明 細 書
ジーンサイ レンシング用べク ターおよびこれを用いたジーン サイ レ ンシング方法
技術分野
本発明はジーンサイ レンシングを生じさせるために使用で き る ウ イノレスベタ ターおよび該ベク ターを用いたジーンサイ レ ンシング方法に関する。 よ り 詳細に言えば、 ジーンサイ レ ンシングの発生確率が高く 、 かつメ ンデルの法則に従った遺 伝をする ウ ィ ルス誘導型ジーンサイ レンス方法に関する も の である。
背景技術
特定の標的遺伝子の発現を抑制する こ と は、 遺伝子機能の 解析を目的と した研究的側面のみならず、 植物の品種改良の ための手段と しても有望な手法である。 そのための手段と し て、 標的遺伝子と は逆向きの塩基配列を有するア ンチセ ンス
D N Aを細胞に導入して、 標的遺伝子の翻訳を阻害するアン チセ ンス法が知られている。 し力、し、 アンチセ ンス法では、 タ ンパク質の産生を完全に抑制するこ とが困難である とい う 問題があった。
上記アンチセ ンス法の問題を解決するために、 近年、 ジー ンサイ レ ンシングの研究が活発になっている。 ジーンサイ レ ンシ ングは、 遺伝子の転写レベルで作用する もの ( T r a n s c r i p t i o n a l e n e S i l e n c i n g ; T G S ) と 、 転写後に作用する も の ( P o s t T r a n s c r i p t i o n a l ¾J e n e S i l e n c i n g ; P
T G S ) と に分類されるが、 その何れにおいても、 殆どの場 合に 1 0 0 %の範囲に近い内在性遺伝子発現の抑制がしばし ば起き る点でアンチセ ンス法と は異なっている。 最近は P T G S に関する研究報告が多く 、 転写された m R N Aが急速に 分解される現象が哺乳動物、 植物および微生物で報告されて いる ( S C I E N C E v o l . 2 8 8, 1 3 7 0 - 1 3 7 2, N A T U R E v o l . 4 0 4 , 8 0 4 - 8 0 8 等)。 P T G S のメ カニズムは現在も不明であるが、 この事 象は植物バイオの分野においてコ ' サブレッシヨ ン ( C o — S u p p r e s s i o n ) と して知られている。
し力、 し、 コ · サブレ ッシ ヨ ンでは P T G S が起こ る確率が 低く 、 あるいは組織の一部のみでしか誘導されないとい う こ と がたびたび起きる とい う 問題が指摘されている。
また、 P T G S を効率的に誘導するためにウィルスベク タ 一を用いる ウィルス誘導型ジーンサイ レンシング ( V i r u s — i n d u c e d g e n e s ι 1 e n c i n g ; V I G S ) が知られている。 し力、し、 V I G S は、 ウ ィルスその ものをベク ター と している こ と と ジーンサイ レンスが遺伝し ないとい う 問題が指摘されている。
本願発明の発明者等は、 先に特開平 6 — 1 3 3 7 8 3 号に おいて、 ジャガイモ Y ゥ イ ノレス えそ系統 ( PVY-T) に対する 耐性を付与するためのベク ターを開示した。 その後の研究に よ り、 こ のべク ターをジー ンサイ レンシングに使用でき る こ と を見出 し、 本発明を完成 した。 すなわち、 本発明は、 宿主 における特定の標的遺伝子の発現を抑制するジーンサイ レン
シング用ベタ ターおよびジーンサイ レ ンシング方法を提供す る ものである。
発明の開示
本発明によるジーンサイ レ ンシング用ベク ターは、 プロモ 一ターの下流にェンハンサー配列と、 その下流にポティ ウイ ルス ( P o t y v i r u s ) 由来のコ ー ト タ ンパク質 (以下 「 C P」 とい う こ と もある) をコー ドする遺伝子と を有する 組換えべク ターであって、 C P をコー ドする遺伝子の上流あ るいは下流に、 宿主植物においてジーンサイ レ ンシングを生 じさせるべき特定の標的遺伝子あるいは該標的遺伝子と相同 な遺伝子配列をセ ンス方向に揷入したこ と を特徴とする も の である。
また本発明によるジーンサイ レ ンシング方法は、 前記べク ターに前記標的遺伝子を揷入して得られた遺伝子構築物によ り宿主植物を形質転換する こ と で、 前記宿主植物における前 記標的遺伝子の発現を抑制する こ とからなる。
本発明のジー ンサイ レ ンシング用べク ターあるいは本発明 のジーンサイ レ ンシング方法は、
( 1 ) 標的遺伝子数が 1 コ ピーであっても、 ジー ンサイ レ ンシングの発生確率が高い。
( 2 ) 当代で標的遺伝子の発現が多様な レ ベルで調整 (数%〜 1 0 0 %の範囲で抑制) された個体を得る こ とがで 含 る。
( 3 ) ジーンサイ レ ンシングが後代にも遺伝する。
( 4 ) メ ンデルの法則に基づいて遺伝するため、 固定品種
との交配によ り 数。/。〜 1 0 0 %の範囲で標的遺伝子の発現が 抑制される品種を容易に得る こ とができ る。
と い う予期 しない効果をもた ら した。
図面の簡単な説明
図 1 は、 P V Y— T ■ C P Wベクターの構築を示す図であ る。
図 2 は、 p Y S 4 1 5ベク ターの構築を示す図である。 図 3 は、 p Y S 4 1 2ベク ターの構築を示す図である。 図 4 は、 p Y S 4 3 6ベク ターの構築を示す図である。 図 5 Aおよぴ図 5 B は、 p Y S 4 6 5ベク ターの構築を示 す図である。
図 6 は、 p Y S 4 6 6ベク ターの構築を示す図である。 これらの図において、 図中の略号は次の通 り である : N P T =ネィマイ シンホスホ ト ラ ンスフエ レース 、 B R =右ボーダ 一、 B L =左ボーダー、 3 5 s — ; r o =カ リ フラ ワーモザ イ ク ウイノレス 3 5 s プロ モーター、 N O S — t e r = パ リ ン合成酵素のターミネータ一、 A m p =ア ン ピシ リ ン耐性遺 伝子、 P V Y— C P = P V Y— Tのコー ト タ ンパク質遺伝子 G F P = G F P遺伝子、 G U S = j3 ダルク ロニダーゼ遺伝子 P s D o f 1 =エン ドゥ Z i n c f i n g e r 転写因子。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、 ジャガイモを、 ジャガイモ Y ウ ィ ルスえそ 系統に対して抵抗性にするために開発された G S — P V Yベ ク タ一 (特開平 6 — 1 3 3 7 8 3 号) の P V Y— T コー トタ
ンパク質の周辺にセ ンス方向に組み込まれた遺伝子のジーン サイ レンス が誘導される こ と に注目 し、 プ ロ モーターの下流 に存在する ェ ンハ ンサーをコー ドする遺伝子と ウ ィ ルス由来 のコー ト タ ンパク質をコー ドする遺伝子が P T G S に強く 関 与している こ と を見出 した。
G S — P V Yベク ターは、 プロ モータ ーの下流にキユ ウ リ モザイ ク ウィルス ( C MV ) の R N A 4 における リ ーダー配 列と、 その下流にジャガイモ Yウィルスえそ系統 ( P V Y—
T ) の コ ー ト タ ンパク質をコー ドする遺伝子と を有する組換 えベク ターである。 本発明のジーンサイ レンシング用べク ターで用いられるプ 口モーターは、 特に限定される も のではな く 、 ウ ィ ルス由来 のコー ト タ ンパク質の転写を開始でき る ものであればよい。 たと えば、 3 5 Sプロモーター、 P A Lプロモーター、 P A L B O Xプロ モーター等が利用でき る。
C M Vにおける R N A 4 の リ ーダー配列は、 新田 ら ( 1 9 8 8 ) 日本植物病理学会報 5 4 : 5 1 6 — 5 2 2 に示されて いる。 また、 一般的に、 植物ウ ィ ルス の構造タ ンパク質の リ ーダー配列が、 タ ンパ ク 質の発現を増強する作用をも っ てい る こ と は良 く 知 られている ( D . E . S l e a t a n d T . M . A . W i l s o n , 1 9 9 2 , P l a n t V i r u s G e n o m e s a s S o u r c e o f N o v e l f u n c t i o n s f o r G e n e t i c E n g i n e e r i n g , I n G e n e t i c E n g i n e e r i n g w i t h P l a V i r u s e s ,
T . M . A . W i l s o n a n d J . W . D a v i e s e d . , C R C P r e s s , p p 5 5 — 1 1 3 ) 。
したが っ て、 G S — P V Yベク ターのプロ モーターの下流 に配置された C M Vの R N A 4 における リ ーダー配列は、 本 発明のジー ンサイ レ ンスベク ターにおいては、 これに限定さ れる も のではな く 、 タ ンパク質発現の転写を活性化させるェ ンハ ンサー配列であればよ く 、 た と えば、 3 5 S プロモータ 一中のェ ンハ ンサー (一 9 0 〜一 4 4 0 の領域) や T M V— オメ ガ配列のよ う なェンハンサー配列が使用でき る。
ウ ィ ルス のコー ト タ ンパク質は、 グループ特異的なア ミ ノ 酸組成を持ってお り 、 他の ウ ィ ルスグループと は配列の相同 性が低い唯一の ウ ィ ルス産物である こ と が知 られている。 P V Y— Tは、 ポティ ウ ィ ルス ( P o t y v i r u s ) に属す る植物ウ ィルスである。 本発明のジーンサイ レ ンスは、 植物 が本発明のジーンサイ レンスべク ター中の コー ト タ ンパク質 とそのェンハンサーに対する防御に起因 している と考え ら得 る。 したがって、 P V Y— T と 同一のグループに属 し、 相同 性の高いポティ ウ ィ ルス由来の コー ト タ ンノ、。ク質、 た と えば、 P V A , P V V , P r L V , P r M o V、 T E V , Τ V Β Μ V, Τ V Μ V , T W V由来のコー ト タ ンパク質をコー ドする 遺伝子配列を使用する こ と も可能である。
ま た、 ジーンサイ レ ンス の効率を高める ため、 コー ト タ ン パク 質を コー ドする遺伝子配列はシングルではな く 、 複数の 同種ある いは異種配列をタ ンデム に配置 して も よい。
本発明のジー ンサイ レンス用ベク ターは、 入手可能な適切 なベク ターを基礎に して構築する こ と ができ る。 こ の基礎に なるべク ターは、 上記プロ モーターの他に宿主細胞内で機能 する複製開始点を有し、 また、 ターミネータおよび薬剤耐性 のよ う な適当な選択マーカーを有する こ と が好ま しい。 たと えば、 入手可能な適切なベク ターに、 上記 C M Vの R N A 4 における リ ーダー配列おょぴ P V Y— Tの C P をコー ドする 配列を、 常法によ り 制限酵素を駆使して揷入する こ とで容易 に調製する こ と ができ る。
本発明のジーンサイ レンス方法は、 前述のジーンサイ レン ス用ベク ターのポティ ウイノレス ( P o t y v i r u s ) 由来 のコー ト タ ンパク質をコー ドする遺伝子の上流あるいは下流 にジー ンサイ レ ンシングの標的 とする遺伝子(以下 「標的遺 伝子」 と い う)あるいは該標的遺伝子と相同性のある遺伝子 をセ ンス方向で組込んだベク ターを用いて宿主植物を形質転 換する こ と を特徴とする ものである。
本発明を適用 してジーンサイ レ ンシングを生じさせるべき 宿主植物は、 特に限定されない。 適切な宿主には、 例えばジ ャガイモ、 タノ コ等が含まれる。
本発明においては、 ジー ンサイ レ ンシングの標的遺伝子、 即ち、 宿主において遺伝子発現を抑制すべき遺伝子を、 ジー ンサイ レ ンシング用ベク ターのポティ ウイノレス由来 C P の上 流あるいは下流に連結する。 こ の標的遺伝子は特に限定され ず、 宿主の中に存在する如何なる遺伝子(内在性遺伝子)や外 来性遺伝子であっても固定化している ものであってもよい。
これらの遺伝子は全長をコー ドする ものが望ま しいが相同性 を有する もの (たと えば、 全長の一部分をコー ドする もの) を用いても よい。 相同性を有する遺伝子を用いる場合、 相同 性は高いものが望ま しく 、 好ま しく は 7割以上、 よ り 好ま し く は 8割以上の相同性である。 また、 標的遺伝子数は 1 コ ピ 一でも十分発明の効果を得られるが、 よ り確実にするため複 数個、 たと えばタンデム、 と しても よい。 このよ う に、 標的 遺伝子を本発明のジーンサイ レ ンシング用べク ターに組み込 み、 宿主植物を形質転換する こ と によ り 、 宿主における標的 遺伝子の抑制を誘導する こ とができ る。
本発明において、 宿主植物を形質転換する方法は特に限定 されず、 宿主植物の種類に応じて適切な方法を選択すればよ い。 宿主細胞が植物である と き には、 まず、 植物に対して強 力な感染力を有するァグロバク テ リ ゥム · ッメ フ ァ シエ ンス
( A g r o b a c t e r i u m t u m e f a c ι e n s ; を、 上記ジーンサイ レ ンシング用ベク ターに標的遺伝子を導 入した遺伝子構築物で形質転換し、 これを宿主植物に接種し て感染させる方法が好ま しいが、 これに限定される も のでは ない。 ァグロパクテ リ ゥム ■ ッメ フ ァ シエ ンス の形質転換方 法自体は公知であ り 、 例えば凍結融解法 (文献 : G . A n e t a 1 . , ( 1 9 8 8 ) B i n a r y V e c t o r s , I n P l a n t M o l e c u l a r B i o l o g y M a n u a l A 3 , K 1 u w e r A c a d e m i c, D o r d r e c h t . 1 - 1 9 ) によ り 行 う こ とができ る。
本発明によれば、 標的遺伝子のジー ンサイ レ ンシングが高 い確率で誘導される。
また、 本発明によれば、 標的遺伝子の発現が多様なレベル で調整 (数%〜 1 0 0 °/0の範囲で抑制) された個体を得る こ とができ る。
さ らにまた、 本発明によるジーンサイ レ ンシング用べク タ 一を用いて誘導された標的遺伝子のジーンサイ レンシングは、 形質転換された当代だけでな く 自殖後代でも遺伝する こ とが 認め られ、 標的遺伝子の発現を安定的且つ永続的に抑制する こ と が可能である。
更にまた、 誘導された標的遺伝子のジーンサイ レ ンシング は、 メ ンデルの法則に合致して遺伝するため 自殖後代だけで な く 、 他の系統と の交配に よ って も、 標的遺伝子の発現を 種々 の レベルで抑制する こ と ができ 、 完全に ( 1 0 0 。/0 ) 抑 制する こ と も可能である。 その一例と して、 後述の実施例で 示すよ う に、 F 1 の 6 0個体中の約 3 0個体 (約 5 0 % ) カ マーカー遺伝子と して用いた G F P発現を完全に抑制 し、 残 り の 3 0個体 (約 5 0 % ) は G F P発現が低程度から中程度 に発現を抑制される結果と な り 、 ジーンサイ レンシングの効 果が示された。
以下、 本発明を実施例に基づいてよ り具体的に説明するが、 これらの実施例は本発明を例示する 目的で提供する も のであ り 、 特許請求の範囲に記載された発明を限定する も のではな レヽ。
実施例 1 : G F P遺伝子をマーカーと した実験
(当代における外来性遺伝子の抑制) く材料および方法 >
I . ベク ターの作製
( 1 ) P V Y - T · C P Wベク ターの構築 : 図 1 参照 植物発現ベク ター p B I 1 2 1 (米国ク ロ ーンテ ッ ク 社 製) に P V Y — T · C P を組込んだベク ター p B I 1 2 1 P V Y - T - C P (特開平 6 — 1 3 3 7 8 3 号) を、 制限酵 素 H i n d I I I および E c o R I で切断して、 3 5 S プロ モーター、 P V Y— Τ · C Pおよび N o s ターミ ネータ を含 む D N A断片を得た。 この断片を p U C 1 9 (宝酒造株式会 社製) の制限酵素部位 H i n d I I I および E c o R I 部位 に導入して、 p U C 1 9 - P V Y— T ' C P を得た。 このべ ク タ一を制限酵素 H i n d I I I および E c o R I で切断し、 3 5 Sプロモーター、 P V Y— T · C Pおよび N o s ターミ ネータ を含む D N A断片を回収 し、 T 4 D N Aポ リ メ ラーゼ によ り 平滑末端と して、 第一の平滑末端 D N A断片を得た。
一方、 も う一つの p B I 1 2 1 P V Y— T · C Pを制限酵 素 H i n d i I I で切断した後、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼに よ り 平滑末端と した。 この線形化された p B I 1 2 1 P V
Y— T ■ C P に先に得られた平滑末端 DNA断片を T 4 リ ガ一 ゼによ り 連結して、 3 5 S プロモーター、 P V Y— T ' C P および N o s ターミ ネータが二重タンデムで連結された P V
Y— C P Wを得た。
( 2 ) p Y S 4 1 5ベク ターの構築 : 図 2参照
次のよ う に して、 特開平 6 — 1 3 3 7 8 3 号の ρ Β Ι 1 2
1 P V Y - T ■ C Pベク ターに G F P遺伝子が組込まれてい る p Y S 4 1 5ベク ターを構築した。
先ず、 p U C 1 9 (宝酒造株式会社製) に 3 5 S プロモー ター、 G F P遺伝子および N o s ターミネータがク ローェ ン グされている : Y S 4 0 9 を、 制限酵素 H i n d I I I およ び E c o R I で切断した。 3 5 S プロ モーター、 G F P遺伝 子および N o s ター ミネータを含む D N A断片を回収し、 こ れを T 4 D N Aポリ メ ラーゼによ り 平滑末端とする こ と によ り 、 平滑末端 D N A断片を得た。 次に、 p B I 1 2 1 P V Y 一 T · C P を制限酵素 E c o R I で切断して線形に した後、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで平滑末端と した。 こ の線形化され た平滑末端の !) B I 1 2 1 P V Y - T · C P に、 先に得ら れた平滑末端 D N A断片を T 4 リ ガーゼで連結する こ と によ り 、 p B I 1 2 1 P V Y— T ' C P における N o s ターミ ネータの下流に、 3 5 Sプロモーター、 G F P遺伝子および N o s ター ミネータが挿入されたベク ター p Y S 4 1 5 を得 た。
( 3 ) p Y S 4 1 2ベク ターの構築 : 図 3 参照
次のよ う に して、 ( 1 ) で構築した P V Y— T . C P Wベ ク タ一に G F P遺伝子が組込まれている p Y S 4 1 2ベク タ 一を構築 した。
まず、 ( 2 ) で述べた p Y S 4 1 5 の場合と同様に、 p U C 1 9 (宝酒造株式会社製) に 3 5 S プロ モーター、 G F P 遺伝子および N o s ターミ ネータがク ローニ ングされている P Y S 4 0 9 を、 制限酵素 H i n d i I I および E c o R I
で切断した。 3 5 Sプロモーター、 G F P遺伝子おょぴ N o s ターミネータ を含む D N A断片を回収 し、 これを T 4 D N Aポ リ メ ラーゼによ り 平滑末端とする こ と によ り 、 平滑末端 D N A断片を得た。 次に、 ( 1 ) で得た P V Y— T . C P W を制限酵素 E c o R I で切断し、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで 平滑末端と した。 こ の線形化された平滑末端の P V Y— T ■ C P Wに、 先に得られた平滑末端 D N A断片を T 4 リ ガーゼ で連結する こ と によ り 、 P V Y— T ' C P Wにおける 3 ' N o s ターミネータの下流に、 3 5 S プロ モーター、 G F P遺 伝子おょぴ N o s ター ミネータが挿入されたベク ター p Y S 4 1 2 を得た。
I I . ァグロ ノ クテ リ ウム ■ ッメ フ ァ シエ ンスへの形質転 換
上記で構築された植物形質転換用ベク ター; p Y S 4 1 5お よび p Y S 4 1 2 を、 それぞれ別々 に、 凍結融解法によ り ァ グロ ノ クテ リ ゥム · ッメ フ ァ シエ ンス の菌種 L B A 4 4 0 4 (ホ ックマン等、 N a t u r e 3 0 3 ; 1 7 9 — 1 8 0 , 1 9 8 3 ) に導入して形質転換を行った。 続いて、 カナマイ シン耐性で選抜する こ と によ り 、 p Y S 4 1 5 または p Y S 4 1 2 の何れかがァグロパクテ リ ゥム · ッメ フ ァ シエ ンスの 菌種 L B A 4 4 0 4 に導入された目的のコ ロニーを得た。
I I I . タバコへの形質転換
温室内で 1 . 5 ヶ月栽培したタバコ品種 (尸 e ί Η a v a n a S R I ) の上位葉から採取したタバコの葉を、 7 0 %エチルアルコールおよび 1 %次亜塩素酸ナ ト リ ゥムで
表面殺菌し、 滅菌水で洗浄した後、 直径約 6 m mの葉片ディ スク を調製した。 この葉片と、 上記のよ う に して本発明のベ ク タ一で形質転換したァグロバタテ リ ゥム · ッメ フ ァ シェン ス約 1 0 8 細胞と を、 L i n s m a i e r および S k o o g の無機塩類および 3 0 g Z L のス ク ロ ースからなる液体培地 中において 4 8 時間共存培養を行った。
その後、 葉片をセフオタキシム 2 5 O m g / L を含む滅菌 水で洗浄し、 細菌を洗い落と した後、 L i n s m a i e r お ょぴ S k o o g の無機塩類、 イ ン ドール酢酸 0 . 3 m g / L 2 i p 1 0 m g / L s カナマイ シン l O O m g / L セ フ オタキシム 2 5 O m g Z Lおよび寒天 0 . 9 %を含む茎葉分 化培地に置床 した。 約 1 ヶ月 の後、 カナマイ シン耐性を示す 茎葉を L i n s m a i e r および S k o o g の無機塩類、 3 0 g , L のス ク ロ ース 、 カナマイ シン 1 0 0 m g Z L、 セ フ オタキシム 2 5 O m g Z Lおよび寒天 0 . 9 %を含む発根培 地に置床 した。 培養約 1 ヶ月後、 発根した形質転換体を閉鎖 系温室内で栽培した。 上記の手法は、 小鞠等 ( T h e r . A p 1 . G e n e t . 7 7, 5 4 7 — 5 5 2、 1 9 8 9 ) の 方法に従って行った。
I V . 形質転換体の分析
( 1 ) G F P遺伝子の発現
G F P遺伝子の発現は、 形質転換体が発する蛍光を検出す る こ と によ り 分析した。 蛍光測定には B I O — R A D社製の M o l e c u l a r I m a g e r F Xを用い、 浜松ホ ト 二タ ス社製の画像解析システム ( A Q U A C O S M O S ) を
用いて解析した。
ぐ結果 >
( 1 ) G F P遺伝子のジーンサシレ ンシング
上記方法によ り 、 上記のベク ター構築物 p Y S 4 1 5 で形 質転換された形質転換タバ コ について G F P の蛍光を測定し た と ころ、 G F P の緑色蛍光を強く 発現する個体から全く 緑 色蛍光が認め られない形質転換タバコが選られた。 更に、 P V Y - T ウ ィ ルスを接種したと ころ、 緑色蛍光が認められな い形質転換タ バ コ のみから、 P V Y — T の病徴を示さない個 体 (免疫個体) が選られた。 G F P発現と P V Y — T抵抗性 との関係を下記の表 1 に示す。 この結果から明 らかなよ う に P V Y — Tに抵抗性を示す形質転換タバコは G F Pの発現が ジーンサイ レ ンシングによ り抑制されている。 これによ り 、 本発明のベク ターは、 導入された G F P遺伝子の発現を高頻 度で抑制する こ とが示された。
表 1 GS-PVYベクター + GFP遺伝子を導入した形質 転換タ バ コ の
GFP発現と P VY-T抵抗性の関係
供試タ ノくコ品種 : Petit Havana SRI
供試コ ンス ト ラ ク ト : pYS415
なお、 形質転換タバコの P V Y— T抵抗性については、 特 開平 6 — 1 3 3 7 8 3 号の段落番号 〔 0 0 2 7〕 に記載の検 定法に準じて調査した。 即ち、 タ ノ コ B r i g h t Y e 1 l o w 4号または B u r l e y 2 1 に P V Y— Tの精製 ウィルス粒子を接種し、 2週間後、 壊疽症状を確認した後に 感染葉をサンプリ ングし、 生重に対して 2 〜 1 0倍の P B S 一 Tノ ッフ ァー (リ ン酸バッフ ァー 0 . 0 2 M) で希釈後、 ホモジナイ ズし、 その磨砕液を各々の形質転換体に接種した。 供試する形質転換体は 4寸釘で鉢上げ後、 2 1 °C前後に調整 された閉鎖系温室で栽培し、 鉢上げ 2 〜 3 週間後に人工接種 を行った。 人工接種は、 供試植物の上位葉から中位葉の 5枚 の葉に対して、 6 0 0 メ ッシュのカーポラ ンダム と所定濃度 のウ ィルス磨砕液を混合したものを塗布する こ と によって行 つた。 接種後、 経時的 ( 1 週間〜 2 力月 ) に壌疽病徴の有無 を調査し、 更に E L I S Aでウ ィルス粒子の有無を調べる こ と によ り 、 抵抗性の程度を検定した。
実施例 2 : G F P遺伝子をマーカーと した実験
(他種との交雑によ る内在性遺伝子の抑制) 実施例 1 において、 ジーンサイ レ ン シングによ り P V Y— Tに対して抵抗性を示し、 且つ G F P の発現が完全に抑制さ れている形質転換タバコ ( G B S 1 8 、 G B S 1 9 ) を選抜 した。 これ ら の形質転換タバコ を 自殖させた後、 自殖後代 ( R 1 ) 力 ら、 P V Y— Tに抵抗性で且つ G F Pの発現が抑 制されたも の ( G B S 1 8 — 1 3 、 G B S 1 9 — 7 、 G B S 2 0 - 9 ) を選抜した。 伹し、 G B S 1 9 系統は初期にジー
ンサイ レンシングが誘導されるのに対して、 G B S 1 8 およ び G B S 2 0 系統はェイジが進むに伴ってジーンサイ レ ンシ ングが誘導される系統である。
次に、 上記で選抜された G B S 1 8 - 1 3 および G B S 1 9 一 7 と 、 タ バ コ P e t i t H a v a n a S R I ) に G F P遺伝子を導入して G F Pが高発現する よ う に固定化し た形質転換タバコ ( G F P — 7 — 1 1 ) と を交雑させた。 選 られた F 1 種子を、 定法によ り 7 0 %エタ ノ ール (数秒) お よび 1 %次亜塩素酸ナ ト リ ウム ( 5分) で表面殺菌し、 滅菌 水で洗浄した後、 L i m s m a i e r および S k o o g培地 上に播種 し、 B I O— R A D社製の M o 1 e c u 1 a r I m a g e r F x を用いて G F P の緑色蛍光を経時的に測定 した。 栽培条件は下記の通 り である。
光条件 : 3 0 0 0 〜 5 0 0 0 L u x の白色蛍光灯下 で 24時間照明
培養温度 : 2 3 °C〜 2 5 °C
なお、 タバコの自殖種子と F 1雑種種子の採種方法は次の 通 り である。 タバコの 自殖種子は、 花粉の混入を防ぐために 紙袋で花序部を覆う こ と によ り 容易に得られる。 また、 F 1 雑種種子を得るためには、 目的の個体と交雑する前に他から の花粉が混入しないよ う に注意しなが ら除雄し、 開裂したば か り の葯の花粉を雌しベの柱頭に付着させた後、 上袋で花序 部を覆う こ と によ り 得られる。 通常、 開花後 4 〜 5週間でサ クが褐変 し、 種子が登熟する。 遺伝子組換えタバコについて は、 2 0 °C〜 2 5 °Cで制御された完全閉鎖系温室で栽培し、
タバコの 自殖種子と F 1雑種種子を採種した。
その結果、 G F Pが高発現する固定化した形質転換タバコ (黄色) と非形質転換タバコ (赤色) との F 1雑種 ( G F P 7 — l l X S R l c o n t . ) では、 全て G F P の発現 (ォ レンジ色) が認められた。 これに対して、 G B S 1 8 — 1 3 、 G B S 1 9 — 7及び G B S 2 0 — 9 と の交雑では、 F 1 の 6 0個体の う ち約 3 0個体 (約 5 0 % ) において G F Pの発現 が完全に抑制され (赤色) 、 残り の 3 0個体 ( 5 0 % ) では、 G F Pの発現が低程度から中程度に抑制される結果が (ォレ ンジ色〜赤色) 得られた。 更に、 P V Y— Tの抵抗性を調べ た結果、 G F P発現が完全に抑制された個体 (赤色個体) は 全て、 P V Y— Tに対する抵抗性を示した。 無菌播種 8 日 目 で、 G B S 1 9 — 7 X G F P 7— 1 1 ( F 1 ) の約半数は G F P の発現が完全に抑制され (赤色化) 、 G B S 1 8 — 1 3 および G B S 2 0 — 9 の自殖後代と 同様に、 ェイ ジが進むに 連れてジーンサイ レ ンシングが誘導される結果と なった。
以上の結果から、 G S — P V Yベク ターによってタバコに 誘導されたジーンサイ レンシング効果は、 自殖後代 ( R 1 ) でも維持され、 またこれを他のタバコ種と交雑して得られた F 1 世代にも受継がれる こ とが明 らかになった。
実施例 3 : G U S遺伝子をマーカーと した実験
<材料および方法〉
I . ベク ターの作製 :
次のよ う に して、 ( 1 ) で構築 した P V Y— T ■ C P Wベ ク タ一に /3 —グルク ロエダーゼ ( G U S ) 遺伝子が組込まれ
ている p Y S 4 3 6ベク ターを構築した。
先ず、 p U C 1 9 (宝酒造株式会社製) に 3 5 S プロモー ター、 G U S遺伝子おょぴ N o s ターミネータがク ローニ ン グされている p B I 2 2 1 を、 制限酵素 H i n d I I I およ ぴ E c o R I で切断した。 3 5 S プロ モーター、 G U S遺伝 子および N o s ター ミ ネータを含む D N A断片を回収し、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで平滑末端とする こ と によ り 、 平滑末 端 D N A断片を得た。 次に、 P V Y— T · C P Wを制限酵素 E c o R I で切断して線形化した後、 T 4 D N Aポリ メ ラー ゼで平滑末端と した。 こ の線形化された P V Y— T · C P W に、 上記で得た平滑末端 D N A断片を T 4 リ ガーゼで連結す る こ と によ り 、 P V Y— T ' C P Wにおける 3 ' N o s ター ミネータの下流に 3 5 Sプロモーター、 G U S遺伝子および N o s ターミネータが揷入されたベク ター p Y S 4 3 6 を得 た (図 4参照) 。
I I . ァグロ ノ クテ リ ゥム . ッメ フ ァ シエ ンス への形質転 換
上記で構築された植物形質転換用ベク ター P Y S 4 3 6 を、 実施例 1 の場合と 同様に して、 ァグロバタテ リ ゥム · ッメ フ ァ シエンス の菌種 L B A 4 4 0 4 (ホ ッ ク マ ン等、 N a t u r e 3 0 3 ; 1 7 9 — 1 8 0 、 1 9 8 3 ) に導入 して 形質転換を行った。 続いて、 カナマイ シン耐性で選抜する こ と によ り 、 Y S 4 3 6 がァグロバタテ リ ゥム · ッメ フ ァシ エ ンス の菌種 L B A 4 4 0 4 に導入された 目 的のコ ロ ニーを 得た。
I I I . タバコへの形質転換
上記で得たベク ター p Y S 4 3 6 を、 実施例 1 の場合と同 様に して、 温室内で 1 . 5 ヶ月栽培したタバコ品種 P e t i t H a v a n a の葉片に形質転換した。
I V . 形質転換体の分析
( 1 ) G U S遺伝子の発現
先ず、 ベク ター p Y S 4 3 6 によ り G U S遺伝子を導入さ れたァグロパク テ リ ゥム · ッメ ファシエンス ( L B A 4 4 0 4 ) における G U S遺伝子の発現を調べた。 対照と して、 G U S遺伝子を有するベク ター p B I 1 2 1 (米国ク ローンテ ック社製) を導入されたァグロバタテ リ ゥム · ッメ フ ァ シェ ンス ( L B A 4 4 0 4 ) を用いた。 その結果、 p Y S 4 3 6 を導入したァグロバタテ リ ゥムおよび p B I 1 2 1 を導入し たァグロパクテ リ ゥムは何れも青色を呈し、 ァグロバタ テ リ ゥムにおいては p Y S 4 3 6 および p B I 1 2 1 の両者共 G U S遺伝子を発現している こ と が明らかになった。
次に、 上記ァグロバタテ リ ゥムを用いて p Y S 4 3 6 およ ぴ p B I 1 2 1 を導入した形質転換タバコ について、 G U S 遺伝子の発現を調べた。 その結果、 対照である p B I 1 2 1 を導入した形質転換タバコの葉片は青色を呈するのに対して、 p Y S 4 3 6 を導入 した形質転換タバコは青色を呈さなかつ た。 これらの結果を下記の表 2 に纏めた。
表 2 pBI121 および pYS436 を導入した形質転換体の GUS発現
以上の結果から、 p Y S 4 3 6 を導入した形質転換タバコ では、 G U S遺伝子の発現がジー ンサイ レ ンシングによ り 抑 制されている こ とが明 らかになった。
実施例 4 : エン ドゥ Z i n c f i n g e r 転写因子 P s D o f 1 をマーカーと した実験 (内在性転写因子の抑制)
<材料および方法 >
I . ベク ターの作製 :
まず、 実施例 1 の ( 1 ) で構築した P V Y— T ' C P Wベ ク タ一に 3 5 S プロモーター、 エン ドゥ Z i n c f i n g e r 転写因子 P s D o f 1 および N o s ター ミネータが組込 まれている p Y S 4 6 5ベク ターを構築した。
P s D o f l の組み込まれた p G E X— 5 X— 1 (文献名 P l a n t B i o t e c h n o l o g y , 1 9 ( 4 ) , 2 5 1 - 2 6 0 ( 2 0 0 2 ) を制限酵素 S a l I および X h o I で切断し、 P s D o f 1 遺伝子を含む断片を回収し、 これ を T 4 D N Aポ リ メ ラーゼによ り 平滑末端とする こ と によ り 平滑末端 D N A断片を得た。
次に p C a M C N ( P h a r m a c i a 製) を S a 1 I で 切断し C A T遺伝子を取り 除き、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼに よ り 平滑末端と し、 これに先に得られた P s D o f 1遺伝子
断片を T 4 リ ガーゼで連結して P s D o f 1 遺伝子断片の上 流に 3 5 S プロ モーター、 下流に N o s ター ミネータの連結 したベク ター p C a M C N— P s D o f 1 を得た。
ついで、 p C a M C N— P s D o f 1 を X b a I と E c o R I で切断し、 P s D o f l遺伝子断片の上流に 3 5 Sプロ モーター、 下流に N o s ターミ ネータが連結された遺伝子断 片を回収 し、 これを T 4 D N Aポ リ メ ラーゼによ り 平滑末端 とする こ と によ り 、 平滑末端 D N A断片を得た。
次に G U S遺伝子の連結された ; ρ Β Ι Ι Ο Ι . 2 (東洋 紡) を X b a l と E c o R I で切断し、 G U S遺伝子を除去 し、 これを T 4 D N Aポリ メ ラーゼによ り 平滑末端したもの に先に得た P s D o f 1遺伝子断片の上流に 3 5 Sプロモー ター、 下流に N o s ターミネータが連結された遺伝子断片を T 4 リ ガーゼで連結したベク ター p B I 1 0 1 . 2 - P s D o f 1 を得た。
ついで、 : ρ Β Ι Ι Ο Ι . 2 — P s D o f l を H i n d i I I と E c o R I で切断し、 P s D o f l遺伝子断片の上流に 3 5 S プロ モーター、 下流に N o s ター ミ ネータが連結され た遺伝子断片を回収し、 これを T 4 D N Aポ リ メ ラーゼによ り 平滑末端とする こ と によ り 、 平滑末端 D N A断片を得た。 次に、 実施例 1 の ( 1 ) で得た P V Y— T · C P Wを制限 酵素 E c o R I で切断し、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで平滑末 端と した。 こ の線形化された平滑末端の P V Y— T ■ C P W に、 先に得られた平滑末端 D N A断片を T 4 リ ガーゼで連結 する こ と によ り 、 P V Y— T ' C P Wにおける 3 ' N o s タ
一ミ ネータの下流に、 3 5 Sプロモーター、 P s D o f l遺 伝子および N o s ターミネータが揷入されたベク ター p Y S 4 6 5 を得た。
さ らに、 P V Y— T · C P Wベク ターに P A Lプロモータ 一、 エン ドゥ Z i n c : f i n g e r 転写因子 P s D o f l および N o s ターミネータが組込まれている p Y S 4 6 6ベ ク タ一を構築した (図 5 Aおよび図 5 B参照) 。
B O X 5 リ ピータ一プロモーターと C A T遺伝子が組み 込まれた P U C 1 8 (特開 2 0 0 0 — 2 4 5 4 6 3 号) を制 限酵素 H i n d I I I および B a m H l で切断し、 P A Lプ 口モーター D N A断片を回収した。
次に ; Β Ι Ι Ο Ι . 2 — P s D o f l を H i n d i I I と B a m H l で切断して 3 5 Sプロモーターを削除し、 これに 先に得た P A Lプロモーターを T 4 リ ガーゼで連結し、 ρ Β 1 1 0 1 . 2 — P A L — P s D o f l ベク ターを得た。 さ ら に : B I l O l . 2 — P A L — P s D o f l を H i n d i I I 及ぴ E c o R I で切断し、 P A Lプロモーター、 P s D o f 1 遺伝子および N o s ターミ ネータ を含む断片を回収 し、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで平滑末端と した。
次に、 P V Y— T ■ C P Wを制限酵素 E c o R I で切断し、 T 4 D N Aポリ メ ラーゼで平滑末端と した。 この線形化され た平滑末端の P V Y _ T · C P Wに、 先に得られた平滑末端 D N A断片を T 4 リ ガーゼで連結する こ と によ り 、 P V Y— T ' C P Wにおける 3 ' N o s ターミネータの下流に、 P A Lプロモーター、 P s D o f l 遺伝子おょぴ N o s ター ミネ
一タが揷入されたベク ター ] p Y S 4 6 6 を得た (図 6 参照) 。 I I . ァグロバタテ リ ゥム ' ッメ フ ァ シエ ンス への形質転 換
上記で構築された植物形質転換用ベク ター P Y S 4 6 5 お よび P Y S 4 6 6 を、 実施例 1 の場合と同様に して、 ァグロ バタ テ リ ゥ ム ' ッ メ フ ァ シエ ンス の菌種 L B A 4 4 0 4 (ホ ッ ク マ ン等、 N a t u r e 3 0 3 ; 1 7 9 — 1 8 0、 1 9 8 3 ) に導入して形質転換を行った。 続いて、 カナマイ シン耐性で選抜する こ と によ り 、 p Y S 4 6 5、 p Y S 4 6 6 がァグロ ノ クテ リ ゥム · ッメ フ ァ シエンス の菌種 L B A 4
4 0 4 に導入された 目的のコ ロニーを得た。
I I I . タバ コへの形質転換
上記で得たベク ター P Y S 4 6 5、 p Y S 4 6 6 を実施例 1 の場合と 同様に して、 温室内で 1 . 5 ヶ月栽培したタバコ 品種 P e t i t H a v a n a S R I ) の葉片に形質転 換した。
I V . 形質転換体の分析
( 1 ) 転写因子遺伝子のジー ンサイ レンス
ベク ター : Y S 4 6 5 あるいは p Y S 4 6 6 で形質転換さ れたタバコの形態上変化を観察したと ころ、 P Y S 4 6 5形 質転換体は、 初期成育が遅れる傾向が見られた。 一方、 p Y
5 4 6 6形質転換体は、 葉の表面に しわが形成された も のや 葉全体が縮む等の葉の形態異常が起きていた。 こ の こ と は転 写因子 P s D o f 1 と相同性のある転写因子のジー ンサイ レ ンスがおきた結果によ る ものと考察される。
以上詳述したよ う に、 本発明によれば、 宿主において特定 の標的遺伝子のジーンサイ レンシングを実現でき る等、 顕著 な効果を得る こ とができ る。