ぺプチジルアルギニン ·ディミナ一ゼ ·タイプ I Vの利用方法 技術 分 野
本発明は、 ぺプチジルアルギニン ·ディミナ一ゼ'タイプ I Vを利用した、 慢性関節リゥマチ治療薬の効果を評価する方法、 および慢性関節リゥマチの発 症危険度を予測する方法に関する。
明
背 景技術
慢性関節リウマチ (R A) は関節の滑膜書組織を病変の主座とする慢性炎症性 疾患であり、 有病率が人口の約 1 %を占める疾患である。 R Aは、 初期には滑 膜炎を来し、 次第に軟骨や骨が侵され、 進行すると関節が破壌され変形する。 症状の経過は、 関節炎の寛解 ·再燃を繰り返し、 完治する例や急速に進行する 例など多彩であるが、 早期発見と早期治療が R A患者の生活の質を改良する上 からも重要である。
R Aは病態的には関節に達した未知の抗原に対する特異的な免疫応答に始ま り、 関節に浸潤した血中リンパ球、 マクロファージ、 好中球による慢性炎症と 滑膜増殖を生じ、 その結果、 炎症性肉芽組織由来の破骨細胞やプロテアーゼに よる骨,軟骨破壊が起きる。 R Aの病因は不明であるが、 遺伝的要因と微生物 感染などの環境要因の両者が関与していると考えられている。
R Aの診断は主に症状によってなされるが、 早期診断には R A患者の血中に 見出される自己抗体の検出が今のところ有用である。 そのような自己抗体とし ては、 例えば、 リウマトイド因子、 抗 Sa蛋白抗体、 抗 perinuclear factor抗 体、 抗ケラチン抗体、 抗フィラグリン抗体、 抗シトルリン化ペプチド抗体など が知られている(Mart inus A. M. van Boekel et al. , Arthr i t is Research (2002) 4 (2) , p87-93)
抗シトルリン化ペプチド抗体は R A患者血清の約 7 6 %から検出されるが、 リゥマチ様症状を呈するが R Aとは判定されない患者血清からは約 4 %しか検 出されない、 R Aに極めて特異性の高い自己抗体である(Gerard A. Schel lekens
et al. , The Journal of Cl inical Invest igat ion (1998) 101 (1) , 273-281 ; ZhiJ ie Zhou and Henri-Andre Menard, Current Opinion in Rheumatology (2002) 14 (3), p250-253 また、 R A患者の滑膜にはシトルリン化されたタンパクが 検出されることから、 シトルリンを含むェピトープの R Aの病原性への関与が 指摘されている (Wal ter J van Venrooij and Ger J. M. Pruijn, Arthri t is Research (2000) 2 (4) , p249-251 ; Christ ine Masson-BessiD et al., Journal of Immunology (2001) 166 (6) , p4177-4184)0
ぺプチジルシトルリンはタンパク内のアルギニン残基がぺプチジルアルギニ ン ·ディミナ一ゼ (以下、 「PADI」 という。) で変換されて生ずるアミノ酸であ る。 げっ歯類においては、 現在まで 4つのサブタイプの PADIが知られており、 タイプ Iは表皮や子宮で、 タイプ IIは筋肉、 子宮、 唾液腺、 膝臓など様々な組 織で、 タイプ II Iは表皮や毛根嚢胞で、 タイプ I Vは様々な組織で発現してい る (Ahied Abu Rus' d et al. , European Journal of Biochemistry (1999) 259 (3), p660- 669)。 ヒトにおいては、 げっ歯類のタイプ I、 Π、 ΠΙ、 I Vに最も相同 性が高い遺伝子としてそれぞれタイプ I、 II、 III、 Vの遺伝子が遺伝子情報デ —夕ベース G e n B a n k上に登録されていたが、タイプ I II (Takuya Kanno et al. , Journal of Invest igat ive Dermatology (2000) 115 (5) , p813-823) およ びタイプ V (Katsuhiko Nakashiia et al. , Journal of Biological Chemistry (1999) 274 (39) , p27786-27792)以外については詳細な報告はなされていない。 ヒ卜の PADIのタイプ IIIはげつ歯類と同じく毛根嚢胞部分で (Takuya Kanno et al. , Journal of Invest igat ive Dermatology (2000) 115 (5) , p813 - 823)、 夕 ィプ Vは好中球や好酸球で (Hiroaki Asaga et al. , Journal of Leukocyte Biology (2001) 70 (1) , p46-51) それぞれ発現していることが報告されている が、 PADIと R Aの直接の関連は不明である。
なお、 本願基礎出願時においてタイプ Vと言われていた遺伝子は、 その後マ ウスタイプ I Vのォーソログであることが確認されたため、 本明細書中におい ては、 ヒト PADIのタイプ Vをタイプ I Vと呼ぶこととする。
個人の体質を規定する大きな要因として遺伝子多型がある。 最近のファーマ コジエノミクス研究の進展により、 遺伝子多型と薬物の効果、 あるいは副作用 との関係が解明され、 当該薬物の効果、 あるいは副作用を遺伝子診断を用いて
投与前に予測することが可能になりつつある。 また、 遺伝子多型と疾患との関 係を調べることにより、 一部の疾患の事前診断や予後の判定も可能になりつつ める。
前者の例としては、 薬物代謝酵素の遺伝子多型が挙げられる。 例えば、 多型 に関連して活性が増加、 あるいは、 減少する薬物代謝酵素として、 シトクロム P 4501 A2, シ卜クロム P4502A6、 シ卜クロム P4502C 9、 シ 卜クロム P 4502 C 19, シトクロム P 4502D 6、 シ卜クロム P450 2 E 1などが知られている。 また、 チォプリンメチルトランスフェラーゼ、 N -ァセチルトランスフエラーゼ、 UDP-ダルクゥロノシルトランスフェラー ゼ、 および、 ダル夕チオン S—トランスフェラ一ゼなどの抱合酵素と呼ばれる 一群の酵素群にも遺伝子多型が存在し、 多型により活性が減少することが報告 されている (中村祐輔編, 「SNP遺伝子多型の戦略」 , (2000), 中山書店, 東 京)。
後者の例としては、 多型解析研究により見出された疾患原因遺伝子が挙げら れる。 例えば、 (1)潰瘍性大腸炎の原因遺伝子としての HLA、 (2)慢性関節リ ゥマチの原因遺伝子としての TCR 、 (3)アルツハイマー病の原因遺伝子とし ての A P 0 E 4、 (4)精神分裂症の原因遺伝子としてのドーパミン D 3受容体、 (5)躁鬱病の原因遺伝子としてのトリブトファン水酸化酵素、 (6)アルブミン尿 症の原因遺伝子としてのアンジォテンシン前駆体、(7)心筋梗塞の原因遺伝子と しての血液凝固因子 V I I、(8)肥満の原因遺伝子としてのレブチンなどが知ら れている (L. Kruglyak, Nature Genetics (1999) 22 (2), pl39-144)。
一方、 TNF— aは、 各種炎症性疾患の病態形成に関与する重要な物質と考 えられているが、 最近、 TNF— α遺伝子の 5' 末端側上流域に TNF—ひ遺 伝子の発現を亢進する多型が見出された (T. Higuchi et al. , Tissue Antigens (1998) 51 (6), p605- 612)。 これらの多型は、 TN F— a遺伝子の発現量を亢進 させるものであるため、 若年性関節リウマチ、 慢性関節リウマチ、 糖尿病など の TNF— 0;が関与する疾患の診断マーカ一になりうるものと考えられている。 発 明 の 開 示
本発明は、 慢性関節リゥマチ治療薬の効果あるいは慢性関節リゥマチの発症
危険度を評価するための新規な方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、 本発明者らは R A患者の病変 部位特異的に、 PADI4タンパクやその mRNAが高発現すること、そしてこの PADI4 の髙発現がシ卜ルリン化タンパクのレベルを亢進させ、 R A発症の一因となり うることを見出した。 これらの知見から、 本発明者らは、 PADI4 タンパクまた はその mR N Aの発現量や活性に対する阻害効果を指標として、 慢性関節リゥ マチ治療薬の評価が可能であると考えた。
すなわち、 本発明は、 PADI4遺伝子若しくはそのォーソログ遺伝子、 または 該遺伝子にコードされる蛋白質に対する阻害効果を指標として、 被験物質の慢 性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する方法に関する。
ある実施態様において、 本発明の評価方法は下記の工程を含む:
1 ) 動物を被験物質の投与または非投与条件下で飼育する;
2 ) 上記動物の血液または細胞中における PADI4遺伝子またはそのォーソログ 遺伝子の発現量を検出する;
3 ) 被験物質の投与または非投与条件下における、 上記発現量の相違に基づい て、 該被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する。
前記方法において、 遺伝子の発現量は、 例えば、 遺伝子チップ、 c D NAァ レイ、 およびメンブレンフィルタ一から選ばれる固相化試料を用いた核酸ハイ ブリダィゼ一シヨン法、 R T- P C R法、 リアルタイム P C R法、サブトラクシ ヨン法、 ディファレンシャル ·ディスプレイ法、 ディファレンシャル ·ハイブ リダイゼーション法、 ならびにクロスハイプリダイゼーション法から選ばれる いずれか一つの方法によって検出される。
別な実施態様において、 本発明の評価方法は下記の工程を含む:
1 ) 動物を被験物質の投与または非投与条件下で飼育する;
2 ) 上記動物の血液または細胞中において、 PADI4遺伝子またはそのォーソロ グ遺伝子にコ一ドされる蛋白質の発現量を、 該蛋白質に特異的に結合する抗体 を用いて検出する;
3 ) 被験物質の投与または非投与条件下における、 上記発現量の相違に基づい て、 該被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する。
前記方法において、 蛋白質の発現量は、 例えば、 ウエスタンプロット法、 ド
ットプロット法、 スロットブロット法、 E L I S A法、 および R I A法から選 ばれるいずれか一つの方法によって検出される。
本発明の評価方法で用いられる細胞としては、 血液由来細胞、 滑膜細胞、 脾 臓細胞、 および腹腔浸潤細胞が好ましい。 また、 本発明の評価方法で用いられ る動物としては、 マウスが好ましく、 この場合、 検出対象は、 PADI4遺伝子の マウスォーソログ:マウス PADI4遺伝子、 または該遺伝子にコードされる蛋白 質であることが好ましい。
さらに別な実施態様において、 本発明の評価方法は下記の工程を含む:
1 ) アルギニン含有化合物を含む反応液に、 被験物質の添加または非添加条件 下で、 PADI4蛋白質を加える。
2 ) 上記反応液中における反応生成物の量を定量することにより、 PADI4蛋白 質の活性を測定する。
3 )被験物質の添加または非添加条件下における、上記活性の相違に基づいて、 該被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する。
前記方法において、 例えば、 蛋白質の活性は、 蛍光法または吸光法を用いた 反応生成物の定量によって測定されることが好ましい。 また PADI4蛋白質はヒ ト由来の PADI4蛋白質であることが好ましい。 さらに、 本発明者らは PADI4遺伝子上に R A患者に高い頻度で現れるハプロ タイプが存在することを見出した。 そしてこのハプロタイプは、 正常型 PAD 14 蛋白質とはァミノ酸配列や酵素活性が異なる変異型 PAD 14蛋白質をコードし、 この違いが R Aの発症と深い関連を有することを見出した。これらの知見から、 本発明者らは、 変異型 PADI4タンパク質やその遺伝子を利用すれば、 R Aの発 症危険度の予測や R Aに対する治療効果の評価が可能であると考えた。
すなわち、 本発明は、 検体中の配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からな る変異型 PADI4蛋白質、 またはその遺伝子 (配列番号 2 0 ) の発現量に基づい て、 該検体を提供した被験者の慢性関節リゥマチの発症危険度を予測する方法 を提供する。
ある実施態様において、 本発明の予測方法は以下の工程を含む:
1 ) 被験者および正常人から単離された各検体より全 R NAを調製する;
2) 上記全 RNA中における変異型 PADI4遺伝子の mRNAの発現量を検出す る;
3) 被験者と正常人における上記発現量の相違を解析し、 被験者の慢性関節リ ゥマチの発症危険度を予測する。
前記方法において、 遺伝子の発現量は、 例えば、 遺伝子チップ、 cDNAァ レイ、 およびメンブレンフィル夕一から選ばれる固相化試料を用いた核酸ハイ ブリダィゼ一シヨン法、 RT- PCR法、 リアルタイム PCR法、 サブトラクシ ヨン法、 ディファレンシャル ·ディスプレイ法、 ディファレンシャル ·ハイブ リダィゼ一シヨン法、 ならびにクロスハイブリダィゼーシヨン法から選ばれる いずれか一つの方法によって検出される。
別な実施態様において、 本発明の予測方法は以下の工程を含む:
1) 被験者および正常人から単離された検体中における、 変異型 PADI4蛋白質 の発現量を該蛋白質に特異的に結合しうる抗体を用いて検出する;
2) 被験者と正常人における上記発現量の相違を解析し、 該被験者の慢性関節 リゥマチの発症危険度を予測する。
前記方法において、 蛋白質の発現量は、 例えば、 ウエスタンプロット法、 ド ットブロット法、 スロットブロット法、 EL I SA法、 および RI A法から選 ばれるいずれか一つの方法によって検出される。
また、 本発明は、 以下の a) ~e) からなる群より選ばれる少なくとも 1以 上を含む、慢性関節リウマチの発症危険度を予測するためのキッ卜を提供する。 a) 配列番号 20に示される塩基配列からなる変異型 PADI4遺伝子を特異的に 増幅するための、 15〜 30塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマー b) 配列番号 20に示される塩基配列からなる変異型 PADI4遺伝子に特異的に ハイブリダィズし、 該遺伝子を検出するための 20-1500塩基長の連続し たポリヌクレオチドプローブ
c) 上記 b) 記載のポリヌクレオチドプローブが固定された固相化試料 d) 配列番号 21に示されるアミノ酸配列からなる変異型 PADI4蛋白質に特異 的に結合し、 該蛋白質を検出するための抗体
e) 上記 d) 記載の抗体に特異的に結合しうる二次抗体
さらに、 本発明は、 配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異型
PADI4蛋白質に対する阻害効果を指標として、 被験物質の慢性関節リウマチ治 療薬としての効果を評価する方法を提供する。
前記方法は、 例えば、 以下の工程を含む:
1 ) アルギニン含有化合物を含む反応液に、 被験物質の添加または非添加条件 下で、 変異型 PADI4蛋白質を加える;
2 )上記反応液中における反応生成物の量を定量することにより、変異型 PADI4 蛋白質の活性を測定する;
3 )被験物質の添加または非添加条件下における、上記活性の相違に基づいて、 該被験物質の慢性関節リウマチ治療薬としての効果を評価する。
さらにまた、 本発明は、 配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異 型 PADI4蛋白質を提供する。 該蛋白質は慢性関節リウマチの発症危険度を予測 するための予測用マーカーとして有用である。 本発明によれば、 慢性関節リゥマチ治療薬の簡便なスクリーニングが可能と なる。 また、 本発明にかかる変異型 PADI4蛋白質および該遺伝子の発現量を指 標を検出することにより、 被験者が慢性関節リウマチを発症する危険度を早期 に判定することができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 ヒト PADI4 の Iつのハプロタイプ: V9と V18の各 mRNA安定性 (分 解度) を比較したグラフである。
図 2は、 (A)蛍光法による PADI4酵素活性測定の結果を示すグラフ、 および ( B ) 吸光法による PADI4酵素活性測定の結果を示すグラフである。
図 3は、 PADI4 の 2つのハプロタイプ: V9および V18の酵素活性を吸光法に より比較した結果を示すグラフである。
図 4は、 R A患者滑膜組織における PADI4 m A発現をみた In s i tu RT-PCR の結果を示す写真である。 図中右の 2つは陰性対照である。
図 5は、 マウスコラーゲン誘導関節炎 (CIA) 群と正常 (normal) 群における 滑膜組織および脾臓組織における mPADI4遺伝子発現量を示すグラフである。 図 6は、 (A)抗 PADI4抗体を用いた R A患者滑膜での免疫組織染色像、およ
び(B) PADI4を特異的に認識する抗体と PADIの全てのサブタイプを認識する 抗体の両者を用いた OA患者滑膜での免疫組織染色像を示す写真である。
図 7は、 (A)抗 PADI4抗体を用いた R A患者滑膜での免疫組織染色像、 およ び (B ) 抗シトルリン化タンパク質抗体を用いた RA患者滑膜での免疫組織染 色像を示す写真である。
図 8は、 ヒト PADI4 V9と PADI4 V18の mRNAの安定性を比較したグラフであ る。 本明細書は、 本願の優先権の基礎である特願 2003-12738 号および特願 2003-12774号の明細書に記載された内容を包含する。 発明を実施するための最良の形態
1 . ぺプチジルアルギニン ·ディミナーゼ ·タイプ I V
I . 1 ぺプチジルアルギニン ·ディミナーゼ ·タイプ I V (PAD 14)
ぺプチジルアルギニン ·ディミナーゼ (以下、 「PADI」 と記載する。) は、 蛋 白質内のアルギニン残基をシ卜ルリンに変換し、 ぺプチジルシ卜ルリンを生成 させる酵素である。 PADI には複数のサブタイプが存在し、 ヒトではタイプ I、
II、 II I、 Vの 4つのサブタイプ遺伝子が G e n B a n k上に登録されているが、 その詳細な機能は不明である。 マウスでは、 タイプ I、 I I、 III、 I Vの 4つの サブタイプが報告されており、 このうちタイプ I Vはヒト PADI4のマウスォー ソログである。
本発明者らは、 R A患者の病変組織において PADI4蛋白質や PADI4遺伝子 (m R NA) が特異的に高発現し、 シトルリン化ペプチドが高レベルで検出される ことを確認した。 シトルリン化ペプチドは自己抗体 (抗シトルリン化ペプチド 抗体) の産生を介して、 R A病変の原因となりうるものである。 したがって、 PADI4蛋白質またはその遺伝子の発現量や活性に対する阻害効果を指標として、 被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価することが可能となる。
( 1 ) 本発明の PADI4遺伝子
本発明の評価方法で用いられる遺伝子には、 PADI4遺伝子のほか、 そのォー ソログ遺伝子も含まれる。 「ォ一ソログ遺伝子」 とは、 「共通の祖先の遺伝子か
ら進化した、 同じ機能を有する、 異なる種の遺伝子」 であって、 例えば、 PADI4 のォーソログとしては、 マウス PADI4等が挙げられる。 以下、 PADI4遺伝子と そのォーソログ遺伝子をまとめて、 「本発明の PADI4遺伝子」 という。
前記遺伝子の由来は特に限定されないが、 哺乳動物由来のものが好ましく、 霊長類、 ゲッ歯動物由来のものがより好ましい。 特に、 最も好適な例として、 ヒト PADI4遺伝子およびマウス PADI4遺伝子を挙げることができる。
本発明の PADI4遺伝子のうち、 ヒト PADI4をコードする c D NAの配列を配 列番号 1 6に示すが、 この配列に限定されず、 ヒト PADI4をコードする限り、 その遺伝子はヒト PADI4遺伝子に含まれるものとする。例えば、本発明者らは、 ヒト PADI4には複数のハプロタイプが存在することを確認したが、 これらハプ 口タイプもヒト PADI4遺伝子に含まれる。 同様に、 本発明にかかるォ一ソログ 遺伝子のうち、 マウス PADI4をコードする c D NAの配列を配列番号 1 8に示 すが、 この配列に限定されず、 マウス PADI4をコードする限り、 その遺伝子は マウス PADI4遺伝子に含まれるものとする。
なお本明細書中において、 「遺伝子」 という用語には、 D N Aのみならずそ の mR NA、 c D NAおよび c R NAも含むものとする。 したがって、 本発明 の遺伝子には、 これらの D NA、 mR NA、 c D NA, および c R NAの全て が含まれる。 また、 配列表の塩基配列はすべて D NA配列として記載するが、 該配列が R NAを示す場合は、 配列表中の塩基記号 「t」 は 「u」 に読み替え るものとする。
( 2 ) 本発明の PADI4蛋白質
本発明の評価方法で用いられる蛋白質(PADI4蛋白質) には、 PADI4遺伝子に よってコードされる PADI4蛋白質のほか、 前記ォーソログ遺伝子によってコ一 ドされる蛋白質も含まれる。以下、これらの蛋白質をまとめて、「本発明の PADI4 蛋白質」 という。
前記蛋白質の由来は特に限定されないが、 哺乳動物由来のものが好ましく、 霊長類、 ゲッ歯動物由来のものがより好ましい。 特に、 本発明における最も好 適な例として、 ヒト PADI4蛋白質およびマウス PADI4蛋白質を挙げることがで きる。
本発明の蛋白質のうち、ヒト PADI4のアミノ酸配列を配列番号 1 7に示すが、 この配列に限定されず、 該配列において 1または数個のアミノ酸が欠失、 置換 または付加された配列で示されるペプチドもヒト PADI4としての機能を有する 限り、 ヒト PADI4蛋白質に含まれるものとする。 同様に、 マウス PADI4のアミ ノ酸配列を配列番号 1 8に示すが、 この配列に限定されず、 該配列において 1 または数個のアミノ酸が欠失、 置換または付加された配列で示されるぺプチド もマウス PADI4としての機能を有する限り、 マウス PADI4蛋白質に含まれるも のとする。 1 . 2 変異型べプチジルアルギニン ·ディミナ一ゼ ·タイプ I V
本発明者らは、 ヒト PADI4遺伝子上に慢性関節リゥマチ患者に高い頻度で現 れる複数の遺伝子多型が存在し、 これらがほぼ完全連鎖(98. 9〜100%) の関係 にあって、 一つのハプロタイプを構成することを確認した。 さらに、 このハプ 口タイプは、 正常な PADI4蛋白質とはアミノ酸配列や酵素活性が異なる変異型 PADI4蛋白質をコードし、 その違いが R Aの発症と深い関連を有することを確 認した。
すなわち、 本発明にかかる 「変異型 PADI4蛋白質」 とは、 配列番号 2 1で示 されるアミノ酸配列を有する蛋白質であって、正常な PADI4のアミノ酸配列(配 列番号 1 7 ) とは、 第 5 5番アミノ酸(S e rから G 1 yに置換)、 第 8 2番ァ ミノ酸(A 1 aから V a 1に置換)、第 1 1 2番アミノ酸(A 1 aから G 1 yに 置換)が異なっている。 この違いにより、変異型 PADI4蛋白質は、正常な PAD 蛋白質よりも酵素活性が高く、 R A病変の一因となるシトルリン化蛋白質の生 成を亢進させる。
また、 本発明にかかる 「変異型 PADI4遺伝子」 とは、 配列番号 2 0で示され る c D NA配列を有し、 正常な PADI4遺伝子とは、 ゲノム配列上、 第 3イント ロンの 2 1 3 6番目の塩基(シトシンからチミンに置換)、第 2ェクソンの 7 1 番目の塩基(アデニンからグァニンに置換)、第 2ェクソンの 1 5 3番目の塩基 (シトシンからチミンに置換)、第 3ェクソンの 6 2番目の塩基(シトシンから グァニンに置換)、および第 4ェクソンの 9番目の塩基(シトシンからチミンに 置換:この置換はアミノ酸置換を伴わない)が異なっている。この違いにより、
変異型 PADI4遺伝子の mR N Aは、 正常な PADI4遺伝子の mR N Aよりも安定 性が高く、 R A病変の一因となるシトルリン化蛋白質の生成を亢進させる可能 性がある。 2 被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する方法
本発明は、 本発明の PADI4遺伝子、 または該遺伝子にコードされる蛋白質に 対する阻害効果を指標として、 被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効 果を評価する方法を提供する。
前記方法は、 1つの被験物質について、 その投与 (添加) および非投与条件 下における、 阻害効果を比較評価するものであってもよいし、 2つ以上の被験 物質についての同様な比較評価であってもよい。 あるいは、 前記遺伝子や蛋白 質の発現量や活性と R A治療効果との相関関係が経験的に確立されれば、 その 関係に基づいて、 比較対照なしに絶対評価するものであってもよい。
本発明の評価方法において、 本発明の PADI4遺伝子や PADI4蛋白質に対する 阻害効果は、 本発明の PADI4遺伝子や PADI4蛋白質の発現量を指標として評価 してもよいし、 本発明の PADI4遺伝子や PADI4蛋白質の活性 (安定性含む) を 指標として評価しても良い。 また、 評価系は in vivo系であってもよいし、 in vi tro 系であってもよい。 以下、 本発明の評価方法の具体的な実施方法につい て説明する。
2 . 1 本発明の PADI4遺伝子の発現量を指標とした評価方法
本発明の PADI4遺伝子の発現量を指標とした in vivoにおける評価方法は、 例えば下記の工程を含む。
工程 1 :動物を被験物質の投与または非投与条件下で飼育する。
工程 2 :上記動物の血液または細胞中における本発明の PADI4遺伝子の発現量 を検出する。
工程 3 :被験物質の投与または非投与条件下における、 上記発現量の相違に基 づいて、 該被験物質の R A治療薬としての効果を評価する。 工程 1 :動物の飼育
本発明の評価方法で用いられる 「動物」 は特に限定されないが、 R A病態を 呈するモデル動物が好ましい。 そのような動物は市販のものであっても、 公知 の方法にしたがって作製されたものでもよい。 そのような R A病態を呈するモ デルとしては、例えば、自然発症関節炎モデルである、 MRLマウス関節炎、 NZB/KN マウス関節炎、 SKGマウス関節炎;誘導性関節炎モデルである、 ラットアジュ バント関節炎、 ラット ·マウスコラーゲン関節炎 (CIAラット 'マウス)、 プリ スタン関節炎、 SCID細胞移入関節炎、 SCID マウス組織移植関節炎;および、 HTLV-1 トランスジエニックマウス、 IL-1レセプ夕一アンタゴニスト K0マウス 等を挙げることができる (関節炎モデル 日本医学館、監修 ·京極方久、編集 · 安倍千之、 澤井高志 参照)。 なかでも一般的なのは、 RL マウス関節炎、 ラッ トアジュバント関節炎、 ラット ·マウスコラーゲン関節炎、 およびプリスタン 関節炎である。
前記動物は、 被験物質の投与または非投与条件下で適当な期間飼育を行う。 動物への被験物質の投与量は特に限定されず、 被験物質の性状や動物の体重に 合わせて、 適宜用量を設定すればよい。 また、 動物への被験物質の投与方法お よび投与期間も特に限定されず、 被験物質の性状に合わせて、 適宜その投与経 路と投与期間を設定すればよい。 工程 2 :本発明の PADI4遺伝子の検出
次に、 被験物質の投与または非投与条件下で飼育された動物から血液または 細胞を単離し、 該血液または細胞中の本発明の PADI4遺伝子の発現量を検出す る。
検出対象とする細胞としては、 本発明の PADI4遺伝子が高発現している細胞 が好ましく、 したがって、 好中球や好酸球等の血液由来細胞、 滑膜細胞、 脾臓 細胞、 および腹腔浸潤細胞が好ましい。 本発明の PADI4遺伝子の検出方法とし ては、 例えば、 単離された血液または細胞からまず全 R NAを抽出し、 該全 R N A中における mR N Aの発現量を検出する方法を挙げることができる。
( 1 ) 全 R NAの抽出
全 R NAの抽出は、 公知の方法にしたがい、 単離された血液または細胞より
RNA抽出用溶媒を用いて抽出する。 該抽出溶媒としては、 例えば、 フエノー ル等のリポヌクレアーゼを不活性化する作用を有する成分を含むもの(例えば、
TRIzol試薬:ギブコ ·ピーアールエル社製等) が好ましい。 RN Aの抽出方法 は特に限定されず、例えば、チォシアン酸グァニジン ·塩化セシウム超遠心法、 チォシアン酸グァニジン ·ホットフエノール法、 グァニジン塩酸法、 酸性チォ シアン酸グァニジン'フエノール 'クロ口ホルム法(Chomczynski, P. and Sacchi, N. , (1987) Anal. Bioche . , 162, 156-159) 等を採用することができる。 なか でも、 酸性チォシアン酸グァニジン ·フエノール ·クロ口ホルム法が好適であ る。
抽出された全 RNAは、 必要に応じてさらに mRNAのみに精製して用いて もよい。 精製方法は特に限定されないが、 真核細胞の細胞質に存在する mRN Aの多くは、その 3'末端にポリ (A)配列を持っため、 この特徴を利用して、 例えば、 以下のように実施することができる。 まず、 抽出した全 RN Aにピオ チン化オリゴ (dT) プローブを加えてポリ (A) +RNAを吸着させる。 次 に、 ストレプトアビジンを固定化した常磁性粒子担体を加え、 ピオチン/スト レプトアビジン間の結合を利用して、 ポリ (A) +RNAを捕捉させる。 洗浄 操作の後、 最後にオリゴ (dT) プローブからポリ (A) +RNAを溶出する。 この方法のほか、 オリゴ (dT) セルロースカラムを用いてポリ (A) +RN Aを吸着させ、 これを溶出して精製する方法も採用してもよい。 溶出されたポ リ (A) +RNAは、 さらに、 ショ糖密度勾配遠心法等により分画してもよい。
(2) 本発明の PADI4遺伝子の検出
次に、 被験物質の投与または非投与条件下における、 全 RNA中の本発明の PADI4遺伝子の発現量を検出する。 遺伝子の発現量は、 得られた全 RNAより c RNAまたは cDNAを調製し、 これを適当な標識化合物でラベルすること により、 そのシグナル強度として検出することができる。 以下、 遺伝子の発現 量の検出方法について、 i) 固相化試料を用いた解析方法、 ii) RT-PCR 法 (リアルタイム PCR法) 、 iii) その他の解析方法に分けて、 具体的に説明 する。
ii )) 固固相相化化試試料料をを用用いいたた解解析析方方法法
公公知知のの遺遺伝伝子子をを固固定定ししたた固固相相化化試試料料にに、、 投投与与ままたたはは非非投投与与条条件件下下ににおおけけるる標標 識識ししたた cc DD NNAAままたたはは cc RR NNAA ((以以下下、、 「「標標識識ププロローーブブ」」 とと記記載載すするる。。)) をを、、 同同 じじ条条件件でで別別個個にに、、ああるるいいはは混混合合ししてて同同時時ににハハイイブブリリダダィィズズささせせるる((BBrroowwnn,, PP.. 00.. eett aall.. ((11..999999)) NNaattuurree ggeenneett.. 2211,, ssuuppppll iimmeenntt,, 3333--3377))。。 前前記記標標識識ププロローーブブはは、、 本本発発明明のの PPAADDII44のの mmRR NNAAククロロ一一ンンででもも、、 発発現現ししてていいるる全全ててのの mmRR NNAAをを標標識識 ししたたももののででももよよいい。。 ププロローーブブ作作製製ののたためめのの出出発発材材料料ととししててはは、、 精精製製ししてていいなないい mmRR NN AAをを用用いいててももよよいいがが、、 前前述述のの方方法法でで精精製製ししたたポポリリ ((AA)) ++ RR NN AAをを用用いい るるここととががよよりり好好ままししいい。。 以以下下、、 各各種種固固相相化化試試料料をを用用いいたた解解析析方方法法ににつついいてて説説明明 すするる。。
aa )) 遺遺伝伝子子チチッッフフ::
本本発発明明でで用用いいらられれるる遺遺伝伝子子チチッッププはは、、 検検出出対対象象ででああるる遺遺伝伝子子がが固固相相化化さされれてて いいるるももののででああれればば、、市市販販ののももののででああっっててもも、、公公知知のの方方法法((LLiippsshhuuttzz,, RR.. JJ.. eett aall.. ((11999999)) NNaattuurree ggeenneett.. 2211,, ssuuppppll iimmeenntt,, 2200--2244)) にに基基づづきき作作製製さされれたたももののででああ つつててももよよいい。。 遺遺伝伝子子チチッッププにによよるる検検出出はは、、 常常法法ににししたたががっってて実実施施すするるここととががでで ききるる。。 例例ええばば、、 ァァフフィィメメトトリリククスス社社製製チチッッププをを用用いいるる場場合合ででああれればば、、 製製品品にに添添 付付さされれたたププロロトトココ一一ルルににししたたががいい、、 ピピオオチチンン標標識識ししたた cc RR NN AAププロローーブブをを調調製製 すするる。。 次次いいでで、、 該該ププロロトトココーールルににししたたががいいハハイイブブリリダダィィゼゼーーシシヨヨンンをを行行いい、、 ァァ ビビジジンンにによよるる発発光光をを検検出出、、 解解析析すすれればば遺遺伝伝子子のの発発現現量量をを求求めめるるここととががででききるる。。
本発明で用いられるアレイまたはメンブレンフィル夕一は、 検出対象である 遺伝子が固相化されているものであれば、 市販のもの (例えば、 インテリジー ン (宝酒造社製)、 フィルター製マイクロアレイ アトラスシステム (クローン テック社製等))であっても、公知の方法に基づいて作製されたものであっても よい。 固相化される遺伝子は、 G e n B a n k等の配列情報をもとに作製され たプライマーで逆転写酵素反応や P C Rを実施することによりクローン化され た c D NAまたは R T— P C R産物を用いる。
アレイを用いた検出では、 逆転写酵素反応でポリ (A) + R NAから c D N Aを作製する際に、 蛍光色素 (例えば、 C y 3、 C y 5等) で標識された d— U T P等を加えることにより標識プローブを調製する。 被験物質の投与条件下
におけるポリ (A) +RNAと被験物質の非投与条件下におけるポリ (A) +R NAはそれぞれ異なる色素で標識し、 両者を混合してハイブリダィズさせ、 蛍 光シグナル検出器を用いて検出する。 得られる蛍光シグナルは投与および非投 与条件下における遺伝子発現量の相対比を示す (Brown, P. 0. et al. (1999) Nature genet. 1, s卿 liment、 33 - 37)。
メンブレンフィルターを用いた検出では、 逆転写酵素反応でポリ (A) +R NAから cDNAを作製する際に、 放射性同位元素 (例えば、 32P、 33P) で標 識された d— C T P等を加えることにより標識プローブを調製し、 常法により ハイブリダィゼーションを行う。 市販のフィルター製マイクロアレイである、 アトラスシステム (クローンテック社製) を用いてハイブリダィゼーションぉ よび洗浄を行った後、 解析装置 (例えば、 アトラスイメージ:クローンテック 社製等) を用いて検出、 解析を行う。 ii) RT— PCR法 (リアルタイム PC R法)
RT— PCR法やその 1つであるリアルタイム PCR (TaciMan PCR) 法は微 量な DN Aを高感度かつ定量的に検出できるという点で本発明の評価方法に好 適である。 リアルタイム PCR (TaqMan PCR) 法では、 5' 端を蛍光色素 (レポ 一夕一) で、 3' 端を蛍光色素 (クェンチヤ一) で標識した、 目的遺伝子の特定 領域にハイプリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが使用される。 該プロ ーブは、 通常の状態ではクェンチヤ一によつてレポーターの蛍光が抑制されて いる。 この蛍光プローブを目的遺伝子に完全にハイブリダィズさせた状態で、 その外側から Tad DNAポリメラ一ゼを用いて P CRを行う。 Taci DNAポリメラ —ゼによる伸長反応が進むと、 そのェキソヌクレァーゼ活性により蛍光プロ一 ブが 5' 端から加水分解され、 レポ一夕一色素が遊離し、 蛍光を発する。 リア ルタイム PC R法は、 この蛍光強度をリアルタイムでモニタリングすることに より、 踌型 DN Aの初期量を正確に定量することができる。 iii) その他の解析方法
上記以外に、 遺伝子発現量を解析する方法としては、 例えば、 サブトラクシ ヨン法 (Sive, H. L. and John, T. St. (1988) Nucleic Acids Research 16,
10937、 Wang, Z. , and Brown, D. D. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 88, 11505- 11509)、ディファレンシャル 'ディスプレイ法 (Liang, P., and Pardee, A. B. (1992) Science 257, 967 - 971、 Liang, P. , Averboukh, L. , Keyomarsi, K. , Sager, R. , and Pardee, A. B. (1992) Cancer Research 52, 6966 - 6968)、 デ ィファレンシャル 'ハイブリダィゼーシヨン法 (John, T. St., and Davis, R. W. Cell (1979) 16, 443-452)、 また、 適当なプローブを用いたクロスハイプリ ダイゼ一シヨン法(" Molecular Cloning, A Laboratory Manual" Maniatis, T., Fritsch, E. F. , Sambrook, J. (1982) Cold Spring Harbor Laboratory Press) 等を挙げることができる。
a) サブトラクシヨンクローニング法:
特定の細胞に特異的に発現する遺伝子の c DNAを取得し、 該 c DNAをプ ローブとして c DN Aライブラリ一をスクリーニングすることにより遺伝子を クローニングする方法である。 サブトラクシヨンの方法としては、 全 RNAか ら一本鎖 c DNAを作製し、 これと別の細胞から得られた全 RN Aをハイプリ ダイズさせた後、 ハイドロキシアパタイトカラムでハイブリダィズしなかった 一本鎖 DNAを単離し、 この c DNAから c DN Aライブラリ一を作製する方 法(バイオマニュアルシリーズ 3、遣伝子クローニング実験法、羊土社 (1993), カレン卜 'プロトコールズ ·イン 'モレキュラー ·バイオロジー) や、 cDN Aライブラリーをまず作製し、 このライブラリーからヘルパーファージ等を用 いて一本鎖 DNAを調製し、 この一本鎖 DNAと別の細胞から得られた全 RN Aにビォチン標識したものとをハイプリダイズさせた後、 ァビジンを利用して ハイブリダイズしなかつた一本鎖 D N Aを単離し、 D N Aポリメラ一ゼによつ て二本鎖に戻して c D N Aライブラリ一を作製する方法 (Tanaka, H. , Yoshimura, Y. , Nishina, Υ. , Nozaki, Μ. , Noj iia, Η. , and Nishimune, Υ. (1994) FEBS Lett. 355, 4-10) 等が挙げられる。
具体的には、 まず被験物質の投与または非投与条件下の検体それぞれについ て mRNAまたは全 RNAを精製し、 投与条件下の検体から精製した全 R N A を铸型とし、 逆転写酵素で cDNAを合成する。 合成時に [a- 32P] dNT Pを加えることで c DNAを標識することもできる。 標識された c DNAと铸 型となった全 RNAは安定な二本鎖 DNA- RNAハイプリッドを形成してい
るが、 アル力リ存在下で高温処理することにより RNAのみを分解し一本鎖 c DNAを生成する。 この一本鎖 cDNAと、 非投与条件下の検体から抽出した RNAとを混合し、 適当な条件下で静置すると、 ヌクレオチド配列の相補性よ り安定な二本鎖 DNA- RNAハイプリッドを形成する。すなわち、非投与条件 下でも発現している cDNAはハイブリッドを形成するが、 投与条件下でのみ 特異的に発現している RNAを铸型とした c DNAは一本鎖のままである。 次 いで、ハイドロキシァパタイトカラムで二本鎖 DNA- RNAハイブリッドとー 本鎖 cDNAとを分離し、 一本鎖 c DN Aのみを精製する。 このステップを繰 り返すことで目的とした組織に特異的な c D N Aを濃縮することができる。 濃 縮された特異的 cDN Aは放射性同位元素等で標識されている場合は、 cDN Aライブラリーをスクリーニングするプローブとして使用することができる。 なお、 この操作は市販のキット (例えば、 P CRセレクト c DNAサブトラク シヨンキット:クローンテック社製等) を利用して行うこともできる。
b) ディファレンシャル'ディスプレイ法:
Liangらの方法 (Science (1992) 257, 967-971) に準じ、 例えば、 以下のよ うに実施できる。 まず比較する 2つの試料 (本発明の場合は被験物質の投与ま たは非投与条件下の検体) から mRNAまたは全 RNAを抽出し、 逆転写酵素 を用いてこれを一本鎖 c DN Aに変換する。 次いで、 得られた一本鎖 cDNA を铸型として、適当なプライマーを用いて P CRを行う。プライマーとしては、 例えば、 ランダムプライマー (任意の配列からなる約 10〜 12me rのプラ イマ一) を用いることができる。 あるいは、 アンカードプライマ一 (anchored primer) およびァーピトラリ一プライマー (arbitrary primer) 各一種ずつを 組み合わせて用いてもよい。 アンカ一ドプライマ一としては、 オリゴ d (T) nVX [n= 1 1〜12 ; V =グァニン、 アデニンまたはシトシン; X==グァ ニン、 アデニン、 チミンまたはシ卜シン] からなるプライマーを用いることが できる。 また、 ァービトラリープライマーとしては、 任意の配列からなる約 1 Ome rのランダムプライマーを用いることができる。 このような PCRを、 種々のプライマーを組み合わせて行うことで、 より広い範囲の遺伝子群をスク リーニングすることが可能となる。 続いて、 得られた PC R産物をゲル電気泳 動し、 ゲル上に展開 (ディスプレイ) される全 RN Aの発現パターン (フィン
ガープリント) を比較解析することにより、 いずれかの検体で特異的に発現し ている遺伝子 (本発明の PADI4遺伝子) を選択し、 その cDNA断片を単離す ることができる。 なお、 この方法は、 市販されているキット (例えば、 RNA イメージ ·キッ 1、:ジェンハン夕一社製等) を用いて行うこともできる。
c) ディファレンシャル ·ハイブリダィゼーシヨン法:
目的の組織から精製した全 RNAから作製した cDNAライブラリ一を、 目 的組織および対照組織の全 R N Aから合成した32 P標識 c D N Aプローブで スクリーニングし、 目的組織のプローブとのみハイブリダィズするクローンを 選択する方法である。 例えば、 まず非投与条件下の検体から精製した全 RNA から常法に従い cDN Aライブラリーを作製し、 そのライブラリーから 2組の レプリカフィルターを作製する。 次に、 該非投与条件下の検体から精製した全 RNAを铸型として、 逆転写酵素で c DN Aを合成する。 合成時に [ -32 P] dNTPを加えることで c DNAを標識する。 標識された c DNAと铸型とな つた全 RNAは安定な二本鎖 DNA-RNAハイプリッドを形成している力 ァ ルカリ存在下で高温処理することにより全 RN Aのみを分解し、 一本鎖 cDN Aを精製する。 同様に、 被験物質投与条件下の検体から精製した全 RN Aを铸 型に32 Pで標識された一本鎖 c D N Aを作製する。両標識 c D N Aをそれぞれ プロ一プとして、 非投与条件下の検体から作製したフィルターとハイプリダイ ゼーシヨンを行う。 X線フィルムのオートラジオグラフィー像を比較し、 投与 または非投与条件下の c D N Aプローブの一方にのみハイブリダィズするクロ ーンを選ぶことにより、 被験物質の投与条件下で特異的に発現する遺伝子をク ローニングすることができる。
d) クロスハイブリダイゼ一ション法:
被験物質の投与または非投与条件下の検体のいずれかに由来する c DNAラ イブラリーに対して、 適当な DNAをプローブとして、 ストリンジエンシーの 低い条件でハイブリダィゼーシヨンを行い、 陽性クローンを得る。 得られた陽 性クローンをプローブとして、 それぞれの検体に由来する全 R N Aに対してノ —ザンハイブリダィゼーシヨンを行い、 一方にのみ発現しているクローンを選 択する。
こうして得られた c DNAをプローブとして、 投与または非投与条件下の検
体の全 R NAに対してノーザンプロッティングを行い、 選択した遺伝子の全 R NAが、 投与条件下で特異的に発現していることを確認できる。 工程 3 :被験物質の評価
最後に、 被験物質の投与または非投与における、 本発明の PADI4遺伝子の発 現量の相違に基づいて、 該被験物質の R A治療薬としての効果を評価する。 すなわち、 被験物質の投与条件下で非投与条件下よりも本発明の PADI4遺伝 子の発現量が有意に減少している場合、 該被験物質は R A治療薬としての効果 を有すると評価できる。 ここで、 「有意に減少している」 とは、 例えば、 被験 物質の投与および非投与条件下での本発明の PADI4遺伝子の発現量に統計的有 意差 (p < 0 . 0 5 ) があることを意味する。
2 . 2 本発明の PADI4蛋白質の発現量を指標とした評価方法
本発明の PADI4蛋白質の発現量を指標とした in vivoにおける評価方法は、 例えば下記の工程を含む。
工程 1 :動物を被験物質の投与または非投与の条件下で飼育する。
工程 2 :上記動物の血液または細胞中における本発明の PADI4蛋白質の発現量 を、 該蛋白質に特異的に結合する抗体を用いて検出する。
工程 3:被験物質の投与または非投与における、上記発現量の相違に基づいて、 該被験物質の R A治療薬としての効果を評価する。 工程 1 :動物の飼育
動物は、 前項 2 . 1に記載した方法にしたがい、 被験物質の投与または非投 与の条件下で飼育する。 工程 2 :本発明の PADI4蛋白質の発現量の検出
次に、 上記動物の血液または細胞中における本発明の PADI4蛋白質の発現量 を、 該蛋白質に特異的に結合する抗体を用いて検出する。
抗体を利用した蛋白質の検出方法は特に限定されないが、 ウエスタンブロッ ト法、 ドットブロット法、 スロットブロット法、 E L I S A法、 および R I A
法から選ばれるいずれか一の方法であることが好ましい。 以下、 これらの検出 方法について、 試料の調製から検出までを具体的に説明する。
( 1 ) 試料の調製
検体としては、 血液または本発明の PADI4蛋白質が高発現している細胞が好 ましく、 したがって好中球や好酸球等の血液由来細胞、 滑膜細胞、 脾臓細胞、 および腹腔浸潤細胞が好ましい。 これらの血液または細胞 (細胞抽出液として 使用する) は、 必要に応じて高速遠心を行うことにより不溶性の物質を除去し た後、 以下のように E L I S A/R I A用試料やウェスタンブロット用試料と して調製する。
E L I S A/R I A用試料は、例えば、回収した血清をそのまま使用するか、 緩衝液で適宜希釈したものを用いる。 ウエスタンプロット用 (電気泳動用) 試 料は、 例えば、 細胞抽出液をそのまま使用するか、 緩衝液で適宜希釈して、 S D S—ボリアクリルアミドゲル電気泳動用の 2 _メルカトルエタノールを含む ンプル緩衝液 (シグマ社製等) と混合したものを用いる。 ドット /スロット プロット用試料は、 例えば、 回収した細胞抽出液そのもの、 または緩衝液で適 宜希釈したものを、 ブロッテイング装置を使用するなどして、 直接メンブレン へ吸着させたものを用いる。
( 2 ) 試料の固相化
上記方法では、 まず、 本発明の PADI4蛋白質が含まれる試料中のボリべプチ ドをメンブレンあるいは 9 6穴プレートのゥエル内底面等に固相化する。
メンブレンに固相化する方法としては、 試料のポリアクリルアミドゲル電気 泳動を経てメンブレンにポリぺプチドを転写する方法(ウエスタンプロット法) と、 直接メンブレンに試料またはその希釈液を染み込ませる方法 (ドットプロ ット法やスロットプロット法) を挙げることができる。 用いられるメンブレン としては、 ニトロセルロースメンブレン (例えば、 バイオラッド社製等)、 ナイ ロンメンブレン (例えば、 ハイボンド一 E C L (アマシャム ·フアルマシア社 製)等)、コットンメンブレン (例えば、ブロットァブソーベントフィルター (バ ィォラッド社製) 等) またはポリビニリデン ·ジフルオリド (P V D F ) メン プレン (例えば、 バイオラッド社製等) 等を挙げることができる。 また、 プロ ッティング方法としては、ゥエツト式ブロッティング法(CURRENT PROTOCOLS IN
IMMUNOLOGY volume 2 ed by J. E. Col igan, A. M. Krui sbeek, D. H. Margul ies, E. M. Shevach, W. Strober) , セミドライ式ブロッテイング法 (上記 CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY volume 2 参照) 等を挙げることができる。
一方、 9 6穴プレートに固相化する方法としては、 固相酵素免疫定量法 (E L I S A法) や放射性同位元素免疫定量法 (R I A法) 等を挙げることができ る。 固相化は、 例えば、 前記 9 6穴プレート (例えば、 ィムノプレート ·マキ シソープ(ヌンク社製)等) に試料またはその希釈液(例えば、 0 . 0 5 % ァ ジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝生理食塩水 (以下「P B S」 と記載する。) で 希釈したもの) を入れて 4で〜室温で一晩、 または 3 7 °Cで 1〜3時間静置し て、 ゥエル底面にポリペプチドを吸着させればよい。
( 3 ) 本発明の PADI4蛋白質に特異的に結合する抗体
本工程で用いられる「本発明の Ρ Π4蛋白質に特異的に結合する抗体 (以下、 「抗 PADI4抗体」 と記載する。)」 は、 公知の方法にしたがって調製してもよい し、 市販のものを用いてもよい。
前記抗体は、 常法により (例えば、 新生化学実験講座 1、 タンパク質 1、 P. 389-397、 1992)、 抗原となる本発明の PADI4蛋白質、 あるいはそのアミノ酸 配列から選択される任意のポリペプチドを用いて動物を免疫し、 該動物生体内 に産生される抗体を採取、 精製することによって得ることができる。 また、 公 知の方法 (例えば、 Kohler and Mi ls te in, Nature 256, 495-497, 1975, Kennet, R. ed. , Monoclonal Ant ibody p. 365-367, 1980, Prenum Press, N. Y. ) にした がって、 抗 PADI4抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させ ることによりハイプリドーマを樹立し、 これよりモノクローナル抗体を得るこ ともできる。
抗体作製用の抗原としては、 本発明の PADI4蛋白質またはその少なくとも 6 個の連続した部分アミノ酸配列からなるポリペプチド、 あるいはこれらに任意 のアミノ酸配列や担体 (例えば、 N末端付加するキーホールリンペットへモシ ァニン) が付加された誘導体を挙げることができる。
前記抗原ポリペプチドは、 本発明の PADI4蛋白質を遺伝子操作により宿主細 胞に産生させることによって得ることができる。 具体的には、 本発明の PADI4 遺伝子を発現可能なベクターを作製し、 これを宿主細胞に導入して該遺伝子を
発現させればよい。
前記宿主細胞としては、 原核細胞であれば、 例えば、 大腸菌 (Escherichia coli) や枯草菌 (Bacillus subtilis) 等が挙げられる。 目的の遺伝子をこれら の宿主細胞内で形質転換させるには、 宿主と適合し得る種由来のレブリコンす なわち複製起点と、 調節配列を含んでいるプラスミドベクターで宿主細胞を形 質転換させる。 該ベクタ一としては、 形質転換細胞に表現形質 (表現型) の選 択性を付与しうる配列を有するものが好ましい。
例えば、 大腸菌であれば、 K 12株等がよく用いられ、 ベクターとしては、 一般に p BR 322や pUC系のプラスミドが用いられるが、 これらに限定さ れず、 公知の各種菌株やべクタ一を使用できる。 また、 大腸菌で用いられるプ 口モーターとしては、 例えば、 トリプ卜ファン (trp) プロモーター、 ラク卜一 ス (lac) プロモーター、 トリプトファン ·ラクト一ス (tac) プロモーター、 リポプロテイン (lpp) プロモーター、 ポリペプチド鎖伸張因子 Tu (tufB) プ 口モータ一等を挙げることができ、 いずれも好適に用いることができる。
また、 枯草菌であれば、 207— 25株が好ましく、 ベクターとしては pT UB 228 (Ohmura, K. et al. (1984) J. Bioc em. 95, 87-93) 等が用いら れるが、 これに限定されるものではない。 なお、 ベクターに枯草菌の α—アミ ラ一ゼのシグナルべプチド配列をコードする DN Α配列を連結することにより、 菌体外での分泌発現も可能となる。
真核細胞の宿主細胞としては、脊椎動物、昆虫、酵母等の細胞が挙げられる。 脊椎動物細胞としては、 例えば、 サルの細胞である COS細胞 (Gluzman, Y. (1981) Cell 23, 175-182、 ATCC C L-1650) や CHO細胞 (ATCC CCL-61) のジ ヒドロ葉酸還元酵素欠損株 (Urlaub, G. and Chasin, L. A. (1980) Pro Natl. Acad. Sci. USA 77, 4126-4220) 等がよく用いられているが、 これらに限定さ れない。
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、 通常発現させようとする遺伝子の上 流に位置するプロモーター、 RN Aのスプライス部位、 ポリアデニル化部位、 および転写終結配列等を有するものを使用できる。 さらに、 これは必要により 複製起点を有してもよい。 該発現ベクターの例としては、 サイトメガロウィル ス初期プロモータ一を有する p CR 3. 1 (Invitrogen 社製)、 SV40の初
期プロモーターを有する p S V2 d h ί r (Subramani, S. et al. (1981) Mol. Cell. Biol. 1, 854-864) 等が挙げられるが、 これらに限定されない。
宿主細胞として、 COS細胞を用いる場合を例に挙げると、 発現ベクターと しては、 S V 40複製起点を有し、 COS細胞において自立増殖が可能であり、 さらに、 転写プロモーター、 転写終結シグナル、 および RN Aスプライス部位 を備えたものを好適に用いることができる。 該発現べクタ一は、 ジェチルアミ ノエチル(DEAE) —デキストラン法(Luthman, H. and Magnus son, G. (1983) Nucleic Acids Res, 11, 1295-1308), リン酸カルシウム— D N A共沈殿法 (Graham, F. L. and van der Eb, A. J. (1973) Virology 52, 456 - 457)、 お よび電気パルス穿孔法 (Neumann, E. et al. (1982) EMB0 J. 1, 841-845) 等 により COS細胞に取り込ませることができ、 かくして所望の形質転換細胞を 得ることができる。
また、 宿主細胞として CH〇細胞を用いる場合には、 発現べクタ一と共に、 抗生物質 G418耐性マーカ一として機能する n e o遺伝子を発現し得るべク 夕一、 例えば、 pRSVn e o (Saibrook, J. et al. (1989) : "Molecular Cloning A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory, NY) や p S V2 n e o (Southern, P. J. and Berg, P. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1, 327-341)等をコ ' トランスフエクトし、 G418耐性のコロニーを選択するこ とにより、 目的のポリペプチドを安定に産生する形質転換細胞を得ることがで きる。
昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合には、 鱗翅類ャガ科の Spodoptera frugiperda の卵巣細胞由来株化細胞 ( S f — 9または S ί— 2 1 ) や Trichoplusia niの卵細胞由来 High Five細胞 (Wickham, T. J. et al, (1992) Biotechnol. Prog, i: 391-396) 等が宿主細胞としてよく用いられ、 バキュ口 ウィルストランスファーベクターとしてはオートグラファ核多角体ウィルス (Ac NP V) のポリへドリン夕ンパクのプロモ一夕一を利用した pVL 13 92/1393がよく用いられる (Kidd, i . Μ· and V. C. Emery (1993) The use of baculoviruses as expression vectors. Applied Biochemistry and Biotechnology 420, 137-159)。 この他にも、 バキュロウィルスの P 10や同塩 基性蛋白質のプロモータ一を利用したベクタ一も使用できる。 さらに、 AcN
P Vのエンベロープ表面蛋白質 G P 6 7の分泌シグナル配列を目的蛋白質の N 末端側に繋げることにより、 組換え蛋白質を分泌蛋白質として発現させること も可能である (Zhe-mei Wang, et al. (1998) Biol. Chem. , 379, 167 - 174)。
真核微生物を宿主細胞とした発現系としては、 酵母が一般によく知られてお り、 その中でもサッカロミセス属酵母、 例えば、 パン酵母 Saccharomyces cerevis iaeや石油酵母 Pichia pas tor isが好ましい。 該酵母等の真核微生物の 発現べクタ一としては、 例えば、 アルコール脱水素酵素遺伝子のプロモーター (Benne tzen, J. L. and Hal l, B. D. (1982) J. Biol. Chem. 257, 3018-3025) や酸性フォスファターゼ遺伝子のプロモー夕一 (Miyanohara, A. et al. (1983) Proc. Nat l. Acad. Sci. USA 80, 1-5) 等を好ましく利用できる。 また、 分泌 型蛋白質として発現させる場合には、 分泌シグナル配列と宿主細胞の持つ内在 性プロテアーゼあるいは既知のプ口テアーゼの切断部位を N末端側に持つ組換 え体として発現させることも可能である。 例えば、 トリプシン型セリンプロテ ァーゼのヒトマスト細胞トリプターゼを石油酵母で発現させた系では、 N末端 側に酵母の enファクタ一の分泌シグナル配列と石油酵母の持つ K E X 2プロテ ァーゼの切断部位をつなぎ発現させることにより、 活性型トリプ夕ーゼが培地 中に分泌されることが知られている (Andrew, L. Ni les, et al. (1998) Biotechnol. Appl. Biochem. 28, 125-131)。
上記のようにして得られる形質転換体は、 常法にしたがい培養することがで き、 該培養により細胞内、 または細胞外に目的のポリペプチドが産生される。 該培養に用いられる培地としては、 採用した宿主細胞に応じて慣用される各種 の培地を適宜選択できる。 例えば、 上記 C O S細胞であれば、 R P M I 1 6 4 0培地やダルベッコ変法イーグル培地 (以下 「D M E M」 と記載する) 等の培 地に、 必要に応じゥシ胎児血清等の血清成分を添加したものを使用できる。 上記培養により、 形質転換体の細胞内または細胞外に産生される組換え蛋白 質は、 該蛋白質の物理的性質や化学的性質等を利用した公知の分離操作法によ り、 分離 ·精製することができる。 該方法としては、 例えば、 タンパク沈殿剤 による処理、 限外濾過、 分子ふるいクロマトグラフィー (ゲル濾過)、 吸着クロ マトグラフィ一、 イオン交換クロマ卜グラフィー、 ァフィ二ティークロマトグ ラフィ一、 高速液体クロマトグラフィー (H P L C ) 等の各種液体クロマトグ
ラフィー、 透析法、 を単独あるいは組合せて利用できる。 また、 発現させる組 換え蛋白質に 6残基からなるヒスチジンを繋げれば、 ニッケルァフィ二ティー カラムで効率的に精製することができる。 目的とする本発明の PADI4タンパク は、 以上に記載した方法を適宜組み合わせることにより、 容易に高収率、 高純 度で製造できる。
( 4 ) 検出 '
上記 (3 ) 記載の方法で得られる抗 PADI4抗体は、 それを直接標識するか、 または該抗体を一次抗体とし、 該一次抗体を特異的に認識する (抗体を作製し た動物由来の抗体を認識する) 標識二次抗体と協同で検出に用いられる。
前記標識の種類として好ましいものは、 酵素 (アルカリホスファターゼまた は西洋ヮサビペルォキシダーゼ) またはピオチン (ただし二次抗体のピオチン にさらに酵素標識ストレプトアビジンを結合させる操作が加わる) であるが、 これらに限定されない。 標識二次抗体 (または標識ストレプトアビジン) とし ては、 予め標識された抗体 (またはストレプトアビジン) が、 各種市販されて いる。なお、 R I Aの場合は 125 1等の放射性同位元素で標識された抗体を用い、 測定は液体シンチレ一シヨンカウン夕一等を用いて行う。
これら標識された酵素の活性を検出することにより、 抗原の発現量が測定さ れる。 アル力リホスファタ一ゼまたは西洋ヮサビペルォキシダーゼで標識する 場合、これら酵素の触媒により発色する基質や発光する基質が市販されている。 発色する基質を用いた場合、 ウエスタンプロット法やドット/スロットプロ ット法を利用すれば、 目視で検出できる。 E L I S A法では、 市販のマイクロ プレートリーダーを用いて各ゥエルの吸光度 (測定波長は基質により異なる) を測定し、 定量することが好ましい。 また上述の抗体作製に使用した抗原の希 釈系列を調製し、これを標準抗原試料として他の試料と同時に検出操作を行い、 標準抗原濃度と測定値をプロットした標準曲線を作成することにより、 他の試 料中の抗原濃度を定量することも可能である。
一方、 発光する基質を使用した場合は、 ウエスタンプロット法やドット/ス ロットプロット法においては、 X線フィルムまたはイメージングプレートを用 いたォートラジオグラフィ一や、 インスタントカメラを用いた写真撮影により 検出することができる。 また、 デンシトメトリ一やモレキュラー ·イメージャ
— Fxシステム(バイオラッド社製)等を利用した定量も可能である。さらに、 EL I S A法で発光基質を用いる場合は、 発光マイクロプレートリーダー (例 えば、 バイオラッド社製等) を用いて酵素活性を測定する。
(5) 測定操作
a) ウエスタンブロット、 ドットプロットまたはスロットブロットの場合 まず、 抗体の非特異的吸着を阻止するため、 予めメンブレンをそのような非 特異的吸着を阻害する物質 (スキムミルク、 カゼイン、 ゥシ血清アルブミン、 ゼラチン、 ポリビニルピロリドン等) を含む緩衝液中に一定時間浸しておく操 作 (ブロッキング) を行う。 ブロッキング溶液の組成は、 例えば、 5% スキ ムミルク、 0. 05〜0. 1 % ツイ一ン 20を含むリン酸緩衝生理食塩水(P BS) またはトリス緩衝生理食塩水 (TBS) が用いられる。 スキムミルクの 代わりに、 ブロックエース (大日本製薬)、 ;!〜 10 %のゥシ血清アルブミン、 0.5〜3 %のゼラチンまたは 1 %のポリビニルピロリドン等を用いてもよい。 ブロッキングの時間は、 4でで 16〜24時間、 または室温で 1〜3時間であ る。
次に、 メンブレンを 0. 05〜0. 1 % ツイーン 20を含む PBSまたは TBS (以下 「洗浄液」 と記載する) で洗浄して余分なブロッキング溶液を除 去した後、 ブロッキング溶液で適宜希釈した溶液中に抗 PAD 14抗体を一定時間 浸して、 メンブレン上の抗原に該抗体を結合させる。 このときの抗体の希釈倍 率は、 例えば、 前記組換え抗原を段階希釈したものを試料とした予備的なゥェ スタンプロッティング実験を行って決定することができる。 この抗体反応操作 は、 好ましくは室温で 2時間行う。 抗体反応操作終了後、 メンブレンを洗浄液 で洗浄する。 ここで、 用いた抗体が標識されたものである場合は、 ただちに検 出操作を行うことができる。 未標識の抗体を用いた場合には、 引き続き二次抗 体反応を行う。 標識二次抗体は、 例えば、 市販のものを使用する場合はプロッ キング溶液で 2000〜 20000倍に希釈して用いる (添付の指示書に好適 な希釈倍率が記載されている場合は、その記載に従う)。一次抗体を洗浄除去し た後のメンブレンを二次抗体溶液に室温で 45分〜 1時間浸し、 洗浄液で洗浄 してから、 標識方法に合わせた検出操作を行う。 洗浄操作は、 例えば、 まずメ ンブレンを洗浄液中で 15分間振盪してから、 洗浄液を新しいものに交換して
5分間振盪した後、 再度洗浄液を交換して 5分間振盪することにより行う。 必 要に応じてさらに洗浄液を交換して洗浄してもよい。
b ) E L I S A/R I A
まず、 試料を固相化させたプレートのゥエル内底面への抗体の非特異的吸着 を阻止するため、 ウエスタンプロットの塲合と同様、 予めブロッキングを行つ ておく。 ブロッキングの条件については、 ウエスタンプロットの項に記載した 通りである。
次に、 ゥエル内を 0 . 0 5〜0 . 1 % ツイーン 2 0を含む P B Sまたは T B S (以下 「洗浄液」 と記載する) で洗浄して余分なブロッキング溶液を除去 した後、 洗浄液で適宜希釈した抗 PADI4抗体を分注して一定時間ィンキュベー シヨンし、抗原に該抗体を結合させる。このときの抗体の希釈倍率は、例えば、 上記組換え抗原を段階希釈したものを試料とした予備的な E L I S A実験を行 つて決定することができる。 この抗体反応操作は、 好ましくは室温で 1時間程 度行う。 抗体反応操作終了後、 ゥエル内を洗浄液で洗浄する。 ここで、 用いた 抗体が標識されたものである場合は、 ただちに検出操作を行うことができる。 未標識の抗体を用いた場合には、 引き続き二次抗体反応を行う。 標識二次抗体 は、 例えば、 市販のものを使用する場合は洗浄液で 2 0 0 0〜2 0 0 0 0倍に 希釈して用いる (添付の指示書に好適な希釈倍率が記載されている場合は、 そ の記載に従う)。一次抗体を洗浄除去した後のゥエルに二次抗体溶液を分注して 室温で 1〜3時間インキュベーションし、 洗浄液で洗浄してから、 標識方法に 合わせた検出操作を行う。 洗浄操作は、 例えば、 まずゥエル内に洗浄液を分注 して 5分間振盪してから、 洗浄液を新しいものに交換して 5分間振盪した後、 再度洗浄液を交換して 5分間振盪することにより行う。 必要に応じてさらに洗 浄液を交換して洗浄してもよい。
例えば、 本発明において、 いわゆるサンドイッチ法の E L I S Aは以下に記 載する方法により実施することができる。 まず、 本発明の PADI4蛋白質の各ァ ミノ酸配列より、 親水性に富む領域をそれぞれ 2箇所選択する。 次に、 各領域 中のアミノ酸 6残基以上からなる部分べプチドを合成し、 該部分べプチドを抗 原とした 2種類の抗体を取得する。 このうち一方の抗体を標識しておく。 標識 しなかった方の抗体は、 9 6穴 E L I S A用プレートのゥエル内底面に固相化
する。 ブロッキングの後、 試料液をゥエル内に入れて常温で 1時間インキュべ ーシヨンする。 ゥエル内を洗浄後、 標識した方の抗体希釈液を各ゥエルに分注 してインキュベーションする。 再びゥエル内を洗浄後、 標識方法に合わせた検 出操作を行う。 工程 3 :被験物質の評価
最後に、 被験物質の投与または非投与条件下における、 本発明の PADI4蛋白 質の発現量の相違に基づいて、 該被験物質の R A治療薬としての効果を評価す る。
すなわち、 被験物質の投与条件下で非投与条件下よりも上記蛋白質の発現量 が有意に減少している場合、 該被験物質は R A治療薬としての効果を有すると 評価できる。 ここで、 「有意に減少している」 とは、 例えば、 被験物質の投与 および非投与条件下での本発明の PADI4蛋白質の発現量に統計的有意差 (p < 0 . 0 5 ) があることを意味する。
2 . 3 PADI4蛋白質の活性を指標とした評価方法
PADI4活性を指標とした in vi t roにおける被験物質の R A治療薬としての効 果を評価する方法は、 例えば下記の工程を含む。 , 工程 1 :アルギニン含有化合物を含む反応液に、 被験物質の添加または非添加 条件下で、 PADI4蛋白質を加える。
工程 2 :上記反応液中における反応生成物の量を定量することにより、 PADI4 蛋白質の活性を測定する。
工程 3 :被験物質の添加または非添加条件下における、 上記活性の相違に基づ いて、 該被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する。 工程 1 :反応液の調製
本方法で用いられる反応液は適当な緩衝液中に PADI4蛋白質の酵素基質とな りうるアルギニン含有化合物を含むものである。 アルギニン含有化合物とは、 例 え は 、 BAEE ( N- a -benzoyl-L-arginine e thyl es ter ) 、 N- -Benzoyl-L-arginine, Dansyl- glycy卜 L- c i trul ine等のアルギニンを含む化合
物であれば特に限定されない。 また、 反応液中に添加する被験物質の量や添加 方法も特に限定されず、被験物質の性状に合わせて適宜設定すればよい。 PAD 14 と基質は 25〜5(TC付近で、 1〜2時間程度反応させることが好ましい。 工程 2 :
次に、 上記基質中のアルギニン残基が PADI4によってシトルリンに変換され て生じる反応生成物の量を定量することにより、 PADI4蛋白質の活性を測定す る。 ここで 「反応生成物」 は、 酵素反応によって基質から直接生じる反応生成 物のほか、 副次的に生じる反応生成物であってもよい。 以下に、 本方法で用い られる好適な測定方法として、 蛍光法および吸光法の 2つの方法について説明 するが、 これらに限定されず、 他の公知の方法:例えば、 蛍光標識された Dans yl-glycyl-L-arginineを用いてその酵素反応生成物を HPLCを用いて定量的に 調べる方法(T. C ikura et al. , Anal lyt ical Biochemistry 285, p230-234, (2000) ) 等を任意に用いることができる。
( 1 ) 蛍光法
反応液として、 例えば、 10mM CaCl2, 5 M DTTを含む lOOmM Tr is/HCl (pH7. 8) 緩衝液に、 基質として lOmM BAEEまたは Ν_ α- Benzoy卜卜 arginineを加えた溶液 を調製する。 この反応液に、 適当量の PADI4蛋白質を加え、 例えば、 37°Cで 1〜2時間程度反応させる。 反応後、 適当量の EDTAを添加して反応を停止させ、 蛍光マイクロプレートリーダーを用いて励起波長 413ηηι、 蛍光波長 476nmの各波 長を測定する。測定結果は、 PADI4蛋白質を含まない反応液での測定値をバック グラウンドとして差し引き、 検量線作成用硫酸アンモニゥムを添加した反応液 での測定値から検量線を描くことにより、 生成したアンモニゥムイオンの濃度 を求める。このアンモニゥムイオンイオン濃度を指標として PADI4蛋白質の活性 を評価する。
( 2 ) 吸光法
反応液として、 例えば、 10iM CaCl2 5mM DTTを含む lOOmM Tr is/HCl (pH7. 6) 緩衝液に、 基質として lOmM BAEE (Sigma) を加えた溶液を調製する。 この反応 液に、適当量の PADI4蛋白質を加え、例えば、 37°Cで 1〜2時間程度反応させる。 反応後、 δΟπιΜ Diacetyl monoxime ( 3 - hydroxyimino 2 - butane ) , 2mM
thiosemicarbaz ideを含む A液と、 3M H3P04、 6M H2S04、 2mM N¾Fe (S04) 2を含む B液を 1 : 3の比率で混合した溶液を適当量添加し、サーマルサイクラ一(例え ば、 GeneAmp™ PCR Sys tem 9700 (Appl ied B iosys tems社) 等) を使用して、 例 えば、 95°C 15分次いで室温で 10分、 反応させる。反応後、 吸光度計(例えば、 Spect ra max 250 (Mol ecul ar Devices社) 等) を用いて 540nmの吸光度を測定 する。 測定結果は、 酵素を含まない反応液での測定値をバックグラウンドとし て差し引き、 さらに検量線作成用シトルリンを添加した反応液での測定値から 検量線を描くことにより、 反応によって生成したシトルリンの濃度を求める。 このシトルリン濃度を指標として PADI4蛋白質の活性を評価する。 工程 3 :被験物質の評価
最後に、 被験物質の添加または非添加条件下における、 本発明の PADI4遺伝 子または本発明の PADI4蛋白質の活性の相違に基づいて、 該被験物質の R A治 療薬としての効果を評価する。
すなわち、 被験物質の添加条件下で非添加条件下よりも前記遺伝子または蛋 白質の活性が有意に減少している場合、 該被験物質は R A治療薬としての効果 を有すると評価できる。 ここで、 「有意に減少している」 とは、 例えば、 被験 物質の添加または非添加条件下での本発明の PADI4 遺伝子または本発明の PADI4蛋白質の発現量に統計的有意差(p < 0 . 0 5 )があることを意味する。
2 . 4 培養細胞を用いた評価方法
培養細胞を用いた in vivoにおける被験物質の R A治療薬としての効果を評 価する方法は、 例えば下記の工程を含む。
評価方法は、 下記の工程を含むことが好ましい。
工程 1 :細胞を被検物質の添加または非添加条件下で培養する。
工程 2 :上記細胞中の本発明の PADI4遺伝子の発現量を検出するか、 または、 本発明の PADI4蛋白質の発現量を該蛋白質に特異的に結合する抗体を用いて検 出する。
工程 3 :被検物質の添加または非添加条件下における、 上記発現量の相違に基 づいて、 該被験物質の R A治療薬としての効果を評価する。
工程 1 :細胞の培養
本発明の評価方法で用いられる細胞は、 本発明の PADI4遺伝子を高発現する 哺乳動物細胞であれば特に限定されない。 好ましくは哺乳動物由来の培養細胞 であって、 特に血液、 滑膜組織、 脾臓組織に由来する培養細胞 (好ましくは、 初代培養細胞) が好ましい。 前記哺乳動物としては、 ヒト、 マウス、 ラットま たはハムスター等が好ましく、 ヒトまたはマウスがより好ましい。 また、 本発 明の PADI4遺伝子をそのプロモー夕一領域とともに導入し、 該遺伝子を高発現 するように組換えた細胞など、人為的に形質転換された細胞を使用してもよい。 細胞は、 被検物質の添加または非添加条件下で培養する。 培養方法は特に限 定されず、 当該細胞に適した培養方法を適宜選択すればよい。 培養細胞への被 検物質の添加方法や添加量も特に限定されず、 上記細胞の培養前あるいは培養 期間中の適当な時点で、 被検物質を培養培地に添加し一定期間培養する。 被験 物質添加後の培養期間も特に限定されないが、 好ましくは 3 0分〜 2 4時間で ある。 工程 2 :本発明の PADI4遺伝子または本発明の PADI4蛋白質の発現量の検出 次に、 被検物質の添加または非添加条件下における、 上記細胞中の本発明の PADI4遺伝子の発現量の相違を検出するか、 または、 本発明の PADI4蛋白質の 発現量の相違を該蛋白質に特異的に結合する抗体を用いて検出する。
遺伝子の検出は、 基本的に 2 . 1に記載した方法にしたがって行えばよい。 また、 抗体を用いた検出は、 2 . 2に記載した方法にしたがって行えばよい。 上記方法のほか、 本発明の PADI4遺伝子のプロモーター支配下に、 該プロモ —ター活性の検出を可能にする遺伝子(以下「レポーター遺伝子」と記載する。) を利用して、 間接的に本発明の PADI4遺伝子や本発明の PADI4蛋白質の発現を 検出することもできる。 以下、 レポ一夕一遺伝子を利用した検出方法について 説明する。
( 1 ) レポーター遺伝子
レポ一夕一遺伝子は、 宿主細胞が本試験方法の一連の過程において産生し得 る他のいかなる蛋白質とも特異的に区別可能な、 レポーター蛋白質をコードす
るものであればよい。 好ましくは、 形質転換前の細胞が該レポーター蛋白質と 同一または類似の蛋白質をコードする遺伝子を持たないようなものがよい。 例 えば、 レポーター蛋白質が該細胞に対して毒性を有するようなものや、 該細胞 が感受性を有する抗生物質の耐性を付与するものであるような場合でも、 レポ 一夕一遺伝子の発現の有無は細胞の生存率で判定することが可能である。 しか しながら、 本発明で用いられるレポーター遺伝子としてより好ましいものは、 発現量を特異的かつ定量的に検出することができる (例えば、 該レポーター遺 伝子にコードされる蛋白質に対する特異的抗体が取得されているような) 構造 遺伝子である。 より好ましくは、 外来の基質と特異的に反応することにより定 量的測定が容易な代謝産物を生じるような酵素等をコードする遺伝子である。 そのようなレポーター遺伝子としては、 例えば、 以下の蛋白質をコードする遺 伝子を例示することができるが、 本発明はそれらに限定されない。
a) クロラムフエニコールァセチルトランスフェラーゼ:
クロラムフエ二コールにァセチル基を付加する酵素で、 いわゆる CATアツ セィ等で検出することができる。 プロモーターを組み込むだけでレポ一夕ーァ ッセィ用のベクターを調製できるベクタ一として、 pCAT3— B a s i cベ クタ一 (プロメガ社製) が市販されている。
b) ホタルルシフェラーゼ:
ルシフェリンを代謝した際に生じる生物発光を測定することにより定量でき る。 レポ一夕一アツセィ用のベクターとしては、 p GL 3— B a s i cベクタ 一 (プロメガ社製) が市販されている。
c) β一ガラクトシダーゼ:
呈色反応、 蛍光または化学発光でそれぞれ測定可能な基質がある。 レポ一夕 一アツセィ用のベクターとしては、 p/3 g a l— B a s i c (プロメガ社製) が市販されている。
d) 分泌型アルカリホスファターゼ:
呈色反応、 生物発光または化学発光でそれぞれ測定可能な基質がある。 レポ 一夕一アツセィ用のベクタ一としては、 pSEAP 2— B a s i c (クロンテ ック社製) が市販されている。
e ) 緑色堂光蛋白質 (green-fluorescent protein) :
酵素ではないが、 自らが蛍光を発するので直接定量できる。 同じくレポ一夕 一アツセィ用のベクタ一として pEGFP— 1 (クロンテック社製) が市販さ れている。
(2) レポーター遺伝子の導入
公知の方法に従い、 レポーター遺伝子発現プラスミドと、 本発明の本発明の PADI4 遺伝子を哺乳類細胞で発現可能にした組換えベクターを作製し、 これら を細胞に同時トランスフエクシヨンする。ベクタ一としては、 pCR 3. 1 (ィ ンビトロジェン社製)、 pCMV— S c r i p t (ストラ夕ジ一ン社製)等を好 適に用いることができるが、 これらに限定されない。
細胞に発現プラスミドを導入する方法としては、 DEAE—デキストラン法 (Luthman, H. and Magnus son, G. (1983) Nucleic Acids Res. 11, 1295-1308)、 リン酸カルシウム一 DNA共沈殿法 (Graham, F. L. and van der Eb, A. J. (1973) Virology 52, 456-457)、 電気パルス穿孔法 (Neumann, E. eUl. (1982) EMBO J. 1, 841-845), リボフェクシヨン法 (Lopata et al. (1984) Nucl. Acids Res. 12, 5707-5717, Sussman and Milman (1984) Mol. Cell. Biol. 4, 1641-1643)等を挙げることができる。 ただし、 細胞がいわゆる浮遊細胞である 場合は、 リン酸カルシウム—DNA共沈殿法以外の方法を用いることが好まし レ^ いずれの方法においても、 用いる細胞に応じて、 至適化されたトランスフ ェクション条件を用いることが必要である。
(3) 評価
本発明の PADI4遺伝子の発現ベクターと、 レポーター発現ベクターを同時ト ランスフエクションした細胞を培養すると、 該遺伝子の発現依存的にレポ一夕 一遺伝子の転写が促進される。 したがって、 レポ一夕一遺伝子の発現が可能な 条件下において、 培地中に任意の被検物質を添加した場合と添加しない場合で のレポーター遺伝子の発現量変化をみれば、 本発明の PADI4遺伝子の発現量が 評価できる。 ここで、 「レポーター遺伝子の発現が可能な条件」 とは、 レポ一夕 一発現ベクターによってトランスフエク卜された細胞が生存して、 レポーター 遺伝子の転写産物 (レポーター蛋白質) の生産が可能な条件であればよい。 好 ましくは、 使用される細胞株に適合した培地 (ゥシ胎児血清等の血清成分を添 加してもよい) で、 4〜6% (最も好適には 5%) の炭酸ガスを含む空気存在
下、 3 6〜 3 8 °C (最も好適には 3 7 °C) で 2〜 3日間 (最も好適には 2日間) 培養する。
( 4 ) その他 (形質転換細胞株の樹立)
以上のような、 一過的な遺伝子導入法を利用した試験方法とは別に、 レポ一 夕一遺伝子、 および本発明の PADI4遺伝子の発現ベクターで、 宿主細胞を二重 に形質転換した細胞を利用した試験方法も採択可能である。 この場合には、 p I ND (インビトロジェン社製) や p T e t— O n (クロンテック社製) 等の 発現ベクターを利用して、 本発明の PADI4遺伝子の発現を誘導する条件下で該 レポ一夕一遺伝子の発現が促進されるような細胞株を樹立することが必要とな る。 形質転換細胞の作出においては、 導入される遺伝子は、 宿主細胞の染色体 に組み込まれ、継代を重ねても宿主細胞に安定的に保持されることが望ましい。 そのように形質転換された細胞を選択するために、 導入遺伝子に抗生物質耐性 等の選択マーカー (例えば、 ネオマイシン (または G 4 1 8 ) 耐性遺伝子 n e o等) を連結してトランスフエクシヨンしたり、 もしくは別個に調製した該選 択マーカーと導入遺伝子とを同時トランスフエクシヨンすることが好ましい。 その後は、 該選択マーカ一の特性を利用することにより、 安定的に形質転換さ れた細胞を選択することができる。
こうして得られた細胞株を、 本発明の PADI4遺伝子の発現が誘導される条件 下におくと、 該遺伝子の発現依存的にレポーター遺伝子の転写が促進される。 したがって、 レポーター遺伝子の発現が可能な条件下において、 培地中に任意 の被検物質を添加した場合と添加しない場合でのレポーター遺伝子の発現量変 化をみれば、 本発明の PADI4の発現量が評価できる。 工程 3 :被験物質の評価
最後に、 被験物質の添加または非添加条件下における、 本発明の PADI4遺伝 子または本発明の PADI4蛋白質の発現量の相違に基づいて、 該被験物質の R A 治療薬としての効果を評価する。
すなわち、 被験物質の添加条件下で非添加条件下よりも前記遺伝子または蛋 白質の発現量が有意に減少している場合、 該被験物質は R A治療薬としての効 果を有すると評価できる。 ここで、 「有意に減少している」 とは、 例えば、 被
験物質の添加または非添加条件下での本発明の PADI4遺伝子または本発明の PADI4蛋白質の発現量に統計的有意差(p<0. 05)があることを意味する。
2. 5 被験物質の RA治療薬としての効果を評価するためのキット
本発明の評価方法を実施するためのキットとして、例えば、 以下の a)〜: O の少なくとも一つ以上を含むキットを挙げることができる。
a) ヒト PADI4遺伝子 (配列番号 16) またはマウス PADI4遺伝子 (配列番号
17) を特異的に増幅するための、 15〜30塩基長の連続したオリゴヌクレ ォチドプライマ一
b) ヒト PADI4遺伝子またはマウス PADI4遺伝子に特異的に結合し、 該遺伝子 を検出するための 20〜1500塩基長の連続したポリヌクレオチドプロ一ブ c) 上記 b) 記載のポリヌクレオチドプローブが固定された固相化試料 d) ヒト PADI4蛋白質 (配列番号 17) またはマウス PADI4蛋白質 (配列番号
18) に特異的に結合し、 該蛋白質を検出するための抗体
e) 上記 d) 記載の抗体に特異的に結合しうる二次抗体
f ) ヒト PADI4蛋白質
前記 a) 記載のプライマーは、 上記遺伝子の塩基配列 (配列番号 16または 17) に基づき、 市販のプライマー設計ソフトを用いる等、 常法にしたがい容 易に設計し、 増幅することができる。 このようなプライマ一の例としては、 例 えば、 配列番号 7〜 10に記載の塩基配列を有するォリゴヌクレオチドを挙げ ることができる。
前記 b) 記載のプローブは、 ノーザンハイプリダイゼ一シヨン法であれば、 20塩基長程度の 1本鎖オリゴヌクレオチドか 2本鎖 DNAが好適に用いられ る。 マイクロアレイであれば、 100〜1500塩基長程度の 2本鎖 DNA、 または 20〜100塩基長程度の 1本鎖オリゴヌクレオチドが好適に用いられ る。 Affimetrix社の Gene Chipシステムであれば 25塩基長程度の 1本鎖オリ ゴがよい。 これらは、 特に本発明の PADI4遺伝子の配列特異性が高い部分に特 異的にハイブリダィズするプローブとして設計することが好ましい。 このよう なプローブの例としては、 例えば配列番号 11に記載の塩基配列を有するオリ ゴヌクレオチドを挙げることができる。 これらのプローブや前述のプライマー
は、 適当な標識によりラベル (例えば、 酵素標識、 放射性標識、 蛍光標識等) されていてもよく、 またピオチン、 リン酸、 アミン等により修飾されていても よい。
前記 c ) 記載の固相化試料は、 前記 b ) 記載のプローブをガラス板、 ナイ口 ンメンプレン、 マイクロビーズ、 シリコンチップ等の固相に固定することによ り作製される。 このような固相化試料とその作製方法については、 既に 2 . 1 で説明したが、 例えば、 遺伝子チップ、 c D NAアレイ、 オリゴアレイ、 メン プレンフィルター等を挙げることができる。
前記 d ) および e ) 記載の抗体や f ) の蛋白質は、 2 . 2に記載した方法に より作製することができる。 抗体は、 適当な標識によりラベル (例えば、 酵素 標識、 放射性標識、 蛍光標識等) されていてもよいし、 ピオチン等により適当 に修飾されていてもよい。
前記キットは上記した構成要素のほか、 必要に応じて、 ハイブリダィゼーシ ョン、プローブの標識、あるいはラベル体の検出のための試薬、反応用緩衝液、 酵素基質等、 本発明の評価方法の実施に必要な、 その他の試薬等を適宜含んで いてもよい。
3 . 変異型 PADI4を利用した慢性関節リゥマチの発症危険度を予測する方法 本発明は、 検体中の配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異型 PADI4蛋白質、 またはその遺伝子 (配列番号 2 0 ) の発現量に基づいて、 該検 体を提供した被験者の慢性関節リウマチ (以下、 「R A」 と記載する。) の発症 危険度を予測する方法を提供する。
前記方法において用いられる 「検体」 とは、 被験者から単離された、 血液、 体液、組織または排泄物等のすべての試料を意味するが、血液(血液由来細胞)、 滑膜組織 (滑膜細胞)、 脾臓組織 (脾臓細胞)、 腹腔浸潤細胞を含むものが好ま しく、 特に血球 (好中球、 好酸球)、 滑膜組織 (滑膜細胞) がより好ましい。 ま た、 発症危険度の予測は、 変異型 PADI4蛋白質の発現量を指標として行っても よいし、変異型 PADI4遺伝子(mR NA)の発現量を指標として行ってもよい。 3 . 1 変異型 PADI4遺伝子の発現量を指標とした方法
PADI4遺伝子の発現量を指標とした予測方法は、 例えば下記の工程を含む。 工程 1 :被験者および正常人から単離された各検体より全 R NAを調製する; 工程 2 :上記全 R NA中における変異型 PADI4遺伝子の mR NAの発現量を検 出する;
工程 3 :被験者と正常人における上記発現量の相違を解析し、 被験者の慢性関 節リゥマチの発症危険度を予測する。
前記方法において、 全 R NAの抽出および変異型 PADI4遺伝子の mR NAの 発現量の検出と解析は、 2 . 1の記載にしたがって実施することができる。 そ の結果、 被験者において変異型 PADI4の mR NAの発現量が正常人に比較して 有意に高い場合、 該被験者は R Aを発症する危険度が高いと評価できる。 ここ で、 「有意に高い」 とは、 例えば、 被験者と正常人の間で変異型 PADI4の mR NAの発現量に統計的有意差 (p < 0 . 0 5 ) があることを意味する。 なお、 前述したように、 評価は変異型 PADI4遺伝子と検体内の適当なコントロール遺 伝子 (例えば、 3ァクチン遺伝子ゃリポゾ一マル R NA等) との発現量比とし て、 上記解析に供してもよい。
3 . 2 変異型 PADI4蛋白質の発現量を指標とした評価方法
変異型 PADI4蛋白質の発現量を指標とした方法は、例えば下記の工程を含む。 工程 1 :被験者および正常人から単離された検体中における、 変異型 PADI4蛋 白質の発現量を該蛋白質に特異的に結合しうる抗体を用いて検出する; 工程 2 :被験者と正常人における上記発現量の相違を解析し、 該被験者の RA の発症危険度を予測する。
前記方法において、 変異型 PADI4蛋白質の発現量の検出と解析は、 2 . 2の 記載にしたがって実施することができる。 その結果、 被験者において変異型 PADI4蛋白質の発現量が正常人に比較して有意に高い場合、 該被験者は RAを 発症する危険度が高いと評価できる。 ここで、 「有意に高い」 とは、 例えば、 被験者と正常人の間で変異型 PADI4蛋白質の発現量に統計的有意差 (p < 0 .
0 5 ) があることを意味する。 3 . 3 慢性関節リウマチの発症危険度を予測するためのキット
本発明はまた、 慢性関節リウマチの発症危険度を予測するためのキットを提 供する。該キットは、例えば、以下の a ) ~ e )の少なくとも一つ以上を含む。 a ) 配列番号 2 0に示される塩基配列からなる変異型 PADI4遺伝子を特異的に 増幅するための、 1 5〜3 0塩基長の連続したオリゴヌクレオチドプライマ一 b ) 配列番号 2 0に示される塩基配列からなる変異型 PADI4遺伝子に特異的に ハイブリダィズし、 該遺伝子を検出するための 2 0〜1 5 0 0塩基長の連続し たボリヌクレオチドプローブ
c ) 上記 b ) 記載のポリヌクレオチドプローブが固定された固相化試料 d ) 配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異型 PADI4蛋白質に特異 的に結合し、 該蛋白質を検出するための抗体
e ) 上記 d ) 記載の抗体に特異的に結合しうる二次抗体 前記 a ) 記載のプライマーは、 上記遺伝子の塩基配列 (配列番号 2 0または 2 1 ) に基づき、 市販のプライマ一設計ソフトを用いる等、 常法にしたがい容 易に設計し、 増幅することができる。 また、 前記 b ) 記載のプローブは、 ノー ザンハイブリダィゼーシヨン法であれば、 2 0塩基長程度の 1本鎖オリゴヌク レオチドか 2本鎖 D NAが好適に用いられる。 マイクロアレイであれば、 1 0 0〜1 5 0 0塩基長程度の 2本鎖 D NA、 または 2 0〜1 0 0塩基長程度の 1 本鎖ォリゴヌクレオチドが好適に用いられる。 Af me t r ix社の Gene Ch ipシス テムであれば 2 5塩基長程度の 1本鎖オリゴがよい。 これらは、 特に変異型 PADI4遺伝子の配列特異性が高い部分に特異的にハイブリダィズするプローブ として設計することが好ましい。 このようなプローブの例としては、 例えば配 列番号 4に記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを挙げることができる。 これらのプローブや前述のプライマーは、 適当な標識によりラベル (例えば、 酵素標識、 放射性標識、 蛍光標識等) されていてもよく、 またピオチン、 リン 酸、 アミン等により修飾されていてもよい。
前記 c ) 記載の固相化試料は、 前記 b ) 記載のプローブをガラス板、 ナイ口 ンメンプレン、 マイクロピーズ、 シリコンチップ等の固相に固定することによ り作製される。 このような固相化試料とその作製方法については、 既に 2 . 1 で説明したが、 例えば、 遺伝子チップ、 c D NAアレイ、 オリゴアレイ、 メン
プレンフィルタ一等を挙げることができる。前記 d )および e )記載の抗体は、
2 . 2に記載した方法により作製することができる。 抗体は、 適当な標識によ りラベル(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識等) されていてもよいし、 ピオチン等により適当に修飾されていてもよい。
前記キットは上記した構成要素のほか、 必要に応じて、 ハイブリダィゼーシ ヨン、 プローブの標識、 あるいはラベル体の検出のための試薬、 反応用緩衝液 等、 本発明の方法の実施に必要な、 その他の試薬等を適宜含んでいてもよい。
3 . 4 R A診断用マーカー .
変異型 PADI4蛋白質ゃ該遺伝子は、 本発明者らによって新規に見出されたも のであり、 これら変異型 PADI4蛋白質ゃ該遺伝子と正常型 PADI4蛋白質ゃ該遺 伝子との機能的な違いは、 R A発症と深い関連を有する。 すなわち、 配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異型 PADI4蛋白質や、 配列番号 2 0に 示される塩基配列からなる変異型 PADI4遺伝子は、 R Aの診断用マーカーとし て (例えば、 抗変異型 PADI4抗体作製のための抗原として) 有用である。 本発 明はそのような変異型 PADI4を利用した R A診断用マーカーも提供する。
4. 変異型 PADI4を利用した R A治療薬のスクリ一ニング方法
変異型 PADI4蛋白質は正常型 PADI4蛋白質に比較して酵素活性が高く、 シト ルリン化ペプチド生成の亢進を介して、 R A発症の一つの原因となりうる。 し たがって、 変異型 PADI4蛋白質に対する特異的な阻害効果を指標とすることに より、 R A治療薬のスクリーニングも可能となる。
すなわち、 本発明は、 配列番号 2 1に示されるアミノ酸配列からなる変異型 PADI4蛋白質に対する阻害効果を指標として、 被験物質の慢性関節リウマチ治 療薬としての効果を評価する方法を提供する。
例えば、 前記方法は下記の工程を含む。
工程 1 :アルギニン含有化合物を含む反応液に、 被験物質の添加または非添加 条件下で、 変異型 PADI4蛋白質を加える;
工程 2 :上記反応液中における反応生成物の量を定量することにより、 変異型 PADI4蛋白質の活性を測定する;
工程 3 :被験物質の添加または非添加条件下における、 上記活性の相違に基づ いて、 該被験物質の慢性関節リゥマチ治療薬としての効果を評価する。
前記方法において、 変異型 PADI4蛋白質は、 2 . 2の記載にしたがって調製 することができ、 工程 1〜3は 2 . 3の記載にしたがって実施することができ る。
5 . その他
5 . 1 PADI4を利用した R A病態の予測方法
ヒ卜 PADI4遺伝子や PADI4蛋白質は、 R A患者の病変組織 (例えば、 滑膜組 織) で特異的に高発現し、 シトルリン化タンパク質の生成を通じて R Aの原因 となりうる。 したがって、 前述した変異型 PADI4のみならず、 被験者から単離 された検体中の、 PADI4遺伝子や PADI4蛋白質の発現量を測定すれば、 該被験 者の R A病態を予測することもできると考えられる。 5 . 2 R Aモデル動物
本発明の PADI4遺伝子や変異型 PADI4遺伝子を人為的に高発現させることに より、 R A病態を呈する動物 (例えば、 マウス等) を作製することも可能であ る。 例えば、 本発明の PADI4遺伝子または変異型 PADI4遺伝子を適当なベクタ 一に組み込んで、 動物に導入し、 ヒト R Aに代表される炎症症状等の表現的変 化が現れれば、 該動物を利用して R Aの病態やその治療薬の研究を行うことが できる。 同様に、 本発明の PADI4蛋白質または変異型 PADI4蛋白質を直接動物 に導入することによって、 R A病態を呈するモデル動物を作製することも可能 と考えられる。 以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明はこれら に限定されるものではない。
〔実施例 1〕 PADI4第 3イントロン中の一塩基多型と R A罹患とのァソシェ ーション解析
1 . 解析対象患者の選択 .
日本各地の臨床施設より 846 人の RA患者と 658 人の非患者とからゲノム
MA抽出用の血液を採取した。 すべての検体提供者は日本人である。 提供者か らは、 理化学研究遺伝子多型研究セン夕一倫理委員会によるインフォームドコ ンセントに対する同意を得た。 RA患者については、 The revised criteria of the American College of Rheumatology for the classification of rheumatoid arthritis の以下の 7つの基準のうち少なくとも 3項目に該当する者を R A患 者群として選択した。
(1) 朝のこわばり
(2) 3領域以上の関節炎
(3) 手関節炎
(4) 対称性関節炎
(5) リウマトイド結節
(6) リウマトイド因子
(7) X線所見
非患者群については、 日本人一般集団から患者とは独立に選抜した。 八の 診断の有無以外では R A患者群、 非患者群の間に差がないようにサンプリング した。
2. ゲノム DNAの調製
R A患者および非患者の末梢血から分離した白血球を出発材料とし、 ゲノム DNAを抽出した。 ゲノム DNAの抽出にあたっては、 EDTA'2Na入り採血菅 (べノ ジェクト) に採血し、 QIAa即 DNA Blood kit (QIAGEN)を使用した。 得られた各 試料の 260 nmの吸光度を測定し、各試料の DN A濃度を算出した。その後、 調製した DNAは、 lmMEDTA'2Naを含む lOmM Tris-塩酸緩衝液 (pH8.0)に溶解し、 使用するまで、 -80でで保存した。
3. 第 3イントロン中の一塩基多型の検出
以下に示す 3種のプローブを用いて、 PADI4の第 3イントロンの 2136 (— 15) 番目の位置 (配列番号 1の 6177番目) における塩基がシトシンであ るかチミンであるかの検出を行った。
ィンべ一ダープローブ:
5' -CTGCGCACAGGGAGATTTCTGAAATCCCATCAT-3' (配列番号 2 ) シトシン検出用 F AMプロ一ブ:
5' -ATGACGTGGCAGACGGTAAGAGGAGAGGTTGGY-3' (配列番号 3 )
チミン検出用 V I Cプローブ:
5' -CGCGCCGAGGAGTAAGAGGAGAGGTTGGY-3' (配列番号 4 )
各プローブは Thi rd Wave Technologies, Inc.に委託して設計 ·合成後、 試 薬として混合されたものを使用した。 インベーダーアツセィは、 96 ゥエル(日 本ジエネティックス)か 384ゥエルプレ一ト(ABI)に、 PCR反応液の 4倍希釈液 2 1 および上記の 3 種のプローブの入ったインベーダー反応液 (Appl ied Biosystems社) を 3 1加え、 95°Cにて 5分間インキュベートした後、 63°Cに て 20分から 80分、シグナルが分離するまで反応させた。 96ゥエルの場合は ABI PRISM 7700 Seauence Detector Sys tem (Appl ied Biosystems社)、 384ゥエル の場合は ABI PRISM 7900HT Sequence Detector Sys tem (Appl ied Biosystems 社) を使ってシグナルを検出した。
4. 統計解析
ケース群 (R A患者群) 846人とコントロール群 (非患者群) 658人を対象と し、第 3イントロン 2 1 3 6番目の塩基の 1塩基多型についてケース'コント口 ール関連検定を行った。 検定は 2群間のアレル頻度分布比較 ·優性遺伝形式モ デルによるジエノタイプ分布比較 ·劣性遺伝形式モデルによるジエノタイプ頻 度比較にて行った。検定方法は 2X2分割表 χ 2検定を用いた。解析結果を表 1に 示す。
〔表 1〕
解析結果 (PADI4 第 3イントロン 2136番塩基の一塩基多型)
Odds Ratio TT/CC 1.97(95% CI 1.44-2.69)
TT/TC 1.38(95% CI 1.03-1.86)
TC/CC 1.43(95% CI 1.13-1 ,80)
以上のとおり、 PADI4遺伝子の第 3イントロンの 2136番目 (配列番号 1 の 6177番目) の位置の遺伝子多型と慢性関節リウマチ罹患との間に統計的 に有意な相関が認められた。
〔実施例 2〕 PADI4遺伝子中の新規ェクソンー塩基多型の検出
1. 検出方法
GenBank のァクセシヨン番号 : NTJ30584.2 に示されるゲノム配列の第 415, 085塩基から第 470, 600塩基に存在する、 PADI4遺伝子上の新規遺伝子多型 の検出を以下の方法により試みた。
まず、 該遺伝子の全ェクソン、 およびェクソン近傍イントロン、 5'- flankin g領域を約 500 塩基対ごとに分割して増幅領域と設定し、 PCR 増幅した。 PCR 用のプライマ一は Primer3 (http: //www-genome, wi. mit. edu/ge匪 e_sof tware /ot er/pr imer3.html)ソフトウェアを用いてデザインした。 PCR条件は丽 SOの 濃度と、 ァニール温度を変えることで最適化した。
PCRは 96ゥエル PCRプレートで行い、 各ゥエルに 4 ng/^1ゲノム DNAを 1 a 1ずつ使用した。 反応は 26.5mM (NH4) 2S04, 7.2mM Tris-HCl (pH8.8), 3.2 mM
Mg2+, 1. 5mM dNTPs, 1. 6mM b-Mercapto ethanol, 10% DMSO (DMSOを用いない場 合には、 ¾0にて代用), I M pr imers , 2. OU DNA polymerase (ExTaa (TaKaRa) ) ,
0. 04 xM Taa Start Ant ibody (Clontech)の溶液条件で行った。 反応時間および 反応温度の条件として、 94°Cにて 2分間変性させた後、 94T: 15 秒、 反応ごと に最適化したァニール温度で 45秒, 72でにて 1 あるいは 3 分の伸張反応を 37 サイクル、 ABI9700 thermal cycler (Appl ied Biosystems社)を用いて行った。 増幅された DNA配列は、 BigDye™ Terminator RR Mix (Appl ied Biosystems社) を使って反応を行い、 ABI 3700 seciuencerを用いて塩基配列を決定した。 2 . 結果
各々の領域につき 48人分の塩基配列を比較し、多型性の認められた塩基を 1 塩基多型とみなした。 この結果、 アミノ酸の置換を伴う以下の 3種の新規ェク ソン一塩基多型とアミノ酸の置換を伴わない 1種の新規ェクソン多型が見出さ れた。
1 ) 第 5 5番アミノ酸の置換 (Ser/Gly) を伴う多型:
第 2ェクソンの 7 1番目 (配列番号 1の 1 0 7 1番目) の塩基がアデニンまた はグァニンである一塩基多型
2 ) 第 8 2番アミノ酸の置換 (Al a/Val) を伴う多型:
第 2ェクソンの 1 5 3番目 (配列番号 1の 1 1 5 3番目) の塩基がシトシンま たはチミンである一塩基多型
3 ) 第 1 1 2番アミノ酸の置換 (Al a/Gly) を伴う多型:
第 3ェクソンの 6 2番目 (配列番号 1の 4 0 3 6番目) の塩基がシトシンまた はグァニンである一塩基多型
4 ) 第 1 1 7番アミノ酸 (Leu) における、 アミノ酸の置換を伴わない多型: 第 4ェクソンの 9番目 (配列番号 1の 6 2 0 0番目) の塩基がシトシンまたは チミンである一塩基多型
〔実施例 3〕 PADI4遺伝子上の各一塩基多型の連鎖解析
1 . 解析方法
R Aと強い関連が認められた PADI4第 3イントロン 2 1 3 6番目 (一 1 5番
目) のヌクレオチドの一塩基多型 (以下、 「PADI4 intron 3 - 15 T/C」 と示す。) と PADI4 上の 4つの新規一塩基多型との Pairwise Linkage Disequi l ibr ium Index (D')を EMアルゴリズムを用いて算出した。 2 . 結果
その結果、 4つの一塩基多型は相互にほぼ完全連鎖(98. 9〜100%) の関係に あり、 かつ PADI4 intron 3 -15 T/Cともほぼ完全連鎖の関係にあることが、 EM アルゴリズムによるハプロタイプ解析によって確認された。 一方、 PADI4近傍 の PADI2、 PADI 1遺伝子内の公知の一塩基多型と PADI4 intron 3 -15 T/Cにつ いては、 ほとんど連鎖平衡に達していた。
つまり、 日本人集団では、 R A患者群と非患者群の両群において、 55 (Ser) -82 (Al a) -112 (Al a) タイプと 55 (Gly) - 82 (Val) - 112 (Gly) タイプの 2ぺ プチドタイプのみが存在し、 このうち後者のタイプと R Aとの間に、 PADI4 intron 3 -15 T/C と同様のアソシエーションがあることが確認された。 以下、 前者を 「PADI4 V18」 (あるいは単に 「V18」)、 後者を 「PADI4 V9」 (あるいは単 に 「V9」) と記載する。 V18の cDNA配列は配列表の配列番号 1 6に、 アミノ酸 配列は同配列番号 1 7に記載した。 また、 V9の cDNA配列は配列表の配列番号 2 0に、 アミノ酸配列は同配列番号 2 1に記載した。
以上より、 PADI4遺伝子のジエノタイプと R A発症との間には関連があり、 その関連は PADI4遺伝子に存在する 2つのハプロタイプに由来するものと考え られた。そして、 R Aの発症に関連するハプロタイプは V9であり、 R Aの発症 と関連がないハプロタイプは V18であると考えられた。
〔実施例 4〕 ヒト PADI4 mR NAの安定性比較
1 . 分解度の測定
2つの PAD 14ハプロタイプをコードする遺伝子は以下の方法で調製した。 まず、 Bone marrow total RNA (Clontech 社) を用いて f irs t strand cDNA synthes is ki t (Amersham Pharmacia 社) により合成した cDNA を DONR201 (Invi trogen社) にクローニングした。 得られた cDNAを、 さらに T7プロモー 夕一を含む PDEST14 (Invi trogen社) にリクローニングし、 それぞれ pV18 - T7
および PV9-T7 ベクターを作製し、それらについてシークェンシングを行った。 次いで、 pV18- T7 および pV9- T7 ベクターを Clal で消化し、 RiboMax™ Large Scale RNA Product ion System - T7 (Promega千土)を用レて in vitro transcription を行い、 V9、 および V18の mRNAを作製した。
Whole cell extractを調製するために、 HL-60細胞を PBSで洗浄し、 抽出バ ッ フ ァー (0.5% NP-40; 20mM HEPES pH8.0; 20%glycerol (v/v); 400mM NaClcontaining 0.5mM DTT; 0.2mM EDTA; 1% proteinase inhibitor cocktail (Nacal a i) )に懸濁した。氷上で 30分ィンキュベーシヨンした後、 4°Cで遠心し、 上清を 80°Cで保存した。
V9、および V18の各 mRNA5 gZreactionに 1000倍希釈した前述の Whole cell extract 3 xlを混ぜ、室温でィンキュベートした。 0, 5, 10分反応後、 formamide dyeを加えて反応を止め、 68でで 10分間加熱し、 氷冷した。 転写産物はノザン プロットハイブリダイゼ一シヨンにより検出した。スキャニングは DocuCentre color 500cp (Fuj i_Xerox社)を用いて行い、シグナル強度は obePhotoshop 6.0 (Adobe社)により測定した。
結果を図 1に示す。図 1から明らかなように、 R A病変に関連した V9の mRNA は R A病変に関連しない V18の mRNAに比べて有意に分解し難い傾向にあること がわかった。 (*T検定より 5分後で p=0.048, 10分後で p=0.013)。 〔実施例 5〕 ヒト PADI4タンパクの調製
1. 大腸菌による H i S- 1 ag付加 PAD 14タンパク質の発現
His- tagを付加した 2つの PADI4ハプロタイプ断片: RGS6-HisV18 (配列番号 5)、または RGS6- HisV9 (配列番号 6 )が pETlld (Stratagene社)の NcoI/BamHI へ挿入された発現プラスミドを作製した。 このプラスミドで形質転換した大腸 菌 BL2卜 codonPlus (DE3)- RIL cell (Strategene 社)をアンピシリン 50 g/ml (Sigma社) とクロラムフエ二コール 50/ g/ml (Sigma社) を添加した LB培地 (Invitrogen社) に接種し、 37°Cで一晩培養した。 10mLの培養液を 1Lの 2%グ ルコース (和光純薬)、 アンピシリン 50 ig/ml (Sigma社) を添加した 2倍濃度 の LB培地 (Invitrogen社) に添加し、 600nm波長の吸光度が 0.9 になるまで 37°Cで培養した。終濃度 0.1 になるようにイソプロピルチオ- 0- D-ガラクト
シド (IPTG :和光純薬) を添加し、 20°Cで 4時間培養した。 培養液を 6000 X g で 10分遠心して、菌体を回収した。菌体を 30m 1の 50mM トリス-塩酸 (pH7. 6) (和光純薬)、 lOOmM塩化ナトリゥム(和光純薬)、 2mM ジチォスレイトール (DTT: 和光純薬)、規定量の完全蛋白分解酵素阻害剤カクテル(Roche Diagnos t ics社) を含む溶解用緩衝液へ懸濁して、 4°Cで超音波破砕し、 97000X gで 30分遠心し て上清を回収した。 さらにこの上清を Mi I lex- HV (ミリポア社)フィルターにか けた。
2 . His- tag付加 PADI4 タンパク質の精製
前項で調製した上清を予めバッファー 50mM トリス-塩酸(pH7. 6) (和光 純薬)、 lmM エチレンヂアミンテトラ酢酸 (EDTA :同仁化学) 1で平衡化した Sephadex- G25 (アマシャム ·バイオサイエンス社) に供し、 0. 1Mの塩酸ナトリ ゥムが入ったバッファ一 Aで分画した。 活性が認められた画分をバッファー A で予め平衡化した DEAE-Sepharose (アマシャム'バイオサイエンス社)に供し、 0. 1Mの塩酸ナトリウムが入ったバッファー Aで洗浄した後、 バッファー Aへ添 加した塩酸ナトリウム濃度を 0. 1Mから 0. 2Mへ徐々に変化させて溶出し、 分画 した。 活性が認められた画分に三倍量のバッファ一 B { 50mM トリス-塩酸 (pH7. 6) (和光純薬)、 0. 1M塩化ナトリウム(和光純薬)、 0. 1% トライトン X-100} を加え、 Ni- NTAスーパ一フローカラム (QIAGEN社) に供した。 カラム を 20mMのィミダゾールが入ったバッファ一 Bで洗浄し、 200mMのィミダゾール が入ったバッファ一 Bで溶出した。活性が認められた画分をバッファー C { 10mM 卜リス-塩酸 (pH7. 6) (和光純薬)、 0. 15M塩化ナトリウム (和光純薬)、 2mM DTT (和 光純薬)、 lmM EDTA (同仁化学) } で透析し、 濃縮後、 終濃度 10%になるように グリセロール (Sigma社) を添加して、 _80°Cに保存した。
〔実施例 6〕 ヒト PADI4夕ンパクの活性測定
1 . PADI4活性の測定方法 (蛍光法)
酵素反応用の緩衝液として、 lOOmM Tri s/HCl (pH7. 8)、 難 CaCl2、 5mM DTT、 lOmM BAEE (Sigma) または N- a - Benzoy卜卜 arginine (東京化成) を含む溶液 を調製した。この緩衝液40 1と、実施例5で調整した¥18酵素原液(113 1111 )
の希釈列 10/i 1を PCR反応プレート (Applied Biosystems社) 内にて混合し、 37°Cで 2時間反応させた。 反応後、 lO/ilの 200mMEDTAを添加して反応を停止 した。 このうち 分を deep well plate (日本ジエネテイクス社) に移し た。 なお同時に、 検量線作成のため、 0- 50nMの硫酸アンモニゥム溶液も別のゥ エルへ添加した。 さらにこれらのゥエルへ、 50mMホウ酸を lml、 および 50mM o-phthalaldehydeと 50mM DTTの等量混合溶液を 50 xlずつ添加し、 室温で 1 時間反応させた。反応溶液は 分を白色プレート (コースター ·コ一ニン グ社) に移し、 Spectra max GEMINI (Molecular Devices 社) を用いて励起波 長 413nm、 蛍光波長 476nmの各波長を測定した。 酵素を含まないゥエルの測定 値をバックグラウンドとして差し引き、 検量線作成用硫酸アンモニゥムを添加 したゥエルでの測定値から検量線を描くことにより、 反応によって生成したァ ンモニゥムイオンの濃度を求めた (図 2A;)。
2. PADI4活性の測定方法 (吸光法)
酵素反応用の緩衝液として、 lOOmMTris/HCl (pH7.6)、 10mMCaCl
2、 5mMDTT、 lOmM BAEE (Sigma) を含む溶液を調製した。 この緩衝液 40 1 と、
の実施例 5で調整した V18酵素原液(113/ g/ml)の希釈列 10 lを PCR反応プ レート (Applied Biosystems社) 内にて混合し、 50°Cもしくは 371:で 2時間反 )¾ヽさせた。反応後、 A液(SOmMDiacetyl monoxime (3— hydroxy imino 2— butane)、 2mM t iosemicarbazide) を含む) と B液 (3M H
3P0
4、 6M ¾S0
4、 2mM NH
4Fe (S0
4)
2 を含む) を 1: 3の比率で混合した溶液を 150 1ずつ添加した。 なお同時に、 検量線作成のため、 0— 400 Mの L-シトルリン溶液も別のゥェルへ添加し、 同 様に A液と B液の混合溶液を添加した。 混合溶液は、 サーマルサイクラ一 (GeneAmp™ PCR System 9700、 Applied Biosystems社) を使用して 95で15分 の後室温で 10分反応させた。反応後の溶液は 150 X 1分を 96ゥエルプレート(コ 一二ング社) に移し、 Spectra max 250 (Molecular Devices社) を用いて 540nm の吸光度を測定した。 酵素を含まないゥエルの測定値をバックグラウンドとし て差し引き、 検量線作成用シトルリンを添加したゥエルでの測定値から検量線 を描くことにより、反応によって生成したシトルリンの濃度を求めた(図 2 B)。
3 . ヒト PADI4ハプロタイプ V9および V18の酵素活性
吸光度法を用いてヒト PAD 14ハプロタイプ V9および V 18の酵素活性を測定し、 比較した (図 3 )。 図 3から明らかなように、 V9は V18に比べて有意に酵素活 性が高いことが確認された (Pく 0. 01)。 以上より、 R A病変に関連した PADI4夕 イブ (V9) は正常 PADI4タイプ (V18) よりもその酵素活性が高く、 こうした酵 素活性の違いが R A発症と何らかの関連を有することが推測された。
〔実施例 7〕 R A患者の PADI4ジエノタイプと抗シトルリン化フィラグリン 抗体価との関連
1 . 抗シトルリン化ペプチド抗体価の測定方法
R A患者血清の抗シトルリン化ぺプチド抗体価を MESACUP ACFテストは、 医 学生物学研究所(名古屋)委託して作製したキットを用いて行った。 MESACUP ACF テス卜とは、リコンビナント ヒトフイラダリンぺプチドを PADによりシトルリ ン化した、 シトルリン化フィラグリンを抗原として、 ELISA法により抗体価を 測定する方法である。
まず、患者末梢血より血清を調製し、 10 z lを反応用緩衝液 lmLに加えて 101 倍希釈した。 抗フィラグリン抗体標準血清 2、 標準血清 1および希釈した検体 を 150 /x L ずつ一次反応準備用マイクロプレートに実際と同じように添加した。 その後、抗原感作マイクロカップにマルチピぺッ卜を用い 100 Lずつ移した。 室温 (20〜25°C) で 1時間静置反応させた後、 洗浄液で 4回洗浄し、 酵素標識 抗体をマルチピペットで ずつ添加した。 その後、 室温 (20〜25°C) で 1時間静置反応させ、 反応停止液をマルチピペットで ずつ添加した。 各反応後のサンプルを分光吸光度計を用いて O D 4 5 0を測定し、 Index 値 を下式を用いて算出した。
検体の A450—標準血清 1の A450
Index値 = X 100 抗フィラグリン抗体標準血清 2の A450—標準血清 1の A450
2 . P AD 14ジエノタイプと抗シトルリン化フィラグリン抗体価との関連
PADI4 int ron 3 -15 T/C ジエノタイプの決められた、 R A患者 57人につき、 血清中の抗合成シトルリン化フィラグリン抗体価を測定した。
カットオフ値 10にて、 分割表検定を行ったところ、 下表 2のようになった。 〔表 2〕
罹患ホモ接合体 (TT) のジエノタイプと他のジエノタイプとの間の比較を Fisher's 正確検定(One- s ided)にて行ったところ、 p=0. 0284を得た。すなわち、 R A患者内において、 罹患ホモ接合体 (TT) のジエノタイプを有する患者では 抗シトルリン化フイラダリン抗体価が他のジエノタイプを有する患者に比較し て有意に高いことが示された。 この結果 5 oと実施例 4、 6の結果より、 PADI4 ジ エノタイプの違いは、 niRNAの安定性や酵素活性といった PADI4フエノタイプの 変化をもたらし、 シトルリン化タンパクのレベルの亢進につながる可能性が高 いことが推測された。
〔実施例 8〕 R A患者滑膜組織における PADI4発現量の検討
1 . In s i tu-RT-PCR
R A患者の滑膜組織から調整した組織片に Pro STAR HF (Stratagenes社) を 添加し、 以下の条件で One step In s i tu-RT-PCR を Hybaid Omni sl ide (Hybaid Ltd. , Middlesex, UK)上にて実施した。
(1) 42°C 30 分
(2) 94t: 2 分, 55°C 45秒, 68°C 2分
(3) 94t 45秒, 55°C 45秒, 68°C 2分、 25サイクル
PCR反応後のスライドグラスは PBS にて 5分間ずつ 2回洗浄した。
hPADI4 V18の cDNA (配列番号 1 6 ) を铸型に、 以下の PADI4増幅用プライマ —を用いて PCRを行い、得られた 335塩基長の増幅産物をジゴキシゲニン (DIG) 標識して、 PADI4検出用プローブとした。
Forward Primer : 5' -GACCAGAAGGTTCAGATTTCATACTAC-3' (配列番号 7 )
Reverse Pr imer : 5' -ACCAGTGTATGGTTTGTGAAGAAGT-3' (配列番号 8 )
なお、 DIG標識は PCR DIG probe synthes is ki t (Roche Diagnost ics社)を用 いて行った。
逆転写後のサンプルに、 前述のプライマーを最終濃度 0. 34 Mとなるように 加え、スライドグラスを被せて 37°C 1時間プレハイブリダィゼーシヨンを行つ た。次いで、 94°Cで 5分間変性させた DIG標識プローブを加え、 37°Cで 12時間 ハイブリダィゼーシヨンを行った。 反応後のスライドを洗浄し、 digoxygenin detect ion ki t (Roche Diagnost ics社)を用いて PADI4遺伝子の検出を行った。 陰性対照として、 プライマー非添加、 反応酵素非添加の条件で同様に検出を行 つた。
2 . 結果
結果を図 4に示した。 PAD 14 の転写産物は R A患者滑膜組織の表層(l ining) と滑膜表層下 (sub-l ining layer) 付近に局在していた。 また、 シグナルは繊 維芽細胞様細胞や血管周囲の球状核細胞 (round- nuclear cel l) 中で観察され た。 〔実施例 9〕 マウスコラーゲン誘導関節炎 (C I A) における PADI4遺伝子 発現量の検討
マウスにコラーゲン誘導関節炎(CIA) を誘導し、その滑膜組織および脾臓組 織における、マウス ぺプチジルアルギニン ·ディミナ一ゼ'タイプ IV (mPADI4) 遺伝子の発現量について検討した。 なお、 mPADM は、 ヒト ぺプチジルアルギ ニン ·ディミナ一ゼ'タイプ I V (hPADI4)のマウスォーソログである。 mPADI4 の cDNA配列とアミノ酸配列はそれぞれ配列表の配列番号 1 8および配列番号
1 9に記載した。
1 . マウス C I Aモデルの作製
マウス (5週齢の雌、 日本チヤ一ルスリバ一(株) より購入) は、 CIA 群 (N=l l) と健常群 (N=l l) に分けた。 CIA群は訓化後、 タイプ IIコラーゲン
2mg/ml (コラーゲン技術研修会)および ADJUVANT COMPLETE FREUND (DIFC0)を等 量の割合で混ぜ、超音波によりェマルジヨン化したものを、 1匹あたり 100 1、 一週間の間隔をおいて計 2回 尾根部に皮内投与した。最終的に、 CIA群は発症 が見られた 5匹 7肢を、 健常群は 11匹 22肢を以下の実験に供した。
2 . 滑膜組織および脾臓組織における、 mPADI4遺伝子発現量の測定
マウスは 2回目の投与後 7週目に断頭放血により致死させ、 滑膜組織および 脾臓組織をハサミおよびピンセットで摘出した。 摘出した組織より、 RNeasy mini ki t または RNeasy midi ki t (QIAGEN社)を用いて、 添付のプロトコ一ル に従い全 RNAを調製した。 調製した全 RNAより、 TaKaRa RNA PCR™ Ki t (AMV) Ver. 2. 1 (TaKaRa) を用いて、 添付プロトコールに従い cDNAを合成した。
mPADI4遺伝子の発現は、 ABI PRIZM 7700 System (Appl ied Biosystems社) を用いた RT-PCRにより検討した。 用いた mPADI4遺伝子増幅用プライマー、 お よび mPADI4遺伝子検出用プローブは以下のとおりである。
Forward Primer : 5' -ACGCTGCCTGTGGTCTTTG-3' (配列番号 9 )
Reverse Primer : 5' -CCAGCCCAGTGAGCTCTGA-3' (配列番号 1 0 )
Probe : 5' -CCTGAAGGATTTCCCTGTCAAGCGAGTT-3' (配列番号 1 1 )
なお、 mPADI4 遺伝子発現量は、 内部標準として用いたマウス /3 -glucuronidase (mGUS)遺伝子の発現量で補正した。 MGUS4遺伝子増幅用プライ マー、 および MGUS4遺伝子検出用プローブの配列は以下のとおりである。
Forward Primer : 5' -TACGGGATTGTGGTCATCGA-3' (配列番号 1 2 )
Reverse Primer : 5' -CGAACCAGCTCCTCCATCAC-3' (配列番号 1 3 )
Probe: 5' -CAACGAGTCACTTCGGCACCACCTAGAG-3' (配列番号 1 4 ) 3 . 結果
結果を図 5に示した。 CIA群滑膜組織では健常群滑膜組織に比べ mPADI4の発 現量は 19. 5倍に上昇していた。 また、 CIA群脾臓組織では健常群脾臓組織に比 ベ mPAD の発現量は 3倍に上昇していた。以上より CIA群では、滑膜組織およ び脾臓組織において mPAD 遺伝子発現が著しく上昇することが確認された。
〔実施例 1 0〕 抗 PADI4抗体 (抗 PADI4ペプチド抗血清) の調製
ヒト PADI4由来のぺプチド配列 ( PAKKKSTGSSTWP_Cys:配列番号 1 5 ) を合 成し (オリエンタル酵母北山ラベス, ペプチド合成機:アプライドバイオシス テムズジャパン株式会社, Pioneer, 合成法: Fmocアミノ酸を用いた固相合成)、 KHL (Keyhole l impet heinocyanin, CALBIOCHEM )を MBS (PIERCE)法を用いてコ
ンジユゲーションした。
免疫動物はゥサギ (Kbl 'JW, ォス, 週齢:リタイア)を使用し、初回免疫におい て、 FCA (フロイント完全アジュバント, DIFC0)と抗原との等量混合液を背部皮 下に注射した。初回免疫はこの抗原を 600 ; gペプチド/匹 用いて行った。 2回 目以降は FIA (フロイントの不完全アジュバント, DIFC0)と抗原との等量混合液 を 2週間おきに 3回背部皮下に注射した。 2次免疫以降はこの抗原を 300 / g ペプチド/匹 用いて行った。 最終免疫から 2週間後に全採血し、 3000rpm にて 20分間、遠心し、血清を分離回収したのち、 NaN3 (和光純薬) を 0. 05% (w/v) 添 加し、 4°C (冷蔵) にて保存した。
〔実施例 1 1〕 R A患者関節滑膜組織片の免疫染色
1 . 関節滑膜組織切片の調製
人工膝関節置換術に際して得られた切離組織より、 関節滑膜組織片を得た。 得られた滑膜組織片は即座に液体窒素中に漬け、 スライドグラス上薄層切片作 製まで- 80でで保存した。 薄層切片化に際し、 凍結組織片を 10%中和緩衝ホル マリンにて固定し、 70%エタノール、 85%エタノール、 90%エタノール、 100%エタ ノール(100%エタノールの場合に限り 2回)にて各 1時間脱水処理し、 ついで、 50%エタノール 50%パラフィン溶液で 30分間にて 1回、 100%パラフィン溶液で 30分間にて 2回、 処理し、 組織片をパラフィン化した。 その後、 組織片をパラ フィン中に包埋した。パラフィン包埋組織片はライカミクロト一ム RM2165で 4 mの厚さにスライスし、 スライドグラスに固定した。
2 . 免疫染色
免疫染色に先立ち、 前項で調製したパラフィン包埋切片をキシレンに 3分間 ずつ 2回つけ、脱パラフィン化した後、 100%エタノールに 1分間ずつ 2回、 95% エタノ一ルに 1分間ずつ 2回、 さらに PBS (0. 13M NaCL 8. 6mM K2HP04, 1. 5mM KH2P04)に 3分間ずつ 2回つけ、 再水和した。 30%¾02メ夕ノール溶液で 3分間 処理し、 内在性ピオチンを除去した。 PBS にて 5分間ずつ 2回、 洗浄し、 1000 倍希釈したそれぞれの抗体:抗シトルリン化タンパク質抗体 (Biogenesis社) と実施例 1 0で調製した抗 PADI4抗体とを加えて 4でにて 12時間反応させた。
反応後、 PBSにて 5分間ずつ 2回洗浄し、 SimpleStain MAX-P0 (Nichirei)を 1 スライドにっき ずつ加え、 25 :にて 30分間反応させた。 その後、 PBS にて 5 分間ずつ 2回洗浄を行った。 基質として、 SimpleStain AEC (Nichirei) を 1スライドにっき 100 1ずつ加え、 シグナルが検出されるまで 5分から 20 分反応させた。 反応は超純水につけて停止させた。 . 糸口果
結果を図 6および図 7に示す。 RA患者の滑膜組織では PADI4 を特異的に認 識する抗体による反応 (Aの枠で囲った箇所の赤い部分) が認められたが、 関 節リウマチの陰性対照である変形性関節症 (OA) 患者の滑膜組織には PADI4 を認識する抗体による反応は認められなかった(図 6 B)。 また、 RA患者の滑 膜組織では、 PADI4 とほぼ同じような部分にシトルリン化夕ンパク質が認めら れた (図 7) 〔実施例 1 2〕 ヒト PADI4 mRNAの安定性比較
1. mRNAの調製
2つの PADI4ハプロタイプの mRNAは、 以下の方法で調製した。
V9もしくは V18をコードする遺伝子を CMVプロモーターの下流につないだブラ スミドを、 リポフエクトァミン 2000 (Invitrogen社) を用い、 添付のプロトコ —ルに従ってヒト K562細胞への遺伝子導入を行った。 37°Cで 4時間培養した後、 PMA(Sigma社)を最終濃度 50ng/mlとなるように添加した。 40時間培養した後、 ァクチノマイシン D(Sigma社)を最終濃度 5 x g/mlとなるように添加し、 0、 2、 4時間後にそれぞれ細胞を回収した。
次いで、全 RNA抽出用試薬(RNeasyMiniおよび RNase- Free Dnase set: QIAGEN 社) を添付のプロトコ一ルに従って用いることにより、 全 RNAを抽出した。 な お、 回収した全 RNAは- 80°Cに保存した。 残存したヒト PADI4 V9もしくは V18 の mRNAを、 TaqMan One-step RT-PCR Master Mix (Applied Biosystems社) を用い、 指定のプロトコールに従って、 ABI PRISM 7700 Se uence Detection System (Appl ied Biosystems社) を用いて測定した。 なお、 得られたデータは リボゾ一マル RNA (18S) の値を用いて補正した。
乙 · ホロ宋
図 8に示すように、 PADI4 V9の niRNAは、 PADI4 V18に比べて有意に分解し難 い傾向にあることが分かった (T検定より、 4時間後で p=0. 03) 本明細書中で引用した全ての刊行物、 特許及び特許出願をそのまま参考とし て本明細書中にとり入れるものとする。 産業上の利用の可能性
本発明は、 医薬開発において、 慢性関節リウマチ治療薬のスクリーニングに 利用できる。 また、 本発明は、 医療の分野において、 被験者が慢性関節リウマ チを発症する潜在的危険度の早期判定に利用できる。 配列表フリーテキスト
配列番号 1ーヒト PADI4遺伝子断片(第 1イントロン- 1000〜第 4イントロン) 一変異の説明: (A)と(G)の置換による一塩基多型
一変異の説明: (C)と(T)の置換による一塩基多型
一変異の説明: (C)と(G)の置換による一塩基多型
一変異の説明: (C)と(T)の置換による一塩基多型
一変異の説明: (C)と(T)の置換による一塩基多型
配列番号 2—人工配列の説明:プローブ
配列番号 3—人工配列の説明:プローブ
配列番号 4一人工配列の説明:プローブ
配列番号 7—人工配列の説明:プライマー
配列番号 8—人工配列の説明:プライマー
配列番号 9一人工配列の説明:プライマ一
配列番号 1 0—人工配列の説明:プライマー
配列番号 1 1一人工配列の説明:プローブ
配列番号 1 2—人工配列の説明:プライマー
配列番号 1 3—人工配列の説明:プライマー
配列番号 1 4一人工配列の説明:プローブ
配列番号 1 5 —人工配列の説明: ヒト PADI4由来べプチド