明 細 書
位置検出方法、露光方法、位置検出装置、露光装置及びデバイス製造 方法
技術分野
[0001] 本発明は、位置検出方法、露光方法、位置検出装置、露光装置及びデバイス製造 方法に係り、更に詳しくは、物体上に配置された複数の区画領域の位置情報を検出 する位置検出方法、該位置検出方法を用いる露光方法、物体上に配置された複数 の区画領域の位置情報を検出する位置検出装置、該位置検出装置を用いる露光装 置、これら露光方法及び露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
背景技術
[0002] 近年、半導体素子等のデバイスの製造工程では、ステップ'アンド'リピート方式、又 はステップ'アンド'スキャン方式等の露光装置、ウェハプローバ、或いはレーザリぺ ァ装置等が用いられている。これらの装置では、基板上に配置された複数のショット 領域の各々を、基板の移動位置を規定する静止座標系(すなわちレーザ干渉計によ つて規定される直交座標系)内の所定の基準点 (例えば、各種装置の加工処理点) に対して極めて精密に位置合わせ (ァライメント)する必要がある。
[0003] 特に、露光装置では、マスク又はレチクル (以下「レチクル」と総称する)に形成され たパターンの投影位置に対して基板 (半導体ウェハやガラスプレート)を位置合わせ (ァライメント)するに際して、製造段階のチップでの不良品の発生による歩留りの低 下を防止するため、その位置合わせ精度を常に高精度かつ安定に維持しておくこと が望まれている。
[0004] 通常、露光工程では、ウェハ上に 10層以上の回路パターン(レチクルパターン)を 重ね合わせて転写するが、各層間での重ね合わせ精度が良好でない場合には、回 路上の特性に不都合が生じることがある。このような場合、チップが所期の特性を満 足せず、最悪の場合にはそのチップが不良品となり、歩留まりを低下させてしまう。そ こで、露光工程では、ウェハ上の複数のショット領域の各々に予めァライメントマーク を付設しておき、ステージ座標系におけるそのマークの位置 (座標値)を検出する。し
かる後、このマーク位置情報と既知のレチクルパターンの位置情報 (これは事前測定 されている)とに基づいてウェハ上の 1つのショット領域をレチクルパターンに対して 位置合わせするウェハァライメントが行われる。
[0005] ウェハァライメントには大別して 2つの方式があり、 1つはウェハ上のショット領域毎 にそのァライメントマークを検出して位置合わせを行うダイ ·バイ ·ダイ (D/D)ァラィメ ント方式である。もう 1つは、ウェハ上のいくつかのショット領域のァライメントマークを 検出してショット領域の配列の規則性を求めることにより、各ショット領域を位置合わ せするグローバル'ァライメント方式である。現在のところ、デバイス製造ラインではス ループットとの兼ね合いから、主にグローバル 'ァライメント方式が採用されている。特 に現在では、グローバル 'ァライメント方式の中でも、ウェハ上のショット領域の配列の 規則性を統計的手法によって精密に特定するェンハンスト ·グローバル ·ァライメント( EGA)方式が主流となっている(例えば、特開昭 61— 44429号公報及びこれに対応 する米国特許第 4, 780, 617号、特開昭 62 - 84516号公報及びこれに対応する米 国特許第 4, 780, 617号など参照)。
[0006] EGA方式においては、まず、ウェハ上の複数のショット領域(以下、「サンプルショ ット」ともいう)のステージ座標系上の位置座標を実測する。そして、その実測値と、ゥ ェハ上のショット領域の配列によって規定される配列座標系上の複数個(3個以上必 要であり、通常 7— 15個程度)のサンプルショットの設計上の位置座標をステージ座 標系上の位置座標に変換したときに得られる位置座標とのフィッティング誤差ができ るだけ小さくなるように、回帰分析的な統計演算処理 (例えば最小二乗法)を用いて、 その変換の際に用いられるスケーリング、回転、オフセット等の誤差パラメータの値を 求める。さらに、求められた誤差パラメータの値によって規定される回帰モデルに基 づ 、て、ステージ座標系における各ショット領域の位置座標を算出する。
[0007] 最近のデバイスパターンの微細化に伴うショット領域の重ね合わせ精度の高度化の 要求に応えるベぐ力かる EGA方式についても様々な改良方法が提案されている。 例えば、上記誤差パラメータにより規定される統計モデルとして、配列座標系に対す るショット領域内のスケーリングや回転などのショット内成分もパラメータとして考慮し た回帰モデルを用いた方法 (特開平 6— 349705号公報これに対応する米国特許第
6, 278, 957号参照)や、ウェハ上のショット領域の配列の高次成分もパラメータとし て考慮した回帰モデルを用いた方法 (特許第 3230271号公報これに対応する米国 特許第 5, 561, 606号参照)も用いられるようになつている。すなわち、ショット領域 の重ね合わせ精度を高めるため、 EGA方式における回帰モデルは、そのパラメータ の自由度が増大し、より複雑なものとなっている。
[0008] し力しながら、 EGA方式のような回帰分析においては、パラメータの自由度を増や すことにより、計測データの回帰モデル力 の残差 (学習誤差)はいくらでも小さくす ることができる。しかし、通常、計測データには、計測誤差等によるノイズ成分が含ま れており、上記回帰分析では、パラメータの自由度を増やしすぎると、そのノイズ成分 に対してもフィッティングしようとしてオーバーフィッティング (過学習)となってしまい、 真のモデルとは異なるモデルを最も尤もらしいモデルとして選択してしまう場合もある 。 EGA方式は、本来限られたサンプル力 すべてのショット領域の位置を予測する 方法であり、不必要にパラメータの自由度が大きい回帰モデルを選択した場合には、 サンプルショット以外のショット領域の予想位置と、実際の位置とのずれがかえって大 きくなつてしまう虞がある。
[0009] したがって、 EGA方式において、最小化すべきは、上記学習誤差ではなぐすべて のショット領域を考慮したときのモデル誤差 (汎化誤差)であり、この汎化誤差を小さく するためには、モデルのパラメータの自由度とサンプル数とを、適切に設定する必要 がある。
[0010] さらに、 EGA方式においては、その回帰モデルのパラメータの自由度が増大すれ ばするほど、その回帰モデルを精度良くフィッティングさせるためのサンプルショットの 数を増やさなければならず、結果的にサンプルショットの計測時間が長くなり、その分 スループットが低下してしまうという不都合があった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明は、上記事情の下になされたもので、その第 1の目的は、物体上の複数の 区画領域の位置情報を精度良ぐ又は、短時間にかつ精度良く検出することができ る位置検出方法を提供することにある。
[0012] また、本発明の第 2の目的は、物体上の複数の区画領域に、精度良ぐ又は、短時 間にかつ精度良くパターンを形成することができる露光方法を提供することにある。
[0013] また、本発明の第 3の目的は、物体上の複数の区画領域の位置情報を精度良ぐ 又は短時間にかつ精度良く検出することができる位置検出装置を提供することにある
[0014] また、本発明の第 4の目的は、物体上の複数の区画領域に、精度良ぐ又は短時 間にかつ精度良くパターンを形成することができる露光装置を提供することにある。
[0015] また、本発明の第 5の目的は、デバイスの生産性を向上させることができるデバイス 製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0016] 本発明は、第 1の観点力 すると、物体上に配置された複数の区画領域の位置情 報を検出する位置検出方法であって、所定の座標系における前記複数の区画領域 のうちの少なくとも一部の区画領域の位置情報の実測値に基づいて、前記複数の区 画領域の配置に関するモデルを決定する第 1工程と;前記決定されたモデルに基づ V、て、前記複数の区画領域の位置情報を算出する第 2工程と;を含む第 1の位置検 出方法である。
[0017] これによれば、第 1工程において、少なくとも一部の区画領域の位置情報の実測値 に基づいて、複数の区画領域の配置に関するモデルが決定され、第 2工程において 、決定されたモデルに基づいて、複数の区画領域の位置情報を算出する。すなわち 、実際の区画領域の位置情報に基づいて、真のモデルに近いモデルを決定すること ができるので、そのモデルに基づいて、複数の区画領域の位置情報を精度良く算出 することができる。
[0018] この場合、前記第 1工程は、前記少なくとも一部の区画領域の位置情報の実測値 に基づいて、前記位置情報を計測する区画領域を決定する工程を含むこととするこ とがでさる。
[0019] この場合、前記第 1工程では、前記少なくとも一部の区画領域の位置情報の実測 値に基づいて、前記モデルのパラメータの自由度を決定し、前記決定されたモデル のパラメータの自由度に基づいて、追加計測する区画領域を決定することとすること
ができる。
[0020] 本発明は、第 2の観点力 すると、物体上に配置された複数の区画領域の位置情 報を検出する位置検出方法であって、所定の座標系における前記複数の区画領域 のうちの幾つかの区画領域の位置情報の実測値を用いて、パラメータの自由度がそ れぞれ異なる幾つかの、前記複数の区画領域に関する回帰モデルについてそれぞ れ、そのモデルの所定の評価規範の値を算出し、その算出結果に基づいて、前記複 数の区画領域に関する回帰モデルとして前記評価規範において最適と判断された モデルを選択する第 1工程と;前記選択された回帰モデルに基づいて、前記複数の 区画領域の位置情報を算出する第 2工程と;を含む第 2の位置検出方法である。
[0021] これによれば、第 1工程において、パラメータの自由度がそれぞれ異なる幾つかの 回帰モデルに関する所定の評価規範に基づいて、物体上の複数の区画領域に関す る汎化誤差が小さい回帰モデルが最も尤もらし 、モデルとして選択される。これにより 、真のモデルに最も近いモデルが選択されるようになるため、第 2工程において、複 数の区画領域の位置情報を精度良く算出することができる。
[0022] この場合、前記評価規範において最適なモデルとして選択された回帰モデルのパ ラメータの値を、前記回帰モデルを規定する係数に関する事前知識に反映する第 3 工程をさらに含み、前記複数の区画領域が形成された複数の前記物体について、位 置情報の検出対象となる物体を順次変更しながら、前記第 1工程と、前記第 2工程と 、前記第 3工程とを繰り返すこととすることができる。
[0023] なお、本明細書において、「回帰モデルを規定する係数に関する事前知識」とは、 過去に得られた回帰モデルの係数の値等を含み、その係数に関して事前に得られる 情報のことである。なお、過去に得られた回帰モデルの係数の値は、物体上の各区 画領域の実測位置情報による回帰分析や、シミュレーションに基づく回帰分析その 他あらゆる手段によって得られたものを含む。
[0024] この場合、前記第 3工程では、前記評価規範における最適なモデルとして選択され た回帰モデルの確からしさを評価するのに十分な数となるように、前記各区画領域の 位置情報の実測値のサンプル数を更新することとすることができる。
[0025] 本発明の第 2の位置検出方法では、パラメータの自由度が所定の大きさである第 1
の回帰モデルと、該第 1の回帰モデルよりもパラメータの自由度が小さい第 2の回帰 モデルと、前記第 1の回帰モデルよりもパラメータの自由度が大きい第 3の回帰モデ ルとの中から、前記評価規範における最適なモデルを選択することとしても良いし、 前記第 1工程では、パラメータの自由度が所定の大きさである第 1の回帰モデルの前 記評価規範の値よりも、該第 1の回帰モデルよりもパラメータの自由度が小さい第 2の 回帰モデルの前記評価規範の値の方が良好である場合には、前記第 2の回帰モデ ルを前記評価規範における最適なモデルとして選択し、前記第 1の回帰モデルが前 記第 2の回帰モデルよりも前記評価規範の値が良好で、かつ、前記第 1の回帰モデ ルにおける尤度が所定の値より良好な場合には、前記第 1の回帰モデルを前記評価 規範における最適なモデルとして選択し、前記第 1の回帰モデルが前記第 2の回帰 モデルよりも前記評価規範の値が良好で、かつ、前記第 1の回帰モデルにおける尤 度が所定の値より良好でない場合には、前記第 1の回帰モデルよりもパラメータの自 由度が大き 、第 3の回帰モデルを、前記評価規範における最適なモデルとして選択 することとしても良い。
[0026] この場合、前記第 1工程では、前記第 3の回帰モデルが前記評価規範における最 適なモデルとして選択された場合には、前記区画領域の位置情報の実測値のサン プル数が、前記第 3の回帰モデルの確からしさを評価するのに十分となるように、さら に計測対象とする区画領域を追加し、前記追加された区画領域の位置情報の実測 値の計測を行った後で、前記第 3の回帰モデルのパラメータの値を算出することとす ることがでさる。
[0027] この場合、前記第 3の回帰モデルが選択され、かつ、前記第 3の回帰モデルが複数 有る場合には、前記評価規範の値が最も良好な第 3の回帰モデルを、前記評価規範 における最適なモデルとして選択することとすることができる。
[0028] 本発明の第 2の位置検出方法では、物体間の値の変動が大きいと予想される回帰 モデルの係数を、前記第 1、第 2、第 3の回帰モデルではパラメータとし、物体間の値 の変動が比較的小さいと予想される回帰モデルの係数を、前記第 1、第 3の回帰モ デルではパラメータとする一方、前記第 2の回帰モデルでは前記事前知識に基づ ヽ て定められる定数とし、全ての物体で、値がほぼ同一であると予想される回帰モデル
の係数を、前記第 1、第 2の回帰モデルでは、前記事前知識に基づいて定められる 定数とする一方、前記第 3の回帰モデルではパラメータとすることとすることができる。
[0029] この場合、位置情報の検出対象となる複数の物体のその処理単位における処理数 が所定数に満たない場合には、前記処理単位間の値の変動が大きいと予想される 係数を、前記第 1、第 3の回帰モデルではパラメータとする一方、前記第 2の回帰モ デルでは前記事前知識に基づ ヽて定められる定数とし、前記処理数が所定数を超 えた場合には、その係数を、前記第 1、第 2の回帰モデルでは前記事前知識に基づ いて定められる定数とする一方、前記第 3の回帰モデルではパラメータとすることとす ることがでさる。
[0030] 本発明は、第 3の観点力 すると、複数の物体上に配置された複数の区画領域の 位置情報を、物体毎に順次検出する位置検出方法であって、前記複数の区画領域 に関するモデルの係数を物体毎に推定する際には、すでに前記モデルの係数の推 定が完了した物体でのその推定結果に基づ 、て、推定対象の物体のモデルの係数 を推定する工程を含む第 3の位置検出方法である。
[0031] これによれば、過去に推定が完了した物体のモデルの係数の推定結果に基づいて 、物体上に配置された複数の区画領域に関するモデルの係数を推定するので、短 時間にかつ精度良く区画領域の位置情報を検出することができる。
[0032] 本発明は、第 4の観点力 すると、複数の物体上に配置された複数の区画領域の 位置情報を、物体毎に順次検出する位置検出方法であって、前記物体の位置情報 を順次検出する度に得られる前記複数の区画領域に関する回帰モデルの係数に関 する事前知識と、所定の座標系における、今回の位置情報の検出対象となる物体の 複数の区画領域のうちの幾つかの区画領域の位置情報の実測値とに基づいて、前 記回帰モデルの所定の評価規範に基づいて、前記回帰モデルのパラメータの自由 度を最適化する第 1工程と;前記最適化されたパラメータの自由度を有する回帰モデ ルに基づいて、今回の位置情報の検出対象となる物体の複数の区画領域の位置情 報を算出する第 2工程と;前記最適化されたパラメータの自由度に基づいて、次回の 位置情報の検出対象となる物体における各区画領域の位置情報の実測値のサンプ ル数を決定する第 3工程と;を含み、前記複数の区画領域が形成された複数の前記
物体について、位置情報の検出対象となる前記物体を順次変更しながら、前記第 1 工程と、前記第 2工程と、前記第 3工程とを繰り返す第 4の位置検出方法である。
[0033] これによれば、複数の物体について、検出対象となる物体を順次変更しながら、第 1工程と第 2工程と第 3工程が繰り返し実行される。そして、第 1工程において、物体 の位置情報を順次検出する度に得られる複数の区画領域に関する回帰モデルの係 数に関する事前知識と、所定の座標系における、今回の位置情報の検出対象となる 物体の複数の区画領域のうちの幾つかの区画領域の位置情報の実測値とに基づい て、回帰モデルの所定の評価規範により、回帰モデルのパラメータの自由度を最適 化する。そして、第 3工程において、最適化されたパラメータの自由度に基づいて、 次回の位置情報の検出対象となる物体における各区画領域の位置情報の実測値の 有効サンプル数を決定する。このようにすれば、最適化されるパラメータの自由度に 応じて各区画領域の位置情報の実測値の有効サンプル数を動的に変更することが できるため、高精度な露光を維持しつつ、スループットを向上させることができる。
[0034] 本発明の第 2、第 4の位置検出方法では、前記各回帰モデルの尤度は、その回帰 モデルにより得られる前記所定の座標系における前記各区画領域の位置情報と、前 記位置情報の実測置との残差によって推定されることとすることができる。
[0035] この場合、前記各回帰モデルのパラメータとして、前記所定の座標系と、前記複数 の区画領域の配置によって規定される配列座標系とのずれを示す 1次成分の係数と 、各区画領域の成分の設計値からのずれを示す係数と、前記複数の区画領域の配 置に関する高次成分を示す係数との少なくとも一部が含まれることとすることができる
[0036] 本発明の第 2、第 4の位置検出方法では、前記評価規範を、モデルのパラメータの 自由度に応じたペナルティが付与された尤度である規準とすることとすることができる
[0037] なお、本明細書においては、「ペナルティ」とは、その回帰モデルの尤度を減少させ る方向に作用する成分という意味で用いられる。したがって、その「ペナルティ」をパラ メータの自由度に応じて増減させるようにすれば、パラメータの自由度が大きいモデ ルを選択する傾向が強くなるような、モデル推定の偏りを補正することができ、結果的
に、学習誤差に左右されず、汎化誤差を小さくできるモデルを最も尤もらしいモデル として選択することができるよう〖こなる。
[0038] この場合、前記規準を、赤池情報量規準及びベイジアン情報量規準の!/、ずれか一 方とし、その値が小さいモデルを良好なモデルとすることしてもよいし、前記各回帰モ デルの前記規準でのペナルティを、その回帰モデルのパラメータの自由度の増加に 対する尤度の変化の期待値と、その回帰モデルのパラメータの自由度との積とし、前 記規準の値が大き 、モデルを良好なモデルとすることとしても良 、。
[0039] 本発明は、第 5の観点力 すると、物体に配置された複数の区画領域を順次露光し て各区画領域に所定パターンを形成する露光方法であって、本発明の第 1一第 4の 位置検出方法により前記複数の区画領域の位置情報を検出する工程と;前記検出さ れた位置情報に基づ 、て、前記物体を移動して前記各区画領域を露光する工程と; を含む露光方法である。力かる場合には、本発明の第 1一第 4の位置検出方法により 複数の区画領域の位置情報が高精度に検出されるため、高精度な重ね合わせ露光 、又は短時間かつ高精度な重ね合わせ露光を実現することができる。
[0040] 本発明は、第 6の観点力 すると、リソグラフイエ程を含むデバイス製造方法におい て、前記リソグラフイエ程では、本発明の露光方法を用いることを特徴とするデバイス 製造方法である。力かる場合には、本発明の露光方法を用いて露光を行うため、高 精度な重ね合わせ露光、又は、短時間かつ高精度な重ね合わせ露光を実現するこ とができるので、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができる。
[0041] 本発明は、第 7の観点力 すると、物体上に配置された複数の区画領域の位置情 報を検出する位置検出装置であって、所定の座標系における前記複数の区画領域 のうちの幾つかの区画領域の位置情報を計測する計測装置と;前記計測された各区 画領域の位置情報の実測値を用いて、パラメータの自由度がそれぞれ異なる幾つか の、前記複数の区画領域に関する回帰モデルについてそれぞれ、そのモデルの所 定の評価規範の値を算出し、その算出結果に基づいて、前記複数の区画領域の回 帰モデルとして前記評価規範における最適なモデルを選択する選択装置と;前記選 択された回帰モデルに基づいて、前記複数の区画領域の位置情報を算出する算出 装置と;を備える第 1の位置検出装置である。
[0042] これによれば、選択装置により、ノラメータの自由度がそれぞれ異なる幾つかの、 前記複数の区画領域に関する回帰モデルのペナルティ付き対数尤度に基づいて、 最も尤もらしい回帰モデルが選択される。これにより、最も真のモデルに近いモデル が選択されるようになるため、算出装置により、複数の区画領域の位置情報を精度良 く算出することができる。
[0043] この場合、前記複数の区画領域の回帰モデルを規定する係数に関する事前知識 を記憶する記憶装置と;前記選択装置によって、前記評価規範にぉ 、て最適なモデ ルとして選択された回帰モデルのパラメータを、前記記憶装置によって記憶されて!ヽ る事前知識に反映する更新装置と;をさらに備え、前記選択装置は、前記記憶装置 に記憶された事前知識に基づ 、て、前記回帰モデルを設定することとすることができ る。
[0044] この場合、前記記憶装置は、前記計測装置が計測する前記各区画領域の位置情 報の実測値のサンプル数を記憶しており、前記更新装置は、前記評価規範において 最適なモデルとして選択された回帰モデルの確力 しさを評価するのに十分な数と なるように、前記記憶装置に記憶されて!、る前記各区画領域の位置情報の実測値の サンプル数を更新することとすることができる。
[0045] 本発明は、第 8の観点力 すると、複数の物体上に配置された複数の区画領域の 位置情報を、物体毎に順次検出する位置検出装置であって、前記物体の位置情報 を順次検出する度に得られる前記複数の区画領域に関する回帰モデルの係数に関 する事前知識と、所定の座標系における、今回の位置情報の検出対象である物体の 複数の区画領域のうちの幾つかの区画領域の位置情報の実測値とに基づいて、前 記回帰モデルの所定の評価規範により、前記回帰モデルのパラメータの自由度を最 適化する最適化装置と;前記最適化されたパラメータの自由度を有する回帰モデル に基づいて、今回の位置情報の検出対象である物体の複数の区画領域の位置情報 を算出する算出装置と;前記最適化されたパラメータの自由度に基づいて、次回の 位置情報の検出対象となる物体における各区画領域の位置情報の実測値のサンプ ル数を決定する決定装置と;を備える第 2の位置検出装置である。
[0046] これによれば、最適化装置は、物体の位置情報を順次検出する度に得られる複数
の区画領域に関する回帰モデルの係数に関する事前知識と、所定の座標系におけ る、今回の位置情報の検出対象となる物体の複数の区画領域のうちの幾つかの区画 領域の位置情報の実測値とに基づいて、回帰モデルのパラメータの自由度に応じた ペナルティが付与された尤度により、回帰モデルのパラメータの自由度を最適化する 。そして、決定装置は、最適化されたパラメータの自由度に基づいて、次回の位置情 報の検出対象となる物体における各区画領域の位置情報の実測値の有効サンプル 数を決定する。この装置を用いて、複数の物体を順次処理対象としていけば、物体 毎に最適化されるパラメータの自由度に応じて各区画領域の位置情報の実測値の 有効サンプル数を増減させることができるため、高精度な露光を維持しつつ、スルー プットを向上させることができる。
[0047] 本発明は、第 9の観点力 すると、少なくとも 1つの物体に配置された複数の区画領 域を順次露光して各区画領域に所定パターンを形成する露光装置であって、本発 明の第 1、第 2の位置検出装置と;前記検出された位置情報に基づいて、前記物体 を移動して前記各区画領域を露光する転写装置と;を備える露光装置である。かかる 場合には、本発明の第 1、第 2の位置検出装置により複数の区画領域の位置情報が 高精度に検出されるため、高精度な露光、又は、短時間かつ高精度な重ね合わせ 露光を実現することができる。
[0048] 本発明は、第 10の観点力もすると、リソグラフイエ程を含むデバイス製造方法にお いて、前記リソグラフイエ程では、本発明の露光装置を用いることを特徴とするデバイ ス製造方法である。力かる場合には、本発明の露光装置を用いて露光を行うため、 高精度な露光、又は、短時間かつ高精度な重ね合わせ露光を実現することができる ため、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができる。
図面の簡単な説明
[0049] [図 1]本発明の第 1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
[図 2]ウェハ上のショット領域及びこれに付設されたウェハマークの配置の一例を示 す図である。
[図 3]本発明の一実施形態に係る露光装置における、露光処理の際の主制御装置 の CPUの処理アルゴリズムを示すフローチャートである。
[図 4]ウェハァライメント処理を示すフローチャート(その 1)である。
[図 5]ウェハァライメント処理を示すフローチャート(その 2)である。
[図 6]本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートで める。
[図 7]図 6のステップ 604の詳細を示すフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
[0050] 以下、本発明の一実施形態を図 1一図 5に基づいて説明する。
[0051] 図 1には、本発明の一実施形態に係る露光装置 100の概略構成が示されている。
この露光装置 100は、ステップ'アンド'スキャン方式の投影露光装置である。この露 光装置 100は、照明系 10、マスクとしてのレチクル Rを保持するレチクルステージ RS T、投影光学系 PL、物体としてのウェハ Wが搭載されるウェハステージ WST、ァライ メント検出系 AS、及び装置全体を統括制御する主制御装置 20等を備えて 、る。
[0052] 前記照明系 10は、例えば特開 2001-313250号公報及びこれに対応する米国特 許出願公開第 2003Z0025890号等に開示されるように、光源、オプティカル 'イン テグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変 NDフィルタ、可変視野絞り (レチクルブラインド又はマスキング 'ブレードとも呼ばれる)、及びダイクロイツクミラー 等 (いずれも不図示)を含んで構成されている。オプティカル 'インテグレータとしては 、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折 光学素子などが用いられる。本国際出願で指定した指定国又は選択した選択国の 国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する米国特許における開 示を援用して本明細書の記載の一部とする。
[0053] この照明系 10では、回路パターン等が描かれたレチクル R上における、レチタルブ ラインドで規定されたスリット状の照明領域 (X軸方向に細長い長方形状の照明領域 )部分を照明光 ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光 ILとしては、 Kr Fエキシマレーザ光(波長 248nm)などの遠紫外光、 ArFエキシマレーザ光(波長 19 3nm)、あるいは Fレーザ光 (波長 157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照
2
明光 ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線 (g線、 i線等)を用いることも可 能である。
[0054] 前記レチクルステージ RST上にはレチクル R力 例えば真空吸着により固定されて いる。レチクルステージ RSTは、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする 不図示のレチクルステージ駆動部によって、照明系 10の光軸 (後述する投影光学系 PLの光軸 AXに一致)に垂直な XY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走 查方向(ここでは図 1における紙面内左右方向である Y軸方向とする)に指定された 走査速度で駆動可能となって 、る。
[0055] レチクルステージ RSTのステージ移動面内の位置はレチクルレーザ干渉計(以下、 「レチクル干渉計」と略述する) 16によって、移動鏡 15を介して、例えば 0. 5— lnm 程度の分解能で常時検出される。ここで、実際には、レチクルステージ RST上には Y 軸方向に直交する反射面を有する移動鏡と X軸方向に直交する反射面を有する移 動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクル Y干渉計とレチクル X干渉計 とが設けられている力 図 1ではこれらが代表的に移動鏡 15、レチクル干渉計 16とし て示されている。なお、例えば、レチクルステージ RSTの端面を鏡面カ卩ェして反射面 (移動鏡 15の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージ RSTの走査 方向(本実施形態では Y軸方向)の位置検出に用いられる X軸方向に伸びた反射面 の代わりに、少なくとも 1つのコーナーキューブ型ミラー(例えばレトロリフレクタ)を用 いても良い。ここで、レチクル Y干渉計とレチクル X干渉計の少なくとも一方、例えばレ チクル Y干渉計は、測長軸を 2軸有する 2軸干渉計であり、このレチクル Y干渉計の 計測値に基づきレチクルステージ RSTの Y位置にカ卩え、 Θ z方向(Z軸回りの回転方 向)の回転量 (ョーイング量)も計測できるようになって!/、る。レチクル干渉計 16力もの レチクルステージ RSTの位置情報 (ョーイング量などの回転情報を含む)はステージ 制御装置 19及びこれを介して主制御装置 20に供給される。ステージ制御装置 19で は、主制御装置 20からの指示に応じて、レチクルステージ RSTの位置情報に基づい てレチクルステージ駆動部(不図示)を介してレチクルステージ RSTを駆動制御する
[0056] レチクル Rの上方には、 X軸方向に所定距離隔てて一対のレチクルァライメント検出 系 22 (但し、図 1においては紙面奥側のレチクルァライメント検出系 22は不図示)が 配置されている。各レチクルァライメント検出系 22は、ここでは図示が省略されている
力 それぞれ照明光 ILと同じ波長の照明光にて検出対象のマークを照明するための 落射照明系と、その検出対象のマークの像を撮像するための検出系とを含んで構成 されている。検出系は結像光学系と撮像素子とを含んでおり、この検出系による撮像 結果 (すなわちレチクルァライメント検出系 22によるマークの検出結果)は主制御装 置 20に供給されている。この場合、レチクル Rからの検出光をレチクルァライメント検 出系 22に導くための不図示の偏向ミラーが移動自在に配置されており、露光シーケ ンスが開始されると、主制御装置 20からの指令に基づいて不図示の駆動装置により 偏向ミラーはそれぞれレチクルァライメント検出系 22と一体的に照明光 ILの光路外 に退避される。
[0057] 前記投影光学系 PLは、レチクルステージ RSTの図 1における下方に配置され、そ の光軸 AXの方向が Z軸方向とされている。投影光学系 PLとしては、両側テレセントリ ックで所定の縮小倍率 (例えば 1Z5、又は 1Z4)を有する屈折光学系が使用されて いる。このため、照明系 10からの照明光 ILによってレチクル Rの照明領域が照明され ると、レチクル Rの回路パターンの照明領域部分の縮小像 (部分倒立像)が投影光学 系 PLを介してウェハ W上の前記照明領域に共役な投影光学系の視野内の投影領 域に投影され、ウェハ W表面のレジスト層に転写される。
[0058] 前記ウェハステージ WSTは、投影光学系 PLの図 1における下方で、不図示のベ ース上に配置されて 、る。このウェハステージ WST上にウェハホルダ 25が載置され ている。このウェハホルダ 25上にウェハ Wが例えば真空吸着等によって固定されて いる。
[0059] 前記ウェハステージ WSTは、投影光学系 PLの図 1における下方で、不図示のベ ース上に配置されて 、る。このウェハステージ WST上にウェハホルダ 25が載置され ている。このウェハホルダ 25上にウェハ Wが例えば真空吸着等によって固定されて いる。このウェハステージ WSTは、図 1のウェハステージ駆動部 24により、 X、 Y、 Ζ、 θ ζ (Ζ軸回りの回転方向)、 θ χ (Χ軸回りの回転方向)、及び 0 y (Υ軸回りの回転方 向)の 6自由度方向に駆動可能な単一のステージである。なお、残りの Θ z方向につ いては、ウェハステージ WST (具体的には、ウェハホルダ 25)を回転可能に構成し ても良いし、このウェハステージ WSTのョーイング誤差をレチクルステージ RST側の
回転により補正することとしても良い。
[0060] 前記ウェハステージ WSTの側面には、ウェハレーザ干渉計(以下、「ウェハ干渉計 」と略述する) 18からのレーザビームを反射する移動鏡 17が固定され、外部に配置さ れたウェハ干渉計 18により、ウェハステージ WSTの X方向、 Y方向及び 0 z方向(Z 軸回りの回転方向)の位置が例えば、 0. 5— lnm程度の分解能で常時検出されて いる。
[0061] ここで、ウェハステージ WST上には、実際には、 X軸方向に直交する反射面を有 する X移動鏡と Y軸方向に直交する反射面を有する Y移動鏡とが設けられて ヽる。ま た、これに対応して、ウェハ干渉計も X移動鏡、 Y移動鏡にそれぞれレーザ光を照射 してウエノ、ステージ WSTの X軸方向、 Y軸方向の位置をそれぞれ計測する X軸干渉 計、 Y軸干渉計がそれぞれ設けられている。
[0062] 本実施形態では、 X軸及び Y軸干渉計は測長軸を複数有する多軸干渉計で構成 され、ウェハステージ WSTの X、 Y位置の他、回転(ョーイング(Z軸回りの回転である Θ z回転)、ピッチング (X軸回りの回転である θ X回転)、ローリング (Y軸回りの回転 である Θ y回転))も計測可能となっている。
[0063] このようにウェハ干渉計、及び移動鏡はそれぞれ複数設けられているが、図 1では これらが代表的に移動鏡 17、ウェハ干渉計 18として示されている。また、例えば、ゥ エノ、ステージ WSTの端面を鏡面加工して反射面 (移動鏡の反射面に相当)を形成し ても良い。
[0064] また、ウェハステージ WST上のウェハ Wの近傍には、基準マーク板 FMが固定さ れている。この基準マーク板 FMの表面は、ウェハ Wの表面と同じ高さに設定され、こ の表面には少なくとも一対のレチクルァライメント用基準マーク、及びァライメント検出 系 ASのベースライン計測用の基準マーク等が形成されて 、る。
[0065] 前記ァライメント検出系 ASは、投影光学系 PLの側面に配置された、オファクシス 方式のァライメントセンサである。このァライメント検出系 ASとしては、例えばウェハ上 のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対 象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標の 像とを撮像素子 (CCD)等を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理
方式の FIA (Field Image Alignment)系のセンサが用いられている。なお、 FIA系に 限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する 散乱光又は回折光を検出する、あるいはその対象マーク力 発生する 2つの回折光 (例えば同次数)を干渉させて検出するァライメントセンサを単独である 、は適宜組み 合わせて用いることは勿論可能である。このァライメント検出系 ASの撮像結果が不図 示のァライメント信号処理系を介して主制御装置 20へ出力されている。
[0066] 制御系は、図 1中、主制御装置 20及びこの配下にあるステージ制御装置 19などに よって主に構成される。主制御装置 20は、 CPU (中央演算処理装置)、 ROM (リード •オンリ'メモリ)、 RAM (ランダム ·アクセス 'メモリ)等力 成る!/、わゆるマイクロコンビ ユータ (又はワークステーション)を含んで構成され、装置全体を統括して制御する。
[0067] 主制御装置 20には、例えばキーボード,マウス等のポインティングデバイス等を含 んで構成される入力装置、及び CRTディスプレイ (又は液晶ディスプレイ)等の表示 装置 0、ずれも図示省略)、並びに CD (Compact Disc) , DVD (Digital Versatile Disc) , MO (Magneto-Optical disc)あるいは FD (Flexible Disc)等の情報記録媒体 のドライブ装置 46、ハードディスクから成る記憶装置 47が、外付けで接続されている 。ドライブ装置 46にセットされた情報記録媒体 (以下では、 CDであるものとする)には 、後述するフローチャートで示されるウェハァライメント及び露光動作時の処理アルゴ リズムに対応するプログラム(以下、便宜上、「特定プログラム」と呼ぶ)、その他のプロ グラム、並びにこれらのプログラムに付属するデータベースなどが記録されている。
[0068] 主制御装置 20は、例えば露光動作が的確に行われるように、前述の特定プロダラ ムに従った処理を実行し、例えばレチクル Rとウェハ Wの同期走査、ウェハ Wのステ ッビング等を制御する。
[0069] 具体的には、前記主制御装置 20は、例えば走査露光時には、レチクル Rがレチク ルステージ RSTを介して +Y方向(又は Y方向)に速度 V =Vで走査されるのに同
R
期して、ウェハステージ WSTを介してウェハ Wが前述の照明領域に共役な投影領 域に対して Y方向(又は +Y方向)に速度 V = β ·ν ( βはレチクル Rからウエノ、 W
W
に対する投影倍率)で走査されるように、レチクル干渉計 16、ウェハ干渉計 18の計 測値に基づ!/、て不図示のレチクルステージ駆動部、ウェハステージ駆動部 24をそれ
ぞれ介してレチクルステージ RST、ウェハステージ WSTの位置及び速度をそれぞれ 制御する。また、ステッピングの際には、主制御装置 20ではウェハ干渉計 18の計測 値に基づいてウェハステージ駆動部 24を介してウェハステージ WSTの位置を制御 する。
[0070] さらに、本実施形態の露光装置 100は、投影光学系 PLの最良結像面に向けて複 数のスリット像を形成するための結像光束を光軸 AX方向に対して斜め方向より供給 する不図示の照射系と、その結像光束のウェハ Wの表面での各反射光束を、それぞ れスリットを介して受光する不図示の受光系とから成る斜入射方式の多点フォーカス 検出系を備えている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平 6— 28340 3号公報及びこれに対応する米国特許第 5, 448, 332号などに開示されるものと同 様の構成のものが用いられ、この多点フォーカス検出系の出力が主制御装置 20に 供給されている。主制御装置 20では、この多点フォーカス検出系力ものウエノ、位置 情報に基づいてステージ制御装置 19及びウェハステージ駆動部 24を介してウェハ ステージ WSTを Z方向及び傾斜方向に駆動する。本国際出願で指定した指定国又 は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、上記公報及びこれに対応する 米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
[0071] 次に、上述のようにして構成された本実施形態の露光装置 100により、ウェハ Wに 対して第 2層目(セカンドレイヤ)以降の層の露光処理を行う際の動作について、図 2 のウェハの上面図及び上記特定プログラムに従って実行される、主制御装置 20内の CPUの処理アルゴリズムを示す図 3—図 5のフローチャートに沿って説明する。
[0072] 前提として、ドライブ装置 46にセットされた CD— ROM内の特定プログラム及びその 他のプログラムは、記憶装置 47にインストールされているものとする。さらに、そのうち のレチクルァライメント及びベースライン計測処理のプログラム力 主制御装置 20内 部の CPUによって記憶装置 47から主制御装置 20のメモリにロードされて 、るものと する。
[0073] 第 2層目以降の層の露光対象であるウエノ、 W上には、図 2に示されるように、前層 までの処理工程で複数 (例えば N個)のショット領域 SA (P= l、 2、 ' ··、Ν)が、隣接
Ρ
するショット領域間の 100 m幅程度の間隔 (ストリートライン)を置いて、マトリックス
状の配置で形成されるとともに、各ショット領域 SAの四隅 (ストリートライン上)に、 2
P
次元位置検出用のウェハァライメントマーク(ウェハマーク) M (K= l, 2, 3, 4)が
Ρ,Κ
形成されている。ショット領域 SAの配列によって規定される配列座標系の各軸を α
ρ
軸 (X軸に略平行な軸)、 j8軸 (Υ軸に略平行な軸)とし、 α軸と X軸とが完全に一致し 、 j8軸と Υ軸とが完全に一致したと仮定すると、ウェハマーク M 、M 、M 、M の
Ρ,Ι Ρ,2 Ρ,3 Ρ,4
X位置の平均値は、ショット領域 SA (の中心 C )の X座標に設計上一致し、ウェハマ
P P
ーク M 、M 、M 、M の Y位置の平均値は、ショット領域 SA (の中心 C )の Y座
Ρ,Ι Ρ,2 Ρ,3 Ρ,4 Ρ Ρ 標に設計上一致するようになっている。すなわち、設計上は、各ウェハ Xマーク Μ
Ρ,Κ の X位置と Υ位置とにより、ショット領域 SA (の中心 C )の位置座標を求めることがで
Ρ Ρ
きるようになつている。
[0074] この場合、ウェハマーク Μ としては、例えば互いに交差する X軸( α軸)方向及び
Ρ,Κ
'方向に延びるラインによって形成される十字マークが用いられて 、る。こ れらのマークとしては、十字マークでなぐボックスマークであっても良いし、 α軸方向 をその配列方向とするライン'アンド 'スペース'パターン (LZSパターン)と |8軸方向 をその配列方向とする LZSパターンとの組合せのマークであっても良!、。
[0075] なお、上述したようなウェハ W上のショット領域などに関する情報(ショット数、ショッ トサイズ、配置、ァライメントマークの配置、種類などに関するいわゆるショットマップデ ータ)は、リソグラフィシステムのホストコンピュータ力も記憶装置 47にダウンロードされ ているものとする。
[0076] 図 3に示されるように、まず、ステップ 301において、不図示のレチクルローダを介し て、レチクルステージ RST上にレチクル Rをロードする。このレチクルロードが終了す ると、ステップ 303→ステップ 305において、主制御装置 20 (より正確には、 CPU)で は、レチクルァライメント及びベースライン計測を前述のレチクルァライメント及びべ一 スライン計測処理のプログラムに従って以下のようにして実行する。
[0077] すなわち、主制御装置 20では、ウエノ、ステージ駆動部 24を介してウェハステージ WST上の基準マーク板 FMを投影光学系 PLの直下の所定位置(以下、便宜上「基 準位置」と呼ぶ)に位置決めし、基準マーク板 FM上の一対の第 1基準マークと対応 するレチクル R上の一対のレチクルァライメントマークとの相対位置を前述の一対のレ
チクルァライメント検出系 22を用いて検出する。そして、主制御装置 20では、レチク ルァライメント検出系 22の検出結果と、その検出時の干渉計 16、 18の計測値とをメ モリに記憶する。次いで、主制御装置 20では、ウェハステージ WST及びレチクルス テージ RSTを、それぞれ所定距離だけ Y軸方向に沿って相互に逆向きに移動して、 基準板 FM上の別の一対の第 1基準マークと対応するレチクル R上の別の一対のレ チクルァライメントマークとの相対位置を前述の一対のレチクルァライメント検出系 22 を用いて検出する。そして、主制御装置 20では、レチクルァライメント検出系 22の検 出結果と、その検出時の干渉計 16、 18の計測値とをメモリに記憶する。次いで、上 記と同様にして、基準マーク板 FM上の更に別の一対の第 1基準マークと対応するレ チクルァライメントマークとの相対位置関係を更に計測しても良い。
[0078] そして、主制御装置 20では、このようにして得られた少なくとも 2対の第 1基準マー クと対応するレチクルァライメントマークとの相対位置関係の情報と、それぞれの計測 時の干渉計 16、 18の計測値とを用いて、干渉計 16の測長軸で規定されるレチクル ステージ座標系と干渉計 18の測長軸で規定されるウェハステージ座標系(以下、「ス テージ座標系」と略述する)との相対位置関係を求める。これにより、レチクルァラィメ ントが終了する。
[0079] 次いで、ステップ 305において、ベースライン計測を行う。具体的には、ウェハステ ージ WSTを前述の基準位置に戻し、その基準位置カゝら所定量、例えばベースライン の設計値だけ XY面内で移動して、ァライメント検出系 ASを用いて基準マーク板 FM 上の第 2基準マークを検出する。主制御装置 20では、このとき得られるァライメント検 出系 ASの検出中心と第 2基準マークの相対位置関係の情報及び先にウェハステー ジ WSTが基準位置に位置決めされた際に計測した一対の第 1基準マークと対応す る一対のレチクルァライメントマークと相対位置関係の情報と、それぞれの計測時の ウェハ干渉計 18の計測値とに基づいて、ァライメント検出系 ASのベースライン、すな わちレチクルパターンの投影中心とァライメント検出系 ASの検出中心 (指標中心)と の距離 (位置関係)を算出する。
[0080] このような一連の準備作業が終了すると、主制御装置 20では、前述のレチクルァラ ィメント及びベースライン計測処理のプログラムをメモリからアンロードするとともに、前
述の特定プログラムを記憶装置 47からメモリにロードする。以後、この特定プログラム に従って、ウェハロード、ウェハァライメント(ここでは EGA方式のウェハァライメント) 及びウエノ、 W上の各ショット領域 SAに対する露光が行われる。
P
[0081] まず、ステップ 307にお!/、て、不図示のウェハローダを介して、ウェハ Wをウェハス テージ WST上のウェハホルダ 25上にロードする。ここで、本実施形態では、ウェハ Wのロードに先立って、不図示のブリアライメント装置により、ウェハステージ WSTの 移動位置を規定するステージ座標系(XY座標系)と、ウェハ W上のショット領域の配 列により規定される座標系(図 2の a j8座標系、以下、「ウェハ座標系」と略述する)と がある程度まで一致するように、ウエノ、ステージ WSTに対するウェハ Wの回転ずれ と中心位置ずれが高精度に調整されるいわゆるブリアライメントが実施されており、口 ード後にウェハ Wの回転ずれ及び中心位置ずれを調整するいわゆるサーチァラィメ ントが不要となって 、るものとする。
[0082] 次に、サブルーチン 309において、ウェハァライメント処理を行う。このウェハァライ メント処理では、ステージ座標系における、ウェハ W上のショット領域の配列を推定し 、その配列、すなわち全ショット領域の中心位置を算出する。なお、このウェハァライ メント処理については、後で詳述する。
[0083] 次!、で、ステップ 311では、ショット領域の配列番号を示すカウンタ jに 1をセットし、 最初のショット領域を露光対象領域とする。
[0084] 次に、ステップ 313では、後述する図 5のステップ 526において算出された露光対 象領域の配列座標(各ショット領域の中心位置)に基づいて、ウェハ Wの位置がゥェ ハ W上の露光対象領域を露光するための加速開始位置となるように、ステージ制御 装置 19、ウェハステージ駆動部 24を介してウェハステージ WSTを移動させるととも に、レチクル Rの位置が加速開始位置となるようにステージ制御装置 19、レチクルス テージ駆動部(不図示)を介して、レチクルステージ RSTを移動する。
[0085] ステップ 315では、レチクルステージ RSTとウェハステージ WSTの相対走査を開 始する。そして両ステージがそれぞれの目標走査速度に達し、等速同期状態に達す ると、照明系 10からの照明光 ILによってレチクル Rのパターン領域が照明され始め、 走査露光が開始される。そして、レチクル Rのパターン領域の異なる領域が照明光 IL
で逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより走査露光が 終了する。これにより、レチクル Rのパターンが投影光学系 PLを介してウェハ W上の 露光対象領域に縮小転写される。
[0086] ステップ 317では、カウンタ値 jを参照し、全てのショット領域に露光が行われたか否 かを判断する。ここでは、 j = l、すなわち、最初のショット領域に対して露光が行なわ れたのみであるので、ステップ 317での判断は否定され、ステップ 319に移行する。
[0087] ステップ 319では、カウンタ jの値をインクリメント( + 1)して、次のショット領域を露光 対象領域とし、ステップ 313に戻る。
[0088] 以下、ステップ 317での判断が肯定されるまで、ステップ 313→ステップ 315→ステ ップ 317→ステップ 319の処理、判断が繰り返される。
[0089] ウェハ W上の全てのショット領域へのパターンの転写が終了すると、ステップ 317で の判断が肯定され、ステップ 321に移行する。
[0090] ステップ 321では、不図示のウェハローダに対しウェハ Wのアンロードを指示する。
これにより、ウェハ Wは、ウェハホルダ 25上からアンロードされた後、不図示のウェハ 搬送系により、露光装置 100にインラインにて接続されて 、る不図示のコータ ·デベロ ツバに搬送される。
[0091] 次のステップ 323では、ロット内のすべてのウェハの露光が終了したか否か判断す る。この判断が肯定されれば、露光処理を終了し、否定されればステップ 307に戻る 。ここでは、まだロット内の先頭(1枚目)のウェハ Wの露光が終了しただけなので、判 断は否定され、ステップ 307に戻る。
[0092] 以降、図 3のステップ 323における判断が肯定されるまで、ステップ 307 (ウェハ口 ード)→サブルーチン 309 (ウェハァライメント)→ステップ 311一ステップ 319 (露光) →ステップ 321 (ウェハアンロード)→ステップ 323 (ロット終了判断)のループ処理が 、ロット内のウェハそれぞれを処理対象として順次実行される。ステップ 323における 判断が肯定されると、一連の露光処理を終了する。
[0093] すなわち、上記露光処理においては、ロット内のウェハに対し、ウェハステージ WS T上に順次ロードされたウェハを処理対象として、ウェハァライメント処理、露光処理 が施される。
[0094] 《ウェハァライメント処理》
次に、サブルーチン 309のウェハァライメント処理について説明する。このウェハァ ライメント処理では、 EGA方式を採用する力 ここでは、まず最初に、 EGA方式につ いて説明する。
[0095] 図 2に示されるウェハ Wに形成されたウェハマーク M の実際の形成位置が、設計
Ρ,Κ
位置からずれる(すなわちショット領域 SAの形成位置が設計位置からずれる)のは、
Ρ
ウェハステージ WSTの移動位置を規定するステージ座標系(X, Υ)と、ウェハ座標 系( α , β )との不整合が原因であり、力かる不整合が生じる主要因は、次の 4つであ ると考免られる。
[0096] Α.ウェハ Wの回転:これはステージ座標系(X, Υ)に対するウェハ座標系 , j8 ) の残留回転誤差 Θで表される。
B.ステージ座標系(X, Y)の直交度:これは X軸方向及び Y軸方向のウェハステー ジ WSTの送りが正確に直交していないことにより生じ、直交度誤差 Wで表される。
C.ウェハ座標系( a , j8 )における a軸方向及び j8軸方向の線形伸縮 (ウェハスケ 一リング):これはウェハ Wが加工プロセス等によって全体的に伸縮することである。こ の伸縮量は oc軸方向及び β軸方向につ!、てそれぞれウェハスケーリング S及び S
X Υ
で表される。ただし、 X軸方向のウェハスケーリング Sはウェハ W上の a方向の 2点
X
間の距離の実測値と設計値との比、 Y軸方向のウェハスケーリング Sは β方向の 2
Υ
点間の実測値と設計値との比で表すものとする。
D.ウェハ座標系 , j8 )のステージ座標系(X, Y)に対するオフセット:これはゥェ ハ wがウエノ、ステージ WSTに対して全体的に微小量だけずれることにより生じ、 X軸 方向及び Y軸方向の並進成分 (オフセット) o , oで表される。
X Y
[0097] 上記の A.— D.の誤差要因が加わった場合、ウェハ座標系( a , j8 )における設計 上の位置(DX, DY)に転写されるはずのパターンは、実際には、次式によって求め られるステージ座標系(X, Y)上の位置 (EX, EY)に位置していると予想される。
[0098] [数 1]
(ΕΧλ fsx ο γ cos© - sin@Y 1 - tanW DX Ox
+ (1)
、 ο 人 sin© cos©ノ 0" 11 ノ DYノ
一般に、直交度誤差 W及び残留回転誤差 Θは、微小量であるとみなし、上記式(1 )の三角関数を 1次近似で表した次式によって設計上の転写位置 (DX, DY)と予想 転写位置 (EX, ΕΥ)とが関係付けられるようになる。
[0099] [数 2]
Sx - Sx - (W + Θ) ϋΧλ ίθχヽ
•(2)
Sy - Θ Sy ノ DY Oy なお、 X軸に対するウェハ座標系の α軸の回転成分を Rxとし、 Y軸に対するウェハ 座標系の β軸の回転成分を Ryとする。そして、残留回転誤差 Θを、そのまま X軸に 対する回転成分 Rxに対応させ、直交度誤差 Wを、 Ry— Rxに対応させると、上記式( 2)を、次式に変換することができる。
[0100] [数 3]
Sx - Sx - Ry
■(3)
さらに、スケーリング Sx、 Syを 1 + Sx、 1 + Syと置き換え、 Sx 'Ry= SyRx 0のよ うに近似すると、上記式 (3)を、次式に変換することができる。
[0101] [数 4]
上記式 (4)力 EGA方式における最も一般的な線形モデルのモデル式であり、こ のモデル式では、ウェハスケーリング Sx, Sy、ウェハ回転 Rx, Ry、オフセット Ox, O y力 モデル式の係数(いわゆる 6つの EGAパラメータ)となる。
[0102] なお、実際の転写位置と設計位置とのずれの要因としては、上記のステージ座標 系とウェハ座標系とのずれによる誤差要因以外にも様々な誤差要因があると考えら れる。例えば、ショット領域 SA自体の誤差成分 (例えば、投影光学系 PLの投影倍率
P
の誤差 (これでショット領域の大きさが変わる)や、スキャン方向に対するレチクルステ ージ RST上のパターン自体の回転誤差などを含む。以下「ショット内成分」と略述す る)も含んでおり、その誤差成分の影響が無視できな 、場合もある。
[0103] 上記ショット内成分は、ショット領域 SAの四隅に形成されたウェハマーク M の位
P Ρ,Κ 置により観測することができる。ショット領域 SA内の中心 Cを原点とするショット内座
Ρ Ρ
標系を想定し、その座標系でのウェハマーク Μ の設計上の位置を (mx , my )
Ρ,Κ Ρ,Κ Ρ,Κ とし、上記ショット内成分の影響によるウェハマーク Μ の予想転写位置を (mx ' ,
Ρ,Κ Ρ,Κ my ' )とすると、それらの関係は次式で示される。
Ρ,Κ
[0104] [数 5]
1
ここで、 sx、 syは、ステージ座標系に対するショット内座標系のスケーリング成分 (シ ヨットスケーリング成分)を示し、 rx、 ryは、それぞれステージ座標系に対するショット 内座標系の回転成分 (ショット回転成分)を示す。
[0105] 以上のことから、ステージ座標系におけるサンプルショット SAの各ウェハマーク M
P
の予想位置(MX ' , MY ' )を、次式で表すことができる。
Ρ,Κ Ρ,Κ Ρ,Κ
ここで、(DX , DY )は、ショット領域 SAの中心 Cの設計座標である。
P P P P
[0107] EGA方式では、ショット領域の設計上の位置(DX , DY )を、上記式 (4)のモデル
P P
式の(DX, DY)に代入して、ショット領域の設計上の位置(EX, EY)を求め、その位 置を、ステージ座標系におけるショット領域 SAの中心位置とみなすのである力 そ p
のためには、上記式(4)のモデル式における係数 Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oyの値を 求めればよい。しかしながら、この係数 Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oyの値は、何点かの ウェハマーク M の実際の位置に基づいて算出されるようになるため、上記ショット内
Ρ,Κ
成分を考慮する必要がある。そこで、本実施形態では、これらの係数の値を求めるた めに、幾つかのショット領域 SA (1= 1, 2、 · ··、 η)に付設された何個(例えば h個)か のウェハマーク M のステージ座標系における位置(MX , MY )を実測し、サンプ i,K i,K i,K
ルショット SAの設計上の位置(DX, DY)と、 h個の実測されたウェハマークのショッ
ト内座標系における設計上の位置 (mx , my )とを用いて、上記式 (6)に示される
i,K i,K
ショット成分をも考慮したモデル式に基づ 、て、統計的処理 (例えば最小二乗法)を 実行し、次式に示される評価関数 Eの値が最小となるような、上記式 (6)のモデル式 における係数 Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oy、 sx, sy、 rx、 ryの値を求める。なお、次式 においては、計測される各ウェハマーク M の実測位置をそれぞれ (MX , MY ) (g
ι, g g
= 1、 2、 "-h)とし、求められた係数 Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oy、 sx, sy、 rx、 ryの値 を上記式 (6)に代入して求められた計測される各ウェハマーク M の予想位置をそ
i,K
れぞれ(MX ' , MY ' )としている。
g g
[0108] [数 7]
∑(Mxg -Mxg'} +∑( g - g')2
JT1 …(フ)
すなわち、この評価関数 Eは、上記式 (6)より求められる、計測される各ウェハマー ク M の位置の予想位置(MX ' , MY ' )とその位置の実測値(MX , MY )との残 i,K g g g g 差の二乗和を、ウェハマーク M のサンプル数 hで割ったもの(すなわち残差の二乗
i,K
和の平均)である。
[0109] なお、ここで、 i≠P≠gであり、 iは、順番 (例えば計測経路順)に付与されたサンプ ルショットの番号であり、 gは、実際に計測されるウェハマークの番号である。
[0110] ところで、 EGA方式においては、ウェハマーク M のサンプル数 hは、多ければ多
i,K
いほど、ァライメント精度の観点からは望ましいが、逆に、ウェハマーク M のサンプ
i,K
ル数 hが少なければ少ないほど、スループットの観点から望ましい。また、このウェハ マーク M のサンプル数 hは、 EGAのモデル式における、未知数(パラメータ)の数に
i,K
制約を受ける。例えば、上記式(6)のモデル式の 10個の係数(Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 O x、 Oy、 sx, sy、 rx、 ry)すべてを未知数 (パラメータ)とする場合には、軸毎のパラメ ータ数がそれぞれ 5個ずっとなるので、 2次元位置検出用のウェハマーク M のサン
i,K プル数 hは、少なくとも 6 ( = 5 + 1)以上である必要がある(1次元位置検出用のゥェ ハマークであれば、軸毎に 6サンプル以上必要)力 上記式(6)のモデル式の係数の うち、例えば sx、 sy、 rx、 ryを定数とすれば、そのモデル式の軸ごとのパラメータ数は
3となり、 2次元位置検出用のウェハマーク M のサンプル数 hは、 4 ( = 3 + 1)でもよ
i,K
い。すなわち、 EGA方式においては、モデル式のパラメータ数が増えれば増えるほ ど、ウェハマーク M のサンプル数 hを増やさなければならないため、スループットの
i,K
点で不利となる。そこで、本実施形態では、ァライメント精度を低減させることなぐ上 記式 (6)に示されるモデル式のパラメータをできるだけ少なくし(自由度を小さくし)、 ウェハマーク M のサンプル数 hを可能な限り少なくするように、モデルのパラメータ
i,K
の自由度及びウェハマーク M のサンプル数 hの最適化を行う。なお、上述したゥェ
i,K
ハマーク M のサンプル数 hは、あくまで、計測されるマークのうち、例えば 1直線上
i,K
に配置された 3つのマークが選ばれることがないように抽出された、パラメータの導出 に有効な計測マークのサンプル数である。
[0111] なお、上記式(6)に示されるモデル式のパラメータの自由度及びサンプル数の最 適化を実施するために、本実施形態においては、上記式 (6)に示されるモデル式の 係数に関し、経験的に得られている各係数の値の性質 (属性)等から、各係数を次の ように予め分類しておく。
[0112] 本実施形態では、上記式 (6)のモデル式の係数を以下のように分類する。
a.ウェハ毎に推定し、今回のサンプルショット(のウェハマーク)の計測値に基づいて 必ず変更する、すなわちパラメータとする係数
b.ウェハ毎に推定し、今回のサンプルショット(のウェハマーク)の計測値に基づいて 推定されるパラメータとするか、事前知識より得られる値 (定数)とするかを判断する係 数
cロット毎に推定し、今回のサンプルショット(のウェハマーク)の計測値に基づいて 必ずパラメータとして変更するが、ロット内では、事前知識より得られる値 (定数)を用 いる係数
d.ロット毎に推定し、今回のサンプルショット(のウェハマーク)の計測値に基づいて 推定されるパラメータとするか、事前知識より得られる値 (定数)とするかを判断するが 、ロット内では、事前知識より得られる値 (定数)を用いる係数
e.原則として値を定数として固定し、必要に応じてパラメータとして推定し、値を変更 する係数
[0113] ここで、事前知識とは、上記式(6)のモデル式の各係数の値に関する知識のことで あり、例えば、シミュレーション、あるいは、過去に実際に求められたモデル式の係数 の値のことである。ここでは、事前知識より得られる値は、過去に求められたモデル式 の係数の値から予想される係数の値ということにする。なお、この事前知識における 各係数のデフォルト値は、例えば、記憶装置 47に記憶されているとしても良い。この デフォルト値としては、例えば、前回のロットにおける事前知識の値が用いられても良 いし、設計値が用いられても良い (0でも良い)。
[0114] 上記式(6)のモデル式の各係数の値の変動については、それぞれある程度異なつ た傾向が見られるので、その傾向に基づいて各係数を分類することができる。以下に その分類の一例を示す。例えば、ウェハのオフセット成分 Ox, Oyや、回転成分 Rx, Ryは、ウェハステージ WSTにウェハがロードされる前に実施されるプリアライメントの 結果のばらつきによりばらついたものとなるので、ウェハ毎に逐一推定するのが妥当 であり、 a.の係数として分類されるのが望ましい。また、ウェハスケーリング Sx、 Syは 、ウェハよりも、露光装置の特性やプロセスに対する依存度が大きいため、同じプロ セスを経て同じ露光装置で露光されてきた同一ロット内のウェハ間の変動量があまり 大きくはないが、同一ロット内のウェハ間で値が多少変動することも考えられるので、 b.の係数として分類するのが妥当である。また、ショット内成分の係数(sx、 sy、 rx、 r y)の値については、基本的には変動しないものとみなした場合には、 e.の係数に分 類するのが望ましい。
[0115] なお、上記 EGAのモデル式 (式 (6) )の各係数の分類は、この分類例に限定される ものではなぐ様々な分類パターンを採用することができる。例えば、ショット内成分の 係数(sx、 sy、 rx、 ry)を d.の係数として分類することもできる。しかし、ここでは、上記 例の分類がなされたものとして話を進める。
[0116] なお、このようなモデルの係数の分類の指定は、すでに、オペレータによって、不図 示の入力装置を介して行われており、その指定内容は、記憶装置 47に格納されてい るちのとする。
[0117] 以下、ウェハァライメント処理を、図 4、図 5に示されるサブルーチン 309のフローチ ヤートに沿って説明する。なお、上述したように、このサブルーチン 309は、処理対象
のウェハが切り替わる毎に、そのウェハに対して 1回実行されるようになる。したがつ て、以下の説明では、ロットの 1枚目のウェハを処理対象としたときの処理の流れに ついてまず説明し、続いて 2枚目、 3枚目、…のウェハを順次処理対象としたときの処 理の流れについて順番に説明していくこととする。
[0118] まず、ロットの 1枚目のウェハを処理対象としたときの処理の流れの一例について説 明する。図 4のステップ 402において、今回の処理対象であり、ウェハステージ WST 上にロードされたウェハ W力 そのロットの先頭 m (例えば 5とする)枚目以内のウェハ Wである力否かを判断する。その判断が肯定されれば、ステップ 404に進み、否定さ れればステップ 418に進む。ここでは、ウェハステージ WST上にロードされたウェハ W力 ロット先頭(1枚目)のウェハ Wであるので、判断が肯定されステップ 404に進 む。
[0119] ステップ 404では、そのウェハ Wのサンプル情報を参照する。 EGA処理では、前述 のように、ウェハ W上のショット領域 SAの中から、幾つかのショット領域をサンプルシ ヨット SAとして選択し、そのサンプルショット SAに付設されたウェハマーク M の中 i i i,K から、計 h個のウェハマークの位置(MX、 MY ) (g= l、 2、 · ··、 h)を計測する。サン g g
プル情報とは、この計測されるウェハマークの数及び配置に関する情報のことである 。本実施形態では、モデル式のパラメータの最適化に伴い、サンプル数の最適化も 行う力 この段階では、ロットの先頭のウェハ Wが処理対象であり、まだモデル式のパ ラメータの最適化が行われていないため、この時点での計測対象のウェハマーク M i,k の数及び配置としては、上記式(6)のモデル式の各係数をすベてパラメータとした場 合に、そのパラメータを求めるために必要とされる有効サンプル数を満たすような数 および配置とする必要がある。具体的には、式 (6)のモデル式の最大パラメータ自由 度が軸ごとに 5であるため、ここでのサンプル数は 6以上である必要である。ここでは、 このような有効サンプル数を満たすウェハマーク M の数及び配置が、記憶装置 47 i,k
に記憶されているものとし、ここでは、そのデフォルト設定されたサンプル情報を記憶 装置 47から取得し、メモリに保持してその情報を参照するものとする。なお、ここでは 、デフォルトのサンプル情報として、サンプル数 h= 30が指定されているものとする。
[0120] 次のステップ 406では、そのサンプル情報にサンプルショットとして指定されて!、る
ショット領域 SAに付設されたウェハマーク M のうちの h個のウェハマークが、そのサ
i i,K
ンプル情報に指定されている計測順に基づいて、ァライメント検出系 ASの検出視野 内に順次移動するようにウェハステージ WSTを XY平面内で移動させつつ、そのゥ ェハマーク M をァライメント検出系 ASに撮像させると同時に、そのときのウェハステ
i,K
ージ WSTの位置をウェハ干渉計 18の計測値から求める。ァライメント検出系 ASから は、その撮像視野内のウェハマーク M の位置情報が送られるので、そのウェハマ
i,K
ーク M の位置情報と、ウェハ干渉計 18の計測値と、ベースラインとから、ステージ i,K
座標系におけるそのウェハマーク M の位置の実測値を求めることができる。求めら
i,K
れたウェハマーク M の実測値は、メモリに保持される。このようにして、サンプル情
i,K
報に指定されたサンプルショット SAに付設された h個のウェハマーク M の位置の実
i i,K
測値(MX , MY )が取得される。
g g
[0121] 次のステップ 408では、 e.に分類された係数を事前知識により定められる定数とし た上で、取得されたウェハマークの位置の実測値に基づいて、 a.— d.に分類された 係数の値を算出する。まず、記憶装置 47に記憶されている事前知識を参照し、 e.に 分類された係数の事前知識を得る。ここでは、まだロット内 1枚目のウェハを処理対 象としているため、 e.に分類された係数の事前知識の値は 0になっているものとする 。すなわち、ここでは、上記式(6)のモデル式の係数に関し、 sx = sy=rx=ry=0と 設定したうえで、メモリに記憶された各ウェハマーク M の位置の実測値 (MX、 MY
ι,Κ g g
)に基づいて、上記式 (7)に示される評価関数を最小にする、すなわち次式を満たす パラメータ Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oyの値を最小二乗法により求める。
[0122] [数 8] δΕ_ BE dE — dE dE dE _ Q
dSx— dSy _ dRx— dRy _ dOx dOy ~ " 次に、ステップ 410では、求められた EGAパラメータを上記式(6)の係数として設 定し、計測されたウェハマーク M のショット内座標系における設計位置 (mx , my
i,K i,K
)を(mx , my )に代入し、サンプルショット SAの中心 Cの設計位置(DX, DY) i,K Ρ,Κ Ρ,Κ i i i i を、(DX, DY )に代入して、予想されるウェハマーク M の位置(MX ,, MY ,)
P P i,k i,K i,K を求める。そして、求められた位置(MX ,, MY ,;)を(MX,, MY,)とし、ウェハ
i,K i,K g g
マークの位置の実測値(MX , MY )を(MX , MY )として上記式(7)に代入して
i,K i,K g g
、その値 (残差)を求める。
[0123] さらに、ステップ 412では、上記モデル (a.— d.に分類される係数をパラメータとし 、 e.に分類される係数を事前知識に基づく値 (定数)とした統計モデル M (第 1の回 帰モデル)とする)の AIC (Akaike's Information Criterion)を算出する。
[0124] ここで、 AICについて簡単に説明する。計測によってモデル Mが得られたとき、これ が真のモデルと一致するか否かの尺度となる、そのモデルに対する誤差を正規分布 としたときの対数尤度を表す量として、カルバック'ライブラー情報量 (KLI)がある。 K LIのデータ数(ここで!/、うサンプルショットの数 h)の、モデルを表現するパラメータ数 の増加に伴う偏りを修正した推定値(の 2倍)が AICである。統計モデル Mの AICは、 次式で表される。
[0125] [数 9]
AIC{M) = -2 - \ogL + 2 - d · ' ·(9) ここで、 logLは、統計モデル Mに関する最大対数尤度であり、 dは、統計モデル M のパラメータ (未知数)の数であり、 Lは尤度であり、例えば、上記式(7)に示される評 価関数 Eにより、 L= (1ZE)が用いられる。すなわち、そのモデルでの評価関数 (残 差)の値が、小さくなればなるほど、その尤度 Lは大きくなるので、そのモデルの妥当 性が高くなり、結果的に AICの値は小さくなる。この AICの値が小さいければ小さい ほど、そのモデルが尤もらしいということになる。また、 2dの項は、パラメータの増加に 対するペナルティの項であり、パラメータの数が増えれば増えるほどその項の値が大 きくなる。すなわち、パラメータの自由度の増加に対し、一定以上の尤度の向上がな いと、ノ ラメータの自由度が大きいモデルが選択されなくなる。なお、 AICは、赤池情 報量規準の略称であるが、上記式 (9)では、これを、該情報量規準の関数名としても 用いている。
[0126] すなわち、 AICをモデルの確からしさの指標とすれば、ノ ラメータの自由度が大き V、モデルが選択される傾向が抑制され、学習誤差である残差 Eを小さくするモデルを 選択するのではなぐ汎化誤差を小さくするモデルを選択することができるようになる
のである。
[0127] したがって、ステップ 412では、上記式(7)に、今回算出された評価関数 (残差) E に応じた logLの値と、未知パラメータ数 dの値とを代入して、 AIC (M)の値を算出す る。なお、上記係数の分類例では、 Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Oyをパラメータとし、 sx、 sy、 rx、 ryを事前知識に基づく値としているので、モデル Mにおけるパラメータ数 dは 6となる。
[0128] 次のステップ 414では、上記式(6)のモデル式に基づく EGAの統計モデルを、 a. c.に分類される係数をパラメータとし、 b.、 d.、 e.に分類される係数を事前知識に 基づく値 (定数)とするモデル M,(第 2の回帰モデル)としたときの評価関数 (残差) E の値を算出する。具体的には、上記式(6)の係数のうち、 Sx、 Sy、 sx、 sy、 rx、 の 事前知識を記憶装置 47から取得し、取得された事前知識によって定められる値を、 式(6)に設定する。そして、上記ステップ 406で計測された h個のウェハマークの位 置の実測値に基づいて、 a.、 c.に分類された係数の値を算出する。すなわち、各ゥ ェハマーク M の位置の実測値を上記式 (6)に代入し、上記式(7)に示される評価
i,K
関数 Eを最小にするすなわち次式を満たす a.、c.に分類された係数 (パラメータ)で ある Rx、 Ry、 Ox、 Oyの値を最小二乗法により求める。
[0129] [数 10] dE dE dE dE = 0 -(10)
dRx dRy dOx dOy
[0130] そして、上記ステップ 406において計測されたウェハマーク M のショット内座標系
i,K
における設計位置(mx , my )を(mx , my )に代入し、サンプルショット SAの
i,K i,K Ρ,Κ Ρ,Κ i 中心 Cの設計位置(DX, DY)を、(DX , DY )に代入して、予想されるウェハマー i i i P P
ク M の位置(MX ,, MY ,)を求め、求められた位置(MX ,, MY ,;)を(MX, i,K i,K i,K i,K i,K g
, MY,;)とし、ウェハマークの位置の実測値(MX , MY )を(MX , MY )として上 g i,K i,K g g
記式(7)に代入して、その値 (残差)を求める。
[0131] 次のステップ 416では、上記統計モデル M,の AIC (M,)の値を算出する。なお、 上記分類例では、 Rx、 Ry、 Ox、 Oyをパラメータとし、 Sx、 Sy、 sx、 sy、 rx、 ryを事前 知識に基づく値 (定数)とするため、モデル M,のパラメータ数 dは、 4となる。
[0132] 次いで、図 5のステップ 502において、ステップ 412で求められたモデル Mの AIC ( M)の値と、ステップ 416で求められたモデル M,の AIC (M,)との値を比較し、 AIC ( Μ' )く AIC (M)である力否かを判断する。この判断が肯定されればステップ 504に 進み、判断が否定されればステップ 510に進む。なお、ここでは、ロットの先頭(1枚 目)のウェハ Wを処理対象としており、事前知識により値が定められた係数力 実際 のウェハ Wに関する式(6)に示すモデル式の係数としてフィットする可能性が必ずし も大きいとはいえない。そこで、ここでは、 AIC (M,)の値力 AIC (M)の値よりも大き ぐ判断が否定され、ステップ 510に進むものとして話を進める。
[0133] ステップ 510では、統計モデル Mでの評価関数 (残差) Eの値と所定値とを比較して 、 Eが所定値より小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ 512に 進み、この判断が否定されればステップ 516に進む。ここでは、 e.に分類される係数 の事前知識の値(デフォルト値)力 処理対象となっているロットの先頭のウェハ Wに フィットしていないため、モデル Mの評価関数 (残差) Eの値力 所定値以上となって 、判断が否定され、ステップ 516に進むものとして話を進める。
[0134] ステップ 516以降では、これまで、式(6)に示されるモデル式の係数すベてをパラメ ータとしたときの処理を行う。まず、ステップ 516では、メモリに記憶されているサンプ ル情報を参照して、サンプルショットを追加計測する必要があるか否かを判断する。 この判断が肯定されればステップ 518に進み、否定されればステップ 522に進む。こ こでは、前述のように、ステップ 404において取得され、メモリに記憶されたサンプル 情報におけるデフォルトの有効サンプル数 (h= 30)が、 a.— e. に分類される係数を すべてのパラメータとしたときのそのパラメータの自由度 (軸毎に 5)よりも十分大きく なって 、るので、サンプルショットの追加計測を行う必要が特にな 、ので判断は否定 され、ステップ 522に進む。
[0135] ステップ 522では、 a.一 e.に分類される係数をすベてパラメータとした上で、ステツ プ 406で計測された h個のウェハマークの位置の実測値に基づいて、 a.— e.に分 類される係数の値を算出する。すなわち、各ウェハマーク M の位置の実測値を上
i,K
記式 (6)に代入し、上記式(7)に示される評価関数 Eを最小にするすなわち次式を 満たすパラメータ Sx、 Sy、 Rx、 Ry、 Ox、 Ov、 sx、 sy、 rx、 ryの値を最小二乗法によ
り求める。
[0136] [数 11] dE ΘΕ ΘΕ ΘΕ ΘΕ 6Ε dE dE dE dE Q
dSx dSy dRx dRy dOx dOy dsx dsy drx dry 求められた a. -e.に分類される係数 (パラメータ)の値は、後述する露光処理に用 いるために、メモリに保持される。そして、ステップ 524において、 b.— e.に分類され るパラメータの値を、事前知識として、記憶装置 47に格納する。
[0137] 次に、ステップ 526では、上記ステップ 522で求められメモリ上に保持された係数の 値を、上記式 (4)の各係数の値として設定し、全ショット領域 SAの設計位置 (DX ,
P P
DY )を上記式(4)の(DX、 DY)にそれぞれ代入して全ショット領域 SAの中心 Cの
P P P
位置 (基準位置) (EX , EX )を算出し、その算出結果を記憶装置 47に記憶する。ス
P P
テツプ 526終了後、サブルーチン 309を終了する。
[0138] 次に、ロット内の 2枚目のウェハ Wを処理対象としたときのサブルーチン 309の処理 の流れの一例について説明する。まず、図 4のステップ 402では、処理対象のウェハ Wがロットの m( = 5)枚目以内であるか否かが判断される。ここではまだ 2枚目なので 、判断は肯定され、ステップ 404に進む。
[0139] ステップ 406では、メモリに記憶されているサンプル情報を参照し、そのサンプル情 報に含まれるサンプルショットの数及び配置を把握する。メモリに記憶されて 、るサン プル情報(サンプル数及びサンプルショットのウェハマークの配置、有効サンプル数) は、前回のサブルーチン 309では、記憶装置 47に記憶されたデフォルトのサンプル 情報から更新されて 、な 、ので、ここでもデフォルトのサンプル情報がそのまま参照 される。
[0140] 次に、ステップ 408において、取得されたウェハマーク M の位置の実測値に基づ
i,K
いて、前回のサブルーチン 309と同様に、 a.— d.に分類される係数をパラメータとし 、 e.に分類された係数を事前知識により定められる定数とするモデル Mにおける、 a .一 d. に分類された係数 (パラメータ)の値を、上記式 (8)を条件式とする最小二乗 法により算出し、ステップ 410において、そのときの残差 Eを算出し、ステップ 412に おいて AIC (M)を算出する。この時点では、 e.に分類された係数の事前知識として
、前回のサブルーチン 309のステップ 524 (図 5参照)において記憶された係数の値 、すなわちロットの先頭のウェハ Wでの EGA処理において求められた係数の値が、 記憶装置 47に記憶されており、ここでは、その事前知識としての e.の係数の値をそ のまま今回の e.の係数として用いることができる。
[0141] 次のステップ 414では、 EGAの統計モデルを、 a.、 c. に分類される係数をパラメ ータとし、 b.、d.、e. に分類される係数を事前知識により定められる値 (定数)とした ときの式(6)のモデル式のモデル M'として、上記式(10)を条件として、最小二乗法 を行い、 a.、c.に分類される係数を算出して、評価関数 (残差) Eの値を算出し、ステ ップ 416では、そのモデル M,での AIC (M,)の値を算出する。この時点では、 b.、 d .、e.の係数の値の事前知識として、前回のサブルーチン 309のステップ 524 (図 5 参照)において記憶装置 47に記憶された b.、 d.、 e.の係数の値、すなわちロットの 先頭のウェハ Wでの EGA処理において求められた b.、d.、e.の係数の値が記憶 装置 47に記憶されており、ここでは、その事前知識としての b.、 d.、 e.の係数の値 をそのまま今回の b.、d.、e.の係数として用いることができる。
[0142] 次に、図 5のステップ 502において、今回のステップ 412で求められたモデル Mの AIC (M)の値と、今回のステップ 416で求められたモデル M,の AIC (M,)との値を 比較し、 AIC (M' ) <AIC (M)であるか否かを判断する。ここでは、依然、 AIC (M' ) ≥AIC (M)となって、判断が否定され、ステップ 510に進むものとして話を進める。
[0143] ステップ 510では、モデル Mでの評価関数 (残差) E力 所定値より小さいか否かが 判断される。ここでは、前回のサブルーチン 309におけるロットの先頭のウェハ Wの 処理において、そのロット内においては、値の変動がほとんどないと予想されている e . に分類される各係数が求められており、その係数がモデル Mに用いられているので 、残差 Eの値が所定値より小さくなつていて、判断が肯定され、ステップ 512に進むも のとして話を進める。
[0144] 次のステップ 512では、モデル Mを選択し、そのモデル Mの係数の値を、今回のゥ ェハ Wの露光処理のためにメモリに保持しておく。
[0145] 次のステップ 506では、今回の処理対象のウェハ W力 ロット先頭 m ( = 5)枚目以 内であるか否かが判断される。ここでは、今回のウェハ Wがロット内 2枚目なので、判
断は肯定され、ステップ 524→ステップ 526に進む。ステップ 524では、モデル Mの b .一 e.の係数の値を記憶装置 47に記憶する。そして、ステップ 526では、全ショット 領域 SAの中心位置の算出、記憶装置 47への記憶が行われる。ステップ 526終了
P
後、サブルーチン 309を終了する。
[0146] 次に、ロット内の 3枚目のウェハを処理対象としたときのサブルーチン 309の処理の 流れの一例について説明する。まず、図 4のステップ 402では、処理対象のウェハが ロットの m ( = 5)枚目以内である力否かが判断される。ここではまだ 3枚目なので、判 断は肯定され、ステップ 404に進む。
[0147] ステップ 404では、メモリ上のサンプル情報を参照する。このサンプル情報(サンプ ル数及びサンプルショットの配置)は、前回のサブルーチン 309でも更新されていな V、ので、ここでもデフォルトのサンプル情報がそのまま参照される。
[0148] 次に、ステップ 408において、 e.に分類される係数を事前知識により定められる定 数とするモデルを用いて、取得されたウェハマークの位置の実測値に基づいて、 a. 一 d.に分類される係数 (パラメータ)の値を算出し、ステップ 410において、そのとき の残差 Eを算出し、ステップ 412において AIC (M)を算出する。ここでも、事前知識と して記憶装置 47に記憶される、 e.に分類される係数の値に基づいて、例えば前回と 前々回の値の平均値をそのまま今回に e.に分類される係数の値として用いることが できる。
[0149] 次に、ステップ 414では、 EGAの統計モデルを、 a.、 c.に分類される係数をパラメ ータとし、 b.、d.、e. に分類される係数を事前知識に基づく値としたときの式 (6)の モデル式によって表現されるモデル M'として、最小二乗法により a.、c. に分類され る係数の値を算出して評価関数 (残差) Eの値を算出し、ステップ 416では、 AIC (M ' )の値を算出する。この時点では、 b.、 d.、 e.に分類される係数の事前知識として 、前回、前々回のサブルーチン 309のステップ 524 (図 5参照)において更新された b .、 d.、 e.の係数の値が記憶装置 47に記憶されており、ここでは、この事前知識の b .、 d.、 e.の係数の平均値を、今回の b.、 d.、 e.の係数の値として用いることがで きる。
[0150] 次に、図 5のステップ 502において、今回のステップ 412で求められたモデル Mの
AIC (M)の値と、今回のステップ 416で求められたモデル M,の AIC (M,)との値を 比較し、 AIC (M' ) <AIC (M)であるか否かを判断する。ここでは、 b.、 d.に分類さ れる係数の事前知識に基づく値が、真のモデルの係数に収束してきて、判断が肯定 され、ステップ 504に進むものとして話を進める。
[0151] 次のステップ 504では、モデル M,の係数の値を、今回のウェハの露光処理のため にメモリに保持しておく。
[0152] 次に、ステップ 506では、今回の処理対象のウェハ W力 ロットの m( = 5)枚目以内 であるか否かが判断される。ここでは、まだロットの 3枚目なので、判断は肯定され、ス テツプ 524に進む。ステップ 524では、モデル M,の b.— e.の係数の値を事前知識 として記憶装置 47に記憶する。そして、ステップ 526では、全ショット領域 SAの中心
P
位置の算出、記憶装置 47への記憶が行われ、その後サブルーチン 309の処理を終 了する。
[0153] 以降、サブルーチン 309が実行される際には、処理対象のウェハがロットの m+ 1 (
=6)枚目のウェハとなるまで、すなわち、ステップ 402において判断が否定されるま で、ステップ 404—ステップ 416の処理が実行され、図 5のステップ 502が判断される 。そして、処理対象のウェハ Wのショット領域の配列力 過去の処理対象のウェハ W のショット領域の配列と同じ傾向を示している場合には、 AIC (M,)く AIC (M)となり 、判断が肯定され、ステップ 504においてモデル M'の係数カ モリ上に保持され、ス テツプ 506 (条件判断は当然肯定)が実行され、その後ステップ 524において、 a.、 c .の係数 (パラメータ)の値と、 b.、 d.、 e.の事前知識の基づく係数の値が、事前知 識として記憶装置 47に記憶され、さらにステップ 526が実行されて、サブルーチン 30 9を終了する力 処理対象のウェハのショット領域の配列力 過去の処理対象のゥェ ハのショット領域の配列と異なる場合には、 AIC (M,)≥ AIC (M)となって判断が否 定され、ステップ 510に進む。そして、ステップ 510においてモデル Mの残差 Eが所 定値より小さい場合には、モデル Mが最適モデルとして選択され、ステップ 512にお いて、モデル Mの係数の値が保持され、ステップ 524において事前知識として記憶 装置 47に格納されるが、モデル Mの残差 Eが所定値より大きい場合には、ステップ 5 16 (判断は否定)→ステップ 522が処理され、 a.— e.に分類される係数の値がパラ
メータとして求め直されてメモリに保持され、ステップ 524において、その係数の値が 事前知識として記憶装置 47に記憶されるようになる。
[0154] このように、本実施形態では、ロットの先頭の m( = 5)枚目までは、モデルの最適化 に重点を置いた処理とし、モデルの係数の事前知識の値力 そのロットでの真のモデ ルの係数の値近傍に収束するまで、有効サンプル数をデフォルトの数 (例えば h= 3 0)に維持したままで EGAを行う。その処理中に、ほとんど値が変動しない e.に分類 されたショット内成分の係数の値力 1枚目のウェハの処理の時に求められ、 1枚目、 2枚目、…とウェハが処理されていくうちに、 b.— d. に分類される係数の値の事前知 識力 真のモデルの係数の値に収束するようになり、パラメータの自由度の小さいモ デル M,が選択されるようになる。そして、 4枚目以降のウェハの配列状態力 1一 3 枚目のウェハの配列状態とほぼ同じであれば、そのウェハを処理する際のサブルー チン 309では、常に、モデル M,が選択されるようになる力 4枚目以降のウェハの配 列が、 1一 3枚目のウェハの配列と若干異なっている場合には、モデル Mが選択され 、ノラメータとなったモデル Mの b.、 d.、 e.の係数が新たな事前知識として記憶装 置 47に累積記憶されていく。また、 4枚目以降のウェハの配列が、 1一 3枚目のゥェ ハの配列と著しく異なっている場合には、 b.— e.の係数が求め直され、新たな事前 知識として記憶装置 47に累積記憶されていく。
[0155] そして、処理対象のウェハがロット内 6枚目となると、サブルーチン 309においては 、ステップ 402における判断が否定され、ステップ 418に進む。ステップ 418では、そ のウェハ Wのサンプル情報を参照する。まだメモリに記憶されて 、るサンプル情報は 、デフォルトのままとなっているので、デフォルトのサンプル情報が取得される。
[0156] 次のステップ 420では、ステップ 406と同様に、そのサンプル情報にサンプルショッ トとして指定されているショット領域 SAに付設されたウェハマーク M のうち、計測対
i i,K
象となっている h個のウェハマークの位置が順次計測される。
[0157] 次のステップ 422では、モデル Mを、 a.、 b.に分類される係数をパラメータとし、 c 、 d.、 e.に分類される係数を事前知識により定められる定数としたモデルとし、取得 されたウェハマークの位置の実測値に基づいて、最小二乗法を用いて、 a.、b.に分 類される係数の値を算出し、ステップ 424では、求められた係数の値を改めて上記式
(6)に代入し、ウェハマークの予想位置を求め、求められた予想位置と、ウェハマー クの位置の実測値を上記式(7)の評価関数 Eに代入して、その値 (残差)を求める。 さらに、ステップ 426では、上記モデル (a.、b.に分類される係数をパラメータとし、 c .、d.、e.に分類される係数を事前知識に基づく値とした統計モデル Mとする)の AI C (M)を算出する。
[0158] 次のステップ 428では、 EGAの統計モデルを、上記式(6)のモデル式の a.の係数 をパラメータとし、 b.一 e.の係数の値を事前知識に基づく値としたときのモデル M, でのパラメータの値を最小二乗法により求め、モデル M,での評価関数 (残差) Eの値 を算出する。
[0159] 次に、ステップ 430では、上記統計モデル M,の AIC (M,)の値を算出する。
[0160] 以上述べたように、上記分類のように、ロット毎に推定、変更するパラメータ、すなわ ち d.に分類される係数がある場合には、モデル M、 M,のパラメータの自由度は、 ロット先頭 m枚目までとそれ以降とでは、異なったものとなり、 m+ 1枚目以降の方が 、各モデルの自由度が小さくなるように設定されている。
[0161] 次いで、図 5のステップ 502では、ステップ 426で求められたモデル Mの AIC (M) の値と、ステップ 430で求められたモデル M,の AIC (M,)との値を比較し、 AIC (M, )く AIC (M)であるか否かを判断する。ここで、処理対象のウェハの配列が、過去に 処理されたウェハの配列とほぼ同一であれば、 AIC (Μ' ) < AIC (M)となって判断 が肯定され、ステップ 504に進み、モデル M'が選択され、その係数カ モリ上に保 持される。
[0162] 次のステップ 506では、 6枚目のウェハなので、判断が否定され、ステップ 508に進 む。ステップ 508では、メモリ上のサンプル情報が更新される。ここまでくると、 b.— e . に分類される係数の事前知識の信頼性が増し、モデル M'が選択される状態に達 したと判断することができるため、有効サンプル数 (h= 30)を、デフォルトの大きいサ ンプル数から、例えば a.に分類される係数だけをパラメータしたときに高精度なァラ ィメント精度を十分確保できるような数まで小さくすることができる。例えば、この場合 、 a.に分類される係数が、ウェハのオフセット成分 Ox、 Oy、回転成分 Rx、 Ryである とすると、軸毎のパラメータの自由度は、 2となるので、有効サンプル数を軸毎に 3 (2
次元マークであれば 3つ、 1次元マークであれば 6つ)と設定することができる。ただし 、ここでは、 7枚目以降のウェハの配列が、過去のウェハの配列と異なっている場合 も考えられ、本実施形態では、そのような場合に対処するため、モデル M'の AIC (M ,)とともに、モデル Mの AIC (M)も算出している。したがって、ここでは、多少の余裕 を考慮して、有効サンプル数を、モデル Mの軸毎のパラメータ数 3に 1を足し、軸毎に 4以上(例えば 16)とする。なお、ここでは、 1一 30までの各有効サンプル数での計測 すべきウェハマークの数及び配置が予め最尤推定され、記憶装置 47に記憶されて いるものとし、有効サンプル数が更新された場合には、その自由度での情報(ウェハ マークの数及び配置)が記憶装置 47からメモリ上に読み出され、メモリ上のサンプル 情報がその情報に更新されるものとする。
[0163] このように、(m+ 1)枚目以降のウェハ Wでは、処理対象のウェハ Wに関し、ステツ プ 418—ステップ 430の処理が実行され、図 5のステップ 502が判断される。そして、 処理対象のウェハのショット領域の配列力 過去の処理対象のウェハ Wのショット領 域の配列と同じ傾向を示している場合には、 AIC (M' )く AIC (M)となり判断が肯定 され、ステップ 504 (モデル M,の選択)→ステップ 506 (条件判断は否定)→ステップ 508が実行され、さらにサンプル情報を、モデル Mのパラメータの自由度 + 1よりも小 さくならないことを限度として有効サンプル数が小さくなるようにする。そして、ステップ 524において、事前知識に基づく b.— d.の係数の値が、事前知識として記憶装置 4 7に記憶される。
[0164] 一方、処理対象のウェハ Wのショット領域の配列力 過去の処理対象のウェハ Wの ショット領域の配列と異なる場合には、 AIC (Μ' )≥ AIC (Μ)となり判断が否定され、 ステップ 510に進む。そして、ステップ 510では、モデル Μの残差が所定値より小さい 場合には、モデル Μが最適モデルとして選択され、ステップ 508では、有効サンプル 数を若干大きくするようにサンプル情報が更新され、ステップ 524において、そのモ デル Μにおける a. b.に分類される係数 (パラメータ)の値力 新たな事前知識として 他の係数 (定数)の値とともに、記憶装置 47に格納される(e.に分類される係数の値 はもともと事前知識に基づく値)。一方、ステップ 510において、モデル Mの残差が所 定値より大きい場合には、ステップ 516—ステップ 524が処理され、 a.— e.に分類さ
れる係数の値がパラメータとして新たに求め直され、今回のウェハのモデルの係数と してメモリに保持され、 b. -e. に分類される係数の値が新たな事前知識として記憶 装置 47に記憶されるようになる。
[0165] なお、ステップ 516—ステップ 522を処理する場合には、メモリ上のサンプル情報に おける有効サンプル数力 a.、 b.の係数だけをパラメータとしたときのモデルのパラ メータの自由度に若干の余裕を持たせた程度の小さいサンプル数となっているので 、その有効サンプル数を、 a. — e.の係数をパラメータとしたときのモデルのパラメ一 タの自由度に応じた大きい数に更新する必要がある。そこで、ステップ 516における 判断が肯定され、ステップ 518において、 a. — e.の係数をパラメータとしたときのモ デルのパラメータの自由度 (軸毎に 6以上)に応じた有効サンプル数 (例えばデフォ ルトと同じ 30)となるようにメモリ上のサンプル情報を更新する。
[0166] 次のステップ 520にお!/、て、更新されたサンプル情報に基づ 、て、追加サンプルシ ヨットを計測する。そして、ステップ 522において、今回計測されたウェハマークの位 置の実測値に基づいて a. — e.に分類された係数 (パラメータ)の値を求め、ステップ 524において、今回求められた a. — e. に分類された係数が事前知識に反映される 。さらに、ステップ 526において、全ショット領域の基準位置の算出、記憶装置 47へ の記憶が行われ、その後サブルーチン 309の処理を終了する。
[0167] このように、図 3のステップ 323における判断が肯定されるまで、上述したようなサブ ルーチン 309を含む、ステップ 307—ステップ 323のループ処理が、ロット内のゥェ ハそれぞれを処理対象として順次実行される。この間、サブルーチン 309において、 処理対象となるウェハの配列状態に応じて、適宜、モデルのパラメータ自由度及び 有効サンプル数が、その都度、動的に最適化される。
[0168] なお、本実施形態において説明した 1枚目、 2枚目、 3枚目のウェハを処理対象と するサブルーチン 309の処理の流れは、あくまでも一例である。すなわち、そのゥェ ハの配列が事前知識に良く従っているときには、 1枚目のウェハを処理対象としたと きでも、ステップ 502、ステップ 510における判断が肯定され、モデル M、 M'が選択 される場合もあるし、 2枚目のウェハを処理対象としたときでも、ステップ 502の判断が 肯定されたり、ステップ 510の判断が否定されたりする場合もあり、 3枚目のウェハを
処理対象としたときでも、ステップ 502の判断が否定されたり、ステップ 510の判断が 否定されたりする場合もある。いずれの場合でも、本実施形態においては、ウェハを 順次処理していくうちに事前知識が累積され、モデルのパラメータの自由度の最適 化が実現されるようになる。
[0169] また、本実施形態では、 m= 5とした力 これは任意の値で良い。この mは、そのロッ トのモデル M'の係数の事前知識が十分得られるように設定されて!、るのが望ま ヽ 。例えば、 1回でそれらの事前知識が十分取得できるようになっているとすれば、 m= 1であっても良い。
[0170] また、本実施形態では、ロット内 m枚目までは、有効サンプル数の最適化を行わな いようにしたが、ステップ 506の判断を省略して、ロット内 m枚目以内でも、有効サン プル数を更新できるようにしても良 、。
[0171] また、本実施形態では、サブルーチン 309において、第 1の回帰モデルとしてのモ デル Mの残差が所定値より小さいか否かを判断することにより、第 1の回帰モデル( モデル M)と、上記式(6)のすベての係数をパラメータとする第 3の回帰モデルの!/ヽ ずれを選択するかを決定した力 この判断を行わずに、第 3の回帰モデルの AICも 併せて算出し、モデル Mの AICと比較し、その値が小さい方を選ぶようにしても良い 。しかしながら、この場合には、ウェハマークの有効サンプル数を、パラメータの自由 度が大きい第 3の回帰モデルに応じた自由度とする必要があるため、サンプル数が 大きくなる傾向があるので、やはり上記サブルーチン 309のようにするのがより望まし い。
[0172] また、本実施形態では、事前知識として得られたその係数の過去の値の平均値を、 その係数の代表値として設定したが、直前 (又は直近の数枚)のウェハを処理したと きの係数の値を代表値としてそのまま用いるようにしても良 、。複数枚でのウェハを 処理したときの係数の値を、今回の係数の値に反映する場合には、その係数の値を それぞれ重み付けするようにしても良い。例えば、最近の事前知識の値に対する重 みを最も重くしたり、残差が小さ力つたウェハでの事前知識の値に対する重みを最も 重くしたりするようにしても良い。
[0173] これまでの説明から明らかなように、本実施形態では、主制御装置 20の記憶装置 4
7及びメモリにより、記憶装置が構成されている。また、本実施形態では、主制御装置 20が、本発明の位置検出装置の選択装置、算出装置、更新装置、最適化装置、決 定装置に対応している。すなわち、主制御装置 20の CPUが行う、ステップ 402—ス テツプ 430 (図 4)及びステップ 502、ステップ 504、ステップ 510、ステップ 512、ステ ップ 522 (図 5)の処理によって選択装置の機能が実現され、ステップ 526 (図 5)の処 理によって算出装置の機能が実現され、ステップ 506、ステップ 508、ステップ 516— ステップ 520、ステップ 524 (図 5)の処理によって、更新装置の機能が実現されてい る。また、ステップ 402—ステップ 430 (図 4)、ステップ 502—ステップ 504、ステップ 5 10、ステップ 512、ステップ 522、ステップ 524 (図 5)の処理によって、最適化装置の 機能が実現され、ステップ 506、ステップ 508、ステップ 516、ステップ 518、ステップ 520 (図 5)の処理によって決定装置が実現されている。し力しながら、本発明がこれ に限定されるものではないことは勿論である。
[0174] 以上詳細に述べたように、本実施形態の位置検出方法によれば、パラメータの自 由度が大きいモデルを選択する傾向が強くならないようにモデル推定の偏りが補正さ れ、学習誤差に左右されず、汎化誤差を小さくできるモデルを最も尤もらしいモデル として選択することができる規準である AICを用い、パラメータの自由度がそれぞれ 異なる幾つかの回帰モデル(モデル M、 M,等)の AICに基づいて、ウェハ W上の複 数のショット領域 SAの配列に関する最も尤もらしい回帰モデルが選択される。これ
P
により、真のモデルに最も近いモデルが選択されるようになるため、複数のショット領 域 SAの中心位置の位置情報を精度良く算出することができる。
P
[0175] また、本実施形態によれば、複数のウェハ Wを順次検出対象とする際に、ウェハ毎 にサブルーチン 309のモデルのパラメータ及び有効サンプル数の最適化が繰り返し 実行される。そして、サブルーチン 309において、ウェハ Wのショット領域 SAの位置
P
情報を順次検出する度に得られる複数のショット領域 SAに関する回帰モデル (上記
P
式 (6) )の係数に関する事前知識と、ステージ座標系における、今回の位置情報の 検出対象となるウェハ Wの複数のショット領域 SAのうちの幾つかのショット領域 SA
P i に付設されたウェハマーク M の位置情報の実測値 (h個)とに基づ 、て、回帰モデ
i,K
ルのパラメータの自由度に応じた AICに基づいて、回帰モデルのパラメータの自由
度を最適化する。そして、最適化されたパラメータの自由度に基づいて、次回の位置 情報の検出対象となるウェハ Wにおける各ショット領域 SAに付設されたウェハマー
P
クの実測値の有効サンプル数を決定する。このようにすれば、最適化されるパラメ一 タの自由度に応じてウェハマーク M の位置の実測値の有効サンプル数を増減する
i,K
ことができるため、各ショット領域 SAの基準位置を短時間に、かつ精度良く検出する
P
ことができる。
[0176] また、本実施形態の露光装置 100によれば、元工程の複数のショット領域 SAの基
P
準位置が高精度に検出されるため、短時間かつ高精度な重ね合わせ露光を実現す ることがでさる。
[0177] また、上記実施形態では、パラメータの自由度が異なるモデルの比較に AICを用 いたが、他の規準、例えばベイジアン情報量規準(Bayesian Information Criterion : B IC)を用いるようにしても良い。上述した統計モデル Mの BICは、次式で表される。
[0178] [数 12]
BIC ^ -2 - log L + d - log n - - -(12) このように、 BICは、ペナルティ項である第 2項力 AICと異なる。すなわち AICは、 第 2項が 2dであるのに対し、 BICは d'lognとなっている。 nは有効サンプル数である 。したがって、 BICは、 AICよりもペナルティが大きくなるように設定されており、ノラメ ータ数の多い統計モデルを選択する傾向が低減されるように設定されている。
[0179] なお、 AIC、 BICはともに、正則モデルにおいてサンプル数が十分大きいときに、 母集団に対するモデルの汎化誤差、あるいは対数尤度に漸近するものとして導出さ れたものである。線形回帰モデルは、正則モデルであるため、これらの評価規範を用 V、ることが妥当であると 、える。
[0180] ただし、上記実施形態にお!、ては、スループットとのかねぁ 、から、回帰分析を行う ためのサンプル数が小さいため、上記漸近論の適用が妥当であるとは必ずしもいえ ない。そこで、上記 AIC及び BICを一般ィ匕したペナルティ付き対数尤度を次式のよう に定義し、これを最良とするモデルを選択するのがより好まし 、。
[0181] [数 13]
PL = logZ - { del,n) - d …ひ 3) ここで、 PLはペナルティ付き対数尤度である。第 1項の符号が、 AIC及び BICと逆 になっているのは、 PL力 大きい方を良好であると評価する式であるためである。 PL における第 2項は、 AICや BICと同じようにペナルティ項であり、 β (model, n) = 2と おけば、 PLは AICとなり、 β (model, n) =lognとおけば、 BICとなる。 βの値は、シ ミュレーシヨン等によって決定することができる力 必要に応じて追加するパラメータ の種類 (すなわち、 model)とサンプル数 (すなわち n)に依存した関数とすることがで きる。例えばこのような関数の一例としては、パラメータの増大に対する残差の変化量 の期待値を採用することができる。例えば、第 1の回帰モデルと、第 3の回帰モデルと を比較する場合には、 e.に分類される係数を事前知識に基づく値としたときのモデ ルでの残差と、 e.に分類される係数までもパラメータとしたときの残差との差分の期 待値をとり、その値を j8とするようにすればよい。このようにすれば、最もフィッティング するモデルでは、その残差がその前後のモデルのそれよりも極端に小さくなつており
、上記差分の期待値が負側に極大になっていると考えられるため、 PLの値が大きく なり、そのモデルが選択されやすくなるからである。なお、線形回帰モデルは正則で あるが、これは、より大きい自由度のモデルを評価する際に、追加するパラメータの順 番 (優先順位)があらかじめ決定されて ヽる場合である。サンプル数が小さ!/ヽ問題は ある力 AIC, BICを使用することの妥当性を保証するために、上記実施形態では追 加するパラメータの順番を予め決定している。追加するパラメータを自由に取り替え るような場合には、回帰モデルは非正則となり、 AIC, BICの妥当'性はなくなるが、ぺ ナルティ付き対数尤度を用いる場合には、非正則性に見合った j8を使用すれば、パ ラメータの優先順位を特に指定する必要はな 、。 また、上記実施形態では、残差を上記式(7)で示される評価関数 E、すなわち二乗 誤差をサンプル数で除算したもので表現したが、本発明はこれに限定されない。例 えば、残差が正規分布に従うとしたときの、サンプル数カゝらパラメータの自由度を減 算して得られる残差の分散の不偏推定値、あるいは二乗誤差そのものではな ヽ(二 乗誤差自体は、サンプル数に応じて増減するので適当でない)、残差を表現するの
に妥当なもののいずれでも良い。
[0183] また、上記実施形態では、 1ロット内でのモデルパラメータの最適化について説明し た力 同一プロセスを経た複数のロットにおいて、モデル式の係数の事前知識を共有 することも可能である。例えば同一プロセスを経た複数のロットを処理する場合には、 前回処理したロットに関するパラメータの事前知識を記憶装置 47に記憶しておき、今 回のロットのパラメータのデフォルトの事前知識として用いるようにすれば良 、。
[0184] また、上記実施形態では、あるモデル (モデル M)を基準として、そのモデルよりパ ラメータの自由度が小さいモデルと、大きいモデルと 3つのモデルの確からしさを比 較することにより、最適なモデルを選択した力 本発明はこれに限定されるものではな ぐ 4つ以上のモデルを比較するようにしても構わない。例えば、 4つ以上のモデルに つ!、てそれぞれ AICの値を算出し、値が最小のモデルを選択するようにすれば良!ヽ
[0185] また、 4つ以上のモデルが適用可能である場合には、上記実施形態と同様に、パラ メータの自由度が最小のモデルをモデル M,とし、 2番目に小さいモデルをモデル M として、その他の複数のモデルを第 3の回帰モデルとして、モデルの最適化を行って も良い。この場合には、第 3の回帰モデルが複数存在するようになるため、ステップ 5 10での判断が否定された場合には、その複数の第 3の回帰モデルについてそれぞ れ AICの値を求め、その値が最小のモデルを選択すれば良!、。
[0186] また、上記実施形態では、 6点の EGAパラメータにカ卩え、ショット成分をも考慮した モデル式についての最適化であった力 本発明はこのモデル式には限定されない。 例えば、ショット領域の配列の 1次成分だけでなぐ 2次以上の高次成分をも考慮した モデルを適用することもできる。このモデルでは、上記式 (4)の(DX、 DY)を次式の( DX'、 DY,)に、置き換えたモデルとなる。
[0187] [数 14]
DX + ax - (DX)2 + a2 . (DX , DY)2 + α3 , (DY)2 + -
•(14)
DY + β, - (DXf + β
2 · {DX . DY)
2 + β
3 - (DY)
2 + , 上記モデルでは、上記 6つの EGAパラメータに加え、係数 α 、 α 、 α 、 · · ·、 β 、
1 2 3 1 β 、 β …、が未知パラメータとなる。なお、このパラメータも、一般的にはロット内での
2 3
変動が小さいと考えられるので、 d.又は e.に分類されるのが望ましい。
[0188] したがって、高次成分も考慮する場合には、上記高次成分を含むモデルと、上記 実施形態で使用されたショット内成分を考慮したモデルと、または高次成分と、ショッ ト内成分との両方を含むモデルとをそれぞれ第 3の回帰モデルとすることができる。
[0189] また、上記実施形態では、 EGAの回帰モデルを上記式 (6)に基づくモデルとした 力 上記式 (4)に基づくものであっても構わない。この他、直交度誤差 Wや残留回転 誤差 Θ等を係数とする上記式 (2)に基づくモデルとしても構わない。この場合、残留 回転誤差 Θは、 a.に分類されるのが望ましいが、直交度誤差 Wは、元工程のレイヤ をどの露光装置で露光したかに依存し、ロット内では変動が少ないと考えられるので 、 c又は d.に分類されるのが妥当であると考えられる。
[0190] なお、この直交度誤差 Wを係数とするモデルを選択した場合、事前知識に基づく 値と、今回のウェハマークの計測により得られたパラメータの値が著しく異なる場合に は、今回の処理対象のウェハの元工程のレイヤを露光した露光装置力 過去のゥェ ハのそれとは異なっている可能性が高い。この場合には、上記高次成分や、ショット 内成分についても大きく変化していることが考えられるため、それらの成分に関する 係数を、無条件にパラメータとするようにしても良い。このように、係数によっては、そ の係数の変化が、他の係数の変化との関連性が深いものもあるため、その関連性を 利用すれば、モデルのパラメータの最適化をさらに効率の良いものにすることができ る。
[0191] また、上記実施形態では、事前知識として記憶装置 47に記憶された係数の値の平 均値を、その係数の値として設定したが、これには限定されず、過去に得られたその 係数での幾つ力パラメータの値の変化量(ローノ ス処理等で平滑ィ匕されて 、るのが 望ま 、)などから、今回処理対象となって!/、るウェハでの係数の値を予想するように しても良い。
[0192] また、上記実施形態では、 h個のウェハマークを全て用いて、 EGAモデル式の係 数を求めたが、 h個のウェハマークのうち、その位置が、ショット配列モデルに対し著 しくずれているみなせるものに対しては、そのマークの実測値を、サンプル結果からリ ジェタトするようにしても良い。しかしながら、リジェクト後でも、ウェハマークの有効サ
ンプル数は、モデルのパラメータの自由度よりも大きくなければならないことはいうま でもない。実測値をリジェクトする方法としては、種々の方法を適用することができる 力 上記 AICを用いた方法も適用することができる。また、計測値を完全にリジェクト せずに、各計測値の正常値の分布を示す確率密度分布関数や異常値の分布を示 す確率密度分布関数の線形結合から成る混合分布モデルを考慮して、各計測値の 正常度、異常度を考慮しつつ、上記最適化を実行するようにしても良い。
[0193] まだ、上記実施形態では、モデル Mとモデル M'との 、ずれを選択するかは、上記 規準 (ペナルティ付き対数尤度)により判断した。この規準による判定は、統計的な妥 当性に基づく判定であるといえる力 ウェハァライメントにおいて最も重要な点は、ァ ライメント精度をできるだけ良好に、すなわち残差をできるだけ小さくするというのが最 終目的である。そこで、例えば、モデル M,が選択された場合でも、そのモデル M,で の評価関数 Eの値に閾値を設定し、 Eがその値よりも大きい場合には、さらに、サンプ ルショットのウェハマークの追加計測を行って、モデル Mとモデル M,とを比較し直す ようにしても良ぐモデル Mやモデル M'とは異なる新たなモデルを設定し、新たなモ デルでのペナルティ付き対数尤度による評価、残差の判定を行うようにしても良 ヽ。
[0194] また、上記実施形態では、パラメータの自由度が異なるモデルの中から、各モデル のペナルティ付き対数尤度に基づいて、最適なモデルを選択した力 これには限定 されず。モデルの各係数の値を、ペナルティ付き対数尤度の比によって重み付け平 均して得られる値を、そのモデル式の係数の値として推定するようにしても良い。例え ば、上記モデル Mのある係数のパラメータの値とモデル M,でのその係数の事前知 識に基づく値とを、 AIC (M)と AIC (Μ' )との逆数の比で重み付け平均することにより 得られる値を、その係数の値とすることができる。すなわち、この場合、この係数の値 は、事前知識に基づく値を、今回のサンプルショットのウェハマークの計測値に基づ いて修正したものとみなすことができる。また、この重み付け平均により求められた係 数の値を用いたときのモデル式での残差 Εをさらに求めて、そのモデルでの AICを算 出し、モデル Μ,の AIC (M,)又はモデル Μの AIC (M)と比較し、 3つのモデルの中 で最良なモデルを選択するようにしても良い。なお、上記重み付けを行う場合、ゥェ ハ毎のパラメータの急峻な変化に対応するためには、ノ ラメータの増加に対するぺ
ナルティの変化が小さい規準を用いるのが望ましい。その点では、 BICよりも AICを 用いる方が良い。
[0195] また、上記実施形態では、 EGA方式のモデル式の係数を a. — e.に分類したが、 これには限られない。例えば、プロセス毎に推定、変更する係数、製品の種類毎に推 定、変更する係数、または定期的に推定、変更する係数など、種々のカテゴリに分類 することができる。また、同じカテゴリに分類されたパラメータ同士にも優先順位を設 け、その順番で、徐々にパラメータの自由度を増減させるようにしても良い。また、 EG A方式のモデル式の係数を特に分類せず、すべての係数に対し優先順位を付与し 、その順番に従って、パラメータの自由度を増減させるようにしても良いことは勿論で ある。なお、この優先順位を定めるにあたっては、やはりその係数が高次成分のもの まで含まれる場合には、高次になればなるほど優先順位を下げる(事前知識のものを 用いやす 1、ように設定する)のが望ま 、。
[0196] また、本発明は、評価されるモデルのパラメータの自由度に応じた適切な有効サン プル数でサンプルショットのウェハマークを計測するものである力 上記実施形態で は、パラメータの自由度が異なる複数のモデルについて、それぞれのパラメータの自 由度に応じた有効サンプル数に基づくサンプルショットのウェハマークの数及び配置 が予め求められており、記憶装置 47に記憶されているものとし、最も尤もらしいモデ ルが選択されると、そのモデルのパラメータの自由度に応じた適切な有効サンプル 数を満たすサンプルショットのウェハマークの数及び配置に関する情報を記憶装置 4 7から読み取って、その読み取った内容をメモリ上に書き込むことにより、メモリ上のサ ンプル情報を更新するものとした。
[0197] 所定の有効サンプル数に基づくウェハマークの数及び配置に関する情報の作成 方法としては、種々の方法を採用することが可能である。例えば、上記実施形態のよ うに、図 2に示されるようなウェハでは、ウェハマークは 4N個存在する。この 4N個の ウェハマークの中から、 h個のウェハマークを選ぶときの組合せは C通りある。そこ
4N h
で、その組合せ各々について全ショット領域の重ね合わせ誤差の期待値及び標本分 散を推定し、その推定値が良好 (最小)であった組合せを、その有効サンプル数での サンプルショットの数及び配置とするようにしても良い。なお、この全ショット領域の重
ね合わせ誤差の期待値及び標本分散は、選択されたモデルでの各係数の最尤推定 値を求める必要がある力 モデルの各係数の最尤推定値は、そのウェハマークの設 計位置と、経験的に求められている、そのウェハマークでの設計位置と実測位置との 差分の誤差分布の標準偏差とを用いて、最小二乗法での評価関数を最小とする条 件式に基づ 、て作成される、 V、わゆる正規方程式から求めることができる。
[0198] 上記実施形態では、露光動作を行う前に、サンプルショットの数及び配置を上記方 法などで求めておくとした力 上記露光動作中のサブルーチン 309において、上記 最尤推定方法を実施して、サンプルショットの数及び配置の最適化をリアルタイムに 行うようにしても良い。
[0199] また、上記実施形態では、ァライメント検出系 ASとして、 FIA方式のァライメントセン サを用いたが、前述したように、レーザ光をウェハ W上の点列状のァライメントマーク に照射し、そのマークにより回折又は散乱された光を用いてマーク位置を検出する L S A (Laser Step Alignment)方式のァライメントセンサや、そのァライメントセンサと上 記 FIA方式とを適宜組み合わせたァライメントセンサにも本発明を適用することは可 能である。また、例えばコヒーレントな検出光を被検面のマークに照射し、そのマーク から発生する 2つの回折光 (例えば同次数)を干渉させて検出するァライメントセンサ を、単独で、あるいは上記 FIA方式、 LSA方式などと適宜組み合わせたァライメント センサに本発明を適用することは勿論可能である。
[0200] なお、ァライメント検出系はオン.ァクシス方式(例えば TTL (Through The Lens)方 式など)でも良い。また、ァライメント検出系は、ァライメント検出系の検出視野内にァ ライメントマークをほぼ静止させた状態でその検出を行うものに限られるものではなく 、ァライメント検出系力 照射される検出光とァライメントマークとを相対移動させる方 式であっても良い(例えば前述の LSA系や、ホモダイン LIA系など)。かかる検出光 とァライメントマークとを相対移動させる方式の場合には、その相対移動方向を、前述 の各ァライメントマークを検出する際のウェハステージ WSTの移動方向と同一方向と することが望ましい。
[0201] また、上記実施形態では、本発明がステップ'アンド'スキャン方式の走査型露光装 置に適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されない
のは勿論である。すなわち、ステップ'アンド'リピート方式、ステップ'アンド'ステイツ チ方式、ミラープロジェクシヨン'ァライナー、及びフォトリピータなどにも好適に適用 することができる。さらに、投影光学系 PLは、屈折系、反射屈折系、及び反射系のい ずれでもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。この他、例えば国 際公開 WO99Z49504号などに開示される、投影光学系 PLとウェハとの間に液体 が満たされる液浸型露光装置などにも本発明を適用しても良い。
[0202] さらに、本発明が適用される露光装置の光源は、 KrFエキシマレーザや ArFエキシ マレーザ、 Fレーザとした力 他の真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。
2
この他、露光用照明光として、例えば、 DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから 発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はェ ルビゥムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形 光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
[0203] なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系、並びにァライメント検 出系 ASを露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品か らなるレチクルステージやウェハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管 を接続し、更に総合調整 (電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態 の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度 等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
[0204] なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むデ イスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光 装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウェハ上に 転写する露光装置、撮像素子 (CCDなど)、有機 EL、マイクロマシン及び DNAチッ プなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素 子などのマイクロデバイスだけでなぐ光露光装置、 EUV露光装置、 X線露光装置、 及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス 基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用 することができる。ここで、 DUV (遠紫外)光や VUV (真空紫外)光などを用いる露光 装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フ
ッ素がドープされた石英ガラス、ホタル石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用い られる。また、プロキシミティ方式の X線露光装置、又は電子線露光装置などでは透 過型マスク (ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリ コンウェハなどが用いられる。
[0205] また、本発明に係る位置検出方法は、露光装置に限らず、物体に形成されている 何らかの複数のマークの中から、幾つかのマークを選択して検出する必要がある装 置であれば、適用が可能である。
[0206] 《デバイス製造方法》
次に、上述した露光装置 100をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の 実施形態について説明する。
[0207] 図 6には、デバイス (ICや LSI等の半導体チップ、液晶パネル、 CCD,薄膜磁気へ ッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図 6に示されるよう に、まず、ステップ 601 (設計ステップ)において、デバイスの機能 ·性能設計 (例えば 、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計 を行う。引き続き、ステップ 602 (マスク製作ステップ)において、設計した回路パター ンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ 603 (ウェハ製造ステップ)において、 シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
[0208] 次に、ステップ 604 (ウェハ処理ステップ)において、ステップ 601—ステップ 603で 用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってゥェ ハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ 605 (デバイス組立てステップ)に おいて、ステップ 604で処理されたウェハを用いてデバイス組立てを行う。このステツ プ 605には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程 (チップ封 入)等の工程が必要に応じて含まれる。
[0209] 最後に、ステップ 606 (検査ステップ)にお 、て、ステップ 605で作成されたデバイス の動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完 成し、これが出荷される。
[0210] 図 7には、半導体デバイスにおける、上記ステップ 604の詳細なフロー例が示され ている。図 7において、ステップ 611 (酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化
させる。ステップ 612 (CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ス テツプ 613 (電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する 。ステップ 614 (イオン打ち込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以 上のステップ 611—ステップ 614それぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を 構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
[0211] ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のように して後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ 615 (レジスト形 成ステップ)において、ウエノ、に感光剤を塗布する。引き続き、ステップ 616 (露光ス テツプ)において、上記実施形態の露光装置 100を用いてマスクの回路パターンをゥ ェハに転写する。次に、ステップ 617 (現像ステップ)においては露光されたウェハを 現像し、ステップ 618 (エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以 外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ 619 (レジスト除去 ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
[0212] これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重に 回路パターンが形成される。
[0213] 以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程 (ステップ 61 6)において上記実施形態の位置検出方法が適用可能な露光装置 100が用いられ るので、高精度な露光を実現することができる。この結果、より高集積度のデバイスの 生産することが可能になる。
産業上の利用可能性
[0214] 本発明の位置検出方法及び装置は、物体の位置合わせをするための位置情報の 検出に適している。また、本発明の露光装置及び方法は、半導体素子、液晶表示素 子等を製造するためのリソグラフイエ程に適している。また、本発明のデバイス製造方 法は、マイクロデバイスの生産に適している。