JPWO2004026897A1 - Wt1置換型ペプチド - Google Patents

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Abstract

システイン残基を特定のアミノ酸残基に置換した新規なWT1置換型ペプチド、当該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこれらペプチドやポリヌクレオチドをin vivoまたはin vitroで利用した癌ワクチンなどを提供すること。 式:X−Y−Thr−Trp−Asn−Gln−Met−Asn−Leu(配列番号:4)(式中、XはSer、Ala、Abu、Arg、Lys、Orn、Cit、Leu、PheまたはAsnを表し、YはTyrまたはMetを表す)で表されるアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチド、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、および当該ペプチドやポリヌクレオチド等を有効成分として含有する癌ワクチン等。

Description

本発明は、新規なWT1置換型ペプチドに関する。より詳細には、本発明は、システイン残基を特定のアミノ酸残基に置換した新規なWT1置換型ペプチド、および当該ペプチドの癌ワクチンとしての使用などに関する。
ペプチドに含まれるシステイン残基は溶液中で酸化されジスルフィド結合を生じる場合がある。還元型システイン残基を含むペプチドと酸化を受けたシステイン残基を含むペプチドとでは構造が大きく異なり、それらを癌ワクチンとして用いても、一方に特異的なCTLが他方に全く反応しないことがある(Immunity 1997;6:273−281)。よって、システイン残基を含む癌抗原ペプチドを癌ワクチン療法剤として開発する場合、ペプチドに含まれるシステイン残基を他のアミノ酸残基に置換したペプチドを代替品として開発することは、一つの有効な手段と考えられる。しかしながら、システイン残基を他のアミノ酸残基へ置換したペプチドが必ずしも癌抗原ペプチドとして機能するとは限らず、その有効性は個々の置換ペプチドによって大きく異なる(J.Immunol.,1998;161:6985−6992、J.Immunol.,1998;160:2099−2106)。
癌抗原タンパク質WT1(配列番号:1、Cell.,60:509,1990)の第235位−第243位よりなるペプチドであるWT1235−243(Cys−Met−Thr−Trp−Asn−Gln−Met−Asn−Leu;配列番号:2)は、HLA−A24拘束性のCTL誘導活性を有する癌抗原ペプチドである(Clin.Cancer.Res.8:2626,2002、WO 00/06602号公報)。このWT1235− 243の第2位のメチオニンをチロシンに改変した改変ペプチド(Cys−Tyr−Thr−Trp−Asn−Gln−Met−Asn−Leu;配列番号:3、以下当該改変ペプチドをWT1235−243(2M→Y)と称する場合もある)は、前記天然型ペプチドに比してHLA−A24抗原への高い結合性を有している(WO 02/079253号公報、国際公開日:2002年10月10日)。これら天然型ペプチドWT1235−243および改変ペプチドWT1235−243(2M→Y)は、いずれも癌免疫療法剤としての開発が期待されている。
本発明の目的は、システイン残基を特定のアミノ酸残基に置換した新規なWT1置換型ペプチド、および当該ペプチドの癌ワクチンとしての使用などを提供することにある。
本発明者らは、WT1235−243およびWT1235−243(2M→Y)(以下本ペプチドを「非置換型ペプチド」とも称する)の第1位のシステイン残基を種々のアミノ酸残基と置換し、イン・ビボでの免疫原性についてHLA−A2402/Kトランスジェニックマウス(WO 02/47474号公報、以下HLA−A24発現トランスジェニックマウスとも称する)を用いて検討した。その結果驚くべきことに、セリン残基(Ser)、アラニン残基(Ala)、アルギニン残基(Arg)、リジン残基(Lys)、ロイシン残基(Leu)、フェニルアラニン残基(Phe)、アスパラギン残基(Asn)といったシステイン残基と構造・性質の異なるアミノ酸残基に置換した置換型ペプチドが、非置換型ペプチドと同等のCTL誘導活性(免疫原性)を有することを見出した。更に驚くべきことに、第1位のシステイン残基を、2−アミノ酪酸残基(α−アミノ酪酸残基、Abu)、オルニチン残基(Orn)、シトルリン残基(Cit)といった、タンパク質を構成する天然アミノ酸ではないアミノ酸残基(異常アミノ酸残基)に置換した置換型ペプチドも、非置換型ペプチドと同等のCTL誘導活性(免疫原性)を有することを見出した。これらの知見から、本発明者らは、これら置換型ペプチドは癌ワクチンとして種々の形態で利用可能であるとの確信を得た。これら置換型ペプチドはシステイン残基を含有しないペプチドであるためジスルフィド結合を生じ得ず、よって医薬品としての規格化が容易である等の利点を有する。本発明は、以上のような知見に基づき完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、
Figure 2004026897
(式中、XはSer、Ala、Abu、Arg、Lys、Orn、Cit、Leu、PheまたはAsnを表し、YはTyrまたはMetを表す)で表されるアミノ酸配列を含む、または該アミノ酸配列からなる、CTL誘導活性を有するペプチド、好ましくは、以下のアミノ酸配列:
Figure 2004026897
のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含む、またはからなる前記(I)記載のペプチド、ならびにこれらペプチドの製造方法、
(II) 前記(I)記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する発現ベクター、該発現ベクターを含有する細胞、
(III) 前記(I)記載のペプチドに特異的に結合する抗体、
(IV) 前記(I)記載のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体が提示されている抗原提示細胞、
(V) 前記(I)記載のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を認識するCTL、
(VI) 前記(I)記載のペプチド、前記(II)記載のポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞、前記(IV)記載の抗原提示細胞、あるいは前記(V)記載のCTLと、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物、および癌ワクチンとして使用される前記医薬組成物、
(VII) 前記(I)記載のペプチド、前記(II)記載のポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞、前記(IV)記載の抗原提示細胞、あるいは前記(V)記載のCTLにおける、癌ワクチンを製造するための使用、ならびに
(VIII) 癌を治療または予防するための方法であって、前記(I)記載のペプチド、前記(II)記載のポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞、前記(IV)記載の抗原提示細胞、あるいは前記(V)記載のCTLの治療または予防に有効な量を、それを必要としているHLA−A24陽性かつWT1陽性の癌患者に投与する方法、に関する。
図1は、ヒトWT1由来抗原ペプチド(WT1235−243)の第2位をチロシン残基に置換したペプチドAでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図2は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をセリン残基に置換したペプチドBでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドBをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図3は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をアラニン残基に置換したペプチドCでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドCをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図4は、ペプチドAの第1位のシステイン残基を2−アミノ酪酸残基に置換したペプチドDでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドDをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図5は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をアルギニン残基に置換したペプチドEでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドEをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図6は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をリジン残基に置換したペプチドFでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドFをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図7は、置換型ペプチドBによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチドAに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。図中、縦軸はCTL誘導活性(% Specific Lysis)を、また横軸はE/T比を示す。また図中、黒丸はペプチドBをパルスした標的細胞を用いた結果を、黒四角はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図8は、置換型ペプチドCによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチドAに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。図中、縦軸はCTL誘導活性(% Specific Lysis)を、また横軸はE/T比を示す。また図中、黒丸はペプチドCをパルスした標的細胞を用いた結果を、黒四角はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図9は、置換型ペプチドDによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチドAに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。図中、縦軸はCTL誘導活性(% Specific Lysis)を、また横軸はE/T比を示す。また図中、黒丸はペプチドDをパルスした標的細胞を用いた結果を、黒四角はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図10は、置換型ペプチドEによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチドAに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。図中、縦軸はCTL誘導活性(% Specific Lysis)を、また横軸はE/T比を示す。また図中、黒丸はペプチドEをパルスした標的細胞を用いた結果を、黒四角はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図11は、置換型ペプチドFによって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチドAに対する交差反応性を試験した結果を示したグラフである。図中、縦軸はCTL誘導活性(% Specific Lysis)を、また横軸はE/T比を示す。また図中、黒丸はペプチドFをパルスした標的細胞を用いた結果を、黒四角はペプチドAをパルスした標的細胞を用いた結果を、また白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図12は、WT1235−243の第1位のシステイン残基をセリン残基に置換したペプチドGでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドGをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図13は、WT1235−243の第1位のシステイン残基をアラニン残基に置換したペプチドHでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドHをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図14は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をオルニチン残基に置換したペプチドIでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドIをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図15は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をシトルリン残基に置換したペプチドJでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドJをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図16は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をロイシン残基に置換したペプチドKでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドKをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図17は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をフェニルアラニン残基に置換したペプチドLでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドLをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
図18は、ペプチドAの第1位のシステイン残基をアスパラギン残基に置換したペプチドMでHLA−A24発現トランスジェニックマウスを免疫し、特異的CTLが誘導されることを示したグラフである。図中、縦軸は傷害活性(% Specific Lysis)を示し、横軸はE/T比を示す。また黒丸はペプチドMをパルスした標的細胞を用いた結果を、白丸はペプチド非パルス細胞を用いた結果を示す。
本明細書および図面において、アミノ酸残基を略号で表示する場合、次の略号で記述する。
Ala:アラニン残基
Arg:アルギニン残基
Asn:アスパラギン残基
Asp:アスパラギン酸残基
Cys:システイン残基
Gln:グルタミン残基
Glu:グルタミン酸残基
Gly:グリシン残基
His:ヒスチジン残基
Ile:イソロイシン残基
Leu:ロイシン残基
Lys:リジン残基
Met:メチオニン残基
Phe:フェニルアラニン残基
Pro:プロリン残基
Ser:セリン残基
Thr:トレオニン残基
Trp:トリプトファン残基
Tyr:チロシン残基
Val:バリン残基
Abu:2−アミノ酪酸残基(α−アミノ酪酸残基とも言う)
Orn:オルニチン残基
Cit:シトルリン残基
前記アミノ酸残基に関し光学異性体があり得る場合は、L体、D体のいずれであっても良いが、L体が好ましい。
本明細書において、ペプチドのアミノ酸配列は常法に従って、そのN末端のアミノ酸残基が左側に位置し、C末端のアミノ酸残基が右側に位置するように記述する。
(I)本発明のペプチド
本発明のペプチドは、ヒトWT1(Cell.,60:509,1990、NCBIデータベースAccession No.XP_034418、配列番号:1)に由来し、HLA−A24拘束性のCTL誘導活性(免疫原性)を有する。
本発明のペプチドは、抗原提示細胞内にて要すればプロセッシングを受け、生じた癌抗原ペプチドがHLA−A24抗原と結合して抗原提示細胞に提示され、CTLを誘導するという特性を有するものである。当該特性は、WO02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に記述されたHLA−A24モデルマウスを用いることなどにより調べることができる。
本発明のペプチドは、
Figure 2004026897
(式中、XはSer、Ala、Abu、Arg、Lys、Orn、Cit、Leu、PheまたはAsnを表し、YはTyrまたはMetを表す)で表されるアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチドである。すなわち本発明のペプチドは、以下に示すペプチドを意味する:
Figure 2004026897
のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチド。このうち配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドが、好ましい。
配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含む本発明のペプチドは、本発明ペプチド由来の癌抗原ペプチドが抗原提示細胞に提示され、CTLを誘導するという特性を有する限り、何ら制限されないが、その長さは通常連続する9〜100個、好ましくは連続する9〜50個、より好ましくは連続する9〜30個、さらに好ましくは連続する9〜20個、そしてさらに好ましくは連続する9〜11個のアミノ酸残基である。ここに、癌抗原ペプチドとは、HLA抗原と結合して抗原提示細胞に提示され、CTL誘導活性を導くペプチドとして定義される。
本発明ペプチドは、通常のペプチド化学において用いられる方法に準じて合成することができる。合成方法としては、文献(ペプタイド・シンセシス(Peptide Synthesis),Interscience,New York,1966;ザ・プロテインズ(The Proteins),Vol 2,Academic Press Inc.,New York,1976;ペプチド合成,丸善(株),1975;ペプチド合成の基礎と実験、丸善(株),1985;医薬品の開発 続 第14巻・ペプチド合成,広川書店,1991)などに記載されている方法が挙げられる。
また本発明のペプチドは、本発明ペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列情報に基づいて、通常のDNA合成および遺伝子工学的手法を用いて製造することもできる。当該DNA合成や各種プラスミドの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換体の培養および培養物からのタンパク質の回収などの操作は、当業者に周知の方法、文献記載の方法(Molecular Cloning,T.Maniatis et al.,CSH Laboratory(1983)、DNA Cloning,DM.Glover,IRL PRESS(1985))、あるいは後述の(II)項に記載の方法などに準じて行うことができる。
以下、本発明のペプチドについてより詳細に説明する。
本発明は前述のように、WT1由来の天然ペプチドであるWT1235−243(配列番号:2)、またはその第2位の改変ペプチドであるWT1235−243(2M→Y)(配列番号:3)の第1位のシステイン残基を、セリン残基、アラニン残基、アルギニン残基、リジン残基、ロイシン残基、フェニルアラニン残基、アスパラギン残基、2−アミノ酪酸残基(α−アミノ酪酸残基)、オルニチン残基あるいはシトルリン残基に置換した置換型ペプチドが、イン・ビボにてCTL誘導活性を有するという新たな知見を得たことに基づく。これら置換型ペプチドのいずれかを含有する本発明のペプチドは、癌免疫療法におけるCTL誘導剤の有効成分として、また癌ワクチンの有効成分として有用である。
本発明のペプチドとして、より具体的には以下の(1−1)〜(1−4)に挙げるペプチドを例示することができる。
(1−1)配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド
本発明のペプチドの具体例として、配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチドを例示することができる。ここで配列番号:4で表されるアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチドとは、より具体的には以下に示すペプチドを指す:
Figure 2004026897
のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド。
このうち配列番号:5に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:6に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:7に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:8に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:9に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:10に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:11に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:12に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:13に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:14に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:15に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド、配列番号:16に示すアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチドが、好ましい。
これらのペプチドは、前述のように一般的なペプチド合成法によって製造することができる。また、WO 02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等によりCTL誘導活性を測定することができる。
(1−2)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含み、モチーフ構造を保持する癌抗原ペプチド
HLA分子には多くのサブタイプが存在し、結合できる抗原ペプチドのアミノ酸配列にはそれぞれのタイプについて規則性(結合モチーフ)が存在することが知られている。HLA−A24の結合モチーフとしては、8〜11アミノ酸からなるペプチドのうちの第2位のアミノ酸残基がチロシン残基(Tyr)、フェニルアラニン残基(Phe)、メチオニン残基(Met)またはトリプトファン残基(Trp)であり、C末端のアミノ酸残基がフェニルアラニン残基(Phe)、ロイシン残基(Leu)、イソロイシン残基(Ile)、トリプトファン残基(Trp)またはメチオニン残基(Met)となることが知られている(J.Immunol.,152,p3913,1994、Immunogenetics,41,p178,1995、J.Immunol.,155,p4307,1994)。
従って、この規則性に基づいた本発明のペプチドとして、配列番号:4で示されるアミノ酸配列を含み、モチーフ構造を保持する癌抗原ペプチドが挙げられる。すなわち、配列番号:4に示されるペプチドのC末端に、Phe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した10アミノ酸からなるペプチド、あるいは当該10アミノ酸からなるペプチドのC末端にさらにPhe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した11アミノ酸からなるペプチドであって、CTL誘導活性を有する当該ペプチド、が例示される。
具体的には、以下に示される9アミノ酸からなるペプチド;
Figure 2004026897
のC末端に、Phe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した10アミノ酸からなるペプチド、あるいは当該10アミノ酸からなるペプチドのC末端にさらにPhe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した11アミノ酸からなるペプチドであって、CTL誘導活性を有する当該ペプチド、が例示される。
好ましくは、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16に示されるペプチドのC末端に、Phe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した10アミノ酸からなるペプチド、あるいは当該10アミノ酸からなるペプチドのC末端にさらにPhe、Leu、Ile、TrpまたはMetを付加した11アミノ酸からなるペプチドであって、CTL誘導活性を有する当該ペプチド、が例示される。
これらのペプチドも、前述のように一般的なペプチド合成法によって製造することができる。また、WO 02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等によりCTL誘導活性を測定することができる。
(1−3)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含むエピトープペプチド
近年、複数のCTLエピトープ(抗原ペプチド)を連結したペプチド(エピトープペプチド)が、効率的にCTL誘導活性を有することが示されている。例えばJournal of Immunology 1998,161:3186−3194には、癌抗原タンパク質PSA由来のHLA−A2,−A3,−A11,B53拘束性CTLエピトープを連結した約30merのペプチドが、イン・ビボでそれぞれのCTLエピトープに特異的なCTLを誘導したことが記載されている。
またCTLエピトープとヘルパーエピトープとを連結させたペプチド(エピトープペプチド)により、効率的にCTLが誘導されることも示されている。ここでヘルパーエピトープとはCD4陽性T細胞を活性化させる作用を有するペプチドを指すものであり(Immunity.,1:751,1994)、例えばB型肝炎ウイルス由来のHBVc128−140や破傷風毒素由来のTT947−967などが知られている。当該ヘルパーエピトープにより活性化されたCD4陽性T細胞は、CTLの分化の誘導や維持、およびマクロファージなどのエフェクター活性化などの作用を発揮するため、抗腫瘍免疫応答に重要であると考えられている。このようなヘルパーエピトープとCTLエピトープとを連列したペプチドの具体例として、例えばJournal of Immunology 1999,162:3915−3925には、HBV由来HLA−A2拘束性抗原ペプチド6種類、HLA−A11拘束性抗原ペプチド3種類、およびヘルパーエピトープより構成されるペプチドをコードするDNA(ミニジーン)が、イン・ビボでそれぞれのエピトープに対するCTLを効果的に誘導したことが記載されている。また実際に、CTLエピトープ(メラノーマ抗原gp100の第280位〜288位からなる癌抗原ペプチド)とヘルパーエピトープ(破傷風毒素由来Tヘルパーエピトープ)とを連結したペプチドが臨床試験に供されている(Clinical Cancer Res.,2001,7:3012−3024)。
従って、前記(1−1)や(1−2)に記述したような本発明の癌抗原ペプチドを含む複数のエピトープを連結したペプチド(エピトープペプチド)であってイン・ビボでCTL誘導活性を有するペプチドも、本発明のペプチドの具体例として例示することができる。
ここに、エピトープペプチドとは、▲1▼複数のCTLエピトープ(癌抗原ペプチド)を連結したペプチド、若しくは▲2▼CTLエピトープとヘルパーエピトープとを連結したペプチドであって、抗原提示細胞内にてプロセッシングを受け、生じた癌抗原ペプチドが抗原提示細胞に提示され、CTL誘導活性を導くペプチドとして定義される。
本発明の癌抗原ペプチドに連結させるエピトープがCTLエピトープの場合、用いるCTLエピトープとしては、WT1由来のHLA−A1,−A0201,−A0204,−A0205,−A0206,−A0207,−A11,−A24,−A31,−A6801,−B7,−B8,−B2705,−B37,−Cw0401,−Cw0602などに拘束性のCTLエピトープが挙げられる。これらCTLエピトープは複数個連結することが可能であり、1つのCTLエピトープの長さとしては、各種HLA分子に結合している抗原ペプチドの解析により(Immunogenetics.41:178,1995)、8〜14アミノ酸程度を挙げることができる。
また本発明の癌抗原ペプチドに連結させるエピトープがヘルパーエピトープの場合、用いるヘルパーエピトープとしては、前述のようなB型肝炎ウイルス由来のHBVc128−140や破傷風毒素由来のTT947−967などが挙げられる。また当該ヘルパーエピトープの長さとしては、13〜30アミノ酸程度、好ましくは13〜17アミノ酸程度を挙げることができる。
本発明のエピトープペプチドとして、より具体的には例えば、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上とヘルパーエピトープとを連結させたエピトープペプチドを挙げることができる。より具体的には、例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上と破傷風毒素由来のヘルパーペプチド(例えばPhe Asn Asn Phe Thr Val Ser Phe Trp Leu Vrg Val Pro Lys Val Ser Ala Ser His Leu Glu;配列番号:25)とを連結させたエピトープペプチドや、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかのアミノ酸配列の1種または2種以上とAla Gln Tyr Ile Lys Ala Asn Ser Lys Phe Ile Gly Ile Thr Glu Leu(配列番号:26、Clinical Cancer Res.,2001,7:3012−3024)とを連結させたエピトープペプチドなどが挙げられる。
このような複数のエピトープを連結させたエピトープペプチドは、前述のように一般的なペプチド合成法によって製造することができる。またこれら複数のエピトープを連結させたエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列情報に基づいて、通常のDNA合成および遺伝子工学的手法を用いて製造することもできる。すなわち、当該ポリヌクレオチドを周知の発現ベクターに挿入し、得られた組換え発現ベクターで宿主細胞を形質転換して作製された形質転換体を培養し、培養物より目的の複数のエピトープを連結させたエピトープペプチドを回収することにより製造することができる。これらの手法は、前述のように文献記載の方法(Molecular Cloning,T.Maniatis et al.,CSH Laboratory(1983)、DNA Cloning,DM.Glover,IRL PRESS(1985))や後述の(II)項に記載の方法などに準じて行うことができる。
以上のようにして製造された複数のエピトープを連結させたエピトープペプチドは、WO 02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等によりCTL誘導活性を測定することができる。
(1−4)配列番号:4で表されるアミノ酸配列を含み、N末端アミノ酸のアミノ基またはC末端アミノ酸のカルボキシル基が修飾されたペプチド
前記(1−1)〜(1−3)に例示したような本発明のペプチドのN末端アミノ酸のアミノ基、またはC末端アミノ酸のカルボキシル基を修飾することも可能である。
ここでN末端アミノ酸のアミノ基の修飾基としては、例えば1〜3個の炭素数1から6のアルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、アシル基が挙げられ、アシル基の具体例としては炭素数1から6のアルカノイル基、フェニル基で置換された炭素数1から6のアルカノイル基、炭素数5から7のシクロアルキル基で置換されたカルボニル基、炭素数1から6のアルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、炭素数2から6のアルコキシカルボニル基、フェニル基で置換されたアルコキシカルボニル基、炭素数5から7のシクロアルコキシで置換されたカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
C末端アミノ酸のカルボキシル基を修飾したペプチドとしては、例えばエステル体およびアミド体が挙げられ、エステル体の具体例としては、炭素数1から6のアルキルエステル、フェニル基で置換された炭素数0から6のアルキルエステル、炭素数5から7のシクロアルキルエステル等が挙げられ、アミド体の具体例としては、アミド、炭素数1から6のアルキル基の1つまたは2つで置換されたアミド、フェニル基で置換された炭素数0から6のアルキル基の1つまたは2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。
以上のような本発明のペプチドは、例えば、▲1▼後述するCTLの誘導剤、癌ワクチンの有効成分として、また▲2▼後述する抗原提示細胞の作製において、有効に用いることができる。
(II)本発明のポリヌクレオチド、発現ベクターおよび形質転換細胞
本発明はまた、前記本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもRNAの形態であっても良い。これら本発明のポリヌクレオチドは、本発明のペプチドのアミノ酸配列情報およびそれによりコードされるDNAの配列情報に基づき容易に製造することができる。具体的には、通常のDNA合成やPCRによる増幅などによって、製造することができる。
このような本発明のポリヌクレオチドとは、配列番号:4に示されるアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。具体的には、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。このうち配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチドをコードするポリヌクレオチドが好ましい。
具体的には、前記(1−3)に記述したような配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。具体的には、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のいずれかのアミノ酸配列を含むエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。より具体的には、例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上とヘルパーペプチドとを連結させたエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドを挙げることができ、例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上と破傷風毒素由来のヘルパーペプチド(例えばPhe Asn Asn Phe Thr Val Ser Phe Trp Leu Arg Val Pro Lys Val Ser Ala Ser His Leu Glu;配列番号:25)とを連結させたペプチドをコードするポリヌクレオチドや、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチドの1種または2種以上とGln Tyr Ile Lys Ala Asn Ser Lys Phe Ile Gly Ile Thr Glu Leu(配列番号:26、Clinical Cancer Res.,2001,7:3012−3024)とを連結させたペプチドをコードするポリヌクレオチドを挙げることができる。
前記で作製された本発明のポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込むことにより、本発明のペプチドを発現するための組換え発現ベクターを作製することができる。
ここで用いる発現ベクターとしては、用いる宿主や目的等に応じて適宜選択することができ、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。
例えば、宿主が大腸菌の場合、ベクターとしては、pUC118、pUC119、pBR322、pCR3等のプラスミドベクター、λZAPII、λgt11などのファージベクターが挙げられる。宿主が酵母の場合、ベクターとしては、pYES2、pYEUra3などが挙げられる。宿主が昆虫細胞の場合には、pAcSGHisNT−Aなどが挙げられる。宿主が動物細胞の場合には、pKCR、pCDM8、pGL2、pcDNA3.1、pRc/RSV、pRc/CMVなどのプラスミドベクターや、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターなどのウイルスベクターが挙げられる。
前記ベクターは、発現誘導可能なプロモーター、シグナル配列をコードする遺伝子、選択用マーカー遺伝子、ターミネーターなどの因子を適宜有していても良い。
また、単離精製が容易になるように、チオレドキシン、Hisタグ、あるいはGST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)等との融合タンパク質として発現する配列が付加されていても良い。この場合、宿主細胞内で機能する適切なプロモーター(lac、tac、trc、trp、CMV、SV40初期プロモーターなど)を有するGST融合タンパクベクター(pGEX4Tなど)や、Myc、Hisなどのタグ配列を有するベクター(pcDNA3.1/Myc−Hisなど)、さらにはチオレドキシンおよびHisタグとの融合タンパク質を発現するベクター(pET32a)などを用いることができる。
以上のような本発明のポリヌクレオチドまたはそれを含有する発現ベクターをWO 02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に記述のヒトモデル動物に供すること等によりCTL誘導活性を測定することができる。
本発明のポリヌクレオチドまたはそれを含有する発現ベクターは、例えば、▲1▼後述する本発明のペプチドの製造において、▲2▼後述する遺伝子治療において、また▲3▼後述する抗原提示細胞の作製において、有効に用いることができる。
前記で作製された発現ベクターで宿主を形質転換することにより、当該発現ベクターを含有する形質転換細胞を作製することができる。
ここで用いられる宿主としては、大腸菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。大腸菌としては、E.coli K−12系統のHB101株、C600株、JM109株、DH5α株、AD494(DE3)株などが挙げられる。また酵母としては、サッカロミセス・セルビジエなどが挙げられる。動物細胞としては、L929細胞、BALB/c3T3細胞、C127細胞、CHO細胞、COS細胞、Vero細胞、Hela細胞などが挙げられる。昆虫細胞としてはsf9などが挙げられる。
宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、前記宿主細胞に適合した通常の導入方法を用いれば良い。具体的にはリン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子導入用リピッド(Lipofectamine、Lipofectin;Gibco−BRL社)を用いる方法などが挙げられる。導入後、選択マーカーを含む通常の培地にて培養することにより、前記発現ベクターが宿主細胞中に導入された形質転換細胞を選択することができる。
以上のようにして得られた形質転換細胞を好適な条件下で培養し続けることにより、本発明のペプチドを製造することができる。得られたポリペプチドは、一般的な生化学的精製手段により、さらに単離・精製することができる。ここで精製手段としては、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等が挙げられる。また本発明のポリペプチドを、前述のチオレドキシンやHisタグ、GST等との融合タンパク質として発現させた場合は、これら融合タンパク質やタグの性質を利用した精製法により単離・精製することができる。
(III)本発明の抗体
本発明は、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、その形態に特に制限はなく、本発明のペプチドを免疫原とするポリクローナル抗体であっても、またモノクローナル抗体であっても良い。
本発明の抗体は前記のように本発明のペプチドに特異的に結合するものであれば特に制限されないが、具体的には、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のいずれかに記載のアミノ酸配列からなりCTL誘導活性を有するペプチドに特異的に結合する抗体を挙げることができる。このうち配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなるペプチドに特異的に結合する抗体がより好ましい。
これらの抗体の製造方法は、すでに周知であり、本発明の抗体もこれらの常法に従って製造することができる(Current protocols in Molecular Biology edit.Ausubel et al.(1987)Publish.John Wiley and Sons.Section 11.12〜11.13、Antibodies;A Laboratory Manual,Lane,H,D.ら編,Cold Spring Harber Laboratory Press出版New York 1989)。
具体的には、本発明のペプチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)を免疫原として用い、家兎等の非ヒト動物を免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、本発明のペプチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)をマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit.Ausubel et al.(1987)Publish.John Wiley and Sons.Section 11.4〜11.11)。
本発明のペプチドに対する抗体の作製は、宿主に応じて種々のアジュバントを用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。そのようなアジュバントには、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、並びにリゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノールのような表面活性物質、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)やコリネバクテリウム−パルヴムなどのヒトアジュバントなどがある。
以上のように本発明のペプチドを用いて常法により適宜動物を免疫することにより、ペプチドを認識する抗体、さらにはその活性を中和する抗体が容易に作製できる。抗体の用途としては、アフィニティークロマトグラフィー、免疫学的診断等が挙げられる。免疫学的診断は、イムノブロット法、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(ELISA)、蛍光あるいは発光測定法等より適宜選択できる。このような免疫学的診断は、WT1遺伝子が発現している癌、すなわち胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌等の診断において有効である。
(IV)本発明の抗原提示細胞
本発明は、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞を提供する。
後述の実施例において、本発明のペプチド投与によりCTL誘導活性が認められたが、これは、末梢血単核球中に、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞が存在し、そして、この複合体の提示された細胞を特異的に認識するCTLが誘導されたことを示すものである。このような、HLA−A24抗原と本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとの複合体の提示された抗原提示細胞は、後述する細胞療法(DC療法)において有効に用いられる。
本発明の抗原提示細胞は、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞であれば良い。具体的には、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のいずれかに記載のアミノ酸配列からなりCTL誘導活性を有するペプチドとHLA−A24抗原との複合体が樹状細胞の細胞表面に提示された抗原提示細胞を挙げることができる。このうち配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体が樹状細胞の細胞表面に提示された抗原提示細胞が好ましい。
細胞療法(DC療法)において用いられる抗原提示細胞は、癌患者から抗原提示能を有する細胞を単離し、この細胞に本発明のペプチドを体外でパルスするか、または本発明のポリヌクレオチドやそれを含有する発現ベクターを細胞内に導入して、HLA−A24抗原と本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとの複合体を細胞表面に提示させることにより作製される。ここで「抗原提示能を有する細胞」とは、本発明のペプチドを提示可能なHLA−A24抗原を細胞表面に発現している細胞であれば特に限定されないが、抗原提示能が高いとされている樹状細胞が好ましい。
また、前記抗原提示能を有する細胞にパルスされるものとしては、本発明のペプチドであっても良いし、また本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドやそれを含有する発現ベクターであっても良い。
本発明の抗原提示細胞は、例えば癌患者から抗原提示能を有する細胞を単離し、該細胞に本発明のペプチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)を体外でパルスし、HLA−A24抗原と本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとの複合体を作製することにより得られる(Cancer Immunol.Immunother.,46:82,1998、J.Immunol.,158:p1796,1997、Cancer Res.,59:p1184,1999)。樹状細胞を用いる場合は、例えば、癌患者の末梢血からフィコール法によりリンパ球を分離し、その後非付着細胞を除き、付着細胞をGM−CSFおよびIL−4存在下で培養して樹状細胞を誘導し、当該樹状細胞を本発明のペプチドと共に培養してパルスすることなどにより、本発明の抗原提示細胞を調製することができる。
また、前記抗原提示能を有する細胞に本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするポリヌクレオチド)あるいはそれを含有する発現ベクターを導入することにより本発明の抗原提示細胞を調製する場合は、当該ポリヌクレオチドがDNAの場合はCancer Res.,56:p5672,1996やJ.Immunol.,161:p5607,1998などを参考にして行うことができる。また、DNAのみならずRNAの形態でも同様に抗原提示細胞を調製することができ、この場合は、J.Exp.Med.,184:p465,1996などを参考できる。
以上のようにして作製された本発明の抗原提示細胞は、後述するCTLの誘導剤、癌ワクチンの有効成分として、細胞療法(DC療法)において有効に用いられる。
(V)本発明のCTL
本発明は、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を認識するCTLを提供する。
後述の実施例において、本発明のペプチド投与によりCTL誘導活性が認められた。これは、末梢血単核球中に、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体の提示された抗原提示細胞が存在し、そして、この複合体の提示された細胞を特異的に認識するCTLが誘導されたことを示すものである。このような、HLA−A24抗原と本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとの複合体を特異的に認識するCTLは、後述する養子免疫療法において有効に用いられる。
本発明のCTLは、本発明のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を特異的に認識するものであれば良いが、具体的には、配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24のいずれかに記載のアミノ酸配列からなりCTL誘導活性を有するペプチドとHLA−A24抗原との複合体を特異的に認識するCTLを挙げることができる。このうち配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を特異的に認識するCTLが好ましい。
養子免疫療法において用いられるCTLは、患者の末梢血リンパ球を単離し、これを本発明のペプチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)、あるいは本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列を含むペプチドをコードするポリヌクレオチド)やそれを含有する発現ベクターでイン・ビトロで刺激する等により作製される(Journal of Experimental Medicine 1999,190:1669)。
以上のようにして作製された本発明のCTLは、癌ワクチンの有効成分として、養子免疫療法において有効に用いられる。
(VI)癌ワクチンとしての医薬組成物
以上に記載した本発明のペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明の発現ベクター、本発明の抗原提示細胞、および本発明のCTLは、それぞれの物質に応じた適切な形態とすることにより、CTLの誘導剤、すなわち癌ワクチンの有効成分とすることができる。以下、具体的に説明する。
(6−1)本発明のペプチドを有効成分とする癌ワクチン
本発明のペプチドは、CTLの誘導能を有するものであり、誘導されたCTLは、細胞傷害作用やリンフォカインの産生を介して抗癌作用を発揮することができる。従って本発明のペプチドは、癌の治療または予防のための癌ワクチンの有効成分とすることができる。すなわち本発明は、本発明のペプチドを有効成分として含有する癌ワクチン(癌ワクチンとしての医薬組成物)を提供する。本発明の癌ワクチンをHLA−A24陽性かつWT1陽性の患者に投与すると、抗原提示細胞のHLA−A24抗原にペプチド(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)が提示され、提示されたHLA−A24抗原とペプチドとの複合体に特異的なCTLが増殖して癌細胞を破壊することができ、従って、癌の治療または予防が可能となる。本発明の癌ワクチンは、WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、例えば白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液性の癌や、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌等の固形癌の予防または治療のために使用することができる。
よって、本発明は別の態様として、本発明の癌ワクチンの有効量をHLA−A24陽性かつWT1陽性の患者に投与することにより、癌を治療または予防するための方法を提供する。
本発明のペプチドを有効成分とする癌ワクチンは、単一のCTLエピトープ(例えば配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる癌抗原ペプチド)を有効成分とするものであっても、また他のペプチド(CTLエピトープやヘルパーエピトープ)と連結したエピトープペプチドを有効成分とするものであっても良い。すなわち近年、複数のCTLエピトープ(抗原ペプチド)を連結したエピトープペプチドが、イン・ビボで効率的にCTL誘導活性を有することが示されている。例えばJournal of Immunology 1998,161:3186−3194には、癌抗原タンパク質PSA由来のHLA−A2,−A3,−A11,B53拘束性CTLエピトープ(抗原ペプチド)を連結した約30merのエピトープペプチドが、イン・ビボでそれぞれのCTLエピトープに特異的なCTLを誘導したことが記載されている。またCTLエピトープとヘルパーエピトープとを連結させたエピトープペプチドにより、効率的にCTLが誘導されることも示されている。このようなエピトープペプチドの形態で投与した場合、抗原提示細胞内に取り込まれ、その後、細胞内分解を受けて生じた個々の抗原ペプチドがHLA抗原と結合して複合体を形成し、該複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示され、この複合体に特異的なCTLが体内で効率的に増殖し、癌細胞を破壊する。このようにして癌の治療または予防が達成される。
また本発明のペプチドを有効成分とする癌ワクチンは、細胞性免疫が効果的に成立するように、医薬として許容されるキャリアー、例えば適当なアジュバントとともに投与したり、粒子状の剤型にして投与することができる。アジュバントとしては、文献(Clin.Microbiol.Rev.,7:277−289,1994)に記載のものなどが応用可能であり、具体的には、菌体由来成分、サイトカイン、植物由来成分、海洋生物由来成分、水酸化アルミニウムの如き鉱物ゲル、リソレシチン、プルロニックポリオールの如き界面活性剤、ポリアニオン、ペプチド、または油乳濁液(エマルジョン製剤)などを挙げることができる。また、リポソーム製剤、直径数μmのビーズに結合させた粒子状の製剤、リピッドを結合させた製剤なども考えられる。
投与方法としては、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与などが挙げられる。製剤中の本発明のペプチドの投与量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常0.0001mg〜1000mg、好ましくは0.001mg〜1000mg、より好ましくは0.1mg〜10mgであり、これを数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。
(6−2)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド、または発現ベクターを有効成分とするDNAワクチン
前記本発明のペプチドのみならず、当該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびそれを含有する発現ベクターもまた、癌の治療または予防のためのDNAワクチンの有効成分とすることができる。すなわち本発明は、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを有効成分として含有する癌ワクチン(癌ワクチンとしての医薬組成物)を提供する。また、本発明は別の態様として、本発明のDNAワクチンの有効量をHLA−A24陽性かつWT1陽性の患者に投与することにより、癌を治療または予防するための方法を提供する。
近年、複数のCTLエピトープ(抗原ペプチド)を連結したエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチド、あるいはCTLエピトープとヘルパーエピトープとを連結させたエピトープペプチドをコードするポリヌクレオチドが、in vivoで効率的にCTL誘導活性を有することが示されている。例えばJournal of Immunology 1999,162:3915−3925には、HBV由来HLA−A2拘束性抗原ペプチド6種類、HLA−A11拘束性抗原ペプチド3種類、およびヘルパーエピトープを連結したエピトープペプチドをコードするDNA(ミニジーン)が、イン・ビボでそれぞれのエピトープに対するCTLを効果的に誘導したことが記載されている。
従って、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを1種または2種以上連結させることにより、また場合によっては他のペプチドをコードするポリヌクレオチドも連結させることにより作製されたポリヌクレオチドを、適当な発現ベクターに組み込むことにより、癌ワクチンの有効成分とすることができる。
本発明のポリヌクレオチドを癌ワクチン(DNAワクチン)の有効成分として適用する際には、以下の方法が使用され得る。
すなわち、本発明のポリヌクレオチドを細胞内に導入する方法としては、ウイルスベクターによる方法およびその他の方法(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)、およびこれらの引用文献等)のいずれの方法も適用することができる。
ウイルスベクターによる方法としては、例えばレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNAウイルスまたはRNAウイルスに本発明のDNAを組み込んで導入する方法が挙げられる。この中で、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス等を用いた方法が特に好ましい。
その他の方法としては、発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方法(DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェクチン法、マイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポソーム法が好ましい。
本発明のポリヌクレオチドを実際に医薬として作用させるには、当該ポリヌクレオチドを直接体内に導入するin vivo法、およびヒトからある種の細胞を採集し体外でDNAを該細胞に導入しその細胞を体内に戻すex vivo法がある(日経サイエンス,1994年4月号,20−45頁、月刊薬事,36(1),23−48(1994)、実験医学増刊,12(15),(1994)、およびこれらの引用文献等)。in vivo法がより好ましい。
in vivo法により投与する場合は、治療目的の疾患、症状等に応じた適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等に投与することができる。in vivo法により投与する場合は、例えば、液剤等の製剤形態をとりうるが、一般的には有効成分である本発明のポリヌクレオチドを含有する注射剤等とされ、必要に応じて、慣用の担体を加えてもよい。また、本発明のポリヌクレオチドを含有するリポソームまたは膜融合リポソーム(センダイウイルス(HVJ)−リポソーム等)においては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソーム製剤の形態とすることができる。
製剤中の本発明のポリヌクレオチドの含量は、治療目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調整することができるが、通常、0.0001mg〜100mg、好ましくは0.001mg〜10mgの本発明のポリヌクレオチドを、数日ないし数月に1回投与するのが好ましい。
以上のような本発明のポリヌクレオチドの癌患者への投与により、抗原提示細胞内で当該ポリヌクレオチドに対応するポリペプチドが高発現する。その後、細胞内分解を受けて生じた個々の癌抗原ペプチドがHLA抗原と結合して複合体を形成し、該複合体が抗原提示細胞表面に高密度に提示され、この複合体特異的なCTLが体内で効率的に増殖し、癌細胞を破壊する。以上のようにして、癌の治療または予防が達成される。本発明のポリヌクレオチドまたは当該ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを有効成分とする癌ワクチンは、WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、例えば白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液性の癌や、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌等の固形癌の予防または治療のために使用することができる。
(6−3)本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチン
本発明は、本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンを提供する。
近年、癌患者の末梢血からリンパ球を分離し、その中から樹状細胞を誘導し、イン・ビトロでペプチド等をパルスして調製した抗原提示細胞を皮下投与などにより患者に戻す細胞療法(DC療法)が報告されている(Cancer Immunol.Immunother.,46:82,1998、J.Immunol.,158:p1796,1997、Cancer Res.,59:p1184,1999、Cancer Res.,56:p5672,1996、J.Immunol.,161:p5607,1998、J.Exp.Med.,184:p465,1996)。従って前記本発明の抗原提示細胞を、細胞療法における癌ワクチンの有効成分として使用することができる。
本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンは、抗原提示細胞を安定に維持するために、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、培地等を含むことが好ましい。投与方法としては、静脈内投与、皮下投与、皮内投与が挙げられる。また投与量は、前記文献記載の投与量が例示される。
前記癌ワクチンを患者の体内に戻すことにより、HLA−A24陽性かつWT1陽性の患者の体内で効率良く特異的なCTLが誘導され、癌を治療または予防することができる。本発明の抗原提示細胞を有効成分とする癌ワクチンは、WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、例えば白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液性の癌や、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌等の固形癌の予防または治療のために使用することができる。
(6−4)本発明のCTLを有効成分とする癌ワクチン
本発明は、本発明のCTLを有効成分とする癌ワクチン(癌ワクチンとしての医薬組成物)を提供する。本発明のCTLは、以下の養子免疫療法において有効に用いられる。
メラノーマにおいて、患者本人の腫瘍内浸潤T細胞を体外で大量に培養し、これを患者に戻す養子免疫療法に治療効果が認められている(J.Natl.Cancer.Inst.,86:1159,1994)。またマウスのメラノーマでは、脾細胞をイン・ビトロで癌抗原ペプチドTRP−2で刺激し、癌抗原ペプチドに特異的なCTLを増殖させ、該CTLをメラノーマ移植マウスに投与することにより、転移抑制が認められている(J.Exp.Med.,185:453,1997)。これは、抗原提示細胞のHLA抗原と癌抗原ペプチドとの複合体を特異的に認識するCTLをイン・ビトロで増殖させた結果に基づくものである。従って、本発明のペプチドあるいは本発明のポリヌクレオチドや発現ベクターを用いて、イン・ビトロで患者末梢血リンパ球を刺激して癌特異的CTLを増やした後、このCTLを患者に戻す治療法は有用であると考えられる。従って前記本発明のCTLを、養子免疫療法における癌ワクチンの有効成分として使用することができる。
本発明のCTLを有効成分とする癌ワクチンは、CTLを安定に維持するために、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、培地等を含むことが好ましい。投与方法としては、静脈内投与、皮下投与、皮内投与が挙げられる。また投与量としては、前記文献記載の投与量が例示される。
前記癌ワクチンを患者の体内に戻すことにより、HLA−A24陽性かつWT1陽性の患者の体内でCTLによる癌細胞の傷害作用が促進され、癌細胞を破壊することにより、癌を治療することができる。本発明のCTLを有効成分とする癌ワクチンは、WT1遺伝子の発現レベルの上昇を伴う癌、例えば白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液性の癌や、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌等の固形癌の予防または治療のために使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
システイン残基置換型ペプチドによるCTL誘導活性(1)
WT1のアミノ酸配列(配列番号:1)の第235位−243位よりなるペプチド(WT1235−243、配列番号:2)の第2位のメチオニン残基をチロシン残基に置換したペプチドAの、第1位のシステイン残基をセリン残基、アラニン残基、2−アミノ酪酸残基、アルギニン残基またはリジン残基に置換した置換型ペプチド(ペプチドB、C、D、E、F)を合成し、イン・ビボでの免疫原性を検討した。以下に、置換前のペプチドA(非置換型ペプチドとも言う)および置換型ペプチドB〜Fのアミノ酸配列を示す。
Figure 2004026897
イン・ビボでの免疫原性の検討は、HLA−A2402/Kトランスジェニックマウスを用いて行った。当該トランスジェニックマウスの作製およびイン・ビボ免疫原性の測定については、WO 02/47474号公報およびInt J.Cancer:100,565−570(2002)に詳細に記述されており、当該文献に記載の方法に準じて実施した。
1)ペプチドの薬剤調製と投与
前記非置換型ペプチドおよび置換型ペプチドはFmoc法により合成した。各合成ペプチドをそれぞれ40mg/mlにDMSOにて調整し、さらに滅菌水で2.4mg/mlにそれぞれ希釈した。次に、ガラスシリンジを用いて、1.27倍量のフロイントの不完全アジュバント(ISA51)と混合することによりwater−in−oilエマルションを作製し、200μlの当該薬剤をHLA−A2402/Kトランスジェニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2)脾細胞の調製
免疫7日後に脾臓を摘出し、スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壊し、脾細胞を回収・調製した。ACKバッファー(0.15M NHCl、10mM KHCO、0.1mM EDTA,pH7.2−7.4)にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原ペプチド薬剤を100μg/mlで1時間パルスし、7×10個/wellで24穴プレートに播種した。このとき、ペプチド非パルスの7×10個/wellの脾細胞を同時に加えて37℃下で5−6日間イン・ビトロで刺激培養した。この際の培地として、RPMI−1640培地に10%FCS、10mM HEPES、20mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1mM MEM非必須アミノ酸、1%MEMビタミン、55μM 2−メルカプトエタノールを加えたものを用いた。
3)細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害性試験を行った。標的細胞(T)として、EL−4細胞(大日本製薬株式会社、カタログNo.06−039)にHLA−A2402/Kをコードする遺伝子発現ベクターを導入して得られたEL4−A2402/K細胞、および当該EL4−A2402/K細胞にペプチドA、B、C、D、EまたはFをパルスした細胞を用いた。なおEL4−A2402/K細胞は、WO 02/47474号公報に記載のJurkat−A2402/K細胞と同様にして調製した。
これらの細胞は3.7MBq/10個で51Crラベルし、ペプチドパルスは100μg/mlで1時間実施した(ラベル時間2時間、ラベル開始1時間後にペプチドを添加)。イン・ビトロで刺激培養した脾細胞をエフェクター細胞(E)として標的細胞と各種の比率で混合することにより51Crリリースアッセイ(J.Immunol 1997;159:4753)を実施し、エフェクター細胞の傷害活性を測定した。結果を図1〜6に示す。縦軸は傷害活性を示し、横軸の値はE/T比を示す。
この図から明らかな通り、ペプチドAの第1位のシステイン残基をセリン残基、アラニン残基、2−アミノ酪酸残基、アルギニン残基またはリジン残基に置換したペプチドは、非置換型ペプチドと同等の免疫原性(CTL誘導活性)を有していることが明らかとなった。
システイン残基置換型ペプチドによる細胞傷害活性
置換型ペプチド(ペプチドB、C、D、E、F)によって誘導されたエフェクター細胞の非置換型ペプチド(ペプチドA)に対する交差反応性を試験した。ペプチドB、C、D、EまたはFをマウスに免疫することにより誘導されたエフェクター細胞(E)に対して、ペプチドB、C、D、EまたはFをパルス、非置換型ペプチドAをパルス、あるいはペプチド非パルスのEL4−A2402/K細胞を標的細胞(T)として作用させ、エフェクター細胞の細胞傷害活性を51Crリリースアッセイにより測定した。結果を図7〜11に示す。
この図から明らかな通り、ペプチドAの第1位のシステイン残基をセリン残基、アラニン残基、2−アミノ酪酸残基、アルギニン残基またはリジン残基へ置換したペプチドB〜Fで誘導したCTLは、非置換型ペプチドAに交差反応性を示した。
システイン残基置換型ペプチドによるCTL誘導活性(2)
WT1の第235位−243位よりなる天然型ペプチド(WT1235−243、配列番号:2)の第1位のシステイン残基をセリン残基またはアラニン残基に置換した置換型ペプチド(ペプチドG、H)、および、前記ペプチドA(WT1235−243の第2位のメチオニン残基をチロシン残基に置換したペプチド、配列番号:3)の第1位のシステイン残基をオルニチン残基またはシトルリン残基に置換した置換型ペプチド(ペプチドI、J)を合成し、イン・ビボでの免疫原性を検討した。以下に、置換型ペプチドG〜Jのアミノ酸配列を示す。
Figure 2004026897
イン・ビボでの免疫原性の検討は、HLA−A2402/Kトランスジェニックマウスを用いて行った。
1)ペプチドの薬剤調製と投与
前記置換型ペプチドはFmoc法により合成した。各合成ペプチドをそれぞれ40mg/mlにDMSOにて調整し、さらに10mMリン酸バッファー(pH7.5)で2.4mg/mlにそれぞれ希釈した。このとき、KLH(Keyhole Limpets Hemocyanin)を0.24mg/mlで添加した。次に、ガラスシリンジを用いて、1.27倍量のフロイントの不完全アジュバント(ISA51)と混合することによりwater−in−oilエマルションを作製し、200μlの当該薬剤をHLA−A2402/Kトランスジェニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2)脾細胞の調製
免疫7日後に脾臓を摘出し、スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壊し、脾細胞を回収・調製した。ACKバッファー(0.15M NHCl、10mM KHCO、0.1mM EDTA,pH7.2−7.4)にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原ペプチド薬剤を100μg/mlで1時間パルスし、7×10個/wellで24穴プレートに播種した。このとき、ペプチド非パルスの7×10個/wellの脾細胞を同時に加えて37℃下で5−6日間イン・ビトロで刺激培養した。この際の培地として、RPMI−1640培地に10%FCS、10mM HEPES、20mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1mM MEM非必須アミノ酸、1%MEMビタミン、55μM 2−メルカプトエタノール、30U/ml組み換えヒトIL−2を加えたものを用いた。
3)細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害性試験を行った。標的細胞(T)として、EL−4細胞(大日本製薬株式会社、カタログNo.06−039)にHLA−A2402/Kをコードする遺伝子発現ベクターを導入して得られたEL4−A2402/K細胞、および当該EL4−A2402/K細胞にペプチドG、IまたはJをパルスした細胞を用いた。またJurkat−A2402/K細胞(WO 02/47474号公報)、および当該Jurkat−A2402/K細胞にペプチドHをパルスした細胞を用いた。
これらの細胞は3.7MBq/10個で51Crラベルし、ペプチドパルスは20μg/mlで0.5時間実施した。イン・ビトロで刺激培養した脾細胞をエフェクター細胞(E)として標的細胞と各種の比率で混合することにより51Crリリースアッセイ(J.Immunol 1997;159:4753)を実施し、エフェクター細胞の傷害活性を測定した。結果を図12〜15に示す。縦軸は傷害活性を示し、横軸の値はE/T比を示す。この図から明らかな通り、ペプチドG、H、IおよびJは全て免疫原性(CTL誘導活性)を有していることが明らかとなった。
システイン残基置換型ペプチドによるCTL誘導活性(3)
ペプチドA(WT1235−243の第2位のメチオニン残基をチロシン残基に置換したペプチド、配列番号:3)の第1位のシステイン残基をロイシン残基、フェニルアラニン残基またはアスパラギン残基に置換した置換型ペプチド(ペプチドK、L、M)を合成し、イン・ビボでの免疫原性を検討した。以下に、置換型ペプチドK〜Mのアミノ酸配列を示す。
Figure 2004026897
イン・ビボでの免疫原性の検討は、HLA−A2402/Kトランスジェニックマウスを用いて行った。
1)ペプチドの薬剤調製と投与
置換型ペプチドはFmoc法により合成した。各合成ペプチドをそれぞれ40mg/mlにDMSOにて調整し、さらに生理食塩水で2.4mg/mlにそれぞれ希釈した。次に、ガラスシリンジを用いて、1.27倍量のフロイントの不完全アジュバント(ISA51)と混合することによりwater−in−oilエマルションを作製し、200μlの当該薬剤をHLA−A2402/Kトランスジェニックマウスの尾底部の皮下に免疫した。
2)脾細胞の調製
免疫7日後に脾臓を摘出し、スライドガラスのフロスト部分にて擦り破壊し、脾細胞を回収・調製した。ACKバッファー(0.15M NHCl、10mM KHCO、0.1mM EDTA,pH7.2−7.4)にて溶血処理した脾細胞の一部に前記抗原ペプチド薬剤を100μg/mlで1時間パルスし、7×10個/wellで24穴プレートに播種した。このとき、ペプチド非パルスの7×10個/wellの脾細胞を同時に加えて37℃下で5−6日間イン・ビトロで刺激培養した。この際の培地として、RPMI−1640培地に10%FCS、10mM HEPES、20mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、1mM MEM非必須アミノ酸、1%MEMビタミン、55μM 2−メルカプトエタノールを加えたものを用いた。
3)細胞傷害性試験
常法に従って細胞傷害性試験を行った。標的細胞(T)として、EL−4細胞にHLA−A2402/Kをコードする遺伝子発現ベクターを導入して得られたEL4−A2402/K細胞、および当該EL4−A2402/K細胞にペプチドK、LまたはMをパルスした細胞を用いた。
これらの細胞は3.7MBq/10個で51Crラベルし、ペプチドパルスは100μg/mlで1時間実施した(ラベル時間2時間、ラベル開始1時間後にペプチドを添加)。イン・ビトロで刺激培養した脾細胞をエフェクター細胞(E)として標的細胞と各種の比率で混合することにより51Crリリースアッセイ(J.Immunol 1997;159:4753)を実施し、エフェクター細胞の傷害活性を測定した。結果を図16〜18に示す。縦軸は傷害活性を示し、横軸の値はE/T比を示す。この図から明らかな通り、ペプチドK、LおよびMは全て免疫原性(CTL誘導活性)を有していることが明らかとなった。
本発明により、システイン残基を特定のアミノ酸残基に置換した新規なWT1置換型ペプチド、当該ペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこれらペプチドやポリヌクレオチドを含む癌ワクチンなどが提供される。本発明の癌ワクチンは多くの癌患者を処置することができ、また医薬品としての規格化が容易であるといった利点を有する。
配列番号:2に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:3に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:4に記載のアミノ酸配列の第1番目のXaaアミノ酸残基はセリン残基(Ser)、アラニン残基(Ala)、2−アミノ酪酸残基(Abu)、アルギニン残基(Atg)、リジン残基(Lys)、オルニチン残基(Orn)、シトルリン残基(Cit)、ロイシン残基(Leu)、フェニルアラニン残基(Phe)またはアスパラギン残基(Asn)であり、第2番目のXaaアミノ酸残基はチロシン残基(Tyr)またはメチオニン残基(Met)である。
配列番号:5に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:6に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:7に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基は2−アミノ酪酸残基(Abu)である。
配列番号:8に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:9に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:10に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基はオルニチン残基(Orn)である。
配列番号:11に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基はシトルリン残基(Cit)である。
配列番号:12に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:13に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:14に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:15に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:16に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:17に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基は2−アミノ酪酸残基(Abu)である。
配列番号:18に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:19に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:20に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基はオルニチン残基(Orn)である。
配列番号:21に記載のアミノ酸配列の第1番目のアミノ酸残基はシトルリン残基(Cit)である。
配列番号:22に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:23に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:24に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:25に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
配列番号:26に記載のアミノ酸配列は合成ペプチドである。
【配列表】
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897
Figure 2004026897

Claims (17)

  1. Figure 2004026897
    (式中、XはSer、Ala、Abu、Arg、Lys、Orn、Cit、Leu、PheまたはAsnを表し、YはTyrまたはMetを表す)で表されるアミノ酸配列を含み、CTL誘導活性を有するペプチド。
  2. 以下のアミノ酸配列:
    Figure 2004026897
    のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1記載のペプチド。
  3. 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる、CTL誘導活性を有するペプチド。
  4. 配列番号:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15および16のなかから選ばれるいずれかのアミノ酸配列からなる、請求項3記載のペプチド。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  6. 請求項5記載のポリヌクレオチドを含有する発現ベクター。
  7. 請求項6記載の発現ベクターを含有する細胞。
  8. 請求項7記載の細胞を、ペプチドの発現可能な条件下で培養することを特徴とする、請求項1〜4いずれか記載のペプチドの製造方法。
  9. 請求項1〜4いずれか記載のペプチドに特異的に結合する抗体。
  10. 請求項1または2記載のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体が提示されている抗原提示細胞。
  11. 請求項3または4記載のペプチドからなる癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体が提示されている、請求項10記載の抗原提示細胞。
  12. 請求項1または2記載のペプチド由来の癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を認識するCTL。
  13. 請求項3または4記載のペプチドからなる癌抗原ペプチドとHLA−A24抗原との複合体を認識する、請求項12記載のCTL。
  14. 請求項1〜4いずれか記載のペプチド、請求項5記載のポリヌクレオチド、請求項6記載の発現ベクター、請求項7記載の細胞、請求項10または11記載の抗原提示細胞、あるいは請求項12または13記載のCTLと、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物。
  15. 癌ワクチンとして使用される、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 請求項1〜4いずれか記載のペプチド、請求項5記載のポリヌクレオチド、請求項6記載の発現ベクター、請求項7記載の細胞、請求項10または11記載の抗原提示細胞、あるいは請求項12または13記載のCTLにおける、癌ワクチンを製造するための使用。
  17. 癌を治療または予防するための方法であって、請求項1〜4いずれか記載のペプチド、請求項5記載のポリヌクレオチド、請求項6記載の発現ベクター、請求項7記載の細胞、請求項10または11記載の抗原提示細胞、あるいは請求項12または13記載のCTLの治療または予防に有効な量を、それを必要としているHLA−A24陽性かつWT1陽性の癌患者に投与する方法。
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