明 細 書
インフレータ
技術分野
[0001] 本発明は、特に自動車に装着されたサイドエアバッグ用のインフレータとして適した インフレータに関する。
背景技術
[0002] 自動車両の膨張式安全システム用のインフレータには、運転席、助手席等の車両 内の座席位置等に応じて最適な乗員保護ができるよう、運転席のエアバッグ用インフ レータ、助手席のエアバッグ用インフレータ、サイドエアバッグ用インフレータ、カーテ ン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用ィ ンフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナ一用インフレータ等 の各種インフレータが知られている。
[0003] これらの中でサイドエアバッグ用インフレータは、運転席や助手席のエアバッグ用ィ ンフレータと比べると設置場所が限定されるため、形状、大きさ、機能等に対する要 求のほか、インフレータの点火器と自動車の電源とを連結する配線作業に対する要 求も多い。
[0004] 特許文献 1 :W〇97Z08020
特許文献 2 :W〇97Z32753
特許文献 3 : USPS, 794, 973
特許文献 4 : USP6, 039, 348
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 本発明は、エアバッグの膨張展開方向の制御が容易で、インフレータの点火器と自 動車の電源間の配線作業も容易な、特にサイドエアバッグ用インフレータとして適し たインフレータを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0006] 請求項 1の発明は、課題の解決手段として、筒状のインフレータハウジングと、筒状
のインフレータハウジングの一端に接続された点火手段室と、筒状のインフレータハ ウジングの他端に接続されたディフューザ部とを有しており、
点火手段室が点火器とガス排出孔を有し、インフレータハウジング内部と点火手段 室の間が第 1破裂板で閉塞され、
ディフューザ部がガス排出孔を有し、インフレータハウジング内部とディフューザ部 の間が第 2破裂板で閉塞され、
筒状のインフレータハウジングの内部に加圧ガスが高圧充填されているインフレ一 タを提供する。
[0007] 本発明のインフレータは、ガス排出孔が両端部に離れて配置されているから、ガス 排出孔が一端部のみに設けられている場合と比べると、エアバッグを膨張展開させる 際、エアバッグの上下方向及び z又は左右方向への展開方向の制御や展開速度の 制御が容易である。また、異なったエアバッグにガスを導入して、同時に膨張させたり
、 1つのエアバッグに異なる 2個所からガスを導入して、エアバッグを上下方向及び/ 又は左右方向に均一に膨張させることもできる。
[0008] 更に本発明のインフレータは、点火器が一端部のみに設けられているから、電源( バッテリー)と接続するリードワイヤは 1個所のみから引き出されるため、点火器が 2つ の場合に比べると、配線作業が容易で、配線に要するスペースも少なくて済む。
[0009] インフレータハウジングに充填する加圧ガス(アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、 窒素ガス等)の充填圧力は、インフレータの種類等により異なるが、 自動車のェアバ ッグ用に適用する場合には、最大圧で 70, OOOkPa程度である。
[0010] 請求項 2の発明は、請求項 1の発明において、筒状のインフレータハウジング内に 、第 1破裂板から第 2破裂板まで、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導 く手段が設けられおり、点火手段室に収容された点火器の作動により、最初に第 1破 裂板が破壊され、遅れて第 2破裂板が破壊されるインフレータを提供する。
[0011] この第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く手段は、第 1破裂板から第 2破裂板までの間に配置されたチューブであり、前記破壊エネルギーがチューブ内 を移動するものであることが好ましレ、。
[0012] 本発明において、「第 1破裂板から第 2破裂板まで」とは、第 1破裂板に接する位置
又は第 1破裂板の近傍位置から、第 2破裂板に接する位置まで又は第 2破裂板の近 傍位置までを意味する。以下の各発明においても同様である。
[0013] 離れた位置に配置されたガス排出孔力 加圧ガスを噴出させるためには、第 1破裂 板と第 2破裂板を破壊して、インフレータハウジング内に高圧充填された加圧ガスを 移動可能な状態にする必要がある。ここで、第 1破裂板は、点火器と近接した位置に あるため破壊は容易であるが、第 2破裂板は点火器と離れた位置にあるため破壊の 確実性を高めることが重要となる。
[0014] そこで、請求項 2、 3の発明は、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く 手段、好ましくは第 1破裂板から第 2破裂板の間に配置されたチューブを設けること により、 1つの点火器で 2つの破裂板を破壊するときの第 2破裂板の破壊性を高める ものである。
[0015] 請求項 4の発明は、請求項 1の発明において、筒状のインフレータハウジング内に 、第 1破裂板から第 2破裂板まで、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導 く手段が設けられ、更に前記破壊エネルギーを受けて移動し、第 2破裂板に衝突す る可動体を有しており、点火手段室に収容された点火器の作動により、最初に第 1破 裂板が破壊され、遅れて第 2破裂板が破壊されるインフレ一タインフレータを提供す る。
[0016] この第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く手段は、第 1破裂板から第 2破裂板までの間に配置されたチューブであり、可動体がチューブ内に配置され、前 記破壊エネルギーを受けてチューブ内を移動し、第 2破裂板に衝突するものであるこ とが好ましい。
[0017] 請求項 4、 5の発明は、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く手段、 好ましくは第 1破裂板の設置位置から第 2破裂板の設置位置の間に配置されたチュ ーブと共に可動体を設けることにより、 1つの点火器で 2つの破裂板を破壊するときの 第 2破裂板の破壊性を高めるものである。
[0018] この可動体は、第 2破裂板に衝突して破壊するものであるため、例えば、第 2破裂 板と同じ材質の金属からなり、鋭利な矢尻状先端部を有するものを用レ、ることができ る。
[0019] 請求項 6の発明は、請求項 1の発明において、筒状のインフレータハウジング内に 、第 1破裂板の設置位置から第 2破裂板の設置位置まで、第 2破裂板を破壊するた めの破壊エネルギーを導く手段が設けられおり、前記破壊エネルギーを導く手段が 導爆線であり、最初に第 1破裂板が破壊され、遅れて第 2破裂板が破壊されるインフ レータ。
[0020] 導爆線は、細い金属管内に火薬が充填された構造のものであり、例えば、特開平 1 1—263185号公報等に開示されている。
[0021] 導爆線は、一端が第 1破裂板に接して又は近傍に位置するように、他端が第 2破裂 板に接して又は近傍に位置するようにして配置される。また、導爆線は、インフレータ ハウジング内にそのまま配置してもよいし、第 1破裂板から第 2破裂板までの間に配 置したチューブ内に配置してもよい。
[0022] 請求項 6の発明は、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として 、前記導爆線を設けることにより、 1つの点火器で 2つの破裂板を破壊するときの第 2 破裂板の破壊性を高めるものである。
[0023] 請求項 7の発明は、請求項 1の発明において、筒状のインフレータハウジング内に 、第 1破裂板から第 2破裂板まで、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導 く手段が設けられおり、前記破壊エネルギーを導く手段が、第 1破裂板から第 2破裂 板までの間に配置され、破壊エネルギーを受けて移動し、第 2破裂板に衝突する棒 状体であり、最初に第 1破裂板が破壊され、遅れて第 2破裂板が破壊されるインフレ ータを提供する。
[0024] 請求項 7の発明は、第 2破裂板を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として 、前記棒状体を設けることにより、 1つの点火器で 2つの破裂板を破壊するときの第 2 破裂板の破壊性を高めるものである。
[0025] 請求項 8の発明は、請求項 1一 7のいずれかの発明において、両端のガス排出孔 の総開口面積が異なるものであるインフレータを提供する。
[0026] このように両端に設けられたガス排出孔の総開口面積を異ならせることにより、それ ぞれのガス排出孔から噴出される加圧ガスの噴出速度(噴出量)を調整することがで きる。このようなインフレータは、車種やインフレータの種類に応じてエアバッグの形
状、大きさ、展開方向(上下方向及び左右方向)が異なった場合にも容易に対応する こと力 Sできる。
[0027] 本発明のインフレータは、公知のエアバッグ用インフレータ、例えば、運転席のエア バッグ用インフレータ、助手席のエアバッグ用インフレータ、サイドエアバッグ用インフ レータ、カーテン用インフレータ用に適用できる力 特にサイドエアバッグ用インフレ ータとして適している。
発明の効果
[0028] 本発明のインフレータは、点火器が一つで、両端に離れて配置されたガス排出孔 を有している。このため、エアバッグの上下方向及び/又は左右方向への展開方向 の制御や展開速度の制御が容易になると共に、点火器が 2つの場合に比べると、配 線作業が容易で、配線に要するスペースも少なくて済むものであるから、特に設置場 所による制約が大きいサイドエアバッグ用インフレータとして適している。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]本発明のインフレ一タの軸方向の断面図。
[図 2]本発明のインフレ一タの軸方向の断面図。
[図 3]本発明のインフレ一タの軸方向の断面図。
[図 4]図 3のインフレータの別形態を示す軸方向の断面図。
[図 5]本発明のインフレ一タの軸方向の断面図。
符号の説明
[0030] 10、 100、 200、 300 インフレータ
20 インフレ一タノ、ウジング
24 トランスファチューブ
30 点火手段室
34 第 1ガス排出孔
36 点火器
38 第 1破裂板
40 ディフューザ部
46 第 2ガス排出孔
48 第 2破裂板
発明を実施するための最良の形態
[0031] (1)第 1の実施の形態
図 1により、第 1の実施の形態を説明する。図 1は、インフレ一タの軸方向の断面図 である。
[0032] インフレータ 10は、鋼鉄等の耐圧性の高い金属からなる筒状のインフレータハウジ ング 20と、一端に接続された点火手段室 30と、他端に接続されたディフューザ部 40 とを有している。点火手段室 30、ディフューザ部 40は、ステンレス、アルミニウム製等 でよい。
[0033] 図 1では、インフレータハウジング 20、点火手段室 30、ディフューザ部 40は別部材 となっているが、これらの全体を 1つの部材で形成し(例えば、インフレータハウジング で全体の外殻を形成する)、各部を隔壁及び破裂板で分離してもよい。
[0034] インフレータハウジング 20の内部空間 22内は気密状態に保持されており、ァルゴ ン、ヘリウム、窒素等が高圧充填されている。
[0035] インフレータハウジング 20は、既存のガスボンベを利用することができ、パイプをス エージ加工して製造することもできる。図 1のインフレータ 10では、インフレータハウ ジング 20の一端に点火手段室 30を接続し、他端にディフューザ部 40を接続し、破 裂板を設けて気密状態が維持できるようにした後、細孔に嵌入したシールピン 23の 隙間力 加圧ガスを充填し、その後、シールピン 23の部分でインフレータハウジング 20を溶接している。
[0036] 点火手段室 30は、点火手段室ハウジング 32により外殻が形成されている。点火手 段室ハウジング 32には、加圧ガスを外部に噴出させるための複数の第 1ガス排出孔 34が設けられており、内部には点火薬を備えた点火器 36が収容されている。点火器 36は、コネクタ及びリードワイヤを介して電源(自動車のバッテリー)に接続される。
[0037] インフレータハウジング 20 (内部空間 22)と点火手段室 30の間の第 1通路 37には、 ステンレス製の第 1破裂板 38が設けられている。第 1通路 37は第 1破裂板 38で閉塞 されているため、点火手段室 30内は常圧である。第 1破裂板 38は、その周縁部が、 点火手段室ハウジング 32内表面が半径方向に突出した第 1環状部 33に溶接固定さ
れている。
[0038] ディフューザ部 40は、ディフユザ一ハウジング 42により外殻が形成されており、内 部には第 2通路 44が設けられ、ディフューザハウジング 42には、加圧ガスを外部に 噴出させるための複数の第 2ガス排出孔 46が設けられている。
[0039] インフレータハウジング 20 (内部空間 22)と第 2通路 44の間には、ステンレス製の第 2破裂板 48が設けられている。第 2通路 44は、第 2破裂板 48で閉塞されているため 、ディフューザ部 40内は常圧である。第 2破裂板 48は、その周縁部が、ディフューザ ハウジング 42の内表面が軸方向に突出した第 2環状部 43に溶接固定されている。
[0040] インフレータハウジング 20と点火手段室 30、インフレータハウジング 20とディフュー ザ 40とは、図 1に示すとおり、溶接により接続されている。
[0041] インフレータハウジング 20内には、第 1破裂板 38から第 2破裂板 48までの間に、第 2破裂板 48を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として、トランスファチューブ 24が設けられている。トランスファチューブ 24の一端開口部側は、フランジ部 24aが 第 1破裂板 38と共に第 1環状部 33において溶接固定されているが、他端側は固定さ れておらず、第 2破裂板 48には当接されていない。このため、トランスファチューブ 2 4内にも加圧ガスが存在しているので、トランスファチューブ 24内と内部空間 22内は 同圧である。
[0042] 点火手段室 30に設けられた第 1ガス排出孔 34と、ディフューザ部 40に設けられた 第 2ガス排出孔 46は、適用するエアバッグ用インフレータの種類等に応じて、総開口 面積を同じにしたり、異ならせたりすることができる。
[0043] 例えば、エアバッグを主として一方向側に展開させたい場合には、第 1ガス排出孔 34の総開口面積を大きくして噴出量を増加させることにより、エアバッグの展開方向 を制御することができる。この場合、第 1ガス排出孔 34と第 2ガス排出孔 46の向きを 調整すれば、エアバッグの展開方向の制御がより容易になる。
[0044] また、 2つのエアバッグを用いる場合、一方のエアバッグを第 1ガス排出孔 34と連結 し、他方のエアバッグを第 2ガス排出孔 46と連結しておき、優先的に膨張展開させた いエアバッグ (例えば、第 2ガス排出孔 46に連結されたエアバッグ)の開口面積を大 きくしておけば、第 2ガス排出孔 46に連結されたエアバッグの方を他方のエアバッグ
よりも優先的に膨張展開させることができる。
[0045] 次に、図 1に示すインフレータ 10の動作について説明する。点火器 36の作動によ り、第 1破裂板 38が破壊されたとき、破壊エネルギー(主として、点火薬の燃焼により 生じた圧力)は瞬時にトランスファチューブ 24内を移動し、第 2破裂板 48に衝突し、 破壊する。
[0046] その後、内部空間 22内に高圧充填されている加圧ガスは、トランスファチューブ 24 内を通って点火手段室 30内に流入し、第 1ガス排出孔 34から噴出されると共に、第 2通路 44内に流入し、第 2ガス排出孔 46から噴出される。なお、第 1破裂板 38が破 壊されたとき、トランスファチューブ 24の一端側のフランジ部 24aが第 1環状部 33から 脱落するようにすれば (但し、トランスファチューブ 24内の破壊エネルギーの移動を 阻害しないようにする。)、加圧ガスは直接点火手段室 30内に流入し、第 1ガス排出 孔 34から噴出される。
[0047] このようなインフレータ 10は、第 1ガス排出孔 34、第 2ガス排出孔 46が両端部に離 れて配置されているから、ガス排出孔が一端部のみに設けられている場合と比べると 、エアバッグを膨張展開させる際、エアバッグの上下方向及び/又は左右方向への 展開方向の制御や展開速度の制御が容易になる。また、異なったエアバッグにガス を導入して、同時に膨張させたり、 1つのエアバッグに異なる 2個所からガスを導入し て、エアバッグを上下方向及び/又は左右方向に均一に膨張させることもできる。
[0048] 更にインフレータ 10は、点火器 36がー端部のみに設けられているから、電源(バッ テリー)と接続するリードワイヤは 1個所のみから引き出されるため、点火器が 2つの場 合に比べると、配線作業が容易で、配線に要するスペースも少なくて済む。
[0049] (2)第 2の実施の形態
図 2により、第 2の実施の形態を説明する。図 2は、インフレ一タの軸方向の断面図 である。図 2で示すインフレータ 100と図 1で示すインフレータ 10は、ほぼ同一構造の ものであるため、同一部分については同一番号を付して説明を略し、異なる部分を 中心に説明する。
[0050] インフレータハウジング 20内には、第 1破裂板 38から第 2破裂板 48までの間に、第 2破裂板 48を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として、トランスファチューブ
24が設けられている。
[0051] トランスファチューブ 24内には、可動体(チェックバルブピン) 50が軸方向に移動自 在に挿入されている。可動体 50は、先端が鋭利な矢尻状のもので、破裂板と同様の ステンレス製である。
[0052] なお、可動体 50全体がトランスファチューブ 24内から飛び出してしまったとき、第 2 破裂板 48を破壊できた場合であっても、可動体 50が加圧ガスの流出に伴って移動 して、破壊された第 2破裂板 48の開口部分を塞いでしまうことも考えられる。このため 、可動体 50の先端部が第 2破裂板 48に衝突した際、基部 51 (先端部と反対側の部 分)がトランスファチューブ 24内に留まっていられるように、基部 51がトランスファチュ ーブ 24の内周面に引つ力、かるような構造にすることが望ましい。このとき、トランスファ チューブ 24と可動体 50 (基部 51)は、インフレータ 100の作動前にはトランスファチュ ーブ 24内に加圧ガスが流入し、インフレータ 100の作動後にもトランスファチューブ 2 4内を加圧ガスが通過して、第 1ガス排出孔 34から排出できるように設定されている。
[0053] 次に、図 2に示すインフレータ 100の動作について説明する。点火器 36の作動によ り、第 1破裂板 38が破壊されたとき、破壊エネルギー(主として、点火薬の燃焼により 生じた圧力)は瞬時にトランスファチューブ 24内を移動する。そして、トランスファチュ ーブ 24を移動する破壊エネルギーを受け、可動体 50が飛び出して第 2破裂板 48に 衝突し、破壊する。その後は、図 1のインフレータ 10と同様の動作がなされる。
[0054] (3)第 3の実施の形態
図 3により、第 3の実施の形態を説明する。図 3は、インフレ一タの軸方向の断面図 である。図 3で示すインフレータ 200と図 1で示すインフレータ 10は、ほぼ同一構造の ものであるため、同一部分については同一番号を付して説明を略し、異なる部分を 中心に説明する。
[0055] インフレータハウジング 20内には、第 1破裂板 38から第 2破裂板 48までの間に、第 2破裂板 48を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として、導爆線 60が配置さ れている。
[0056] 導爆線 60は、ステンレス製の細管内に火薬が充填された構造のものであり、図示 するようにインフレータハウジング 20の両端部近傍に配置されたリテーナ 65、 66によ
り支持固定されている。
[0057] リテーナ 65は、環状外周壁 65aでインフレータハウジングの内周面 22aを押圧し、 環状内周壁 65bで導爆線 60を押圧し、リテーナ 66は、環状外周壁 66aでインフレ一 タハウジングの内壁面 22aを押圧し、環状内周壁 66bで導爆線 60を押圧することで、 導爆線 60を支持固定してレ、る。
[0058] リテーナ 65、 66は、それぞれカ卩圧ガスを円滑に流すための通気孔 65c、 66cを有 し、更に中央部には導爆線 60を貫通させて支持するための支持孔 65d、 66d (環状 内周壁 65b、 66bで囲まれた孔)を有している。
[0059] 導爆線 60は、このようなリテーナ 65、 66を、点火手段室 30及びディフューザ部 40 の取付前にインフレータハウジング 20の両端開口部から圧入することにより、一端側 が第 1破裂板 38と対向する力、 (接触していなレ、)又は接触するように、他端側が第 2 破裂板 48と対向する力 ^接触していない)又は接触するようにして配置されている。な お、リテーナ 65、 66は、導爆線 60を支持固定できるものであれば、適宜形状や構造 を改変すること力 Sできる。
[0060] また、導爆線 60の固定方法としては、図 4に示すように、導爆線 60をインフレータ ハウジングの内周面 20aに沿わせ、所望個所を接着剤、アルミニウムやステンレス製 の粘着テープ 68により固定して、導爆線 60の一端側が第 1破裂板 38と対向する力^ 接触していない)又は接触するように、他端側が第 2破裂板 48と対向する力 (接触し てレヽなレ、)又は接触するようにして配置してもよレ、。
[0061] 次に、図 3、図 4に示すインフレータ 200の動作について説明する。点火器 36の作 動により、第 1破裂板 38が破壊されたとき、導爆線 60の火薬に着火され、この火薬の 爆発力により、第 2破裂板 48が破壊される。その後は、図 1のインフレータ 10と同様 の動作がなされる。
[0062] (4)第 4の実施の形態
図 5により、第 4の実施の形態を説明する。図 5は、インフレ一タの軸方向の断面図 である。図 5で示すインフレータ 300と図 1で示すインフレータ 10は、ほぼ同一構造の ものであるため、同一部分については同一番号を付して説明を略し、異なる部分を 中心に説明する。
[0063] 本実施形態は、図 2のトランスファチューブ 24と可動体(チェックバルブピン) 50の 組み合わせを棒状体に置き換えた構造のものである。
[0064] インフレータハウジング 20内には、第 1破裂板 38から第 2破裂板 48までの間に、第
2破裂板 48を破壊するための破壊エネルギーを導く手段として、棒状体 70が配置さ れている。
[0065] 棒状体 70の一端部 70aは、第 1環状部 33において、第 1破裂板 38と共に溶接固 定されているが、点火器 36の作動により、第 1破裂板 38が破壊されたときには、溶接 固定部分は容易に脱離するようにされている。棒状体 70の他端部 70bは、第 2破裂 板 48を破壊するためのものであるため、鋭利な矢尻状となっている。
[0066] 次に、図 5に示すインフレータ 300の動作について説明する。点火器 36の作動によ り、第 1破裂板 38が破壊されたとき、棒状体 70は破壊エネルギー(主として、点火薬 の燃焼により生じた圧力)を受け、軸方向に移動し、先端部が第 2破裂板 48に衝突し 、破壊する。その後は、図 1のインフレータ 10と同様の動作がなされる。