明 細 書 クラック入りハードキャンデーおよびその製造方法 [発 明 の 背景]
発明の分野
本発明は、 容易に嚙み砕くことができるクラック入りハードキャンデー、 およ びその製造方法に関する。
背景技術
ハ一ドキヤンデ一を容易に嚙み砕いて喫食できるように、 その食感を改良する 方法として、 例えば、 ハ一ドキヤンデ一に気泡を含有させて嚙み砕き易くする方 法 (特閧昭 4 8 - 9 8 0 6 8号および特閧平 1一 2 4 7 0 4 1号) が知られてい o
特閧昭 4 8 - 9 8 0 6 8号には、 砂糖、 および水飴を主成分とし、 かつ所望に より乳糖を添加して得られたハ一ドキャンデーの周囲または一部を、 _ 7 0 °C以 下に急冷して、 キャンデーにクラックを生じさせる方法が閧示されている。
また、 特開平 1— 2 4 7 0 4 1号には、 次のような高圧ガス封入キャンデーの 製造方法が開示されている。 ここでは、 原料としてショ糖、 プドウ糖、 乳糖、 水 飴、 および、 四糖類以上のオリゴ糖を主成分とする澱粉分解物との混合物を、 1
4 0〜 1 6 0 °Cになるまで煮詰めて、 該煮詰めキャンデ一生地とする。 このキヤ ンデ一生地を、 攪拌装置付き加圧容器内において、 圧縮空気により 0 . 1〜0 .
5 5 M P aに加圧しながら、 攪拌することによって気泡を含有させるか、 または、 引き飴機によって気泡を含有させて、 気泡入りキャンデーを調製し、 これを成型 する。 次いで、 この成型キャンデーを、 液体窒素に浸漬して急冷することにより、 表層および内部にクラックを生じさせ、 さらに該クラック入りキヤンデ一を高圧 容器に入れ、 高圧二酸化炭素ガスによって 5 M P aに加圧しながら、 高圧容器内 部の成型キャンデーを 1 0 0 ~ 1 4 0 °Cになるまで加熱した後、 冷却して空隙部 に高圧二酸ィ匕炭素ガスを封入することによって、 砕け易い高圧ガス封入キャンデ 一を製造する。
しかしながら、 ハードキャンデーに気泡を含有させて嚙み砕き易くする従来方 法は、 ハードキャンデーの硬度は低下するものの、 舌にザラヅキと違和感を感じ るものとなり、 ハードキャンデー本来の舐めて喫食したときの美味しさが失われ てしまうものであった。
また従来方法では、 透明な外観を有するハードキャンデーが不透明となってし まうという欠点もあった。
したがって、 容易に嚙み砕くことができるハードキャンデーであって、 舐めて も違和感なく喫食することのでき、 かつ透明感のあるキャンデ一が望まれていた
[発 明 の 概 要]
本発明者らは今般、 トレハロースと水飴とを特定の割合で含んでなるキャンデ 一生地を、 所定の条件で煮詰めて急速冷却することにより、 キャンデーの表面お よび内部に所望の状態のクラック (ひび割れ) を生じさせることができるとの知 見を得た。 このようにして得られたクラック入りハードキャンデーは、 容易に嚙 み砕くことができ、 かつ舐めても違和感なく喫食することのできるものであった 本発明はこれら知見に基づくものである。
よって、 本発明は、 容易に嚙み砕くことができるハードキャンデーであって、 舐めても違和感なく喫食することができ、 かつ透明感のぁるキヤンデ一の提供を その目的とする。
そして、 本発明によるクラック入りハードキャンデーは、 トレハロースと水飴 とを含んでなる糖成分を主成分として含んでなる、 クラック入りハードキャンデ 一であって、
該糖成分における、 トレハロースと水飴との合計量が糖成分全量に対して少な くとも 9 0重量%であり、
該糖成分が、 糖成分全量に対して、 トレハロースを 5 0〜9 0重量%、 および 水飴を 1 0〜5 0重量%含んでなり、 かつ
前記糖成分を含んでなるキャンデー生地を、 その水分含量が該生地全量に対し て 1 . 0〜3 . 5重量%となるまで煮詰め、 急速冷却することにより得られうる ものである。
また本発明によるクラック入りハードキャンデーの製造方法は、 トレハロース と水飴とを含んでなる糖成分を主成分とするキャンデー生地を用意し、 ここで、 該糖成分における、 トレハロースと水飴との合計量が糖成分全量に対して少なく とも 9 0重量%であり、 かつ、 該糖成分は、 糖成分全量に対して、 トレハロース を 5 0〜 9 0重量%、 および水飴を 1 0〜 5 0重量%含んでなるものであり、 前記キャンデー生地を、 その水分含量が該生地全量に対して 1 . 0〜 3 . 5重 量%となるまで煮詰めて、 成型し、
得られたキャンデー生地を急速冷却する
ことを含んでなる。
本発明によるクラック入りハードキヤンデ一は、 透明または半透明のハ一ドキ ヤンデーでありながら、 容易に嚙み砕けるものである。 本発明によれば、 従来に ない新しい食感を有するハードキャンデーを提供することができる。
[発明の具体的説明]
本発明によるクラック入りハードキャンデーは、 トレハロースと水飴とを含ん でなる糖成分を主成分として含んでなるものである。
ここで、 糖成分において、 トレハロースと水飴との合計量は糖成分全量に対し て少なくとも 9 0重量%であり、 好ましくは少なくとも 9 5重量%である。 また 該糖成分は、 糖成分全量に対して、 トレハロースを 5 0〜 9 0重量%、 好ましく は 6 0〜 7 0重量%含んでなり、 かつ、 水飴を 1 0 ~ 5 0重量%、 好ましくは 3 0〜4 0重量%含んでなる。
本発明に使用可能なトレハロースは、 2分子の Dグルコースが 1— 1結合した 非還元性二糖類であり、 結合様式によって存在するひ, ひ結合、 , 結合、 お よび^, ?結合の 3種の異性体のいずれであっても良い。 また、 本発明において トレハロースには、 これらのトレハロースの 2水和物または無水和物も包含され る。
本発明において水飴には、 酵素糖化水飴または酸糖化水飴のいずれであっても 包含され、 さらには、 単糖糖アルコール類、 二糖糖アルコール類の合計存在比を 2 5重量%以下とする還元水飴も包含される。
本発明における糖成分は、 トレハロースおよび水飴以外の糖質を、 糖成分全量 に対して 0〜1 0重量%さらに含んでなることができる。 このようなトレハロー スおよび水飴以外の糖質としては、 例えば、 果糖、 ショ糖または乳糖等のような 単糖類、 または二糖類が挙げられる。 これらは 2種以上併用してもよい。 トレハ ロースおよび水飴以外の糖質の、 糖成分における配合量が 1 0重量%以下である ことは、 キャンデーのクラックの耐久性が良好となるため、 好ましい。
本明細書において、 「主成分として含んでなる」 ということには、 糖成分の他 に水分を含んで良いことは当然として、 本発明のキャンデーに、 その嚙み砕き易 さおよびその喫食性について、 許容されない本質的な影響を及ぼさない限りにお いて、 任意成分をさらに含んでも良いことを意味する。 このような任意成分とし ては、 例えば、 油脂類 (例えば、 ショートニング、 硬化油) 、 クェン酸等の酸味 料、 食用色素、 香料、 起泡剤、 乳化剤等が挙げられる。 また、 主成分として含ま れる糖成分は、 キャンデー全体の重量に対して、 例えば 8 0〜9 9重量%存在し、 好ましくは、 9 0〜9 8重量%存在する。
本発明によるクラック入りハードキャンデーは、 前記糖成分を含んでなるキヤ ンデ一生地を、 その水分含量が該生地全量に対して 1 . 0〜3 . 5重量%となる まで煮詰め、 急速冷却することにより得られうるものである。
すなわち、 まずトレハロースと水飴とを含んでなる糖成分を主成分とするキヤ ンデ一生地を用意し、 このキャンデー生地を、 その水分含量が該生地全量に対し て 1 . 0〜3 . 5重量%、 好ましくは 1 . 5〜2 . 5重量%、 となるまで煮詰め て、 得られた煮詰めハードキャンデー生地を成型する。
煮詰めハードキャンデー生地中の水分含量が、 3 . 5重量%以下であることは、 成型ハードキャンデーを急冷して発生させたクラックの耐久性および保存性が良 好となるため、 好ましい。
キャンデー生地を煮詰めるためには、 連続バキュームクッ力一、 バヅチ型蒸気 クヅ力一、 または直火ガスクヅカー等の慣用の煮詰め装置を用いることができる c また煮詰めたキャンデー生地の成型には、 成型口一ルスタンピングマシン、 流 し込み成型機等の慣用のキャンデー成型機を用いることができる。
次に前記で得られた成型煮詰めハードキャンデー生地を急速冷却する。 これに
より、 ハードキャンデーの内部および表面にクラック (ひび割れ) を生じさせ、 本発明によるクラック入りハードキヤンデ一が得られる。
成型ハードキャンデーを急速冷却する方法としては、 該キャンデーを少なくと も一 1 9 6〜― 5 0 °Cに冷却することができる方法であれば特に制限はなく、 い ずれの方法であっても適用可能である。 そのような急速冷却する方法としては、 例えば、 (1 ) エタノールを冷凍機またはドライアイスを投入する等の方法で冷 却して冷却エタノールを得、 この冷却エタノールに成型ノ、一ドキャンデーを所定 時間浸漬処理する方法、 (2 ) 該冷却エタノールを成型ハ一ドキャンデーに対し てシャワーリング処理する方法、 (3 ) 液体窒素に成型ハードキャンデーを所定 時間浸漬処理する方法、 (4 ) 該液体窒素を成型ハードキャンデーに対してシャ ヮ一リング処理する方法、 および (5 ) 液体窒素から気化または霧化した液体窒 素の液滴、 または気化ガスを、 成型ハードキャンデーに吹き付けるかまたは噴霧 する方法等が挙げられる。
本発明によるクラック入りハードキャンデーを製造するために行う急速冷却処 理の温度条件および処理時間は、 — 1 9 6〜一 5 0 °Cで、 1 0〜6 0 0秒間であ るが、 急速冷却する方法にしたがってさらに好ましい条件を選択することができ る o
急速冷却に冷却したエタノールを使用する場合、 その温度条件および冷却時間 は、 例えば— 1 0 0〜― 5 0 °Cにおいて 3 0〜6 0 0秒間であるが、 通常は、 ― 5 0 °Cでは 9 0〜6 0 0秒間、 好ましくは 9 0〜 3 0 0秒間であり、 — Ί 0 °Cで は 6 0〜6 0 0秒間、 好ましくは 6 0〜3 0 0秒間であり、 一 1 0 0 °Cでは 3 0 〜6 0 0秒間、 好ましくは 3 0〜 3 0 0秒間である。
このとき冷却温度は一 1 0 0 °Cより低温でもクラックの発生に問題は無いが、 - 1 0 0 °Cより低温ではエタノール自体の粘性が増加するために成型ハードキヤ ンデ一を浸漬することが困難となることがある。 一 5 0 °Cを超える高い冷却温度 のエタノールによる急速冷却ではハードキャンデーにクラックを発生させること は可能であるが、 好ましい嚙み砕き易さを有するクラック入りハードキヤンデ一 を得るためには、 一 5 0 °C以下であることが好ましい。 クラックを発生させる上 では、 —2 0 °C以下の温度であることが望ましい。
急速冷却にエタノールを使用する場合の冷却時間が、 ― 50°Cにおいて 90秒 間以上、 — 70°Cにおいて 60秒間以上、 および一 100°Cにおいて 30秒間以 上であることは、 クラック入りハードキヤンデ一に良好な嚙み砕き易さを提供す る上で有利である。
急速冷却に液体窒素気化ガスまたは液滴を使用する場合、 その温度条件および 冷却時間は、 例えば— 150〜一 60°Cにおいて 20〜600秒間であるが、 通 常は、 一 60°Cでは 90〜600秒間、 好ましくは 90〜300秒間であり、 一 100 °Cでは 30 ~ 600秒間、 好ましくは 30〜 300秒間であり、 一 150 °Cでは 20〜600秒間、 好ましくは 20〜 300秒間である。
液体窒素気化ガスまたは液滴を使用する場合の冷却温度が、 一 60°C以下であ ることは、 好ましい嚙み砕き易さを有するクラック入りハードキャンデーを得る ために有利である。
急速冷却に液体窒素気化ガスまたは液滴を使用する場合の冷却時間が、 —60 °Cにおいて 90秒間以上、 ― 100°Cにおいて 30秒間以上、 および一 150°C において 20秒間以上であることは、 クラック入りハードキヤンデ一に良好な嚙 み砕き易さを提供する上で有利である。
急速冷却に液体窒素を使用する場合、 その温度条件および冷却時間は、 通常は、 一 196°Cでは 10〜300秒間、 好ましくは 10〜90秒間である。
急速冷却に液体窒素を使用する場合の冷却時間が、 一 196°Cにおいて 10秒 間以上であることは、 クラック入りハードキヤンデ一に良好な嚙み砕き易さを提 供する上で有利である。
なお、 本発明において、 冷却時間を 600秒間以下にすることは、 設備が過大 となるのを防く、上で有利である。
本発明の好ましい態様によれば、 クラック入りハードキャンデーは、 そのキヤ ンデ一の厚み 5. 5 mmあたりについて、 平均破断強度は 10〜40 Nであり、 より好ましくは 15〜35N、 さらに好ましくは 20〜3 ONである。 なおここ で平均破断強度は、 例えば後述する実施例の例 2にしたがって測定することがで きるものをいう。
平均破断強度が 4 ON以下であることは、 キャンデーの喫食感の上から望まし
く、 また平均破断強度が 1 O N以上であることは、 成型されたキャンデーが輸送 または製造工程中に崩壊し難くなるため、 望ましい。
本発明の別の好ましい態様によれば、 該クラック入りハードキャンデーは、 5 5 °Cの温度条件で保存した場合に、 該クラックが少なくとも 9 0日間持続し得る ものである。
[実 施 例]
以下、 本発明を実施例により具体的に説明するが、 これらは本発明を限定する ものではない。
例 1
ハードキャンデーの製造:
キャンデー 1 (比較例)
ショ糖 1 8 0重量部と、 麦芽糖を主成分とする酵素糖化水飴ハイマル 3 8 (参 末工業株式会社製、 D E 4 2、 B x 7 5 ) 1 2 0重量部と、 水 3 0重量部とを直 火鍋に入れ、 加熱しながら、 混合、 溶解し、 キャンデー生地を得た。 これを 1 5 0 °Cとなるまで煮詰めて、 その水分含量が該生地全量に対して 3 . 2 6重量%と なるようにし、 煮詰めハードキャンデー生地を得た。
該煮詰めハードキャンデー生地 3 . O gを、 縦 2 3 mm、 横 1 5 mm、 および 深さ 1 0 mmの型に流し込み、 室温中で 1 0分間静置後、 離型して、 縦 2 2 mm、 横 1 4 mm、 および厚み 5 . 5 mmの直方体である成型ハードキャンデーを得た。 このようにして得られた成型ハードキャンデー (2 0 °C) を、 予めエタノール にドライアイスを投入することにより一 7 0 °Cに冷却した冷却ェ夕ノール中に、 9 0秒間浸漬した。 これにより、 成型ハードキャンデーの表面から内部にかけて 細かいクラックを発生させた。 このようにして、 クラック入りハードキャンデー を得た。 . キャンデー 2 (比較例)
トレハロース (株式会社林原商事社製、 商品名 トレハ) 3 0 0重量部と、 水 5 0重量部とを直火鍋に入れ、 加熱しながら、 混合、 溶解し、 キャンデー生地を得
た。 これを 1 5 0 °Cとなるまで煮詰めて、 その水分含量が該生地全量に対して 3 . 4 1重量%となるようにし、 煮詰めハードキャンデー生地を得た。 この場合、 煮 詰める工程の途中で、 トレハロースが起晶化してしまったため、 得られるハード キャンデ一はガラス状の透明なものではなかった。 このハードキャンデーをさら に、 前記キャンデ一 1の場合と同様にして急速冷却したところ、 得られたクラッ ク入りハードキャンデーは、 透明な外観ではなく、 また、 喫食の舌ざわりが滑ら かなものではなかった。 キャンデー 3
トレハロース (株式会社林原商事社製、 商品名 トレハ) 2 7 0重量部と、 麦芽 糖を主成分とする酵素糖化水飴ハイマル 3 8 (参末工業株式会社製、 D E 4 2、 B x 7 5 ) 3 0重量部と、 水 3 0重量部とを直火鍋に入れ、 加熱しながら、 混合、 溶解し、 キャンデー生地を得た。 これを 1 5 0 °Cとなるまで煮詰めて、 その水分 含量が該生地全量に対して 3 . 4 5重量%となるようにし、 煮詰めハードキャン デー生地を得た。
以降は、 前記キャンデー 1の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデ 一を得た。 キャンデ一 4
トレハロースを 2 4 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 6 0重量部と用 い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の水 分含量を 3 . 4 0重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデーを得た。 キヤンデ一 0
トレハロースを 2 1 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 9 0重量部と用 い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の水 分含量を 3 . 4 9重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデーを得た。
キヤンデ一 6
トレハロースを 180重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 38を 120重量部と 用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の 水分含量を 3. 46重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキヤンデーを得た。 キャンデー 7 (比較例)
トレノヽ口一スを 180重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 38を 120重量部と 用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の 水分含量を 4. 71重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキヤンデーを得た。 キャンデ一8
トレハロース (株式会社林原商事社製、 商品名 トレハ) 180重量部と、 麦芽 糖を主成分とする酵素糖化水飴ハイマル 38 (参末工業株式会社製、 DE42、 Bx 75) 120重量部と、 水 30重量部とを、 ミキサー (富士産業株式会社製 FM-NW80) に投入して、 溶解させた後、 120°Cで予備煮詰めを実施した。 得られた予備煮詰めキャンデー生地を、 モノポンプ (兵神装備株式会社製 NP L- 15) を用いて連続バキュームクッ力一 (鶴見造機株式会社製 型番 84— 4) に、 毎分 500 gの流量で連続的に注入し、 加熱しながら、 混合して、 溶解 させた。 これを、 圧力 13 Kp aにおいて、 150°Cとなるまで煮詰めて、 その 水分含量が該生地全量に対して 1. 10重量%となるようにし、 煮詰めハードキ ヤンデー生地を得た。
以降は、 前記キャンデー 1の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデ 一を得た。 キャンデ一 9
トレハロースを 180重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 38を 120重量部と
用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の 水分含量を 3 . 4 7重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデーを得た。
得られたクラック入りハードキヤンデ一の破断されたときの強度 (平均破断強 度) を測定した。 測定は、 レオメ一夕一 (N RM— 2 0 1 0 J— CW、 不動工業 株式会社) を用い、 該レオメ一夕一の針型プランジャ一 (直径 5 mm、 先端直径 0 . 6 mm、 円形) を 5 mm/秒の速度で該ハードキャンデーに突き刺すことに より行った。
得られた破断強度は 3 4 Nであった。 これは、 容易に嚙み砕ける食感を有する ものであった。 キャンデー 1 0
トレハロースを 1 5 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 1 5 0重量部と 用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の 水分含量を 3 . 3 8重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデーを得た。 キヤンデー 1 1
トレハロースを 1 5 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 1 2 0重量部と、 さらにショ糖を 3 0重量部用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰 めハードキャンデー生地の水分含量を 3 . 2 4重量%とした以外は、 前記キャン デ一 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキヤンデ一を得た。 キャンデー 1 2 (比較例)
トレハロースを 1 5 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 1 0 5重量部と、 さらにショ糖を 4 5重量部用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰 めハードキャンデー生地の水分含量を 3 . 2 9重量%とした以外は、 前記キャン デー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキヤンデ一を得た。
キャンデー 1 3 (比較例)
トレハロースを 1 2 0重量部と、 酵素糖化水飴ハイマル 3 8を 1 8 0重量部と 用い、 かつ、 キャンデー生地を煮詰めて得られる煮詰めハードキャンデー生地の 水分含量を 3 . 2 7重量%とした以外は、 前記キャンデー 3の場合と同様にして、 クラック入りハードキヤンデ一を得た。 キャンデー 1 4 (比較例)
乳糖 8 1重量部と、 麦芽糖を主成分とする酵素糖化水飴ハイマル 3 8 (参末ェ 業株式会社製、 D E 4 2、 B x 7 5 ) 2 1 9重量部と、 水 3 0重量部とを直火鍋 に入れ、 加熱しながら、 混合、 溶解し、 キャンデー生地を得た。 これを 1 5 0 °C となるまで煮詰めて、 その水分含量が該生地全量に対して 3 . 1 7重量%となる ようにし、 煮詰めハードキャンデー生地を得た。
以降は、 前記キャンデー 1の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデ —を得た。 キャンデー 1 5 (比較例)
乳糖 9 0重量部と、 ショ糖 9 0重量部と、 麦芽糖を主成分とする酵素糖化水飴 ハイマル 3 8 (参末工業株式会社製、 D E 4 2、 B x 7 5 ) 1 2 0重量部と、 水 3 0重量部とを直火鍋に入れ、 加熱しながら、 混合、 溶解し、 キャンデー生地を 得た。 これを 1 5 0 °Cとなるまで煮詰めて、 その水分含量が該生地全量に対して 3 . 2 1重量%となるようにし、 煮詰めハードキャンデー生地を得た。
以降は、 前記キャンデー 1の場合と同様にして、 クラック入りハードキャンデ —を得た。
なおこのキャンデーの糖成分の配合は、 特開昭 4 8— 9 8 0 6 8号に従うもの である。 評価試験:
クラック入りハードキャンデー 1〜1 5を、 それそれ各 5 0個用意し、 これら をアルミ箔ラミネート包材で密封包装した。 密封包装した該ハードキャンデ^は
5 5 °C恒温槽内に保存した。 保存後、 1、 7、 3 0、 6 0、 および 9 0日後に、 各ハードキャンデーを、 無作為に各 1 0個取り出し、 評価した。 評価は、 専門の パネラー 1人が各キャンデーを目視観察および喫食して、 その結果を下記の基準 にしたがって判定した。
判定基準
評価 A : 目視観察では、 クラックが存在し、 かつ、 容易に嚙み砕ける。 評価 B : 目視観察では、 クラックが約半分消失しており、 かつ、 嚙み砕け るが、 ス夕一ト時よりも硬い。
評価 C: 目視観察では、 クラックがほとんど消失しおり、 かつ、 通常のハ
—ドキャンデーと同等の硬さを有する。
結果は、 表 1に示されるとおりであった。 表 1 : 耱配合 c¾tいによるクラック入りキャンデー のクラック^性-
例 1のキャンデー 3の場合と同様にして、 煮詰めキャンデー生地を得て、 成型 した。
得られたキャンデー生地の成型体を、 冷却温度 (—2 0〜― 1 9 6 °C) 、 冷媒 の種類 (エタノール、 液体窒素の気化ガスもしくは液滴、 または液体窒素) およ ぴ冷却時間 ( 3 ~ 3 0 0秒) について設定した所定の条件において、 冷却し、 得 られたそれそれのキャンデーについて、 その平均破断強度を測定した。
測定は、 レオメータ一 (N R M—2 0 1 0 J— CW、 不動工業株式会社) を用 い、 該レオメ一夕一の針型プランジャー (直径 5 mm、 先端直径 0 . 6 mm、 円 形) を 5 mm/秒の速度で、 該ハードキャンデーに突き刺し、 該ハードキャンデ 一が破断されたときの力を測定した。 この測定を、 各条件のハードキャンデー 2 0個についてそれそれ行い、 それらの平均値を求め、 平均破断強度とした。 なおこの平均破断強度は、 クラック入りハードキャンデーの嚙み砕き易さを示 す指標である。
結果は、 表 2に示されるとおりであった。
表 2 : クラック入りハードキャンデーの平均破断 ¾Jt キャンデーの平均破断強度 ( N )
Ρ却/ πη^
(°c) 冷媒の種類 時間 (秒)
3 : 10 : 20 : 30 : 60 90 : 180 : 300
-20 エタノール 125.9 98.3 66.8 63.1 56.4 50.5 49.4 48.2
-50 エタノール 65.5 57.3 53.1 51.5 47.2 40 38.4 37.2
-70 エタノール 50.2 44.5 43.7 42.3 37.9 32.3 30.4 30.1
-100 エタノール 48.5 44.1 41.5 37.3 28 25.8 24.1 25.3
-60 気化ガス、 または液滴 85 61.3 54 51.9 47.5 39.7 38.1 37.2
- 100 気化ガス、 または液滴 55.3 48.7 44.7 39.8 32.2 31.5 30.3 30
-150 気化ガス、 または液滴 52.9 41 38.6 33 26.5 24.9 25.1 23.4
-196 液体窒素 45.3 37.4 31.9 28.1 20.1 17.8 9.9 6.3
結果に示されているように、 冷却時間を一定とした場合、 冷却温度の低い程、 破断強度は小さくなる傾向があり、 また、 冷却温度を一定とした場合、 冷却時間 を長くする程、 破断強度値は小さくなる傾向があった。 例 3
冷却温度、 冷却時間等の急速冷却条件を変えることによって、 平均破断強度値 がそれそれ、 9. 9、 20. 1、 31. 5、 40. 0、 50. 5、 および 63. 1 Nである本発明に従うハードキャンデー (キャンデーの厚み: 5. 5mm) を 用意した。 また、 比較サンプルとして、 一般的なハードキャンデー (平均破断強 度: 124. 8N) も用意した。
これら用意したキャンデーについて、 その嚙み砕き易さを、 専門のパネラー 2 0名によって官能評価を行った。 下記に示す基準に基づき判定して、 官能値を与 え、 各キャンデ一についてその平均値を求めた。 得られた値は官能評価値として 示した。
判定基準:
ふつうの力では嚙み碎けない
2 嚙み砕くのに力を必要とする
3 嚙み砕くことが可能である
4 容易に嚙み砕ける
5 歯をたてると崩れる
結果は、 表 3に示されるとおりであった。
表 3 : 嚙み砕き易さの官能評 ffi
平均破断強度 40. ONのキャンデーと、 同 50. 5 Nのキャンデーとのは間 には、 嚙み砕き易さの官能評価値について 0. 05の危険率で有意の差が存在し た。 したがって、 好ましい嚙み碎き易さを有するキャンデーは、 その平均破断強 度が 4 ON以下のものであると考えた。 一方、 キャンデーの破断強度が 1 ON未 満のものについては、 輸送、 または製造工程中に崩壊してしまうことがあり、 正 常な成型クラック入りハードキヤンデ一を満足に得ることはできなかった。 なお、 従来の製造方法で調製し、 前記と同様に厚さ 5. 5mm、 縦 22mm、 および横 14 mmの直方体に成型したハードキャンデ一であって、 急速冷却処理 を施さないものの破断強度は、 100〜15 ONであった。 これは、 嚙み砕くこ との難しい硬い食感のハードキャンデ一であり、 平均破断強度 40N程度のキヤ ンデ一と比較して、 0. 001の危険率で有意差のある硬い製品であった。