明 細 書 複素環式化合物及びそれを有効成分とする抗腫瘍剤 技術分野
本発明は一般式 ( I )
[式中、 X、 Yはいずれも窒素原子、 或いはいずれか一方が窒素原子で他 方が C- R3 (R3は水素原子、 (: C6アルキル、 C,- C6アルコキシ、 C6アルキルチオ、 カルボキシ C,- C6アルキル又は C,- C6アルコキシカル ボニル Cr C6アルキル) を表し、 R,はモルホリノ又はピロリジニル (ヒ ドロキシ d-Ceアルキル、 C,- C6アルキルで 1〜 2置換されていてもよ レ 、 R2はモルホリノ ( 3〜 4の C C 6アルキル、 水酸基又はアミノ じ丄 - C 6アルキルで置換されていてもよく或いはメチレンで架橋されていて もよい)、 チオモルホリノ (メチレンで架橋されていてもよい)、 ピロリジ ニル (C C6アルキル、 ヒドロキシ C C6アルキル、 (: 厂 C6アルコキ シカルボニル、 C 6アルキルカルボニルォキシ又はベンゾィルォキシ で置換されていてもよい)、 アジリジニル (C C 6アルキルで置換されて いてもよい)、 ピペラジニル (モルホリノ力ルポニルで置換されている)、 ァゼチジニル、 ォキサゾリジニル又はパーヒドロォキサゼピニル C6 アルキルで置換されていてもよい) を表す。 ただし、 R,、 R2がいずれも 無置換のモルホリノの場合は、 Yが C- R3であり、 R3が C,- C5アルキル、
c,- c6アルコキシ、 c,- c6ァルキルチオ、 カルボキシ c,- c6アルキル又 は c,- c6アルコキシ力ルポ二ル ,- c6アルキルである。]
で示される S—トリアジン又はピリミジンにベンズィミダゾ一ルが置換し た複素環式化合物又はその薬学的に許容される塩、 並びにその複素環式化 合物を有効成分とする抗腫瘍剤に関する。 背景技術
s —トリアジン [1, 3, 5-トリァジン] 誘導体、 ピリミジン誘導体は、 従 来、 合成樹脂、 合成繊維、 染料又は農薬の各分野で研究され、 数多くの化 合物が合成されている。 また、 医薬の分野では抗腫瘍、 抗炎症、 鎮痛、 鎮 瘗等の各領域で研究され、 特に抗腫瘍剤 ト リ エチレンメ ラ ミ ン (Triethylenemelamine:TEM)のアナ口グとして開発されたへキサメチルメ ラミン (Hexamethylmelamine:HMM)が良く知られている [B. L. Johnson et al. Cancer, 42: 2157-2161 (1978)]。
T EMはアルキル化剤として公知であり、 殺細胞作用に基づく抗腫瘍作 用を持つ s —トリアジン誘導体である。 また、 HMMは既に欧州において 卵巣癌、 肺小細胞癌に対する適応を持つ薬剤として市販されており、 その 固形癌に対する作用が注目されている。
更に、 s —トリアジン誘導体の中には、 殺細胞作用と選択的ァロマテ一 ス阻害作用を併せ持つイミダゾリルー s -トリアジン誘導体があり、 エス トロジェン依存性疾患 (子宮内膜症、 多嚢胞性卵巣症、 良性乳房症、 子宮 内膜癌、 乳癌等) の治療剤として提案されている(P C T国際公開公報 W093/17009)o
しかしながら、 HMMの固形癌に対する抗腫瘍スぺク トルゃ抗腫瘍活性 の強さについてはまだ改善の余地が残されている。 また、 イミダゾリルー
s - トリアジン誘導体については、 殺細胞作用に比べてァロマテ一ス阻害 作用が相当強く、エストロジェン依存性疾患以外の癌患者に応用した場合、 エストロジェンの欠乏による月経異常等の副作用発現につながることも考 えられその応用範囲が限定されることから、 ァロマテース阻害作用を持た ずに固形癌に対して有効な薬剤の開発が望まれていた。 発明の開示
本発明者らは、 HMMの抗腫瘍スぺク トル拡大ゃ抗腫瘍作用の増強を目 的として s— トリアジン及びピリミジン誘導体を鋭意研究した結果、 驚く べきことに、 ベンズイミダゾールの置換した一般式 ( I ) で表される複素 環式化合物がァロマテ一ス阻害作用なしに従来の s— トリアジン誘導体、 ピリミジン誘導体と比べて明らかに強い抗腫瘍作用を有することを見出し て本発明を完成した。
本発明の複素環式化合物は前記一般式 ( I ) で示されるが、 この式中の 各記号の定義に使用する語句の意味と例を以下に説明する。
「C,-C6」 とは限定がなければ炭素数 1〜 6個を有する基を意味する。
「( ,- C6アルキル」 としてはメチル、 ェチル、 n-プロピル、 iso-プロピ ル、 n-ブチル、 tert-ブチル、 n-ペンチル、 n-へキシル等の直鎖又は分枝鎖 状のァルキル基が挙げられる。
「アミノ C,- C6アルキル」 とは、 上記 「C,- Csアルキル」 で定義され る基のいずれかの炭素原子にァミノ基が結合した基を意味する。
「ヒドロキシ C,- C6アルキル」 とは、 上記 「C,- C6アルキル」 で定義 される基のいずれかの炭素原子にヒドロキシ基が結合した基を意味する。
「Cr C6アルキルチォ」 とは、 上記 「C,- C6アルキル」 で定義される 基が結合したチォ基を意味する。
「カルポキシ Ci-Ceアルキル」 とは、 上記 「C ,_Cfiアルキル」 で定義 される基のいずれかの炭素原子にカルボキシル基が結合した基を意味する t rCi-Ceアルコキシ」 としてはメ トキシ、 エトキシ、 n -プロボキシ、 iso- プロポキシ、 n-ブトキシ、 tert-ブトキシ、 n-ペンチルォキシ、 n-へキシル ォキシ等の直鎖又は分枝鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
「C C6アルコキシカルボニル」 とは、 上記 rc,- C6アルコキシ」 で 定義される基が結合したカルボ二ル基を意味する。
「Cr C6アルコキシカルボニル C,- C6アルキル」 とは、 上記 「C,- C6 アルキル」 で定義される基のいずれかの炭素原子に上記 「(: (:6アルコキ シカルボニル」 で定義される基が結合した基を意味する。
本発明の化合物としては、 例えば、 以下の化合物を挙げることができる が、 本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4-モルホリノ -6-(2, 3, 6-卜リメチルモ ルホリノ)- 1, 3, 5-トリァジン
• 2- (ベンズィミダゾール -1_ィル) -4- (trans- 2, 5-ジメチルモルホリ ノ) - 6 -モルホリノ- 1, 3, 5 -トリァジン
• 2- (ベンズィミダゾール -1-ィル) -4- (c is- 2, 5-ジメチルモルホリノ) -6- モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4-モルホリノ- 6-(2, 3, 5, 6-テトラメチ ルモルホリノ) -1, 3, 5-トリアジン
• 2 -(ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4- (2-メチルアジリジン- 1-ィル) -6 -モ ルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) - 4-[(S)- 2-ヒドロキシメチルピロリジ ン-卜ィル] -6-モルホリノ -1, 3, 5 -卜リアジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4, 6-ジ [(S)- 2-ヒ ドロキシメチルピロ
リジン-卜ィル] -1, 3, 5-トリァジン
- 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル)- 4- (4-モルホリノカルボ二ルビペラジ ン- 1 -ィル) -6-モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4- (2-メ トキシカルボニルピロリジン - 卜ィル) -6-モルホリノ- 1,3, 5-トリアジン
• 2 -(2-アミノメチル -5, 6 -ジメチルモルホリノ) - 4 -(ベンズィミダゾ一ル- 卜ィル) -6-モルホリノ- 1, 3, 5 -トリアジン
• 2- (ァゼチジン-卜ィル)- 4- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル)- 6-モルホリノ -1,3,5-トリアジン
• 2 - [2- (3-ァミノプロピル)モルホリ ノ]- 4- (ベンズイ ミダゾール -卜ィ ル) -6-モルホリノ- 1, 3, 5-トリァジン
• 2-[2 -(4-アミノブチル)モルホリノ] -4 -(ベンズィミダゾール-卜ィル) - 6 -モルホリノ- 1, 3, 5-トリァジン
• 2 -(2-ァセトキシメチルピロリジン-卜ィル) -4- (ベンズィミダゾール- 1- ィル) - 6-モルホリノ- 1,3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾール -1-ィル) -4- (2, 5-メタノチオモルホリノ) -6 -モ ルホリノ -1, 3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4-モルホリノ- 6 パーヒドロ- 1,4 -ォ キサゼピン- 4-ィル) - 1, 3, 5-トリァジン
• 2 -(ベンズィミダゾール-卜ィル) -4-モルホリ ノ- 6- (パ一ヒド口- 2-メチ ル- 1,4-ォキサゼピン- 4-ィル) -1,3, 5-トリァジン
• 2- (ベンズィミダゾール -1-ィル) -4-モルホリノ -6 -(1, 3-ォキサゾリジン -3-ィル) -1,3, 5-卜リアジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4- (2-ベンゾィルォキシメチルピロリ ジン- 1-ィル) - 6-モルホリノ- 1, 3, 5-トリァジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4- (2-ヒドロキシモルホリノ)- 6-モル ホリノ- 1,3, 5-トリアジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -5-メチル -4, 6-ジモルホリノビリミジ ン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -5-メチルチオ- 4, 6 -ジモルホリノピリ ミジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -5-ェトキシカルボニルメチル- 4, 6 -ジ モルホリノビリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -5-カルボキシメチル- 4, 6-ジモルホリ ノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4- (trans-2, 3-ジメチルモルホリ ノ) -
5 -メチルチオ- 6-モルホリノビリミジン
- 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -5-メ トキシ -4, 6-ジモルホリノビリミ ジン
• 2- (ァゼチジン- 1-ィル) -4- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -6-モルホリノ ピリミジン
• 2 -(2 -アミノメチル -5, 6-ジメチルモルホリノ) -4- (ベンズィミダゾ一ル- 卜ィル) - 6-モルホリノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール -1-ィル) -4-モルホリノ- 6- (2, 3, 6-トリメチルモ ルホリノ)ピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) - 4- (trans- 2, 5-ジメチルモルホリノ) -
6-モルホリノビリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) - 4 -(cis - 2, 5-ジメチルモルホリノ)-6 - モルホリノビリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -4-モルホリノ- 6- (2, 3, 5, 6-テトラメチ
ルモルホリノ)ピリミジン
• 2 -(ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4- (2-メチルアジリジン- 1-ィル) -6-モ ルホリノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) - 4-[(S)- 2-ヒドロキシメチルピロリジ ン -1-ィル] -6-モルホリノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4, 6-ジ [(S)- 2-ヒドロキシメチルピロ リジン- 1-ィル]ピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4- (4-モルホリノカルボ二ルビペラジ ン -1-ィル) -6 -モルホリノビリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) - 4-(2-メ トキシカルボニルピロリジン - 卜ィル) -6-モルホリノビリミジン
• 2 - [2- (3 -アミノプロピル)モルホリ ノ] -4- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィ ル) -6-モルホリノピリミジン
• 2 - [2-(4-アミノプチル)モルホリノ] - 4- (ベンズィミダゾール-卜ィル) - 6-モルホリノピリミジン
• 2- (2-ァセトキシメチルピロリジン-卜ィル) -4- (ベンズィミダゾ一ル- 1 - ィル)ピリミジン
- 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -4 -(2, 5-メ夕ノモルホリノ) -6 -モルホ リノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -4-モルホリノ- 6- (パーヒドロ- 1,4 -ォ キサゼピン- 4-ィル)ピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4- (2-ベンゾィルォキシメチルピロリ ジン-卜ィル) - 6-モルホリノピリミジン
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル)- 4-モルホリノ -6- (パ一ヒ ドロ- 2 -メチ ル -1, 4-ォキサゼピン- 4 -ィル)ピリミジン
本発明の化合物は、 その構造中に不斉炭素原子を有する場合、 不斉炭素 原子由来の異性体及びそれらの混合物 (ラセミ体) が存在するが、 それら はいずれも本発明の化合物に含むものとする。
又、 本発明の化合物は薬学的に許容される塩として酸付加塩の形体をと つてもよい。 適当な酸付加塩としては、 無機酸塩では例えば塩酸塩、 硫酸 塩、 臭化水素酸塩、 硝酸塩、 リン酸塩等、 有機酸塩では例えば酢酸塩、 シ ユウ酸塩、 プロピオン酸塩、 グリコール酸塩、 乳酸塩、 ピルビン酸塩、 マ ロン酸塩、 コハク酸塩、 マレイン酸塩、 フマル酸塩、 リンゴ酸塩、 酒石酸 塩、 クェン酸塩、 安息香酸塩、 桂皮酸塩、 メタンスルホン酸塩、 ベンゼン スルホン酸塩、 p - トルエンスルホン酸塩、 サリチル酸塩等が用いられる。
[製造工程]
一般式 ( I ) で表される本発明の化合物は、 下記反応式に示されるよう に塩化シァヌル又は 2, 4, 6-トリクロロピリミジン (化合物 I I ) を出発原料 としてべンズイミダゾ一ル (化合物 V )、 R , H (化合物 VI ) 及び R 2H (化 合物 VI I ) を順次反応させることにより製造することができる。
(IV) (I)
(式中、 Rt、 R2、 X、 Yは前記定義に同じ)
以下に各々の製造工程を説明する。
1)中間体 IIIの製造工程(Π
(式中、 X、 Yは前記定義に同じ)
溶媒中、 塩化水素捕捉剤の存在下で、 塩化シァヌル又は 2,4, 6-トリクロ 口ピリミジン (化合物 II) とべンズイミダゾール (化合物 V) を反応させ ることにより中間体 II Iが得られる。
この反応で用いる塩化水素捕捉剤としては、例えば、水酸化ナトリゥム、 水酸化カリウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム、 トリェチルァミン又は
ピリジン等が挙げられ、 溶媒としてはアセトン、 トルエン、 へキサン、 キ シレン、 ジォキサン、 テトラヒドロフラン又はジクロロエタン、 Ν,Ν-ジメ チルホルムアミ ド(DMF)等が挙げられる。
この反応においては、 化合物 II 1モルに対して 0.5〜1.2モルの化合物 Vを 0.5〜 2モルの塩化水素捕捉剤の存在下で— 15で〜一 5°Cの温度で 0.5〜 2時間、 更に室温で 5〜50時間反応させる。
なお、 化合物 Vのべンズィミダゾ一ルを塩化水素捕捉剤として用いるこ ともできる。
2)中間体 IVの製造工程(ii)
(式中、 R,、 X、 Yは前記定義に同じ)
溶媒中、塩化水素捕捉剤の存在下で、前記製造工程(i)で得られた中間体 III と RtH (化合物 VI) を反応させることにより中間体 IVが得られる。 この反応で用いる塩化水素捕捉剤としては、前記製造工程(i)の塩化水素 捕捉剤と同じものが挙げられ、 溶媒としては DMF、 アセトン、 トルエン、 キシレン、 ジクロロェタン、 ジクロロメタン等が挙げられる。
この反応においては、 中間体 III 1モルに対して 0.5〜1.2モルの化合物 VI を 0.5〜 3モルの塩化水素捕捉剤の存在下で— 5 〜 0 の温度で 0.5 〜3時間、 更に室温で 5〜50時間反応させる。
なお、 化合物 VIの R,Hを塩化水素捕捉剤として用いることもできる。
3)化合物 ( I ) の製造工程(iii)
反応式 (iii)
(IV)
(式中、 R,、 R2、 X、 Yは前記定義に同じ)
溶媒中、前記製造工程(ii)で得られた中間体 IVに塩化水素捕捉剤の存在 下、 R2H (化合物 VII) を反応させることにより、 本発明の化合物 ( I ) が得られる。
この反応で用いる塩化水素捕捉剤としては、前記製造工程(i)の塩化水素 捕捉剤と同じものが挙げられ、 溶媒としては DMF、 ジメチルスルホキシド (DMS0)、 キシレン、 ジクロロエタン等が挙げられる。
この反応においては、 中間体 IV 1モルに対して 1〜 5モルの R2H (化 合物 VII) を室温〜 140T:で 0.1〜16時間反応させる。 尚、 塩化水素捕捉剤 の存在下で反応させる場合は、 中間体 IV 1モルに対して 1〜 5モルの塩化 水素捕捉剤を用いる。 なお、 化合物 VIIの R2Hを塩化水素捕捉剤として用 いることもできる。
ただし、 化合物 ( I ) の製造に当たって化合物 VI と化合物 VIIが同一の 場合は、 製造工程(ii)、 (iii)を一段階で行い化合物 ( I ) を得ることがで きる。その場合は、化合物 III 1モルに対して 2〜10モルの化合物 VI又は VIIを用いて一 10°C〜 5 °Cで 0.1〜 5時間反応させ、さらに室温〜 1 2 0 °C で 3〜50時間反応させる以外は前記製造工程(ii)の反応条件に従う。
また、 前記製造工程(0、 (ii), (iii)は、 順序が入れ替わることも可能 であり、 その際の反応条件の変更は当業者にとって自明な範囲で行うこと ができる。
なお、 上記各工程で得られる生成物は必要に応じて通常の方法、 例えば 抽出、 濃縮、 中和、 濾過、 再結晶、 カラムクロマトグラフィー等で分離精 製することができる。
本発明の一般式 ( I ) の化合物の酸付加塩は、 当該技術分野で周知の各 種の方法によって製造することができる。 用いる適当な酸としては、 無機 酸では例えば塩酸、 硫酸、 臭化水素酸、 硝酸、 リン酸等、 有機酸では例え ば酢酸、 シユウ酸、 プロピオン酸、 グリコール酸、 乳酸、 ピルビン酸、 マ ロン酸、 コハク酸、 マレイン酸、 フマル酸、 リンゴ酸、 酒石酸、 クェン酸、 安息香酸、 桂皮酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸、 p — トルェ ンスルホン酸、 サリチル酸等が挙げられる。
次に、 一般式 ( I ) で表される本発明の化合物の抗腫瘍効果を説明する。 なお、 試験 1における被験化合物番号は後記実施例の化合物番号に対応す る。
また、 比較化合物として以下の s — トリアジン系の抗腫瘍剤又はエスト ロジェン依存性疾患治療剤を用いた。
化合物 A : 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1 -ィル) - 4, 6-ジモルホリノ- 1 , 3, 5- 卜リアジン
〔国際公開公報(W093/17009)記載の代表例〕
化合物 B : へキサメチルメラミン(HMM)
化合物 C : ヒドロキシメチルペンタメチルメラミン(HMPMM : H匪の代謝 活性型)
試験 1
HEPES緩衝液(25mM)及びカナマイシン(0. l mg/m l )を加えた RPMI 1640培地 に 10 %牛胎児血清を加えた培養液中で 37°C、 5 %炭酸ガスの条件下で継代 維持した MCF- 7 ヒト乳癌細胞を試験に用いた。 この細胞は培養液にトリプ
シン/ EDTAを加えて単細胞浮遊液とし、 細胞数を 1 ml 当たり 4.0X 104個に 調整した。 また、 被験化合物は DMS0に溶解した後 RPMI 1640培地にて希釈 して濃度を 2.0X 10— 4〜 2.0X 10— 9Mに調整した。
96穴マイクロプレー卜に 1ゥエル当りこの細胞懸濁液 0. lml と試料溶液 を入れ、 5 %炭酸ガス中、 37°Cで 72時間培養した。 種々の試料濃度での増殖阻害度から 50%増殖阻害濃度(GI5D zM)を算出 し、 その結果を下記表 1に示す。 表 1
被験化合物 G 。 ( M) 被験化合物 G 。 化合物 1 1. 7 化合物 2 1 3. 1
化合物 2 2. 0 化合物 2 2 4. 2
化合物 3 2. , 化合物 2 3 2. 9
化合物 4 2. , 0 化合物 2 5 4. 9
化合物 5 7. 9 化合物 2 7 4. 5
化合物 6 5. , 1 化合物 2 8 2. 1
化合物 7 5. , 1 化合物 2 9 1. 1
化合物 9 1. , 5 化合物 A 20
化合物 1 0 6. , 5 化合物 B >100
化合物 1 2 5. , 9 化合物 C >50
化合物 1 8 5. .8 上記試験結果から、 本発明の化合物はヒト乳癌細胞に対して、 公知の比 較化合物 A、 B、 Cに比べ明らかに優れた抗腫瘍作用を有することが判明 した。 なお、 本発明の一般式 ( I ) で がモルホリノ、 R2がメチルが 3 〜 4置換したモルホリノ又はメチルで置換されていてもよいパーヒドロォ キサゼピニルである化合物が、 特に優れた活性を示した。 また、 本発明の化合物はヒト非小細胞性肺癌細胞、 ヒト結腸癌細胞を用 いた in vitro試験においても有効であったため、 各種ヒト固形癌治療への
応用が期待される。
試験 2
急性毒性は BDF,雄性マウス(6週齢、 体重 25 ± 2. 5g)に本発明の化合物 1 7 を 1 %ヒドロキシプロピルセルロース添加の蒸留水にて調整して経口 投与し、 1 4 日間観察して LD5。を求めた。 その結果、 LD5()は 400〜800mg/kg であった。
次に、 本発明の化合物を哺乳類とりわけ人に適用する場合の投与方法、 剤型、 投与量について説明する。
本発明の化合物は経口的又は非経口的に投与可能であり、 経口投与の剤 型としては錠剤、 コーティング錠剤、 散剤、 顆粒剤、 カプセル剤、 マイク 口カプセル剤、 シロップ剤等が、 又非経口投与の剤型としては注射剤 (用 時溶解して用いる注射用凍結乾燥剤を含む)、 坐剤等が使用できる。 これら の剤型の調製は薬学的に許容される賦形剤、 結合剤、 滑沢剤、 崩壊剤、 懸 濁化剤、 乳化剤、 防腐剤、 安定化剤及び分散剤、 例えば乳糖、 白糖、 でん ぶん、 デキストリン、 結晶セルロース、 カオリン、 炭酸カルシウム、 タル ク、 ステアリン酸マグネシウム、 蒸溜水又は生理食塩水を用いて行われる。 投与量は患者の症状、 年齢、 体重等に応じて異なるが、 成人に対する一 日量として 200〜2,000mgを 2〜 3回に分けて投与することができる。 発明を実施するための最良の形態
次に、 本発明化合物の実施例を示し更に具体的に説明するが、 本発明は これに限定されるものではない。
実施例 1 )
2 -(ベンズィミダゾ一ル -レイル)- 4-モルホリノ- 6- (2,3,6-トリメチルモ ルホリノ)- 1 , 3 , 5 -卜リアジン (化合物 1 )
(1) 塩化シァヌル 10.0g(54minol)のアセトン溶液(100ml)を _ 5 °Cに冷却 し、 トリェチルァミン 4.7ml (49i iol)をゆっく り滴下し、 さらにモルホリ ン 7.5g(54mmol)をゆつく り滴下した。 この反応液を同温度で 1時間撹拌し たのち室温で 1時間撹拌した。 反応溶液に水(500ml)を加え、 析出した結晶 を口取し、 少量のアセトンで洗浄し、 乾燥すると、 融点 155°C〜157°Cの 2, 4-ジクロロ- 6-モルホリノ- 1,3,5-卜リアジンを無色結晶として 9.7g (収 率 : 69%) 得た。
(2) 得 ら れた 2, 4-ジ ク ロ ロ -6-モルホ リ ノ - 1, 3, 5- ト リ ア ジ ン 6.0g(25mmol)の DMF 溶液(100ml)を一 5 °Cに冷却し、 無水炭酸力リウム 5g(36mmol)及びべンズイミダゾール 3.0g(35mmol)を加えて 30分間撹拌し た後、 更に室温で 15時間撹拌した。 反応溶液に水(500ml)を加え、 析出し た結晶を口取し、少量のァセトンで洗浄し、乾燥すると、融点 201°C〜203t: の 2- (ベンズイミダゾ一ル-卜ィル) -4-クロ口- 6-モルホリノ- 1,3,5-トリ アジンを無色結晶として 5.2g (収率 : 64%) 得た。
(3) 得られた 2- (ベンズイミダゾ一ル- 1-ィル) - 4-クロ口- 6-モルホリノ- 1,3,5-トリアジン 320mg(l. Ommol)の DMF 溶液(20ml)に、 炭酸カリウム 430mg(3.2mmol) t 2, 3, 6-ト リメチルモルホリン 170mg(l.3關 ol)を加えて 室温で 2時間撹拌した。 反応液を減圧下にて濃縮し、 得た残渣に酢酸ェチ ルと水を加えて振りまぜ、 分離した有機層を水洗したのち無水硫酸マグネ シゥムで乾燥した。 減圧下溶媒を留去し、 残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィ一にて精製することにより題記化合物を無色結晶として 360mg (収率: 88%) 得た。
融点 : 147〜150°C
NMR(CDC13) δ : 1.1-1.5(9H, m), 2.7-3.0(1H, m) , 3.4- 3·6(1Η, m), 3.7- 4.0(8H, m), 4.1-4.3(1H, m) , 4.4-4.7(2H, m) , 7.3-7.4(2H, m) , 7.7-7.9(1H,
m), 8.3-8.4(lH, m) , 8.98(1H, s)
MS m/z: 409 (M+)
実施例 1) と同様にして、 相当する出発原料から下記化合物を製造した。
• 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -4- (trans- 2, 5-ジメチルモルホリノ) - 6 -モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 2)
性状: 無色結晶
融点 : 167〜170°C
NMR(CDC13) δ 1.2-1.4(6H, m) , 2.8-3.0(1H, m), 3.5-4.0(11H, m) , 4.3-4.6(1H, m), 4.7-4.9(1H, m) , 7.3-7.4(2H, m) , 7.8-7.9(1H, m), 8.3-8.4(1H, m), 8.98(1H, s)
MS m/z: 395 (M+)
• 2 -(ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4- (cis- 2,5-ジメチルモルホリノ) -6 - モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 3)
性状 : 無色結晶
融点 : 173〜178。C
NMR(CDC13) δ : 1.31 (3Η, d, J = 6Hz), 1.39(3H, d, J = 6Hz), 3.5-3.7(2H, m) ,
3.8-4.3(11H, m), 4.6- 4.8(1H, m), 7.3-7.4(2H, m), 7.8-7.9(1H, m) , 8.3-8.4(lH, m), 8.98(1H, s)
MS m/z: 395 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4-モルホリノ -6- (2, 3, 5, 6-テトラメチ ルモルホリノ)- 1, 3, 5 -トリアジン (化合物 4)
性状 : 無色結晶
融点 : 154〜156°C
NMR(CDC13) δ 1.2-1.6(12H, m) , 2.8-3.0(1H, m), 3.5-4.0(10H, m) ,
4.6-4.9(1H, m), 7.3-7.4(2H, m), 7.8— 7.9(1H, m) , 8.3-8.4(1H, m) ,
8.98(1H, s)
MS m/z: 413(M+)
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4- [(S)- 2-ヒドロキシメチルピロリジ ン-卜ィル] - 6-モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 6)
性状 : 無色結晶
融点: 108〜110°C
(CDC13) δ: 1.8-2.3(4H, m), 3.6- 4.0(12H, m) , 4.4-4.6(1H, m), 5.0-5.1 (1H, m), 7.3-7.5(2H, m) , 7.8-7.9(1H, m) , 8.4-8.5 (1H, m) , 8,97(1H, s) MS m/z: 381 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) - 4-(4-モルホリノカルボニルピペラジ ン-卜ィル) -6 -モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 7)
性状: 無色結晶
融点 : 230〜 232°C
(CDCI3) δ :3.2-3.5 (8Η, m) , 3.6-4.1 (16H, m) , 7.3-7.5 (2Η, m) , 7.7-7.9(1Η, m), 8.3-8.5(1Η, m) , 8.97(1Η, s)
MS m/z: 479 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール -1-ィル) -4-(2-メ トキシカルボニルピロリジン- 卜ィル) -6-モルホリノ -1,3, 5-トリアジン (化合物 8)
性状 : 無色結晶
融点 : 135〜137°C
(CDCI3) δ :2.0-2.5 (4Η, m), 3.6-4.1 (13H, m), 4.4-4.8(1H, m) , 7.3-7.5 (2H, in), 7.7-7.9(1H, m) , 8.3-8.5(1H, n , 8.9-9.0(1H, m)
MS m/z: 409 (M+)
• 2- (2-ァセトキシメチルピロリジン-卜ィル) -4- (ベンズィミダゾ一ル- 1 - ィル) -6-モルホリノ- 1,3,5 -卜リァジン (化合物 21)
融点 : 83〜85°C
NMR(CDC13) 6 : 2.0-2.2(7H, m) , 3.7-4.0(10H, m) , 4.1-4.3(1H, m) , 4.4-4.5 (1H, m), 4.6-4.7 (1H, m) , 7.3-7.4(2H, m), 7.8-7.9(1H, m) , 8.4-8.5(1H, m), 9.0—9.1 (1H, m)
MS m/z: 423 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4-(2, 5-メ夕ノチオモルホリノ) -6 -モ ルホリノ- 1,3, 5-トリアジン (化合物 22)
融点 : 182〜184°C
匪 R(CDC13) δ : 2.0-2.1 (1H, m) , 2.2-2.4(1H, m), 3.0- 3.3(2H, m), 3.7- 4.0(11H, m), 5.1-5.3 (1H, m) , 7.3-7.4(2H, m) , 7.7-7.9(1H, m) , 8.4- 8.5(1H, m), 8.9-9.0(1H, m)
MS m/z : 395 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール-卜ィル) -4-モルホリノ -6- (パ一ヒ ドロ- 1,4-ォ キサゼピン- 4-ィル) -1,3, 5-トリアジン (化合物 23)
融点 : 200〜204°C
匪 R(CDC13) δ : 2.0-2.2(2H, m) , 3.7-4.0(16Η, m) , 7.3-7.4(2Η, m), 7.8- 7·9(1Η, m), 8.3-8.5(1Η, m) , 8.9- 9.0(1Η, m)
MS m/z: 381 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4-モルホリノ- 6 -(1, 3-ォキサゾリジン - 3 -ィル) -1,3, 5-トリアジン (化合物 24)
融点 : 178〜180。C
NMR(CDC13) δ : 3.7-3.9(10H, m) , 4.1-4.2(2H, m) , 5.1-5.3(2H, brs), 7.3-7.4(2H, in), 7.8-7.9(1H, m) , 8.3- 8.5(1H, brs), 8.9-9.0(1H, brs) MS m/z : 353 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4- (2-ベンゾィルォキシメチルピロリ
ジン- 1-ィル) -6-モルホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 25) 融点 : 132〜135°C ·
NMR(CDC13) 6 : 2.0-2.3 (4H, m), 3.7-4.0(10H, m) , 4.4-4.5(1Η, m) , 4.6-4.9(2Η, m), 7.3-7.7(5Η, m) , 7.7-7.9(1Η, m), 8.0 - 8· 1(2Η, m) , 8.3-8.7(1Η, m), 9.0-9.1 (1Η, m)
MS m/z: 485 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4- (2-ヒドロキシモルホリノ) -6 -モル ホリノ- 1, 3, 5-トリアジン (化合物 26)
融点 : 210〜214°C
NMR(CDC13) δ : 3.7- 3.9(12H, brs), 4.0-4.3(2H, m), 5.0-5.2(1H, brs), 7.2-7.4(2H, m), 7.7-7.8(1H, m) , 8.3-8.4(1H, m), 8.96(1H, s)
MS m/z: 383 (M+)
• 2- (ァゼチジン- 1-ィル) -4- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -6-モルホリノ - 1, 3, 5-トリアジン (化合物 30)
融点 : 155〜161°C
NMR(CDC13) δ : 2.42(2H, quint, J = 8Hz) , 3.7-4.4(12H, m), 7.3-7.4(2H, m) , 7.7-7.8(1H, m), 8.4-8.5 (1H, m) , 8.97(1H, s)
MS m/z: 337 (M+)
実施例 2)
2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -4-モルホリノ- 6- (2,3,6-トリメチル モルホリノ)ピリミジン (化合物 9)
(1) 2,4,6-トリクロロピリミジン 30.5g(167mmol)の DMF溶液(300ml)を一 5 :に冷却し、 炭酸力リウム 40g及びべンズイミダゾ一ル 17.7g(150mmol) を加えて 30分間撹拌した。 この反応溶液を更に室温で終夜撹拌した。 反応 溶液に水 500ml を加え、 析出した結晶を口取した。 得られた粗結晶をシリ
力ゲルカラムクロマトグラフィーにて精製すると、 融点 173°C〜175°Cの 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -4, 6-ジクロロピリミジンを無色結晶とし て 12.8g (収率 : 32%) 得た。
(2) 得られた 2- (ベンズイミダゾ一ル -1-ィル) -4, 6-ジクロロピリミジン
2.08g (7.85mmol)の DMF溶液(30ml)を一 5°Cに冷却し、 無水炭酸カリウム
3.0g(22mmol)及びモルホリン 0.68g(7.85mmol)を加えて 30分間撹拌した。 この反応溶液を更に室温で終夜撹拌し、 減圧下にて濃縮したのち、 残渣に 塩化メチレンと水を加えて振りまぜた。 有機層を分離したのち水洗し、 無 水硫酸マグネシゥムで乾燥後、 濃縮して得られた残渣をシリ力ゲル力ラム クロマトグラフィ一にて精製すると、 融点 n8°C〜181°Cの 2- (ベンズィミ ダゾール- 1-ィル)- 4-ク口口- 6-モルホリ ノ ビリ ミジンを 1.90g (収率 : 77%)得た。
(3) 2- (ベンズイミダゾ一ル- 1-ィル) -4-クロ口- 6-モルホリノピリミジン 318mg(1.0Miol)のジォキサン一水(4:1)溶液(20ml)に、 水酸化ナトリウム 172nig(4.3MIO1)と 2, 3, 6-トリメチルモルホリン 170mg(l.3mmol)を加えて 80°Cで 10時間撹拌した。 反応液を減圧下にて濃縮し、 得た残渣に酢酸ェチ ルと水を加えて振りまぜ、 有機層を分離したのち水洗し、 無水硫酸マグネ シゥムで乾燥した。 減圧下溶媒を留去し、 残渣をシリカゲルカラムクロマ トグラフィ一にて精製することにより、 題記化合物を無色結晶としそ 330mg (収率 : 81%) 得た。
性状 : 無色結晶
融点 : 172〜175°C
NMR(CDC13) δ : 1.2-1.4(9H, m), 2.8-3.0(1H, m) , 3.6-3.7(4H, m), 3.8- 3.9(4H, m), 3.9-4.3(4H, m) , 5.44(1H, s), 7.3-7.4(2H, m) , 7.7-7.9 (IK, m), 8.3— 8.4(1H, m) , 8.96(1H, s)
MS m/z : 408 (M+)
実施例 2) と同様にして、 相当する出発原料から下記化合物を製造した。
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -4-(2-メチルアジリジン-卜ィル) -6-モ ルホリノピリミジン (化合物 5)
性状 : 無色結晶
融点: 174〜176°C
NMR(CDC13) δ 1.44(3H, d, J = 6Hz), 2.19(1H, d, J=4Hz), 2.43(1H, d, J = 6Hz), 2.5-2.6(1H, m) , 3.6-3.9 (8H, m), 5.92(1H, s) , 7.3-7.5(2H, m) , 7.8-7.9(1H, m), 8.4-8.5(1H, m) , 8.97(1H, s)
MS m/z : 336 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル)- 5-メチルチオ- 4, 6-ジモルホリノピリ ミジン (化合物 10)
性状: 無色結晶
融点 : 169〜170°C
(CDC13) δ 2.23 (3Η, s), 3.7-4.0(16H, m) , 7.3-7.5 (2Η, m) , 7.7-7.9(1Η, m), 8.3-8.5(1Η, m) , 8.94(1Η, s)
MS m/z : 412(M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -5-メチル -4, 6-ジモルホリノピリミジ ン (化合物 11)
性状: 無色結晶
融点 : 211〜212°C
(CDCI3) δ : 2.15(3H, s), 3.4-3.6(8H, m) , 3.8-3.9 (8H, m), 7.3-7.5 (2H, m), 7.7-7.9(1H, m) , 8.3-8.5(1H, m) , 8.98(1H, s)
MS m/z: 380 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4, 6-ジ [(S)- 2-ヒドロキシメチルピロ
リジン-卜ィル]ピリミジン (化合物 12)
性状: 無色結晶
融点 : 130〜133。C
(CDC13) δ : 1.8- 2.2(8H, m), 3.3-3.6 (4H, m) , 3.6-3.9 (4H, m) , 4.0-4.3(2H, m), 4.3-4.6(2H, m) , 5.06(1H, s), 7.3-7.5 (2H, m) , 7.76(1H, d, J = 7Hz), 8.40(1H, d, J = 7Hz), 8.84(1H, s)
MS m/z: 394 (M+)
• 2 -(ベンズィミダゾ一ル -1-ィル) -5-ェトキシカルボニルメチル -4, 6 -ジ モルホリノピリミジン (化合物 13)
性状 : 無色結晶
融点 : 183〜184°C
(CDCI3) (5 :1.24(3H, t, J = 7Hz), 3.3-3.5 (8H, m), 3.56 (2H, s), 3.8- 3.9(8H, m), 4.17(2H, q, J = 7Hz), 7.3-7.4(2H, m) , 7.8-7.9(1H, m) , 8.4-8.5(1H, m), 8.99(1H, s)
MS m/z: 452 (M+)
• 2 -(ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -5-力ルポキシメチル- 4,6-ジモルホリ ノビリミジン (化合物 14)
性状: 無色結晶
融点 : 278〜282°C
(CDCI3) δ : 3.2-3.4(8H, m) , 3.66 (2Η, s), 3.7-3.9 (8Η, m), 7.3-7.5 (2H, m) , 7.7-7.9(1H, m), 8.3-8.5(1H, m) , 8.67(1H, s)
MS m/z: 424 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -4- (trans- 2,3-ジメチルモルホリノ) - 5 -メチルチオ- 6-モルホリノピリミジン (化合物 15)
性状 : 無色結晶
融点 : 78〜80°C
(CDCI3) δ : 1.20(3H, d, J = 7Hz), 1.29(3H, d, J = 7Hz), 2.22(3H, s), 3.4-3.6(1H, m), 3.7-4.1 (12H, m), 4.3-4.5(1H, m) , 7.3-7.5 (2H, m) , 7.8-7.9(1H, m), 8.3-8.5(1H, m) , 8.93(1H, s)
MS m/z: 440 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -5-メ トキシ- 4, 6-ジモルホリノビリミ ジン (化合物 16)
性状 : 無色結晶
融点: 158〜159°C
(CDCI3) δ : 3.65 (3Η, s), 3.7-3.8(8H, m) , 3.8-3.9 (8H, m), 7.3-7.5 (2H, m), 7.7-7.9(1H, m) , 8.3-8.5 (1H, m) , 8.89(1H, s)
MS m/z: 396 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル) -4- (2, 5-メタノモルホリノ) -6 -モルホ リノピリミジン (化合物 27)
融点 : 212〜214。C
NMR(CDC13) δ : 1.9-2.1 (2Η, m) , 3.4-4.0(13Η, m) , 4.76(1Η, s), 5.22(1Η, s), 7.2-7.4(2Η, m), 7.81 (1Η, d, J = 6Hz), 8.42(1Η, d, 6Ηζ), 8.98(1Η, s)
MS m/z : 378 (M+)
• 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) -4-モルホリノ -6- (パ一ヒ ドロ- 1, 4 -ォ キサゼピン- 4-ィル)ピリミジン (化合物 28)
融点 : 174〜176°C
NMR(CDC13) δ :2.0-2.1 (2Η, m) , 3.6-3.9(16H, m) , 5.39(1H, s), 7.3-7.4(2H, ni), 7.8-7.9(1H, m), 8.3-8.5(1H, m), 8.96(1H, s)
MS m/z: 380 (M+)
• 2 -(ベンズィミダゾール- 1-ィル) -4 -モルホリ ノ -6- (パーヒ ドロ- 2-メチ ル- 1, 4-ォキサゼピン- 4-ィル)ピリミジン (化合物 29)
融点 : 110〜115°C
NMR(CDC13) δ : 1.2-1.3(3H, m) , 2.0-2.2(2H, m) , 3.0-3.1 (1H, m) , 3.6- 4.1 (14H, m), 5.39(1H, s), 7.2-7.3(2H, m), 7.8-7.9(1H, m) , 8.3-8.4(1H, m), 8.96(1H, s)
MS m/z: 394 (M+)
実施例 3)
2-[2- (3 -ァミ ノプロピル)モルホリ ノ] -4 -(ベンズィミダゾール-卜ィ ル)- 6 -モルホリノ- 1,3, 5-トリアジン塩酸塩 (化合物 17)
2- (ベンズィミダゾ一ル- 1-ィル)- 4- [2-(3- tert-ブトキシカルボニルァ ミ ノ プロ ピル) モルホ リ ノ ] -6-モルホ リ ノ - 1, 3, 5- ト リ ァ ジ ン 260mg(0.5mmol)を、 4N塩酸ジォキサン溶液 2 ml 中、 室温で 1時間撹拌した。 溶媒を留去した後、 エーテルを 5ml加え、 析出した結晶を口取しエーテル 10mlで洗浄し、 題記化合物を無色結晶として 200mg (収率 : 95%) 得た。 性状: 無色結晶
融点 : 165〜170。C
(D20) δ : 1.4-1.8(6H, m) , 2.4- 4.8(15H, m), 7.2-7.4(2H, m), 7.5-7.6(1H, m), 7.8-8.0(1H, m) , 9.07(1H, s)
MS m/z: 425 [M+1] +
実施例 3) と同様にして、 相当する出発原料から下記化合物を製造した。
• 2- [2-(4-アミノプチル)モルホリノ] -4- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) - 6-モルホリノ -1,3, 5-トリアジン塩酸塩 (化合物 18)
性状 : 無色結晶
融点 : 142〜148°C
(D20) δ : 1.5-1.8(6H, m) , 2.6-4.5(17H, m) , 7.3-7.7(3H, m) , 7.9-8.1 (1H, m), 9.28(1H, s)
MS m/z: 439 [M+l] +
• 4 - [2 -(4-アミノプチル)モルホリノ]- 2- (ベンズィミダゾ一ル-卜ィル) - 6 -モルホリノピリミジン塩酸塩 (化合物 19)
性状 : 無色結晶
融点 : 200〜208°C
(D20) δ : 1.4-1.9(6H, m), 2.6- 4.1(17H, m) , 5.41 (1H, s), 7.4- 7.6 (2H, m), 7.7-7.8(1H, m), 8.0-8.1 (1H, m) , 9.43(1H, s)
MS m/z: 438 [M+l] +
• 2-(2-ァミノメチル -5, 6-ジメチルモルホリノ)- 4 -(ベンズィミダゾール- 卜ィル) -6-モルホリノ- 1,3, 5-トリアジン塩酸塩 (化合物 20)
性状 : 無色結晶
融点 : 173〜175。C
(D20) δ : 1.15(6H, t, J = 6Hz), 2.8-2.9(1H, m) , 3.0-3.1 (1H, m) , 3.3- 3.5(1H, m), 3.5-3.7(9H, m) , 3.9-4.2 (3H, m) , 7.2-7.4(2H, m) , 7.4- 7.6(1H, m), 7.8-8.0(1H, m) , 9.02(1H, s)
MS m/z: 425 [M+l] + 産業上の利用可能性
本発明の化合物は、 ァロマテース阻害作用なしに従来の s - トリアジン 誘導体、 ピリミジン誘導体と比べて明らかに強い抗腫瘍作用を有し、 固形 癌の治療に応用できる。