明細書 ボーノレペンリ フィ一ノレ 技術分野
本発明は、 ポールペンリ フィール、 更に詳しく は、 インク貯蔵管の内部に加圧 ガスを充填し、 この加圧ガスの圧力によ りインクをチップ方向へ押し出すよ うに した、 いわゆる加圧式のポールペンリ フィールに関するものである。 背景技術
従来から、 ボールペンリ フィールには、 種々のものが提供されている。
例えば、 インク貯蔵管と、 このインク貯蔵管の一方側に固定したチップと、 ィ ンク貯蔵管の反チップ側に設けた尾栓とを備え、 ィンク貯蔵管のチップ側にィン クを充填すると ともに、 インク貯蔵管の反チップ側には加圧ガスを充填し、 この 加圧ガスの圧力によ りイ ンクをチップ方向へ押し出すよ うにした、 いわゆる加圧 式のボールペンリ フィールが提供されている。
このような加圧式のボールペンリ フィールは、 加圧ガスがインクを常にチップ 方向へ押圧するので、 チップを上向きにした状態でも筆記可能となっている。
しかし、 上述したよ うな加圧式のポールペンリ フィールでは、 加圧ガスの圧力 によ り、 チップの先端からインクが漏れ出してしま う ことがあった。 また、 加圧 ガスの圧力によ り、 ボールがボールハウスから飛び出してしま う こと もあった。 このよ うな不具合を防止するために、 加圧式のボールペンリ フィールでは、 ボ ールハウスの内径をポールの直径に対して比較的小さく形成するこ とが行われる ( ただ、 ポールハウスの内径をボールの直径に対して比較的小さく形成すると、 チップの先端近辺におけるィンクの通路が狭くなつてしま う ことから、今度は「か すれ」 の発生や 「初筆性」 の低下といった不具合が生じてしまうおそれがあるの である。
また、ボールの直径に対するボールハウスの内径を比較的小さく形成しつつも、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下といった不具合を防止するために、 ポール
の表面粗さを比較的粗くするという ことも行われる。
ただ、 ボールの表面粗さを粗く しすぎると、 ボール受け座が磨耗しやすく なつ てしま う ことから、 チップの耐久性が低下して、 今度は 「筆記距離」 が短く なつ てしま うおそれがあるのである。
すなわち、 加圧式のボールペンリ フィールでは、 「イ ンクの漏れ出し」 や 「ボー ルの飛び出し」 を防止しつつも、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を防止し、 加えて、 「筆記距離」 までも長くすることは、 きわめて困難なのである。
また、 上述したよ うな加圧式のボールペンリ フィ一ルでは、 加圧ガスの圧力に よ り、 チップの先端からィンクが漏れ出してしま う ことがあった。
このよ うなインクの漏れ出しを防止するために、 加圧式のポールペンリ フィ一 ルでは、 ィンクの粘度を比較的高く調製することが行われる。
ただ、 イ ンクの粘度を高く調製しすぎる と,、 「書き味 J が重く なつたり 、 「かす れ」 が発生しやすく なつたり、 あるいは 「初筆性」 が低下したり といった不具合 が生じてしま う。
一方、 イ ンクの粘度を低く調製する と、 上記不具合は解消できても、 今度はチ ップの先端からインクが漏れ出してしまうおそれがある。
また、 チップの先端からのイ ンクの漏れ出しを防止するために、 加圧ガスの圧 力を比較的低く設定することも行われる。
ただ、 加圧ガスの圧力を低く設定しすぎると、 「かすれ」 が発生しやすく なつた り、 あるいは 「初筆性」 が低下したり といった不具合が生じてしま う。 また、 加 圧ガスの圧力を低く設定しすぎると、 インクを最後まで使い切る前に、 加圧ガス の圧力が大気圧まで低下してしまい、 これによ り、 インク貯蔵管の内部にインク を残したまま、 筆記不能になってしま うおそれがある。 すなわち、 「筆記距離」 が 短く なつてしまうおそれがあるのである。
一方、 加圧ガスの圧ガを高く設定する と、 上記不具合は解消できても、 今度は チップの先端からインクが漏れ出してしまうおそれがある。
すなわち、 加圧式のポールペンリ フィールでは、 「イ ンクの漏れ出し」 を防止し つつも、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を防止し、 加えて、 「筆記距離」 を 十分に長くすることは、 きわめて困難なのである。
また、 インク貯蔵管の内径を比較的細く形成しておけば、 インク貯蔵管の内部 で毛細管力が働きやすく なるため、 チップを上向きにした状態でも、 イ ンク貯蔵 管の内部に充填したイ ンクは、 反チップ方向へ流れ出しにく く なる。
ただ、 上述したよ うな加圧式のポールペンリ フィールでは、 イ ンク貯蔵管の内 部に、 インク と加圧ガス との双方を充填する必要があるため、 イ ンク貯蔵管の内 径を比較的細く形成すると、 加圧ガスの充填スペースを比較的小さ くするカ ィ ンクの充填量を比較的少なくするカ 又はィンク貯蔵管の長さを比較的長く形成 しなければならないこと となる。
しかし、 加圧ガスの充填スペースを比較的小さくすると、 イ ンクを最後まで使 い切る前に加圧ガスの圧力が大気圧にまで低下し、 これにより 、 イ ンクを最後ま で使い切れなく なってしま うおそれがある。 また、 加圧ガスの充填スペースを比 較的小さく しつつも、 インクを最後まで使い切れるよ うにするためには、 加圧ガ スの圧力を比較的高めに設定する必要があるが'、 そうする と、 今度はチップの先 端からィンクが漏れ出してしまうおそれがある。
また、 イ ンクの充填量を比較的少なくすると、 「筆記距離」 が比較的短く なつて しま う こと となる。
また、 インク貯蔵管の長さを比較的長く形成すると、 ボールペンリ フィ一ルの 全長が比較的長く なつてしま う と ころ、 ボールペンリ フィールの長さには一定の 制限があるため、 ィンク貯蔵管の長さをむやみに長く形成することもできない。 このため、 上述したよ うな加圧式のポールペンリ フィールでは、 インク貯蔵管 の内径を比較的太く形成することが行われる。
しかし、 イ ンク貯蔵管の内径を太く形成すると、 イ ンク貯蔵管の内部で毛細管 力が働きにく く なるため、 今度はィンク貯蔵管の内部に充填したィンクが反チッ プ方向へ流れ出しやすくなってしまう。
このため、 加圧式のボ一ルペンリ フィールでは、 インク貯蔵管の内径を比較的 太く形成すると ともに、 インクと加圧ガス との間に、 イ ンクの減少に伴つて移動 するフロー トを設け、 このフロー トによ り、 インクが反チップ方向へ流れ出さな いよ うにしている。
ただ、 インク と加圧ガスとの間にフロー トを設けても、 イ ンク貯蔵管の内径に
対してフロー トの外径が小さすぎると、 インク貯蔵管とフロー 卜との間の間隙か ら、 ィンクが反チップ方向へ流れ出してしま うおそれがある。
一方、 インク貯蔵管の内径に対してフロー トの外径が大きすぎると、 インクの 減少に伴う フロー 卜の移動が円滑に行われなくなってしまうおそれがある。
すなわち、加圧式のポールペンリ フィールでは、 「インクの反チップ方向へ流れ 出し」 を防止することは、 きわめて困難なのである。 発明の開示
そこで、 本発明は、 ボールハウスの内径をポールの直径に対して所定範囲内に 形成すると ともに、ポールの表面粗さを所定範囲内に形成することによ り、 「イ ン クの漏れ出し」 や 「ボールの飛び出し」 を防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆 性」 の低下も防止 し、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長く なるよ うにしたボールべ ンリ フィールを提供するこ とを目的とする。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 イ ンクの粘度を所定範囲内に調 製することによ り 、 「インクの漏れ出し」 をより確実に防止しつつ、 「かすれ」 の 発生や 「初筆性」 の低下もよ り確実に防止し、 しかも、 「書き味」 が重く ならない よ うにしたポールペンリ ブイールを提供することを目的とする。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 インクに構造粘性付与剤を添加 することによ り、 「インクの漏れ出し」 をよ り確実に防止しつつも、 「書き味」 力、 重く ならないよ う にしたボールペンリ フィールを提供することを目的とする。 また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 加圧ガスの圧力を所定範囲内に 設定するこ とによ り、 「インクの漏れ出し」 や 「ボールの飛び出し」 をよ り確実に 防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下もよ り確実に防止し、 しかも、 インクを最後まで使い切れるよ うにしたボールペンリ フィ一ルを提供することを 目的とする。
更に、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 インク と加圧ガスとのインク貯 蔵管収納時の収納体積比を所定範囲内に設定することによ り、 「ィンクの漏れ出 し」 や 「ポールの飛び出し」 をよ り確実に防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆
性」 の低下もよ り確実に防止し、 しかも、 インクを最後まで使い切れるよ うにし たボールペンリ フィールを提供することを目的とする。
また、 本発明の他の目的は、 イ ンクの粘度を所定範囲内に調製すると ともに、 加圧ガスの圧力を所定範囲内に設定することによ り、 「イ ンクの漏れ出し.」を防止 しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下も防止し、 しかも、 「筆記距離」 が 十分に長く なるよ うにしたボールペンリ フィールを提供することである。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 インク と加圧ガス とのイ ンク貯 蔵管収納時の収納体積比を所定範囲内に設定することによ り、 「イ ンクの漏れ出 し」 をよ り確実に防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下もよ り確実に 防止し、 しかも、 「筆記距離」 が十分に長く なるよ うにしたボールペンリ フィール を提供することを目的とする。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 インクに構造粘性付与剤を添加 することによ り、 「インクの漏れ出し」 をよ り確実に防止しつつも、 「書き味」 が 重く ならないよ うにしたポールペンリフィールを提供することを目的とする。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 加圧ガス中の反応しにくいガス の割合を所定範囲内に調製することによ り、 加圧ガス中の酸素 (o 2 ) などのガス がイ ンクの各成分と反応することによる加圧ガスの圧力低下を防止し、 これによ り、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下をより確実に防止し、 また、 「筆記距離」 も十分に長く なるよ う にしたポールペンリ フィールを提供することを目的とする ( また、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 反応しにくいガスの主体を窒素 ( N 2) によって構成することによ り、 その取り扱いを容易にしたポールペンリ フ ィールを提供することを目的とする。
更に、 本発明は、 前記した発明の目的に加え、 イ ンク貯蔵管を金属材料によつ て一体的に形成し、 また、 チップの一部をインク貯蔵管に圧入することによって チップをイ ンク貯蔵管に固定し、 更に、 イ ンク貯蔵管のチップ側を焼鈍すること によつてその硬度を所定範囲内に設定することによ り、 「かすれ」 の発生や「初筆 性」 の低下をよ り確実に防止し、 また、 「筆記距離」 も十分に長く なるよ うにし、 更に、 加圧ガスの圧力によってチップがインク貯蔵管から抜けないよ う にし、 し かも、 チップのインク貯蔵管への固定も容易にしたボールペン リ フィールを提供
することを目的とする。
また、 本発明の更に他の目的は、 フロー トの外径をインク貯蔵管の内径に対し て所定範囲内に形成することによ り、 「ィンクの反チップ方向への流れ出し」を防 止しつつも、 イ ンクの減少に伴う フロー トの移動が円滑に行われるよ う にしたボ 一ルペンリ フィールを提供するこ とである。
また、 本発明は、 前記した発明の目的に加えて、 イ ンクの粘度を所定範囲内に 調製するこ とによ り、 「インクの反チップ方向への流れ出し」をより確実に防止で きるよ うにしたポールペンリ ブイ一ルを提供するこ とを目的とする。
更に、 本発明は、 前記した発明の目的に加えて、 インクに構造粘性付与剤を添 加することによ り、 「イ ンクの反チップ方向への流れ出し」をよ り確実に防止でき るよ うにしたボ一ルペンリ フィールを提供することを目的とする。
本発明者は、 上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、 ポールハウス の内径をポールの直径に対して所定範囲内に形成すると ともに、 ポールの表面粗 さを所定範囲內に形成するこ とによ り、 「イ ンクの漏れ出し」 や 「ボールの飛び出 し」 を防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下も防止でき、 しかも、 「筆 記距離」 も十分に長くできることを見い出し、 以下の発明を完成するに至った。 すなわち、 本発明は、 インク貯蔵管 (30) と、 このイ ンク貯蔵管 (30) の一方 側に固定したチップ (20) と、 イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けた 尾栓 (40) とを備え、 前記ィンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側には、 インク (80) が充填され、 前記イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側には、 加圧ガス (90) が充填され、 前記加圧ガス (90) の圧力によ り、 イ ンク (80) をチップ (20) 方 向へ押し出すよ うにしたボールペンリ フィ一ル (10) であって、 前記チップ (20) は、 ポール (50) と、 このボール (50) を保持するためのホルダー (60) とを備 え、 前記ボール (50) は、 その表面粗さ R aを、 0 . Ο Ι Ο μπι以上 0 . 0 8 0 μ m以下に形成され、 前記ホルダー (60) は、 その反イ ンク貯蔵管 (30) 側の端部 近辺に設けた、 ポール (50) を収納するためのポールハウス (61) と、 その反ポ ールハウス (61) 側の端部からボールハウス (61) まで貫通してボール (50) に インク (80) を供給するためのインク誘導孔 (62) とを有し、 前記ポールハウス ( 61) は、 円筒状の側面部 (70) と、 インク誘導孔 (62) 側へ向けて内径を次第
に小さ くする円錐状の底面部 (71) とを有し、 ポール (50) の直径を φ Α、 側面 部 (70) の内径を φ Β、 と したときに、
1 . 0 1 ≤φ Β / φΑ≤ 1 . 1 1
を満たすよ うに形成したことを特徴とする。
ここで、 「インク貯蔵管 (30) と、 このイ ンク貯蔵管 (30) の一方側に固定し たチップ (20) と、 イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けた尾栓 (40) とを備え、 前記イ ンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側には、 イ ンク (80) が充填 され、 前記イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側には、 加圧ガス (90) が充填 され、 前記加圧ガス (90) の圧力によ り、 インク (80) をチップ (20) 方向へ押 し出すようにしたポールペンリ フィール (10)」 とは、 いわゆる加圧式のポール ペンリ フィール ( 10) をいう。
また、 「イ ンク貯蔵管 (30)」 は、 例えば、 円简状に形成することができる。 また、 ィンク貯蔵管 (30) は、 筒状に形成されればよく 、 したがって、 例えば、 一方側から他方側へ向けて径を段階的に小さくするように形成してもよい。
具体的には、 例えば、 円筒状の大径部 (31) と、 この大径部 (31) . の一方側に 連設した、 大径部 (31 ) より も径が小さい円筒状の中径部 (32) と、 この中径部 ( 32) の反大径部 (31) 側に連設した、 中径部 (32) より も径が小さい円筒状の 小径部 (33) とを有するように、 イ ンク貯蔵管 (30) を形成してもよい。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) は、 例えば、 ステンレス又は真鍮などの金属材料を 用いて、 プレス加工によって一体的に形成することができる。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) は、 金属材料を用いて形成される場合に限られず、 例えば、 プラスチック材料を用いて、 押し出し成形や射出成形などによって形成 してもよい。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) は、 一体的に形成される場合に限られず、 例えば、 イ ンク (80) を貯蔵するためのィ ンク貯蔵部と、 このイ ンク貯蔵部とチップ (20) とを連結するための継手部とを別々に形成し、 これらを紫ぎ合わせることによつ て形成してもよい。
また、 「尾栓 (40)」 は、 インク貯蔵管 (30) の内部に充填した加圧ガス (90) が外部に漏れ出さないようにするためのものである。
また、 尾栓 (40) は、 例えば、 イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側の端部 近辺に圧入することによ り、 インク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けるこ とができる。
また、 尾栓 (40) は、 例えば、 インク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側の端部 近辺に螺合させることによ り、 イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けて もよい。
また、 尾栓 (40) は、 例えば、 金属製の留め具 (41) と、 この留め具 (41) の チップ (20) 側に設けたゴム製のシール部材 (42) とによって構成することがで きる。 そして、 金属製の留め具 (41) によ り、 耐圧性の向上を図る と と もに、 ゴ ム製のシール部材 (42) により、 気密性の向上を図ることができる。
また、 尾栓 (40) は、 例えば、 金属材料を用いて円柱状に形成してもよい。 そ して、 インク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側の端部近辺に圧入した際には、 例 えば、 尾栓 (40) の外周面とインク貯蔵管 (30) の内周面との間の間隙に充填剤 を注入することによ り、 気密性の向上を図ることができる。
また、 「チップ (20)」 は、 ポール (50) と、 このポール (50) を保持するため のホルダー (60) とを備える。
また、 チップ (20) は、 例えば、 その反ボール (50) 側をイ ンク貯蔵管 (30) の一方側の端部近辺に圧入することによ り 、 インク貯蔵管 (30) の一方側に固定 することができる。
'また、 チップ (20) は、 例えば、 その反ポール (50) 側をインク貯蔵管 (30) の一方側の端部近辺に螺合させることによ り、 インク貯蔵管 (30) の一方側に固 定してもよい。
また、 「ポール (50)」 は、 筆記面にインクを塗布するためのものである。
また、 ポール (50) は、 例えば、 超硬合金、 ステンレス、 焼入鋼、 又はセラミ ックなどを用いて形成することができる。
また、 「ホルダー (60)」 は、 ボール (50) を保持するためのものである。
また、 ホルダー (60) は、 ポール (50) を収納するためのボールハウス (61) と、 ボール (50) にイ ンクを供給するためのインク誘導孔 (62) とを有する。 また、 ホルダー (60) は、 例えば、 ステンレス、 洋白、 真輸、 又は黄銅などの
線材を用いて形成することができる。
また、 「ボールハウス (61)」 は、 ホルダー (60) の反インク貯蔵管 (30) 側の 端部近辺に設けられる。
また、 ボールハウス (61) は、 円简状の側面部 (70) と、 インク誘導孔 (62) 側へ向けて内径を次第に小さくする円錐状の底面部 (71) とを有する。
また、 ボールハウス (61) は、 例えば、 ドリルで切削するこ とによって形成す ることができる。
また、 「インク誘導孔 (62)」 は、 ホルダー (60) の反ポールハウス (61) 側の 端部からポールハウス (61) まで貫通するよ うに設けられる。
また、 イ ンク誘導孔 (62) は、 例えば、 ドリルで切削するこ とによって形成す ることができる。
更に、 このボールペンリ フィール (10) は、 ポール (50) の表面粗さ R a が、 0 . 0 1 0 μπι以上 0 . 0 8 0 μπι以下に形成されていると ともに、 ボール (50) の直径を φΑ、 側面部 (70) の内径を φ Β、 と したときに、
1 . 0 1 ≤φ Β / φΑ≤ 1 . 1 1
を満たすよ うに形成されている。
すなわち、 ポール ( 50) は、 その表面粗さ R a を、 0 . 0 1 0 μπα以上 0 . 0 8 0 μηι以下に形成され、 側面部 (70) は、 その内径を、 ボール (50) の直径に 対して 1 0 1 %以上 1 1 1 %以下に形成されているのである。
そして、 このポールペン リ フィール (10) は、 ボール (50) の表面粗さ R a を、
0 . Ο Ι Ο μπι以上 0 . 0 8 0 μπι以下に形成する と と もに、 側面部 (70) の内径 を、 ボール (50) の直径に対して 1 0 1 %以上 1 1 1 %以下に形成することによ り、 「インク (80) の漏れ出し」 や 「ボール (50) の飛び出し」 を防止しつつ、 「か すれ」 の発生や 「初筆性」 の低下も防止し、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長く な るよ う にしてレヽるのである。
すなわち、 ポール (50) の表面粗さ R aを 0 . 0 1 0 μπι以上に形成すること によ り、 ボール (50) と筆記面との間の摩擦抵抗を大きく し、 これによ り、 筆記 面上でのボール (50) の滑りを低減させて、 「かすれ」 の発生を防止すると とも に、 「初筆性」 の低下を防止しているのである。
また、 ポール (50) の表面粗さ R a を 0 . 0 8 0 μπι以下に形成することによ り、 ポール受け座 (72) の磨耗を防止し、 これによ り、 チップ (20) の耐久性を 向上させて、 「筆記距離」 が十分に長くなるよ うにしているのである。
また、 側面部 (70) の内径をボール (50) の.直径に対して 1 0 1 %以上に形成 するこ とによ り、 チップ (20) の先端近辺におけるインク (80) の通路を十分に 確保し、 これによ り、 「かすれ」 の発生を防止すると ともに、 「初筆性」 の低下を 防止しているのである。
また、 側面部 (70) の內径をボール (50) の直径に対して 1 1 1 %以下に形成 することにより、 「インク (80) の漏れ出し」 を防止すると ともに、 「ボール (50) の飛び出し」 を防止しているのである。
なお、 ポール (50) の表面粗さ R a を 0 . 0 1 0 μπι未満に形成すると、 ポー ル (50) と筆記面との間の摩擦抵抗を十分に大き くすることができず、 これによ り、 筆記面上でボール (50) が滑りやすく なつてしま うので、 「かすれ」 の発生 を十分に抑えることができなくなってしまったり、 あるいは 「初筆性」 が低下し てしまったりするのである。
また、 ボール (50) の表面粗さ R a を 0 . 0 8 0 μηι超に形成すると、 ポール 受け座 (72) が磨耗しやすく なり、 これによ り、 使用開始から比較的早い時期に 「書き味」 が低下してしまったり、 あるいは 「筆記距離」 が短く なつてしまった りするのである。
また、 側面部 (70) の內径をボール (50) の直径に対して 1 0 1 %未満に形成 すると、 ポール (50) と側面部 (70) との間に十分なイ ンク通路を確保するこ と ができず、 これによ り、 「かすれ」を起こしゃすく なつてしまったり、あるいは「初 筆性」 が低下してしまったりするのである。
また、 側面部 (70) の内径をボール (50) の直径に対して 1 1 1 %超に形成す ると、 チップ (20) の先端からィンク (80) が漏れ出しやすくなってしまったり、 あるいはボール (50) がポールハウス (61 ) から飛び出しやすくなつてしまった りするのである。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて'、 イ ンク (80) は、 2 5 °Cにお ける粘度が、 1 0 , O O O m P a · s以上 5 0 , 0 0 0 m P a · s以下となるよ
うに調製されていることを特徴とする。
このよ う に、 このポールペンリ ブイ一ル (10) は、 2 5 °Cにおけるィ ンク (80) の粘度を 1 0, O O O mP a ' s以上 5 0 , O O O mP a ' s以下に調製するこ とによ り、 「イ ンク (80) の漏れ出し」 をより確実に防止しつつ、 「かすれ」 の発 生や 「初筆性」 の低下もより確実に防止し、 しかも、 「書き味」 がなめらかになる ようにしているのである。
なお、 2 50Cにおけるイ ンク (80) の粘度が 1 0, O O O m P a ' s未満では、 チップ (20) の先端からのイ ンク (80) の漏れ出しを確実に防止できなく なって しま うおそれがあるのである。
一方、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度が 5 0 , 0 0 0 m P a · s超では、
「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を確実に防止できなく なってしまうおそれ があり、 また、 「書き味」 が重く なつてしま うおそれがあるのである。
勿論、 イ ンク 80) の粘度が上記範囲外であっても、 使用するこ とは可能であ る。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 インク (80) が、 構造粘性付 与剤を含有することを特徴とする。
ここで、 「構造粘性付与剤」 は、 イ ンク (80) の粘度を上昇させると と もに、 イ ンク (80) に構造粘性を付与するためのものである。
この構造粘性付与剤を含有するイ ンク (80) は、 低剪断速度下では比較的高い 粘度を示すものの、 高剪断速度下では比較的低い粘度を示す。
また、 構造粘性付与剤としては、 例えば、 力一ボンブラック (具体的には、 例 えば、 三菱化学株式会社製のカーボンブラック MA— 1 0 0 (商品名)) や微粒子 シリ力 (具体的には、 例えば、 日本ァエロジル株式会社製のァエロジル 3 8 0 (商 品名)) などを用いることができる。
そして、 このボールペンリ フィ—ル (10) は、 イ ンク (80) に構造粘性付与剤 を添加することにより、 「インク (80) の漏れ出し」 をより確実に防止しつつ、 しかも、 「書き味」 がなめらかになるよ う にしているのである。
すなわち、 非筆記時におけるチップ (20) の先端近辺では、 イ ンク (80) は、 低剪断速度下におかれること となる。 このため、 構造粘性付与剤を添加されたィ
ンク (80) は、 非筆記時におけるチップ (20) の先端近辺では、 比較的高粘度を 示す。 そして、 これによ り、 チップ (20) の先端からのインク (80) の漏れ出し をよ り確実に防止することができるのである。
一方、 筆記時におけるチップ (20) の先端近辺では、 イ ンク (80) は、 高剪断 速度下におかれること となる。 このため、 構造粘性付与剤を添加されたイ ンク
(80) は、 筆記時におけるチップ (20) の先端近辺では、 比較的低粘度を示す。 そして、 これにより、 「書き味」 をなめらかにすることができるのである。
勿論、 イ ンク (80) に構造粘性付与剤を添加しなくても、 使用することは可能 である。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 加圧ガス (90) は、 ボールべ ンリ フィール (10) 組立て時における圧力が、 絶対気圧で、 0. 1 5 MP a以上 0. 4 MP a以下となるように設定されていることを特徴とする。
このよ う に、 このポーノレペンリ フィール (10) は、 ボールペン リ フィ一ル (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を、 絶対気圧で 0. 1 51^? &以上 0. 4 MP a以下に設定することによ り、 「インク (80) の漏れ出し」 や 「ボール (50) の飛び出し」 をよ り確実に防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下もよ り確実に防止し、 しかも、 インク (80) を最後まで使い切れるよ う にしているの である。
なお、 ボールペンリ フィ一ル (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力が、 絶対気圧で 0. 1 5 MP a未満では、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を確実 に防止できなく なってしまうおそれがあり、 また、 インク (80) を最後まで使い 切れなくなってしま うおそれがあるのである。
一方、 ポールペンリ ブィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力が、 絶対気圧で 0. 4MP a超では、 「インク (80) の漏れ出し」 や 「ボール (50) の飛び出し」 を確実に防止できなくなってしまうおそれがあるのである。
勿論、 ボールペンリ ブィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力が 上記範囲外であっても、 使用することは可能である。
更に、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 ポールペンリ フィール (10) 組立て時におけるインク (80) の収納体積を VA、 ボールペンリ フィ一ル (10)
組立て時における加圧ガス (90) の収納体積を VB、 と したときに、
VAx2≤V B≤VAx5
を満たすよ う に形成したことを特徴とする。
すなわち、 このポーノレペンリ フィ一ノレ (10) +は、 ボーノレペンリ フィ一ノレ (10) 組立て時における加圧ガス (90) の収納体積を、 ボールべンリ フィーノレ (10) 組 立て時におけるインク (80) の収納体積の 2倍以上 5倍以下に形成されているの である。
ここで、 「収納体積」 とは、 イ ンク貯蔵管 (30) に収納した時の体積をいう。 すなわち、 「イ ンク (80) の収納体積」 とは、 イ ンク貯蔵管 (30) に収納した 時のインク (80) の体積をいい、 また、 「加圧ガス (90) の収納体積」 とは、 ィ ンク貯蔵管 (30) に収納した時の加圧ガス (90) の体積をいう。
そして、 このポールペンリ フィール (10) は、 ポールペンリ フィ一ノレ (10) 組 立て時における加圧ガス (90) の収納体積を、 ポールペンリ フィール (10) 組立 て時におけるィンク (80) の収納体積の 2倍以上 5倍以下に形成することによ り、 「インク (80) の漏れ出し」 や 「ボール (50) の飛び出し」 をよ り確実に防止し つつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下もよ り確実に防止し、 しかも、 イ ンク (80) を最後まで使い切れるよ うにして 「筆記距離」 が十分に長く なるよ うにし ているのである。
なお、 VAx2 > VBでは、 すなわち、 ボ一ルペンリ フィール (10) 組立て時 における加圧ガス (90) の収納体積が、 ポールペンリ フィール (10) 組立て時に おけるインク (80) の収納体精の 2倍未満では、 「インク (80) の漏れ出し J や
「ボール (50) の飛び出し」 を確実に防止できなく なってしま うおそれがあり、 また、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を確実に防止できなく なつてしま うお それがあり 、 また、 イ ンク (80) を最後まで使い切れなく なって 「筆記距離」 が 短く なつてしま うおそれがあるのである。
一方、 V B >VAx5では、 すなわち、 ボ—ルペンリ フィ—ル (10) 組立て時 における加圧ガス (90) の収納体積が、 ボールペンリ フィール (10) 組立て時に おけるインク (80) の収納体積の 5倍超では、 インク (80) の充填量が比較的少 なく なって 「筆記距離」 が短く なつてしまうおそれがあるのである。
勿論、 ボールペンリ フィール (10) 組立て時におけるインク (80) と加圧ガス (90) との収納体積比が上記範囲外であっても、 使用することは可能である。 また、 本発明者は、 前述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、 イン クの粘度を所定範囲內に調製するとともに、 加圧ガスの圧力を所定範囲内に設定 することによ り、 「イ ンクの漏れ出し」 を防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初筆 性」の低下も防止でき、しかも、 「筆記距離」を十分に長くできることを見い出し、 以下の発明を完成するに至った。 .
すなわち、 本発明は、 イ ンク貯蔵管 (30) と、 このイ ンク貯蔵管 (30) の一方 側に固定したチップ (20〉 と、 インク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けた 尾栓 (40) とを備え、 前記ィンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側には、 インク (80) が充填され、 前記イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側には、 加圧ガス (90) が充填され、 前記加圧ガス (90) の圧力によ り、 イ ンク (80) をチップ (20) 方 向へ押し出すよ う にしたポールペンリ ブィール (10) であって、 前記インク (80) は、 2 5 °Cにおける粘度が、 1 0, O O O m P a ' s以上 5 0 , 0 0 0 m P a - s以下となるよ う に調製され、前記加圧ガス (90) は、ボールペンリ フィール(10) 組立て時における圧力が、 絶対気圧で、 0 . 1 51^ &以上 0 . 4 M P a以下と なるよ うに設定されていることを特徴とする。
ここで、 このボールペン リ フィ一ル (10) は、 2 5 Cにおけるイ ンク (80) の 粘度を、 1 0 , O O O m P a ' s以上 5 0 , O O O m P a ' s以下に調製されて いると ともに、 ボールペンリ フィ一ル (10) 組立て時における加圧ガス (90) の 圧力を、 絶対気圧で 0 . 1 5 M P a以上 0 . 4 M P a以下に設定されている。 すなわち、 イ ンク (80) は、 2 5 °Cにおける粘度を、 1 0 , 0 0 0 m P a · s 以上 5 0 , 0 0 0 m P a · s以下に調製され、 加圧ガス (90) は、 ポールペンリ ブイール (10) 組立て時における圧力を、 絶対気圧で 0 . 1 5 1^ 13 3以上 0 . 4 M P a以下に設定されているのである。
そしてこのポールペンリ フィール (10) は、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘 度を、 1 0 , O O O m P a · s以上 5 0 , 0 0 0 m P a · s以下に調製すると と もに、 ポールペンリ フィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を、 絶対気圧で 0 . 1 5 M P a以上 0 . 4 M P a以下に設定することによ り、 「インク
(80) の漏れ出し」 を防止しつつ、 「かすれ j の発生や 「初筆性」 の低下も防止 し、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長くなるようにしているのである。
すなわち、 2 5 °Cにおけるィンク (80) の粘度を 1 0, O O O m P a ' s以上 に調製することによ り、 チップ (20) の先端からの 「インク (80) の漏れ出し」 を防止しているのである。
また、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度を 5 0 , 0 0 0 m P a . s以下に調 製することによ り、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を防止し、 また、 「書き 味」 が重く ならないよ うにしているのである。 '
また、 ボールペンリ フィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を 絶対気圧で 0. 1 5 M P a以上に設定することにより、 「かすれ」 の発生や 「初筆 性」 の低下を防止し、 また、 イ ンクを最後まで使い切れるよ う にして 「筆記距離」 が十分に長く なるよう にしているのである。
また、 ボールペンリ フィ一ル (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を 絶対気圧で 0. 4 M P a以下に設定することによ り、 チップ (20) の先端からの 「インク (80) の漏れ出し」 を防止しているのである。
なお、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度を 1 0, O O O m P a . s未満に調 製する と、 チップ (20) の先端からインク (80) が漏れ出してしま うおそれがあ るのである。
また、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度を' 5 0 , 0 0 0 m P a · s超に調製 すると、 「かすれ」 を起こしやすくなつてしまったり、 「初筆性」 が低下してしま つたり、 あるいは 「書き味」 が重くなつてしまったりするのである。
また、 ボ一ルペンリ フィ一ル (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を 絶対気圧で 0. 1 5 MP a未満に設定すると、 「かすれ」 を起こしやすく なつてし まったり、 「初筆性」 が低下してしまったり、 あるいはイ ンクを最後まで使い切れ なく なって 「筆記距離」 が短くなつてしまったりするのである。
また、 ボーノレペンリ フィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の圧力を 絶対気圧で 0. 4 MP a超に設定すると、 チップ (20) の先端からイ ンク (80) が漏れ出してしまうおそれがあるのである。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 ボールペンリ ブィ一ル (10)
組立て時におけるイ ンク (80) の収納体積を V A、 ボールペンリ フィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の収納体積を V B、 と したときに、
V A x 2≤V B≤V A x 5
を満たすよ うに形成したことを特徴とする。
すなわち、 このポーノレペンリ フィ一ル (10) は、 ポールペンリ ブィーノレ ( 10) 組立て時における加圧ガス (90) の収納体積を、 ボールペンリ フィール (10) 組 立て時におけるインク (80〉 の収納体積の 2倍以上 5倍以下に形成されているの である。
そして、 このポールペンリ フィール (10) は、 ポールペンリ フィール (10) 組 立て時における加圧ガス (90) の収納体積を、 ポールペンリ フィール (10) 組立 て時におけるィ ンク (80) の収納体積の 2倍以上 5倍以下に形成することによ り、
「イ ンク (80) の漏れ出し」 をより確実に防止しつつ、 「かすれ」 の発生や 「初 筆性」 の低下もより確実に防止し、 しかも、 インク (80) を最後まで使い切れる ようにして 「筆記距離」 が十分に長くなるよ うにしているのである。
なお、 ボールペンリ フィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の収納体 積が、 ボ一ルペンリ フィール ( 10) 組立て時におけるインク (80) の収納体積の 2倍未満では、 「イ ンク (80) の漏れ出し」 を確実に防止できなくなってしま う おそれがあ り、 また、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下を確実に防止できなく なってしま うおそれがあり、 また、 インク (80) を最後まで使い切れなく なって 「筆記距離 J が短くなつてしま うおそれがあるのである。
一方、 ポールペンリ ブィール (10) 組立て時における加圧ガス (90) の収納体 積が、 ポ一ルペンリ フィ一ル (10) 組立て時におけるインク (80) の収納体積の 5倍超では、 イ ンク (80) の充填量が比較的少なく なつて 「筆記距離」 が短く な つてしま うおそれがあるのである。
勿論、 ポールペンリ フィール (10) 組立て時におけるインク (80) と加圧ガス
( 90) との収納体積比が上記範囲外であっても、 使用することは可能である。 また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 インク (80) は、 構造粘性付 与剤を含有することを特徴とする。
ここで、 「構造粘性付与剤」 は、 インク (80) の粘度を上昇させると ともに、
インク (80) に構造粘性を付与するためのものである。
この構造粘性付与剤を含有するインク (80) は、 低剪断速度下では比較的高い 粘度を示すものの、 高剪断速度下では比較的低い粘度を示す。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 加圧ガス (90) は、 反応しに くいガスの割合が、 加圧ガス (90) 全体の 8 5 %以上となるよ うに調製されてい ることを特徴とする。
ここで、 「反応しにくいガス」 とは、 例えば、 窒素 (N 2)、 ヘリ ウム (H e:)、 ネオン (N e:)、 アルゴン (A r )、 ク リプ トン (K r )、 キセノン (X e ) などの ガスをいう。 これらは、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以上を適宜組 み合わせて用いてもよい。
そして、 このボールペンリ フィール (10) は、 加圧ガス (90) 中の反応しにく いガスの割合を 8 5 %以上にすることによ り、 加圧ガス (90) 中の酸素 (0 2 ) な どのガスがインクの各成分と反応することによる加圧ガス (90) の圧力低下を防 止し、 これによ り、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下をよ り確実に防止し、 ま た、 「筆記距離」 も十分に長くなるようにしているのである。
すなわち、 酸素 (0 2) などのガスは、 イ ンク (80) の各成分と反応しやすい。 そして、酸素 (Ο 2) などのガスがインク (80) の各成分と反応すると、 インク (80) が変質してしま う。 また、 酸素 (0 2) などのガスがイ ンク (80) の各成分と反応 すると、 インク (80) が変質してしま うだけでなく 、 加圧ガス (90) 中から酸素 ( θ 2) などのガスが減ってしま う。 そうすると、 酸素 (〇2) などの反応しやす いガスが減った分だけ、 加圧ガス (90) の圧力が低下してしま うのである。 そこ で、加圧ガス (90)中の反応しにく いガスの割合を 8 5 %以上にすることによ り、 酸素(0 2)などの反応しゃすいガスとインク (80) との反応をできるだけ防止し、 これによ り、 加圧ガス (90) の圧力低下を防止しているのである。 そして、 「か すれ」 の発生や 「初筆性」 の低下をよ り確実に防止し、 また、 「筆記距離」 も十分 に長く なるよ うにしているのである。
なお、 加圧ガス (90) 中の反応しにく いガスの割合が 8 5 %未満では、 酸素 (Ο 2) などのガスがィンク (80) の各成分と反応しゃすく なつてしまう ことから、 ィ ンク (80) が変質しやすく なつてしま うのである。 また、 加圧ガス (90) 中の反
応しにくいガスの割合が 8 5 %未満では、 加圧ガス (90) の圧力が低下しやすく なってしまい、 これにより、 「かすれ」 が発生しやすくなつたり、 「初筆性」 が低 下してしまったり、 あるいはイ ンク (80) を最後まで使い切れなく なって 「筆記 距離 J が短く なつてしまうおそれがあるのである。
勿論、 加圧ガス (90) 中の反応しにく いガスの割合が上記範囲外であっても、 使用することは可能である。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加え、 反応しにく いガスは、 その主体 を、 窒素 (N2) によって構成されていることを特徴とする。
ここで、 反応しにくいガスは、 その主体を、 窒素 (N2) によって構成されてい ればよい。 したがって、 反応しにくいガスは、 窒素 (N2) 以外のガス (例えば、 ヘリ ウム (H e ), ネオン (N e ), アルゴン (A r )、 ク リプ トン (K r )、 キセ ノ ン (X e ) など) を含んでいてもよい。
そして、 このポ一ルペンリ フィール (10) は、 反応しにく いガスの主体を窒素 (N2) によって構成することによ り、 その組立てや取り扱いを容易にしているの である。
更に、 本発明は、 前記した発明の構成に加え、 イ ンク貯蔵管 (30) は、 金属材 料を用いて一体的に形成され、 チップ (20) は、 その反ボール (50) 側をイ ンク 貯蔵管 (30) の一方側の端部近辺に圧入されることによ り、 インク貯蔵管 (30) の一方側に固定され、 インク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺は、 焼鈍 されることによ り、 その硬度を、 ピツカ一ス硬度で、 H v 5 0以上 H v 4 0 0以 下に設定されていることを特徴とする。
このよ う に、 このボ一ルペンリ フィ一ル (10) は、 インク貯蔵管 (30) を金属 材料によって一体的に形成し、 また、 チップ (20) の反ボール (50) 側をイ ンク 貯蔵管 (30) の一方側の端部近辺に圧入することによってチップ (20) をイ ンク 貯蔵管 (30) の一方側に固定し、 更に、 インク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の 端部近辺を焼鈍することによってその硬度をピツカ一ス硬度で H v 5 0以上 Η ν 4 0 0以下に設定するこ とによ り 、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下をよ り確 実に防止し、 また、 「筆記距離」 も十分に長く なるよ うにし、 更に、 加圧ガス (90) の圧力によってチップ (20) がインク貯蔵管 (30) から抜けないよ うにし、 しか
も、 チップ (20) のイ ンク貯蔵管 (30) への固定も容易にしているのである。 すなわち、 インク貯蔵管 (30) を金属材料によって一体的に形成することによ り、 加圧ガス (90) の漏れを防止し、 これにより、 加圧ガス (90) の圧力低下を 防止しているのである。 そして、 「かすれ」 の発生や 「初筆性」 の低下をよ り確実 に防止し、 また、 「筆記距離」 も十分に長くなるよ うにしているのである。
また、 チップ (20) の反ボール (50) 側をインク貯蔵管 (30) の一方側の端部 近辺に圧入することによってチップ (20) をインク貯蔵管 (30) の一方側に固定 するこ とによ り、 ポールペンリ フィール (10) の組立てをよ り一層容易にしてい るのである。
また、 ィンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺を焼鈍することによ り、 チップ (20) の反ボール (50) 側が圧入されることによる応力腐食割れを防止し ているのである。
更に、 イ ンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺を焼鈍することによつ てその硬度をビッカース硬度で H V 5 0以上 H v 4 0 0以下に設定することによ り、 加圧ガス (90) の圧力によってチップ (20) がインク貯蔵管 (30) から抜け ないよ うにしつつも、 チップ (20) のイ ンク貯蔵管 (30) への固定を容易にして いるのである。
なお、 イ ンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺の硬度をビッカース硬 度で Η V 5 0未満にすると、 加圧ガス (90) の圧力によってチップ (20) がイ ン ク貯蔵管( 30)から抜けてしま うおそれがあるのである。 また、インク貯蔵管( 30) のチップ (20) 側の端部近辺の硬度をビッカース硬度で H v 5 0未満にする と、 高荷重で筆記した際に、 インク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺が破損 してしまうおそれがあるのである。
一方、 インク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺の硬度をビッカース硬 度で H V 4 0 0超にする と、 チップ (20) の反ボール (50) 側を圧入しにく く な つてしまうのである。
勿論、 イ ンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側の端部近辺の硬度が上記範囲外で あっても、 使用することは可能である。
更に、本癸明者は、 前述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、 フロー
トの外径をィンク貯蔵管の内径に対して所定範囲内に形成することにより、 Γィ ンクの反チップ方向への流れ出し」 を防止しつつも、 インクの減少に伴う フロー 卜の円滑な移動を確保できることを見い出し、 以下の発明を完成するに至った。 すなわち、 本発明は、 イ ンク貯蔵管 (30〉 と、 このイ ンク貯蔵管 (30) の一方 側に固定したチップ (20) と、 イ ンク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側に設けた 尾栓 (40) とを備え、 前記ィンク貯蔵管 (30) のチップ (20) 側には、 インク (80) が充填され、 前記インク貯蔵管 (30) の反チップ (20) 側には、 加圧ガス (90) が充填され、 前記加圧ガス (90) の圧力により、 イ ンク (80) をチップ (20) 方 向へ押し出すよ うにしたボールペンリ ブィール (10) であって、 前記インク貯蔵 管 (30) の内部であって、 インク (80) と加圧ガス (90) との間には、 インク (80) の減少に伴って一定範囲を移動するフロー ト (100) が設けられ、 前記フロー ト
( 100) の外径を 《p C、 前記インク貯蔵管 (30) の内径のう ち、 フロー ト (100) の移動範囲の内径を(p D、 と したときに、
0 . 0 0 0 5≤ ( φ ϋ - φ θ ) / φ θ≤ 0 . 0 4 3
を満たすように形成したことを特徴とする。
ここで、 「フロー ト (100)」 は、 インク貯蔵管 (30) の内部に充填したイ ンク ( 80)が反チップ(20)方向へ向けて流れ出さないよ うにするためのものである。 また、 フロー ト (100) は、 インク貯蔵管 (30) の内部であって、 イ ンク (80) と加圧ガス (90) との間に設けられ、 インク (80) の減少に伴って一定範囲を移 動可能に形成される。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) が円筒状に形成されれば、 フロー ト (100) は、 例 えば、 円柱状に形成することができる。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) が六角筒状に形成されれば、 フロー ト (100) は、 例えば、 六角柱状に形成することができる。
また、 イ ンク貯蔵管 (30) が、 円简状の大径部 (31) と、 この大径部 (31) の —方側に連設した、 大径部 (31) よ り も径が小さい円筒状の中径部 (32) と、 こ の中径部 (32) の反大径部 (31) 側に連設した、 中径部 (32) よ り も径が小さい 円筒状の小径部 (33) とを有するように形成されれば、 フロー ト (100) は、 例 えば、 円柱状に形成して、 大径部 (31) の内部に設けるこ とができる。 また、 こ
の場合、 例えば、 大径部 (31) の内部を、 フロー 卜 (100) の移動範囲とするこ とができる。
また、 フロー ト (100) は、 例えば、 ポリプロピレン (P P ) などの合成樹脂 を用いて、 射出成形によって一体的に形成することができる。
更に、 本発明に係るボ一ルペンリ フィール (10) は、 フロー ト (100) の外径 を cpC、 インク貯蔵管 (30) の內径のうち、 フロー ト (100) の移動範囲の内径 を cpD、 と したときに、
0. 0 0 0 5≤ (φϋ -ψθ /φθ≤ 0. 0 4 3
を満たすよ うに形成されている。
そして、 このボールペンリ フィール (10) は、 φ〇と c Dとの関係につき上記 式を満たすように形成することにより、 フロー ト (100) とイ ンク貯蔵管 (30) との間に所定の間隙を設け、これにより、インク(80)の減少に伴う フロー ト(100) の移動が円滑に行われるようにすると ともに、 フロー ト (100) とイ ンク貯蔵管 (30) との間の間隙から加圧ガス (90) 側へインク (80) が流れ出しにく く なる よ うにしているのである。
なお、 0. 0 0 0 5 > (φΌ -φθ ) /(pCとなるように形成すると、 フロー ト (100) とインク貯蔵管 (30) との間の間隙が狭すぎて、 インク (80) の減少に 伴う フロー ト (100) の移動が円滑に行われなくなってしま うおそれがあるので ある。
また、 (cpD— cpC) /(pC > 0. 0 4 3 となるよ うに形成する と、 フロー ト (100) とイ ンク貯蔵管 (30) との間の間隙が広すぎて、 フロー ト (100) とインク貯蔵 管 (30) との間の間隙からイ ンク (80) が加圧ガス (90) 側へ流れ出してしま う おそれがあるのである。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 インク (80) は、 2 5 °Cにお ける粘度が、 1 0, O O O mP a ' s以上 5 0 , O O O mP a ' s以下となるよ うに調製されていることを特徴とする。
このよ う にこのボ一ルペンリ フィール (10) は、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度を 1 0 , O O O mP a ' s以上 5 0 , O O O m P a ' s以下に調製するこ とによ り、 フロー ト (100) とィンク貯蔵管 (30) との間の間隙から加圧ガス (90)
側へインク (80) がよ り一層流れ出しにく く なるよ うにしているのである。
なお、 2 5 °Cにおけるインク ( 80) の粘度が 1 0 , 0 0 0 m P a · s未満では、 フロー ト (100) とインク貯蔵管 (30) との間の間隙から加圧ガス (90) 側への インク (80) の流れ出しを確実に防止できなくなってしま うおそれがあるのであ る。
一方、 2 5 °Cにおけるインク (80) の粘度が 5 0 , 0 0 0 m P a · s超では、 「書き味 J が重く なつてしまうおそれがあるのである。
勿論、 イ ンク (80) の粘度が上記範囲外であっても、 使用することは可能であ る。
また、 本発明は、 前記した発明の構成に加えて、 インク (80) は、 構造粘性付 与剤を含有することを特徴とする。
ここで、 「構造粘性付与剤」 は、 インク (80) の粘度を上昇させると ともに、 インク (80) に構造粘性を付与するためのものである。
そして、 このボールペンリ フィ一ル (10) は、 インク (80) に構造粘性付与剤 を添加することによ り、 インク (80) の粘度を上昇させる と と もに、 インク (80) に構造粘性を付与して、 フロー ト (100) とインク貯蔵管 (30) との間の間隙か ら加圧ガス (90) 側ヘインク (80) がよ り一層流れ出しにく く なるよ うにしてい るのである。
勿論、 インク (80) に構造粘性付与剤を添加しなくても、 使用することは可能 である。 図面の簡単な説明
図 1 は、本実施の形態に係るポールペンリ フィール 10の側面断面図、 図 2は、 図 1 の A部拡大図、 図 3は、 図 1の B部拡大図、 図 4は、 チップ 20の要部断面 図、 図 5は、 フロー ト 100の斜視図である。 発明を実施するための最良の形態
本実施の形態に係るポールペンリ フィ一ル 10は、 チップ 20 と、 このチップ 20 に固定したィンク貯蔵管 30 と、 このィンク貯蔵瞀 30の反チップ 20側に設けた
尾栓 40 とを備えている。
前記チップ 20は、 ポール 50 と、 このポール 50を保持するためのホルダー 60 とを備え、 また、 前記ホルダー 60は、 ボール 50を収納するためのポールハウス 61 と、 ボール 50にインク 80を供給するためのイ ンク誘導孔 62 と、 ボール 50 にインク 80が十分に供給されるよ うにするための複数のィンク溝 63 と、 ボール ハウス 61に収納したボール 50が外部に飛び出さないよ う にするための力シメ部 64 とを有している。
また、 前記イ ンク貯蔵管 30は、 ほぼ円筒状に形成され、 そのチップ 20側には ィンク 80が充填され、 その反チップ 20側には加圧ガス 90が充填されている。 また、 インク貯蔵管 30の内部であって、 インク 80 と加圧ガス 90 との間には、 インク 80の減少に伴って一定範囲を移動するフロー ト 100が設けられている。 また、 前記尾栓 40は、 インク貯蔵管 30の反チップ 20側の端部近辺に圧入さ れ、 ィンク貯蔵管 30の反チップ 20側に充填した加圧ガス 90が外部に漏れない よ うにしている。
以下、更に、本実施の形態に係るボールペンリ フィール 10について詳述する。
(チップ 20)
前記チップ 20は、 ボ一ル 50 と、 このポール 50を保持するためのホルダー 60 とを備えている。
勿論、 ポール 50の表面粗さ R aが上記範囲外であっても、 使用することは可 能である。
(ポール 50)
前記ポール 50は、 筆記面にイ ンク 80を塗布するためのものである。
このボール 50は、 超硬合金、 ステンレス、 焼入鋼、 又はセラミ ックなどを用 いて形成されている。
また、 このポール 50は、 球状に形成され、 その表面粗さ R a を、 0 . 0 1 Ο μ m以上 0 . 0 8 0 μπι以下に形成されている。
そして、 ボール 50の表面粗さ R aを 0 . Ο Ι Ο μκα以上 0 . 0 8 0 μηι以下に することによ り 、 ボール 50 と筆記面との間の摩擦抵抗を大きく し、 これによ り 、 筆記面上でのポール 50の滑り を低減させて、 「かすれ」 を起こしにく くすると と
もに、 筆記開始時におけるかすれにく さである 「初筆性」 を向上させているので なお、 ボール 50の表面粗さ R a を 0 . O l O pm未満にすると、 ボール 50 と 筆記面との間の摩擦抵抗を十分に大きくすることができず、 これによ り、 筆記面 上でボール 50が滑りやすく なつてしまうので、 「かすれ」 を十分に抑えることが できなく なってしまったり、 あるいは 「初筆性」 が低下してしまったりするので ある。
また、 ポール 50の表面粗さ R a を 0 . 0 8 Ο μιη超にする と、 ボール受け座 72 が磨耗しやすくなり、 これにより、 使用開始から比較的早い時期に 「書き味」 が 低下してしまったり、 あるいは 「筆記距離」 が短く なつてしまったりするのであ る。
(ホルダー 60)
前記ホルダー 60は、 ポール 50を保持するためのものである。
このホルダー 60は、 ステンレス、 洋白、 真鍮、 又は黄銅などの金属製の線材を 用いて形成されている。
また、 このホルダー 60は、 ボール 50を収納するためのポールハウス 61 と、 ポールハウス 61に収納したポール 50にインク 80を供給するためのィンク誘導 孔 62 と、ポールハウス 61に収納したボール 50にイ ンク 80が十分に供給される よ うにするための複数のィンク溝 63 と、 ボールハウス 61に収納したボール 50 が外部に飛び出さないよ うにするための力シメ部 64 とを有している。
更に、 このホルダー 60は、 力シメ部 64側から反力シメ部 64側へ向けて外径 を次第に大きくする円錐状のテーパー部 66 と、 このテーパー部 66の反力シメ部 64側に連続して設けた円筒状の胴体部 67 と、 この胴体部 67の反テーパー部 66 側に連続して設けた、 胴体部 67よ り も径が小さい円筒状の固定部 68 と、 胴体部 67 と固定部 68 との間に設けた、 階段状の外向き段部 69 とを有している。
以下、 更に、 このホルダー 60の各部について詳述する。
(ポール/、ゥス 61)
前記ボー ハウス 61は、 ボール 50を収納するためのものである。
このポールハウス 61は、 ホルダー 60の一方側の端部近辺に設けられている。
また、 このポールハウス 61は、 円筒状の側面部 70 と、 インク誘導孔 62側へ 向けて内径を次第に小さくする円錐状の底面部 71 とを有している。
また、 このポーノレハウス 61は、 線材の一方側から他方側へ向けて、 線材の軸 心に回転軸を一致させた ドリルで切削することによって形成されている。
また、 前記底面部 71は、 イ ンク誘導孔 62の開口部の周囲に、 ボール 50の曲 率とほぼ同一の曲率を有する凹球面状のボール受け座 72を有している。
また、 このポーノレ受け座 72は、ボールハウス 61にボール 50 を収納した後に、 ハンマーでポール 50をインク誘導孔 62側へ向けて押圧することによって形成さ れている。
また、前記側面部 70は、その内径を、ポール 50の直径の 1 0 1 %以上 1 1 1 % 以下に形成されている。
すなわち、 ポーノレ 50の直径を φΑ、 側面部 70の内径を φ Β と したときに、
1 . 0 1 ≤φ Β / φ Α≤ 1 . 1 1 (式 1 )
を満たすよ うに形成されているのである。
そして、 側面部 70の内径をボール 50の直径の 1 0 1 %以上 1 1 1 %以下に形 成することにより 、 ポール 50 と側面部 70 との間に十分なィンク 80通路を確保 し、 これによ り、 「かすれ」 を起こしにく くすると ともに、 「初筆性」 を向上させ ているのである。
なお、 側面部 70の内径をボール 50の直径の 1 0 1 %未満に形成する と、 ポー ル 50 と側面部 70 との間に十分なイ ンク 80通路を確保することができず、 これ により、 「かすれ」 を起こしやすくなつてしまったり、 あるいは 「初筆性」 が低下 してしまったりするのである。
また、 側面部 70の内径をボール 50の直径の 1 1 1 %超に形成する と、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出してしまったり、 あるいはボール 50がボール ノヽウス 61から飛び出してしま うおそれがあるのである。
勿論、 ポール 50の直径に対する側面部 70の内径が上記範囲外であっても、 使 用することは可能である。
(ィンク誘導孔 62)
前記ィンク誘導孔 62は、ボールハウス 61に収納したボール 50にィ ンク 80を
供給するためのものである。 · このィンク誘導孔 62は、 ホルダー 60の反ボールハウス 61側の端部からポー ルハウス 61まで貫通している。
また、 このイ ンク誘導孔 62は、 線材の反ボールハウス 61側の端部からポール ハウス 61側へ向けて、 線材の軸心に回転軸を一致させた ドリルで切削すること によって形成されている。
(インク溝 63)
前記ィンク溝 63は、ポールハウス 61に収納したボール 50にィンク 80が十分 に供給されるようにするためのものである。
このインク溝 63は、 インク誘導孔 62のポールハウス 61側の內周面に、 イン ク誘導孔 62の中心からみて放射状に設けられている。
また、 このインク誘導孔 62は、 線材のボールハウス 61側から反ボールハウス 61側へ向けて、 ブローチ加工を施すことによって形成されている。
(力シメ部 64)
前記力シメ部 64は、 ポールハウス 61に収納したポール 50が外部に飛び出さ ないよ うにするためのものである。
この力シメ部 64は、 ホルダー 60のボールハウス 61側の端部に設けられてい る。
また、 この力シメ部 64は、 円錐状に形成され、 その最小径部 33分の内径を、 ボール 50の直径よ り も小さく形成されている。
また、 この力シメ部 64は、 ボールハウス 61にポール 50を収納した後に、 線 材のポールハウス 61側の端部に圧延加工を施すことによって形成されている。 そして、 この力シメ部 64によ り、 ボール 50は、 その一部をボールハウス 61 から突出させつつ、 ホルダー 60の先端に回転自在に保持されること となっている ( 更に、 ポール 50 と力シメ部 64 との間には、 ク リ アランス 65 と呼ばれる微小 な間隙が設けられ、 このク リ アランス 65が、'筆記時におけるインク 80の通路と なっている。
そして、 ボール 50の回転に伴って、 ボール 50の表面に付着したインク 80が 筆記面に転写されることにより、 筆記面に描線が描かれるのである。
(インク貯蔵管 30)
前記インク貯蔵管 30は、 ほぼ円筒状に形成され、 そのチップ 20側にはイ ンク 80が充填され、 その反チップ 20側には加圧ガス 90が充填されている。 また、 イ ンク貯蔵管 30の内部であって、 インク 80 と加圧ガス 90 との間には、 インク 80の減少に伴って一定範囲を移動するフロー 卜 100が設けられている。
具体的には、 このイ ンク貯蔵管 30は、 ステンレス又は真鍮などの金属材料を 用いて、 プレス加工によって一体的に形成されている。
また、 このインク貯蔵管 30は、 円筒状の大径部 31 と、 この大径部 31の一方 側に連設した、 大径部 31よ り も径が小さい円筒状の中径部 32 と、 この中径部 32 の反大径部 31側に連設した、 中径部 32より も径が小さい円筒状の小径部 33 と を有している。
更に、 このインク貯蔵管 30は、 大径部 31 と中径部 32 との間に設けた、 階段 状の内向き段部 34 と、 中径部 32 と小径部 33 との間に設けた、 円錐状の絞り部 35 とを有している。
前記大径部 31は、 加圧ガス 90及びインク 80を充填するための部分である。 すなわち、 大径部 31 の反中径部 32側には、 加圧ガス 90が充填され、 大径部 31の中径部 32側には、 中径部 32を経て小径部 33に至るまで、 インク 80が充 填されている。
また、 大径部 31の反中径部 32側の端部近辺には、 大径部 31に充填した加圧 ガス 90が外部に漏れないようにするための尾栓 40が圧入されている。
また、 大径部 31の反中径部 32側の端部には、 尾栓 40を圧入した後に縮径部 が形成され、 この縮径部によ り、 大径部 31に圧入した尾栓 40が加圧ガス 90の 圧力によって外部に飛び出さないようにしている。
また、 大径部 31の内部であって、 インク 80 と加圧ガス 90 との間には、 イン ク 80の減少に伴って移動するフロー ト 100が設けられている。 そして、 このフ ロー ト 100によ り、大径部 31の中径部 32側に充填したィンク 80が反チップ 20 方向へ流れ出さないよ うにしている。
すなわち、 大怪部 31 の内径は比較的大きく形成されているため、 大径部 31 の 内部では毛細管力が働きにく い。このため、大径部 31に充填されたイ ンク 80は、
反チップ 20方向へ流れ出しやすいのである。そこで、大径部 31の内部であって、 インク 80 と加圧ガス 90 との間に、 ほぼ円柱状に形成したフロー ト 100を設ける ことによ り、 大径部 31に充填されたインク 80が反チップ 20方向へ流れ出さな いよ うにしているのである。
更に、 大径部 31 の内部に設けたフロー ト 100は、 インク 80の減少に伴って中 径部 32方向へ移動し、大径部 31 と中径部 32 との間に設けた内向き段部 34に当 接すると、 その中径部 32方向への移動を停止する。
また、 前記内向き段部 34は、 大径部 31 と中径部 32 とを繫ぐための部分であ つて、 階段状に形成されている。
また、 前記中径部 32は、 インク 80を充填するための部分であって、 大径部 31 よ り も径が小さい円筒状に形成されている。
なお、 中径部 32の内径は比較的小さ く形成されているため、 中径部 32の內部 では毛細管力が働きやすい。 このため、 中径部 32の内部においては、 加圧ガス 90 とインク 80 との間にフロー 卜 100を設けなく ても、 インク 80が大径部 31方 向へ流れ出しにくいのである。
また、前記絞り部 35は、中径部 32 と小径部 33 とを繋ぐための部分であって、 円錐状に形成されている。
また、 前記小径部 33は、 チップ 20を固定するための部分であって、 中径部 32 よ り も径が小さい円筒状に形成されている。
また、 この小径部 33は、 その内径を、 チップ 20の固定部 68の外径より もわ ずかに小さく形成されている。
そして、 この小径部 33にホルダー 60の固定部 68を圧入することにより、 チ ップ 20をィンク貯蔵管 30の一方側に固定しているのである。
更に、 この小径部 33にホルダー 60の固定部 68を圧入する際には、 小径部 33 の反中径部 32側の端部とホルダー 60の外向き段部 69とが当接しないよ うにし、 これによ り、 小径部 33の変形を防止して、 気密性の向上を図っている。
また、 この小径部 33は、 ホルダー 60の固定部 68を圧入される前に焼鈍され、 これによ り、 ホルダー 60の固定部 68が圧入されることによる応力腐食割れを防 止している。
また、 この小径部 33は、 焼鈍により、 その硬度をビッカース硬度で H V 5 0 以上 H v 4 0 0以下にすることが好ましく、 特に、 ビッカース硬度で H v 1 0 0 以上 Η ν 2 0 0以下にすることが好ましい。
そして、 小径部 33の硬度を上記範囲内に設定することによ り、 ホルダ一 60の 固定部 68を小径部 33に圧入しゃすくすることができる と ともに、 高荷重で筆記 しても小径部 33が破損しにく くすることができ、 更には、 加圧ガス 90の圧力で チップ 20がィンク貯蔵管 30から抜けにく くすることができるのである。
なお、 小径部 33の硬度をビッカース硬度で Η V 5 0未満にすると、 高荷重で 筆記した際に小径部 33が破損してしまったり、 あるいは加圧ガス 90の圧力でチ ップ 20がィンク貯蔵管 30から抜けてしまうおそれがあるのである。
一方、 小径部 33の硬度をピツカ一ス硬度で Η V 4 0 0超にすると、 ホルダー 60の固定部 68を小径部 33に圧入しにく くなつてしま うのである。
勿論、小径部 33 の硬度が上記範囲外であっても、使用することは可能である。 なお、 ィ ンク貯蔵管 30は、 イ ンク 80 と反応して変形したり 、 ク ラック (破損) したり、 あるいは膨潤したりすることなく、 かつ、 気密性や耐圧性などに優れた 材料を用いて形成されればよく、 したがって、 ステンレスや真鍮などの金属材料 を用いて、プレス加工によつて一体的に形成される場合に限られるものではなレ、。 具体的には、 例えば、 プラスチック材料を用いて、 押し出し成形や射出成形な どによってィンク貯蔵管 30を形成してもよい。
また、ィンク貯蔵管 30は、一体的に形成される場合に限られるものではない。 具体的には、 例えば、 インク 80を貯蔵するためのイ ンク貯蔵部と、 このイ ン ク貯蔵部とチップ 20 とを連結するための継手部とを別々に形成し、 これらを繋 ぎ合わせることによってィンク貯蔵管 30を形成してもよい。
(インク 80)
前記インク 80は、 着色剤、 溶剤、 構造粘性付与剤、 樹脂、 添加剤などを適宜 配合することによって調製されている。
(着色剤)
着色剤と しては、 従来から油性ボールペン用ィンク 80に用いられてきた染料 又は顔料の多く を用いることができる。
具体的には、 例えば、 パリ ファ一ス トカラー (商品名、 オリ エン ト化学工業株 式会社製)、 -グロシン E X (商品名、 オリエン ト化学工業株式会社製)、 アイゼ ンスピロン染料、 アイゼン S O T染料 (商品名、 保土谷化学工業株式会社製)、 ス ピロンバイオレツ ト C— R H (商品名、 保土谷化学工業株式会社製)、 スピロンィ エロー C— 2 G H (商品名、 保土谷化学工業株式会社製) などの染料を着色剤と して用いることができる。
また、 例えば、 酸化チタン、 カーボンブラック、 カーボンブラック M A— 1 0 0 (商品名、 三菱化学株式会社製)、 金属粉などの無機系顔料を着色剤と して用い ることもできる。
また、 例えば、 ァゾレーキ、 不溶性ァゾ顔料、 キレー トァゾ顔料、 フタロシア ニン顏料、 ペリ レン顔料、 アン トラキノ ン顔料、 キナク リ ドン顔料、 染料レーキ、 二 ト ロ顏料、二 ト口ソ顏料などの有機系顔料を着色剤と して用いるこ と もできる。 なお、 上述した染料又は顔料は、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以 上を適宜組み合わせて用いてもよい。
また、着色剤の含有量は、イ ンク 80の全量に対して 1 0重量%以上 6 0重量% 以下が好ましい。 着色剤の含有量がィンク 80の全量に対して 1 0重量%未満で は、 描線の色が薄く見えてしまい、 一方、 着色剤の含有量がインク 80の全量に' 対して 6 0重量%超では、 イ ンク 80が経時的に不安定になってしま うからであ る。
(溶剤)
溶剤と しては、 従来から油性ポールペン用ィンク 80に用いられてきた有機溶 剤の多く を用いることができる。
具体的には、 例えば、 エチレングリ コーノレモノ フエ二ノレエーテル、 ベンジルァ ノレコ一ノレ、 フエノキシェタノ一 Λ^、 プロ ピレングリ コーノレ、 ジプロ ピレングリ コ ール、 1 , 3 —ブチレングリ コール、 へキシレングリ コール、 テ 卜ラ リ ン、 プロ ピレンダリ コールモノ フェニルエーテル、 ジプロ ピレンダリ コ一/レモノ メチ/レエ
—テノレ、 ジプロ ピレングリ コールモノプチルエーテル、 ジプロ ピレングリ コー 7レ モノ メチノレエーテルァセテ一ト、 ト リプロ ピレンダリ コールモノ メチルェ一テノレ、
Ν—メチル一 2—ピロ リ ドンなどの有機溶剤を溶剤と して用いることができる。
なお、 これらの有機溶剤は、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以上を 適宜組み合わせて用いてもよい。
また、 溶剤の含有量は、 インク 80の全量に対して 2 0重量%以上 8 0重量% 以下が好ま しい。溶剤の含有量がィンク 80の全量に対して 2 0重量%未満では、 溶解力が不足して高粘度となってしまい、 一方、 溶剤の含有量がインク 80の全 量に対して 8 0重量%超では、 粘度が十分に高くならないからである。
(構造粘性付与剤)
構造粘性付与剤は、 ィンク 80の粘度を上昇させると ともに、 イ ンク 80に構造 粘性を付与するためのものである。
この構造粘性付与剤を添加されたインク 80は、 低剪断速度下では比較的高い 粘度を示すものの、 高剪断速度下では比較的低い粘度を示す。
ここで、 非筆記時におけるチップ 20の先端近辺では、 ィンク 80は、 低剪断速 度下におかれるこ と となる。 このため、 この構造粘性付与剤を添加されたイ ンク 80は、 非筆記時におけるチップ 20の先端近辺では、 比較的高い粘度を示し、 こ れによ り、 チップ 20の先端からのインク 80の漏れ出しを防止している。
一方、 筆記時におけるチップ 20 の先端近辺では、 イ ンク 80は、 高剪断速度下 におかれること となる。 このため、 この構造粘性付与剤を添加されたイ ンク 80 は、 筆記時におけるチップ 20の先端近辺では、 比較的低い粘度を示し、 これに よ り、 なめらかに筆記できるのである。
具体的には、 例えば、 カーボンブラック (具体的には、 例えば、 三菱化学株式 会社製のカーボンブラック M A— 1 0 0 (商品名))や微粒子シリカ(具体的には、 例えば、 日本ァエロジル株式会社製のァエロジル 3 8 0 (商品名)) などの無機微 粒子を構造粘性付与剤と して用いることができる。
なお、 これらの無機微粒子は、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以上 を適宜組み合わせて用いてもよい。
また、 構造粘性付与剤の含有量は、 インク 80の全量に対して 1重量%以上 2 0重量%以下が好ましく、特にインク 80の全量に対して 5重量%以上 1 5重量% 以下が好ましい。
そして、 構造粘性付与剤の含有量を上記範囲内に設定することによ り、 チップ
20の先端からのインク 80の漏れ出しを防止しつつ、 しかも、 なめらかに筆記で きるよ うにすることができるのである。
なお、構造粘性付与剤の含有量がィンク 80の全量に対して 1重量%未満では、 インク 80の構造粘性を十分に高めるこ とができず、 これによ り、 チップ 20の先 端からインク 80が漏れ出してしまうおそれがあるのである。
一方、構造粘性付与剤の含有量がィンク 80の全量に対して 2 0重量%超では、 インク 80の構造粘性が高すぎてしまい、 これによ り、 書き味が重く なつてしま う のである。
勿論、 イ ンク 80に構造粘性付与剤を添加しなくても、 使用するこ とは可能で ある。
(樹脂)
樹脂は、 インク 80の粘度を上昇させたり、 あるいは構造粘性付与剤をインク 80 中に分散させたりするためのものである。
具体的には、 例えば、 ケ トン樹脂 (具体的には、 例えば、 日立化成株式会社製 のハイラック # 1 1 1 (商品名))、 フエノール樹脂、 マレイ ン樹脂、 キシレン樹 脂、 ポリ エチレンオキサイ ド、 ロジン樹脂、 ロジン誘導体、 テルペン系樹脂、 ク ロマン一インデン榭脂、 ポリ ビニルプチラール、 ポリ ビニルピロ リ ドン (具体的 には、 例えば、 I S P社製のポリ ビュルピロ リ ドン K一 9 0 (商品名))、 ビニル ピロ リ ドン一酢酸ビュル共重合物、 ポリ メタク リル酸エステル、 ポリアク リル酸 ポリ メ タタ リル酸共重合物などの樹脂を、 インク 80の粘度を上昇させたり、 あ るいは構造粘性付与剤をィンク 80中に分散させるための樹脂と して用いること ができる。
なお、 これらの樹脂は、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以上を適宜 組み合わせて用いてもよい。
また、 樹脂の含有量は、 インク 80の全量に対して 5重量%以上 8 0重量%以 下が好ましく、 特にインク 80の全量に対して 2 5重量%以上 7 0重量%以下が 好ましい。
そして、 榭脂の含有量を上記範囲内に設定することによ り、 チップ 20の先端 からのインク 80の漏れ出しを防止しつつ、 しかも、 なめらかに筆記できるよ う
にすることができるのである。
なお、 樹脂の含有量がインク 80の全量に対して 5重量%未満では、 インク 80 の粘度を十分に上昇させることができず、 これにより、 チップ 20の先端からィ ンク 80が漏れ出してしま うおそれがあるのである。
また、 樹脂の含有量がインク 80の全量に対して 5重量%未満では、 インク 80 の粘度を十分に上昇させることができないために、 構造粘性付与剤と しての無機 微粒子がィ ンク 80中に分散せずに沈降してしま う。 そうする と、 イ ンク 80に構 造粘性を付与することができなくなってしまい、 これによつても、 チップ 20の 先端からィンク 80が漏れ出してしま うおそれがあるのであるのである。
一方、 樹脂の含有量がィンク 80の全量に対して 8 0 %超では、 インク 80の粘 度が高すぎてしまい、 これによ り、 書き味が重く なつてしま うのである。
(添加剤)
添加剤と しては、 従来から油性ボールペン用ィンク 80に用いられてきた增粘 剤、 曳糸性付与剤、 界面活性剤、 分散剤、 潤滑剤、 発色剤、 防菌剤などを用いる ことができる。
具体的には、 例えば、 潤滑剤及び発色剤と してのォレイ ン酸、 增粘剤及び分散 剤と してのハイ ラック # 1 1 1 (商品名、 日立化成株式会社製)、 増粘剤、 分散剤 及ぴ曳糸性付与剤と してのポリ ビニルピロ リ ドン K一 9 0 (商品名、 I S P社製) などを添加剤と して用いることができる。
(インク 80の製造方法)
このイ ンク 80は、 上述した各成分を混合撹拌等することによって製造されて いる。
具体的には、 このインク 80は、 顔料分散段階、 ァエロジル分散段階、 染料溶 解段階、 混合段階、 ろ過段階などを経て製造されている。
顔料分散段階は、 顔料を溶剤などに分散させる段階である。
この顔料分散段階では、 まず、 ハイラック # 1 1 1 (樹脂)、 ォレイ ン酸 (添加 剤)、 ベンジルアルコール (溶剤)、 フヱノ キシエタノール (溶剤) などを 6 0 °C 程度に加熱しながら混合し、 ここにカーボンブラック M A— 1 0 0 (顔料) を加 えて、 ニーダー、 プラネタ リーミキサー、 ロールなどを用いて撹拌する。
ァエロジル分散段階は、 ァエロジルを溶剤などに分散させる段階である。
このァエロジル分散段階では、 まず、 ハイラック # 1 1 1 (樹脂)、 ポリ ビュル ピロ リ ドン K一 9 0 (樹脂)、 ベンジルアルコール (溶剤)、 フユノキシエタノ一 ル (溶剤) などを 6 0 °C程度に加熱しながら混合し、 ここにァエロジル 3 8 0 (構 造粘性付与剤) を加えて、 ニーダー、 プラネタ リ一ミキサー、 ロールなどを用い て撹拌する。
染料溶解段階は、 染料を溶剤などに溶解させる段階である。
この染料溶解段階では、 ニグ口シン E X (染料)、 スピロンバイォレツ 卜 C— R, H (染料)、 スピロ ンイェロー C一 2 G H (染料)、 ベンジルアルコール (溶剤)、 フエノ キシエタノール (溶剤)、 ォレイン酸 (添加剤) などを 6 0口程度に加熱し ながら撹拌して、 これらを溶解させている。
混合段階は、 上記各段階で得られたものを混合させる段階である。
この混合段階では、 顔料分散段階によって得られたものと、 ァエロ ジル分散段 階によつて得られたものと、 染料溶解段階によつて得られたものとを 6 0 °C程度 に加熱しながら約 1時間撹拌して、 これらを溶解及び混合させている。
ろ過段階は、 混合段階で得られたものをろ過する段階である。
このろ過段階によ り、 インク 80の夾雑物を除去する。
(イ ンク 80の粘度)
このインク 80は、 2 5 °Cにおける粘度が、 1 0, 0 0 0 m P a ' s 以上 5 0 , O O O m P a . s以下となるように調製されている。
そして、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度を 1 0 , 0 0 O m P a · s以上 5 0, 0 0 0 m P a . s以下に調製することによ り、 チップ 20の先端からイ ンク 80が 漏れ出さないよ うにしつつも、書き味がなめらかになるよ うにしているのである。 なお、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度が 1 0 , 0 0 0 m P a · s未満では、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出してしまうおそれがあるのである。
—方、 2 5。Cにおけるインク 80の粘度が 5 0 , 0 0 0 m P a · s超では、 書 き味が重く なつてしま うのである。
勿論、インク 80の粘度が上記範囲外であっても、使用することは可能である。 (加圧ガス 90)
前記加圧ガス 90は、 ィンク貯蔵管 30の内部に充填されているィンク 80をチ ップ 20方向へ押し出すためのものであって、 ィンク貯蔵管 30の大径部 31内部 の反中径部 32側に充填されている。
(加圧ガス 90の圧力)
この加圧ガス 90は、 ポールペンリ フィール 10組立て時における圧力が、 絶対 気圧で 0. 1 51^ ? &以上0. 4 MP a以下となるように設定されている。
そして、 ボールペンリ フィ一ル 10組立て時における加圧ガス 90の圧力を、 絶 対気圧で 0 . 1 5 M P a以上 0. 4 M P a以下に設定することによ り、 チップ 20 の先端からイ ンク 80が漏れ出さないよ うにしつつも、 イ ンク 80を最後まで使い 切ることができるよ う にしているのである。
なお、 ボールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力が、 絶対 気圧で 0. 1 5 M P a未満では、 イ ンク 80を最後まで使い切れなく なつてしま うおそれがあるのである。
—方、 ボールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力が、 絶対 気圧で 0. 4 M P a超では、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出してしま う おそれがあるのである。
勿論、 ボールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力が上記範 囲外であっても、 使用することは可能である。
(加圧ガス 90の収納体積)
また、 ボールペンリ フィ一ル 10組立て時における加圧ガス 90の収納体積は、 ポールペンリ フィール 10組立て時におけるインク 80の収納体積の 2倍以上 5倍 以下に設定されている。
すなわち、 ボールペンリ フィール 10組立て時におけるイ ンク 80の収納体積を V A、 ポールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の収納体積を V B と したときに、
VAX2 ≤ V B≤ VAX5 (式 2 )
を満たすよ うに形成されているのである。
そして、ポールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の収納体積を、 ボールペン リ フィール 10組立て時におけるインク 80の収納体積の 2倍以上 5倍
以下に形成するこ とにより、 インク 80の充填量をできるだけ多く しつつも、 力 B 圧ガス 90の圧力をできるだけ低く抑えるようにしているのである。
すなわち、 イ ンク貯蔵管 30の容積は一定であるので、 イ ンク 80の充填量を多 くすれば、 その分加圧ガス 90の充填スペースが小さく なる。 逆に、 インク 80の 充填量を少なくすれば、 その分加圧ガス 90の充填スペースが大きく なる。
ここで、 インク 80の充填量を多く しても、 インク 80を最後まで使い切れるよ うにするためには、 その分加圧ガス 90の圧力を高く しなければならないことに なる。 そうする と、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出してしま うおそれが あるのである。
一方、 加圧ガス 90の圧力を低く抑えつつも、 インク 80を最後まで使い切れる ようにするためには、 その分ィンク 80の充填量を少なく しなければならないこ とになる。
そこで、 インク 80の充填量をできるだけ多く しつつも、 加圧ガス 90の圧力を できるだけ低く抑えるためには、 ポールペンリ フィール 10組立て時における加 圧ガス 90の収納体積を、 ボールペンリ ブィール 10組立て時におけるインク 80 の収納体積の 2倍以上 5倍以下に形成することが好ましいのである。
なお、 ボールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の収納体積が、 ボールペンリ フィール 10組立て時におけるィンク 80の収納体積の 2倍未満では, インク 80を最後まで使い切れるよ うにしょう とする と、 加圧ガス 90の圧力を比 較的高く しなければならないことから、 チップ 20の先端からイ ンク 80が漏れ出 してしま うおそれがあるのである。
一方、 ボールペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の収納体積が、 ボールペンリ フィール 10組立て時におけるイ ンク 80の収納体積の 5倍超では、 加圧ガス 90の圧力を比較的低く抑えても、 インク 80を最後まで使い切れるよ う にすることはできるが、 その分インク 80の充填量が少なくなつてしま うのであ る。
勿論、 ボールペンリ フィール 10組立て時におけるィンク 80 と加圧ガス 90 と の収納体積比が上記範囲外であっても、 使用することは可能である。
(加圧ガス 90の組成)
また、 この加圧ガス 90は、 反^しにく いガスの割合が、 加圧ガス 90全体の 8 5 %以上となるよ うに調製されている。
ここで、 反応しにく いガス と しては、 例えば、 窒素 ( N 2)、 ヘリ ウム ( H e;)、 ネオン (N e;)、 アルゴン (A r )、 ク リプ トン (K r )、 キセノ ン (X e ) などの ガスを用いることができる。
また、 上述したガスは、 それぞれ単独で用いてもよく、 また、 2種以上を適宜 組み合わせて用いてもよい。
ただ、 窒素 (N 2) は、 取り扱いが容易で安全性が高く、 しかもコス トが安いの で、 反応しにくいガスと しては、 特に窒素 (N 2) を用いることが好ましい。
すなわち、反応しにくいガスの主体を窒素(N 2)によつて構成することによ り、 ポールペンリ フィール 10の組立てや取り扱いをよ り一層容易にすることができ るのである。
そして、 反応しにくいガスの割合を加圧ガス 90全体の 8 5 %以上にすること により、 インク 80が変質しにく く なるようにすることができ、 更には、 加圧ガ ス 90の圧力が低下しにく くなるようにすることができるのである。
すなわち、 酸素 (0 2) などのガスは、 インク 80の各成分と反応しやすい。 そ して、 酸素 (0 2) などのガスがインク 80の各成分と反応すると、 インク 80力 S 変質してしま うのである。 また、 酸素 (0 2) などのガスがイ ンク 80の各成分と 反応すると、インク 80が変質してしまうだけでなく 、加圧ガス 90中から酸素( O 2) などのガスが減ってしま う。 このため、 酸素 (0 2) などの反応しやすいガス が減った分だけ、 加圧ガス 90の圧力が低下してしまうのである。
そこで、 インク 80が変質しにく くなるよ うにすると ともに、 加圧ガス 90の圧 力が低下しにく く なるようにするためには、 反応しにくいガスの割合を加圧ガス 90全体の 8 5 %以上にすることが好ましく 、特に反応しにく いガスの割合を加圧 ガス 90全体の 9 0 %以上にすることが好ましいのである。
なお、 反応しにく いガスの割合が加圧ガス 90全体の 8 5 %未満では、 酸素 (O 2) などのガスがインク 80の各成分と反応しやすく なつてしまう ことから、 イン ク 80が変質しやすく なつてしまい、 更には、 加圧ガス 90の圧力が低下しやすく なってしまう のである。 更に、 加圧ガス 90の圧力の低下が大きいと、 場合によ
つては、 インク 80を最後まで使い切ることができなく なってしまうのである。 勿論、 加圧ガス 90中の反応しにくいガスの割合が上記範囲外であっても、 使 用することは可能である。
(フロー ト )
前記フロ一ト 100は、 前述したよ うに、 ィンク貯蔵管 30の大径部 31 に充填し たインク 80が反チップ 20方向へ流れ出さないようにするためのものである。 具体的には、 このフロー ト 100は、 ほぼ円柱状に形成され、 その一方側の底面 には、 側面まで貫通する空気溝 101が設けられ、 他方側の底面には、 刳り貫き部 102が設けられている。
また、 このフロ一 ト 100は、 ポリプロピレン ( P P ) などの合成樹脂を用いて、 射出成形によって一体的に形成されている。
そして、 このフロー ト 100は、 空気溝 101が設けられている底面をインク 80 側へ向ける と ともに、 刳り貫き部 102が設けられている底面を加圧ガス 90側へ 向けるよう にして、 ィンク貯蔵管 30の大径部 31の内部に設けられている。
また、 前記空気溝 101は、 フロー ト 100が内向き段部 34に当接した際に、 中 径部 32の大径部 31側の開口部を塞がないよ うにするためのものである。
すなわち、 このフロー ト 100は、 インク 80の減少に伴つて、 大径部 31の内部 を中径部 32方向へ移動し、 内向き段部 34に当接すると、 その中径部 32方向へ の移動を停止する。 このとき、 フロー ト 100のインク 80側の底面が、 中径部 32 の大径部 31側の開口部を塞いでしまうおそれがある。 そこで、 中径部 32の大径 部 31側の開口部を塞がないよ うにするために、 フロー ト 100のインク 80側の底 面に、 フロー ト 100の側面まで貫通する空気溝 101を設けているのである。
また、 前記刳り貫き部 102は、 フロー ト 100がインク 80中に沈まないように するためのものである。
すなわち、 このフロー ト 100は、 ポリプロ ピレン ( P P ) などの合成樹脂を用 いて形成されているため、 インク 80中に沈んでしま うおそれがある。 そこで、 フロー ト 100の加圧ガス 90側の底面に刳り貫き部 102を設けることによ り、 見 かけの比重を小さく して、 フロー ト 100がインク 80中に沈まないよ うにしてい るのである。
更に、 このフロー ト 100は、 フロー ト 100の外径を t C、 ィンク貝宁蔵管 30の 大径部 31の內径を φϋと したときに、
0. 0 0 0 5≤ (cpD— (pC) φθ≤ 0. 0 4 3 (式 3 )
を満たすように形成されている。
そして、 上記式 3を満たすよ うにフロー ト 100を形成することによ り、 フロー ト 100 とインク貯蔵管 30 との間に所定の間隙を設け、 これによ り、 インク 80の 減少に伴う フロー ト 100の移動が円滑に行われるよ うにすると ともに、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ出さ ないようにしているのである。
なお、 0. 0 0 0 5 > (cpD -φθ /φθとなるようにフロー ト 100を形成す ると、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙が狭すぎて、 インク 80の減 少に伴う フロー ト 100の移動が円滑に行われなく なってしま うおそれがあるので ある。
—方、 (cpD—(PC) (pC > 0. 0 4 3 となるよ う にフロー ト 100を形成すると、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙が広すぎて、 フロー ト 100 とイン ク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ出してしま うお それがあるのである。
勿論、 フロー ト 100の外径 cpCと、 インク貯蔵管 30の大径部 31の内径 cpDと の関係が上記範囲外であっても、 使用することは可能である。
また、 フロー ト 100は、 ィンク 80 と反応して変形したり、 クラック (破損) したり、あるいは膨潤したり しない材料を用いて形成されればよく、したがって、 ポリプロピレン (P P) などの合成樹脂を用いて形成される場合に限られるもの ではない。
また、 フロー ト 100は、 インク 80中に沈まないよ うに形成されればよく、 し たがって、 加圧ガス 90側の底面に刳り貫き部 102を有するよ うに形成される場 合に限られるものではない。
具体的には、 例えば、 インク 80よ り も比重が小さい材料を用いてフロー ト 100 を形成することによ り、 フロー ト 100がインク 80中に沈まないよう にしてもよ い 0
また、 例えば、 インク 80よ り も比重が大きい材料を用いてフロー ト 100を形 成しても、 内部に気泡などを設けることにより、 見かけの比重を小さ く して、 フ ロー ト 100がインク 80中に沈まないようにすることができる。
(尾栓 40)
前記尾栓 40は、 イ ンク貯蔵管 30の内部に充填された加圧ガス 90が外部に漏 れ出さないよ うにするためのものである。
この尾栓 40は、 金属製の留め具 41 と、 この留め具 41の一方側に設けたゴム 製のシール部材 42 とを備え、 このシール部材 42をチップ 20側へ向けるよ うに して、 ィンク貯蔵管 30の反チップ 20側の端部近辺に圧入されている。
そして、 この尾拴 40は、 ゴム製のシール部材 42によ り、 気密性の向上を図る と ともに、 金属製の留め具 41 により、 耐圧性の向上を図っているのである。 実施例
以下、 実施例及び比較例によ り、 本発明を更に詳しく説明する。
(ボールペンリ フィール 10の評価 1 )
下記の表 1 に、 実施例 1 一 1から実施例 1 一 2 4まで及び比較例 1 一 1から比 較例 1 一 3 1 までの各ポールペンリ フィ一ノレ 10の構成と、 これらのポ一ノレペン リ フィール 10の 「初筆性」、 「筆記距離」 及ぴ 「ボール 50の飛び出し」 について の評価をそれぞれ示す。
ここで、 実施例 1 一 1から実施例 1 一 2 4まで及び比較例 1 一 1から比較例 1 - 3 1 までに示す各ポールペンリ フィール 10は、 「ポール 50の表面粗さ(R a ) J 及び 「ポール 50の直径に対するボールハウス 61の側面部 70の内径の割合 (φ Β / φ Α ) j が、 それぞれ異なるように形成したものである。
また、 実施例 1 — 1から実施例 1 一 2 4まで及び比較例 1 一 1から比較例 1 一 3 1 までに示す各ボールペンリ フィール 10は、ポール 50の材質を超硬合金と し、 ホルダー 60の材質をステンレスと し、 ボール 50の直径を 0 . 7 m mと し、 下記 の組成のインク 80を用い、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度を 3 0 , 0 0 0 m P a · s と し、 ボールペンリフィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力を絶 対気圧で 0 . 3 M P a と した。
また、 イ ンク 80の組成は、
ベンジルアルコール (溶剤) : 3 7. 4重量0 /0
フエノ キシエタ ノール (溶剤) : 1. 5重量%
ォレイ ン酸 (添加剤) : 8. 0重量%
ニグ口シン E X (着色剤) : 2 2. 5重量%
スピロンバイオレツ ト C— RH (着色剤) : 9. 0重量0 /0
ス ピロンィエロ一 C— 2 GH (着色剤) : 6. 0重量%
カーボンブラック MA— 1 0 0 (着色剤 · 構造粘性付与剤) : 8. 0重量% ハイラック # 1 1 1 (樹脂) : 5. 4重量%
ポリ ビュルピロ リ ドン K— 9 0 (樹脂) : 0. 8重量0 /0
ァエロジル 3 8 0 (構造粘性付与剤) : 1 . 4重量%
と した。
また、 「初筆性」 の試験は、
まず、 手書きにて筆記可能であることを確認し、
手書きが終了してから 1時間経過後又は 1 日経過後に、
I S O規格 1 4 1 4 5— 1 に準拠した自動筆記試験機を用い、
筆記速度 : 4. 5 m/m i n
筆記角度 : 9 0 °
筆記負荷 : 1. 9 6 N
の条件で行った。
また、 「初筆性」 の評価は、
5本のポールペンリ フィール 10について行った上記試験の結果の平均値を採り、 (ィ) 筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるまでの距離が 2 mm以内で あった → 評価 「A」
(口) 筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるまでの距離が 5 mm以内で あった → 評価 「: BJ
(ハ) 筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるまでの距離が 1 0 mm以内 であった → 評価 「CJ
(二) 筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるまでの距離が 1 0 mm以上
であった → 評価 「DJ
と した。
また、 「筆記距離」 の試験は、
まず、 手書きにて筆記可能であることを確認し、 その後に、
I S O規格 1 4 1 4 5— 1 に準拠した自動筆記試験機を用い、
筆記速度 : 4. 5 m/m i n
筆記角度 : 6 0 °
筆記負荷 : 1 . 9 6 N
の条件で筆記不能になるまで行った。
また、 「筆記距離」 の評価は、
1 0本のポールペンリ ブィール 10について行った上記試験の結果の平均値を採 り、
(ィ) インク 80が完全になくなるまで筆記可能であった → 評価 「A」 (口)充填量の 1 4未満のインク 80を残して筆記不能となった → 評価「: B J (ハ)充填量の 1ノ 4以上のイ ンク 80を残して筆記不能となった → 評価「 CJ と した。
また、 「ボール 50の飛び出し」 の試験は、
ポールペンリ フィーノレ 10を、
気温 : 1 5 0 °C
湿度 : 3 0 %
に設定した恒温槽內に 1 0 0時間投入することによって行った。
また、 「ボール 50の飛び出し」 の評価は、
1 0 0本のポールペンリ フィール 10について上記試験を行い、
(ィ) ポールハウス 61からボール 50が飛び出してしまったものが 1本もなかつ た → 評価 「oJ
(口) ボールハウス 61からボール 50が飛び出してしまったものが 1本以上あつ た → 評価 「XJ
と した。
表 1
Ra( U m) Β/ΦΑ 初筆性 (1h) 初筆性 (1d) 筆記距離 飛び出し 比較例 1 - 1 0.0060 0.997 D D A 〇 比較例 1-2 0.0060 1.003 D C A O 比較例 1 - 3 0.0060 1.011 C C A O 比較例 1-4 0.0060 1.014 C C A 0 比較例 1-5 0.0060 1.017 C C A O 比較例 1-6 0.0060 1.029 C B A 〇 比較例 1-7 0.0060 1.043 B B A 〇 比較例 1-8 0.0060 1.057 B B A O 比較例 1 - 9 0.0060 1.071 B B A O 比較例 1-10 0.0060 1.110 B B A 〇 比較例 1 - 11 0.0060 1.129 B B A X 比較例 1—12 0.0194 0.997 D C A O 比較例 1-13 0.0194 1.003 B C A O 実施例 1-1 0.0194 1.011 A A A 〇 実施例 1-2 0.0194 1.014 A A A O 実施例 1-3 0.0194 1.017 A A A 〇 実施例 1 - 4 0.0194 1.029 A A A 〇 実施例 1-5 0.0194 1.043 A A A o 実施例 1 - 6 0.0194 1.057 A A A o 実施例 1 - 7 0.0194 1.071 A A A o 実施例 1-8 0.0194 1.110 A A A o 比較例 1-14 0.0194 1.129 A A A X 比較例 1-15 0.0360 0.997 C C A 〇 比較例 1-16 0.0360 1.003 B B A 〇 実施例 1 - 9 0.0360 1.011 A A A 〇 実施例 1-10 0.0360 Ϊ.014 A A A o 実施例 1-11 0.0360 1.017 A A A 〇 実施例 1-12 0.0360 1.029 A A A 〇 実施例 1-13 0.0360 1.043 A A A o 実施例 1-14 0.0360 1.057 A A A 〇 実施例 1 - 15 0.0360 1.071 A A A 〇 実施例 1 - 16 0.0360 1.110 A A A o 比較例 1-17 0.0360 1.129 A A A X 比較例 1 - 18 0.0716 0.997 B A A 〇 比較例 1 - 19 0.0716 1.003 B A A 〇 実施例 1-17 0.0716 1.011 A A A 〇 実施例 1 - 18 0.0716 1.014 A A A 〇 実施例 1-19 0.0716 1.017 A A A 〇 実施例 1-20 0.0716 1.029 A A A 〇 実施例 1 - 21 0.0716 1.043 A A A o 実施例 1-22 0.0716 1.057 A A A o 実施例 1-23 0.0716 1.071 A A A o 実施例 1-24 0.0716 1.110 A A A 〇 比較例 1 - 20 0.0716 1.129 A A A X 比較例 1-21 0.0923 0.997 B A B 〇 比較例 1-22 0.0923 1.003 A A B 〇 比較例 1-23 0.0923 1.011 A A C 〇 比較例 1 - 24 0.0923 1.014 A A C 〇 比較例 1 - 25 0.0923 1.017 A A C o 比較例 1 - 26 0.0923 1.029 A A C o 比較例 1 - 27 0.0923 1.043 A A C 〇 比較例 1 - 28 0.0923 1.057 A A C 〇 比較例 1-29 0.0923 1.071 A A C 〇 比較例 1-30 0.0923 1.110 A A C o 比較例 1-31 0.0923 1.129 A A C X
なお、 表 1 中、 「R a」 は 「ボール 50の表面粗さ R a (単位 : μπι )」 を、 Γ φ Β ノ cp A jは「ポール 50の直径に対するボールハウス 61の側面部 70の內怪の割合 J を、 「初筆性 ( l h )」 は 「手書きが終了してから 1時間経過後の初筆性の評価」 を、 「初筆性 ( 1 d )」 は「手書きが終了してから 1 日経過後の初筆性の評価」 を、 「筆記距離」 は 「筆記距離の評価」 を、 「飛び出し」 は 「ポール 50の飛び出しの 評価」 を、 それぞれ示す。
このよ う に、 実施例 1— 1から実施例 1 一 2 ..4までの各ポールペンリ フィール 10は、 「初筆性」 に優れ、 また、 「筆記距離」 も十分長く 、 しかも、 ポールハウス 61からポール 50が飛び出してしまう こともなかった。
すなわち、 実施例 1 一 1 から実施例 1 一 2 4までに示すよ うにボールペンリ フ ィ一ル 10を形成すれば、 「初筆性」 に優れ、 また、 「筆記距離」 も十分長く、 し かも、ボールハウス 61からボ一ル 50が飛び出しにくいボールペンリ フィール 10 とすることができるのである。
一方、比較例 1 — 1から比較例 1 一 3 1までの各ボールペンリ フィール 10は、 「初筆性」 に劣るか、 「筆記距離」 が短いか、 又はポールハウス 61からポール 50 が飛び出しやすいかのいずれか 1以上の欠点を有していた。
すなわち、 比較例 1 — 1から比較例 1 _ 3 1までに示すよ うにボールペンリ フ ィール 10を形成すると、 「初筆性」 に劣るか、 「筆記距離」 が短いか、 又はポー ルハウス 61からボール 50が飛び出しやすいかのいずれか 1以上の欠点を有する ボーノレペンリ フィール 10 となってしまうのである。
更に、 「ポール 50の表面粗さ R a」の限界数値についての実験を行ったところ、 少なく とも、 ポール 50の表面粗さ R a を 0 . Ο Ι Ο μπι以上 0 . 0 8 0 μηι以下 にすれば、 筆記面上でボール 50が滑り にく く、 かつ、 ボール受け座 72が磨耗し にく くなり、 これによ り、 「かすれ」 を起こ しにく くなり、 また、 「初筆性 J に優 れ、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長くなることが確認された。
また、 「ボール 50の表面粗さ R a j を 0 . Ο Ι Ο μηι未満にすると、 筆記面上 でボール 50が滑りやすくなつてしま う ことから、 「かすれ」を起こしやすくなり、 また、 「初筆性」 に劣ってしまう ことが確認された。
また、 「ボ一ル 50の表面粗さ R a」 を 0 . 0 8 0 μιη超にすると、 ポール受け
座 72が磨耗しゃすく なつてしま う ことから、 「筆記距離」 が短く なってしまう こ とが確認された。
また、 「ボール 50の直径に対するポールハウス 61の側面部 70の内径の割合(φ Β / φΑ )」 の限界数値についての実験を行った'ところ、 少なく とも、 ボールハウ ス 61の側面部 70の内径をボール 50の直径の 1 0 1 %以上 1 1 1 %以下に形成 すれば、 すなわち、 1 . 0 1 ^ φ Β Α≤ 1 . 1 1 (式 1 ) を満たすよ う に形成 すれば、 ボール 50 と側面部 70 との間に十分なィンク 80通路を確保することが でき、 これによ り、 「かすれ」 を起こしにく く なり、 また、 「初筆性」 に優れ、 し かも、 ボールハウス 61からポール 50が飛び出しにく く なるこ とが確認された。 また、 ポールハウス 61の側面部 70の内径をポール 50の直径の 1 0 1 %未満 に形成すると、 すなわち、 1 . 0 1 〉φ Β /φΑに形成すると、 ボール 50 と側面 部 70 との間に十分なインク 80通路を確保することができなく なってしま う こと から、 「かすれ J を起こしやすくなり、 また、 「初筆性」 に劣ってしま う ことが確 認された。
また、 ポールハウス 61の側面部 70の内径を、 ボール 50の直径の 1 1 1 %超 に形成すると、 すなわち、 φ Β / φΑ > 1 . 1 1 に形成すると、 ボール 50がポ一 ルハウス 61から飛び出しやすくなってしまう ことが確認された。
なお、 この試験は、 イ ンク 80の組成、 インク 80の粘度、 及び加圧ガス 90の 圧力などを変えて行ったが、 前述した結果と同様の傾向が見られた。
(ボールペンリ ブィール 10の評価 2 )
下記の表 2に、 実施例 2— 1から実施例 2— 3まで及び比較例 2— 1から比較 例 2 _ 3までの各ポールペンリ フィール 10の構成と、 これらのポーノレペンリ フ ィール 10の 「インク 80の漏れ出し」 及び 「書き味」 についての評価をそれぞれ 示す。
ここで、 実施例 2— 1から実施例 2— 3まで及び比較例 2— 1から比較例 2— 3までに示す各ボールペンリ フィール 10は、 「インク 80の組成」 及ぴ 「インク 80の粘度」 力 S、 それぞれ異なるように形成したものである。
また、 実施例 2— 1から実施例 2— 3まで及び比較例 2— 1から比較例 2— 3 までに示す各ボ一ルペンリ フィール 10は、 ボール 50の材質を超硬合金と し、 ホ
ノレダー 60 の材質をステンレスと し、 ポーノレ 50 の直径を 0 . 7 m mと し、 ボール 50 の表面粗さ R aを 0 . 0 3 6 μπαと し、 ポ一ノレ 50 の直径に対するポ一ノレノヽゥ ス 61の側面部 70の内径の割合 (φ Β / φ Α ) 1 . 0 1 4 と し、 ボ一ルぺンリ フ ィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力を絶対気圧で 0 . 3 M P a と した。 また、 インク 80の粘度測定は、
E型粘度計にてレギュラーコーンを用い、
回転数 : 1 . 0 2 . 5回転 分
¾. &. : 2
の条件で行った。
また、 「インク 80の漏れ出し」 の試験は、
ィンク貯蔵管 30に充填する加圧ガス 90の圧力を 0 . 3 M P a まで上げたときに、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出すか否かを観察するこ とによ り行った。 また、 「インク 80の漏れ出し J の評価は、
(ィ) チップ 20の先端からのインク 80の漏れ出しがなかった → 評価 「〇J (口) チップ 20 の先端から漏れ出して、 チップ 20の先端にインク 80の滴がで き、 そのインク 80の滴の直径が 1 m m未満であった → 評価 「△」
(ハ) チップ 20の先端から漏れ出して、 チップ 20の先端にインク 80の滴がで き、 そのインク 80の滴の直径が 1 m m以上であった → 評価 「X」
と した。
また、 「書き味」 の試験は、
手書きにて筆記することにより行った。
また、 「書き味」 の評価は、
(ィ) 書き味がなめらかであった → 評価 「〇J
(口) 書き味がやや重かった → 評価 「△」
(ハ) 書き味が重かった → 評価 「X」
と した。
表 2
比較例 2 - 1 実施例 2-1 実施例 2-2 実施例 2-3 比較例 2-2 比較例 2-3
BA 40.4 39.4 37.4 35.4 32.4 35.3
PG 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 ォレイン酸 8.0 8.0 8.0 8.0 8.0 8.0
EX 22.5 22.5 22.5 22.5 22.5 30.0
C-RH 9.0 9.0 9.0 9.0 9.0 9.0
C-2GH 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0 6.0
MA - 100 8.0 8.0 8.0 8.0 8.0 0.0
#1 1 1 2.4 3.4 5.4 7.4 10.4 9.4
PVP 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 ァエロシ'ル 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 0.0
口 αΤ 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 粘度 9,000 12,000 30,000 50,000 120,000 30,000 漏れ出し Δ 〇 〇 〇 〇 X
書き味 〇 Ο 〇 〇 X 〇
なお、 表 2 中、 「Β Α」 は 「ベンジルアルコール (溶剤)」 を、 「P G」 は 「フエ ノキシエタノール (溶剤)」 を、 「ォレイ ン酸」 は 「ォレイ ン酸 (添加剤)」 を、 Γ Ε X」 は 「ニグ口シン E X (着色剤)」 を、 「C— R H」 は 「スピロンバイォレッ ト C一 R H (着色剤)」 を、 「C— 2 G H」 は 「ス ピロンイエロ一 C一 2 G H (着色 剤)」 を、 「M A— 1 0 0」 は 「カーボンブラック M A— 1 0 0 (着色剤 ·構造粘 性付与剤)」 を、 「# 1 1 1」 は 「ハイラック # 1 1 1 (榭脂)」 を、 「P V P」 は 「ポリ ビュルピロ リ ドン K— 9 0 (樹脂)」 を、 「ァエロジル」 は 「ァエロジル 3 8 0 (構造粘性付与剤)」 を、 「粘度」 は 「 2 5 °Cにおける粘度 (単位 : m P a · s )」 を、 「漏れ出し」 は 「インク 80の漏れ出しの評価」 を、 「書き味」 は 「書き 味の評価」 を、 それぞれ示す。
このよう に、実施例 2— 1 から実施例 2— 3までの各ボーノレペンリ フィール 10 は、 「インク 80の漏れ出し」 がなく、 しかも、 「書き味」 がなめらかであった。 すなわち、 実施例 2— 1から実施例 2— 3までに示すよ うにボ一ルペンリ フィ ール 10を形成すれば、 「インク 80の漏れ出し」 がなく、 しかも、 「書き味」 がな めらかなボ一ルペンリ フィール 10 とすることができるのである。
—方、 比較例 2— 1 から比較例 2 _ 3までの各ボールペンリ フィール 10は、 「インク 80の漏れ出し」 があるか、 又は 「書き味」 がなめらかではないかのい ずれか 1以上の欠点を有していた。
すなわち、 比較例 2— 1から比較例 2— 3までに示すよ うにポールペンリ フィ
—ル 10を形成'すると、 「インク 80の漏れ出し」 がある力 又は 「書き味」 がな めらかではないかのいずれか 1以上の欠点を有するボールペンリ フィール 10 と
なってしま うのである。
更に、 インク 80の粘度の限界数値についての実験を行ったところ、 少なく と も、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度を 1 0 , O O O mP a . s以上 5 0 , 0 0 0 m P a · s以下にすれば、 「イ ンク 80の漏れ出し」 がなく、 しかも、 「書き味」 がなめらかになることが確認された。
また、 2 5 °Cにおけるイ ンク 80の粘度を 1 0 , O O O m P a . s未満にする と、 チップ 20の先端からィンク 80が漏れ出してしまう ことが確認された。
また、 2 5 °Cにおけるイ ンク 80の粘度を 5 0 , O O O m P a ' s超にする と、 「書き味」 が重く なつてしま う ことが確認された。
また、 2 5 °Cにおけるイ ンク 80の粘度を 1 0, O O O mP a ' s以上 5 0, 0 0 0以下にしても、 インク 80に構造粘性付与剤を添加しないと、 チップ 20の 先端からィンク 80が漏れ出してしまう ことが確認された。
(ボールべンリ フィール 10の評価 3 )
下記の表 3に、 実施例 3— 1、 実施例 3— 2、 比較例 3— 1 、 及び比較例 3— 2の各ポーゾレペンリ フィール 10の構成と、 これらのボーノレペンリ フィ一ノレ 10の 「インク 80の漏れ出し」 及ぴ 「筆記距離」 についての評価をそれぞれ示す。 ここで、 実施例 3— 1、 実施例 3— 2、 比較例 3— 1、 及び比較例 3— 2に示 す各ボールペンリ フィール 10は、 「加圧ガス 90の圧力」 力 S、 それぞれ異なるよ うに形成したものである。
また、 実施例 3— 1、 実施例 3— 2、 比較例 3— 1、 及び比較例 3— 2に示す 各ポーノレペンリ ブィール 10は、 ボール 50の材質を超硬合金と し、 ホルダ一 60 の材質をステンレスとし、 ボール 50の直径を 0. 7 mmと し、 ポール 50の表面 粗さ R a を 0. 0 3 6 μπιと し、 ポール 50の直径に対するポールハウス 61の側 面部 70の内径の割合 (φΒ "φΑ) を 1 . 0 1 4 と し、 ポールペンリ フィール 10 の評価 1で示したイ ンク 80を用い、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度を 3 0 , 0 0 0 m P a · s と した。
また、 「インク 80の漏れ出し」 の試験は、
直径 5〜6 c mの円を 5周筆記した後に、 2 5 tの環境下に 1分間放置し、 チップ 20の先端からインク 80が漏れ出すか否かを観察することによ り行った。
また、 「インク 80の漏れ出し」 の評価は、
(ィ) チップ 20の先端からのインク 80の漏れ出しがなかった → 評価 「〇」 (口) チップ 20の先端から漏れ出して、 チップ 20の先端にイ ンク 80の滴がで き、 そのインク 80の滴の直径が 1 m m未満であった → 評価 「△」
(ハ) チップ 20の先端から漏れ出して、 チップ 20の先端にイ ンク 80の滴がで き、 そのインク 80の滴の直径が 1 m m以上であった → 評価 「xj
と した。 . また、 「筆記距離」 の試験は、
まず、 手書きにて筆記可能であることを確認し、 その後に、
I S O規格 1 4 1 4 5— 1 に準拠した自動筆記試験機を用い、
筆記速度 : 4 . 5 m / m 1 n
筆記角度 : 6 0 °
筆記負荷 : 1 . 9 6 N
の条件で筆記不能になるまで行った。
また、 「筆記距離」 の評価は、
1 0本のポールペンリ フィール 10について行った上記試験の結果の平均値を採 り、
(ィ) 筆記不能になるまでの距離が 6 0 0 m以上であった → 評価 「〇J (口) 筆記不能になるまでの距離が 4 0 0 m以上 6 0 0 m未満であった → 評 価 「△」
(ハ) 筆記不能になるまでの距離が 4 0 0 m未満であった → 評価 「xj
表 3
このよう に、実施例 3— 1及び実施例 3— 2の各ボールペンリ フィール 10は、 「イ ンク 80の漏れ出し」 がなく、 しかも、 「筆記距離」 が十分に長かった。
すなわち、 実施例 3 _ 1及び実施例 3— 2に示すようにボールペンリ フィール 10を形成すれば、 「インク 80の漏れ出し J がなく、 しかも、 「筆記距離」 が十分
に長いボールペンリ ブイール 10 とすることができるのである。
—方、 比較例 3— 1及ぴ比較例 3— 2の各ポールべンリ フィール 10は、 「イン ク 80の漏れ出し」 があるか、 又は 「筆記距離」 が短く なつてしまうかのいずれ か 1以上の欠点を有していた。
すなわち、 比較例 3— 1及び比較例 3— 2に示すようにボールペンリ フィール
10を形成する と、 「イ ンク 80の漏れ出し」 があるカ 又は 「筆記距離」 が短く な つてしまうかのいずれか 1以上の欠点を有するポールペンリ フィ一ル 10 となつ てしま うのである。
更に、 「加圧ガス 90の圧力」 の限界数値についての実験を行ったところ、 少な く とも、 加圧ガス 90の圧力を絶対圧力で 0. 1 5 MP a以上 0. 4 0MP a以 下にすれば、 「インク 80の漏れ出し」 がなく、 しかも、 「筆記距離」 が十分に長 くなることが確認された。
また、 加圧ガス 90の圧力を絶対圧力で 0. 1 5 MP a未満にすると、 インク 80を最後まで使い切れなく なってしまい、 「筆記距離」 が短く なつてしまう こと が確認された。
また、 加圧ガス 90の圧力を絶対圧力で 0. 4 0 MP a超にすると、 チップ 20 の先端からィンク 80が漏れ出してしまう ことが確認された。
(ポールペンリ ブイ一ル 10の評価 4 )
下記の表 4に、 実施例 4一 1、 実施例 4一 2、 比較例 4一 1 、 及び比較例 4一 2の各ポールペンリ フィーノレ 10の構成と、 これらのボールペンリ フィーノレ 10の 「筆記距離」 についての評価をそれぞれ示す。
ここで、 実施例 4— 1、 実施例 4一 2、 比較例 4— 1、 及び比較例 4一 2に示 す各ボールペンリ フィール 10は、 「加圧ガス 90中の反応しにくいガスの割合」 が、 それぞれ異なるように形成したものである。
また、 実施例 4— 1、 実施例 4— 2、 比較例 4— 1、 及び比較例 4一 2に示す 各ポールペンリ フィール 10は、 反応しにくいガスと して窒素 (N2) を用いた。 また、 実施例 4一 1、 実施例 4一 2、 比較例 4— 1、 及び比較例 4一 2に示す 各ポールペンリ フィール 10は、 ボール 50の材質を超硬合金と し、 ホルダ一 60 の材質をステンレスと し、 ボール 50の直径を 0. 7 mmと し、 ボール 50の表面
粗さ R a を 0. 0 3 6μπιと し、 ポール 50の直径に対するボールハウス 61の側 面部 70の内径の割合 (φΒΖφΑ) を 1 . 0 1 4 と し、 ボールペンリ ブィール 10 の評価 1で示したインク 80を用い、 2 5口におけるインク 80の粘度を 3 0 , 0
0 0 m P a · s と し、 ボールペンリフィ一ル 10組立て時における加圧ガス 90の 圧力を絶対気圧で 0. 3 MP a と した。
また、 「筆記距離」 の試験は、
組立て後 1年間、 5 0 °Cの環境下に保管し、 その後に、
1 S◦規格 1 4 1 4 5— 1 に準拠した自動筆記試験機を用い、
筆記速度 : 4. 5 m/m i n
筆記角度 : 6 0 °
筆記負荷 : 1 . 9 6 N
の条件で筆記不能になるまで行った。
また、 「筆記距離」 の評価は、
1 0本のボールペンリ フィール 10について行った上記試験の結果の平均値を採 り、
(ィ) 筆記不能になるまでの距離が 6 0 0 m以上であった → ' 評価 「〇J
(口) 筆記不能になるまでの距離が 4 0 0 m以上 6 0 0 m未満であった → 評 価 「△」
(ハ) 筆記不能になるまでの距離が 4 0 0 m未満であった → 評価 「xj
このよ う に、実施例 4— 1及び実施例 4— 2の各ボ一ルぺンリ フィール 10は、 「筆記距離」 が十分に長かった。
すなわち、 実施例 4 - 1及び実施例 4ー 2に示すようにボールペンリ ブイール 10を形成すれば、 加圧ガス 90中の酸素 (〇2) などのガスがインク 80の各成分 と反応することによる加圧ガス 90の圧力低下を抑えることができ、これにより、 「筆記距離」 が十分に長いポールペンリ ブイール 10 とすることができるのであ
る。
一方、 比較例 4 — 1及び比較例 4— 2の各ボールぺンリ ブイール 10は、 「筆記 距離」 が短くなってしまった。
すなわち、 比較例 4— 1及び比較例 4 — 2に示すよ うにボールペンリ フィ一ル 10を形成すると、 加圧ガス 90中の酸素 (0 2) などのガスがインク 80の各成分 と反応することによ り、 加圧ガス 90の圧力が低下してしまい、 これによ り、 「筆 記距離」 が短いポールペンリ フィール 10 となってしまうのである。
また、 窒素 (N 2) 以外の反応しにくいガスについても、 上述した実験と同様の 実験を行ったところ、 上述した評価と同様の評価が得られた。
更に、 「加圧ガス 90中の反応しにくいガスの割合」 の限界数値についての実験 を行ったと ころ、少なく とも、加圧ガス 90中の反応しにく いガスの割合を 8 5 % 以上にすれば、 加庄ガス 90中の酸素 (0 2) などのガスがインク 80の各成分と 反応することによる加圧ガス 90の圧力低下を十分に抑えることができ、 これに よ り、 「筆記距離 J が十分に長く なることが確認された。
また、 加圧ガス 90中の反応しにくいガスの割合を 8 5 %未満にすると、 加圧 ガス 90中の酸素 (0 2 ) などのガスがインク 80の各成分と反応することによ り、 加圧ガス 90の圧力が低下してしまい、 これによ り、 「筆記距離」 が短く なつてし まう ことが確認された。
(ポールペンリ フィール 10の評価 5 )
下記の表 5に、 実施例 5— 1、 実施例 5— 2、 比較例 5— 1 、 及ぴ比較例 5—
2の各ポーノレペンリ フィール 10の構成と、 これらのボールペンリ フィール 10の 「イ ンク 80の流れ出し」 についての評価をそれぞれ示す。
ここで、 実施例 5— 1、 実施例 5— 2、 比較例 5— 1 、 及ぴ比較例 5— 2に示 す各ポ一ルペンリ フィール 10は、 「フロー ト 100の外径を cp C、ィンク貯蔵管 30 の大径部 31 の内径を(p Dと したときにおける、 (tp D— (p C ) Z tp Cの値 J 力^ そ れぞれ異なるよ う に形成したものである。
また、 実施例 5 — 1、 実施例 5— 2、 比較例 5— 1、 及ぴ比較例 5— 2に示す 各ポールペンリブィール 10は、 ボール 50の材質を超硬合金と し、 ホルダー 60 の材質をステンレスと し、 ボール 50の直径を 0 . 7 m mと し、 ボール 50の表面
粗さ R a を 0. 0 3 6 pmと し、 ポール 50の直径に対するボールハウス 61の側 面部 70の内径の割合 (φΒΖφΑ) を 1. 0 1 4 と し、 フロー ト 100の材質をポ リプロピレン (Ρ Ρ) と し、 ボールペンリ フィール 10の評価 1で示したインク 80を用い、 2 5 °Cにおけるインク 80の粘度を 3 0 , O O O mP a ' s と し、 ポ 一ルペンリ フィール 10組立て時における加圧ガス 90の圧力を絶対気圧で 0. 3 M P a と した。
また、 「インク 80の流れ出し」 の試験は、
I S O規格 1 4 1 4 5— 1 に準拠した自動筆記試験機を用い、
筆記速度 : 4. 5 m/m i n
筆記角度 : 6 0 °
筆記負荷 : 1 . 9 6 N
の条件で 2 0 O m筆記した後、
チップ 20を上向きにした状態で、 2 5 °Cの環境下に 3 日間保管し、 その後、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ 流れ出しているか否かを観察した。
また、 「インク 80の流れ出し」 の評価は、
1 0本のボーノレペンリ フィール 10について上記試験を行い、
(ィ) フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ出しているものが 1本もなかった → 評価 「〇J
(口) フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ出しているものが 1本以上あった → 評価 「xj
と した。
このよ う に、実施例 5— 1及び実施例 5— 2の各ボールペンリ フィ一ル 10は. フロー ト 100 とインク貯蔵管 30 との間の間隙からインク 80が加圧ガス 90側ハ 流れ出すことがなかった。
すなわち、 実施例 5 - 1及び実施例 5 — 2に示すようにボールペンリ ブィール 10を形成すれば、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80 が加圧ガス 90側へ流れ出さないポールペンリ フィール 10 とすることができるの である。
一方、 比較例 5 — 1及び比較例 5— 2の各ポールペンリ ブィ一ル 10は、 フロ ー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ 出しやすいという欠点を有していた。
すなわち、 比較例 5 — 1及び比較例 5 — 2に示すようにポールペンリ フィール 10を形成する と、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80 が加圧ガス 90側へ流れ出しゃすいポールペンリ フィ一ル 10となってしま うので ある。
更に、 「 (cpD— cpC ) /cpCの値」 の限界数値についての実験を行ったと ころ、 少なく とも、 0. 0 0 0 5 ≤ (φΌ -φθ) /φθ≤ 0. 0 4 3 (式 3 ) となるよ うに形成すれば、 フロー ト 100 とィンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が 加圧ガス 90側へ流れ出しにく く なることが確認された。
また、 0. 0 0 0 5 > (φϋ -ψθ /cpC となるよ うに形成すると、 フロー ト 100 とイ ンク貯蔵管 30 との間の間隙が狭すぎて、 インク 80の減少に伴う フロー ト 100の移動が円滑に行われなく なつてしまう ことが確認された。
一方、 ((pD— cpC) Z(pC > 0. 0 4 3 となるよ うに形成する と、 フロー ト 100 とィ ンク貯蔵管 30 との間の間隙からィンク 80が加圧ガス 90側へ流れ出しやす く なつてしま う ことが確認された。
なお、 本発明は、 上記実施例に限定されるものではない。 産業上の利用可能性
以上説明したよう に、 本件出願の発明によれば、 チップの先端からイ ンクが漏 れ出しにく く、また、ボールがボールハウスから飛び出しにく く、また、 「かすれ」 を起こ しにく く 、 更に、 「初筆性」 に優れ、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長いボ 一ルペンリ ブイ一ルを提供することができるのである。
また、 本件出願の発明によれば、 チップの先端からインクがより一層漏れ出し
にく く 、 しかも、 「書き味」 がなめらかなポールペンリ フィールを提供することが できるのである。
また、 本件出願の発明によれば、 チップの先端からインクがより漏れ出しにく く、 また、 ポールがボールハウスからより飛び出しにく く 、 また、 「かすれ」 もよ り起こしにく く、 更に、 「初筆性」 によ り優れ、 しかも、 イ ンクを最後まで使い切 れるポールペンリ フィールを提供することができるのである。
また、 本件出願の発明によれば、 チップの先端からインクがよ り漏れ出しにく く、 また、 「かすれ」 もより起こしにく く、 更に、 「初筆性」 によ り優れ、 しかも、 「筆記距離」 も十分に長いボールペンリ フィ一ルを提供するこ とができるのであ る。
また、 本件出願の発明によれば、 インクに構造粘性を付与することができるの で、 チップの先端からインクがよ り一層漏れ出しにく く 、 しかも、 「書き味」 がな めらかなポールペンリ フィ一ルを提供することができるのである。
また、 本件出願の発明によれば、 加圧ガスの圧力低下を防止することができる ので、 「かすれ」 をより起こしにく く 、 更に、 「初筆性」 によ り優れ、 しかも、 「筆 記距離」 も十分に長いボールペンリ フィールを提供することができるのである。 また、 本件出願の発明によれば、 取り扱いが容易なボールペンリフィ一ルを提 供することができるのである。
更に、 本件出願の発明によれば、 「かすれ」 をよ り起こしにく く、 また、 「初筆 性」 により優れ、 また、 「筆記距離」 も十分に長く 、 更に、 チップがィ ンク貯蔵管 から抜けにく く 、 しかも、 チップのイ ンク貯蔵管への固定が容易なボールペンリ フィールを提供することができるのである。
また、 本件出願の発明によれば、 フロー トとインク貯蔵管との間の間隙から加 圧ガス側へインクが流れ出しにく く、 しかも、 インクの減少に伴う フロー トの移 動が円滑に行われるポールペンリ フィ一ルを提供することができるのである。 また、 本件出願の発明によれば、 フロー トとイ ンク貯蔵管との間の間隙から加 圧ガス側ヘインクがよ り流れ出しにく いボールペンリ フィールを提供することが できるのである。