JP3833753B2

JP3833753B2 - エアバッグ用ガス発生器

Info

Publication number: JP3833753B2
Application number: JP27228596A
Authority: JP
Inventors: 就三伊吉; 光彦深堀
Original assignee: Daicel Chemical Industries Ltd
Current assignee: Daicel Corp
Priority date: 1996-10-15
Filing date: 1996-10-15
Publication date: 2006-10-18
Anticipated expiration: 2016-10-15
Also published as: US6572142B1; JPH10119704A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃から乗員を保護するエアバッグ用ガス発生器に関し、特に加圧ガスを封入するハイブリッド形ガス発生器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
衝突の衝撃から乗員を保護する目的で自動車にエアバッグ装置が装着される。このエアバッグ装置は、センサ、コントロールユニット、エアバッグ、及びガス発生器などから構成される。ガス発生器は、点火手段と、ガス発生手段を備えている。
【０００３】
そして、衝撃をセンサが感知するとその信号がコントロールユニットに送られ、コントロールユニットで演算されてその結果が出力され、その出力信号が点火手段に送られて点火手段が作動する。これにより、急激にガスが発生してエアバッグ（袋体）内に噴出する。これによりエアバッグは膨張し、堅い構造物と乗員の間に衝撃を吸収するクッションを形成するようになっている。
【０００４】
一方、自動車衝突時の自動車の速度や乗員の姿勢などの状況は種々の組み合わせがあるにもかかわらず、現在の多くのエアバッグ装置は衝撃検出器の信号を受けると、ガス発生器はその全量のガスを一度に発生しバッグを膨張させる方式であるため、バッグの勢いが乗員に対して必要以上に強く作用するケースが考えられる。例えば乗員が正規位置に着座していない場合、このようなバッグの衝撃を少なくするため、従来より種々の発明がなされてきている。
【０００５】
特開昭49-33320号公報では、複数の点火器を低速用衝撃検出器と高速用衝撃検出器にて作動させることで自動車の衝突時の衝撃の大小に応じてバッグ展開の勢いの選択が可能な起動方法を提案している。
【０００６】
しかし、この方式では車の衝撃の大小によるバッグ展開の強弱の選択はできるが、乗員の姿勢等の状況への対応ができない。
【０００７】
又、EP-0382552では、内部を隔壁で２室に完全に分離した容器の絶縁された各部屋に点火器とガス発生剤等を組み込んだガス発生器とその点火システムを提案し、自動車の衝撃・速度、大気温度等の状況を検出する検出器を組み合わせる事により、色々なバッグ展開の勢いが調整できる事をうたっている。しかし、この発明のガス発生器の構造は極めて複雑で部品数も多く、そのために製造・信頼性確保が困難である
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
エアバッグ装置においては、衝撃の程度が小さいときは最初エアバッグの膨張（展開）速度を遅くし、これにより乗員が正規の位置にいないときは乗員に小さな力を与え、その後大きな力を与えるようにして乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成するようにすることが望ましい。
【０００９】
本発明の目的は、バッグ展開の勢いを調整・選択可能なエアバッグシステムに使用する点火器を２ヶ有するガス発生器に於いて、従来のものよりも簡略な構造で、製造容易で信頼性の高いハイブリッドガス形ガス発生器を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明のエアバッグ用ガス発生器は、加圧ガスを収容する加圧ガス収容室を備える容器と、前記加圧ガス収容室を二分する隔壁と、前記二分された各加圧ガス収容室を連通する連通部と、ガス発生手段を具備する２つの点火手段と、前記加圧ガス収容室に配設され破壊可能なガス密封壁を有するガス開放手段とを有し、前記点火手段は、二分された各加圧ガス収容室に１つづつ、又はいずれか一方の加圧ガス収容室に２つ配設されるものである。
【００１１】
本発明のガス発生器の構造上の特徴は容器を仕切板、即ち隔壁で二つの部屋に分けると共に、二分された各部屋を連通する連通部を形成し、その各々の部屋に点火器を一つづつ設けるか、又はその一つの部屋に二つの点火器を配設したことにあり、この連通孔はこの部屋の加圧ガスの圧力を等圧に保持する働きをする。従ってこの連通孔は仕切られた二室間の充填ガスが連通孔を通じて等圧になれる面積が必要である。
【００１２】
二分された各加圧ガス収容室は、容積が互いに異なるようにすることができる。また、２つの点火手段において、各点火手段の具備するガス発生手段の量を互いに異ならせることもできる。
【００１３】
本発明の実施の好ましい態様の一つに於ては、二分されたうちの一方の加圧ガス収容室は、容器の中心部に配設され、二分されたうちの他方の加圧ガス収容室は、前記一方の加圧ガス収容室の周囲に配設される。
【００１４】
また、他の好ましい態様に於ては、容器は、２つの半球状体を合わせた球状体からなり、隔壁は、前記２つの半球状体間に板体を挟持するか、或いは板体を一方の半球状体の底面に対して鉛直状に配置してなる。
【００１５】
点火手段は、点火薬を充填する点火薬収容容器と、該点火薬収容容器内に配設され通電により発熱する抵抗発熱体と、前記点火薬収容容器を取り囲んで配設され内部にガス発生手段を収容するガス発生手段収容容器からなることができる。
【００１６】
本ガス発生器において、２つの点火手段を同時に、又は時間的な遅れをもって作動させることにより、発生ガス圧を調整し、従ってエアバッグの膨張（展開）速度を変化させることができる。
【００１７】
衝撃の程度が小さいときは、２つの点火手段を時間的な遅れをもって作動させることにより、エアバッグの初期段階での膨張速度を遅くし、これにより正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与え、その後大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１８】
また、衝撃の程度が大きいときは、２つの点火手段を同時に作動させることにより、エアバッグの膨張速度を増大させ、これによりエアバッグは急激に膨張して乗員の前にクッションを形成することができる。
【００１９】
二分された加圧ガス収容室間において、各収容室の容積を同じ大きさとすることができる。あるいは各収容室の容積を互いに異ならせることができる。
【００２０】
また、２つの点火手段間において、各点火手段が具備するガス発生手段の量を同量とすることができる。あるいは各点火手段が具備するガス発生手段の量を互いに異ならせることもできる。
【００２１】
加圧ガス収容室の容積が互いに異なる場合において、各収容室に備わる点火手段の作動順序を変えることにより、初期段階でのエアバッグ膨張速度を変えることができる。例えば、容積のより大きな収容室の点火手段を先に作動させた場合は、容積のより小さな収容室の点火手段を先に作動させた場合よりも、初期段階でのエアバッグ膨張速度はより速くなる。
【００２２】
加圧ガスとして、不活性ガス、例えばアルゴン、窒素、ヘリウムなどを使用することができる。これらは所定の圧力、例えば２５００〜５０００ｐｓｉの圧力で容器内に収容される。
【００２３】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施例により本発明の好ましい実施の形態を説明する。図１は、本発明のエアバッグ用ガス発生器の一実施例の断面図である。本ガス発生器は、容器１と、隔壁２と、連通孔３と、２つの点火手段４及び５と、そしてガス開放手段６とを有している。
【００２４】
容器１は、図２に示すように横断面輪郭は円形をなし、中央部分１１と、これを取り巻く周辺部分１２からなっている。横断面が円形の中央部分１１は、その外周に縦断面が半円形状の円周溝１３を有し、また円環状の周辺部分１２は、前記円周溝１３の形状に適合する縦断面がＣ形のリング形をなし、両者は合わされ溶接１４により接合されて容器１を形成している。この容器１は、アルミニウム合金、ステンレス鋼などからなることができ、その内部に加圧ガス収容室７が備わっている。
【００２５】
加圧ガス収容室７は、隔壁２により、第１の加圧ガス収容室、すなわち第１収容室８と、第２の加圧ガス収容室、すなわち第２収容室９とに二分されている。第１収容室８は、中央部分１１の中心部に形成された円筒形孔部１０よりなり、この円筒形孔部１０の一端は容器の外部に接続している。隔壁２は、この円筒形孔部１０の周壁部により形成されている。第１収容室８の周囲に、隔壁２を隔てて第２収容室９が配設されている。この第２収容室９は、中央部分の円周溝１３と、周辺部分１２の内周面により形成され、半径方向断面が円形の環状の室をなし、第１収容室８よりも大きな容積を有している。
【００２６】
隔壁２に連通孔３が穿設されている。この連通孔３は、第１収容室８と、第２収容室９を連通している。この連通孔３は、対向して２つ配設され、各連通孔３は、半径方向に延び、第１収容室８から第２収容室９へ、下方に傾斜している。
【００２７】
第１収容室８に第１点火手段４が、また第２収容室９に第２点火手段５が、それぞれ配設されている。
【００２８】
点火手段は、図３に示すように、点火薬１５を充填する点火薬容器１６と、この容器１６内に配設される抵抗発熱体、すなわちニクロム線１７と、点火薬容器１６を取り囲んで配設され、内部にガス発生手段、すなわちガス発生剤１８を収容するガス発生剤容器１９からなっている。ニクロム線１７は、例えば３０μｍの直径を有し、通電用のコネクタピン２０に接続され、通電により発熱するようになっている。点火薬として、例えばＫＣｌＯ₄（過塩素酸カリウム）とＺｒ(ジルコニウム）の混合物を使用することができる。ガス発生剤容器１９内に、ガス発生剤に代わり、あるいはガス発生剤と共に、黒色火薬を配設することができる。
【００２９】
図３に例示的に点線で示すように、ガス発生剤容器１９の外側に該容器を覆う断熱カバー２１を配設することができる。この断熱カバー２１は、他方の点火手段の作動により発生したガスの熱により内部のガス発生剤が燃焼しないようにする機能を有する。
【００３０】
点火手段のホルダ４０外周部に、取付用の雄ねじ２２と、鍔２３が形成され、鍔２３はねじのゆるみ止めの機能を有する。前記円筒形孔部１０に雌ねじ２４が切られており、この雌ねじ２４に第１点火手段４の雄ねじ２２が螺合し、第１点火手段４は容器の中央部分１１にねじ結合されている。点火手段の鍔端面２５にガスケットを配設することができ、これにより第１収容室８のシールを確保することができる。勿論これらのねじ或はガスケットを使用せず、溶接でシールすることもできる。周辺部分１２の下側部分に開口２６が穿設され、この開口２６にスリーブ２７が溶接２８により固定され、このスリーブ２７に第２点火手段５がねじ結合されている。
【００３１】
第１収容室８に、エアバッグと連通するガス開放手段６が配設されている。このガス開放手段６は、一端が第１収容室８に接続し他端が閉鎖された、円筒形孔部１０より小径の円筒形孔部２９と、この円筒形孔部２９から分岐してエアバッグ（図示せず）内に接続する２つの分岐路３０と、円筒形孔部１０と円筒形孔部２９間の段部３２に配設され両孔部間を気密に遮断する破壊可能なガス密封壁３１からなっている。ガス密封壁３１は、例えばＳＵＳ３１６（ＪＩＳ規格記号）、インコネルなどの金属からなる厚さ０．１〜０．２ｍｍの板から構成することができる。この場合、円筒形孔部２９の直径を８．０ｍｍとすることができる。ガス密封壁３１の外周部は、押えリングと共に溶接により段部３２に固定されている。
【００３２】
加圧ガスは、容器の周辺部分１２下側に穿設された貫通孔、すなわちガス充填孔３３より、加圧ガス収容室７に充填される。このガス充填孔３３は、図４に示すように、ボール３４を備えている。ガス充填は常法により容器の充填孔３３に注入アダプタをあててガスを注入し、ボール３４を充填孔３３におとして、溶接電極による通電により溶接すればよい。ガス充填孔３３より第２収容室９に入ったガスは、連通孔３を通り、第１収容室８に入ることができる。
【００３３】
本ガス発生器は、その点火手段を作動制御することにより、以下のように作動することができる。
【００３４】
（ｉ）衝撃の程度が小さいときは、２つの点火手段４及び５を時間的な遅れをもって作動させる。
【００３５】
制御手段（図示せず）からの電気信号により、最初に第１点火手段４が作動する。同点火手段４において、通電によりニクロム線１７が発熱すると、点火薬１５は点火されて燃焼し、高温・高圧のガスを生成する。このガスは、点火薬容器１６の壁を破り、その外側のガス発生剤１８に点火する。これによりガス発生剤１８は燃焼し、高温・高圧のガスを発生する。このガスは、ガス発生剤容器１９の壁を破り、その外側の第１収容室８内に噴出する。噴出ガスは、第１収容室８内の加圧ガスと混合し、またこの加圧ガスを加熱する。加熱により加圧ガスは膨張し、膨張した加圧ガスと、点火手段のガス発生剤より発生したガスよりなる混合ガスは、ガス開放手段のガス密封壁３１を破壊し、円形孔部２９、分岐路３０を通ってエアバッグ内に噴出する。エアバッグは、比較的遅い速度で膨張する。これによりエアバッグは、正規の位置にいない乗員に対し小さな力を与えることができる。
【００３６】
ガスの流出前に、ガスの一部が連通孔３を通って第２収容室９内に流れるが、このガスは、第２点火手段５の点火薬及びガス発生剤を燃焼させるには至らない。また、ガスの流出に伴って、第２収容室９内に充填されている加圧ガスが、連通孔３を通って一部流出するが、連通孔３が所定の大きさの径を有し、これにより流出量を制限しているために、例えば最大３０ミリ秒後に第２点火手段５が作動した場合でも、第２収容室９内に必要な量の加圧ガスが確保されている。
【００３７】
第１点火手段４の作動から所定の時間をおいて、制御手段から電気信号が発信され、これにより第２点火手段５が作動する。これにより第２点火手段５に備わる点火薬、及びガス発生剤が燃焼して高温・高圧のガスが生成される。この生成ガスは、第２収容室９内の加圧ガスと混合し、またこの加圧ガスを加熱する。加熱により膨張した加圧ガスと、点火手段のガス発生剤より発生したガスよりなる混合ガスは、連通孔３を通って第１収容室８内に入り、更に円形孔部２９、分岐路３０を経てエアバッグ内に噴出する。第２収容室９は、第１収容室８よりも大きな容積を有しており、この第２収容室内のガスが新たに加わるため、エアバッグの膨張速度はその後増大する。これによりエアバッグは、正規の位置にいない乗員に対し、大きな力を与えて乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成する。
【００３８】
（ｉｉ）衝撃の程度が大きいときは、２つの点火手段４及び５を同時に作動させる。
【００３９】
制御手段からの電気信号により、第１点火手段４と第２点火手段５が同時に作動する。これにより、第１収容室８と、第２収容室９において、混合ガスが同時に生成され、第１収容室８における混合ガスは、円形孔部２９、分岐路３０を通ってエアバッグ内に、また第２収容室９における混合ガスは、連通孔３、第１収容室８、円形孔部２９、及び分岐路３０を通ってエアバッグ内に噴出する。これによりエアバッグは、２つの収容室から同時に発生した混合ガスを得て、急速に膨張し、乗員を保護するべく乗員の前にクッションを形成する。
【００４０】
【実施例】
図１に示すガス発生器を用いて、以下の条件で試験を行なった。
【００４１】
〔条件〕
第１収容室の容積：３０ｍｌ
第２収容室の容積：５０ｍｌ
加圧ガス：アルゴン７５％、酸素２０％、ヘリウム５％の混合ガスを４０００ｐｓｉ（２８０ｋｇ／ｃｍ²）の圧力で充填
ガス密封壁：０．２ｍｍ厚のステンレス鋼板をティグ溶接
第１点火手段：点火薬としてＫＣｌＯ₄とＺｒの混合物１００ｍｇ、ガス発生剤としてニトラミン系火薬成型品３．２ｇｒ
第２点火手段：点火薬としてＫＣｌＯ₄とＺｒの混合物１００ｍｇ、ガス発生剤としてニトラミン系火薬成型品１．２ｇｒ
連通孔：穴径３．０ｍｍ、４個
図５に、本発明のガス発生器の別の実施例を示す。このガス発生器は、容器１’と、隔壁２’と、連通孔３’と、２つの点火手段４’及び５’と、そしてガス開放手段６’とを有している。容器１’は、２つの半球状体３５及び３６を合わせた球状体からなり、隔壁２’は、前記２つの半球状体間に挟持される円形板体からなっている。隔壁２’は、容器内の加圧ガス収容室７’を、第１収容室８’と、第２収容室９’とに二分している。
【００４２】
図５に於いては、半球状体３５に平頭な中空円錐形状の頂部３７が形成され、半球状体３６に平底３８が形成されている。ガス開放手段６’は前記頂部３７に配設され、２つの点火手段４’及び５’は前記平底３８に配置されている。第１点火手段４’は、そのガス発生部が第２収容室９’を通過して第１収容室８’内に位置しており、同収容室内の加圧ガスに作用するようになっている。また第２点火手段５’は、第２収容室９’に配設されている。２つの収容室８’及び９’間の容積差は、図１に示すものと比べ、それほど大きな差はなく、第１収容室８’のほうが僅かに大きくされている。
【００４３】
図６に、本発明のガス発生器の更に別の実施例を示す。このガス発生器は、図１に示すものと比べ、第１収容室８″の容積が大きくなっている点、及び点火手段３９，４１が一方の加圧ガス収容室、すなわち第１収容室８″に２つ配設される点で異なっている。図１と同じ構成要素は、同一の符号を付して説明を省略する。
【００４４】
第一点火器３９は、図３に示す点火器と異なり、点火器３９の外部にガス発生剤１８’を具備している。第二点火器４１は図３の点火器と同様で、図３の内部のガス発生剤１８の量が多く、又図３の断熱カバー２１を具備している。第一点火手段３９の作動により、ガス発生剤１８’が燃焼し、高温・高圧のガスを生成すると、このガスは、第１収容室８”内の加圧ガスと混合し、またこの加圧ガスを加熱する。加熱により加圧ガスは膨張し、膨張した加圧ガスと、ガス発生剤の燃焼により発生した燃焼ガスからなる混合ガスは、ガス開放手段のガス密封壁３１を破壊し、エアバッグ内に噴出する。これによりエアバッグは、比較的遅い速度で膨張する。混合ガスの流出に伴い、連通孔３を通って第２収容室９から第１収容室８″へ、加圧ガスが流入する。この流入した加圧ガスは、時間的な遅れをもって作動する第二点火手段４１により加熱され、膨張する。この膨張ガスは、ガス開放手段の通路を通りエアバッグ内に噴出する。これによりエアバッグは、速度を増して膨張し、乗員の前にクッションを形成する。
【００４５】
２つの点火手段３９,４１が同時に作動するとき、１つの点火手段３９が作動する場合に比べ、ガス発生剤１８の燃焼速度が増大し、初期の段階でより高圧の、またより高温のガスが生成され、従ってエアバッグは、初期の段階から急速に膨張する。
【００４６】
図７は図５の変形に相当する本発明の更に別の実施例を示す。図７に於いては半球状体３５及び３６を一体の球状体に形成し、半球状体３６の平底３８上に直立させて隔壁２”を配置する。該隔壁２”で球状体内部空間を点火器４’を収容した第１収容室４２と点火器５’を収容した第２収容室４３とに２分する。隔壁端部と、容器内周面及び／又はガス密封壁との間の間隙４４で両室を連通させる。なお、図７中、隔壁２”を波線で示すように配置した場合には、第１収容室４２と第２収容室４３との容積を異なるものとすることができる。
【００４７】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、エアバッグの膨張速度を変えることのできるエアバッグ用ガス発生器が実現できるものである。すなわち、本ガス発生器は、加圧ガスを充填した高圧室を連通仕切り板で区分すると共に、連通部を形成して連通し、更に二つの点火手段を設けることにより、衝撃の程度が小さいときはエアバッグの膨張（展開）速度を初めは遅くし、これにより乗員が正規の位置にいないときは乗員に対し小さな力を与え、その後大きな力を与えるようにして乗員を正規の位置にもどし、乗員の前にクッションを形成することができる。また、衝撃の程度が大きいときはエアバッグの膨張速度を増大させて、エアバッグを急速に膨張させ、乗員を保護するべく乗員の前にクッションを形成することができる。
【００４８】
本ガス発生器は、構造が簡単であり、部品点数も少なく、従って製造が容易であり、かつ安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【図２】図１Ａ−Ａ線断面図。
【図３】本エアバッグ用ガス発生器に備わる点火手段の断面図。
【図４】本エアバッグ用ガス発生器に備わるガス充填孔の拡大断面図。
【図５】本発明の別の実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【図６】本発明の更に別の実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【図７】本発明の更に別の実施例のエアバッグ用ガス発生器の断面図。
【符号の説明】
１・・・容器
２・・・隔壁
３・・・連通孔
４・・・第１点火手段
５・・・第２点火手段
６・・・ガス開放手段
７・・・加圧ガス収容室
８・・・第１収容室
９・・・第２収容室
３１・・・ガス密封壁

Claims

加圧ガスを収容する加圧ガス収容室を備える容器と、
前記加圧ガス収容室を第１収容室と第２収容室に二分する隔壁と、
前記二分された第１収容室と第２収容室を連通する連通部と、
ガス発生手段を具備する２つの点火手段と、
前記第１収容室に配設され、且つエアバッグに連通する破壊可能な１つのガス密封壁を有するガス開放手段とを有し、
前記第１点火手段は前記第１収容室に配設され、前記第２点火手段は前記第２収容室に配設され、前記第１点火手段と前記第２点火手段が時間的な遅れをもって作動する場合及び前記第１点火手段と前記第２点火手段が同時に作動する場合には、前記第１点火手段が作動することにより前記１つのガス密封壁が破壊され、前記第２収容室内の加圧ガスとガス発生手段から発生したガスが前記連通部を通ってエアバッグ内に噴出されるエアバッグ用ガス発生器。
前記二分された各加圧ガス収容室を連通する連通部が、隔壁に穿設された連通孔であることを特徴とする請求項１に記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記二分された各加圧ガス収容室は、容積が互いに異なる請求項１又は２記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記２つの点火手段において、各点火手段の具備するガス発生手段の量が互いに異なる請求項１〜３の何れか１項記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記二分されたうちの一方の加圧ガス収容室は、前記容器の中心部に配設され、前記二分されたうちの他方の加圧ガス収容室は、前記一方の加圧ガス収容室の周囲に配設される請求項１〜４のいずれか１項記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記容器は、２つの半球状体を合わせた球状体からなることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記隔壁は、前記２つの半球状体間に狭持された板体からなることを特徴とする請求項６記載のエアバッグ用ガス発生器。
前記点火手段は、点火薬を充填する点火薬収容容器と、該点火薬収容容器内に配設され通電により発熱する抵抗発熱体と、前記点火薬収容容器を取り囲んで配設され内部にガス発生手段を収容するガス発生手段収容容器からなり、２つの点火手段の中の少なくとも一つはそのガス発生手段に断熱カバーが施されている請求項１〜７のいずれか１項記載のエアバッグ用ガス発生器。