明 細 書
新規抗真菌活性物質 P F 1 2 3 7 A、 Bおよび M物質 く技術分野 >
本発明は新規抗真菌活性物質 P F 1 2 3 7 物質、? 1 2 3 7 B物質おょぴ P F 1 2 3 7 M物質またはそれらの塩、 それらの製造法ならびにそれらを有効成分 とする抗真菌剤に関するものである。
<背景技術 >
1950 年代以降の抗生物質に関する研究開発の急速な進歩およびその広範な普及 により、 細菌性の感染症に対する多くの治療薬が開発されてきた。 その一方で、 平素は無害な弱病原性微生物による感染症、 いわゆる日和見感染症が近年大きな 問題になりつつある。 この日和見感染症は免疫不全症や悪性腫瘍等の疾病、 また は免疫抑制剤ゃ抗炎症剤等の投与によって免疫機能が低下した場合、 また抗生物 質の投与による共生菌の抑制から生じる菌交代などが原因とされている。 このよ うな日和見感染症の中で真菌が原因である症例が数多く報告されている。 また、 本発明による P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物 質と物理化学的性状が類似する化合物として、 パプラカンジン A、 B、 C、 Dお よび E (Papulacandins) [トラキセラー (Traxler) ら、 ジャーナルォブアンティ バイオティックス (J. Antibiotics) 30: 289-296, 1977]、 力エティアカンジン
(Chaetiacandin) Lコモリ (Komoriノ ら、 J. Antibiotics
38 : 455-459, 1985]、 L - 687, 781 [ヴアンミドルスワース (Vanmiddlesworth) ら、 J. Antibiotics 44 : 45 - 51, 1991]、 Bu - 4794F [ァォキ (Aoki) ら、 J. Antibiotics 46: 952-960, 1993]、 サリカンジン (Saricandin) [ランダーノレ (Randal) ら、 J. Antibiotics 49: 596-598, 1996]等が知られているが、 抗真菌物質 P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質はこれらの物質とは物理 化学的性状が異なり明確に区別される。
現在使用されている主な抗真菌剤としては、ポリエンマクロライド系、ァゾール
系およびフルシトシン等がある。 表在性真菌症の治療には、 主に外用剤が使用さ れ、 それらには多種のィミダゾールゃトリァゾール系の抗真菌剤を始め、 ァリル ァミン系の抗真菌剤が用いられている。 一方、 深在性真菌症の治療においては、 トリアゾール系薬剤であるフルコナゾールが、 その高い安全性から多用されてい るが、 これは抗菌スペク トルが狭いことが難点とされている。 また、 ポリエンマ クロライド系薬剤であるアムホテリシン Bは抗菌スぺク トルが広く、 抗真菌活性 は強いが同時に毒性も高く、 安全性の面での問題が残されている。
このような背景からより有効かつ安全な抗真菌剤の提供とその有利な製造法は 常に求められる課題である。 本発明者らは、 以上のような点に着目し、 抗真菌活 性を有する新規な化合物を提供するとともに、 微生物の培養法を用いたそれらの 製造法を提供することを目的とした。 また、 本発明の別の目的は、 当該新規化合 物を含有する医薬組成物およぴ抗真菌剤の提供である。 '
<発明の開示〉 · .
'本発明者らは、より有効かつ安全な新規抗真菌活性物質を見い出すため、幅広く 微生物の探索を行った結果、 フザリウム ( Fusa iurii) 属に属する菌を培養する ことによって、 抗真菌活性を示す物質が培養物中に生産、 蓄積される とを見い 出した。
次いで、本発明者らは培養物中から式(1 ) で表される有効物質 P F 1 2 3 7 A 物質、 式 (2.) で表される P F 1 2 3 7 B物質、 および式 (3 ) で表される P F
1 2 3 7 M物質をそれぞれ単離、 精製し、 これらの物理化学的性状からこれらの 物質が新規物質であることを明らかにし、 抗真菌活性を有することを確認した。 これらの知見に基づいて、 本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の新規抗真菌活性物質 P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質またはそれらの薬理学的に許容される塩を提 供するものである。
式 (1)
で表される PF 1 237 A物質または薬理学的に許容されるその塩。
式 (2)
で表される PF 1 23 7 B物質または薬理学的に許容されるその塩。
式 (3)
で表される PF 1 237M物質または薬理学的に許容されるその塩。
また、本発明は、 Fusarium属に属し、 P F 1 23 7 A物質、 P F 1 23 7 B物 質おょぴ PF 1 23 7M物質を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、 培 養物中に P F 1 23 7 A物質、 P F 1 23 7 B物質および P F 1 237M物質を ,蓄積させ、 当該培養物から P F 1 237 A物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 237M物質を採取することを特徴とする PF 1 23 7 A物質、 PF 1 23 7 B物質および PF 1 237M物質あるいはそれらの薬理学的に許容される塩の製 造法を提供するもので。
さらに、 P F 1 23 7 A物質、 P F 1 23 7 B物質および P F 1 237M物質あ るいはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する医薬組成物および抗真菌剤に 関する。 ぐ発明の実施の態様〉
本発明の第 1の要旨とするところは、前述式 (1) で表され、 下記の物理化学的 性状を有する新規抗真菌活性物質 PF 1 23 7 A物質にある。
1. PF 1 237 A物質の物理化学的性状
(1) 色および形状: 無色粉末
(2) 分子式 : C41H60016
(3) マススぺク トル:高分解能 FAB-MS; m/z 809.3958 (M+H) +:実測値
m/z 809.3960 (M+H) +:理論値
(4) 比旋光度 : [a]D 25 = +15.2° (cl, 0, CH30H)
(5) 紫外線吸収スぺク トル メタノール中で測定した結果を以下に示す。
λ max nra ( ε ) : 207(1420), 225(640), 267(1410)
(6) 赤外線吸収スぺク トル KBr錠での測定結果を以下に示す。
V mx cm'1: 3440, 2930, 2860, 1717 1636, 1610, 1458, 1244, 1154,
1070, 1036, 1010, 978, 843, 745
(7) iH NMRスぺク トル (400MHz、 CD30D、 測定溶媒中に含まれる CHD20Dの Hの シグナルを 3.38ppmとした時の化学シフト値、 積分強度、 多重度、 結合定数を示 す。 )
δ (ppm) : 0.85 (3H, t, ' J=7.5Hz) , 0.89 (3H, d, J=6.8Hz) , 0.95 (3H, d, J=6.8Hz ), 1.13 (3H, t, J=7.5Hz), 1.16 - 1.55 (7H, m) , 1,97 (3H, s) , 1.90 - 2.03 (3H, in), 2.27 - 2.41 (4H, m), 3.40— 3.63 (4H, in), 3.72 (IH, d, J=2.2Hz) , 3.78 (IH, d, J=ll.5Hz), 3.94 - 4.15 (5H, m) , 4.34 (IH, d, ]=7.1Hz), 4.38 (IH, d, J=10.0Hz), 5.01 (1H, d, J=13.1Hz), 5.04 (1H, d, J=12.4Hz), 5.32 (1H, dd, J=7.9, 15.1Hz), 5.47 (2H, m) , 6.11 - 6.24 (311, ra) , 6.49 (IH, dd, J=ll.2, 14.8Hz), 7.25 (IH, d, J=ll.5Hz)
(8) 1 3C MRスぺク トル (100MHz、CD30D、重メタノールの13 Cのシグナルを 49. Opp mとした時の化学シフト値を示す。 )
δ (ppm) : 175.7, 170.2, 161.6, 154.5, 145.5, 141.2, 139.9, 137.5, 129.8, 129.0, 127.0, 116.5, 112.0, 105.0, 103.0, 100.0, 77·.0, 76.4, 75.4, 74.9, 74.7, 73.9, 73.7, 72.6, 72.0, 69.9, 64.1, 61.5, 39.9, 39.6, 39.3, 34.0, 33.9, 31.0, 28.5, 28.3, 21.0, 14.3, 13.1, 12.2, 9.5
(9) 溶解性 :メタノールに溶け、 ァセトン、 酢酸ェチルに溶けにくく、 水にほ とんど溶けない。
(10) 塩基性、 酸性、 中性の区別: 弱酸性物質
本発明の第 2の要旨とするところは、 前述式 (2) で表され、 下記の物理化学的 性状を有する新規抗真菌活性物質 P F 1 23 7 B物質にある。
2. P F 1 237 B物質の物理化学的性状
(1) 色および性状 : 無色粉末
(2) 分子式 : C42H62016
(3) マススぺク トル 高分解能 FAB-MS m/z 823.4127 (M+H) +: (実測値) m/z 823.4116 (M+H) +: (理論値)
(4) 比旋光度 : [a]D 25 = +19.8° (cl.0, CH30H) '
(5) 紫外線吸収スぺク トル メタノール中で測定した結果を以下に示す。
maK nm ( ε ) : 208(1600), 225(760), 267(1850)
(6) 赤外線吸収スぺクトル KB r錠での測定結果を以下に示す。
V cm—1 3432, 2932, 2876, 1717 1702, 1636, 1611, 1246, 1154,
1071, 978 843
(7) NMRスペク トル (400MHz CD30D、 測定溶媒中に含まれる CHD20Dの Hの シグナルを 3.38PP¾iとした時の化学シフト値、 積分強度、 多重度、 結合定数を示 す。 ) .. . .
δ (ppra) :0.93 (3H, t, J=7.3Hz) , 0.98 (3H, d, J=6.9Hz) , 1.03 (3H, d, J=6.9Hz) , 1.06 (3H, t, J=7..4Hz) , 1.10— 1.52 (7H, m), 1.58— 1.70 (2H, m), 1.97 - 2.12 (3H, m), 2.06 (3H, s), 2.30 - 2.50 (4H, m) , 3.48 - 3.73. (4H, m) , 3.80 (1H, d, J=1.6Hz), 3.87 (IH, d, J=11.3Hz), 4.02-4.14 (4H, m), 4.21 (1H, dd, J=6.5, 10.5Hz), 4.42 (1H, d, J=7.8Hz) , 4.47 (IH, d, J=9.7Hz) , 5.08 (IH, d, J=26.1Hz), 5.12 (IH, d, J=25.7Hz), 5.33 (IH, dd, J=15.2, 30. OHz), 5.40 - 5.56 (2H, m), 6.18 - 6.33 (3H, ra) , 6.56 (1H, dd, J=ll.2, 15.7Hz), 7.33 (IH, d, J=ll.2H z)
(8) 13CNMRスぺク トル (100MHz CD3OD、重メタノールの13 Cのシグナルを 49. Oppm とした時の化学シフト値を示す。 )
δ (ppm) 174.9 170.2, 161.6 154.5, 145.5 141.2 139.9 137.5 129.8, 129.0 127.0, 116.5 112.0 105.0 103.0, 100.0, 77.0, 76.4 75.4, 74.9, 74.7,
73.9, 73.8, 72.6, 72.0, 70.0, 64.1, 61.5, 39.8, 39.6, 39.3, 37.0, 34.0, 33.9, 31.0, 28.5, 21.0, 19.5, 14.3, 14.1, 13.1, 12.2
(9) 溶解性 :メタノールに溶け、 ァセトン、 酢酸ェチルに溶けにくく、 水にほ とんど溶けない
(1 0) 塩基性、 酸性、 中性の区別: 弱酸性物質
本発明の第 3の要旨とするところは、前述式(3) で表され、 下記の物理化学的 性状を有する新規抗真菌活性物質 PF 1 237M物質にある。
3. P F 1 23 7 M物質の物理化学的性状
(1) 色および形状: 無色粉末
(2) 分子式 : C38H56015
(3) マススぺク トル: 高分解能 FAB-MS; m/z 753.3682 (M+H) +:実測値
ra/z 753.3697 (M+H) +:理論値
(4) 比旋光度 : [a]D 25 = +10.0° (cl.O, CH30H)
(5) 紫外線吸収スぺク トル:メタノール中で測定した結果を以下に示す。
λ max nm ( £ ) : 206(1150):, 225(470), 267(940) " '
(6) 赤外線吸収スぺク トル: KBr錠での測定結果を以下に示す。
V max cm-1: 3410, 2930, 1700, 1640, 1610, 1460, 1240, 1150, 1070, 980, 740
(7) 丽 Rスペク トル(400MHz、 CD30D、 測定溶媒中に含まれる CHD20Dの Hのシ グナルを 3.38ppmとした時の化学シフト値、積分強度、多重度、結合定数を示す。) δ (ppm) : 0.94 (3H, t, J=7.3Hz) , 0.99 (3H, d, J=6.9Hz) , 1.04 (3H, d, J=6.3Hz) , 1.15 - 1.65 (7H, m), 1.97 - 2.15 (3H, m), 2.07 (3H, s), 2.44 (2H, m>, 3.44 一 3.72 (6H, m), 3.84 - 3.92 (2H, m) , 4.02 - 4.16 (3H, m) , 4.43 (IH, d, J=6.7Hz), 4.47 (IH, d, J=10.0Hz), 5.07 (IH, d, J=12.9Hz), 5.13 (1H, d, J=12.7Hz) , 5.34 (1H, dd, J=7.1, 14.9Hz), 5.27 - 5.40 (2H, m), 6.23一 6.33 (3H, m), 6.58 (IH, dd, J=12.2, 15.8Hz), 7.34 (1H, d, J=ll.6Hz)
( 8 ) 13 C NMRスぺク トル(100MHz、 CD30D、重メタノールの 13Cのシグナルを 49. Oppra とした時の化学シフト値を示す。 )
δ (ppm) : 170.2, 161.6, 154.6, 145.5, 141.3, 140.0, 137.5, 129.8, 129.0, 126, 9, 116.5, 112.0, 105.2, 103.0, 100.0, 77.1, 76.7, 76.3, 75.5, 75.0, 74.9, 73.9, 72.9, 72.0, 69.7, 61.7, 61.7, 39.8, 39.5, 39. , 33.9, 33.9, 31.0, 28.5, 21.0, 14.4, 13.1, 12.2
(9) 溶解性 :メタノールに溶け、 ァセトン、 酢酸ェチルに溶けにくく、 水にほ とんど溶けない
(10) 塩基性、 酸性、 中性の区別: 弱酸性物質
本発明の第 4の要旨とするところは、 フザリウム (Fusarium) 属に属する P F 1 237物質群を生産する菌を培養し、 その培養物から P F 1 237 A物質、 P F 1 237 B物質おょぴ PF 1 2 37 M物質を採取することを特徴とする、 PF 1 23 7 A物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 237M物質の製造法である。 上記の P F 1 237 A物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 237 M物質生産 菌としては、 例えば本発明者らが新たに分離した P F 1 237株が挙げられる。 なお、 本発明で用いられる P F 1 237 A物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 23 7M物質生産菌は、 本明細書に記載の微生物に限定されるものではない。 P F 1 237 A物質、 P F 1 23 7 B物質および P F 1 237 M物質を生産する 能力を有している菌であれば P F 1 23 7 A物質、' P F 1 23 7 B物質および P F 1 237M物質生産菌としていずれを用いてもよい。 使用できる微生物の好適 な例としては、 PF l'23 7株、 あるいはこの菌株の継代培養物、 人工変異株な らびに自然変異株、 遺伝子組換え株などが挙げられる。 PF 1 237株の菌学的 性状は以下の通りである。
P F 1 237株の菌学的性状
(1) コロニーの性状
ッァペック酵母エキス寒天培地上で生育良く、 25°C、 7日間の培養でコロエーの 直径は 50〜53mmに達する。濃黄色、放射状のしわを生じ、密な菌糸層からなり、 束状の気生菌糸を中央に、 なわ状の気生菌糸を周辺に生じる。 分生子は形成しな い。 裏面は濃黄色となる。 ッァペック寒天培地上で生育良く、 25°C、 7 日間の培 養でコロニーの直径は 50〜52 mmに達する。 白色、 平坦、 薄い菌糸層からなる。
分生子を疎らに形成する。 裏面は白色となる。 37°Cの培養では、 どの培地上でも 生育しない。
(2) 形態的性状
菌糸は太く 2.5 At m以上である。 フィアライドは無色、 円筒形、 菌糸側面より 直立に生じ、 先端は細まり、 基部はややくびれ、 4.0〜8.0 χ 1.5〜2.5 μιηであ る。 分生子は無色、 楕円形〜円筒形、 滑面、 3.5〜7.5 χ 1.5〜2.5 m、 フィァ ライドの先端に粘塊状に生じる。
以上の菌学的性状より、 大分生子を形成しないが、 PF1237株を不完全菌類のフ ザリウム (F usarium) 属に属する糸状菌と同定した。 なお、 本菌株は以下のよ うに独立行政法人産業技術総合研究所特許生産寄託センターに FERM BP- 8416とし て国際寄託されている。
①寄託機関: 国際寄託機関、 独立行政法人産業技術総合研究所特許生産寄託セ ンター
住所: ' 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番地 1 中央第 6 (郵便 ..
番号 305- 8566)
②寄託曰 : 原寄託日 :平成 1.4年 3月 29日 . ·
'·移管請求日 :平成 15年 6月 24日 (平成 14年 3月 29日に寄託さ れた FERM P- 18798号より移管)
③寄託番号: FERM BP-8416
生産菌の培養法 .
本発明の菌株を用いて P F 1 2 3 7 物質、卩 1 2 3 7 B物質および PF 1 2 3 7M物質を生産する培養方法としては、 通常の微生物が利用し得る栄養物を含 有する培地を用い、 一般に実施されている方法に従って培養することが可能であ る。
栄養源としては、従来カビの培養に利用されている公知のものが使用できる。例 えば、 炭素源としては、 グルコース、 スクロース、 水飴、 デキス トリン、 でんぷ ん、 グリセロール、 糖蜜、 動植物油等を使用し得る。 また、 窒素源としては、 大 豆粉、 小麦胚芽、 コーン 'スティープ ' リカー、 綿実粕、 肉エキス、 ペプトン、
酵母エキス、 硫酸アンモニゥム、 硝酸ナトリウム、 尿素等を使用し得る。 その他 必要に応じてナトリウム、 カリウム、 カルシウム、 マグネシウム、 コバルト、 塩 素、 燐酸、 硫酸およびその他のイオンを生成することができる無機塩類を添加す ることは有効である。 また、 菌の発育を助け、 P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質の生産を促進するような有機及び無機物を適 当に添加することができる。
培養法としては、好気的条件での培養法、特に液体培養法が最も適している。培 養に適当な温度は 25〜30°Cであるが、多くの場合 26°C付近で培養する。 P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質の生産は、 培地や培 養条件によって異なるが、静置培養、振盪培養、タンク培養のいずれにおいても、 通常 2〜14日間でその蓄積が最高に達する。 培養液中の P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質の蓄積が最高になった時に培養を停 止し、 培養液から目的物質を単離、 精製する。 . P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質の精製法 本発明によって得られる新規抗真菌物質は主に菌体中に存在するので、菌体より 通常の分離手段、 例えば溶媒抽出法、 イオン交換樹脂への吸脱着法、 若しくは分 配あるいはゲルろ過等のカラムクロマトグラフィーを単独又は組み合わせて行う ことにより精製できる。 また高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフ ィ一なども精製に利用可能である。 好ましい分離、 精製の方法として.は以下の方 法が挙げられる。 培養液から遠心分離により菌体を得る。 得られた菌体からメタ ノールゃァセトン等により活性成分を抽出する。 この菌体抽出液を減圧下で溶媒 を留去後酢酸ェチル、 クロ口ホルム等の水と混和し難い有機溶媒を用いて抽出す る。 抽出液を濃縮乾固後クロロホルム一メタノールの混液を溶出液とするシリカ ゲル力ラムクロマトグラフィー、 次いで水ーァセトニトリルの混液を溶出液とす る O D Sカラムクロマトグラフィー、 次にメタノールを溶出液としたセフアデッ タス L H 2 0を用いたゲルろ過カラムクロマトグラフィー、 さらに水ーァセトニ トリルの混液を溶出液とする高速液体クロマトグラフィー、 を行うことにより目 的とする P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質を
得ることが出来る。
本発明の要旨とするところは、本発明で得られる新規な抗真菌活性物質または薬 理学的に許容されるその塩を含有する医薬組成物を提供することにある。 薬理学 的に許容しうる塩の典型例としては、 ナトリウム、 カリウム等のアルカリ金属、 マグネシウム、 カルシウム、 バリウム等のアルカリ土類金属、 アンモニゥム塩、 トリメチルァミン、トリエチルァミン等の有機アミン塩等を挙げることができる。 本発明に用いられる P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質を医薬組成物として使用するには種々の投与形態あるいは使用形態に合 わせて、 公知の担体を組み合わせて製剤化すればよい。 公知の担体としては、 賦 形剤 (例えば、 ショ糖、 デンプン、 マンニット、 ソルビット、 ラタ トース、 リン 酸カルシウム、 炭酸カルシウムなど)、 結合剤 (例えば、 セルロース、 メチルセル ロース、 ヒ ドロキシプロピノレセノレロース、 ポリプロピノレピロ リ ドン、 ゼラチン、 アラビアゴム、ポリエチレンダリコール、ショ糖、デンプン等)、崩壌剤(例えば、 デンプン、 カルボキシメチルセルロースおよびそのカルシウム塩、 炭酸水素ナト リウム、 リン酸カルシウム、 クェン酸カルシウム等) 潤滑剤 (例えばステアリン '酸マグネシウム、 エア口ジル、 タルク、 ラウリン酸ナトリゥム等)、 芳香剤 (例え :ば、 クニン酸、 メントール、 グリシン、 オレンジ紛等)、 保存剤 (例えば、 安息香' 酸ナトリウム、 亜硫酸水素ナトリウム等)、 安定化剤 (例えば、 クェン酸、 クェン 酸ナトリゥム、 酢酸など) 懸濁化剤 (例えば、 メチルセルロース、 ポリビニルビ ロリ ドン、 ステアリン酸アルミニウムなど)、 分散剤 (例えば界面活性化剤) など の医薬用として常用される種々の有機および無機の担体物質が上げられる。
本発明の化合物は、 抗真菌剤として皮下注射、 静脈内注射、 筋肉内注射、 坐薬等 による非経口投与あるいは錠剤、 カプセル剤、 散剤、 顆粒剤等による経口投与な どの全身投与のほか、 軟膏剤、 ローショ ン剤、 膣坐薬等の局所投与の形態を例示 することができる。 農薬用または衛生用品として本発明の化合物を活用する場合 には、 各分野で常用される調製方法を用いることができる。
<発明を実施するための最良の形態 >
以下に本発明の実施例を示すが、これは単なる一例であって本発明を限定するも のではなく、 ここに例示しなかった多くの変法あるいは修飾手段のすべてを包括 するものである。
実施例 1
種培地として、 でんぷん 2. 0%、 グルコース 1. 0%、 ポリペプトン 0, 5%、 小麦 胚芽 0. 6%、酵母エキス 0. 3%、大豆粕 0. 2%および炭酸カルシウム 0. 2% の組 成からなる培地 (殺菌前 PH7. 0) を用いた。 また、 生産培地としては、'ダルコ一 ス 5. 0% (別に殺菌)、 肉エキス 0. 4%、 大豆粕 1. 0%、 ポリペプトン 0. 4%、 酵 母エキス 0. 1 %、 塩化ナトリウム 0. 25° /。および炭酸カルシウム 0. 5% の組成か らなる培地 (殺菌前 PH7. 0) を用いた。
前記の種培地 80 mLを分注した 500 mL容三角フラスコを 120°Cで 20分間殺菌し、 . これに P F 1 2 3 7株 (FERM BP- 8416) の斜面寒天培養の 3〜4白金耳を植菌後、 26°Cで 3 0間振.とう培養した。 次いで、 種培地 500 mLを分注した 2000 mL容三角 フラスコを 120°Cで 20分間殺菌し、 これに上記種培養液を 10 mLずつ植菌し 26°C で 2 |≡1間振とう培養した。 さらに、 生産培地 60 Lを仕込んだ 100 L容ジャー.ファ メンター (福嶋鉄工 (株) 製) を 121°Cで 30分間殺菌し、 これに上記種培養液を 1.' 5 L植菌し、 撹拌数は最初 150 rpm、 24時間後に 180 rpm、 通気量 60 L/分、 26°C で 5日間培養した。.
こうして得られた培養液 90Lを遠心分離し菌体の沈殿物 20Lを得た。この菌体に メタノール 40Lを加え室温で 120分攪拌した後、 遠心分離により菌体を除去しメ タノール抽出液を得た。 メタノール抽出液を減圧下に約 5Lに濃縮し 7Lの酢酸ェ チルを加え室温で 60 分攪拌し沈殿物を除去することにより得られた酢酸ェチル 抽出液 6Lを減圧下に濃縮し 2S. 8gの粗抽出物を得た。
得られた粗抽出物に 400mLのへキサンと 200mLのメタノールを加え攪拌した後メ タノール層を分離し減圧下に濃縮し 25. 8gの粗抽出物を得た。これを 70mLのメタ ノールに溶解し、 100gのシリカゲル (ヮコ一ゲル C- 300、 和光純薬社製) を加え た後、 減圧下でメタノールを留去した。 得られた粗抽出物をシリカゲルに均一に 吸着させた。 これをグラスフィルター上のシリカゲル 100gに重層し、クロロホル
ム Zメタノール溶液 (メタノール濃度が 0%を2.4L次いで 1, 10, 50, 100%をそ れぞれ 2L) で溶出し活性画分を集めて減圧濃縮により残渣 IS.8gを得た。
得られた残渣を lOOraLのァセトニトリルに溶解し 200mLの蒸留水を加え懸濁させ た。 これをァセトニトリル Z蒸留水 =3/7の混合溶媒にて平衡化したグラスフ ィルター上のコスモシール 75C18_OPN (ナカライテスタ社製) 200gに吸着 した。本カラムを、 ァセ トニトリル/蒸留水 = 3/7 1.6し、 ァセトニトリル 蒸 留水 = 3 2 1.6L、およびメタノール5 OOmLにて順じ溶離した。 PF 1 237A 物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 237 M物質を含む分画から有機溶媒を 留去し、 得られた水層を酢酸ェチルで抽出し減圧濃縮により残渣 1.65gを得た。 得られた残渣をメタノ一ルを溶離液とするセフアデックス LH20
カラムクロマトグラフィー (フアルマシア社製、 内径 5cm、 長さ 80cm) にかけ活 性画分を濃縮乾固することにより粗物質 721mgを得た。
得られた粗物質を 7.2tnLのメタノールに溶解し、その一部を用いァセトニトリル Z蒸留水 = 55/45の混合溶液で充填した高速液体ク口マトグラフィー (カラ ム :ィナートシル〇 D S— 2、 内径 20mra、長さ 250mm、 ジーェノレサイエンス社製) に注入しァセトニトリル Z蒸留水 = 55 /'45の混合溶液で溶出することを繰り 返すことにより PF 1 23 7 A物質、 P F 1 237 B物質および P F 1 23' 7 物質を含む画分をそれぞれ得た。 得られた画分はそれぞれァセトニトリルを留去 し、 得られた水層を酢酸ェチルで抽出し濃縮乾固することにより PF 1 237A 物質 34.6mg、 P F 1 23 7 B物質 133tngおよび P F 1 23 7M物質 63.9mgをそ れぞれ無色粉末として得た。
試験例 1
P F 1 23 7 A物質、 P F 1 23 7 B物質および P F 1 23 7 M物質の抗真菌活 性を液体培養試験法により、各種菌株に対する最小阻止濃度 (MIC) として測定し た。
培地として R PM 1 1 640 (ギブコ社製) に 165 mM MO P S緩衝液 (ナカラ ィテスク社製)を加え pH7.0に調製したものを用い、 35°Cで 24時間(Cryptococcus neoforraansについては 72時間、 Aspergillus fumigatus については 30°C、 48
時間) 培養した。 その測定結果を表 1に示す
表 1 PF1237A物質、 PF1237B物質および PF1237M物質の抗真菌活性
Candida glabrate TIMM3171 8 4 64
Candida parapsilosis TIMM3172 1 0.5 4
Candida krusei TIMM3378 8 8 32
Candida albicans T画 1768 1 0.5 2
Candida tropicalis T画 3380 1 1 >128
Cryptococcus neoformans TIM 3174 64 >128 >128
Aspergillus fumigatus TIMM1775 32 32 >128
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、 本発明の精神と範 囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にと つて明らかである。
本出願は、 2002年 8月 02日出願の 本特許出願 (特願 2002— 225540) に基づ くものであり、 その内容はここに参照として取り込まれる。
<産業上の利用可能性〉
本発明の新規抗真菌活性物質 P F 1 2 3 7 A物質、 P F 1 2 3 7 B物質および P F 1 2 3 7 M物質は、 表 1に示したように、 医療上問題になっている Candida albicansを含む各種真菌に対し抗真菌活性を有しており、これらを有効成分とす る抗真菌剤は各種真菌を起因菌とする真菌症の治療に有用である。