明 細 書
WT 1置換型ぺプチド 技術分野
本発明は、 新規な WT 1置換型ペプチドに関する。 より詳細には、 本発明は、 システィン残基を特定のァミノ酸残基に置換した新規な WT 1置換型ぺプチド、 および当該ペプチドの癌ワクチンとしての使用などに関する。 背景技術
ぺプチドに含まれるシスティン残基は溶液中で酸化されジスルフィド結合を生 じる場合がある。 還元型システィン残基を含むペプチドと酸化を受けたシスティ ン残基を含むぺプチドとでは構造が大きく異なり、 それらを癌ワクチンとして用 いても、 一方に特異的な C T Lが他方に全く反応しないことがある (Immunity 1997; 6 273-281}。 よって、 システィン残基を含む癌抗原ペプチドを癌ヮクチ ン療法剤として開発する場合、 ぺプチドに含まれるシスティン残基を他のアミノ 酸残基に置換したペプチドを代替品として開発することは、 一つの有効な手段と 考えられる。 しかしながら、 システィン残基を他のアミノ酸残基へ置換したぺプ チドが必ずしも癌抗原ペプチドとして機能するとは限らず、 その有効性は個々の 置換ペプチドによって大きく異なる (J. Immunol. , 1998; 161 : 6985 - 6992 J.
Immunol. , 1998; 160 : 2099-2106)
癌抗原タンパク質 WT 1 (配列番号: 1 Cell. , 60: 509, 1990) の第 235位一 第 243位よりなるぺプチドである WT1235― 243 (Cys-Met-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn- Leu ;配列番号: 2 > は、 HLA— A24拘束性の CTL誘導活性を有する癌抗原ペプチド である(Clin. Cancer. Res. 8: 2626, 2002 TO 00/06602号公報)。 この WT1235—
243の第 2位のメチォニンをチ口シンに改変した改変ぺプチド (Cys_Tyr- Thr- Trp- Asn- Gin- Met- Asn- Leu;配列番号: 3、 以下当該改変ぺプチドを !^ 2M→ Y)と称する場合もある)は、 前記天然型ぺプチドに比して HLA— A24抗原への高い 結合性を有している (W0 02/079253号公報、 国際公開日 : 2002年 10月 100 ) 。 こ
れら天然型ぺプチド 1235_243および改変ぺプチド訂 1235_243 (2M→Y)は、 、ずれも 癌免疫療法剤としての開発が期待されている。 発明の開示
本発明の目的は、 システィン残基を特定のアミノ酸残基に置換した新規な WT1 置換型ぺプチド、 および当該べプチドの癌ワクチンとしての使用などを提供する ことにある。
本発明者らは、 WT1235 243および WT1235— 243 (2M→Y) (以下本ペプチドを 「非置 換型ペプチド」 とも称する) の第 1位のシスティン残基を種々のアミノ酸残基と 置換し、 イン ·ビボでの免疫原性について H L A— A 2 4 0 2 /K bトランスジ エニックマウス (TO 02/47474号公報、 以下 HLA—A24発現トランスジエニックマ ウスとも称する) を用いて検討した。 その結果驚くべきことに、 セリン残基
(Ser)、 ァラニン残基 (Ala)、 アルギニン残基 (Arg)、 リジン残基 (Lys;)、 口イシ ン残基 (Leu)、 フエ二ルァラ二ン残基 (Phe)、 ァスパラギン残基 (Asn)といつたシ スティン残基と構造 ·性質の異なるアミノ酸残基に置換した置換型ぺプチドが、 非置換型ペプチドと同等の CTL誘導活性 (免疫原性) を有することを見出した。 更に驚くべきことに、 第 1位のシスティン残基を、 2—ァミノ酪酸残基 (ひーァ ミノ酪酸残基、 Abu)、 オル二チン残基 (Orn)、 シトルリン残基 (Cit)といった、 タ ンパク質を構成する天然アミノ酸ではないアミノ酸残基 (異常アミノ酸残基) に 置換した置換型ぺプチドも、 非置換型ぺプチドと同等の CTL誘導活性 (免疫原 性) を有することを見出した。 これらの知見から、 本発明者らは、 これら置換型 ぺプチドは癌ワクチンとして種々の形態で利用可能であるとの確信を得た。 これ ら置換型べプチドはシスティン残基を含有しないぺプチドであるためジスルフィ ド結合を生じ得ず、 よって医薬品としての規格化が容易である等の利点を有する。 本発明は、 以上のような知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、
(I) 式: X— Y—Thr—Trp—Asn—Gln—Met—Asn—Leu (配列番号: 4 ) (式中、 Xは Ser、 Ala、 Abu、 Arg、 Lys, 0m、 Cit、 Leu、 Pheまたは Asnを表し、 Yは Tyrまたは Metを表す) で表されるァミノ酸配列を含む、 または該アミノ酸配
列からなる、 C T L誘導活性を有するぺプチド、 好ましくは、 以下のァミノ酸配 列:
Ser-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 5 ) 、
Ala-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 6 ) 、
Abu-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 7 ) 、
Arg— Tyr—Thr— Trp— Asn— Gin— Met— Asn— Leu (酉己列番号: 8 ) 、
Lys-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 9 ) 、
Orn— Tyr—Thr— Trp— Asn— Gin— Met— Asn— Leu (配列番号: 1 0〉 、
Cit-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 1 1 ) 、
Leu— Tyr—Thr— Trp— Asn— Gin— Met— Asn— Leu (配列番号: 1 2 ) 、
Phe-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 1 3 ) 、
Asn— Tyr— Thr— Trp— Asn— Gin— Met— Asn— Leu (配列番号: 1 4 ) 、
Ser— Met— Thr— Trp— Asn— Gin— Met— Asn— Leu (配列番号: 1 5 ) 、 および Ala-Met-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号: 1 6 ) 、 のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含む、 またはからなる前記 (I) 記載のペプチド、 ならびにこれらペプチドの製造方法、
(II) 前記 (I) 記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド、 該ポリヌク レオチドを含有する発現ベクター、 該発現べクターを含有する細胞、
(III) 前記 (I)記載のぺプチドに特異的に結合する抗体、
(IV) 前記 (I) 記載のぺプチド由来の癌抗原べプチドと H L A— A 2 4抗原 との複合体が提示されている抗原提示細胞、
(V) 前記 (I) 記載のペプチド由来の癌抗原ペプチドと H L A— A 2 4抗原と の複合体を認識する C T L、
(VI) 前記 (I) 記載のペプチド、 前記 (II) 記載のポリヌクレオチド、 発現 ベクター、 細胞、 前記 (IV) 記載の抗原提示細胞、 あるいは前記 (V) 記載の C
T Lと、 薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、 および癌ワクチンと して使用される前記医薬組成物、
(VII) 前記 (I) 記載のペプチド、 前記 (II) 記載のポリヌクレオチド、 発現 ベクター、 細胞、 前記 (IV) 記載の抗原提示細胞、 あるいは前記 (V) 記載の C
T Lにおける、 癌ワクチンを製造するための使用、 ならびに
(VIII) 癌を治療または予防するための方法であって、 前記 (I)記載のぺプ チド、 前記 (II) 記載のポリヌクレオチド、 発現ベクター、 細胞、 前記 (IV) 記 載の抗原提示細胞、 あるいは前記 (V) 記載の C T Lの治療または予防に有効な 量を、 それを必要としている H L A— A 2 4陽性カっ WT 1陽性の癌患者に投与 する方法、 に関する。 図面の簡単な説明
図 1は、 ヒ ト WT1由来抗原ペプチド (訂 1235_243) の第 2位をチロシン残基に置換 したべプチド Aで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが 誘導されることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はペプチド Aをノ、。ルスした標的細 胞を用いた結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 2は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をセリン残基に置換したぺプチド Bで HLA- A24発現トランスジェュックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導されるこ とを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はぺプチド Bをパルスした標的細胞を用いた結果 を、 白丸はぺプチド非ノ、"ルス細胞を用いた結果を示す。
図 3は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をァラニン残基に置換したぺプチ ド Cで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導される ことを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 ( Specific Lysis) を示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はぺプチド Cをパルスした標的細胞を用いた結果 を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 4は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基を 2—ァミノ酪酸残基に置換した ぺプチド!)で HLA-A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導 されることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はペプチド!)をパルスした標的細胞を用 いた結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 5は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をアルギニン残基に置換したぺプ
チド Έで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導され ることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示 し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はペプチド Έをノ、。ルスした標的細胞を用いた 結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 6は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をリジン残基に置換したぺプチド
Fで HLA- A24宪現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導されるこ とを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はぺプチド Fをパルスした標的細胞を用いた結果 を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 7は、 置換型ペプチド Bによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ぺ プチド Aに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。 図中、 縦軸 は CTL誘導活性 (% Specific Lysis) を、 また横軸は E/T比を示す。 また図中、 黒丸はぺプチド Βをパルスした標的細胞を用いた結果を、 黒四角はぺプチド Αをパ ルスした標的細胞を用いた結果を、 また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結 果を示す。
図 8は、 置換型ぺプチド Cによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ぺ プチド Aに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。 図中、 縦軸 は CTL誘導活性 (% Specific Lysis) を、 また横軸は E/T比を示す。 また図中、 黒丸はぺプチド Cをパルスした標的細胞を用いた結果を、 黒四角はぺプチド Αをパ ルスした標的細胞を用いた結果を、 また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結 果を示す。
図 9は、 置換型ぺプチド!)によつて誘導されたエフェクタ一細胞の非置換型ぺ プチド Aに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。 図中、 縦軸 は CTL誘導活性 ( Specific Lysis) を、 また横軸は E/T比を示す。 また図中、 黒丸はぺプチド Dをパルスした標的細胞を用いた結果を、 黒四角はぺプチド Αをパ ルスした標的細胞を用いた結果を、 また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結 果を示す。
図 1 0は、 置換型べプチド Έによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型 ペプチド Aに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。 図中、 縦
軸は CTL誘導活性 (% Specific Lysis) を、 また横軸は Ε/ΊΤ比を示す。 また図中、 黒丸はぺプチド Έをパルスした標的細胞を用いた結果を、 黒四角はぺプチド Αをパ ルスした標的細胞を用いた結果を、 また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結 果を示す。
図 1 1は、 置換型ぺプチド Fによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型 ペプチド Aに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。 図中、 縦 軸は CTL誘導活性 (% Specific Lysis) を、 また横軸は Ε,Τ比を示す。 また図中、 黒丸はぺプチド Fをパルスした標的細胞を用いた結果を、 黒四角はぺプチド Αをパ ルスした標的細胞を用いた結果を、 また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結 果を示す。
図 1 2は、 WT1235_243の第 1位のシスティン残基をセリン残基に置換したぺプチ ド Gで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導される ことを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はぺプチド Gをパルスした標的細胞を用いた結果 を、 白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 1 3は、 WT1235_243の第 1位のシスティン残基をァラニン残基に置換したぺプ チド Hで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導され ることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活1"生 (% Specific Lysis) を示 し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はペプチド Hをパルスした標的細胞を用いた 結果を、 白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 1 4は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をオル二チン残基に置換したぺ プチド Iで HLA-A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導さ れることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を 示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はペプチド Iをパルスした標的細胞を用い た結果を、 白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 1 5は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をシトルリン残基に置換したぺ プチド Jで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導さ れることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を 示し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はペプチド Jをパルスした標的細胞を用い
た結果を、 白丸はぺプチド非ノ、レス細胞を用いた結果を示す。
図 1 6は、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をロイシン残基に置換したぺプ チド Kで HLA - A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導され ることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示 し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はペプチド Kをパルスした標的細胞を用いた 結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 1 7は、 ペプチド Aの第 1位のシスティン残基をフエ二ルァラニン残基に置換 したべプチド Lで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが 誘導されること.を示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は E/T比を示す。 また黒丸はペプチド Lをパルスした標的細 胞を用いた結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図 1 8は、 ベプチド Aの第 1位のシスティン残基をァスパラギン残基に置換した ぺプチド Mで HLA- A24発現トランスジエニックマウスを免疫し、 特異的 CTLが誘導 されることを示したグラフである。 図中、 縦軸は傷害活性 (% Specific Lysis) を示し、 横軸は EZT比を示す。 また黒丸はペプチド Mをパルスした標的細胞を用 いた結果を、 白丸はぺプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。 発明を実施するための最良の形態
本明細書おょぴ図面において、 アミノ酸残基を略号で表示する場合、 次の略号 で記述する。
Ala :ァラニン残基
Arg :アルギニン残基
Asn :ァスパラギン残基
Asp :ァスパラギン酸残基
Cys : システィン残基
Gin :グルタミン残基
Glu :グルタミン酸残基
Gly :グリシン残基
His : ヒスチジン残基
lie :ィソロイシン残基
Leu : ロイシン残基
Lys : リジン残基
Met :メチォニン残基
Phe : フエ二ルァラニン残基
Pro :プロリン残基
Ser :セリン残基
Thr : トレオニン残基
Trp : トリブトファン残基
Tyr :チロシン残基
Val :バリン残基
Abu : 2—ァミノ酪酸残基 ( 一アミノ酪酸残基とも言う)
Orn : オノレニチン残基
Cit :シトノレリン残基
前記アミノ酸残基に関し光学異性体があり得る場合は、 L体、 D体のいずれで あっても良いが、 L体が好ましい。
本明細書において、 ペプチドのアミノ酸配列は常法に従って、 その N末端のァ ミノ酸残基が左側に位置し、 C末端のァミノ酸残基が右側に位置するように記述 する。
(I) 本発明のペプチド
本発明のペプチドは、 ヒト WT1 (Cell. , 60: 509, 1990、 NCBIデータベース Accession No. XP— 034418、 配列番号: 1 ) に由来し、 HLA- A24拘束性の CTL誘導活 性 (免疫原性) を有する。
本発明のペプチドは、 抗原提示細胞內にて要すればプロセッシングを受け、 生 じた癌抗原ぺプチドが HLA - A24抗原と結合して抗原提示細胞に提示され、 CTLを誘 導するという特性を有するものである。 当該特性は、 TO02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002) に記述された HLA- A24モデルマウスを用いる ことなどにより調べることができる。 '
本宪明のぺプチドは、
式: X_ Y—Thr— Trp— Asn— Gln_Met_Asn— Leu (配列番号: 4 )
(式中、 Xは Ser、 Ala、 Abu、 Arg、 Lys、 Orn、 Cit、 Leu、 Pheまたは Asnを表し、 Yは Tyrまたは Metを表す) で表されるァミノ酸配列を含み、 C T L誘導活性を有 するペプチドである。 すなわち本発明のペプチドは、 以下に示すペプチドを意味 する:
Ser Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 5) 、
Ala Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 6) 、
Abu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 7) 、
Arg Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 8) 、
Lys Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 9) 、
Orn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 10) 、
Cit Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 11) 、
Leu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 12) 、
Phe Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 13) 、
Asn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 14) 、
Ser Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 15) 、
Ala Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 16) 、
Abu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 17) 、
Arg Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 18) 、
Lys Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 19) 、
Orn Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 20) 、
Cit Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 - 21) 、
Leu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 22) 、
Phe Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 23) 、 および
Asn Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 . 24) 、
のなかから選ばれるいずれかのァミノ酸配列を含み、 C T L誘導活性を有するぺ プチド。 このうち配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16 のなかから選ばれるいずれかのァミノ酸配列を含むぺプチドが、 好ましい。 配列番号: 4で表されるァミノ酸配列を含む本発明のぺプチドは、 本発明ぺプ
チド由来の癌抗原べプチドが抗原提示細胞に提示され、 CTLを誘導するという特 性を有する限り、 何ら制限されないが、 その長さは通常連続する 9〜 100個、 好ま しくは連続する 9〜50個、 より好ましくは連続する 9〜30個、 さらに好ましくは連 続する 9〜20個、 そしてさらに好ましくは連続する 9〜11個のァミノ酸残基である。 ここに、 癌抗原ペプチドとは、 HLA抗原と結合して抗原提示細胞に提示され、 CTL 誘導活性を導くペプチドとして定義される。
本発明ぺプチドは、 通常のぺプチド化学において用いられる方法に準じて合成 することができる。 合成方法としては、 文献 (ぺプタイド■シンセシス(Peptide Synthesis) , Interscience, New York, 1966; ザ-プロテインズ(The Proteins) , Vol 2, Academic Press Inc. , New York, 1976; ペプチド合成, 丸善(株),
1975 ; ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株), 1985 ;医薬品の開発 続 第 14 巻-ペプチド合成, 広川書店, 1991) などに記載されている方法が挙げられる。 また本発明のぺプチドは、 本発明べプチドをコードするポリヌクレオチドの配 列情報に基づいて、 通常の DNA合成および遺伝子工学的手法を用いて製造するこ ともできる。 当該 DNA合成や各種プラスミドの構築、 宿主へのトランスフエクシ ョン、 形質転換体の培養およぴ培養物からのタンパク質の回収などの操作は、 当 業者に周知の方法、 文献記載の方法 (Molecular Cloning, T. Maniatis et al., CSH Laboratory (1983)、 DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS (1985))、 あるいは 後述の (Π)項に記載の方法などに準じて行うことができる。
以下、 本発明のペプチドについてより詳細に説明する。
本発明は前述のように、 WT1由来の天然ペプチドである WT1235― 243 (配列番号: 2) 、 またはその第 2位の改変ペプチドである WT1235— 243 (2M→Y) (配列番号: 3) の 第 1位のシスティン残基を、 セリン残基、 ァラニン残基、 アルギニン残基、 リジ ン残基、 ロイシン残基、 フエ二ルァラニン残基、 ァスパラギン残基、 2—ァミノ 酪酸残基 (α—アミノ酪酸残基) 、 オル二チン残基あるいはシトルリン残基に置 換した置換型ペプチドが、 イン'ビボにて CTL誘導活性を有するという新たな知 見を得たことに基づく。 これら置換型ぺプチドのいずれかを含有する本発明のぺ プチドは、 癌免疫療法における CTL誘導剤の有効成分として、 また癌ワクチンの 有効成分として有用である。
本発明のペプチドとして、 より具体的には以下の(1-1)〜(1-4)に挙げるぺプチ ドを例示することができる。
(1-1) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド 本発明のぺプチドの具体例として、 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列から なる癌抗原ペプチドを例示することができる。 ここで配列番号: 4で表されるァ ミノ酸配列からなる癌抗原べプチドとは、 より具体的には以下に示すぺプチドを 指す:
Ser Tyr i'hr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 5) 、
Ala Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 6) 、
Abu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 7) 、
Arg Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 8) 、
Lys Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 9) 、
Orn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 10) 、
Cit Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 11) 、
Leu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 12) 、
Phe Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 13) 、
Asn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 14) 、
Ser Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 15) 、
Ala Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 16) 、
Abu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 17) 、
Arg Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 18) 、
Lys Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 19) 、
Orn Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 20) 、
Cit Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 21) 、
Leu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 22) 、
Phe Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 23) 、 および
Asn Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 24) 、
のなかから選ばれるいずれかのァミノ酸配列からなる癌抗原べプチド。
このうち配列番号: 5に示すァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド、 配列番 号: 6に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、 配列番号: 7に示すアミノ 酸配列からなる癌抗原ぺプチド、 配列番号: 8に示すアミノ酸配列からなる癌抗 原ペプチド、 配列番号:9に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、 配列番 号: 10に示すァミノ酸配列からなる癌抗原べプチド、 配列番号: 11に示すァミノ 酸配列からなる癌抗原ペプチド、 配列番号: 12に示すアミノ酸配列からなる癌抗 原ペプチド、 配列番号: 13に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、 配列番 号: 14に示すァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド、 配列番号: 15に示すァミノ 酸配列からなる癌抗原べプチド、 配列番号: 16に示すァミノ酸配列からなる癌抗 原ペプチドが、 好ましい。
これらのぺプチドは、 前述のように一般的なぺプチド合成法によって製造する ことができる。 また、 W0 02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565 - 570 (2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等により CTL誘導活性を測定するこ とができる。
(1-2) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列を含み、 モチーフ構造を保持する癌 抗原ぺプチド
HLA分子には多くのサブタイプが存在し、 結合できる抗原ぺプチドのアミノ酸 配列にはそれぞれのタイプについて規則性 (結合モチーフ) が存在することが知 られている。 HLA-A24の結合モチーフとしては、 8〜11アミノ酸からなるペプチド のうちの第 2位のアミノ酸残基がチロシン残基 (Tyr〉 、 フエ二ルァラニン残基 (Phe)、 メチォニン残基 (Met) またはトリプトファン残基 (Trp) であり、 C末端 のアミノ酸残基がフエ二ルァラユン残基 (Phe;)、 ロイシン残基 (Leu)、 イソ口イシ ン残基 (lie)、 トリプトファン残基 (Trp)またはメチォニン残基 (Met)となること が知られている (J. Immunol. , 152, p3913, 1994、 Immunogenetics, 41, pl78,
1995、 J. Immunol. , 155, p4307, 1994) 。
従って、 この規則性に基づいた本発明のペプチドとして、 配列番号: 4で示さ れるアミノ酸配列を含み、 モチーフ構造を保持する癌抗原べプチドが挙げられる。 すなわち、 配列番号: 4に示されるペプチドの C末端に、 Phe、 Leu、 Ile、 Trpまた
は Metを付加した 10ァミノ酸からなるぺプチド、 あるいは当該 10アミノ酸からな るペプチドの C末端にさらに Phe、 Leu、 Ile、 Trpまたは Metを付加した 11アミノ酸 からなるペプチドであって、 CTL誘導活性を有する当該ペプチド、 が例示される。 具体的には、 以下に示される 9アミノ酸からなるペプチド;
ber Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 5) 、
Ala Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 6) 、
Abu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (I關 7) 、
Arg Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (画跳 8) 、
Lys Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 9) 、
Orn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (I 10) 、
Cit Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (I 11) 、
Leu Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 12} 、
Phe Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 13) 、
Asn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 14) 、
Ser Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 15) 、
Ala Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 16) 、
Abu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配 17) 、
Arg Met Thr rrp Asn Gin Met Asn Leu (配列 18) 、
Lys Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 19) 、
Orn Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列 20} 、
Cit Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列: 21) 、
Leu Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配 22) 、
Phe Met Thr rrp Asn Gin Met Asn Leu (配列 23) 、
Asn Met Thr frp Asn Gin Met Asn Leu (配列 24) 、
の C末端に、 Phe、 Leu、 Ile、 Trpまたは Metを付加した 10アミノ酸からなるぺプチ ド、 あるいは当該 10アミノ酸からなるペプチドの C末端にさらに Phe、 Leu、 Ile、 Trpまたは Metを付加した 11ァミノ酸からなるぺプチドであって、 CTL誘導活性を 有する当該ペプチド、 が例示される。
好ましくは、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15または 16に
示されるペプチドの C末端に、 Phe、 Leu、 Ile、 Ti または Metを付加した 10ァミノ 酸からなるぺプチド、 あるいは当該 10アミノ酸からなるぺプチドの C末端にさら に Phe、 Leu、 Ile、 Trpまたは Metを付加した 11アミノ酸からなるペプチドであつ て、 CTL誘導活性を有する当該ペプチド、 が例示される。
これらのペプチドも、 前述のように一般的なペプチド合成法によって製造する ことができる。 また、 W0 02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565 - 570 (2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等により CTL誘導活性を測定するこ とができる。 (1-3) 配列番号: 4で表されるァミノ酸配列を含むェピトープぺプチド 近年、 複数の CTLェピトープ (抗原ペプチド) を連結したペプチド (ェピトー プペプチド) 力 効率的に CTL誘導活性を有することが示されている。 例えば Journal of Immunology 1998, 161 : 3186- 3194には、 癌抗原タンパク質 PSA由来 の HLA- A2, -A3, -All, B53拘束性 CTLェピトープを連結した約 30merのペプチドが、 イン'ビポでそれぞれの CTLェピトープに特異的な CTLを誘導したことが記載され ている。
また CTLェピトープとヘルパーェピトープとを連結させたぺプチド (ェピトー プペプチド) により、 効率的に CTLが誘導されることも示されている。 ここでへ ルパーェピトープとは C D 4陽性 T細胞を活性化させる作用を有するぺプチドを 指すものであり (Immunity. , 1 : 751, 1994) 、 例えば B型肝炎ウィルス由来の H
B V c l 2 8 - 1 4 0や破傷風毒素由来の T T 9 4 7— 9 6 7などが知られてい る。 当該ヘルパーェピトープにより活性化された C D 4陽性 T細胞は、 C T Lの 分化の誘導や維持、 およびマクロファージなどのエフェクタ一活性化などの作用 を発揮するため、 抗腫瘍免疫応答に重要であると考えられている。 このようなへ ルパーェピトープと CTLェピトープとを連列したぺプチドの具体例として、 例え ば Journal of Immunology 1999, 162: 3915-3925には、 HBV由来 HLA- A2拘束性抗 原ぺプチド 6種類、 HLA-A11拘束性抗原べプチド 3種類、 およびヘルパーェピト ープより構成されるペプチドをコードする DNA (ミニジーン) 力 イン'ビボで それぞれのェピトープに対する CTLを効果的に誘導したことが記載されている。
また実際に、 CTLェピトープ (メラノーマ抗原 gplOOの第 280位〜 288位からなる癌 抗原ペプチド) とヘルパーェピトープ (破傷風毒素由来 Tヘルパーェピトープ) とを連結したペプチドが臨床試験に供されている (Clinical Cancer Res., 2001, 7: 3012-3024) 。
従って、 前記 (1-1)や (1-2)に記述したような本発明の癌抗原ぺプチドを含む複 数のェピトープを連結したペプチド (ェピトープペプチド) であってイン.ビボ で CTL誘導活性を有するぺプチドも、 本発明のぺプチドの具体例として例示する ことができる。
ここに、 ェピトープペプチドとは、 ①複数の CTLェピトープ (癌抗原べプチ ド) を連結したペプチド、 若しくは② CTLェピトープとヘルパーェピトープとを 連結したペプチドであって、 抗原提示細胞内にてプロセッシングを受け、 生じた 癌抗原ぺプチドが抗原提示細胞に提示され、 CTL誘導活性を導くぺプチドとして 定義される。
本発明の癌抗原べプチドに連結させるェピトープが CTLェピトープの場合、 用 いる CTLェピトープとしては、 WT1由来の HLA-Al, -A0201, -A0204, -A0205, -
A0206, - A0207, -All, _A24, - A31, -A6801, -B7, - B8, - B2705, - B37, -Cw0401, -Cw0602などに拘束性の CTLェピトープが挙げられる。 これら CTLェピト一プは複 数個連結することが可能であり、 1つの CTLェピト一プの長さとしては、 各種 HLA 分子に結合している抗原ペプチドの解析により (Immunogenetics, 41 : 178, 1995)、 8〜14アミノ酸程度を挙げることができる。
また本発明の癌抗原ぺプチドに連結させるェピトープがヘルパーェピトープの 場合、 用いるヘルパーェピトープとしては、 前述のような B型肝炎ウィルス由来 の H B V c 1 2 8 - 1 4 0や破傷風毒素由来の T T 9 4 7—9 6 7などが挙げら れる。 また当該へノレパーェピトープの長さとしては、 13〜30アミノ酸程度、 好ま しくは 13〜17ァミノ酸程度を挙げることができる。
本発明のェピトープペプチドとして、 より具体的には例えば、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24 のいずれかのァミノ酸配列からなるぺプチドの 1種または 2種以上とヘルパーェピ トープとを連結させたェピトープぺプチドを挙げることができる。 より具体的に
は、 例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいず れかのァミノ酸配列からなるぺプチドの 1種または 2種以上と破傷風毒素由来のへ ノレパーペプチド (例えば Phe Asn Asn Phe Thr Val Ser Phe Trp Leu Arg Val Pro Lys Val Ser Ala Ser His Leu Glu;配列番号: 25) とを連結させたェピトー プペプチドや、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16の いずれかのアミノ酸配列の 1種または 2種以上と Ala Gin Tyr lie Lys Ala Asn Ser Lys Phe lie Gly lie Thr Glu Leu (酉己列番号: 26、 Clinical Cancer Res. , 2001, 7 : 3012 - 3024) とを連結させたェピトープぺプチドなどが挙げられる。
このような複数のェピトープを連結させたェピトープぺプチドは、 前述のよう に一般的なペプチド合成法によって製造することができる。 またこれら複数のェ ピトープを連結させたェピトープぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドの配列 情報に基づいて、 通常の DNA合成および遺伝子工学的手法を用いて製造すること もできる。 すなわち、 当該ポリヌクレオチドを周知の発現ベクターに挿入し、 得 られた組換え発現ベクターで宿主細胞を形質転換して作製された形質転換体を培 養し、 培養物より目的の複数のェピトープを連結させたェピトープぺプチドを回 収することにより製造することができる。 これらの手法は、 前述のように文献記 載の方法(Molecular Cloning, T. Maniatis et al. , CSH Laboratory (1983) s DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS (1985) )や後述の(II)項に記載の方法などに準じ て行うことができる。
以上のようにして製造された複数のェピトープを連結させたェピトープぺプチ ドは、 TO 02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002)に記述の ヒ トモデル動物に供すること等により CTL誘導活性を測定することができる。
(1-4) 配列番号: 4で表されるアミノ酸配列を含み、 N末端アミノ酸のアミノ基 または C末端ァミノ酸のカルボキシル基が修飾されたぺプチド
前記(1-1)〜(1-3)に例示したような本発明のぺプチドの N末端ァミノ酸のアミ ノ基、 または C末端アミノ酸のカルボキシル基を修飾することも可能である。 ここで N末端アミノ酸のァミノ基の修飾基としては、 例えば 1〜 3個の炭素数 1から 6のアルキル基、 フエニル基、 シクロアルキル基、 ァシル基が挙げられ、
アシノレ基の具体例としては炭素数 1力 ら 6のアル力ノィル基、 フエニル基で置換 された炭素数 1力 ら 6のアル力ノィル基、 炭素数 5から 7のシクロアルキル基で 置換された力ルポ-ル基、 炭素数 1から 6のアルキルスルホ二ノレ基、 フエニルス ルホニル基、 炭素数 2から 6のアルコキシカルボニル基、 フエニル基で置換され たアルコキシカルボニル基、 炭素数 5から 7のシクロアルコキシで置換された力 ルポニル基、 フエノキシ力ルポニル基等が挙げられる。
C末端ァミノ酸のカルボキシル基を修飾したぺプチドとしては、 例えばエステ ル体およびアミド体が挙げられ、 エステル体の具体例としては、 炭素数 1から 6 のアルキルエステル、 フエニル基で置換された炭素数 0から 6のアルキルエステ ル、 炭素数 5から 7のシクロアルキルエステル等が挙げられ、 アミ ド体の具体例 としては、 アミド、 炭素数 1から 6のアルキル基の 1つまたは 2つで置換された アミド、 フエニル基で置換された炭素数 0から 6のアルキル基の 1つまたは 2つ で置換されたアミド、 アミド基の窒素原子を含んで 5から 7員環のァザシクロア ルカンを形成するアミド等が挙げられる。
以上のような本発明のペプチドは、 例えば、 ①後述する CTLの誘導剤、 癌ワク チンの有効成分として、 また②後述する抗原提示細胞の作製において、 有効に用 いることができる。
(II) 本発明のポリヌクレオチド、 発現ベクターおよび形質転換細胞
本発明はまた、 前記本宪明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供す る。 本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、 DNAの形態であっても RNAの形態であっても良い。 これら本発明のポリヌクレオチドは、 本発明のぺプ チドのアミノ酸配列情報おょぴそれによりコードされる DNAの配列情報に基づき 容易に製造することができる。 具体的には、 通常の DNA合成や PCRによる増幅など によって、 製造することができる。
このような本発明のポリヌクレオチドとは、 配列番号: 4に示されるアミノ酸 配列を含み、 CTL誘導活性を有するぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドを指 す。 具体的には、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12, 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を
含み、 CTL誘導活性を有するぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドが挙げられ る。 このうち配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のな かから選ばれるいずれかのァミノ酸配列を含み、 CTL誘導活性を有するぺプチド をコードするポリヌクレオチドが好ましい。
具体的には、 前記(1-3)に記述したような配列番号: 4に記載のァミノ酸配列を 含むェピトープぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドが挙げられる。 具体的に は、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24のいずれかのアミノ酸配列を含むェピトープペプチドをコー ドするポリヌクレオチドが挙げられる。 より具体的には、 例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかのアミノ酸配列からなる ぺプチドの 1種または 2種以上とヘルパーぺプチドとを連結させたェピトープぺプ チドをコ一ドするポリヌクレオチドを挙げることができ、 例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかのアミノ酸配列からなる ぺプチドの 1種または 2種以上と破傷風毒素由来のヘルパーぺプチド (例えば Phe Asn Asn Phe Thr Val Ser Phe Trp Leu Arg Val Pro Lys Val Ser Ala Ser His
Leu Glu;配列番号: 25) とを連結させたぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチド や、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかの アミノ酸配列からなるペプチドの 1種または 2種以上と Gin Tyr lie Lys Ala Asn Ser Lys Phe lie Gly lie Thr Glu Leu (配列番号: 26、 Clinical Cancer Res., 2001, 7 : 3012 -3024) とを連結させたペプチドをコードするポリヌクレオチドを挙 げることができる。
前記で作製された本発明のポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込むことに より、 本発明のぺプチドを発現するための組換え発現ベクターを作製することが できる。
ここで用いる発現ベクターとしては、 用いる宿主や目的等に応じて適宜選択す ることができ、 プラスミド、 ファージベクター、 ウィルスベクター等が挙げられ る。
例えば、 宿主が大腸菌の場合、 ベクターとしては、 pUC118、 PUC119、 pBR322、 pCR3等のプラスミドベクター、 λ ΖΑΡΙΙ、 などのファージベクターが挙げ
られる。 宿主が酵母の場合、 ベクターとしては、 pYES2、 PYEUra3などが挙げられ る。 宿主が昆虫細胞の場合には、 pAcSGHisNT-Aなどが挙げられる。 宿主が動物細 胞の場合には、 pKCR、 pCDM8、 pGL2、 pcDNA3. 1、 pRc/RSV、 pRc/CMVなどのプラス ミドベクターや、 レトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、 アデノ関 連ウィルスべクターなどのウィルスベクターが挙げられる。
前記べクターは、 発現誘導可能なプロモータ一、 シグナル配列をコ一ドする遺 伝子、 選択用マーカー遺伝子、 ターミネータ一などの因子を適宜有していても良 い。
また、 単離精製が容易になるように、 チォレドキシン、 Hisタグ、 あるいは GST (ダルタチオン S-トランスフェラーゼ) 等との融合タンパク質として癸現する配 列が付加されていても良い。 この場合、 宿主細胞内で機能する適切なプロモータ 一 (lac、 tac、 trc、 trp、 CMV、 SV40初期プロモーターなど) を有する GST融合タ ンパクべクタ一 (PGEX4Tなど) や、 Myc、 Hisなどのタグ配列を有するベクター (pcDNA3, 1/Myc- Hisなど) 、 さらにはチォレドキシンおよび Hisタグとの融合タ ンパク質を発現するベクター (PET32a) などを用いることができる。
以上のような本発明のポリヌクレオチドまたはそれを含有する発現ベクターを W0 02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002)に記述のヒ トモ デル動物に供すること等により CTL誘導活性を測定することができる。
本発明のポリヌクレオチドまたはそれを含有する発現ベクターは、 例えば、 ① 後述する本発明のペプチドの製造において、 ②後述する遺伝子治療において、 ま た③後述する抗原提示細胞の作製において、 有効に用いることができる。
前記で作製された発現ベクターで宿主を形質転換することにより、 当該発現べ クターを含有する形質転換細胞を作製することができる。
ここで用いられる宿主としては、 大腸菌、 酵母、 昆虫細胞、 動物細胞などが挙 げられる。 大腸菌としては、 E. coli K-12系統の HB101株、 C600株、 JM109株、 DH5 α株、 AD494 (DE3)株などが挙げられる。 また酵母としては、 サッカロミセス -セ ノレビジェなどが挙げられる。 動物細胞としては、 L929細胞、 BALB/c3T3細胞、 C127細胞、 CH0細胞、 COS細胞、 Vero細胞、 Hela細胞などが挙げられる。 昆虫細胞 としては sf9などが挙げられる。
宿主細胞への発現べクタ一の導入方法としては、 前記宿主細胞に適合した通常 の導入方法を用いれば良い。 具体的にはリン酸カルシウム法、 DEAE-デキストラ ン法、 エレクト口ポレーシヨン法、 遺伝子導入用リピッド (Lipofectamine、 Lipofectin; Gibco- BRL社) を用いる方法などが挙げられる。 導入後、 選択マー カーを含む通常の培地にて培養することにより、 前記発現べクターが宿主細胞中 に導入された形質転換細胞を選択することができる。
以上のようにして得られた形質転換細胞を好適な条件下で培養し続けることに より、 本発明のペプチドを製造することができる。 得られたポリペプチドは、 一 般的な生化学的精製手段により、 さらに単離 ·精製することができる。 ここで精 製手段としては、 塩析、 ィオン交換ク口マトグラフィ一、吸着ク口マトグラフィ 一、 ァフィ二ティークロマトグラフィー、 ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げ られる。 また本発明のポリペプチドを、 前述のチォレドキシンや Hisタグ、 GST等 との融合タンパク質として発現させた場合は、 これら融合タンパク質やタグの性 質を利用した精製法により単離 ·精製することができる。
(III) 本発明の抗体
本発明は、 本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。 本発明の抗 体は、 その形態に特に制限はなく、 本発明のペプチドを免疫原とするポリクロー ナル抗体であつても、 またモノクローナル抗体であっても良い。
本発明の抗体は前記のように本発明のぺプチドに特異的に結合するものであれ ば特に制限されないが、 具体的には、 配列番号: 5、 6、 Ί 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24のいずれかに記載のアミ ノ酸配列からなり CTL誘導活性を有するぺプチドに特異的に結合する抗体を挙げ ることができる。 このうち配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15 および 16のいずれかに記載のァミノ酸配列からなるぺプチドに特異的に結合する 抗体がより好ましい。
これらの抗体の製造方法は、 すでに周知であり、 本発明の抗体もこれらの常法 に従って製造すること力 Sでさる (Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. 12
〜11. 13、 Antibodies ; A Laboratory Manual, Lane, H, D.ら編, Cold Spring Harber Laboratory Press 出版 New York 1989) 0
具体的には、 本発明のペプチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12s 13 14、 I5および 16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチ ド) を免疫原として用い、 家兎等の非ヒト動物を免疫し、 該免疫動物の血清から 常法に従って得ることが可能である。 一方、 モノクローナル抗体の場合には、 本 発明のペプチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15お ょぴ 16のいずれかに記載のァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド) をマウス等の 非ヒト動物に免疫し、 得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製し たハイプリドーマ細胞の中から得ることができる (Current protocols in
Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11. :〜 11. 11) 。
本発明のぺプチドに対する抗体の作製は、 宿主に応じて種々のアジュバントを 用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。 そのようなアジュ バントには、 フロイントアジュバント、 水酸化アルミニウムのようなミネラルゲ ノレ、 並びにリゾレシチン、 プル口ニックポリオル、 ポリア二オン、 ペプチド、 油 乳剤、 キーホールリンぺットへモシァニンおよびジェトロフエノールのような表 面活性物質、 B C G (カルメット一ゲラン桿菌) ゃコリネバクテリゥム-パルヴ ムなどのヒトアジュバントなどがある。
以上のように本発明のぺプチドを用いて常法により適宜動物を免疫することに より、 ぺプチドを認識する抗体、 さらにはその活性を中和する抗体が容易に作製 できる。 抗体の用途としては、 ァフィ二ティークロマトグラフィー、 免疫学的診 断等が挙げられる。 免疫学的診断は、 ィムノブロット法、 放射免疫測定法 (R I A) 、 酵素免疫測定法 (E L I S A) 、 蛍光あるいは発光測定法等より適宜選択 できる。 このような免疫学的診断は、 WT1遺伝子が発現している癌、 すなわち胃 癌、 大腸癌、 肺癌、 ?L癌、 胚細胞癌、 皮膚癌、 膀胱癌、 前立腺癌、 子宮癌、 子宮 頸癌、 卵巣癌等の診断において有効である。
(IV) 本発明の抗原提示細胞
本発明は、 本発明のぺプチド由来の癌抗原べプチドと HLA - A24抗原との複合体 の提示された抗原提示細胞を提供する。
後述の実施例において、 本発明のぺプチド投与により CTL誘導活性が認められ たが、 これは、 末梢血単核球中に、 本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドと HLA-A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞が存在し、 そして、 この複合 体の提示された細胞を特異的に認識する CTLが誘導されたことを示すものである。 このような、 HLA- A24抗原と本発明のぺプチド由来の癌抗原ぺプチドとの複合体 の提示された抗原提示細胞は、 後述する細胞療法 (DC療法) において有効に用い られる。
本発明の抗原提示細胞は、 本発明のぺプチド由来の癌抗原ぺプチドと HLA- A24 抗原との複合体の提示された抗原提示細胞であれば良 ヽ。 具体的には、 配列番 号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24のレ、ずれかに記載のァミノ酸配列からなり CTL誘導活性を有するぺプ チドと HLA - A24抗原との複合体が樹状細胞の細胞表面に提示された抗原提示細胞 を挙げることができる。 このうち配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、
14、 15および 16のいずれかに記載のァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチドと HLA- A24抗原との複合体が樹状細胞の細胞表面に提示された抗原提示細胞が好ましい。 細胞療法 (DC療法) において用いられる抗原提示細胞は、 癌患者から抗原提示 能を有する細胞を単離し、 この細胞に本究明のぺプチドを体外でパルスするか、 または本発明のポリヌクレオチドやそれを含有する発現べクターを細胞内に導入 して、 HLA-A24抗原と本発明のぺプチド由来の癌抗原べプチドとの複合体を細胞 表面に提示させることにより作製される。 ここで 「抗原提示能を有する細胞」 と は、 本発明のぺプチドを提示可能な HLA-A24抗原を細胞表面に発現している細胞 であれば特に限定されないが、 抗原提示能が高いとされている樹状細胞が好まし い。
また、 前記抗原提示能を有する細胞にパルスされるものとしては、 本発明のぺ プチドであっても良いし、 また本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド やそれを含有する発現ベクターであっても良い。
本発明の抗原提示細胞は、 例えば癌患者から抗原提示能を有する細胞を単離し、
該細胞に本発明のぺプチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド) を体 外でノ、。ルスし、 HLA - A24抗原と本発明のぺプチド由来の癌抗原べプチドとの複合 体を作製することにより得られる(Cancer Immunol. Immunother. , 46:82, 1998、 J. Immunol. , 158: pl796, 1997、 Cancer Res. , 59: pll84, 1999)。 樹状細胞を用い る場合は、 例えば、 癌患者の末梢血からフイコール法によりリンパ球を分離し、 その後非付着細胞を除き、 付着細胞を GM-CSFおよぴ IL-4存在下で培養して樹状細 胞を誘導し、 当該樹状細胞を本発明のぺプチドと共に培養してノ ルスすることな どにより、 本発明の抗原提示細胞を調製することができる。
また、 前記抗原提示能を有する細胞に本発明のペプチドをコードするポリヌク レオチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16 のいずれかに記載のアミノ酸配列を含むぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチ ド) あるいはそれを含有する発現べクターを導入することにより本発明の抗原提 示細胞を調製する場合は、 当該ポリヌクレオチドが DNAの場合は Cancer Res. , 56 : p5672, 1996や J, Immunol. , 161: ρ5607, 1998などを参考にして行うこと ができる。 また、 DNAのみならず RNAの形態でも同様に抗原提示細胞を調製するこ とができ、 この場合は、 J. Exp. Med. , 184: p465, 1996などを参考できる。 以上のようにして作製された本発明の抗原提示細胞は、 後述する CTLの誘導剤、 癌ワクチンの有効成分として、 細胞療法 (DC療法) において有効に用いられる。
(V) 本発明の CTL
本発明は、 本発明のぺプチド由来の癌抗原べプチドと HLA - A24抗原との複合体 を認識する CTLを提供する。
後述の実施例において、 本発明のぺプチド投与により CTL誘導活性が認められ た。 これは、 末梢血単核球中に、 本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドと HLA - A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞が存在し、 そして、 この複合体の 提示された細胞を特異的に認識する CTLが誘導されたことを示すものである。 こ のような、 HLA - A24抗原と本発明のぺプチド由来の癌抗原ぺプチドとの複合体を 特異的に認識する CTLは、 後述する養子免疫療法において有効に用いられる。
本発明の CTLは、 本発明のぺプチド由来の癌抗原ぺプチドと HLA- A24抗原との複 合体を特異的に認識するものであれば良いが、 具体的には、 配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23および 24のい ずれかに記載のァミノ酸配列からなり CTL誘導活性を有するぺプチドと HLA-A24抗 原との複合体を特異的に認識する CTLを挙げることができる。 このうち配列番 号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかに記載のアミ ノ酸配列からなる癌抗原ぺプチドと HLA- A24抗原との複合体を特異的に認識する CTLが好ましい。
養子免疫療法において用いられる CTLは、 患者の末梢血リンパ球を単離し、 こ れを本発明のペプチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、
15および 16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド) 、 あるい は本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド (例えば 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含むペプチドを コードするポリヌクレオチド) やそれを含有する発現べクタ一でィン ·ビトロで 刺激する等により作製される (Journal of Experimental Medicine 1999, 190:
1669) 。
以上のようにして作製された本発明の CTLは、 癌ワクチンの有効成分として、 養子免疫療法において有効に用いられる。
(VI) 癌ワクチンとしての医薬,袓成物
以上に記載した本発明のペプチド、 本発明のポリヌクレオチド、 本発明の発現 ベクター、 本発明の抗原提示細胞、 および本発明の CTLは、 それぞれの物質に応 じた適切な形態とすることにより、 CTLの誘導剤、 すなわち癌ワクチンの有効成 分とすることができる。 以下、 具体的に説明する。
(6-1) 本 明のペプチドを有効成分とする癌ワクチン
本発明のペプチドは、 CTLの誘導能を有するものであり、 誘導された CTLは、 細 胞傷害作用ゃリンフォカインの産生を介して抗癌作用を発揮することができる。 従って本発明のぺプチドは、 癌の治療または予防のための癌ワクチンの有効成分
とすることができる。 すなわち本発明は、 本発明のペプチドを有効成分として含 有する癌ワクチン (癌ワクチンとしての医薬組成物) を する。 本発明の癌ヮ クチンを HLA-A24陽性かつ WT1陽性の患者に投与すると、 抗原提示細胞の HLA - A24 抗原にぺプチド (例えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15お よび 16のいずれかに記載のァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド) が提示され、 提示された HLA - A24抗原とぺプチドとの複合体に特異的な CTLが増殖して癌細胞を 破壌することができ、 従って、 癌の治療または予防が可能となる。 本発明の癌ヮ クチンは、 WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、 例えば白血病、 骨髄異形成 症候群、 多発性骨髄腫、 悪性リンパ腫などの血液性の癌や、 胃癌、 大腸癌、 肺癌、 乳癌、 胚細胞癌、 肝癌、 皮膚癌、 膀胱癌、 前立腺癌、 子宮癌、 子宮頸癌、 卵巣癌 等の固形癌の予防または治療のために使用することができる。
よって、 本発明は別の態様として、 本発明の癌ワクチンの有効量を HLA- A24陽 性かつ WT1陽性の患者に投与することにより、 癌を治療または予防するための方 法を提供する。
本発明のペプチドを有効成分とする癌ワクチンは、 単一の CTLェピトープ (例 えば配列番号: 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、 12、 13、 14、 15および 16のいずれかに 記載のァミノ酸配列からなる癌抗原ぺプチド) を有効成分とするものであっても、 また他のぺプチド (CTLェピトープゃヘルパーェピトープ) と連結したェピトー プペプチドを有効成分とするものであっても良い。 すなわち近年、 複数の CTLェ ピトープ (抗原ぺプチド) を連結したェピトープぺプチドが、 ィン ·ビボで効率 的に CTL誘導活性を有することが示されている。 例えば Journal of Immunology 1998, 161: 3186- 31Θ4には、 癌抗原タンパク質 PSA由来の HLA- A2, -A3, -All, B53拘束性 CTLェピトープ (抗原ペプチド) を連結した約 30merのェピトープぺプ チドが、 ィン ·ビボでそれぞれの CTLェピトープに特異的な CTLを誘導したことが 記載されている。 また CTLェピトープとへ^^パーェピトープとを連結させたェピ トープペプチドにより、 効率的に CTLが誘導されることも示されている。 このよ うなェピトープぺプチドの形態で投与した場合、 抗原提示細胞内に取り込まれ、 その後、 細胞内分解を受けて生じた個々の抗原べプチドが HLA抗原と結合して複 合体を形成し、 該複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示され、 この複合体に
特異的な CTLが体内で効率的に増殖し、 癌細胞を破壌する。 このようにして癌の 治療または予防が達成される。
また本発明のぺプチドを有効成分とする癌ワクチンは、 細胞性免疫が効果的に 成立するように、 医薬として許容されるキャリアー、 例えば適当なアジュバント とともに投与したり、 粒子状の剤型にして投与することができる。 アジュパント としては、 文献 (Clin. Microbiol. Rev. , 7 : 277-289, 1994) に記載のものなど が応用可能であり、 具体的には、 菌体由来成分、 サイトカイン、 植物由来成分、 海洋生物由来成分、 水酸化アルミニウムの如き鉱物ゲル、 リソレシチン、 プル口 ニックポリオールの如き界面活性剤、 ポリア二オン、 ペプチド、 または油乳濁液 (ェマルジヨン製剤) などを挙げることができる。 また、 リボソーム製剤、 直径 数 μ ηιのビーズに結合させた粒子状の製剤、 リピッドを結合させた製剤なども考 えられる。
投与方法としては、 皮内投与、 皮下投与、 筋肉内投与、 静脈内投与などが挙げ られる。 製剤中の本発明のペプチドの投与量は、 治療目的の疾患、 患者の年齢、 体重等により適宜調整することができるが、 通常 0. 0001mg〜1000rag、 好ましくは 0. 001mg〜1000mg、 より好ましくは 0. lrag〜10tngであり、 これを数 Bないし数月 に 1回投与するのが好ましい。
(6-2) 本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド、 または発現ベクターを 有効成分とする DNAワクチン
前記本発明のぺプチドのみならず、 当該べプチドをコ一ドするポリヌクレオチ ド、 およびそれを含有する発現ベクターもまた、 癌の治療または予防のための DNAワクチンの有効成分とすることができる。 すなわち本発明は、 本発明のぺプ チドをコードするポリヌクレオチド、 または当該ポリヌクレオチドを含有する発 現ベクターを有効成分として含有する癌ワクチン (癌ワクチンとしての医薬組成 物) を提供する。 また、 本発明は別の態様として、 本発明の DNAワクチンの有効 量を HLA- A24陽性かつ WT1陽性の患者に投与することにより、 癌を治療または予防 するための方法を提供する。
近年、 複数の CTLェピトープ (抗原ペプチド) を連結したェピトープペプチド
をコードするポリヌクレオチド、 あるいは CTLェピトープとへノレパーェピトープ とを連結させたェピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドが、 in vivo で効率的に CTL誘導活性を有することが示されている。 例えば Journal of
Immunology 1999, 162: 3915- 3925には、 HBV由来 HLA-A2拘束性抗原ペプチド 6種 類、 HLA- All拘束性抗原ペプチド 3種類、 およびヘルパーェピトープを連結した ェピトープペプチドをコードする DNA (ミニジーン) 力 イン.ビボでそれぞれ のェピトープに対する CTLを効果的に誘導したことが記載されている。
従って、 本発明のぺプチドをコ一ドするポリヌクレオチドを 1種または 2種以 上連結させることにより、 また場合によっては他のペプチドをコードするポリヌ クレオチドも連結させることにより作製されたポリヌクレオチドを、 適当な発現 ベクターに組み込むことにより、 癌ヮクチンの有効成分とすることができる。 本発明のポリヌクレオチドを癌ワクチン (DNAワクチン) の有効成分として適 用する際には、 以下の方法が使用され得る。
すなわち、 本発明のポリヌクレオチドを細胞内に導入する方法としては、 ウイ ルスベクターによる方法およびその他の方法 (日経サイエンス, 1994年 4月号,
20 - 45頁、 月刊薬事, 36 (1) , 23-48 (1994)、 実験医学増刊, 12 (15) , (1994)、 お ょぴこれらの引用文献等) のいずれの方法も適用することができる。
ウィルスベクターによる方法としては、 例えばレトロウイルス、 アデノウィル ス、 アデノ関連ウィルス、 ヘルぺスウィルス、 ワクシニアウィルス、 ボックスゥ ィルス、 ポリオウイルス、 シンビスウィルス等の D NAウィルスまたは R NAゥ ィルスに本努明の D NAを組み込んで導入する方法が挙げられる。 この中で、 レ トロウィルス、 アデノウイルス、 アデノ関連ウィルス、 ワクシニアウィルス等を 用いた方法が特に好ましい。
その他の方法としては、 発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法 (D NA ワクチン法) 、 リボソーム法、 リポフエクチン法、 マイクロインジェクション法、 リン酸カノレシゥム法、 エレクト口ポレーシヨン法等が挙げられ、 特に D NAワク チン法、 リボソーム法が好ましい。
本発明のポリヌクレオチドを実際に医薬として作用させるには、 当該ポリヌク レオチドを直接体内に導入する in vivo法、 およぴヒトからある種の細胞を採集
し体外で D NAを該細胞に導入しその細胞を体内に戻す ex vivo法がある (日経 サイエンス, 1994年 4月号, 20- 45頁、 月刊薬事, 36 (1), 23-48 (1994)、 実験医学 増刊, 12 (15), (1994)、 およびこれらの引用文献等) 。 in vivo法がより好まし in vivo法により投与する場合は、 治療目的の疾患、 症状等に応じた適当な投 与経路により投与され得る。 例えば、 静脈、 動脈、 皮下、 皮内、 筋肉內等に投与 することができる。 in vivo法により投与する場合は、 例えば、 液剤等の製剤形 態をとりうるが、 一般的には有効成分である本発明のポリヌクレオチドを含有す る注射剤等とされ、 必要に応じて、 慣用の担体を加えてもよい。 また、 本発明の ポリヌクレオチドを含有するリボソームまたは膜融合リボソーム (センダイウイ ルス (HVJ) -リボソーム等) においては、 懸濁剤、 凍結剤、 遠心分離濃縮凍結剤 等のリポソーム製剤の形態とすることができる。
製剤中の本発明のポリヌクレオチドの含量は、 治療目的の疾患、 患者の年齢、 体重等により適宜調整することができるが、 通常、 0. 0001mg〜100mg、 好ましく は 0. 001mg〜10mgの本発明のポリヌクレオチドを、 数日ないし数月に 1回投与す るのが好ましい。
以上のような本発明のポリヌクレオチドの癌患者への投与により、 抗原提示細 胞内で当該ポリヌクレオチドに対応するポリペプチドが高発現する。 その後、 細 胞内分解を受けて生じた個々の癌抗原べプチドが HLA抗原と結合して複合体を形 成し、 該複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示され、 この複合体特異的な CTLが体内で効率的に増殖し、 癌細胞を破壌する。 以上のようにして、 癌の治療 または予防が達成される。 本発明のポリヌクレオチドまたは当該ポリヌクレオチ ドを含有する発現ベクターを有効成分とする癌ワクチンは、 WT1遺伝子の発現レ ベルの上昇を伴う癌、 例えば白血病、 骨髄異形成症候群、 多発性骨髄腫、 悪性リ ンパ腫などの血液性の癌や、 胃癌、 大腸癌、 肺癌、 乳癌、 胚細胞癌、 肝癌、 皮膚 癌、 膀胱癌、 前立腺癌、 子宮癌、 子宮頸癌、 卵巣癌等の固形癌の予防または治療 のために使用することができる。
(6-3) 本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチン
本発明は、 本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンを提供する。 近年、 癌患者の末梢血からリンパ球を分離し、 その中から樹状細胞を誘導し、 イン ·ビトロでぺプチド等をパルスして調製した抗原提示細胞を皮下投与などに より患者に戻す細胞療法 (DC療法) が報告されている (Cancer Immunol.
Iramunother. , 46: 82, 1998、 J. Immunol. , 158: pl796, 1997、 Cancer Res. ,
59: pll84, 1999、 Cancer Res. , 56: p5672, 1996、 J. Immunol. , 161: p5607, 1998、 J. Exp. Med. , 184: p465, 1996)。 従って前記本発明の抗原提示細胞を、 細胞療法における癌ワクチンの有効成分として使用することができる。
本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンは、 抗原提示細胞を安定に 維持するために、 生理食塩水、 リン酸緩衝生理食塩水 (PBS) 、 培地等を含むこ とが好ましい。 投与方法としては、 静脈内投与、 皮下投与、 皮内投与が挙げられ る。 また投与量は、 前記文献記載の投与量が例示される。
前記癌ワクチンを患者の体内に戻すことにより、 HLA- A24陽性かつ WT1陽性の患 者の体内で効率良く特異的な CTLが誘導され、 癌を治療または予防することがで きる。 本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンは、 WT1遺伝子の発現 レベルの上昇を伴う癌、 例えば白血病、 骨髄異形成症候群、 多発性骨髄腫、 悪性 リンパ腫などの血液性の癌や、 胃癌、 大腸癌、 肺癌、 乳癌、 胚細胞癌、 肝癌、 皮 膚癌、 膀胱癌、 前立腺癌、 子宮癌、 子宮頸癌、 卵巣癌等の固形癌の予防または治 療のために使用することができる。
(6-4) 本発明の CTLを有効成分とする癌ワクチン
本発明は、 本発明の CTLを有効成分とする癌ワクチン (癌ワクチンとしての医 薬組成物) を提供する。 本発明の CTLは、 以下の養子免疫療法において有効に用 いられる。
メラノーマにおいて、 患者本人の腫瘍内浸潤 T細胞を体外で大量に培養し、 こ れを患者に戻す養子免疫療法に治療効果が認められている (J. Natl. Cancer. Inst., 86: 1159, 1994) 。 またマウスのメラノーマでは、 脾細胞をイン'ビト 口で癌抗原べプチド T R P— 2で刺激し、 癌抗原ぺプチドに特異的な CTLを増殖 させ、 該 CTLをメラノーマ移植マウスに投与することにより、 転移抑制が認めら
れている (J. Exp. Med. , 185: 453, 1997) 。 これは、 抗原提示細胞の HLA抗原 と癌抗原ぺプチドとの複合体を特異的に認識する CTLをィン ·ビトロで増殖させ た結果に基づくものである。 従って、 本発明のペプチドあるいは本発明のポリヌ クレオチドゃ発現べクターを用いて、 イン ·ビトロで患者末梢血リンパ球を刺激 して癌特異的 CTLを増やした後、 この CTLを患者に戻す治療法は有用であると考え られる。 従って前記本発明の CTLを、 養子免疫療法におけ ¾癌ワクチンの有効成 分として使用することができる。
本発明の CTLを有効成分とする癌ワクチンは、 CTLを安定に維持するために、 生 理食塩水、 リン酸緩衝生理食塩水 (PBS) 、 培地等を含むことが好ましい。 投与 方法としては、 静脈内投与、 皮下投与、 皮内投与が挙げられる。 また投与量とし ては、 前記文献記載の投与量が例示される。
前記癌ワクチンを患者の体内に戻すことにより、 HLA-A24陽性かつ WT1陽性の患 者の体内で CTLによる癌細胞の傷害作用が促進され、 癌細胞を破壊することによ り、 癌を治療することができる。 本発明の CTLを有効成分とする癌ワクチンは、 WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、 例えば白血病、 骨髄異形成症候群、 多 発性骨髄腫、 悪性リンパ腫などの血液性の癌や、 胃癌、 大腸癌、 肺癌、 乳癌、 胚 細胞癌、 肝癌、 皮膚癌、 膀胱癌、 前立腺癌、 子宮癌、 子宮頸癌、 卵巣癌等の固形 癌の予防または治療のために使用することができる。 実施例
以下、 実施例により本発明を具体的に説明する力 本発明はこれらの実施例に よりなんら限定されるものではない。 実施例 1
システィン残基置換型べプチドによる CTL誘導活性 ( 1 )
WT 1のアミノ酸配列 (配列番号: 1 ) の第 235位 -243位よりなるペプチド (訂1235- 243、 配列番号: 2 ) の第 2位のメチォニン残基をチロシン残基に置換し たペプチド Aの、 第 1位のシスティン残基をセリン残基、 ァラニン残基、 2—アミ ノ酪酸残基、 アルギニン残基またはリジン残基に置換した置換型ペプチド (ぺプ
チド B、 C、 D、 E、 F) を合成し、 イン'ビポでの免疫原性を検討した。 以下に、 置換前のぺプチド A (非置換型ぺプチドとも言う) および置換型ぺプチド B〜Fの アミノ酸配列を示す。
ぺプチド A: Cys-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号 3)
ぺプチ KB: Ser-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配歹 (1番号 5)
ぺプチド C: Ala-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号 6)
ぺプチド D: Abu-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号 7)
ぺプチド Έ: Arg Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 8}
ぺプチド F: Lys Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 9)
イン'ビボでの免疫原性の検討は、 HLA— A240 2/Kbトランスジェニ ックマウスを用いて行った。 当該トランスジエニックマウスの作製およびイン' ビボ免疫原性の測定については、 W) 02/47474号公報および Int J. Cancer: 100, 565-570 (2002) に詳細に記述されており、 当該文献に記載の方法に準じて 実施した。
1) ペプチドの薬剤調製と投与
前記非置換型ぺプチドおよび置換型ぺプチドは Fmoc法により合成した。 各合成 ペプチドをそれぞれ 4 Omg/m 1に DM SOにて調整し、 さらに滅菌水で 2. AmgZm 1にそれぞれ希釈した。 次に、 ガラスシリンジを用いて、 1. 2 7倍 量のフロイントの不完全アジュバント (I SA5 1) と混合することにより wa t e r— i n— o i 1エマルシヨンを作製し、 200 μ 1の当該薬剤を H L A— Α240 2/Kbトランスジエニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2) 脾細胞の調製
免疫 7日後に脾臓を摘出し、 スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壊し、 脾細胞を回収 '調製した。 AC Kバッファー (0.15M H4C1、 10mM KHC03、 0. ImM EDTA, pH7.2-7.4) にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原べプチド薬剤を 1 00 μ g /m 1で 1時間パルスし、 7 X 1 05個/ w e 1 1で 24穴プレートに 播種した。 このとき、 ぺプチド非パルスの 7 X 1 06個 e 1 1の脾細胞を同
時に加えて 37°C下で 5— 6 S間イン'ビトロで刺激培養した。 この際の培地とし て、 RPMI -1640培地に 10%FCS、 1 OmM HEPES、 2 OmM L ―グルタミン、 1 mMヒ。ルビン酸ナトリウム、 1 mM MEM非必須ァミノ酸、 1 % MEMビタミン、 55/xM 2-メルカプトエタノールを加えたものを用いた。
3) 細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害性試験を行った。 標的細胞 (T) として、 EL— 4細胞 (大日本製薬株式会社、 カタ口グ No.06-039) に HLA— A2402 /K bをコ ードする遺伝子発現ベクターを導入して得られた EL 4—A 2402/Kb細胞、 および当該 EL4— A240 ΖΖΚ15細胞にペプチド A、 B、 C、 D、 Eまたは Fをパ ルスした細胞を用いた。 なお EL4— A2402ZKb細胞は、 W002/47474号 公報に記載の J u r k a t -A2402 ZKb細胞と同様にして調製した。
これらの細胞は 3. 7MB q/106個で51 C rラベルし、 ペプチドパルスは 100 μ g Zm 1で 1時間実施した (ラベル時間 2時間、 ラベル開始 1時間後に ぺプチドを添加) 。 イン ·ビトロで刺激培養した脾細胞をェフエクタ一細胞
(E) として標的細胞と各種の比率で混合することにより51 C rリリースアツセ ィ (J. Immunol 1997; 159:4753) を実施し、 エフェクター細胞の傷害活性を測定 した。 結果を図 1〜6に示す。 縦軸は傷害活性を示し、 横軸の値は EZT比を示す。 この図から明らかな通り、 ぺプチド Aの第 1位のシスティン残基をセリン残基、 ァラニン残基、 2—ァミノ酪酸残基、 アルギニン残基またはリジン残基に置換し たペプチドは、 非置換型ペプチドと同等の免疫原性 (CTL誘導活性) を有してい ることが明らかとなった。 実施例 2
システィン残基置換型ぺプチドによる細胞傷害活性
置換型ペプチド (ペプチド 、 C、 D、 E、 F) によって誘導されたエフェクター 細胞の非置換型ペプチド (ペプチド A) に対する交差反応性を試験した。 ぺプチ KB、 C、 D、 Eまたは Fをマウスに免疫することにより誘導されたエフェクター細 胞 (E) に対して、 ペプチド B、 C、 D、 Eまたは Fをノ、。ルス、 非置換型ペプチド Aを
パルス、 あるいはぺプチド非パルスの EL4— AZAO S/Kb細胞を標的細胞 (T) として作用させ、 エフェクター細胞の細胞傷害活性を51 C rリリースァ ッセィにより測定した。 結果を図 7〜11に示す。
この図から明らかな通り、 ペプチド Aの第 1位のシスティン残基をセリン残基、 ァラニン残基、 2—ァミノ酪酸残基、 アルギニン残基またはリジン残基へ置換し たぺプチド B〜Fで誘導した CTLは、 非置換型ぺプチド Aに交差反応性を示した。 実施例 3
残基置換型ペプチドによる CTL誘導活性 (2)
WT1の第 235位 -243位よりなる天然型ペプチド (WT1235_ 243、 配列番号: 2) の 第 1位のシスティン残基をセリン残基またはァラニン残基に置換した置換型ぺプ チド (ペプチド G、 H) 、 および、 前記ペプチド A (WT1235— 243の第 2位のメチォニン 残基をチロシン残基に置換したぺプチド、 配列番号: 3)の第 1位のシスティン残 基をオルェチン残基またはシトルリン残基に置換した置換型べプチド (ぺプチド
I、 J)を合成し、 イン 'ビポでの免疫原性を検討した。 以下に、 置換型ペプチド G 〜 Jのアミノ酸配列を示す。 プチ KG: Ser Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 5) ίプチド Ή: Ala Met Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 6)
'、プチド I: Orn Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 0> プチド J: Cit Tyr Thr Trp Asn Gin Met Asn Leu (配列番号 1) ィン■ビポでの免疫原性の検討は、 HLA— ASAO SZKbトランスジェニ ックマウスを用いて行った。
1) ペプチドの薬剤調製と投与
前記置換型ぺプチドは Fraoc法により合成した。 各合成べプチドをそれぞれ 40 111£ 1111に13]^30にて調整し、 さらに 1 OmMリン酸バッファー (pH7. 5) で 2. 4mgZm 1にそれぞれ希釈した。 このとき、 KLH (K e y h o 1
e L i mp e t s Hemo c y a n i n) を 0. 24m g/m 1で添加した。 次に、 ガラスシリンジを用いて、 1. 2 7倍量のフロイントの不完全アジュバン ト (I SA5 1) と混合することにより w a t e r— i n— o i 1エマルシヨン を作製し、 200 μΐの当該薬剤を HL A—A 2402/Kbトランスジェニッ クマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2) 脾細胞の調製
免疫 7日後に脾臓を摘出し、 スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壌し、 脾細胞を回収'調製した。 AC Kバッファー (0.15M H4C1、 lOmM KHC03、 0. ImM EDTA, pH7.2-7.4) にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原ペプチド薬剤を 1
00 μ g /m 1で 1時間パノレスし、 7 X 1 05個 Zw e 1 1で 24穴プレートに 播種した。 このとき、 ぺプチド非パルスの 7 X 1 06個 Zw e 1 1の脾細胞を同 時に加えて 37°C下で 5— 6 0間イン ·ビトロで刺激培養した。 この際の培地とし て、 RPMI— 1 640培地に 1 0%F C S、1 0mM HEPE S、 20 mM L -グルタミン、 1 mMピルビン酸ナトリウム、 1 mM MEM非必須ァミノ酸、 1 %
MEMビタミン、 5 5 /xM 2-メルカプトエタノール、 30 U/m 1 組み換えヒト
1 L— 2を加えたものを用いた。
3) 細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害性試験を行った。 標的細胞 (T) として、 E L— 4細胞
(大日本製薬株式会社、 カタ口グ No.06-039) に HLA— A240 2ノ Kbをコ ードする遺伝子発現べクタ一を導入して得られた EL 4— A 2402ZKb細胞、 および当該 E L 4-A2402 Kb細胞にぺプチド 、 Iまたは Jをパルスした 細胞を用いた。 また J u r k a t— A 240 2/ b« (W0 02/47474号公 報) 、 および当該 J u r k a t ~A240 2ZKb細胞にぺプチド Hをパルスし た細胞を用いた。
これらの細胞は 3. 7MB q 1 06個で51 C rラベノレし、 ペプチドパルスは
20 /x g/m lで 0.5時間実施した。 イン. ビトロで刺激培養した脾細胞をエフ ェクタ一細胞 (E) として標的細胞と各種の比率で混合することにより51 C r
リースアツセィ (J. Immunol 1997; 159:4753) を実施し、 エフェクター細胞の傷 害活性を測定した。 結果を図 12〜15に示す。 縦軸は傷害活性を示し、 横軸の値は E/T比を示す。 この図から明らかな通り、 ペプチド G、 H、 Iおよび Jは全て免疫原 性 (CTL誘導活性) を有していることが明らかとなった。 実施例 4
残基—置換型ペプチドによる CTL該導 ϋ性 (3)
ぺプチド A (WT1235— 243の第 2位のメチォニン残基をチロシン残基に置換したぺプ チド、 配列番号: 3)の第 1位のシスティン残基をロイシン残基、 フエ二ルァラ二 ン残基またはァスパラギン残基に置換した置換型ペプチド (ペプチド L、 M)を 合成し、 イン 'ビポでの免疫原性を検討した。 以下に、 置換型ペプチド K〜Mのァ ミノ酸配列を示す。
'、プチド K: Leu-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配歹 I墦号 2)
'、プチド L: Phe-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号 3) プチ KM: Asn-Tyr-Thr-Trp-Asn-Gln-Met-Asn-Leu (配列番号 4) ィン ·ビボでの免疫原性の検討は、 HLA— A2402/Kbトランスジェニ ックマウスを用いて行つた。
1) ペプチドの薬剤調製と投与
置換型ぺプチドは Fmoc法により合成した。 各合成ぺプチドをそれぞれ 40 m g Zm 1に DM SOにて調整し、 さらに生理食塩水で 2. 4mg/mlにそれぞれ 希釈した。 次に、 ガラスシリンジを用いて、 1. 27倍量のフロイントの不完全 アジュバント (I SA51) と混合することにより wa t e r— i n— o i lェ マルションを作製し、 200 μlの当該薬剤をHLA—A2402/Kbトラン スジエニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2) 脾細胞の調製
免疫 7日後に脾臓を摘出し、 スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壌し、 脾細胞を回収'調製した。 AC Kバッファー (0.15M NH4C1、 lOraM KHC03、 0. IraM EDTA, pH7.2-7.4) にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原ぺプチド薬剤を 1 00 μ g /m 1で 1時間パルスし、 7 X 1 05個 e 1 1で 24穴プレートに 播種した。 このとき、 ぺプチド非パノレスの 7 X 1 06個 Zw e 1 1の脾細胞を同 時に加えて 37°C下で 5— 6 間イン'ビトロで刺激培養した。 この際の培地とし て、 RPMI - 1 640培地に 1 0%FC S、 1 0raM HEPE S、 20 mM L 一グルタミン、 1 mMピルビン酸ナトリウム、 1 mM MEM非必須ァミノ酸、 1 % MEMビタミン、 5 5 /zM 2-メルカプトエタノールを加えたものを用いた。
3) 細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害†生試験を行った。 標的細胞 (T) として、 EL— 4細胞 に HLA— A2402/Kbをコードする遺伝子発現ベクターを導入して得られ た E L4— A240 2/Kb細胞、 および当該 E L4—A 240 2/Kb細胞に ぺプチド Lまたは Mをパルスした細胞を用いた。
これらの細胞は 3. 7MB qZl 06個で51 C rラベルし、 ペプチドパルスは 1 00 μ g /m 1で 1時間実施した (ラベル時間 2時間、 ラベル開始 1時間後に ペプチドを添加) 。 イン'ビトロで刺激培養した脾細胞をエフェクター細胞
(E) として標的細胞と各種の比率で混合することにより51 C r ];·リースアツセ ィ (J. Immunol 1997; 159:4753) を実施し、 エフェクター細胞の傷害活性を測定 した。 結果を図 16〜18に示す。 縦軸は傷害活性を示し、 横軸の値は EZT比を示す。 この図から明らかな通り、 ペプチド Lおよひ 11は全て免疫原性 (CTL誘導活性) を有していることが明らかとなった。 産業上の利用可能十生
本発明により、 システィン残基を特定のァミノ酸残基に置換した新規な WT 1 置換型ペプチド、 当該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、 またはこれらぺ プチドゃポリヌクレオチドを含む癌ワクチンなどが提供される。 本発明の癌ワク チンは多くの癌患者を処置することができ、 また医薬品としての規格化が容易で
あるといった利点を有する t 配列表フリーテキスト
配列番号: 2に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号: 3に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号: 4に記載のァミノ酸配列の第 1番目の Xaaァミノ酸残基はセリン残 基 (Ser)、 ァラニン残基 (Ala〉、 2—ァミノ酪酸残基 (Abu) , アルギニン残基 (Arg)、 リジン残基 (Lys)、 オル二チン残基 (0rn)、 シトルリン残基 (Cit)、 口 イシン残基 (Leu;)、 フエ二ルァラニン残基 (Phe)またはァスパラギン残基 (Asn) であり、 第 2番目の Xaaアミノ酸残基はチロシン残基 (Tyr)またはメチォニン残 基 (Met)である。
配列番号 5に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号 6に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号 7に記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基は 2—アミノ酪 酸残基 (Abu)である。
配列番号: 8に記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号: 9に記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号: 1 0に記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基はオル二チン. 残基 (Orn)である。
配列番号: 1 1に記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基はシトルリン 残基 (Cit)である。
配列番号: 1 2に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号: 1 3に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号: 1 4に記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号: 1 5に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号: 1 6に記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号: 1 7に記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基は 2—ァミノ 酪酸残基 (Abu)である。
配列番号: 1 8に記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号: 1 9 :記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号: 2 0 :記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基はオル二チン 残基 (Orn)である。
配列番号: 2 1 :記載のァミノ酸配列の第 1番目のァミノ酸残基はシトルリン 残基 (Cit)である。
配列番号 2 2 :記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号 2 3 :記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号 2 4 :記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。
配列番号 2 5 :記載のァミノ酸配列は合成ぺプチドである。
配列番号 2 6 1;:記載のァミノ酸配列は合成べプチドである。