明細書 生体光計測プローブ 技術分野
本発明は、 光を用いて生体内部の情報を計測する装置のプローブに関 する。 背景技術
生体内部の情報を、 簡便で生体に害を与えずに計測する装置が、 臨床 医療や脳科学等の分野で用いられている。 その中でも、 特に光を用いた 計測法は非常に有効な手段である。 その第一の理由は、 生体内部の酸素 代謝機能は生体中の特定色素 (ヘモグロ ビン、 チトク ローム a a 3、 ミ オダロ ビン等) の濃度に対応しており、 これらの色素の濃度は、 光の吸 収量から求められるからである。 また、 光計測が有効である第二、 第三 の理由は、 光は光ファイバにより扱いが簡便であり、 さらに安全基準の 範囲内での使用により生体に害を与えないことが挙げられる。
このよ うな光計測の利点を活かして、 可視から赤外の波長の光を用い て生体内部を計測する生体光計測装置が、 例えば、 特許文献 1 (特開平 9 — 9 8 9 7 2号公報) もしくは特許文献 2 (特開平 9 一 1 4 9 9 0 3 号公報) に記載されている。 これらの文献に記載の生体光計測装置は、 半導体レーザで光を発生させ、 発生させた光を光フアイバで導いて被検 体に照射し、 生体内を透過あるいは反射してきた光を検出し、 検出した 光を光ファイバによってフォ トダイオードまで導き、 検出光量から血液 循環、 血行動態、 ヘモグロ ビン変化などの生体情報を得ている。
また、 このような生体光計測を実現するために、 被検体に接触させる 計測プローブが用いられている。 これは、 光を照射する光照射部と、 生 体内を透過あるいは反射してきた光を検出する光検出部と、 前記光照射 部と前記光検出部を格子状に配列させて固定する固定部材とによつて構
成されている。 また、 この固定部材をバン ドもしくはゴム紐もしくはへ ァバンドなどを用いて光照射部と光検出部を被検体に接触させる構造に なっている。 または、 固定部材がへルメ ッ トのように被検体にかぶせら れるようになっている。 この生体光計測プローブの例と して、 特許文献 3 (特開平 8— 1 1 7 2 0 9号公報)、 特許文献 4 (特開 2 0 0 1 — 2 8 6 4 4 9号公報) もしくは特許文献 5 (特開 2 0 0 3— 3 2 2 6 1 2号 公報) などが挙げられる。
【特許文献 1】 特開平 9 - 9 8 9 7 2号公報 .
【特許文献 2】 特開平 9一 1 4 9 9 0 3号公報
【特許文献 3】 特開平 8— 1 1 7 2 0 9号公報
【特許文献 4】 特開 2 0 0 1 — 2 8 6 4 4 9号公報
【特許文献 5】 特開 2 0 0 3— 3 2 2 6 1 2号公報 発明の開示
生体光計測においては、 計測対象である被検体が無機物試料である場 合と異なり、 被検体が生体であるため、 計測中に計測箇所を静止させる ことは困難である。 被検体が動く と、 被検体に接触させた計測プローブ がずれたり離れたりすることがあり、 正確に計測できないという問題が 生じる。 計測プローブのずれによる計測データの変化は、 生体内の情報 を反映した計測データに対しては、 本来の目的からするとノイズの原因 のひとつとなる。 現実的には、 計測中に被検体を完全に静止させること はできないため、 計測データの信頼性を高めるためには、 被検体の動き に対して頑健な計測プローブが必要である。
上記課題を解決するため、 本発明は計測プローブのずれの原因につい て種々検討した。 その結果、 被検体に光を照射する複数の照明部を構成 する導波路と、 被検体を透過あるいは反射した光を検出する複数の検出 部を構成する導波路とが、 これらを固定する共通の板により保持されて いるために、 被検体の動きに対して、 相互に影響し有っていることによ
るものであることを突き止めた。
そこで、 本発明では、 前記照明部および前記検出部とを分離するとと もに、 これらを計測プローブと して結合するために固定部を設けて、 固 定部と前記照明部および前記検出部とを独立した弾性体で結合するもの と した。 さらに各照明部に光を導く導波路および各検出部からの光を導 く導波路を前記弾性体に沿わせて配置すると ともに、 前記固定部で結束 するものと した。
本発明によれば、 各照明部および各検出部は被検体の動きに対して独 立したものとなるので、 被検体の動きに対して頑健な生体光計測プロ一 プを提供することができる。 これは被検体の立場で見れば、 自由な姿勢 や体勢で計測されることが可能となるので、 検査を受けることが苦痛で なくなるメ リ ッ トがある。 図面の簡単な説明
図 1は実施例 1 の生体光計測プローブの概略構成を説明するための図 である。
図 2は図 1に示した構造を有し、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2を 格子状に配列させた生体光計測プローブの例を示す斜視図である。
図 3は全ての照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2に導波路 1 0 3を結合させ た時の生体光計測プロ一ブの例の概観を示す斜視図である。
図 4は図 3に示す生体光計測プローブを上部から見た図である。 図 5は図 3に示す生体光計測プローブを下部から見た図である。 図 6は実施例 2の生体光計測プローブの概略構成を説明するための図 である。
図 7は図 6に示す生体光計測プローブを上部から見た図である。 図 8は図 6に示す生体光計測プローブを下部から見た図である。 図 9は図 2から図 5で示された生体光計測プローブを、 人間の頭部を 被検体と してバンドを用いて装着した例を示す図である。
図 1 0は図 6の構造を有する単位の生体光計測プローブを、 複数結合 させた例を示す図である。
図 1 1は図 1 0に示す生体光計測プローブを上部から見た図である。 図 1 2は実施例 3の生体光計測プローブの概略構成を説明するための 図である。
図 1 3は図 1 2で示された実施の形態の一部を変化させた生体光計測 プローブの概略構成を説明するための図である。
図 1 4は図 1 3に示す生体光計測プローブを横から見た図である。 図 1 5は図 1 3に示す生体光計測プローブの実施の形態の変化形をあ らわした図である。
図 1 6は図 1 3に示す生体光計測プローブと被検体との関係を説明す るため、 中心を通る平面で鉛直方向に切断した断面図である。
図 1 7は生体光計測プローブの照射側と検出側との距離が異なると、 被検体の内部における光の伝播経路が異なることを示す図である。 図 1 8は実施例 5の遮光部 1 0 8の例を示す斜視図である。
図 1 9は保持部に保持された検出部に遮光部をはめ込んだ例を示す斜 視図である。
図 2 0は図 1 9の保持部に保持された検出部に遮光部を設けた例を横 から見た図である。
図 2 1は検出部の先端が曲面であることを示す図で、 検出部の先端の 曲率が大きい場合を示す図である。
図 2 2は検出部の先端が曲面であることを示す図で、 検出部の先端の 曲率が中間程度の場合を示す図である。
図 2 3は検出部の先端が曲面であることを示す図で、 検出部の先端の 曲率が小さい場合を示す図である。
図 2 4は実施例 6の遮光部を利用して検出部と被検体との間に間隙を 設けた例を示す図である。
図 2 5は実施例 6の保持部を利用して検出部と被検体との間に間隙を
設けた例を示す図である。
図 2 6は実施例 4の生体光計測プローブの概略構成を説明するための 上部から見た例を示す図である。
図 2 7は実施例 7の保持部 1 0 4を球状構造を持つ突起部と、 球状の 凹型窪みを持ち前記突起部を受ける形で板ばね 1 0 7に固定された構造 と した例を示す図である。
図 2 8は図 2 7に示す構造の変形例を示す図である。
図 2 9は検出部と被検体表面との距離と検出部の出力との関係の特性 例を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明において、 発明の実施の形態と ともに図面を参照して詳 細に説明する。
(実施例 1 )
図 1 は実施例 1の生体光計測プローブの概略構成を説明するための図 である。 1 0 1は照明部で被検体に光を照射する。 1 0 3は導波路で図 示しない光源に接続されて照明部 1 0 1に光を供給する。 1 0 4は保持 部で照明部 1 0 1 を保持する。 実施例 1では、 導波路 1 0 3の先端部を 被検体の方に向ける働きをしている。 1 0 5は固定部で、 後述するよう に、 独立して設けられる複数の照明部 1 0 1および後述する複数の検出 部 1 0 2を一つの構造体に統括する働きをする。 1 0 6は弾性体であり、 前記固定部 1 0 5 と照明部 1 0 1および検出部 1 0 2を結合する。また、 導波路 1 0 3が弾性体 1 0 6の内部を通り保持部 1 0 4を経て照明部 1 0 1 と結合されている。
図 2は、 図 1 に示した構造を有し、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2 を格子状に配列させた生体光計測プローブの例を示す斜視図である。 1 0 2は検出部である。 検出部 1 0 2の詳細な図示は省略したが、 図 1に 示した照明部 1 0 1 と同じである。 また、 検出部 1 0 2から光を受ける
導波路 1 0 3は、 '図示しない信号処理部に接続される。 図 2に示すプロ ーブは、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2が交互に 3 X 3の格子状に配列さ れており、 照明部 1 0 1が 5個と検出部 1 0 2が 4個の合計 9箇存在す る。 そのうち 1つの照明部 1 0 1 と導波路 1 0 3が接続されている状態 を示している。
図 3は、 全ての照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2に導波路 1 0 3を結合さ せた時の概観を示している。 図 3の形態を上部から見た (導波路 1 0 3 は断面) ものが図 4であり、 下部から見た (導波路 1 0 3はハッチング を付した) ものが図 5である。 図 5に示すように、 照明部 1 0 1 と検出 部 1 0 2 とが等間隔に並び、 またそれぞれが交互に配置されている。 ま た、 図 3および図 4および図 5において、 導波路 1 0 3が固定部 1 0 5 にまとめて固定されている。
上述した図 1から図 5の構造を用い、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2を被検体に接触させると、 照明部 1 0 1 と結合されている導波路.1 0 3によって図示しない光源から導かれた光が照明部 1 0 1 より被検体に 照射され、 被検体内部を透過もしくは被検体内部で散乱された光を検出 部 1 0 2によって検出し、 検出した光を検出部 1 0 2 と結合されている 導波路 1 0 3によって図示しない信号処理部に導く ことができる。また、 固定部 1 0 5を、 パン ドもしくは帽子もしくはヘルメ ッ トと接着または 結合させると、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2を被検体に接触させる ことができる。 またこの時、 弾性体 1 0 6の弾力により、 照明部 1 0 1 および検出部 1 0 2を被検体にしっかり と接触させた状態を保つことが 可能である。
上述の図 1から図 5の構造を有する生体光計測プローブを、 パン ドを 用いてヒ トの側頭部に装着した例を図 9に示す。 生体光計測プローブ 8 0 1は、 その固定部 1 0 5をバン ド 8 0 5で押さえつけることにより固 定されており、 弾性体 1 0 6により保持部 1 0 4に力が加わり、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2が被検体 8 1 0に接触している。 また、 バン
ド 8 0 5が押さえているのは、 導波路 1 0 3を纏めている固定部 1 0 5 のみであり、 導波路 1 0 3に対して外部から引張りなどの力が与えられ 固定部 1 0 5に力が加わった場合でも、 弾性体 1 0 6を介して固定部 1 0 5から離れている照明部 1 0 1や検出部 1 0 2には直接力が伝わりに く いので、 外部からの力に対しても頑健であり、 計測する上で肝要な部 分である照明部 1 0 1や検出部 1 0 2がずれにくレ、。
すなわち、 本発明では、 各照明部 1 0 1および各検出部 1 0 2は機械 的には独立していて、 弾性体 1 0 6を介して固定部 1 0 5で統括されて いる。 したがって、 被検体の動きによって一つの照明部 1 0 1 あるいは 検出部 1 0 2が力を受けても、 これが他の照明部 1 0 1あるいは検出部 1 0 2に及ぼす力は低減される。
(実施例 2 )
図 6は、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2 とを交互に格子状配列させたも ののうち、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2を合わせて 4つ用いた場合の例 である。 図 6の形態を上部から見た (導波路 1 0 3は断面) ものが図 7 であり、 下部から見た (導波路 1 0 3はハッチングを付した) ものが図 8である。
また図 1 0は、 上述の図 6から図 8の生体光計測プローブを 4つ組み 合わせて、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の合計 1 6個を、 4 X 4に格子 状配列させた例である。 図 1 1は、 図 1 0を上部から見たものである。 図 1 0および図 1 1において、 4つの 2 X 2配列の生体光計測プローブ をつなぐ中央部 8 0 3は、 支持部 8 0 2で結合することにより生体光計 測プローブを支えている。支持部 8 0 2は、板ばねなどの弾力性素材や、 または金属棒やプラスチックなどの弾力性を持たない硬い素材でも良い < 実施例 1 と対比して分かるように、 単位となる生体光計測プローブを 弾性体によって複数結合することにより、 本発明による生体光計測プロ ーブの特徴を損なうことなく、 必要に応じてより多くの照明部 1 0 1 と 検出部 1 0 2を持つ生体光計測プローブを実現することができる。 ここ
では図示しなかったが、 導波路 1 0 3を中央部 8 0 3で結束するものと すれば、 導波路 1 0 3を介して作用する外力が照明部 1 0 1あるいは検 出部 1 0 2に作用する程度を実施例 1 より も低減できる。
図 1 2は、 弾性体 1 0 6に代わって板ばね 1 0 7を用いた場合の例を示 している。 導波路 1 0 3は板ばね 1 0 7の上部に位置しているが、 板ば ね 1 0 7 と必ずしも接触しなくてもよい。 図 1 2に示す生体光計測プロ ーブは、 上述の図 1から図 5で示した生体光計測プローブと同様に、 図 9のよ うに被検体に固定することが可能であり、 同様の機能を有する。 板ばねの長さが違う ことによる弾性力の違いは、 板ばねの厚みや幅を変 えることにより調整している。
弾性体 1 0 6もしくは板ばね 1 0 7は、 固定部 1 0 5 と各保持部 1 0 4 との間で独立に弾力を働かせれば良いのであって、 図 3あるいは図 1 2のよ うに別々に結合しておく必要はない。 例えば図 1 3のように実現 することができる。 図 1 3では照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の合わせて 9個を 3 X 3の格子状配列させたものであるが、 この図において板ばね 1 0 7は 8本の腕を有する一枚のものである。 この板ばね 1 0 7 と固定 部 1 0 5を、 ゴム素材ゃジエル素材のような弾性を持つ素材からなる固 定部支え 3 0 1 とネジ 3 0 2 とで結合して支えることにより、 図 1 2 と 同様の機能を有する生体光計測プローブを実現できる。 固定部支え 3 0 1 を介して、 固定部 1 0 5 と板ばね 1 0 7 との独立性が高まるので、 導 波路 1 0 3の引っ張りや被検体の動きによる力が、 固定部 1 0 5にかか つたと しても、 板ばね 1 0 7に結合された照明部 1 0 1や検出部 1 0 2 に直接かかる力がさらに低減されると言う効果ももたらす。 さらに、 図 1 3のよ うに構成された生体計測プローブの場合、 板ばね 1 0 7の中央 円形部分にパン ドをかけて被検体に固定することも可能で、 固定部支え 3 0 1 によって、固定部 1 0 5に外からかかる力を逃がすことができる。 また、 図 1 4は図 1 3を横から見た断面のイメージであるが、 わかりや すくするため導波路 1 0 3を 1本のみ示した。
図 1 5は、 上述の図 1 3および図 1 4 と同様に一枚の板ばね 1 0 7で 実現した生体光計測プローブと同様の構造で、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2を合わせて 4個用い、 2 X 2の格子状に配列させたものである。 上 述の図 1 2から図 1 5に示した生体光計測プローブは、 上述の図 1 0お よび図 1 1 と同様に複数結合させることによ り、 必要に応じてより多く の照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2 とを有する生体光計測プローブとするこ とが可能である。
図 2から図 8、 および、 図 1 2から図 1 5'に示した生体光計測プロ一 ブは、被検体に接触させやすいよ うに大まかに言う と曲率を持っている。 これらの代表と して、 図 1 3に示した生体光計測プローブの中央を垂直 方向に切断した断面図を図 1 6に示す。 図 1 6において、 被検体 8 1 1 は人間の頭部と し、 曲線 8 0 9は生体光計測プローブの板ばね 1 0 7に よって支持されている照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の先端部が持つ曲率 を示すものとする。 人間の頭部は、 いわゆる、 球体であり、 やはり、 大 まかに言う と、 ある曲率を持っている。 生後間もない乳幼児の頭囲は約 3 0 0 mmであり、 成人の頭囲は大きくて約 6 5 0 m mである。 これら を完全な球体と見なしたときの半径は、 頭囲 3 0 O mmの時に約 4 7. 7 mm、 頭囲 6 5 O mmの時に約 1 0 3 mmであり、 これらの半径の逆 数をもって曲率とすると、 曲率はおよそ 0. 0 0 9 7〜0. 0 2 1 [ 1 /mm] となる。 生体光計測プローブの照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の 先端部が持つ曲率が被検体 8 1 1のそれより大きければ、 図 1 6のよう に中央部分が浮いた形態になる。 この状態でバンドもしくは帽子もしく はヘアバン ドを用いて、 図 9に示すように、 固定部 1 0 5を押し下げる と、 その押し下げる力で中央部分が被検体 8 1 1に接触し、 板ばね 1 0 7の両端で支えられた照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2も板ばね 1 0 7の力 で被検体 8 1 1に、 より強い力で接触する。 すなわち、 被検体 8 1 1の 曲率が 0. 0 1 5 [ 1 /mm] であった場合、 生体光計測プローブの照 明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の先端部が持つ曲率を 0. 0 1 6〜0. 0 1
8 [ 1 / m m ] に設定することで、 生体光計測プローブを被検体 8 1 1 にしつかり と固定することができる。 人間の頭部は場所により形状が異 なり曲率も一定ではないため、 板ばね 1 0 7や弾性体 1 0 6はあらかじ め 0 . 0 2 0 [ 1 / m m ] 前後の大きい曲率を持たせておくのが良い。 上述の図 1 2から図 1 5に示した生体光計測プローブにおいては、 板 ばね 1 0 7を利用しているため、 上下方向にのみ弾力を有し、 左右方向 もしくは回転方向には弾力を持たない。 そのため、 照明部 1 0 1 と検出 部 1 0 2および保持部 1 0 4を被検体に接触させる機能を有するだけで なく、 隣り合う保持部 1 0 4 どう しの距離を保つ構造となっている。 光 計測において、 計測对象である被検体が無機物であろう と生体であろう と、 光照射側と光検出側の間の距離が変化すると、 計測対象の内部を伝 播する光の経路が変化する。 すなわち、 図 1 7において、 光照射器 Ί 0 0から発せられた光は、 被検体 8 1 0の内部を伝播し、 光検出器 7 0 1 で捕らえられるが、 このときの伝播経路は、 経路 7 0 8のよ うになる。 一方で、 光照射器 7 0 0から発せられた光が、 光検出器 7 0 1 よ り少し 離れた位置にある光検出器 7 0 2で捕らえられると、 その伝播経路は、 経路 7 0 9になる。 光計測においては光が伝播した経路の情報を計測す ることになるため、 光照射側と光検出側との距離のずれは、 計測位置や 計測深度のずれを引き起こす。 以上より、 図 1 2から図 1 5に示す生体 光計測プローブが、 保持部 1 0 4どう しの距離を保つことにより、 照明 部 1 0 1 と検出部 1 0 2の距離を保つ構造を有することで、 被検体の動 きに対して頑健となる。
また、 上述のよ うに保持部 1 0 4 どう しの距離を保つには、 保持部 1 0 4を弾力のない素材で結ぶ構造を設けることでも実現可能である。 図 2 6に、 図 3、 図 1 2もしくは図 1 3に示した生体光計測プローブに対 して、 弾力のない保持部支え 1 0 9を設けたものを上部から見た例 (導 波路 1 0 3は断面) を示した。 実施例 4では、 それぞれの照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2は分離され、 板ばね 1 0 7によって被検対の動きに対し
て頑健とするとともに、 照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2相互間のずれを抑 制するものと して、 図 1 7で説明した伝播経路のずれの抑制を図ること として、照明部 1 0 1 と検出部 1 0 2の距離を一定に保つことが可能で、 被検体の動きに対して、 より頑健となる。
(実施例 5 )
検出部 1 0 2を被検体に密着させる機構を有する遮光部 1 0 8の例を 図 1 8に示す。 遮光部 1 0 8は検出部 1 0 2を中央に通すように穴 1 0 8 1をあけてあり、 図 1 9のように、 保持部 1 0 4で保持された検出部 1 0 2を包むようにはめ込むことが可能である。 図 2 0は図 1 9を横か ら見たものである。 遮光部 1 0 8は、 光を遮断するためにその表面もし くは全体を、 光を吸収する色で着色されている。 このことにより、 生体 光計測に用いる光以外の外部の不要な光を遮断し、 照明部より被検体に 照射され被検体の内部を透過もしくは反射した光のみを、 穴 1 0 8 1を 通して検出部 1 0 2で検出することができる。またこの遮光部 1 0 8は、 図 1 9·もしくは図 2 0 と同様に、 照明部 1 0 1 に対しても適用すること ができ、 照明部 1 0 1から被検体の内部以外の箇所に光が漏れることを 防ぐことができる。 被検体の内部以外に漏れた光が検出部 1 0 2で直接 検出されることを未然に防ぐことが可能である。
遮光部 1 0 8は、 照明部 1 0 1や検出部 1 0 2を被検体に密着させる 機能も有する。 例えば、 ゴム系素材ゃジエル素材などに代表される粘着 性のある素材から成る遮光部 1 0 8を用いることで、 照明部 1 0 1およ び検出部 1 0 2を、 被検体に対してずれにく く、 密着させることが可能 である。
照明部 1 0 1あるいは検出部 1 0 2の先端が曲面である例と して、 検 出部 1 0 2の先端が曲面である場合を図 2 1および図 2 2および図 2 3 に示す。 検出部 1 0 2の先端を曲面と した場合の曲率が大きいものから 順に 1 0 2 1、 1 0 2 2、 1 0 2 3 と し、 それぞれ図 2 1、 図 2 2、 図 2 3に示した。 保持部 1 0 4に保持された検出部 1 0 2 1および 1 0 2
2および 1 0 2 3の先端が曲面になることにより、 先端が平面である場 合より、 被検体の動きや外部からの力により先端が傾いても、 被検体に 対する接触面積があまり変化しないため、 検出光量が大きく変化しない という効果をもたらした。 また、 これは照明部 1 0 1の先端を曲面にし た場合も同様で、 被検体に対する接触面積を大きく変化させないことに より、 照射光量の増減を抑えることができる。
(実施例 6 )
照明部 1 0 1あるいは検出部 1 0 2 と被検体との間に間隙を設ける構 造を有する例を、 図 24および図 2 5に示す。 図 2 4は、 遮光部 1 0 8 の穴 1 0 8 1 を利用して、 検出部 1 0 2 と被検体との間に間隙 1 0 8 2 を設けた例である。 上下方向に長い遮光部 1 0 8を用いることにより、 間隙 1 0 8 2を実現している。 図 2 5は、 検出部 1 0 2'を保持部 1 0 4 の内側に引き入れた構造をしており、 上下方向に長い保持部 1 0 4もし くは上下方向に短い検出部 1 0 2により、間隙 1 0 4 2を実現している。 上述の図 2 4における間隙 1 0 8 2もしくは図 2 5における間隙 1 0 4 2は、 照明部 1 ◦ 1から照射される照射光量もしくは検出部 1 0 2に より検出される検出光量が、 被検体の動きによって変動することを抑え る効果をもたらす。 すなわち、 照明部 1 0 1 もしくは検出部 1 0 2が被 検体に接触した状態から、 被検体の動きにより非接触の状態に変化した 場合よ り、 非接触の状態が多少変化した場合の方が、 照射光量あるいは 検出光量の変化が少ないためである。 ここで、 照明部 1 0 1 もしくは検 出部 1 0 2 と被検体との距離を L [mm] とする。 L = 0. 0は照明部 1 0 1 もしくは検出部 1 0 2が被検体に接触した状態である。 L = 0. 0から L = l . 0になった時の照射光量および検出光量の変化よ り、 L = 1. 0から L = 2. 0に変化した時の照射光量および検出光量の変化 の方が小さい。 L = 2. 0から L = 3. 0に変化した時の照射光量およ び検出光量の変化は、 さらに小さくなる。 そのため、 例えばあらかじめ L = 2. 0と しておく と、 被検体の動きや外部からかかる力によって L
の値が変動したと しても、 あらかじめ L = 0 . 0 と していた場合より も 照射光量および検出光量の変化は小さく抑えることができる。 照射光量 および検出光量の強度を確保するために、 照明部 1 0 1および検出部 1 0 2を被検体により近づけて L = 1 . 0 と しても、 L = 0 . 0の場合よ り も被検体の動きに対して頑健な構造である。
図 2 9は、 これを検証するために、 被検体と検出部 1 0 2 との距離を 変えた時に検出出力がどの程度変化するかの計測例を示す図である。 四 角を付した線、丸を付した線および三角を付した線の三つの例を示すが、 ばらつきがあるとはいえ、 いずれの例でも、 2 m m程度離れていると、 出力は比較的小さい誤差範囲に収まるといえる。 この関係は、 被検体と 照明部 1 0 1 との関係においても、 同様である。 すなわち、 ある程度、 離しておけば、 照明部 1 0 1から被検体に注入される光強度は、 大きく 変化することは無い。
実施例 6は、 被検体と検出部 1 0 2あるいは照明部 1 0 1 との距離の 変化による影響は低減できるが、 図 2 9からも分かるように、 L = 0 . 0の場合より も検出出力が 2 0 %程度に落ちるので、 信号処理部のゲイ ンを上げるたり、 照射光の強度を強く したりすることによって対処する こともできる。
(実施例 7 )
保持部 1 0 4は、 被検体 8 1 1 との密着度を高めるため、 図 2 7の保 持部 1 0 4 8または図 2 8の保持部 1 0 4 9に替えることができる。 図 2 7および図 2 8は、 図 1 6における保持部 1 0 4を保持部 1 0 4 8ま たは保持部 1 0 4 9に替え、 遮光部 1 0 8を用いた例を示している。 図 2 7において、 保持部 1 0 4 8は、 保持部 1 0 4に加え、 先端に球状構 造を持つ突起部と、 球状の凹型窪みを持ち前記突起部を受ける形で板ば ね 1 0 7に固定された凹部とを有するいわゆるボールジョイントによる 構造である。 この構造により、 保持部 1 0 4 8あるいは遮光部 1 0 8は 被検体 8 1 1に対面する角度に自由度が生じるため、 保持部 1 0 4 8あ
るいは遮光部 1 0 8が被検体 8 1 1に接触する面積を大きく させること ができる。 すなわち、 生体光計測プローブと被検体 8 1 1 との密着度を 高め、 よりずれにく く しつかり と固定することができる。 また図 2 8に おいて、 保持部 1 0 4 9は、 上部が球形に膨らんだ球状構造と、 前記球 状構造がその中心点を基準に自由に回転可能な穴構造を持ち板ばね 1 0 7に固定された固定部分とを有する。 保持部 1 0 4 8 と同様、 保持部 1 0 4 9は、 保持部 1 0 4 9あるいは遮光部 1 0 8 と被検体 8 1 1 との密 着度を高める効果を与える。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 被検体が自由な姿勢や体勢で計測されることが可能 となり、 検査を受けることの苦痛を低減できるので、 生体の光計測を普 及させる効果がある。