WO2005100830A1 - 回転式バルブ、その製造方法及び回転式バルブ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】貫通孔が形成された弁体を略円筒形状の固定シール体内にて回転させることにより流体通路を開閉し得る回転式バルブ、その製造方法及び回転式バルブ装置を提供する。 【解決手段】弁体を固定シール体内にて回転させることにより、該弁体及び該固定シール体を連通する流体通路を開閉し得る回転式バルブであって、前記固定シール体は略円筒形状をなし、その側壁に流体通路となる開口部が形成されていること、前記弁体は貫通孔が形成され、該固定シール体内に挿入若しくは圧入され回転可能となっていること、そして前記固定シール体は前記弁体の外形に倣うように該弁体と面接触していることからなる回転式バルブ。本発明の回転式バルブは固定シール体と弁体とが緊密に面接触しているので、密封性に優れ、構造が単純であるため製造が容易である。                                                                                 

Description

明 細 書

回転式バルブ、その製造方法及び回転式バルブ装置

技術分野

[0001] 本発明は回転式バルブ、その製造方法及び回転式バルブ装置、更に詳しくは、貫 通孔が形成された弁体を略円筒形状の固定シール体内にて回転させることにより流 体通路を開閉し得る回転式バルブ、その製造方法及び、バルブ装置本体に弁体と 固定シール体とを収納し、更に弁体の操作軸並びに側方及び上方からの締付具を 備えた回転式バルブ装置に関するものである。

背景技術

[0002] 貫通孔が形成された弁体を回転させることにより流体通路を開閉し得る回転式バル ブは、気体や液体などの流体の通路を簡便迅速に開閉し得るので、流体の流通を制 御する（例えば、流体の流通の停止又は開始、或いは、流体の分配、異種の流体の 混合等）手段として広く使用されている。球状の弁体を使用する回転式バノレブは、ボ ールバルブとして広く知られている。例えば、特許文献 1にはボールバルブのシート 構造が開示されており、図 6に従来のボールバノレブの基本的な構造の一例を示す。 図 6 (a)に示すボールバルブは、両側に流体通路 1 , 1を設けた弁箱 2内にバルブボ ール 3を回転可能に組み込み、弁箱 2の上部に外部力 バルブボール 3を回動する ためのステム 4を設け、弁箱 2内のバルブボール 3を挟む両側で流体通路 1， 1の端 部の位置に、バルブボール 3と両側流体通路 1， 1の間をシールするため、バルブボ ール 3が摺接するボールシート構造 5を設け、弁箱 2の外部カ ステム 4でバルブボ ール 3を回動操作することにより、連通する両流体通路 1， 1を開閉する構造を有する 図 6 (b)に、図 6 (a)のボールシート構造 5の拡大図を示す。 5 (b)のボールシート構 造 5は、弁箱 2に対して固定配置となる金属製のシートホルダー 6の端面に設けた凹 溝 7に、バルブボール 3が摺接するボールシート 8を組み込み、シートホルダー 6の端 面で内周の位置にシートリング座 9をシートホルダー 6に一体に形成した構造を有す る。 特許文献 1 :特開 2002 - 5314号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] ところで、図 6に示すような、いわゆる Oリングにてボールシートを形成した従来のボ ールバルブを塗装システムにおける塗料移送配管に使用した場合、以下に例示する ような問題が生じていた。

1)図 6 (b)に示すように、従来のボールバルブでは、バルブボール 3はボールシート 8と非常に狭い領域でのみしか接触しない。すなわち、バルブボール 3はボールシー ト 8と線接触するのみである。それ故、バルブボール 3とボールシート 8との密封性は 充分でなぐバルブボール 3とボールシート 8と間で塗料の洩れが生じ得る。

2)ボールバルブを開閉する際に、流体通路を流れる塗料が洩れて弁箱 2内に入り込 む可能性がある。弁箱 2内に入り込んだ塗料は、弁箱 2内に滞留する間に劣化する。 一旦ボールバルブを閉め、再度ボールバルブを開けた際、弁箱 2内に滞留した塗料 は流体通路 1， 1内を流れる新しい塗料に混入するので新しい塗料を汚染し、例えば 塗料の色調の変化や物性の低下を生じさせる。

3)塗料が長期間弁箱 2内に滞留すると溶媒が蒸発して、固形分 (樹脂成分や添加剤 など）が弁箱 2内に堆積する。この状態でボールバルブを開閉すると、堆積した前記 固形分が剥離し、これは塗装面にいわゆるブッゃスジなどを生じさせ、塗装面の外観 を悪化させる原因となる。

[0004] 本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とすると ころは、弁体の位置に関わらず弁体と固定シール体との間に優れたシール性能を得 ることができると共に、構造が簡単で製造が容易な回転式バルブ、その製造方法及 び回転式バルブ装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0005] 本請求項 1の回転式バルブは、弁体を固定シール体内にて回転させることにより、 該弁体及び該固定シール体を連通する流体通路を開閉し得る回転式バルブであつ て、

前記固定シール体は略円筒形状をなし、その側壁に流体通路となる開口部が形成 されていること、

前記弁体は貫通孔が形成され、該固定シール体内に挿入若しくは圧入され回転可 能となっていること、そして

前記固定シール体は前記弁体の外形に倣うように該弁体と面接触していることを特 徴とする。

本請求項 2の回転式バルブ装置は、略円筒形状をなし、その側壁に流体通路とな る開口部が形成されている固定シール体と、

貫通孔が形成され且つ該固定シール体内に揷入若しくは圧入され回転可能となつ ている弁体と、

前記固定シール体及び前記弁体を収容するバルブ装置本体と、

前記弁体と結合し、該バルブ装置本体の外部にまで延びる操作軸を備え、そして 前記固定シール体をその側方より押圧して締め付ける締付具に加えて、該固定シ 一ル体をその上方より押圧して締め付ける上側締付具を備え、

これにより、前記前記固定シール体は前記弁体の外形に倣うように該弁体と面接触 していることを特徴とする。

本請求項 3の回転式バルブは、前記流体通路を流通する流体が塗料、又は洗浄 液、すなわち、溶剤系塗料を用いた場合はシンナーなどの溶剤系洗浄液、水系塗料 を用いた場合は界面活性剤水溶液などの水系洗浄液である場合向けのものであるこ とを特徴とする請求項 1記載の回転式バルブである。

本請求項 4の回転式バルブは、前記流体通路を流通する流体が塗料、又は洗浄 液、すなわち、溶剤系塗料を用いた場合はシンナーなどの溶剤系洗浄液、水系塗料 を用いた場合は界面活性剤水溶液などの水系洗浄液である場合向けのものであるこ とを特徴とする請求項 2記載の回転式バルブ装置である。

本請求項 5の方法は、前記弁体を、加温により軟化させた前記固定シール体内に 揷入してなることを特徴とする請求項 1記載の回転式バルブの製造方法である。 本請求項 6の方法は、前記弁体を前記固定シール体内に常温圧入してなることを 特徴とする請求項 1記載の回転式バルブの製造方法である。

本発明の回転式バルブ、その製造方法及び回転式バルブ装置において、前記固 定シール体はポリテトラフルォロエチレン製であることが好ましい。

発明の効果

本請求項 1の回転式バルブは、弁体と該弁体の周囲を円周状に取り巻く略円筒形 状の固定シール体において、固定シール体が弁体の外形に倣うように弁体と緊密に 面接触しているので密封性に優れ、塗料の移送配管に使用した場合、塗料が弁体 力 バルブ装置本体側に洩れたり弁体周辺に滞留することがなぐ塗料を交換する 際に、弁体周辺に滞留した古い塗料が新しい塗料を汚染したり、弁体周辺に滞留し た古い塗料が蒸発乾固することにより生じた固体残渣が塗装面に露出して塗装面の 外観を悪化させることがなレ、。

本請求項 2の回転式バルブ装置は、略円筒形状の固定シール体に弁体を片側か ら挿入又は圧入し、固定シール体を側方 (流体通路側）及び上方から締付具で締め 付けることにより、固定シール体が弁体の外形に倣うように弁体と緊密に面接触して レ、る状態で弁体を固定シール体内に回転可能に配置することができ、構造が単純で あり、煩雑な組付け作業を必要としないので、高品質な製品を容易且つ比較的安価 に製造することができる。

本請求項 3の回転式バルブは、流体通路を流通する流体が塗料又は洗浄液である 場合に特に有用である。本回転式バルブでは塗料のバルブ装置本体側への洩れや 弁体周辺への滞留を有効に抑制し得るので、洗浄液にて洗浄終了後、再度、本回 転式バルブの流体通路に塗料を流通させ塗装を行なう場合、前記固形分が塗装面 に付着することによる、いわゆるブッゃスジなどを塗装面に生じさせず、塗装面の外 観を悪化させることはなレ、。また、本回転式バルブは、塗料のように粘性が高い流体 を滞りなく流通させることができると共に、塗料の種類に応じて洗浄液を選択し、弁体 及び固定シール体を簡便迅速に洗浄することができる。

本請求項 4の回転式バルブ装置は、本請求項 3の回転式バルブの前記効果に加 え、固定シール体が側方 (流体通路側）及び上方から締付具で締め付けられ、弁体 の外形に倣うように弁体と緊密に面接触しているので、最適な締付圧にて固定シー ル体を側方 (流体通路側)及び上方から締付具で締め付けた本回転式バルブ装置 を用いることにより、塗料や洗浄液の種類にかかわらず、塗料のバルブ装置本体側 への洩れや弁体周辺への滞留を抑制することができ、洗浄の際バルブ装置を分解し て本体側や弁体周辺を洗浄する必要性が少なくなる。

本請求項 5の方法は、本請求項 1の回転式バルブを製造するにあたり、弁体を、加 温により軟化（及び膨張）させた固定シール体内に揷入するので、弁体を固定シール 体内に容易に揷入することができ、且つ弁体を固定シール体と緊密に面接触させる こと力 Sできる。 本請求項 6の方法は、本請求項 1の回転式バノレブを製造するにあたり 、弁体を固定シール体内に常温圧入するので、固定シール体を加温する必要がなく 、回転式バルブの製造が容易である。

発明を実施するための最良の形態

[0007] 以下、本発明の実施の形態を図面を参照してより具体的に説明する。

[0008] <回転式バルブの製造方法 1 >

図 5に、本発明の回転式バノレブ（回転式バノレブ装置）の製造方法の一例を示す（二 方バルブの例）。

製造工程 1：

略円筒形状の固定シール体 10を適当な温度（例えば、 80°C程度）に暖め、バルブ 装置本体 11の所定位置に揷入する。固定シール体 10の流体通路側には、予めコネ クシヨン 12， 13を配置しておく。

製造工程 2 :

固定シール体 10内に弁体 14を揷入する。略円柱状の弁体 14には操作軸 15が結 合されているので、固定シール体 10内に弁体 14を揷入し易レ、。固定シール体 10は 暖められ、柔ら力べなっているので、弁体 14を揷入すると弁体 14の形状に倣レ、、固 定シール体 10と弁体 14との間の緊密な面接触が得られる。

製造工程 3 :

締付ナット 16にて、所定の締付圧で上から固定シール体 10を押さえ、固定シール 体 10のずれや、固定シール体 10と弁体 14との間の洩れを防止する。また、コネクシ ヨン 12, 13、固定シール体 10 (2箇所の開口部）及び弁体 14を連通する流体通路 1 7を設ける。

[0009] <回転式バルブの製造方法 2 > 弁体 14を固定シール体 10内に常温にて圧入すること以外は前述の回転式バルブ の製造方法 1と同様にして、本発明の回転式バルブ（回転式バルブ装置）を得ること ができる。弁体 14の外径は固定シール体 10の内径よりも若干大きく形成しておく。

[0010] 図 1に、前述の製造方法 1又は製造方法 2により製造した本発明の回転式バルブ（ 二方バルブ；実施例 1)を示す。図 1 (a)は側部断面図、図 1 (b)は図 1 (a)の II線に沿 つた断面図、そして図 1 (c)は図 1 (a)の ΠΙ線に沿った断面図である。

本実施例では、ポリテトラフルォロエチレン〔例えば、市販品のテフロン (登録商標） などを使用し得る〕製で、外径 10mm、内径 7mm、高さ 10mmの略円筒形状の固定 シール体 10を使用した。また、本実施例の弁体 14は、ステンレス鋼（SUS)製で、中 央部の外径 7. 2mm、高さ 10mmの略円柱状である。締付ナット 15の締付圧は 20k gi · cm lOOkgf · cmで 3 。

本実施例では、弁体 14は流体通路 17が形成された中央部が円柱状であり、上端 部及び下端部は中央部に比較して径が縮小されているので、固定シール体 10に弁 体 14を挿入するのが容易である。

図 1 (a)及び図 1 (b)から明らかなように、固定シール体 10に当接する締付ナット 16 の端部には傾斜面が形成されているので、締付ナット 16にて固定シール体 10を締 め付ける際、締付圧を適宜調節することにより、固定シール体 10と弁体 14との面接 触の程度を調節することができる。例えば締付圧を大きくすると、傾斜面のエッジが 最初に固定シール体 10の上端面の外周部に当接し、固定シール体 10を上側から 締め付けることにより、固定シール体 10の上端部を弁体 14の上端部に沿った形状と なし（固定シール体 10の上端部を弁体 14の上端面の中心部に向力うように変形させ る）、また同様に、固定シール体 10の下端部を弁体 14の下端部に沿った形状となす ことができる（固定シール体 10の下端部を弁体 14の下端面の中心部に向力、うように 変形させる)。

弁体 14は、コネクション 12, 13にて、流体通路側からも適する締付圧（例えば、 20 1¾ ( 111ー1001¾ ( 111)で締め付ける。

[0011] <弁体について >

図 2に、本発明の回転式バルブの弁体の例を示す（二方バルブの弁体を示す）。図 2 (a)の弁体 18は円柱形状であり、円柱側面にて固定シール体と面接触する。弁体 1 8の縦方向の中央部には、開口部が円形状である貫通孔 19が形成されている。本例 の弁体は、円柱側面の全面で固定シール体と接触し得るので、弁体と固定シール体 との間で緊密な面接触を得ることができる。

図 2 (b)の弁体 20は、円柱形状の中央部の上下両側に円錐台形状の部分が接合 している、いわゆるそろばん玉形状のコマを有し、中央部の側壁にて固定シール体と 面接触する。弁体 20の中央部の側壁には、開口部が円形状である貫通孔 21が形成 されている。本例の弁体は、中央部の径に対して両端の径がかなり縮小されているの で、固定シール体に揷入又は圧入するのが容易である。また、本例の弁体 20は、円 柱形状の中央部のみで固定シール体と面接触するので、図 2 (a)の弁体 18に比べ て弁体と固定シール体との間の摩擦を低減させることができ、回転式バノレブにおける 操作 (弁体の回動）をより容易に行うことができる。

図 2 (c)の弁体 22は、楕円体の両端を切断した形状、いわゆる樽形状であり、楕円 体の側壁にて固定シール体と面接触する。弁体 22の縦方向の中央部には、開口部 が円形状である貫通孔 23が形成されている。本例の弁体は、楕円体の側壁の全面 で固定シール体と接触し得るので、弁体と固定シール体との間で緊密な面接触を得 ること力 Sできると共に、中央部の径に対して両端の径が縮小されているので、固定シ ール体に挿入又は圧入するのが容易である。

弁体の材料は、慣用の弁体の材料、例えばステンレス鋼、黄銅、鉄等を単独又は 組み合わせて使用することができる。ステンレス鋼は、弁体の材料として好ましい。黄 銅や鉄などの材料を使用する場合は、必要に応じて、適当な表面処理 (例えば、ニッ ケルメツキやクロムメツキ）を行ってよレ、。弁体は操作軸と一体に成形してもよいし、又 は操作軸と別体に成形してもよい。

弁体の大きさ、形状 (例えば、円柱形状、そろばん玉形状、楕円体形状等)及び材 料、或いは弁体に設ける貫通孔の大きさ、形状及び数は、回転式バルブの用途 (例 えば、回転式バルブを適用する流体の種類や数など）に応じて適宜選択する。

弁体に設ける貫通孔の開口部の面積と、弁体と固定シール体との面接触面積との 比率は、弁体と固定シール体との良好な面接触が得られ且つ回転式バノレブにおけ る操作 (弁体の回動）をより容易に行うことができるように適宜選択する。

[0013] <固定シール体について >

本発明の回転式バルブの固定シール体の形状は、前記弁体を挿入又は圧入する ことができる略円筒形状であればよい。略円筒形状の固定シール体は製造が容易で 且つ使用し易い。略円筒形状の固定シール体は、長さ方向の径が一定である円筒 であってもよいが、例えば、一端又は両端の径が中央部の径よりも若干大きい又は小 さい円筒であってもよい。

一端又は両端の径が中央部の径よりも若干大きい略円筒形状の固定シール体は、 弁体の圧入が容易である。また、一端又は両端の径が中央部の径よりも若干小さレ、 略円筒形状の固定シール体は、弁体と固定シール体との密着性が良好である。 一端の径が中央部の径よりも若干大きぐ他端の径が中央部の径よりも若干小さい 略円筒形状の固定シール体を使用してもょレ、。

略円筒形状の固定シール体において、一端又は両端の径が中央部の径よりも若干 大きくても又は小さくても、締付ナットやコネクションにて固定シール体を締め付けるこ とにより、適切な固定シール体形状に修正される。

固定シール体の材料は、慣用の固定シール体の材料、すなわち適するプラスチッ ク又はゴム、例えばポリテトラフルォロエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素ゴ ム、 NBR (アタリロニトリノレーブタジエンゴム）、 EPDM (エチレン プロピレン ジェン モノマーゴム）等を単独又は組み合わせて使用することができる。

固定シール体の大きさ、形状及び材料、或いは固定シール体に設ける開口部の大 きさ、形状及び数は、回転式バルブの用途に応じて適宜選択する。固定シール体の 材料として、ポリテトラフルォロエチレンは特に適してレ、る。

[0014] 固定シール体を例えばポリテトラフルォロエチレンなどのプラスチック材料にて製造 した場合、締付ナットで固定シール体を締め付けた後、固定シール体の端部を弁体 の端部に正確に沿った形状となし且つ、固定シール体の端部を弁体の端部より若干 張り出させることにより、固定シール体を弁体の側壁に緊密に面接触させ、固定シー ル体の内周面で弁体の側壁を完全に覆うことができる。

図 3は、図 5の製造工程 3における固定シール体 10の変形の様子を説明する図で ある。以下、図 3について説明する。

図 5の製造工程 3において、締付ナット 15で固定シール体 10を締め付ける際、締 付圧があまり大きくない場合、図 3 (a)に示すように、固定シール体上端部 24の内周 面と弁体上端部 25の側壁とは密着しておらず、同様に、固定シール体下端部 26の 内周面と弁体下端部 27の側壁とは密着していなレ、が、固定シール体中央部 28の側 壁と弁体中央部 29の側壁とは密着している。このようにすると、固定シール体 10と弁 体 14との摩擦があまり大きくならないので、回転式バルブのバルブ操作が容易であ る。

他方、図 5の製造工程 3において、締付ナット 15で固定シール体 10を締め付ける 際、締付圧を更に大きくすると、図 3 (b)に示すように、固定シール体上端部 24の内 周面と弁体上端部 25の側壁とは緊密に密着し、同様に、固定シール体下端部 26の 内周面と弁体下端部 27の側壁とは緊密に密着する。また、固定シール体上端部 24 及び固定シール体下端部 26は若干変形して伸長し、図 3 (b)に示すように、弁体上 端部 25の端面から図中上方で且つ弁体上端部 25の端面の中心部に向かって若干 張り出し、また弁体下端部 27の端面から図中下方で且つ弁体下端部 27の端面の中 心部に向かって若干張り出す。このようにすると、固定シール体 10と弁体 14との面接 触性が増加し、回転式バノレブの密封性が向上する。

なお、固定シール体を例えばフッ素ゴムなどのゴム材料にて製造した場合、予め適 する形状に形成した固定シール体を用いることにより、固定シール体に弁体を挿入 又は圧入するのみで、締付ナットなどで特に強く締め付けなくても、固定シール体の 端部を弁体の端部に正確に沿った形状となし且つ、固定シール体の端部を弁体の 端部より若干張り出させることができる。

図 4に、本発明の回転式バルブを三方バルブ及び四方バルブに適用した例を示す 。図 4 (a)は 三方バルブ（実施例 2)のバルブ装置本体 30の断面図、図 4 (b)は 四 方バルブ（実施例 3)のバルブ装置本体 31の断面図である。

図 4 (a)におレ、て、接続口 A、 B及び Cのうち、接続口 Aと接続口 Cとが連通しており 、この状態では、図中矢印のように流体が流れる。図 4 (b)は、接続口 A、 B、 C及び D のうち、接続口 Aと接続口 B並びに接続口 Cと接続口 Dとが連通してレ、る状態を示す [0016] 本発明の回転式バルブ又は回転式バルブ装置は、気体や液体などの流体を流通 させる配管などにて使用することができ、特に、塗料を流通させる配管などにて使用 するのに適している。前記塗料の種類は特に限定されない。本発明の回転式バルブ 又は回転式バノレブ装置を用いた塗装の終了後又は使用塗料を変更する際には、塗 料の種類に応じて適宜選択した溶剤系洗浄液若しくは水系洗浄液を使用して、弁体 及び固定シール体を洗浄することができる。前記溶剤系洗浄液又は前記水系洗浄 液の種類は特に限定されず、単独又は組み合わせて使用することができる。

図面の簡単な説明

[0017] [図 1]本発明の実施例 1の回転式バルブを示す図である。

[図 2]本発明の回転式バルブの弁体の例を示す図である。

[図 3]図 5の製造工程 3において、締付圧に応じた固定シール体の変形の様子を説 明する図である。

[図 4]本発明の実施例 2及び実施例 3の回転式バルブを示す図である。

[図 5]本発明の回転式バルブの製造方法の一例を示す図である。

[図 6]従来のボールバルブの一例を示す図である。

符号の説明

[0018] 1, 17:流体通路 2:弁箱 3:バルブボール 4:ステム 5:ボールシート構造 6:シ ートホルダー 7:凹溝 8:ボールシート 9:シートリング座 10:固定シール体 11, 30, 31:ノくノレブ装置本体 12, 13:コネクション 14, 18, 20, 22:弁体 15:操作 軸 16:締付ナット 19, 21, 23:貫通孔 24:固定シール体上端部 25:弁体上端 部 26:固定シール体下端部 27:弁体下端部 28:固定シール体中央部 29:弁 体中央部 A, B, C, D:接続口

Claims

請求の範囲

[1] 弁体を固定シール体内にて回転させることにより、該弁体及び該固定シール体を 連通する流体通路を開閉し得る回転式バルブであって、

前記固定シール体は略円筒形状をなし、その側壁に流体通路となる開口部が形成 されていること、

前記弁体は貫通孔が形成され、該固定シール体内に揷入若しくは圧入され回転可 能となっていること、そして

前記固定シール体は前記弁体の外形に倣うように該弁体と面接触していることを特 徴とする回転式バルブ。

[2] 略円筒形状をなし、その側壁に流体通路となる開口部が形成されている固定シー ノレ体と、

貫通孔が形成され且つ該固定シール体内に挿入若しくは圧入され回転可能となつ ている弁体と、

前記固定シール体及び前記弁体を収容するバルブ装置本体と、

前記弁体と結合し、該バルブ装置本体の外部にまで延びる操作軸を備え、そして 前記固定シール体をその側方より押圧して締め付ける締付具に加えて、該固定シ 一ル体をその上方より押圧して締め付ける上側締付具を備え、

これにより、前記前記固定シール体は前記弁体の外形に倣うように該弁体と面接触 していることを特徴とする回転式バノレブ装置。

[3] 前記流体通路を流通する流体が塗料又は洗浄液である場合向けのものであること を特徴とする請求項 1記載の回転式バルブ。

[4] 前記流体通路を流通する流体が塗料又は洗浄液である場合向けのものであること を特徴とする請求項 2記載の回転式バルブ装置。

[5] 前記弁体を、加温により軟化させた前記固定シール体内に揷入してなることを特徴 とする請求項 1記載の回転式バルブの製造方法。

[6] 前記弁体を前記固定シール体内に常温圧入してなることを特徴とする請求項 1記 載の回転式バルブの製造方法。