペン樹脂、ジシクロペンタジェン樹脂、石油樹脂など)、水素添 加炭化水素樹脂などを用いることができる。これらの熱可塑性樹脂は一種又は二種 以上使用できる。
[0214] 水溶性樹脂としては、種々の水溶性高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビ ニルピロリドン、ポリビュルエーテル、ビニル単量体と、カルボキシル基、スルホン酸 基又はそれらの塩を有する共重合性単量体との共重合体などのビニル系水溶性樹 脂、アクリル系水溶性樹脂、ポリアルキレンオキサイド、水溶性ポリエステル、水溶性 ポリアミドなどを用いることができる。これらの水溶性樹脂は、単独で使用できるととも に二種以上組合せて使用してもよい。
[0215] 熱可塑性樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定化剤、充填剤、可塑剤 、防腐剤、防黴剤などの種々の添加剤を添加してもよい。
[0216] しかし、可能な限り、高吸収性ポリマー粒子の侵入を阻害するバインダー成分の使 用は避けるべきである。高吸収性ポリマー粒子の侵入を阻害するバインダー成分は 使用しないのが最善である。
[0217] 繊維集合体は、トウを原材料として、公知の方法により製造することができる。本発 明において好適に使用できるセルロースジアセテートのトウのベールは、セラニーズ 社やダイセル化学工業などにより市販されている。セルロースジアセテートのトウのベ
ールは、密度は約 0. 5gZcm3であり、総重量は 400〜600kgである。
[0218] このベールから、トウを引き剥がし、必要に応じて、所望のサイズ、嵩となるように帯 状に開繊することができる。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅 100〜2000mm 、好ましくは 150〜: 1500mm程度とすることができる。トウを開繊すると、後述する吸 収性ポリマーの移動がより容易になるため好ましい。また、トウの開繊度合いを調整 することにより、吸収材の空隙率'密度を調整することができる。
[0219] トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛渡し、トウの進行にと もなつて次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張 (伸長)と弛緩 (収縮)と を繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅 ·開繊する方法などを用いること ができる。
[0220] 図 10は開繊設備例を示す概略図である。この例では、原反となるトウ 1が順次繰り 出され、その搬送過程で、圧縮エアーを用いる拡幅手段 2と下流側のロールほど周 速の速い複数の開繊ニップロール 3, 4, 5とを組み合わせた開繊部を通過され拡幅 · 開繊された後、バインダー添加ボックス 6に通され、バインダーを付与(例えばトリァセ チンのミストをボックス中に充満させる)され、所望の幅 ·密度のトウからなる繊維集合 体 10として形成されるようになっている。
[0221] バインダーの付与は、例えばトリァセチンを浸透させたフェルトをスチロール表面に 接触させることによりバインダーをロール表面に転写し、そのロール表面を介して開 繊されたトウにバインダーを付与するいわゆるウィックアプリケータ方式、ボックス内で スリットから染み出させたバインダーを回転ブラシにより跳ね飛ばすことでミスト状とし
シアプリケーター方式によりバインダー塗布した後、ウィックアプリケータ方式によって バインダーを塗布することで、図 38、 39、 41、 42の形態の吸収材 53Bを製造するこ とができる。その他、図 33〜41に示す種々の態様の吸収材 53Bは、バインダー添加 ボックスにおける、バインダー散布量を平面方向に偏らせる、間欠的に散布する、塗 布するバインダーの濃度を適宜変更する等する、ことにより製造することができる。
[0223] (表面(トップ)シート 51 (330) )
本形態において、表面シート 51は、体液を透過する性質を有する。したがって、表 面シート 51の素材は、この体液透過性を発現するものであれば足り、例えば、有孔 又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、 このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリ エチレンやポリプロピレン等のォレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊 維、レーヨンゃキュブラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上 が使用された混合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのようなカロ ェによって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、 スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパン チ法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、ス パンレース法力 S、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好まし い加工方法となる。
[0224] また、本表面シート 51は、 1枚のシートからなるものであっても、 2枚以上のシートを 貝占り合わせて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート 51は 、平面方向に関して、 1枚のシートからなるものであっても、 2枚以上のシートからなる ものであってもよレ、。
[0225] (体液透過性を有する吸収材 52)
本形態において、吸収材 52は、表面シート 51と同様に、体液を透過する性質を有 する。し力しながら、吸収材 52は、前述したトウからなる繊維集合体を含む必要があり 、トウからなる繊維集合体のみからなると、より好ましいものとなる。トウからなる繊維集 合体は、空隙が多ぐ体液の吸収容量が多くなるためである。また、この際、トウ構成 繊維の断面形状が、円形又は楕円形であると、異形である場合のように、体液が引つ
かかることがないので、体液透過スピードが向上して、特に好ましいものとなる。
[0226] 本実施の形態において、吸収材 52の状態は、特に限定されない。例えば、 1枚の シート状とすることや、 2枚、 3枚、 4枚又はそれ以上の複数枚を積層させた積層シー ト状とすることや、コア状とすることなどができる。
[0227] (中間(セカンド)シート 340)
中間シート 340としては、トップシートと同様の素材や、スパンレース、パルプ不織 布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示することが できる。特にエアスルー不織布及びスパンボンド不織布が好ましレ、。
[0228] (体液保持性を有する吸収材 53A, 53B)
本形態において、体液保持性を有する吸収材 53A及び 53Bは、ともに吸収した体 液を、保持する性質を有する。し力 ながら、その素材として、トウからなる繊維集合 体を含む必要がないもの(符号 53Aで示す吸収材。)と、トウからなる繊維集合体を 含む必要があるもの(符号 53Bで示す吸収材。)と、に分かれる。
[0229] 前者の吸収材 53Aは、その素材が、特に限定されない。例えば、綿状パルプや合 成パルプなどのパルプ単体からなるものや、フラッフ状パルプ中に、粒状粉などとさ れた吸収性ポリマーが混入されたものなどの、公知の素材を例示することができる。 また、このうちのパルプの原料繊維は、特に限定されず、例えば、機械パルプ、化学 パルプ、溶解パルプ等の木材から得られるセルロース繊維や、レーヨン、アセテート 等の人工セルロース繊維などを例示することができる。ただし、セルロース繊維の原 材料となる木材は、広葉樹より針葉樹の方が、繊維長が長いため、機能及び価格の 面で好ましい。
[0230] 他方、後者の吸収材 53Bは、トウからなる繊維集合体内に吸収性ポリマーを移動さ せて得た吸収材で形成されている。そこで、この吸収材について、詳しく説明する。 図 11は、吸収材 53Bの製造設備例を示しており、所望の幅 ·密度のトウからなる連 続帯状の繊維集合体 10が供給されるようになっている。このため、この吸収材製造ラ
性ポリマー、好ましくは高吸収性ポリマーが散布された後、吸引ドラム 12に送り込ま れる。この吸引ドラム 12は、外周壁に吸気孔を有し、その周方向所定範囲(図示例で は略左半分の範囲)にわたり内側から図示しない吸引ポンプにより吸引するように構 成したものである。高吸収性ポリマーが散布された繊維集合体 10は、吸引ドラム 12 により外周面に接触されつつ案内される。そして、この過程で、吸引ドラム 12の吸気 孔から吸引を行うことにより、高吸収性ポリマー付与側から繊維集合体内を通り反対 側へ雰囲気が通過され、その通過力により高吸収性ポリマー力 繊維集合体 10内に 移動される。
[0232] 高吸収性ポリマーとは、「粒子」以外に「粉体」も含む意味である。高吸収性ポリマー 粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、 100-1 000 x m、特に 150〜400 /i mのもの力 S望ましレヽ。高吸収性ポリマー粒子の材料とし ては、特に限定無く用いることができる力 吸水量が 60g/g以上のものが好適である
[0233] 吸収性ポリマーとしては、自重の、例えば、 10倍以上の体液を吸収して保持するも のを使用できる。この例として、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのも のがあり、でんぷん アクリル酸 (塩)グラフト共重合体、でんぷん アクリロニトリル共 重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩 )重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマーの形状としては、通常用 レ、られる粉粒体状のものが好適である力 他の形状のものも用いることができる。
[0234] 高吸収性ポリマーとしては、吸水速度が 40秒以下のものが好適に用いられる。吸 水速度が 40秒を超えると、吸収材内に供給された体液が吸収材外に戻り出てしまう いわゆる逆戻りを発生し易くなる。
[0235] また、高吸収性ポリマーとしては、ゲル強度が lOOOPa以上のものが好適に用いら れる。これにより、トウを用いることにより嵩高な吸収材とした場合であっても、体液吸 収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
[0236] 高吸収性ポリマーの散布量(目付け量)は、当該吸収材の用途で要求される吸収 量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、例えば、 3〜4 00g/m2とすることができる。繊維集合体に対する高吸収性ポリマーの量的配置、密
度分布、繊維密度は汎用を目的とする場合には均一であるのが好ましいが、特別の 吸収特性を発揮させることを目的とした場合、その目的に応じて偏っていてもよい。
[0237] 高吸収性ポリマーを繊維集合体の内部に散在させる方法としては、拡幅 ·開繊した 繊維集合体に対して高吸収性ポリマーを散布した後、散布された面と反対面を吸引 ドラム等に面接させるとともに適当な吸引力で吸引して、散布したポリマーを内部に 移動せしめる方法を用いることができる。なお、高吸収性ポリマーの繊維集合体への 付与は、バインダー付与後に行うのが好適である。
[0238] 特に好ましい形態では、繊維集合体上に高吸収性ポリマーを散布した後、更に、ク レープ紙、不織布、孔開きシート等の液透過性シート、ポリエチレン製フィルム等の液 不透過性シートにより個装する。
[0239] 高吸収性ポリマーを固定するために、高吸収性ポリマーを付与する前の繊維集合 体に接着剤を塗布するのも好ましい形態である。
[0240] また、シートで個装する場合、シートを被せるのに先立ち、シートの繊維集合体側と なる面に接着剤を供給するのも好ましい形態である。
[0241] 特に好ましい形態では、繊維集合体 10上に高吸収性ポリマーを散布した後、更に その上にシート 13を被せる。この場合、吸引ドラム 12において、繊維集合体 10にお けるシート 13を被せた面の反対側面から吸引がなされる。このように、吸引に先立つ てシート 13が被されていると、何も被せない場合と比較して、より強力な吸引力が高 吸収性ポリマーに作用し、効率良く高吸収性ポリマーを繊維集合体 10内部へ移動 · 分散させることができる。このシート 13としては、クレープ紙、不織布、孔開きシート等 の液透過性シート、ポリエチレン製フィルム等の液不透過性シートを用いることができ る。
[0242] 高吸収性ポリマーを繊維集合体 10に固定するために、高吸収性ポリマーを付与す る前の繊維集合体 10に、接着剤を塗布するのも好ましい形態である。このため、図 示のように、ポリマー散布ボックス 11の上流側に、接着剤塗布装置 14を、配設するこ とがでさる。
[0243] また、シート 13を被せる場合、シート 13を被せるのに先立ち、シート 13の繊維集合 体 10側となる面に接着剤を供給するのも好ましい形態である。このため、図示形態で
は、吸引ドラムに対するシート供給経路に接着剤塗布装置 15を備えている。この形 態を採用すると、繊維集合体 10表面に露出する高吸収性ポリマーは接着剤を介して シート 13に固定され、未接着の高吸収性ポリマーは、後の吸引により繊維集合体 10 内部へ移動されるようになる。
[0244] さらにまた、吸引後、つまり高吸収性ポリマーを移動させた後の繊維集合体 10に対 して接着剤を供給するのも好ましい形態である。このため、図示形態では吸引ドラム 1 2の下流側における繊維集合体 10の露出側面(シート 13側と反対面、図中では上面 )に、接着剤塗布装置を備えている。この形態を採用すると、付与された高吸収性ポ リマーのうち繊維集合体 10におけるポリマー付与側と反対側に移動した高吸収性ポ リマーを繊維集合体 10に固定できる。また、繊維集合体 10の露出側面に、別途シー トを被せる或いはシート 13の両脇部を繊維集合体 10の両端を回りこませて折り返し 被覆する場合、繊維集合体 10の露出側面に移動した高吸収性ポリマーを、当該シ ート 13に対して高吸収性ポリマーを固定することができる。
[0245] これらの接着剤の供給は、いずれか 1つ又は 2つ以上を組み合わせて適用すること ができる。接着剤としては、熱可塑性樹脂(具体例は前述のとおりである)からなる接 着剤を好適に用いることができる。
[0246] そして、力べして高吸収性ポリマーが付与された繊維集合体 10は、例えば、別途シ ートを被せる、あるいは図示のようにセーラーによりシート 13の両脇部を繊維集合体 10の両端を回りこませて折り返し被覆した後、所定の長さに切断されて個別の吸収 材 53Bとされる。
[0247] 他方、繊維集合体 10に対する高吸収性ポリマーの量的配置、密度分布、繊維密 度は汎用を目的とする場合には均一であるのが好ましいが、特別の吸収特性を発揮 させることを目的とした場合、その目的に応じて偏らせるのも好ましい。
[0248] 具体的に図示形態に応用する場合、ポリマー散布ボックス 11において、散布量を 平面方向に偏らせることができる。特に、紙おむつや生理用ナプキン等の体液吸収 性物品においては、吸収材の幅方向中央部の吸収量を増大させることが要望される 場合が多ぐこの場合、ポリマー散布ボックス 11において、繊維集合体 10の幅方向 中央部に対し、両脇部よりも多量の高吸収性ポリマーを散布することができる。
[0249] また、吸引ドラム 12における吸引力を偏らせることにより、吸引力の高い位置ほど、 より多くの量の高吸収性ポリマーが吸弓 Iドラム 12側に位置するようになるため、高吸 収性ポリマーの密度を偏らせることができる。例えば、吸引ドラム 12の幅方向中央に おける吸引力を両脇部よりも高くする(あるいは吸引時間を長くすることでも良い)こと により、繊維集合体 10の幅方向中央部における高吸収性ポリマーの密度を両脇部よ りも高くすることができる。このような構造では、中央部は吸収速度が遅くなり、両脇部 の吸収速度が高くなるため、体液吸収性物品に用いた場合には、体液が吸収体全 体に広がり易くなる、つまり拡散性が向上する。
[0250] さらにまた、トウからなる繊維集合体 10は、繊維の連続方向に沿って液が流れ易く なるため、繊維の密度を偏らせることによって特別の吸収特性を付与することができ る。このような繊維密度を偏らせる手段としては、繊維集合体 10の製造時において偏 つた開繊を行う、あるいは部分的に複数のトウを束ねて用いる等により達成できる。具 体的な偏らせ方としては、例えば、繊維集合体 10の幅方向中央部の繊維密度を両 脇部よりも高くなるように偏らせることができる。この場合、繊維集合体 10の幅方向中 央部において、より多くの液が繊維の連続方向に沿って流れるようになる。
[0251] 本実施の形態において、吸収材 53A及び 53Bの状態は、特に限定されない。例え ば、コア状とすることや、 1枚のシート状とすることや、 2枚、 3枚、 4枚又はそれ以上の 複数枚を積層させた積層シート状とすることなどができる。
[0252] (包被シート358)
吸収材 53Bに用いる包被シート 358としては、ティッシュぺーパ、特にクレープ紙、 不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸 収性ポリマー粒子 354が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて 不織布を使用する場合、親水性の SMMS (スパンボンド Zメルトブローン Zメルトブ ローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエ チレン/ポリプロピレンなどを使用できる。 目付けは、 8〜20g/m2、特に 10〜15g Zm2のものが望ましい。
[0253] (吸収シート 55)
本形態において、吸収シート 55は、体液を透過する性質を有する。したがって、吸
収シート 55の素材は、この体液透過性を発現するものであれば足り、例えば、表面シ ート 51と同様の素材や、体液透過性を有する吸収材 52と同様の素材などを例示す ること力 Sできる。
[0254] (体液拡散性シート 58)
本形態において、体液拡散性シート 58は、体液を拡散する性質を有する。したがつ て、体液拡散性シート 58の素材は、この体液拡散性を発現するものであれば足り、 例えば、表面シート 51と同様の素材や、体液透過性を有する吸収材 52と同様の素 材などを例示することができる。ただし、スパンレース、パルプ不織布、パルプとレー ヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙であると、特に好ましいものとなる。
[0255] (保持シート 380)
保持シート 380は、ジャリジャリした違和感を解消または軽減するものである。したが つて、その素材は、特に限定されず、吸収性ポリマーの保持性能を有するものであれ ば足りる。具体的には、例えば、不織布、捲縮パルプ、低吸収性のコットン繊維 (例え ば、未脱脂のコットン繊維、脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維を撥水剤や疎水化 剤で処理したものなど。)、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプ ロピレン繊維、絹、綿、麻、ナイロン、ポリウレタン、アセテート繊維等を例示することが できる。
[0256] ただし、保持シート 380を不織布とする場合は、 KES試験に基づく圧縮エネルギー 力 0. 01〜10. 00gfcm/cm2、好ましく ίま、 0. 01〜1. 00gfcm/cm2で、力 圧縮 レジリエンスが 10〜100%、好ましくは、 70〜100%の不織布であるとよい。
[0257] (体液不透過性シート 370)
体液不透過性シート 370は、前述したように、単に吸収材 53Bの裏面側に配される シートを意味する。したがって、本体液不透過性シート 370は、その素材が、特に限 定されるものではなレ、。具体的には、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のォレ フィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フ イルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布(この場合は、防水フィルム と不織布とで体液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もち ろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性か
つ透湿性を有する素材も例示することができる。この不透液性かつ透湿性を有する 素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のォレフィン系樹脂 中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得 られた微多孔性シートを例示することができる。
[0258] (裏面シート2)
本形態において、裏面シート 54は、体液を透過しない性質を有する。したがって、 裏面シート 54の素材は、この体液不透過性を発現するものであれば足り、例えば、 ポリエチレンやポリプロピレン等のォレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織 布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保 した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで体液不透過性の裏面シート 54が 構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止 の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材も例示するこ とができる。この不透液性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエ チレンやポリプロピレン等のォレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを 成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示すること ができる。
実施例 1
[0259] 次に、実施例に基づいて、本発明の効果を明らかにする。
本発明者らは、前述第 1の形態の体液吸収構造 50、及び、従来の体液吸収構造 について、それぞれ水分の吸収スピードを測定する試験を行った。体液吸収構造 50 においては、体液透過性を有する吸収材 52として、セルロースアセテートを原料とす るトウからなる繊維集合体を使用した。また、従来の体液吸収構造においては、体液 透過性を有する吸収材 52に変えて、不織布シートを使用した。吸収させる水分の量 は、 5cc、 10cc、 15cc、 20cc、 25cc、 30ccの 6通りとした。ただし、水分量を、 10cc 以上とする場合においては、水分を 1度に吸収させるのではなぐ筒を用いて 5ccの 吸収を行わせる作業を、 20分間隔で、 2回〜 6回繰り返す方法によった。吸収に要し た時間 (秒)を、表 1に示した。
[0260] [表 1]
吸収量 体液を透過する吸収材の素材 比較
(c c) セルロースアセテート 不織布 (倍) 試験例 1 5 0. 92秒 2. 37秒 2. 6 試験例 2 10 1. 51秒 8. 1 1秒 5. 4 試験例 3 15 1. 99秒 10. 54秒 5. 3 試験例 4 20 2. 65秒 13. 09秒 4. 9 試験例 5 25 3. 11秒 19. 43秒 6. 2 試験例 6 30 3. 35秒 29. 83秒 8. 9
[0261] 表 1から、セルロースアセテートを素材とした方力 吸収スピードが速ぐ特に、吸収 量が多くなると、吸収に要する時間に大きな差を生じることが分かる。このことから、不 織布に変えて、セルロースアセテートを原材料とするトウからなる繊維集合体を含む 体液透過性を有する吸収材 52を使用すると、好適であることが分かる。
実施例 2
[0262] 次に、バインダーの目付け量とへたり及び体液吸収速度の関係について試験した (へたり試験)
試料は、バインダーとしてのトリァセチンの目付け量を変更して作成した各種繊維 集合体で構成した吸収材 53Bである。
試験は、試料を温度 25度、湿度 60%に調整したドラフター内で 12時間乾燥させた のちの厚みを体液吸収前の厚みとし、乾燥後に 5ccの馬血を自然滴下させて吸収さ せたのち 5分間放置した後の厚みを体液吸収後の厚みとして、(体液吸収後の厚み) /(体液吸収前の厚み)で算出される厚み維持率により評価した。厚み維持率が高 い場合には、へたらない吸収材 53Bであり、厚み維持率が低い場合にはへたる吸収 材 53Bである。厚みの測定は、 KES圧縮試験機 (カトーテック社製)により測定した。 バインダー目付け量を、試験の結果とともに表 2に示した。
[0263] [表 2]
表 2をみてみると、トウからなる繊維集合体にバインダーを散布して形成した吸収材 53Βは、厚み維持率が高まっており、へたりが生じづらくなることが知見される。また、 バインダー目付け量力 17g/m
2以上となると、厚み維持率に変化がなくなることか
ら、トリァセチンをバインダーとした場合、最適な目付け量は、 16〜18g/m
2程度で あることも知見された。試料として使用した繊維集合体の密度は 30g/m
2であった。
[0265] (体液吸収速度試験)
試験は、バインダーとしてのトリァセチンの目付け量を変更して作成した各種繊維 集合体で構成した吸収材 53Bの上に開口フィルムからなるトップシート 51を配置し、 下に粉砕パルプからなる吸収材 61を配置した積層状態としものを試料とした。なお、 トップシート 51、吸収材 53B、吸収材 61は、温度 25度、湿度 60%に調整したドラフ ター内で 12時間乾燥させたのち使用した。また、各試験例に対応するブランク試料 をも用意しに。
試験は、トップシート 51側から 1回につき 5ccの馬血を 20分間隔で連続して 6回滴 下し、各滴下時の馬血の吸収速度を測定した。ノインダ一目付け量は、へたり試験 の試料と同様である。試験の結果は表 3に示す。
[0266] [表 3]
54
ら、トリァセチンをバインダーとした場合、最適な目付け量は、 16〜18g/m2程度で あることも知見された。試料として使用した繊維集合体の密度は 30g/m2であった。
[0265] (体液吸収速度試験)
試験は、バインダーとしてのトリァセチンの目付け量を変更して作成した各種繊維 集合体で構成した吸収材 53Bの上に開口フィルムからなるトップシート 51を配置し、 下に粉砕パルプからなる吸収材 61を配置した積層状態としものを試料とした。なお、 トップシート 51、吸収材 53B、吸収材 61は、温度 25度、湿度 60%に調整したドラフ ター内で 12時間乾燥させたのち使用した。また、各試験例に対応するブランク試料 をも用意しに。
試験は、トップシート 51側から 1回につき 5ccの馬血を 20分間隔で連続して 6回滴 下し、各滴下時の馬血の吸収速度を測定した。ノインダ一目付け量は、へたり試験 の試料と同様である。試験の結果は表 3に示す。
[0266] [表 3]
してみると、バインダーの散布に繊維同士を点又は線で接着すると厚み維持率が 向上するとともに吸収速度が向上することから、体液吸収性にすぐれかつフィット性に ついて改善された吸収材 53Bであることが示された。
実施例 3
[0268] 表 4に示す、セルロースジアセテート繊維のトウを開繊したフィラメントの集合体を用 い、図 69及び図 70の製造方法により得た吸収材及び製品(試験例 18 (実施例))、 パルプ短繊維を使用した一般的な吸収材及び製品(試験例 19 (従来例))、及び、図 73に示すように、図 70の転回ロールをバキュームロール 406に換え、前述の遠心分 力をも加える高吸収性ポリマー粒子散布手段 390でなぐ単に高吸収性ポリマー粒 子を自重による落下させる形式の汎用の高吸収性ポリマー粒子散布手段により、ノ キュームロール 406上方力 フィラメント 352の集合体 352Z上に、高吸収性ポリマー 粒子 354を散布することにより得た吸収材及び製品(試験例 20 (比較例) )について、 下記の測定を行った。なお、表 4には評価結果も併記した。
ここで、比較例の製品をみると、主に保持シート上に高吸収性ポリマー粒子が多く 存在し、フィラメント 352の集合体 352Zの下側に高吸収性ポリマー粒子 354が侵入 しているものの、上部までには高吸収性ポリマー粒子 354が侵入していない(したが つて「フィラメントの集合体に対して高吸収性ポリマー粒子が実質的に厚み方向全体 に分散されて」レ、なレ、)ものである。
[0269] (高吸収性ポリマー粒子の吸水量の測定)
回転子を入れた 1リットルビーカーに、 0. 9。/。塩化ナトリウム水溶液 (試薬特級塩ィ匕 ナ卜!;ゥム 9. OOgをィ才ン交換水 991. 0gに溶角早して調製) 500. 00 ± 0. 10gを人れ 、マグネチックスターラーで液を攪拌しながらサンプル 2. 0000 ± 0. 0002gをカロえ、 サランラップで蓋をして 1時間攪拌する。
ビーカー内容物を標準ふるい(38 /i m、 200mm φ X 45mm)を用いて濾過し、ふ るい上に残ったゲルをテフロン板で水切りし、 15分間放置する。ふるいに残ったゲル の重さ Aを測定し、次式により吸水量を算出する。
C = A/S
ここに、 C :生食吸水量 (g/g)、 A:ふるいに残ったゲルの重さ(g)、 S :サンプノレ重
量 (g)である。
[0270] (高吸収性ポリマー粒子の保水量の測定)
ステンレス容器に、 0. 9%塩化ナトリウム水溶液を 8割入れる。
サンプノレ 2. 0000 ± 0. 0002gを精枰し、綿袋(メンブロード 60番 100mm X 200 mm)内に入れた後、 0. 9%塩ィ匕ナトリウム水溶液、約 100mlを綿袋内に流し込むと 同時に、全体をステンレス容器内の水溶液中に浸漬させる。
綿袋の上部を輪ゴムで縛り 15分間浸漬後、脱水機(167G)で 1分間脱水し、綿袋 及びゲルの重さを測定する。
試料を入れなレ、で同様の操作を実施し、空の綿袋の湿潤時重量を測定する。 次式により保水量を算出する。
C = (A-B) /S . · ' (2)
ここに、 C :保水量 (g/g)、 Α:綿袋及びゲルの重さ(g)、 Β :空の綿袋の湿潤時重 量 (g)、 S:サンプル重量 (g)である。
[0271] (高吸収性ポリマー粒子の吸収速度の測定)
回転子を入れた 100ミリリットルビーカーに、 0. 9%塩化ナトリウム水溶液 50. 00土 0. Olgをカロえ、恒温水槽内で 25 ± 0. 2°C—定に保持する。
マグネチックスターラー及び回転体測定器を使用し、回転速度 600 ± lOrpmで攪 拌する。
試料 2. 0000 ± 0. 0002gを枰量し、ビーカー内の渦中に投入し同時にストップゥ ォツチによる計測を開始する。渦が消えて液面が水平になるまでの時間(秒)を記録 し、吸収速度とする。
[0272] (高吸収性ポリマー粒子の加圧下吸収量の測定)
図 77に示すように、支持台 501中央の上下貫通孔に中心を合わせてアクリル樹脂 製円筒 503 (内径 2cm、高さ 5cm,底面に 75 μ mのナイロンネット 501Nを取り付け たもの)を立設し、この円筒 503の中 (こ 0. 100± 0. 0002gのサンプノレ 500を人れ、 サンプノレ 500の上 ίこ円柱状鍾 502 (径 1. 9cm、重さ 120g)を置く。
ビュレット 504の排出口を、導管 506により支持台 501の貫通孔の下側開口と接続 し、ノくノレブ 300V1 , 300V2を開く前の目盛値および 30分後の目盛値を読む。
次式により加圧下吸収量を算出する。
C = (A-B) /S - - - (3)
ここに、 C :加圧下吸収量 (ml/g)、 A:吸水開始後 30分の目盛値 (ml)、 B :吸水 前の目盛値 (ml)、 S:サンプル重量 (g)である。
[0273] (高吸収性ポリマー粒子のゲル強度の測定)
尿素 20. 0g、塩ィ匕ナトリウム 8. 0g、塩ィ匕カノレシゥム 0. 3g、硫酸マグネシウム 0. 8g 、イオン交換水 970. 9g、硫酸第 1鉄 0. 25gを混合し、全体で 1リットルの人孔尿(鉄 イオン 50ppm)を調製する。
回転子入り 100ミリリットルビーカーに鉄イオン 50ppmを含んだ人工尿 49 ± 0. lg を加え、マグネチックスターラーを使用し攪拌する。試料 1. 0000± 0. 0002gを秤 量し、ビーカー内の渦中に投入した後、渦が消えて液面が水平になるまで攪拌する 生成したゲルを 40°C X 60%RHの恒温恒湿機内に 3時間放置する。
25°Cの恒温水槽内に 5分間浸けた後、ネオカードメーターでゲル強度を測定する 。この測定値を次式により単位換算し、ゲル強度(Pa)を算出する。
C = A X 0. 1 · ' · (4)
ここに、 C :ゲル強度(Pa)、 Α:ネオカードメーター力ら得られたゲル強度(dyne/c m2)、 0. 1 :定数である。
[0274] (おむつ状態での加圧下吸収量の測定)
まず、未吸収のサンプルの重量を測定する。
次に、図 78に示すように、サンプルおむつ 310おける糸ゴム等により収縮する部分 、例えば、ウェスト部分や、ギャザー部分に、両端矢線で示すように 2cm間隔で切れ 目を入れ、おむつが非強制的に(自然に)平らになるようにする。
使用面(内面)を上にして、サンプノレをアクリル板と金属板との間に平らに挟み、ァク リル板の上に錘(10kg)を載せ、 37°Cに保持した人孔尿(前述のもの)中に 30分間 浸漬する。
30分後に人孔尿中からサンプルを引き上げ、錘、アクリル板を外した後、サンプノレ を 3つ折りにし、秤に載せて重量を測定する。
吸収後のサンプノレ重量力 未吸収のサンプノレ重量を差し引いて加圧下吸収量 (g) を算出する。
[0275] (おむつ状態での吸収速度の測定)
股から臀部にわたる部分を想定して形成された U字状板からなり、最下位置の幅方 向中央に注入口が形成された U字器具を用いる。
サンプルのおむつにおける吸収体の長手方向中央位置に印を付け、この印位置を 注入口に合わせて、サンプノレを U字器具の外面に固定する。
サンプルを固定した U字器具をハンモックに載せ、傾斜しないようにする。 中央に貫通穴を有する錘(lkg、 lOcm X IOcm)を、 U字器具の上に載せる。この 際、錘の貫通穴を U字器具の注入口に合わせる。
サンプルに対して、錘の貫通穴および U字器具の注入口を介して人工尿(前述の もの) lOOccを注入し、全量吸収に要する時間を測定し、吸収速度 (秒)とする。
[0276] (おむつ状態での逆戻り量の測定)
lOOmm X 300mmにカットした吸収体にトップシートを乗せ、四方をシールしてサ ンプノレとする。
内径 27mmの円筒器具(支持部 150mm X I 50mm)をサンプル中央に置く。円筒 器具は、必要に応じて加重する。
人工尿を、 50ccの量を 10分間隔で 3回滴下する。
3回目の滴下の 10分後、ろ紙(ADVANTEC No. 2、 10cm X 10cm、 30枚重ね )を乗せ、 5kgの重りで 10秒間荷重を加えた後、キッチンペーパーの重量を測定し、 予め測定した未吸収のキッチンペーパーの重量を差し引いて、キッチンペーパーに 移動した人孔尿量を算出し、逆戻り量 (g)とする。
[0277] (圧縮レジリエンス RC .圧縮エネルギー WCの測定)
カトーテック株式会社製の圧縮試験機を用レ、、サンプルをスピード: 0. Olcm/sec 、圧縮面積: 2cm2、感度: 2 (力計 200g/l0v)、圧縮荷重: 50gfZcm2の条件で圧 縮し、圧力と変形量との相関図力 圧縮レジリエンス RCおよび圧縮エネルギー WC を算出する。圧縮レジリエンス RCは、値が大きいほど圧縮後の回復性が高いことを 意味し、圧縮エネルギー WCは、値が大きいほど圧縮され易いことを意味する。
[0278] (復元性の官能評価)
各吸収体を使用し、吸収体以外は共通するように紙おむつサンプノレを製造した。 製造後に圧縮していないものと、共通の形態で圧縮して包装した後、包装を解いたも のとを用意し、被験者 20名により目視及び手触りで復元性を評価した。評価は、従 来例を基準とし、これと比較して、殆ど変わりが感じられない場合を△とし、復元性が 高ぐ柔軟性に富む場合を〇とした。
[0279] [表 4]
[0280] 本発明は、紙おむつや、生理用ナプキン、尿取りパッド、失禁パッド等の吸収性物 品などに、適用可能である。
図面の簡単な説明
[0281] [図 1]第 1の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 2]第 2の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 3]第 3の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 4]第 4の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 5]第 5の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 6]第 5の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 7]第 6の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 8]第 7の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 9]第 8の形態の体液吸収構造の断面図である。
園 10]繊維集合体の製造フローを示す概略図である。
園 11]吸収材の製造フローを示す概略図である。
[図 12]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
[図 13]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
[図 14]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
[図 15]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
園 16]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
[図 17]その他の形態の体液吸収構造の平面図である。
園 18]第 1の例の体液吸収性物品の平面図である。
[図 19]図 18の I— I線断面図である。
[図 20]第 1の例の体液吸収性物品の製造フローを示す概略図である。
[図 21]第 2の例の体液吸収性物品の平面図である。
[図 22]図 21の II— II線断面図である。
園 23]第 2の例の体液吸収性物品の製造フローを示す概略図である。
[図 24]第 3の例の体液吸収性物品の平面図である。
[図 25]図 24の III— III線断面図である。
[図 26]吸収材にクレープ紙を被覆する製造フローを示す概略図である。
[図 27]第 4の例の体液吸収性物品の断面図である。
[図 28]第 4の例の体液吸収性物品の断面図である。
[図 29]第 4の例の体液吸収性物品の断面図である。
園 30]第 4の例の体液吸収性物品の製造フローを示す概略図である。
[図 31]第 4の例の体液吸収性物品の断面図である。
園 32]第 4の例の体液吸収性物品の製造フローを示す概略図である。
園 33]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 34]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 35]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 36]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 37]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 38]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す断面図である。 園 39]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す断面図である。 園 40]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す断面図である。 園 41]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す断面図である。 園 42]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す断面図である。 園 43]バインダーの付与された吸収材に他の吸収材が積層された形態例を概略的 に示す平面図である。
園 44]バインダーの付与された吸収材に他の吸収材が積層された形態例を概略的 に示す平面図である。
園 45]バインダーの付与された吸収材に他の吸収材が積層された形態例を概略的 に示す平面図である。
園 46]バインダーの付与された吸収材に他の吸収材が積層された形態例を概略的 に示す平面図である。
園 47]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し た形態例を概略的に示す平面図である。
園 48]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し た形態例を概略的に示す平面図である。
園 49]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し た形態例を概略的に示す平面図である。
園 50]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し
た形態例を概略的に示す平面図である。
園 51]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し た形態例を概略的に示す平面図である。
園 52]バインダーの付与された吸収材に積層された他の吸収材にエンボスを付与し た形態例を概略的に示す平面図である。
[図 53]バインダーの付与された吸収材に他の吸収材が積層された形態例を概略的 に示す平面図である。
園 54]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 55]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 56]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。 園 57]バインダーの付与された吸収材の形態例を概略的に示す平面図である。
[図 58]生理用ナプキンの第 1の形態を概略的に示す平面図である。
[図 59]生理用ナプキンの第 1の形態を概略的に示す断面図である。
園 60]生理用ナプキンの第 2の形態を概略的に示す平面図である。
[図 61]生理用ナプキンの第 2の形態を概略的に示す断面図である。
園 62]生理用ナプキンの第 3の形態を概略的に示す平面図である。
園 63]生理用ナプキンの第 3の形態を概略的に示す断面図である。
[図 64]パンツ型使い捨ておむつの斜視図である。
園 65]パンツ型使い捨ておむつの展開状態平面図である。
[図 66]図 64の 303— 303線断面図である。
[図 67]他の例の 303— 303線断面図である。
[図 68]他の例の 303— 303線断面図である。
[図 69]他の例の 303— 303線断面図である。
園 70]パンツ型使い捨ておむつの製造方法例を示す概要図である。
[図 71]図 69の要部概要図である。
園 72]開繊装置の概要図である。
園 73]高吸収性ポリマー粒子散布手段例の概要図である。
[図 74]他の高吸収性ポリマー粒子散布形態の概要図である。
[図 75]他の例の 303— 303線断面図である。
[図 76]テープ式使い捨ておむつの展開状態平面図である。
[図 77]図 75の中央断面図である。
[図 78]試験装置の説明図である。
[図 79]試験サンプルの説明用の展開状態平面図である。
符号の説明
1…トウ、 10…繊維集合体、 11…ポリマー散布ボックス、 12…吸引ドラム、 13…シ 一 K 14〜: 16· · ·接着剤塗布装置、 50, 60, 70, 80, 90, 100, 110, 120, 130· · · 体液吸収構造、 51…表面シート、 52…体液透過性を有する吸収材、 52E…セカンド シート、 53A, 53B…体液保持性を有する吸収材、 54…裏面シート、 300E…凹溝、 310…パンツ型使い捨ておむつ、 310A…テープ式使い捨ておむつ、 312…外装シ ート、 312A…ノ ックシート、 320…吸収性本体、 330…トップシート、 340…中間シ ート、 350…吸収要素、 352…フィラメント、 352X…ベーノレ、 352Y…トウ、 352Ζ· - · フィラメントの集合体、 354…高吸収性ポリマー粒子、 358…包被シート、 360、 360 A…バリヤ一力フス、 364…バリヤ一シート、 370…体液不透過性シート、 372…第 2 体液不透過性シート、 380…保持シート、 390…高吸収性ポリマー粒子散布手段、 3 90A…投射部、 390a…ケーシング、 390b…回転ドラム、 390c…シャツタドラム、 39 2…セーラー、 394, 398…カッター装置、 400…転回装置、 402…組合せステーシ ヨン、 404…粘着剤塗布装置、 410…第 2開繊装置、 410a…圧空の吹き込み口、 41 Ob…ベンチユリ一部、 424…プリテンションローノレ、 426A…第 1二ップ、 426B…第 2 ニップ、 426C…第 3ニップ、 430· · ·ファスニング片、 e…エンボス、 H…接着部、 R1 〜R6' · 'ローラ、 Ζ· · ·高吸収性ポリマー粒子散布ゾーン。