明 細 書
高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザ 一リング
技術分野
[0001] この発明は、従来よりも高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する自動車変速 機の銅合金製シンクロナイザーリングに関するものである。
背景技術
[0002] 一般に、シンクロナイザーリングは自動車変速機の一構成部品であることは知られて おり、このシンクロナイザーリングは、図 1に斜視図で例示されように、内面 1を有し、 外周面にはキーが嵌合するキー溝 3が設けられており、さらに、その外縁にそって所 定間隔おきに相手部材であるハブスリーブとかみ合う機能を発揮するチャンファー 2 が設けられた構造を有している。そして、シンクロナイザーリングの内面 1には、図 2の 一部拡大断面説明図に示されるように、トップランド 4を有するねじ山 5が形成されて いる。このシンクロナイザーリングの内面 1は回転するギアコーン(図示せず)との高面 圧下での同期摺動並びにこれよりの離脱の断続的面接触を受ける。このシンクロナイ ザ一リングは Zn20— 40質量%、 Al: 2— 11質量%、 Fe、 Ni、 Coのうち 1種以上: 1 一 5質量%、Ti: 0. 1— 4質量%、Mn: 0. 01—0. 1質量%未満、 S : 0. 0005—0. 1質量%を含有し、さらに必要に応じて Mg : 0. 01-0. 5質量%、を含有し、残りが C uおよび不可避不純物からなる組成の銅合金力もなることが知られて 、る(特許文献 1参照)。前記従来のシンクロナイザーリングは、素地組織に α相が全くない jS ,単相 力または極めて僅かしか存在しな 、素地組織を有して 、るところカも耐摩耗性に優 れていると言われている。
特許文献 1:特開平 8—127831号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] しかし、最近、燃費向上のためミッションオイル内の動力伝達ロスを低減させるため、 ミッションオイルの低粘度化およびミッションオイルを少なく充填する減量ィ匕が進めら
れており、そのために摩擦摺動面の温度が上がり、シンクロナイザーリングにかかる 熱負荷が高くなつてきている。力かる高温となる過酷な条件下において長期間使用さ れると、従来のシンクロナイザーリングは、摩耗してトップランドの高さが低くなると同 時にシンクロナイザーリングの内面 1に形成されたねじ山 5のトップランド 4の近傍の材 料が高温となるために材料の一部が塑性流動する現象が発生し、図 3の一部拡大断 面説明図に示されるように、ねじ山 5の頭部に茸傘 6が形成されるように変形し、前記 摩耗に加えて前記材料の一部が塑性流動する現象によってねじ山 5の高さが予測 以上に急激に減少するところ力 シンクロナイザーリングの内径が予想以上に早く大 きくなり、図 4に示される背面クリアランス Heが予想以上に早く無くなり、そのために相 手ギアコーンとの背面接触が生じて、いわゆるギヤ鳴きが予想以上に早く発生するの で好ましくない。
課題を解決するための手段
そこで、本発明者らは、従来よりも一層高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有す る銅合金製シンクロナイザーリングを得るべく研究を行った。その結果、
(ィ)前記従来の α相が全くないまたは α相があっても極めて僅かしか存在しない実 質 j8 単相からなる素地組織を有するシンクロナイザーリングでは、本質的に耐熱性 が不足しているので高発熱環境下では塑性流動しやすぐまた、 α相が極めて多い 実質 a単相からなる素地組織を有するシンクロナイザーリングも知られている力 この シンクロナイザーリングでは熱伝導性が悪いために、やはり高発熱環境下では耐塑 性流動性が悪い、
(口)銅合金の α相は j8相および j8 '相に比べて耐熱性を有し、耐塑性流動性に優 れ、し
たがって、 (X相がより高温状態まで存在する方が高温下でのシンクロナイザーリング は塑性流動の発生を阻止して耐塑性流動性を向上させることができる、
(ハ) α相中に Cuが 65質量%以上、 Niが 0. 5質量%以上含まれると 650°Cまで α 相が存在し、高温状態において優れた耐塑性流動性を発揮するが、一方、 α相中に 含まれる Cuが 74質量%を越え、 Niが 2. 5質量%を越えると、熱間押し出しが困難に なる、
(二) β相は変態温度以下では規則格子の 13 '相として存在し、この 13 '相は不規則 格子の ι8相に比べて熱伝導性や強度に優れるため、 (規則格子)→|8 (不規則 格子)変態温度がより高温の方がシンクロナイザーリングの耐塑性流動性を向上させ る、
(ホ) |8相 W相)中の A1を 3. 5質量%以上にすると、 (規則格子)→|8 (不規則 格子)変態温度が 550°C以上となり、高温状態において優れた耐塑性流動性を発揮 するが、一方、 j8相( j8 '相)中の A1を 6. 0質量%を越えても、 β ' (規則格子)→ j8 ( 不規則格子)変態温度のさらなる上昇は無ぐ A1が多く含有することにより熱伝導の 低下を招き、力えって耐塑性流動性が阻害される、
(へ)そのために、素地組織を、 650°C以上まで存在する Cu: 65— 74%、 Ni: 0. 5— 2. 5%を含有する α相と、 A1を 3. 5— 6. 0質量%含有する ^ (規則格子)→ (不 規則格子)変態温度が 550°C以上である β 相の 2相組織からなる銅合金からなる銅 合金製シンクロナイザーリングは高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を確保するこ とがでさる、
(ト)前記 α相と j8 '相の 2相組織力 なる銅合金は、 Cu: 62. 5— 67. 5質量%、A1: 4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2. 7—3. 7質量0 /0、Ti: l. 0—2. 0質量0 /o、Mn: 0. 05— 0 . 35質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、 Zn+ 不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN + 6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (A1-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有る必要がある、などの 研究結果が得られたのである。
この発明は、力かる研究結果にもとづいてなされたものであって、
(l) Cu: 62. 5— 67. 5質量%、A1:4. 5—5. 5質量%、Ni: 2. 7—3. 7質量%、Ti: 1. 0—2. 0質量%、 Mn: 0. 05—0. 35質量%を含有し、残り力 ¾nおよび不可避不 純物からなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (A1-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が α相と j8 '相の 2相組織力もなる銅合金力 なる高発熱環境下で 優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザーリング、に特徴を有するもの
である。
[0006] この発明の高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザ 一リングの素地組織における α相は Cu: 65— 74質量%、A1: 2.5-4.5質量%、 N i:0.5—2.5質量%、Ti:0.05—0.6質量%、Mn:0.03—0.4質量%、Zn:22 一 28質量%を含有する成分組成を有し、一方、 β '相は Cu:62— 71質量%、 Al:3 .5—6.0質量0 /o、Ni:0.3—2.3質量0 /o、Ti:0.05—0.6質量0 /o、Mn:0.03— 0 .4質量%、Zn: 25— 31質量%を含有する成分組成を有することが一層好ましい。し たがって、この発明は、
(2) Cu:62.5— 67.5質量0 /0、A1:4.5—5.5質量0 /0、Ni:2.7—3.7質量0 /0、Ti: 1.0—2.0質量%、 Mn:0.05—0.35質量%を含有し、残り力 ¾nおよび不可避不 純物からなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6X (A1— 0.9)}/{Cu-l.3+ZN
+ 6X (A1-0.9)}で表される亜鉛当量が 0.4-0.46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が Cu:65— 74質量0 /0、 Al:2.5—4.5質量0 /o、Ni:0.5
一 2.5質量%、Ti:0.05—0.6質量%、Mn:0.03—0.4質量%、 Zn: 22— 28質 量%を含有する α相と、
Cu:62— 71質量0 /0、 Al:3.5—6.0質量0 /o、Ni:0.3—2.3質量0 /o、Ti:0.05— 0 .6質量%、Mn:0.03-0.4質量%、 Zn: 25— 31質量%を含有する j8 ,相の 2相 組織からなる銅合金からなる高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金 製シンクロナイザーリングに特徴を有するものである。
[0007] さら〖こ、この発明の高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロ ナイザーリングは、前記(1)または(2)記載の銅合金に、さらに Feおよび Coの内の 1 種または 2種を合計で 0.5— 1.5質量%含有させる組成を有することにより耐摩耗性 を一層向上させることができる。したがって、この発明は、
(3) Cu:62.5— 67.5質量0 /0、A1:4.5—5.5質量0 /0、Ni:2.7—3.7質量0 /0、Ti: 1.0—2.0質量0 /0、 Mn:0.05—0.35質量0 /0を含有し、さらに Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0.5-1.5質量%含有し、残りが Znおよび不可避不純物か らなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6X (Al— 0.9)}/{Cu-l.3+ZN
+ 6X (Al— 0.9)}で表される亜鉛当量が 0.4-0.46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が α相と j8 '相の 2相組織力もなる銅合金力 なる高発熱環境下で 優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザーリング、に特徴を有するもの である。
この発明の Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0.5-1.5質量%をさらに含 有させる組成を有する高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シン クロナイザーリングにおける素地糸且織は、 Cu: 65— 74質量%、A1: 2.5-4.5質量 %、 Ni:0.5—2.5質量0 /0、 Ti:0.05—0.6質量0 /0、 Mn:0.03—0.4質量0 /0、 Fe および Coの内の 1種または 2種を合計で 0.05-1.0質量%、Zn:22— 28質量%を 含有する α相と、
Cu:62— 71質量0 /0、 Al:3.5—6.0質量0 /o、Ni:0.3—2.3質量0 /o、Ti:0.05— 0.6質量%、 Mn:0.03—0.4質量%、 Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0.05-1.0質量%、Zn:25— 31質量%を含有する j8'相との二層組織からなるこ とが好ましい。したがって、この発明は、
(4)Cu:62.5— 67.5質量0 /0、A1:4.5—5.5質量0 /0、Ni:2.7—3.7質量0 /0、Ti: 1.0—2.0質量0 /0、 Mn:0.05—0.35質量0 /0を含有し、さらに Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0.5-1.5質量%含有し、残りが Znおよび不可避不純物か らなる成分組成を有し、 Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6X (A1— 0. 9)}/{Cu-l.3+ZN + 6X (Al— 0.9) }で表される亜鉛当量が 0.4-0.46の範 囲内に有り、
かつ、素地組織が Cu:65— 74質量0 /0、 Al:2.5—4.5質量0 /o、Ni:0.5—2.5質 量0 /0、 Ti:0.05—0.6質量0 /0、 Mn:0.03—0.4質量0 /0、 Feおよび Coの内の 1種 または 2種を合計で 0.05-1.0質量%、Zn:22— 28質量%を含有する α相と、 Cu:62— 71質量0 /0、 Al:3.5—6.0質量0 /o、Ni:0.3—2.3質量0 /o、Ti:0.05— 0 .6質量%、Mn:0.03—0.4質量%、 Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0 .05-1.0質量%、Zn: 25— 31質量%を含有する '相との二層組織力もなる銅合 金からなる高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザー
リング、に特徴を有するものである。
さらに、この発明の高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロ ナイザーリングは、前記(1)、(2)、(3)または (4)記載の銅合金に、さらに Si, Mg, P の内の 1種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 3質量%を含有させて耐熱性 を一層向上させることができる。したがって、この発明は、
(5) Cu: 62. 5— 67. 5質量0 /0、A1:4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2. 7—3. 7質量0 /0、Ti: 1. 0—2. 0質量0 /0、 Mn: 0. 05—0. 35質量0 /0を含有し、さらに Si, Mg, Pの内の 1 種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 3質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不 純物からなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (A1-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が α相と j8 '相の 2相組織力もなる銅合金力 なる高発熱環境下で 優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザーリング、
(6) Cu: 62. 5— 67. 5質量0 /0、A1:4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2. 7—3. 7質量0 /0、Ti: 1. 0—2. 0質量0 /0、 Mn: 0. 05—0. 35質量0 /0を含有し、さらに Si, Mg, Pの内の 1 種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 3質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不 純物からなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (Al-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が Cu: 65— 74質量%、 Al: 2. 5—4. 5質量%、Ni: 0. 5—2. 5質 量0 /0、 Ti: 0. 05—0. 6質量0 /0、 Mn: 0. 03—0. 4質量0 /0、 Si, Mg, Pの内の 1種ま たは 2種以上を合計で 0. 01-0. 35質量%、Zn: 22— 28質量%を含有する成分組 成を有する α相と、
Cu: 62— 71質量0 /0、 Al: 3. 5—6. 0質量0 /o、Ni: 0. 3—2. 3質量0 /o、Ti: 0. 05— 0. 6質量%、 Mn: 0. 03—0. 4質量%、 Si, Mg, Pの内の 1種または 2種以上を合 計で 0. 01-0. 35質量%、Zn: 25— 31質量%を含有する成分組成を有する 相 とからなる高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザー リング、
(7) Cu: 62. 5— 67. 5質量0 /0、A1:4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2. 7—3. 7質量0 /0、Ti: 1. 0—2. 0質量0 /0、 Mn: 0. 05—0. 35質量0 /0を含有し、さらに Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0. 5-1. 5質量%含有し、さらに Si, Mg, Pの内の 1種また は 2種以上を合計で 0. 01-0. 3質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不純物か らなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (A1-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が α相と j8 '相の 2相組織力もなる銅合金力 なる高発熱環境下で 優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザーリング、
(8) Cu: 62. 5— 67. 5質量0 /0、A1:4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2. 7—3. 7質量0 /0、Ti: 1. 0—2. 0質量0 /0、 Mn: 0. 05—0. 35質量0 /0を含有し、さらに Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0. 5-1. 5質量%含有し、さらに Si, Mg, Pの内の 1種また は 2種以上を合計で 0. 01-0. 3質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不純物か らなる成分組成を有し、
Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN+6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (Al-0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有り、
かつ、素地組織が Cu: 65— 74質量%、 Al: 2. 5—4. 5質量%、Ni: 0. 5—2. 5質 量0 /0、 Ti: 0. 05—0. 6質量0 /0、 Mn: 0. 03—0. 4質量0 /0、 Feおよび Coの内の 1種 または 2種を合計で 0. 05-1. 0質量%、 Si, Mg, Pの内の 1種または 2種以上を合 計で 0. 01-0. 35質量%、Zn: 22— 28質量%を含有する成分組成を有する α相と
Cu: 62— 71質量0 /0、 Al: 3. 5—6. 0質量0 /o、Ni: 0. 3—2. 3質量0 /0
、 Ti: 0. 05—0. 6質量0 /0、 Mn: 0. 03—0. 4質量0 /0、 Feおよび Coの内の 1種また は 2種を合計で 0. 05-1. 0質量%、 Si, Mg, Pの内の 1種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 35質量%、Zn: 25— 31質量%を含有する成分組成を有する 相とか らなる高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザーリン グ、に特徴を有するものである。
発明の効果
[0010] この発明の銅合金製シンクロナイザーリングは、従来の銅合金製シンクロナイザーリ ングに比べて高発熱環境下で優れた耐塑性流動性に優れており、過酷な条件下で 使用されても優れた性能を長期にわたって発揮することができ、工業上優れた効果 をもたらすものである。
[0011] この発明の高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロナイザ 一リングを製造するには、 Cu: 62. 5— 67. 5質量0 /0、A1:4. 5—5. 5質量0 /0、Ni: 2 . 7—3. 7質量%、Ti: l. 0—2. 0質量%、 Mn: 0. 05—0. 35質量%を含有し、さら に必要に応じて Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0. 5-1. 5質量%含有 し、さらに必要に応じて Si, Mg, Pの内の 1種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 3 質量%を含有し、残りが Znおよび不可避不純物力 なる成分組成を有し、 Zn+不可 避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN + 6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (Al -0. 9) }で表される亜鉛当量が 0. 4-0. 46の範囲内に有るビレットから所定の寸法 を有するシンクロナイザーリングを塑性カ卩ェにより製造したのち、温度: 250— 350°C に加熱し、ついで空冷または水冷により冷却する調質処理を施すことによって α相と β 相の 2相組織を生成させ、その後、所定の寸法に機械加工することにより製造さ れる。
[0012] つぎに、この発明の高発熱環境下で優れた耐塑性流動性を有する銅合金製シンクロ ナイザーリングの成分組成および亜鉛当量、並びに素地組織を上記のごとく限定し た理由について説明する。
Α.成分組成
Cu:
Cuは 62. 5質量%未満では所望の延性を確保することができず、一方、 67. 5質量 %を越えて含有すると、所望の強度を確保することができない。したがって、 Cuの含 有量は 62. 5— 67. 5質量%に定めた。
[0013] A1:
A1は、強度および靭性を向上させる作用がある力 A1: 4. 5質量%未満では所望の 強度および靭性を確保することができず、一方、 Al: 5. 5質量%を越えて含有すると 、熱伝導性が低下するので好ましくない。したがって、 Al:4. 5-5. 5質量%に定め
た。
[0014] Niおよび Ti:
Niおよび Tiには、共存した状態で Ni— Ti系金属間化合物 (Niおよび Tiを主成分とし 、これに Cuおよび A1と僅かな Znを含む)の晶出物を形成し、これが素地に分散して 通常の摺動摩耗環境下で耐摩耗性を向上させる作用を有するが、 Ni: 2. 7質量% 未満および Ti: l. 0質量%未満では所望の効果が得られず、一方、 Ni: 3. 7質量% を越えおよび Ti: 2. 0質量%を越えると、溶解'铸造性が阻害されるので好ましくない 。した力 Sつて、 Ni: 2. 7-3. 7質量0 /0、Ti: l. 0-2. 0質量に定めた。
[0015] Mn:
Mnは、通常の摺動摩耗環境下で耐摩耗性を向上させる作用を有する力 Mn: 0. 0 5質量%未満ではその効果が十分でなぐ一方、 Mn: 0. 35質量%を越えると熱伝 導性の低下を招き好ましくない。したがって、 Mn: 0. 05-0. 35質量%未満に定め た。
[0016] Fe, Co
これら成分は、 Niと同様 Tiと共存した状態で金属間化合物の晶出物を形成し、これ が素地に分散して通常の摺動摩耗環境下で耐摩耗性を向上させる作用を有するの で必要に応じて添加する力 Fe, Coがそれぞれ 0. 5質量%未満では所望の効果が 得られず、一方、 1. 5質量%を越えると、切削性が阻害されるので好ましくない。した がって、 Fe, Coの内の 1種または 2種を合計で 0. 5-1. 5質量に定めた。
[0017] Siゝ Mgゝ P :
これら成分は、耐熱性を向上させ、もってシンクロライナーリングの耐塑性流動性を一 層向上させる作用があるので必要に応じて添加する力 Si、 Mg、 Pそれぞれの含有 量が 0. 01質量%未満では所望の効果が得られず、一方、その含有量が 0. 3質量 %を越えて含有させても耐塑性流動性の一層の向上効果がないば力りか溶解铸造 性が阻害されるので好ましくない。したがって、 Si、 Mg、 Pの内の 1種または 2種以上 を合計で 0. 01-0. 3質量%に定めた。
[0018] 亜鉛当量:
亜鉛当量は、この発明のシンクロライナーリングを構成する銅合金が Cu, Zn, A1を
主成分としているので、 Zn+不可避不純物 =ZNとしたとき、式: {ZN + 6 X (A1— 0. 9) }/{Cu-l. 3+ZN + 6 X (A1-0. 9) }で表され、この亜鉛当量は素地組織中の α相と 相の存在割合を決定する指標である力 亜鉛当量が 0. 4未満であると α 相が多くなりすぎ、強度や熱伝導性が悪化し好ましくない。一方、亜鉛当量が 0. 46 を越えると、 α相が少なくなりすぎ、高温での耐塑性流動性悪くなるので好ましくない 。したがって、 0. 4≤亜鉛当量≤0. 46とした。
[0019] Β.素地組織
素地組織は、 α相と j8 '相の 2相組織力もなることが好ましいことはすでに述べたが、 α相は Cu: 65— 74質量%、 Al: 2. 5—4. 5質量%、Ni: 0. 5—2. 5質量%、Ti: 0. 05—0. 6質量%、 Mn: 0. 03—0. 4質量%、 Zn: 22— 28質量%を含有し、必要に 応じて Feおよび Coの内の 1種または 2種を合計で 0. 05-1. 0質量%を含有し、さら に必要に応じて Si, Mg, Pの内の 1種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 35質量% を含有する成分組成を有することが一層好ましぐ一方、 j8 '相は Cu: 62— 71質量 %、 Al: 3. 5—6. 0質量0 /0、 Ni: 0. 3—2. 3質量0 /0、 Ti: 0. 05—0. 6質量0 /0、 Mn: 0. 03-0. 4質量%、Zn: 25— 31質量%を含有し、必要に応じて Feおよび Coの内 の 1種または 2種を合計で 0. 05-1. 0質量%を含有し、さらに必要に応じて Si, Mg , Ρの内の 1種または 2種以上を合計で 0. 01-0. 35質量%を含有する成分組成を 有することが一層好ましい。この場合、 α相と 相の分散割合は、面積%で《相: 5 一 30%、残部 /3 '相の範囲内にあることが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 先ず、通常の高周波溶解炉により表 1一表 4に示される成分組成および亜鉛当量を 有す
る Cu合金溶湯を溶製し、得られた溶湯を铸込み温度: 1, 100°Cで内径: 250mmの モールドに铸込み、直径: 250mm、長さ: 3000mmの連続铸造ビレットを製造し、こ のビレットを所定の長さに切断し、 750°Cで熱間押し出しを行い、外径: 72mm、内径 : 54mmの押し出しパイプを作製した。ついで、このパイプを機械カ卩ェによつ て切断および内'外径の切削加工を施し、外径: 70mm、内径: 56mm、高さ: 10m mの銀造用リングを作製した。
[0021] さらに、前記リングを 700°Cに加熱後、下金型にセットし、上金型によりプレスすること により熱間鍛造を行った。ついで、この熱間鍛造体を温度: 300°Cに加熱し、ついで 空冷することにより調質処理を施し、表 5— 8に示される成分組成を有する α相およ び表 9一 12に示される成分組成を有する β 相の 2相組織を生成させ、その後、機械 加工することにより最大外径: 76mm、最小内径: 54mm、高さ: 7mm、内径ねじ山の 高さ: 0. 3mm、ねじのトップランド幅(図 2において aで示される幅) a : 0. 1mmを有す る本発明シンクロナイザーリング (以下、本発明リングという) 1一 28、比較シンクロナ ィザーリング (以下、比較リングという) 1一 19および従来シンクロナイザーリング (以下 、従来リングという) 1一 2の試験片を製造した。なお、 α相および |8 '相の成分組成は ΕΡΜΑにより測定した。
[0022] 次に、図 4の一部断面側面図に示される回転可能な浸炭焼入れ鋼力 なるギアコー ン 9および押圧体 8を備えた単体磨耗試験装置を用意し、単体磨耗試験装置のギア コーン 9に前記本発明リング 1一 28、比較リング 1一 19および従来リング 1一 2からな る試験片 10を図 4に示されるように挿入し、油温: 100°Cに加熱された低粘度オイル( 油種: 15W— 30)が図 4のオイルライン 7がシンクロナイザーリングの内面の最下位置 に来るように油量を調整し、単体磨耗試験装置のテーパーコーン 9を回転数: 1500r . p. m.で回転させながら押圧体 8を負荷加重 F : 100kgでシンクロナイザーリングに 向かって 0. 2秒間押し付けたのち、 1. 0秒間離す操作を 1万回繰り返すことにより本 発明リング 1一 28、比較リング 1一 19および従来リング 1一 2の各試験片 10について の定速耐久試験を実施した。この定速耐久試験を実施したのち、シンクロナイザーリ ングの各試験片 10と相手ギアコーン 9との背面クリアランス Heの減少量をを測定し、 その結果を表 13— 14に示した。
さらに、本発明リング 1一 28、比較リング 1一 19および従来リング 1一 2の各試験片に っ 、て α相の消失温度と β ' (規則格子)→ β (不規則格子)変態温度の測定を行 、 、その結果を表 13— 14に示した。 α相の消失温度の測定は、本発明リング 1一 28、 比較リング 1一 19および従来リング 1一 2を所定温度に加熱し、 15分間保持後水冷し 、光学顕微鏡でミクロ組織を観察することにより測定した。また β ' (規則格子)→ ι8 ( 不規則格子)変態温度の測定は示差熱分析装置により行った。
シンクロナイザリングの成分組成 (質量%)
種別 Z n +
C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P 不可避 亜鉛当量
不純物
1 62.7 5.0 3.1 1.6 0.15 - - - - - 27.5 0.46
2 65.1 5.2 3.2 1.5 0.16 - - - - - 24.8 0.44
3 67.3 5.0 3.2 1.6 0.15 - - - - - 22.8 0.42
4 65.2 4.6 3.1 1.4 0.12 - - - - - 25.6 0.43
5 65.0 5.4 3.3 1.5 0.14 - - - - 24.7 0.45 本 6 65.1 4.8 2.8 1.5 0.13 - - - - - 25.7 0.43 発
明 7 65.2 5.1 3.6 1.6 0.14 - - - - - 24.4 0.44
8 64.9 4.9 3.2 1.1 0.15 - - - - 25.8 0.44 ン
9 65.2 5.0 3.3 1.9 0.16 - - - - - 24.4 0.43 グ
10 64.8 5.1 3.1 1.5 0.07 - - - - - 25,4 0.44
11 65.0 4.9 3.2 1.4 0.33 - - - - - 25.2 0.44
12 65.1 5.0 3.3 1.6 0.13 0.6 - - - - 24.3 0.43
13 65.2 4·9 3.1 1.5 0.12 1.4 - - - - 23.8 0.43
14 64.8 5.1 3.3 1.5 0.14 - 0.6 - - 24.6 0.44
0023
シンクロナイザリングの成分組成 (質量%)
種別 Z n +
C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P 不可避 亜鉛当量 不純物
15 65.0 4.8 3.2 1.6 0.15 - 1.4 - - - 23.9 0.43
16 64.9 5.0 3.2 1.5 0.16 0.5 0.6 - - - 24.1 0.43
17 65.0 5.1 3.3 1.5 0.15 - - 0.01 - - 24.9 0.44
18 65.4 5.2 3.2 1.6 0.16 - - 0.27 - - 24.2 0.44
19 65.3 5.0 3.1 1.6 0.15 - - - 0.02 - 24.8 0.44 本 20 64.7 4.9 3.3 1.5 0.16 - - - 0.29 - 25.2 0.44 発
明 21 65.2 4.8 3.2 1.5 0.15 - - - - 0.01 25.1 0.43
22 65.0 5.1 3.1 1.5 0.14 - - - - 0.28 24.9 0.44 ン
グ 23 65.1 5.0 3.3 1.6 0.13 - - 0.05 0.06 0.06- 24.7 0.44
24 65.3 5.1 3.2 1.5 0.12 0.7 - 0.05 - - 24.0 0.43
25 65.2 4.8 3.3 1.6 0.14 0.8 - 0.06 0.06 - 24.0 0.43
26 65.0 4.9 3.2 1.4 0.13 - 0.6 - 0.07 - 24.7 0.43
27 64.8 5.2 3.1 1.5 0.15 - 0.7 - 0.08 0.07 24.4 0.44
28 65.1 5.1 3.2 1.6 0.14 0.4 0.5 0.06 0.04 0.05 23.8 0.43
シンクロナイザリングの成分組成 (質量%)
種別 Z n +
C u A 1 N i T i M n F e C 0 S i M g P 不可避 亜鉛当量 不純物
1 68.5* 5.0 3.2 1.5 0.12 - - - - - 21.7 0.41
2 61.0* 5.1 3.2 1.4 0.15 - - - - - 29.2 0.48
3 65.0 6.0* 3.3 1.6 0.14 - - - - - 24.0 0.46
4 65.1 4.0* 3.1 1.5 0.15 - - - - - 26.2 0.41
5 65.2 5.1 4.0* 1.5 0.13 - - - - - 24.1 0.44 比 6 64.9 4.9 2.0* 1.6 0.16 - - - - - 26.4 0.44 較 7 65.2 5.0 3.1 2.5* 0.15 - 24.1 0.43 ン 8 65.1 5.0 3.2 0.5* 0.14 - - - - - 26.1 0.44 グ 9 64.8 5.1 3.2 1.5 0.45* - - - - - 25.0 0.44
10 64.9 5.1 3.3 1.4 0.02* - - - - - 25.3 0.44
11 62.5 5.5 2.7 1.0 0.05 - - - - - 28.3 0.48*
12 67.5 4.5 3.7 2.0 0.35 1.5 - 0.3 - - 20.2 0.39*
13 65.0 5.0 3.1 1.4 0.14 1.9* - - - - 23.5 0.43
14 65.1 4.9 3.3 1.5 0.16 - 2.0* - - - 23.0 0.42
氺印は、 この発明の範囲から外れた値を示す c
0025
シンクロナイザリングの成分組成 (質量%)
種別 Z n +
C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P 不可避 亜鉛当量
不純物
15 65.1 4.9 3.2 1.6 0.16 1.0* 0.8* - - - 23.2 0.43 比
16
較 64.9 5.0 3.1 1.5 0.15 - - 0.35* - - 25.0 0.44
17 65.0 5.2 3.2 1.5 0.15 - - - 0.38* - 24.6 0.44 ン 18 65.1 5.1 3.3 1.6 0.16 - - - - 0.37* 24.4 0.44 グ
19 65.2 5.0 3.1 1.6 0.13 - - 0.13* 0.12* 0.14* 24..6 0.43 従 1 61.04 4.7 1.1 1.50 0.06 - - - - - 31.6 0.477 来 2 60.00 4.6 2.5 1.60 0.08 - - - 0.02 - 31.2 0.476
氺印は、 この発明の範囲から外れた値を示す c
0026
備 シンクロナイザリングの素地組織における α相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P Z n
1 66.8 3.5 1.6 0.1 0.2 - - - - 27.8
2 69.3 3.2 1.8 0.2 0.2 - - - - - 25.3
3 72.4 3.5 1.8 0.1 0.1 - - - - - 22.1
4 69.5 2.6 1.3 0.1 0.3 - - - - - 26.2
5 70.5 4.3 1.6 0.2 0.2 - - - - - 23.2 本 6 69.2 3.3 0.8 0.2 0.1 - - - - 26.4 発 1
明 7 か 69.7 3.0 2.2 0.1 0.3 - - - - - 24.7 リ 8 ら 69.0 3.8 1.6 0.06 0.2 - - - - - 25.3 ン 続
9 69.6 4.0 1.7 0.5 0.2 - - - - - グ ぐ 24.0
10 70.5 3.7 1.3 0.2 0.05 - - - - - 24.3
11 70.2 4.1 1.9 0.2 0.4 - - - - - 23.2
12 69.1 3.1 2.1 0.2 0.2 0.06 - - - - 25.2
13 68.8 2.9 1.7 0.2 0.2 0.7 - - - - 24.5
14 70.5 3.6 1.4 0.1 0.2 - 0.07 - - - 24.1
§3
備 シンクロナイザリングの素地組織における α相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C 0 S i M g P Z n
15 69.5 3.4 1.6 0.1 0.1 - 0.5 - - - 24.8
16 69.0 3.1 1.5 0.2 0.2 0.03 0.04 - - - 25.9
17 70.3 3.7 1.2 0.1 0.2 - - 0.01 - - 24.5
18 69.7 3.5 1.7 0.1 0.1 - - 0.31 - - 24.6
19 69.1 3.6 1.4 0.2 0.3 - - - 0.03 - 25.4 本 20 70.2 3.3 1.5 0.2 0.2 - - - 0.33 - 24.3 発 2
明 21 か 71.2 3.6 1.6 0.1 0.1 - - - - 0.01 23.4
22 ら 68.9 3.6 1.5 0.2 0.2 - - - - 0.31 25.3 ン
23 69.6 3.5 1.5 0.07
グ < 0.1 0.1 - - 0.06 0.06 25.0
24 69.9 3.9 1.8 0.1 0.2 0.07 - 0.05 - - 24.0
25 70.6 3.5 1.5 0.2 0.2 0.06 - 0.07 0.06 - 23.8
26 69.1 3.6 1.2 0.2 0.1 - 0.07 - 0.07 - 25.7
27 70.8 3.0 1.3 0.1 0.2 - 0.06 - 0.08 0.07 24.4
28 69.7 3.2 1.5 0.2 0.1 0.04 0.03 0.06 0.05 0.06 25.1
0028
備 シンクロナイザリングの素地組織における α相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P Z n
1 熱間押し出しできず
2 64.4* 3.5 1.5 0.2 0.1 - - - - - 30.3*
3 69.5 5.2* 1.7 0.2 0.1 - - - - - 23.3
4 70.2 1.8* 1.4 0.1 0.1 - - - - - 26.4
5 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
比 6 69.6 3.3 0.3* 0.1 0.1 - - - - - 26.6
3
較 7 か 溶解铸造性が悪く健全なインゴッ トできず
ン 8 ら 70.4 3.1 1.4 0.02* 0.2 - - - - 24.9
続
グ 9 69.7 3.4 1.6 0.2 0.5* - - - - - 24.6
ぐ
10 70.3 3.1 1.5 0.2 0.01* - - - - - 24.9
11 65.0 4.5 0.5 0.1 0.03 - - - - - 29.9*
12 熟間押し出しできず
13 切削性が悪く機械加工できず
14 切削性が悪く機械加工できず
ネ印は、 この発明の範囲外の値を示す。
¾002
備 シンクロナイザリングの素地組織における α相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i Mn F e Co S i Mg P Z n
15 切削性が悪く機械加工できず
比
16 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
較
リ 17 4 溶解铸造性が悪く健全なィンゴットできず
ン か
18 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
グ ら
19 i 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
1 ぐ
従
α相は存在しない
来 2
s003
備 シンクロナイザリングの素地組織における /3相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P Z n
1 62.5 4.8 1.5 0.2 0.1 - - - - - 30.9
2 65.4 4.8 1.6 0.1 0.2 - - - - - 27.9
3 69.0 4.2 1.3 0.1 0.2 - - - - 25.2
4 64.8 3.6 1.1 0.2 0.2 - - - - 30.1
5 65.1 5.8 1.5 0.2 0.2 - - - - 27.2 本 6 64.7 4.6 0.6 0.1 0.2 - - - - 29.8 発 5
明 7 か 64.5 4.1 1.9 0.1 0.3 - - - - 29.1 リ 8 ら 65.6 4.7 1.3 0.06 0.1 - - - - - 28.2 ン
9 .5 1.4
グ 65.8 4
ぐ 0.5 0.1 - - - - - 27.7
10 64.2 4.4 1.1 0.1 0.05 - - - - - 30.2
11 65.7 4.3 1.6 0.2 0.4 - - - - - 27.8
12 65.3 4.5 1.8 0.1 0.1 0.06 - - - - 28.1
13 64.3 4.4 1.6 0.2 0.2 0.8 - - - - 28.5
14 64.1 4.6 1.3 0.2 0.1 - 0.06 - - - 29.6
0031
備 シンクロナイザリングの素地組織における (3相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C 0 S i M g P Z n
15 65.1 4.6 1.4 0.2 0.1 - 0.4 - - - 28.2
16 64.5 4.5 1.3 0.1 0.1 0.03 0.04 - - - 29.4
17 65.6 4.8 1.1 0.1 0.2 - - 0.02 - - 28.2
18 65.1 4.2 1.4 0.2 0.2 - - 0.32 - - 28.6
19 65.5 4.3 1.2 0.1 0.2 - - - 0.03 - 28.7 本
20 表 64.3 4.7 1.3 0.1 0.2 - - - 0.31 - 29.1 発
明 21 6 64.6 4.6 1.4 0.1 0.1 - - - 0.02 29.2
ら
リ 22 fee 65.7 4.7 1.2 0.2 0.1 - - - - 0.33 27.8 ン
23 ぐ 64.3 4.5 1.2 0.1 0.1 - - 0.06 0.06 0.08 29.6 グ
24 65.7 4.7 1.5 0.2 0.1 0.07 - 0.06 - - 27.7
25 65.3 4.3 1.3 0.2 0.2 0.07 - 0.07 0.08 - 28.5
26 64.8 4.8 1.0 0.1 0.1 - 0.06 - 0.06 - 29.1
27 64.9 4.3 1.1 0.1 0.1 - 0.07 - 0.08 0.07 29.3
28 65.2 4.6 1.2 0.2 0.2 0.04 0.04 -0.06 0.06 0.05 28.4
^s0032l
備 シンクロナイザリングの素地組織における j3相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i Τ ί Μ η F e C 0 S i M g P Z n
1 熱間押し出しできず
2 60.5* 4.6 1.3 0.2 0.1 - - - - - 33.3*
3 64.5 6.3* 1.4 0.1 0.2 - - - - - 27.5
4 65.5 3.0* 1.2 0.2 0.1 - - - - - 30.0
5 溶解铸造性が悪く健全なィンゴットできず
比 6 65.7 4.7 0.1* 0.2 0.1 - - - - - 29.2
7
較 7 か 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
リ
ン 8 ら 64.6 4.6 1.2 0.03* 0.1 - - - - - 29.5
続
グ 9 65.6 4.8 1.4 0.1 0.5* - - - - - 27.6
ぐ
10 65.2 4.7 1.3 0.2 0.02* - - - - - 28.6
11 63.0 4.2 0.3 0.1 0.04 - - - - - 32.4*
12 熱間押し出しできず
13 切削性が悪く機械加工できず
14 切削性が悪く機械加工できず
ネ印は、 この発明の範囲外の値を示す。
0033
備 シンクロナイザリングの素地組織における 相の成分組成 (質量%)
種別
考 C u A 1 N i T i M n F e C o S i M g P Z n
15 切削性が悪く機械加工できず
比
溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
較 16
17 8 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
ン か
18 溶解铸造性が悪く健全なインゴットできず
グ ら
19 溶解铸造性が悪く健全なィンゴットできず
1 <
従 61.5 4.3 0.4 0.1 0.06 - - - - - 33.6* 来 2 60.4 4.2 1.0 0.2 0.08 - - - 0.03 - 34.1*
*印は、 この発明の範囲から外れた値を示す。
[0035] [表 13]
[0036] [表 14]
背面クリアランスの減 α相の消失温度 β '→ β変態温度 種別
少量 (mm) (°C) (V)
1 熱間押し出しできず
2 背面当り発生 620 582
3 0.35 690 610
4 0.28 700 520
5 溶解铸造性が悪く健全なインゴッ トできず
6 背面当り発生 600 583
7 溶解铸造性が悪く健全なインゴッ トできず
8 0.24 700 582 比
9 0.32 690 588 較
V 10 0.23 700 586 ン
11 背面当り発生 580 572 グ
12 熱間押し出しできず
13 切削性悪く機械加工できず
14 切削性悪く機械加工できず
15 切削性悪く機械加工できず
16 溶解铸造性が悪く健全なィンゴッ 卜できず
17 溶解铸造性が悪く健全なインゴッ 卜できず
18 溶解铸造性が悪く健全なインゴッ トできず
19 溶解鋅造性が悪く健全なインゴッ トできず 従 1 575 背面当り発生 α相存在せず
来 2 573
[0037] 表 1一 14に示される結果から、本発明シンクロナイザーリング 1一 28は従来シンクロ ナイザーリング 1一 2に比べていずれも背面クリアランスの減少量が小さいことが分か る。しかし、比較シンクロナイザーリング 1一 19は背面クリアランスの減少量が大きいこ とが分かる。
図面の簡単な説明
[0038] [図 1]シンクロナイザーリングの斜視図である。
[図 2]シンクロナイザーリングの内面に形成されたねじ山の断面図である。
[図 3]シンクロナイザーリングの内面に形成されて!ヽるねじ山の塑性流動現象を説明 するための断面説明図である。
圆 4]単体磨耗試験装置の一部断面側面図である。 符号の説明
1:内面
2:チャンファー
3:キー溝
4:トップランド
5:ねじ山
6:茸傘
7:才ィルライン
8:押圧体
9:ギアコーン
10:試験片