JP2006302935A - 補正情報作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度な露光を実現する。
【解決手段】ステップ302〜ステップ314で、2つの異なる補正関数それぞれに基づく補正を行いつつ走査露光を行い、ステップ330で、所定の最適化手法を用いて、検出済みの位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正関数の係数との関係に基づいて、複数の異なる補正関数よりも相対位置の補正に適している補正関数の係数を新たに推定する。そして、次に行われるステップ332で、その新たな補正関数の係数を反映させた形で走査露光を行い、マークの位置ずれを計測し、その計測の結果に基づいて、補正関数の係数を更新する処理を繰り返し行う。このようにして、補正関数の係数を最適値に追い込んでいく。
【選択図】図3
【解決手段】ステップ302〜ステップ314で、2つの異なる補正関数それぞれに基づく補正を行いつつ走査露光を行い、ステップ330で、所定の最適化手法を用いて、検出済みの位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正関数の係数との関係に基づいて、複数の異なる補正関数よりも相対位置の補正に適している補正関数の係数を新たに推定する。そして、次に行われるステップ332で、その新たな補正関数の係数を反映させた形で走査露光を行い、マークの位置ずれを計測し、その計測の結果に基づいて、補正関数の係数を更新する処理を繰り返し行う。このようにして、補正関数の係数を最適値に追い込んでいく。
【選択図】図3
Description
本発明は、補正情報作成方法に係り、さらに詳しくは、照明光に対するマスク及び物体の同期走査により、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して前記物体上に転写する走査露光を行う際の前記マスク及び前記物体の相対位置を補正するための補正情報を作成する補正情報作成方法に関する。
半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写する露光装置、例えばステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の逐次移動型の投影露光装置(以下、「露光装置」と略述する)が主として用いられている。
特に、走査型露光装置では、レチクル(レチクルステージ)とウエハ(ウエハステージ)を同期走査させて露光(すなわち走査露光)を行っているため、走査露光中の両ステージの位置の制御精度が、パターンの転写精度や重ね合わせ精度に大きな影響を与える。例えば、レチクルステージ又はウエハステージの移動方向が同期走査中に走査方向からずれたり、レチクルステージとウエハステージとの同期がずれたりすると、パターンの転写位置が、所望の位置からずれてしまうようになる。このようなパターンの転写位置のずれは、そのままショットディストーションや、ショット領域の形成位置のスキャン方向に起因するずれ(すなわち正逆差)となって露光結果に表れる。
そこで、従来より、走査露光中のウエハステージ及びレチクルステージの制御精度を高めるための様々な技術が導入されている。例えば、走査露光中における両ステージの同期走査の動特性を考慮して、両ステージの位置を計測する干渉計の計測値を補正するのは、そのような技術の一例である。
上記技術においては、干渉計の計測値を補正するために、両ステージの同期走査の動特性のモデルを正確に同定する必要がある。しかしながら、走査露光中における両ステージの同期走査の動特性は、非常に複雑なものであり、その動特性を正確に同定するのは困難である。
また、このような露光装置では、両ステージの同期走査の動特性が装置毎に異なるため、その動特性のモデルを規定する装置パラメータの設定値を装置毎に調整可能としている。しかしながら、上述のとおり、露光装置の動特性のモデルは複雑であり、その動特性を規定する装置パラメータの数が非常に多くなってしまうため、多数の装置パラメータの設定値を、トライ・アンド・エラーにより最適化するのは非常に困難である。また、干渉計では検出できない誤差で、焼きつけをすることによって初めてわかる誤差も、同期走査の動特性が違うことにより変化し、それらを補正するためのパラメータの設定をトライ・アンド・エラーで決めるのも困難である。
このような不都合を解消すべく、複数のマークが形成されたパターンを実際に転写し、それらの転写位置のずれを計測し、その計測結果を考慮して、ステージの干渉計の計測値を補正する関数を求める方法が使用されている。しかしながら、露光装置に対する高精度化の要求は留まるところを知らず、より一層の転写精度の向上が求められている。
本発明は、第1の観点からすると、照明光に対するマスク及び物体の同期走査により、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して前記物体上に転写する走査露光を行う際の前記マスク及び前記物体の相対位置を補正するための補正情報を作成する補正情報作成方法であって、複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスク及び前記物体の前記投影光学系の光軸に直交する2次元平面内における相対位置を、複数の異なる補正情報各々に基づいて補正しつつ順次前記走査露光を行い、前記複数のマーク各々の前記2次元平面内における転写位置の位置ずれに関する情報を、補正情報毎に検出する第1工程と;所定の最適化手法を用いて、検出済みの前記位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正情報との関係に基づいて、前記複数の異なる補正情報よりも前記相対位置の補正に適している補正情報を推定し、当該補正情報に基づいて前記相対位置を補正しつつ前記走査露光を行い、当該補正情報を用いた走査露光での前記複数のマーク各々の転写位置の位置ずれに関する情報を検出する処理を、所定の条件が満たされるまで繰り返し行う第2工程と;を含む補正情報作成方法である。
これによれば、複数の異なる補正情報の下で、複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスクと物体との相対位置で制御しつつ走査露光を行った時の補正情報ごとの転写位置の位置ずれに関する情報を検出する。そして、所定の最適化手法を用いて、検出済みの位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正情報との関係に基づいて、複数の異なる補正情報よりも相対位置の補正に適している補正情報を新たに推定し、その新たな補正情報を反映させた形で走査露光を行い、そのときの転写結果から得られる転写位置の位置情報に基づいて、補正情報を更新する処理を繰り返し行う。このようにすれば、転写位置の位置ずれは次第に所望の位置に収束していくようになり、そのような補正情報の下で走査露光を行えば、高精度な露光を実現することが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、照明光に対するマスク及び物体の同期走査により、前記マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して前記物体上の少なくとも1つの区画領域に転写する走査露光を行う際の前記マスク及び前記物体の相対位置を補正するための補正情報を作成する補正情報作成方法であって、複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスク及び前記物体の所定方向及びその所定方向と反対方向の同期走査により、前記走査露光を行う第1工程と;前記所定方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置と、前記反対方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置との位置ずれに関する情報を検出する第2工程と;前記検出の結果に基づいて、前記所定方向の同期走査と前記反対方向の同期走査との区画領域の形成位置のずれをキャンセルするための補正情報を算出する第3工程と;を含む補正情報作成方法である。
これによれば、複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスク及び物体の所定方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置と、反対方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置との位置ずれに関する情報を検出し、その検出結果に基づいて、前記所定方向の同期走査と前記反対方向の同期走査との区画領域の形成位置のずれをキャンセルするための補正情報を算出する。この補正情報に基づいてマスク及び物体の相対位置を補正した状態に走査露光を行えば、所定方向の同期走査と、その反対方向の同期走査とのずれがキャンセルされ、走査方向に基づく転写位置のずれをなくすことができるので、高精度な露光を実現することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1には、本発明の露光方法が適用される一実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。この露光装置100は、不図示の照明系、レチクルRが載置されるレチクルステージRST、投影光学系PL、ウエハWが搭載されるウエハステージWST、アライメント系AS、及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。
不図示の照明系は、照明光ILによりレチクルRをほぼ均一な照度で照明する。この照明領域は、レチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域(X軸方向に細長い長方形状の照明領域)となっている。照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)などの遠紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)などが用いられる。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を駆動源とする不図示のレチクルステージ駆動部によって、不図示の照明系の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定方向(ここでは図1におけるY軸方向)に、設定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのX、Y位置、θz方向(Z軸回りの回転方向)の回転量(ヨーイング量)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されている。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報(ヨーイング量などの回転情報を含む)は、ステージ制御装置19及びこれを介して主制御装置20に供給される。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示に応じて、レチクルステージRSTの位置情報に基づいて不図示のレチクルステージ駆動部を介してレチクルステージRSTを駆動制御し、レチクルステージRST上に保持されたレチクルRの位置を制御する。
なお、ステージ制御装置19は、レチクル干渉計16によって計測されたレチクルステージRSTのX、Y位置の計測値を、次式で示される補正関数を用いて補正する機能を有している。これらの機能については後述する。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置されている。投影光学系PLとしては、両側テレセントリックで所定の縮小倍率β(例えば1/5、又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、不図示の照明系からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、レチクルRの回路パターンの照明領域部分の縮小像(部分倒立像)が投影光学系PLを介してウエハW上の前記照明領域に共役な投影光学系の視野内の投影領域に投影され、ウエハW表面のレジスト層に転写される。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置されている。このウエハステージWST上にウエハホルダ25が載置され、このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。ウエハステージWSTは、図1のウエハステージ駆動部24により、X、Y、Z、θz(Z軸回りの回転方向)、θx(X軸回りの回転方向)、及びθy(Y軸回りの回転方向)の6自由度方向に駆動可能な単一のステージである。
ウエハステージWSTのX、Y位置は、ウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18により、例えば、0.5〜1nm程度の分解能で常時計測されている。それらの干渉計は、測長軸を複数有する多軸干渉計で構成され、ウエハステージWSTのX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転であるθx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回転))も計測可能となっている。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示に応じて、ウエハステージWSTの位置情報に基づいてウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを駆動制御し、ウエハステージWST上に保持されたウエハWの位置を制御する。
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面とほぼ同じ高さに設定されている。この表面には少なくとも一対のレチクルアライメント用基準マーク、及びアライメント系ASのベースライン計測用の基準マーク等が形成されている。
前記アライメント系ASは、投影光学系PLの側面に配置された、オフアクシス方式のアライメントセンサである。このアライメント系ASとしては、例えばウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標(アライメント系AS内に設けられた指標板上の指標パターン)の像とを撮像素子(CCD)等を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系のセンサが用いられている。なお、アライメント系ASのアライメントセンサとしては、FIA系に限らず、コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、その対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出する、あるいはその対象マークから発生する2つの回折光(例えば同次数の回折光、あるいは同方向に回折する回折光)を干渉させて検出するアライメントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。このアライメント系ASの撮像結果は、主制御装置20へ出力されている。
制御系は、図1中、主制御装置20及びこの制御下にあるステージ制御装置19などによって主に構成される。主制御装置20は、CPU(中央演算処理装置)、メインメモリ等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、装置全体を統括して制御する。主制御装置20には、例えばハードディスクから成る記憶装置、キーボード,マウス等のポインティングデバイス等を含んで構成される入力装置、及びCRTディスプレイ(又は液晶ディスプレイ)等の表示装置(いずれも図示省略)、並びにCD(Compact disc),DVD(Digital Versatile Disc),MO(Magneto-optical Disc)あるいはFD(Flexible Disc)等の情報記録媒体のドライブ装置(不図示)が、外付けで接続されている。
主制御装置20が走査露光を実行しようとする場合には、ステージ制御装置19に対し、露光開始を指示するとともに、露光に必要な情報をステージ制御装置19に送信する。ステージ制御装置19には、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御するためのフィードバック制御系としての位置−速度フィードバック制御系と、ウエハステージWSTの位置及び速度を制御するためのフィードバック制御系としての位置−速度フィードバック制御系とが構築されている。ステージ制御装置19は、その指示及び情報を受けると、その情報に基づいて、両ステージの位置−速度フィードバック制御系に対する単位時間当たりの位置指令を作成する。すると、両ステージの位置−速度フィードバック制御系が、その位置指令に対応するレチクルステージRST及びウエハステージWSTの駆動量を算出する。ステージ制御装置19は、算出された駆動量に応じて、レチクルステージ駆動部及びウエハステージ駆動部24を介して、例えば、走査露光中のレチクルRとウエハWの同期走査や、ウエハWの移動(ステッピング)等を行っている。なお、両ステージの同期走査を実現するために、両ステージの位置−速度フィードバック制御系は、一方が主で、一方が従の関係となっていても良い。例えば、レチクルステージRSTの制御系のフィードバック制御量に基づいて、ウエハステージWSTの制御系に対する位置指令を作成するようになっていても良く、また、その逆となっていても良い。
より具体的には、ステージ制御装置19は、例えば走査露光時には、レチクルRがレチクルステージRSTを介して、設定されたスキャン方向に基づいて、+Y方向又は−Y方向に設定されたスキャン速度で走査されるのに同期して、ウエハステージWSTを介してウエハWが、前述の照明領域に共役な投影領域に対してレチクルステージRSTの移動方向とは逆(スキャン方向)にレチクルRの速度のβ倍の速度で走査されるように、走査露光中のフィードバック制御系に対する位置指令値を作成する。その位置指令値が前述のフィードバック制御系に入力されると、そのフィードバック制御系は、その位置指令値と、レチクル干渉計16、ウエハ干渉計18の計測値に基づくフィードバック量との偏差を算出し、その偏差がキャンセルされるように、不図示のレチクルステージ駆動部、ウエハステージ駆動部24をそれぞれ介してレチクルステージRST、ウエハステージWSTの位置及び速度をそれぞれ制御する。
また、ステッピングの際には、ステージ制御装置19は、設定された速度に基づいて、ステップ移動時の位置指令値を作成し、作成した位置指令値を、フィードバック制御系に入力し、そのフィードバック制御系において、その指令値と、ウエハ干渉計18の計測値に基づくフィードバック量との偏差に基づいて、ウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTの位置を制御する。
さらに、本実施形態の露光装置100は、投影光学系PLの最良結像面に向けて複数のスリット像を形成するための結像光束を光軸AX方向に対して斜め方向より供給する不図示の照射系と、その結像光束のウエハWの表面での各反射光束を、それぞれスリットを介して受光する不図示の受光系とから成る斜入射方式の多点フォーカス検出系を備えている。この多点フォーカス検出系としては、例えば特開平6−283403号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられ、この多点フォーカス検出系の出力が主制御装置20に供給されている。ステージ制御装置19は、主制御装置20からの指示により、この多点フォーカス検出系からのウエハの位置情報に基づいて、ステージ制御装置19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTをZ方向及び傾斜方向に駆動する。
ところで、ステージ制御装置19において用いられるレチクルステージRSTの位置情報の補正関数は次式で表される。
ここで、fdx(x:a)、fdy(x:b)は、レチクルステージRSTのX軸方向、Y軸方向の補正量を算出するための補正関数である。上記式(1)の右辺は、レチクルステージRSTのY位置Yのべき関数となっている。具体的には、fdx(x:a)に関しては、右辺がYの0乗からK1乗(K1は正の整数)までのべき関数となっており、fdy(x:b)に関しては、右辺がレチクルステージRSTのX位置Xを変数として含む、Yの1乗からK2乗(K2は正の整数)までのべき関数と、YのK2+1乗からK3乗(K3は正の整数)までのべき関数との和となっている。a0〜aK1+1、b0〜bK2+K3+1は、各項の係数である。本実施形態では、a0〜aK1+1、b0〜bK2+K3+1が、この補正関数を規定するパラメータとなる。これらのパラメータは、装置パラメータとして、主制御装置20が、ステージ制御装置19に対し設定可能となっている。ステージ制御装置19は、設定されたパラメータの下、走査露光中のレチクルステージRSTのX、Y位置、すなわちレチクル干渉計16の計測値を、上記式(1)に代入することにより、fdx(x:a)、fdy(x:b)を算出し、その算出結果を補正量として、レチクルステージRSTの位置情報を補正する。また、vは、走査速度であり、上記式(1)では、走査速度vが大きくなればなるほど、求められる補正量も大きくなる。これは、走査速度vが大きくなるにしたがって、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの相対位置のずれが大きくなると予想されるためである。また、X位置の両ステージWST、RSTの制御により走査露光中の像の位置を補正可能な成分は、Xの1次成分に限られるため、Y軸方向の補正関数fdy(x:b)には、Xに関してはその1次成分だけが含まれている。
なお、fdx(x:a)、fdy(x:b)のxは、レチクルステージRSTの位置、速度、時間等、レチクルステージRSTの補正量を操作する変数の集合を要素とするベクトルである。本実施形態では、上記式(1)に示されるように、レチクルステージRSTの位置、すなわち(X,Y)が、ベクトルxとなる。また、a,bは、上記式(1)の各項の係数の集合のベクトルであり、a=(a0,a1,a2,…,aK1+1)、b=(b0,b1,b2,…,bK2+K3+1)となる。なお、上記式(1)は、ウエハ像面上に換算したときの補正量を算出する関数であり、実際の補正量は、後述する投影倍率に基づいて(1/β)倍される。これらのパラメータの算出方法(すなわち補正情報の算出方法)及びその補正方法については後述する。
次に、露光装置100における露光動作について説明する。露光装置100では、前述のように、レチクルステージRST(レチクルR)及びウエハステージWST(ウエハW)のY軸方向の同期走査により、レチクルR上のパターンをウエハW上に転写する走査露光を行う。このような走査露光では、レチクルR上のパターンの転写精度は、同期走査中のレチクルステージRST及びウエハステージWSTの同期走査の動特性に大きく左右されるようになる。例えば、ウエハ干渉計18の計測値に基づいて、両ステージRST、WSTのY軸方向の相対移動中に、両ステージRST、WSTの相対位置関係が、X軸方向に次第にずれていくような動特性を有していれば、ウエハW上に転写されるパターン像は、レチクルR上のパターンに対して歪んだものとなる。このような歪みは、ショット領域内のショットディストーション成分などとして露光結果に表れる。
このような歪みの問題に対処するため、本実施形態の露光装置100では、上述した補正関数を用いて走査露光中のレチクル干渉計16の計測値の補正を行う。例えば、レチクルステージRSTが、Y軸方向への同期走査中に、+X方向にずれる場合、レチクル干渉計16のX軸方向の計測値を+X方向に補正してやれば、レチクルステージRSTを制御するステージ制御装置19のフィードバック制御系は、レチクルステージRSTを反対側(−X側)に駆動するようになるため、結果的に、レチクルステージRSTがY軸方向に正確に移動するようになる。
そこで、本実施形態では、実際の走査露光を行う前に、所定のレチクル(後述する計測用レチクルRT)を、図1のレチクルRに代えてレチクルステージRST上にロードして走査露光を行い、その走査露光により、ウエハ上に転写された露光結果(焼付結果)を計測してショット領域のショットディストーション成分等を検出し、検出されたショットディストーション成分等に基づいて、走査露光中のレチクル干渉計16又はウエハ干渉計18の計測値に対する適正な補正量を与える補正関数の係数の最適値を推定し、走査露光中においては、推定されたパラメータが代入された補正関数を用いて、レチクル干渉計16の計測値を補正する。
通常、露光装置100においては、レチクルステージRST上に搭載されるレチクルのパターンは様々であり、そのパターンが形成されたパターン領域のサイズもレチクルによって異なる。すなわち、露光装置100においては、ウエハW上に形成すべき回路パターン等によって、走査露光中の両ステージRST、WSTの相対走査の移動距離(スキャン長)が変わる。また、露光装置100においては、両ステージの相対速度(スキャン速度)、走査露光前のステッピング移動の際の移動速度(ステップ速度)等もプロセス(露光プロセス)に応じて異なる場合がある。したがって、本実施形態において作成される、レチクル干渉計16の計測値を補正する補正関数は、スキャン長(ショット領域の走査方向の長さ)、走査速度(走査露光中の両ステージの速度)、ステップ速度(ショット領域間のステージ移動の速度)等のいずれの走査条件がどのような値であっても適用可能な関数であることが望ましい。そこで、本来は、複数の異なるスキャン長、走査速度等の下で、すなわち複数の異なる走査条件の下で走査露光を行い、各走査条件下での露光結果に基づいて、任意の走査条件に適用可能な補正関数を作成するのが望ましいが、本実施形態では、説明を簡単にするため、走査速度等の走査条件を含む全ての露光条件が同一となるように設定されているものとして説明を行う。なお、上記式(1)において算出される補正量は、走査速度vが増加するにしたがって線形的に増加するようになるため(すなわち、走査速度が上がれば上がるほどずれ量が大きくなるため)、測定誤差を低減すべく、実際のプロセスにおいて設定されると予想される最高の走査速度での露光結果に基づいて補正関数の係数を推定する。
次に、上述した補正情報の算出に用いられる計測用レチクルの一例について説明する。図2には、補正情報の算出に用いられる計測用のレチクルRTの一例が示されている。この図2は、計測用のレチクルRTを、パターン面側(図1における下面側)から見た平面図である。この計測用レチクルRTでは、正方形のガラス基板42の一面(パターン面)に、斜線で示される遮光帯であるパターン領域PAが形成されており、そのパターン領域PA内に、所定のマークMi(i=1〜N)が、所定の間隔で、マトリクス状に配置されている。図2では、所定のマークMiが、3行5列(Y軸方向を行とする)の計15個だけ(M1〜M15)だけ図示されているが、実際には、より多数のマークがパターン領域PA内に形成されている。
1つ1つのマークMiのマーク領域も、全体的にはクロム層で覆われており、その中に、光透過層としての幾つかのマークが形成されている。これらのマークは、何らかの撮像装置による撮像結果から、その位置情報を高精度に検出できるようなマーク(例えば、ライン・アンド・スペース・パターンや十字マークなど)である。例えば、走査露光により、この計測用レチクルRTのパターンを、ウエハW上に転写し、次にウエハステージWSTをX軸方向、Y軸方向に所定距離だけずらして、同様の走査露光を再度行うと、ウエハW上には、その所定距離だけマークMi内の同一のマークが、X軸、Y軸方向に所定距離ずれた状態で、転写されるようになる。本実施形態では、1回目の走査露光での走査速度を、両ステージWST、RSTの動特性の露光結果に対する影響を限りなく少なくするために極めて低速とし、2回目の走査露光での走査速度を本来の露光工程で適用される高速(できれば前述のように設定される速度のうち最高の速度)とすれば、その本来の露光工程で現れるパターンの転写位置のX,Y軸方向の位置ずれ量に近い位置ずれを、上記1回目、2回目のマーク像の位置情報から得ることが可能となる。
次に、上述のようにして構成された露光装置100により、本実施形態の補正情報の作成を行う際の動作について、主制御装置20内のCPUの処理アルゴリズムを示す図3、図4のフローチャートに沿って適宜他の図面を参照しつつ、説明する。この処理は、図2に示される計測用レチクルRTを用いた実際の走査露光を繰り返し行い、その都度、係数ベクトルa,bを更新していくことにより、係数ベクトルa,bを最適値に追い込んでいく。なお、本実施形態では、追い込み回数(繰り返し数)を示すカウンタ値をTとするので、T世代の係数ベクトルa,bは、aT,bTとなる。また、説明を簡単にするために、係数ベクトルaの最適化について主として説明し、係数ベクトルbについては、一部省略して説明するが、係数ベクトルbの最適化も同様に行れれる。
まず、ステップ302では、イニシャル焼付け及び計測を行う。具体的には、第1に、0世代目の係数ベクトルa0を、ステージ制御装置19に設定する。0世代目の係数ベクトルa0の各要素の具体的な数値は、任意に選択することができるが、通常は、a0=(0,0,0,…)を設定する。この設定によれば、上記式(1)に示される補正関数fdx(x:a)の値は、常に0となる。
本実施形態では、この状態で、図2の計測用レチクルRTをレチクルステージRSTにロードし、ウエハWをウエハステージWSTにロードし、極めて低速な走査速度で走査露光を行い、ウエハW上に計測用レチクルRT上のパターンを転写する。なお、このときの走査露光は、常にウエハステージWSTが+Y軸方向に移動し、レチクルステージRSTが−Y軸方向に移動する方向で行われる。すなわち、ここでは、常に「プラススキャン」で走査露光を行う。
第2に、上記パターンの転写結果に重ね合わせるようにして、高速な走査速度で、再び走査露光を行う。なお、この重ね合わせは、転写されるパターンが、X軸、Y軸方向に所定距離ずれるように設定する。これにより、計測用マークMiのマーク領域に形成された各マークは、1回目と2回目とで、所定距離ずれて転写されるようになる。
1回目の低速の走査露光、2回目の高速の走査露光が終了すると、ウエハWは、ウエハステージWSTからアンロードされ、不図示のコータ・デベロッパ(C/D)に搬送されて現像される。現像後、ウエハWは改めてウエハステージWSTにロードされる。
そして、第3に、アライメント系ASを用いて、1回目のマークと、2回目のマークのX軸方向、Y軸方向の位置ずれ量を計測する。1回目と2回目は、X軸方向、Y軸方向に所定距離だけずれた状態で露光されているので、設計上は、その所定距離だけずれているはずであるが、1回目は極めて低速な走査速度での走査露光、2回目は通常のプロセスで用いられる高速な走査速度での走査露光で転写されたものである。そのため、それらの位置ずれ量は、高速な走査速度での走査露光での両ステージWST、RSTの相対位置ずれによる成分を含んでいる。この計測では、1回目と2回目のマークの位置ずれ量から、このX,Y軸方向の位置ずれ量をマークMiごとに求める。この位置ずれ量を(dxi,T,dyi,T)とする。ここでは、0世代目の(dxi,0,dyi,0)が求められる。なお、この位置ずれ量が求められるマーク像に対応する点を以下では計測点i(i=1〜N)とも呼ぶ。
次のステップ304では、目標位置ずれ量を設定する。X軸方向、Y軸方向ともに0とするのが原則であるが、実際のプロセスでの露光装置100での2層目の露光結果を、1層目を露光した露光装置のショットディストーションに合わせようとする場合には、そのショットディストーションに従った目標位置ずれ量を設定することができる。このような設定は、不図示の入力装置を介してオペレータによって行われるようにしてもよいし、不図示のホストコンピュータなどから送信された情報に基づいて行われるようにしてもよい。なお、X軸方向、Y軸方向の目標位置ずれ量を、Fx(x),Fy(x)とする。
次のステップ306では、目標位置ずれ量に対する位置ずれ量の計測結果の誤差、すなわち追従誤差を計算する。この計算式は次式で示される。
次のステップ308では、i=1〜Nのそれぞれの上記式(2)の計測結果e_dxi,0,e_dyi,0と、各計測点iの位置座標(Xi,Yi)とを次式に代入し、係数a0〜aK1,b0〜bK2+K3+1だけを未知数とする式の連立方程式を作成して、最小二乗法を用いて係数a0〜aK1,b0〜bK2+K3+1の値を推定する。
次のステップ310では、1世代目の係数が設定された補正関数(すなわち1世代目の補正関数)による焼付け及び計測を行う。ここでは、1世代目の補正関数を適用した場合の焼付け及び計測が行われる。なお、ここでの具体的な動作は、上記ステップ302とほぼ同じであるが、係数ベクトルとして、上記ステップ308で推定されたa0,1〜aK1+1,1,b0,1〜bK2+K3+1,1を各要素とする係数ベクトルa1,b1がステージ制御装置19に設定されている点が異なる。
次のステップ312では、1世代目の補正関数を適用して焼付けを行ったときの追従誤差を計算する。ここでの具体的な処理は、上記ステップ306とほぼ同じである。すなわち、ここでは、1世代目の追従誤差であるe_dxi,1,e_dyi,1が算出される。次のステップ314では、探索区間を決定する。ここで、探索区間とは、次世代の補正量を探索するための基準となる区間である。0世代目の追従誤差e_dxi,0とそのときの補正量dx_hi,0(=0.0)、1世代目の追従誤差e_dxi,1とそのときの補正量dx_hi,1を基準とする区間を探索区間として決定する。
次のステップ316では、カウンタ値Tを0に初期化し、ステップ318では、カウンタ値Tを1だけインクリメントし、カウンタ値iを0に初期化する。
次のステップ322では、カウンタ値Tが繰り返し数の最大値Tmaxを超えたか否かを判断する。この判断が否定されればステップ324に進み、肯定されればステップ340に進む。ここでは、T=1なので判断は否定され、ステップ324に進む。次のステップ324では、カウンタ値iが計測点の総数Nを超えたか否かを判断する。この判断が肯定されれば、ステップ340に進み、否定されればステップ326に進む。ここでは、i=0なので、判断は否定され、ステップ326に進む。ステップ326では、カウンタ値iを1だけインクリメントする。
次のステップ328では、1世代目の追従誤差であるe_dxi,1,e_dyi,1が次式を満たしているか否かを判断する。
epsは、予め設定されていた許容値であり、ここでは、計測点iにおける追従誤差が、許容範囲内にあるか否かを判断する。この判断が否定されればステップ330に進み、肯定されればステップ324に戻る。ここでは、i番目の計測点の追従誤差の絶対値‖e_dxi,T‖がepsより小さく、判断が肯定され、ステップ324に戻るものとする。なお、許容値としては、計測点ごとに設定可能なepsiを用いることもできる。
以降、ステップ324において判断が肯定されるか、ステップ328において判断が否定されるまで、ステップ324→326→328が繰り返され、計測点1〜Nにおいて、追従誤差の絶対値が、許容値を超えているか否かを判断する。すべての計測点において、追従誤差の絶対値が、許容値以内であれば、ステップ324において判断が肯定され、ステップ340に進み、1つでも、許容値を超える追従誤差があれば、ステップ328における判断が否定され、ステップ330に進む。
以下では、ステップ328における判断が肯定された後に実行されるステップ330では、所定の最適化手法を用いて、T+1世代目のパラメータaT+1,bT+1を推定する。以下では、この推定方法について具体的に説明する。
この時点では、0世代目の補正量dx_hi,0,dy_hi,0と、その補正量を適用したときの追従誤差e_dxi,0,e_dyi,0とが求められており、1世代目の補正量dx_hi,1,dy_hi,1と、その補正量を適用したときの追従誤差e_dxi,1,e_dyi,1とが求められている。
本実施形態では、すでに求められた2つの世代(T−1、T)のこれらの補正量と、追従誤差との組合せに基づいて、次世代(T+1世代)の補正量dx_hi,T,dy_hi,Tを推定する。ここでは、説明を簡単にするため、X軸方向の補正量と追従誤差との組合せ(これを、Ci,T=(dx_hi,T,e_dxi,T)とする)から次世代(T+1世代)のX軸方向の補正量dx_hi,T+1を推定する場合について説明する。
次世代(T+1世代)の補正量dx_hi,T+1を推定する際には、以下の場合分けにより、補正量の演算式を変更する。
(A)e_dxi,T-1×e_dxi,T<0の場合
この場合、T―1世代目とT世代目とで追従誤差の符号が逆となっているので、追従誤差を0に近づける補正量は、それらの世代の補正量の間にあると考えられる。そこで、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
(A)e_dxi,T-1×e_dxi,T<0の場合
この場合、T―1世代目とT世代目とで追従誤差の符号が逆となっているので、追従誤差を0に近づける補正量は、それらの世代の補正量の間にあると考えられる。そこで、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
ここで、上記式(5―1)を用いて補正量を算出した場合には、最適化手法として2分法を選択したことになり、上記式(5―2)を用いて補正量を算出した場合には、最適化手法として、挟み撃ち法を選択したことになる。
(B)‖e_dxi,T-1‖<‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T世代の追従誤差の絶対値が、T−1世代の追従誤差の絶対値よりも大きくなっているので、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
この場合には、T世代の追従誤差の絶対値が、T−1世代の追従誤差の絶対値よりも大きくなっているので、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
(C)‖e_dxi,T-1‖>‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T世代の追従誤差の絶対値が、T−1世代の追従誤差の絶対値よりも小さくなっているので、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
この場合には、T世代の追従誤差の絶対値が、T−1世代の追従誤差の絶対値よりも小さくなっているので、T+1世代の補正量dx_hi,T+1を次式を用いて算出する。
なお、このステップ330では、上述の処理をY軸方向に対しても行い、T+1世代の補正量dy_hi,Tを推定する。
次のステップ332では、T+1世代目の補正関数により焼き付け及び計測処理を上記ステップ310と同様に行い、ステップ334では、T+1世代目の追従誤差を、上記ステップ312と同様に算出する。
次のステップ336では、探索区間の変更を行う。探索区間の変更は以下の場合分けにより行う。
(A)e_dxi,T-1×e_dxi,T<0、かつ、e_dxi,T-1×e_dxi,T+1<0の場合
この場合には、T世代での追従誤差が、T−1世代の追従誤差に対して符号が反転し、T+1世代での追従誤差の符号がT世代から反転しているので、T+1世代の探索区間の基準として、T−1世代の代わりにT世代を採用し、T世代の代わりにT+1世代を採用する。
(B)e_dxi,T-1×e_dxi,T<0、かつ、e_dxi,T×e_dxi,T+1<0の場合
この場合には、追従誤差の符号が、T―1世代とT世代とで逆転しており、T世代とT+1世代とで符号が同じであるので、T+1世代の探索区間の基準として、T世代の代わりにT―1世代を採用し、T―1世代の代わりにT+1世代を採用する。
(C)‖e_dxi,T-1‖<‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T−1世代の追従誤差が、T世代の追従誤差よりも小さいので、T+1世代の探索区間の基準として、T―1世代をそのまま残し、T世代の代わりにT+1世代を採用する。
(D)‖e_dxi,T-1‖>‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T−1世代の追従誤差が、T世代の追従誤差よりも小さいので、探索区間の基準として、T世代をそのまま残し、T―1世代の代わりに、T+1世代を採用する。
この場合には、T世代での追従誤差が、T−1世代の追従誤差に対して符号が反転し、T+1世代での追従誤差の符号がT世代から反転しているので、T+1世代の探索区間の基準として、T−1世代の代わりにT世代を採用し、T世代の代わりにT+1世代を採用する。
(B)e_dxi,T-1×e_dxi,T<0、かつ、e_dxi,T×e_dxi,T+1<0の場合
この場合には、追従誤差の符号が、T―1世代とT世代とで逆転しており、T世代とT+1世代とで符号が同じであるので、T+1世代の探索区間の基準として、T世代の代わりにT―1世代を採用し、T―1世代の代わりにT+1世代を採用する。
(C)‖e_dxi,T-1‖<‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T−1世代の追従誤差が、T世代の追従誤差よりも小さいので、T+1世代の探索区間の基準として、T―1世代をそのまま残し、T世代の代わりにT+1世代を採用する。
(D)‖e_dxi,T-1‖>‖e_dxi,T‖の場合
この場合には、T−1世代の追従誤差が、T世代の追従誤差よりも小さいので、探索区間の基準として、T世代をそのまま残し、T―1世代の代わりに、T+1世代を採用する。
ステップ336終了後は、ステップ318に戻る。ステップ318では、カウンタ値Tが1だけインクリメントされ、カウンタ値iが0に初期化され、ステップ322では、カウンタ値TがTmaxを越えたが否かを判断する。ここでは、まだT=2なので、判断は否定され、ステップ324に進む。
以降、ステップ328で判断が否定されるまで、ステップ324→326→328が繰り返され、追従誤差が、許容値を超えた計測点があった場合には、ステップ330→332→334→336が行われ、T+1世代目の新たな補正関数の係数の推定、その係数が設定された補正関数による走査露光及び位置ずれ量の計測、追従誤差の計算、探索区間の変更が行われる。このようなループ処理が、ステップ322で繰り返し最大数Tmaxを越えて判断が肯定されるか、ステップ324で、全ての計測点での追従誤差が許容範囲内となって判断が肯定されるまで繰り返され、追従誤差が0近傍に収束するようになる推定補正量が最適化される。
ステップ322及びステップ324で判断が肯定された後に行われるステップ340では、これまでに求められたものの中で追従誤差e_dxi,T,e_dyi,Tが最も小さかった補正量dx_hi,T,dy_hi,Tと、計測点のX、Y位置(Xi,Yi)を上記式(3)に代入し、最小二乗法を用いて、最適パラメータとしての係数a0〜aK1、b0〜bk2+k3+1を算出し、その後、図4のステップ402に進む。
ステップ402→404→406では、正逆差によるディストーションの補正情報の作成を行う。まず、これらの処理について説明する前に、正逆差によるディストーションについて説明する。図5には、正逆差によるディストーションを簡単に説明するための図が示されている。走査型露光装置では、ウエハW上に複数のショット領域を転写形成する際には、照明光ILに対し、両ステージWST、RSTを往復同期移動させることにより、すなわち交互スキャンにより走査露光を行うが、走査露光中の両ステージWST、RSTの動特性により、ウエハWに転写すべきパターンは、理想的には、図5左に示されるような矩形ではなく、図5右に示されるように、走査方向に応じて、X軸方向、Y軸方向に関して対称な歪みが生じることになる。これを正逆差によるディストーションという。ステップ402→404→406では、この正逆差によるディストーションの補正情報を作成する。ここで、ウエハステージWSTが+Y方向に移動するときのスキャンを「プラススキャン」と呼び、−Y方向に移動するときのスキャンを「マイナススキャン」と呼ぶものとする。
まず、図6には、ステップ402で用いられる計測用レチクルのパターン領域が示されている。この計測用レチクルのパターン領域には、X軸方向両端に、2次元位置検出用マーク(マークが光透過部で、それ以外が遮光部)が形成されている。ステップ402では、この計測用レチクルを、レチクルステージRST上にロードし、交互スキャンにより、X軸方向に並ぶ複数のショット領域を転写形成する。このとき、隣接するショット領域のX軸方向両端は、重なるようにする。
ここで、正逆差によるディストーションがなければ、隣接するショット領域のマーク同士は重なるようになる。しかしながら、正逆差のディストーションにより、隣接するショット領域のマークの転写位置は図7に示されるようにずれるようになる。ここで、マイナススキャンで転写形成された−X側のショット領域のマークに対するプラススキャンで転写形成された+X側のショット領域のマークのX軸、Y軸方向の位置ずれ量を、(dx_PMj,dy_PMj)とし、プラススキャンで転写形成された−X側のショット領域のマークに対するマイナススキャンで転写形成された+X側のショット領域のマークのX軸、Y軸方向の位置ずれ量を、(dx_MPj,dy_MPj)とする。すなわち、前者は、マイナススキャンから見たプラススキャンの位置ずれ量を示しており、後者はその逆の位置ずれ量を示している。ステップ402では、走査露光、ウエハWのアンロード及び現像を行った後、ウエハWを再びウエハステージWSTにロードして、この位置ずれ量(dx_PMj,dy_PMj)、(dx_MPj,dy_MPj)をアライメント系ASを用いて計測する。なお、jは、隣接するショット領域でのX軸方向両端に配置された各マークの番号(すなわち計測点の番号)である。
次のステップ404では、アライメント系ASを用いた(dx_PMj,dy_PMj)、(dx_MPj,dy_MPj)の計測結果に基づいて、正逆差によるディストーション成分を算出する。例えば、各計測点jにおけるプラススキャンでの走査露光の際の補正量dxj,dyjをそれぞれ次式を用いて算出する。
次のステップ406では、求められた各計測点でのdxj,dyjを、次式のfdx’(x:a)、fdy’(x:b)に代入し、さらに、計測点jのX、Y位置(Xj,Yj)を代入し、係数a’0〜a’K1,b’0〜b’K2+K3+1だけを未知数とする式の連立方程式を作成し、最小二乗法を用いて係数a’0〜a’K1,b’0〜b’K2+K3+1の値を推定する。
その後、露光装置100が運用される段階になると、レチクル交換、レチクルアライメント、ベースライン計測、ウエハ交換、ウエハアライメント(例えば特開昭61−44429号公報及びこれに対応する米国特許第4,780,617号等に開示されているEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のアライメント)、走査露光、ウエハ交換などの一連の露光動作を行う(露光工程)。この走査露光中においては、上述のようにして求められた上記式(1)の補正関数や、ステップ406で推定された係数を有する正逆差によるディストーションを補正するための補正関数などにより、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの相対位置が補正された状態で、各ショット領域に対する露光が行われる。
これまでの説明から明らかなように、本実施形態によれば、図3のステップ302〜314が第1工程に対応し、図3のステップ318〜ステップ336が第2工程に対応する。
以上詳細に述べたように、本実施形態によれば、複数の異なる補正情報(0世代目の焼付け&計測から得られた補正情報と1世代目の焼付け&計測から得られた補正情報)の下で、複数のマークMiがそのパターン領域に配置されたレチクルRとウエハWとの相対位置で制御しつつ走査露光を行った時の補正情報ごとの各マークMiの転写位置の位置ずれに関する情報を検出する。そして、所定の最適化手法(2分法又は挟む撃ち法)を用いて、検出済みの位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正情報との関係に基づいて、複数の異なる補正情報よりも相対位置の補正に適している次世代(T+1世代)の補正情報を新たに推定し、その新たな補正情報を反映させた形で再び走査露光を行い、そのときの転写結果から得られるマークMiの転写位置の位置情報に基づいて、補正情報を更新する処理を繰り返し行う。このようにすれば、計測用レチクルの各計測マークの転写位置の位置ずれは次第に所望の位置に近づいていくようになり、そのような補正情報の下で、実際のプロセスにおいて、走査露光を行えば、高精度な露光を実現することが可能となる。
このように、上記実施形態では、2分法や、挟み撃ち法などを用いて、補正関数の係数の最適化を行ったが、この最適化では、上述したものとは異なる他の最適化手法を用いることができることは勿論である。例えば、遺伝的アルゴリズムや、シンプレックス法などを最適化手法として適用することができる。この場合には、上記実施形態のように、0世代、1世代の2つの補正情報ではなく、より多数の異なる補正情報毎に走査露光を最初に行う必要がある。
また、上記実施形態では、補正情報の追い込みの繰り返し回数を終了させる所定の条件を、当該補正情報での検出結果を評価するための評価関数の値が所定範囲内となることと、追い込みの繰り返し数が所定回数以上となることとしたが、これはどちらか一方でも良い。また、上記ステップ328では、すべてのマークにおける追従誤差が、許容範囲内であることを終了条件としたが、本発明はこれには限られず、次式に示される評価関数を用意し、この評価関数の値に基づいて判断するようにしても良い。
ここで、e(xj;aT)は、T世代目の推定パラメータが設定された補正関数を適用した場合の追従誤差を表している。したがって、eallは、T世代目での追従誤差の2乗の総和である。この総和が許容値よりも大きいか小さいかをパラメータの追い込みの終了条件とすることができる。なお、評価関数は、上記式(11)には限らず、追従誤差の大きさに応じたものであればどのようなものであってもよい。
また、上記実施形態では、ステップ316において、追従誤差による終了判断を行い、ステップ322において、繰り返し回数の終了判断を行ったが、これらは一度に行っても良い。
また、上記実施形態では、補正情報として、上記式(1)に示される補正関数を用いたが、これには限られず、例えば、補正関数には、レチクルステージRSTの位置情報Yのべき関数に加え、例えば走査開始後の時間を変数とする項が含まれていても良い。また、補正情報としては、単位時間ごとの補正量の集合である、補正プロファイルなどであってもよい。
また、上記実施形態では、ステップ302では、0世代目の補正情報は、レチクルステージRST(計測用レチクルRT)及びウエハステージWST(ウエハW)の相対位置を補正しなかった場合に得られる、複数のマークMi各々のXY平面内における転写位置の位置ずれに関する情報に基づいた補正情報であったが、ある程度、最適な係数の範囲(探索区間)が既知である場合には、その探索区間内の値の係数を最初から設定するようにしても良い。このようにすれば、処理の繰り返し数を少なくし、最適解への収束時間を短くすることができる。しかしながら、上記実施形態のように、最初に補正関数が0に設定されていたとしても、上述した最適化手法を用いてパラメータを最適解に確実に逐次接近させることができる。
また、上記実施形態によれば、ステップ402において、複数のマークがそのパターン領域に配置された計測用レチクルRT及びウエハWの所定方向及びその所定方向と反対方向の同期走査(すなわちプラススキャンとマイナススキャン)により、走査露光を行い、ステップ404において、プラススキャンでの複数のマークの転写位置と、マイナススキャンでの複数のマークの転写位置との位置ずれに関する情報を検出し、ステップ406において、それらの検出の結果に基づいて、プラススキャンとマイナススキャンとのショット領域の形成位置のずれをキャンセルするための補正関数を算出する。このようにすれば、正逆差によるディストーションが低減された高精度な露光を実現することが可能となる。
上記実施形態では、1回目と2回目の露光を行う際に、完全に重ね合わせて露光するようにしてもよい。この場合には、1回目の露光と2回目の露光との間で、現像を行う必要がある。また、上記実施形態では、交互スキャンにより、隣接するショット領域がX軸方向に一部重なるような走査露光を行って、プラススキャンとマイナススキャンとのマークの位置ずれを求めたが、本発明はこれには限られない、プラススキャンとマイナススキャンとのマークの位置ずれを計測できるのであれば、そのマークの転写を交互スキャンにより行う必要はない。また、プラススキャンとマイナススキャンとをウエハW上のほぼ同じ領域に重ね合わせるようにして走査露光を行い、そのときのマークの位置ずれ量を用いて、正逆差によるディストーションを求めるようにしてもよい。
また、上記実施形態によれば、隣接するショット領域におけるマークの位置ずれ量の1/2を、プラススキャンのディストーションに対する補正量とし、残りの1/2をマイナススキャンのディストーションに対する補正量としたが、これには限られず、プラススキャンに対してマイナススキャンを合わせるように、また、マイナススキャンに対して、プラススキャンでの転写領域を合わせるように、どちらか一方のみを補正するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、レチクルステージRSTの位置情報を補正する補正関数を作成したが、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTの相対位置を補正すればよいのであって、ウエハステージWSTの位置情報を作成する補正関数又は両ステージWST、RSTの位置情報を両方補正する補正関数を作成するようにしても良いことは勿論である。
また、上記実施形態では、走査速度等の走査条件をすべて同じとして、補正情報の算出を行ったが、複数の異なる走査条件の下で(例えば何通りもの走査速度で)、補正情報の算出を行ってもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、アライメント系ASとして、FIA方式のアライメントセンサを用いたが、前述したように、レーザ光をウエハW上の点列状のアライメントマークに照射し、そのマークにより回折又は散乱された光を用いてマーク位置を検出するLSA(Laser Step Alignment)方式のアライメントセンサや、そのアライメントセンサと上記FIA方式とを適宜組み合わせたアライメントセンサにも本発明を適用することは可能である。また、例えばコヒーレントな検出光を被検面のマークに照射し、そのマークから発生する2つの回折光(例えば同次数)を干渉させて検出するアライメントセンサを、単独で、あるいは上記FIA方式、LSA方式などと適宜組み合わせたアライメントセンサに本発明を適用することは勿論可能である。
なお、アライメント系はオン・アクシス方式(例えばTTL(Through The Lens)方式など)でも良い。また、アライメント系は、アライメント検出系の検出視野内にアライメントマークをほぼ静止させた状態でその検出を行うものに限られるものではなく、アライメント系から照射される検出光とアライメントマークとを相対移動させる方式であっても良い(例えば前述のLSA系や、ホモダインLIA系など)。かかる検出光とアライメントマークとを相対移動させる方式の場合には、その相対移動方向を、前述の各アライメントマークを検出する際のウエハステージWSTの移動方向と同一方向とすることが望ましい。
また、投影光学系PLは、屈折系、反射屈折系、及び反射系のいずれでもよいし、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでも良い。
さらに、本発明が適用される露光装置の光源は、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザ、F2レーザとしたが、他の真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。この他、露光用照明光として、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系、並びにアライメント系ASを露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)、有機EL、マイクロマシン及びDNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用することができる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、ホタル石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
また、本発明は、露光装置に限らず、2次元平面内に移動可能なステージに、物体を搭載し、そのステージをその2次元平面内の所定方向に同期移動させながら、物体に処理を施す装置であれば、適用が可能である。
半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置100によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、メモリリペアステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
以上説明したように、本発明の補正情報作成方法は、走査型露光装置を用いた、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程に適している。
19…ステージ制御装置、20…主制御装置、100…露光装置、AS…アライメント系、R、RT…レチクル(マスク)、RST…レチクルステージ、W…ウエハ(物体)、WST…ウエハステージ。
Claims (6)
- 照明光に対するマスク及び物体の同期走査により、前記マスクに形成されたパターンを投影光学系を介して前記物体上に転写する走査露光を行う際の前記マスク及び前記物体の相対位置を補正するための補正情報を作成する補正情報作成方法であって、
複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスク及び前記物体の前記投影光学系の光軸に直交する2次元平面内における相対位置を、複数の異なる補正情報各々に基づいて補正しつつ順次前記走査露光を行い、前記複数のマーク各々の前記2次元平面内における転写位置の位置ずれに関する情報を、補正情報毎に検出する第1工程と;
所定の最適化手法を用いて、検出済みの前記位置ずれに関する情報と、その位置ずれに関する情報に対応する補正情報との関係に基づいて、前記複数の異なる補正情報よりも前記相対位置の補正に適している補正情報を推定し、当該補正情報に基づいて前記相対位置を補正しつつ前記走査露光を行い、当該補正情報を用いた走査露光での前記複数のマーク各々の転写位置の位置ずれに関する情報を検出する処理を、所定の条件が満たされるまで繰り返し行う第2工程と;を含む補正情報作成方法。 - 前記所定の最適化手法は、2分法及び挟み撃ち法のうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の補正情報作成方法。
- 前記所定の条件は、
当該補正情報での検出結果を評価するための評価関数の値が所定範囲内となることと、前記第2工程における処理の繰り返し数が所定回数以上となることの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1又は2に記載の補正情報作成方法。 - 前記補正情報は、
前記2次元平面内の互いに直交する2つの座標軸に関する前記マスク及び前記物体のいずれか一方の位置情報を独立変数としその位置情報の補正量を従属変数とする多項関数の各項の係数であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の補正情報作成方法。 - 前記第1工程では、
複数の異なる補正情報のうちの少なくとも1つの補正情報は、前記マスク及び物体の相対位置を補正しなかった場合に得られる、前記複数のマーク各々の前記2次元平面内における転写位置の位置ずれに関する情報に基づいた補正情報であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の補正情報作成方法。 - 照明光に対するマスク及び物体の同期走査により、前記マスクに形成されたパターンを、投影光学系を介して前記物体上の少なくとも1つの区画領域に転写する走査露光を行う際の前記マスク及び前記物体の相対位置を補正するための補正情報を作成する補正情報作成方法であって、
複数のマークがそのパターン領域に配置されたマスク及び前記物体の所定方向及びその所定方向と反対方向の同期走査により、前記走査露光を行う第1工程と;
前記所定方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置と、前記反対方向の同期走査における前記複数のマークの転写位置との位置ずれに関する情報を検出する第2工程と;
前記検出の結果に基づいて、前記所定方向の同期走査と前記反対方向の同期走査との区画領域の形成位置のずれをキャンセルするための補正情報を算出する第3工程と;を含む補正情報作成方法。
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