JP3993014B2 - 切替弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができる切替弁であって、例えば、浴室内に設置されるシャワーとカランの切替や、温水と冷水の供給系の切替等に好適に使用される切替弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、浴室内に設置されるシャワーとカランの切替に用いられる装置は、水と熱水を適度に混合調整して使用に適切な温度とした後、シャワー、カランの使用目的に応じて適宜、切替バルブを切替えて使用される。
【0003】
このような用途に使用される従来の切替弁としては、以下の2つのタイプのものがよく知られている。
【0004】
まず、第1のタイプとして、例えば、実開昭58ー80675号公報に開示されている湯水混合栓におけるシャワー切替弁機構が挙げられる。これによれば、混合室内の軸方向に設けられた栓棒を所定量移動させることにより、シール体が軸方向に動いて一つの出口を塞ぐとともに他の出口を開放させることができ、これにより2つの出口の開放側を任意に変えることができるようになっている。
【0005】
また、第2のタイプとして、いわゆるボールバルブ機構を用いて2つの出口を任意に変えることが可能な切替バルブもよく知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1のタイプのものは、部品点数が極めて多く、構造が複雑であり、コストも高いという問題がある。
【0007】
また、前記第2のタイプのものも、前記第1のタイプと同様に、やはりその構造上コストが高いという問題がある。さらには、耐久性が充分とは言えず、過酷な条件下での使用ではリークのおそれもあると言われている。
【0008】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、切替弁としての要求特性(耐熱性、耐圧性、切り替え耐久性)を満たすことはもとより、簡易な構造で、組み立てが簡単で、低コスト化が図れる切替弁を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、筒状の切替弁用ケース本体の中に、板状のシール部材を介して切替弁用軸本体を装着させ、前記切替弁用軸本体を回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができる切替弁であって、前記筒状の切替弁用ケース本体は、その肉厚部の内周面の軸方向に沿って、前記板状のシール部材を軸方向に装着できるように形成された切欠部を備え、前記切欠部は、その周方向両端部にそれぞれコの字状の端部溝が形成され、それにより肉厚部側に前記板状のシール部材が外れないように係止突起が形成されており、前記板状のシール部材は、流通口の位置に一致することができるように形成された開口部を有する可撓性の薄板と、この可撓性の薄板に一体的に形成されたシールゴム体とを有するとともに、前記軸方向に装着される板状のシール部材の装着方向に沿った両端部は可撓性の薄板が露出した形態をなし、前記シールゴム体は、開口部の周縁部を覆うように表裏にそれぞれ形成されてシール機能を果たすビード部と、当該ビード部に比べて肉薄で、かつビード部の周囲に形成されており、流体圧力が付与された時にビード部の変形を防止するように作用する薄肉ゴム部と、を有しており、前記板状のシール部材における露出した可撓性の薄板の部分が、前記筒状の切替弁用ケース本体のコの字状の端部溝に摺接しつつ軸方向に装着されるように構成される。
【0010】
本発明の好ましい態様として、前記可撓性の薄板は、厚さ0.05〜0.3mmの金属板として構成される。
【0011】
本発明のより好ましい態様として、前記可撓性の薄板は、厚さ0.08〜0.15mmの金属板として構成される。
【0012】
本発明の好ましい態様として、前記シールゴム体のゴム硬度(JIS K 6253 タイプAで測定)は、70〜90°の範囲内となるように構成される。
【0015】
本発明の好ましい態様として、前記筒状の切替弁用ケース本体は、前記切欠部が形成されている箇所に少なくとも2個の流通口を有しており、前記板状のシール部材は、前記筒状の切替弁用ケース本体の切欠部に装着された状態で、前記筒状の切替弁用ケース本体の流通口の位置に実質的に合致するように開口部が形成されてなるように構成される。
【0016】
本発明の好ましい態様として、前記切替弁用軸本体は、その内部に流体が通過できる内部中空部を備えるとともに、該切替弁用軸本体は、前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されているのと同数の流通口を側壁に備え、各流通口は角度配置が異なり、前記切替弁用軸本体を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるように構成される。
【0017】
本発明の好ましい態様として、前記シールゴム体は、その実質的なシール機能を果たすビード部が、前記筒状の切替弁用ケース本体の流通口近傍の内壁面と、前記切替弁用軸本体の外壁面とにより、挟持圧縮されるように介在されてなるように構成される。
【0018】
本発明の好ましい態様として、前記挟持圧縮されるシールゴム体のビード部の圧縮率が12〜18%の範囲内となるように構成される。
【0021】
本発明の好ましい態様として、前記シールゴム体は、可撓性の薄板の上に形成された接着剤層を介して高温雰囲気下で熱加硫形成されてなるように構成される。
【0022】
本発明の好ましい態様として、前記シールゴム体は、可撓性の薄板を部分的に貫通した状態で接合されたリベット部分を備えてなるように構成される。
【0023】
本発明の好ましい態様として、前記切替弁用軸本体の内部中空部側から流体が流入され、前記切替弁用軸本体を実質的に回動させることにより、筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流通口からの流出位置を切り替えることができるように作用してなるように構成される。
【0024】
本発明の好ましい態様として、前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流通口から流体が流入され、前記切替弁用軸本体の内部中空部側から流体が流出されるようになっており、前記切替弁用軸本体を実質的に回動させることにより、前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流体を流入させるための流通口を切り替えることができるように作用してなるように構成される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の切替弁の実施の形態について図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の切替弁の組み立てに際し、筒状の切替弁用ケース本体10の内面側(肉厚部分)に形成された切欠部に、板状のシール部材70をケース本体10の下部から軸方向上部に装着する状態を模式的に示した斜視図である。
【0027】
図2は、本発明の切替弁1の組み立てに際し、図1に示される板状のシール部材70を装着した後、筒状の切替弁用ケース本体10の中に、切替弁用軸本体30を挿入する状態を模式的に示した斜視図である。
【0028】
図3は、筒状の切替弁用ケース本体10の中に、板状のシール部材70を介して切替弁用軸本体30を装着させた切替弁1の半片断面図である。
【0029】
図4は、筒状の切替弁用ケース本体10の中に、板状のシール部材70を介して切替弁用軸本体30を装着させた切替弁1の半片断面図であり、図3のそれとは流体の流出箇所が切替えられている点で異なる。
【0030】
図5は、図3のD−D矢視端面図である。
【0031】
図6(A)は、図1のA−A矢視断面図であり、図6(B)は、図1のB−B矢視断面図である。
【0032】
図7は、板状のシール部材70の正面図である。図8(A)は、図7のE−E矢視断面図であり、図8(B)は、図7のF−F矢視断面図である。
【0033】
本発明の切替弁1は、筒状の切替弁用ケース本体10と、この切替弁用ケース本体10の肉厚部内面側に装着される板状のシール部材70と、切替弁用ケース本体10の中に回動自在に装着される切替弁用軸本体30を有し構成され、前記切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるようになっている。ここで、「切替弁用軸本体30を実質的に回動させる」とは、切替弁用軸本体30と切替弁用ケース本体10とを相対的に回動させる操作全般を含む趣旨であり、切替弁用軸本体30を回動の対象とする場合のみならず、切替弁用ケース本体10を回動させ、見かけ上、切替弁用軸本体30が回動する場合をも含む。
【0034】
以下、本発明の切替弁1の好適な実施形態を構成する各構成要件について説明する。
【0035】
切替弁用ケース本体10の構成
図1および図2の組み立て手順を示す図面、並びに図3および図4の組み立て後の図面から分かるように、本実施の形態における切替弁用ケース本体10は、内部が中空の筒状の形態をなし、切替弁用ケース本体10の肉厚部19の内周面19aの軸方向に沿って、前記板状のシール部材70を軸方向に装着できるように形成された溝状の切欠部17を備えている(特に、図6参照)。
【0036】
溝状の切欠部17は、板状のシール部材70が確実に収納でき、かつ板状のシール部材70のシール機構が充分に発揮できるような形状および大きさとされる。好適な断面形状の一例の詳細図が図5に示されている。この図5および図6に示されるように、切欠部17は、その周方向両端部にそれぞれコの字状の端部溝17aが形成され、それにより肉厚部19側に前記板状のシール部材70が外れないように係止突起19bが形成されている。この係止突起19bは、前記板状のシール部材70を挿入する際のガイド溝にもなる。
【0037】
このような筒状の切替弁用ケース本体10は、切欠部17が形成されている箇所に少なくとも2個の流通口(図示の例では縦方向(軸方向)に並んだ2個の流通口13,14(流通口間ピッチをP))を有している。この流通口13,14を適宜、開閉することにより、流体の流路を切替えることができるようになっている。
【0038】
また、図1に示されるように切替弁用ケース本体10の頂部には、後述する切替弁用軸本体30との組み合わせのための頂部開口部16が形成されている。この頂部開口部16には図2に示されるごとく切替弁用軸本体30の先端ロッド部39が挿入されるようになっている。この先端ロッド部39は、組み合わせ後、上部に突出しており(図3参照)、例えば、この突出部分を把持して切替弁用軸本体30を回動させることができるようになっている。なお、先端ロッド部には、Oリング37が形成されるとともに、いわゆるEリングを装着するためのEリング溝38が形成されている。Eリング38aを装着した状態は、図3および図4に示されている。
【0039】
また、図1および図2に示されるように、切替弁用ケース本体10の胴部には、流通口13,14をそれぞれ区分するように、Oリング21,23,25が設置され、切替弁用ケース本体10の外部に通常、組み込まれる外部筐体(具体的には図示していないが、例えば、図3および図4に示される想像線(二点鎖線)で囲まれるエリア)との間のリークを防止することができるようになっている。
【0040】
板状のシール部材70の構成
板状のシール部材70は、特に、図7および図8に示されるように、可撓性の薄板71とこの可撓性の薄板71に一体的に固着形成されたシールゴム体75とを有し構成される。このような板状のシール部材70は、流体圧力によりシールが阻害されるシールゴム体の変形を防止するとともに、ケース本体10、軸本体30の円形状になじむように変形しやすく、湾曲に沿って曲げて確実に切欠部17への装着できることが要求される。
【0041】
可撓性の薄板71には、前記筒状の切替弁用ケース本体10に形成された流通口13,14(流通口間ピッチ=P)の位置に実質的に一致することができ、かつ略同一の大きさを有する開口部73,74(開口部間ピッチ=P)が形成されている。
【0042】
可撓性の薄板71は、ある程度の変形可能性、対腐食性および耐圧性が要求されるために、いわゆるステンレス(例えばSUS304)、真鍮等の各種金属板とすることが好ましい。その厚さは、0.05〜0.3mm、特に、0.08〜0.15mmとすることが好ましい。厚さが0.05mm未満となると、耐圧性が不十分となり、シール性が担保できなくなるというおそれが生じる。また、厚さが0.3mmを超えると、前述した切欠部17への装着の際の変形性が不十分となり、装着が困難となるとともに、リーク発生のおそれもある。特に、厚さ0.08〜0.15mmの範囲の金属板が最も取り扱いやすく、かつ要求される機能も確実に果たすことができる。
【0043】
本発明の実施形態におけるシールゴム体75は、可撓性の薄板71の開口部73,74の周縁部を覆うように薄板71の表裏にそれぞれ形成されているビード部78a,78b,79a,79bと、これらのビード部78a,78b,79a,79bに連接されるとともに薄板71の表裏にそれぞれ形成された薄肉ゴム部88,89を備えている。ここでいう薄肉という文言は、シール機能を有するビード部に比べて肉薄になっていることを示す程度の意味である。
【0044】
ビード部78a,78b,79a,79bは、前記筒状の切替弁用ケース本体10の流通口13,14近傍の内壁面と、後で詳述する切替弁用軸本体30の外壁面とにより、挟持圧縮され、シール機能を発揮する(図5参照)。
【0045】
また、薄肉ゴム部88,89は、主として流体圧力が付与された時に、実質的にビード部78,79の変形(倒れ、ずれ、歪み等)を防止するように作用する。さらには、前述した切欠部17への装着が容易になるように、ある程度切欠部17の湾曲に応じた曲げ癖がつきやすくする作用をする。
【0046】
前記シールゴム体75として用いられるゴム材質の硬度(JIS K 6253 タイプAで測定される)は、70〜90°、好ましくは75〜90°、より好ましくは75〜85°とされる。この値が、70°未満となると、使用する流体圧力(特に、流体の流れ始めと終わりに生じるウォーターハンマーと呼ばれる急激な圧力上昇)に耐えることができなくなり、本来のシール機能が充分に発揮されず、リークのおそれが生じる。なお、従来よりシール部材用として使用されているゴムは、なるべく変形しやすいように設計されているために、硬度70°未満のものが一般的である。しかしながら、本発明では特殊な構造のもとに使用され、特別な変形を防止する機能が要求されているために、従来のシール用ゴム硬度の設計方針とは全く異なり、使用するゴム硬度は高めに設定されている(特に80°前後の硬度:75〜85°の硬度がより好ましい)。
【0047】
本発明において使用するゴムは、上記硬度を有するゴム材質であれば特に制限されることはない。例えば、フッ素ゴム、EPDM、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR等が挙げられる。使用温度によっても異なるが、特に、流体が水の場合にはフッ素ゴム、EPDMが好適であり、流体が油の場合にはフッ素ゴム、NBR、水素添加NBRが好適であり、流体が空気の場合にはNBRが好適である。
【0048】
このようなシールゴム体75において、その実質的なシール機能を果たすビード部78a,78b,79a,79bは、上述したように前記筒状の切替弁用ケース本体10の流通口13,14近傍の内壁面と、後で詳述する切替弁用軸本体30の外壁面とにより、挟持圧縮されるように介在される(図5参照)。このように挟持圧縮されるシールゴム体75のビード部78a,78b,79a,79bの圧縮率は、12〜18%の範囲に設定されることが好ましい。ここで圧縮率とは、圧縮負荷を与えた場合における、厚さ変形率として定義される。
【0049】
このような圧縮率と上記範囲のゴム硬度(特に80°前後の硬度:75〜85°の硬度)との組み合わせで、最適なシール特性が得られる。
【0050】
前述したようにシールゴム体75の薄肉ゴム部88,89は、主として流体圧力が付与された時に、実質的にビード部78a,78b,79a,79bの変形(倒れ、ずれ、歪み等)を防止するように作用する。それゆえ、薄肉ゴム部88,89は、その作用を充分に発揮し得るのに充分なエリア(例えば、ビード部の面積の1〜2倍程度)に連接・固着して存在していればよい。ただし、均一な曲げ性を得るためには、薄板71の実質的な全面に設けることが望ましい。ここで、実質的な全面とは、薄板71の面積の50〜100%をいう。金型成形の都合上(金型に固定する縁部の確保)や、コの字上形態の溝部への挿入のし易さ等を考慮して、図7に示されるように薄板71の周縁部にはゴムが被着されていない箇所が形成されることがあるからである。
【0051】
前記シールゴム体75は、好ましい態様として、可撓性の薄板71の上に直接、塗布形成された接着剤層(図示していない)を介して高温雰囲気下で熱加硫形成される。いわゆるゴムの焼き付けである。接着剤層としては、例えば、塩化ゴム、フェノール、エポキシ系接着剤が用いられる。なお、シールゴム体75は、突出したビード部を備える形状をしているために、金型成形することが望ましい。
【0052】
また、前記シールゴム体75は、可撓性の薄板71を部分的に貫通した状態で接合されたゴムのリベット部分を備えるように構成して接合強度を保持するようにしてもよい。通常は、薄板71の所定箇所(複数)を穿孔して、この孔にゴムを通過させてゴムのリベット部分を形成すればよい。この場合には、必ずしも上記の接着剤層を設けなくてもよい。
【0053】
切替弁用軸本体30の構成
本発明においては、前述したように筒状の切替弁用ケース本体10の中に、板状のシール部材70を介して切替弁用軸本体30が装着される。そして、切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるようになっている。
【0054】
切替弁用軸本体30は、図3および図4に示されるように、その内部に流体が通過できる内部中空部31を備えるとともに、当該切替弁用軸本体30は、前記筒状の切替弁用ケース本体10に形成されているのと同数の流通口(本件実施例の場合には、2個の流通口33,34(特に図2))を側壁32に備えている。
【0055】
各流通口33,34は角度配置が異なり、前記切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるようになっている。すなわち、本件実施例の場合には、側壁32に形成された流通口33,34は互いに180度の角度で配置角度(円筒断面における配置角度)がずれており、さらに、切替弁用ケース本体10の中に、切替弁用軸本体30を装着させた際に、切替弁用ケース本体10の流通口13の高さ位置と、切替弁用軸本体30の流通口33の高さ位置とが一致し、また、切替弁用ケース本体10の流通口14の高さ位置と、切替弁用軸本体30の流通口34との高さ位置とが一致するようになっている。
【0056】
従って、流通口13と流通口33とが合致してこの流通口からの流体の流通が可能になっている状態から、切替弁用軸本体30を180度の角度で回動させると、流通口14と流通口34とが合致する状態に変わり、この合致した流通口から流体の流通が可能になる。すなわち、切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるのである。
【0057】
なお、配置角度(円筒断面における配置角度)のずれは180度に限定されることなく、適宜、設定することができる。その場合、設定角度に応じて、切替弁用軸本体30を回動させればよい。
【0058】
また、開口部の個数は通常2個とされるが、3個以上としてもよいことは勿論である。その際、配置角度(円筒断面における配置角度)のずれは、使用の便利さ等を考慮しつつ、適宜、設定することができる。
【0059】
なお、図3および図4における符号4は、四ふっ化エチレン等の材質からできたバックアップリング4であり、摺動性を備えた部材である。
【0060】
本願発明の切替弁1の使用の態様および用途については、特に制限をうけるものではないが、使用の態様として、例えば、以下の(1)または(2)の態様が好適例として挙げられる。すなわち、
(1)図3および図4に示されるように、前記切替弁用軸本体30の内部中空部31側から流体が流入され、切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、筒状の切替弁用ケース本体10に形成されている流通口13,14からの流出位置を切り替えることができるような使用態様、すなわち、流体の入口側が1つであり、流体の出口側が2つあり、切替操作で出口側を切替える使用態様である。
【0061】
より具体的には、温度調整された温水を切替弁用軸本体30の内部中空部31側から流入させ、前記切替弁用軸本体30を適宜に回動させることにより、例えば、一方の流通口13(図3)を介してシャワー操作ができる配管系に連通させるようにしたり、また他の流通口14(図4)を介してカラン操作ができる配管系に連通させるようにしたりする使用態様である。
【0062】
このような使用では、流体圧力が高くなればなるほど、切替弁用軸本体30は、板状のシール部材70(特にビード部)側に押し付けられることになるので、極めて優れた自己シール性が発揮される。
【0063】
(2)上記(1)とは流体の流れを全く逆にする使用態様、すなわち、前記筒状の切替弁用ケース本体10に形成されている流通口13,14側から流体を流入させ、前記切替弁用軸本体30の内部中空部31側から流体を流出させるようにする使用態様である。そして、切替弁用軸本体30を実質的に回動させることにより、前記筒状の切替弁用ケース本体10に形成されている流体を流入させるための流通口13,14を切り替える。つまり、この場合には、流体の入口側が2つであり、流体の出口側が1つあり、切替操作で入口側を切替える使用態様となる。
【0064】
より具体的には、前記筒状の切替弁用ケース本体10に形成されている流体を流入させるための流通口13,14の片方を温水が流入するように配管接続し、他方を冷水が流入するように配管接続し、前記切替弁用軸本体30を適宜に回動させることにより、前記切替弁用軸本体30の内部中空部31側から流出される流体を温水または冷水に切替えるなどして用いる使用態様である。
【0065】
なお、上述してきた本発明の切替弁1は、温度100℃の耐熱性、圧力3MPaの耐圧性(特に、ウォーターハンマー時)、および温度85℃、圧力0.6MPaの雰囲気下での30万回の切替え耐久性のすべての要求特性をクリアできることが実験的に確認されている。
【0066】
【発明の効果】
上述してきたように、本発明の切替弁は、筒状の切替弁用ケース本体の中に、板状のシール部材を介して切替弁用軸本体を装着させ、前記切替弁用軸本体を実質的に回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるようになっており、前記板状のシール部材は、流通口の位置に一致することができるように形成された開口部を有する可撓性の薄板と、この可撓性の薄板に一体的に形成されたシールゴム体とを有し、前記シールゴム体は、実質的なシール機能を果たすビード部を有しており、当該ビード部は、少なくとも開口部の周縁部を覆うように表裏にそれぞれ形成されてなるように構成されているので、切替弁としての要求特性(耐熱性、耐圧性、切り替え耐久性)を満足させることはもとより、簡易な構造で、組み立てが簡単で、低コスト化が図れるという優れた効果が発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切替弁の組み立てに際し、筒状の切替弁用ケース本体の肉厚内面側に形成された切欠部に、板状のシール部材をケース本体の下部から軸方向に装着する状態を模式的に示した斜視図である。
【図2】本発明の切替弁の組み立てに際し、図1に示される板状のシール部材を装着した後、筒状の切替弁用ケース本体の中に、切替弁用軸本体を挿入する状態を模式的に示した斜視図である。
【図3】筒状の切替弁用ケース本体の中に、板状のシール部材を介して切替弁用軸本体を装着させた切替弁の半片断面図である。
【図4】筒状の切替弁用ケース本体の中に、板状のシール部材を介して切替弁用軸本体を装着させた切替弁の半片断面図であり、図3のそれとは流体の流出箇所が切替えられている点で異なる。
【図5】図3のD−D矢視端面図である。
【図6】(A)は、図1のA−A矢視断面図であり、(B)は、図1のB−B矢視断面図である。
【図7】板状のシール部材の正面図である。
【図8】(A)は、図7のE−E矢視断面図であり、(B)は、図7のF−F矢視断面図である。
【符号の説明】
1…切替弁
10…切替弁用ケース本体
13,14…流通口
30…切替弁用軸本体
33,34…流通口
70…板状のシール部材
71…可撓性の薄板
73,74…開口部
75…シールゴム体
78,79…ビード部
88,89…薄肉ゴム部

Claims (12)

  1. 筒状の切替弁用ケース本体の中に、板状のシール部材を介して切替弁用軸本体を装着させ、前記切替弁用軸本体を回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができる切替弁であって、
    前記筒状の切替弁用ケース本体は、その肉厚部の内周面の軸方向に沿って、前記板状のシール部材を軸方向に装着できるように形成された切欠部を備え、
    前記切欠部は、その周方向両端部にそれぞれコの字状の端部溝が形成され、それにより肉厚部側に前記板状のシール部材が外れないように係止突起が形成されており、
    前記板状のシール部材は、流通口の位置に一致することができるように形成された開口部を有する可撓性の薄板と、この可撓性の薄板に一体的に形成されたシールゴム体とを有するとともに、前記軸方向に装着される板状のシール部材の装着方向に沿った両端部は可撓性の薄板が露出した形態をなし、
    前記シールゴム体は、開口部の周縁部を覆うように表裏にそれぞれ形成されてシール機能を果たすビード部と、当該ビード部に比べて肉薄で、かつビード部の周囲に形成されており、流体圧力が付与された時にビード部の変形を防止するように作用する薄肉ゴム部と、を有しており、
    前記板状のシール部材における露出した可撓性の薄板の部分が、前記筒状の切替弁用ケース本体のコの字状の端部溝に摺接しつつ軸方向に装着されるように構成されてなることを特徴とする切替弁。
  2. 前記可撓性の薄板は、厚さ0.05〜0.3mmの金属板である請求項1に記載の切替弁。
  3. 前記可撓性の薄板は、厚さ0.08〜0.15mmの金属板である請求項1に記載の切替弁。
  4. 前記シールゴム体のゴム硬度(JIS K 6253 タイプAで測定)は、70〜90°である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の切替弁。
  5. 前記筒状の切替弁用ケース本体は、前記切欠部が形成されている箇所に少なくとも2個の流通口を有しており、
    前記板状のシール部材は、前記筒状の切替弁用ケース本体の切欠部に装着された状態で、前記筒状の切替弁用ケース本体の流通口の位置に合致するように開口部が形成されてなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の切替弁。
  6. 前記切替弁用軸本体は、その内部に流体が通過できる内部中空部を備えるとともに、該切替弁用軸本体は、前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されているのと同数の流通口を側壁に備え、各流通口は角度配置が異なり、前記切替弁用軸本体を回動させることにより、流体が流れる流通口の位置を切り替えることができるようになっている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の切替弁。
  7. 前記シールゴム体は、シール機能を果たすビード部が、前記筒状の切替弁用ケース本体の流通口近傍の内壁面と、前記切替弁用軸本体の外壁面とにより、挟持圧縮されるように介在されてなる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の切替弁。
  8. 前記挟持圧縮されるシールゴム体のビード部の圧縮率が12〜18%である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の切替弁。
  9. 前記シールゴム体は、可撓性の薄板の上に形成された接着剤層を介して高温雰囲気下で熱加硫形成されてなる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の切替弁。
  10. 前記シールゴム体は、可撓性の薄板を部分的に貫通した状態で接合されたリベット部分を備えてなる請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の切替弁。
  11. 前記切替弁用軸本体の内部中空部側から流体が流入され、前記切替弁用軸本体を回動させることにより、筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流通口からの流出位置を切り替えることができるように作用してなる請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の切替弁。
  12. 前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流通口から流体が流入され、前記切替弁用軸本体の内部中空部側から流体が流出されるようになっており、前記切替弁用軸本体を回動させることにより、前記筒状の切替弁用ケース本体に形成されている流体を流入させるための流通口を切り替えることができるように作用してなる請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の切替弁。
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