JP2011165915A - 露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】補正データをストリーム処理して補正モデルを作成する。
【解決手段】補正データεkを取得する都度(ステップ204)、補正モデルの作成に用いられる中間パラメータcij,i’j’,dijを更新し(ステップ205)、更新後、使用した補正データεkを消去する(ステップ207)。全ての補正データεk(k=1〜K)を収集した後、求められた中間パラメータcij,i’j’,dijを用いて補正モデルを作成する(ステップ213)。従って、補正データの記憶及び読み出し等の律速処理が省かれているので、短い時間での補正モデルの作成が可能となる。
【選択図】図10
【解決手段】補正データεkを取得する都度(ステップ204)、補正モデルの作成に用いられる中間パラメータcij,i’j’,dijを更新し(ステップ205)、更新後、使用した補正データεkを消去する(ステップ207)。全ての補正データεk(k=1〜K)を収集した後、求められた中間パラメータcij,i’j’,dijを用いて補正モデルを作成する(ステップ213)。従って、補正データの記憶及び読み出し等の律速処理が省かれているので、短い時間での補正モデルの作成が可能となる。
【選択図】図10
Description
本発明は、露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、特に、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等を製造するリソグラフィ工程で用いられる露光方法及び露光装置、並びに前記露光方法又は露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
この種の露光装置では、ウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、ウエハと総称する)上の複数のショット領域にレチクル(又はマスク)のパターンを転写するために、ウエハを保持するウエハステージが、例えばリニアモータ等により2次元方向に駆動される。ウエハステージの位置は、一般的に、長期に渡って高い安定性を有するレーザ干渉計を用いて、計測されていた。
しかし、近年、半導体素子の高集積化に伴うパターンの微細化により、重ね合わせ精度の要求が厳しくなり、レーザ干渉計のビーム路上の雰囲気の温度変化や温度勾配の影響で発生する空気揺らぎに起因する計測値の短期的な変動がオーバレイバジェット中の大きなウエイトを占めるようになった。そこで、レーザ干渉計と同程度以上の計測分解能を有し、一般的に干渉計に比べて空気揺らぎの影響を受けにくいエンコーダを、ウエハステージの位置計測装置として採用する露光装置が、先に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかるに、エンコーダでは、計測部材としてグレーティング(スケール)が用いられるため、経時的に熱的あるいは機械的な力の影響を受け、スケールが変形する。また、特許文献1に記載の露光装置などでは、ウエハステージ上面に設けられた一部のグレーティングを面位置センサの計測面としても兼用しているので、スケールの変形は、面位置センサの計測精度にも悪影響を与える。
本発明は、上述の事情の下でなされたものであり、第1の観点からすると、エネルギビームにより物体を露光して該物体上にパターンを形成する露光方法であって、前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と該移動体の外部との一方に設けられた少なくとも1つのヘッドを用いて、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光して前記移動体の位置を計測し、該移動体の位置の計測情報を用いて該計測情報を補正するための補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新する工程を含む露光方法である。
これによれば、計測情報を用いて更新された中間パラメータを用いることにより、大容量の計測情報を記憶装置等に記憶すること及び記憶装置等から読み出すことなく、補正モデルを作成することができる。従って、計測情報の記憶及び読み出し等の律速処理が省かれるので、短い時間での補正モデルの作成が可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、本発明の露光方法により、物体上にパターンを形成することと;前記パターンが形成された前記物体を現像することと;を含む第1のデバイス製造方法である。
本発明は、第3の観点からすると、エネルギビームにより物体を露光して該物体上にパターンを形成する露光装置であって、前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と;前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられ、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光する少なくとも1つのヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;前記位置計測系からの前記移動体の位置の計測情報を用いて該計測情報を補正するための補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新する制御系と;を備える露光装置である。
これによれば、制御系が計測情報を用いて更新した中間パラメータを用いることにより、大容量の計測情報を記憶装置等に記憶すること及び記憶装置等から読み出すことなく、補正モデルを作成することができる。従って、計測情報の記憶及び読み出し等の律速処理が省かれるので、短い時間での補正モデルの作成が可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、本発明の露光装置により物体上にパターンを形成することと;前記パターンが形成された前記物体を露光することと;を含む第2のデバイス製造方法である。
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図11に基づいて説明する。
図1には、一実施形態の露光装置100の構成が概略的に示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では投影光学系PLが設けられている。以下においては、投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルRとウエハWとが相対走査される走査方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
露光装置100は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU、ウエハステージWSTを有するステージ装置50、及びこれらの制御系等を備えている。図1では、ウエハステージWST上にウエハWが載置されている。
照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステム)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。照明系10の構成は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されている。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられる。
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図1における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図1では不図示、図7参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図1における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)116によって、移動鏡15(又はレチクルステージRSTの端面に形成された反射面)を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、主制御装置20(図1では不図示、図7参照)に送られる。
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、Z軸方向と平行な光軸AXに沿って配列される複数の光学素子(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられる。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する。このため、照明系10によってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、その第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上の前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。
ステージ装置50は、図1に示されるように、ベース盤12上に配置されたウエハステージWST、ウエハステージWSTの位置情報を計測する計測システム200(図7参照)、及びウエハステージWSTを駆動するステージ駆動系124(図7参照)等を備えている。計測システム200は、図7に示されるように、干渉計システム118、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180などを含む。
ウエハステージWSTは、不図示の非接触軸受、例えばエアベアリングなどにより、数μm程度のクリアランスを介して、ベース盤12の上方に支持されている。また、ウエハステージWSTは、リニアモータ等を含むステージ駆動系124(図7参照)によって、X軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動可能である。
ウエハステージWSTは、ステージ本体91と、該ステージ本体91上に搭載されたウエハテーブルWTBとを含む。このウエハテーブルWTB及びステージ本体91は、リニアモータ及びZ・レベリング機構(ボイスコイルモータなどを含む)を含む駆動系によって、ベース盤12に対し、6自由度方向(X,Y,Z,θx,θy,θz)に駆動可能に構成されている。
ウエハテーブルWTBの上面の中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。図2に示されるように、ウエハテーブルWTB上面のウエハホルダ(ウエハW)の+Y側には、計測プレート30が設けられている。この計測プレート30には、中央に基準マークFMが設けられ、基準マークFMのX軸方向の両側に一対の空間像計測スリットパターン(スリット状の計測用パターン)SLが、設けられている。そして、各空間像計測スリットパターンSLに対応して、ウエハテーブルWTBの内部には、光学系及び受光素子などが配置されている。すなわち、ウエハテーブルWTB上には、空間像計測スリットパターンSLを含む一対の空間像計測装置45A,45B(図7参照)が設けられている。
また、ウエハテーブルWTB上面には、後述するエンコーダシステムで用いられるスケールが形成されている。詳述すると、ウエハテーブルWTB上面のX軸方向(図2における紙面内左右方向)の一側と他側の領域には、それぞれYスケール39Y1,39Y2が形成されている。Yスケール39Y1,39Y2は、例えば、X軸方向を長手方向とする格子線38が所定ピッチでY軸方向に配列された、Y軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
同様に、ウエハテーブルWTB上面のY軸方向(図2における紙面内上下方向)の一側と他側の領域には、Yスケール39Y1及び39Y2に挟まれた状態で、Xスケール39X1,39X2がそれぞれ形成されている。Xスケール39X1,39X2は、例えば、Y軸方向を長手方向とする格子線37が所定ピッチでX軸方向に配列された、X軸方向を周期方向とする反射型の格子(例えば回折格子)によって構成されている。
なお、格子線37,38のピッチは、例えば1μmと設定される。図2及びその他の図においては、図示の便宜のため、格子のピッチは実際のピッチよりも大きく図示されている。
また、回折格子を保護するために、低熱膨張率のガラス板でカバーすることも有効である。ここで、ガラス板としては、厚さがウエハと同程度、例えば厚さ1mmのものを用いることができ、そのガラス板の表面がウエハ面と同じ高さ(同一面)になるよう、ウエハテーブルWTB上面に設置される。
また、ウエハテーブルWTBの−Y端面,−X端面には、図2に示されるように、後述する干渉計システムで用いられる反射面17a,反射面17bが形成されている。
また、ウエハテーブルWTBの+Y側の面には、図2に示されるように、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるCDバーと同様の、X軸方向に延びるフィデューシャルバー(以下、「FDバー」と略述する)46が取り付けられている。FDバー46の長手方向の一側と他側の端部近傍には、センターラインLLに関して対称な配置で、Y軸方向を周期方向とする基準格子(例えば回折格子)52がそれぞれ形成されている。また、FDバー46の上面には、複数の基準マークMが形成されている。各基準マークMとしては、後述するアライメント系によって検出可能な寸法の2次元マークが用いられている。
本実施形態の露光装置100では、図4及び図5に示されるように、投影光学系PLの光軸AXを通るY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で、光軸AXから−Y側に所定距離隔てた位置に検出中心を有するプライマリアライメント系AL1が配置されている。プライマリアライメント系AL1は、不図示のメインフレームの下面に固定されている。図5に示されるように、プライマリアライメント系AL1を挟んで、X軸方向の一側と他側には、基準軸LVに関してほぼ対称に検出中心が配置されるセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24とがそれぞれ設けられている。セカンダリアライメント系AL21〜AL24は、可動式の支持部材を介してメインフレーム(不図示)の下面に固定されており、駆動機構601〜604(図7参照)により、X軸方向に関してそれらの検出領域の相対位置が調整可能となっている。
本実施形態では、アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれとして、例えば画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1,AL21〜AL24のそれぞれからの撮像信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される。
干渉計システム118は、図3に示されるように、反射面17a又は17bにそれぞれ干渉計ビーム(測長ビーム)を照射し、その反射光を受光して、ウエハステージWSTのXY平面内の位置を計測するY干渉計16と、3つのX干渉計126〜128と、一対のZ干渉計43A,43Bとを備えている。詳述すると、Y干渉計16は、基準軸LVに関して対称な一対の測長ビームB41,B42を含む少なくとも3つのY軸に平行な測長ビームを反射面17a、及び後述する移動鏡41に照射する。また、X干渉計126は、図3に示されるように、光軸AXと基準軸LVとに直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LHに関して対称な一対の測長ビームB51,B52を含む少なくとも3つのX軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計127は、アライメント系AL1の検出中心にて基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LAを測長軸とする測長ビームB6を含む少なくとも2つのY軸に平行な測長ビームを反射面17bに照射する。また、X干渉計128は、Y軸に平行な測長ビームB7を反射面17bに照射する。
干渉計システム118の上記各干渉計からの位置情報は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、Y干渉計16及びX干渉計126又は127の計測結果に基づいて、ウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)のX,Y位置に加え、θx方向の回転情報(すなわちピッチング)、θy方向の回転情報(すなわちローリング)、及びθz方向の回転情報(すなわちヨーイング)も算出することができる。
また、図1に示されるように、ステージ本体91の−Y側の側面に、凹形状の反射面を有する移動鏡41が取り付けられている。移動鏡41は、図2からわかるように、X軸方向の長さがウエハテーブルWTBの反射面17aよりも長い。
移動鏡41に対向して、干渉計システム118(図7参照)の一部を構成する一対のZ干渉計43A,43Bが設けられている(図1及び図3参照)。Z干渉計43A,43Bは、それぞれ2つのY軸に平行な測長ビームB1,B2を移動鏡41に照射し、該移動鏡41を介して測長ビームB1,B2のそれぞれを、例えば投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に固定された固定鏡47A,47Bに照射する。そして、それぞれの反射光を受光して、測長ビームB1,B2の光路長を計測する。その結果より、主制御装置20は、ウエハステージWSTの4自由度(Y,Z,θy,θz)方向の位置を算出する。
本実施形態の露光装置100には、干渉計システム118とは独立に、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測するために、エンコーダシステム150を構成する複数のヘッドユニットが設けられている。
図4に示されるように、投影ユニットPUの+X側、+Y側、−X側、及びプライマリアライメント系AL1の−Y側に、4つのヘッドユニット62A、62B、62C、及び62Dが、それぞれ配置されている。また、アライメント系AL1、AL21〜AL24のX軸方向の両外側にヘッドユニット62E、62Fが、それぞれ設けられている。ヘッドユニット62A〜62Fは、支持部材を介して、投影ユニットPUを保持するメインフレーム(不図示)に吊り下げ状態で固定されている。なお、図4において、符号UPは、ウエハステージWST上にあるウエハのアンロードが行われるアンローディングポジションを示し、符号LPは、ウエハステージWST上への新たなウエハのロードが行われるローディングポジションを示す。
ヘッドユニット62A、62Cは、図5に示されるように、前述の基準軸LH上に所定間隔で配置された複数(ここでは5個)のYヘッド651〜655、Yヘッド641〜645を、それぞれ備えている。以下では、必要に応じて、Yヘッド651〜655及びYヘッド641〜645を、それぞれ、Yヘッド65及びYヘッド64とも表記する。
ヘッドユニット62A,62Cは、Yスケール39Y1,39Y2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のY軸方向の位置(Y位置)を計測する多眼のYリニアエンコーダ70A,70C(図7参照)を構成する。なお、以下では、Yリニアエンコーダを、適宜、「Yエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
ヘッドユニット62Bは、図5に示されるように、投影ユニットPUの+Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド665〜668を備えている。また、ヘッドユニット62Dは、プライマリアライメント系AL1の−Y側に配置され、基準軸LV上に間隔WDで配置された複数(ここでは4個)のXヘッド661〜664を備えている。以下では、必要に応じて、Xヘッド665〜668及びXヘッド661〜664をXヘッド66とも表記する。
ヘッドユニット62B,62Dは、Xスケール39X1,39X2を用いて、ウエハステージWST(ウエハテーブルWTB)のX軸方向の位置(X位置)を計測する多眼のXリニアエンコーダ70B,70D(図7参照)を構成する。なお、以下では、Xリニアエンコーダを、適宜、「Xエンコーダ」又は「エンコーダ」と略記する。
ここで、ヘッドユニット62A,62Cがそれぞれ備える5個のYヘッド65,64(より正確には、Yヘッド65,64が発する計測ビームのスケール上の照射点)のX軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するYスケール39Y1,39Y2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。同様に、ヘッドユニット62B,62Dがそれぞれ備える隣接するXヘッド66(より正確には、Xヘッド66が発する計測ビームのスケール上の照射点)のY軸方向の間隔WDは、露光の際などに、少なくとも1つのヘッドが、常に、対応するXスケール39X1又は39X2に対向する(計測ビームを照射する)ように定められている。
なお、ヘッドユニット62Bの最も−Y側のXヘッド665とヘッドユニット62Dの最も+Y側のXヘッド664との間隔は、ウエハステージWSTのY軸方向の移動により、その2つのXヘッド間で切り換え(つなぎ)が可能となるように、ウエハテーブルWTBのY軸方向の幅よりも狭く設定されている。
ヘッドユニット62Eは、図5に示されるように、複数(ここでは4個)のYヘッド671〜674を備えている。
ヘッドユニット62Fは、複数(ここでは4個)のYヘッド681〜684を備えている。Yヘッド681〜684は、基準軸LVに関して、Yヘッド674〜671と対称な位置に配置されている。以下では、必要に応じて、Yヘッド671〜674及びYヘッド681〜684を、それぞれYヘッド67及びYヘッド68とも表記する。
アライメント計測の際には、少なくとも各1つのYヘッド67,68が、それぞれYスケール39Y2,39Y1に対向する。このYヘッド67,68(すなわち、これらYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダ70E,70F)によってウエハステージWSTのY位置(及びθz回転)が計測される。
また、本実施形態では、セカンダリアライメント系のベースライン計測時などに、セカンダリアライメント系AL21,AL24にX軸方向で隣接するYヘッド673,682が、FDバー46の一対の基準格子52とそれぞれ対向し、その一対の基準格子52と対向するYヘッド673,682によって、FDバー46のY位置が、それぞれの基準格子52の位置で計測される。以下では、一対の基準格子52にそれぞれ対向するYヘッド673,682によって構成されるエンコーダをYリニアエンコーダ70E2,70F2(図7参照)と呼ぶ。また、識別のため、Yスケール39Y2,39Y1に対向するYヘッド67,68によって構成されるYエンコーダを、Yエンコーダ70E1、70F1と呼ぶ。
上述したエンコーダ70A〜70Fの計測値は、主制御装置20に供給される。主制御装置20は、エンコーダ70A〜70Dのうちの3つ、又はエンコーダ70E1,70F1,70B及び70Dのうちの3つの計測値に基づいて、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。ここで、Xヘッド66,Yヘッド65,64(又は68,67)の計測値(それぞれCX,CY1,CY2と表記する)は、ウエハステージWSTの位置(X,Y,θz)に対して、次式(1)〜(3)のように依存する。
CX= (pX−X)cosθz+(qX−Y)sinθz …(1)
CY1=−(pY1−X)sinθz+(qY1−Y)cosθz …(2)
CY2=−(pY2−X)sinθz+(qY2−Y)cosθz …(3)
ただし、(pX,qX),(pY1,qY1),(pY2,qY2)は、それぞれXヘッド66,Yヘッド65(又は68),Yヘッド64(又は67)のX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。そこで、主制御装置20は、3つのヘッドの計測値CX,CY1,CY2を連立方程式(1)〜(3)に代入し、それらを解くことにより、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。この算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
CY1=−(pY1−X)sinθz+(qY1−Y)cosθz …(2)
CY2=−(pY2−X)sinθz+(qY2−Y)cosθz …(3)
ただし、(pX,qX),(pY1,qY1),(pY2,qY2)は、それぞれXヘッド66,Yヘッド65(又は68),Yヘッド64(又は67)のX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。そこで、主制御装置20は、3つのヘッドの計測値CX,CY1,CY2を連立方程式(1)〜(3)に代入し、それらを解くことにより、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。この算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
また、主制御装置20は、リニアエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(ウエハステージWST)のθz方向の回転を制御する。ここで、リニアエンコーダ70E,70Fの計測値(それぞれCY1,CY2と表記する)は、FDバー46の(X,Y,θz)位置に対し、式(2)、(3)のように依存する。従って、FDバー46のθz位置は、計測値CY1,CY2より、次式(4)のように求められる。
sinθz=−(CY1−CY2)/(pY1−pY2) …(4)
ただし、簡単のため、qY1=qY2を仮定した。
ただし、簡単のため、qY1=qY2を仮定した。
なお、各エンコーダヘッド(Yヘッド、Xヘッド)として、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されている回折干渉型のエンコーダヘッドを用いることができる。この種のエンコーダヘッドでは、2つの計測ビームを対応するスケール(グレーティング)に照射し、それぞれの戻り光(グレーティングで発生した回折光)を1つの干渉光に合成して受光し、その干渉光の強度を光検出器を用いて計測する。その干渉光の強度変化より、スケールの計測方向(回折格子の周期方向)への変位を計測する。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図4及び図6に示されるように、照射系90a及び受光系90bから成る多点焦点位置検出系(以下、「多点AF系」と略述する)が設けられている。多点AF系としては、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式を採用している。本実施形態では、一例として、前述のヘッドユニット62Eの−X端部の+Y側に照射系90aが配置され、これに対峙する状態で、前述のヘッドユニット62Fの+X端部の+Y側に受光系90bが配置されている。なお、多点AF系(90a,90b)は、投影ユニットPUを保持するメインフレームの下面に固定されている。
図4及び図6では、それぞれ検出ビームが照射される複数の検出点が、個別に図示されず、照射系90a及び受光系90bの間でX軸方向に延びる細長い検出領域(ビーム領域)AFとして示されている。検出領域AFは、X軸方向の長さがウエハWの直径と同程度に設定されているので、ウエハWをY軸方向に1回スキャンするだけで、ウエハWのほぼ全面でZ軸方向の位置情報(面位置情報)を計測できる。
図6に示されるように、多点AF系(90a,90b)の検出領域AFの両端部近傍に、基準軸LVに関して対称な配置で、面位置計測システム180の一部を構成する各一対のZ位置計測用のヘッド(以下、「Zヘッド」と略述する)72a,72b、及び72c,72dが設けられている。これらのZヘッド72a〜72dは、不図示のメインフレームの下面に固定されている。
Zヘッド72a〜72dとしては、例えば、CDドライブ装置などで用いられる光ピックアップと同様の光学式変位センサのヘッドが用いられる。Zヘッド72a〜72dは、ウエハテーブルWTBに対し上方から計測ビームを照射し、その反射光を受光して、照射点におけるウエハテーブルWTBの面位置を計測する。なお、本実施形態では、Zヘッドの計測ビームは、前述のYスケール39Y1,39Y2を構成する反射型回折格子によって反射される構成が採用されている。
さらに、前述のヘッドユニット62A,62Cは、図6に示されるように、それぞれが備える5つのYヘッド65j,64i(i,j=1〜5)と同じX位置に、ただしY位置をずらして、それぞれ5つのZヘッド76j,74i(i,j=1〜5)を備えている。そして、ヘッドユニット62A,62Cのそれぞれに属する5つのZヘッド76j,74iは、互いに基準軸LVに関して対称に配置されている。なお、各Zヘッド76j,74iとしては、前述のZヘッド72a〜72dと同様の光学式変位センサのヘッドが採用される。
上述したZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765は、図7に示されるように、信号処理・選択装置170を介して主制御装置20に接続されており、主制御装置20は、信号処理・選択装置170を介してZヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765の中から任意のZヘッドを選択して作動状態とし、その作動状態としたZヘッドで検出した面位置情報を信号処理・選択装置170を介して受け取る。本実施形態では、Zヘッド72a〜72d,741〜745,761〜765と、信号処理・選択装置170とを含んでウエハステージWSTのZ軸方向及びXY平面に対する傾斜方向の位置情報を計測する面位置計測システム180が構成されている。
本実施形態では、主制御装置20は、面位置計測システム180(図7参照)を用いて、ウエハステージWSTの有効ストローク領域、すなわち露光及びアライメント計測のためにウエハステージWSTが移動する領域において、その2自由度方向(Z,θy)の位置座標を計測する。
主制御装置20は、露光時には、少なくとも各1つのZヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値に基づいて、テーブル面上の基準点(テーブル面と光軸AXとの交点)における、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ここで、Zヘッド74i,76j(i,jは1〜5のいずれか)の計測値(それぞれZL,ZRと表記する)は、ウエハステージWSTの(Z0,θx,θy)位置に対して、次式(5),(6)のように依存する。
ZL=−tanθy・pL+tanθx・qL+Z0 …(5)
ZR=−tanθy・pR+tanθx・qR+Z0 …(6)
ただし、スケール表面を含めウエハテーブルWTBの上面は、理想的な平面だとする。なお、(pL,qL),(pR,qR)は、それぞれZヘッド74i,76jのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。式(5)、(6)より、次式(7)、(8)が導かれる。
ZR=−tanθy・pR+tanθx・qR+Z0 …(6)
ただし、スケール表面を含めウエハテーブルWTBの上面は、理想的な平面だとする。なお、(pL,qL),(pR,qR)は、それぞれZヘッド74i,76jのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。式(5)、(6)より、次式(7)、(8)が導かれる。
Z0=〔ZL+ZR−tanθx・(qL+qR)〕/2 …(7)
tanθy=〔ZL−ZR−tanθx・(qL−qR)〕/(pR−pL) …(8)
従って、主制御装置20は、Zヘッド74i,76jの計測値ZL,ZRを用いて、式(7)、(8)より、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
tanθy=〔ZL−ZR−tanθx・(qL−qR)〕/(pR−pL) …(8)
従って、主制御装置20は、Zヘッド74i,76jの計測値ZL,ZRを用いて、式(7)、(8)より、ウエハステージWSTの高さZ0とローリングθyを算出する。ただし、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
主制御装置20は、フォーカスキャリブレーションとフォーカスマッピング時には、4つのZヘッド72a〜72dの計測値(それぞれZa,Zb,Zc,Zdと表記する)を用いて、多点AF系(90a,90b)の複数の検出点の中心(X,Y)=(Ox’,Oy’)におけるウエハテーブルWTBの高さZ0とローリングθyを、次式(9)(10)より、算出する。
Z0=(Za+Zb+Zc+Zd)/4 …(9)
tanθy=−(Za+Zb−Zc−Zd)/(pa+pb−pc−pd) …(10)
ここで、(pa,qa),(pb,qb),(pc,qc),(pd,qd)はそれぞれZヘッド72a〜72dのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。ただし、pa=pb,pc=pd,qa=qc,qb=qd,(pa+pc)/2=(pb+pd)/2=Ox’,(qa+qb)/2=(qc+qd)/2=Oy’とする。なお、先と同様に、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
tanθy=−(Za+Zb−Zc−Zd)/(pa+pb−pc−pd) …(10)
ここで、(pa,qa),(pb,qb),(pc,qc),(pd,qd)はそれぞれZヘッド72a〜72dのX,Y設置位置(より正確には計測ビームの照射点のX,Y位置)である。ただし、pa=pb,pc=pd,qa=qc,qb=qd,(pa+pc)/2=(pb+pd)/2=Ox’,(qa+qb)/2=(qc+qd)/2=Oy’とする。なお、先と同様に、ピッチングθxは、別のセンサシステム(本実施形態では干渉計システム118)の計測結果を用いる。
図7には、露光装置100の制御系の主要な構成が示されている。この制御系は、装置全体を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る主制御装置20を中心として構成されている。
上述のようにして構成された本実施形態の露光装置では、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書の実施形態中に開示されている手順と同様の手順に従って、ウエハステージWSTを用いた通常のシーケンスの処理が、主制御装置20によって実行される。なお、これについては後述する。
Yスケール39Y1,39Y2及びXスケール39X1,39X2を構成する回折格子(所定のピッチで配列された無数の格子線38,37)は、製作の段階で設計値通りに正確に、特に格子ピッチを例えばマイクメートル(μm)のオーダーで正確に設定することは必ずしも容易ではなく、また、長時間の使用において、熱的あるいは機械的な力の作用により歪むことがある。かかるスケールの歪み(リニアリティ誤差)は、現在(及び将来)における最もクリティカルなレイヤのパターンを対象とする場合に、露光装置に要求される重ね合わせ精度を考慮すると、無視できないレベルのエンコーダシステム150(エンコーダヘッド)の計測誤差の要因となり得る。また、Yスケール39Y1,39Y2(を構成する反射型回折格子)の表面は、必ずしも理想的な平面ではなく、また経時的に変形することもある。かかるスケール表面の凹凸は、上述の場合に、無視できないレベルの面位置計測システム180(Zヘッド)の計測誤差の要因となるおそれがある。
そこで、本実施形態では、主制御装置20が、露光装置100の起動時等にエンコーダシステム150の計測誤差を補正するための補正モデル(補正値を求めるための計算に用いる)を作成し、露光装置100の稼働中、その補正モデルを用いてエンコーダシステム150の計測誤差を補正して、ウエハステージWSTの位置計測精度を保障する。また、主制御装置20は、露光装置100の起動時等に面位置計測システム180の計測誤差を補正するための補正モデルを作成し、露光装置100の稼働中、その補正モデルを用いて面位置計測システム180の計測誤差を補正して、ウエハステージWSTの位置計測精度を保障する。以下、これらについて詳細に説明する。
主制御装置20は、露光装置100の起動時等に、Xヘッド66に対する補正モデルを作成するために、補正データεX(εX1,εX2)を収集する。具体的には、干渉計システム118を用いて得られるウエハステージWSTのX,Y,θz位置を計測し、この計測結果(それぞれξ,ζ,σと表記する)を、それぞれ、式(1)のX,Y,θzに代入し、Xヘッド66の計測値CXを予測する。そして、Xヘッド66の計測値CXとその予測値(ΓXと表記する)との差εX=CX−ΓXを、補正データとして、Xスケール39X1又は39X2上のXヘッド66の計測ビームの照射点のx,y位置に対して、収集する。ここで、照射点のx,y位置は、干渉計システム118の計測結果(ξ,ζ,σ)から換算される。ただし、Xヘッド665〜668、すなわちXスケール39X1に対して収集された差εXをεX1、Xヘッド661〜664、すなわちXスケール39X2に対して収集された差εXをεX2、とする。
主制御装置20は、露光装置100の起動時等に、Yヘッド65,64に対する補正モデルを作成するために、補正データεY1,εY2を収集する。具体的には、主制御装置20は、干渉計システム118を用いて得られるウエハステージWSTの位置計測結果ξ,ζ,σを、それぞれ、式(2)、(3)のX,Y,θzに代入し、Yヘッド65,64の計測値CY1,CY2を予測する。そして、主制御装置20は、Yヘッド65,64の計測値CY1,CY2とそれらの予測値(それぞれ、ΓY1,ΓY2と表記する)との差εY1=CY1−ΓY1,εY2=CY2−ΓY2を、補正データとして、それぞれ、Yスケール39Y1,39Y2上のYヘッド65,64の計測ビームの照射点のx,y位置に対して、収集する。
また、主制御装置20は、露光装置100の起動時等に、Yヘッド68,67に対する補正モデルを作成するための補正データεY1,εY2も、Yヘッド65,64に対するそれらと同様に収集する。
同様に、主制御装置20は、露光装置100の起動時等に、面位置計測システム180のZヘッド76,72c,72dに対する補正モデルを作成するために、補正データεZ1を収集する。具体的には、主制御装置20は、干渉計システム118を用いて得られるウエハステージWSTのZ、θy、θx位置を計測し、その計測結果(それぞれη,σy,σxと表記する)を、それぞれ、式(6)のZ0,θy,θxに代入し、Zヘッド76,72c,72dの計測値ZRを予測する。そして、主制御装置20は、Zヘッド76,72c,72dの計測値ZRとその予測値(ΓZ1と表記する)との差εZ1=ZR−ΓZ1を、補正データとして、Yスケール39Y1上のZヘッド76,72c,72dの計測ビームの照射点のx,y位置に対して、収集する。
主制御装置20は、同様に、露光装置100の起動時等に、Zヘッド74,72a,72bに対する補正モデルを作成するために、補正データεZ2を収集する。具体的には、主制御装置20は、干渉計システム118を用いて得られるウエハステージWSTの位置計測結果η,σy,σxを、それぞれ、式(5)のZ0,θy,θxに代入し、Zヘッド74,72a,72bの計測値ZLを予測する。そして、主制御装置20は、Zヘッド74,72a,72bの計測値ZLとその予測値(ΓZ2と表記する)との差εZ2=ZR−ΓZ2を、補正データとして、Yスケール39Y2上のZヘッド74,72a,72bの計測ビームの照射点のx,y位置に対して、収集する。
主制御装置20は、上述した露光装置100の起動時等における、補正データεX1,εX2,εY1,εY2,εZ1,εZ2の収集の際には、ウエハステージWSTを、後述する露光装置100の通常のシーケンス、すなわち露光工程、アライメント工程、フォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)等の処理時にウエハステージWSTが移動する移動領域内で駆動する。
例えば、図8(A)に示されるように露光工程時の移動領域内でウエハステージWSTを駆動することにより、露光工程時に使用されるXヘッド66、Yヘッド65,64、及びZヘッド76,74に対する補正データが収集される。図8(A)に示される状況では、Xヘッド665、Yヘッド653,643、及びZヘッド763,743に対する補正データが収集されている。また、図8(B)に示されるようにアライメント工程時の移動領域内でウエハステージWSTを駆動することにより、アライメント時(アライメントマークの検出時)に使用されるXヘッド66及びYヘッド68,67に対する補正データが収集される。図8(B)に示される状況では、Xヘッド662及びYヘッド673,682に対する補正データが収集されている。また、図9に示されるようにフォーカスマッピング時(及びフォーカスキャリブレーション時)の移動領域内でウエハステージWSTを駆動することにより、これらの処理時に使用されるZヘッド72a〜72dに対する補正データが収集される。
なお、補正データの収集中、主制御装置20は、干渉計システム118を用いてウエハステージWSTの姿勢(θx,θy位置)を計測し、それらの結果(σy,σx)を用いてウエハステージWSTを基準姿勢(θx=θy=0)に維持する。
また、主制御装置20は、補正データの収集を、露光装置100の起動時に限らず、露光工程、アライメント工程、フォーカスマッピング(及びフォーカスキャリブレーション)等の処理時に並行して、行うこともできる。
また、主制御装置20は、高精度な補正モデルを作成するために、補正データを選別して収集する。例えば、スケールの歪み及び凹凸に特徴がある場合、それを再現する適当なモデルを仮定する。このモデルから推測される補正データεに対応する量を、ε’と表記する。主制御装置20は、収集される補正データεと対応するモデルε’との差ε−ε’が大きいスケール上の領域について、その他の領域より多くの補正データεを収集する。あるいは、主制御装置20は、差ε−ε’の位置(x,y)についての変化が著しいスケール上の領域について、その他の領域より多くの補正データを収集する。
また、本実施形態では、干渉計システム118を、エンコーダシステム150及び面位置計測システム180を補正するための基準計測系として使用している。ここで、干渉計を用いた計測では、その測長ビームの光路上の雰囲気の温度変化と温度勾配とによって発生する空気の揺らぎにより、計測誤差が発生し得る。そこで、主制御装置20は、ウエハステージWSTを、空気の揺らぎによる計測誤差が発生しない、あるいは十分無視できる程度での速度(及び加速度)で駆動する。
主制御装置20は、上述のように収集される補正データε(εX1,εX2,εY1,εY2)をストリーム処理して、エンコーダシステム150を構成する各ヘッド66,65,64,68,67の計測誤差を補正するための補正モデルを作成する。
補正モデルの作成原理を考える。1つ目の例として、補正モデルに対して、スケール上のx,y位置(計測ビームの照射点のx,y位置)の関数である試行関数ΔC(x,y)を与える。ここで、試行関数を、Xスケール39X1,39X2及びYスケール39Y1,39Y2に対応して、それぞれ、ΔCX1,ΔCX2,ΔCY1,ΔCY2と表記する。試行関数として、例えば、関数ΔC(x,y)=Σ0≦i≦I,0≦j≦Jaijxiyjを与える。主制御装置20は、試行関数に含まれる未定係数aij(0≦i≦I,0≦j≦J)を、収集された補正データεを用いて最小自乗決定する。すなわち、自乗誤差S=Σk=1〜K|εk−ΔC(xk,yk)|2wkが極小値を取るように未定係数aij(0≦i≦I,0≦j≦J)を決定する。ただし、K個の位置xk,ykに対する補正データεkが収集されるものとした。ここで、K≧(I+1)(J+1)である。また、wkは補正データεkに対する重みである。
未定係数aij(0≦i≦I,0≦j≦J)は、例えば、連立方程式dS/daij=0(0≦i≦I,0≦j≦J)を解くことによって求めることができる。連立方程式は、線形代数方程式Σ0≦i’≦I,0≦j’≦Jcij,i’j’ai’j’=dij(0≦i≦I,0≦j≦J)の形に書き換えることができる。ただし、cij,i’j’=Σk=1〜Kxk i+i’yk j+j’wk、dij=Σk=1〜Kεkxk iyk jwkである。
そこで、主制御装置20(内のCPU)は、図10のフローチャートに対応する処理アルゴリズムに従って、補正データε(εX1,εX2,εY1,εY2)をストリーム処理する。
まず、図10のステップ201において、カウンタk及び中間パラメータcij,i’j’,dijを初期化する(k←1、cij,i’j’←0、dij←0)。
次のステップ203では、k番目の補正データεkが計測系(エンコーダシステム150)から送られ、取得可能な状況に成るのを待つ。そして、取得可能な状況になると、ステップ204に進んで、k番目の補正データεkを計測ビームの照射点のx,y位置(xk,yk)に対して取得する、例えばメインメモリ内に取り込んだ後、次のステップ205に移行する。
次のステップ205では、ステップ203において収集した補正データεkを用いて係数Δcij,i’j’=xk i+i’yk j+j’wk、Δdij=εkxk iyk jwkを求め、それぞれ、中間パラメータcij,i’j’,dijに加えて更新する。
次のステップ207において、中間パラメータcij,i’j’,dijの更新に用いた補正データεk及びxk,ykを消去する、例えばメインメモリ内から消去し、更新した中間パラメータのみメインメモリ内に保持する。
次のステップ209では、所定数Kの補正データεkが収集されたことを確認する。このステップ209における判断が否定された場合には、ステップ211に移行してカウンタk(の値)を1インクリメントし(k←k+1)、ステップ203に戻る。そして、ステップ209における判断が肯定されるまで、補正データεkの取得(ステップ203、204)、中間パラメータcij,i’j’,dijの更新(ステップ205)、補正データεkの消去(ステップ207)を繰り返す。ステップ209における判断が肯定されると、補正データεkの収集及び中間パラメータcij,i’j’,dijの更新が終了し、ステップ213に移行する。
最後のステップ213では、中間パラメータcij,i’j’,dijを用いて線形代数方程式Σ0≦i’≦I,0≦j’≦Jcij,i’j’ai’j’=dij(0≦i≦I,0≦j≦J)を解いて、未定係数aij(0≦i≦I,0≦j≦J)を決定する。これにより、補正モデルΔC(ΔCX1,ΔCX2,ΔCY1,ΔCY2)が作成され、ストリーム処理が完了する。
2つ目の例として、マップ形式の補正モデルを作成する。この場合、スケール表面をI×Jの区画Sij(1≦i≦I,1≦j≦J)に区画化し、各区画Sijに対する離散値ΔCijの集合を用いて、すなわち離散関数として補正モデルΔC(ΔCX1,ΔCX2,ΔCY1,ΔCY2)を表現する。ただし、各区画Sijのx,y中心位置をそれぞれxi,yj、隣接する区画Sijのx,y中心間距離をそれぞれΔx,Δyとする。すなわち、区画Sijは、中心位置xi,yjに位置する幅Δx,Δyの矩形状の領域である。
離散値ΔCijは、収集された補正データεk(k=1〜K)のうち、同じ区画Sijに対応する補正データ(xk,ykが同じ区画Sijに属する補正データ)を平均することによって求めることができる。ここで、区画Sij(1≦i≦I,1≦j≦J)のそれぞれに対して少なくとも1つの補正データが収集されているものとする。従って、K≧I×Jである。
そこで、主制御装置20(内のCPU)は、図11のフローチャートに対応する処理アルゴリズムに従って、フローチャートに沿って、補正データε(εX1,εX2,εY1,εY2)をストリーム処理する。
まず、図11のステップ301では、カウンタk及び中間パラメータcij,Nijを初期化する(k←1、cij←0、Nij←0)。
次のステップ303では、k番目の補正データεkが計測系(エンコーダシステム150)から送られ、取得可能な状況に成るのを待つ。そして、取得可能な状況になると、ステップ304に進んで、k番目の補正データεkを計測ビームの照射点のx,y位置(xk,yk)に対して取得する、例えばメインメモリ内に取り込んだ後、次のステップ305に移行する。
次のステップ305では、ステップ303において収集した補正データεkの値をxk,ykが属する区画Sij(xi−Δx/2≦xk≦xi+Δx/2,yj−Δy/2≦yk≦yj+Δy/2)に対応する中間パラメータcijに加えるとともに、中間パラメータNijの値を1増加して、両中間パラメータcij,Nijを更新する。
次のステップ307において、主制御装置20は、中間パラメータcij,Nijの更新に用いた補正データεk及びxk,ykを消去する、例えばメインメモリ内から消去し、更新した中間パラメータのみメインメモリ内に保持する。
次のステップ309では、主制御装置20は、所定数Kの補正データεkが収集されたことを確認する。否の場合、主制御装置20は、ステップ311に移行してカウンタk(の値)を1インクリメントし(k←k+1)、ステップ303に戻る。そして、ステップ309における判断が肯定されるまで、補正データεkの取得(ステップ303)、中間パラメータcij,Nijの更新(ステップ305)、補正データεkの消去(ステップ307)を繰り返す。ステップ309における判断が肯定されると、補正データεkの収集及び中間パラメータcij,Nijの更新が終了し、ステップ313に移行する。
最後のステップ313では、中間パラメータcij,Nijを用いて全ての区画Sij(1≦i≦I,1≦j≦J)に対応する離散値ΔCij=cij/Nijを求める。これにより、補正モデルΔC(ΔCX1,ΔCX2,ΔCY1,ΔCY2)が作成され、ストリーム処理が完了する。
以上のように、ストリーム処理の2つの例のいずれにおいても、補正データεk(k=1〜K)を取得する都度、中間パラメータcij,i’j’,dij又はcij,Nijを更新し、更新後、使用した補正データεkを消去する。例えば、補正データをメインメモリ内に取り込む都度、中間パラメータを更新し、更新後、使用した補正データを主記憶装置から消去し、更新された中間パラメータのみメインメモリ内に保持する。すなわち、収集した補正データεkをハードディスク等の記憶装置に記憶及び読み出すことなく、補正モデルΔCを作成する。
同様に、主制御装置20は、上述のように収集される補正データεZ1,εZ2をストリーム処理して、面位置計測システム180を構成する各Zヘッド76,74,72a〜72dの計測誤差を補正するための補正モデルΔZ1,ΔZ2を作成する。
ウエハステージWSTを駆動するに際し、主制御装置20は、例えば、作成された補正モデルΔCX1(x,y)を用いて、Xヘッド665〜668の計測情報CX1を、〈CX1〉=CX1−ΔCX1(x,y)と補正する。ここで、x,yは、Xスケール39X1上のXヘッド665〜668の計測ビームの照射点の位置である。なお、前述の2つ目の例のようにマップ形式で与えられた補正モデルを用いる場合、x,yが属する区画Sijに対応する離散値ΔCijが、補正モデルΔCX1(x,y)の値として与えられる。このように補正された各ヘッドの計測情報〈CX1〉又は〈CX2〉,〈CY1〉,〈CY2〉を、連立方程式(1)〜(3)内のCX,CY1,CY2に代入し、方程式を解くことにより、ウエハステージWSTのXY平面内での位置(X,Y,θz)を算出する。この算出結果に基づいて、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
また、ウエハステージWSTを駆動するに際し、主制御装置20は、作成された補正モデルΔZ1(x,y)を用いて、Zヘッド76,72c,72dの計測情報ZRを、〈ZR〉=ZR−ΔZ1(x,y)と補正する。ここで、x,yは、Yスケール39Y1上のZヘッド76,72c,72dの計測ビームの照射点の位置である。同様に、作成された補正モデルΔZ2(x,y)を用いて、Zヘッド74,72a,72bの計測情報ZLを、〈ZL〉=ZL−ΔZ2(x,y)と補正する。ここで、x,yは、Yスケール39Y2上のZヘッド74,72a,72bの計測ビームの照射点の位置である。このように補正された各ヘッドの計測情報〈ZR〉,〈ZL〉を、式(7)、(8)内のZR,ZLに代入して、ウエハステージWSTのZ,θy位置を算出する。Zヘッド72a〜72dに対しては、式(9)、(10)内のZa〜Zdに代入して、ウエハステージWSTのZ,θy位置を算出する。この算出結果に従って、ウエハステージWSTを駆動(位置制御)する。
なお、補正モデルΔCX1は、Xスケール39X1に対向するXヘッド665〜668について使用する共通のモデルとして作成しても良い。同様に、補正モデルΔCX2,ΔCY1,及びΔCY2は、それぞれ、Xスケール39X2、Yスケール39Y1,及び39Y2に対向するXヘッド661〜664,Yヘッド65,68,及び64,67について使用する共通のモデルとして作成しても良い。また、補正モデルΔZ1,ΔZ2は、それぞれ、Yスケール39Y1,39Y2に対向するZヘッド76,74について使用する共通のモデルとして作成しても良い。
また、露光工程中及びアライメント計測工程中、特に異常が発生しない限り、ウエハステージWSTは一定の軌道上を移動する。従って、個々のヘッドが計測ビームを照射するスケール上の領域は、一部の領域に限られる。そこで、補正モデルを、個々のヘッドについて使用する個別のモデルとして作成しても良い。
ここで、主制御装置20によって実行されるウエハステージWSTを用いた通常のシーケンスの処理について説明する。
アンローディングポジションUP(図4参照)にウエハステージWSTがあるときに、ウエハWがアンロードされ、ローディングポジションLP(図4参照)に移動したときに、新たなウエハWがウエハテーブルWTB上にロードされる。アンローディングポジションUP、ローディングポジションLP近傍では、ウエハステージWSTの6自由度の位置は、干渉計システム118の計測値に基づいて制御されている。このとき、X干渉計128が用いられる。
ローディング終了後、ウエハステージWSTを移動して、計測プレート30の基準マークFMをプライマリアライメント系AL1で検出するプライマリアライメント系AL1のベースラインチェック前半の処理が行われる。これと前後して、エンコーダシステム及び干渉計システムの原点の再設定(リセット)が行われる。
その後、エンコーダシステム150及びZヘッド72a〜72dを用いてウエハステージWSTの6自由度方向の位置を計測しつつ、アライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて、ウエハW上の複数のサンプルショット領域のアライメントマークを検出するアライメント計測が実行され、これと並行して多点AF系(90a、90b)を用いてフォーカスマッピング(Zヘッド72a〜72dの計測値を基準とする、ウエハWの面位置(Z位置)情報の計測)が行われる。そして、これらアライメント計測及びフォーカスマッピングのためのウエハステージWSTの+Y方向への移動中に、計測プレート30が投影光学系PLの直下に達したとき、空間像計測装置45A,45Bを用いてレチクルR上の一対のアライメントマークをスリットスキャン方式で計測する、プライマリアライメント系AL1のベースラインチェック後半の処理が行われる。
その後、アライメント計測及びフォーカスマッピングが続行される。
そして、アライメント計測及びフォーカスマッピングが終了すると、アライメント計測の結果求められるウエハ上の各ショット領域の位置情報と、最新のアライメント系のベースラインとに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の複数のショット領域が露光され、レチクルのパターンが転写される。露光動作中、フォーカスマッピングにより得られた情報に基づいて、ウエハWのフォーカスレベリング制御が行われる。なお、露光中のウエハのZ、θyは、Zヘッド74,76の計測値に基づいて制御されるが、θxは、Y干渉計16の計測値に基づいて制御される。
なお、セカンダリアライメント系AL21〜AL24のベースライン計測は、適宜なタイミングで、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される方法と同様に、前述のエンコーダ70E2,70F2の計測値に基づいて、FDバー46(ウエハステージWST)のθz回転を調整した状態で、アライメント系AL1、AL21〜AL24を用いて、それぞれの視野内にあるFDバー46上の基準マークMを同時に計測することで行われる。
上述のようにして、ウエハステージWSTを用いた一連の処理が行われる。
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100では、補正データを取得する都度(例えばメインメモリ内に取り込む都度)、補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新し、更新後、使用した補正データを消去する(メインメモリから消去する)。全ての補正データを収集した後、求められた中間パラメータを用いて補正モデルを作成する。従って、本実施形態では、従来のように、補正データを収集して記憶装置(ハードディスクなど)内に蓄積し、全補正データ(膨大な量の補正データ)を収集(蓄積)後、記憶装置内からその膨大な量の補正データを読み出して補正モデルを作成する場合と異なり、補正データの記憶装置内への記憶及び記憶装置内からの読み出し等の処理を行う必要がない。従って、従来に比べて、格段短い時間での補正モデルの作成が可能となる。さらに、短時間で補正モデルを作成できるので、短時間での露光装置100の起動、メンテナンス等が可能となり、ウエハステージWSTの高い位置制御精度を常時維持することが可能となる。
なお、上記実施形態では、補正データを取得する都度、補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新する場合について説明したが、これに限らず、一定量の補正データを収集する毎に中間パラメータを更新することとしても良い。この場合、最大、メインメモリの容量の補正データがメインメモリ内に蓄積されることとなる。
また、上記実施形態では、主制御装置20が補正データの収集及び中間パラメータの更新を行うよう制御系が構成されているが、主制御装置20以外の装置が、補正データの収集及び中間パラメータの更新等を行う構成の制御系を採用しても良い。例えば、図12(A)に示されるように、位置計測系(干渉計システム118、エンコーダシステム150、面位置計測システム180)の計測情報を主制御装置20に転送する通信ルート21上に演算装置22を配置し、演算装置22が補正データの収集及び中間パラメータの更新を行う構成の制御系を採用することができる。この場合、演算装置22は、それが備えるメインメモリ内に補正データを取り込み、中間パラメータの更新後、更新された中間パラメータのみメインメモリ内に保持し、使用済みの補正データをメインメモリから消去する。従って、演算装置22から主制御装置20へ、位置計測系の計測情報と更新された中間パラメータが転送される。さらに、演算装置22が、あるいは演算装置22と主制御装置20の間に配置された別の演算装置が、更新された中間パラメータを用いて補正モデルを作成し、作成した補正モデルを主制御装置20に転送することとしても良い。
この他、図12(B)に示されるように、位置計測系と独立に演算装置22を配置し、主制御装置20が演算装置22に補正データを転送し、演算装置22が転送された補正データを用いて中間パラメータを更新するよう制御系を構成することも可能である。この場合、主制御装置20は、補正モデルを作成する時のみ、演算装置22に補正データを転送する。さらに、演算装置22によって更新された中間パラメータを用いて補正モデルを作成し、作成した補正モデルを主制御装置20に転送する別の演算装置を配置することとしても良い。
なお、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に設けられた格子部(Yスケール、Xスケール)の歪み(リニアリティ誤差)に起因するエンコーダの計測誤差の補正を行う場合に、本発明が適用された場合について例示したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。エンコーダには、上記の格子部の歪み(リニアリティ誤差)に起因する計測誤差の他、スケールが設けられるウエハテーブル(ウエハステージ)の位置に起因する位置起因誤差、及びヘッド起因誤差などの種々の計測誤差がある。このうち、例えば、非計測方向に関するヘッドとスケールの相対位置変化に起因するエンコーダの計測誤差を補正する場合などにも、本発明を好適に適用することができる。
なお、上記実施形態で説明したエンコーダシステムなどの各計測装置の構成は一例に過ぎず、本発明がこれに限定されないことは勿論である。例えば、上記実施形態では、ウエハテーブル(ウエハステージ)上に格子部(Yスケール、Xスケール)を設け、これに対向してXヘッド、Yヘッドをウエハステージの外部に配置する構成のエンコーダシステムを採用した場合について例示したが、これに限らず、例えば米国特許出願公開第2006/0227309号明細書などに開示されているように、ウエハステージにエンコーダヘッドを設け、これに対向してウエハステージの外部に格子部(例えば2次元格子又は2次元に配置された1次元の格子部)を配置する構成のエンコーダシステムを採用しても良い。この場合において、Zヘッドもウエハステージに設け、その格子部の面を、Zヘッドの計測ビームが照射される反射面としても良い。
また、上記実施形態では、例えばヘッドユニット62A,62Cの内部にエンコーダヘッドとZヘッドとが、別々に設けられている場合について説明したが、エンコーダヘッドとZヘッドとの機能を備えた単一のヘッドを、エンコーダヘッドとZヘッドの組に代えて用いても良い。
また、上記実施形態では、本発明が、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば欧州特許出願公開第1420298号明細書、国際公開第2004/055803号、米国特許第6,952,253号明細書などに開示されているように、投影光学系とウエハとの間に照明光の光路を含む液浸空間を形成し、投影光学系及び液浸空間の液体を介して照明光でウエハを露光する露光装置にも本発明を適用することができる。また、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される、液浸露光装置などにも、本発明を適用することができる。この米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示される液浸露光装置では、ウエハステージに設けられたグレーティング(スケール)に計測ビームを照射し、その反射光を受光することによって、グレーティングの周期方向に関するヘッドとスケールとの間の相対位置を計測するエンコーダシステムが採用されている。このため、液浸液(液体)によって形成される液浸領域がスケール上を覆うことがある。この時、液浸液(液体)とスケールとの間で熱の移動が起こり、スケールに熱応力が加わり得るので、露光装置の稼働中に、スケールの歪み状態が変化することも考えられる。従って、この露光装置には、上記実施形態で説明したように、通常の露光装置のシーケンス中に、前述のずれを収集し、補正モデルを作成する本発明の手法は、特に好適に適用することができる。
また、上記実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式等の走査型露光装置に本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置を上記実施形態と同様に、エンコーダを用いて計測することができるので、同様の効果を得ることができる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置、プロキシミティー方式の露光装置、又はミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明は適用することができる。さらに、例えば米国特許第6,590,634号明細書、米国特許第5,969,441号明細書、米国特許第6,208,407号明細書などに開示されているように、複数のウエハステージを備えたマルチステージ型の露光装置にも本発明を適用できる。また、例えば米国特許第7,589,822号明細書などに開示されているように、ウエハステージとは別に、計測部材(例えば、基準マーク、及び/又はセンサなど)を含む計測ステージを備える露光装置にも本発明は適用が可能である。
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。また、前述の照明領域及び露光領域はその形状が矩形であるものとしたが、これに限らず、例えば円弧、台形、あるいは平行四辺形などでも良い。
なお、上記実施形態の露光装置の光源は、ArFエキシマレーザに限らず、KrFエキシマレーザ(出力波長248nm)、F2レーザ(出力波長157nm)、Ar2レーザ(出力波長126nm)、Kr2レーザ(出力波長146nm)などのパルスレーザ光源、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプなどを用いることも可能である。また、YAGレーザの高調波発生装置などを用いることもできる。この他、例えば米国特許7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、上記実施形態では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用することができる。この他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。
また、例えば干渉縞をウエハ上に形成することによって、ウエハ上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものではなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
本発明の露光方法及び装置は、物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、半導体素子又は液晶表示素子などの電子デバイスを製造するのに適している。
10…照明系、20…主制御装置、21…通信ルート、22…演算装置、39X1,39X2…Xスケール、39Y1,39Y2…Yスケール、50…ステージ装置、62A〜62F…ヘッドユニット、64,65…Yヘッド、66…Xヘッド、67,68…Yヘッド、70A,70C…Yエンコーダ、70B,70D…Xエンコーダ、72a〜72d,74,76…Zヘッド、100…露光装置、118…干渉計システム、124…ステージ駆動系、150…エンコーダシステム、180…面位置計測システム、IL…照明光(露光光)PL…投影光学系、R…レチクル、W…ウエハ、WST…ウエハステージ、WTB…ウエハテーブル。
Claims (31)
- エネルギビームにより物体を露光して該物体上にパターンを形成する露光方法であって、
前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と該移動体の外部との一方に設けられた少なくとも1つのヘッドを用いて、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光して前記移動体の位置を計測し、該移動体の位置の計測情報を用いて該計測情報を補正するための補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新する工程を含む露光方法。 - 前記更新する工程では、前記中間パラメータの更新後、該更新に用いられた前記計測情報を消去する請求項1に記載の露光方法。
- 前記更新する工程では、前記計測情報の該計測情報に対応する基準情報からのずれを求め、該ずれを用いて前記中間パラメータを更新する請求項1又は2に記載の露光方法。
- 前記更新する工程では、前記ヘッドとは独立の基準計測系を用いて前記移動体の位置情報を計測し、該計測情報から予測される前記ヘッドの計測情報を前記基準情報として使用する請求項3に記載の露光方法。
- 前記更新された前記中間パラメータを用いて、前記補正モデルを作成する工程をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光方法。
- 前記作成する工程では、最小自乗法が採用され、
前記更新する工程では、少なくとも前記中間パラメータの数以上の回数、前記中間パラメータを更新する請求項5に記載の露光方法。 - 前記補正モデルは、前記計測光が照射される前記計測面上の照射点の位置についての関数として与えられ、該関数は、前記計測面上に配列された複数の区画のそれぞれに対応する前記中間パラメータの集合として表現され、
前記更新する工程では、前記計測情報を用いて前記照射点が位置する前記区画に対応する前記中間パラメータを更新する請求項5に記載の露光方法。 - 前記物体上にパターンを形成する工程をさらに含み、
前記更新する工程は、前記形成する工程に先立って実行される請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光方法。 - 前記物体上にパターンを形成する工程をさらに含み、
前記更新する工程は、前記形成する工程と並行して実行される請求項1〜7のいずれか一項に記載の露光方法。 - 前記パターンを形成する工程では、前記ヘッドを用いて前記計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光して前記移動体の位置情報を計測し、該計測情報と前記補正モデルとを用いて前記移動体を駆動する請求項8又は9に記載の露光方法。
- 前記ヘッドを用いて前記計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光して前記移動体の位置情報を計測し、該計測情報と前記補正モデルとを用いて前記移動体を駆動しつつ、該移動体上に保持された前記物体上のマークを検出する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の露光方法により、物体上にパターンを形成することと;
前記パターンが形成された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。 - エネルギビームにより物体を露光して該物体上にパターンを形成する露光装置であって、
前記物体を保持して所定平面内を移動する移動体と;
前記移動体と該移動体の外部との一方に設けられ、前記移動体と該移動体の外部との他方に設けられた計測面に計測光を照射し、前記計測面からの光を受光する少なくとも1つのヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて前記移動体の位置を計測する位置計測系と;
前記位置計測系からの前記移動体の位置の計測情報を用いて該計測情報を補正するための補正モデルの作成に用いられる中間パラメータを更新する制御系と;
を備える露光装置。 - 前記制御系は、メインメモリを有し、該メインメモリ内に更新した前記中間パラメータを保持する請求項13に記載の露光装置。
- 前記制御系は、前記中間パラメータの更新後、該更新に用いた前記計測情報を消去する請求項13又は14に記載の露光装置。
- 前記制御系は、前記計測情報の該計測情報に対応する基準情報からのずれを求め、該ずれを用いて前記中間パラメータを更新する請求項13〜15のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記移動体の位置情報を計測する、前記ヘッドと独立の基準計測系をさらに備え、
前記制御系は、前記基準計測系を用いて前記移動体の位置情報を計測し、該計測情報から予測される前記ヘッドの計測情報を前記基準情報として使用する請求項16に記載の露光装置。 - 前記物体上にパターンを形成するパターン形成装置をさらに備え、
前記制御系は、前記パターン形成装置を用いて前記移動体上に保持された前記物体上にパターンを形成するに先立って、前記中間パラメータを更新する請求項13〜17のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記制御系は、前記露光装置の起動時及びアイドル時の少なくともいずれかの時に前記中間パラメータを更新する請求項13〜18のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記物体上にパターンを形成するパターン形成装置をさらに備え、
前記制御系は、前記パターン形成装置を用いて前記移動体上に保持された前記物体上にパターンを形成するのと並行して、前記中間パラメータを更新する請求項13〜19のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記制御系は、更新された前記中間パラメータを用いて前記補正モデルを作成する請求項13〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記補正モデルを作成するに際し、最小自乗法が採用され、
前記制御系は、少なくとも前記中間パラメータの数以上の回数、前記中間パラメータを更新する請求項21に記載の露光装置。 - 前記補正モデルは、前記計測光が照射される前記計測面上の照射点の位置についての関数として与えられ、該関数は、前記計測面上に配列された複数の区画のそれぞれに対応する前記中間パラメータの集合として表現され、
前記制御系は、前記計測情報を用いて前記照射点が位置する前記区画に対応する前記中間パラメータを更新する請求項21に記載の露光装置。 - 前記制御系は、前記位置計測系からの計測情報を用いて前記移動体を駆動する駆動制御系と、前記位置計測系からの計測情報を前記駆動制御系に転送する通信ルート上に配置され、前記中間パラメータを更新する第1ユニットとを含む請求項13〜23のいずれか一項に記載の露光装置。
- 前記第1ユニットは、前記通信ルート上の前記駆動制御系の下流側に配置され、
前記駆動制御系は、前記中間パラメータを更新する時のみ前記計測情報を前記第1ユニットに転送する請求項24に記載の露光装置。 - 前記制御系は、前記通信ルート上に配置され、更新された前記中間パラメータを用いて前記補正モデルを作成する第2ユニットをさらに含む請求項24又は25に記載の露光装置。
- 前記エネルギビームを前記物体に照射して前記物体上にパターンを生成するパターン生成装置をさらに備え、
前記制御系は、前記パターン生成装置による前記物体に対するパターンの生成の際に、前記計測情報と前記補正モデルとを用いて前記物体を保持する前記移動体を駆動する請求項13〜26のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記物体上のマークを検出するマーク検出装置をさらに備え、
前記制御系は、前記マーク検出装置を用いた前記物体上のマークの検出の際に、前記計測情報と前記補正モデルとを用いて前記移動体を駆動する請求項13〜27のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記計測面は、前記所定平面内の少なくとも一軸方向を周期方向とするグレーティングを有し、
前記ヘッドは、前記周期方向を計測方向とする請求項13〜28のいずれか一項に記載の露光装置。 - 前記ヘッドは、前記所定平面に垂直な方向を計測方向とする請求項13〜29のいずれか一項に記載の露光装置。
- 請求項13〜30のいずれか一項に記載の露光装置により物体上にパターンを形成することと;
前記パターンが形成された前記物体を露光することと;を含むデバイス製造方法。
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