JP2002228025A - ポートシール部材、多方向切換バルブ及び流体の方向切換方法 - Google Patents

ポートシール部材、多方向切換バルブ及び流体の方向切換方法

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JP2002228025A
JP2002228025A JP2001029054A JP2001029054A JP2002228025A JP 2002228025 A JP2002228025 A JP 2002228025A JP 2001029054 A JP2001029054 A JP 2001029054A JP 2001029054 A JP2001029054 A JP 2001029054A JP 2002228025 A JP2002228025 A JP 2002228025A
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valve
port
cylindrical
multidirectional
lip
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JP2001029054A
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English (en)
Inventor
Maki Takaoka
真樹 高岡
Takashi Hashizume
隆 橋爪
Hirohisa Nakamura
拓央 中村
Atsuiku Mori
篤郁 森
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Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
DMG Mori Co Ltd
Original Assignee
Soken Kagaku KK
Soken Chemical and Engineering Co Ltd
Mori Seiki Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁体内に貫通した流通孔を有する回転型の円
柱状多方向弁体と、その貫通孔とバルブケースに設ける
複数のポート間とをシールする特定のポートシール部
材、及びそれをポートに装着し、この弁体に特定の軸受
けを装着することで、各ポート間のシール性、耐久性及
びこの弁体の自動回転性等を向上させ、しかも、このバ
ルブを用いたピグ介在流体の良好な流れ方向切換方法を
提供することにある。 【解決手段】 円柱状の胴体に貫通する流通孔を有する
多方向弁体2が、内周面が円筒状のバルブケース3に回
転自在な雄雌の嵌合関係で設けられ、そのバルブケース
3の複数箇所に設けるポート9内には、円筒状でその内
径面が、リップ面(摺接面)側に拡径したテーパ面を有
するリップ型ポートシール部材10が設けられ、且つこ
の多方向切換弁体2が互いに雄雌の嵌合関係で装着され
ている深溝玉軸受け4a、4bを介して、回転自在であ
る多方向切換バルブ1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多方向切換バルブ
及びそれに用いるポートシール部材に関し、より詳細に
は、円柱状で、複数個の弁口を有する回転型の多方向弁
体であって、その弁口とバルブケースの複数箇所に設け
るポート間とのシール性に優れ、且つ耐クリープ変形に
優れるリップ型のポートシール部材に関する。また、本
発明は、このリップ型のポートシール部材を装着した多
方向切換バルブにおいて、シール部材に適正面圧が付与
されて、複数個のポート間のシール性能を向上すること
ができ、その耐久性に優れ、この円柱状多方向弁体の方
向切換え時の自動操作性に優れる多方向切換バルブに関
する。更に本発明は、この多方向切換えバルブの用途と
して、複数流体を循環・供給させる配管内にピグを走行
させて、例えば、異色複数流体を循環・供給させる流体
の流れ方向の切換方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、医薬・工業薬品、食品、塗
料、インキ、石油化学、石油精製等の各種の産業分野
で、原料及び製品としての各種の流体を移送(供給)す
るに際して、その流体の流路には、手動又は自動等でそ
の流路方向を切り換えるための多方向切換バルブが設け
られている。例えば、特開昭53−69331号公報に
は、このような流路に使用される多方向切換バルブとし
てのボール弁が記載されている。この多方向切換バルブ
の弁体が、いわゆる球状であって、バルブケース(又は
バルブ本体)に設ける各ポートのボール弁体側の端部位
には、この球状弁体に摺接するようにした特定形状のリ
ップ型フッ素樹脂製のシール部材が設けられているもの
である。このボール弁は、上述するような流体を扱う場
合に、従来から、流路損失を少なくすることから多用さ
れているが、通常このようなボール弁の場合、流体圧力
によるボールの移動により、ボールとケーシングの間に
液溜(ポケット)を生じさせる。
【0003】すなわち、図10に図示するように、バル
ブケース(又はバルブ本体)101に設けるポート11
0から流入する流体は、その流れを切換える球状の弁体
102に貫通する流通孔102aを通って、ケースの他
のポート111へ流路が切換えられる。また、本弁が回
転型の球状弁体であって、その弁体の回転を円滑にさせ
る観点から基本的に球状弁が選ばれるが、ボール弁体1
02とケーシング内面の接触を防止するためや、ボール
弁体102とのシール性の向上のため、シールの摺接面
をできるだけ少なくする必要から、ボールとケーシング
の間に液が溜まるポケット112を生ずることが避けら
れない。図10に示すように、球状弁体102の周囲の
隙間117に流体が流れ込む。図10においては、この
ポケット112のケース101の肩部位に、特定形状の
リップ型シール部材106が装着されている。これによ
って、ポケット内への流体の漏洩を防止するものであ
る。
【0004】また、特開平7−190217号公報に
は、このようなボール弁に代わって、上述したボール弁
体型バルブに構造的に生ずるポケット構造(液溜)を排
除できる多方向弁体が円柱状である回転型多方向切換弁
装置が記載されている。
【0005】すなわち、図11において、複数個設けら
れているうちのポート202,203及びこれらのポー
ト各間を連絡するチャンバ204を備えたケース205
と、このケースのチャンバ内に回転可能に配置された1
つの任意のポートから流入する流体を、他のポートへ流
体を切換える回転型円柱状の多方向切換弁装置である。
従って、これらの複数個の各ポートの内円周面側の開口
と、その弁体206の円筒外周面に設ける弁口201と
は、互いに対向する円弧形状のものである。そこで、こ
れらの複数個の各ポート内には、弁体206の外周面に
摺接する側面が、円弧形状の樹脂製のシール部材22
4,225が装着され、弁体206の円柱状外周面とバ
ルブケース205の円筒状内周面との間隙には、Oリン
グ211が装着されている。また、図11からすると、
この円柱形の弁体206は、ケース205内で回転可能
に、樹脂製又は金属製のブッシュ217及び支持部材2
18により支持されている。また、弁体206の外周部
には、シール部材としてのOリング211が設けられ、
弁体206の円柱外周面とケース205との僅かな間隙
からの流体の漏れを防止するものである。
【0006】また、従来から、塗料等の複数色流体を共
通するラインに循環・供給させるために、共通ラインに
ピグを走行させて、ライン洗浄を併行させながら、複数
色流体の切換え供給を高効率で、しかも、流体切換え前
後のコンタミ混入を低減させ、複数流体を供給する自動
切換え供給システムが知られている例えば、特開平8−
309261号、特開平11−124369号、特開平
11−148600号等の公報に提案されている。この
ようなシステムには、数種の多方向切換えバルブが使用
され、特に、バルブ内をピグ走行させるに際しての、ピ
グの損傷、バルブのシール性の低下等を避けられないの
が実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況にあ
って、複数個の弁口を有する多方向切換バルブにおいて
は、バルブケースに設けるポート内に、ポートと弁体の
弁口との間に流体漏洩を起こさないようにするためポー
トシール部材が装着されている。このポート内に装着さ
れるシール部材の一方端が、常時、流路を切換えるた
め、回転するボール状弁体又は円柱状弁体の外周面に摺
り合うことになる。また、このシール部材の摺接面は、
弁体に設ける複数個の弁口に対向して、各ポートと弁口
とを導通させるに際しては、弁口をその周縁部から塞ぐ
ようにするためから、通常、シール部材の摺接面がリッ
プ形状であることが好適である。このようなシール部材
の摺接面は、リップ面とも称され、従来から、一般的
に、リップ型のポートシール部材として多用されてい
る。
【0008】従って、流体の流路を切換えるに際して
は、弁体の外円周面に摺接するこのシール部材のリップ
面には、装着時に当初から加わる所定の摺接応力、弁体
作動時に加わる摩擦抵抗、更には摺り応力等が加わる。
特に円柱状弁体において、これに対向させるポートシー
ルのリップ面にあっては、全周が均一面で摺接するボー
ル状弁体に比べて、より複雑な応力が複合されて作用す
る傾向にあり、シール部材に及ぼされる変形がより複雑
且つ大きくなる傾向にある。その結果、多数回に及ぶ弁
体の開閉作動(方向切換え作動)による流体方向切換え
使用の経時においては、リップ面及びシール自体が変形
してそのシール性を著しく低下させて、流体の漏洩等の
トラブルを発生させる。
【0009】このようなシール材としては、化学的・熱
的安定性に優れ、低摩擦特性を有する観点から、従来か
ら適材としてPTFE等のフッ素系樹脂が、このような
シール部材として使用されている。また、この素材は、
有機高分子樹脂に特有であるクリープ変形を起こしやす
いが、その反面、高荷重域で荷重が増大しても摩擦抵抗
が増加しにくいという特性を有している。従って、従来
から、リップ型シールとしてこれらの素材が好適に使用
され、このような高荷重域での荷重に対する特性を利用
し、シール部材に及ぼす摩擦抵抗を少なくするために、
弁体とシール部材との接触面積を小さくし、弁体から受
ける高荷重域での負荷を負担し、相対的に摩擦抵抗を減
少させる観点から、弁体等に加わる負荷や、管内の流体
自体の圧力によって、自由に変形して緩和吸収するリッ
プ型シールを用いて、このクリープ変形を防止しようと
しているが、未だ十分に満足される対策がなされている
リップ型シール材が得られていないのが実状である。
【0010】すなわち、リップ部の接触部の面積が大き
いと(リップ部の変形部の面積が大きいと)、低負荷域
でも摩擦抵抗が増大して、本来変形すべきでないシール
部材自体が、装着面から浮き上がるように変形すること
がある。このようなシール部材のリップ面以外に及ぼす
変形は、例えば、シール部材を肉厚にして、歪み等の変
形を避けるために、シール部材を肉厚にすると、シール
部材と弁体との接触面積の過大な増加と共に、摩擦抵抗
の増大をも招きやすいので、このリップ型シールを用い
るに際しては、特にリップ部分に加わる変形を適正且つ
減少させることが重要である。
【0011】そこで、既に上述した特開昭53−699
31号公報には、ボールバルブのシール部材として、そ
の摺接面積を小さくして接線方向の力を小さくして、ク
リープ変形がシール部材の本体に及ぼさぬようにした特
定のリップ面及びその形状を有するリップ型ボールシー
ルが記載されている。しかしながら、このようなリップ
型ポートシールにあっては、バルブの切換え駆動時に
は、上述した如くの複雑な変形応力が加わる。しかも、
弁体が球状か、円柱状かによって、この弁体の外周面に
対向して摺接するリップ面の形状相違に係わって及ぼさ
れるクリープ変形も著しく相違する。従って、球状弁体
に基づくシール性を円柱状弁体にそのまま対応させるこ
とは、極めて困難な傾向にあると言える。
【0012】そこで、本発明の目的は、球状バルブのよ
うに構造上から生じる液溜(ポケット)の心配のない円
柱状弁体のバルブで、複数個の弁口を有する回転型多方
向弁体であって、そのバルブケースに設ける複数個のポ
ート内に装着される円筒状のリップ型ポートシール部材
が、シール性及びその耐久性等に優れ、多数回に及ぶ流
路切換え時における、耐クリープ変形性に優れるリップ
型のポートシール部材を提供することである。
【0013】また、本発明の他の目的は、弁体が円柱状
の回転型多方向弁体であって、且つ少なくとも2個以上
の複数個のポートを有し、上述するような特性を有する
ポートシール部材を、この複数個のポートに装着させ
て、多数回に及ぶ切換え使用時における複数個のポート
間において、シール部材に適正化面圧が付与されて、複
数個のポート間のシール性能を向上させ、且つこの円柱
状の多方向弁体を回転させる自動操作性に優れる多方向
切換バルブを提供することである。
【0014】更に、本発明の他の目的は、この多方向切
換バルブの使用方法(用途)として、流体を循環・供給
させる配管内にピグを走行させて、バルブ内走行におけ
るピグ損傷を低減できる、例えば異色の複数流体を循環
・供給させるピグが走行する流体の流れ方向の切換え方
法をも提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記課題に鑑みて、鋭意検討した結果、ポートシールの
弁体の外円周面との摺接面であるリップ面の面積を減少
させ、且つポートシール自体への変形等を防止させるこ
とに着目して、ポートに装着させる円筒状のポートシー
ル部材の形状を種々検討することで、シール性を損なわ
せずにシールの耐久性に優れるポートシールを見出し
て、本発明を完成させるに至った。
【0016】すなわち、本発明によるポートシール部材
は、複数個のポートを有する内周面が円筒状のバルブケ
ースに、その円筒の中心線方向を軸に、回転自在な雄雌
の嵌合関係で設けられている円柱状の多方向弁体を有す
る多方向切換バルブ用の肉厚の円筒状ポートシール部材
である。この多方向弁体の胴体中に貫通して設ける流通
孔を有し、雄雌の嵌合関係で設けられている多方向弁体
の円柱外円周面とバルブケースの円筒内円周面とが、互
いにOリングを介して微小間隙を有している。この複数
個の各ポート内には、円筒状のリップ型シール部材が、
そのリップ面を多方向弁体の円柱外円周面に摺接するよ
うに装着され、且つシール部材の内径面が、そのリップ
面側に拡径したテーパ面を形成していることを特徴とす
る多方向切換バルブ用のポートシール部材を提供する。
【0017】また、本発明による多方向切換バルブは、
円柱状の多方向弁体が、内周面が円筒状のバルブケース
に回転自在な雄雌の嵌合関係で設けられ、そのバルブケ
ースの複数箇所に設けるポート内には、円筒状で、リッ
プ型のポートシール部材が設けられている多方向切換バ
ルブである。この多方向弁体の胴体中に貫通して設ける
流通孔を有し、雄雌の嵌合関係で設けられている多方向
弁体の円柱外円周面とバルブケースの円筒内円周面との
間が、第1Oリングを介して微少間隙を有している。こ
の各ポート内に装着されているポートシール部材が、そ
のリップ面を多方向弁体の円柱外円周面に摺接させ、且
つその内径面が、そのリップ面側に拡径したテーパ面を
有している。この円柱状多方向弁体の胴体中心線方向の
両外側端部位に、その中心線方向を同一軸とする深溝玉
軸受けが被さり、且つ各深溝玉軸受けが、その深溝玉軸
受けの内円周面を雌に、多方向弁体の円柱状胴体の両側
に設ける異径の円柱状面を雄として、互いに雄雌の嵌合
関係で装着されてなる多方向弁体が、このように組込ま
れてなる深溝玉軸受けを介して、回転自在であることを
特徴とする多方向切換バルブを提供する。
【0018】更にはまた、本発明による多方向切換バル
ブを使用する用途として、例えば、流体が循環・供給さ
れる配管内にピグを走行させる、異色の複数流体を多方
向に切換え供給させる流体の流路を切換える方法におい
て、その循環・供給の配管系に請求項4〜10の何れか
に記載する多方向切換バルブを用いる。この多方向切換
バルブの各ポートに装着されているポートシール部材
が、そのリップ面側に向けて拡径したテーパ面を有し、
且つその多方向弁体の胴体に設ける流通孔が、I字形又
はR状であることを特徴とするピグが流路を走行する流
体の流れ方向の切換え方法を提供する。
【0019】これにより、図1に示すポート9aに装着
する本発明によるポートシール部材10は、それを拡大
図示した図7に示す如く、その内径面のリップ面14s
側にテーパ面10sを設けることで、そのリップ面14
sは、仮にテーパを設けない場合の図8に図示する14
s´から図7に示す14sの如く摺接面積が減少し、そ
の摺接面(リップ面14s)に及ぼす摩擦抵抗や、摺り
応力等を効果的に減少させる。しかるに、ポートに装着
されているポートシール10は、図1、2及び4から明
らかなように、弁体2の円柱状の外円周面2s、ポート
9a〜9dの内円周面9s及びバルブケース3のポート
13a〜13dの外側部位に接続する継手フランジ11
a〜11d面とに囲まれ、開放面はポートシール10自
体の内径面のみである。従って、この摩擦抵抗や、摺り
応力等に基づくこのポートシール10に及ぼすクリープ
変形応力は、図6(b)に示す如く、本発明によるポー
トシール10では、上述したテーパ面10sに沿って効
果的に逃がす(減少緩和させる)ことができ、その結
果、内径面に垂直に作用するクリープ応力が著しく減少
し、ポートシール10に対する垂直方向ならびに内径方
向のクリープ変形を効果的に防止又は減少させる。
【0020】すなわち、図6(c)に概念的に示す如
く、X軸にリップ面に及ぼす全応力を表し、Y軸にシー
ル内径面の垂直方向に及ぼすクリープ応力を表すと、こ
のポートシール10のリップ面14sにおいては、その
X軸方向の応力が0C→であるのに対して、Y軸方向の
応力が0D→となる。これに対して、本発明のようにこ
のポートシール10にテーパ面10sを設けて、そのリ
ップ面14sとすることで、そのX軸方向への全応力そ
のものが0A→(<0C→)の如く小さくなって、Y軸
方向への応力が0B´→(<0D→)となるところ、本
発明においては、テーパを設けることで、その応力の一
部がAB→となってテーパ面にそって逃がすことができ
る。その結果、実際にY軸方向に及ぼすクリープ変形
は、応力0B→(<<0D→)となって著しく低減させ
られる。
【0021】更には、上述したこのような作用を発揮す
る本発明のポートシールのシール性が、複数のポート間
においてより適正面圧を発揮させ、各ポート間におい
て、各ポートシール部材のリップ面と、対向する弁体の
弁口との軸ズレ(段差)を防止させながら、しかも、弁
体の回転性を円滑にさせる観点から、本発明において
は、弁体2の両側に、図3及び図5に拡大図示した如
く、深溝玉軸受け4a,4bを、特定な組込みがなされ
ている。これによって、バルブケース3内に雄雌関係で
嵌合されている弁体に対して、深溝玉軸受け4a,4b
が、バルブケース3内において、常時、図3に示す如
く、弁体2を円周上にわたって、La−Lb軸方向とG
a−Gb軸方向から同時に支持することができ、上述し
た軸ズレ(段差)の発生を効果的に防止させている。
【0022】更には、本発明において、ピグを走行させ
る配管系において、ポートに装着するポートシールのリ
ップ面側に拡径したテーパ面が施されていることによ
り、特にピグが弁体の弁口からポートに向かって走行す
る場合に、このテーパ面によって、進入口が開かれてい
ることで、ピグがポートシール内をスムーズに通過する
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、図1〜図8を参照しなが
ら、本発明によるリップ型のポートシール部材及びそれ
を装着した複数個の弁口を有する円柱状の弁体を有する
多方向切換バルブの実施形態について更に説明する。
【0024】既に上述した本発明によるポートシール部
材は、図1及び2に示す如く、例えば複数個のポート9
a、9b、9c及び9dを有する内周面が円筒状のバル
ブケース3に、その円筒の中心線方向Ga−Gbを軸
に、回転自在な雄雌の嵌合関係で設けられている円柱状
の多方向弁体2を有する多方向切換バルブ1のこれらの
複数個の各ポート内に装着されている円筒状のリップ型
ポートシール部材10である。すなわち、この多方向弁
体2の胴体中に貫通して設ける流通孔12(又は流通
路)の弁口13a〜13d(図3を参照)を有してい
る。本発明におけるこれらの弁口の個数は、口径、対応
させる切換え方向数によっても異なり、通常、7方弁又
は8方弁も検討されるが、少なくとも2個以上で、通
常、好ましくは2〜6個で、更に好ましくは、2〜4個
を適宜設けることができる。
【0025】また、この多方向弁体2の円柱外円周面2
sとバルブケース3の円筒内周面3sとの間は、互いに
第1Oリング7a、7bを介して微小間隙を形成させて
ある。これによって、弁体2の方向切り換え時には、両
者の面の直接的な摺接が起こらないので、弁体2の回転
を円滑にさせる。また、この上述した複数個の各ポート
内には、図4に示す如く、円筒状のリップ型ポートシー
ル部材10が、そのリップ面を多方向弁体の円柱外円周
面2sに摺接するように装着されている。このポートシ
ールのリップ面は、弁体の方向切換え時(流路の切換え
時)に、この弁体の弁口13a〜13dの周縁部に密着
(シール)するので、弁体2内の流通路の弁口を介して
各ポート間を適宜連結することができる。そこで、本発
明においては、既に上述した如くこのポートシール部材
10の内径面が、弁体2の円柱外周面2sに向かってリ
ップ面側に拡径したテーパ面10sを形成していること
を特徴とするリップ型のポートシール部材10が装着さ
れている。
【0026】このように、図1及び2に示す如くバルブ
ケース3に設ける各ポート9a〜9dに装着されている
ポートシール部材10は、図7に拡大図示する概念断面
図に示す如く、好ましくは、外径Dで、内径dの円
筒状のシールで、好ましくは、その厚さ(t)が肉厚で
あることが好適である。このように肉厚にすることで、
弁体2の方向切換え作動時に生ずる摩擦抵抗や、摺り応
力等によって生ずると思われる、例えば、シール部材自
体へ及ぼす撓み、変形、または、ポート内面からの浮き
上がり等を適宜吸収解消させることができる。その反
面、このシール部材を肉厚にすることによってこのリッ
プ面(摺接面)の面積を図示する14s´の如く増大さ
せて(図7参照)、その結果、摩擦抵抗、摺り応力、押
しつけ応力等を増大させて好ましくない。そこで、本発
明においては、円筒状の弁体2の円筒外周面2sに摺接
しているポートシールのリップ面を、図7に示す14s
のように縮小させて、弁体の方向切換え動作時にこのリ
ップ面に及ぼす摩擦抵抗や、摺り応力等の力量を低下さ
せるようにしている。
【0027】本発明においては、既に上述した如く、図
7に図示するように、内径dであるポートシール10
の内周面には、そのリップ面側に向かってテーパ面10
sを設けているのが特徴である。その結果、外径D
肉厚であるポートシール10に、円筒状の弁体2の円筒
外周面に摺接しながら対向するリップ面(摺接面)が図
示するように14s´と増大するところ、上述した如く
本発明におけるリープ型のポートシール10には、テー
パ面10sが施されることにより、リップ面が削られ、
図示する14sのように縮小されている。このようにリ
ップ面側に向かうテーパを設けることにより、既に上述
した如くの理由によって、ポートシールの耐クリープ変
形性に対して格別顕著な作用が発揮される。本発明にお
けるこれらの事実関係は、後述する実施例と比較例とを
対比して説明するとよく理解される。すなわち、比較例
におけるクリープ変形応力によって生ずる内径収縮[内
径d→d,dへの収縮(図8を参照)]が、この
テーパーを設けたことによる本発明による作用効果とし
て、実施例1に発揮された事実によく符合している。
【0028】そこで、このようなポートシール部材の材
質としては、特に限定されるものではないが、本発明に
おいては、耐薬品性、耐熱性、耐久性(低磨耗性)等か
ら、好ましくは、例えば、四フッ化エチレン−パーフロ
ロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ
化エチレン共重合体(PTFE)、三フッ化塩化エチレ
ン共重合体(PCTFE)、三フッ化エチレン−エチレ
ン共重合体(ECTFE)及びフッ化ビニリデン重合体
(PVdF)等のフッ素系樹脂が挙げられて好適に用い
られる。しかしながら、このような特性を有するフッ素
樹脂も、有機高分子特有であるクリープ変形を起こしや
すい欠点を有する。すなわち、シール材として弁体を回
転させるに際しては、シールの摺接面(リップ面)は、
高荷重域となるが、フッ素系樹脂は、荷重が増大しても
摩擦抵抗が増加しないという、他には見られない特異な
性質を有していることから、本発明においてもシール部
材として好適に使用するものである。
【0029】反面、弁体が多数回にわたって方向切換え
をする経時下においては、このポートシール部材へのク
リープ変形は避けられない。すなわち、このような状況
下にあっては、その塑性変形が、一定応力の基でも時間
とともに増加して、クリープ変形を来す。例えば、後述
する比較例に見られるポートシールの内径収縮という事
実に符合するものである以上から、本発明においては、
既に上述した如く、このような樹脂素材であって、その
肉厚の円筒状のポートシール部材において、その内径面
のリップ側にテーパを設けることで、ポートシールに及
ぼすクリープ変形応力を著しく低減させて、後述する実
施例に符合する事実として、耐クリープ変形性に優れる
肉厚の円筒状の多方向切換バルブに適宜用いて、当初に
設定した所定のシール性及びその耐久性を著しく向上さ
せるリップ型のポートシール部材を提供することができ
た。
【0030】そこで、以下に図1、2、4及び5を参照
して、既に上述した本発明による多方向切換バルブの実
施形体について、更に詳細に説明する。図1〜3に示す
如く、円柱状の多方向弁体2が、内周面が円筒状のバル
ブケース3に回転自在な雄雌の嵌合関係で設けられてい
る。図2に示す如く、そのバルブケース3の複数箇所に
設けるポート9a〜9dの各内には、上述した本発明に
よる円筒状で、肉厚のリップ型のポートシール部材10
が装着されている(平面断面図の図2、表面断面図1を
参照)。また、この多方向弁体2の外円周面2sには、
その胴体中に設ける流通孔(流通路)12(図2参照)
を介して互いに導通している複数個の弁口、例えば、図
3に示す13a、13b、13c、13dを有してい
る。また、多方向弁体1の円柱外円周面2sとバルブケ
ース3の円筒内円周面3sとの間には、図1及びその拡
大概念図4に示す如く、第1Oリング7a、7bが設け
られ、図示されてはいないが、このOリングを介して微
少間隙が設けられている。これらの第1Oリングは、図
1においては、弁体2の外円周面に設ける溝に固定支持
されているが、本発明においては、これらに限定される
ことなく、例えば、バルブケース3の内円周面3sに設
ける溝に適宜固定支持することもできる。また、これら
の第1Oリングの装着部位は、特に限定されるものでは
なく、少なくともポートの開口縁近傍を挟む任意の部位
であって、図4に拡大して図示するように、ポートシー
ル10のリップ面(弁体2とポートシール10との摺接
面)の外周を挟むように設けることが好ましい。
【0031】そこで、図4に示す如く、各ポート9a〜
9d内に装着された本発明によるテーパ10sを有する
リップ型ポートシール部材10のリップ面が、既に上述
したバルブケース3の内円周面3sと弁体の外円周面2
sと間の微少間隙に、当初から頭出しするように装着さ
れている。これによって、弁体の弁口13a〜13dに
対向して、各ポート9a〜9dのポートシールのリップ
面によって、弁体2内の流通路12の弁口12aに対向
して、互いにLa−Lb方向を同軸としてポート9a〜
9dとを連結シールさせる。
【0032】更に、本発明においては、円柱状の弁体2
の円柱外周面と円筒状のバルブケース3の円筒内周面と
が雄雌関係で嵌合されている多方向弁体2には、図3に
示す如く、この多方向弁体2の円柱状胴体の中心線方向
Ga−Gbを同軸として、その両外側端部位に、深溝玉
軸受け4a、4bが被せるように組み込ませることがで
きる。本発明においては、好ましくは、この各深溝玉軸
受け4a、4bが、その深溝玉軸受け4a、4bの内円
周面(図示されていないが)を雌に、円柱状多方向弁体
2の胴体外径Dの中心線方向Ga−Gbを同一軸とする
両側に設けるD>dの関係にある異径dの円柱状面を雄
として、互いに雄雌の嵌合関係で組込むことが好適であ
る。これによって、図3に示す如く、多方向弁体2は、
両深溝玉軸受け4a、4bによって、弁体2がLa−L
b方向とGa−Gb方向とのXY軸両方向から支持され
ることがよく分かる。ここで、両深溝玉軸受け4a、4
bの内円周面を介して、これに摺合わせ関係にある、上
述した弁体2の異径dの円柱状面によって、多方向弁体
2が、回転自在にあることも本発明の特徴とする多方向
切換バルブである。
【0033】また、本発明においては、図5に示す如
く、このように両深溝玉軸受け4a、4bが組込まれて
いる多方向弁体2は、好ましくは、図5に拡大図示する
概念断面図で示す如く、バルブケース3の円筒状胴体の
内円周面3sに、弁体2の中心線軸方向Ga−Gbの切
断面が2枚歯下駄形である支持蓋5、6のそれぞれが、
この両深溝玉軸受け4a、4bに被さっている。そこ
で、例えば、このバルブケース3の両外側端面の内周縁
を肩にして係止(図5に示す15部位を参照)するよう
にして、バルブケース3の円筒状胴体の内周面3sに嵌
め込まれるように適宜好適に組込める。しかも、この両
支持蓋の内円周面6sと各深溝玉軸受け4a、4bの外
円周面4sとが、図5に示す如く、互いに雄雌の嵌合関
係にある。これによって、本発明においては、バルブの
組立て時に、一端、バルブケース3の各ポート9a〜9
dの中心軸La−Lbと、弁体2に設ける流通公2の弁
口12aとの軸合わせをしてしまえば、このように支持
蓋5、6のに支持固定されている両深溝玉軸受け4a、
4bによって、多方向弁体2の円柱外周面2sと、ポー
ト9a〜9dに装着されたテーパ面を有するポートシー
ル10との摺接関係において、既に上述したポートシー
ル10のテーパ効果による耐クリープ変形性が、より効
果的に発揮される。
【0034】また、本発明において、図1及び図5に示
す如く、各支持蓋5、6の外円周面とバルブケース3の
内円周面3sとが、互いに雄雌の嵌合関係にある部位
に、必要に応じて、第2Oリング8a、8bを適宜設け
ることでOリングによるシールを施すことができる。
【0035】また、弁体の方向切換え作動時には、弁体
2に設ける流通孔12と導通する、バルブケース3に設
けるポートは、少なくとも2個以上で、2〜6個を適宜
好適に設けることができる。そのポート数によって、2
〜4方向弁等として用いられる。
【0036】また、本発明において、このように弁体内
に適宜設けられる流通孔(流通路)12としては、例え
ば、I字形、L字形又はR状等を適宜挙げることができ
る。
【0037】以上から、本発明による多方向切換バルブ
は、多方向弁体2が円柱状であって、この弁体2と雄雌
の嵌合関係にあるバルブケース3に設ける複数個のポー
トには、既に上述した本発明によるリップ型ポートシー
ル10を装着されている。また、その弁体2を支持する
深溝玉軸受け4a、4bを、上述した組込み構成にする
ことにより、バルブケース3内に雄雌の嵌合関係で装着
されている多方向弁体2の方向切換えを多数回に及ん
で、自在に、しかも、自動回転によって、円滑に操作す
ることができる。
【0038】また、本発明によるこのような多方向切換
バルブの用途として、例えば、複数の異色の塗料流体を
供給または調色させるシステムにおいて、循環・供給す
る共通ラインである配管内にピグを走行させて、このよ
うな複数流体を多方向に切換え供給させる流体の切換え
方法(システム)に有効に組込み使用することができ
る。また、このようにピグを走行させて共通配管内に複
数流体を供給させるに際しては、ピグ自体もこのバルブ
内(弁体の流通孔、ポートシール内孔)を通過すること
になる。従って、多方向弁体の胴体に設ける流通孔は、
少なくともI字形又はR状が好適に設けられる。また、
このような配管内、バルブ内を走行させて複数流体を効
果的に切換え供給させる観点から、走行させるピグとし
て、図示されていないが、通常2段スカートタイプのピ
グが一般的に使用されている。従って、従来のようなバ
ルブにおいては、特にピグのスカート部を損傷・変形さ
せる傾向にある。特にバルブのポート内を通過するに際
して、このポートに装着されているポートシールとの係
わりが大きく関与する。従って、ピグ自体のみならず、
ポートに装着されているポートシールのリップ面等の損
傷・変形を及ぼすことにもなる。
【0039】従って、バルブに装着されるポートシール
のシール性及びその耐久性が、ピグに及ぼす損傷の有無
を伴って、流体の漏洩、コンタミの増大、または、バル
ブの開閉の自動操作性を損なうことになる。以上から、
既に上述した本発明によるポートシール及び/又は深溝
玉軸受けを組込んでなる格段顕著に発揮される作用によ
って、このような流体供給システムに本発明による多方
向切換えバルブを適宜好適に使用することができる。
【0040】
【実施例】以下に本発明を実施例で説明するが、本発明
はこれらにいささかも限定されるものではない。 (実施例1)本発明による多方向切換バルブである3方
弁を図9に示す試験フロー装置に組込んで本発明による
ポートシール部材のシール性、その耐久性及びその耐ク
リープ性を評価した。図9において、組込まれている多
方向切換バルブ1は、ポートA、B、Cを有する3方弁
であり、3及び4方弁を表す図1、2を参照して概念的
に説明すると、これらのポートA、B、Cが、図2にお
ける、ポート9a、9b、9cの3ポートに相当する。
そこで、図9に示すポートBを共通ポートB(例えば、
図2に示すポート9bに相当する)として、このポート
Bを介して、図9に示すポートA及びポートB(同じく
図2に示すそれぞれポート9a、9cに相当する)に流
体方向を切換えて供給する。ここで、各ポート(共通ポ
ートB、ポートA、C)に装着したポートシール部材
は、図7に示した本発明による円筒状の内径面には、そ
のリップ面側に沿って拡径したテーパ面を有するリップ
型の円筒状ポートシール(図7参照)であり、そのシー
ル性の耐久性を試験した。
【0041】そこで、図9の試験フロー装置図を参照す
ると、バルブ1の開閉を共通ポートBを介して、ポート
A→ポートC→ポートAをバルブ切替えの1サイクルと
して、0〜2,500、0〜8,500、0〜20,0
00、0〜30,000回を実施させて、漏れ、ポート
シールの変形の有無、弁体の回転性等を評価した。な
お、装着させたポートシールの材質は、ダイキン(株)
製のニューポリフロンPTF・M−139を用いた。塗
料を所定の吐出圧力で循環させながら試験フローを容器
→ポンプP→共通ポートB→ポートA→容器→ポンプP
→共通ポートC→共通ポートB→容器→へと繰返すバル
ブ開閉動作を15秒間隔で行った。すなわち、容器から
ポートAまでを12秒間ポンプを起動後、1秒間停止
し、次いでポートBへバルブを切換え、1秒間停止させ
るフロー操作をバルブの自動開閉操作(アクチュエータ
の駆動空気圧力:5.0kgf/cmG)で行った。
使用流体は、塗料シンナ混合流体を、ポンプ吐出圧力が
平均7.5kgf/cmG(イワキ製ワーシャロータ
リポンプ)で行った。その結果、何れにおいても、各ポ
ート間のシール性に異常がなく、全くバルブからの漏れ
が確認されなかった。また、図7に示す如く、30,0
00回後においても、バルブ1に装着された本発明によ
るポートシールの内径面に対するクリープ変形がほとん
ど見られなかったが、リップ面の周辺部に多少の鍔変形
が見られた。
【0042】(実施例2)図示していないが、配管全長
7mのフローに実施例1で用いた同様の切換バルブ1を
組込み、配管内に2段スカート付きピグを走行させて、
この切換えバルブによる白色から赤色への色替え試験を
行った。白色塗料(ベルコートNo.5230−BQM1(M
Y)/シンナー=6/4)、赤色塗料(ベルコートN
o.5230−BAR2(MY)/シンナー=6.4/3.
6)。アクチュエータ駆動空気圧力が、5.0kgf/
cmGである。その結果、色替え後の白色塗料中の赤
色塗料のコンタミ量は、従来のバルブに比べて極端に少
なく、特に2段スカートタイプのピグに対する損傷・変
形も、開閉20,000回においてもほとんど発生する
ことなく、従来のバルブでは考えられぬことで、これ
は、図8に概念的に示すポートシールの内径縮小がな
く、また、テーパ面を設けてなる進入口の広がり効果等
によると言える。 (比較例1)実施例1において、各ポートに装着した円
筒状のポートシールを図8に示したような内径面側にテ
ーパ面のないものに換えた以外は、実施例1と同様にし
てバルブ1の方向の切換えを行った。バルブ1の開閉回
数が、0〜20,000において、当初のポートシール
のリップ面のシール性は、良好で、20,000回にお
いても各ポート間の漏れは確認されなかったが、図8に
示す如く、共通ポートに装着するポートシールのリップ
面側内径(mm)が、d=14.2→d=13.6
に、フランジ面側内径(mm)が、d=14.2→d
=13.9に、それぞれ縮小していた。
【0043】その結果、当初のリップ面14s´(S
)が、図8[又は図6(a)参照]に図示するよう
にSに変形して、リップ面の当初のシール性を損
ねることになる。
【0044】
【発明の効果】以上から、本発明によれば、複数個のポ
ートを有するバルブケースに、回転自在な雄雌の嵌合関
係で設けられている円柱状の多方向弁体を有する多方向
切換えバルブに用いるポートシール部材が、シール性及
びその耐久性を得るために、弁体との摺接面であるその
リップ面の面積を減少させ、この複数個の各ポート内に
装着する肉厚の円筒状のリップ型シール部材の内径面
に、そのリップ面側に拡径したテーパ面を形成させたこ
とを特徴とするポートシール部材である。
【0045】このようなテーパ面を設けることにより、
リップ面の弁体との摺接面積を減少させて、リップ面に
及ぼす摩擦抵抗や、摺り応力、押しつけ力等の力量が効
果的に減少し、しかも、この力量等に基づくポートシー
ルに及ぼすクリープ変形応力が、このテーパ面に沿って
効果的に逃がして減少緩和させ、ポートシールの垂直方
向(内径面)に及ぼすクリープ変形が効果的に防止でき
る、耐クリープ変形性に優れたポートシール部材を提供
することができる。
【0046】また、本発明によるポートシール部材を、
その複数個のポート内に装着させ、円筒状のバルブケー
スに回転自在な雄雌の嵌合関係で設けられている円柱状
多方向弁体に、その同一回転軸上に、雄雌の嵌合関係で
深溝玉軸受けを被せ装着させることで、この回転軸上の
XY軸両方向から弁体が支持されて、弁体の方向切換え
時の回転を、より自在に、より円滑にさせて自動操作性
を著しく向上させる。
【0047】また、このように組込まれた深溝玉軸受け
を介して弁体を支持することで、本発明によるポートシ
ールによるシール性は、複数のポート間においてより適
正面圧下に発揮されて、弁体の方向切換え時の各ポート
に装着されたポートシールのリップ面と、対向する弁体
の弁口との軸ズレ(段差)を防止させて、ポートと弁体
の弁口間のシール連結性を向上させ、しかも、多数回の
切換えの経時に及んで、そのシール性の耐久性を著しく
向上させる。
【0048】更にはまた、共通配管内にピグを走行させ
て複数流体を循環・供給させる配管系に、本発明による
ポートシール部材を装着した多方向切換バルブを組込む
ことにより、例えば、異色の複数塗料流体を多方向に切
換え供給させる多方向切換バルブとして、特にピグが弁
体の弁口からポートに向かって走行する場合にも、この
テーパー面による進入口が開かれ、且つシール内径の縮
小が防止されることで、ポートシール内をスムーズにピ
グが通過し、従来のバルブに比べて著しくピグ損傷及び
コンタミを低減できるピグ走行流体の方向切換え方法を
提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明による多方向切換バルブの一実施例
(3方向弁)の表面断面図を示す。
【図2】 本発明による多方向切換バルブの一実施例
(4方向弁)のポート中心線の平面断面図を示す。
【図3】 本発明による多方向切換バルブの円柱状多方
向弁体に嵌合された深溝玉軸受けの拡大概念断面図を示
す。
【図4】 本発明によるポートシールの装着概念図を示
す。
【図5】 本発明による多方向切換バルブにおけるバル
ブケースに嵌合されている円柱状多方向弁体に係わる深
溝玉軸受けとその支持蓋等の概念断面図を示す。
【図6】 本発明によるポートシール部材の耐クリープ
変形性を説明する図を示す。
【図7】 本発明に使用するポートシール部材の概念表
面断面図を示す。
【図8】 比較例としての従来のポートシール部材の使
用後のクリープ変形を説明する断面図を示す。
【図9】 本発明による多方向切換えバルブを組込んだ
試験フロー装置図を示す。
【図10】 従来のボール弁装置の表面断面図を示す。
【図11】 従来の円柱状切換弁装置の表面断面図を示
す。
【符号の説明】
1 多方向切換バルブ 2 多方向弁体(弁体) 2s 外円周面 3 バルブケース 3s 内円周面 4a,4b 深溝玉軸受け 5,6 嵌込み支持蓋 7a,7b 第1Oリング 8a,8b 第2Oリング 9a,b,c,d ポート 9s 内円周面 10 ポートシール(リップ型ポートシール部材) 10s テーパ面 11a,b,c,d 継ぎ手フランジ 12 流通孔 13a,b,c,d 弁口 14s,14s´ リップ面(摺接面)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋爪 隆 東京都豊島区高田3丁目29番5号 綜研化 学株式会社内 (72)発明者 中村 拓央 埼玉県狭山市広瀬東1丁目13番1号 綜研 化学株式会社研究所内 (72)発明者 森 篤郁 新潟県中蒲原郡小須戸町大字天ヶ沢新田字 浦ノ沢253番地 有限会社森製作所内 Fターム(参考) 3H067 AA12 AA38 CC02 CC23 CC36 CC38 CC39 CC44 CC45 CC54 DD03 DD12 EA05 EA34 EB05 EB11 EB24 FF11 GG12 GG25 GG27 GG28 3J043 AA01 AA04 BA06 BA08 CA01 CA02 CB14 DA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数個のポートを有する内周面が円筒状の
    バルブケースに、その円筒の中心線方向を軸に、回転自
    在な雄雌の嵌合関係で設けられている円柱状の多方向弁
    体を有する多方向切換バルブに用いるポートシール部材
    において、 前記多方向弁体の胴体中に貫通して設ける流通孔を有
    し、 前記多方向弁体の円柱状の外円周面と前記バルブケース
    の円筒内円周面とが、互いにOリングを介して微小間隙
    を有し、 前記複数個の各ポート内には、円筒状のリップ型ポート
    シール部材が、そのリップ面を前記多方向弁体の外円周
    面に摺接するように装着され、 且つ前記ポートシール部材の内径面が、そのリップ面側
    に拡径したテーパ面を形成していることを特徴とする多
    方向切換バルブ用のポートシール部材。
  2. 【請求項2】前記ポートの数が、2〜6個であることを
    特徴とする請求項1に記載の多方向切換バルブ用のポー
    トシール部材。
  3. 【請求項3】前記流通孔が、I字形、L字形又はR状で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の多方向切
    換バルブ用のポートシール部材。
  4. 【請求項4】円柱状の多方向弁体と、内周面が円筒状の
    バルブケースとが、回転自在な雄雌の嵌合関係で設けら
    れ、そのバルブケースの複数箇所に設けるポート内に
    は、円筒状で、リップ型のポートシール部材が設けられ
    ている多方向切換バルブにおいて、 前記多方向弁体の胴体中に貫通して設ける流通孔を有
    し、 前記多方向弁体の円柱外円周面と前記バルブケースの円
    筒内円周面との間が、第1Oリングを介して微少間隙を
    有し、 前記各ポート内に装着されている前記ポートシール部材
    が、そのリップ面を前記多方向弁体の円柱外円周面に摺
    接させ、且つその内径面が、そのリップ面側に拡径した
    テーパ面を有し、 前記円柱状の多方向弁体の円柱中心線方向の両外側端部
    位に、その中心線方向を同一軸として、深溝玉軸受けが
    被さり、 且つ前記各深溝玉軸受けの内円周面を雌に、前記多方向
    弁体の円柱状胴体の中心線を同一軸とする両側に設ける
    異径の円柱状面を雄として、互いに雄雌の嵌合関係で装
    着され、 前記多方向弁体が、前記深溝玉軸受けを介して、回転自
    在であることを特徴とする多方向切換バルブ。
  5. 【請求項5】前記バルブケースの円筒状胴体の内円周面
    に、中心線軸方向の切断面が2枚歯下駄形である支持蓋
    が、前記各深溝玉軸受けに被さり、前記バルブケースの
    両外側端面の内周縁を肩にして係止するように嵌め込ま
    れ、且つ前記両支持蓋の内円周面と前記各深溝玉軸受け
    の外円周面とが、互いに雄雌の嵌合関係にあることを特
    徴とする請求項4に記載の多方向切換バルブ。
  6. 【請求項6】前記各支持蓋の外円周面と前記バルブケー
    スの内円周面とが、互いに雄雌の嵌合関係にある部位
    に、第2Oリングが設けられていることを特徴とする請
    求項5に記載する多方向切換バルブ。
  7. 【請求項7】前記第1Oリングの装着部位が、前記ポー
    トの開口縁近傍を挟む任意部位に設けられていることを
    特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の多方向切換バ
    ルブ。
  8. 【請求項8】前記ポートの数が、2〜6個であることを
    特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の多方向切換バ
    ルブ。
  9. 【請求項9】前記流通孔が、I字形、L字形又はR状の
    何れかであることを特徴とする請求項4〜8の何れかに
    記載の多方向切換バルブ。
  10. 【請求項10】前記多方向弁体の方向切り替えが、自動
    回転によることを特徴とする請求項4〜9の何れかに記
    載の多方向切換バルブ。
  11. 【請求項11】流体を循環・供給する配管内にピグを走
    行させて、複数流体を多方向に切換え供給させる流体の
    方向切換方法において、 前記配管系に請求項4〜10の何れかに記載する多方向
    切換バルブを用いて、そのポートに装着されているポー
    トシール部材のリップ面側にはテーパを設けている前記
    多方向切換バルブ内に前記ピグを走行させ、且つその多
    方向弁体の胴体に設ける流通孔が、I字形又はR状であ
    ることを特徴とする流体の方向切換方法。
  12. 【請求項12】前記複数流体が、異色の複数塗料である
    ことを特徴とする請求項11に記載の流体の方向切換方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008256041A (ja) * 2007-04-03 2008-10-23 Seiwa Electric Mfg Co Ltd ロータリージョイントの固定側シール構造
JP2017058100A (ja) * 2015-09-18 2017-03-23 孝敏 脇本 家庭用循環温浴器
KR102248041B1 (ko) * 2020-02-03 2021-05-04 정수빈 취성 현상이 저감되는 고압 유로전환밸브

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