WO2004072282A9 - 腎症関連遺伝子 - Google Patents

腎症関連遺伝子

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Abstract

転写抑制因子をコードする腎症関連遺伝子。該遺伝子を導入することによって作成される、尿量、尿中アルブミン量及び尿中NAG量の増加、腎盂の拡大、腎細管の拡大及び糸球体の初期の肥大とその後の硬化が観察される腎症発症トランスジェニック非ヒト動物。

Description

明細書
腎症関連遺伝子
技術分野
本発明は、 腎症に関連する遺伝子、 該遺伝子を導入してなる腎症発症トランス ジエニック非ヒト哺乳動物、 腎症治療剤、 並びに腎症の診断乃至治療に有効な薬 物のスクリーニング方法等に関する。 本発明は、 腎症のうち、 特に糖尿病性腎症 に関する。
背景技術
腎症は、 特効薬がなく、 進行すると人工透析療法が必要になるなど、 患者に著 しい苦痛を与えるものであった。 特に、 糖尿病性腎症は、 糖尿病の患者が増える につれて深刻な問題となってきている。
糖尿病の発症機序については、 重度のインスリン障害が糖尿病状態を導くこと が知られている。 近年インスリン障害の機序が明らかにされつつあり (稲田明理 他、 分子糖尿病学、 Vol.10、 pp.73— 81、 1999) 、 糖尿病の発症機序の解明や治療 に関する研究が盛んに行われている。 しかしながら、 糖尿病性腎症、 糖尿病性網 膜症、 糖尿病性神経障害などの糖尿病性合併症の発症機序については、 未だ有効 な知見がなく、 有効な診断乃至治療方法も開発されていなかった。
一方、 糖尿病乃至糖尿病性合併症の診断乃至治療方法の開発のために、 糖尿病 モデルマウスが開発され (特開平 04— 24894 1号公報) 、 検討されてきた。 しかし、 従来の糖尿病モデルマウスは、 あくまで、 低インスリン症状、 高血糖症 状を示すにとどまっており、 糖尿病性合併症に関連する症状を発症したモデルで 有効なものは未だ開発されていなかった。 唯一、 2種類の遺伝子改変マウスを掛 け合わせて得られるホモ型マウスで、 糖尿病性腎症を示すものが報告されていた (J. Cl inical Investigation, vol.108、 No. 2、 p.261、 2001) 。 しかし、 これ は、 滕ランゲルハンス島のインスリン分泌細胞である 細胞に障害性に働く一酸 化窒素 (N0) を産生する NO合成酵素 (N0S) を遺伝子的に組み込んで糖尿病を発 症するマウス (J. Biol. Chem. s Vol. 273、 pp.2493— 2496、 1998) と高血糖状態 が持続することで産生される Advanced Glycosyl at ion Endproduct (AGE) を処理 するために必要な AGE受容体を大量に発現させるトランスジエニックマウスをか けあわせてダブル卜ランスジエニックマウスとしたもので、 両者がともに発現し たときにはじめてヒ卜糖尿病に類似した高度蛋白尿と腎糸球体硬化が現れるもの である。 このモデルの場合、 N0Sの臈での過剰発現と N0Sの過剰発現といういず れも通常はみられない状態を作り出したもので、 実際の糖尿病の状態からはかけ 離れているといわざるを得ない。
さらに、 IGERがインスリン遺伝子の転写を抑制すること (A. Inada et a I JBC 1999 vol.274 no.30 p.21095-21103; A. Inada et a I BBRG 1998 vol.253 no.3 p.712-718) および糖尿病状態で IGERが増加していること (A. Inada et al BBRG 1998 vol.253 no.3 p.712-718) は知られていたが、 IGERと腎症との関連は知ら れていなかった。
このため、 糖尿病性腎症をはじめとする腎症の診断乃至治療に有効な薬物の開 発や、 腎症乃至糖尿病性腎症の病態モデルとして有用な実験系の開発が強く求め られていた。
本発明は、 糖尿病性腎症を含む腎症の診断乃至治療に有用な方法、 並びに、 腎 症の病態モデルとして有用なトランスジエニック非ヒト哺乳動物を提供すること を主な目的とする。
図面の簡単な説明
図 1は、 作成した ICERI γトランスジエニックマウスにおける IGERI r発現と その影響を調べた結果を示す。 図 1aは作成したコンストラク卜を示す。 図 1bは ICER I rmRNAの検出結果を示す。 IGER I rトランスジエニックマウス (Tg) にお いて、 IGERI yの mRNAの発現がみられる。 図 1cはウェスタンプロットにより、 ICER I の蛋白発現を確認した図面である。 Tgマウスにおいて蛋白の多量発現が みられる。 図 1dはインシュリン mRNA量を調べた結果を示す。 インシュリンは Tg マウスにてほとんど発現していない。
図 2は、 ICER I r発現の影響を評価するために血糖値と血中パラメータの変動 を調べた結果を示す。 図 2a及び 2bは血糖値の変化を示し、 白丸はワイルドタイ プ (WT) 、 黒丸はトランスジエニックマウス (Tg) を示す。 図 2aは、 0日目と 7日目の変化を示す。 Tgでは生後 7曰目で血糖の上昇が認められる。 図 2bは、 20 週間の血糖の変化を示す。 Tgは高血糖を維持していることが分かる。 図 2Gは血 漿インシュリンの変化を示す。 Tgではインシュリンは抑制されている。 図 2dは ケトン体 (アセトン、 ァセト酢酸および) δ—ヒドロキシ酪酸) の変化を示す図面 である。 Tgではケ 卜ン体は増加している。 図 2eはグルカゴンの変化を示す図面 である。 Tgではグメレカゴンの産生が増加している。 F i g. 2f :生後 7日の滕島の抗 インスリン (緑) 、 抗 I GER I r (赤) 抗体による染色を示す。 Tgでは、 I GER \ γ の発現、 およびインスリン産生細胞数の減少が認められた (バーは 10 m) 。 右 端は、 1つあるい (ま 2つの細胞を示す。
図 3は、 I GER I rトランスジエニックマウス (Tg) とワイルドタイプ (WT) の 体重の変化を調べた図面である。 図 3bは、 0日目と 7日目の変化を調べた図面で あり、 図 3a及び図 3Gは、 20週にわたって変化を調べた図面である。 生後 7日ま での成長に差はないが (図 3b) 、 6週位から Tgマウスの成長が抑制される (図 3c) 。
図 4 aは尿量の変化を示す。 Tgは多尿を呈している。 図 4 bは、 尿中アルブミ ンの排泄量の変化を示す。 Tgは週齢に従って蛋白尿が増加している。 図 4 cは尿 細管障害の指標で feる尿 NAG量の変化を示す。 Tgは尿量、 尿アルブミン排泄、 尿 中 N A G量のいずれも週齢と共に増加している。 尿量、 尿アルブミン排泄、 尿中 N A G量のいずれも、 Tgは酊に比べて増加している。
図 5は腎臓に HE桀色を施し光学顕微鏡にて観察した結果を示す。 Tgでは、 腎 盂及び尿細管の拡弓長が認められる。
図 6は腎臓に PAS染色を施し光学顕微鏡にて観察した結果を示す。 Tgは WTに 比べ 4週で糸球体の肥大が認められ、 12週で硬化が認められる。
図 7は 37週の糸球体を示す。 Tgでは明らかな糸球体硬化がみられる (図 7 a, b, c) 。 また糸球休肥大を定量的に調べると、 4週から 12週で肥大が見られる (図 7 d) 。
図 8は腎臓にお (ナるコラーゲンタイプ I Vの蛍光染色の結果を示す。 Tgではコ ラーゲンタイプ I Vの増加が認められる。
図 9は、 腎臓におけるコラーゲンタイプ I V、 ラミニンの蛍光染色の結果を示す。 A、 Bともに、 左が \Ν Ύ、 右が T g 4 0週の腎臓切片を示し、 C、 Dはそれぞれ を判定した点数を示す。 T gでは、 コラーゲンタイプ I V、 ラミニンの増加が認 められた。
図 1 O : Tg23系統( I i ne Tg23)の塍島の形態学 (islet morpho I ogy) .
A:生後 0日(day 0)から 36週齢 (36wk of age)までの塍切片の抗ィンスリン (pink) 及び抗グルカゴン (red) 抗体を用いた免疫組織化学染色。 T g :生まれ たとき (dayO) でさえすでにインスリン産生細胞 (^細胞) が少なくなリ、 滕島 (islet)は有意に増大したグルカゴン産生細胞 (glucagon+) (red) で組織が極度 に乱れている (severely disorganized) ようである。 血糖の正常な dayOの時点 で β細胞がすでに激減していることから、 これらの変化は高血糖の二次的作用に よるものではなく IGER l r増大に直接起因することを示す。
B:生後 7日目(day7)の Tgのインスリン産生細胞 (矢印) の減少。 ( χ 1000) Tgではィンスリンを産生している) 8細胞が減少しておリ、 産生している細胞にお いても細胞あたリのィンスリン量にばらつきが大きい。
C:生後 7日目の滕島をグルカゴン (緑) 'と 細胞マーカーの I AP P (赤) で の二重染色(dual staining)の共焦点顕微鏡(Gonfocal microscopy)分析 ( x讓) Tgではグルカゴン産生細胞が異常に多く見られ (Aの結果) 、 また産生量が WT の約 2倍に増加している。 これは、 インスリン産生細胞が激減し、 膝島の形が保 てなくなリ配列が乱れ、 グルカゴン産生細胞が増加したものと考えられる。
IAPPはインスリン産生細胞で産生され、 ;8細胞のマーカーとして用いた。 細胞 のマーカーとして一般にはインスリンを用いるが、 Tgでは、 インスリンが少ない ため、 S細胞が存在していてもインスリン抗体では染まらないため、 インスリン 以外の yS細胞のマーカーで^細胞の存在を確認した。
D:生後フ日目のインスリン産生細胞(矢印)の scattered singlet/doublet。 Tg でも ^細胞の新生は正常に起こっていることが確認された。 (X 400) このマウスでは、 インスリン遺伝子の転写が阻害されインスリンが激減した事に 加え、 インスリンを産生する 細胞自身も少なくなつた結果、 正常な血糖値を保 つこと力《できなくなリ高血糖値になったと考えられる
図 1 1 : Tg23系統(I ine Tg23)の day7での滕島の発現及び増殖 A:生後 7日目の膝島(islet)をインスリンと Ki67での dual stainingを confocal m i or oscopyで分析したもの
生後 7曰目はもつとも 細胞の新生■増殖が盛んなときであるので、 増殖マーカ 一である Ki67 (緑:核) が発現してくるはずであるが、 Tgではインスリン産生細 胞である yS細胞 (赤) に Ki67の発現を一切認めなかった
B:生後 7日目の滕島をサイクリン Aで染めたもの
生後 7日目はもつとも 細胞の新生■増殖が盛んなときであるので、 DNA合成に 重要であるサイクリン A (緑) が発現してくるはずであるが、 Tgではサイクリン Aの発現が減少していた。 発明の開示
本発明者は、 上記課題を解決することを主な目的として鋭意検討を重ねた。 そ して、 インスリン転写が阻害されたトランスジエニックマウスを作製し、 銳意検 討を行った結果、 該卜ランスジエニックマウスが、 ヒト腎症と類似した症状を発 症することを見出し、 更に銳意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 以下の事項に係る。
1. 転写因子 GREMファミリーに属するインスリン転写抑制因子をコードするこ とを特徴とする腎症関連遺伝子。
2. インスリン転写抑制因子が CREM 、 ICER I及び I GER I rからなる群から 選ばれるいずれか 1つである項 1に記載の遺伝子。
3. インスリン転写抑制因子が IGER I rである項 1に記載の遺伝子。
4. 配列番号 1で表される塩基配列、 その相補配列又はそれらとス卜リンジェ ン卜な条件でハイプリダイズするヌクレオチド配列を有し、 腎症を発症させるこ とができる項 1の遺 ί云子。
5. 配列番号 2で表される塩基配列、 その相補配列又はそれらとストリンジェ ン卜な条件でハイプリダイズするヌクレオチド配列を有し、 腎症を発症させるこ とができる項 1の遺伝子。
6. 腎症が糖尿病■!生腎症である項 1に記載の遺伝子。
7. 前記遺伝子がヒ 卜由来である項 1に記載の遺伝子。 8. 項 1〜 7のいずれか 1項に記載の遺伝子を含む腎症発症剤。
9. 項 1〜 7のいずれか 1項に記載の遺伝子を含む糖尿病性腎症発症剤。
1 0. 項 7に記載の遺伝子にストリンジヱントな条件下でハイブリダィズ可能 な 1 5塩基以上のヌクレオチド配列からなるヒト腎症判定乃至診断用プローブ。
1 1. 転写因子 GREMファミリーに属するインスリン転写抑制因子活性を有する 腎症関連蛋白質。
1 2. GREM 、 ICER I及び IGER I rからなる群から選ばれるいずれか 1つであ る項 1 0に記載の腎症関連蛋白質。
1 3. ヒ卜由来である請求項 1 1に記載の蛋白質。
1 4. 項 1 1〜1 3のいずれかに記載の蛋白質又はその部分に特異的に結合す •οί几体。
1 5. ヒト腎症関連蛋白質と特異的に結合する項 1 4に記載の抗体。
1 6. 項 1 5に記載の抗体を含有するヒト腎症診断薬。
1 7. 項フに記載のヒト腎症関連遺伝子に対するアンチセンス DNA。
1 8. 項 1 5に記載の抗体または項 1 7に記載のアンチセンス DN Aを有効成 分とする腎症予防乃至治療薬。
1 9. 項 1 Oに記載のプローブまたは項 1 2に記載の抗体を用いて、 検体にお ける項 7に記載のヒト腎症関連遺伝子の発現レベルを調べる工程を有する腎症の 判定又は診断方法。
20. 項 1〜6のいずれか 1項に記載の遺伝子を導入してなるトランスジェニ ック非ヒト哺孚 L動物。
21. 腎症を発症する項 20に記載の哺乳動物。
22. 前記賢症が糖尿病性腎症である項 21に記載の哺乳動物。
23. 糖尿病を発症する項 20に記載の哺乳動物。
24. 前記糖尿病が糖尿病性腎症を併発する項 23に記載の哺乳動物。
25. 項 1〜6のいずれか 1項に記載の遺伝子を導入する工程を有する卜ラン スジエニック ヒト哺乳動物の作製方法。
26. 項 20〜25のいずれか 1項に記載のトランスジエニック非ヒ卜哺乳動 物に被検物質を投与し、 該哺乳動物の腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群 から選択される少なくとも 1種に対して被検物質が与える影響を測定する工程を 有する腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群から選択される少なくとも 1種 の予防乃至治療薬のスクリーニング方法。
27. 項 7に記載のヒト腎症関連遺伝子のプロモーターの制御下にマーカー遺 伝子を組み込んでなる、 哺乳類細胞で安定発現可能な発現ベクター。
28. 項 27に記載の発現ベクターで形質転換された哺乳類細胞。
29. 哺乳類細胞がヒト細胞である項 28に記載の方法。
30. 項 28または 29に記載の哺乳類細胞の培養液中に薬物候補化合物を存 在させて該哺孚 L類細胞を培養する工程、 該候補化合物の存在下及び非存在下で前 記マーカー遺伝子の発現量を測定する工程を含むヒト腎症、 糖尿病性腎症及び糖 尿病からなる群から選択される少なくとも 1種の予防ないし治療薬のスクリー二 ング方法。
31. 項 26または 30に記載のスクリーニング方法によって得られる物質を 有効成分として含有する腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群から選択され る少なくとも 1種の予防ないし治療薬。 以下、 本発明について、 より詳細に説明する。
腎症関連遺伝子
本願発明に係る遺伝子は、 転写調節因子(c AMP Responsible E I ement (CRE) ) に 結合してインスリン遺伝子の転写を調節する因子 CREM(cAMP responsive element modulator)のフアミリーに属するインスリン転写抑制因子をコードする。 本発明 者は、 該遺伝子が腎症の発症機序ゃ腎症の病状の進行等に関連していることを明 らかにした。
転写因子 CREMのフアミリーに属するィンスリン転写抑制因子としては、 例えば、 ICER I (inducible cAMP early repressor I), IGER I r , CREM 等が挙げられる。 このうち、 IGER が、 特に有用である。
本願発明の腎症関連遺伝子には、 マウス由来の遺伝子 (配列番号 1、 2など) φ他に、 ヒト、 ラット、 サル、 ィヌ、 ゥサギ、 ハムスター、 ゥシ、 ゥマなどの哺 乳動物由来の腎症関連遺伝子が広く包含され、 これらの遺伝子或いはその相補鎖 又はそれらとストリンジェン卜な条件でハイブリダィズし得るポリヌクレオチド が包含される。 特に、 マウス由来の遺伝子は、 トランスジエニックマウスの作製 に有用であり、 ヒト由来の遺伝子は、 ヒトの腎症の診断または将来的に腎症にな る可能性の評価、 ヒトの腎疾患治療薬の探索に有用である。
ここで、 ストリンジェン卜な条件とは、 特異的なハイブリダィゼーシヨンのみ が起き、 非特異的なハイブリダィゼーシヨンが起きないような条件をいう。 この ような条件とは、 通常、 nxSSG,0. 1 %SDS, 37°C」 程度であり、 好ましくは
Γ0. 5xSSC, 0. 1 %SDS, 42°CJ 程度であり、 更に好ましくは
ro, 2xSSG, 0. 1 %SDS,65°C」 程度である。 ハイブリダィゼーシヨンによって得られ る D N Aは、 例えばマウス由来の腎症関連遺伝子の場合、 配列番号 1又は 2に記 載の塩基配列によリ表わされる D N Aと通常高い相同性を有する。 高い相同性と は、 60%以上の相同性、 好ましくは 75%以上の相同性、 更に好ましくは 90O/O以上 の相同性を指す。 さらに、 /ヽィブリダィゼーシヨンによって得られる D N A或い は該 D N Aによリコードされる腎症関連蛋白質は、 腎症を発症させる作用を有す る。
CRE フアミリ一である転写抑制因子は、 ィンシュリン転写活性の調節因子であ つて、 該因子が過剰に発現すると、 インシュリンの産生が低下し、 糖尿病様の症 状が発症する。 本発明者は、 該因子の発現によって、 糖尿病様の症状だけでなく、 腎症が発症することを明ら力、にした。 該因子の高発現によって腎症が導かれると いうことは、 該因子及び該因子をコードする遺伝子が、 腎症の発症や症状の進行 等の機序に深く関与していることを示唆するものである。
このような性質を有する本発明の腎症関連遺伝子は、 腎症の発症機序や進行の 解明、 更には、 腎症患者の症状の解明などに寄与するものであり、 腎症発症用、 腎症解析用、 腎症検出用、 賢症診断用などとして有用に用い得るものである。
特に、 本発明の遺伝子を高発現させると、 糖尿病性腎症を発症させることから、 糖尿病性腎症発症用、 糖尿病性腎症解析用、 糖尿病性腎症検出用、 糖尿病性腎症 診断用などとして有用に用し、得るものである。
本発明の遺伝子は、 宿主となる哺乳動物中で高発現するプロモーターの制御下 に、 必要に応じてベクタ一等に組み込み、 腎症発症剤乃至糖尿病性腎症発症剤と して利用できる。 該腎症発症剤乃至糖尿病性腎症発症剤は、 例えば、 糖尿病性腎 症発症モデル動物の作成などに利用することがでぎる。
本発明の腎症関連遺伝子は、 該遺伝子を高発現させると腎症 (特に糖尿病性腎 症) を発症させるが、 腎症以外の糖尿病合併症 (血管障害、 網膜症、 神経障害な ど) を同時に発現させる可能性がある。 特に神経障害については、 STZ (ストレブ トゾトシン) 誘発糖尿病モデルでもみられることから、 本発明のトランスジェニ ックマウスでも起きている可能性が高いと考えられる。
腎症関連遺伝子とその GeneBankアクセス番号を以下に例示する:
AJ31 1667, AJ292222 (mouse I CER I ) ;
S67786 (mouse I CER l r) ;
AB031423 (rat CRE 17X)
S66024 (rat I CER I I )
U44836 (human I CER I )
S68271 , Z15159, Z15158 (human CREM)
U04835 (rat GREW)
M60285 (mouse GREM)
本発明の腎症関連遺伝子は、 これらに限定されず、 GREMファミリーに属するィ ンスリン転写抑制因子を広く包含し、 さらにこのようなィンスリン転写抑制因子 とストリンジェントな条件下にハイブリダイズし得る改変体を包含する。
本発明の腎症関連遺伝子は、 全身で発現させることもできるが、 塍臓、 腎臓な どの臓器、 好ましくは滕臓、 より好ましくは滕臓のランゲルハンス島細胞で選択 的に発現させるのが好ましい。 例えば、 滕臓のランゲルハンス島細胞での選択的 な発現は、 腎症関連遺伝子をインスリンプロモーターの制御下に発現させればよ く、 他の部位 Z臓器での選択的発現は、 発現部位 臓器で選択的に発現される遺 伝子のプロモーターの制御下に本発明の腎症関連遺伝子をおけばよい。
例えば、 滕臓で発現させる場合、 インスリンプロモーターの他に、 グルカゴン、 消化酵素 (トリプシン、 キモトリブシン、 ペプシンなど) などの滕臓で選択的に 発現するのプロモータ一に連結させても腎症 (糖尿病性腎症を含む) 及び糖尿病 モデルの作製に有用であると考えられる。 本発明の腎症関連遺伝子を高発現させると、 コラーゲン I Vとラミニンが増加し、 これらの現象は、 糸球体の硬ィ匕を示している。 糸球体が硬化すると、 濾過能力
( G F R ) が落ちて腎機能傷害がおき、 腎不全、 最終的には尿毒症になる。 また、 これに付随して血管内圧も上昇し、 高血圧になる。 従って、 本発明の腎症関連遺 伝子を高発現させると、 これらの各種腎疾患の病態のモデルを作製できる。
プローブ
本発明のプローブは、 上記本発明の遺伝子に、 ストリンジェン卜な条件下でハ イブリダィズ可能な 1 5塩基以上の配列、 特に本発明の遺伝子又はその相補鎖と 相補的なヌクレオチド配列よリなるものであって、 腎症判定乃至診断用等の腎症 に関連する事項を調べる目的等に有用に用い得るものである。 また、 腎症解析用、 腎症検出用などとしても用いることができる。 本発明のプローブは、 特に糖尿病 性腎症判定乃至診断用として好適に用いることができる。
本発明の好ましい実施形態の 1つにおいて、 該プローブはヒ卜の腎症診断の対 象となるヒト腎症関連遺伝子の配列の一部を有するものである。
本発明のプローブは、 適当な標識を付与し、 疾患マーカーとして利用すること もできる。
本発明のプローブ又は疾患マーカーは、 検体試料に接触させて、 プローブと結 合する遺伝子またはその発現産物 (m R N A ) の有無や量を測定する工程等に用 いることによって、 腎症乃至賴尿病性腎症の発症の有無や進行度の判断などの腎 症乃至糖尿病性腎症の診断乃至判定に有効に用いることができる。
蛋白質
本発明の蛋白質は、 転写因子 GREMフアミリーに属するィンスリン転写抑制因子 活性を有し、 腎症に関連した機能を有する。 具体的には、 該蛋白質は腎症の発症 や進行、 症状の進展等に関する機能を有する。 本発明の蛋白質は、 腎症のうち、 特に糖尿病性腎症に関連した機能を有している。
インスリン転写抑制因子としては、 例えば、 GREM 、 I CER I及び I GER l rなど が挙げられる。 このうち、 I GER l rが特に有用である。
本発明の蛋白質を取得する方法は特に限定されないが、 例えば、 以下のような 方法で得ることができる。 本発明の遺伝子、 例えば、 配列番号 1又は 2に記載の配列を有する遺伝子を、 適当なプロモーターの下流に連結される形でベクターに揷入し、 発現べクタ一を 構築する。 ついで得られた発現ベクターを宿主細胞に導入し、 形質転換体を作成 する。 ベクターとしては、 例えば、 レトロウイルス系ベクター、 パピ口一マウイ ルスベクター、 ワクシニアウィルスベクター、 S V 4 0系ベクター、 バキュロウ ィルスべクタ一などを用いることができる。 宿主としては、 例えば、 菌類、 細菌、 酵母、 昆虫細胞、 植物細胞及び哺乳動物細胞などを用いることができる。
作成した形質転換体を培養し、 培養物中に生成蓄積する蛋白質を採取すること によって、 本発明の腎症関連蛋白質を得る。 生産された蛋白質は、 公知の精製方 法、 例えば、 無機塩類による塩析、 有機溶媒による分画沈殿、 イオン交換樹脂力 ラムクロマトグラフィー、 ァフィ二ティーカラムクロマトグラフィー、 ゲルろ過 法、 免疫沈降法などの公知の精製技術を用いることによって、 分離精製すること ができる。 また公知の方法で適宜製剤化することもできる。
本発明の蛋白質は、 腎症の発症や進行の機序との強い関連性を有すると考えら れ、 腎症の診断や、 腎症の発症機序の解析、 腎症の悪性度の判定などに有効に利 用することができる。
抗体
本発明の抗体は、 上記本発明の腎症関連蛋白質またはその一部と特異的に結合 する抗体であって、 腎症関連蛋白質を検出又は測定しうるものであり、 腎症関連 蛋白質検出用、 腎症診断用、 腎症検出用又は腎症判定用、 腎症治療用などとして 有用に用い得るものである。 本発明の抗体は、 腎症のうち、 特に糖尿病性腎症に 対し、 好適に用いることができる。
本発明の蛋白質又はその一部と特異的に結合し得るものであれば、 モノクロ一 ナル抗体、 ポリクローナル抗体の何れであってもよい。
モノクローナル抗体は、 例えば、 次のように製造される。 本発明の蛋白質又は その部分ペプチドを抗原として免疫された非ヒト哺乳動物、 例えばマウスから、 抗体価の認められる個休を選択し、 最終免疫の 2〜 5曰後に脾臓またはリンパ節 を採取し、 それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させ、 モノクロ一 ナル抗体産生ハイプリ ドーマを調製する。 該ハイプリ ドーマを培養して、 抗体を 産生し、 適宜分離精製を行うことによって、 モノクローナル抗体を得ることがで きる。 融合操作は既知の方法、 例えばケーラーとミルスタインの方法 (Nature, 256, 495, 1975) やその変法 (丄 I mmuno l . Method, 39, 285, 1980、 Eur. J. B i ochem. , 1 18, 437, 1981、 Nature, 285, 446, 1980) に従い、 実施できる。 融合 促進剤としてはポリエチレングリコール (P E G ) やセンダイウィルス等が用い られる。 また、 本発明のモノクローナル抗体耷適宜公知の方法を用いてヒト化抗 体として用いてもよい。
ポリクローナル抗体は、 例えば、 次のように作成できる。 蛋白質抗原自体、 あ るいはそれとキャリアー蛋白質との複合体をつくリ、 モノクローナル抗体の製造 方法と同様に非ヒト哺乳動物に免疫を行う。 該免疫動物から本発明のタンパク質 に対する抗体含有物を採取して、 抗体の分離精製を行うことにより、 得ることが できる。
本発明の抗体を用いることにより、 腎症関連蛋白質の検出または測定を行うこ とができる。 また、 本発明の抗体を利用して、 腎症 (糖尿病性腎症を含む) の検 出、 判定又は診断等を行うことができる。 例えば、 検体から調製した試料に、 本 発明の抗体を接触させ、 腎症関連蛋白質の発現量や存在する部位を検出乃至測定 することによって、 腎症の発症や重症度、 予後の判定や診断などを行うことがで きる。 特に、 腎症のうち、 糖尿病性腎症に対し、 有用に利用できる。
また、 本発明の抗体は、 適宜製剤化して、 腎症診断薬や検出乃至判定薬、 また は腎症の予防乃至治療薬等として用いることもできる。 腎症診断薬は、 例えば、 腎症関連蛋白質に関する検出乃至測定を行う医薬などとして利用できる。 また、 腎症の予防乃至治療薬は、 例えば、 腎症関連蛋白質の発現又は機能を抑える医薬 などとして利用できる。 本発明の抗体を含有する医薬は、 特に、 糖尿病性腎症の 診断薬、 または、 糖尿病性腎症の予防乃至治療薬として、 有用に利用できる。
予防または治療剤
本発明の腎症関連遺伝子は、 腎症、 特に糖尿病の合併症としての腎症を発症さ せることができる。 従って、 該遺伝子の発現ないし機能を抑制する物質は、 腎症 の予防ないし治療剤だけでなく、 糖尿病性腎症の予防ないし治療剤、 さらには糖 尿病の予防ないし治療剤としても有用である。 腎症関連遺伝子の究現ないし機能抑制剤、 該遺伝子のアンチセンス DNA、 腎症 関連蛋白質に対する抗体などは、 腎症、 糖尿病性腎症、 糖尿病の予防ないし治療 剤として有用であり得る。
トランスジヱニック非ヒト哺乳動物
本発明における卜ランスジエニック非ヒト哺乳動物とは、 上記本発明の遺伝子 を導入し、 遺伝子組換えにより作成した、 ヒト以外の哺乳動物のことをいう。 ヒ 卜以外の哺乳動物としては、 マウス、 ゥサギ、 ラットなどが挙げられる。
トランスジエニック非ヒト哺乳動物を作成する方法としては、 例えば、 位相差 顕微鏡下で前核期卵子の核に、 微小ピペットで遺伝子を直接導入する方法 (マイ クロインジヱクシヨン法) 、 胚性幹細胞 (E S細胞) を使用する方法、 レトロゥ ィルスべクタ一またはアデノウィルスベクターに遺伝子を揷入し、 卵子に感染さ せる方法、 または、 精子を介して遺伝子を卵子に導入する精子ベクター法などが 挙げられる。
本発明の 1つの好ましい実施形態において、 腎症関連遺伝子 (例えば I C E R、 I CER I γ ) のトランスジエニックマウス (T gマウス) は、 該遺伝子を塍臓の 細胞に特異的に過剰発現させる。 その結果、 高血糖に起因して糖尿病になり、 そ れが原因で腎症、 即ち、 純粋な糖尿病性腎症を引き起こすことができる。
本発明のトランスジエニック非ヒ卜哺乳動物は、 腎症に特徴的な以下の症状を 示す。
1 ) 尿量、 尿中アルブミン量、 及び尿中 NAG量が大量になる;
2 ) 腎盂の肥大を示す;
3 ) 腎細管の拡大を示す;
4 ) 糸球体の初期の月巴大と繊維化、 その後の硬化が観察される。
更に、 本発明のトランスジ: cニック非ヒト哺乳動物は、 重度の糖尿病に特徴的 な、 以下の症状も示す。
5 ) 多飲;
6 ) 多尿;
7 ) 低体重;
8 ) 高血糖; 9 ) 低インスリン。
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物モデルでの最も重要な症状は、
1 ) の尿中ァノレブミン量の増大と 2 ) 〜4 ) の症状 (腎盂の肥大、 腎細管の拡大、 糸球体の初期の肥大と繊維化、 その後の硬化) である。 これまでの糖尿病モデル では尿量の増カロは認められたものの、 蛋白尿は認められていなかった。 唯一ダブ ル卜ランスジエニックマウスで認められていますが、 実際の糖尿病の状態とはか け離れていると考えられ、 特に糖尿病の合併症としての糖尿病性腎症の症状 (蛋 白尿や糸球体硬化) を示すモデルは本発明により初めて提供された。
従って、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 腎症モデル動物だけ でなく糖尿病モデル動物として有用に利用し得るものである。
特に、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 ヒトの糖尿病性腎症に よく類似した症状を発症していることから、 糖尿病性腎症モデル動物として、 有 用である。 例えば、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を用いて、 腎症 乃至糖尿病性腎症の診断乃至治療薬の候補物質のスクリーニングを行うことがで きる。 また、 il矣補物質の適切な投与量や投与時期、 副作用などを調べることもで きる。 スクリーニング
本発明を適用すれば、 腎症乃至糖尿病性腎症診断乃至治療薬の候補物質のスク リ一ニングを効率よく行うことができる。
例えば、 上言己本発明のトランスジ ニック非ヒト哺乳動物に被検物質を投与し、 該哺乳動物の腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群から選択される少なくと も 1種に対して被検物質が与える影響を測定することによって、 腎症、 糖尿病性 腎症及び糖尿病からなる群から選択される少なくとも 1種の診断乃至治療薬の候 補物質のスクリーニングを行うことができる。
また、 ヒ卜転写抑制因子、 例えばヒト IGER l rのプロモーター、 及び、 該プロ モーターにより発現され得るよう連結されたレポ一ター遺伝子を含むベクターに より形質転換されたヒト形質転換細胞株の培養系に、 被検物質を添加し、 レポ一 ター遺伝子の発現を指標として、 腎症乃至糖尿病性腎症、 糖尿病の治療に有効な 物質のスクリーニングを行うこともできる。
これらのスクリーニング方法【こよって得られた物質を有効成分として、 適宜製 剤化、 又は適当な薬学的許容担体と組み合わせて調製することにより、 腎症乃至 糖尿病性腎症の治療剤乃至診断薬を作成することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例を挙げて、 本発明をよリー層具体的に説明するが、 本発明はこれ ら実施例に限定されることはない。
実施例 1
( 1 ) 材料及び手順
ICER I rトランスジエニックマウスの作製
ICER I rcDNAを、 トランスジエニックプラスミ ド pins- 1のヒトインスリンブ 口モーター下流に揷入した。 トランスジーンカセット (pins— IGER Irプラスミ ド) は制限酵素によって切り出し、 精製し、 G57BL/6xG57BL/6マウス (純 G57BL/6 マウス) の受精卵に導入した。 卜ランスジエニックマウス (Tg) は、 以下のオリ ゴヌクレオチドプライマーを用し、て、 tai l DNAの PGR (polymerase chain reaction) 解析により確認した ;
human insul in promoter, 5' -ATGGGCTCTGAGACTATAAAGCCAG-3' (forward) ; SEQ ID NO.1 rabbit β glob in, 5' -TGGATCGTGAGAACTTCAGG-3' (forwardl); SEQ ID NO.2
5' -GCTGGTTATTGTGCTGTGTC-3' (forward2) ; SEQ ID NO.3
ICERI γ,5' -CAGTTTCATCTCCAGTTACAGCCAT-3' (reversel) ; SEQ ID NO.4 and
5' -CTGGTTTATGGCAATAAGG-3' (reverse2) ; SEQ ID NO.50
トランスジーンのコピー数は、 サザンプロット法にて検討した。 すべての実験 においてトランスジエニックマウスでない同腹子 (wi Id - type; WT) を使用した。 すべてのマウスは京都大学動物施設指針に従つて扱った。
血糖値、 血中パラメータ一、 血圧、 HbA1cの測定
血糖値は尻尾よリ得た全血で enzyme- electrode法により測定した。 血は麻酔下 で塍島を単離する前にすばやく 、臓よリ採取した。
インスリン、 ケトン、 グルカ: =Γンは、 以下の ELISA kitを用いて測定した。 インスリン (insul in) :M0RINAGA Institute of Biological Science,
ケ卜ン体 (ketone) : Sanwa Kagaku、
グリレ力ゴン (glucagons) : Yanaihara Institute Inc.
血圧は、 Tail cuff method を用いて測定した。
HbAlcは DGA 2000 analyzerを用いて測定した。
塍島の単離、 インスリン分泌、 コンテン卜
塍島はコラゲナ一ゼ法によって単離した。 インスリン分泌能、 インスリンコン テント及び DN Aコンテントは、 1 2週齢の Tg (n=5) および WT (n=5) から単離 されたフレッシュな滕島を用いてバッチインキュベーション法 (batch
incubation) 、 RIA, フソレオロメ 卜リックアツセィ (fluorometric assay) によ つて測定した。
RNA単離、 Reverse transcr iptase— polymerase chain reaction
Total RNAは 10週齢の Tg (n=10) と WT (n=10) からフレッシュに単離され た臈島から TRIZ0L試薬 (GibcoBRL) を用いて抽出した。 Total islet RNAの存在 は電気泳動によって確認した。 1本鎖 cDNAは Superscript Reverse
Transcriptaseを用いて total islet RNAから合成した。 卜ランスジーンから発 現される IGER I rmR Aの発現はマウス islet cDNAと以下のオリゴヌクレオチド プライマーを用いて PGR法にて検討した。
rabbit β globin; 5' -TGGATCCTGAGAACTTCAGG-3' (forward; SEQ ID NO.2) and ICERI :5' -CTGCTTTATGGCAATAAGG-3' (reverse; SEQ ID NO.5)、
コントロールS - actin; 5' -ATGCGTAAAGACCTCTAT6C-3' (forward; SEQ ID NO.6),
5' -AACGCAGCTCAGTAACAGTC-3 ' (reverse; SEQ ID NO.7)。
これらのプライマ一はゲノム DNAと mRNAを区別するためにまた RNA準備段階で
DNAがコンタミしていないかどうか確認することができるように遺伝子のイン卜 ロンをまたぐようにデザインされている。 イントロンを含む Tg ゲノム DNAと卜 ランスジーンをもたない WT islet cDNAをコントロールとして使用した。 PGR concntionsは 40cycles of 94°Cfor15s、 55°Cfor15s、 72°Cfor30s、 72°Cfor 5min であった。 PGR産物は 2¾ァガロースゲルにて電気泳動し、 ェチジゥムブロマイド で染色した。 ウェスタンブロッテイング
Tgの滕島において IGER蛋白の発現を検討するためにゥエスタンブロッテイン グを行った。 10週齢の Tg (n=3) と WT (n=3) から単離した滕島を細胞溶解液 (50mM Tr i s-HG I (pH7.4)、 150mM NaGI, 1 %Tr i tonX-100, 1 % sod i um deoxycho I ate 0.1%SDS, 22m EDTA, 衡 asilol) の中でつぶし、 遠心法によって不溶解物を除 いた後、 上清 (30j«g) を 4—20%ポリアクリルアミド SDS ゲルに泳動し、 卜ラン スバッファ一 (25mM Tris, 190mM グリシン, 20% メタノール) 中でポリビニリデ ンシソルオリトメンブレン (polyvinyl iden dif luor ide membranes) にトランス ファーした。 メンブレンは 5%スキムミルク含有リン酸緩衝液 (skim milk in phosphate-buffered saline) でブロッキングし、 抗 CREM抗体 (diluted to 1:250; Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, GA)で 2時間 37。Cでイン キュベートした。 続けて 2次抗体西洋ヮサビペルォキシダーゼ結合抗ゥサギ (houseradish peroxidase - 1 inked ant i -rabbit) I G (Amersham Pharmacia Biotech)で 30分 37°Cでインキュべ一トした。 これらのそれぞれのステップでは 5% Tween 20/リン酸緩衝液で 10分 3回ずつ洗った。 検出は、 EGLプロトコ一ル (Amersham Pharmacia Biotech) に従って行った。
ノーザンブロッテイング
Total islet RNA(20jU g)を 1xM0PS (5xM0PS: 0.1M MOPS, 40mM sodium acetate 5m EDTA) , 6.7%ホルムアルデヒ ド(formaldehyde)及び 50%ホルムアミド (formamide)の液中で 55°C15分 denatureした後に、 1.2%ホルムアルデヒドァガ ロースゲル(formaldehyde agarose gel)で電気泳動し、 メンブレンにブロッティ ングした。 65°Cで 1時間プレハイブリした後、 ラットインシュリン GDNAプローブ でー晚ハイブリダィゼーシヨンを行った。 プレハイプリ、 ハイブリダィゼーショ ンともに 65°Cで 5x sod ium chlor i de-sod i umuc itrate (SSC) , 0.1 %sod i um dodecy I sulfate液中で行った。 メンブレンは 65°Cで 0.1x SSC and 0.1% sodiums dodecy Isul fate液で 2回 30分洗った。 プロ一ブのラベリングとデテクシヨンは Gene Images random prime labeling & detection system (Amersham Pharmacia Biotech)を用いた。
尿量、 尿中アルブミン量、 尿中 NAG量 上記のように作成した 4週齢から 36週齢のマウスを個々の metabol icケージに 飼い、 24時間畜尿を行った。 畜尿中はマウスが自由に餌と水を得ることができる ようにした。 尿中アルブミン量と尿中 NAG量の測定はそれぞれ Alubuwel I kit (Exocel I Inc.), NAG test kit (Shionogi)を使用した。
組織学的検討
(I) 腎臓 (半分) をメチルカルノィ液で固定後、 パラフィン包理を行い、 ミク 口トームにて 2 Mに薄切した。 その標本に、 PAS、 PAM染色後を施し、 光学顕微 鏡にて観察した。 残りの腎臓片は蛍光染色に供した。
糸球体面積は PAS染色検体を用いて解析した。 硬化指数は PAM染色検体をスコ ァ化して (スコア 0— 3: 0=染色なし、 1=3分の 1以上、 2=3分の 1から 3分の 2、 3=3分の 2以上) 測定した。
蛍光染色においては、 組織をただちに 0GTコンパウンドに包理し、 アセトン一 ドライアイスにて凍結した。 このブロックをクライオスタツトにて 3.5〃 Mに薄切 した。 1次抗体はゥサギポリクローナル抗マウス (rabbit polyclonal anti- mouse) コラーゲンタイプ (GALBI0GHEM) およびゥサギポリクローナル抗マウス (rabbit polyclonal antト mouse)コラーゲンタイプ IV (Progen Biotechnik) を 使用した。 2次抗体は F C標载ャギ抗ゥサギ (goat ant i -rabbit) (Burlingame) を使用した。
(II) 取り出した腎臓と滕臓の一部はカルノィ固定あるいは 10<½フオルマリン固 定した後パラフィン包埋した。 残りは冷アセトン固定の後、 0GT包埋にて凍結切 片 (4 /m) にした。 一部の腎臓切片 (3 tn) は PAS (periodic acid-Schiff) 染 色に用いた。 それぞれの週齢において 6〜8個の腎臓を用いて盲検法により形態学 的検討を行った。 免疫染色は以下の 1次抗体を用いて行った;
抗 IGER l r抗体 (1 : 500; Dr. J. F. Habenerより提供された, Massachusetts General Hospital, Howard Hughes Medical Institute, MA) ;抗インスリン抗体 (1 : 500; 画' Kyoto, Japan) ;抗コラーゲン I抗体 (1 : 50; Calbiochem) ; 抗コラーゲン IV抗体 (1: 250; Progen) ;及び、 抗ラミニン抗体 (1 : 100; Sigma) 。 1次抗体は FITG標識 2次抗体あるいはテキサスレツド標識 2次抗体 (1 : 200) で蛍光検出した。 またピオチン標識の 2次抗体で検出後、 DABで染色を行った。 染色切片は共焦点顕微鏡 (Zeiss LSM 410) で撮影した。 糸球体におけるコラーゲ ンし コラーゲン IV、 ラミニンの発現は盲検法により半定量的に検討した。 判定 には以下の点数を用いた; 0=正常、 1=変化が糸球体内の 25%以下、 2=変化が 25 - 50%、 3=変化が 50-75%、 4=変化が 75%以上。
(2) データ解析
上記のデータは平均土標準誤差 (SE) で表示した。 統計学的比較は Student' s t-testを用いて行った。 P値は 0.05未満を有意差があるものと考えた。
(3) 評価
トランスジエニックマウスにおける ICER l r発現
上記方法で作成した IGER I rトランスジエニックマウスを用いて、 ICER I r過 剰発現による影響を評価した。 用いたコンストラクトを図 1aに示す。 評価には、 Tg7、 Tg12及ぴ Tg23の 3系のトランスジエニックマウスを使用した。 IGER mRNA の存在は、 rabbit β globin及び IGER I r特異的オリゴヌクレオチドに特異的な 配列を増幅して Reverse transcriptase - polymerase chain reaction (RT-PGR)で 確認した。 トランスジーンから転写された IGER I rmRNAに対応する、 イントロン がスプライスされた PGR産物が、 ICER I γトランスジエニックマウスで検出され た (図 1b参照) 。 イントロンを含む Tgゲノム DNAと、 フラグメントを含まない ワイルドタイプマウス (Wi Id- type mice (WT) ) islet cDNAをコントロールとし て使用した。 また IGER I r蛋白発現を抗 GREW抗体で確認した。 CREM抗体が IGER を認識することは既に報告されている。 ウェスタンプロットを行った結果、 トラ ンスジエニックマウスに IGER I rが過剰発現していることがわかった (図 1c参 照) 。 更に、 10週齢の IGER I rトランスジエニックマウスと WTコントロールか ら抽出した total islet RNAを使用して、 インシュリン mRNAの発現レベルを解析 した。 IGER I "トランスジエニックマウスのインシュリン mRNAの発現量はコント ロールと比べて明らかに低かった (図 1d参照) 。 インシュリン mRNAのダウンレギュレーションと IGER lr高発現が対応してい ることは、 IGER lrがインシュリンの転写活性の抑制に関与していることを示唆 するものである。
さらに、 インスリン産生細胞 (^細胞) は、 dayOでは既に少なくなつておリ、 細胞の減少は IGER 力 直接の原因である (図 1 0A〜D) 。
Tgでは、 ^細胞に過剰発現した IGER が cel l cycleの中の DNA合成期に重 要な働きをするサイクリン Aの発現を抑制し、 ;6細胞の増殖が抑制されることに より) δ細胞数が減少したものと考えられる (図 1 1 ) 。 IGER I r高発現の影響
IGER I r高発現の影響を評価するために、 血中パラメータ一を測定した。 IGER I rトランスジエニックマウスは重度の糖尿病を発症した。 ICER トランスジェ ニックマウスの血糖レべレは、 0日目は標準であつたが、 7日目では著しく増加し ており、 更に、 2週齢でも増加しており、 その後も高いレベルを示した (図 2a及 ぴ b参照) 。 血漿インシュリン濃度は著しく低く、 6週目ではコントロールの 5 分の 1にすぎなかった (図 2G参照) 。 血中ケトンレベルは、 6週目及び 12週目 で著しく高く、 更に死亡前まで増加した (図 2d参照) 。 血漿グルカゴンレベルも 著しく高かった (図 2e参,照) 。 トランスジエニックマウス (Tg) では、 IGER I γ の発現、 およびインスリン産生細胞数の減少が認められた (Fig.2f) 。
0日目と 7日目の体重はコントロールと同様であつたが (図 3b参照) 、 IGER I γトランスジヱニックマウスの体重は増加せず、 8週齢後にわずかな増加を示し た (図 3a及び 3G参照) 。
次いで、 3系のトランスジエニックの雄と雌について、 血漿パラメータ一と体 重を比較した。 結果を表 1 に示す。 表 1
Figure imgf000023_0001
a , P<0. 05 ; b , Pく 0. 001 vs contro l . トランスジーン陽性の 3系の I GER I rトランスジエニックマウス (Tg7, Tg12お よび Tg23) を確立した。 結果は、 各群少なくとも 1 0動物の平均土 S Eで表す。
12週齢の雄と雌のどちらにおいても、 I GER I γトランスジエニックマウスのみが 低インシュリンと高血糖を示した。 Tg7及び Tg12は、 Tg23とは異なるコピー数の トランスジーンを含有しているが、 体重、 血糖レベル、 インシュリンレベルにお いて意味のある差異は見られなかった。 これらの結果は、 I GER の特異的な高 発現と重度の糖尿病の症状との間に強い関連があることを示すものである。
腎臓への影響
更に、 I GER I rトランスジエニックマウス (Tg) における腎臓への影響を評価 した。 尿量の変化を調べたところ、 Tgでは多尿を呈していた (図 4a) 。 また、 尿 中アルブミンの排泄量を調べたところ、 Tgでは、 週齢に従って蛋白尿が増加して いた (図 4b) 。 また、 尿細管障害のマーカーである尿 NAGを解析したところ、 Tg では週齢と共に増加していた (図 4c) 。 このように、 Tgの尿量、 尿中アルブミン 量、 尿中 N A G量を測定した結果、 いずれも、 WT (コントロール) に比べて極め て大量であった。
更に、 28週齢の WTと Tgについて、 比較して解析を行った。 比較した結果を表 2に示す。 表 2
Figure imgf000024_0001
表 2中、 *は Pく 0· 05で有意であることを示す。
Tgのグリコヘモグロビン (HbA1 c) 量は、 ワイルドタイプ (WT) に比べて著し く増加していた。 血圧は、 Tgの方が WTに比べて低くなつていた。 また、 Tgは WT に比べて低体重となっているにも関わらず、 腎臓の体重に対する比重
(K i dney/body we i ght (%) ) は、 Tgが WTよりもかなり大きくなつていた。
更に、 I CER l rトランスジエニックマウスの腎臓に関し、 組織学的な検討を行つ た。 その結果、 腎の腫大や腎盂ゃ尿細管の拡張が見られた (図 5 ) 。 Tgマウスで は、 糸球体は 4週齢で肥大し (図 6 ) 、 12週齢で硬化が認められた。 37週齢では、 Tgでは明らかな糸球体硬化がみられた (図 7 a, b, G) 。 糸球体肥大を定量的に調 ベると、 4週から 12週で肥大が見られた (図フ d) 。 また繊維化を示すコラーゲ ンタイプ IV、 ラミニンの増加がみられた (図 8、 9 ) 。
これらはヒトの糖尿病性腎症とよく似た症状であり、 本発明が、 腎症になりに くい stra i n (C57BL/6) の初の糖尿病性腎症モデルマウスとして有用であること を示すものである。
本発明の遺伝子又は蛋白質を利用することによって、 腎症、 特に糖尿病性腎症 の診断乃至治療を有効に行うことができる。 例えば、 本発明の遺伝子に基づくプ ローブや本発明の蛋白質に結合する抗体を用いることによって、 腎症乃至糖尿病 性腎症の発症の診断乃至判定や発症機序の解明等を行うことができる。
また、 本発明のトランスジエニック非ヒ卜哺乳動物は、 腎症、 特に糖尿病性腎 症とよく似た症状を発症していることから、 腎症、 特に糖尿病性腎症の適正な評 価モデルとして有効に利用し得る。 更に、 本発明のトランスジエニック非ヒ卜哺乳動物等を用いれば、 腎症乃至糖 尿病性腎症の判定乃至診断や、 若しくは腎症乃至糖尿病性腎症の予防乃至治療薬 の有効成分のスクリーニング等を効率よく行うこともできる。
本発明は、 腎症乃至糖尿病性腎症の診断乃至治療において、 極めて優れた手段 を提供するものである。

Claims

請求の範囲
1. 転写因子 GREMフアミリーに属するィンスリン転写抑制因子をコ一ドするこ とを特徴とする腎症関連遺伝子。
2. インスリン転写抑制因子が GREM 、 ICER I及び ICER l rからなる群から 選ばれるいずれか 1つである請求項 1に記載の遺伝子。
3. インスリン転写抑制因子が IGER l rである請求項 1に記載の遺伝子。
4. 配列番号 1で表される塩基配列、 その相補配列又はそれらとストリンジェ ン卜な条件でハイブリダィズするヌクレオチド配列を有し、 腎症を発症させるこ とができる請求項 1の遺伝子。
5. 配列番号 2で表される塩基配列、 その相補配列又はそれらとストリンジェ ン卜な条件でハイブリダィズするヌクレオチド配列を有し、 腎症を発症させるこ とができる請求項 1の遺伝子。
6. 腎症が糖尿病性腎症である請求項 1に記載の遺伝子。
7. 前記遺伝子がヒト由来である請求項 1に記載の遺伝子。
8. 請求項 1〜 1のいずれか 1項に記載の遺伝子を含む腎症発症剤。
9. 請求項 1〜 7のいずれか 1項に記載の遺伝子を含む糖尿病性腎症発症剤。
1 0. 請求項 7に記載の遺伝子にストリンジヱン卜な条件下でハイブリダィズ 可能な 1 5塩基以上のヌクレオチド配列からなるヒト腎症判定乃至診断用プロ一 ブ。
1 1. 転写因子 GREMファミリ一に属するインスリン転写抑制因子活性を有する 腎症関連蛋白質。
1 2. GREM 、 IGER I及び IGER I rからなる群から選ばれるいずれか 1つであ る請求項 1 0に記載の腎症関連蛋白質。
1 3. ヒト由来である請求請求項 1 1に記載の蛋白質。
1 4. 請求項 1 1〜1 3のいずれかに記載の蛋白質又はその部分に特異的に結 合する抗体。
1 5. ヒト腎症関連蛋白質と特異的に結合する請求項 1 4に記載の抗体。
1 6. 請求項 1 5に記載の抗体を含有するヒト腎症診断薬。
1 7. 請求項 7に記載のヒト腎症関連遺伝子に対するアンチセンス DNA。
1 8 . 請求項 1 5に記載の抗体または請求項 1 7に記載のアンチセンス D N A を有効成分とする腎症予防乃至治療薬。
1 9 . 請求項 1 0に記載のプローブまたは請求項 1 2に記載の抗体を用いて、 検体における請求項 7に記載のヒト腎症関連遺伝子の発現レベルを調べる工程を 有する腎症の判定又は診断方法。
2 0 . 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の遺伝子を導入してなるトランスジ エニック非ヒト哺乳動物。
2 1 . 腎症を発症する請求項 2 0に記載の哺乳動物。
2 2 . 前記腎症が糖尿病性腎症である請求項 2 1に記載の哺乳動物。
2 3 . 糖尿病を発症する請求項 2 0に記載の哺乳動物。
2 4 . 前記糖尿病が糖尿病性腎症を併発する請求項 2 3に記載の哺乳動物。
2 5 . 請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の遺伝子を導入する工程を有する卜 ランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法。
2 6 . 請求項 2 0〜 2 5のいずれか 1項に記載のトランスジヱニック非ヒト哺 乳動物に被検物質を投与し、 該哺乳動物の腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からな る群から選択される少なくとも 1種に対して被検物質が与える影響を測定するェ 程を有する腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群から選択される少なくとも 1種の予防乃至治療薬のスクリーニング方法。
2 7 . 請求項 7に記載のヒト腎症関連遺伝子のプロモーターの制御下にマーカ 一遺伝子を組み込んでなる、 哺乳類細胞で安定発現可能な発現べクタ一。
2 8 . 請求項 2 7に記載の発現べクタ一で形質転換された哺乳類細胞。
2 9 . 哺乳類細胞がヒト細胞である請求項 2 8に記載の方法。
3 0. 請求項 2 8または 2 9に記載の哺乳類細胞の培養液中に薬物候補化合物 を存在させて該哺乳類細胞を培養する工程、 該候補化合物の存在下及び非存在下 で前記マーカー遺伝子の発現量を測定する工程を含むヒト腎症、 糖尿病性腎症及 び糖尿病からなる群から選択される少なくとも 1種の予防ないし治療薬のスクリ 一二ング方法。
3 1 . 請求項 2 6または 3 0に記載のスクリーニング方法によって得られる物 質を有効成分として含有する腎症、 糖尿病性腎症及び糖尿病からなる群から選択 される少なくとも 1種の予防ないし治療薬。
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