WO2005051659A1

WO2005051659A1 - 離解性フィルムとこれを用いた窓付き封筒

Info

Publication number: WO2005051659A1
Application number: PCT/JP2004/017566
Authority: WO
Inventors: Yuki Kashiwazaki
Original assignee: The Pack Corporation
Priority date: 2003-11-28
Filing date: 2004-11-26
Publication date: 2005-06-09
Also published as: JP2005161532A

Abstract

　高透明性で生分解性を有し、水中で容易に離解でき、窓付き封筒の窓材料に用いた場合に、使用済み封筒を古紙材料としてリサイクルする際に剥がす必要のないフィルムを提供する。　ポリビニルアルコール系樹脂からなる水溶性のベースフィルム２の片面に、生分解性樹脂の耐水層３が形成されてなる離解性フィルム１とした。

Description

明細書

離解性フィルムとこれを用いた窓付き封筒

技術分野

[0001] この発明は、耐水性の表面を備えて且つ水中で離解できると共に環境負荷の小さ V、離解性フィルムと、該離解性フィルムを窓材料に用いた窓付き封筒に関する。背景技術

[0002] 従来、窓付き封筒の窓材料として、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の透明性の高い汎用合成樹脂のフィルムが多用されていた。しかるに、これら汎用合成樹脂フィルムカゝらなる窓材料は、使用済み封筒をゴミとして廃棄した場合、分解せずに長期間残留して環境問題を生じることになり、また該封筒を古紙材料としてリサイクルする場合にも剥がし取る必要があり、そのために非常に手間が力かる上、剥がし取ったフィルムの処分と!/、う新たな問題が生起する。

[0003] そこで、最近にぉヽては、該窓材料として環境負荷の小さ!/ヽ生分解性榭脂フィルム

(特許文献 1)やダラシン紙等が使用されつつある。

特許文献 1：特開平 7-267253号

[0004] しカゝしながら、生分解性榭脂フィルムの窓材料では、汎用合成樹脂フィルムと同等の透明性は得られるが、使用済み封筒を古紙材料としてリサイクルする際に剥がし取らねばならず、そのために非常に手間が力かるという難点は解消されない。一方、グラシン紙の窓材料は、これを貼着した使用済み封筒をそのまま古紙材料としてリサィクルできる力透明性においては汎用合成樹脂フィルムに比べて劣っている。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] この発明の課題は、上述の状況に鑑み、高透明性で生分解性を有し、且つ水中で容易に離解できる離解性フィルムと、これを用いた窓付き封筒を提供することにある。課題を解決するための手段

[0006] 上記課題を解決するために、この発明に係る離解性フィルムは、ポリビニルアルコ一ル系榭脂からなる水溶性のベースフィルムの片面に、生分解性榭脂の耐水層が形成されてなるものとしている。

[0007] 前記耐水層の生分解性榭脂は、シェラック系榭脂又は変性でんぷん系榭脂であるのが好ましい。

[0008] 前記変性でんぷん系榭脂としては、でんぷんをエステルイ匕又はエーテルィ匕して水不溶性にしたものが用いられるのが好ましい。中でも、前記変性でんぷん系榭脂としては、エステルイ匕ビュルエステルグラフト重合デンプンが用いられるのが特に好ましい。

[0009] また、この発明に係る窓付き封筒は、窓部に、前記構成力もなる (本発明の)離解性フィルムが耐水層を外面側にして貼着されてなるものである。

発明の効果

[0010] この発明に係る離解性フィルムは、ベースフィルム及び耐水層が共に透明度に優れた榭脂成分力なるために高透明性であると共に、耐水層を表側にして用いることによって水濡れによる脆ィ匕を防止できる。一方、この離解性フィルムは、ベースフィルムが水溶性であることから、水中に浸漬した際、ベースフィルムの溶解に伴って表面の耐水層が遊離する力この耐水層は薄膜であるために水の攪拌によって簡単に細力べ離解する。しかして、ベースフィルムを構成するポリビュルアルコール系榭脂は生分解性を有すると共に、耐水層も生分解性榭脂からなるため、前記のベースフィルムを溶解及び耐水層を離解させた水を排水しても、また当該離解性フィルム自体を土中に埋めても、榭脂成分として長く留まることはなぐもって環境への負荷は軽微なものとなる。更に、ベースフィルムのポリビュルアルコール系榭脂及び耐水層の生分解性榭脂は燃焼しても有害成分を生じな、から、この離解性フィルムを焼却処理しても衛生面及び公害面での問題はな、。

[0011] また、前記耐水層の生分解性榭脂が、シヱラック系榭脂又は変性でんぷん系榭脂である構成を採用した場合には、離解性フィルムは表面の耐水性により優れたものとなると共に、特に変性でんぷん系榭脂を用いる場合には同表面に所要の熱シール性を有し、窓付き封筒の窓材料として装着容易な材料として好適使用しうるものとなしうる。

[0012] この発明に係る窓付き封筒は、前記の離解性フィルムを窓材料として用いることから、窓部の高透明性によって内容物の表記や模様等を外部力明瞭に視認できる上、運搬等の取扱い中に雨水等による水濡れを生じてもフィルムが破れたり溶けたりする懸念がない。しかして、使用済み封筒を古紙材料としてリサイクルする場合、窓のフイルムを剥がして除去する必要がなぐ該フィルムは再パルプィ匕する際の液中で自然に溶解.離解して消失することになる。また、使用済み封筒がゴミとして廃棄され、埋め立て処分された場合は、窓のフィルムが土壌中の微生物に分解されて短期間に消失するから、環境に対する負荷は小さぐ焼却処分された場合も該フィルムに起因する有害成分の発生がなぐ公害問題を生じない。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]この発明に係る離解性フィルムの断面図である。

[図 2]この発明に係る窓付き封筒の平面図である。

符号の説明

[0014] 1 · · ·離解性フィルム

2· · 'ベースフイノレム

3…耐水層

4· · ·窓付き封筒

5 · · ·封筒本体

6 · · ·窓部

発明を実施するための最良の形態

[0015] 図 1に示すように、この発明に係る離解性フィルム 1は、ポリビュルアルコール系榭脂からなる水溶性のベースフィルム 2の片面に、生分解性榭脂からなる耐水層 3が形成されたものである。

[0016] 耐水層 3を構成する生分解性榭脂としては、水に対する溶解性に乏しいものであれば制約なく使用できるが、特にシラック系榭脂及び変性でんぷん系榭脂が水不溶性で且つ入手容易なものとして推奨される。なお、シェラック系榭脂はカイガラムシ科の昆虫の分泌物として得られる動物性天然榭脂又はその変性榭脂であり、変性でんぷん系榭脂はでんぷんをエステルイ匕やエーテルィ匕等によって水不溶性にしたものであり、更に具体的には、例えば高置換度エステルイ匕デンプン、エステルイ匕ビュルエステルグラフト重合デンプン、エステルイ匕ポリエステルグラフト重合デンプン等のデンプンエステル、エーテル化ビュルエステルグラフト重合デンプン、エーテル化ポリエステルグラフト重合デンプン等のデンプンエステル、ポリエステルグラフト重合デンプン等が挙げられる。これらの中でも良好な耐水性、離解性、熱シール性等の点カゝらエステルイ匕ビュルエステルグラフト重合デンプンの使用が推奨される。

[0017] この耐水層 3は、生分解性榭脂の溶液をベースフィルム 2上に塗布'乾燥することによって容易に形成できる。しかして、この塗布量は、 1. 0— 20. Og/m²の範囲が好適であり、少な過ぎては充分な耐水性が得られず、逆に多過ぎては水中攪拌による離解性が悪くなる。特に好ましい塗布量の範囲は、 2. 0-5. OgZm²程度である。

[0018] 一方、ベースフィルム 2の厚みは、特に制約はないが、製袋適性としての充分な強度を確保する上で 10 μ m以上であることが望ましい。

[0019] このような離解性フィルム 1は、ベースフィルム 2及び耐水層 3が共に透明度に優れた榭脂成分力もなるため、全体としてポリスチレンやポリプロピレン等の汎用合成榭脂フィルムと同等の高透明性であり、またベースフィルム 2は水溶性である力耐水層 3を表側にして用いることにより、雨水等の水濡れによる脆ィ匕を防止できる。一方、この離解性フィルム 1を水中に浸漬した際、水溶性のベースフィルム 2の溶解に伴って表面の耐水層 3が水中に遊離するが、この耐水層 3は薄膜状態であるために上記溶解時に攪拌を行うことによって簡単に細力べ離解する。

[0020] しかして、ベースフィルム 2のポリビュルアルコール系榭脂は自然水系や土壌中に常在する微生物によって分解される生分解性であって、且つ耐水層 3も生分解性榭脂からなるため、ベースフィルム 2を溶解及び耐水層 3を離解させた水を排水として流しても、また当該離解性フィルム 1自体を土中に埋めても、微生物によって分解 '消費されるから、榭脂成分のままで長く留まることはなぐ環境への負荷は軽微なものとなる。更にこの離解性フィルム 1を焼却処理した場合、ベースフィルム 2のポリビュルァルコール系榭脂と耐水層 3の生分解性榭脂は共に燃焼過程で有害成分を生じる懸念はな!/、から、衛生面及び公害面での問題を生じな!/、。

[0021] 従って、この離解性フィルム 1は、高透明性及び耐水性を備え、しカゝも廃棄時の環境負荷が小さいフィルム材として種々の用途に使用できる力特に窓付き封筒の窓材料として好適である。

[0022] 図 2で示す窓付き封筒 4は、クラフト紙等よりなる封筒本体 5に設けた矩形の窓部 6 に、離解性フィルム 1が内側から貼着されたものである。しかして、離解性フィルム 1は、図 1で示す耐水層 2を外面側にして、周辺部で接着剤によって封筒本体 5に接着されている。

[0023] このような窓付き封筒 4では、窓部 6に貼着された離解性フィルム 1が高透明性である力ら、内容物に表記された住所氏名の如き文字や模様等を外側から明瞭に視認できる上、該フィルム 1の外面が耐水性を有するため、運搬等の取扱い中に雨水等による水濡れを生じてもフィルム 1が破れたり溶けたりする懸念がない。

[0024] しカゝも、使用後の窓付き封筒 4は、古紙材料としてリサイクルする場合、窓部 6のフィルム 1が貼着したままで再パルプィ匕の工程に供することにより、該フィルム 1が紙材の叩解液中で自然に溶解'離解して消失し、且つ溶解'離解した榭脂成分による再生紙材への悪影響もないから、予め該フィルム 1を封筒本体 5から剥がし取る必要がない。従って、この窓付き封筒 4によれば、汎用合成樹脂フィルムや生分解性フィルムを窓材料とした従来の窓付き封筒のようなフィルム除去のための多大な労力及び時間が全く不要となる上、剥がし取ったフィルムの処理の問題も解消し、従来に比較してリサイクルコストも大幅に低減され、それだけリサイクルに供し易くなる。

[0025] また、使用後の窓付き封筒 4がゴミとして廃棄され、埋め立て処分された場合は、窓部 6の離解性フィルム 1が土壌中の微生物に分解されて短期間に消失するから、環境に対する負荷は小さいものとなる。更に、焼却処分された場合も、既述のように該フィルム 1の燃焼による有害成分の発生がないから、公害問題を生じる懸念はない。

[0026] なお、封筒本体 5の製袋ならびに離解性フィルム 1の貼着に天然系素材の接着剤を用いることにより、窓付き封筒 4を更に環境負荷の小さいものとすることができる。このような天然系素材の接着剤としては、にかわ、カゼイン、でんぷん系糊、セルロース系接着剤等が挙げられる。

実施例

[0027] 以下、この発明の実施例について比較例と対比して具体的に説明するが、この発明はこれら実施例に限定されるものではない。 [0028] 実施例 1

厚さ 30 μ mのポリビュルアルコール系榭脂からなるベースフィルム（ォキシアルキレン基含有量 30重量％、ケンィ匕度 90モル％)の片面に、シラック系榭脂溶液（固形分 50%)を榭脂分塗布量が 1. Og/m²、 2. Og/m²、 3. Og/m²となるように塗布、乾燥することにより、片側表面に生分解性榭脂皮膜を有する 3種の離解性フィルムを作製した。

[0029] 実施例 2

実施例 1と同じベースフィルムの片面に、変性でんぷん系榭脂溶液（固形分 27. 8 %)を榭脂分塗布量が 1. Og/m², 2. Og/m², 3. Og/m²となるように塗布、乾燥することにより、片側表面に生分解性榭脂皮膜を有する 3種の離解性フィルムを作製した。

[0030] 参考例 1

実施例 1と同じベースフィルムの片面に、キトサン系榭脂溶液（固形分 15. 1%)を榭脂分塗布量が 3. OgZm²となるように塗布、乾燥することにより、片側表面に生分解性榭脂皮膜を有する離解性フィルムを作製した。

[0031] 参考例 2

実施例 1と同じベースフィルムの片面に、酢酸セルロース系榭脂溶液（固形分 21% )を榭脂分塗布量が 3. OgZm²となるように塗布、乾燥することにより、片側表面に生分解性榭脂皮膜を有する離解性フィルムを作製した。

[0032] 参考例 3

実施例 1と同じベースフィルムの片面に、アクリル系榭脂溶液（固形分 40%)を榭脂分塗布量が 3. OgZm²となるように塗布、乾燥することにより、片側表面にアクリル系榭脂皮膜を有する離解性フィルムを作製した。

[0033] 〔耐水性試験 1〕

実施例 1, 2及び参考例 1一 3の各離解性フィルムについて、生分解性榭脂皮膜側を上にして紙上に置き、その表面に水を滴下し、 1時間放置後のフィルムの状態を調ベて耐水性を評価した。その結果を表 1に示す。なお、耐水性は次のように評価した〇 - · ·フィルムの状態に変化なし。

X - · ·フィルムが溶解して下地の紙にくっつ!/、て!/、る

[表 1]

[0035] 表 1の結果から、実施例 1, 2のシェラック系榭脂及び変性でんぷん系榭脂の皮膜は耐水層となり得るが、参考例 1一 3で用、た他の生分解性榭脂ゃアクリル系榭脂による皮膜は耐水層として良好に機能しないことが明らかである。また、シェラック系榭脂は榭脂塗布量 3. OgZm²以上で、変性でんぷん系樹脂は榭脂塗布量 2. Og/m² 以上で、それぞれ耐水層として充分な皮膜となることが判る。

[0036] 〔透明性試験〕

実施例 1, 2で作製した榭脂塗布量 3. OgZm²の離解性フィルムと、比較例として従来の窓付き封筒の窓材料に使用されているポリスチレンフィルム (厚さ 20 μ m)、ダラシン紙 (坪量 35g/m²、厚さ 30 m)、ワックスコート力卩ェ紙 (原紙坪量 60g/m²にヮックスコート加工したもの）、ポリ乳酸樹脂フィルム (厚さ 20 μ m)につ V、て、それぞれ J IS P8138に準拠して透明性を試験し、次のように評価した。〇…不透明度が 10%未満。

X…不透明度が 10%以上

[0037] 〔離解性試験〕

上記実施例 1, 2で透明性試験に用いたものと同じ各フィルムについて、 JIS P822 0に準拠し、一辺 50mm角の試験片を水中に浸漬してミキサーで攪拌し、目視によつて試験片が完全に離解するまでの時間を測定し、次のように離解性を評価した。

〇… 5分未満で完全に離解したもの

X…完全に離解するまでに 5分以上を要するもの、及び離解しなレ、もの。

[0038] 上記の透明性試験及び離解性試験の結果を各フィルムの生分解性の有無 (有り…

〇、無し… X )と共に次の表 2に示す。

[0039] [表 2]

[0040] 表 2に示すように、この発明の離解性フィルムは、生分解性であって且つ透明性及び離解性に優れており、窓付き封筒の窓材料用フィルムとして従来のものよりも高い適性を備えることが明らかである。

[0041] 本願は、 2003年 11月 28日付で出願された日本国特許出願の特願 2003— 3994

89号の優先権主張を伴うものであり、その開示内容は、そのまま本願の一部を構成するものである。

[0042] ここに用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではなぐここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなぐこの発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。

産業上の利用可能性

この発明に係る離解性フィルムは、例えば、窓付き封筒の窓材料として好適に用いられる。

Claims

請求の範囲

[1] ポリビニルアルコール系榭脂からなる水溶性のベースフィルムの片面に、生分解性榭脂の耐水層が形成されてなる離解性フィルム。

[2] 耐水層の生分解性榭脂がシェラック系榭脂である請求項 1に記載の離解性フィルム。

[3] 耐水層の生分解性榭脂が変性でんぷん系榭脂である請求項 1に記載の離解性フイノレム。

[4] 前記変性でんぷん系榭脂として、でんぷんをエステルイ匕して水不溶性にしたものが用いられて、る請求項 3に記載の離解性フィルム。

[5] 前記変性でんぷん系榭脂として、でんぷんをエーテルィ匕して水不溶性にしたものが用いられて、る請求項 3に記載の離解性フィルム。

[6] 前記変性でんぷん系榭脂として、エステルイ匕ビニルエステルグラフト重合デンプンが用いられてヽる請求項 3に記載の離解性フィルム。

[7] 前記耐水層は、生分解性榭脂の溶液をベースフィルム上に塗布 ·乾燥することによつて形成された層である請求項 1に記載の離解性フィルム。

[8] 前記生分解性榭脂の塗布量が 1. 0— 20. OgZm²である請求項 7に記載の離解性フイノレム。

[9] 窓部に請求項 1一 8のいずれ力 1項に記載の離解性フィルムが耐水層を外面側にして貼着されてなる窓付き封筒。