明 細 書
揮発性有機物を含有する液体用のプラスチッ ク容器 技術分野
本発明は、 揮発性有機物を含有する液体の充填容器と して適性を 有する D LC 膜コーティ ングプラスチッ ク容器に関する。 特に農薬、 香水をはじめとする化粧品、 酢をはじめ とする調味料、 または香料 等の充填容器と して適性を有する D L C 膜コーティ ングプラスチッ ク容器に関する。
こ こで、 液体とは、 液体のみな らず、 流動体や半流動体を含む。 流動体とは、 水飴のよ うな粘性の高い液体をい う。 半流動体と は、 トマ ト ケチヤ ッ プのよ う に同一物質で固相と液相の状態の もののみ な らず、 マヨネーズのよ う な別物質が固相と液相にわかれている も のを含む広い概念の混合物をい う 。 また液体には、 溶質を溶媒に分 散させた溶液や担体に含浸させた液体も含む。 背景技術
一般に、 プラスチッ ク製の容器は、 成形が容易、 軽量、 及び低コ ス ト等の理由で、 食品や医薬品等の様々 な分野の充填容器と して広 く 使用 されている。
しか し、 プラスチッ ク容器は、 香臭気成分を収着し、 透過させる ため、 容器外部へにおいを漏洩させた り 、 使用後の空容器ににおい が残存する とい う 問題があ っ た。
また、 有機溶媒の蒸気バ リ ア性が不充分であるために有機溶媒が 容器外へ揮散し、 充填液の濃度が上昇する と い う 問題もあっ た。
さ ら に、 プラスチッ ク容器は、 酸素や水蒸気についても透過する 性質を有する。 仮に酸素等の非極性ガス分子を透過し に く い特性を 有するプラスチッ ク容器であっ ても、 水分子等の極性分子は、 ブラ
スチッ ク 中の透過メカニズムが非極性分子の ものと異なるために透 過する。 一方、 水分子等の極性分子を透過 しに く い特性を有する プ ラスチッ ク容器であっても、 酸素等の非極性ガス分子を透過する。 したがっ て、 酸素や二酸化炭素等の非極性分子と水等の極性分子を 共に透過 しに く い特性を有する プラスチッ ク容器はほとんどない。
現在、 発明者らが把握している中で香臭気バ リ ア性、 揮発性有機 溶媒蒸気バ リ ア性、 酸素ガスバ リ ア性および防湿性を適度に有 して いるプラスチッ ク容器はポ リ 塩化ビニ リ デン容器のみである。
しか し、 ポ リ 塩化ビニ リ デン容器は、 機械適性に劣る とい う 欠点 がある。 また、 廃棄物と して焼却処理する場合には塩素を含むため に高温焼却が必要と された。
こ のため、 プラスチッ ク容器はガラス製の容器等に比べて、 その 使用対象や使用形態について様々 な制約を受けてきた。
と こ ろ で、 揮発性有機物を含有する液体、 特に農薬、 香水を は じめ とする化粧品、 酢をはじめ とする調味料、 または香料等を充填 包装する場合に、 香臭気成分が容器外部へ漏洩した り 、 有機溶媒の ガス透過によ り 充填液の濃度が変化した り 、 さ ら には酸素や水蒸気 の混入によ り 品質劣化が生じる こ と は好ま し く ない。 しか し、 ブラ スチッ ク容器は成形の容易性、 軽量性および低コ ス ト性等の特性を 有 しているので、 上記のよ う な液体の充填容器と して使用できれば 非常に便利である。
このよ う な要求に応えるために下記の技術が開示されている。 特 開 平 8 — 5 3 1 1 6 号 公 報 に は 、 プ ラ ス チ ッ ク 容 器 の 内 壁 面 に D L C ( D i a m o n d L i k e C a r b o n )膜を形成した容器が開示されている。 こ の容器は、 (1 )透明性がよ く , 異物検査に支障をきたさない、 (2 )酸 素透過性が少ない、 とい う特性を備えている。
また、 特開平 8— 5 3 1 1 7 号公報には、 こ のよ う な容器の製造装置 及び製造方法が開示されている。 また、 特開平 1 0 - 2 5 8 8 2 5 号公報に
は、 DLC 膜コーティ ングプラスチッ ク容器の量産用製造装置及びそ の製造方法が開示されている。 さ ら に、 特開平 10-226884 号公報に は、 外面か ら外方に突出する突出物を有する容器に、 まだらな く DLC 膜をコ一ティ ングする こ とができる製造装置及びその製造方法が開 示されている。
この DLC 膜とは、 i カーボン膜又は水素化アモルフ ァ スカーボン 膜 ( a — C : H ) と呼ばれる膜の こ とであ り 、 硬質炭素膜も含まれ る。 また DLC 膜は、 アモルフ ァ ス状の炭素膜であ り 、 S P 3 結合も 有する。 このよ う な DLC 膜をプラスチッ ク容器の内壁面に形成す る こ とによ り 、 炭酸飲料や発泡飲料等の容器と して使用可能な容器 を得ている。
特開平 11— 70152 号公報では、 プラスチッ ク フィ ルムの少な く と も片面に、 水素濃度が 50 原子%以下であ り 、 かつ、 酸素濃度が 2〜20 原子%であるダイ ヤモン ド状炭素膜が形成されている薬品容 器用 フ ィ ルム等について開示されている。 当該フ ィ ルムは透明性、 酸素バリ ア性と水蒸気バ リ ア性を有したフ ィ ルムである。 この公報 では、 材料特性と して水蒸気バ リ ア性に優れ、 酸素を透過しやすい ポ リ プロ ピ レンとポ リ エチレ ンのフ ィ ルムについての実施例が示さ れている。 25 x mの二軸延伸ポ リ プロ ピ レ ンの酸素透過度が 17.3 m l Zm2ノ 日 である。 また、 透湿度は 4.5 g Z m 2Z日でバ リ ヤ性 の向上も 2 または 3 倍程度である。
しか し DLC 膜コ一ティ ングプラスチッ ク容器を もっ て しても、 (1)透明性がよ く , 異物検査に支障をきたさない、 (2)内容液、 配合 薬剤 と化学的に反応 しない、 と い う 基本特性に加え、 (3)香臭気成 分のバ リ ア性を有 し、 (4)有機溶媒蒸気バ リ ア性を有し、 (5)水蒸気 透過性が少ない、 (6)酸素透過性が少ない、 等の要求を満足でき る 容器はなかった。
発明の開示
本発明は、 香臭気成分の容器外部への漏洩を極めて少な く したい 液体、 かつ、 有機溶媒のガス透過によ り 溶液の濃度変化を防止 した い液体、 さ ら に酸素や水蒸気の混入によ る品質劣化を防止 したい液 体の充填容器と して適性を有する D L C 膜コーティ ングプラスチッ ク容器を提供する こ と を 目的とする。
本発明は、 D LC (ダィ ャモ ン ド ライ ク カ一ボ ン)膜が内面に形成さ れている プラスチ ッ ク容器であっ て、 D LC 膜の組成、 密度及び膜 厚を特定する こ と によって、 該プラスチッ ク容器は香臭気性有機物 のフ レーバーバリ ア性を有 し、 かつ、 揮発性有機溶媒のガスバ リ ア 性を有する こ とを特徴とする。 これによ り 香臭気成分及び揮発性有 機溶剤を容器外部に漏洩させないため、内容物の濃度を一定に保ち、 内容物の品質劣化を生じさせに く い容器を提供する こ とが出来る。
また本発明では、 上記揮発性有機溶媒がエタ ノ ール、 メ タ ノ ール、 酢酸ェチル、 ノルマルへキサン、 キシ レ ン、 又は トルエンである場 合を包含する。 これによつて、 本発明の容器は、 一般的な揮発性有 機溶媒についてフ レーバーバ リ ァ性及びガスバ リ ァ性を有するので 様々 の充填物の容器と して有用である。
さ ら に本発明は、 揮発性有機溶媒の中で特にエタ ノ ールの蒸気透 過性が 0〜 0.06 g /容器 月 である D L C 膜コーティ ングプラスチ ッ ク容器を包含する。 これによ り香臭気成分を外部に漏洩させない と共に、 主成分の一つであるエタ ノ ールの蒸気を外部に逃がさず、 内容物の濃度を一定に保つ こ とが出来る容器を提供できる。
さ ら に、 本発明では、 水蒸気透過性が 0〜 0.006 g Z容器 Z 日で、 かつ、 酸素透過性が 0〜 0.011 m 1 /容器 Z 日 である DL C 膜コ一テ イ ングプラスチッ ク容器を包含する。 これによ り 、 上記に記載した 容器の特性に加えて、 (1)溶剤が主成分の他に水を含む場合に、 水 の容器外への揮散を防止し、 あるいは容器外部か らの水蒸気の混入
を防止する こ とで、 内容物の濃度を一定に保つ こ とが出来る 、 (2) 内容物が酸素または水分によ り 品質劣化を生 じやすい場合にそれを 防ぐこ とが出来る 、 等の機能を有した容器を提供できる。
なお、 プラスチッ ク に対し、 窒素、 酸素、 二酸化炭素の非極性分 子か らなるガス透過性は一般に 1 : 3.8 : 24.2 の関係がある と いわ れている(医薬品の包装設計、 杉原正泰編、 南山堂 275 頁)。 酸素ガ スバ リ ァ性を有している本発明の DLC 膜コ 一ティ ングプラスチッ ク容器はこの一般の関係に従って炭酸ガスバ リ ァ性も有する。
DLC 膜は炭素原子と水素原子か らな り 、 た と えばポ リ エチ レ ン 樹脂も同様の原子か ら構成される。 しか し、 ポ リ エチレ ンが他のプ ラスチッ ク樹脂と同 じ く 、 酸素、 水蒸気共に透過性を有するのに対 し、 本発明の DLC 膜コ一ティ ング容器ではどち らのガス も透過性 が非常に低い。 本発明者 ら はこの理由については以下のよ う に推測 している。
水素含量が 50 原子% と多い DLC膜は、 密度も 1.2〜 1.3 で低く 、 炭素原子と水素原子がポ リ マー状になっ ている。 この とき DLC 膜 は伸縮性を もっているので容器の伸縮に対してク ラ ッ クが入る こ と はないが、 緻密な膜でないため、 酸素及び水分が透過 しやすいと推 測される。
一般にプラズマ C V D (化学気相成長)法では、 高周波の印加電力 を上げる と負の自己バイ アスが大き く なるが、 負の自己バイ アスが 大き く なる と正イ オンの衝撃を促進する こ と によ り 、 緻密な膜がで きて膜の密度が大き く なる。 また、 成膜時の圧力が低いほど負の自 己バイ アスは大き く なる傾向がある。
高周波の印加電力が下げる と、 十分なバイ アスが与え られずに合 成された DLC 膜は水素やグラ フ アイ ト的な SP2結合を多 く 含み、 ふ わふわ した膜となるため、 膜の密度も小さ い。
膜厚が薄すぎる と、 膜が島状で穴があいている状態であ り 、 全体
を覆わない。 また、 膜厚が厚く な り すぎる と、 膜自体に圧縮応力が 働き、 膜にク ラ ッ クが入 り 剥離 して く る。
従っ て本発明に係る DLC 膜は、 DLC 膜であるか ら と い う 理由で 酸素および水蒸気に対しガスバ リ ア性を有するのではない。 特に組 成、 密度、 膜厚の 3 つの条件を適切化する こ と によ り 得 られる も のである。
こ こで本発明の DLC膜でい う 組成とは、水素原子% と炭素原子% によっ て決定される。 すなわち 、 製造条件よ り 理論上、 水素と炭素 以外の構成原子と して酸素を含む こ とがあ り う る力 その量は非常 に少ない。 酸素原子% は 0.2 原子%以下(X線光電子分光法、 S S X— 100型(S S I 社製))である。 したがって本発明の DLC膜では、 水素原子%が 20 原子%であ るな ら ば、 炭素原子%は近似的に 80 原子%である。
また本発明の DLC膜でいう 密度とは、 かさ密度を意味するので、 膜組成が決まれば必然的に決ま る ものではない。 すなわち、 同組成 でも析出速度を変えればかさ密度や緻密さが変わるため、 ガスバ リ ァ性に影響が及ぶ。
本発明では特に これ ら の 3 つの条件を適切化する こ と によ り 、 本発明の DLC 膜コ一ティ ング容器は得 られたものである。 本発明 では、 適切化するために DLC膜の組成、 密度、 膜厚を指標と した。
実施例で後述するが、 エタ ノ ール蒸気バ リ ァ性の観点か ら、 DLC 膜の 3 つの条件は下記の通 り である。 すなわち 、 組成条件は水素 原子% と しては 10〜 35 原子% 、 好ま し く は、 12〜 30 原子% であ る。 密度条件は 1.6〜 2.2 g Z c m3、 好ま し く は 1.7〜2.1 g Z c m3 であ る。 膜厚条件は 220〜 40θΑ、 好ま し く は、 250〜 37θΑで ある。
また、 揮発性有機溶媒がエタ ノ ールである場合のほか、 メ タ ノ 一 ル、 酢酸ェチル、 ノ ルマルへキサン、 キシ レ ン、 又は トルエンであ
つ ても同様に有機溶媒の蒸気バ リ ア性を有しているので、 揮発性有 機物を含有する液体用のプラスチッ ク容器と して使用できる。
酸素バ リ ァ性の観点か ら、 DLC 膜の 3 つの条件は下記の通 り で ある。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 8〜45 原子% 、 好ま し く は、 10〜40原子%でぁ る。 密度条件は 1.3〜2.2g Z c m3、 好ま し く は 1.4〜 2.0 g Z c m 3 である。 膜厚条件は 150〜 45θΑ、 好ま し く は、 180〜42θΑである。
水蒸気バ リ ァ性の観点か ら 、 DLC 膜の 3 つの条件は下記の通 り である。 すなわち 、 組成条件は水素原子% と しては 10〜40原子% 、 好ま し く は、 15〜35原子%である。 密度条件は l.G S.l g / c m3, 好ま し く は 1.7〜 2.0 g Z c m 3 である。 膜厚条件は 180〜 350人、 好ま し く は、 200〜 32θΑである。
従っ て、 エタ ノ ールの蒸気バ リ ア性、 酸素バ リ ア性及び水蒸気バ リ ア性を兼ね備えた揮発性有機物を含有する液体用のプラスチッ ク 容器を得るためには、 DLC 膜の 3 つの条件を下記のよ う にする こ とで達成される。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 10〜 35 原子% 、 好ま し く は、 15〜30 原子%である。 密度条件は 1.6〜2.1 g Z c m3、 好ま し く は 1.7〜2.0g Z c m3である。 膜厚条件は 220 〜 35θΑ、 好ま し く は、 250〜 32θΑである。
上記の 3 つの条件を満たす場合には、 エタ ノ ールの蒸気透過性 が 0〜 0.06g /容器/月 である こ と を特徴とする揮発性有機物を含 有する液体用のプラスチッ ク容器、 及び、 エタ ノ ール蒸気バ リ ア性 に加えて水蒸気透過性が 0〜0.006 g Z容器 Z 日 で、 かつ、 酸素透 過性が 0〜 0.011m 1 Z容器であ る揮発性有機物を含有する液体用 のプラスチッ ク容器の提供する こ とが出来る。
本発明は、 DLC 膜が内面に形成されてい る プラスチ ッ ク 容器で あっ て、 上記揮発性有機物を含有する液体が、 農薬、 化粧品、 調味 料、 または香料である こ と を特徴とする。
液体農薬と しては、 乳剤、 液剤、 水和剤および懸濁乳化剤があ り 、 本発明の容器はこれら を充填する場合に使用できる。
乳剤とは水に溶けに く い有効成分を溶媒に溶か し、 乳化剤を加え て製剤化した ものであ り 、 主剤を 20〜 75 %含有 してい る。 溶媒と しては溶解性、 安全性、 経済性な どを考慮して選択、 使用 されるが、 キシ レンな どを用いる。 防除効果、 価格などの点で優れ、 果樹作、 野菜作で多く 使用 される剤型である。
液剤とは、 水溶性が高 く 溶媒に溶けに く い成分を水に溶か し、 展 着剤な どを加えたものである。
水和剤とは、 水に溶けに く い有効成分を微粉の担体に吸着または 混合した固形製剤をいい、 粉剤と似ているが、 使用形態は水に懸濁 させて散布する ものである。
懸濁乳剤とは、 乳剤の引火性、 毒性、 水和剤の粉立ち とい う 欠点 を もたない液体施用剤をいい、 固体原体を微粉化し、 液体に分散さ せたス ラ リ ー状の製剤である。 水に分散させた製剤が多く 、 一般に フ ロアブル剤とよばれている。
これ らの農薬は、 ガラス製容器に充填されて使用 されてきたが、 輸送時に割れる危険性がある こ とや使用後の容器内面に残っ た農薬 の処理が面倒である こ となどが問題とされてきた。本発明の容器は、 ガス透過や溶媒透過による農薬品質劣化を抑える こ とはもち ろんの こ と、 それに加えて割れに く く 、 また農薬の使用後に焼却処分がで きるため、 使用後の処理問題が解決できる と い う効果がある。
農薬の有機 リ ン剤、 カーバメー ト 系殺虫剤、 ジチォカーバー ト系 殺菌剤は、 水や酸素の存在下で分解する。 これらの農薬に対して本 発明の容器は、 酸素と水蒸気バ リ ア性があるため品質劣化を抑え、 使用後は焼却処分ができる とい う利点がある。
農薬と しては、 除虫菊か らのプレ ト リ ン、 ニコチン、 D D T 、 B H C 、 ド リ ン剤、 ダイ アジノ ン、 マ ラ ソ ン、 N A C 、 M T M C 、 M
I P C , プラス トサイ ジン、 カスガマシシン、 ジネブ、 マ ンネブ、 I B P、 E D D P、 臭化メチル、 ク ロ ロ ピク リ ン、 T P N、 キヤ プ タ ン、 べ ノ ミ ル、 2, 4— P A、 M C P 、 I P C 、 ノ ーノ ン、 D C M U、 リ ニュ ロ ン、 ベンスルフ ロ ンメチル、 D C P A、 ァ ラ ク ロ一 ル、 シマジン、 シメ ト リ ン、 C N P 、 ク ロ メ ト キシェル、 パラ コ一 ト 、 ト リ フルラ リ ン、 ダリ ホサー 卜が挙げられる。
本発明の容器は有機溶媒、 例えばエタ ノ ールバ リ ア性を有するの で、 エタ ノ ール等を含む化粧水等に使用する こ とができる。
本発明の容器は酢酸蒸気バ リ ア性を有するので、 液体調味料、 例 えば臭気の強い食用酢について使用する こ とができる。
本発明の容器は香気成分バ リ ア性を有するので、 液体香料につい て使用する こ とができる。
本発明は、 DLC 膜が内面に形成されている プラスチ ッ ク容器で あっ て、 そのプラスチッ ク容器が、 ポ リ エチ レ ンテ レフ夕 レー ト樹 脂で形成されている ものを包含する。 プラスチッ ク は、 ポ リ エチ レ ンテ レフ タ レ一 ト樹脂、 ポ リ エチ レ ン樹脂、 ポ リ プロ ピ レ ン樹脂、 ポ リ スチレ ン樹脂、 シク ロォ レフ ィ ンコポ リ マ樹脂、 ポ リ エチレ ン ナフ 夕 レー ト樹脂、 エチレ ン一 ビニルアルコール共重合樹脂、 ポ リ _ 4ー メ チルペンテン一 1 樹脂、 ポ リ メ 夕 ク リ ル酸メチル樹脂、 ァ ク リ ロニ ト リ ル樹脂、 ポ リ 塩化ビニル樹脂、 ポ リ 塩化ビニ リ デン樹 月旨、 アタ リ ロニ ト リ リレースチレ ン樹脂、 アク リ ロニ ト リ ル一 ブ夕 ジ ェンースチ レン樹脂、 ポ リ ア ミ ド樹脂、 ポ リ ア ミ ドイ ミ ド樹脂、 ポ リ アセタール樹脂、 ポ リ カーボネー ト樹脂、 ポ リ ブチレ ンテ レフ夕 レー ト樹脂、 アイ オノ マ樹脂、 ポ リ スルホン樹脂、 または、 4 弗化 エチ レ ン樹脂がよいが、 ポ リ エチレ ンテ レフ 夕 レー トがよ り 好ま し く 、 ポ リ エチ レンテ レフ夕 レー ト製容器に DLC 膜を形成させた時 に、 優れた性能を発揮する。
図面の簡単な説明
図 1 は、 本発明に係る揮発性有機物を含有する液体用のプラス チッ ク容器の製造装置の一実施形態を示す図である。 図中の 1 は 基台、 1 Aは排気口、 2 は肩部電極、 3 は胴部電極、 4 は底部電極、 5 はプラスチッ ク容器、 6 は絶縁体、 7 は O リ ング、 8 は整合器、 9 は高周波発振器、 10 は収納部、 11 は内電極、 12 は管路を示す。 発明を実施するための最良の形態
まず、 本発明の D L C 膜コーティ ングプラスチッ ク容器の製造実 施形態について説明する。
図 1 は、 本装置の電極構成等を示す図である。 図 1 に示すよ う に、 本装置は基台(1 )と、 基台(1)に取 り付けられた肩部電極(2)およ び胴部電極(3)と、 胴部電極(3)に対して着脱可能とされた底部電極 (4)とを備える。 図 1 に示すよう に、 肩部電極(2)、 胴部電極(3)およ び底部電極(4)は、 それぞれプラスチッ ク容器(5 )の外形に即した形 状の内壁面を有する。 肩部電極(2)はプラスチッ ク容器(5)の肩部に、 胴部電極(3)はプラスチッ ク容器(5)の胴部に、 底部電極(4)はプラス チッ ク容器(5)の底部に沿って、 それぞれ配置される。 肩部電極(2)、 胴部電極(3)および底部電極(4)は、 本装置の外電極を構成する。
底部電極(4)を胴部電極(3)に対して取 り つけたとき、 基台(1)、 肩 部電極(2)、 胴部電極(3)および底部電極(4)は、 互いに気密的に取り 付け られた状態となる。 これら はプラスチッ ク容器(5)を収納する 収納部(10)を備える真空チヤ ンバと して機能する。
図 1 に示すよう に、 肩部電極(2)および胴部電極(3)の間には絶縁 体(6)が介装され、 これによ り肩部電極(2)と胴部電極(3)とが互いに 電気的に絶縁されている。 また、 胴部電極(3)と底部電極(4)との間 には〇 リ ング(7)が介装され、 底部電極(4)が取 り 付けられた場合に 底部電極(4)と胴部電極(3)との問にわずかな間隙が形成される。 こ
れによ り底部電極(4)と胴部電極(3)との間の気密性を確保しつつ、 両電極間を電気的に絶縁するよ う に している。
収納部(10)には内電極(11)が設け られてお り 、 内電極(11 )は収納 部(10)に収容されたプラスチッ ク容器(5)の内部に挿入される。 内 電極(11 )は電気的にグラ ン ド電位に接続されている。
内電極(11)は中空形状(筒状)に形成される と と もに、 その下端に は内電極(11)の内外を連通させる 1 つの吹き出し孔(不図示)が形成 されている。 なお、 吹き出し孔を下端に設ける代わり に、 内電極(11) の内外を放射方向に貫通する複数の吹き出し孔(不図示)を形成 して もよい。 内電極(11)には内電極(11 )の内部と連通される管路(12 )が 接続されてお り 、 管路(12)を介して内電極(11)内に送り込まれた原 料ガスが、 こ の吹き出 し孔を介してプラスチッ ク容器 5 内に放出 できるよう構成されている。 なお、 管路(12)は金属製であ り導電性 を有する。 図 1 に示すよう に、 管路(12)を利用 して内電極(11 )がグ ラ ン ド電位に接続されている。 また、 内電極(11)は管路(12 )によ り 支持されている。
図 1 に示すよう に、 底部電極(4)には整合器(8)を介して高周波発 振器(9)の出力端が接続されている。 高周波発振器(9)はグラ ン ド電 位との間に高周波電圧を発生させ、 これによ り 内電極(11 )と底部電 極(4)と の 間 に高周波電圧が印加 さ れる 。 高周波電源 と し て 、 1 3 . 5 6MH z の周波数のものを使用する。 以下皆な同じである。
次に、 本装置を用いてプラスチッ ク容器(5)の内壁面に DLC 膜を 形成する手順を説明する。
プラスチッ ク容器(5)はその底部が底部電極(4)の内面に接触する よ う にセ ッ ト され、 底部電極(4)が上昇する こ と によ り 、 プラスチ ッ ク容器(5)は収納部(10)に収納される。 このとき収納部(10)に設け られた内電極(11)が、 プラスチッ ク容器(5)の口(上端の開 口)を介し てプラスチッ ク容器(5)の内部に挿入される。
底部電極(4)が所定の位置まで上昇 して収納部(10)が密閉 された と き、 プラスチッ ク容器(5)の外周は肩部電極(2)、 胴部電極(3)およ び底部電極(4)の内面に接触 した状態 となる。 次いで、 不図示の真 空装置によ り 、 収納部(10)内の空気が基台(1 )の排気口(1 A )を介 し て排気される。 収納部(10)内が必要な真空度に到達する まで減圧さ れた後、 管路(12)を介 して送 られた原料ガス(例え ば、 脂肪族炭化 水素類、 芳香族炭化水素類等の炭素源ガス)が、 内電極(11 )の吹き 出 し孔か ら プラスチッ ク容器(5)の内部に導入される。
原料ガス の濃度が所定値になっ た後、 高周波発振器(9)を動作 さ せる こ と によ り 内電極(11 )と外電極と の間に高周波電圧が印加され プラスチ ッ ク 容器(5)内にプラ ズマが発生する。 これによ つ て、 プ ラスチッ ク容器(5)の内壁面に D LC膜が形成される。
すなわち、 このプラスチッ ク容器(5 )の内壁面における D LC 膜の 形成は、 プラズマ C V D法によ っ て行われ、 外電極と内電極(11 )と の間に発生したプラズマによっ て絶縁されている外電極の内壁面に 電子が蓄積して、 所定の電位降下が生じる。
これによつて、 プラズマ中に存在する原料ガスである炭化水素の 炭素および水素がそれぞれプラスにイ オン化される。 そ して内壁面 に蓄積した電子との間の静電引力によ り 外電極の内壁面に沿って延 びる プラ スチ ッ ク 容器(5)の内壁面に引き寄せ られて ラ ンダム に衝 突し、 近接する炭素原子同士や炭素原子と水素原子との結合、 さ ら に一旦は結合 していた水素原子の離脱(スパ ッ タ リ ング効果)によつ て、 プラスチッ ク容器(5)の内壁面に極めて緻密な D L C 膜が形成さ れる。
こ こで、 胴部電極(3)および肩部電極(2)に印加される高周波電力 は底部電極(4)に印加される高周波電力 よ り も小さ な も の となる。 ただし、 底部電極(4)と胴部電極(3)との間、 および胴部電極(3)と肩 部電極(2)と の間は、 それぞれの間隙を介 して容量結合 しているた
め、 胴部電極(3)および肩部電極(2)に対してもある程度の高周波電 力が印加される。
一般に、 ボ トル等のプラスチッ ク容器の底部はその形状が複雑で あ り 、 D L C膜の膜厚、 組成、 および密度が均一に形成されにく い。 このため、 D L C 膜を形成した後であっても、 容器の底部のガスバ リ ァ性が低く な りがちである。
これに対して、 上記実施形態の製造装置によれば、 プラスチッ ク 容器の底部に対し胴部や肩部よ り も大きな高周波電力を印加する こ とができるので、 ボ トル全体に所望の膜厚、 組成、 及び密度の DLC 膜を均一に形成する こ とが可能であ り 、 容器全体と してのガスバリ ァ性を効果的に向上させる こ とができる。 上記実施形態では、 印加 電力は 800〜 1400Wである。
本発明では、 容器の各部分に応じて必要な大きさの高周波電力を 印加できるよう にすれば良いので、 上記実施形態のみに限定されな い。 例えば肩部電極(2)、 胴部電極(3)および底部電極(4)の各電極に 対して、 それぞれ別個に高周波電力を印加するよう に複数の高周波 発振器を用意してもよいし、 あるいは単一の高周波発振器の出力を 複数の整合器を介してそれぞれの電極に接続するよう に してもよい , 上記実施形態では、 外電極を 3 つの部分に分割する場合を例示 しているが、 外電極を 2 つに分割してもよいし、 4 つ以上の部分に 分割してもよい。 また、 底部に D LC 膜が形成されやすい容器形状 の場合では、 外電極を分割せずに印加する高周波電力の分布を調整 しても良い。
上記実施形態では、 高周波プラズマ C V D法を原理と した製造に ついて説明を した。 上記実施形態では、 ボ トルの形状が複雑でも底 部まで所望の組成、 密度、 膜厚の D L C 膜を生成させる こ とが可能 である。 その生成条件を後述する実施例に示す 3 つの条件に調整 する こ と によ り 、 所望の特性、 すなわち、 (1 )透明性がよ く , 異物
検査に支障をきたさ ない、 (2)内容液、 配合薬剤と化学的に反応し ない、 と い う 基本特性に加え、 (3)香臭気成分のバリ ア性を有し、 (4) 有機溶媒蒸気バ リ ア性を有 し、 (5)水蒸気透過性が少ない、 (6)酸素 透過性が少ない、 等を有する DLC 膜コーティ ングプラスチッ ク容 器を発明する に至っ た。 ただし、 DLC 膜の形成方法は上記実施形 態の方法に限定されない。 た とえば、 マイ ク ロ波プラズマ C V D法 を原理と した製造装置等によっ て DLC膜を形成させてもよい。
本発明では、原則と して実施例に 500m IP E Tの容器(重量 30g 、 肉厚 0.3mm)を用い、 この容器の内表面積は 400 c m2Z容器であ る。 したがっ てガスバ リ ア性は、 容器 1 本あた り につ いて計算 し ている。 こ れを面積(m 2)あた り に換算する場合は、 評価で用 いた 容器の内表面積を勘案して換算すればよい。 なお、 裏蓋か らのガス 透過はほとんどないため、 その面積は考慮に入れない。 ただし こ の 実施例の容器の容量、形状によ り本発明が限定される ものではない。
P E T容器は、 ポ リ エチ レ ンテ レ フ タ レー ト 樹脂(日本ュニぺ ッ ト(株) R T 543 (Intrinsic Viscosity (固有粘度) 0.77))を使用 して成形 した。
一分析法一
ひ)膜厚測定
Tenchol社 alpha-step 500 の触針式段差計で厚みを測定した。
(2)表面積
ボ トル図面か ら CAD によ り 計算 した。 1 本あた り約 400cm2 で ある。
(3)膜重量の測定
P E Tボ トルを細断し、 フ レーク 片を ビーカ に入れ、 常温の 4%
NaOH水で 10 時間反応させ、 DLC 膜を剥離させた。 この溶液をポ リ テ ト ラ フルォロ エチ レ ン製の ミ リ ポア フ ィ ルター(孔径 0.5 )で ろ過し、 105°Cで乾燥させ、 ろ過前後の重量か ら DLC 膜の重量を
求めた。 アルカ リ 溶液は不純物と して残さがあるので、 アルカ リ 溶 液のブラ ンク値も求めて、 DLC膜の重量を補正した。
(4)膜密度の測定
密度は次式か ら計算で求めた。 密度 =重量 ÷ (表面積 X厚み) (5)膜水素原子含量の測定
島津 IBA-9900EREA(elastic recoil detection analysis, 弾性反 跳粒子検出法) を使用 して DLC 膜中の水素原子% (水素原子数の 比率)を測定 した。
1) A . K i m u r a , Y . N a k a t a n i ,K .Y a m a d a ,T . S u z u k i , D i a m o n d R e 1 a t .M a t e r .8(1999)37.
(6)酸素透過度
Modern Control 社製 Oxtran にて 22°C X 60% R Hの条件にて測 定した。
(7)水分透過度
Modern Control 社製 Oxtran にて 40°C X 90% R Hの条件にて測 定した。
(8)ェ夕 ノ ール透過度
500m 1 プラスチッ クポ ト ルに 250m 1 のエタ ノ ールを入れて密 栓した。 その容器を 30°C X R H 60 %の恒温恒湿室に保管し、 1 ヶ 月 後の保存後の蒸発減量を表示した。
一 DLC 膜コ ーティ ング容器の酸素透過性、 水蒸気透過性、 ェ夕 ノ ール透過性を比較するための実施例一
一実施例 1一
アセチ レンガス を原料と して 500m 1 P E T容器内面に上述の装 置を用 いて DLC 膜を形成させた。 表 1 に本発明における DLC 膜 の生成条件を示す。 表 2 に表 1 に対応して DLC 膜の膜厚、 密度、 組成(水素含量と して表示)による容器の諸物性を示す。 コーティ ン グ条件は、 表 1 の実施例 1 に記載したよ う に設定した。 実施例 1
の膜厚、 密度、 組成とその膜物性値を表 2 に示した。
一実施例 2〜 19_
同様に生成した DLC 膜の膜厚、 密度、 組成を変えるため、 表 1 の実施例 2〜 19 のよ う に設定 した。 その と きの酸素透過度、 水蒸 気透過度、 エタ ノ ール透過性の測定値を同様に表 2 に示した。
一参考例 :!〜 13_
実施例の DLC 膜の膜厚、 密度、 組成の 3 つの条件か ら、 参考例 と して条件をずら して DLC 膜を形成させた。 コーティ ング条件は 表 1 の参考例 1〜 13 のよ う に設定した。 そのときの容器の諸物性 を同様に表 2 に示した。
以下余白
【表 1】 実施例 放 高周波電 成雕 ガス流量 厚み 密度 水素 電 力 力 sccm A g/ c md 原 方 W torr 子0 /o 実施例 1 底 800 0. 05 31 180 】 . 6 40 実施例 2 底 800 0. 05 31 350 1. 6 40 実施例 3 底 1200 05 31 180 2. 1 10 実施例 4 底 1200 0. 05 31 350 2. 1 10 実施例 5 底 900 0. 05 31 200 1. 7 30 実施例 6 底 900 0. 05 31 320 1. 7 30 実施例 7 底 1200 0. 05 31 200 2. 0 15 実施例 8 底 1200 0. 05 31 320 2. 0 実施例 9 底 900 0. 05 3Ί 220 1. 6 35 実施例 10 底 900 0. 05 31 350 1. 6 35 実施例 11 底 1200 0. 03 31 220 2. 1 10 実施例 12 底 1200 0. 03 31 350 2. 1 10 実施例 13 底 900 0. 05 31 250 1 . 7 30 実施例 14 底 1200 0. 05 31 250 2. 0 10 実施例 15 底 900 0. 05 31 320 1. 7 30 f
実施例 1 ft 底 1200 0. 05 31 320 2. 0 10 実施例 17 底 1000 0. 07 31 270 1 . 8 26 実施例 18 底 900 0. 05 31 300 1. 6 3 実施例 19 底 1000 0 07 3 J 300 o
丄. 8 26 / 参考例] 底 800 〇. 07 31 150 1. 3 45 参考例 2 U. U 45U z . z o o 参考例 3 底 1300 0. 03 31 400 2. 2 8 参考例 4 底 1100 0. 05 31 100 1 . 9 20 参 例 5 底 1100 0. 05 31 500 1. 9 20 参考例 6 底 800 0. 07 31 300 1 . 2 48 参考例 7 底 1400 0. 03 31 250 2. 3 6 参考例 8 底 1300 0 03 31 50 2. 2 8 参考例 9 底 1300 0. 03 31 100 2. 2 8 参考例 10 底 1300 0. 03 31 300 2. 2 8 参考例 11 底 800 0. 07 31 450 1. 3 45 参考例 12 (P 底 31 0
ET単独)
参考例 1 3 (P 底 1 0
P単独)
【表 2】 実施例 厚み 密度 組成 透過度及び評価
水素 酸素 水蒸気 ェタメ-ル 原子
A % mlZ容器/ 評 g 容器 評 gノ容器 p
c m 曰 価 ノ曰 価 Z月 価 実施例 1 180 1. 6 40 0. 004 〇 0. 006 〇 0. 12 X 実施例 2 350 1. 6 40 0. 004 〇 0. 006 〇 0. 10 X 実施例 3 180 2. 1 10 0. 007 〇 0. 005 〇 0. 11 X 実施例 4 350 2. 1 10 0. 006 〇 0. 006 〇 0. 05 〇 実施例 5 200 1. 7 30 0. 004 ◎ 0. 003 ◎ 0. 10 X 実施例 6 320 1. 7 30 0. 004 ◎ 0. 003 ◎ 0. 02 ◎ 実施例 7 200 2. 0 15 0. 003 ◎ 0. 003 ◎ 0. 09 X 実施例 8 320 2. 0 15 0. 003 ◎ 0. 003 ◎ 0. 03 ◎ 実施例 9 220 1. 6 35 0. 004 ◎ 0. 006 〇 0. 04 〇 実施例 10 350 1. 6 35 0. 004 0. 006 〇 0. 05 〇 実施例 11 220 2. 1 10 0. 005 〇 0. 005 〇 0. 04 〇 実施例 12 350 2. 1 12 0. 006 〇 0. 006 〇 0. 03 ◎ 実施例 13 250 1. 7 30 0. 004 ◎ 0. 003 ◎ 0. 02 ◎ 実施例 14 250 2. 0 10 0. 003 ◎ 0. 004 〇 0. 04 〇 実施例 15 320 1. 7 30 0. 003 ◎ 0. 002 ◎ 0. 02 ◎ 実施例 16 320 2. 0 10 0. 003 ◎ 0. 004 〇 0. 05 〇 実施例 17 270 1. 8 26 0. 002 ◎ 0. 002 ◎ 0. 01 ◎ 実施例 18 300 1. 6 35 0. 003 ◎ 0. 006 〇 0. 04 〇 実施例 19 300 1. 8 26 0. 002 ◎ 0 - 003 ◎ 0. 02 ◎ 参考例 1 150 1. 3 45 0. 008 〇 0. 012 X 0. 09 X 参考例 2 450 2. 2 8 0. 01 1 〇 0. 011 X 0. 10 X 参考例 3 400 2. 2 8 0. 008 〇 0. 013 X 0. 1 1 X 参考例 4 100 1. 9 20 0. 019 X 0. 014 X 0. 1 1 X 参考例 5 500 1. 9 20 0. 024 X 0. 015 X 0. 12 X 参考例 6 300 1. 2 48 0. 028 X 0. 015 X 0. 13 X 参考例 7 250 2. 3 6 0. 025 X 0. 018 X 0. 12 X 参考例 8 50 2. 2 8 0. 0 9 X 0. 017 X 0. 16 X 参考例 9 100 2. 2 8 0. 023 X 0. 015 X 0. 14 X 参考例 10 300 2. 2 8 0. 010 〇 0. 012 X 0. 16 X 参考例 11 300 1. 3 45 0. 01 1 〇 0. 011 X 0. 1 1 X 参考例 1 2 0 0. 033 X 0. 020 X 0. 19 X (P ET単
独)
参考例 1 3 0 1. 05 X 0. 006 〇 0. 68 X
( P P 単
独)
エタノール蒸気バリ ァ性の観点から、 DLC 膜の 3 つの条件は下 記の通りである。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 10〜35 原子%、 好ま しく は、 12〜 30 原子%である。 密度条件は 1.6〜2.2 g / c m 好ま し く は 1.7〜 2.1 g Z c m3 である。 膜厚が薄すぎ る と、 膜が島状で穴があいている状態であ り 、 全体を覆わない。 ま た、 膜厚が厚く な りすぎる と、 膜自体に圧縮応力が働き、 膜にク ラ ッ クが入り剥離してく る。 従って、 膜厚条件は 220〜40θΑ、 好ま し く は、 250〜37θΑである。
この 3 つの条件を満たす DLC 膜コーティ ング容器は、 0.06 g / 容器 月以下のエタ ノール蒸気バリ ア性を有する。
酸素バリ ァ性の観点から、 DLC 膜の 3 つの条件は下記の通りで ある。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 8〜45 原子% 、 好ま し く は、 10〜40原子%である。 密度条件は 1.3〜2.2g / c m3、 好ま し く は 1.4〜 2.0 gノ c m 3 である。 膜厚条件は 150〜45θΑ、 好まし く は、 180〜42θΑである。
この 3 つの条件を満たす DLC 膜コーティ ング容器は、 0.011m 1 容器 Z日以下の酸素バリ ア性を有する。
水蒸気バリ ア性の観点から、 DLC 膜の 3 つの条件は下記の通り である。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 10〜40原子%、 好ま し く は、 15〜 35原子%である。 密度条件は 1.6〜2.1 g Z c m3、 好ま し く は 1.7〜 2.0 g Z c m 3 である。 膜厚条件は 180〜 35θΑ、 好ま し く は、 200〜 32θΑである。
この 3 つの条件を満たす DLC 膜コーティ ング容器は、 0.006 g / 容器 Z日以下の水蒸気バリ ァ性を有する。
エタ ノールの蒸気バリ ア性、 酸素バリ ア性及び水蒸気バリ ア性を 兼ね備えた揮発性有機物を含有する液体用のプラスチッ ク容器を得 るためには、 DLC 膜の 3 つの条件を下記のよ う にする こ とで達成 される。 すなわち、 組成条件は水素原子% と しては 10〜 35原子%、
好ま し く は、 15〜30原子%である。 密度条件は 1.6〜2.1g Z c m3、 好ま し く は 1.7〜 2.0 g Z c m 3 である。 膜厚条件は 220〜 35θΑ、 好ま し く は、 250〜32θΑである。
DLC 膜の 3 つの条件を上記のよ う に した場合には、 0.06g Z容 器 Z月 以下のエタ ノ ール蒸気バ リ ア性、 0.011m 1 Z容器 Z日 以下 の酸素バ リ ア性、 かつ 0.006 g Z容器 日以下の水蒸気バ リ ア性を 有する DLC膜コーティ ン グ容器が得 られる。
— プラスチッ ク フ ィ ルムに DLC 膜を形成させ、 酸素透過性、 水蒸 気透過性を比較するための実施例一
特開平 11一 70152号公報によ る と、 水素濃度が 50原子%以下で、 かつ、 酸素濃度が 2〜 20 原子%であるダイ ヤモ ン ド状 DLC 膜が紹 介さ れている。 25 mの二軸延伸ポ リ プロ ピ レ ンの酸素透過度が 17.3m 1 Z m 2Z日 であ り 、 透湿度は 4.5 g / m 2Z日でバ リ ヤ性の 向上も 2 または 3倍程度である。
P E T容器の内面を 12 / m厚の P E Tフ ィ ルムで覆い、 表 1 の 実施例 15 の条件にて DLC 膜を生成させた ときに得られたフ ィ ル ムを実施例 20、 表 1 の 17 の条件にて DLC 膜を生成させたときに 得られたフ ィ ルムを実施例 21 と して、 これら のフ ィ ルムの諸物性 を表 3 に示す。 本発明の 12 mの P E Tフ ィ ルムでは表 3 の実施 例 20、 21 に示す通 り に DLC 膜を形成させなかっ たフ ィ ルムに対 し、 酸素ガスバ リ ア性が約 100 倍、 水蒸気透過性が約 30 倍程向上 した。
以下余白
【表 3 ]
一 D L C 膜コーティ ング容器での化粧水の保存性を比較するための 実施例一
化粧水はエタ ノール( 1 0〜 1 2 % )、 湿潤剤、 香料及び精製水を基本 成分と してお り 、 これに特殊な成分、 たとえば、 収斂剤、 殺菌剤、 水溶性高分子、 メ ン トールな どを添加したものである。 従っ て、 ェ 夕 ノ ールや香料が蒸発 していかないよ う に、 ガラス容器が使用 され てきた。 プラスチッ ク容器では、 エタ ノ ールや香料な どの有機溶媒 蒸気を透過させるので一般的に使用 されていない。
本発明の容器に化粧水を充填 した場合の評価方法は次の と お り である。市販の普通肌用化粧水を 5 0 0 m 1 の各容器に再充填し、 40 °C 7 0 R H %の恒温恒湿の部屋に入れ、 6 か月 保存 した。 官能評価につ いては、 5 人のパネルによ り 、 よい(〇)、 普通(△)、 悪い(X )の 3 段 階評価を行っ た。 表 4 に本発明の揮発性有機物を含有する液体用 のプラスチ ッ ク容器に対する化粧水の保存性評価を示す。 表 1 の 条件で製造した D L C 膜コーティ ング容器の一部について化粧水の 保存性を測定 した。 表 4 に示した実施例番号と参考例番号は、 表 2 の各々 の番号 と一致 し 、 同等の条件で作製 した容器であ る。 表 4 か ら 明 らかなよ う に、 実施例 4、 1 3 は参考例 と比べて、 これ ら の 有機溶媒蒸気や香料に対 しバ リ ァ性を有 していた。
【表 4】
よい (〇)、 普通 (△)、 悪い(X)
一 D LC 膜コーティ ング容器での調味料の保存性を比較するための 実施例 -
P E Tボ トルはガスバ リ ヤ性 (酸素、 炭酸ガス)が良い こ とで醤油 容器に最初に使用 された。 殆どの液体食品 (ビール、 ワイ ンを除く) は、 P E T容器に充填され販売されているが、 P E T容器に入っ た 食酢の商品は見当 ら ない。 食酢は 4〜 5 % の酢酸を含んでお り 、 プ ラスチッ ク容器に充填する と、 食酢の臭気が容器を透過して出て く るか らである。 P E T樹脂よ り ガスバ リ ヤ性や臭気遮断性を有する ナイ ロ ン (メ タキシ レ ンジア ミ ンを用 いたポ リ アミ ド)は、 使用でき る可能性はあるが、 コ ス ト的に高 く 実用化に至っ ていなかっ た。 表 1 の条件で製造した D L C 膜コーティ ング容器の一部について 調味料の保存性を測定 した。 表 5 に本発明の揮発性有機物を含有 する液体用のプラスチッ ク容器に対する調味料の保存性評価を示す 表 5 に示した実施例番号と参考例番号は表 1 の各々 の番号と一致 し、 同等の条件で作製した容器である。
評価方法は次の とお り である。 市販の醤油、 及び市販の食酢を 500 m l 容量の各容器に入れて 30 °C、 70 % R Hに保管し、 初めの 1 週間 は毎日 、 その後は 1 週間 ごと に 5 人のパネルで臭気を評価 した。 3
日以内に臭気が感 じ られる ときは▲、 3〜 7 日 間以内の ときは、 △、 1〜 2 週間以内のときは〇、 2 週間以上のときは◎と した。 表 5 に評 価結果を示す。 DLC を蒸着 した P E Tボ ト ルはガスゾ ' リ ャ性、 香 気バ リ ヤ性が優れてお り 、十分に使用できる こ とが明 らかになっ た。 【表 5】
臭気遮断性の記号;
▲ : 3曰以内、 △ : 3~1週間以内、 〇: 1〜2週間以内、 ©2週間以上
一 DLC 膜コ一ティ ング容器での農薬の保存性を比較するための実 施例一
実施例(有機溶媒減量)
農薬を溶解するために有機溶媒が使用 されるが、 これ ら の有機溶 媒が容器によっては蒸気となっ て容器外に揮散する こ とがある。 そ う なる と環境への影響も問題であ り 、 また農薬の成分変化が生じて 好ま し く ない。 そ こで農薬の溶媒と して広く 使用 される ノルマリレへ キサンの各容器か ら の減少率を測定 し、 本発明の効果を検討した。
使用 した容器の容積は 300m l で、 重量は 31 g であ る。 各容器 の厚さ は、 0.3mm、 内表面積は 300 c m 2であ る。 容器にノ リレマリレ へキサンを 250m l 充填し、 容器の 口部は全て密封した。 30°Cに放 置して一定期間毎に重量を測定し、 ノ ルマルへキサンの減少率を測 定した。 各試験区は 5 連で行い、 結果は 5 連の平均値で示した。 臭気は、 薬品充填 2週間後に容器の外面か ら臭いを嗅ぎ判断した。
5 人のパネルで臭う(X)、 かすかに臭う(△)、 臭わない(〇)の 3 段階 で評価した。
表 1 の実施例 4 の条件にて DLC 膜を生成させた ときの容器を実 施例 22、 表 1 の実施例 13 の条件にて DLC 膜を生成させた と きの 容器を実施例 23、 表 1 の参考例 13 の条件にて DLC 膜を生成させ た ときの容器を参考例 16、 表 1 の参考例 12 の条件にて DLC 膜を 生成させた ときの容器を参考例 17、表 1 の参考例 4 の条件にて DLC 膜を生成させたときの容器を参考例 18 と して、 これらの容器につ いて農薬の保存性評価(ノ ルマルへキサンの減少率)を表 6に示し た。 実施例 22、 23 の結果か ら本発明によっ てノルマルへキサンの減 量を防ぐこ とができる こ とが明 らかになっ た。
【表 6】
2週間後の臭気;臭う (X)、 かすかに臭う(△:)、 臭わない (〇)
30 'て.;で保存
実施例(農薬の安定性)
農薬には酸素や水分の影響によ り 分解する ものがあ り 、 使用する 容器は酸素や水をバ リ ヤ一する ものが望ま しい。 分解しやすい農薬 と してマ ラ ソ ン粉剤(2 %含有、 増量剤タルク)と ジチォカーバメ ー ト系のジネブ水和剤(72 %含有)を選んだ。
使用 した容器の容積は 300m l で、 重量は 31 gであっ た。 各容器 の厚さ は、 0.3m m、 内表面積は 300 c m 2 であ る。 容器に各 50 g
充填し、 口部は全て密封して 40 、 75 % R Hにて 2 ヶ 月 間保管し た後、 農薬の残量を分析した。 マ ラ ソ ン剤はガス ク ロ( F I D )にて 分析した。 またジネブ水和剤は、 酸で分解させ、 その とき生 じる二 硫化炭素をメ タ ノ ールと反応させてキサンテー ト と し、 これを ヨ ウ 素で滴定する方法で分析を行っ た。 各試験区は 5 連で行い、 結果 は 5 連の平均値で示した。
表 1 の実施例 4 の条件にて D L C 膜を生成させたときの容器を実 施例 24、 表 1 の実施例 13 の条件にて D L C 膜を生成させた ときの 容器を実施例 25、 表 1 の参考例 12 の条件にて D L C 膜を生成させ た ときの容器を参考例 19、 表 1 の参考例 4 の条件にて DLC 膜を生 成させたときの容器を参考例 20 と して、 これら の容器について農 薬の安定性評価(分解率)を表 7 に示 した。
マ ラ ソ ン粉剤やジネブ水和剤はプラスチッ ク容器で保管する場合 は分解が著し く 、 安定剤などの添加が必要であるが、 実施例 24、 25 の結果か ら本発明の容器で保管すれば長時間安定であっ た。
【表 7】
4 0で X R Η 7 5 % X 2ヶ月
- D L C 膜コ ーティ ング容器でのエタ ノ ール以外の有機溶媒透過性 を比較するための実施例一
実施例(有機溶媒蒸気の透過率)
有機溶媒と してはエタ ノ ールのほかに、 キシ レン、 メ タ ノ ール、 酢酸ェチル、 トルエ ンについて蒸気透過性比較を行っ た。 使用 した 容器の容積は 300 m 1 で、 重量は 31 g であっ た。 各容器の厚さ は、
0.3 m m、 内表面積は 300 c m 2であ る。 これらの容器に各有機溶媒 を 250m 1 充填した。
表 1 の実施例 13 の条件にて D L C 膜を生成させた と きの容器を 実施例 26、 表 1 の参考例 13 の条件にて D L C 膜を生成させた と き の容器を参考例 21、 表 1 の参考例 12 の条件にて D LC 膜を生成さ せた ときの容器を参考例 22、 表 1 の参考例 4 の条件にて D LC 膜を 生成させた ときの容器を参考例 23 と して、 これら の容器について 有機溶媒蒸気の透過率を表 8 に示した。
表中の P A N とはァ ク リ ロ二 ト リ リレー ア ク リ ル酸アルキルー ブ夕 ジェン共重合体で P E Tよ り ガスバ リ ヤ性や有機溶媒蒸気のバ リ ヤ 性が良 く 、 農薬容器に使用 されている。 P E T単独では不充分でバ リ ャ性向上の必要があっ た。 実施例 26 は、 参考例 2 1〜 23 と比べ て、これらの有機溶媒の蒸気バリ ア性が高い こ とが明 らかとなっ た。 したがって、 香臭気性有機物のフ レーバーバ リ ア性に優れ、 かつ、 エタ ノ ールと同様に上記揮発性有機溶媒のガスバ リ ア性に優れる こ と を特徴とする D L C 膜コーティ ングプラスチッ ク容器を提供でき た。
【表 8】
8 容器 月
産業上の利用可能性
以上のよ う に本発明は、 揮発性有機物を含有する液体、 特に農薬、 香水をはじめ とする化粧品、 酢をはじめ とする調味料、 または香料
等について、 香臭気成分の容器外部への漏洩を極めて少なく したい 液体、 かつ、 有機溶媒のガス透過によ り溶液の濃度変化を防止した い液体、 さ らに酸素や水蒸気の混入による品質劣化を防止したい液 体の充填容器として有用である。
本発明は、 その精神又は主要な特徴か ら逸脱する こ となく 、 他の いろいろな形で実施する こ とができる。 そのため、 前述の実施例は あ らゆる点で単なる例示にすぎず、 限定的に解釈してはならない。 本発明の範囲は、 特許請求の範囲によつて示すものであって、 明細 書本文には、 なんら拘束されない。 さ らに、 特許請求の範囲の均等 範囲に属する変形や変更は、 すべて本発明の範囲内のものである。