JP3760004B2 - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃から乗員を保護するエアバッグ用ガス発生器に関し、特に加圧ガスを封入するハイブリッド形ガス発生器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
衝突の衝撃から乗員を保護する目的で自動車にエアバッグ装置が装着される。このエアバッグ装置は、センサ、コントロールユニット、ガス発生器、及びエアバッグなどから構成される。ガス発生器は、点火手段と、ガス発生手段を備えている。ハイブリッド形ガス発生器の場合、ガス発生手段は、ガス発生剤と加圧ガスよりなっている。
【０００３】
そして、衝撃をセンサが感知するとその信号がコントロールユニットに送られ、コントロールユニットで演算されてその結果が出力され、その出力信号が点火手段に送られて点火手段が作動する。これにより、ガス発生手段のガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスは加圧ガスを加熱すると共に加圧ガスと混合し、この混合ガスがエアバッグ（袋体）内に噴出する。これによりエアバッグは膨張し、堅い構造物と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成するようになっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ガス発生剤の燃焼は急速に行われるために、その燃焼により生じる混合ガスは、エアバッグを急速に膨張させる。エアバッグのこの急速な膨張は、例えば正規の位置にいない小さな子供に対し、突然の大きな衝撃を与える結果となる。
【０００５】
従って、本発明は、状況に応じてエアバッグの膨張パターンをいろいろに変えることのできるエアバッグ用ガス発生器を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、２つのガス発生器を軸方向に接続してなり、
各ガス発生器は、円筒状ハウジングと、前記ハウジングの一端部に配設され作動信号を受けて作動する点火手段と、前記点火手段により点火されて燃焼ガスを生成するガス発生剤と、前記ハウジング内に封入され前記ガス発生剤の燃焼ガスにより加熱され該燃焼ガスと共に混合ガスを生成する加圧ガスと、前記ハウジングの他端部に配設されハウジング内の前記混合ガスが噴出するガス排出口を有するディフューザーとを備え、
前記２つのガス発生器は、各ガス発生器ハウジングのディフューザー側において溶接により互いに接合されることを特徴とする。
【０００７】
そして、ディフューザーは、接合面を有する端壁部と、ガス排出口が配設される周壁部とを有する円筒部材からなることが好ましい。
【０００８】
また、２つのガス発生器は、同一形状のガス発生器からなることができる。
【０００９】
或は、２つのガス発生器は、ガス発生剤及び加圧ガスの双方、又はいずれか一方は、容量が互いに異なるようにすることができる。
【００１０】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、２つのガス発生器を軸方向に接続してなる。各ガス発生器は、円筒状ハウジングと、点火手段と、ガス発生手段、すなわちガス発生剤及び加圧ガスと、そしてガス排出口を備えている。これら２つのガス発生器は、ガス排出口が配設される一側端部において、溶接により互いに接合されるものである。
【００１１】
本ガス発生器において、２つの点火手段を同時に、又は時間的な遅れをもって作動させることにより、エアバッグの膨張（展開）速度を変化させることができる。
【００１２】
衝撃の程度が小さいときは、２つの点火手段を時間的な遅れをもって作動させることにより、エアバッグの初期段階での膨張速度を遅くし、これにより正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与え、その後大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１３】
また、衝撃の程度が大きいときは、２つの点火手段を同時に作動させることにより、エアバッグの膨張速度を増大させ、これによりエアバッグは急激に膨張して乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１４】
また、本ガス発生器において、２つの点火手段のうち、１つのみを作動させることにより、エアバッグに対するガス供給量を低減することができる。
【００１５】
例えば、車内温度が高いとき、エアバッグは過度の内圧をもって膨張する。このような場合、１つの点火手段のみを作動させて２つのガス発生器のうちの１つを作動させることにより、エアバッグに対するガス供給量を低減することができる。これにより、エアバッグは適度の内圧をもって膨張することができる。
【００１６】
点火手段は、ガス排出口と反対側のハウジング他側端部、又はガス排出口と同じ側のハウジング一側端部に配設することができる。
【００１７】
２つのガス発生器の接合は、各種溶接法、例えば、ガス溶接、アーク溶接、イナートガスアーク溶接、摩擦溶接などにより行うことができる。接合が行われるハウジングのディフューザーは、接合面を有する端壁部と、ガス排出口が配設される周壁部を有する円筒部材からなることが好ましい。２つのガス発生器を上記接合面で合わせて溶接を行うことができる。
【００１８】
本ガス発生器に利用できる加圧ガスとして、不活性ガス、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムなどが挙げられる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図１は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の一実施例の断面図である。このガス発生器は、２つのガス発生器１、１を軸方向に接続してなっている。２つのガス発生器１、１は、互いに同一のガス発生器からなっている。各ガス発生器１は、円筒状ハウジング２と、このハウジング２の他側端部に配設される点火手段、すなわち電気式点火器３と、この点火器３により点火されて燃焼ガスを生成するガス発生剤４と、ハウジング２内に封入され前記ガス発生剤の燃焼ガスと共に混合ガスを生成する加圧ガス５と、ハウジングの一側端部に配設され前記混合ガスが噴出するガス排出口６とを備えている。
【００２０】
ハウジング２は、両端に開口７及び８を有する円筒状本体９を有している。この本体９内に組立体１３が配設されており、この組立体１３は、アダプタ部１０と、円筒部１４と、カップ形状部１１と、そしてこのカップ形状部１１と前記円筒部１４とを接続する接続部１５を有している。この組立体１３は、開口７より本体９内に挿入された後、開口８にカップ形状部１１の開口縁部が、また開口７にアダプタ部１０の外周部がそれぞれ嵌合した状態で、各開口において溶接により気密に固定される。
【００２１】
アダプタ部１０は、点火器３を配設するための孔部１２と、この孔部１２の底部に配設される貫通孔１７と、そして加圧ガスを充填するための充填孔１６を備えている。点火器３は、孔部１２に配設された後、ねじボルト３１により固定される。また、貫通孔１７にはバーストディスク１８が配設されている。円筒部１４は、その長手方向ほぼ中央に貫通孔３２を有し、また円筒部内の中心に、多数の貫通孔１９を有する伝火チューブ２０が配設されている。この伝火チューブ２０内に、チェックバルブ２１が摺動可能に配設されている。伝火チューブ２０と円筒部１４間の環状空間にガス発生剤４が配設されている。接続部１５は貫通孔２２を備えており、この接続部１５とカップ形状部１１間にバーストディスク２３が配設されている。
【００２２】
充填孔１６より充填された加圧ガス５は、貫通孔３２を通って円筒部１４内にも充満している。
【００２３】
ハウジング２の一側端部は、円筒部材２４により構成されている。この円筒部材２４は、端壁部２５と、周壁部２６と、そして開放端部２９を有している。開放端部２９は、本体開口８を取り囲み、開口８周囲に溶接により固定されている。端壁部２５は、平面からなる接合面２７を有し、また周壁部２６には、ガス排出口６が周方向に複数個配設されている。円筒部材２４の内部にはクーラントを兼ねるフィルタ３０が配設されている。
【００２４】
２つのガス発生器は、各ガス発生器ハウジングの一側端部、すなわち円筒部材２４において、溶接により互いに接合されている。すなわち、２つのガス発生器は、円筒部材２４の各接合面２７で合わされ、この状態で溶接が行われ接合されている。この構成により、ガス排出口６は、本ガス発生器の中央部に位置している。
【００２５】
以下、本ガス発生器の作動について説明する。最初に、本ガス発生器を構成する各ガス発生器１についてその作動を説明し、次に本ガス発生器の作動を説明する。
【００２６】
ガス発生器１において、衝撃をセンサ（図示せず）が感知すると、その信号が制御手段（図示せず）に送られ、制御手段で演算されてその結果が出力され、その出力信号が点火器３に送られる。このとき、点火器３が作動し、高温・高圧のガスを生成する。この生成ガスの圧力により、バーストディスク１８が破壊され、これにより高温のガスが伝火チューブ２０内に噴出する。噴出ガスは、伝火チューブの貫通孔１９を通り、伝火チューブ外側のガス発生剤４に点火する。これによりガス発生剤４が燃焼し、燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスの圧力により、チェックバルブ２１が移動し、この移動により、バーストディスク２３が破壊される。このとき、ハウジング２内に封入されていた加圧ガス５が貫通孔２２を通って接続部１５内に入り、カップ形状部１１、フィルタ３０を経て、ガス排出口６より噴出する。この噴出ガスを得たエアバッグ（図示せず）は、比較的遅い速度で膨張する。
【００２７】
燃焼ガスはまた、貫通孔３２より噴出し、円筒部１４外側の加圧ガス５と混合し、またこの加圧ガス５を加熱する。加熱により膨張した加圧ガス５と、ガス発生剤４の燃焼ガスよりなる混合ガスは、貫通孔２２を通って接続部１５内に入り、カップ形状部１１を経てフィルタ３０を通過し、フィルタ３０を通過する間に冷却・浄化され、冷却・浄化された混合ガスは、ガス排出口６より噴出する。この噴出ガスを得たエアバッグは、大きな膨張速度をもって膨張する。
【００２８】
本ガス発生器は、その点火器３を作動制御することにより、以下のように作動することができる。説明の都合上、図面右側にあるガス発生器部分を「第１」、同左側にあるガス発生器部分を「第２」とする。
【００２９】
（ｉ）衝撃の程度が小さいときは、２つの点火器３を時間的な遅れをもって作動させる。
【００３０】
制御手段（図示せず）からの電気信号により、最初に第１点火器３が作動する。これにより、上述の通り、第１バーストディスク１８が破壊されて第１ガス発生剤４に点火し、これにより第１ガス発生剤４が燃焼して燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスの圧力により、第１チェックバルブ２１が移動して第１バーストディスク２３を破壊し、このとき第１加圧ガス５が第１貫通孔２２、第１フィルタ３０を経て、第１ガス排出口６よりエアバッグ（図示せず）内に噴出する。エアバッグは、比較的遅い速度で膨張する。
【００３１】
第１点火器３の作動から所定の時間ｔをおいて、制御手段から電気信号が発信され、これにより第２点火器３が作動する。これにより、第２ガス発生器１において、第１ガス発生器１で述べたことと同様の作動が行われて、第２加圧ガス５が第２ガス排出口６よりエアバッグ内に供給される。これ以降、第１ガス発生器より供給されるガス量に、第２ガス発生器より供給されるガス量が加わるために、エアバッグの膨張速度は増大する。
【００３２】
このようにして本ガス発生器においては、最初、エアバッグは、小さな膨張速度をもって膨張することにより、正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与え、その後、エアバッグは、大きな膨張速度をもって膨張することにより、正規の位置にいない乗員に対し、大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。
【００３３】
（ｉｉ）衝撃の程度が大きいときは、２つの点火器３を同時に作動させる。
【００３４】
制御手段からの電気信号により、第１点火器３と第２点火器３が同時に作動する。これにより、第１及び第２ガス排出口６及び６から、最初に第１及び第２加圧ガス５及び５が、その後第１及び第２混合ガスがエアバッグ内に噴出する。これによりエアバッグは、同時に作動する２つのガス発生器からガスを得て、急速に膨張し、乗員を保護するべく乗員の前にクッションを形成する。
【００３５】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、エアバッグの膨張パターンを変えることのできるエアバッグ用ガス発生器が実現できるものである。すなわち、本ガス発生器は、その点火手段を作動制御することにより、ガス供給速度、ガス供給量を変えることができ、これによりエアバッグの膨張パターンをいろいろに変化させることができる。
【００３６】
本ガス発生器はまた、そのガス排出口がガス発生器全体の中央に位置しているので、エアバッグの均一な膨張が得られ、乗員を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【符号の説明】
１・・・ガス発生器
２・・・ハウジング
３・・・点火器
４・・・ガス発生剤
５・・・加圧ガス
６・・・ガス排出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃から乗員を保護するエアバッグ用ガス発生器に関し、特に加圧ガスを封入するハイブリッド形ガス発生器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
衝突の衝撃から乗員を保護する目的で自動車にエアバッグ装置が装着される。このエアバッグ装置は、センサ、コントロールユニット、ガス発生器、及びエアバッグなどから構成される。ガス発生器は、点火手段と、ガス発生手段を備えている。ハイブリッド形ガス発生器の場合、ガス発生手段は、ガス発生剤と加圧ガスよりなっている。
【０００３】
そして、衝撃をセンサが感知するとその信号がコントロールユニットに送られ、コントロールユニットで演算されてその結果が出力され、その出力信号が点火手段に送られて点火手段が作動する。これにより、ガス発生手段のガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスを生成し、この燃焼ガスは加圧ガスを加熱すると共に加圧ガスと混合し、この混合ガスがエアバッグ（袋体）内に噴出する。これによりエアバッグは膨張し、堅い構造物と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成するようになっている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
ガス発生剤の燃焼は急速に行われるために、その燃焼により生じる混合ガスは、エアバッグを急速に膨張させる。エアバッグのこの急速な膨張は、例えば正規の位置にいない小さな子供に対し、突然の大きな衝撃を与える結果となる。
【０００５】
従って、本発明は、状況に応じてエアバッグの膨張パターンをいろいろに変えることのできるエアバッグ用ガス発生器を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、２つのガス発生器を軸方向に接続してなり、
各ガス発生器は、円筒状ハウジングと、前記ハウジングの一端部に配設され作動信号を受けて作動する点火手段と、前記点火手段により点火されて燃焼ガスを生成するガス発生剤と、前記ハウジング内に封入され前記ガス発生剤の燃焼ガスにより加熱され該燃焼ガスと共に混合ガスを生成する加圧ガスと、前記ハウジングの他端部に配設されハウジング内の前記混合ガスが噴出するガス排出口を有するディフューザーとを備え、
前記２つのガス発生器は、各ガス発生器ハウジングのディフューザー側において溶接により互いに接合されることを特徴とする。
【０００７】
そして、ディフューザーは、接合面を有する端壁部と、ガス排出口が配設される周壁部とを有する円筒部材からなることが好ましい。
【０００８】
また、２つのガス発生器は、同一形状のガス発生器からなることができる。
【０００９】
或は、２つのガス発生器は、ガス発生剤及び加圧ガスの双方、又はいずれか一方は、容量が互いに異なるようにすることができる。
【００１０】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、２つのガス発生器を軸方向に接続してなる。各ガス発生器は、円筒状ハウジングと、点火手段と、ガス発生手段、すなわちガス発生剤及び加圧ガスと、そしてガス排出口を備えている。これら２つのガス発生器は、ガス排出口が配設される一側端部において、溶接により互いに接合されるものである。
【００１１】
本ガス発生器において、２つの点火手段を同時に、又は時間的な遅れをもって作動させることにより、エアバッグの膨張（展開）速度を変化させることができる。
【００１２】
衝撃の程度が小さいときは、２つの点火手段を時間的な遅れをもって作動させることにより、エアバッグの初期段階での膨張速度を遅くし、これにより正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与え、その後大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１３】
また、衝撃の程度が大きいときは、２つの点火手段を同時に作動させることにより、エアバッグの膨張速度を増大させ、これによりエアバッグは急激に膨張して乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１４】
また、本ガス発生器において、２つの点火手段のうち、１つのみを作動させることにより、エアバッグに対するガス供給量を低減することができる。
【００１５】
例えば、車内温度が高いとき、エアバッグは過度の内圧をもって膨張する。このような場合、１つの点火手段のみを作動させて２つのガス発生器のうちの１つを作動させることにより、エアバッグに対するガス供給量を低減することができる。これにより、エアバッグは適度の内圧をもって膨張することができる。
【００１６】
点火手段は、ガス排出口と反対側のハウジング他側端部、又はガス排出口と同じ側のハウジング一側端部に配設することができる。
【００１７】
２つのガス発生器の接合は、各種溶接法、例えば、ガス溶接、アーク溶接、イナートガスアーク溶接、摩擦溶接などにより行うことができる。接合が行われるハウジングのディフューザーは、接合面を有する端壁部と、ガス排出口が配設される周壁部を有する円筒部材からなることが好ましい。２つのガス発生器を上記接合面で合わせて溶接を行うことができる。
【００１８】
本ガス発生器に利用できる加圧ガスとして、不活性ガス、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムなどが挙げられる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図１は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の一実施例の断面図である。このガス発生器は、２つのガス発生器１、１を軸方向に接続してなっている。２つのガス発生器１、１は、互いに同一のガス発生器からなっている。各ガス発生器１は、円筒状ハウジング２と、このハウジング２の他側端部に配設される点火手段、すなわち電気式点火器３と、この点火器３により点火されて燃焼ガスを生成するガス発生剤４と、ハウジング２内に封入され前記ガス発生剤の燃焼ガスと共に混合ガスを生成する加圧ガス５と、ハウジングの一側端部に配設され前記混合ガスが噴出するガス排出口６とを備えている。
【００２０】
ハウジング２は、両端に開口７及び８を有する円筒状本体９を有している。この本体９内に組立体１３が配設されており、この組立体１３は、アダプタ部１０と、円筒部１４と、カップ形状部１１と、そしてこのカップ形状部１１と前記円筒部１４とを接続する接続部１５を有している。この組立体１３は、開口７より本体９内に挿入された後、開口８にカップ形状部１１の開口縁部が、また開口７にアダプタ部１０の外周部がそれぞれ嵌合した状態で、各開口において溶接により気密に固定される。
【００２１】
アダプタ部１０は、点火器３を配設するための孔部１２と、この孔部１２の底部に配設される貫通孔１７と、そして加圧ガスを充填するための充填孔１６を備えている。点火器３は、孔部１２に配設された後、ねじボルト３１により固定される。また、貫通孔１７にはバーストディスク１８が配設されている。円筒部１４は、その長手方向ほぼ中央に貫通孔３２を有し、また円筒部内の中心に、多数の貫通孔１９を有する伝火チューブ２０が配設されている。この伝火チューブ２０内に、チェックバルブ２１が摺動可能に配設されている。伝火チューブ２０と円筒部１４間の環状空間にガス発生剤４が配設されている。接続部１５は貫通孔２２を備えており、この接続部１５とカップ形状部１１間にバーストディスク２３が配設されている。
【００２２】
充填孔１６より充填された加圧ガス５は、貫通孔３２を通って円筒部１４内にも充満している。
【００２３】
ハウジング２の一側端部は、円筒部材２４により構成されている。この円筒部材２４は、端壁部２５と、周壁部２６と、そして開放端部２９を有している。開放端部２９は、本体開口８を取り囲み、開口８周囲に溶接により固定されている。端壁部２５は、平面からなる接合面２７を有し、また周壁部２６には、ガス排出口６が周方向に複数個配設されている。円筒部材２４の内部にはクーラントを兼ねるフィルタ３０が配設されている。
【００２４】
２つのガス発生器は、各ガス発生器ハウジングの一側端部、すなわち円筒部材２４において、溶接により互いに接合されている。すなわち、２つのガス発生器は、円筒部材２４の各接合面２７で合わされ、この状態で溶接が行われ接合されている。この構成により、ガス排出口６は、本ガス発生器の中央部に位置している。
【００２５】
以下、本ガス発生器の作動について説明する。最初に、本ガス発生器を構成する各ガス発生器１についてその作動を説明し、次に本ガス発生器の作動を説明する。
【００２６】
ガス発生器１において、衝撃をセンサ（図示せず）が感知すると、その信号が制御手段（図示せず）に送られ、制御手段で演算されてその結果が出力され、その出力信号が点火器３に送られる。このとき、点火器３が作動し、高温・高圧のガスを生成する。この生成ガスの圧力により、バーストディスク１８が破壊され、これにより高温のガスが伝火チューブ２０内に噴出する。噴出ガスは、伝火チューブの貫通孔１９を通り、伝火チューブ外側のガス発生剤４に点火する。これによりガス発生剤４が燃焼し、燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスの圧力により、チェックバルブ２１が移動し、この移動により、バーストディスク２３が破壊される。このとき、ハウジング２内に封入されていた加圧ガス５が貫通孔２２を通って接続部１５内に入り、カップ形状部１１、フィルタ３０を経て、ガス排出口６より噴出する。この噴出ガスを得たエアバッグ（図示せず）は、比較的遅い速度で膨張する。
【００２７】
燃焼ガスはまた、貫通孔３２より噴出し、円筒部１４外側の加圧ガス５と混合し、またこの加圧ガス５を加熱する。加熱により膨張した加圧ガス５と、ガス発生剤４の燃焼ガスよりなる混合ガスは、貫通孔２２を通って接続部１５内に入り、カップ形状部１１を経てフィルタ３０を通過し、フィルタ３０を通過する間に冷却・浄化され、冷却・浄化された混合ガスは、ガス排出口６より噴出する。この噴出ガスを得たエアバッグは、大きな膨張速度をもって膨張する。
【００２８】
本ガス発生器は、その点火器３を作動制御することにより、以下のように作動することができる。説明の都合上、図面右側にあるガス発生器部分を「第１」、同左側にあるガス発生器部分を「第２」とする。
【００２９】
（ｉ）衝撃の程度が小さいときは、２つの点火器３を時間的な遅れをもって作動させる。
【００３０】
制御手段（図示せず）からの電気信号により、最初に第１点火器３が作動する。これにより、上述の通り、第１バーストディスク１８が破壊されて第１ガス発生剤４に点火し、これにより第１ガス発生剤４が燃焼して燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスの圧力により、第１チェックバルブ２１が移動して第１バーストディスク２３を破壊し、このとき第１加圧ガス５が第１貫通孔２２、第１フィルタ３０を経て、第１ガス排出口６よりエアバッグ（図示せず）内に噴出する。エアバッグは、比較的遅い速度で膨張する。
【００３１】
第１点火器３の作動から所定の時間ｔをおいて、制御手段から電気信号が発信され、これにより第２点火器３が作動する。これにより、第２ガス発生器１において、第１ガス発生器１で述べたことと同様の作動が行われて、第２加圧ガス５が第２ガス排出口６よりエアバッグ内に供給される。これ以降、第１ガス発生器より供給されるガス量に、第２ガス発生器より供給されるガス量が加わるために、エアバッグの膨張速度は増大する。
【００３２】
このようにして本ガス発生器においては、最初、エアバッグは、小さな膨張速度をもって膨張することにより、正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与え、その後、エアバッグは、大きな膨張速度をもって膨張することにより、正規の位置にいない乗員に対し、大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。
【００３３】
（ｉｉ）衝撃の程度が大きいときは、２つの点火器３を同時に作動させる。
【００３４】
制御手段からの電気信号により、第１点火器３と第２点火器３が同時に作動する。これにより、第１及び第２ガス排出口６及び６から、最初に第１及び第２加圧ガス５及び５が、その後第１及び第２混合ガスがエアバッグ内に噴出する。これによりエアバッグは、同時に作動する２つのガス発生器からガスを得て、急速に膨張し、乗員を保護するべく乗員の前にクッションを形成する。
【００３５】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、エアバッグの膨張パターンを変えることのできるエアバッグ用ガス発生器が実現できるものである。すなわち、本ガス発生器は、その点火手段を作動制御することにより、ガス供給速度、ガス供給量を変えることができ、これによりエアバッグの膨張パターンをいろいろに変化させることができる。
【００３６】
本ガス発生器はまた、そのガス排出口がガス発生器全体の中央に位置しているので、エアバッグの均一な膨張が得られ、乗員を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【符号の説明】
１・・・ガス発生器
２・・・ハウジング
３・・・点火器
４・・・ガス発生剤
５・・・加圧ガス
６・・・ガス排出口
Claims (4)
- ２つのガス発生器を軸方向に接続してなり、
各ガス発生器は、
円筒状ハウジングと、
前記ハウジングの一端部に配設され作動信号を受けて作動する点火手段と、
前記点火手段により点火されて燃焼ガスを生成するガス発生剤と、
前記ハウジング内に封入され前記ガス発生剤の燃焼ガスにより加熱され該燃焼ガスと共に混合ガスを生成する加圧ガスと、
前記ハウジングの他端部に配設されハウジング内の前記混合ガスが噴出するガス排出口を有するディフューザーとを備え、
前記２つのガス発生器は、各ガス発生器ハウジングのディフューザー側において溶接により互いに接合されることを特徴とするエアバッグ用ガス発生器。 - 前記ディフューザーは、接合面を有する端壁部と、前記ガス排出口が配設される周壁部とを有する円筒部材からなる請求項１記載のエアバッグ用ガス発生器。
- 前記２つのガス発生器は、同一形状のガス発生器からなる請求項１又は２記載のエアバッグ用ガス発生器。
- 前記２つのガス発生器間において、ガス発生剤及び加圧ガスの双方、又はいずれか一方は、容量が互いに異なる請求項１又は２記載のエアバッグ用ガス発生器。
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