WO2005102621A1

WO2005102621A1 - すき鋏

Info

Publication number: WO2005102621A1
Application number: PCT/JP2005/007699
Authority: WO
Inventors: Noboru Yamamura
Original assignee: Yamamura Mfg. Co., Ltd.
Priority date: 2004-04-26
Filing date: 2005-04-22
Publication date: 2005-11-03
Also published as: JP4395028B2; JP2005334618A

Description

すき鋏

技術分野

[0001] 本発明は、すき鋏に関するものである。

背景技術

[0002] 一般的なすき鋏は、刃縁を形成した刃板と櫛刃を多数並設状態に突設した櫛状刃板とを、両刃板の交叉部で枢着して開閉自在に構成し、前記櫛刃の先端縁で毛髪を支承保持し、この支承保持した毛髪を刃板の刃縁によって切断し、前記櫛刃間に入つた毛髪は、刃板の刃縁によって切断し得な、ように構成されて、るものである。

[0003] この従来のすき鋏においては、前記櫛刃の先端縁を、何ら凹凸がない平坦縁に形成すると、毛髪を確実に支承保持できず良好に切断できないだけでなぐ切断できな力つた毛髪に枝毛の原因となる折れ目がついてしまうため、この平坦縁の中央部に毛髪を確実に支承保持するための U字状や V字状の凹状保持縁を形成することで、この凹状保持縁にお!ヽて支承保持される毛髪を折れ目を付けることなく良好に切断している。

[0004] ところが、前記凹状保持縁においては毛髪が確実に支承保持されるための毛髪の切断を良好に行うことができるが、この中央部に形成された凹状保持縁の左右両側にわずかでも平坦縁があると、この平坦縁において毛髪を良好に切断できずに折り目をつけてしまうことがある。

[0005] しかし、例えば、前記平坦縁がなくなるように前記櫛刃の先端縁全体を前記凹状保持縁に設定した場合には、櫛刃の先端縁全体で良好に毛髪の切断を行うことができ、折り目が付くことを阻止することは可能であるが、この凹状保持縁に支承保持される毛髪が多くなり過ぎて一度に切断する毛髪の量が多くなり、切断時の抵抗が大きくなつて前記刃板と櫛状刃板の開閉動作が重くなることで、軽快なカッティングを行うことができず、カッティングを行う理容師や美容師の負担が大きくなつてしまうという問題点がある。

[0006] この際、切断する毛髪を少なくするために凹状保持縁を浅く形成しても、この凹状保持縁に支承保持される毛髪の量は僅かしか減らすことができず、また、この凹状保持縁を非常に浅く形成すると支承保持作用を良好に発揮できず、平坦縁と同様に毛髪を良好に切断できなくなってしまう。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 本発明は、上述のような現状に鑑み、櫛刃の先端縁を、櫛状刃板の基端側を高位端側部，先端側を低位端側部としてこの高位端側部カゝら低位端側部に向カゝつて直線状に下り傾斜する傾斜辺状縁に形成し、更に、この傾斜辺状縁は、各櫛刃の高位端側部を次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部がこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成することで、この傾斜辺状縁を、毛髪を高位カゝら低位に該毛髪の自重若しくは前記刃板の刃縁による押圧によって案内する傾斜案内部となるように形成し、この傾斜案内部としての傾斜辺状縁に、前記凹状保持縁としての凹溝を凹設することで、傾斜辺状縁に載った毛髪をこの傾斜案内部としての傾斜辺状縁によって前記凹溝に案内し、該凹溝に確実に毛髪が溜まることとなり、この凹溝に支承保持された毛髪を確実に切断できるだけでなぐ該凹溝入り切らなかった毛髪は容易に前記低位端側部側に滑落しこの傾斜辺状縁から櫛刃間に排出されるから、この凹溝に入り切らなかった毛髪にも折り目を付けることがなく良好にカッティングを行うことができ、しかも、前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁に載った毛髪を前記凹溝に集めると共に、この凹溝に集まった毛髪が多い場合には、残余は該凹溝に支承されずに傾斜辺状縁から櫛刃間に排出されることとなるので、常に多すぎず少なすぎず適切な量の毛髪だけをカットすることとなるので、常に効率良く適切な量の毛髪を軽快な切り心地でカットすることができる極めて実用性に秀れた画期的なすき鋏を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0008] 添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。

[0009] 刃縁 11を形成した刃板 1と櫛刃 2を多数並設状態に突設した櫛状刃板 3とを、両刃板 1, 3の交叉部で枢着して開閉自在に構成し、前記櫛刃 2の先端縁に毛髪 4を支承保持する凹状保持縁を形成し、この凹状保持縁に支承保持された毛髪 4を刃板 1の刃縁 11によって切断し、前記櫛刃 2間に入った毛髪 4は、刃板 1の刃縁 11によって切断し得ないように構成したすき鋏であって、前記櫛刃 2の先端縁を、前記櫛状刃板 3 の基端側を高位端側部 6a,先端側を低位端側部 6bとして高位端側部 6aから低位端側部 6bに直線状に下り傾斜する傾斜辺状縁 6に形成し、更に、傾斜辺状縁 6は、各櫛刃 2の高位端側部 6aを次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部 6bがこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃 2基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成し、この傾斜辺状縁 6に前記凹状保持縁としての凹溝 14を凹設し、この傾斜辺状縁 6は毛髪 4を前記傾斜辺状縁 6の高位力低位に毛髪 4の自重若しくは前記刃板 1の閉動による押圧によって案内する傾斜案内部となるように形成し、この傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に凹設された前記凹溝 14は、毛髪 4が該傾斜辺状縁 6の高位力も低位に案内される際に、毛髪 4が滑落し支承保持されることによってこの毛髪 4を凹溝 14に留め、傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に毛髪 4が排出されることを阻止するように形成したことを特徴とするすき鋏に係るものである。

[0010] また、前記凹溝 14は、前記傾斜辺状縁 6に複数並設状態に凹設したことを特徴とする請求項 1記載のすき鋏に係るものである。

[0011] また、前記凹溝 14は、前記傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b側寄りに凹設した構成としたことを特徴とする請求項 1, 2のいずれ力 1項に記載のすき鋏に係るものである。

[0012] また、前記傾斜辺状縁 6の低位端側部 6bに、この傾斜辺状縁 6と対向状態に傾斜短辺状縁 7を設けることで、前記櫛刃 2の先端縁に傾斜短辺状縁 7と傾斜辺状縁 6とからなる偏 U字状若しくは偏 V字状の凹縁部 9を形成し、この凹縁部 9は、前記傾斜辺状縁 6に凹設した凹溝 14に支承保持されずに残余としてそのまま前記櫛刃 2間に排出される毛髪 4が、前記傾斜短辺状縁 7によって阻止され凹縁部 9で支承保持されると共に、所定量の毛髪 4がこの凹縁部 9で支承保持されると残余は前記刃板 1の閉動作による押圧によって前記傾斜短辺状縁 7を越えて前記櫛刃 2間に排出されるように形成した構成としたことを特徴とする請求項 1〜3のいずれか 1項に記載のすき鋏に係るものである。発明の効果

[0013] 本発明は上述のように構成したから、前記櫛刃の先端縁である傾斜辺状縁に載つた毛髪は、各櫛刃の高位端側部を次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部がこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成した傾斜案内部としての該傾斜辺状縁を、自重によって滑落することとなり、この傾斜辺状縁に凹設された凹溝に案内されるから、凹溝には良好に所定量の毛髪が溜まることとなり、凹溝において支承保持された毛髪だけを確実にカットでき、し力も、この凹溝に入り切らな力つた残余は前記傾斜辺状縁を滑動し櫛刃間に排出されることとなり、この残余分の毛髪に折り目を付けることなくカッティングを行うことができ、よって、常に適切な量の毛髪を効率良く軽快にカットでき作業性に秀れる。

[0014] また、前記傾斜辺状縁に載った毛髪は自重だけでなく前記刃板の押圧によって強制的に押動され、前記傾斜辺状縁を低位端側部に向かって滑落することとなり、前記凹溝に確実に毛髪が溜まると共に、この凹溝で支承保持し切れなかった残余分の毛髪を、強制的に前記櫛刃間に排除できるから、毛髪に折り目がっくことを確実に阻止でき作業性に秀れる。

[0015] また、前記傾斜辺状縁は、直線状に形成されて!ヽるから、前記毛髪は、該傾斜辺状縁のどの位置に載った場合にも良好に低位端側部側に滑落することとなり、よって、この傾斜辺状縁に載った毛髪は、一層確実に、前記凹溝に案内されて該凹溝にて支承保持されるか、若しくは、該傾斜辺状縁から前記櫛刃間に排出されることとなり、一層毛髪に折り目を付けることなぐ所定量の毛髪のみを良好にカットできる。

[0016] しかも、本発明に係るすき鋏の先端縁は、従来のすき鋏と比しても、構成が複雑なものではなぐあくまでも、従来のすき鋏と略同様な製造コストで、容易に製造が可能でありながら、それでいて、上述のような秀れた作用効果を発揮し得る実用性に秀れたものである。

[0017] 従って、本発明に係るすき鋏は、常に一回のカッティング動作で適切な量の毛髪を効率よく軽快にカットでき、しかも、毛髪に枝毛の原因となる折り目を付けることなく良好にカットでき、更に、生産性やコスト面においても秀れるなど、極めて実用性に秀れた画期的で商品価値の高!、すき鋏である。

[0018] また、請求項 2記載の発明にお、ては、前記傾斜辺状縁と前記凹溝によって、毛髪に折り目をつけずに適切な量を良好にカットすることができるのは勿論、前記凹溝を複数並設状態に凹設することにより、毛髪を複数箇所に分散して支承保持することとなるから、個々の凹溝を小さく設定することができ、これらの複数の凹溝を次々と順番に段階的にカットすることとなるから、各個に小さい抵抗でこれらの複数の凹溝を段階的にカットし、一層軽快なカッティングを行うことができ、また、例えば、抵抗の小さい軽快な切り心地を保ちながら、一度のカッティング動作でより多くの毛髪を軽快にカッティングすることもできるなど、一層作業性に秀れる。

[0019] また、上述の通り、傾斜辺状縁に載った毛髪は、自重及び前記刃板の閉動による押圧によって、これらの複数の凹溝夫々に良好に案内されるから、これらの複数の凹溝夫々に確実に毛髪が溜まることとなるから、凹溝を複数並設状態に凹設したことによる上記秀れた効果が確実に発揮され、この点においても実用性に秀れる。

[0020] また、請求項 3記載の発明においては、傾斜辺状縁に載った毛髪の内の、より多くの毛髪が前記凹溝に案内されることとなるから、凹溝に適切量の毛髪を一層確実に集め、一回のカッティング動作で一層確実に所定量の毛髪をカットすることができ、一層作業性に秀れる。

[0021] また、請求項 4記載の発明においては、前記凹溝で支承保持し切れなかった毛髪を、凹縁部にて支承保持し得る構成により、前記凹溝だけでなぐ該凹溝及び前記凹縁部の複数箇所で毛髪を分散して支承保持するから、これら分散された毛髪を各個に小さい抵抗で段階的にカットできるなど、一層軽快なカッティングを行うことができ、実用性に秀れる。

発明を実施するための最良の形態

[0022] 好適と考える本発明の実施形態 (発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。

[0023] 刃板 1と櫛状刃板 3とにより挟持した毛髪 4を切断する。この際、前記櫛状刃板 3に多数並設状態に突設した櫛刃 2間に入った毛髪 4は切断されず、前記櫛刃 2の先端縁に複数形成した凹溝 14により支承保持された毛髪 4だけが良好に切断されることになり、毛髪 4に折り目がっくことが阻止される。

[0024] 具体的には、前記櫛刃 2の先端縁を、前記櫛状刃板 3の基端側を高位端側部 6a, 先端側を低位端側部 6bとして高位端側部 6aから低位端側部 6bに直線状に下り傾斜する傾斜辺状縁 6に形成して、更に、この傾斜辺状縁 6は、各櫛刃 2の高位端側部 6aを次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部 6bがこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃 2基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成して、該傾斜辺状縁 6を傾斜案内部となるように形成したから、この傾斜辺状縁 6に載った前記毛髪 4は、前述の通り、大きく下り傾斜する傾斜辺状縁 6上を自重により下方向に滑り落ち、傾斜辺状縁 6に凹設した前記凹溝 14 へ案内され、この凹溝 14に滑落し支承保持されることとなる。即ち、凹溝 14には前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4が徐々に溜まることとなる。

[0025] また、この際、前記凹溝 14に支承保持可能な限界量の毛髪 4が溜まると、残余分の毛髪 4は、凹溝 14に支承保持されずにそのまま自重によって前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6を下方に滑動し、該傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に排出されることとなる。

[0026] また、前記傾斜辺状縁 6は、上述の通り、前記櫛状刃板 3の基端側から先端側に向かって下り傾斜するように形成されており、即ち、前記刃板 1と前記櫛状刃板 3とが閉じる際、基端側力も先端側に向力つて徐々に閉塞する刃板 1と櫛状刃板 3の閉動作に応じて、毛髪 4はこの刃板 1の刃縁 11の押圧により、櫛状刃板 3の基端側から先端側に強制的に押動され、前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6を低位端側部 6a〖こ向かって滑落することとなる。

[0027] つまり、前記傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6aから低位端側部 6bに向カゝつて大きく下り傾斜した形状のため、該傾斜辺状縁 6に載った毛髪は、自重によって確実に下方の低位端側部 6b側に滑落することとなり、し力も、傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4は、単に自重によって傾斜辺状縁 6を滑落するだけでなぐ前記刃板 1の刃縁 11の押圧によっても、強制的に傾斜辺状縁 6を滑落することとなり、よって、前記凹溝 14には傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4が誘い込まれて確実に毛髪 4が溜まることになると共にこの凹溝 14に入り切らない毛髪 4はこの傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に確実に排出されることになる。即ち、前記傾斜辺状縁 6が小さく下り傾斜して V、た場合若しくは殆ど傾斜してヽな、平坦縁だった場合にぉ、ては、上述のような前記傾斜辺状縁 6の傾斜案内部としての作用効果が発揮されない。

[0028] また、前記傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6aから低位端側部 6bに向かって直線状に下り傾斜した形状なので、必然的に、傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6a乃至低位端側部 6bの、どの箇所においても前記毛髪 4を低位端側部 6b側に良好に滑落させ得る下り傾斜角度を有することとなるので、該傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4は、確実に低位端側部 6b側に案内され該凹溝 14にて支承保持されるか、若しくは、傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に排出されることとなる。

[0029] 従って、本発明にお、ては、所定傾斜角度で下り傾斜する直線状の前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4を、自重及び前記刃板 1の刃縁 11の押圧によって、確実に低位単側部 6b側に滑落させるから、前記凹溝 14には確実に毛髪 4が溜まることとなり、この凹溝 14で支承保持し切れな力つた残余も確実に傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に排出されることとなり、常に適切量の毛髪 4を凹溝 14に集めて、残余は櫛刃 2間に排出して折り目を付けることを阻止して良好にカッティングを行えることとなる。

[0030] また、単に、従来のすき鋏の櫛刃の先端の平坦縁を所定傾斜角度に傾斜させただけの前記傾斜辺状縁 6に、従来のすき鋏の凹状保持縁としての前記凹溝 14を凹設しただけの簡易構造であり、従来のすき鋏と比して、極端に製造が困難になったりコスト高となることがない。従って、本発明に係るすき鋏は、あくまでも、従来のすき鋏と略同様な生産コストで容易に製造可能でありながら、従来のすき鋏にはな!、秀れた作用効果を発揮し得る実用性に秀れたものである。

[0031] また、請求項 2記載の発明にお、ては、前記凹溝 14が前記傾斜辺状縁 6に複数並設状態に凹設されているから、これらの複数の凹溝 14のうちの上方側に凹設した一の凹溝 14に入り切らな力つた毛髪 4は、傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に案内されて、これらの複数の凹溝 14のうちの下方側に凹設した他の凹溝 14に案内されて該凹溝 14によって支承保持されることとなる。即ち、前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4は、これら複数の凹溝 14によって分散して支承保持されることとなる。

[0032] ここで、前記傾斜辺状縁 6は前記櫛状刃板 3の基端側から先端側に向けて下り傾斜している形状であるが故に、前記傾斜辺状縁 6に凹設された複数の凹溝 14は、上方側に凹設された凹溝 14程前記櫛状刃板 3の基端側となり、下方側に凹設された凹溝 14程前記櫛状刃板 3の先端側となる。即ち、前記傾斜辺状縁 6に複数並設状態に凹設されたこれらの凹溝 14は、カッティング動作によって前記刃板 1及び櫛状刃板 3 が基端側力も先端側に向けて徐々に閉塞していく際の、刃板 1の刃縁 11の軌道に沿つて配設されることとなる。

[0033] 従って、これらの複数の凹溝 14に分散して支承保持した毛髪 4をカットする際には、刃板 1の刃縁 11が最初に到達する位置、即ち、前記傾斜辺状縁 6の高位端側部 6a 側に位置する凹溝 14から、順番に、低位端側部 6b側に凹設された凹溝 14に向かつて、次々と、段階的にカッティングが行われることとなる。

[0034] つまり、複数の凹溝 14で毛髪 4を分散して支承保持するから、個々の凹溝 14の大きさは小さく設定でき、小さく設定されたこれらの複数の凹溝 14に支承保持された毛髪 4を各個に段階的に小さい抵抗でカットすることができるから、一層軽快なカッテイングを行免ることとなる。

[0035] また、例えば、より多くの毛髪 4を凹溝 14に支承保持しょうとした際に、単に一つの凹溝 14によって多量の毛髪 4を支承保持する場合には、一力所に集められた多量の毛髪 4をそれだけ大きい抵抗でカットしなくてはならず軽快な切り心地を損ねてしまう力これに対して、本発明に係るすき鋏は、多量の毛髪 4を支承保持する場合にも、複数の凹溝 14によって分散して支承保持し、これらの分散されて支承保持された毛髪 4を、順番に、分散された分だけ各個に小さい抵抗でカットすることとなるから、軽快な切り心地を保持したまま、一回のカッティング動作でより多くの毛髪 4をカットできることとなる。

[0036] また、請求項 3記載の発明にお、ては、傾斜案内部としての前記傾斜辺状縁 6を高位端側部 6aから低位端側部 6bへ一方方向に案内される前記毛髪 4は、該傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b側寄り、即ち、毛髪 4案内方向側寄りに凹設された凹溝 14に、より良好に案内されて、この凹溝 14には、一層確実に毛髪 4が集められることとなる。

[0037] また、請求項 4記載の発明にお、ては、凹溝 14に支承保持し切れな力つた毛髪 4が、自重と前記刃板 1の閉動による押圧によって前記傾斜辺状縁 6を滑動し、傾斜辺状縁 6の低位端側部 6aに向力つて滑落し、このまま傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に排出されることを前記傾斜短辺状縁 7によって阻止され、この毛髪 4は前記傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b側と前記傾斜短辺状縁 7とにより前記櫛刃 2の先端縁の一側寄りに形成される凹縁部 9に溜まることとなる。

[0038] この際、この凹縁部 9に毛髪 4が溜まる程、前記傾斜短辺状縁 7は、毛髪 4が櫛刃 2 間に排出されるのを阻止する作用が小さくなり、毛髪 4は前記傾斜短辺状縁 7を越えて前記櫛刃 2間に入りやすくなる。

[0039] よって、前記凹溝 14だけでなぐこの凹縁部 9によって前記毛髪 4を支承保持することで、毛髪 4をより多数箇所に分散して支承保持できるから、上述の通り、複数に分散された毛髪 4を、段階的に、各個に小さい抵抗でカットできるから、より軽快にカツティングを行えることとなる。

[0040] また、一定量支承保持した前記凹縁部 9は、毛髪 4が櫛刃 2間に排出されることを阻止する効果を失い、容易に毛髪 4はこの凹縁部 9を越えて前記櫛刃 2間に排出されることとなり、常に最適な量の毛髪 4だけがこの凹縁部 9に保持されるから、毛髪 4 の保持量が増え過ぎてカッティングを行う際の抵抗が大きくなり軽快な切り心地を損ねてしまうことが阻止される。

実施例 1

[0041] 本発明の具体的な実施例 1につ、て図面に基づ!/、て説明する。

[0042] 本実施例は、図 1に図示したように、刃縁 11を形成した刃板 1と櫛刃 2を多数並設状態に突設した櫛状刃板 3とを、両刃板 1, 3の交叉部を支点ネジ 10で枢着して開閉自在に構成し、前記櫛刃 2の先端縁に毛髪 4を支承保持する凹状保持縁を形成し、この凹状保持縁に支承保持される毛髪 4を刃板 1の刃縁 11によって切断し、前記櫛刃 2間に入った毛髪 4は、刃板 1の刃縁 11によって切断し得な!/ヽように構成したすき鋏であって、具体的には図 2に図示したように、前記櫛刃 2の先端縁を、前記櫛状刃板 3の基端側を高位端側部 6a,先端側を低位端側部 6bとして高位端側部 6aから低位端側部 6bに直線状に下り傾斜する傾斜辺状縁 6に形成し、更に、傾斜辺状縁 6は、各櫛刃 2の高位端側部 6aを次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部 6bがこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃 2基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成し、この傾斜辺状縁 6に前記凹状保持縁としての凹溝 14を凹設し、この傾斜辺状縁 6は毛髪 4を前記傾斜辺状縁 6 の高位力低位に毛髪 4の自重若しくは前記刃板 1の閉動による押圧によって案内する傾斜案内部となるように形成し、この傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に凹設された前記凹溝 14は、毛髪 4が該傾斜辺状縁 6の高位力低位に案内される際に、毛髪 4が滑落し支承保持されることによってこの毛髪 4を凹溝 14に留め、傾斜辺状縁 6 力も前記櫛刃 2間に毛髪 4が排出されることを阻止するように形成したものである。

[0043] 具体的に各部を説明すると、刃板 1は、先端縁に刃縁 11を形成し、基端部に母子穴 12を設けたものである。

[0044] 櫛状刃板 3は、先端部に櫛刃 2を多数複数並設状態に突設し、基端部に貫指穴 13 を設けたものである。

[0045] 傾斜辺状縁 6は、該傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4を自重により低位端側部 6bに滑落させるように下り傾斜した形状であり、また、前記刃板 1の閉動による刃縁 11の押圧によっても前記毛髪 4を低位端側部 6b側に強制的に滑落させるように構成したものである。

[0046] 具体的には、前記高位端側部 6aから前記低位端側部 6bに直線状に下り傾斜しており、更に、この傾斜辺状縁 6は、各櫛刃 2の高位端側部 6aを次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部 6bがこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃 2基端側（図 2中、下方側）に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成したものである。

[0047] 即ち、この傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6aに対して低位端側部 6bが櫛刃 2基端側

(図 2中、下方側）の位置となるように形成し、大きく下り傾斜した形状としたので、これにより、傾斜辺状縁 6に載った前記毛髪 4を、自重によって低位端側部 6b側に確実に滑落させ、また、刃板 1閉動時における刃縁 11の閉動軌跡方向に沿って傾斜辺状縁 6が下り傾斜した形状のため刃板 1閉動時における刃縁 11の押圧によっても前記毛髪 4を確実に低位端側部側 6bに滑落させるように構成され、よって、傾斜辺状縁 6 は、該傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4を確実に凹溝 14に案内する力若しくは前記櫛刃 2間に排出する傾斜案内部となる。 [0048] また、更に具体的には、この傾斜辺状縁 6は、図 2に図示したように、前記櫛刃 2の突出方向に対して約 45° 程傾斜した形状である。尚、この傾斜辺状縁 6の傾斜角度は、本実施例のものに限られるものではなぐ他にも、本実施例と同様の特性を発揮し得る傾斜角度であれば良、。

[0049] 凹溝 14は、図 2に図示したように、前記傾斜辺状縁 6上に複数並設状態に凹設され、この凹溝 14は前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6によって案内されてきた毛髪 4 を支承保持するように形成して、る。

[0050] 具体的には、図 2に図示したように、前記傾斜辺状縁 6に所定間隔で二か所、図 2 中、鉛直方向（前記櫛状刃板 3の形成長さ方向と略直交する方向）に偏 U字状に凹設した構成である。尚、これらの凹溝 14の溝深さ，配設位置は、これらの凹溝 14に支承保持された毛髪 4が、前記刃縁 11によって段階的にカットされるように考慮し、決定される。

[0051] 更に具体的には、前記二つの凹溝 14は、実際にカッティングを行い前記刃板 1と櫛状刃板 3を基端側から先端側に向けて徐々に閉塞させていく際の、刃板 1の刃縁 11 の閉動軌跡に沿うように配設されており、この刃板 1の刃縁 11によって高位端側部 6a 側（図 2中、右上側）に凹設された凹溝 14に支承保持された毛髪 4が全てカットされた後、低位端側部 6b側（図 2中、左下側）に凹設された凹溝 14に支承保持された毛髪 4 が前記刃縁 11によってカットされるように設定して、る。

[0052] 本実施例は、上述のように構成したから、カッティングを行う際、前記傾斜辺状縁 6 に載った毛髪 4は、図 2に図示したように、大きく下り傾斜した傾斜辺状縁 6を、自重により滑落し、前記櫛刃 2間に排出される力、若しくは、該傾斜辺状縁 6に凹設された前記凹溝 14に案内されることになる。

[0053] また、前記傾斜辺状縁 6は、前記櫛状刃板 3の基端側力も先端側に向力つて下り傾斜しているから、該傾斜辺状縁 6は、前記刃板 1閉動時における刃縁 11の閉動軌跡方向に沿って下り傾斜することとなり、従って、該傾斜辺状縁 6に載った毛髪は、自重だけでなぐこの閉動する刃板 1の刃縁 11の押圧によっても、低位端側部 6b方向に滑落することとなる。

[0054] この際、凹溝 14が偏 U字状にして該凹溝 14に案内された毛髪 4を支承保持し得るように形成しているから、凹溝 14に案内された毛髪 4は、凹溝 14に支承保持され前記櫛刃 2間への排出が阻止されることとなる。

[0055] 即ち、前記櫛状刃板 3をカットを行う人の頭部に当てることで、単に、偶然前記凹溝 14に入った毛髪 4だけでなぐ前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4も、この傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6を自重及び前記刃縁 11の押圧によって滑落し、前記凹溝 14に案内されて、該凹溝 14には確実に毛髪 4が溜まることとなる。

[0056] また、この凹溝 14に毛髪 4が溜まり、この凹溝 14にて支承保持可能な所定量の毛髪 4が溜まった際には、この凹溝 14は支承保持力を失うので、残余の毛髪 4は、該凹溝 14に案内されても支承保持されずに、凹溝 14を通り越えて、更に傾斜辺状縁 6を滑り落ち、前記櫛刃 2間に排出されることとなる。この櫛刃 2間に入った毛髪 4は切断されず、前記櫛刃 2の先端縁に形成した凹溝 14により支承保持された毛髪 4だけが良好に切断されることとなる。

[0057] 即ち、例えば、前記櫛刃 2を幅狭として、本実施例に係る凹溝 14だけを先端縁に設定した場合、傾斜辺状縁 6を有さない U字凹溝状先端縁となり、傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6がな、ので、直接凹溝 14に入った毛髪 4だけし力切断できず効率が悪いが、これに対し、本実施例においては、前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4を、前記凹溝 14に誘い込み、良好に凹溝 14に毛髪 4をためることができるから、常に効率良く凹溝 14に毛髪 4を集めることができ、良好に毛髪 4をカットできる。また、例えば、前記櫛刃 2の先端を、前記傾斜辺状縁 6のように大きく傾斜した形状とせず、単に、略平坦な平坦縁とし、この平坦縁の中央部に凹状保持縁を設けた構成の場合、この平坦縁に前記毛髪 4が残ったまま、確実に毛髪 4を支承保持できていな、状態で切断することで良好にカッティングが行えな、だけでなく、この毛髪 4に枝毛の原因となる折り目を付けてしまうが、これに対し、本実施例においては、前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6によって、この傾斜辺状縁 6の傾斜面を自重によって毛髪 4が滑落し、良好に前記凹状保持縁としての凹溝 14に毛髪 4を誘い込めるだけでなぐ前記刃板 1により強制的に毛髪 4を基端側力先端側へ押動し凹溝 14に誘い込むので、毛髪 4は前記傾斜辺状縁 6に残ってしまうことなぐ前記凹溝 14によって確実に支承保持されることとなる。 [0058] また、前記傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6aから低位端側部 6bに直線状に下り傾斜した形状であるから、必然的に、該傾斜辺状縁 6は、高位端側部 6a乃至低位端側部 6bにおいて同様な下り傾斜角度を有すこととなり、即ち、前記毛髪 4は、傾斜辺状縁 6のどの箇所に載った場合にぉ、ても、良好に低位端側部 6b側に滑落することとなる。

[0059] よって、本実施例においては、カッティングを行う際に、傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4が前記傾斜案内部としての傾斜辺状縁 6に案内されて、従来の櫛刃 2の先端縁の凹状保持縁としての前記凹溝 14に確実に毛髪 4が溜まることとなり、また、この凹溝 14 に所定量の毛髪 4が保持されると、残余分の毛髪 4は傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に確実に排出されることとなり、常に適切な量の毛髪 4だけを支承保持して、効率良く軽快にカッティングを行えると共に毛髪 4に折り目が付くことも確実に阻止することができるなど作業性に秀れ、極めて実用性に秀れた画期的で商品価値の高いすき鋏である。

[0060] し力も、本実施例においては、前記傾斜辺状縁 6は、複雑な曲線状の形状でなぐ単に高位端側部 6aから低位端側部 6bに向かって直線状に下り傾斜した形状であつて、即ち、単に従来のすき鋏の櫛刃の先端の平坦縁を大きく下り傾斜させた形状の前記傾斜辺状縁 6に、従来のすき鋏の凹状保持縁としての前記凹溝 14を凹設しただけの簡易構造であり、従来のすき鋏と比して、極端に製造が困難になったりコスト高となることなぐあくまでも、従来のすき鋏と略同様な製造コストで製造可能でありながら、従来のすき鋏にはない秀れた作用効果を発揮し作業性に秀ることとなり得るものであって、生産性やコスト性に秀れ、この点においても実用性に秀れたすき鋏である。

[0061] また、前記凹溝 14は前記傾斜辺状縁 6に所定間隔で二か所に並設状態に凹設した構成である為、これら傾斜辺状縁 6の二力所に凹設された凹溝 14のうちの上方側に凹設された凹溝 14に毛髪 4がたまり、一定量の毛髪 4が溜まることで、この凹溝 14 が保持力を失い、この凹溝 14で支承保持し切れなカゝつた毛髪 4は、傾斜辺状縁 6を滑り落ちて傾斜辺状縁 6上に凹設された凹溝 14のうちの下方側に凹設された凹溝 14 に誘い込まれ、この下方側の凹溝 14によって支承保持されることとなる。

[0062] 即ち、前記傾斜辺状縁 6上の二力所に凹設した凹溝 14に分散して毛髪 4を支承保持する構成であり、実際にカッティングを行う際には、凹溝 14に保持された毛髪 4を、二回に分けて切断することとなる。

[0063] ここで、前記傾斜辺状縁 6が前記櫛状刃板 3の基端側から先端側に下り傾斜している形状であるが故に、前記傾斜辺状縁 6に凹設された凹溝 14のうち一の凹溝 14は上方側にして前記櫛状刃板 3の基端側に位置し、他の凹溝 14は下方側にして前記櫛状刃板 3の先端側に位置する凹溝 14となる。

[0064] 即ち、前記二つの凹溝 14は、実際にカッティングを行い前記刃板 1と櫛状刃板 3を基端側から先端側に向けて徐々に閉塞させていく際の、刃板 1の刃縁 11の閉動軌跡に沿うように配設されてヽるので、前記傾斜辺状縁 6の上方側にして基端側に凹設された一の凹溝 14には、下方側にして先端側に凹設された他の凹溝 14より先に前記刃板 1の刃縁 11が到達することとなり、この刃縁 11によって一の凹溝 14に支承保持する毛髪 4がカットされることとなる。更に、下方側にして先端側に凹設した他の凹溝 14 に前記刃板 1の刃縁 11が到達する際には、既に一の凹溝 14に支承保持された毛髪 4 のカットは完了している状態となる。

[0065] つまり、前記傾斜辺状縁 6に凹設された二つの凹溝 14で支承保持する毛髪 4を、同時にカットするわけではなぐ段階的に、まず一の凹溝 14に支承保持された毛髪 4をカットし、次いで他の凹溝 14に支承保持された毛髪 4のカットを行うこととなるので、夫々の凹溝 14に支承保持された毛髪 4を、段階的に、各個に小さい抵抗で段階的に切断することとなる。

[0066] 従って、本実施例においては、一層小さい抵抗で毛髪 4をカッティングすることができるだけでなぐ前記凹溝 14の二つの凹溝でより多くの毛髪 4を支承保持しても、これら毛髪 4を単に一力所に集めて支承保持して大きな抵抗で一度にカットする場合と比して、大量の毛髪 4も二つの凹溝 14に分散して保持し、各個に小さい抵抗で段階的に切断していくこととなり、抵抗の小さい快適な切り心地を保ったまま、一回のカツティング動作でより多くの毛髪 4をカットすることができるなど、この点においても一層実用性に秀れる。

[0067] 尚、前記凹溝 14は、図 2に図示した形状に限られるものではなぐこの他にも、例えば、偏 V字状など、本実施例の特性を発揮し得る形状であれば良い。実施例 2

[0068] 本発明の具体的な実施例 2について図面に基づいて説明する。

[0069] 本実施例は、実施例 1の別例であり、具体的には、図 3に図示したように、前記傾斜辺状縁 6の低位端側部 6a側に、該傾斜辺状縁 6と対向状態に傾斜短辺状縁 7を設けることで、前記櫛刃 2の先端縁に、この傾斜短辺状縁 7と傾斜辺状縁 6とからなる偏 U字状の凹縁部 9を形成した構成である。

[0070] この凹縁部 9は、図 3に図示したように、前記傾斜辺状縁 6と前記傾斜短辺状縁 7とによって前記櫛刃 2の先端縁の図 3中、左寄り（前記櫛状刃板 3の先端側寄り）に形成される偏 U字状の構成のものであって、更に、この凹縁部 9は、前記傾斜辺状縁 6 に凹設した凹溝 14に支承保持されずに残余としてそのまま前記櫛刃 2間に入る毛髪 4が、前記傾斜短辺状縁 7によって阻止され凹縁部 9で支承保持されると共に、所定量の毛髪 4がこの凹縁部 9で支承保持されると残余は前記刃板 1の閉動作による押圧によって前記傾斜短辺状縁 7を越えて前記櫛刃 2間に排出されるように形成した構成のものである。

[0071] また、傾斜短辺状縁 7の形状は、前記凹縁部 9での毛髪 4の最適な支承保持量を考慮し、決定される。具体的は、実際にカッティングを行う際に、前記凹溝 14に支承保持された毛髪 4が全て前記刃板 1の刃縁 11によってカットされた後、該刃板 1の刃縁 11によって前記凹溝部 9に支承保持された毛髪 4のカットが開始されるように傾斜短辺状縁 7の形状を設定してヽる。

[0072] 本実施例は、上述のように構成したから、前記凹溝 14にて支承保持し切れなかった毛髪 4が、前記傾斜辺状縁 6を滑り落ち、この傾斜辺状縁 6の低位端部 6bに案内され、前記傾斜短辺状縁 7により前記櫛刃 2間に排出されることが阻止されて、この毛髪 4は前記傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b側と前記傾斜短辺状縁 7とにより前記櫛刃 2の先端縁の一側寄りに形成される凹縁部 9に溜まることとなり、また、この凹縁部 9に毛髪 4が溜まる程、前記傾斜短辺状縁 7の、毛髪 4が前記櫛刃 2間に排出されるのを阻止する作用が小さくなり、毛髪 4は前記傾斜短辺状縁 7を越えて前記櫛刃 2間に入りやすくなる。

[0073] つまり、この凹縁部 9には、良好に毛髪 4が集まり、該凹縁部 9で支承保持されると共に、この支承保持量が多くなりすぎることなぐ残余は良好に前記櫛刃 2間に排出されるから、常に適切な量の毛髪 4のみが該凹縁部 9にて支承保持されることとなる。

[0074] よって、本実施例においては、前記凹溝 14だけでなぐ前記凹縁部 9によっても、最適な一定量の毛髪 4を支承保持すると共に残余分は確実に前記櫛刃 2間に排出し、常に適切な量の毛髪 4をカッティングすることができ、毛髪 4に枝毛の原因となる折り目を付けることもなく良好にカッティングを行うことができる。

[0075] また、この凹縁部 9及び凹溝 14によって、前記毛髪 4を一層複数箇所に分散して支承保持し、これらの毛髪 4を各個に一層小さヽ抵抗でカットすることができることとなり、例えば、これらの凹縁部 9及び凹溝 14でより多くの毛髪 4を保持しても、これらの複数の箇所に分散して支承保持された毛髪 4を各個に一層小さい抵抗でカットすることで、抵抗の小さい軽快な切り心地を保ったまま、一回のカッティング動作で一層多くの毛髪 4をカットすることができることとなるなど、一層作業性に秀れたすき鋏となる。

[0076] 尚、前記凹縁部 9を偏 V字状に形成しても良ぐこの場合は凹縁部 9の傾斜短辺状縁 7の、前記毛髪 4が前記櫛刃 2間に排出されるのを阻止する作用が一層高くなる。

[0077] その余は実施例 1と同様である。

実施例 3

[0078] 本発明の具体的な実施例 3について図面に基づいて説明する。

[0079] 本実施例は、実施例 1の別例であって、図 4に図示したように、櫛刃 2の傾斜辺状縁

6に凹設される前記凹溝 14を、傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b側寄りに凹設した構成のものである。

[0080] 具体的には、凹溝 14は、図 4に図示したように、傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b寄りに 3箇所、所定間隔を介して複数並設状態に凹設した構成である。

[0081] また、凹溝 14は、前記傾斜辺状縁 6の傾斜面に対して直交方向に凹設して U字状に形成している。

[0082] また、これらの複数並設状態の凹溝 14の溝深さ，配設位置は、これらの凹溝 14に支承保持された毛髪 4が、前記刃縁 11によって段階的にカットされるように考慮し、決定される。具体的には、これらの複数の凹溝 14は、実際にカッティングを行い前記刃板 1と櫛状刃板 3を基端側から先端側に向けて徐々に閉塞させていく際の、刃板 1の刃縁 11の閉動軌跡に沿うように配設されており、高位端側部 6a側（図 4中、右上側）に凹設された凹溝 14に支承保持された毛髪 4力順番に前記刃板 1の刃縁 11による力ットが開始され、凹溝 14に支承保持された毛髪 4が全てカットされた後、次いで、低位端側部 6b側（図 4中、左下側）に凹設された凹溝 14に支承保持された毛髪 4のカットが開始されるように設定して、る。

[0083] 尚、前記凹溝 14の凹設箇所は、本実施例のものに限られるものではなぐ例えば、図 5に図示したように、傾斜辺状縁 6の低位端側部 6b近傍位置に、一箇所にのみ凹設する構成としても良ぐまた、例えば、複数箇所に凹設する構成としても良い。

[0084] また、本実施例にお!、ては、図 4に図示したように、前記傾斜辺状縁 6の高位端側部 6aを R形状に形成してヽる。

[0085] 具体的には、この傾斜辺状縁 6の高位端側部 6aに面取り加工を施して、図 4に図示したように、傾斜辺状縁 6の高位端側部 6a近傍位置を R形状に形成したものである

[0086] 本実施例は、上述のように構成したから、傾斜案内部としての前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4は、自重及び閉動する刃板 1の刃縁 11の押圧によって、低位端側部 6a 方向に滑動し、低位端側部 6a側寄りに複数並設状態に凹設された前記凹溝 14に該毛髪 4が集められることとなる。

[0087] ここで、前記傾斜辺状縁 6の前記凹溝 14凹設位置よりも上方側に載った毛髪 4は、下方に位置する前記凹溝 14に向力つて案内されることとなるが、これに対して、前記傾斜辺状縁 6の凹溝 14凹設位置よりも下方側に載った毛髪 4は、上方に位置する凹溝 14に案内されることなぐただ該傾斜辺状縁 6から前記櫛刃 2間に排出されるのみである。

[0088] 従って、本実施例のように、前記凹溝 14を傾斜辺状縁 6の下方側に凹設することで、前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4の殆どがこれらの複数の凹溝 14に案内されることとなるので、必然的に、該凹溝 14に効率良く毛髪 4がたまり支承保持されることとなる

[0089] また、前記刃板 1と前記櫛状刃板 3とを閉動させる際、この刃板 1の刃縁 11と、前記傾斜辺状縁 6の高位端側部 6aとが当接しても、該高位端側部 6aが R形状に形成されているから、該高位端側部 6aが鋭頭な形状に形成されていた場合に比して、高位端側部 6aと刃縁 11とが引っ掛かりにくぐそれだけ抵抗が小さぐ軽快に閉動作、即ち、カッティング動作を行えることとなる。

[0090] よって、本実施例は、前記傾斜辺状縁 6に載った毛髪 4のうちの殆どの毛髪 4を前記凹溝 14に案内できるから、複数並設状態に設けた前記凹溝 14に、効率良く毛髪 4 が集められて、これらの凹溝 14には所定量の毛髪が良好に溜まるから、一回のカッテイング動作で一層効率よく確実に所定量の毛髪 4をカットすることができ、一層作業性に秀れた画期的なすき鋏である。

[0091] また、前記傾斜辺状縁 6の高位端側部 6aを R形状に形成することで、前記刃板 1と前記櫛状刃板 3とを閉動させる際の抵抗が小さくなるから、それだけ軽快に閉動作を行えることとなり、一層軽快にカッティングを行うことができ、実用性に秀れる。

[0092] その余は実施例 1と同様である。

[0093] 尚、本発明は、実施例 1〜3に限られるものではなぐ各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。

図面の簡単な説明

[0094] [図 1]実施例 1に係るすき鋏の説明図である。

[図 2]実施例 1に係るすき鋏の櫛刃の正面図である。

[図 3]実施例 2に係るすき鋏の櫛刃の正面図である。

[図 4]実施例 3に係るすき鋏の櫛刃の正面図である。

[図 5]実施例 3に係るすき鋏の櫛刃の別例の正面図である。

符号の説明

[0095] 1 刃板

2 櫛刃

3 櫛状刃板

4 毛髪

6 傾斜辺状縁

6a 高位端側部

6b 低位端側部傾斜短辺状縁凹縁部刃縁凹溝

Claims

請求の範囲

[1] 刃縁を形成した刃板と櫛刃を多数並設状態に突設した櫛状刃板とを、両刃板の交叉部で枢着して開閉自在に構成し、前記櫛刃の先端縁に毛髪を支承保持する凹状保持縁を形成し、この凹状保持縁に支承保持された毛髪を刃板の刃縁によって切断し、前記櫛刃間に入った毛髪は、刃板の刃縁によって切断し得ないように構成したすき鋏であって、前記櫛刃の先端縁を、前記櫛状刃板の基端側を高位端側部，先端側を低位端側部として高位端側部から低位端側部に直線状に下り傾斜する傾斜辺状縁に形成し、更に、傾斜辺状縁は、各櫛刃の高位端側部を次々と結線することで想定される刃先線に対して前記低位端側部がこの刃先線と略合致する位置にはなくこの刃先線より櫛刃基端側に離れた位置となるように大きく下り傾斜するように形成し、この傾斜辺状縁に前記凹状保持縁としての凹溝を凹設し、この傾斜辺状縁は毛髪を前記傾斜辺状縁の高位力低位に毛髪の自重若しくは前記刃板の閉動による押圧によって案内する傾斜案内部となるように形成し、この傾斜案内部としての傾斜辺状縁に凹設された前記凹溝は、毛髪が該傾斜辺状縁の高位力低位に案内される際に、毛髪が滑落し支承保持されることによってこの毛髪を凹溝に留め、傾斜辺状縁力も前記櫛刃間に毛髪が排出されることを阻止するように形成したことを特徴とするすき鋏。

[2] 前記凹溝は、前記傾斜辺状縁に複数並設状態に凹設したことを特徴とする請求項 1記載のすき鋏。

[3] 前記凹溝は、前記傾斜辺状縁の低位端側部側寄りに凹設した構成としたことを特徴とする請求項 1, 2のいずれか 1項に記載のすき鋏。

[4] 前記傾斜辺状縁の低位端側部に、この傾斜辺状縁と対向状態に傾斜短辺状縁を設けることで、前記櫛刃の先端縁に傾斜短辺状縁と傾斜辺状縁とからなる偏 U字状若しくは偏 V字状の凹縁部を形成し、この凹縁部は、前記傾斜辺状縁に凹設した凹溝に支承保持されずに残余としてそのまま前記櫛刃間に排出される毛髪が、前記傾斜短辺状縁によって阻止され凹縁部で支承保持されると共に、所定量の毛髪がこの凹縁部で支承保持されると残余は前記刃板の閉動作による押圧によって前記傾斜短辺状縁を越えて前記櫛刃間に排出されるように形成した構成としたことを特徴とする請求項 1〜3のいずれ力 1項に記載のすき鋏。