JP3580774B2 - 多流路形ロータリジョイント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、CMP装置(CMP(Chemical Mechanical Polishing)法による半導体ウエハの表面研摩装置)における相対回転部材間で複数の異種流体又は同種流体を混在させることなく各別のルートで流動させるための多流路形ロータリジョイントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、CMP装置による半導体ウエハの表面研摩処理にあっては、ターンテーブルとトップリングとを、その間に半導体ウエハを挟圧させた状態で、別個独立して回転させるが、かかる場合に、上下方向に延びる軸線回りで回転する回転側部材(例えばトップリング又はターンテーブル)とこれを回転自在に支持する固定側部材(例えば装置本体)との間で、ウエハ研磨液,ウエハ加圧用空気,ウエハ洗浄水(純水),エアーブロ−用空気等の供給や半導体ウエハ,定盤等の真空吸着等を行うことがある。そこで、CMP装置にあっては、一般に、かかる回転側部材と固定側部材との間に複数のジョイント流路を有するロータリジョイントを設けて、相対回転する両部材間において上記した複数の異種流体又は同種流体を各別のルート(流路)で流動させるようにしているのが普通である。
【0003】
而して、このような相対回転部材間に設けられる多流路形ロータリジョイントとしては、従来から、固定側部材に取り付けられるジョイント本体と回転側部材に取り付けられる回転体とを回転自在に連結し、両体の対向周面部間に、上下方向に縦列する複数組の独立したメカニカルシールを設けて、各組のメカニカルシールによりシールされた複数(メカニカルシールの組数に対応する数)の連絡空間を形成すると共に、ジョイント本体及び回転体に各連絡空間に連通する流体通路を設けたもの(以下「従来ジョイント」という)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来ジョイントは、回転側部材と回転側部材との間にN本(Nは2以上の自然数)のルートが必要である場合、2N個の独立したメカニカルシールを設けておく必要があるため、上下方向に極めて長尺なものとなる。すなわち、各メカニカルシールは、両体の対向周面部の一方に固定した固定密封環と他方に上下方向移動自在に保持した可動密封環とをコイルスプリングにより押圧接触させた状態で相対回転するように構成されたものであるから、両密封環の設置スペースに加えて可動密封環の移動スペース及びコイルスプリングの設置スペースが必要となる。したがって、N本のルートを確保するために、その倍(2N個)の独立したメカニカルシールを設けておくことは、ジョイント軸長が徒に大きくなり、延いてはCMP装置の大型化を招来する。
【0005】
また、加圧空気等の気体を供給する場合や真空吸引を行う場合のようなドライ条件下では、密封環が相手密封環との相対回転摺接により発熱して焼き付きや熱歪を生じて、良好なメカニカルシール機能を発揮できなくなる。そこで、従来ジョイントでは、メカニカルシールによって連絡空間と区画される空間(冷却空間)に冷却水を供給して、密封環を冷却するようにしているが、冷却水の給排路数が多くなり(2N個のメカニカルシールを設ける場合、少なくともN+1組の給排路が必要となる)、ジョイントへの冷却水給排回路を含めたジョイント構造が極めて複雑化,大型化する。
【0006】
さらに、研磨液等のように固形成分や凝固成分を含む流体が連絡空間を通過した場合、かかる成分が可動密封環の二次シール部分や密封環間に付着,堆積して、メカニカルシール機能が低下,喪失する虞れがある。そこで、従来ジョイントでは、洗浄水を供給させて連絡空間内の付着,堆積物を除去することが試みられているが、連絡空間に比してジョイント本体及び回転体に形成された流体通路が環状空間の一部に開口されているに過ぎず、しかもジョイント構造上、その開口面積が連絡空間に比して小さなものとならざるを得ないことから、かかる水スパウト(spout)によっては連絡空間を十分に洗浄することができない。したがって、適正なジョイント機能を発揮させるために、ジョイントの分解を含む保守点検作業を頻繁に行う必要があり、CMP装置の運転効率が大幅に低下する。
【0007】
本発明は、このような問題を生じることなく、複数の異種流体又は同種流体を良好に流動させ且つその流動状態を各別に制御することができる実用的な多流路形ロータリジョイントを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成すべく、ジョイント本体に軸線が上下方向に延びる回転体を回転自在に連結して、ジョイント本体の内周部と回転体の外周部との間に、上下方向に所定間隔を隔てて設けた一対のシール部材により閉塞された環状空間を形成し、
この環状空間において、ジョイント本体の内周部に設けたN個(Nは2以上の自然数)の環状の保持壁と回転体の外周部に設けたN+1個の固定密封環とを上下方向に交互に配置し、
各保持壁の内周部に、その両側に位置する固定密封環に対向する上下一対の可動密封環を上下方向に所定間隔を隔てて上下移動自在且つ相対回転不能に嵌合保持すると共に、各保持壁とこれに保持された可動密封環との間に、当該可動密封環をこれに対向する固定密封環に押圧接触させるべく附勢する附勢部材を配設して、前記環状空間を、各保持壁に保持された上下一対の可動密封環とこれらに相対回転摺接する両固定密封環と回転体の外周部とで囲繞形成されるN個の連絡空間と、固定密封環と可動密封環との相対回転摺接部分において連絡空間と遮蔽シールされ且つ保持壁で仕切られるN+1個の冷却空間と、に区画し、
ジョイント本体に、各保持壁を貫通して各連絡空間に開口するN個の第1流体通路を形成すると共に、回転体に、各連絡空間に開口するN個の第2流体通路であって、その各々が回転体外に開口する主通路と当該連絡空間の上端部に開口する上部通路と当該連絡空間の下端部に開口する下部通路とこれらの通路を回転体の周方向又は上下方向において齟齬する位置において連通接続する接続通路とからなる第2流体通路を形成して、第1流体通路と第2流体通路とを連絡空間で相対回転自在に連通接続し、
各保持壁に、これに形成された第1流体通路と交差することなく当該保持壁の両側に位置する冷却空間を連通する冷却流体通過孔を形成すると共に、ジョイント本体に、最下位及び最上位の冷却空間に夫々開口する冷却流体の供給路及び排出路を形成して、冷却流体が供給路から全冷却空間を順次通過して排出路へと流動されるように構成したことを特徴とする多流路形ロータリジョイントを提案する。
【0009】
かかる多流路形ロータリジョイントの好ましい実施の形態にあっては、回転体が円柱状の回転主体とこれに嵌合固定されたN個のスリーブとを具備して、固定密封環を、隣接する固定密封環間にスリーブを挟圧状に装填させた状態で、回転主体に嵌合固定させており、各接続通路が、回転主体とスリーブとの間に形成された環状溝で構成されており、各上部通路が、スリーブの上端部に穿設されて環状溝に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されており、各下部通路が、スリーブの下端部に穿設されて環状溝に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されており、各主通路が、下部通路とは回転体の周方向において齟齬し且つ上下方向において一致する位置において環状溝に連通される形態で、回転体の回転主体に形成されている。また、前記環状空間の上下端部をシールするシール部材が、最上位及び最下位の固定密封環の外周部とこれに対向するジョイント本体部分の内周部との間に装填されている。また、各可動密封環が、保持壁の内周部にOリングを介して上下移動自在に嵌合保持された円筒状の保持部と、保持部の先端部に一体形成された、保持部より大径の環状壁部と、環状壁部に一体形成されて固定密封環に接触する環状突部とからなり、環状突部の先端面が、平均径が保持部の外径に一致又は略一致し且つ径方向幅が微小な円環状平面に構成されている。さらに、各保持壁に保持された両可動密封環を附勢する附勢部材が、当該保持壁の冷却流体通過孔に挿通保持された状態で当該両可動密封環の環状壁部間に装填されたコイルスプリングで構成されている。
【0010】
ところで、当該ロータリジョイントの各部材の構成材は、当該部材に要求される機能,機械的強度に応じて選択される他、使用流体の性状,使用目的に応じて選択しておくことが必要であり、一般に、使用流体に対して不活性なものを選択しておくことが好ましい。使用流体に対して不活性な構成材は、当該流体の性状や使用条件(金属汚染の回避等)との関係において決定されるものであり、例えば、使用流体が半導体ウエハの処理に使用する研磨液,洗浄液等のように金属汚染を回避すべきものである場合には、使用流体との接触により金属成分を溶出したり金属粉を発生したりすることがないセラミックスやプラスチックが該当する。また、使用流体が砥粒等の固形成分を含有するスラリ流体である場合には、含有固形成分との接触により発塵しないセラミックス,プラスチックであり、高温流体である場合には耐熱性を有するセラミックス,プラスチックであり、腐食性流体である場合には、耐食性ないし耐薬品性を有するセラミックス,プラスチックが該当する。
【0011】
したがって、固定密封環及び回転密封環については、一般に、接触による摩耗粉等を発生し難い炭化珪素,酸化アルミニウム等のセラミックスで構成しておくことが好ましい。勿論、使用条件によっては、後述のエンジニアリングプラスチックで構成しておくことも可能である。また、密封環以外の流体接触部分(使用流体が侵入して接触する虞れのある部分を含む)については、使用流体の性状,使用目的に応じて、砥粒等の固形成分との接触によりパーティクルを発生させることがなく且つ加工による寸法安定性,耐熱性等に優れたPEEK(polyether ether ketone),PES(polyethersulfone),PC(polycarbonate)等のエンジニアリングプラスチックや耐食性,耐薬品性に優れたPTFE(polytetrafluoroethylene plastic),PFA(tetrafluoroethylene perfluoroalkoxy vinyl ether copolymer),FEP(fluornated ethylene propylene copolymer plastics)等の弗素樹脂で構成しておくことが好ましい。第1及び第2流体通路における流体接触部分を選定された材料(以下「選定材料」という)で構成しておく態様としては、第1及び第2流体通路が形成される部材(例えば、ジョイント本体及び回転体の全体)又はその部分(例えば、回転体の回転主体)を選定材料で構成しておく場合と、流体接触部分のみ(例えば、第1及び第2流体通路の内壁面等)をコーティング,パイプ圧入等の手段による選定材料層で構成しておく場合とに大別される。特に、後者は、機械的強度等の面からステンレス鋼等の金属材で構成せざるを得ない部材,部分に流路を形成しておく場合に有効である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて具体的に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、前述したNを3とした場合に係るものである。
【0013】
図1〜図5は本発明の実施の形態を示したもので、この実施の形態における多流路形ロータリジョイントは、CMP装置の固定側部材(例えば、装置本体)と回転側部材(例えば、装置本体に回転操作可能に設けられたトップリング又はターンテーブル)との間に3本のルート(流路)が形成されており且つ各ルートにおいて複数種の正圧,負圧流体を流動制御させる場合(例えば、加圧空気等のガス供給と純水等の液体供給と真空吸引とを1本のルートを使用して交互に行う場合)に使用されるもので、固定側部材に取付けられるジョイント本体1と回転側部材に取付けられる回転体2とを具備して、固定側流路と回転側流路とを接続する3本(N本)のジョイント流路を確保するように構成されたものである。
【0014】
ジョイント本体1は、図1に示す如く、中心線が上下方向に延びる円形内周部を有する筒状構造体をなすもので、上下方向に分割された5個(N+2個)の環状部分(上位のものから順に第1部分1a,第2部分1b,第3部分1c,第4部分1d,第5部分1eという)を連結一体化してなる。これらの部分1a〜1eは、図1に示す如く、第1部分1aを貫通して第2部分1bに螺着させた第1ボルト3aと、第2部分1bを貫通して第3部分1cに螺着させた第2ボルト3bと、第3及び第4部分1c,1dを貫通して第5部分1eに螺着させた第3ボルト3cとによって、同心状に連結一体化されている。
【0015】
回転体2は、図1に示す如く、軸線が上下方向に延びる円柱状の回転主体4と、これに上下方向に所定間隔を隔てて縦列状に嵌合固定された3個(N個)のスリーブ(円筒体)5…と回転主体4の上端部に嵌合固定された有底筒状のベアリング受体6とで構成されており、ベアリング受体6及び回転主体4の下端部に形成された大径のベアリング受部4aとジョイント本体1の上下端部との間に装填したベアリング7,7によりジョイント本体1の内周部に同心状をなして回転自在に支持されている。
【0016】
ジョイント本体1の内周部と回転体2の外周部との間には、図1に示す如く、上下方向に所定間隔を隔てて設けた上下一対のシール部材8,8により閉塞された環状空間10が形成されている。シール部材8,8はオイルシール等の公知の環状シールであり、ベアリング7,7間に配置されている。この実施の形態にあっては、図1に示す如く、シール部材8,8が後述する最上位及び最下位の固定密封環11,11の外周部とこれに対向するジョイント本体部分(第1及び第5部分1a,1e)の内周部との間に装填されており、各シール部材8は、図1及び図2に示す如く、第1又は第5部分1a,1eの内周部に嵌合保持されて固定密封環(最上位又は最下位の固定密封環)11の外周部に押圧接触された弾性材(NBR等)製のシールリング8aと、シールリング8aに埋設された金属材(SUS304等)製の補強金具8bと、シールリング8aの固定密封環11の外周部への接触力を確保するためのガータスプリング8cとからなる。
【0017】
環状空間10は、図1に示す如く、回転体2に設けられたN+1個(4個)の固定密封環11…とジョイント本体1の内周部に形成されたN個(3個)の保持壁12…と各保持壁12に設けられた上下一対の可動密封環13…と各可動密封環13を固定密封環11に押圧附勢する附勢部材14とを具備する端面接触形メカニカルシールによって、3個(N個)の連絡空間15…と4個(N+1個)の冷却空間16…とに区画されている。
【0018】
固定密封環11…は、図1に示す如く、上下方向に縦列して回転体2の回転主体4に嵌合固定されており、隣接する固定密封環11,11の相互間隔はその間に配置されたスリーブ5によって固定されている。すなわち、固定密封環11…は、ベアリング受体6をボルト17により回転主体4に締め付けることにより、スリーブ5…を介してベアリング受部4aとベアリング受体6との間に挟圧されており、上下方向に等間隔を隔てた縦列状態で回転主4に固定されている。また、上位のスリーブ5の上下端部及びこれ以外のスリーブ5,5の下端部と固定密封環11…との間にはOリング18が介装されていて、固定密封環11…と回転体2との間を二次シールしている。各固定密封環11は回転体2と同心をなす円環状板であり、隣接する固定密封環11,11の対向端面は軸線に直交する平滑な円環状平面たる密封端面11a,11aに構成されている。
【0019】
各保持壁12は、図1に示す如く、隣接する固定密封環11,11間に位置して、ジョイント本体1の内周部に突設されている。すなわち、固定密封環11…と保持壁12…とは、環状空間10において、上下方向に交互に配置された状態で縦列されている。これらの保持壁12…は、第2部分1b、第3部分1c及び第4部分1dの内周部に一体形成されており、回転体2と同心をなす同一内径を有している。
【0020】
各保持壁12の内周部には、図1に示す如く、当該保持壁12の両側に位置する固定密封環11,11間に配して、上下一対の可動密封環13,13が上下移動自在に且つ相対回転不能に保持されている。すなわち、各可動密封環13は、図1〜図3に示す如く、回転体2に同心状に遊嵌された円筒状の保持部20と、その先端部(各保持壁12に保持された上位の可動密封環13においては保持部20の上端部であり、下位の可動密封環13においては保持部20の下端部である)に一体形成された環状壁部21と、これに一体形成されて固定密封環11に接触する環状突部22とからなる。上下一対の可動密封環13,13は、保持部20,20の上下対向面間に所定距離を確保した上下逆向き状態で、保持壁12に保持されており、環状壁部21,21は当該保持壁12を挟んで上下に対向している。保持部20は、保持壁12の内周部にOリング23を介して上下移動自在に嵌合保持されている。環状壁部21は保持部20より大径の円環状板であり、その外周部には、保持壁12に植設したドライブピン24が係合する凹部21aが形成されていて、両者21a,24の係合作用により、可動密封環13がその上下移動を許容されつつ保持壁12に相対回転不能に保持される。ドライブピン24及びこれが係合する凹部21aの数は任意に設定することができる。環状突部22の先端面は、回転体2と同心であり且つその軸線に直交する平滑な円環状平面である密封端面13aに構成されている。この密封端面13aは、後述するように、平均径(内外径D1,D2の平均((D1+D2)/2))を保持部の外径D0に一致又は略一致させると共に径方向幅W(=(D2−D1)/2)を微小としたものである。
【0021】
各保持壁12とこれに保持された可動密封環13,13との間には、各可動密封環13を固定密封環11へと押圧附勢する附勢部材14が配設されているが、この実施の形態にあっては、附勢部材14が、図1及び図2に示す如く、保持壁12を上下方向に貫通する冷却流体通過孔25に挿通保持された状態で環状壁部21,21間に介装されたコイルスプリングで構成されていて、上下一対の可動密封環13,13に共通の附勢手段として機能するように工夫されている。附勢部材たるコイルスプリング14は、通常、回転体2の周方向に等間隔を隔てて複数個設けられている。
【0022】
したがって、対向する両密封環11,13の密封端面11a,13aは回転体2の回転に伴って相対回転摺接して、周知の端面接触形メカニカルシールと同様機能により、当該相対回転摺接部分の内周面側領域と外周面側領域とをシールすることから、環状空間10が、図1に示す如く、各々が、隣接する固定密封環11,11とこれらに押圧接触する上下一対の可動密封環13,13と回転体2の外周部であるスリーブ5とで囲繞形成された、3個(N個)の連絡空間(上記の内周面側領域)15…と、各々が、密封端面11a,13aの相対回転摺接部分において連絡空間15と遮蔽シールされ且つ保持壁12で仕切られた、4個(N+1個)の冷却空間(上記の外周面側領域)16…と、に区画されるのである。
【0023】
なお、この実施の形態にあっては、ジョイント本体1の第1及び第5部分1a,1e、回転体2のベアリング受体6、スプリング14及びドライブピン24をSUS316で、ジョイント本体の第2〜第4部分1b,1c,1d並びに回転体2の回転主体4及び各スリーブ5をPEEKで、各密封環11,13を炭化珪素で、また各Oリング18,23(及びジョイント本体1の部分1a,1b,1c,1d,1e相互間に装填されたOリング)をフッ素ゴムで夫々構成してある。
【0024】
而して、この実施の形態における多流路形ロータリジョイントにあっては、各々が、ジョイント本体1に形成した第1流体通路27と回転体2に形成した第2流体通路28とを連絡空間15により連通させてなる、3本の独立した一連のジョイント流路が形成されている。
【0025】
すなわち、ジョイント本体1には、図1及び図2に示す如く、相互に交差することなく各連絡空間15に連通する3本の第1流体通路27…が形成されている。これらの第1流体通路27…は、ジョイント本体1の第2、第3及び第4部分1b,1c,1dに形成されている。各第1流体通路27の一端部はジョイント本体1の外周部に開口されており、その他端部は、保持壁12を径方向に貫通して、これに保持された可動密封環13,13の保持部20,20間において連絡空間15に開口している。各第1流体通路27の一端開口部には、CMP装置の固定側部材に形成された各固定側流路29が連結される。
【0026】
回転体2には、図1及び図2に示す如く、相互に交差することなく各連絡空間15に連通する3本の第2流体通路28…が形成されている。各第2流体通路28は、回転体2外に開口する主通路30と連絡空間15の上端部に開口する上部通路31と連絡空間15の下端部に開口する下部通路32とこれらの通路30,31を回転体2の周方向又は上下方向において齟齬する位置において連通接続する接続通路33とからなる。各接続通路33は回転主体4とスリーブ5との間に形成した環状溝で構成されており、各上部通路31はスリーブ5の上端部に穿設されて環状溝(接続通路)33に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されており、各下部通路32はスリーブ5の下端部に穿設されて環状溝(接続通路)33に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されている。各主通路30は、一端部(下端部)を回転主体4の下端部に開口すると共に、他端部(上端部)を下部通路32とは回転体2の周方向において齟齬し且つ上下方向において一致する位置において環状溝(接続通路)33に開口した状態で、回転主体4に形成されている。各第1流体通路28の一端開口部つまり主通路30の下端開口部には、CMP装置の回転側部材に形成された各回転側流路34が連結される。
【0027】
なお、第2流体通路28の主通路30と回転側流路34との連結は、例えば図4に示す如きコネクタ35及びシールキャップ36を介して簡便に行うことができる。すなわち、図4に示す如く、回転側部材37の上端部は、これに形成した凹部37aにシールキャップ36を嵌合保持させた状態で、回転体2の下端部にアダプタ38(図1参照)を介して取り付けられている。シールキャップ36は円板状のもので、各回転側流路34に直対向する連結孔36aが形成されている。回転側部材37には、上端部39aを凹部37a内に突出させたプラスチックパイプ39が挿通されており、このプラスチックパイプ39の内部空間で回転側流路34が構成されている。主通路30の下端部とプラスチックパイプ39の上端部39aとは、図5に示す如く、中央部に環状鍔35aを有する円筒状のコネクタ35によって連結されている。各コネクタ35の下端側部分は、プラスチックパイプ39の上端部39aに圧入連結されている。各コネクタ35の下端部には下窄まり状の環状段部35bが形成されていて、この環状段部35bをプラスチックパイプ39の上端部39aにこれを弾性的に拡径しつつ圧入させることにより、コネクタ35とプラスチックパイプ39とをシール状に連結するようになっている。シールキャップ36の連結孔36aの径はかかるプラスチックパイプ39の拡径変形を許容できる大きさのものに設定されており、連結孔36aの上端部にはコネクタ35の環状鍔35aを係止する係合凹部36bが形成されている。各コネクタ35の上端部分つまりシールキャップ36の上面から突出する部分35cは主通路30の下端部に突入されており、その突入部分は主通路30の下端部に係合保持させたOリング40によりシールされるようになっている。したがって、プラスチックパイプ39の上端部39aに、シールキャップ36をセットした上でコネクタ35を圧入連結し、しかる後、回転体2と回転側部材37とをアダプタ38を介して連結させることにより、コネクタ35の上端部分35cがOリング40の内周部に圧入して、主通路30と回転側流路34とが連結される。すなわち、回転体2と回転側部材37とを連結させることにより、同時に、第2流体通路28の主通路30と回転側流路34とがコネクタ35を介して自動的に連結されるのであり、第2流体通路28と回転側流路34との連結を簡便に行うことができる。なお、流体接触部分であるコネクタ35、パイプ39及びOリング40は、使用流体に対して不活性な材料で構成しておくことが好ましく、例えばコネクタ35及びパイプ39はフッ素樹脂で構成され、Oリング40はフッ素ゴムで構成される。
【0028】
全ての冷却空間16…は、図1に示す如く、各保持壁12に形成した1個又は複数個の冷却流体通過孔25…により相互に連通されている。冷却流体通過孔25は、第1流体通路27と交差しないように配置されており、前述した如く附勢部材(コイルスプリング)14を貫通保持する保持孔として兼用されている。そして、ジョイント本体1には、最下位及び最上位の冷却空間16,16に夫々開口する供給路42及び排出路43を形成して、冷却流体44が供給路42から全冷却空間16…を順次通過して排出路43へと流動されるように構成されている。この実施の形態では、供給路42がジョイント本体1の第5部分1eに形成されると共に排出路43がジョイント本体1の第1部分1aに形成されていて、冷却流体44が最下位の冷却空間16に供給され、冷間空間16…を順次上昇通過して最上位の冷却空間16から排出されるようになっている。冷却流体44としては、一般に、常温の清浄水や純水等が使用されるが、この例では常温純水を使用している。
【0029】
ところで、連絡空間15を流動する流体が液固形成分や凝固成分を含有するスラリ流体(例えば、後述するシリコンウエハ研磨液)である場合、密封端面11a,13a間にスラリ流体が侵入して、これに含まれている固形成分や凝固成分が付着,堆積し、密封端面11a,13aの適正な接触が損なわれる虞れがあるが、上述した如く、一方の密封端面13aの径方向幅(以下「密封端面幅」という)Wを微小としておくことによって、固形成分等の付着,堆積を効果的に防止することができる。すなわち、密封端面11a,13a間に侵入,付着した固形成分等を密封端面13aによって削り取る如くして排除する(この機能を、以下「付着物排除機能」という)のである。また、密封端面幅Wを微小として、密封端面11a,13aの接触面積を小さくしておくことにより、加圧空気の供給等のドライ条件下においても密封端面11a,13aの接触による摩耗や発熱を効果的に抑制する(この機能を、以下「摩耗抑制機能」という)ことができる。このような付着物排除機能及び摩耗抑制機能を効果的に発揮させるためには、密封端面幅Wを1〜5mmに設定しておくことが好ましい。W>5mmであると、密封端面13aによる固形分排除機能が充分に発揮されないし、密封端面11a,13aの接触による摩耗を効果的に防止できない。また、W<1mmであると、密封端面13aの強度上の問題の他、密封端面13aによる削り取り力が過大となって、密封端面11a,13a間に形成される潤滑膜までも破壊され、密封端面11a,13aが焼き付く虞れがあり、微小幅の密封端面13aにより相手密封端面11aに環状の傷がつく虞れもある。さらに、密封端面11a,13aの接触圧が必要以上に高くなるため密封端面11a,13aの接触による摩耗が効果的に抑制されず、摩耗粉の発生が多くなる。したがって、密封端面幅Wは、シール条件(密封すべき流体の性状,圧力等)に応じて、上記した範囲(1mm≦W≦5mm)で適当に設定しておくことが好ましい。このような密封端面幅Wの上下限値は、シール条件によって多少異なるが、かかるシール条件に拘わらず、潤滑膜の破壊を確実に防止しつつ付着物排除機能及び摩耗防止効果を充分に発揮させるためには、1mm≦W≦2mmとしておくことがより好ましい。
【0030】
また、連絡空間15内の圧力は真空吸引作を行う場合等に負圧となることがある。したがって、連絡空間15と冷却空間16との間をシールする端面接触形メカニカルシールにあっては、連絡空間15が正圧,負圧の何れとなる場合にも、密封端面11a,13aの接触圧を適正に維持して良好なシール機能(メカニカルシール機能)が発揮されるように工夫しておくことが好ましい。そこで、この実施の形態にあっては、前述した如く可動密封環13の密封端面13aの平均径((D1+D2)/2)をOリング23で二次シールされる保持部20の外径D0と一致又は略一致させることにより、当該メカニカルシールをバランス比κを0≦κ≦1に設定したバランスシールに構成してある。
【0031】
すなわち、上記した構成のメカニカルシールにあって、バランス比κは、設計上、密封端面11a,13aの相対回転摺接部分の内外径D1,D2(密封端面13aの内外径であり、(D2−D1)/2=Wである)と可動密封環13の二次シール部分の径(Oリング23に接触する可動密封環13の保持部20の外径であり、以下「バランス径」という)D0とで決定され、κ=((D2 )2 −(D0 )2 )/((D2 )2 −(D1 )2 )とされる。図3に示す如く、密封端面11a,13aの相対回転摺接部分の内周側領域(連絡空間)15及びその外周側領域(冷却空間)16における圧力をPa,Pb(Pa>Pb)とし、コイルスプリング14による附勢力(スプリング圧)をFとすると、当該相対回転摺接部分に作用する見掛け上の面圧(推力)Pは、P=(π/4)((D2 )2 −(D0 )2 )(Pa−Pb)/(π/4)((D2 )2 −(D1 )2 )+(π/4)((D2 )2 −(D1 )2 )F/(π/4)((D2 )2 −(D1 )2 )=(((D2 )2 −(D0 )2 )/((D2 )2 −(D1 )2 ))(Pa−Pb)+Fで与えられることになり、この式における第1項の係数((D2 )2 −(D0 )2 )/((D2 )2 −(D1 )2 )がバランス比κである。このように、バランス比κは、密封端面13aの内外径D1 ,D2 及びバランス径D0 によって必然的に決定されるものであり、0≦κ≦1に設定しておくことにより、当該メカニカルシールによって区画される両領域15,16間の差圧(Pa−Pb)が大小変動,正負変動した場合にも上記推力Pが大きく変化せず、密封端面11a,13aの接触圧を適正に維持することができ、両領域15,16間のシールを良好に行うことができる。すなわち、κ<0であると、Pa>Pbの場合にスプリング圧力Fを必要以上に高くしておく必要がある等の問題があり、Κ>1であると、Pa<Pbの場合(例えば、連絡空間15の圧力Paが真空吸引により負圧となる場合)に密封端面11a,13aの接触圧が不足して、連絡空間15から冷却空間16への洩れが生じる等の問題があるが、0≦κ≦1としておくと、両領域A,Bの圧力関係に拘わらず、上記した如き問題を生じることなく、両領域15,16を適正にシールすることができる。両領域15,16間の差圧(Pa−Pb)が大小変動する場合において、この差圧変動が一方の領域における圧力変動に起因するときには、当該一方の領域側を基準として設計されたバランス比κが零に近づく程、また上記差圧が正負変動する場合においては、バランス比κが0.5に近づく程、当該差圧変動による悪影響(推力Pの変動)を受け難い。したがって、両領域15,16間の差圧(Pa−Pb)が大小変動,正負変動する虞れのある場合においては、0≦κ≦0.5としておくことがより好ましい。この実施の形態にあっては、密封端面13aの平均径(=(D1 +D2)/2)」とバランス径D0とを一致又は略一致させることによりκ=0.5となるように設定してある。
【0032】
以上のように構成された本発明に係る多流路形ロータリジョイントにあっては、固定側流路29から第1流体通路27に供給された流体(正圧流体)は、連絡空間15に流入する。さらに、連絡空間15から第2流体通路28を通過して回転側流路34へと流動する。すなわち、連絡空間15に流入した流体は、上下部通路31,32から接続通路33を経て主通路30へと流動する。
【0033】
このとき、主通路30と上下部通路31,32とが回転体2の周方向又は上下方向において齟齬する位置で接続通路33により接続されているから、連絡空間15における第1流体通路27の開口位置(可動密封環13,13の保持部20,20間つまり連絡空間15上下方向中央位置)と第2流体通路28の開口位置つまり上下部通路31,32の開口位置(連絡空間15の上下端位置)とが上下方向において齟齬していることも相俟って、第1流体通路27から連絡空間15に流入した流体は、上下に分流して上下部通路31,32へと流出する。その結果、連絡空間15内においては、その全域に亘って流体運動が生じ、流体の停滞領域が生じない。
【0034】
したがって、適当なスパウトにより、つまり固定側流路29からジョイント流路15,27,28を経て回転側流路34に至るルートに洗浄流体(例えば、水,空気)を流動させることにより、固形成分や凝固成分が含まれている流体(研磨液等)が連絡空間15を通過することによるトラブルの発生(冒頭で述べた如く、固形成分や凝固成分が可動密封環13の二次シール部分や密封環11,13間に付着,堆積して、可動密封環13の追随運動(上下移動)等が妨げられて、密封端面11a,13aの相対回転摺接によるメカニカルシール機能が低下,喪失する)を確実に回避することができ、ジョイントの分解等を保守点検作業を頻繁に行う必要がない。すなわち、連絡空間15においては上記した如く流体の停滞が生じず、その全域に亘って流体運動が生じることから、洗浄流体が連絡空間15を通過する際に、連絡空間15がその隅々まで洗浄されて、連絡空間15内に残留する固形成分や凝固成分を洗い流し、可動密封環13の二次シール部分や密封端面11a,13aにおける固形成分や凝固成分の付着,堆積を防止する。ところで、このような洗浄効果は、格別の洗浄流体によらずとも、CMP装置の通常運転時の流体供給によっても発揮されることから、積極的なスパウトはこれを敢えて行う必要はない。すなわち、CMP処理に必要とされる空気,水等の処理流体(固形成分や凝固成分を含まないもの)を供給する場合にも、スパウト時と同様に、連絡空間15の洗浄効果が発揮される。なお、第2流体通路28が一箇所において連絡空間15に開口されている場合や第2流体通路28が複数箇所において連絡空間15に開口されていてもその開口箇所が連絡空間15の上下位置に分散されていない場合には、連絡空間15の全域に亘る流体運動は生じ難く、流体の停滞領域が生じる。また、上下部通路31,32が接続通路33を介して主通路30に接続されている場合にも、例えば下部通路32(複数設けられる場合には、その一つ)と主通路30とが、回転体2の周方向及び上下方向の何れにおいても齟齬しない位置で接続通路33により接続されているときには、連絡空間15から下部通路32を経て主通路30への流動が第2連絡空間15から上部通路31を経て主通路30への流動に比してより積極的に行われるため、連通空間15の上部領域において流体が停滞する虞れがある。
【0035】
また、密封端面11a,13a間における固形成分,凝固成分の付着,堆積は、上述した如く密封端面13aの密封端面幅Wを微小としたことによって発揮される付着物排除機能によっても排除されることになる。
【0036】
また、連絡空間15をシールするメカニカルシールがκ=0.5のバランスシールに構成されているから、連絡空間15が圧力変動した場合や連絡空間15と冷却空間16との間の圧力差が変動した場合(例えば、正圧モードと負圧モードとに切り換える場合)にも、当該メカニカルシールを構成する密封環11,13の接触圧が適正に保持され、連絡空間15が良好にシールされる。したがって、第1及び第2流体通路27,28を連絡空間15で接続してなるジョイント流路を如何なる圧力条件下でも流体を良好に流動させうるルートとして使用することができる。
【0037】
また、密封端面11a,13aの相対回転摺接部分において連絡空間15と区画される空間を、冷却流体44が供給される冷却空間16に構成してあるから、加圧空気等の気体を供給する場合や真空吸引を行う場合のようなドライ条件下においても、密封端面11a,13aが発熱により焼き付いたり、熱歪を生じる虞れがない。しかも、可動密封環13の環状壁部21の外周部分が、保持部20の外方に配置されたコイルスプリング14を受け止めるために、二次シール部分(保持部20の外周部)及びこれと略同一径をなす密封端面13aの外周部(径D2)から冷却空間16へと大きく突出していることから、冷却空間16に充満する冷却流体44との接触面積が極めて大きく、冷却流体44による可動密封環13の冷却効果,放熱効果が頗る良好に発揮されることになる。なお、密封端面13aは平均径((D1+D2/2))が二次シール部分径(保持部20の外径)D0と同一又は略同一であり且つ密封端面幅Wが微小であるから、その外径D2は二次シール部分径D0と略同一となる。
【0038】
そして、全ての冷却空間16…はそれらを仕切る保持壁12に形成した冷却流体通過孔25により連通されているから、各冷却空間16毎に冷却流体の給排水路を設ける必要がなく、ジョイントへの冷却水給排回路を含めたジョイント構造が徒に複雑化,大型化するといった問題がない。
【0039】
また、最上位及び最下位の固定密封環11,11を除いて、固定密封環11の両面を密封端面11a,11aとしたから、つまり隣接する連絡空間15,15間を区画するメカニカルシールの固定密封環11を共通させるようにしたから、全てのメカニカルシールを独立したものとする従来ジョイントに比して、ジョイント軸長を小さくすることができ、上下方向におけるジョイント取付スペースを小さくできる。かかるジョイント取付スペースの縮小効果は、必要とされる流路数が多くなるに従ってより顕著となる。
【0040】
このようなジョイント取付スペースの縮小化は、次のような工夫によっても図られている。
【0041】
すなわち、従来ジョイントにあっては、最上位及び最下位の冷却空間をシールするためのシール部材を、メカニカルシール群の上方位及び下方位においてジョイント本体と回転体との対向周面部間に装填しているが、上記した多流路形ジョイントにあっては、最上位及び最下位の冷却空間16,16をシールするためのシール部材8,8を最上位及び最下位の固定密封環11,11の外周部をシールするものとして、連絡空間15…及び冷却空間16…を形成する環状空間10の上下方向長さを可及的に小さくなるように工夫したから、従来ジョイントに比してジョイントの短尺化を図ることができる。さらに、各保持壁12に保持させた上下一対の可動密封環13,13を附勢するコイルスプリング14を共通のものとしたから、各可動密封環13を各別のコイルスプリングで附勢するようにした場合に比して、ジョイントの短尺化を図ることができる。
【0042】
また、上記した冷却流体通過孔25を利用してコイルスプリング14を保持壁12に保持させるようにしているから、保持壁12にコイルスプリング用の保持孔を格別に設ける必要がなく、ジョイント構成の簡略化を図ることができる。
【0043】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。例えば、上記した実施の形態にあっては、図1に示す如く、回転体2と固定密封環11…との間のシール(二次シール)を行うOリング18…をスリーブ5…の下端位に配置したが、図6に示す如く、かかるOリング18…をスリーブ5…の下端位に配置しないようにすることもできる。すなわち、Oリング18…を、最下位の固定密封環11については当該固定密封環11の下面部と回転主体4との間(又は図6に鎖線図示する如く、当該固定密封環11の内周面部と回転主体4との間)に配置し、その他の固定密封環11…については当該各固定密封環11とスリーブ5の上端部との間に配置しておくのである。このようにすれば、スリーブ5に形成する下部通路32を、Oリング18への干渉を考慮することなく、可及的に下方に配置しておくことができ、連絡空間15の下部に流体溜りが生じることがない。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、請求項1及び請求項2の多流路形ロータリジョイントによれば、ジョイント構造を徒に複雑化,大型化させることなく、また頻繁な保守点検作業を必要とすることなく、複数の異種流体又は同種流体を各別のルートで良好に流動,制御させることができる。また請求項3及び請求項5の多流路形ロータリジョイントによれば、ジョイントの更なる短尺化,小型化を図ることができる。また、請求項4の多流路形ロータリジョイントによれば、正圧,負圧モードの切り替え等による圧力変動にも十分対応することができ、また冷却流体による密封環の冷却,放熱効果を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多流路形ロータリジョイントの実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】図1の要部を更に拡大して示す詳細図である。
【図4】図1に示す多流路ロータリジョイントの第2流体通路を回転側流路に接続させた状態を示す縦断正面図である。
【図5】図4の要部の拡大図である。
【図6】変形例を示す図1相当の縦断正面図である。
【符号の説明】
1…ジョイント本体、2…回転体、4…回転主体、5…スリーブ、8…シール部材、10…環状空間、11…固定密封環、11aの固定密封環の密封端面、12…保持壁、13…可動密封環、13a…可動密封環の密封端面(環状突部の先端面)、14…コイルスプリング(附勢部材)、15…連絡空間、16…冷却空間、18…Oリング(固定密封環の二次シール)、20…保持部、21…環状壁部、22…環状突部、23…Oリング(可動密封環の二次シール)、25…冷却流体通過孔、27…第1流体通路、28…第2流体通路、30…主通路、31…上部通路、32…下部通路、33…接続通路、42…供給路、43…排出路、44…冷却流体。
Claims (5)
- ジョイント本体に軸線が上下方向に延びる回転体を回転自在に連結して、ジョイント本体の内周部と回転体の外周部との間に、上下方向に所定間隔を隔てて設けた一対のシール部材により閉塞された環状空間を形成し、
この環状空間において、ジョイント本体の内周部に設けたN個(Nは2以上の自然数)の環状の保持壁と回転体の外周部に設けたN+1個の固定密封環とを上下方向に交互に配置し、
各保持壁の内周部に、その両側に位置する固定密封環に対向する上下一対の可動密封環を上下方向に所定間隔を隔てて上下移動自在且つ相対回転不能に嵌合保持すると共に、各保持壁とこれに保持された可動密封環との間に、当該可動密封環をこれに対向する固定密封環に押圧接触させるべく附勢する附勢部材を配設して、前記環状空間を、各保持壁に保持された上下一対の可動密封環とこれらに相対回転摺接する両固定密封環と回転体の外周部とで囲繞形成されるN個の連絡空間と、固定密封環と可動密封環との相対回転摺接部分において連絡空間と遮蔽シールされ且つ保持壁で仕切られるN+1個の冷却空間と、に区画し、
ジョイント本体に、各保持壁を貫通して各連絡空間に開口するN個の第1流体通路を形成すると共に、回転体に、各連絡空間に開口するN個の第2流体通路であって、その各々が回転体外に開口する主通路と当該連絡空間の上端部に開口する上部通路と当該連絡空間の下端部に開口する下部通路とこれらの通路を回転体の周方向又は上下方向において齟齬する位置において連通接続する接続通路とからなる第2流体通路を形成して、第1流体通路と第2流体通路とを連絡空間で相対回転自在に連通接続し、
各保持壁に、これに形成された第1流体通路と交差することなく当該保持壁の両側に位置する冷却空間を連通する冷却流体通過孔を形成すると共に、ジョイント本体に、最下位及び最上位の冷却空間に夫々開口する冷却流体の供給路及び排出路を形成して、冷却流体が供給路から全冷却空間を順次通過して排出路へと流動されるように構成したことを特徴とする多流路形ロータリジョイント。 - 回転体が円柱状の回転主体とこれに嵌合固定されたN個のスリーブとを具備して、固定密封環を、隣接する固定密封環間にスリーブを挟圧状に装填させた状態で、回転主体に嵌合固定させており、
各接続通路が、回転主体とスリーブとの間に形成された環状溝で構成されており、
各上部通路が、スリーブの上端部に穿設されて環状溝に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されており、
各下部通路が、スリーブの下端部に穿設されて環状溝に連通する1個又は複数個の貫通孔で構成されており、
各主通路が、下部通路とは回転体の周方向において齟齬し且つ上下方向において一致する位置において環状溝に連通される形態で、回転体の回転主体に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載する多流路形ロータリジョイント。 - 前記環状空間の上下端部をシールするシール部材が、最上位及び最下位の固定密封環の外周部とこれに対向するジョイント本体部分の内周部との間に装填されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する多流路形ロータリジョイント。
- 各可動密封環が、保持壁の内周部にOリングを介して上下移動自在に嵌合保持された円筒状の保持部と、保持部の先端部に一体形成された、保持部より大径の環状壁部と、環状壁部に一体形成されて固定密封環に接触する環状突部とからなり、環状突部の先端面が、平均径が保持部の外径に一致又は略一致し且つ径方向幅が微小な円環状平面に構成されていることを特徴とする、請求項1、請求項2又は請求項3に記載する多流路形ロータリジョイント。
- 各保持壁に保持された両可動密封環を附勢する附勢部材が、当該保持壁の冷却流体通過孔に挿通保持された状態で当該両可動密封環の環状壁部間に装填されたコイルスプリングで構成されていることを特徴とする、請求項4に記載する多流路形ロータリジョイント。
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