JP2006135281A - 推定方法、露光方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハグリッドを高精度に推定する。
【解決手段】サブルーチン201では、ウエハW上に位置ずれ計測用マークを含むパターンをマトリクス状に転写してショット領域の配列(ウエハグリッド)を形成する。そして、サブルーチン203では、ウエハW上に形成されたショット領域について、隣接するショット領域との相対的位置ずれに関する情報を取得し、さらに、サブルーチン205では、隣接するショット領域との相対的位置ずれに関する情報を用いたベクトル探索法や、山登り法、遺伝的アルゴリズム、シンプレックス法等により、ウエハグリッドを推定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、推定方法、露光方法及びプログラムに係り、さらに詳しくは、露光装置により物体上に順次形成される複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報を推定する推定方法、該推定方法を用いた露光方法及び露光装置により物体上に順次形成される複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報をコンピュータに推定させるプログラムに関する。
従来より、半導体素子(集積回路)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスクステージ(レチクルステージ)に保持されたマスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)のパターンの像を、投影光学系を介して、物体ステージ上に保持されレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の感光性の基板(以下、「基板」又は「ウエハ」と呼ぶ)上の各ショット領域に転写する投影露光装置が使用されている。この種の投影露光装置としては、従来、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)が多用されていたが、最近ではレチクルとウエハとを同期走査しつつ露光を行うステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)も注目されている。
かかる投影露光装置では、マスクに形成された回路パターンをウエハ上にマトリクス状に転写していき、ウエハ上にショット領域の配列(以下、「ウエハグリッド」ともいう)を形成していくのが通常であるが、そのウエハグリッドの形成精度(すなわち設計上の理想的なウエハグリッドと実際のウエハグリッドとのずれ)は、パターン転写時のウエハ及びマスクをそれぞれ保持する両ステージの相対位置の制御性能に依存したものとなる。例えば、各ステージの位置情報を計測する干渉計の測長ビームを反射するためステージ上に延設された移動鏡(平面鏡)の微小な歪み(いわゆる移動鏡曲がり)などにより、設計上のショット領域の転写位置に両ステージをそれぞれ移動させたつもりでも、実際の両ステージの移動先の位置が所望の位置と異なる場合には、両ステージの相対位置がずれ、その回路パターンの転写位置が、設計位置からずれるようになる。
このような両ステージの相対位置の制御などに起因して生ずるウエハグリッドの歪み等を回避すべく、様々な方法が試みられている。例えば、ステージを移動鏡の延設方向に沿って移動させながらステージに保持された基板上に所定パターンを順次転写していき、基板上に形成された所定パターン像の位置ずれ量から移動鏡曲がりを検出して補正する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された、露光結果から移動鏡の曲がりを検出する方法は、移動鏡の曲がりを検出して補正する方法としては有効ではあるものの、同一のX座標に位置するショット領域のY方向の位置ずれ量はすべて同じ量であるとして補正され、同様に、同一のY座標に位置するショット領域のX方向の位置ずれ量はすべて同じ量であるとして補正されるため、必ずしもウエハ上に2次元で配列されたショット領域の個々について最適な補正が行われているわけではない。また、特許文献1に開示された方法では、隣接するショット領域の計測マークの位置ずれ量を計測し、その計測結果をショット領域の配列の行方向及び列方向に積算して移動鏡曲がり量を検出しているが、計測結果には、計測誤差などが含まれるのが常であり、そのような位置ずれ量を積算していけば、位置ずれ量に含まれる誤差も積算されていくこととなり、算出される積算結果、すなわち移動鏡曲がり量に含まれる誤差が増大してしまうことも考えられる。
特開平8−227839号公報
上記事情の下になされた本発明は、第1の観点からすると、露光装置(100)により物体(W)上に順次形成される複数の区画領域の配列形状を推定する推定方法であって、前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域について、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1工程と;前記第1工程において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定する第2工程と;を含む第1の推定方法である。
これによれば、計測誤差が積算される、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報の積算結果などから区画領域の配列形状を求めるのではなく、所定の最適化手法を用いてその配列形状を推定するので、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち最も誤差が小さい)区画領域の配列形状を高精度に求めることができる。
ここで、本明細書において、「配列形状」とは、複数の区画領域の配列の形状を意味し、例えば複数の区画領域がマトリクス状に転写されている場合には、その配列形状は、格子状となる。しかし、この形状は、格子状に限られるものではない。
本発明は、第2の観点からすると、露光装置(100)により物体(W)上に所定の配列で形成された複数の区画領域各々の位置情報を推定する推定方法であって、前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域の配列において、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1工程と;前記第1工程において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定する第2工程と;を含む第2の推定方法である。
これによれば、計測誤差が積算される、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報の積算結果などから各区画領域の位置情報を求めるのではなく、所定の最適化手法を用いて各々の位置情報を推定するので、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち最も誤差が小さい)区画領域の位置情報を高精度に求めることができる。
ここで、本明細書において、「位置情報」とは、位置及び回転に関する情報を意味する。したがって、複数の区画領域各々の位置情報とは、個々の区画領域の位置座標だけでなくその回転(向き)に関する情報をも含む。
本発明は、第3の観点からすると、2次元移動可能な移動体(WST)上に物体(W)を露光してマスク(R)に形成されたパターンを前記物体に転写する露光装置(100)を用いて、前記物体上に前記パターンを含む区画領域を複数形成する露光方法であって、前記区画領域を所定の配列に従って前記物体上に順次形成する工程と;本発明の第1、第2の推定方法を用いて、前記物体上に転写形成された複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報を推定する工程と;前記推定の結果に基づいて、前記移動体に保持された物体と、前記マスクとの相対的位置関係を調整し、前記パターンを前記物体に順次転写し区画領域に形成する工程と;を含む露光方法である。かかる場合には、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち最も誤差が小さい)区画領域の配列形状又は個々の区画領域の位置情報に基づいて、物体を保持する移動体の位置を調整しつつ露光を行うため、高精度な露光を実現することができる。
本発明は、第4の観点からすると、露光装置(100)により物体(W)上に順次形成される複数の区画領域の配列形状をコンピュータに推定させるプログラムであって、前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域について、隣接する区画領域との相対的位置ずれに関する情報を取得する第1手順と;前記第1手順において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定する第2手順と;をコンピュータに実行させる第1のプログラムである。
これによれば、コンピュータにより、計測誤差が積算される、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報の積算結果などからその区画領域の配列形状を求めるのではなく、所定の最適化手法を用いてその配列形状を推定するので、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち誤差が最も小さい)配列形状を高精度に推定することができる。
本発明は、第5の観点からすると、露光装置により物体上に所定の配列で形成された複数の区画領域各々の位置情報をコンピュータに推定させるプログラムであって、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1手順と;前記第1手順において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定する第2手順と;をコンピュータに実行させる第2のプログラムである。
これによれば、コンピュータにより、計測誤差が積算される、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報の積算結果などから個々の区画領域の位置情報を求めるのではなく、所定の最適化手法を用いてその区画領域の位置情報を推定するので、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち誤差が最も小さい)区画領域の位置情報を高精度に推定することができる。
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図15を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の推定方法、露光方法が適用される第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置である。
この露光装置100は、照明系10、レチクルRが載置されるレチクルステージRST、投影光学系PL、物体としてのウエハWが搭載されるウエハステージWST、アライメント検出系AS及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。
前記照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号)などに開示されるように、光源、オプティカル・インテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、可変視野絞り(レチクルブラインド又はマスキング・ブレードとも呼ばれる)及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。オプティカル・インテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子などが用いられる。
この照明系10では、主制御装置20の指示の下、回路パターン等が描かれたレチクルR上で、レチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域(X軸方向に細長い長方形状の照明領域)を照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)などの遠紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする不図示のレチクルステージ駆動部によって、照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定方向(ここでは図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に、設定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTでは、例えば−X側側面及び+Y側側面に、移動鏡等から成る反射面が形成されており、レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置は、その反射面にレーザ光を照射するレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されている。ここで、実際には、レチクルX干渉計とレチクルY干渉計とが設けられているが、図1ではこれらが代表的にレチクル干渉計16として示されている。そして、レチクルY干渉計とレチクルX干渉計の少なくとも一方、例えばレチクルY干渉計は、測長軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計の計測値に基づきレチクルステージRSTのY位置に加え、θz方向(Z軸回りの回転方向)の回転量(ヨーイング量)も計測できるようになっている。ここでは、レチクルY干渉計を2軸干渉計とする。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報(ヨーイング量などの回転情報を含む)は、ステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示に応じて、レチクルステージRSTの位置情報に基づいて不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを駆動制御することにより、レチクルステージRST上に保持されたレチクルRの位置を制御する。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、両側テレセントリックで所定の縮小倍率Mβ(例えば1/5又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明領域に対応する部分のパターンの縮小像(部分倒立像)が投影光学系PLを介してウエハW上の前記照明領域に共役な投影光学系PLの視野内の投影領域(以下、「露光領域」ともいう)に投影され、ウエハWの表面のレジスト層に転写される。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置されており、リニアモータ及びエンコーダが付設されたアクチュエータ等から成るウエハステージ駆動部24により、X、Y、Z、θz(Z軸回りの回転方向)、θx(X軸回りの回転方向)及びθy(Y軸回りの回転方向)の6自由度方向に駆動可能な単一のステージである。このウエハステージWST上には不図示のウエハホルダが載置されており、このウエハホルダ上に例えば真空吸着等によってウエハWが固定されている。
ウエハステージWSTには、レーザ光を反射するX軸方向及びY軸方向に面した移動鏡等から成る反射面が形成されており、前記ウエハステージWSTの位置は、その反射面にレーザ光を照射する、外部に配置されたウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18により、例えば、0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されている。なお、実際には、X軸方向に測長軸を有する干渉計及びY軸方向に測長軸を有する干渉計が設けられているが、図1ではこれらが代表的にウエハ干渉計18として示されている。それらの干渉計は、測長軸を複数有する多軸干渉計で構成され、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示に応じて、ウエハステージWSTの位置情報に基づいてウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを駆動制御することにより、ウエハステージWST上に保持されたウエハWの位置を制御する。
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面とほぼ同じ高さに設定され、この表面には少なくとも一対のレチクルアライメント用基準マーク及びアライメント検出系ASのベースライン計測用の基準マーク等が形成されている。
前記アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置された、オフアクシス方式のアライメントセンサである。このアライメント検出系ASとしては、例えばウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(アライメント検出系AS内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD)等を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系のセンサが用いられている。なお、アライメント検出系ASのアライメントセンサとしては、FIA系に限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出する、あるいはその対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数の回折光、あるいは同方向に回折する回折光)を干渉させて検出するアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。このアライメント検出系ASの撮像結果は、主制御装置20へ出力されている。
制御系は、図1中、主制御装置20及びこの配下にあるステージ制御装置19などによって主に構成される。主制御装置20は、いずれも不図示のCPU(中央演算処理装置)、メインメモリ等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、装置全体を統括して制御する。
主制御装置20には、例えばハードディスクから成る記憶装置、キーボード,マウス等のポインティングデバイス等を含んで構成される入力装置及びCRTディスプレイ(又は液晶ディスプレイ)等の表示装置(いずれも図示省略)、並びにCD(compact disc),DVD(digital versatile disc),MO(magneto-optical disc)あるいはFD(flexible disc)等の情報記録媒体のドライブ装置(不図示)が、外付けで接続されている。ドライブ装置にセットされた情報記録媒体(以下では、CDであるものとする)には、後述するフローチャートで示される計測動作及び露光動作時の処理アルゴリズムに対応するプログラム(以下、便宜上、「特定プログラム」と呼ぶ)、その他のプログラム、並びにこれらのプログラムに付属するデータベースなどが記録されている。
ステージ制御装置19は、上記特定プログラムが実行されることにより出力される主制御装置20からの指示に応じて、レチクルステージ駆動部(不図示)及びウエハステージ駆動部24を介して、例えば、走査露光中のレチクルRとウエハWの同期走査や、ウエハWの移動(ステッピング)等を行っている。
さらに、本第1の実施形態の露光装置100は、投影光学系PLの最良結像面に向けて複数のスリット像を形成するための結像光束を光軸AX方向に対して斜め方向より供給する不図示の照射系と、その結像光束のウエハWの表面での各反射光束を、それぞれスリットを介して受光する不図示の受光系とから成る斜入射方式の多点フォーカス検出系を備えている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平6−283403号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられ、この多点フォーカス検出系の出力が主制御装置20に供給されている。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示の下、この多点フォーカス検出系によって検出されるウエハWの面位置情報に基づいて、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTをZ方向及び傾斜方向に駆動する。
そして、露光装置100では、レチクルステージRSTに対し、ウエハステージWSTをX軸方向及びY軸方向に相対的にステッピング移動させて、かつ、露光中は両ステージをY軸方向に所定の速度比でスキャンさせつつ、ウエハW上に、レチクルRの回路パターンをマトリクス状に転写することにより、ウエハW上に複数のショット領域の配列を形成する。
ショット領域の配列形状は、両ステージRST、WSTの相対的な位置制御特性に大きく左右される。したがって、その特性によっては、ショット領域の配列形状は、例えば理想格子状の設計上の配列形状に対してずれてしまうようになる。このようなショット領域の配列形状のずれ(歪み)を前もって計測するため、本第1の実施形態では、実際の走査露光に先立って、所定のレチクル(後述する計測用レチクルRT)を、図1のレチクルRに代えてレチクルステージRST上にロードして露光を行い、ウエハ上に転写された露光結果(焼付結果)を計測する。そして、その計測の結果に基づいて、ウエハステージWST又はレチクルステージRSTの相対位置制御を行いつつ実際の露光を行う。
上記構成を有する露光装置100における計測動作及び露光動作について説明する。図2〜図9には、主制御装置20内のCPUによって実行される上記特定プログラムの処理アルゴリズムを示すフローチャートが示されている。前提として、この特定プログラムは、上記ドライブ装置にセットされた情報記録媒体から読み出され、メインメモリに格納されているものとする。
図2に示されるように、まず、焼付けのサブルーチン201を行う。このサブルーチン201では、図10に示される計測用レチクルRT上のパターンを、Wmax枚のウエハWに所定のショットマップに従ってマトリクス状に転写する。図10には、この計測用レチクルRTの一例が示されている。図10においては、計測用レチクルRTが、レチクルステージRSTに保持されている状態で、斜線で示されるパターン領域PAを−Z側から見たときの様子が示されている。この図10では、レチクルの中心、すなわちレチクルセンタRCを通過しX軸に対応するレチクルRT上の軸をXRTとし、レチクルセンタRCを通過しY軸に対応するレチクルRT上の軸をYRTとしている。この計測用レチクルRTのパターン領域PA内に、レチクルセンタRCを中心とし、XRT軸方向に長手方向を有する方形状の領域IRが示されている(図10では破線で囲まれている)。この領域IRは、照明系10からの照明光ILにより照明される照明領域に相当する。この領域IR内においては、XRT軸上の−XRT側端部にマークMr1が形成されており、YRT軸上の−YRT側端部にマークMr2が形成されており、XRT軸上の+XRT側端部にマークMr3が形成されており、YRT軸上の+YRT側端部にマークMr4が形成されている。
マークMr1とマークMr3とは、YRT軸に関してほぼ線対称な位置に形成されており、それらの間隔は、Lx・Mβとなっている。Mβは、前述のように投影光学系PLの投影倍率である。したがって、ウエハW上に形成されるマークMr1の像(以下、これをマーク像Mr1とする)と、マークMr3の像(以下、これをマーク像Mr3とする)とのX軸方向の間隔はLxとなる。また、マークMr2とマークMr4とは、XRT軸に関してほぼ線対称な位置に形成されており、それらの間隔は、Ly・Mβとなっている。したがって、ウエハW上に形成されるマークMr2の像(以下、これをマーク像Mr2とする)と、マークMr4の像(以下、これをマーク像Mr4とする)とのY軸方向の間隔はLyとなる。また、マークMr1〜Mr4は、図10では、1本のラインパターンとして示されているが、その像のXY平面内の位置を検出可能なマークであれば任意の形状のマークとすることができる。また、パターン領域PAが遮光部である場合には、マークMr1〜Mr4が光透過部となるが、その逆であっても良く、これにより、ウエハW上に塗布されるフォトレジストとして、ポジ型が用いられるかネガ型が用いられるかが決定される。
なお、この計測レチクルRTでは、パターン領域PA上の領域IR内に設けられたマークは、マークMr1〜Mr4の4つのみであるが、これには限られない。領域IRの外周に、沿って、例えば等間隔で、マークMr1〜Mr4と同様のマークが設けられていても良い。ただし、それらのマークは、マークMr1とマークMr3との関係(すなわちX軸方向の間隔がLxであること)あるいはマークMr2とマークMr4との関係(すなわちY軸方向の間隔がLyであること)と同等の関係がある他のマークが領域IR内にそれぞれ必ず存在するように配置されるものとする。
このサブルーチン201では、まず、図3に示されるように、ステップ301において、予め不図示の記憶装置に格納されているショットマップを取得する。ショットマップとは、ウエハW上に形成すべき、ショット領域のサイズ、設計上の位置座標、配列に関する情報などを含む、ウエハW上におけるショット領域のロケーションに関する情報(すなわちマップ)である。以下のサブルーチン201における焼付けは、このショットマップにしたがって行われる。
図11には、ショットマップの一例が示されている。露光装置100は、走査型露光装置であるが、サブルーチン201での焼付けは、後述するように、両ステージWST、RSTを静止させたままで行う。図11に示されるように、このショットマップにおいては、X軸方向を長手方向とするN個の方形のショット領域Cj(j=1〜N)が、XY平面内の互いに直交する2つの軸、すなわちX軸及びY軸に沿って所定間隔でマトリクス状に配置されている。このショット領域Cjは方形状の領域であり、レチクルステージRSTは、図10の計測用レチクルRTの領域IRを照明領域に合致させた状態で静止しているので、各ショット領域Cjには、それぞれ領域IR内のパターンが転写されるようになる。N個のショット領域Cj(j=1〜N)に関し、それらのX軸方向の間隔は、ウエハW上に転写されるマーク像Mr1、Mr3間の間隔Lxと等しくなるように規定されており、Y軸方向の間隔は、ウエハW上に転写されるマーク像Mr2、Mr4間の間隔Lyと等しくなるように規定されている。
図3に戻り、次のステップ303では、不図示のレチクルローダを用いて計測用レチクルRTをレチクルステージRST上にロードし、ステップ305では、不図示のウエハローダを用いて、1枚目のウエハWを、ウエハステージWST上にロードする。そして、ステップ307では、レチクルステージRSTの位置を、領域IRと前記照明領域とが合致するように調整し、ショットマップにしたがって、ウエハステージWSTをステッピング移動させつつ、両ステージRST、WSTを静止させたままで、ウエハW上にN個のショット領域Cjを転写する。このように、露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置ではあるが、ここでの焼付けは、スキャン動作中の両ステージRST、WSTの動特性の影響を排除するために、一括静止露光方式で行われる。
図12には、このステップ307において、ウエハW上に転写されたショット領域Cjの一部が模式的に示されている。図12では、ウエハW上のショット領域Cjが、ショットマップで指定された設計位置に転写されているように示されている。ショットマップでは、隣接するショット領域CjのX軸方向、Y軸方向の間隔がLx,Lyとなるように規定されており、マーク像Mr1,Mr3の間隔、マーク像Mr2,Mr4の間隔も、Lx,Lyとなるように規定されているため、図12に示されるように、各ショット領域Cjが設計通りに転写された場合には、そのショット領域Cjの4辺で、隣接するショット領域の一部が重なるようになり、互いの領域の各マーク像(Mr1とMr3、Mr2とMr4)が重なるようになる。これは、計測レチクルRT上に他のマークが形成されている場合でも同じであり、各ショット領域Cjのマーク像は、隣接するショット領域のマーク像と重なるようになる。
次のステップ309では、N個のショット領域Cjの転写が終了したウエハWを、ウエハステージWSTからアンロードし、ステップ311では、予定枚数(Wmax枚)の露光が完了したか否かを判断する。この判断が否定されればステップ305に戻り、肯定されればサブルーチン201を終了して、図2のマーク計測のサブルーチン203に進む。ここでは、まだ1枚目のウエハWに対する露光が完了しただけなので、判断は否定され、ステップ305に戻る。なお、アンロードされたウエハWは、その後、例えば露光装置100にインライン接続された不図示のコータ/デベロッパ(C/D)に搬送され、現像される。
以降、2枚目からWmax枚目のウエハWに対して、図11に示されるショットマップにしたがって、ショット領域Cjの転写が行われ、ステップ311における判断が肯定されるまで、ステップ305→ステップ307→ステップ309→ステップ311の処理・判断を繰り返す。ステップ311における判断が肯定された場合には、図2のマーク計測のサブルーチン203に進む。
サブルーチン203では、図4に示されるように、まず、ステップ401において、計測対象のウエハの番号(ウエハ番号)を示すカウンタwの値(以下、「カウンタ値w」と呼ぶ)を1に初期化する。次のステップ403では、現像が終了した1枚目(ウエハ番号w(ここでは1))のウエハWをウエハステージWST上にロードする。次のステップ405では、ショット領域の番号(ショット番号)を示すカウンタjの値(以下、「カウンタ値j」と呼ぶ)を1に初期化する。
次のステップ407では、そのショット領域Cj内に計測すべき計測点が有るか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ409に進み、判断が否定されればステップ419に進む。図13(A)には、ショット領域C1〜CNのうちのいずれか1つのショット領域が、ショット領域Cjとして代表的に示されており、そのショット領域Cjに隣接する4つのショット領域が、それぞれショット領域Cmk(mk=1〜N、ただしmk≠j)として斜線で示されている。
また、図13(A)には、ウエハW上にマトリクス状に転写されたショット領域Cjの計測点wl j(w=1,2,3,…,Wmax、l=1,2,3,…,L、j=1,2,3,…,N)としての計測点wl jw2 jが示されている。ショット領域Cjには、マーク像Mr1〜Mr4が形成されているが、本第1の実施形態では、ショット領域Cjのマーク像Mr1に対応する計測点を計測点wl jとし、ショット領域Cjのマーク像Mr2に対応する計測点を計測点w2 jとして規定する。また、本第1の実施形態では、同じ計測点での重複計測を防ぐべく、ショット領域Cjのマーク像Mr3,Mr4にそれぞれ対応する計測点については、ショット領域Cjの計測点とは規定せずに、そのショット領域Cjに隣接する−X側及び−Y側のショット領域Cmkの計測点であるものとし、ショット領域Cjの計測点ではないものとする。したがって、これらの計測点での計測は、j=mkとなった場合、すなわちショット領域Cmkが計測対象となった場合に行われるものとする。すなわちショット領域Cjにおける計測点は、+X側、+Y側に隣接するショット領域Cmkとの重複部分での計測点となる。
なお、上述のように規定すると、例えばショット領域Cjの中には、計測すべき計測点が存在しないショット領域も存在するようになるので(+X側、+Y側に隣接するショット領域を有しないショット領域Cj)、カウンタ値jが、そのようなショット領域を指している場合には、ステップ407における判断が否定され、ステップ419に進む。ここでは、ショット領域Cjに計測点が存在し、判断が肯定されステップ409に進むものとして話を進める。
ステップ409では、カウンタlの値(以下、「カウンタ値l」と呼ぶ)を1に初期化する。このカウンタ値lは、そのショット領域Cjにおいて計測された計測点の数を意味する。次のステップ411では、ショット領域Cjの計測点wl jにおいて、そのショット領域Cjのマーク像と、隣接するショット領域Cjのマーク像との位置ずれ量を計測する。ここでは、w=1、j=1、l=1なので、1枚目のウエハW上に形成されたショット領域C1の計測点11 1において、ショット領域C1のマーク像Mr1と、隣接ショット領域Cmk(mkは、ショット領域C1の+X側の隣接ショット領域のショット番号)のマーク像Mr3との位置ずれ量を計測する。
図13(B)には、ショット領域Cj周辺の拡大図が示されている。図13(B)に示されるように、ショット領域Cjの計測点wl jには、ショット領域Cjのマーク像Mr1と、隣接するショット領域Cmkのマーク像Mr3とが形成されている。両ショット領域Cj、Cmkが設計どおりに転写されていた場合には、これらのマーク像Mr1、Mr3は、同一位置に転写されるようになる(すなわちマーク像Mr1とマーク像Mr3とが重なるようになる)。しかしながら、実際には、露光装置100のウエハグリッド特性(ウエハステージWST上の移動鏡曲がりなどの特性)に起因するショット領域Cjの中心位置と、隣接するショット領域Cmkの中心位置とのずれにより、それらの転写位置がX軸方向及びY軸方向にずれるようになる。図13(B)では、X軸方向の位置ずれ量を、wdxj 1とし、Y軸方向の位置ずれ量をwdyj 1として示している。このステップ411では、ショット領域Cjの計測点wl jにおけるこのような隣接するショット領域Cmkのマーク像の相対位置ずれ量を、アライメント検出系ASを用いて計測する。ここでは、j=1、l=1であるので、1枚目のウエハWのショット領域C1の計測点11 1での位置ずれ量(1dx1 11dy1 1)が計測されることとなる。
次のステップ413では、この計測結果(wl jwdxj lwdyj l)とする)からレチクル製造誤差を除去する。レチクル製造誤差が除去された計測結果は、不図示の記憶装置に格納される。このレチクル製造誤差とは、計測用レチクルRTの製造過程で含まれるマークMr1〜Mr4の設計上の位置と実際の位置との誤差のことであり、この誤差が、像面換算で計測結果wl jに含まれることとなるので、これを計測結果から除去する。このレチクル製造誤差をelとする。ここでは、w=1、j=1、l=1であり、マーク像Mr1と、マーク像Mr3との位置ずれ量が計測されているので、マーク像Mr1、Mr3の総合的(相対的)な製造誤差をそれぞれ差し引く必要がある。これらの総合的な製造誤差をe1=(ex1,ey1)とすると、ここでは、11 1−e1を算出すればよい。
なお、このようなレチクル製造誤差の除去の一般式は、次式で表される。
Figure 2006135281
ここで、同一の計測用レチクルRT上の同一の計測マークにおける製造誤差は、ショット番号j、ウエハ番号wに依存せず同一であると考えられるので、上記式(1)では、それらの番号j、wの変わりに*と表記している。ただし、ここでは、ショット領域、ウエハに依存する誤差をも除去してもよい。この場合の演算式は、次式のようになる。
Figure 2006135281
次のステップ415では、カウンタ値lを1だけインクリメントし、ステップ417では、カウンタ値lがLを越えたか否かが判断される。このLは、ショット領域Cj内での計測点の総数であり(ショット領域C1では、w1 1w2 1となり)、ここでは2となる。したがって、ここでの判断は否定され、ステップ411に戻る。このLはショット領域によって数が異なり、ショットマップに応じてショット領域毎に定められている。
ステップ411では、w=1、j=1、l=2なので、ショット領域C1の計測点12 1の位置ずれ量12 11dx1 21dy1 2)が計測される。次のステップ413では、その計測結果11 2からレチクル製造誤差e2が除去され、ステップ415でカウンタ値lが1だけインクリメントされ、ステップ417でカウンタ値lがL(=2)を越えたか否かが判断される。ここでは、l=3となっているので判断は肯定され、ステップ419に進む。ステップ419では、ショット番号jが1だけインクリメントされ、ステップ421では、ショット番号jがNを超えたか否かが判断される。ここでは、j=1なので、判断は否定され、ステップ407に戻る。
ステップ407では、ショット領域Cjに計測点wl jが有るか否かを判断する。この判断が肯定されると、ステップ409において、カウンタ値lが1に初期化され、以降のステップ407〜ステップ417の処理において、1番目のウエハWのショット領域C2の計測点1l 2(l=1〜L)での計測、レチクル製造誤差el(l=1〜L)の除去が行われる。そして、ステップ417における判断が肯定されると、ステップ419においてショット番号jが1だけインクリメントされる。そして、ステップ421における判断が否定された後、ステップ407に戻り、ステップ407〜ステップ419の処理により、ウエハWの3番目のショット領域C3の計測点1l 3での計測、レチクル製造誤差elの除去が行われ、再びステップ421に進む。このようにして、ステップ421において、ショット番号jがNを超えるまで、ショット領域C3〜CNにおける各計測点での計測及びレチクル製造誤差の除去が行われる。
すべてのショット領域での計測が終了し、ステップ421での判断が肯定されると、ステップ423に進む。ステップ423では、ウエハ番号wを1だけインクリメントし、ステップ425でウエハWをアンロードする。さらに、ステップ427では、ウエハ番号wがWmaxを超えたか否かを判断する。ここでは、まだ1枚目のウエハWの計測が終了しただけでw=2となっているので、判断は否定され、ステップ403に戻る。
以降、ステップ403〜ステップ427の処理・判断が繰り返し実行され、2枚目、3枚目…のウエハWに対してショット領域Cjの計測点での計測、レチクル製造誤差の除去が行われ、ウエハ番号wがWmaxを越えると、ステップ427における判断が肯定され、サブルーチン203を終了する。
図2に戻り、次に行われるサブルーチン205では、グリッド推定を行う。本第1の実施形態では、グリッド推定の際に用いる最適化手法として、「ベクトル探索法」、「山登り法」、「遺伝的アルゴリズム」、「シンプレックス法」のいずれか1つを適用する。露光装置100では、グリッド推定に用いる最適化手法をモード設定により選択するようになっている。ここでは、モード1が設定されていた場合には「ベクトル探索法」を行うものとし、モード2が設計されていた場合には「山登り法」を行うものとし、モード3が設定されていた場合には「遺伝的アルゴリズム」を行うものとし、モード4が設定されていた場合には「シンプレックス法」を行うものとする。
このサブルーチン205では、図5に示されるように、まず、ステップ505で、1枚目からWmax枚目のウエハWでの計測結果の平均をとる。すなわち、ウエハごとにグリッドが変わらないと仮定して、計測結果wl jについて次式を用いて、全ウエハでの計測点wl jでの計測結果の平均値(これをbl jとする)を算出する。
Figure 2006135281
次のステップ507では、モード1が設定されているか否かを判断する。この判断が肯定されれば、ベクトル探索法を行うサブルーチン509に進み、否定されればステップ511に進む。
≪ベクトル探索法≫
サブルーチン509では、「ベクトル探索法」によりウエハグリッドを推定する。以下、図6に示されるフローチャート等を用いて、この「ベクトル探索法」を用いたグリッド推定について詳細に説明する。図6に示されるように、まず、ステップ601においてベクトル探索法によるウエハグリッドの推定結果を評価するために用いられる評価関数を設定する。
ここで、このステップ601において設定される評価関数について説明する。ベクトル探索法は、例えば、図13(A)に示されるショット領域Cjと、それに隣接する4つのショット領域Cmkとの相対的な位置関係に基づいて、ショット領域Cmkの中心位置を基準とする、ショット領域Cjの中心位置の位置ずれ量を示すベクトル成分を、全てのショット領域について逐次的に推定していくことによりウエハグリッドを推定する方法である。この方法では、推定されたベクトル成分を評価するための評価関数の設定が必要となる。その評価関数としては、ショット領域Cjと、隣接するショット領域Cmkとの相対的な位置ずれ量に対応する計測結果(実測値)とその位置ずれ量の推定結果との差(推定残差)に応じて増減する値を有する関数が設定される。
ここで、ショット領域Cjと、それに隣接するショット領域Cmkとの相対的な位置ずれ量を計測するための計測点がPj個あるものとし、それらの計測点を、ショット領域Ccpの計測点番号hpの計測点bhp cpとして以下のように示す。
Figure 2006135281
hpは、ショット領域Cjとショット領域Ccpとの位置ずれ量を示すショット内計測点のうちの計測点の番号であり、1〜Lのいずれかの値をとる。また、cpは、その計測点が属するショット領域のショット番号を示す。すなわち、ショット領域Cjと、ショット領域Cmkとの位置ずれ量を計測するための計測点bhp cpは、ショット領域Ccp(Cj又はCmk)のショット内計測点であることを示しているので、cpは、j,mkのいずれかの値をとる。ベクトル探索法では、ショット領域Cjに隣接する4つのショット領域Cmkに対するショット領域Cjの相対的位置ずれのベクトル成分を推定していくので、ショット領域Cjの計測点の計測結果だけでなく、ショット領域Cmkの計測点の計測結果も用いる必要があり、計測点bhp cpに関しては、ショット領域Cjの計測点だけでなく、ショット領域Cmkの計測点である場合も含むようにすべく、ショット番号を表す添え字をjではなくcpと表現している。なお、計測点bhp cpでの計測結果を、(dxcp hp,dycp hp)と表す。
なお、pは、0〜Pjのいずれかの値をとる。Pjは、ショットマップ中のショット領域Cjのロケーションに応じてその数が変化するが、そのショット領域のショット内計測点の最大数L以上となることはない。また、隣接するショット領域Cmkの計測点であっても、その計測点が、ショット領域Cjとは無関係である場合には、Pj=0となる。
ここで、計測点bhs cpで計測されたショット領域Cjと、それに隣接するショット領域Cmkのマーク像のX軸方向、Y軸方向の位置ずれ量を(dxhs cp,dyhs cp)とする。また、ショット領域Cjの中心位置座標の設計値をCj(Xj,Yj)(j=1,2,…,N)とし、ショット領域Cjの真の中心位置座標を、以下のように規定する。
Figure 2006135281
そして、このベクトル探索法を用いたグリッド推定により推定される、ショット領域Cjの中心位置座標の推定値をC'j(X'j,Y'j)(j=1,2,……,N)とする。
また、ショット領域Cjに隣接するショット領域Cmkの中心位置座標は、以下のように規定される。
Figure 2006135281
すなわち、N個のショット領域のうちのmk番目のショット領域が、ショット領域Cjに隣接することを示す。また、ショット領域Cjに隣接するショット領域をMj個とする。Mjは、1〜4のいずれかの値となる。mkは、m1〜m4となり、m1〜m4は、1〜Nのいずれかの値となる。また、このショット領域Cmkの中心位置座標の推定値をC'mk=(X'mk,Y'mk)とする。
ショット領域Cjとショット領域Cmkとの隣接関係から推定されるショット領域Cjの中心位置座標のベクトル成分の推定値C'j(X'j,Y'j)の評価関数Fmk X(C'j,C'mk)、Fmk Y(C'j,C'mk)は、次式で表される。
Figure 2006135281
すなわち、上記式(4)は、計測点bhs cp(hs=1〜Pj)における計測結果(dxhs cp,dyhs cp)と、ショット領域Cjの中心位置座標の推定値及び設計値の差、すなわち推定誤差とを、α’乗又はβ’乗したものである。α’とβ’とには、通常は1が設定される。また、γ’は、評価関数の重みであり、これも1でよい。また、δ’は、計測点bhs cpで計測される計測結果(dxhs cp,dyhs cp)が、ショット領域Cmkのマーク像の位置から、ショット領域Cjのマーク像の位置を差し引いて得られた計測結果である場合には、+1の値をとり、計測点bhs cpで計測される計測結果(dxhs cp,dyhs cp)が、ショット領域Cjのマーク像の位置から、ショット領域Cmkのマーク像の位置を差し引いて得られた計測結果である場合には、−1の値をとる。
このサブルーチン509におけるベクトル探索法では、上記式(4)を評価関数として、ショット領域Cjの中心位置の推定を行うが、この評価関数の値を算出するには、隣接するショット領域Cmkの推定位置座標(これをC'mkとする)を設定する必要がある。そこで、本第1の実施形態では、その時点で得られているショット領域Cmkの推定位置をC'mkとして用いるものとする(その初期値は、ショット領域Cmkの中心位置の設計値を用いる)。このようにすれば、評価関数内の未知数が、ショット領域Cjの推定位置座標C'jだけとなるので、次式を満たすC'jを、その時点の評価関数を最小にする解として求めることができる。
Figure 2006135281
ただし、そのショット領域Cjについて、隣接するショット領域CmkがMj個存在する場合には、評価関数の解、すなわちショット領域Cjの推定位置座標Cj'も、Mj個算出されるようになる。この場合、本第1の実施形態では、算出されたショット領域Cjの推定位置座標C'jの平均値を、最終的な推定位置座標Cj'とすればよい。
次のステップ603では、繰り返し回数Tを1に初期化し、次のステップ605では、ショット番号jを1に初期化し、ステップ607では、隣接ショット数nを0に初期化する。
次のステップ611では、ショットUが有るか否かを判断する。ここで、ショットUとは、ショット領域Cjに隣接するショット領域Cmkのうち、ショット領域Cjの+Y側に位置するショット領域を意味する。図14には、ショット領域Cjと、隣接ショット領域Uとの関係の一例が模式的に示されている。この判断が肯定されればステップ613に進み、否定されればステップ617に進む。ステップ613では、上記式(4)で表される上記評価関数を0にする条件をあらわす次式を用いて、ショット領域Cjの推定位置座標(X*,1 j,Y*,1 j)を算出する。
Figure 2006135281
ここで、XU、YUは、ショット領域Uの現時点での推定位置座標である。この推定位置座標の初期値は、そのショット領域Uの設計上の位置座標とする。したがって、ここでは、その設計位置座標がXU,YUとして用いられる。また、Hは、ショット領域Uの設計上のY座標YUと、ショット領域Cjの設計上のY座標Yjとの差を示す。さらに、dx_BXSYj、dy_BXSYjは、ショット領域Uのマーク像の位置に対するショット領域Cjのマーク像のX軸方向及びY軸方向の位置ずれ量の計測結果であり、上述した(dxhs cp,dyhs cp)(hs=2、cp=j)がこれに対応する。図14には、この位置ずれ量を各成分とするベクトルBXSYj(dx_BXSYj、dy_BXSYj)が示されている。次のステップ615では、隣接ショット数nを1だけインクリメントする。
ステップ611で判断が否定された後、又はステップ615終了後、ステップ617では、ショットBが有るか否かを判断する。ここで、ショットBとは、ショット領域Cjに隣接するショット領域Cmkのうち、ショット領域Cjの−Y側に位置するショット領域を意味する。図14には、ショット領域Cjと、隣接ショット領域Bとの関係の一例が模式的に示されている。この判断が肯定されればステップ619に進み、否定されればステップ623に進む。ステップ619では、上記評価関数を0にする条件をあらわす次式を用いて、ショット領域Cjの推定位置座標(X*,2 j,Y*,2 j)を算出する。
Figure 2006135281
ここで、XB,YBは、ショット領域Bの推定位置座標である。また、Hは、ショット領域Bの設計上のY座標YBと、ショット領域Cjの設計上のY座標Yjとの差を示す。また、dx_BXSYB,dy_BXSYBは、ショット領域Cjのマーク像の位置に対するショット領域Uのマーク像の位置の位置ずれ量の計測結果であり、上述した(dxhs cp,dyhs cp)(hs=2、cpはショット領域Bのショット番号)がこれに対応する。図14には、この位置ずれ量のベクトルBXSYB(dx_BXSYB,dy_BXSYB)の一例が示されている。この推定位置座標XB,YBの初期値は、そのショット領域Bの設計位置座標とする。次のステップ621では、隣接ショット数nを1だけインクリメントする。
ステップ617で判断が否定された後、又はステップ621終了後、ステップ623では、ショットRが有るか否かを判断する。ここで、ショット領域Rとは、ショット領域Cjに隣接するショット領域Cmkのうち、ショット領域Cjの+X側に位置するショット領域を意味する。図14には、ショット領域Cjと、隣接ショット領域Rとの関係の一例が模式的に示されている。この判断が肯定されればステップ625に進み、否定されればステップ629に進む。ステップ625では、次式を用いて、ショット領域Cjの推定位置座標(X*,3 j,Y*,3 j)を算出する。
Figure 2006135281
ここで、XR、YRは、ショット領域Rの現時点での推定位置座標である。この推定位置座標の初期値は、そのショット領域Rの設計上の位置座標とする。また、Wは、ショット領域Rの設計上のX座標XRと、ショット領域Cjの設計上のX座標Xjとの差を示す。また、dx_SXBYj、dy_SXBYjは、ショット領域Rのマーク像の位置に対するショット領域Cjのマーク像の位置ずれ量の計測結果であり、上述した(dxhs cp,dyhs cp)(hs=1、CP=j)がこれに対応する。図14には、この位置ずれ量のベクトルSXBYj(dx_SXBYj、dy_SXBYj)の一例が示されている。次のステップ627では、隣接ショット数nを1だけインクリメントする。
ステップ623で判断が否定された後、又はステップ627終了後、ステップ629では、ショット領域Lが有るか否かを判断する。ここで、ショット領域Lとは、ショット領域Cjに隣接するショット領域Cmkのうち、ショット領域Cjの−X側に位置するショット領域を意味する。図14には、ショット領域Cjと、隣接ショット領域Lとの関係の一例が模式的に示されている。この判断が肯定されればステップ631に進み、否定されればステップ635に進む。ステップ631では、次式を用いて、ショット領域Cjの推定位置座標(X*,4 j,Y*,4 j)を算出する。
Figure 2006135281
ここで、XL、YLは、ショット領域Lの推定位置座標である。この推定位置座標の初期値としては、その設計上の位置座標が用いられる。また、Wは、ショット領域Lの設計上のX座標XLと、ショット領域Cjの設計上のX座標Xjとの差を示す。また、dx_SXBYL、dy_SXBYLは、ショット領域Lのマーク像の位置に対するショット領域Cjのマーク像の位置ずれ量の計測結果であり、上述した(dxhs cp,dyhs cp)(hs=1、CP=ショット領域Lのショット番号)がこれに対応する。図14には、この位置ずれ量を表すベクトルSXBYL(dx_SXBYL、dy_SXBYL)の一例が示されている。次のステップ633では、隣接ショット数nを1だけインクリメントする。
ステップ629で判断が否定された後、又はステップ633終了後、ステップ635において(Xj T,Yj T)を次式を用いて算出する。なお、次式においては、上記ステップ613、619、625、631で算出されなかった(X*,i j,Y*,i j)(i=1〜4)は、(0,0)に初期化されているものとする。
Figure 2006135281
次のステップ637では、ショット番号jを1だけインクリメントし、ステップ639ではjがショット数Nを超えているか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ641に進み、否定されればステップ607に戻る。ここでは、j=2なので、判断は否定され、ステップ607に戻る。
以降、ステップ639において判断が肯定されるまで、ステップ607〜ステップ639の処理・判断が繰り返し実行され、その都度、ステップ635において、ショット領域C2〜CNにおける推定位置座標(Xj T,Yj T)が順次算出される。
ショット領域C1〜CNの推定位置座標(Xj T,Yj T)算出後、jがNを越え、ステップ639における判断が肯定されると、ステップ641に進む。ステップ641では、繰り返し回数Tを1だけインクリメントし、ステップ643で、繰り返し数TがTmaxを超えたか否かを判断する。この判断が否定されればステップ645に進み、肯定されればステップ647に進む。ここでは、繰り返し数T=2なので、判断は否定され、ステップ645に進む。
次のステップ645では、今回と前回とにおけるショット領域C1〜CNの推定位置座標(Xj T,Yj T)の変動量が所定値ε以内となったか否かを判断する。この判断が否定されればステップ605に戻り、肯定されればステップ647に進む。この判断が否定されるということは、推定位置座標(Xj T,Yj T)が、真の位置座標付近に収束していないことを意味するものであり、この場合にはベクトル探索法による推定を打ち切らず、ステップ605に戻って、推定を再び行うのが望ましい。ここでは、推定位置座標の変動がεより大きく、判断が否定され、ステップ605に戻るものとして話を進める。
以降、ステップ643における判断が肯定されるまで、又は、ステップ645における判断が肯定されるまで、ステップ605〜ステップ645の処理・判断が繰り返し実行され、ショット領域C1〜CNの2〜K回目のベクトル探索によるグリッド推定が行われる。その際T番目のグリッド推定には、最新の推定位置座標(前回(T−1回)の推定位置座標(Xj T-1,Yj T-1)又はすでに求められたT回目の推定位置座標)が、上記式(6)〜式(9)に示される(XU,YU)、(XB,YB)、(XR,YR)、(XL,YL)として用いられる。このようにすれば、繰り返し回数Tが増えていくにつれて、次第に、推定結果(Xj T,Yj T)が、真のグリッド形状に逐次接近していくようになる。
ステップ643における判断が肯定された場合、又はステップ645における判断が肯定された場合には、ステップ647に進み、最終的なショット領域Cjの推定位置座標(Xj T,Yj T)を格納する。ステップ647終了後、サブルーチン509の処理を終了する。
以上述べたように、このベクトル探索法は、計測された隣接するショット領域Cjに基づいて、隣接するショット領域Cjの中心位置に対するそのショット領域Cjの中心位置を推定する処理を、所定の順番(カウンタ値jの順番)で全てのショット領域に対して行ってショット領域Cjの推定中心位置に更新していくことにより、複数のショット領域Cjの配列形状を推定する方法である。この方法では、複数のショット領域の配列形状の推定を、その推定結果と前回の推定結果との残差の変動が所定範囲ε内に収束するか、その推定回数が所定回数Tmaxに達するまで繰り返し行うことにより、複数のショット領域の配列形状の最適解を逐次探索するのである。
≪山登り法≫
一方、モード2が設定されており、図5のステップ507における判断が否定され、ステップ511における判断が肯定されると、サブルーチン513において山登り法によりウエハグリッドを推定する。以下、この山登り法について具体的に説明する。なお、この山登り法では、ウエハグリッドの各地点のX座標と、Y座標とをそれぞれ独立に推定可能であり、その推定方法は同じであるので、ここでは、説明を簡略化するため、ウエハグリッドの各地点のX座標の推定処理についてのみ説明するが、実際には、X座標の推定とともにY座標の推定も行うようにする必要がある。このY座標の推定に用いる評価関数などの式については適宜記述するものとする。また、この山登り法では、ショット領域C1〜CNのX座標を要素とするベクトルXp={X1、X2、X3、…、XNTを規定し、そのベクトルXpの最適化を図る。
サブルーチン513では、図7に示されるように、まず、ステップ701において、繰り返し数Tを1に初期化する。そして、ステップ703では、ベクトルXpを、その要素がショット領域Cjの設計上のX座標Xjから成るベクトルX0に初期化(すなわちXp←X0)する。
次のステップ705では、評価関数FX(Xp)を設定する。ここでも、図6のステップ601と同様に、ショット領域Cjと、ショット領域Cmkとの相対的位置関係を計測するための計測点がPj個あるものとし、各計測点を以下に示されるbhp jとする。この山登り法では、計測点bhp jとしては、ショット領域Cjのショット内計測点のみとすればよいので、添え字がcpではなくショット番号jとなっている。このように山登り法では、ショット領域Cj内の計測点bhp jのみで、評価関数FX(Xp)の設定を行う。
Figure 2006135281
hpは、その計測点がL個のショット内計測点のうちのhp番目の計測点であることを示す。Pjは、前述のように、ショット領域Cjによってその値が変わるが、そのショット領域Cjのショット内計測点の数Lよりも大きくなることはない。
ショット領域Cjの中心位置座標の推定値をC'j(j=1,2,3,…,N)とすると、ショット領域Cjとショット領域Cmkの隣接関係から算出される推定中心位置座標C'jのX軸方向及びY軸方向の推定残差(Fmk X(*),Fmk Y(*))は、次式のように表される。
Figure 2006135281
すなわち、上記式(11)は、計測点bhs j(hS=1〜Pj)における計測結果(dxhs j,dyhs j)と、ショット領域Cjの中心位置座標C'jの推定値(X'j,Y'j)及び設計値(Xj,Yj)の差、すなわち推定誤差との差分を、α’乗又はβ’乗したものである。α’とβ’とは、偶数をとり、通常は2が設定される。ここで、γ’は、評価関数の重みであり、様々な値を設定することができるが、通常は1でよい。また、δ’は、計測点bhs cpで計測される計測結果(dxhs j,dyhs j)が、ショット領域Cmkのマーク像の位置から、ショット領域Cjのマーク像の位置を差し引いて得られた計測結果である場合には、+1となり、計測点bhs cpで計測される計測結果(dxhs j,dyhs j)が、ショット領域Cjのマーク像の位置から、ショット領域Cmkのマーク像の位置を差し引いて得られた計測結果である場合には、−1となる。なお、上記式(11)では、ウエハグリッドのY軸方向に関する評価関数も示されている。また、隣接するショット領域が存在しても、その隣接ショット領域に対応する計測点がショット領域Cjと無関係である場合には、Pj=0に設定される。Pj=0の場合、推定残差の値は次式のように設定される。
Figure 2006135281
以上より、すべてのショット領域Cjにおける、そのショット領域Cjに隣接するショットCmkのすべての隣接関係から、推定されたウエハグリッドを評価する評価関数FX(Xp)、FY(Yp)を次式のように設定することができる。ここで、Ypは、ショット領域C1〜CNのY座標を要素とするベクトルである。
Figure 2006135281
上記式(13)に示される評価関数は、ショット領域Cjと、隣接するショット領域Cmkとの計測点が複数存在する場合の一般式である。本第1の実施形態では、隣接するショット領域Cmk毎に計測点が1つであるため、以下では、その場合の評価関数の一例について説明する。
まず、ショット領域Cjの+Y側のショット領域Uとの間の計測点における推定位置座標と、その計測値の関係は、次式のようになる。
Figure 2006135281
また、ショット領域Cjの+X側のショット領域Rとの間の計測点における推定位置座標と、計測値の関係は、次式のようになる。
Figure 2006135281
したがって、上記式(11)に対応する式を、例えば次式のように表すことができる。
Figure 2006135281
以上の式より、全てのショット領域Cjに関する評価関数を次式のように表すことができる。
Figure 2006135281
このように、山登り法における評価関数は、隣接するショット領域間の計測値と、その推定値との残差の総和に応じて値が増減する関数が用いられ、その評価関数で推定値を評価することになる。
次のステップ707では、次式を用いて、刻み幅Δxpを、算出する。
Figure 2006135281
ただし、ここでは、刻み幅Δxpが一定となるように比例定数C*を調節するようにしてもよい。また、上記式(18)における、偏微分∂FX(Xp)/∂Xjを、全微分ΔFX(Xp)/ΔXjで代用するようにしてもよい。
次のステップ709では、サブルーチン203での計測結果を用いて、評価関数F(Xp+Δxp)、F(Xp)を算出し、ステップ711では、F(Xp+Δxp)が、F(Xp)より小さいか否かを判断する。この判断が肯定されれば、ステップ713に進み、否定されればステップ721に進む。ステップ713では、Xpを、Xp+Δxpに更新し、ステップ715では、繰り返し数Tを1だけインクリメントする。
ステップ711で判断が否定された後、ステップ721では、刻み幅Δxpを、半分にする、2倍にするなどして調整しつつ、再びF(Xp)、F(Xp+Δxp)を算出し、F(Xp+Δxp)<F(Xp)となるΔxpを探索する。そして、ステップ723において、上記条件(ステップ711の条件と同じ)を満たすΔxpが有るか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ717に進み、否定されればステップ725に進む。
ステップ717では、繰り返し数TがTmaxより小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ719に進み、否定されればステップ725に進む。
ステップ719では、評価関数F(Xp)が所定値εより小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ725に進み、否定されればステップ709に戻る。
このように、ステップ711での判断が否定され、かつ、ステップ723での判断が否定されるか、ステップ717での判断が否定されるか、又は、ステップ719での判断が肯定されるまで、ステップ709〜ステップ719の処理・判断が繰り返される。そして、ステップ711での判断が否定され、ステップ721において刻み幅Δxpを調整しても、ステップ723においてF(Xp+Δxp)<F(Xp)となるΔxpが存在しなかった場合、繰り返し数TがTmaxを越えてステップ717での判断が否定された場合、又はステップ719においてF(Xp)が所定値εより小さくなった場合には、ステップ725に進む。ステップ725では、最終的に求められたベクトルXpの各要素をショット領域Cjの推定X座標として、不図示の記憶装置に格納し、サブルーチン513の処理を終了する。
なお、本第1の実施形態では、サブルーチン513における最適化手法として、山登り法を適用したが、最急降下法を用いても良い。この最急降下法は、上記式(12)の係数Cを調整する他は、山登り法とほぼ同じであるので詳細な説明を省略する。
以上述べたように、この山登り法では、全ショット領域Cj(j=1〜N)における計測結果と推定結果との残差の総和を評価関数とし、その最適化の停止条件を、評価関数の値が極小となった場合、評価関数の値が所定範囲内であった場合、又は推定回数が所定回数となった場合とした。
≪遺伝的アルゴリズム≫
図5に戻り、モード3が設定されており、ステップ515における判断が肯定されると、サブルーチン517における遺伝的アルゴリズムによるウエハグリッド推定が行われる。以下、この遺伝的アルゴリズムによるウエハグリッドの推定について説明する。なお、この遺伝的アルゴリズムでは、ウエハグリッドのX座標と、Y座標とをそれぞれ独立に推定可能であり、その推定方法は同じであるので、このサブルーチン517では、説明を簡略化するため、ショット領域のX座標の推定処理についてのみ説明するが、実際には、X座標の推定とともにY座標の推定も行う必要がある。また、この遺伝的アルゴリズムでは、ショット領域C1〜CNのX位置座標を要素とするベクトルXp={X1、X2、X3、…、XN}を規定し、そのベクトルXpの最適化を図る。
サブルーチン517では、図8に示されるように、まず、ステップ801において、評価関数FX(Xp)を設定する。このときの評価関数FX(Xp)は、図7のステップ705で設定された評価関数と同じ評価関数を設定すればよいので、詳細な説明を省略する。
次のステップ803では、世代数Tを0に初期化する。そして、ベクトルXpの最適解の解候補を重複しないようにランダムにN1個選択する。このベクトルXpのN1個の解候補を、それぞれX0、X1、…、XN1-1とする。このとき、ベクトルX0の要素は、ショット領域の設計上のX座標であるものとする。以下では、1つの解候補を「個体」と記述し、N1個の解候補の集合を「親集団」と記述する。
次のステップ807では、N1個の解候補に対しそれぞれの評価関数FX(Xp)の値を算出し、ステップ809では、評価関数FX(Xp)の値が目標値に達した個体が有るか否かを算出する。この判断が肯定されればステップ825に進み、否定されればステップ811に進む。ここでは、判断が否定されたものとして話を進める。ステップ811では、世代数TがTmaxを超えたか否かを判断する。この判断が否定されればステップ813に進み、肯定されればステップ825に進む。ここでは、判断が否定されたものとして話を進める。
次のステップ813では、親集団から3つの個体(親1、親2、親3)をランダムに選択し、ステップ815では、UNDX交叉法により親1、親2からN2個の子集団を生成し、ステップ817では、子集団の個体それぞれの評価関数の値(評価値)を算出する。そして、ステップ819では、ルーレット選択により、評価関数FX(Xp)の値が良好な2つの個体を親1、親2、子集団の中から選択する。次のステップ821では、母集団中の親1、親2を選択された個体で置換する。このとき、選択された個体が親1、親2であった場合には、親集団の構成に変化はないが、それ以外の場合には、親集団の構成が変化することになる。そして、次のステップ823において、繰り返し数Tを1だけインクリメントし、ステップ807に戻る。
以降、ステップ809又はステップ811において、判断が肯定されるまで、ステップ807〜ステップ823の処理・判断が繰り返し実行される。
ステップ809又はステップ811において、判断が肯定された後、ステップ825では、評価関数の値が、最も良好であった最適解のベクトルXpを不図示の記憶装置に格納する。ステップ825終了後は、サブルーチン517の処理を終了する。
このように、遺伝的アルゴリズムにおいては、最適化の停止条件を、評価関数の値が目標値に達した解候補があった場合、又は推定回数が所定回数となった場合としている。
≪シンプレックス法≫
図5に戻り、モード4が設定されており、ステップ507、ステップ511、ステップ515における判断が否定されると、サブルーチン519においてシンプレックス法によりウエハグリッドを推定する。なお、このシンプレックス法では、ウエハグリッドのX座標と、Y座標とをそれぞれ独立に推定可能であり、その推定方法は同じであるので、このサブルーチン519では、説明を簡略化するため、ショット領域CjのX座標の推定処理についてのみ説明するが、実際には、X座標の推定とともにY座標の推定も行っているものとする。また、このシンプレックス法においても、ショット領域C1〜CNのX座標を要素とするベクトルXp={X1、X2、X3、…、XN}を規定し、そのベクトルXpの最適化を図る。
サブルーチン519では、図9に示されるように、まず、ステップ901において、評価関数を設定し、次のステップ903において、上記ショット領域CjのX座標のベクトルXpの最適解の候補として、解の候補を重複しないようにランダムにN1個選択する(これらの解の候補を、それぞれX1,X2,X3,…,XN1とする)。ただし、N1≧N+1とする。このN1個の解候補の集合を、「シンプレックス」と呼ぶ。この解候補には、ショット領域のX座標の設計値の解を必ず含めるものとする。次のステップ905では、上記ステップ901で決定されたシンプレックスの解候補Xpに対し、評価関数FX(Xp)の値をそれぞれ算出する。
次のステップ907では、上記ステップ903で求めた、X1,X2,X3,・・・,XN1をそれぞれ解の候補Xpとして設定した場合に、X1,X2,X3,・・・,XN1の中から、次式で定義されるような、最適解の探索対象となるN次元のベクトル空間のシンプレックスにおける最大(最悪)の頂点Xh(最大)、2番目に評価関数の値が大きい頂点Xs、評価関数の値が最小となるXlを選択する。
Figure 2006135281
次のステップ909では、シンプレックスが、停止条件を満たしているか、すなわちXpの中で、評価値が、目標値(計算打ち切り評価値)に達しているものがあるか否か(又はシンプレックスの更新の繰り返し回数が所定回数以上となったか)を判断する。この判断が肯定された場合には、最適解が得られたものとしてステップ939に進み、否定されればステップ911に進む。ここでは判断が否定され、ステップ911に進むものとして説明する。
次のステップ911では、最大頂点Xhを除く、シンプレックスの解候補の重心X0を上記式(19)を用いて算出する。次のステップ913では、N次元ベクトル空間内で、重心X0に対し最大頂点Xhと対称の位置にある鏡像点Xrを次式を用いて算出し、鏡像点Xrを代入したときの評価関数に対する評価値を算出する。
Figure 2006135281
ここで、αは鏡像係数である。
図15には、各頂点をN次元平面で表したときのベクトル空間図の一例が示されている。図15では、シンプレックスにおいて、最大頂点Xhが紙面左側端点として示され、最小頂点Xlが紙面上側端点として示されており、2番目に大きい頂点Xsが紙面下側端点として示されており、重心X0、鏡像点Xrが示されている。
以下では、最大頂点Xh、最小頂点Xl、2番目に大きい頂点Xs、重心X0、鏡像点Xrのそれぞれの評価関数の値を比較して、シンプレックスの拡大又は縮小を繰り返し、極小値を探索する処理を行う。
図9に戻り、次のステップ915では、鏡像点Xrの評価関数の値FX(Xr)が、2番目に評価関数の値が大きい頂点Xsの評価関数の値FX(Xs)以下であるか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ917に進み、否定されればステップ927に進む。
まず、上記ステップ915において判断が肯定され、ステップ917に進む場合について説明する。ステップ917では、鏡像点Xrの評価関数の値FX(Xr)が最小頂点Xlの評価関数の値FX(Ml)よりも小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ919に進み、否定されればステップ925に進む。ここでの判断が否定されたということは、鏡像点Xrの評価関数の値FX(Xr)が、頂点Xsの評価関数の値FX(Xs)以下であり(FX(Xr)≦FX(Xs))、かつ最小頂点Xlの評価関数の値以上(FX(Xr)≧FX(Xl))であるということを意味する。この場合には、評価関数FX(Xp)の値が極小となる頂点がシンプレックス内にあり、それは鏡像点Xr付近である可能性が高いとみなすことができる。そこで、ステップ925では、最大頂点Xhを鏡像点Xrに更新する。ステップ925終了後は、ステップ907に戻る。
一方、ステップ917で判断が肯定された場合では、鏡像点Xrの評価関数の値F(Xr)が、2番目に評価関数の値が大きい頂点Xsのその評価関数の値FX(Xs)以下であり(FX(Xr)≦FX(Xs))、かつ最小頂点Xlの評価関数の値FX(Xl)より小さい(FX(Xr)<FX(Xl))ということを意味する。この場合、評価関数の値が極小となる頂点は、シンプレックス外にある可能性が高いとみなすことができる。そこで、ステップ919では、次式に示される拡張点Xeを算出し、拡張点Xeにおける評価関数の値FX(Xe)を算出して、その評価関数の値FX(Xe)を次式を用いて求める。次のステップ921では、拡張点Xeの評価関数の値FX(Xe)が、鏡像点Xrの評価関数の値FX(Xr)より小さいか否か(FX(Xe)<FX(Xr))を判断する。ここで、判断が否定された場合には、ステップ925に進み、最大頂点Xhを鏡像点Xrに更新し、ステップ907に戻る。一方、判断が肯定された場合には、ステップ923に進み、最大頂点Xhを拡張点Xeに更新し、ステップ907に戻る。
Figure 2006135281
ここで、γは、拡張係数である。
次に、ステップ915において判断が否定され、ステップ927に進む場合について説明する。ステップ927では、鏡像点Xrでの評価関数の値FX(Xr)が、最大頂点Xhでの評価関数の値FX(Xh)よりも小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ929に進み、否定されればステップ931に進む。ステップ929では、最大頂点Xhを鏡像点Xrに更新し、ステップ931に進む。ステップ931では、次式に示される収縮点Xcを次式を用いて求め、評価関数の値FX(Xc)を求める。
Figure 2006135281
ここで、βは、収縮係数である。
次のステップ933では、収縮点Xcの評価関数の値FX(Xc)が、最大頂点Xhの評価関数の値FX(Xh)より小さいか否かを判断する。この判断が肯定されればステップ935に進み、否定されればステップ937に進む。ステップ935では、最大頂点Xhを、収縮点Xcに更新する。一方、ステップ937では、次式を用いてシンプレックスの各解候補に対し、縮小点Xiを求めシンプレックスを更新する。
Figure 2006135281
ここで、0<κ<1であり、縮小点Xiは、鏡像点Xiと、最小点Xlとを結ぶ線分を、κ:1−κに内分する点である。ステップ935及びステップ937終了後は、ステップ905に戻る。
以降、停止条件が満たされ、ステップ909における判断が肯定されるまで、上記処理が繰り返し実行され、評価関数の値が極小値となるウエハグリッドの最適解が求められるようになる。ステップ909において判断が肯定された後は、ステップ939に進み、最適解を不図示の記憶装置に格納し、サブルーチン519を終了する。
図5に戻り、サブルーチン509、513、517、519終了後は、サブルーチン205の処理を終了し、図2のステップ207に進む。ステップ207では、レチクルステージRST上のレチクルを交換する。この時点では、レチクルステージRST上に計測用レチクルRTが保持されているので、計測用レチクルRTを不図示のレチクルアンローダによりアンロードしてから、不図示のレチクルローダによりレチクルRをロードする。そして、ステップ209において、基準マーク板FM等を用いて、いわゆるレチクルアライメント及びベースライン計測などの準備作業を行う。
次のステップ211では、ウエハステージWST上のウエハWを交換する。これにより、ウエハステージWST上に保持されている計測用のウエハWが不図示のウエハアンローダによってアンロードされ、不図示のウエハローダによってウエハステージWST上にウエハWがロードされる。このウエハWは、すでに一層以上のショット領域が形成されたウエハであるものとする。
そして、ステップ213において、ウエハW上における各ショット領域のウエハステージの座標系上での配列座標を求めるためのウエハアライメントが行われる。かかるウエハアライメントでは、例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に開示されているように、図1のアライメント検出系ASを用いて、ウエハW上から選択された所定個数のショット領域(サンプルショット)のウエハマーク(不図示)の座標位置を検出し、この計測結果を統計処理するEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式でウエハW上の全部のショット領域に関する配列座標を算出する。
そして、次のステップ215では、ウエハW上の各ショット領域Cjの配列座標、べースラインなどに基づいて、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTとが、走査開始位置に位置決めされるとともに、レチクルRも対応する位置に位置決めし、露光光ILを照射しつつ、レチクルRとウエハWとを同期移動させることにより、走査露光動作を行う。
なお、このときのレチクルステージRSTと、ウエハステージWSTとの走査開始位置については、サブルーチン205において推定されたウエハグリッドが考慮される。すなわち、サブルーチン205で推定されたショット領域Cjの位置座標に基づいて、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの加速開始位置での相対位置ずれ量を算出し、算出された位置ずれ量だけ両ステージWST,RSTの加速開始位置を調整する。これにより、露光装置100が有するウエハグリッドの歪みを補正しつつ、ウエハWに対する走査露光を実施することができる。
次のステップ217では、ウエハWをアンロードする。ステップ217終了後は、露光動作を終了する。
なお、本第1の実施形態では、モード設定により、ウエハグリッドを推定する最適化手法として、上記4つの方法から1つだけ選択し、選択された方法によりウエハグリッドを推定したが、これに限らず、上記4つの方法から少なくとも2つ以上の方法を行うようにしても良い。この場合、2つ以上の方法により得られたウエハグリッドの推定結果の平均を、最終的な推定結果とするようにしてもよい。
これまでの説明から明らかなように、本第1の実施形態では、主制御装置20のCPUが行うマーク計測のサブルーチン203が第1工程に対応し、グリッド推定のサブルーチン205が第2工程に対応する。
以上詳細に述べたように、本第1の実施形態によれば、計測誤差が積算される隣接するショット領域の位置ずれ量の積算結果などからショット領域の配列形状を求めるのではなく、例えば、図6のサブルーチン509に示されるベクトル探索法等の所定の最適化手法を用いて、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち最も誤差が小さい)ショット領域の配列形状を求めることができる。
また、本第1の実施形態では、ウエハグリッドを推定するためにウエハWに形成されるショット領域Cjは、XY2次元平面内の互いに直交する2つの軸(X,Y)に沿って所定間隔でマトリクス状に配置された方形の区画領域であり、マーク計測のサブルーチン203で取得する情報は、ショット領域Cjの4辺のうちの一辺で隣接するショット領域Cmk(例えば、ショット領域U)との間におけるX軸方向及びY軸方向の相対的位置ずれ量と、その一辺と直交する他辺で隣接する他のショット領域Cmk(例えば、ショット領域R)との間におけるX軸方向及びY軸方向の相対的位置ずれ量とを含んでいる。このようにすれば、例えばX軸方向に関するウエハグリッドをX軸方向に沿って推定していく場合にも、そのX軸方向に直交するY軸方向に隣接するショット領域同士のX軸方向の相対的位置ずれ量を考慮して、ウエハグリッドを推定していくことができるようになるので、ただ単にX軸方向に沿った相対的位置ずれ量をX軸方向に積算していくのではなく、Y軸方向の隣接ショット領域の状態を考慮し、全ての計測結果を平等に考慮して、ウエハグリッドを精度良く推定することができるようになる。
また、本第1の実施形態では、ウエハグリッドを推定する最適化手法として、ベクトル探索法、山登り法、遺伝的アルゴリズム、シンプレックス法を用いた。
このうち、ベクトル探索法では、サブルーチン203におけるマークの計測結果に基づいて、隣接するショット領域Cmkの中心位置に対するそのショット領域Cjの中心位置を推定する処理を、所定の順番で全てのショット領域C1〜CNに対して行って各ショット領域Cjの推定中心位置C'jを更新していくことにより、ショット領域の配列形状を推定する方法である。この方法によれば、ウエハグリッド全体を評価する複雑な評価関数を用いて複雑な計算を行うことなく、簡単な計算によりウエハグリッドの推定をすることができる。この方法では、複数のショット領域Cjのグリッド形状の推定を、その推定座標の変動が所定範囲ε内に収束するか、その推定の繰り返し数Tが所定回数Tmaxに達するまで繰り返し行うことにより、ショット領域Cjの配列形状の最適解を逐次探索し、推定するウエハグリッドを、真のウエハグリッドに逐次接近させることができる。
一方、他の山登り法(最急降下法)、遺伝的アルゴリズム及びシンプレックス法は、ベクトル探索法とは異なり、ショット領域配列全体の計測の結果に対する複数のショット領域の配列形状の推定残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて推定の結果を評価する。これらの方法では、いずれも、複数のショット領域Cjのグリッド形状の推定を、評価関数の値が目標値以下となるか、その推定の繰り返し数Tが所定回数Tmaxに達するまで繰り返し行うことにより、ショット領域Cjの配列形状の最適解を逐次探索する。このような評価関数を用いれば、推定されるウエハグリッドの真のウエハグリッドへの収束性を高めることが可能である。これらの方法ではいずれも、ウエハグリッドの推定処理を繰り返すことにより、推定するウエハグリッドを、真のウエハグリッドに逐次接近させることが可能である。
なお、これらの最適化手法は、適宜処理の改良、変更が可能である。また、最適化手法としては、上記方法には限られず、ニューラルネットワークを適用した方法、直接探索法など、様々な手法を適用することができる。
また、本第1の実施形態では、隣接するショット領域におけるマーク像Mr1〜Mr4の位置ずれ量を、それらのショット領域の相対的位置ずれに関する情報として取得した。このようにすれば、ショット領域間の相対的位置関係を実測することができる。なお、本第1の実施形態では、隣接するショット領域毎にマークを1つだけとしたが、これに限らず、マークは幾つあっても良い。本第1の実施形態における上記計算式は、マークの数が2つ以上の場合にも対応している。
そして、本第1の実施形態では、上述のように推定されたウエハグリッドを考慮して、レチクルステージRST上のレチクルRと、ウエハステージWST上のウエハWとの相対的位置関係を調整しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを、ウエハW上に転写するので、ウエハW上に形成されるショット領域の配列を設計上の配列により近づけることができるようになり、高精度な露光を実現することができる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態について、図16、図17に基づいて説明する。
本第2の実施形態に係る露光装置の装置構成は、図1に示される上記第1の実施形態の露光装置100と同一であり、動作についても、上記第1の実施形態におけるグリッド推定のサブルーチン509、513、515、519(図6〜図9参照)に相当する処理及びステップ215(図2参照)における主制御装置20内の処理等が前述の第1の実施形態と相違するのみである。よって、以下においては、重複説明を避けるため、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分について同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
上述したように、上記第1の実施形態では、グリッド推定(広義には、ウエハWのショット領域Cjの位置情報)の演算を、X軸とY軸とで独立に、異なる評価関数の下で行ったが、本第2の実施形態では、露光中に発生するウエハステージWSTのθz軸方向の姿勢も補正するために、ショット領域Cjの回転θも考慮してショット領域各々の位置情報を推定する。この場合、ショット領域Cjの、X,Y位置及び回転量を独立に扱うことが困難となるため、ショット領域Cjの位置及び回転の推定を一度に行う。
まず、上記ショット領域Cjの位置情報の推定をするためのウエハステージWSTの位置及び姿勢の定義について説明する。本第2の実施形態では、ウエハステージWSTが移動するXY平面における、ウエハステージWSTの位置及び姿勢を、ベクトルP=(X,Y,θ)で表現する。このベクトルPは、ウエハステージWSTの中心が(X,Y)に位置しているときに、ウエハステージWSTがθz軸に関し、θだけ回転しているということを示している。仮に、ウエハステージWSTがθz方向に回転しないように理想的に制御されていた場合には、ベクトルPは、次式で示される理想値を示すベクトルP=(X,Y,0)で表される。以下では、このベクトルを特にPIと呼ぶ。本第2の実施形態におけるウエハステージWSTの位置制御は、レチクルステージRSTとの相対位置を、このベクトルPIにウエハステージWSTの位置及び姿勢を近づけることを目標とする。
ここで、駆動するウエハステージ駆動部24を構成するリニアモータの特性やウエハ干渉計18の計測誤差(いわゆるだまされ)等により、ウエハステージWSTのステージ中心を(X,Y)に位置決めしようとしても、実際には、ウエハステージWSTの位置及び姿勢を表すベクトルPは、(X+ΔXTR,Y+ΔYTR,ΔθTR)となるものとする。以下では、このベクトルPを特にベクトルPTRと呼ぶ。このベクトルPTRは、実際には計測することができないが、必ず存在するウエハステージWSTの真の姿勢を示すベクトルである。ウエハステージWSTの理想的な位置及び姿勢からのずれを表すベクトルをΔPとすると、真の位置及び姿勢を示すベクトルPTRは、PTR=PI+ΔPと表すことができる。
本第2の実施形態では、このベクトルΔPを推定する。そして、推定されたベクトルΔPに応じて、ウエハステージWSTの位置及び姿勢を補正することにより、露光中のウエハステージWSTの姿勢を、理想的な状態(ベクトルPIで示される状態)に近づける。以下では、このベクトルΔPの推定結果をベクトルΔPEと呼ぶ。
次に、隣接するショット領域に関する定義について説明する。本第2の実施形態においても、ウエハステージWSTの位置及び姿勢ずれを含んだベクトルΔPを推定するために、上記第1の実施形態と同様の焼付けを行う。以下では、これを「スタティック・ステッピング」と呼ぶ。前提として、このスタティック・ステッピングによるショットディストーションは無視できるほど小さいものとする。スタティック・ステッピングによって、少なくとも4つのマークMr1〜Mr4を転写して、N個のショット領域Cjを転写形成する。以降では、説明を簡単にするために、ショット中心を原点としたショット内座標系におけるマーク像Mr1、Mr2、Mr3、Mr4の位置座標を、それぞれr=(xR,yR)、u=(xU,yU)、l=(xL,yL)、b=(xB,yB)と表現する。
スタティック・ステッピング時のショット領域CjのウエハステージWSTの目標位置をCj=(Xj,Yj)と表現する。ウエハステージWSTの位置及び姿勢が理想的である場合には、Cj=(Xj,Yj)におけるウエハステージWSTの位置及び姿勢のベクトルPはPI=(Xj,Yj,0)となるので、マーク像Mr1〜Mr4のそれぞれの理想的な位置座標Rj I,Uj I,Lj I,Bj Iは、ウエハ座標系(ウエハ基準の座標系)で、次のようになる。
j I=(XR,YR)=(Xj+xR,Yj+yR) …(24−1)
j I=(XU,YU)=(Xj+xU,Yj+yU) …(24−2)
j I=(XL,YL)=(Xj+xL,Yj+yL) …(24−3)
j I=(XB,YB)=(Xj+xB,Yj+yB) …(24−4)
図16には、ショット領域Cjのこれら4つのマークの位置座標が模式的に示されている。
しかし、ウエハステージWSTの目標位置座標Cj=(Xj,Yj)において、ウエハステージWSTの位置及び姿勢がベクトルPTRで表されるとき、マークMr1〜Mr4は、ウエハステージWSTの位置及び姿勢の誤差(レチクルステージRSTとの相対誤差)に応じて、理想的な形成位置Rj I,Uj I,Lj I,Bj Iからずれた位置Rj TR,Uj TR,Lj TR,Bj TRにそれぞれ転写されるようになるものとする。この場合、実際の転写位置Rj TR,Uj TR,Lj TR,Bj TRは、以下の式で示される。
j TR=(xR・cosΔθj TR+yR・sinΔθj TR+Xj+ΔXj TR,−xR・sinΔθj TR+yR・cosΔθj TR+Yj+ΔYj TR) …(25−1)
j TR=(xU・cosΔθj TR+yU・sinΔθj TR+Xj+ΔXj TR,−xU・sinΔθj TR+yU・cosΔθj TR+Yj+ΔYj TR) …(25−2)
j TR=(xL・cosΔθj TR+yL・sinΔθj TR+Xj+ΔXj TR,−xL・sinΔθj TR+yL・cosΔθj TR+Yj+ΔYj TR) …(25−3)
j TR=(xB・cosΔθj TR+yB・sinΔθj TR+Xj+ΔXj TR,−xB・sinΔθj TR+yB・cosΔθj TR+Yj+ΔYj TR) …(25−4)
これらのマーク像Mr1〜Mr4の、ステージ座標系での絶対位置を計測するのは極めて困難である。そこで、ショット領域Cjのマーク像Mr1〜Mr4と、ショット領域Cjの隣接するショット領域Cjのマーク像Mr1〜Mr4との相対位置を計測することで、それらの計測結果に基づいてマーク像Mr1〜Mr4の絶対位置を推定する。
ここで、説明を簡単にするため、以下では、ある基準に対して+X側を右、+Y側を左、−X側を左、−Y側を下であるものとする。また、ショット領域Cjの右隣のショット領域をMj1とし、上隣のショット領域をMj2とし、左隣のショット領域をMj3とし、下隣のショット領域のショット番号をMj4とする。この表現では、例えば、j=1であるとき、右隣のショット番号はM11ということになる。
一方、ショット領域Cjに関連する隣接ショット領域のマークの位置座標を、それぞれ以下のように定義する。
ショット領域Mj1の左側マークの位置座標:LMj1=(XL,Mj1,YL,Mj1
ショット領域Mj2の下側マークの位置座標:BMj2=(XB,Mj2,YB,Mj2
ショット領域Mj3の右側マークの位置座標:RMj3=(XR,Mj3,YR,Mj3
ショット領域Mj4の上側マークの位置座標:UMj4=(XU,Mj4,YU,Mj4
図16には、これら4つのマークが模式的に示されている。
なお、ショット領域Cjの位置におけるウエハステージWSTの位置及び姿勢ベクトルPj TRは、次式で示される。
j TR=(Xj+ΔXj TR,Yj+ΔYj TR,Δθj TR)=Pj I+ΔPj TR
本第2の実施形態では、ショット領域Cjのマークの位置と、隣接するショット領域Mj1〜Mj4のこれらのマークの位置との差分(相対位置ずれ量)がアライメント検出系ASによって計測される。ここで、本第2の実施形態では、表記を簡単にするために、左右の隣接関係にあるショット領域間の各マーク像の相対位置としては、右側のショット領域のマーク像の実測位置から左側のショット領域のマーク像の実測位置を引いた場合の差分が計測されるものと定義する。また、上下の隣接関係にあるショット領域間の各マーク像の相対位置としては、上側のショット領域のマーク像の実測位置から下側のショット領域のマーク像の実測位置を引いた場合の差分が計測されるものと定義する。図16では、これらの相対位置ずれ量をベクトル表示している。この場合、これらの相対位置ずれ量Δrj、Δuj、Δlj、Δbjは、次式で表される。
Figure 2006135281
j、Yj,xL、yL、xR、yR、xU、yU、xB、yBは前述の通り設計値である。したがって、隣接ショット領域のマーク位置座標(XL,Mj1,YL,Mj1)、(XB,Mj2,YB,Mj2)、(XR,Mj3,YR,Mj3)、(XU,Mj4,YU,Mj4)が既知であるとすると、上記式(26−1)〜式(26−4)中の未知数は、ΔXj T、ΔYj T、Δθj Tだけになる。したがって、上記式(26−1)〜式(26−4)の左辺(Δrj、Δuj、Δlj、Δbj)に、アライメント検出系ASによる計測結果から得られる実測値(すなわち、上記第1の実施形態における位置ずれ量bj l)を代入し、非線形最小二乗法やシンプレックス法の最適化手法を用いて上記式(26−1)〜式(26−4)の方程式を解けば、ΔXj TR、ΔYj TR、Δθj TRの最尤推定値ΔXj E、ΔYj E、Δθj Eを求めることができる。
図17には、本第2の実施形態におけるベクトル探索法のサブルーチン509’のフローチャートが示されている。なお、このサブルーチン509’が実行されるに当たっては、上記第1の実施形態と同様に、ウエハ上のN個のショット領域Cj(j=1,2,…,N)についての隣接するショット領域間のマークの相対位置ずれ量ベクトルΔlj、Δrj、Δuj、Δbj(j=1,2,…,N)の各成分(すなわち、上記第1の実施形態の計測結果bj lの各成分)が、アライメント検出系ASにより計測されており、これらの計測結果に対し、レチクル製造誤差の除去と、平均値算出が行われているものとする。また、ショットマップ外周のショット領域のように、Δlj、Δrj、Δuj、Δbjのうち、2個以上4個未満の計測結果しか得られないショット領域もあるが、本第2の実施形態でも、上記第1の実施形態と同様に、これら外周のショット領域について考慮しつつ、ショット領域Cj各々の位置情報の推定を行う必要がある。
図17に示されるように、サブルーチン509’では、まず、最適化のための各種演算用データの初期化を行う。ステップ601’において、ループ回数を示すカウンタ値Tを0に初期化し、ステップ603’において、全てのショット領域C1〜CNの位置に対応するウエハステージWSTの位置及び姿勢の誤差ΔXj E、ΔYj E、Δθj E(j=1,2,…,N)を0に初期化する。これにより、最適化ループ回数T=0における推定値ΔXj,0 E、ΔYj,0 E、Δθj,0 Eが決定される。以降、下付き文字としてTが付与されている変数の値は、最適化のループ回数Tでの当該変数の値であることを示す。
次のステップ605’では、カウンタ値Tを1だけインクリメントし(T←T+1)、ショット番号jを0に初期化する。
次のステップ607’では、カウンタ値jとは異なる別のカウンタ値k(k=1、2、3、…、N)でショット番号を表現し、ショット番号kを例えば1からNまで1つずつインクリメントしつつ、順次、T−1回目における、ショット領域Ckの右隣のショット領域Mk1の左側のマークの位置LMk1,T-1(XL,Mk1,T-1,YL,Mk1,T-1)と、ショット領域Ckの上隣のショット領域Mk2の下側のマークの位置BMk2,T-1(XB,Mk2,T-1,YB,Mk2,T-1)の推定値LMk1,T-1 E,BMk2,T-1 Eをそれぞれ推定する。
これらの具体的な推定方法について説明する。まず、ループ回数T―1におけるショット領域CjのΔXj,T-1 E、ΔYj,T-1 E、Δθj,T-1 E(例えば、T=1のときには、ΔXj,0 E、ΔYj,0 E、Δθj,0 E)が既知となっているので、これらの中から、ショット領域Ck、ショット領域Mk1と、ショット領域Mk2とのそれぞれの位置及び回転量ΔXj,T-1 E、ΔYj,T-1 E、Δθj,T-1 E(すなわち、(ΔXk,T-1 E、ΔYk,T-1 E、Δθk,T-1 E)、(ΔXMk1,T-1 E、ΔYMk1,T-1 E、ΔθMk1,T-1 E)、(ΔXMk2,T-1 E、ΔYMk2,T-1 E、ΔθMk2,T-1 E))に該当するものを計測データの中から選択する。そして、それらの値を上記式(25−1)〜式(25−4)に代入することにより、ショット領域Cjの右側のマーク位置Rk,T-1(XR,k,T-1、YR,k,T-1)、上側のマーク位置Uk,T-1(XU,k,T-1、YU,k,T-1)の推定ベクトルRk,T-1 E、Uk,T-1 Eと、ショット領域Mk1の左側のマーク位置LMk1,T-1 E(XL,Mk1,T-1、YL,Mk1,T-1)、ショット領域Mk2の下側のマーク位置BMk2,T-1 E(XB,Mk2,T-1、YB,Mk2,T-1)の推定ベクトルLMk1,T-1 E、BMk2,T-1 Eとを求める。
次のステップ609’では、上記ステップ607’で求められたショット領域Mk1の左側マークの推定ベクトルLMk1,T-1 E、ショット領域Ckの右側マークの推定ベクトルRk,T-1 E、ショット領域Ckの上側マークの推定ベクトルUk,T-1 E、ショット領域Mk2の下側マークの推定ベクトルBMk2,T-1 E、を用いて、次式を計算する。
Figure 2006135281
ここで、Δrkは、ショット領域Ckの右側マーク像Mr1と、ショット領域Mk1の左側マーク像Mr3との相対位置ずれ量の計測値のベクトルであり、Δukは、ショット領域Ckの上側マーク像Mr2と、ショット領域Mk2の下側マーク像Mr4との相対位置ずれ量の計測値のベクトルである。
そして、求められたショット領域C1〜CNのer,1、eu,1〜er,N、eu,Nの各成分に基づいて、次式を算出する。
Figure 2006135281
このET-1が本第2の実施形態におけるベクトル探索法の評価関数であり、この評価関数の演算結果が、最適化計算ループ回数T−1における推定誤差となる。
次のステップ611’では、計算終了判断を行う。ここでは、計算ループ回数Tが最大値Tmax(最適化の定数)を超えた場合、又はET-1(最適化の定数)が許容値eps_E内となった場合に、判断が肯定される。そして、この判断が肯定されれば処理を終了する。
ステップ611’における判断が否定された後に実行されるステップ613’では、ショット番号jを1だけインクリメントする。次のステップ615’では、この時点で、(ΔXj,T-1 E、ΔYj,T-1 E、Δθj,T-1 E)(k=1、2、3、…、N)が既知となっているので、これらの値を式(25−1)〜式(25−4)に代入して、ショット領域Cjの隣接ショット領域Mj1〜Mj4のマーク位置LMj1(XL,Mj1,T,YL,Mj1,T)、BMj2(XB,Mj2,T,YB Mj2,T)、RMj3(XR Mj3,T,YR Mj3,T)、UMj4(XU Mj4,T,YU Mj4,T)を求める。なお、j=1以外の場合、すなわちj=2〜Nの場合には、k<jとなるショット領域Ckが存在するようになり、ショット領域Ckでは、後述するループ処理により、(ΔXk,T E、ΔYk,T E、Δθk,T E)が既知となっているので、そのようなショット領域Ck(k=1〜j―1)については、(ΔXk,T-1 E、ΔYk,T-1 E、Δθk,T-1 E)でなく、(ΔXk,T E、ΔYk,T E、Δθk,T E)を、計算に用いる。
次のステップ617’では、T回目のj番目のショット領域Cjの位置情報の推定値(ΔXj,T E、ΔYj,T E、Δθj,T E)を求める。ここでは、上記ステップ615’により推定された隣接関係に基づいて、隣接するショット領域間の各マークの相対位置ずれ量の計測値ベクトルΔlj,Δrj,Δuj,Δbjを上記式(26−1)〜(26−4)に代入し、非線形最小二乗法等を用いて、ショット領域Cjの推定位置情報(ΔXj,T E、ΔYj,T E、Δθj,T E)を求める。
一例として、最小二乗法を用いて、(ΔXj,T E、ΔYj,T E、Δθj,T E)を求める際の手順について説明する。ここで、a=ΔXj,T、b=ΔYj,T、c=cosΔθj,T、d=sinΔθj,Tとおくと、上記式(26―1)〜式(26−4)から、次式で示される方程式が得られる。
Figure 2006135281
これらを最小二乗法で解くことにより、a、b、c、dの推定値を求めることができ、a〜dの値からΔXj,T E、ΔYj,T E、cosΔθj,T E、sinΔθj,T Eを得ることができる。中でも、Δθj,T Eは、cosΔθj,T E、sinΔθj,T Eに基づいて次式により得られる。
Figure 2006135281
なお、本第2の実施形態では、左右のマーク、上下のマークは、設計上、ショット中心に対し対称の位置に形成されているため、xB=xU,yB=−yU,xL=−xR,yL=yRの関係がある。この関係を利用して、上記式(29)においては、変数の数を減らしてそれらをできるだけ統一し、計算を簡便なものにして、演算時間の短縮などを実現することができる。
次のステップ619’では、ショット番号jがNを超えたか否かを判断する。この判断が否定されればステップ613’に戻り、肯定されればステップ605’に戻る。ここでは、j=1なので、判断は否定され、ステップ613’に戻る。
以降、ステップ619’において判断が肯定されるまで、ステップ613’〜ステップ619’のループ処理が繰り返され、その間、ステップ617’において、ショット領域C2〜Cjの位置情報の推定値(ΔXj,T E、ΔYj,T E、Δθj,T E)が求められる。なお、前述の通り、ステップ615’における隣接ショット領域のマーク位置LMj1(XL,Mj1,T,YL,Mj1,T)、BMj2(XB,Mj2,T,YB,Mj2,T)、RMj3(XR,Mj3,T,YR,Mj3,T)、UMj4(XU,Mj4,T,YU,Mj4,T)の推定においては、k<jとなるショット領域Ckについては、T−1回目の推定値(ΔXk,T-1 E、ΔYk,T-1 E、Δθk,T-1 E)ではなく、T回目の推定値(ΔXk,T E、ΔYk,T E、Δθk,T E)が用いられる。
以上の処理において、ステップ611’における判断が肯定された場合には、最適化を終了し、推定位置情報(ΔXj,T-1 E、ΔYj,T-1 E、Δθj,T-1 E)(j=1,2,…,N)が、最終的な各ショット領域Cjの推定位置情報(ΔXj E、ΔYj E、Δθj E)となる。これにより、ショット領域Cjのショット(Xj,Yj,ΔXj E、ΔYj E、Δθj E)の組合せのデータがN個(ショット数分)得られるようになる。主制御装置20では、これらN個のデータに対して、最小二乗法などを用いたフィッティング又は補間処理を施すことにより、(Xj,Yj)と、(ΔXj、ΔYj、Δθj,)との関係を求め、ウエハステージWSTがステージ位置(X,Y)にあるときのその位置ずれ(ΔXj、ΔYj、Δθj)をキャンセルするためのステージ位置の補正量を算出するための次式で示される関数を算出する。
dX=fdx(X,Y)…(31−1)
dY=fdY(X,Y)…(31―2)
dθ=fdθ(X,Y)…(31−3)
なお、上記3つの式のうち、dX=fdx(X,Y)、dY=fdy(X,Y)により、上記第1の実施形態で求められるウエハグリッドが表現される。
ステップ215(図2参照)の走査露光中では、上記式(31−1)、式(31−2)、式(31−3)に代入することによって得られる補正量dX、dY、dθだけレチクルステージRSTとウエハステージWSTの相対位置をX、Y、θz方向に補正する。これにより、ウエハステージWSTの位置及び姿勢ベクトルがP=(X,Y,0)に保たれた状態で、露光が行われる。
(山登り法、遺伝的アルゴリズム、シンプレックス法について)
サブルーチン513’の山登り法、サブルーチン517’の遺伝的アルゴリズム、サブルーチン519’のシンプレックス法については、上記第1の実施形態のようにショット領域C1〜CNのX座標を要素とするベクトルXp={X1、X2、X3、…、XNTの代わりに、ショット領域C1〜CNのX座標、Y座標、回転量θを要素とするベクトルPp={X1、X2、X3、…、XN、Y1、Y2、Y3、…、YN、θ1、θ2、θ3、…、θNTを用いる他は、上記第1の実施形態と同じであるので詳細な説明を省略する。
これまでの説明から明らかなように、本第2の実施形態では、主制御装置20のCPUが行うマーク計測のサブルーチン203が第1工程に対応し、グリッド推定のサブルーチン205が第2工程に対応することは、上記第1の実施形態と同様である。また、サブルーチン205内では、サブルーチン509、513、515、517の代わりに、サブルーチン509’、513’、515’、517’である点だけが、上記第1の実施形態と異なる。
以上詳細に述べたように、本第2の実施形態によれば、隣接するショット領域の位置ずれ量の積算結果(計測誤差も累積積算される)などからショット領域Cj各々の位置情報を求めるのではなく、例えば、図17のサブルーチン509’に示されるベクトル探索法等の所定の最適化手法を用いて、統計的に見て最も尤もらしい(すなわち最も誤差が小さい)ショット領域Cj各々の位置情報を求めることができる。
また、本第2の実施形態では、ショット領域Cj各々の位置情報として、そのショット領域CjのX、Y軸に関する位置座標だけでなく、X、Y軸に直交するθz軸を回転軸とする回転量θを含むものとしてそれらの推定を行うので、上記第1の実施形態のように、X、Y軸、独立で最適化することができない。このため、本第2の実施形態では、上記X、Y、θを考慮したショット領域の位置及び回転(ウエハステージWSTの位置及び姿勢)を表現したモデル式を定義し、アライメント検出系ASによって計測された隣接するショット領域間の相対位置ずれ量と、その情報から推定された複数のショット領域Cj各々の位置情報に基づいた、隣接するショット領域間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて推定の結果を評価しつつ、ショット領域Cjの位置情報の推定を行った。これにより、ウエハステージWSTの位置だけでなく、走査露光中のθz回りのウエハステージWSTの回転補正(姿勢の補正)も行うことができるようになる。
また、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、所定の最適化手法として、ベクトル探索法、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズムのうちの少なくとも1つを用いることができる。ベクトル探索法においては、計測された隣接ショット領域間の相対位置ずれ量に基づいて、隣接するショット領域の中心位置に対するそのショット領域の中心位置を推定する処理を、所定の順番で全てのショット領域C1〜CNに対し行って各ショット領域Cjの推定中心位置を更新していくことにより、複数のショット領域Cj各々の位置情報を推定する。この推定は、複数のショット領域各々の位置情報の推定結果と前回の推定結果との残差の変動が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行われ、複数のショット領域Cj各々の位置情報の最適解が逐次探索される。このようにすれば、ウエハステージWSTのX、Y位置に依存するθz回りの回転量をも推定することができるようになり、走査露光中のθz回りのウエハステージWSTの回転補正も行うことができるようになる。
また、最適化手法として、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズム法のうちの少なくとも1つを用いる場合でも、隣接ショット領域間の相対位置ずれ量と、それらの相対位置ずれ量から推定された複数のショット領域各々の位置情報に基づく隣接するショット領域Cj間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて推定の結果を評価する点と、複数のショット領域各々の位置情報の推定を、評価関数の値が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、ショット領域各々の位置情報の最適解を逐次探索する点とでは、上記第1の実施形態と同じである。しかしながら、本第2の実施形態では、ショット領域CjのX軸、Y軸、θz軸に関する位置情報を要素とする1つのベクトルを最適化対象として最適化を行なう。このようにすれば、ウエハステージWSTのX、Y位置に依存するθz回りの回転量をも推定することができるようになり、走査露光中のθz回りのウエハステージWSTの回転補正も行うことができるようになる。
このように、本第2の実施形態では、上述のように推定されたショット領域の位置及び回転に関する情報を考慮して、レチクルステージRST上のレチクルRと、ウエハステージWST上のウエハWとの相対的位置関係を調整しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを、ウエハW上に転写するので、ウエハW上に形成されるショット領域の配列を設計上の配列により近づけることができるようになり、高精度な露光を実現することができる。
なお、上記各実施形態では、サブルーチン201において、両ステージWST,RSTを静止させ、一括静止露光方式で、ショット領域Cjの転写形成を行ったが、これには限らず、両ステージWST、RSTを相対走査させ、走査露光方式で、ショット領域Cjを転写形成するようにしてもよい。このようにすれば、両ステージWST,RSTの動的(ダイナミック)な相対的関係に起因する成分を含むウエハグリッド又はショット領域Cjの位置情報を計測することもできるようになる。
また、上記各実施形態では、ウエハW上の各ショット領域Cjの同一計測点(計測用レチクルRTの同一マークに対応する計測点)における各計測結果(マーク像の位置ずれ量)の平均値を求め、計測結果(マーク像の位置ずれ量)からの平均値を差し引いた結果を、隣接するショット領域の相対的位置ずれ量として評価関数に代入するようにしても良い。例えば、ショット領域Cjの計測点のうち、ショット領域Cjよりも+Y側にあるショット領域U(Mj2)との間の計測点における位置ずれ量をBXSYjとし、ショット領域Cjよりも+X側にあるショット領域R(Mj1)との間の計測点における位置ずれ量をSXBYjとすると、計測点での位置ずれ量の平均値は次式で表される。
Figure 2006135281
この場合、計測点の相対的位置ずれ量として、次式で示されるBXSYj,SXBYjを用いて、ウエハグリッドの推定を行うことになる。
Figure 2006135281
また、上記各実施形態では、隣接するショット領域間のマーク像が設計上では重なるように設定されていたが、これには限られない。それらのマーク像の設計上の位置関係が明らかになっていれば、隣接するショット領域間の相対的位置ずれ量を求めることが可能だからである。また、ショット領域Cjは、隣接するショット領域間の相対的位置ずれ量を計測可能なものであれば、方形状である必要はない。
なお、複数のレンズから構成される投影光学系PLを露光装置本体に組み込み、その後、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエハステージWSTを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記各実施形態の露光装置100を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記各実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されないことは勿論である。すなわちステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置にも本発明は好適に適用できる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置における露光にも本発明を好適に適用することができる。また、ウエハステージを2基備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。また、液浸法を用いる露光装置にも本発明を適用することができるのは勿論である。
なお、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置に本発明を適用した場合には、一括露光方式で露光が行われるため、上記各実施形態のステップ・アンド・スキャン方式とでは、露光領域の大きさが異なるため、計測用レチクルRTとしては、マーク(主としてマークMr2、Mr4)の位置を、その露光領域に応じた位置としなければならないことは勿論である。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
また、上記各実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザ光源に限らず、KrFエキシマレーザ光源、F2レーザ光源などのパルスレーザ光源や、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
また、上記各実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられる。
また、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。なお、電子線露光装置は、ペンシルビーム方式、可変成形ビーム方式、セルプロジェクション方式、ブランキング・アパーチャ・アレイ方式、及びマスク投影方式のいずれであっても良い。例えば、電子線を用いる露光装置では、電磁レンズを備えた光学系が用いられる。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
以上述べたように、本発明の推定方法は、物体上に形成される複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報を推定するのに適しており、本発明の露光方法は、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程に適しており、本発明のプログラムは、物体上に形成される複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報をコンピュータに推定させるのに適している。
本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の第1の実施形態の露光装置の計測動作及び露光動作の際に実行されるメインプログラムのフローチャートである。 サブルーチン201の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン203の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン205の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン509の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン513の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン517の処理を示すフローチャートである。 サブルーチン519の処理を示すフローチャートである。 計測用レチクルRTの一例を示す図である。 ショットマップの一例を示す図である。 ウエハ上のショット領域の配列の一部を示す図である。 図13(A)は、あるショット領域と、そのショット領域に隣接するショット領域との関係を示す図であり、図13(B)は、図13(A)の拡大図である。 ベクトル探索法によるウエハグリッド推定を模式的に示す図である。 シンプレックス法で観念されるベクトル空間を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る隣接ショット領域間で定義されるベクトルを模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るサブルーチン509’の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10…照明系、16…レチクル干渉計、18…ウエハ干渉計、19…ステージ制御装置、20…主制御装置、24…ウエハステージ駆動部、100…露光装置、AS…アライメント検出系、AX…光軸、Wl j…ショット領域Cjの計測点それらの相対位置ずれベクトル、cp…計測点が属するショット領域のショット番号(j又はmk)、wdxj 1…計測点Wl jにおけるX相対位置ずれ量、wdyj 1…計測点Wl jにおけるY相対位置ずれ量、el…レチクル製造誤差、exl,eyl…製造誤差X,Y成分、Fmk X(C'j,C'mk)、Fmk Y(C'j,C'mk)…ベクトル探索法の評価関数、FM…基準マーク板、hp…ショット領域Cjとショット領域Ccpとの位置ずれ量を示すショット内計測点のうちの計測点の番号(0〜L)、IL…照明光(露光光)、IR…照明領域に相当する領域、j…ショット番号、L…ショット領域の計測点最大数、l…計測点番号、k(1〜Mj)…ショット領域Cjに隣接するショット領域のポインタ、Mj(1〜4)…ショット領域Cjに隣接するショット領域の数、Mr1〜Mr4…マーク、マーク像、mk(m1〜m4=1〜Nのいずれか)…隣接ショット領域の番号、N…ウエハ上のショット数、n…隣接ショット数、Pj…ショット領域Cj、Cmk間の計測点数(0<Pj≦L)、PA…基準レチクルパターン領域、PL…投影光学系、p…ショット領域Cj、Cmk間の計測点番号、R,RT…レチクル、RC…レチクルセンタ、RST…レチクルステージ、U…ショット、Xmk,Ymk(X’mk,Y’mk)…隣接ショット領域XY座標(推定値)、XRT,YRT…レチクルX、Y軸、W…ウエハ(物体)、Wmax…グリッド測定用ウエハ数、WST…ウエハステージ、w…ウエハ番号、Mβ…投影倍率、θx、θy、θz…X,Y,Z軸回りの回転軸。

Claims (30)

  1. 露光装置により物体上に形成された複数の区画領域の配列形状を推定する推定方法であって、
    前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域について、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1工程と;
    前記第1工程において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定する第2工程と;を含む推定方法。
  2. 前記区画領域は、2次元平面内の互いに直交する2つの軸に沿って所定間隔でマトリクス状に配置された方形の区画領域であり、
    前記第1工程で取得する情報は、前記区画領域の一辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量と、前記一辺と直交する他辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量とを含むことを特徴とする請求項1に記載の推定方法。
  3. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1工程において取得された前記情報と、前記情報から推定された前記配列形状における隣接する区画領域間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて前記推定の結果を評価することを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
  4. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域の配列形状の推定を、前記評価関数の値が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域の配列形状の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項3に記載の推定方法。
  5. 前記所定の最適化手法は、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズム法のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の推定方法。
  6. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1工程において取得した情報に基づいて、隣接する区画領域の中心位置に対するその区画領域の中心位置を推定する処理を、所定の順番で全ての区画領域に対して行って前記各区画領域の推定中心位置を更新していくことにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の推定方法。
  7. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域の配列形状の推定を、その推定結果と前回推定結果との残差の変動が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域の配列形状の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項6に記載の推定方法。
  8. 露光装置により物体上に所定の配列で形成された複数の区画領域各々の位置情報を推定する推定方法であって、
    前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域の配列において、隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1工程と;
    前記第1工程において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定する第2工程と;を含む推定方法。
  9. 前記区画領域は、2次元平面内の互いに直交する2つの軸に沿って所定間隔でマトリクス状に配置された方形の区画領域であり、
    前記第1工程で取得する情報は、前記区画領域の一辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量と、前記一辺と直交する他辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量とを含み、
    前記複数の区画領域各々の位置情報には、その区画領域の前記2つの軸に関する位置座標と、前記2つの軸に直交する軸を回転軸とする回転量とを含むことを特徴とする請求項8に記載の推定方法。
  10. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1工程において取得された前記情報と、前記情報から推定された前記複数の区画領域各々の位置情報に基づく隣接する区画領域間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて前記推定の結果を評価することを特徴とする請求項8又は9に記載の推定方法。
  11. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域各々の位置情報の推定を、前記評価関数の値が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域各々の位置情報の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項10に記載の推定方法。
  12. 前記所定の最適化手法は、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズム法のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の推定方法。
  13. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1工程において取得した情報に基づいて、隣接する区画領域の中心位置に対するその区画領域の中心位置を推定する処理を、所定の順番で全ての区画領域に対し行って前記各区画領域の推定中心位置を更新していくことにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定することを特徴とする請求項8又は9に記載の推定方法。
  14. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域各々の位置情報の推定を、その推定結果と前回推定結果との残差の変動が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域各々の位置情報の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項13に記載の推定方法。
  15. 2次元移動可能な移動体上に保持された物体を露光してマスクに形成されたパターンを前記物体に転写する露光装置を用いて、前記物体上に前記パターンを含む区画領域を複数形成する露光方法であって、
    前記区画領域を所定の配列に従って前記物体上に順次形成する工程と;
    請求項1〜14のいずれか一項に記載の推定方法を用いて、前記物体上に転写形成された複数の区画領域の配列形状又は各々の位置情報を推定する工程と;
    前記推定の結果に基づいて、前記移動体に保持された物体と、前記マスクとの相対的位置関係を調整し、前記パターンを前記物体に順次転写し区画領域に形成する工程と;を含む露光方法。
  16. 前記複数の区画領域のそれぞれは、
    一括静止露光方式で、転写形成された領域であることを特徴とする請求項15に記載の露光方法。
  17. 露光装置により物体上に順次形成された複数の区画領域の配列形状をコンピュータに推定させるプログラムであって、
    前記露光装置により前記物体上に形成された複数の区画領域について、隣接する区画領域との相対的位置ずれに関する情報を取得する第1手順と;
    前記第1手順において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定する第2手順と;をコンピュータに実行させるプログラム。
  18. 前記区画領域は、2次元平面内の互いに直交する2つの軸に沿って所定間隔でマトリクス状に配置された方形の区画領域であり、
    前記第1手順で取得する情報は、前記区画領域の一辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量と、前記一辺と直交する他辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量とを含むことを特徴とする請求項17に記載のプログラム。
  19. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1手順において取得された前記情報と、前記情報から推定された前記配列形状における隣接する区画領域間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて前記推定の結果を評価することを特徴とする請求項17又は18に記載のプログラム。
  20. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域の配列形状の推定を、前記評価関数の値が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域の配列形状の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項19に記載のプログラム。
  21. 前記所定の最適化手法は、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズム法のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載のプログラム。
  22. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1手順において取得した情報に基づいて、隣接する区画領域の中心位置に対するその区画領域の中心位置を推定する処理を、所定の順番で全ての区画領域に対して行って前記各区画領域の推定中心位置に更新していくことにより、前記複数の区画領域の配列形状を推定することを特徴とする請求項17又は18に記載のプログラム。
  23. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域の配列形状の推定を、その推定結果と前回推定結果との残差の変動が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域の配列形状の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項22に記載のプログラム。
  24. 露光装置により物体上に所定の配列で形成された複数の区画領域各々の位置情報をコンピュータに推定させるプログラムであって、
    隣接する区画領域の相対的位置ずれに関する情報を取得する第1手順と;
    前記第1手順において取得された情報を、所定の最適化手法を適用して処理することにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定する第2手順と;をコンピュータに実行させるプログラム。
  25. 前記区画領域は、2次元平面内の互いに直交する2つの軸に沿って所定間隔でマトリクス状に配置された方形の区画領域であり、
    前記第1手順で取得する情報は、前記区画領域の一辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量と、前記一辺と直交する他辺で隣接する区画領域との間における前記2つの軸方向の相対的位置ずれ量とを含み、
    前記複数の区画領域各々の位置情報には、その区画領域の前記2つの軸に関する位置座標と、前記2つの軸に直交する軸を回転軸とする回転量とを含むことを特徴とする請求24に記載のプログラム。
  26. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1手順において取得された前記情報と、前記情報から推定された前記複数の区画領域各々の位置情報に基づく隣接する区画領域間の相対的位置ずれ量との残差の総和に応じて値が増減する評価関数を用いて前記推定の結果を評価することを特徴とする請求項24又は25に記載のプログラム。
  27. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域各々の位置情報の推定を、前記評価関数の値が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域の各々の位置情報の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項26に記載のプログラム。
  28. 前記所定の最適化手法は、山登り法、最急降下法、シンプレックス法及び遺伝的アルゴリズム法のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項24〜27のいずれか一項に記載のプログラム。
  29. 前記所定の最適化手法では、
    前記第1手順において取得した情報に基づいて、隣接する区画領域の中心位置に対するその区画領域の中心位置を推定する処理を、所定の順番で全ての区画領域に対して行って前記各区画領域の推定中心位置を更新していくことにより、前記複数の区画領域各々の位置情報を推定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項24又は25に記載のプログラム。
  30. 前記所定の最適化手法は、
    前記複数の区画領域各々の位置情報の推定を、その推定結果と前回推定結果との残差の変動が所定範囲内に収束するか、その推定回数が所定回数に達するまで繰り返し行うことにより、前記複数の区画領域各々の位置情報の最適解を逐次探索する方法であることを特徴とする請求項29に記載のプログラム。
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