インクジェット式記録システム及ぴィンクジェッ ト式記録方法 技術分野
本発明は、 インクジエツト式の記録へッドを備えたインクジエツト式記録システム 及びィンクジエツト式記録方法に関する。 背景技術
従来より、 例えば再生専用型の CD— ROMディスクや DVD— ROMディスクを 大量に製造する過程において、 これらディスクの表面に文字又は絵図等の画像を繰り 返し連続的に印刷することが行われている。 そのような画像としては、 例えば、 タイ トル名、 製造者名、 配給者名、 ロゴマーク等が挙げられる。
また、 短時間で大量の伝票を作成するために、 伝票の内容を構成する枠線や文字等 を記録紙に連続的に印刷することも行われている。
従来、 この種の印刷は、 専用のスクリーン印刷機やオフセット印刷機を用いて行わ れていた (例えば特開 2002-230841号公報参照) 。
図 49に、 片面 2層の DVD— ROMディスクを製造する際の製造フローを示す。 まず、 基板成形工程 151では、 記録する情報に応じて形成されたスタンパに対して ポリカーボネイト等の基板材料を射出成形することにより、 ピット (情報記録部) が 形成された基板 105を作製する。 次の反射膜形成工程 152では、 基板 105の光 入射面と反対側のピット表面にアルミを蒸着し、 レーザ光を反射する反射膜を形成す る。 次の接着工程 153では、 2層分の異なるデータに対応するピットが形成された 2枚の基板 105をスピンコート接着等により貼り合わせ、 UV硬化させる。 下地層 形成工程 154では、 下地層となるィンクを光入射面と反対側の面にスクリーン印刷 等により塗布し、 UV硬化させる。 そして、 印刷工程 155において、 スクリーン印 刷やオフセット印刷により、 ディスクの表面にレーベル等を印刷し、 UV硬化させる。
以上の工程により、 D VD— R OMディスクが製造される。
し力 し、 スクリーン印刷やオフセット印刷では、 版の作成や色合わせに相当の手間 と費用が必要であった。 また、 印刷するタイトル等を変更する場合には、 印刷装置を いったん停止し、 印刷設定を一からやり直さなければならなかつた。 そのため、 D V D - R OMの製造作業を長時間にわたって停止せざるを得ないという問題があった。 また、 伝票にあっては、 伝票の内容を構成する藓線ゃ枠線等はすべての伝票におい て共通する一方、 顧客名等は個々の伝票毎に異なっている。 すなわち、 伝票は、 印刷 内容のほとんどが共通する一方、 印刷内容の一部は各々異なるという特質を有して ヽ る。 そのため、 スクリーン印刷やオフセット印刷によって伝票を作成するときは、 す ベての伝票に共通する印刷内容のみを印刷し、 個々の伝票毎に異なる印刷内容につい ては、 他の印刷手段を用いて印刷せざるを得なかった。
これに対し、 インクジェット式の記録装置は比較的安価に構成することができ、 ま た、 インクジェット式記録ヘッドに供給する画像データを変更することにより、 設定 変更を容易且つ迅速に行うことができる。 また、 印刷内容の一部のみを変更すること も比較的容易である。
し力、し、 インクジエツト式記録装置を用いて同一画像を大量に記録する場合には、 以下のような課題がある。
すなわち、 インクジヱット式の記録へッドの寿命はノズルの吐出回数に依存してお り、 吐出回数が一定以上になると、 記録ヘッドは所定の性能を発揮することができな くなる。 ところが、 記録ヘッドにおける各ノズルの吐出回数は画像の内容に依存し、 同一の記録へッド内において、 吐出回数の多いノズルと吐出回数の少ないノズルとが 混在する。 そのため、 同一画像を大量に記録する場合には、 ノズル間の吐出回数に大 きなばらつきが生じやすい。
例えば、 図 5 0に示すように、 縦方向に並ぶ複数のノズル 1 1 1を備えたラインへ ッド 1 1 0を用いて、 ディスク 1 0 0の領域 1 0 1、 1 0 2、 1 0 3、 1 0 4にタイ トル、 配給元、 ディスク仕様、 サブタイトルをそれぞれ記録する場合を考える。 この 場合、 領域 1 0 1にィンクを吐出するノズル 1 1 2は K回、 領域 1 0 2及ぴ 1 0 3に
ィンクを吐出するノズル 1 1 3は 2 K回、 領域 1 0 4にインクを吐出するノズル 1 1 4は K回のィンク吐出をそれぞれ行う。 その結果、 ノズル間の吐出回数には大きなば らつきが生じる。
また別の例として、 例えば図 5 1に示すように、 縦方向に並ぶ複数のノズル 1 1 1 を備えたラインへッド 1 1 0を用いて、 記録紙 1 0 6に文字 「A」 と当該文字を囲む 枠線 1 1 5とを記録する場合を考える。 この場合、 同図に示すように、 横方向に延び る枠線 1 1 5を記録するノズル 1 1 1 aは 4 6回もインクを吐出する一方、 他の多く のノズルは吐出回数が 4回以下である。 このように、 ノズル間の吐出回数には大きな ばらつきが生じる。
ところで、 ラインへッドのいずれかのノズルに寿命がくれば、 ラインへッドは全体 として初期の性能を発揮することができなくなるため、 寿命を迎えることになる。 そ のため、 いずれかのノズルに寿命がくれば、 D V D— R OMの製造作業や伝票等の作 成作業を一時的に中断し、 ラインへッドを交換する必要が生じる。 しかし、 ラインへ ッドの設定に際しては、 ミクロンオーダの精度で位置決め調整を行わなければならな い。 そのため、 ラインへッドの交換作業には、 多大な手間と時間が必要となる。 した がって、 D V D— R OMの製造作業や伝票の作成作業の効率化を図るためには、 ライ ンへッドの寿命をできるだけ長くし、 ラインへッドの交換回数を削減することが望ま れる。
例えば図 5 0に示す例において、 寿命となる吐出回数 (以下、 寿命回数という) を Z回とすると、 ノズノレ 1 1 3は、 Z / ( 2 K) 枚のディスクに記録を行ったときに寿 命を迎えることになる。 しかし、 ノズル 1 1 2及ぴ 1 1 4では、 寿命回数の半分の回 数しか吐出動作を行っておらず、 さらに、 他のノズルにいたっては吐出回数が零であ る。
このようにノズル間の吐出回数に大きなばらつきがある場合には、 特定のノズルの 吐出回数が寿命回数に達するまでの時間が短くなるため、 ラインへッドの交換回数が 増加し、 D V D— R OMの製造作業や伝票等の作成作業が長期化するおそれがある。 また、 寿命回数に比べて吐出回数の少ないノズルが多数存在する場合であっても、 ラ
インへッドの全体を廃棄しなければならないため、 ラインへッドの効率的な利用が困 難である。 発明の開示
本発明は、 かかる点に鑑みてなされたものであり、 その目的とするところは、 イン クジエツト式の記録へッドを用いて同一又は略同一の画像を複数記録する場合におい て、 記録ヘッドの長寿命化を図るとともに、 記録ヘッドの効率的な利用を図ることに ある。
本発明のィンクジエツト式記録システムは、 第 1の方向に並んだ複数のノズルを有 するインクジヱット式の記録へッドと、 前記記録へッドと記録媒体とを前記第 1方向 と非平行な方向である第 2方向に相対移動させる移動手段と、 所定の画像を所定の記 録方向から記録するための画像データを、 前記画像を回転させることによって該画像 の記録方向を変更するように変換する画像データ変換手段と、 変換後の画像データを 受け、 前記第 2方向を変更後の記録方向として前記記録媒体に前記画像を記録するよ うに前記記録へッド及ぴ前記移動手段を制御する制御手段と、 を備える。
上記記録システムによれば、 画像の記録方向を変更することができるので、 同一画 像を大量に記録する場合であっても、 ィンクジェット式記録へッドの寿命が長くなる ような記録方向から記録を行うことにより、 記録へッドの長寿命化を図ることができ る。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきが小さくなるような記録方向や使用ノズル 数が多くなるような記録方向から記録を行うことにより、 記録へッドの効率的な利用 を図ることができる。 使用ノズルの使用頻度がより平均化されるので、 例えば、 記録 方向変更前は 1つの画像を記録する際に 1回しかィンクを吐出していなかったノズル が、 インクを複数回吐出するようになり、 吐出間隔がより平均化される。 吐出間隔が 空くほどインクの粘度は増加するが、 上記記録システムによれば、 吐出時のノズル内 のインク粘度の差が減少し、 全体として吐出が安定化される。
本発明の他のィンクジェット式記録システムは、 第 1の方向に並ぶ複数のノズルを 有するインクジエツト式の記録へッドと、 記録時に前記記録へッドと記録媒体とを前
記第 1方向と非平行な第 2方向に相対移動させる移動手段と、 前記記記録へッドのノ ズルからインクを吐出させて画像を記録するための画像データを受け、 前記記録媒体 に前記画像を記録するように前記記録へッド及ぴ前記移動手段を制御する制御手段と、 前記記録へッドにおいて前記画像を記録するために使用されるノズルが前記第 1方向 にずれるように、 前記画像データを変換する画像データ変換手段と、 を備え、 前記制 御手段は、 変換後の画像データを受けて、 使用するノズルを前記第 1方向にずらして 前記画像を記録するように前記記録へッドを制御する。 .
上記記録システムによれば、 画像データ変換手段が画像データを変換することによ り、 記録ヘッドは、 その変換後の画像データに基づいて、 少なくともノズルの並ぶ方 向である第 1方向に画像をずらして記録することができる。 したがって、 同一又は略 同一 (以下、 単に同一という) の画像を大量に記録する場合、 画像を適宜ずらすこと により、 当該画像を記録するために使用されるノズルの組み合わせを適宜変更するこ とができる。 その結果、 ノズルの使用頻度がより平均化され、 ノズル間の吐出回数の ばらつきは小さくなる。 したがって、 記録ヘッドの長寿命化を図ることができ、 また、 記録へッドの効率的な利用を図ることができる。
本発明の他の目的は、 本発明が属する分野の当業者には、 添付の図面に関連させた 以下の詳細な説明から、 より明らかとなる。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施形態 1〜 3に係る記録システムの構成図である。
図 2は、 実施形態 1〜3に係る記録装置の斜視図である。
図 3は、 ラインヘッドの概略平面図である。
図 4は、 単体ヘッドの平面図である。
図 5は、 ラインへッドとディスクとの相対移動の位置関係を示す模式図である。 図 6は、 実施形態 1〜 3に係る記録システムの制御系統のブロック図である。
図 7は、 ディスクの移動を説明するための模式図である。
図 8は、 記録方向調整手段のプロック図である。
図 9は、 記録方向の設定方法のフローチャートである。
図 1 0は、 実施形態 1における回転角度 Θ = 0度の場合の画像及ぴ当該画像の記録 に必要な谷ノズルの吐出回数を表す図である。
図 1 1は、 実施形態 1における回転角度 Θ = 3 0度の場合の画像及ぴ当該画像の記 録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 1 2は、 実施形態 1における回転角度 0 = 6 0度の場合の画像及ぴ当該画像の記 録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。 .
図 1 3は、 実施形態 1における回転角度 Θ = 9 0度の場合の画像及び当該画像の記 録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 1 4は、 実施形態 1における回転角度 0 = 1 2 0度の場合の画像及ぴ当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 1 5は、 実施形態 1における回転角度 θ = 1 5 0度の場合の画像及ぴ当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 1 6は、 1枚のディスクを搬送するトレィを用いた場合におけるトレイの搬送動 作の説明図である。
図 1 7は、 2枚のディスクを搬送するトレイを用いた場合におけるトレイの搬送動 作の説明図である。
図 1 8は、 実施形態 2の比較例に係る複合画像及ぴ画像の記録に必要な各ノズルの 吐出回数を表す図である。
図 1 9は、 実施形態 2の別の比較例に係る複合画像及び画像の記録に必要な各ノズ ルの吐出回数を表す図である。
図 2 0は、 実施形態 2に係る複合画像及ぴ画像の記録に必要な各ノズルの吐出回数 を表す図である。
図 2 1は、 実施形態 3に係る画像生成装置のブロック図である。
図 2 2は、 実施形態 3における回転角度 0 = 0度の場合の画像及び当該画像の記録 に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 3は、 実施形態 3における回転角度 0 = 3 0度の場合の画像及び当該画像の記
録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 4は、 実施形態 3における回転角度 0 = 6 0度の場合の画像及び当該画像の記 録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 5は、 実施形態 3における回転角度 0 = 9 0度の場合の画; (象及ぴ当該画像の記 録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 6は、 実施形態 3における回転角度 Θ = 1 2 0度の場合の画像及び当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。 ·
図 2 7は、 実施形態 3における回転角度 Θ = 1 5 0度の場合の画像及び当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 8は、 実施形態 3における回転角度 0 = 1 8 0度の場合の画像及び当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 2 9は、 実施形態 3における回転角度 0 = 2 1 0度の場合の画像及ぴ当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 3 0は、 実施形態 3における回転角度 0 = 2 4 0度の場合の画像及び当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 3 1は、 実施形態 3における回転角度 0 = 2 7 0度の場合の画像及ぴ当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 3 2は、 実施形態 3における回転角度 0 = 3 0 0度の場合の画像及ぴ当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 3 3は、 実施形態 3における回転角度 0 = 3 3 0度の場合の画像及び当該画像の 記録に必要な各ノズルの吐出回数を表す図である。
図 3 4は、 実施形態 3における各ノズルの平均吐出回数を表す図である。
図 3 5は、 実施形態 4 , 5に係る記録装置の斜視図である。
図 3 6は、 実施形態 4 , 5に係る記録システムの制御系統のプロック図である。 図 3 7は、 画像及ぴ当該画像の記録に必要なノズルの吐出回数を表すグラフである。 図 3 8は、 ロール紙に対するラインへッドの相対位置を表す図である。
図 3 9は、 ラインへッドに対するロール紙の相対位置を表す図である。
図 4 0は、 実施形態 4に係る記録例において、 画像、 ラインヘッドの位置及ぴ同画 像におけるノズルの平均吐出回数を表す図である。
図 4 1は、 実施形態 4に係る他の記録例において、 画像、 ラインヘッドの位置及ぴ 同画像におけるノズルの平均吐出回数を表す図である。
図 4 2は、 実施形態 5に係る画像データの変換を説明するための図である。
図 4 3は、 実施形態 5に係る記録動作のフローチャートである。
図 4 4は、 画像を回転させたときの記録例において、 画像、 ラインヘッドの位置及 び同画像におけるノズルの平均吐出回数を表す図である
図 4 5は、 実施形態 5に係る記録動作を行つたときのノズルの平均吐出回数を表す グラフである。
図 4 6は、 記録ヘッドの変形例の平面図である。
図 4 7は、 記録へッドの他の変形例の平面図である。
図 4 8は、 ラインへッドとロール紙との位置関係を示す模式図である。
図 4 9は、 D V D - R OMデイスクの製造工程を示す図である。
図 5 0は、 ディスクに記録される画像及び当該画像の記録に必要な各ノズルの吐出 回数を表す図である。
図 5 1は、 画像及ぴ当該画像の記録に必要なノズルの吐出回数を表す図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態 1 )
始めに、 図 1を参照しながら、 ディスク (例えば、 D V D— R OMディスク等) の 表面に画像を記録する工程について説明する。 なお、 ここでいうところの画像とは、 文字、 線、 記号、 絵図、 写真等の 1又は 2以上を含む。
通常、 ディスク表面に記録される画像は、 デザイナー等の画像作成者がパーソナル コンビユータ等の画像作成装置 1を用いることによって作成される。 画像作成者が作 成した画像は、 画像情報として電子化され、 情報記録媒体 (例えば、 MO等) 2や有
線又は無線の通信手段を介して、 画像生成装置 3に送られる。 画像生成装置 3は、 上 記画像情報を読み出し、 記録装置 5の解像度や色の特性に合わせて画像処理を行い、 画像データを生成する。 生成された画像データは、 管理装置 4に送られる。 管理装置 4は、 主として、 ディスクの各製造工程を担う各装置のステータス情報や生産の状況 を管理する。 管理装置 4は、 画像生成装置 3から送られてきた画像データを、 記録装 置 5に転送する。 記録装置 5は、 転送された画像データに基づいて、 ディスクの表面 に所定の画像を記録する。 '
次に、 図 2を参照しながら、 記録装置 5の構成について説明する。 記録装置 5は、 4本のィンクジェット式ラインへッドを備えたィンクジェット式記録装置であり、 ィ エロー (Y) 、 シアン ( C) 、 マゼンタ (M) 、 及ぴブラック (B k ) の 4色のィン クを組み合わせることによりカラー画像を形成する。 ラインへッドの制御を行うへッ ド制御部 1 5、 ヘッドプロック 1 7、 インクタンク 2 0、 及び回復系機構部 2 1は、 各色毎に設けられている。 なお、 回復系機構部 2 1は、 ヘッドノズル面の乾燥防止の ためのキヤッピングゃ、 へッドノズル面のクリーニング等を行う。
記録装置 5は、 記録対象であるディスク 3 0を支持するトレイ 2 2を備えている。 図示は省略するが、 トレイ 2 2には、 ディスク 3 0を吸着固定する固定機構が設けら れている。 また、 記録装置 5は、 トレィ 2 2を所定方向 (図示 X方向) に搬送する駆 動機構として、 L Fモータ 1 9を備えている。 このように、 トレイ 2 2は L Fモータ 1 9によって搬送され、 へッドブロック 1 7の下方を X方向に移動する。
ラインヘッド 3 1は、 所定の方向に並ぶ複数のノズルを有していればよく、 その形 状や種類は特に限定されるものではない。 し力 し、 本実施形態では、 解像度を向上す るために、 記録ヘッドの構成に工夫を施している。 すなわち、 図 3及ぴ図 4に示すよ うに、 一列に並ぶ複数のノズル 3 3を有する単体へッド 3 2を複数組み合わせること によって、 各色のラインへッド 3 1を形成している。 具体的には、 ラインへッド 3 1 では、 複数の単体へッド 3 2がそれぞれ X方向から傾斜し且つ互いに平行な状態とな つて、 X方向と直交する Y方向に配列されている。 このような構成により、 ライン ッド 3 1のノズルの高密度化が図られ、 解像度が向上している。
図 4に示すように、 各単体へッド 32は、 133. 9 μ mのピッチで配列された 2 00個のノズノレ 33を有している。 ノズル 33は、 その列方向 Y 1が Y方向と所定の 角度 αをなすように配列されている。 なお、 本実施形態では、 角度ひは 71. 6度に 設定されている。 これにより、 ラインヘッド 31では、 長さ (Υ方向長さ) が 152 · 3 mm、 総ノズル数が 3600個、 X方向の解像度が 200 d p i (127/xmピッ チ) 、 Y方向の解像度が 600 d p i (42. 33 ^mピッチ) となっている。
図 5に示すように、 各色のラインへッド 31は、 それぞれ Y方向に延びるように配 置され、 互いに X方向に並べられている。 すなわち、 ラインへッド 31は、 各ライン へッド 31とディスク 30との相対移動方向に対して直交する方向に配列されている。 図 6は、 記録システムの制御系統のプロック図である。 図 6に示すように、 記録装 置 5は、 管理装置 4との間で画像データや各種制御コマンドを送受信するィンターフ エース部 12と、 画像データや制御プログラムを格納するメモリ 13と、 記録装置 5 の全体を制御する CPU 14と、 各ラインへッド 31を制御するへッド制御部 15と、 LFモータ 19を制御するモータ制御部 16と、 ディスク 30の搬送位置を検出して モータ制御部 16及ぴへッド制御部 15の制御の基準となるパルスを生成するェンコ ーダセンサ 18とを備えている。
次に、 図 6及ぴ図 7を参照しながら、 記録装置 5の基本的な記録動作について説明 する。 まず、 管理装置 4からインターフェース部 12を介して、 記録装置 5に対して、 画像データを含む記録命令信号が送信される。 CPU14は、 記録命令信号を受ける と、 受信した画像データをメモリ 13に格納し、 画像処理やへッド 31のノズル位置 に合わせたデータの並ぴ替え等の処理を行うと共に、 へッド制御部 15及びモータ制 御部 16のイニシャライズを行う。
イニシャライズとしては、 例えば、 ヘッドノズル面の乾燥防止のためのキヤッピン グの解除、 ヘッドノズル面のクリーニング、 ヘッド駆動波形を供給するアンプの基準 電圧の設定、 LFモータ 19を含む記録媒体搬送機構の基準原点の設定、 制御パラメ ータの設定、 トレイ 22の記録開始位置への移動などが挙げられる。 また、 記録動作 に先立って、 ノズル先端近傍のィンクのリブレツシュのために、 ノズルからインクを
強制的に吐出させることや、 ノズル内のインクをメニスカス振動させるようにへッド のァクチユエータを駆動することなどもイニシャライズに含めてもよい。
このようなイニシャライズの完了後、 モータ制御部 1 6は L Fモータ 1 9を駆動し、 トレイ 2 2を X方向に移動させることによってディスク 3 0の搬送を開始する。 図 7 に示すように、 ディスク 3 0は、 イェロー色のインクを吐出するラインヘッド 3 1 Y、 シアン色のインクを吐出するラインへッド 3 1 C、 マゼンタ色のィンクを吐出するラ インへッド 3 1 Μ、 ブラック色のインクを吐出するラインへッド 3 1 Κの順に移動す る (同図の Ρ 1〜Ρ 4参照) 。 そして、 それぞれのラインへッド 3 1 Υ, 3 1 C , 3 1 M, 3 1 Κからそれぞれの色のインクが吐出され、 ディスク 3 0の表面に所定の画 像が記録される。
上述のような記録動作は、 複数枚のディスク 3 0に対して連続的に行われる。 そし て、 予め指示された枚数の記録が終了すると、 記録装置 5はへッドノズル面のクリ一 ユング、 へッドノズル面の乾燥防止のためのキヤッビング等の動作を行う。 そうして 記録装置 5は、 記録動作開始前の状態に復帰する。
以上が記録装置 5の基本動作である。
このように、 本記録装置 5は、 ディスク 3 0の表面に所定の方向 (X方向) から記 録を行っていく。 したがって、 画像データには、 画像の内容と共にその画像を記録し ていく方向 (記録方向) に関する情報が含まれる。 ただし、 記録方向は、 画像データ 中に独立のパラメータとして明示的に規定されている必要はなく、 黙示的に含まれて いてもよい。 例えば、 予め記録装置 5における上下左右方向が定められており、 記録 対象の画像の上下方向 (画像作成者が想定している上下方向。 例えば、 人物画であれ ば、 頭部が上、 足部が下、 等。 ) を記録装置 5の上下方向に合わせることによって、 当初の記録方向が規定されてもよい。
通常、 画像データは任意の一方向を記録方向として作成される。 しかし、 本実施形 態に係る記録システムは、 画像生成装置 3における画像データの作成の際に、 画像の 内容に応じて画像の記録方向を設定する作業を行う。 言い換えると、 画像生成装置 3 は、 所定の画像を所定の記録方向から記録するための画像データに対し、 前記画像を
回転させることによつて該画像の記録方向を変更するような変換を行う。
図 8は、 画像の記録方向を設定する記録方向調整手段 7 0のブロック図である。 こ の記録方向調整手段 7 0は、 画像生成装置 3において、 ソフトウェア的 (コンビユー タプログラム上) に構成されている。 ただし、 記録方向調整手段 7 0はハードウェア 的に構成されていてもよいことは勿論である。 記録方向調整手段 7 0は、 記録方向設 定手段 7 1と記録データ生成手段 7 2と記録データ解析手段 7 3と記録方向決定手段 7' 4とを備えている。 '
本実施形態では、 記録方向調整手段 7 0は、 所定の評価基準に基づき、 複数の記録 方向の中から最適又は好適な記録方向を選択する。 言己録方向設定手段 7 1は、 複数の 記録方向を順次設定していく。 ここでは記録方向は、 画像を所定角度だけ回転させる ことによって定められる。 すなわち、 画像を回転させることにより、 その画像の内容 を変更することなく、 記録方向を変更することができる。 記録データ生成手段 7 2は、 記録方向設定手段 7 1が設定した記録方向から画像を記録するためのデータを生成す る。 記録データ解析手段 7 3は、 記録データ生成手段 7 2からの記録データを受け、 この記録データにしたがつて記録を行つた場合のラインへッド 3 1の動作を解析する。 具体的には、 上記記録データにしたがつて画像を記録した場合における各ラインへッ ド 3 1の各ノズルの必要吐出回数を演算し、 所定の評価基準にしたがって所定の評価 を行う。 評価結果は、 記録方向決定手段 7 4に送られる。 なお、 評価の詳細な内容は 後述する。
1つの記録方向に関する記録データ解析手段 7 3の解析が終了すると、 記録方向設 定手段 7 1が他の記録方向を設定し、 当該他の記録方向に基づいて、 記録データ生成 手段 7 2及び記録データ解析手段 7 3において同様の処理が行われる。 その結果、 記 録方向決定手段 7 4には、 複数の記録方向に関する評価結果が蓄えられる。 そして、 記録方向決定手段 7 4は、 複数の記録方向の中から最も評価の高い記録方向を選択し、 当該記録方向を実際の記録方向とする。
記録方向設定手段 7 1による記録方向の設定方法は何ら限定されないが、 本実施形 態では、 記録方向の設定は所定の一定角度 0 sごとに画像を回転させることによって
行われる。 具体的には、 図 9に示すように、 始めにステップ S 1において、 回転角度 0の初期値として零が設定される。 すなわち、 画像を回転させる前の当初の記録方向 を、 そのまま記録方向とする。 次に、 ステップ S 2において、 記録データ生成手段 7 2により、 当該記録方向から画像を記録するための記録データの生成が行われる。 続 いて、 ステップ S 3において、 記録データ解析手段 7 3により、 記録データの解析が 行われる。 すなわち、 当該記録方向から画像を記録した場合のラインヘッド 3 1の吐 出動作が解析される。
次に、 ステップ S 4に進み、 記録方向設定手段 7 1は、 回転角度 Θに所定角度 Θ s を加算し、 加算後の角度を新たな回転角度 0とする。 そして、 ステップ S 5において、 回転角度 Θと解析終了の基準として予め定めた所定角度 Θ endとを比較し、 0が Θ end 以上力否かを判定する。 回転角度 Θが所定角度 Θ end未満の場合には、 ステップ S 2に 戻り、 ステップ S 2〜S 5の処理を繰り返す。 一方、 回転角度 0が所定角度 0 end以上 の場合には、 ステップ S 6に進み、 記録方向決定手段 7 4による記録方向の決定を行
5。
本実施形態では、 このように決定した記録方向にしたがって、 複数枚のディスク 3 0に対して記録動作を連続的に繰り返し行っていく。
次に、 図 1 0に示すようなべた塗りの三角形を記録画像の例として、 記録方向の決 定手法について説明する。 ここでは、 説明を簡単にするために、 ラインヘッド 3 1の ノズル数は 3 2個とし、 1列のラインへッド 3 1のみからインクを吐出するものとす る (単色記録) 。 また、 1枚のディスク 3 0に画像を記録するために、 ラインヘッド 3 1は 3 2周期分の吐出動作を行うものとする。 つまり、 上記画像は、 3 2 X 3 2個 のインクドットの集合の一部により形成される。
図 1 0、 1 1、 1 2、 1 3、 1 4、 1 5は、 それぞれ回転角度 0が 0度、 3 0度、 6 0度、 9 0度、 1 2 0度、 1 5 0度の場合における画像内容と各ノズルの吐出回数 とを示している。 すなわち、 ここでは記録方向の設定に際し、 回転角度 0を 3 0度ず つ増加させている (0 s = 3 0度) 。 各回転角度 (すなわち各記録方向) ごとの解析 結果は、 表 1に示すとおりである。 なお、 表 1の "最大値" とは、 吐出回数が最大と
なるノズルの吐出回数を意味し、 "使用ノズル数" とは、 当該画像を記録する際に少 なくとも一回はィンクを吐出するノズルの個数を意味する。 "標準偏差" は、 ノズル 間の吐出回数のばらつきを表している。
記録方向を決定する際の評価基準には、 種々の基準を用いることができる。 例えば、 吐出回数が最大となるノズルの吐出回数 (つまり、 前記最大値) が最小となること
(以下、 第 1基準という) 、 標準偏差が最小となること (以下、 第 2基準という) 、 使用ノズル数が最大となること (以下、 第 3基準という) 、 を評価基準とすることが できる。 また、 上記評価基準を適宜に組み合わせて一つの評価基準を作成することも 可能である。 例えば、 第 1基準に基づいて評価を行った結果、 同一の評価となる記録 方向が複数存在する場合には、 第 2基準、 第 3基準の順に更に評価を行い、 いずれか 一つの記録方向を選択するようにしてもよい。 上記画像例においてこのような評価を 行う場合には、 回転角度 0 = 6 0度のときの記録方向が選択されることになる。
なお、 回転角度 0 = 6 0度の場合には、 当初の記録方向 (回転角度 0 = 0度) の場 合に比べて、 最大値は 3 0から 1 4に減少している。 したがって、 本実施形態によれ ば、 上記画像を繰り返し記録し続けていった場合に、 理論上はラインヘッド 3 1の寿 命が 3 0 / 1 4 = 2 . 1倍に延びることになる。 つまり、 最大値が最小となる記録方 向を選択することによって、 ラインヘッド 3 1の長寿命化が図られる。 また、 標準偏
差が最小となる記録方向を選択したり、 使用ノズル数が最大となる記録方向を選択し たりすることによって、 ラインへッド 3 1の効率的な利用が図られる。
以上のように、 本実施形態によれば、 ラインへッド 3 1のノズル 3 3の最大吐出回 数を少なくすることができるので、 ラインへッド 3 1の寿命を長くすることが可能と なる。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきを抑えることが可能となり、 使用ノズル 数を増加させることもできる。 そのため、 ラインヘッド 3 1のノズル 3 3を比較的均 等に使用することができ、 一部のノズル 3 3のみが早期に劣化することは防止される。 したがって、 ラインへッド 3 1の効率的利用を図ることができる。
一般に、 ノズルの吐出間隔が空くほど、 ノズル内のインクの粘度は増加する。 しか し、 ラインへッド 3 1では、 使用ノズルの使用頻度がより平均化されるので、 各ノズ ル 3 3の吐出間隔がより平均化される。 したがって、 吐出時のノズル 3 3内のインク 粘度の差が減少し、 全体として吐出性能が安定する。
一変形例—
上記実施形態では、 画像データの変換は画像生成装置 3で行われていたが、 画像デ ータの変換を行う箇所は画像生成装置 3に限られず、 管理装置 4や記録装置 5であつ てもよい。 また、 画像データの変換処理が行われる場所は、 ディスクの製造工場内に 限らず、 ディスク製造工場の外部であってもよい。 画像作成者が予め画像作成装置 1 で画像データの変換までも行うようにしてもよい。 勿論、 画像作成者側及ぴデイスク 製造者側以外の第三者がデータ変換を行うことも可能である。
上記実施形態では、 記録方向の設定に際し、 一定の回転角度 0. sごとに記録方向を 設定していた。 し力 し、 画像の回転角度 0を不規則に変化させることによって記録方 向を設定することも可能である。 例えば、 乱数発生器 (図示せず) を設け、 この乱数 発生器により生成される乱数に基づいて、 回転角度 0を不規則に変化させてもよい。 回転角度 0の変更の仕方は何ら限定されるものではない。
図 2に示すように、 上記記録装置 5では、 トレイ 2 2は X方向に並ぶ 2枚のディス ク 3 0を支持し、 これら 2枚のディスク 3 0を同時に搬送するように構成されていた。 しかし、 トレイ 2 2は、 1枚のディスク 3 0のみを支持及ぴ搬送するように構成され
ていてもよレ、。 ただし、 上記記録装置 5のように 2枚のディスク 3 0を同時に搬送す るように構成すれば、 以下の効果を得ることができる。
すなわち、 図 1 6に示すように、 ディスク 3 0に記録を行う際には、 停止している トレイ 2 2を加速しながらラインへッド 3 1の下方にまで移動させ、 その後、 トレイ
2 2を一定の速度で搬送しながらラインへッド 3 1からインクを吐出し、 記録終了後 に再ぴトレイ 2 2を減速して停止させる必要がある。 したがって、 1回の記録動作に 要する時間 Tは、 トレイ 2 2を加速する時間 T aと、 トレイ 2 2を一定速度で搬送す る時間 T pと、 トレイ 2 2を減速する時間 T dとを合算した時間となる。 そのため、 ラインへッド 3 1におけるインクの吐出は時間 T pの間しか行われていないにも拘わ らず、 1回の記録動作に要する時間は、 トレイ 2 2の加減速に要する時間 T a + T d を加えた分だけ長くなっていた。
これに対し、 本実施形態では、 図 1 7に示すように、 トレイ 2 2は 2枚のディスク
3 0を搬送するように形成されているので、 ラインへッド 3 1のインクの吐出に要す る時間は 2 X T pとなるが、 トレイ 2 2の加減速に要する時間は T a + T dのままで ある。 したがって、 ディスク 1枚あたりの記録動作に要する時間は、 (T a + 2 T p + T d ) / 2であり、 1枚ごとに記録動作を行う場合に比べて短くなっている。 した がって、 記録工程を短縮することができる。
なお、 記録装置 5に供給される画像データは、 1つの画像ごとに生成されていても よいが、 2枚の画像を含む複合画像を表すデータとして生成されてもよい。 すなわち、 同一の画像がトレイ 2 2の搬送方向 (X方向) に繰り返し並んで成る複合画像を、 1 回の記録動作におけるラインヘッド 3 1の記録対象画像とし、 2枚のディスク 3 0を 1個の記録対象として画像データを生成することも可能である。 言い換えると、 2枚 のディスク 3 0を搬送するトレイ 2 2ごとに画像データを生成してもよい。
(実施形態 2 )
実施形態 2は、 1回の記録動作により 2枚のディスクに記録を行うものであり、 更 に、 画像の記録方向が 1枚目のディスクと 2枚目のディスクとで異なる。 具体的には、
2つの同一画像がトレイ 2 2の搬送方向 (X方向) に繰り返し並んで成る複合画像に 対し、 それら画像の一方又は両方を回転させることにより、 一方の画像の記録方向と 他方の画像の記録方向とを異ならせることとした。
以下では、 実施形態 1の画像 (ベた塗りの三角形) が X方向に並んでなる複合画像 を例にとり、 画像の変換及ぴ記録動作について説明する。
本例では、 まず、 複合画像に含まれる 1つの画像に対し、 実施开態 1で説明したよ うな好適化処理を行う (図 9参照) 。 すなわち、 所定の評価基準にしたがって、 当該 画像を所定角度 0だけ回転する。 次に、 他方の画像を、 上記画像を半回転させた状態 になるように回転させる。 言い換えると、 他方の画像を、 上記所定角度 Θに 1 8 0度 を加えた角度 0 ' (= 0 + 1 8 0 ° ) だけ回転させる。 そして、 このように角度 0及 ぴ 0 ' ずつ回転した画像が X方向に並んでなる画像を、 新たな複合画像として生成す る (図 2 0参照) 。
前記画像がトレイ 2 2の搬送方向 (X方向) に繰り返し並んで成る複合画像を記録 する場合、 図 1 9に示すように、 画像の回転を伴わないときには、 ラインへッド 3 1 の吐出回数の最大値は大きくなる。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきは大きく、 使用ノズル数は少なくなる。 これに対し、 両画像に対して実施形態 1で説明したよう な画像の回転を行うこととすれば、 図 1 8に示すように、 吐出回数の最大値は小さく なる。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきは小さくなり、 使用ノズル数は増加する。 しかし、 本実施形態では、 2つの画像の記録方向が異なることから、 図 2 0に示す ように吐出回数の最大値は 9 . 5、 標準偏差は 3 . 1、 使用ノズル数は 3 1となり、 吐出回数の最大値は更に小さくなり、 ノズル間の吐出回数のばらつきもより小さくな つている。 このように吐出回数の最大値が 9 . 5となっていることから、 ラインへッ ド 3 1の寿命は、 理論上は 3 0 Z 9 . 5 = 3 . 2倍まで延ぴると考えられる。
したがって、 本実施形態によれば、 複合画像に含まれる同一の画像が異なるノズル . 3 3を用いて形成されるため、 ラインヘッド 3 1の更なる長寿命化を図ることができ る。 また、 ノズル間の吐出ばらつきをより一層低減させることができ、 ラインヘッド 3 1の効率的利用を促進することができる。
また、 2枚の画像を含む複合画像ごとにデータの生成等を行い、 記録動作も 2枚の ディスク 3 0に対して一括して行われるので、 実施形態 1で説明したように、 記録動 作に要する時間はディスク 1枚ごとに記録動作を行う場合に比べて短くなる。 したが つて、 記録工程を短縮することができる。
なお、 各画像の回転角度の設定は、 上記実施形態のものに限定されず、 種々の設定 方法が考えられる。 複合画像を選択する際の評価基準には、 種々の基準を用いること ができる。 ·
例えば、 複合画像ごとに記録ヘッドの各ノズルの必要吐出回数を演算し、 吐出回数 が最大になるノズルの吐出回数が最小になるような複合画像を選択するようにしても よい。
また、 複合画像ごとに記録ヘッドの各ノズルの必要吐出回数を演算し、 ノズル間の 吐出回数のばらつきを最小にするような複合画像を選択するようにしてもよい。
また、 複合画像ごとに記録ヘッドの各ノズルの必要吐出回数を演算し、 記録ヘッド の使用ノズル数を最大にする複合画像を選択するようにしてもよい。
なお、 複合画像に含まれる画像の数は、 2つに限られない。 複合画像には N個 (た だし、 Nは 2以上の自然数。 ) の画像が含まれていてもよい。 トレイ 2 2は N個のデ イスク 3 0を支持及ぴ搬送するように形成されていてもよい。 この場合、 複合画像に 含まれる N個の画像を 3 6 0 ° ZNずつ回転させるように複合画像を変更してもよい。
(実施形態 3 )
実施形態 1は、 予め画像を回転させることによって記録方向を設定しておき、 一連 の記録動作の間中、 一定の記録方向から画像を記録していく。 これに対し、 実施形態 3は、 一連の記録動作の途中で画像を回転させるような画像データ変換を行い、 画像 の記録方向を適宜に変更していく。
記録システムの基本的構成は実施形態 1と同様であるので、 その説明は省略する。 図 2 1に示すように、 本実施形態では、 画像生成装置 3は記録回数記憶手段 7 5と記 録方向設定手段 7 1と記録データ生成手段 7 2とを備えている。 これらは、 画像生成
装置 3において、 ソフトウェア的 (コンピュータプログラム上) に構成されている。 記録回数記憶手段 7 5は、 各ラインへッド 3 1の記録動作の回数を計測し、 その回 数を記憶する。 記録方向設定手段 7 1は、 所定の規則にしたがって画像を回転させる ことにより、 画像の記録方向を変更していく。 本実施形態では、 記録動作を所定回数 行うごとに、 画像を所定角度ずつ回転させることとする。
次に、 図 2 2に示すようなべた塗りの略円形を画像例として、 本実施形態の記録動 作について説明する。 '
本例では、 1 0 0 0枚のディスク 3 0に画像を記録するたびに、 回転角度を 3 0度 ずつずらしていくこととした。 ただし、 画像データの変換の基準となるディスク 3 0 の枚数は、 上記枚数に限定されるものではない。 図 2 2〜図 3 3は、 各回転角度ごと の画像の内容とノズルの吐出回数とを示している。 図 3 4は、 各ノズルの吐出回数の 平均値を示すグラフである。
図 2 2と図 3 4とを比較すると、 一連の記録動作の間で画像を回転していくことに より、 吐出回数の最大値は 7から 2 . 4に減少することが分かる。 したがって、 ライ ンへッド 3 1の寿命は、 理論上は 7 Z 2 . 4 = 2 . 9倍に延びることになる。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきも少なくなり、 使用ノズル数も増加することになる。 したがって、 本実施形態によれば、 実施形態 1に比べて、 ラインへッド 3 1の寿命 を更に伸ばすことができる。 また、 ラインヘッド 3 1を更に効率的に利用することが 可能となる。
なお、 画像データの変 は、 必ずしもディスク 3 0の枚数を基準にして行う必要は なく、 所定時間が経過するたびに画像データを変換するようにしてもよい。 また、 デ イスク 3 0の製造ラインにあっては、 記録装置 5以外の部分で故障が発生したり、 あ るいはその他の事情により、 運転が一時的に停止する場合がある。 そのため、 画像の 連続的な記録が一時的に停止されることがある。 そこで、 このような連続的な記録の 停止があつたときに、 画像データの変換を行うようにしてもよい。
また、 各ラインへッド 3 1の各ノズル 3 3の吐出回数を記憶する記憶手段 (図示せ ず) を設けておき、 ノズル間の吐出回数のばらつき (例えば標準偏差) が所定値以上
になると、 画像データの変換を実行するようにしてもよい。
上記実施形態では、 画像データの変換の際に、 画像を所定角度ずつ回転させていた。 し力 し、 画像の変更方法は、 画像を所定角度ずつ回転させる方法に限らず、 画像を不 規則に回転させる方法であってもよい。 例えば、 乱数生成器 (図示せず) を設けてお き、 この乱数生成器が生成する乱数に従った角度だけ画像を回転させるようにしても よい。 '
また、 各ラインへッド 3 1の各ノズル 3 3の吐出回数を記憶する記憶手段 (図示せ ず) を設けておき、 過去の履歴と今後の記録予定とを考慮したうえで、 好適又は最適 な回転角度を決定するようにしてもよい。
例えば、 画像データの変換に先立って、 変換後の画像を所定回数記録する場合の各 ノズル 3 3の必要吐出回数を演算し、 該各ノズル 3 3の画像データ変換前の吐出回数 と前記演算結果の吐出回数とを合算したときに各ラインへッド 3 1における吐出回数 が最大になるノズルの吐出回数が最小となるように前記画像の回転角度を決定しても よい。
このことにより、 画像データの変換時における最適又は好適な回転角度を決定する ことができ、 ラインへッド 3 1のより一層の長寿命化等を図ることができる。
また、 画像データの変換に先立って、 変換後の画像を所定回数記録する場合の各ノ ズル 3 3の必要吐出回数を演算し、 該各ノズル 3 3の画像データ変換前の吐出回数と 前記演算結果の吐出回数とを合算したときに各ラインへッド 3 1におけるノズル間の 吐出回数のばらつきが最小となるように前記画像の回転角度を決定してもよい。 ある いは、 画像データの変換に先立って、 変換後の画像を所定回数記録する場合の各ノズ ル 3 3の必要吐出回数を演算し、 該各ノズル 3 3の画像データ変換前の吐出回数と前 記演算結果の吐出回数とを合算したときに各ラインへッド 3 1の使用ノズル数が最大 となるように前記画像の回転角度を決定してもよい。 こうすることで、 ラインヘッド 3 1の効率的利用を図るように回転角度の最適化又は好適化を行うことができる。
—方、 予めディスク 3 0の記録枚数が分かっている場合には、 その枚数分だけの記 録を行う場合に最適又は好適となる画像データ変換を行うことが好ましい。
例えば、 画像生成装置 3は、 所定数の画像を記録することを指示する命令を受ける と、 各ラインヘッド 3 1の各ノズル 3 3の必要吐出回数を演算し、 前記所定数の記録 後に吐出回数が最大となるノズルの吐出回数が最小になるように画像データの変換を 1又は 2回以上実行することが好ましい。
あるいは、 画像生成装置 3は、 所定数の画像を記録することを指示する命令を受け ると、 各ラインへッド 3 1の各ノズル 3 3の必要吐出回数を演算し、 前記所定数の記 録後にノズル間の吐出回数のばらつきが最小となるように画像データの変換を 1又は 2回以上実行してもよレ、。
また、 画像生成装置 3は、 所定数の画像を記録することを指示する命令を受けると、 各ラインへッド 3 1の各ノズル 3 3の必要吐出回数を演算し、 前記所定数の記録後の 各ラインへッド 3 1における使用ノズル数が最大となるように画像デ タの変換を 1 スは 2回以上実行してもよい。
一変形例一
なお、 実施形態 2のように複数の画像が並んでなる複合画像において、 当該複合画 像に含まれる 1又は 2以上の画像に対し、 上述したような画像の回転を行ってもよレ、。 例えば、 記録動作を所定回数行うごとに (言い換えると、 所定枚数のディスク 3 0 に記録を行うごとに) 、 複合画像に含まれる 1又は 2以上の画像を所定角度ずつ回転 させるようにしてもよい。
複合画像に含まれる 2つの画像のうち、 いずれか一方のみを回転させてもよく、 両 方を回転させるようにしてもよい。 両方の画像を回転させる場合には、 両方の画像を 同様に回転させてもよく、 互いに回転角度が異なるように別々に回転させてもよい。 互いに関連づけて回転させてもよく、 それぞれ独立に回転させるようにしてもよい。 このことにより、 ラインへッド 3 1の更なる長寿命化や効率的利用を図ることがで きる。
(実施形態 4 )
図 3 5に示すように、 実施形態 4に係るインクジェット式記録システムは、 4本の
インクジェット式ラインヘッド 3 1 (図 3 6参照) を有する記録装置 5を備え、 イエ ロー (Y) 、 シアン ( C ) 、 マゼンタ (M) 、 及ぴブラック (B k ) の 4色のィンク を組み合わせることによりカラー画像を形成する。 なお、 図 2に示す記録装置 5と同 じ構成については、 その詳細な説明を適宜省略する。
記録装置 5は、 ラインへッド 3 1の制御を行うへッド制御部 1 5と、 全ラインへッ ド 3 1が位置決め固定されたへッドプロック 1 7と、 インクタンク 2 0と、 回復系機 構部 2 1とを備えている。
回復系機構部 2 1は、 へ.ッドノズル面の乾燥防止のためのキヤッビングやへッドの 回復動作 (インクの強制吐出やパージ (吸引動作) など) 等を行い、 ラインヘッド 3 1の性能を回復させ、 ラインヘッド 3 1に所定の性能を発揮させる。 回復系機構部 2 1は、 ラインへッド 3 1のノスレ部を覆うキャップ 2 5と、 ブレード 2 3と、 ポンプ
2 4とを備えている。
ヘッドプロック 1 7は、 C R (キヤリッジ) モータ 1 1 (図 3 5では図示せず。 図
3 6参照) によって Y方向に搬送され、 ラインヘッド 3 1が記録を行う位置 (記録位 置) と回復系機構部 2 1の上方位置との間で移動自在に構成されている。 また、 へッ ドブロック 1 7は、 C Rモータ 1 1によって Y方向に微小移動が自在であり、 記録位 置付近の Y方向に関する微調整が可能となっている。
本実施形態では、 記録媒体としてロール紙 3 4が用いられる。 ロール紙 3 4は、 図 示しないロールから X方向に延ぴ、 L F (ラインフィード) モータ 1 9 (図 3 5では 図示せず。 図 3 6参照) によって X方向に連続的に送り出される。 なお、 X方向は、 Y方向と直交する方向である。
ラインへッド 3 1は、 少なくともその一部に Y方向に並ぶ襆数のノズ^^を有してい ればよく、 その形状や種類は特に限定されるものではない。 本実施形態では、 図 3及 ぴ図 4に示すように、 各色のラインヘッド 3 1は、 一列に並ぶ複数のノズル 3 3を有 する単体へッド 3 2を 2 6個組み合わせることによって形成されている。
図 5に示すように (なお、 図 5はディスク 3 0を示しているが、 実施形態 4, 5で はディスクに代わってロール紙 3 4となる。 ) 、 各色のラインヘッド 3 1は、 それぞ
れ Y方向に延びるような姿勢で設置され、 互いに X方向に並べられている。 言い換え ると、 ラインヘッド 3 1は、 各ラインヘッド 3 1とロール紙 3 4との相対移動方向に 対して直交する方向に配列されている。 前述したように、 これらラインヘッド 3 1は へッドブロック 1 7に位置決め固定され、 互いの位置関係が調整されている。
次に、 図 3 6を参照しながら、 記録システムの制御系統について説明する。 記録シ ステムは、 記録装置 5の他に管理装置 4を備えている。 記録装置 5は、 黉理装置 4と の間で画像データや各種制御コマンドを送受信するインターフェース部 1 2と、 画像 データや制御プログラムを格納するメモリ 1 3と、 記録装置 5の全体を制御する制御 部としての C P U 1 4と、 各ラインへッド 3 1を制御するへッド制御部 1 5と、 C R モータ 1 1及び L Fモータ 1 9を制御するモータ制御部 1 6と、 へッドブロック 1 7 の位置を検出するリニアエンコーダ 1 0と、 ロール紙 3 4の搬送位置を検出してモー タ制御部 1 6及びへッド制御部 1 5の制御の基準となるパルスを発生するロータリー エンコーダ 2 6とを備えている。
管理装置 4は、 インターフェース部 5 0と画像データ変換部 5 1とへッド位置変更 部 5 2とを備えている。 画像データ変換部 5 1及びへッド位置変更部 5 2は、 後述す る機能を発揮するものであればよく、 その具体的構成は何ら限定されない。 画像デー タ変換部 5 1及びへッド位置変更部 5 2はハードウエアとして構築されていてもよく、 ソフトウェア的に構成されていてもよい。
記録装置 5の基本的な記録動作は、 実施形態 1において説明した動作とほぼ同じで ある。 異なる点は、 トレイ 2 2に代えてロール紙 3 4が搬送される点である。 つまり、 へッド制御部 1 5は画像データに基づレ、て各ラインヘッド 3 1 Y, 3 1 C, 3 1 M, 3 1 Kのァクチユエータ (図示せず) を駆動し、 それぞれのラインへッド 3 1 Y, 3 1 C , 3 1 M, 3 1 Κからそれぞれの色のインクが吐出され、 ロール紙 3 4に所定の 画像が記録される。 この記録動作は連続的に行われ、 ロール紙 3 4には所定の画像が 繰り返し記録される。 そして、 予め指示された回数分の記録が終了したときに、 へッ ド制御部 1 5はラインへッド 3 1の吐出動作を終了する。
吐出動作の終了後、 モータ制御部 1 6は C Rモータ 1 1を駆動し、 ラインへッド 3
1を回復系機構部 2 1に向かって移動させる。 その後、 回復系機構部 2 1において、 ヘッドノズル面のタリーユングや乾燥防止のためのキヤッビング等 (回復動作) が行 われる。 これにより、 各ラインヘッド 3 1は、 記録動作開始前の状態に復帰する。 なお、 ラインへッド 3 1の回復動作は、 一連の記録動作中に適宜行うようにしても よい。 すなわち、 ある程度の回数の記録を行った後に、 いったん記録動作を中断して 回復動作を行い、 その後に記録動作を再開するようにしてもよい。 指示された記録回 数が極めて多い場合には、 一連の記録動作中にこのような回復動作を適宜行うこと力 S 好ましい。
本実施形態に係る記録システムでは、 上記基本動作に加えて、 画像が Y方向にずれ るように画像データを変換すると共に当該変換に応じてへッドブロック 1 7の位置を Y方向にずらし、 変換後の画像データに基づいて、 同一の画像を異なるノズルの組み 合わせで記録する。 次に、 画像データの変換及び変換後の画像データに基づく記録動 作について説明する。
ここでは記録画像の例として、 図 3 7に示す画像を記録するものとする。 本例では、 画像領域 (記録可能な最大領域) の大きさは縦 3 2個 X横 4 8個分のインクドットの 大きさに相当し、 ラインへッド 3 1は縦方向に並ぶ 4 0個のノズル 3 3を有している ものとする。 同図には、 上記画像を記録するために必要とされるインクの吐出回数を、 各ノズル 3 3毎に表したグラフを併せて示す。
本例では、 画像領域の縦方向の必要ドット数は 3 2であるのに対し、 ラインへッド 3 1のノズル数は 4 0である。 そのため、 ラインへッド 3 1を Y方向にずらしたとし ても、 ロール紙 3 4の上方に 3 2個のノズル 3 3が配置されている限り、 同一の画像 を記録することが可能である。 本例では、 図 3 8に示すように、.ロール紙 3 4に対す るラインヘッド 3 1の相対位置として、 (a ) 〜 (i ) の合計 9通りの位置が考えら れる。 すなわち、 使用ノズルの組み合わせは 9通りである。 なお、 図 3 9は記録へッ ド 3 1を基準としてロール紙 3 4の位置を変化させて示した図である。 図 3 9の位置 ( a ) 及び (i ) は、 図 3 8の位置 ( a ) 及び (i ) にそれぞれ対応する。 図 3 9よ り、 異なるノズルの組み合わせであっても、 同一の画像が記録できることが分かる。
し力 し、 単にラインへッド 3 1を Y方向にずらすだけで使用ノズルの組み合わせを 変えなければ、 記録される画像は、 ラインヘッド 3 1がずれた分、 Y方向にずれるだ けになる。 そこで、 本実施形態では、 ラインヘッド 3 1の移動に応じて画像データを 変換し、 それによつて使用ノズルの組み合わせを変える。 具体的には、 画像データを 変換することによって、 画像をラインへッド 3 1の移動方向と反対の方向にその移動 量と等しい量だけずらす。
本例では、 ラインへッド 3 1の位置変更及び画像データの変換は、 ラインへッド 3 1の回復動作の度に行われる。 すなわち、 ラインヘッド 3 1の位置変更及ぴ画像デー タの変換は、 ラインへッド 3 1を回復系機構部 2 1に移動させる前と、 ラインへッド 3 1を回復系機構部 2 1に移動させてから再ぴ記録位置に戻した後との間で行われる。 ただし、 ラインへッド 3 1の位置変更及び画像データの変換を行う時期は何ら限定さ れず、 例えば、 予め定めた所定回数の記録動作毎に行ってもよい。 また、 ラインへッ ド 3 1の位置変更等をユーザが適宜指示するようにしてもよい。
本例では、 ラインへッド 3 1が回復系機構部 2 1に向かって移動すると、 管理装置 4のへッド位置変更部 5 2は、 ラインへッド 3 1の設置位置を図 3 8の ( a ) 〜
( i ) の順に順次変更する。 一方、 画像データ変換部 5 1は、 設置位置の変更前後に おいてロール紙 3 4上の記録位置が変わらないように、 変更後の設置位置に応じて画 像をずらすように画像データの変換を行う。 例えば、 回復動作前のラインヘッド 3 1 の位置が位置 ( a ) であれば、 ヘッド位置変更部 5 2は、 変更後の設置位置として位 置 (b ) を選択する。 つまり、 ラインヘッド 3 1の設置位置を図 3 8の下方にノズル 1個分だけずらす。 そして、 画像データ変換部 5 1は、 画像がノズル 1個分だけ図 3 8の上方にずれるように画像データを変換する。
変更後の設置位置の情報は記録装置 5のモータ制御部 1 6に送られ、 モータ制御部 1 6は、 ラインへッド 3 1が変更後の設置位置に設置されるようにリニアエンコーダ 1 0の出力信号を基準に C Rモータ 1 1を制御する。 その結果、 回復動作後のライン ヘッド 3 1は、 変更後の設置位置に設置される。 また、 変換後の画像データはヘッド 制御部 1 5に送られ、 へッド制御部 1 5は変換後の画像データに基づい
ド 3 1を制御する。 その結果、 回復動作の前後において、 異なるノズルの組み合わせ によつて同一の画像が形成される。
このように、 本実施形態の記録システムによれば、 ラインへッド 3 1を Y方向にず らすと共に、 画像がその分だけ反対方向にずれるように画像データを変換することと したので、 異なるノズルの組み合わせによって同一の画像を形成することができる。 したがって、 ノズル間の吐出回数のばらつきが小さくなり、 ラインへッド 3 1の長寿 命化及び効率的利用を図ることができる。
次に、 画像例に基づいて、 本実施形態の記録システムの効果を具体的に説明する。 図 4 0は、 ラインヘッド 3 1の設置位置を (a ) 〜 (i ) のようにずらしながら、 同 図に示す画像を連続的に記録した場合の各ノズルの平均吐出回数を示したグラフであ る。 図 4 0を図 3 7と比較することにより、 ラインヘッド 3 1の設置位置を変更する ことによって吐出回数のばらつきが小さくなることが分かる。 なお、 図中の 「最大 値」 とは、 吐出回数が最大となるノズルの吐出回数を意味し、 「使用ノズル数」 とは、 当該画像を記録する際に少なくとも一回はインクを吐出するノズルの個数を意味する。 「標準偏差」 は、 ノズル間の吐出回数のばらつきを表している。
ラインヘッド 3 1の位置を変更しない場合には最大吐出回数は 2 1回 (図 3 7参 照) であるのに対し、 ラインヘッド 3 1の位置を変更すると、 最大吐出回数は 1 2回 にまで低減する (図 4 0参照) 。 一般にヘッドの寿命は吐出回数の最大値に依存する と考えられるので、 本実施形態によれば、 理論上はラインへッド 3 1の寿命が 2 1回 ノ1 2回 = 1 . 7倍に延びることになる。
本実施形態の記録システムは、 例えば伝票等のように、 X方向に延びる線を含んだ 画像を記録する際に、 特に顕著な効果を発揮する。 図 4 1は、 同図に示す画像を対象 として、 ラインヘッド 3 1の設置位置を (a ) 〜 (i ) に変更しながら記録した場合 の各ノズルの平均吐出回数を示している。 図 4 1及ぴ図 5 1から明らかなように、 ラ インへッド 3 1を Y方向にずらすことにより、 吐出回数のばらつきは大幅に低減され る。 また、 図 5 1から分かるように、 ラインヘッド 3 1の設置位置を変更しない場合 では、 X方向に延びる線を記録するノズル 1 1 1 aは 4 6回もインクを吐出しなけれ
ばならず、 最大吐出回数は 4 6回と極めて多い。 一方、 上記ノズル 1 1 1 aの隣のノ ズル 1 1 1 bでは、 吐出回数はわずか 2回である。 そのため、 ノズル間の吐出回数の ばらつきも極めて大きい。 これに対し、 図 4 1から明らかように、 ラインへッド 3 1 の設置位置を適宜変更することにより、 X方向に延びる線を記録するノズルは適宜に 変更されるので、 平均の最大吐出回数は 8 . 3 2回と大幅に低減する。 その結果、 理 論上はラインへッド 3 1の寿命は 4 6回 / 8 . 3 2回 = 5 . 5倍に延びることになる。 このように、 本実施形態の記録システムは、 特定のノズルに吐出が集中するような画 像を記録する場合、 例えば、 画像に朞線ゃ枠線が含まれている場合や、 伝票のように いくつもの欄が構成されている場合において、 特に顕著な効果を発揮する。
また伝票の作成は、 画像内容の少なくとも一部が共通する複数の画像を連続的に記 録することになり、 ノズル間の吐出回数にばらつきが生じやすい。 し力 し、 本実施形 態の記録システムは、 画像内容の少なくとも一部が共通する複数の画像を連続的に記 録する場合であっても、 上述の理由により、 吐出回数のばらつきを小さくすることが できる。
以上のように、 本実施形態によれば、 ラインヘッド 3 1のノズルの最大吐出回数を 少なくすることができるので、 ラインへッド 3 1の寿命を長くすることが可能となる。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつきを抑えることが可能となり、 使用ノズル数を増 加させることができる。 そのため、 ラインヘッド 3 1のノズルを比較的均等に使用す ることができ、 一部のノズルのみが早期に劣化することは防止される。 したがって、 ラインへッド 3 1の効率的利用を図ることができる。
また、 一般に、 ノズルの吐出間隔が空くほどノズル内のインクの粘度が増加し、 吐 出性能は不安定になる。 し力 し、 本実施形態のラインヘッド 3 1では、 ノズルの使用 頻度がより平均化されるので、 各ノズルの吐出間隔がより平均化される。 したがって、 吐出時のノズル内のィンク粘度の差が減少し、 全体として吐出性能が安定する。
上記実施形態では、 ラインヘッド 3 1の位置変更を回復動作の際に行うので、 ライ ンへッド 3 1の位置変更のためだけに記録装置 5の記録動作を中断させる必要はなレ、。 そのため、 記録工程にロスを発生させることがなく、 伝票の作成等を効率的に行うこ
とができる。
ラインヘッド 3 1を回復系機構部 2 1に移動させる C Rモータ 1 1を、
ド 3 1の位置を変更する駆動機構としてそのまま利用するので、 ラインへッド 3 1の 位置変更のための専用の駆動機構は不要となる。 そのため、 新たな構成部品を付加す る必要がなく、 部品点数の増加を抑えることができる。
(実施形態 5 )
実施形態 5は、 ラインヘッド 3 1の使用ノズルの組み合わせを変更する際に、 画像 を Y方向にずらすだけでなく、 更に回転させるように画像データの変換を行う。 図 4 2に示すように、 本実施形態では、 画像データ変換部 5 1は、 画像を 1 8 0度 回転させる (図 4 2の P 1 2参照) と共に当該画像を Y方向に適宜ずらす (図 4 2の P 1 3参照) ように画像データの変換を行う。 なお、 画像の回転は適宜に行うことが でき、 画像を Y方向にずらす度 (すなわち、 ラインヘッド 3 1の設置位置を変更する 度) に行ってもよく、 あるいは、 画像の Y方向への移動と無関係に行ってもよい。 図 4 3を参照しながら、 本実施形態の記録動作について説明する。
記録動作に先立って、 始めにステップ S 1 1において、 総印刷枚数 P tが設定され る。 次に、 ステップ S 1 2において、 印刷条件切替枚数 P sが設定される。 なお、 ス テツプ S 1 2の工程は、 画像データの変換を行う条件を設定する工程である。 本実施 形態では、 所定枚数 P sの印刷が終了する毎に画像データの変換が行われる。
ステップ S 1 1及ぴ S 1 2の各設定が終了すると、 ステップ S 1 3に進み、 画像方 向の切替が行われる。 本実施形態では、 画像を 1 8 0度回転させる。 次に、 ステップ S 1 4に進み、 ラインヘッド 3 1の Y方向の位置が変更される。 そして、 ステップ S 1 5において、 ラインヘッド 3 1の位置変更に応じて、 画像の Y方向の位置が変更さ れる。 すなわち、 回転後の画像をラインヘッド 3 1の移動方向と反対の方向にその移 動量と等しい量だけ移動させる。
次に、 ステップ S 1 6において、 上記の回転後及ぴ移動後の画像を記録するように 画像データが変換され、 変換後の画像データに基づいて印字動作 (記録動作) が行わ
れる。 印字動作が終了すると、 ステップ S 1 7において P s回の印刷動作が終了した 否かが判定され、 終了していない場合は再ぴステップ S 1 6に戻り、 印字動作を繰り 返す。 一方、 ステップ S 1 7の判定の結果、 P s回の印刷動作が終了したと判定され ると、 ステップ S 1 8に進み、 総印刷枚数 P t分の印刷動作が終了した力否かが判定 される。 その結果、 総印刷枚数 P t分の印刷動作が終了していないと判定されると、 ステップ S 1 3に戻り、 画像の回転 (ステップ S 1 3 ) 、 ラインヘッド 3 1の Y方向 への移動 (ステップ S 1 4 ) 、 及ぴ画像の Y方向への移動 (ステップ S 1 5 ) が実行 され、 異なるノズルの組み合わせで印字動作が行われる (ステップ S 1 6 ) 。 一方、 ステップ S 1 8において、 総印刷枚数 P t分の印刷動作が終了したと判定されると、 印刷を完了する。
本実施形態によれば、 ラインヘッド 3 1の設置位置を変更するだけでなく、 画像を 回転させることとしたので、 ラインヘッド 3 1のより一層の長寿命化及ぴ効率的利用 を図ることができる。
次に、 画像例に基づいて、 本実施形態の効果を具体的に説明する。 図 4 4は、 画像 を 1 8 0度回転させたときの各ノズルの平均吐出回数を表したグラフである。 図 3 7 と図 4 4とを比較することにより、 単に画像を 1 8 0度回転させることによつても、 ノズル間の吐出回数のばらつきが小さくなり、 最大吐出回数は減少することが分かる。 画像を 1 8 0度回転させるように画像データを変換するだけでも、 ラインへッド 3 1 の寿命をある程度延ばすことが可能である。 本例では、 画像を回転させることにより、 理論上はラインへッド 3 1の寿命が 2 1 / 1 3 . 5 = 1 . 5倍に延びることになる。 しかし、 本実施形態では、 画像を回転させるだけでなく Y方向に移動させるので、 ラインヘッド 3 1の寿命を更に延ばすことが可能となる。 図 4 5は、 前記画像を回転 させると共にラインヘッド 3 1の位置を前述の位置 (a ) 〜 (i ) にずらした場合の 各ノズルの平均吐出回数を表したグラフである。 図 4 5から分かるように、 ノズルの 平均の最大吐出回数は 8 . 3 3となり、 理論上はラインヘッドの寿命を 2 1 Z 8 . 3 3 = 2 . 5倍にまで延ばすことが可能である。 また、 ノズル間の吐出回数のばらつき を、 より一層低減させることができる。
なお、 上記実施形態では、 画像を 1 8 0度回転させていたが、 画像の回転角度は 1 8 0度に限定されない。 画像の内容に応じて画像の角度を適宜設定することができる。
(他の実施形態)
前記各実施形態の記録装置 5では、 4色のラインヘッド 3 1を組み合わせていたが、 ラインヘッドは 1つのみであってもよい。 本発明に係る記録ヘッドは、 単色の画像を 記録するものであってもよい。 また、 同一色のインクを吐出する複数のラインヘッド を備え、 階調記録を行う記録へッドであってもよい。
前記記録へッドは、 少なくとも一部に Y方向に並ぶ複数のノズルを有するインクジ ェット式の記録へッドであればよく、 その具体的構成は前記実施形態のラインへッド 3 1の構成に限定されるものではない。 例えば、 図 4 6に示すように、 Y方向に並ぶ 一列のノズル列を有する記録ヘッド 3 1 Aであってもよい。 また、 図 4 7に示すよう に、 単体へッド 3 2を Y方向に沿って千鳥状に配列したような記録へッド 3 1 Bであ つてもよい。
ラインへッド 3 1の長手方向 (第 1方向) と記録媒体の搬送方向 (第 2方向) とは 交差していればよく、 必ずしも直交している必要はない。
前記実施形態 1〜 3では、 記録対象となる記録媒体は、 円盤形状のディスク 3 0で あった。 し力 し、 記録媒体は円盤状のディスク 3 0に限らず、 正多角形状等の他の形 状のディスクであってもよい。 また、 ディスク以外の記録媒体であってもよい。 記録 媒体の記録面は、 円形又は正多角形であってもよく、 その他の形状であってもよい。 また、 実施形態 1〜3において、 記録媒体は、 D VD— R OMディスク等のように 1つの面像ごとに 1つずつ用意されるものに限らず、 1つの記録媒体に複数の画像が 繰り返し記録されるものであってもよレ、。 例えば、 記録媒体はロール紙等であっても よい。
前記実施形態 4, 5では、 画像データの変換及びラインヘッド 3 1の位置変更は、 記録装置 5の外部に存在する管理装置 4において行われていた。 し力 し、 画像データ の変換及びラインへッド 3 1の位置変更のいずれか一方又は両方は、 記録装置 5自身
が行うようにしてもよい。 画像データ変換部 5 1及ぴへッド位置変更部 5 2の一方又 は両方は、 記録装置 5に設けられていてもよい。
前記実施形態 4, 5では、 記録ヘッドを移動させることによって記録ヘッドと記録 媒体との相対位置を変更していたが、 記録ヘッドを固定しておき、 記録媒体を移動さ せるようにしてもよい。 また、 記録ヘッド及び記録媒体の両方を移動させるようにし てもよい。 ·
さらに、 記録ヘッドと記録媒体との相対位置は変更せずに、 画像を Y方向にずらす ことによつて使用ノズルの組み合わせを変更することも可能である。 例えば、 図 4 8 に示すように、 ラインヘッド 3 1とロール紙 3 4との相対位置は変更せず、 使用ノズ ルのみを変更するようにしてもよい。 ただし、 この場合、 ロール紙 3 4上における記 録位置は変更されてしまう。 そのため、 当該変形例は、 記録位置が厳密には問題とさ れないような用途に特に適している。
実施形態 4 , 5において、 記録媒体はロール紙 3 4に限らず、 カット紙であっても よい。 また、 記録媒体の種類も紙に限定されず、 建材、 板金、 段ボール、 プラスチッ ク等、 他の種類の材料であってもよい。 記録媒体の形状は、 四角形状に限らず、 他の 多角形状であってもよく、 円形状等、 他の形状であってもよい。
本発明は、 前記実施形態に限定されず、 その精神または主要な特徴から逸脱するこ となく他のいろいろな形で実施することができる。 このように、 上述の実施形態はあ らゆる点で単なる例示に過ぎず、 限定的に解釈してはならない。 本発明の範囲は請求 の範囲によって示すものであって、 明細書本文には何ら拘束されない。 さらに、 請求 の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、 すべて本発明の範囲内のものである。 産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明は同一画像を大量に記録する際に、 特に顕著な効果を 発揮する。 つまり、 同一画像を繰り返し記録する用途、 例えば、 C D— R OMや D V D— R OM等の表面にレーベルを記録する用途、 伝票を作成する用途、 等に対して、 特に効果的である。