明 細 書 化学合成の共役型高度不飽和脂肪酸 技術分野
本発明は様々な生理活性を有する化学的に合成された化学合成した 3個以上の 共役型 2重結合構造を有する高度不飽和脂肪酸とその誘導体とこれを有効成分と する殺ガン細胞剤及びこれを配合してなる組成物に関するものである。 より詳し くは新規な合成法により製造された共役トリエン酸を有効成分として含有してな るヒト由来ガン細胞を効率的に死滅させる殺ガン細胞剤及びこれを配合してなる 医薬用組成物又は食用組成物に関するものである。 背景技術
近年、 脂質の生理活性や薬理作用についての研究が進み不飽和脂肪酸の代謝に おいて様々の化学物質への変換とその働きについての解明がなされている。 特に 飽和脂肪酸、 モノエン酸、 不飽和脂肪酸の栄養学上の好ましい比率やィコサペン タエン酸、 ドコサへキサェン酸などの魚油由来の ω 3系の脂肪酸とリノール酸を 中心とする植物由来の ω 6系の脂肪酸の比率が疾病との関連の中で重要視されて いる。
ω 6系のリノ一ル酸は皮膚を形成する上で不可欠の脂肪酸であり人体において 鎖延長、 不飽和化を受けてァラキドン酸や ω 6ドコサペン夕ェン酸などになる。 ァラキドン酸は乳幼児期の成長に不可欠の脂肪酸でありかつァラキドン酸カスケ —ドによりプロスタグランジンやロイコトリェンとなり人体の各部位で生理機能 を果たしている。 またひリノレン酸 (A L N) を出発物質として鎖延長、 不飽和 化してィコサペン夕ェン酸 (Ι Ρ Α) やドコサへキサェン酸 (D HA) などの ω 3系の脂肪酸の系列がある。 I Ρ Αや D Η Αは魚油などに多く含まれる ω 3系の 多価不飽和脂肪酸で人体内では ω 6系などの他の系列の脂肪酸からは変換されな い。 従って、 これらの脂肪酸の欠乏が様々の疾病の原因になると言われている。 これらの多価不飽和脂肪酸の生理機能として A L Νの記憶学習能向上作用 (特
開平 1— 153629)、 抗アレルギー作用、 血清脂質改善作用などがあり AA では血小板凝集作用、 乳児期の成長への影響、 EP Aでは高脂血症改善効果が医 薬用に認められコレステロ一ル低減効果や赤血球変形能の向上効果 (田村泰ら 「食の科学」第 161卷、 33— 39頁 1991年) など、 DH Aについては血 中脂質低下作用 (今泉勝巳、 「臨床栄養」第 83卷 4号 440頁 1993年等) 血小板凝集抑制作用で (永川祐三ら 「血液と脈管」第 15卷 2号 138— 141 頁 1984年) 記憶学習能の改善 (A.Hucas,et al., The Lancet, 339, 261, 1992)抗痴呆 (M.Soderberg et al., J. Immunology, 150, 3525, 1993)、 抗腫瘍効 果 (成沢富雄ら、 「医学の歩み」第 145巻 911頁 1988年)抗アレルギ一 効果 (M.Shikano et al.5 J. Immunology, 150,3525, 1933) などの作用が見出され ており、 さらに D P Aゃミ一ド酸について機能の研究が進められている。
一方、 多価不飽和脂肪酸の化学構造において共役リノ一ル酸が牛の脂質の中に 含まれ、 これが脂肪の蓄積を予防することが明らかになりアルカリ共役した共役 ' リノール酸が体脂肪の低減効果. (Lipids,315853(1997))血中コレステロ一ルの 低下、 抗腫瘍作用 (M.A.Belury,Nutr.Res., 53,83,(1995))などの機能が見出さ れている。 また桐油や二ガウリ種子油中に含まれるエレォステアリン酸などもよ り効果が高いものであることが公表されている。
すでに発明者らはアル力リで共役化した多価不飽和脂肪酸を有効成分とした殺 ガン細胞剤について特開 2000— 281572、 特開 2001— 288079 に出願した。 これらは共役トリェンを多く含むことから共役ジェンに比べ効果が 高く、 共役ト.リエンの中でも炭素数が 20以上である長鎖の脂肪酸が、 通常の細 胞に対して、 より毒性が低いことが明らかになってきている。 発明の開示
(発明が解決しょうとする技術的課題)
前述したように、 共役トリェン構造を有する I P Aや DH Aは殺ガン細胞効果 に優れるとともに正常細胞に影響を及ぼさない効果が認められたが、 実際の治療 においてその作用機序などを研究していく上でアルカリ共役化した共役トリェン がきわめて多数の位置及び幾何異性体をもっていることがその構造的な面での確
認を困難にしている。 また医薬においてはその純度面で極力単一の成分であるこ とが望ましく異性体が多く含まれる場合はその各々の構造体を単離し、 それぞれ の機能と毒性に関する評価結果が求められる。 これらの異性体は数十種類にも及 び、 それぞれを単離しその毒性'や殺ガン細胞作用を評価することは至難のことで ある。従って化学的に単一か極力異性体の少ない製造方法を確立して、 その殺ガ ン細胞作用を評価し医薬として、 また食品用の組成物を提供することを課題とし た。
(その解決方法)
本発明者らは、 前記課題を解決するために、 共役ドリェン構造をもつ多価不飽 和脂肪酸の合成法とその異性体の少ない方法について鋭意検討を加えた結果、 天 然の多価不飽和脂肪酸から得られる共役トリエン型と同じ化学構造式を持つ共役 トリェン型多価不飽和脂肪酸の合成法を確立し、 上記合成法により得られる生成 物が顕著な殺ガン細胞効果を有することを見出し、 本発明を完成した。
本発明においては、 単一の組成又は 2から 3つの化学構造の共役トリェンを有 する組成物を得ることを目的とした。従って天然に存在する多価不飽和脂肪酸を 選択的に単一の構造になるように共役化する方法や通常のアル力リ共役ィ匕した多 数の異性体を含む多価不飽和脂肪酸を力ラム分離などの方法によつて異性体を数 種にすることについても検討を加えているが、 良好な結果は得られていない。 以下に示すように、 本発朋の目的は化学合成によって共役トリェン構造を構成 し化学反応で鎖延長することで目的とする化合物を作ることにある。化学合成に よって単一か 2、 3の異性体のみから成り立つ化合物を作ることにある。 これに よつて生理活性に有効な化合物の体内の代謝における化合物特定が容易になる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する 高度不飽和脂肪酸とその誘導体の製造方法を示す反応スキームである (化学構造 式の下に記載した番号が実施例に使用した化合物番号に対応) o 発明を実施するため 最直の形態
本発明における化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高 度不飽和脂肪酸とその誘導体の製造方法の特徴は、 化学合成によって、 単一か 2、 3の化学式で表現される異性体の少な 、化合物を作ることにある。 これらの化合 物は脂肪酸の形でも良いが様々の誘導体の形でも使用可能である。通常のエステ ル体ゃアルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属塩やアンモニゥム、 エタノー ルァミンなどとのアミドゃ単一の場合や、 他の脂肪酸も含めた混合のものも含め たトリグリセリド、 ジグリセリド、 モノグリセリドゃリン脂質、 セラミドやその 配糖体を含むスフィンゴ脂質、 スルフォキノボシルジグリセリドゃモノグルコシ ルジグリセリドなどのグリセリド糖脂質などの誘導体で使用することが可能であ る。 これら化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度不飽 和脂肪酸とその誘導体を、 殺ガン細胞剤の有効成分として医薬用組成物及び食用 組成物を製造することが出来る。 '
本発明で言う化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度 不飽和脂肪酸とその誘導体は特に限定するものではないが
5(Z),7(E),9(E),14(Z)517(Z)ィコサペン夕ェン酸及び
5(E),7(E),9(E),14(Z),17(Z)ィコサペン夕ェン酸、 5(Z),7(E),9(E),14(Z),17(Z) ドコサペン夕ェン酸及び 5(E),7(E),9(E),14(Z),17(Z)ドコサペン夕ェン酸、 並び に 5(Z),7(E),9(E),14(Z),17(Z),20(Z)ドコサへキサェン酸及び
5(E), 7(E), 9(E), 14(Z),17(Z).,20(Z)ドコサへキサェン酸などが挙げられる。 本発 明の基本的な化学反応は共役トリェン構造を形成することであり必ずしも化合物 を限定するものではない。 鎖延長したり二重結合をさらに増やすことは使用する 原料を変更することで製造可能である。
本発明においては他の殺ガン細胞剤と同様に併用物質を使うことは可能である。 また使用形態としては、 通常の医薬用組成物や食用の組成物として使用すること が可能であり、 限定されるものではない。 また本発明で言う殺ガン細胞剤として の対象は、 人組織由来のモノであれば部位は特に限定するものではない。大腸、 肝細胞、 肺、 胃や乳ガンなどのガン細胞に対して顕著な死滅効果を発揮するもの である。
以下、 本発明で言う化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有す
実施例
(実施例 1) :化合物 2の合成法
d—バレロラクトン (化合物 1、 5 g) をメタノール (104ml) に溶解し た液に、 濃硫酸 (0. lml) を加え 6時間還流した。放冷した後、 0°C下で炭 酸水素ナトリウム (0. 6 g) を加え 10分間撹拌した。 セライト濾過後、 減圧 下で濃縮してエステル (HO (CH2)4COOMe) を得た。
'このエステルを Swern酸化した。窒素雰囲気下、滴下口一トを付した三口 フラスコにシユウ酸クロリド (〇x a 1 y 1 chl or ide) (5ml) と 無水塩化メチレン (75ml) を入れ、 一 78°Cに冷却し、 撹拌下に DMSO (9ml) を塩化メチレン (15ml) に溶かした溶液をゆつぐりと滴下した。 30分間撹拌しこれにエステル (HO (CH2) 4COOMe) (5 Ommo 1) の無水塩化メチレン (6. 4 g) 溶液を滴下した。 一 78°Cで 30分間撹拌 した後、 トリェチルァミンを滴下した。 冷却を止めて反応液を室温に戻した。 そ の後反応液に水を加え、 撹拌した。 有機層を分取し、 水層を酢酸ェチルで二回抽 出した有機層は飽和食塩水で洗浄した後、 硫酸マグネシウム (無水) で乾燥し、 減圧下で濃縮した。得られた粗生成物は減圧蒸留 (b. p: 72〜75。C/5m mH ) で精製し、 無色透明の液体化合物 2 (3. 1 g) を得た。 ·
(実施例 2) :化合物 3の合成法
滴下ロートと空冷管を付した三口フラスコに Wi t t ig試薬 (Br (C6H 5) 3PCH2) 2CH) (9 g、 12. 3mmo l) — THF (120ml) 溶 液を入れ一 78 °Cに冷却した。 KHMDS (KN (S iMe3) 2) トルエン溶 液 (20%トルエン溶液、 25 g) を— 78°C、 窒素雰囲気下で Wi t t i g試 薬— THF懸濁液に滴下した。 冷却槽をはずして反応溶液を室温に戻し、 30分 撹拌した。 HMPA (6ml) を加え、 再び一 78。Cに冷却した。 このジイリド 反応溶液にプロピオンアルデヒド (CH3CH2CHO) (lml, 1 mmo 1) をゆっくり滴下し、 滴下後、 反応液を 2時間かけて 0°Cにし、 30分撹拌し た。 再び一 78。Cに冷却した後、 化合物 2 (1 g, 7. 7mmo l) の無水 TH
F (15ml)溶液を滴下した。反応液を室温に戻し、 30分撹拌した。
飽和塩化アンモニゥム水溶液 (30ml) を加え、 撹拌し、 有機層を分取した。 水層をさらにェ一テルで抽出し、 これらの有機層を飽和食塩水で洗浄し、 硫酸マ グネシゥム (無水) で乾燥させた。 乾燥後、 減圧濃縮し、 シリカゲルクロマトグ ラフィー (へキサン/酢酸ェチル二 90/1)で精製し、 透明の液体の化合物 3 を得た (30%) 。
(実施例 3) :化合物 4の合成法
冷却管を付した三口フラスコで窒素雰囲気下、 化合物 3 (20 Omg) —無水 塩化メチル (8ml)溶液を— 78。Cに冷却した。 DIBAL (水素化ジイソブ チリルアルミニウム) のへキサン溶液 (1. lml) を三口フラスコの壁を伝わ らせてゆっくり滴下した。 TLC分析で化合物 3がアルデヒドに還元されたこと を確認してからさらに 30分撹拌した。飽和塩化アンモニゥム水溶液 (3ml) , を滴下した後、 反応液を室温に戻した。 エーテルで希釈し、 セライトを加え 15 分撹拌した。 セライトを濾過し有機層を硫酸マグネシウム (無水)で乾燥、 減圧 下で濃縮した。 この組成物をシリ力ゲルクロマトグラフィ― (へキサン/酢酸ェ チル =100Ζ1')で精製し、 オイル状のアルデヒド化合物 7を得た。 この物質 (120mg) のトルエン (10ml)溶液に Ph3 = CHCHO (242m g)を入れ 2時間還流した。 その後さらに Ph3 = CHCHO (212mg) と トルエン 5mlを加え、 一晩還流した。減圧下で濃縮した後にへキサン抽出を行 い、 これを濃縮し、 粗反応生成物を得た。 これをシリカゲルクロマトグラフィー (へキサン/クロ口ホルム =1/1) で精製し、 ィ匕合物 4を得た (10%)'。
(実施例 4) :化合物 5、 6の合成法
窒素雰囲気下、 Witt ig試薬 (Ph3P (CH2) COOH、 100m g) —無水 THF (lml)懸濁液に LiHMDS (0. 5ml) を滴下した。 室温で 30分撹拌した後、 ィ匕合物 4 (34mg) 一無水 THFを滴下し、 室温 2 5°Cで 30分撹抻した。 シユウ酸飽和水溶液、 ェ一テルを加え撹拌し、 有機層を 分取した。水層をさらにェ一テルで抽出し、 有機層と合わせた。 この有機層を 1 mlになるまで減圧下で濃縮し、 三角フラスコに移し、 ジァゾメタン/エーテル 溶液を滴下した。 エーテル層を減圧下で濃縮し粗反応生成物を得た。 これをシリ
力ゲルカラムクロマトグラフィー (へキサン/酢酸ェチル =30/1)で精製し 化合物 5、 6の混合物を 22 mg得た。 (47%)
化合物 5、 6混合サンプルを H P L C分取(へキサン Zァセトニトリル = 10 0/0. 3 (v/v) s CHROMPAC250 x4. 6mm、 CHROMS PHER 5 LIPIDS) し、 NMRで構造を確認した。化合物 5が優先的 に合成されていた。
(実施例 5) :化合物 8の合成
アルデヒドである化合物 7 (1 s 6mmo 1) に Me— (4) -4- (d i methoxyphosphory丄 out— 2— enoate 丄. 6g、 6. 7mmo 1)、 紛状のモレキュラーシ一ブス 4 A (6. 5 g)、 水酸化リチ ゥム /THF (275mgL i · H2〇、 50mlTHF) を加え、 14時間還 流した。還流後、 室温に戻し、 ェ一テルでセライ卜濾過した。 濃縮後、 シリカゲ ルクロマトグラフィー (へキサン/酢酸ェチル =40/1)で.精製し、 無色透明 の液体、 エステルである化合物 8を 684 mg得た (46%) 。
(実施例 6 ) :化合物 9の合成法
エステル化合物 8の無水塩化メチレン溶液( 674 m g、 2. 7 mm o 1エス テル、 15ml CH2C 12) に D I BALへキサン溶液 (0. 96mo l/L, 6. 5 ml) を一 78°C下でゆっくり滴下した。 1時間撹拌後、 飽和塩化アンモ ニゥム水溶液を加え、 ェ一テルで希釈後にセラィトを加え 15分間撹拌した。 反 応液をセライト濾過し減圧下で濃縮し粗反応生成物である化合物 9 (ァリルアル コール、 59 mg) を得た。
(実施例 7) :化合物 4の合成法
ァリルアルコール化合物 9 (584mg) を含む塩化メチレン (250ml) の溶液に活性二酸化マンガン (Mn02、 8g) を加え超音波で 4時間撹拌した。 反応液をセライト濾過し、 減圧下で濃縮後、 粗反応物である化合物 4を 456m g得た。
(試験例 1 )
前述の 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度不飽和脂肪酸とその誘導体 の殺ガン細胞作用を、 以下に述べる方法で評価した。 すなわち東北大学加齢医学
研究所付属ガン細胞施設より分譲され、 入手したヒト由来の 5種のガン細胞であ る大腸ガン細胞 (細胞番号 (以下同様) ·· TKG0379、 以下 DLD— 1とい う) 、 肝臓ガン細胞(TKG0205、 以下 HepG2という)、 肺ガン細胞 (TKG0184、 以下 A 549という)、 乳ガン細胞 (TKG0479、 以下 MCF7という)及び胃ガン細胞(TKG0228、 以下 MKN— 7という) を 用い、 各細胞を 96穴マイクロプレートに播種し、 80%コンフレント (細胞充 満度) に達した時点で、 15〃^1の5 ),7^),9(£),14 ),17 )ィコサぺン夕ェ ン酸及び 5(£),7 ),9 ),14(2),17 )ィコサぺン夕ェン酸の混合物を含む0. 5%血清アルブミンを加え、 5 %二酸ィ匕炭素雰囲気:下、 37°Cで 24時間インキ ュべ一卜した後に生細胞数を MTT (3— (4, 5—ジメチルァゾ一ルー 2—ィ ル) — 2, 5— 2H—テトラゾリゥムプロマイド)法で調べた。 なお MTT法は 生細胞内酵素活性を指標としているため、 ほとんどの細胞に適用で'き こ;の結果 も比較的安定しているので殺細胞作用の評価法として採用した。 この結果を表 1 に示す。 また市販されているリノール油脂社製の共役リノール酸(CLA) を常 法でェチルエステル化し、 減圧蒸留した共役リノ ル酸ェチル (比較試料 1.) お よび非共役 EP A及び非共役 DH Aを構成脂肪酸とする魚油 (比較試料 2.) につ いて同様に試験した結果を併記した。
共役多価不飽和脂肪酸の殺ガン細胞作用 (MTT活性)
*共役 (EPA+DHA) : cチルエステル #共役 (EPA+DHA) カリウム塩
^5(Z),7(E),9(E), 14(Z), 17(Z)ィコサペン.夕ェン酸及び
5E),7(E),9(E),14(Z),17(Z コサペン夕ェン酸の混合物 表 1において、 数値は試験試料を添加しない時の MTT活性 (細胞生存 率、 %) を 100とし、 試験試料の添加濃度 (15〃M) における相対値を平均 値士標準偏差 (n=6)で示す (以下同様) 。 各試験試料の数値は比較試料 1 及び 2の場合の値と比較して優位差があった (Pく 0. 05)。 このデ一夕から、 本発明に係る化学的に合成された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度不 飽和脂肪酸はアルカリ共役化した EPA, DHAと同様の値であり、 魚油に比べ て大腸ガン細胞に対して優れた殺細胞効果が認められた。 また肝臓ガン細胞、 肺 ガン細胞、 胃ガン細胞についても同様の優れた殺細胞効果が認められた。
(試験例 2)
前述の各種共役多価不飽和脂肪酸類の正常細胞に対する影響を試験例 1に記載 の方法と同様にして評価した。 ヒト由来の正常細胞はヒューマンサイエンス研究 資源バンク (大阪) から入手した肺線維芽細胞 (以下 MRC— 5という)、 皮膚 線維芽細胞(以下 TIG—; ί 03という)、 肺線維芽細胞 (以下 KMS— 6とい
う) を用いた。 この結果を共役リノール酸ェチルエステル及び魚油 (未変性) に ついての結果とともに表 2に示す。 同表中の数値、 記号の意味は表 1と同じであ る。 これらのデ一夕から、 n— 3系 S旨肋酸の一種である リノレン酸、 EPA, DH Aなどの共役多価不飽和脂肪酸はヒト正常細胞の生育 (分裂、 増殖等) に対 してほとんど影響を及ぼさず、 とりわけ共役トリェン体を多く含むものはアル力 リ共役でも化学合成品であつても当該作用が強いことが明らかになつた。
表 2 共役多価不飽和脂肪酸のヒト線維芽細胞に対する影響 (MTT活性)
*共役 (EPA+DHA) ェチルエステル #共役 (EPA+DHA) カリウム塩
·¾5(Ζ),7(Έ),9(Ε), 14(Ζ), 17(Ζ)ィコサペンタエン酸及び
5Ε),7(Ε),9(Ε), 14(Ζ), 17(Ζ)ィコサペンタエン酸の混合物
(実施例 8 )
実施例 4によって得られた化学構造式が 5(Ζ),7(Ε),9(Ε),14(Ζ),17(Ζ)ィコサぺ ン夕ェン酸及び5 ),7^),9 ),14 ),17 )ィコサぺン夕ェン酸の混合物250 mg 精製大豆油 30mg、 蜜蠟 10mg、 ビタミン E 10 mgを窒素ガス雰囲 気下で約 40°Cに加温し、 十分に混合して均質な液状物とした。 これをカプセル 充填機に供給して 1粒内容量が 30 Omgのゼラチン被覆カプセル製剤を試作し た。 これらの製剤は医薬用組成物又は食用組成物として利用できるものである。
(発明の効果)
本発明によれば 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度不飽和脂肪酸とそ の誘導体を有効成分としてなる殺ガン細胞剤が提供される。 この殺ガン細胞剤は ヒト由来の大腸ガン、 肝臓ガン、 肺ガン、 乳ガン、 あるいは胃ガンのガン細胞を 死滅させる効果を有し、 かつ正常細胞の維持に対しては悪影響を及ぼすことはな い。 このような効果は共役リノール酸などの共役ジェン類では認められることは ない。 本発明に従えば、 単一か又は 2、 3の異性体に限定された 3個以上の共役 型2重結合構造を有する高度不飽和脂肪酸とその誘導体は、 アル力リ共役化した Ε Ρ Α, . Π ΗΑと同様の効果を有し、 なおかつ単一か又は 2、 3の異性体に限定 された 3個以上の共役型 2重結合構造を有する高度不飽和脂肪酸とその誘導体で あることにより、 その代謝などが容易に研究することが出来、 医薬用としての利 用は容易である.。
本発明に従えば、 殺ガン細胞剤を配合してなる医薬用組成物又は食用組成物が 提供される。該組成物はガン疾患の予防ある ヽは治療用途に利用され得るもので ある。