明 細 書
含硫化合物およびその用途 技術分野
本発明は含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物に関する。 さらには、 該含硫 (メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する重合性組成物、 ならびに、 該重合性 組成物を重合して得られる光学部品に関する。
本発明の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物は、 分子内に環状チオアセ夕 —ル構造を有していることを分子構造上の特徴しており、 光硬化可能な重合性組 成物用のモノマーとして有用である。 該重合性組成物を硬化して得られる光学部 品は、 光学特性、 熱的特性、 機械的特性に優れ、 且つ、 生産性が良好で、 高屈折 率であり、 矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチックレンズ、 光情報記録 媒体基板、 液晶セル用プラスチック基盤、 光ファイバ一コーティング材料等とし て有用である。 背景技術
無機ガラスは、 透明性に優れ、 光学異方性が小さいなどの諸物性に優れている ことから、 透明性光学材料として広い分野で使用されている。 しかしながら、 重 くて破損しやすいこと、 生産性が悪い等の問題があり、 近年、 無機ガラスに代わ る光学用樹脂の開発が盛んに行われている。
光学用樹脂として基本的に重要な特性は透明性である。 現在までに、 透明性の 良い工業的な光学用樹旨として、 ポリメチルメタクリレート (PMMA)、 ビス フエノール Aポリ力一ボネート (BPA— PC)、 ポリスチレン (PS)、 メチ ルメ夕クリレート-スチレン共重合ポリマ一 (MS) ,スチレン-ァクリロ二トリ ル共重合ポリマ一 (SAN)、 ポリ (4-メチルペンテン- 1) (TPX)、 ポリ シクロォレフイン (C〇P)、 ポリジエチレングリュールビスァリルカーボネ一 ト (EGAC) 、 ポリチォウレタン (PTU) 等が知られている。
PMMAは透明性、 耐候性に優れ、 かつ成形性も良好である。 しかしながら、 屈折率 (nd) が 1. 49と小さく、 吸水性が大きいという欠点がある。
BP A— PCは、 透明性、 耐熱性、 耐衝撃性および高屈折性に優れるものの、 色収差が大きく利用分野が限定される。
' PSおよび MSは、 成形性、 透明性、 低吸水性および高屈折性に優れるものの、 耐衝撃性、 耐候性および耐熱性に劣り光学樹脂としてはほとんど実用化されてい ない。
SANは比較的、 屈折率が高く、 機械的物性もバランスがよいとされているが、 耐熱性にやや難があり (熱変形温度: 80-90°C)、 光学樹脂としてはほとん ど使われていない。
TPXおよび COPは透明性、 低吸水性、 耐熱性に優れるものの、 低屈折率 (nd=l. 47〜: L. 53)で耐衝撃性やガスバリヤ一性や染色性が悪いとい う問題がある。
E G A Cはジエチレングリコ一ルビスァリルカーボネ一トをモノマ一とする熱 硬化性樹脂であり、 汎用眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。 透明性、 耐熱性には優れ、 色収差は極めて小さいものの、 低屈折率 (nd=l. 50)で 耐衝撃性に劣るという欠点がある。
P T Uは、 ジイソシァネート化合物とポリチオール化合物との反応で得られる 熱硬化性樹脂であり、 超高屈折率眼鏡レンズ用途には最も多く使用されている。 透明性、 耐衝撃性、 高屈折性に特に優れ、 且つ色収差も小さく、 極めて優秀な材 料であるが、 唯一、 熱重合成形時間が長い (1日〜 3日) という欠点があり、 生 産性の点で問題を残している。
上記の生産性を高めるために短時間で重合 ·硬化を行う目的で、 臭素原子ある いは硫黄原子を含有するァクリル酸エステル類を用いて、 光重合によって光学用 レンズを得る方法 (例えば、 特開平 4一 161410号公報、 特開平 3— 217 412号公報など) 、 含硫脂璟構造を有する (メタ) アクリル酸エステル化合物 を用いて光学用レンズを得る方法 (例えば、 特開平 3— 215801号公報な ど) 等が提案されている。
しかしながら、 これらの方法によると、 短時間での重合は可能となるものの、 得られる樹脂は光学部品として決して満足されるものとは言えなかった。 すなわ ち、 例えば、 眼鏡レンズとして用いた場合、 高屈折率のものは、 脆くて割れやす
かったり、 比重の大きい等の問題があり、 それらの問題を克服した材料の開発が 強く望まれていた。
以上のように、 従来の光学樹脂は優れた特徴を有しているものの、 それそれに 克服すべき欠点を有しているのが現状である。 このような状況下にあって、 光学 特性、 機械的特性、 熱的特性に優れ、 かつ生産性が高く高屈折率の光学樹脂の開 発が切望されているのが現状である。 発明の開示
本発明の課題は、 上述したような従来の光学用樹脂の欠点を解決し、 光学特性、 機械的特性、 熱的特性に優れ、 且つ、 生産性が良好な高屈折率の光学材料の原料 モノマ一およびその中間体を提供することである。
本発明者らは、 上記課題を解決するため、 鋭意検討した結果、 本発明に到達し た。 すなわち本発明は、 式 (1 ) で表される含硫(メタ) アクリル酸エステル化 合物に関する。
(1 )
(式中、 および R
2は水素原子またはアルキル基を表し、 互いに結合して環を 形成し Tもよく、 R
3は水素原子またはメチル基を表し、 X!は酸素原子または硫 黄原子を示し、 mは 0〜 3の整数を表し、 nは 1 〜 4の整数を表す)
また、 上記式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を含有 する重合性組成物、 該重合性組成物を重合して得られる硬ィ匕物、 さらには、 その 硬化物からなる光学部品に関する。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物は新規ィ匕
合物であり、 エステル基の部分に環状チオアセ夕一ル構造を有することを特徴と する (メ夕) アクリル酸エステル化合物である。
式 (1 ) において、 および R2は、 水素原子またはアルキル基を表す。 また、 と R2は、 互いに結合して環を形成してもよい。
該置換基 1^および R2として、 好ましくは、 水素原子または炭素数丄〜 4のァ ルキル基であり、 より好ましくは、 水素原子、 メチル基またはェチル基である。 1^と: R2は、 結合して環を形成する場合の環としては、 好ましくは、 シクロアル カン環であり、 より好ましくは、 炭素数 5〜7のシクロアルカン環であり、 さら に好ましくは、 シクロへキサン環である。
式 (1 ) において、 mは 0〜3の整数であり、 好ましくは、 0〜2の整数であ り、 より好ましくは、 整数 0または 1である。
また式 (1 ) において、 nは 1〜4の整数であり、 好ましくは、 整数 1〜3で あり、 より好ましくは、 整数 1または 2である。
式 (1 ) において、 は酸素原子または硫黄原子を示す。 レンズ用樹脂とし て使用する場合に高屈折率であることを考慮すると、 好ましくは、 は硫黄原 子である。
本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物の具体例 としては、 下記の第 1表中に示された化合物が例示される。
-26 CjHc 。 cヽ -27
第 1表 (続き)
本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物は、 下記 式 (2二 a ) または下記式 (2— b ) で表される化合物に対して、
① (メタ) アクリル酸類を反応させる方法;
②ハロプロピオン酸エステル化合物類 (例えば、 3—クロ口プロピオン酸、 3 - ブロモプロピオン酸、 3—クロ口一 2 —メチルプロピオン酸、 3—プロモー 2— メチルプロピオン酸など) またはその酸ハロゲンを反応させ、 ハロプロピオン酸 エステル化合物とした後、 脱ハロゲン化水素して、 (メタ) アクリル酸エステル 化する方法;
などを代表的な具体例とする公知の各種エステル化法 (またはチォエステル化 法) によって製造される。
(式 、 ls R2、 mおよび nは前記に同じ)
上記方法の中でも、 本発明の式 (1)で表される含硫 (メタ) アクリル酸エス テル化合物を製造する方法として、 後者②の方法はより好ましい。
以下、 前述の方法の中から最も代表的な例として、 初めに、 上記式 (2— a) または式 (2— b)で表される含硫化合物と (メタ) アクリル酸類 [ (メタ) ァ クリル酸、 そのエステル誘導体またはその酸ハロゲン化物など] とを反応させる 方法について、 さらに詳しく述べる。
すなわち、 該方法としては、 公知の方法、 例えば、 J. Org. Chem. , 45巻, 5364 ( 1980) 、 Eur. Po l m. J. , 19巻, 399 (1983) に記載の方法と同様の方法を用いることができる。
例えば、
①撹拌下、 塩基の存在下、 上記式 (2— a) または式 (2—b)で表される含 硫化合物に対して、 (メタ) アクリル酸の酸ハロゲン化物を滴下するなどの操作 を行いながら作用させる方法、
②触媒の存在下、 上記式 (2—b) で表される含硫ヒドロキシ化合物と (メ 夕) アクリル酸との脱水反応を行う方法、 あるいは、
③触媒 (酸触媒あるいは塩基触媒) の存在下、 上記式 (2—b)で表される含 硫ヒドロキシ化合物と (メタ) アクリル酸エステル誘導体 [例えば、 (メタ) ァ クリル酸メチルエステル、 (メタ) アクリル酸ェチルエステル、 (メタ) ァクリ ル酸プチルエステルなどの (メタ) アクリル酸アルキルエステルなど] とのエス
テル交換反応を行う方法等が例示される。
上記反応の際、 上記式 (2— a) または式 (2— b ) で表される含硫ィ匕合物に 対して作用させる (メタ) アクリル酸類 [例えば、 (メタ) アクリル酸、 そのェ ステル誘導体またはその酸ハロゲン化物など] の使用量は、 特に制限するもので はないが、 通常、 該含硫ィ匕合物 1モルに対して、 0 . 1〜5モルであり、 好まし くは、 0 . 2 5〜2 . 5モルであり、 より好ましくは、 0 . 4〜1 . 5モルある。 反応は、 無溶媒で行なってもよく、 あるいは反応に対して不活性溶媒中で行な つてもよい。 かかる溶媒としては、 例えば、 n—へキサン、 ベンゼンまたはトル ェン等の炭化水素系溶媒、 アセトン、 メチルェチルケトンまたはメチルイソプチ ルケトン等のケトン系溶媒、 齚酸ェチルまたは酢酸プチル等のエステル系溶媒、 ジェチルェ一テル、 テトラヒドロフランまたはジォキサン等のエーテル系溶媒、 ジクロロメタン、 クロ口ホルム、 四塩化炭素、 1 , 2—ジクロロェ夕ンまたはパ —クレン等のハロゲン系溶媒、 ァセトニトリル、 N, N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミ ド、 N , N—ジメチルイミダゾリジノン等の極 i "生溶 媒などが挙げられる。 これらの溶媒は 2種類以上を併用しても差し支えない。 反応温度は特に制限はないが、 原料の (メタ) アクリル酸類または反応生成物 の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物が重合しない温度であり、 通常、 一 7 8〜1 5 0 °Cの範囲であり、 好ましくは、 一 2 0 ~ 1 2 0 °Cであり、 より好まし くは、 0〜: L 0 0 °Cである。
反応時間は反応温度にも依存するが、 通常、 数分〜 1 0 0時間であり、 好まし くは、 3' 0分〜 5 0時間であり、 より好ましくは、 1〜2 0時間である。 また、 公知の分析手段 (例えば、 液体クロマトグラフィー、 薄層クロマトグラフィー、 I Rなど) により反応率を確認しながら、 任意の反応率で反応を停止することも 可能である。
上記式 (2— a ) または式 (2— b ) で表される含硫化合物と (メタ) ァクリ ル酸の酸ハロゲン化物との反応により、 本発明の含硫 (メタ) アクリル酸エステ ル化合物を製造する際には、 ハロゲン化水素 (例えば、 塩化水素など) が副生す るので、 例えば、 トリェチルァミン、 ビリジン、 ピコリン、 ジメチルァ二リン、 ジェチルァニリン、 1 , 4—ジァザビシクロ [ 2 . 2 . 2 ] オクタン (D AB C
0)、 1, 8—ジァザビシクロ [ 5 . 4 . 0 ] ゥンデカー 7—ェン (D B U) 等 の有機塩基、 あるいは、 炭酸水素ナトリウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム、 炭酸リチウム、 水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム、 水酸化カルシウム、 酸ィ匕マ グネシゥム等の無機塩基を脱ハロゲン化水素剤として使用してもよい。
かかる脱ハロゲン化水素剤の使用量としては、 特に制限はないが、 上記式 ( 2 ) で表される含硫ィ匕合物 1モルに対して、 0 . 0 5〜1 0モルであり、 好ま しくは、 0 , 1〜5モルであり、 より好ましくは、 0 . 5〜3モルである。
上記式 (2— b ) で表される含硫ヒドロキシ化合物と (メタ) アクリル酸との 脱水反応により、 本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル 化合物を製造する際には、 公知の各種エステル化触媒を用いることは好ましいこ とである。 該触媒としては、 例えば、 鉱酸 (例えば、 塩酸、 硫酸、 硝酸、 ホウ酸、 リン酸など) 、 有機酸 (例えば、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 P - トルエンスルホン酸、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸など) 、 ルイス酸 (例えば、 三フッ化ホウ素、 三塩化アルミニウム、 四塩化チタン、 二塩化チタン、 二塩化ス ズ、 四塩化スズなど) 等を挙げることができる。
かかる触媒の使用量は、 特に制限するものではないが、 通常、 反応原料混合物 に対して、 好ましくは、 0 . 0 0 1〜5 0質量%、 好ましくは、 0 . 0 1〜3 0 質量%である。
また、 反応の進行を促進するために、 副生した水を系外に除去することは好ま しいことであり、 かかる方法として、 例えば、 前記溶媒のうち水と共沸する溶媒 (例えば ベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの炭化水素系溶媒など) を用いて 共沸月兌水する方法、 モレキュラーシーブ等の脱水剤を用いる方法、 あるいは、 こ れらの方法を併用する方法等が挙げられる。
また前述の方法の中で、 前記式 (2— a) または式 (2— b ) で表される含硫 化合物と、 ハロプロピオン酸類またはその酸ハロゲン化物とを反応させて、 ハロ プロピオン酸エステル化合物とした後、 脱ハロゲン化水素して、 一般式 (1 ) で 表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を製造する方法としては、 例え ば、 特開平 1 0— 6 7 7 3 6号公報などに記載の方法等が例示される。
本発明の式 ( 1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を製造す
る際に、 反応中あるいは反応後において生成物の重合を防止するために、 重合禁 止剤を使用することは好ましいことである。 かかる重合禁止剤としては、 例えば、 4ーメトキシフエノール、 ハイドロキノン、 フエノチアジン等の公知の各種ィ匕合 物を例示することができる。 重合禁止剤の使用量は特に制限はないが、 反応系中 の原料混合物あるいは反応生成物に対して、 通常、 0. 01〜5質量%であり、 好ましくは、 0. 05〜3質量%でぁる。
反応終了後、 生成物である本発明の式 (1) で表される含硫 (メタ) アクリル 酸エステル化合物は、 公知の操作、 処理方法 (例えば、 中和、 溶媒抽出、 水洗、 分液、 溶媒留去など) により後処理されて単離される。 さらに必要に応じて、 得 られた式 ( 1) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を、 公知の方 法 (例えば、 蒸留、 再結晶あるいはクロマトグラフィー等) により分離、 精製し て、 高純度の化合物として単離することもできる。
前記式 (2— a) 及び (2—b) で表される化合物は、 下記式 (2— c) で表 される環状チオアセタール化合物中のハロゲン原子を、 公知の合成化学的方法、 例えば、 ハロゲン原子をアル力リ加水分解させてヒ.ドロキシ基へと変換させる方 法、 あるいは、 ハロゲン原子に対してチォ尿素を作用させてチォロニゥム塩ィ匕し た後、 アルカリ処理してチオール基へと変換させる方法等によって、 ヒドロキシ 基を有する化合物 (2— b) 、 ならびに、 チオール基を有する化合物 (2— a) を好適に製造することができる。
(式中、 R1 R2、 mおよび nは前記に同じであり、 Xはハロゲン原子を表 す。 )
又、 式 (2— c) で表されるハロゲン体から、 チオール基へと変換させるには、 公知の方法、 例えば、 Journal of Organic Chemistry, 27巻, 頁 93〜 95 (19 62年) 、 Organic Synthesis, IV, 頁 40 1〜 403 (1963年) などに記載 の方法により、 好適に実施される。 すなわち、 代表的な方法では、 式 (2— c)
における X =ハロゲン原子に対して、 チォ尿素を反応させ、 次いで、 アンモニア 氷、 水酸化ナトリウムなどの塩基を用いて加水分解する方法により、 式 (2— a) の化合物は好適に製造される。
本発明で用いられる原料の式 (2— c ) で表される含硫化合物は、 代表的な方 法として、 下記式 (3 ) で表されるアルデヒド類またはその誘導体に対して、 酸 触媒の存在下、 下記式 (4 ) で表されるジチオール類を反応させることにより、 好適に製造される。
(3)
(式中、 X3はハロゲン原子を表し、 nは 1 ~ 4の整数を表す)
(式中、 R,、 R2および mは前記に同じ)
以下、 まず上記式 (3 ) で表されるアルデヒド類またはその誘導体に対して、 酸触媒の存在下、 上記式 (4 ) で表されるジチオール類を反応させることにより、 前記式 (2— c ) で表される化合物を製造する方法について、 さらに詳しく説明 する。
式 (3 ) で表されるアルデヒド類またはその誘導体としては、
例えば、 クロロアセトアルデヒド、 3—クロ口プロビオンアルデヒド、 3—プ ロモプロピオンアルデヒド、 4一クロロブチルアルデヒド、 4—プロモプチルァ ルデヒドなどのハロアルキルアルデヒド類;
2—クロロアセトアルデヒドジメチルァセ夕一ル、 2—クロロアセトアルデヒド ジェチルァセ夕一ル、 2—クロ口プロピオンアルデヒドジメチルァセ夕一ル、 2 —クロ口プロピオンアルデヒドジェチルァセ夕一ル、 2—ブロモプロピオンアル デヒドジメチルァセタール、 2—プロモプロピオンアルデヒドジェチルァセター ル、 2—ブロモプロピオンアルデヒドエチレンァセタール 〔または、 2— ( 2 ,
一プロモェチル) 一 1, 3—ジォキソラン〕、 2—プロモプロピオンアルデヒド トリメチレンァセ夕一ル 〔または、 2— (2, 一プロモェチル) 一1, 3—ジォ キサン〕 などのハロアルキルアルデヒドのジアルキルァセ夕一ル誘導体または環 状アルキレンァセ夕ール誘導体等が挙げられる。
式 (4)で表されるジチオール誘導体としては、 例えば、
エタンジチオール、 1, 2—プロパンジチオール、 1, 3—プロパンジチオール、 1, 2—ブタンジチオール、 1, 3—ブタンジチオール、 1, 4一ブタンジチォ —ル、 1, 2—ペンタンジチオール、 1, 3—ペン夕ンジチオール、 1, 4—ぺ ン夕ンジチオール、 1, 2—へキサンジチオール、 1, 3—へキサンジチォ一レ、 1, 4—へキサンジチオール、 1, 2—ヘプ夕ンジチオール、 1, 2—オクタン ジチオール、 1, 2—ノナンジチオール、 1, 2—デカンジチオールなどの鎖状 アルカンジチォ一ル類;
シクロペンタン一 1, 2—ジチオール、 シクロへキサン一 1, 2—ジチオールな どのシクロアノレカンジチオール類などが挙げられる。
前記式 (3)·で表されるアルデヒド類またはその誘導体に対して、 前記式 (4) で表されるジチオール類を反応させ、 前記式 (2— c) の化合物を製造す る際に使用する、 式 (4)で表されるジチオール類の使用量は、 特に制限するも のではないが、 通常、 前記式 (3)で表されるアルデヒド類またはその誘導体 1 モルに対して、 0. 5〜5モルであり、 好ましくは、 0. 8〜 2モルであり、 よ り好ましくは、 0. 9〜1. 2モルである。
かか 反応においては、 無触媒条件下で反応を行ってもよく、 あるいは、 鉱酸 (例えば、 塩酸、 硫酸) や有機酸 (例えば、 酢酸、 プロピオン酸) などのプロト ン酸、 または、 ルイス酸などの触媒の存在下に反応を行ってもよい。 反応温度、 反応時間などを考慮すると、 反応を促進する目的で、 触媒の存在下に反応を行う ことは、 好ましいことである。
かかる反応触媒としては、 例えば、 硫酸、 塩酸、 臭化水素酸、 硝酸、 酢酸、 プ ロピオン酸、 メタンスルホン酸、 トリフルォロメ夕ンスルホン酸、 p—トルエン スルホン酸などのプロトン酸;
三塩化チタン、 四塩化チタン、 二塩化スズ、 四塩化スズ、 三フヅ化ホウ素エーテ
ル錯体などのルイス酸などが挙げられる。
これら反応触媒の使用量は、 特に限定するものではないが、 通常、 前記式
( 3 ) で表されるアルデヒド類またはその誘導体 1モルに ¾fして、 0 . 0 0 1モ ル〜 2 0モルであり、 好ましくは、 0 . 0 1モル〜 1 0モルであり、 より好まし くは、 0 . 1モル〜 5モルである。 これらの反応触媒は、 単独で使用してもよく、 あるいは複数を混合して用いてもよい。
反応は無溶媒あるいは溶媒の存在下のいずれで行ってもよい。 溶媒を使用する 場合、 反応に不活性な溶媒であれば特に制限するものではないが、 該溶媒として は、 例えば、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン等の炭化水素系溶媒、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 1 , 2—ジクロロェタン、 クロ口ベンゼン、 ジクロロベンゼン等 のハロゲン系溶媒、 ジェチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 ジォキサン、 ジェ チレングリコ一ルジメチルェ一テル等のエーテル系溶媒などの溶媒が挙げられる。 これらの溶媒は単独で使用しても、 あるいは 2種類以上併用してもよい。
反応溶媒の使用量に関しては特に制限はないが、 使用量があまりに多すぎる場 合は製造効率等の面で好ましくなく、 通常は、 式 (3 ) で表されるアルデヒド類 またはそのァセタール誘導体に対して、 3 0 0質量倍以下であり、 好ましくは、 1 0 0質量倍以下である。
反応は、 大気雰囲気下、 あるいは、 不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよ いが、 反応生成物の着色等を抑制するために、 窒素、 アルゴン等の不活性ガス雰 囲気下で行うことは好ましいことである。
反応温度は特に制限はないが、 通常、 0 °C〜溶媒の沸点の範囲で行うことが好 ましい。
反応時間は反応温度により異なるが、 通常、 数分〜数十時間の範囲で行えばよ く、 公知の分析手段 (例えば、 液体クロマトグラフィー、 薄層クロマトグラフィ ―、 I Rなど) により反応を追跡して、 反応の終点を決定することができる。 前記式 (2— a) 〜 (2— c ) で表される含硫ィ匕合物は、 上記の反応終了後、 反応生成物中から通常の後処理操作 (例えば、 中和、 濾過、 溶媒抽出、 水洗、 分 液、 溶媒留去など) を行うことにより単離される。 また公知の操作、 精製方法 (例えば、 蒸留、 再結晶、 カラムクロマトグラフィー、 活性炭処理など) によつ
て、 必要に応じて、 純度を高めることができる。
前記式 (2— a) 〜 (2— c ) で表される含硫化合物の具体例としては、 下記 の第 2表中に示された化合物が例示される。
次に、 本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を 含有する重合性組成物について詳述する。
本発明の重合性組成物は、 必須成分として、 本発明の一般式 (1 ) で表される 含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物、 ならびに、 光および/または熱重合開 始剤を含有する。 この場合、 上記含硫不飽和カルボン酸エステル化合物は単独で 用いてもよく、 あるいは、 異なる複数の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物 を併用しても差し支えない。
さらに本発明の重合性組成物は、 所望の効果を損なわない範囲で、 必要に応じ て、 一般式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を含有する 以外に、 公知の重合性を有する化合物 (光または熱重合性モノマーまたはオリゴ マー等) を含有していても差し支えない。
上記重合性組成物中に含有する一般式 (1 ) で表される含硫(メタ) アクリル 酸エステル化合物の量は、 特に制限はないが、 通常、 重合性組成物全体の質量に 対して 1 0質量%以上であり、 好ましくは、 2 0質量%以上でぁり、 より好まし くは、 3 0質量%以上であり、 さらに好ましくは 5 0質量%以上である。
本発明の重合性組成物に使用する重合開始剤としては、 特に限定するものでは なく、 公知の各種熱重合開始剤または光重合開始剤を使用することができる。 光 重合開始剤としては、 例えば、 ベンゾイン、 ベンジル、 ペンゾインメチルエーテ ル、 ベンゾインイソプロピルエーテル、 ァセトフエノン、 1, 1—ジメトキシー 1—フエニルァセトフエノン、 1 , 1ージクロロアセトフエノン、 1—ヒドロキ シシクロへキシルフェニルケトン、 2—ヒドロキシ一 2—メチル一 1—フエニル プロパン一 1—オン、 2—メチル一 1— ( 4ーメチルチオフエニル) 一 2—モル フオリノールプロパン一 1—オン、 N, N—ジメチルアミノアセトフエノン、 2 —メチルアントラキノン、 2—ェチルアントラキノン、 2— t e r t—プチルァ ントラキノン、 1—クロ口アントラキノン、 2—アミルアントラキノン、 2—ィ ソプロピルチオキサトン、 2, 4—ジメチルチオキサントン、 2 , 4—ジェチル チォキサントン、 2, 4ージイソプロピルチォキサントン、 ァセトフエノンジメ チルケタール、 ベンゾフエノン、 4—メチルベンゾフエノン、 4, 4 ' —ジクロ 口べンゾフエノン, 4 , 4 ' 一ビスジェチルァミノべンゾフエノン、 ミヒラーズ ケトン等を例示することができる。 これらは単独で使用することも、 あるいは、 2種以上を併用することもできる。
該光重合開始剤の使用量は、 式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エス テル化合物 1 0 0質量部に対して、 0 . 0 0 1〜5 0質量部であり、 好ましくは、 0 . 0 1 ~ 3 0質量部であり、 より好ましくは、 0 . 1〜 1 0質量部であり、 さ らに好ましくは、 0 . 2〜 5質量部である。
熱重合開始剤としては、 例えば、 ベンゾィルパーォキサイド、 p—クロ口ベン ゾィルパーオキサイ ド、 ジイソプロピルパ一ォキシカーボネート、 ジ— 2—ェチ ルへキシルパーォキシカーボネート、 t e r t—ブチルパ一ォキシピバレート等 の過酸化物ならびにァゾビスィソプチロニトリル等のァゾ化合物などを例示する ことができる。
該熱重合開始剤の使用量は、 式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エス テル化合物 1 0 0質量部に対して、 通常、 0 . 0 0 1〜5 0質量部であり、 好ま しくは、 0 . 0 1〜3 0質量部であり、 より好ましくは、 0 . 1〜: L 0質量部で あり、 さらに好ましくは、 0 . 2〜5質量部である。
本発明の重合性組成物に用いる重合性の化合物として、 式 (1 ) で表される含 硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物以外の、 公知の重合性を有する化合物とし ては、
例えば、 メチル (メタ) ァクリレート、 プチル (メタ) ァクリレート、 2—ェチ ルへキシル (メタ) ァクリレート、 ェチルカルビトール (メタ) ァクリレート、 ラウリル (メタ) ァクリレート、 テトラシクロドデシル (メタ) ァクリレート、 フエノキシェチル (メタ) ァクリレート、 ノニルフエノキシェチル (メタ) ァク リレート、 ジシクロペンテニル (メタ) ァクリレート、 イソボルニル (メタ) ァ クリレート、 N— n—ブチル一 0— (メタ) ァクリロイルォキシェチルカ一バメ —ト、 ァクリロイルモルホリン、 トリフルォロェチル (メタ) ァクリレート、 ト リブロモベンジル (メタ) ァクリレート、 パーフルォロォクチルェチル (メタ) ァクリレート、
エチレングリコールジ (メタ) ァクリレート、 プロピレングリコ一ルジ (メタ) ァクリレート、 ネオペンチルグリコ一ルジ (メタ) ァクリレート、 1 , 6—へキ サンジォ一ルジ (メタ) ァクリレート、
トリエチレングリコールジ (メタ) ァクリレート、 トリプロピレングリコ一ルジ (メタ) ァクリレート、 ポリエチレングリコールジ (メタ) ァクリレート、 ポリ プロピレングリコ一ルジ (メタ) ァクリレート、
2 , 2—ビス (4ーァクリロイルォキシフエニル) プロパン、 2, 2—ビス (4 一メ夕クリロイルォキシフエニル) プロパン、
ビス (4—ァクリロイルォキシフエニル) メタン、 ビス (4一メタァクリロイ レ ォキシフエニル) メタン、 4 , 4 5 一ビス (ァクリロイルォキシ) ジフエニルス ルフィ ド、 4, 4, 一ビス (メタァクリロイルォキシ) ジフエニルスルフィ ド、 2, 2—ビス [ 4— (ァクリロイルォキシエトキシ) フエニル] プロパン、 2 , 2—ビス [ 4一 (メタァクリロイルォキシエトキシ) フエニル] プロパン、 2,
2—ビス [ 4一 (2—ァクリロイルォキシプロポキシ) フエニル] プロパン、 2 , 2—ビス [ 4— ( 2—メタァクリロイルォキシプロボキシ) フエニル] プロパン、 ビス [ 4一 (ァクリロイルォキシエトキシ) フエニル] メタン、 ビス [ 4一 (メ 夕ァクリロイルォキシエトキシ) フエニル] メタン、 ビス [ 4— ( 2—ァクリロ ィルォキシプロボキシ) フエニル] メタン、 ビス [ 4— ( 2—メタァクリロイル ォキシプロボキシ) フエニル] メタン、
4 , 4 5 一ビス (2—ァクリロイルォキシエトキシ) ジフエニルスルフィ ド、 4, 4 3 一ビス (2—メタァクリロイルォキシエトキシ) ジフエニルスルフィ ド、 4 , 4, 一ビス (2—ァクリロイルォキシプロボキシ) ジフエニルスルフィ ド、 4, 4, 一ビス (2—メタァクリロイルォキシプロポキシ) ジフエニルスルフィ ド'、
4 , 4, 一ビス (2—ァクリロイルォキシエトキシ) ジフエニルスルフォ 、 4 , 4 ' 一ビス (2—メタァクリロイルォキシエトキシ) ジフエニルスルフォン、 4 , 4, 一ビス (2—ァクリロイルォキシプロポキシ) ジフエニルスルフォン、 4 , 4, 一ビス (2—メタァクリロイルォキシプロポキシ) ジフエニルスルフォン、 2 , 2—ビス (4ーヒドロキシフエニル) プロパンのエチレンォキシドまたはプ ロピレンォキシド付加物ジ (メタ) ァクリレート、
ビス (4—ヒドロキシフエニル) メタンのエチレンォキシドまたはプロピレンォ キシド付加物ジ . (メタ) ァクリレート、
4, 4, ージヒドロキシフエニルスルフイ ドのエチレンォキシドまたはプロピレ ンォキジド付加物のジ (メタ) ァクリレート、
トリメチロールプロパントリ (メタ) ァクリレート、 ジペン夕エリスリ トールぺ ン夕ァクリレート、 ペン夕エリスリ トールトリアクリレート、 ペン夕エリスリト —ルテトラァクリレート、 ジトリメチロールテトラァクリレート、 ジペン夕エリ スリ トールへキサァクリレート、 2— (メタ) ァクリロイルォキシェチルトリス イソシァヌレート、 (メタ) ァクリロキシプロビルトリス (メトキシ) シラン等 の一官能または多官能 (メタ) ァクリレート類;
フエノールグリシジルエーテル、 エチレングリコールジグリシジルエーテル、 プ ロピレングリコールジグリシジルェ一テル、 レゾルシンジグリシジルエーテル、
ハイ ド口キノンジグリシジルェ一テル、 ビス (4ーヒドロキシフエニル) メタン (通称、 ビスフエノール F ) ジグリシジルエーテル、 2 , 2—ビス (4—ヒドロ キシフエニル) プロパン (通称、 ビスフエノール A) ジグリシジルエーテル、 4 , 45 一ビスヒドロキシフエニルスルフイドジグリシジルエーテル、 4, 4, ービ スヒドロキシフエニルスルホン (通称、 ビスフエノール S ) ジグリシジルェ一テ ル、 4 , 43 ービフエノールジグリシジルエーテル、 3, 3,、 5 , 5, ーテト ラメチル一 4 , 4 'ービフエノ一ルジグリシジルエーテル、 トリス (2, 3—ェ ポキシプロピル) イソシァヌレートなどの各種公知である 1価または 2価以上の エポキシ化合物に対して、 (メタ) アクリル酸化合物を作用させて得られるェポ キシ (メタ) ァクリレート類;
フエノ一ルノボラヅク型エポキシ樹脂、 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、 フエノールァラルキル樹脂型エポキシ樹脂、 ビスフエノール型エポキシ樹脂など の各種公知のエポキシ樹脂に対して (メタ) アクリル酸化合物を作用させて得ら れるエポキシ (メタ) ァクリレート類等;
ビニルベンゼン、 ジビニルベンゼン、 トリビニルベンゼン、 イソプロぺニルベン ゼン、 ジイソプロぺニルベンゼン、 トリイソプロぺニルベンゼン、 N—ビニルビ 口リ ドン、 N—ビニルカプロラクタム等のビニル化合物類;
エチレングリコ一ルジァリルカーボネート、 トリメリット酸トリアリルエステル、 トリァリルイソシァヌレ一ト等のァリル基含有化合物類など各種公知の重合性モ ノマ一;
あるいは、 ポリウレタン (メ夕) ァクリレート類、 エポキシ (メタ) ァクリレー ト類、 ポリエステル (メタ) ァクリレート類、 ポリエーテル (メタ) ァクリレー ト類など各種公知の重合性ォリゴマ一等が例示される。
これらの使用量は、 本発明の効果をより達成するために、 式 (1 ) で表される 含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物 1 0 0質量部に対して、 通常、 3 0 0質 量部以下であり、 好ましくは、 2 0 0質量部以下であり、 より好ましくは、 1 0 0質量部以下である。
本発明の重合性組成物の製造方法として、 具体的には、 本発明の一般式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を用い、 所望により上記の公
知の各種重合性化合物を併用して、 さらに上記重合開始剤を添加した後、 混合 · 溶解させることにより得られる。 該重合性組成物は、 必要に応じて重合前に不溶 物、 異物などを濾過により除去して、 さらに減圧下で十分に脱泡して重合、 硬化 に使用される。
また、 重合性組成物を製造する際には、 所望に応じて、 内部離型剤、 光安定剤、 紫外線吸収剤、 酸化防止剤、 着色顔料 (例えば、 シアニングリーン、 シァニンプ ル一等)、 染料、 流動調節剤、 無機充填剤 (例えば、 タルク、 シリカ、 アルミナ、 硫酸バリウム、 酸化マグネシウム等) 、 などの公知の各種添加剤を添加すること も可能である。
本発明の硬化物ならびに該硬化物からなる光学部品は、 上記重合性組成物を重 合、 硬ィ匕して得られるものである。 これらの方法として、 従来から公知の各種方 法が採用され好適に実施されるが、 代表的には、 上述のように得られた重合性組 成物をモールド中に注入し、 熱または光によって開始されるラジカル重合反応を 用 Lヽた注型重合などが挙げられる。
該モ一ルドは、 例えば、 ポリエチレン、 エチレン,酢酸ビニル共重合体、 ポリ 塩化ビニル等からなるガスケットを介した鏡面研磨した二枚の錶型により構成さ れる。 錶型としては、 ガラスとガラス、 ガラスとプラスチヅク板、 ガラスと金属 板等の組み合わせの鎵型が挙げられる。 また、 ガスケットとしては、 上記の軟質 熱可塑性樹脂 (ポリエチレン、 エチレン—酢酸ビニル共重合体、 ポリ塩化ビニル 等) を用いる以外に、 2枚の錶型をポリエステル粘着テープ等で固定してもよい。 また、 錡型に対して、 離型処理など公知の処理方法を行ってもよい。
ラジカル重合反応としては、 前述したように、 熱による重合反応 (熱重合) 、 紫外線などの光による重合反応 (光重合) 、 ガンマ線による重合反応等を利用す る方法、 あるいは、 これらの複 を組み合わせた方法などが例示される。
光による重合を行った場合、 硬化終了後、 錶型を離型させて得られた硬化物ま たは該硬化物からなる光学部品を、 内部の応力、 歪みを取り除くなどの目的でァ ニール処理してもよい。
これらの方法の中で、 熱重合は数時間から数十時間を要するのに対して、 紫外 線などによる光重合は数秒〜数分で硬化が可能であり、 本発明の光学部品の製造
時における生産性を高める点を考慮すると、 好ましい方法である。
熱重合を行う場合、 重合温度は重合開始剤の種類など重合条件によつて影響さ れるので、 限定されるものではないが、 通常、 2 5〜2 0 0 °C、 好ましくは、 5 0〜1 7 0 °Cである。
光学レンズの成形方法としては、 上述したように、 例えば、 光または/および 熱による注型重合を行いレンズを得る方法が挙げられる (例えば、 特開昭 6 0— 1 3 5 9 0 1号公報、 特開平 1 0— 6 7 7 3 6号公報、 特開平 1 0— 1 3 0 2 5 0号公報など) 。
すなわち、 前述の方法により製造された本発明の式 (1 ) で表される含硫 (メ 夕) アクリル酸エステル化合物を含有する重合性組成物を、 必要に応じて、 適当 な方法で脱泡を行った後、 モールド中に注入し、 通常、 光照射して重合させる方 法により、 好適に実施される。 また熱による重合では、 低温から高温へ徐々に加 熱して重合させる方法により、 好適に実施される。
得られた光学レンズは、 硬化後、 必要に応じて、 ァニール処理を施されてもよ い。 さらに必要に応じて、 反射防止、 高硬度付与、 耐摩耗性向上、 防曇性付与あ るいはファッション性付与の目的で、 表面研磨、 帯電防止処理、 ハードコート処 理、 無反射コート処理、 染色処理、 調光処理 (例えば、 フォトクロミックレンズ 化処理など) など公知の各種物理的または化学的処理を施されてもよい。
光ディスクや光磁気ディスクの基板の成形方法としては、 例えば、 前記の方法 で得られる式 (1 ) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を含む重 合性組成物を、 ディスク基板用型キヤビティ内に注入し、 これをラジカル重合方 法等で重合させ、 必要に応じて後熱処理する方法 (特開昭 5 8— 1 3 0 4 5 0号 公報、 同 5 8— 1 3 7 1 5 0号公報、 同 6 2— 2 8 0 0 0 8号公報など) 、 両面 ガラス型内で光重合する方法 (特閧昭 6 0 - 2 0 2 5 5 7号公報) 、 真空注型ま たは注液完了後、 加圧して液状樹脂を熱重合させる方法 (特開昭 6 0— 2 0 3 4 1 4号公報) など、 従来から公知の方法などが挙げられる。
本発明の上記重合性組成物を光重合して得られる硬化物、 該硬化物からなる光 学部品は、 重合 ·硬ィ匕に要する時間が数分から数時間であり、 既存のポリジェチ レングリコ一ルジァリルカーボネート、 ポリチォウレタンに代表される熱硬化性
の光学用樹脂と比較して短時間で重合成形が可能であって、 生産性が高いことが 特徴の一つである。
さらに、 本発明の硬化物および光学部品は光学特性、 機械的特性、 熱的特性に 優れ、 且つ、 高屈折率であるという特徴を有している。 該光学部品としては、 例 えば、 矯正用眼鏡レンズを代表とする各種プラスチヅクレンズ、 光情報記録媒体 基板、 液晶セル用プラスチック基板、 光ファイバーコ一ティング材料などが具体 的な形態として挙げられる。
本発明の式 (1)で表される (メタ) アクリル酸エステル化合物は、 分子内に 環状チオアセタール構造を有する新規化合物であり、 矯正用眼鏡レンズなどを代 表とする光学部材用の樹脂原料.モノマーとして、 非常に有用な化合物である。 以下、 実施例により本発明を更に具体的に説明するが、 本発明はこれらの実施 例に限定されるものではない。
合成例 1 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 2;式 (2— c) において R,=水 素原子、 R2=水素原子、 X=臭素原子、 m=0、'n=2の化合物の合成〕
攪拌装置を取り付けたガラス製 50 Oml容の反応器中に、 エタンジチオール 25. 4g (0. 27モル) 、 三フッ化ホウ素エーテル錯体 25 mlおよびトル ェン 100gをいれた。 この混合物に対して、 2— (2, 一プロモェチル) 一 1, 3—ジォキゾラン 53. 6 g (0. 275モル) を 20°Cで 1時間かけて滴下し た。 さらに、 2.0°Cで 5時間、 反応させた後、 反応混合物に対して、 氷水 150 gおよびトルエン 50 gを加えて 15分間、 攪拌した後、 静置、 分液してトルェ ン相を抽出した。 該トルエン相を 3 %炭酸水素ナトリウム水溶 150 gでアル力 リ洗浄し、 さらに水相が中性になるまで水洗した。 トルエン相を分液して取り出 し、 トルエンを減圧下、 40°Cで留去して得られた粗生成物を減圧蒸留して、 無 色液体の 2— (2, —ブロモェチル) 一 1, 3—ジチオラン 51. 8gを得た。 収率 =90%、 純度 >99% (ガスクロマトグラフィー分析による面積法) 沸点: 93~96°C/0. 22mmH - 'H-NMR ό" (CDC13) :
2. 2〜2. 3 (m, 2H)、 3. 2 (s, 4H)、
3. 4~3. 5 (m, 2H)、 4. 6~4. 7 (t, 1 H)
FD-MS: 212 (M) 3 14 (M+2)
合成例 2 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 18;式 (2— a) において R1= 水素原子、 R2=水素原子、 m=0 n= 2の化合物の合成〕
攪拌装置を取り付けたガラス製 500ml容の反応器中に、 チォ尿素 32. 0 g (0. 42モル) およびエタノ一ル 175 gを入れた。 この混合物に対して、 合成例 1で製造した 2— (2, 一プロモェチル) —1, 3—ジチオラン 44. 8 gを 50°Cで 35分かけて滴下した。 さらに、 80°Cで 4時間、 反応させてチ ゥロニゥム塩ィ匕した。反応溶液を高速液体ク口マトグラフィ一により分析して、 原料のブロモ化合物が消失していることを確認し、 反応混合物に対して 18%ァ ンモ.ニァ水 200gを 50°Cで 10分かけて滴下し、 さらに 50 で 2時間反応 させて、 チウロニゥム塩を加水分解した。 トルエン 100 gを加えて分液、 抽出 した後、 排水相が中性になるまでトルエン相を水洗し、 その後、 トルエン相を取 り出し、 トルエンを減圧下、 40°Cで留去して得られた粗生成物を減圧蒸留して、 無色液体の 2— (2 ' 一メルカプトェチル) 一 1, 3—ジチオラン 31. 6 g を得た。
収率 =95%、 純度〉 99% (ガスクロマトグラフィー分析による面積法) 沸点: 98〜100°C/0. 25mmH
一 NMR δ (CDC 13) :
1. 7〜1. 8 (br,lH)、 2. 0~2. 1 (m, 2H)、
"2. 5〜2. 7 (m, 2H) 、 3. 2-3. 3 (m, 4H)、
4. 7〜4. 8 (t, 1H)
FD-MS: 166 (M)
合成例 3 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 32;式 (2— b) において 1^ = 水素原子、 R2=水素原子、 m=0、 n二 2の化合物の合成〕
攪拌装置を取り付けたガラス製 100ml容の反応器中に、 合成例 1で製造し た 2— (2' —プロモェチル) 一 1, 3—ジチオラン 21. 3g (0. 10モ ル) 、 ギ酸ナトリウム 13. 6 g (0. 20モル) およびテトラメチルアンモニ ゥムプロミド 1. 61g (0. 005モル) を入れた。 この混合物を、 110°C
で 1. 5時間、 加熱攪拌した。 反応終了後、 攪拌しながら反応混合物に対して、 50 %水酸化ナトリゥム水溶液 8. 8 gを 15分かけて滴下した。 反応生成物を トルエンで抽出し、 水洗した後、 トルエンを減圧下、 40°Cで留去し、 得られた 粗生成物を減圧蒸留して、 無色液体の 2— (2, 一ヒドロキシェチル) 一 1, 3 —ジチオラン 13. 5 gを得た。
収率 =90%、 純度〉 99% (ガスクロマトグラフィー分析による面積法) 沸点: 100〜; L 05°O 0. 25mmHg
一 NMR 6 (CDC 13) :
2. 0〜2. 1 (m, 2H)、 2. 5〜2. 6 (br, 1 H)、
2. 8-2. 9 (m, 2H)、 3. 2〜3. 3 (m, 4H)、
4. 7〜4. 8 (t , 1 H)
FD-MS : 150 (M)
合成例 4 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 5 ;式 (2— c) において 1^ =メ チル基、 : R2=水素原子、 X=臭素原子、 m=0、 n= 2の化合物の合成〕 合成例 1において、 エタンジチオールを使用する代わりに、 1, 2—プロパン ジチオールを使用する以外は、 合成例 1と同様に行い、 無色液体の 2— (2, 一 プロモェチル) 一 4—メチル一 1 , 3—ジチオランを得た。
FD-MS: 226 (M) , 228 (M+2)
合成例 5 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 2 1 ;式 (2— a) において R1= メチル基、 R2=水素原子、 p = 0、 q二 2の化合物の合成〕
合成例 4で製造した 2— (2, —プロモェチル) 一 4—メチル— 1, 3—ジチ オランを使用する以外は、 合成例 2と同様に行い、 無色液体の 2— (2, 一メル カプトェチル) — 4一メチル一 1, 3—ジチオランを得た。
FD-MS : 180 (M)
合成例 6 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 1 ;式 (2— c) において R,=水 素原子、 R2=水素原子、 X=臭素原子、 m=0、 n= lの化合物の合成〕 合成例 1において、 2—プロモェチル一 1, 3—ジォキゾランを使用する代わ りに、 2—ブロモメチル一 1, 3—ジォキゾランを使用する以外は、 合成例 1と 同様に行い、 無色液体の 2—プロモメチル一 4ーメチルー 1, 3—ジチオランを
得た。 -
FD-MS: 198 (M), 200 (M+2)
合成例 7 〔第 2表中の例示化合物番号 2— 17;式 (2— a) において R1= 水素原子、 R2=水素原子、 m=0、 n=lの化合物の合成〕
合成例 6で製造した 2—ブロモメチル一 1, 3—ジチオランを使用する以外は、 合成例 2と同様に行い、 無色液体の 2—メルカプトメチルー 4—メチル— 1, 3 —ジチオランを得た。
FD-MS: 152 (M) 実施例 1 [例示化合物番号 1—2;式 (1) において 1^==水素原子、 R2=水 素原子、 R3=水素原子、 硫黄原子、 m=0、 n= 2の化合物の合成] 攪拌装置をつけたガラス製 50 Oml反応容器に、 合成例 2で製造した 2— (2 ' —メルカプトェチル) 一1, 3—ジチオラン 100g (0. 60モル) を秤取し、 これに対して 3—クロ口プロピオン酸クロリ ド 80 g ( 0. 63モ ル) を 40°Cで 15分要して滴下した。 さらに 40°Cで 8時間、 攪拌して反応さ せた後、 該反応混合物溶液に対してトルエン 200 gを加え溶解させ、 分液漏斗 に移液して 3質量%炭酸水素ナトリウム水溶液 300 gで 3回洗浄した。 その後、 純水 300 gで水層が中性になるまで洗浄した後、 有機層 (トルエン溶液) を取 り出し、 トルエンを減圧下、 留去して無色透明液体の 2— [2- (3—クロロブ 口ピオ二ルチオ) ェチル ] — 1, 3—ジチオラン 127gを得た。
次い 、 ガラス製 1リットル反応容器に、 上記のようにして得られた 2- [2 一 (3—クロ口プロピオ二ルチオ) ェチル] 一 1, 3—ジチオラン 127g (0. 49モル) をアセトン 200 gに溶解させた溶液に対して、 トリェチルァ ミン 74g (0. 73モル) を 25°Cで 1時間要して滴下した。 その後、 25°C で 6時間、 攪拌して反応させた後、 該反応混合物に対して、 トルエン 400 と 水 400 gを加えて、 トルエン層を分液抽出してを取り出した。 該トルエン溶液 を 5質量%塩酸水で洗浄後、 さらに水層が中性になるまで水洗した後、 減圧下、 トルエンを留去して、 粘性のある無色透明液体として目的物の 2— (2, ーァク リロイルチオェチル) 一 1, 3—ジチオラン 106gを得た。
収率: =80%、 純度〉 99% (液体クロマトグラフィー分析による面積法) 一 NMR δ (CDC 13) ; 2. 0〜2. 1 (m, 2H)、 2. 5〜2. 7 (m, 2H) 、 3. 2〜3. 3 (m, 4H) 4. 7〜4. 8 (t, 1 H)、 5. 0〜7. 0 (m, 3H)
FD-MS ; 220 (M)
実施例 2 [例示化合物番号 1—44 ;式 ( 1) において =水素原子、 R2 = 水素原子、 R3=メチル基、 Xi=酸素原子、 m=0、 n= 2の化合物の合成] 合成例 3で製造した 2— (2, ーヒドロキシェチル) 一 1, 3—ジチオラン 30. 0g (0. 20モル) 、 ピリジン 19. 0 g (0. 24モル) 、 クロロホ ルム 200 gの混合溶液に対して、 氷水冷下 ( 10 °C) でメタァクリル酸ク口リ ド 19. 9 g (0. 22モル) を滴下した。 滴下終了後、 10 Cでさらに 3時間 攪拌して反応を行い、 その後、 副生したピリジン塩酸塩を濾過して除いた。 濾液 のクロ口ホルム溶液をさらに希塩酸水 200 gで洗浄した後、 排水層が中性にな るまで水洗を行った上で、 分液して、 有機層を取り出した。 クロ口ホルムを減圧 下、 60°Cで留去して、 淡黄色透明液体の粗生成物を得た。 該粗生成物をシリカ ゲルクロマトグラフィ一により精製して、 粘性のある無色透明液体として目的物 の 2— (25 —メタァクリロイルォキシェチル) 一 1, 3—ジチオラン 34. 8 gを得た。
収率 =80%、 純度 >99% (液体クロマトグラフィー分析による面積法) >H-NMR δ (CDC 13) ; 1. 9〜2. 0 (s, 3H)、 2. 1〜2. 4 (m, 2H) 、 2. 5〜2. 8 (m, 2 H)、 3. 2〜3. 3 (m, 4H) 、 4. 7-4. 8 (t, 1H) 、 5. 0〜7. 0 (m, 2 H)
FD-MS; 218 (M)
実施例 3 [例示化合物番号 1— 1 ;式 (1) において 水素原子、 R2=水 素原子、 R3=水素原子、 X1==硫黄原子、 m=0、 n= lの化合物の合成] 実施例 1において、 原料として 2— (2, 一メルカプトェチル) 一 1, 3—ジ チオランを使用する代わりに、 合成例 7で製造した 2—メルカプトメチルー 1, 3—ジチオランを使用する以外は、 実施例 1と同様にして、 2—ァクリロイルチ オメチルー 1, 3—ジチオランを製造した。
FD-MS ; 206 (M) 式 (1) で表される含硫 (メタ) アクリル酸エステルイ匕合物を用いた重合性組 成物の製造およびその硬化による硬化物の製造
以下の実施例および比較例において製造した硬ィ匕物または光学部品 (レンズ) の物性評価を以下の方法により行った。
•外観:目視により色味、 透明性を確認した。
•屈折率、 アッベ数:ブルフリッヒ屈折計を用いて 20°Cで測定した。
•耐衝撃性:中心厚 1. 5 mmのマイナスレンズの中心部に、 高さ 127 c mか ら鉄球を落下させて、 評価した。
実施例 4
上記実施例 1で得られた含硫ァクリル酸エステル化合物 (例示化合物番号 1 2の化合物) 30 gに対して、 光重合開始剤として 2—ヒドロキシ一 2—メチル 一 1—フエニルプロパン一 1一オン (Daro cur— 1173、 チバガイギ一 社製) 30mgを添加して、 よく混合し溶解させた。得られた液体を十分に減圧 下、 脱泡した後、 ガラスモールドとガスケットよりなるモールド型に注入した。 メタルハラィドランプ(8 OW/cm) を使用して紫外線を 60秒間、 照射して 重合を行った。 重合終了後、 徐々に冷却し、 成形された硬化物をモールドから取 り出した。
得られた硬化物は、 無色透明で光学歪みは観察されなかった。屈折率 (nd) は 1. 645、 ァヅぺ数 36 (レ d) はであった。
実施例 5
実施例 4において、 例示化合物番号 1一 2の含硫 (メタ) アクリル酸エステル 化合物を使用する代わりに、 実施例 2で製造した例示化合物番号 1—44の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物を使用する以外は、 実施例 4と同様にして、 重合組成物の調製および光 (紫外線) 重合を行った。
得られた硬化物は、 無色透明で光学歪みは観察されなかった。屈折率 (nd) は 1. 615、 アッベ数 37 (レ d) はであった。
実施例 6
実施例 4において、 例示化合物番号 1— 2の含硫 (メタ) アクリル酸エステル 化合物を使用する代わりに、 実施例 3で製造した例示化合物番号 1 1の含硫 (メタ) アクリル酸エス ル化合物を使用する以外は、 実施例 4と同様にして、 重合組成物の調製および光 (紫外線) 重合を行った。
得られた硬化物は、 無色透明で光学歪みは観察されなかった。屈折率 (nd) は 1 . 6 6 0、 アッベ数 3 5 (ソ d) はであった。
本発明の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物は、 短時間の光照射で硬化 (光重合) が可能であった。 また、 得られた硬化物は高屈折率、 高アッベ数であ り、 該硬化物の耐熱性、 耐衝撃性は良好であった。
実施例 7
実施例 3で得られた例示化合物番号 1一 1の含硫 (メタ) アクリル酸エステル 化合物 2 0 g、 ビスフエノール Aジグリシジルェ一テルのエポキシァクリレート 5 gの混合物に、 2—ヒドロキシー 2—メチルー 1一フエニルプロパン一 1—ォ ン 5 0 mg (重合性化合物の質量に対して 0 . 2質量%) を添加してよく混合、 溶解させた。 得られた液体を十分に脱泡した後、 ガラスモールドとテープよりな るモ一ルド型 (マイナスレンズ形 I犬に調整) に注入した。 メタルハラィ ドランプ により紫外線を 6 0秒間、 照射した後、 8 0 °Cで 1時間加熱してァニールを行つ た。 重合終了後、 室温まで放冷し、 直径 3 0 mm、 中心厚 1 . 5 mmの無色透明 マイナスレンズを得た。
該レンズは無色透明であり、 屈折率 ( nd) は 1 . 6 4 5、 アッペ数 (レ d) は 3 5であり、 耐熱性、 耐衝撃性は良好であった。 産業上の利用可能性 '
本発明の含硫 (メ夕) アクリル酸エステル化合物を含有する重合性組成物を重 合して得られる硬ィ匕物および光学部品は、 光学特性、 熱的特性、 機械的特性 (耐 衝撃性) に優れ、 且つ、 短時間で重合 ·成形硬ィ匕が可能 (高生産性) であり、 且 つ、 高屈折率である。
本発明の含硫 (メタ) アクリル酸エステル化合物は、 光硬化可能な重合性組成 物用のモノマーとして、 光学用材料、 歯科用材料などの用途において非常に有用
である。該重合性組成物を硬化して得られる光学部品は、 光学特性、 熱的特性、 機械的特性に優れ、 且つ、 生産性が良好であり、 高屈折率であり、 矯正用眼鏡レ ンズを代表とする各種プラスチヅクレンズ、 光情報記録媒体基板、 液晶セル用プ ラスチック基盤、 光ファイバ一コーティング材料等として有用である。