明 細 書 電力給電装置、 電力受電装置、 電力伝送システム、 電力伝送方法、 携帯機器お よび時計装置 技 術 分 野
技
この発明は、 電力を伝送するのに好術適な電力給電装置、 電力受電装置、 電力伝 送システム、 電力供給方法、 携帯機器および時計装置に関する。
腕時計タイプなどの小型の電子時計では、 小型の一次電池、 計時回路、 および 運針機構を内蔵し、 一次電池からの電力によつて計時回路や運針機構を駆動する のが一般的である。 しかし、 一次電池を内蔵する電子機器は、 電池の交換の手間 や電池の廃棄といった問題が伴う。
このため、 電子機器において、 充電可能な二次電池を内蔵し、 二次電池に充電 するための給電端子を電子時計の外装に設けることも考えられる。
しかしながら、 電子機器の外装に給電端子を設けると、 その端子電極が腐食す るといった問題がある。 特に、 電子時計のように人の腕にベルトで巻き付けて使 用するものは、 使用者の汗や水濡れによって給電端子が腐食し易い。 このため、 充電の信頼性が低下するといつた問題がある。 くわえて、 端子電極が露出してい る電子機器の形態では防水化が困難である。
また、 端子電極からノイズが電子機器の内部回路に混入し、 電子機器が誤動作 するおそれがある。 例えば、 電子時計を巻き付けた腕の手で携帯電話機を使用す る場合などでは、 携帯電話機から放射される電磁波が給電端子を介してノイズと して電子時計に入り、 誤動作を引き起こすおそれがある。 なお、 データ入出力端 子を備えデータを入出力可能な電子機器では、 ノイズの混入という点において、 同様の問題がある。
また、 電池廃棄の問題を解決するため、 外部から電磁波を電子時計に照射し、 電子時計の内部でこれを受信し、 受信した電磁波を電力に変換するシステムが考 えられる。 しかし、 金属には電磁波をシ一ルドする効果があるため、 このシステ ムでは、 電子機器の筐体部分に金属を使用できないといった問題がある。
また、 二次電池を内蔵した携帯電話機に対して充電する充電器は、 携帯電話機 よりも大きく、 さらに商用電源から給電を受けて二次電池を充電するための電圧 を発生していたので、 手軽に充電することができないといった問題があった。 発明の開示 本発明は、 上記した背景の下になされたもので、 振動を媒介して電力をを給電 する電力給電装置、 電力給電装置からの振動によって給電を受ける電力受電装置 を提供することを目的とする。 また、 本発明の他の目的は、 データを振動を用い て伝送することにある。
本発明に係る電力給電装置は、 電力を振動に変換して電力受電装置に伝送するも のであって、 前記電力受電装置に接触する接触面と加振を受ける加振面とを有す る加振体と、 前記加振体の加振面を加振するァクチユエ一夕と、 電力を給電する 電源と、 電源から給電を受けて、 前記ァク千ユエ一夕を駆動する駆動信号を出力 する駆動回路とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、 電力給電装置は電力を振動に変換して電力受電装置に出力 する。 したがって、 電力給電装置に給電のための端子電極を設ける必要がないか ら、 端子電極の腐食や端子電極から混入するノイズを根本的に解決できる。 ここで、 前記ァクチユエ一夕は圧電素子を備えることが望ましい。 圧電素子は 薄型化できるので、 装置の小型化に適している。 また、 前記ァクチユエ一夕は前 記加振体を縦振動、 すなわち前記接触面に対して直角方向に振動させるさせるも のであっても良い。 また、 前記ァクチユエ一夕は、 前記加振体をねじれ振動させ るものであってもよい。
さらに、 加振体は、 当該電力給電装置の筐体の一部であってもよい。 この場合 には、 筐体を形成する際に加振体を同時に形成することができるので、 電力給電
装置の部品数を削減することができる。
また、 本発明に係る電力受電装置は、 装置の揺れにより変位する振動体と、 前 記振動体の変位を電力に変換する変換器と、 この変換器によって得られた電力を 蓄電する二次電池とを備えることを特徴とする。 この発明によれば、 電力受電装 置に受電のための端子電極を設ける必要がないから、 端子電極の腐食や端子電極 から混入するノイズを根本的に解決できる。 また、 二次電池に伝送された電力を 蓄電することができるので、 電力の伝送が終了した後にもそこから電力を取り出 して使用することができる。
ここで、 前記変換器は、 圧電素子を備え、 当該圧電素子が変位することにより 発生する電圧を電力として取り出すことが望ましい。 また、 前記振動体と前記変 換器とは、 一体として構成されており、 前記変換器は機械的な共振状態で電力を 取り出すものであってもよい。 この場合には、 圧電素子が機械的に大きく変位す るので、 大きな起電圧を圧電素子から取り出すことが可能となる。
また、 前記振動体は、 当該装置の筐体に連結されていてもよい。 さらに、 当該 装置の筐体の一部が振動体であってもよい。 この場合には、 筐体を形成する際に 振動体を形成することができるので、 部品数を削減することができる。
また、 本発明に係る携帯機器は、 電力受電装置を備え、 前記二次電池から給 電を受けて動作する電力消費部を備えたことを特徴とする。
この携帯機器は、 内壁から突出した凸部を備えた収納体に収納されるものであ つて、 前記凸部が挿入される凹部を備え、 この凹部を前記振動体で構成してもよ い。 くわえて、 この携帯機器は底面の内壁に凹部を備えた収納体に収納されるも のであって、 前記凹部と係合する凸部を当該機器の底面に形成し、 前記振動体が 当該機器の筐体であってもよい。 この場合、 使用者が携帯機器を収納体に収納し て歩行すると、 歩行に伴う振動によって携帯機器が揺れる。 すると、 振動体であ る凹部または筐体自体が振動し、 電力が二次電池に充電される。
また、 本発明に係る時計装置は、 電力受電装置を備えた時計装置であって、 前 記二次電池から給電を受けて時間を計測する計時部を備えたことを特徴とする。 また、 本発明に係る電力伝送システムは、 電力給電装置と電力受電装置とを備 え、 前記加振体の振動を前記振動体に伝達することにより、 前記電力給電装置か
ら前記電力受電装置へ電力を伝送することを特徴とする。
この場合、 前記加振体は、 前記電力給電装置から突出し、 前記電力給電装置を 保持するように構成されていることが望ましい。 この発明によれば、 加振体と保 持体を兼用することができる。
また、前記加振体と前記振動体のうち、 いずれか一方に凹部が形成されており、 他方に凸部が形成されており、 当該凹部と当該凸部とが嚙み合うものであっても よい。 この場合には、 加振体と振動体とを密に結合させることができるので、 振 動を効率よく伝達することができ、 ひいては電力の伝送効率を向上させることが 可能である。
また、 前記振動体と前記変換手段とを総合した固有振動周波数の近傍で前記加 振体が振動するように、 前記駆動回路は前記ァクチユエ一夕を駆動することが好 ましい。 この場合には、 共振を利用して振動を伝達することができるので、 変換 器から大きな電力を取り出すことができる。
また、 前記加振体は間欠的に振動体を励振し、 前記振動体は減衰振動の過程で 電力を取り出すものであってもよい。
また、 本発明に係る電力伝送方法は、 電源、 ァクチユエ一夕および加振体を備 えた電力給電装置から、 振動体を備える電力受電装置へ電力を供給する方法であ つて、 前記電源から給電を受けて、 ァクチユエ一夕を駆動し、 前記ァクチユエ一 夕によって前記加振体を加振し、 前記加振体によって前記振動体を振動させ、 前 記振動体の振動を電力に変換することを特徴とする。 この発明によれば、 振動を 媒介して電力を伝送することができる。
また、 本発明に係る電力伝送方法は、 第 1の圧電素子およびこれに連結される 第 1の振動伝達部材を備えた電力給電装置と、 第 2の圧電素子およびこれに連結 される第 2の振動伝達部材を備えた電力受電装置との間で、 振動を利用して電力 およびデータを伝送する方法であって、 前記第 1の振動伝達部材と前記第 2の振 動伝達部材とを接触させ、 前記電力給電装置から前記電力受電装置へ電力を伝送 する第 1の期間と、 第 1のデータを前記電力給電装置から前記電力受電装置へ伝 送する第 2の期間と、 第 2のデータを前記電力受電装置から前記電力給電装置へ 伝送する第 3の期間とを時分割で実行することを特徴とする。この発明によれば、
電力のみならずデータを相互伝送することができる。
この場合、 前記第 1の期間にあっては、 前記第 1の圧電素子に電圧を印加して 前記第 1の圧電素子を振動させ、 前記第 1の圧電素子によって前記第 1の振動伝 達部材を加振し、 前記第 1の振動伝達部材によって前記第 2の振動伝達部材を振 動させ、 前記第 2の振動伝達部材によって第 2の圧電素子を振動させ、 前記第 2 の圧電素子の起電圧に基づいて電力を取り出し、 前記第 2の期間にあっては、 前 記第 1のデ一夕に応じた電圧を印加して前記第 1の圧電素子を振動させ、 前記第 1の圧電素子によって前記第 1の振動伝達部材を加振し、 前記第 1の振動伝達部 材によって前記第 2の振動伝達部材を振動させ、 前記第 2の振動伝達部材によつ て前記第 2の圧電素子を振動させ、 前記第 2の圧電素子の起電圧に基づいて前記 第 1のデータを再生し、 前記第 3の期間にあっては、 前記第 2のデータに応じた 電圧を印加して第 2の圧電素子を振動させ、 前記第 1の圧電素子によって前記第 1の振動伝達部材を加振し、 前記第 1の振動伝達部材によって前記第 2の振動伝 達部材を振動させ、 前記第 2の振動伝達部材によって前記第 2の圧電素子を振動 させ、 前記第 2の圧電素子の起電圧に基づいて前記第 2のデータを再生してもよ い。 図面の簡単な説明 図 1は、 本発明の第 1実施形態に係る電力伝送システムのブロック図である。 図 2は、 同実施形態に係わる電力伝送システムの機械的な構成を示す断面図で ある。
図 3は、 第 2実施形態に係る電力伝送システムのブロック図である。
図 4は、 同実施形態の第 1モードにおける動作を説明するためのタイミングチ ヤートである。
図 5は、 同実施形態に係わる第 2モードにおける動作を説明するための夕イミ ングチャートである。
図 6は、 変形例 (1 ) において間欠的なパルスで圧電素子を駆動する場合の夕 ィミングチヤ一トである。
図 7は、 変形例 (2) において振動伝達部材を筐体と一体として形成した場 合の一例を示す断面図である。
図 8は、 変形例 (3) において圧電素子を筐体の内周底面に固着した一例を 示す断面図である。 ,
図 9は、 変形例 (4) において振動伝達部材に凸部と凹部を形成した一例を 示す断面図である。
図 10は、 変形例 (5) において振動伝達部材に突起部と穴部とを形成した 一例を示す斜視図である。
図 1 1は、 同変形例においてねじれ振動の様子を示す図である。
図 12は、 変形例 (6) においてキヤリングケースに収納された携帯電話機 の断面図である。
図 13は、 同変形例に係るジャック部の平面図である。
図 14は、 同変形例において、 キヤリングケースに収納された携帯電話機の 他の例を示す部分断面図である。
図 15は、 同変形例に係る携帯電話機と電力給電装置とを連結した状態の断 面図である。
図 16は、 同変形例において、 キヤリングケースに収納された携帯電話機の 他の例を示す断面図である。
図 17は、 同変形例に係る圧電素子の平面図である。
図 18は、 同変形例において、 キヤリングケースに収納された携帯電話機の 他の例を示す部分断面図である。 発明を実施するための最良の形態
[1. 第 1実施形態]
以下、 本発明の第 1実施形態に係る電力伝送システムを図面を参照しつつ説明 する。
[1 - 1 :第 1実施形態の構成]
図 1は、本発明の第 1実施形態に係る電力伝送システムのブロック図であり、
図 2はその機械的な構成を示す断面図である。
図 1に図示するように電力伝送システムは、 電力給電装置 A 1と電力受電装置 B 1とから構成される。 電力給電装置 A 1は電気エネルギーを機械エネルギーに 変換し、 振動の形態でエネルギーを出力する。 電力受電装置 B 1は、 振動の形態 でエネルギーを入力し、 機械エネルギーを電気エネルギーに変換する。 ここで、 電力給電装置 A 1と電力受電装置 B 1とは、 分離可能であり、 例えば、 電力受電 装置 B 1は、 使用者が外出時に携帯する腕時計タイプの電子時計であり、 電力給 電装置 A 1は、 家庭などにおいて電子時計の置き台と兼用して電力を電子時計に 充電する充電装置に相当する。
[1 - 1 - 1 :電力給電装置の構成]
電力給電装置 A 1の主要部は、 電源 10、 駆動回路 1 1、 ァクチユエ一夕 1 2 お固定部材 13、 振動伝達部材 14、 および筐体 15から構成されている。
まず、 電源 1 0は、 直流電圧を発生する装置である。 電源 10は、 商用電源か らの交流電圧を整流して所定の電圧を発生する AC— DCコンバータや、 あるい は乾電池等の一次電池等によって構成される。
次に、 駆動回路 1 1は、 電源 10から給電を受けてァクチユエ一夕 12を駆動 する駆動信号 Vを生成する。 この駆動回路 1 1としては、 例えば、 コルピッツ型 の発振回路を用いることができる。
次に、 ァクチユエ一夕 1 2は、 円盤状の形状をしている。 ァクチユエ一夕 1 2 は、 図 2に示すように、 シム板 120に圧電素子 1 21, 122を上下面に各々 張り合わせたサンドイッチ構造をしている。 シム板 120は、 例えば、 リン青銅 等の薄板で構成され、 弾性板として作用するとともに圧電素子 12 1, 122の 中間電極として作用する。 なお、 圧電素子 121, 122の材料としては、 水晶、 ニオブ酸リチウム、 チタン酸バリウム、 チタン酸鉛、 メタニオブ酸鉛、 ポリフッ 化ビニリデン、 チタン酸ジルコン酸鉛、 亜鉛酸ニオブ酸鉛 ( (Pb(Znl/3- Nb2/3)0 3 1-x-Pb Ti 03 x) xは組成により異なる。 x =0.09程度) 、 スカンジウムニォ ブ酸鉛 ( (Pb((Scl/2Nbl/2) 1-x Tix)l 03) xは組成により異なる。 X =0.09程度) 等の各種のものを用いることができる。
一般に、 圧電素子に印加する電界の方向と変位方向 (歪み方向) とが一致する
場合を縦効果、 電界の方向と変位方向とが直交する場合を横効果というが、 この 例では縦効果を利用して圧電素子 1 2 1 , 1 2 2を駆動している。
圧電素子 1 2 1および圧電素子 1 2 2の分極方向は、 図中の矢印で示すように 両者が一致する方向となるように設定する。 このため、 駆動信号 Vが印加される と、 一方の圧電素子が長手方向に対して垂直の方向 (以下、 縦方向という) に伸 びたとき、 他方の圧電素子も同時に伸び、 一方の圧電素子が縦方向に縮むとき、 他方の圧電素子も同時に縮む。 したがって、 交流電圧が印可されると、 ァクチュ エー夕 1 2は縦方向に伸縮運動することになる。 このァクチユエ一夕 1 2は電圧 を振動に変換する変換器として作用する。
次に、固定部材 1' 3は、筐体 1 5の側面側の内周壁に固定されており (図示略)、 また、 その上面が圧電素子 1 2 2の下面に接着されている。 したがって、 ァクチ ユエ一夕 1 2に振動が励起されても圧電素子 1 2 2の下面は固定面として作用す る。
次に、 振動伝達部材 1 4は、 円柱状の形状をしており、 その下面が圧電素子 1 2 1の上面に接着されている。 また、 筐体 1 5には振動伝達部材 1 4の径より若 干大きな径の貫通穴が形成されており、 その貫通穴に振動伝達部材 1 4が挿入さ れている。 このため、 振動伝達部材 1 4は筐体 1 5から突出している。 振動伝達 部材 1 4は、 振動の形態でエネルギーを出力できるようになつており、 電力給電 装置 Bを加振する加振体として作用する。
[ 1 - 1 - 2 :電力受電装置の構成]
次に、 電力受電装置 B 1の主要部は、 振動伝達部材 2 0、 変換器 2 1、 固定部 材 2 2、 整流回路 2 3、 大容量コンデンサ 2 4、 計時回路 2 5、 および筐体 2 6 から構成される。
まず、 振動伝達部材 2 0は、 円柱状の形状をしており、 筐体 2 6に形成された 貫通穴を介して電力受電装置 B 1の下面から突出している。 電力の電送を行う場 合には、 図 2に示すように電力給電装置 A 1の上に電力受電装置 B 1を置くこと になるが、 この際、振動伝達部材 2 0の下面が振動伝達部材 1 4の上面と接する。 振動伝達部材 1 4が縦方向、 すなわち、 振動伝達部材 2 0と振動伝達部材 1 4の 接触面に対して直角方向に振動すると、振動伝達部材 2 0は同じ方向に振動する。
換言すれば、振動伝達部材 2 0は、振動伝達部材 1 4を加振体として捉えたとき、 加振体によって加振される振動体として作用する。
次に、 変換器 2 1は、 円盤状の形状をしている。 変換器 2 1は、 シム板 2 1 0 に圧電素子 2 1 1, 2 1 2を上下面に各々張り合わせたサンドイッチ構造をして いる。 また、 圧電素子 2 1 1の上面には、 固定部材 2 2が設けられている。 この 固定部材 2 2は筐体 2 6の側面側の内周壁に固定されている。 したがって、 振動 伝達部材 2 0が振動すると、 圧電素子 2 1 1 , 2 1 2が変位するので圧電素子 2 1 1 , 2 1 2に起電圧 V gが発生する。 すなわち、 変換器 2 1は振動を電圧に変 換している。
次に、 図 1に示す整流回路 2 3は、 起電圧 V gを整流し、 整流された電圧を大 容量コンデンサ 2 4に充電するようになっている。 整流回路 2 3は、 半波整流す るものであってもよいし、 もしくは全波整流するものであってもよいが、 効率の 面から全波整流することが望ましい。
次に、 計時回路 2 5は、 大容量コンデンサ 2 3からの給電を受けて、 時刻を計 測する。 くわえて、 計時回路 2 5は、 計測された時刻に対応するように、 図示せ ぬ時計針を動かす運針モータを駆動するように構成されている。
ところで、機械的な構造物に対して加える力の大きさを一定とする条件の下で、 加振周波数を徐々に大きくしてゆくと、 ある周波数で構造物の振幅は極大値を取 り、 その後極小値を取るといった応答を繰り返す。 すなわち、 振幅が極大となる 周波数は複数存在する。 各々の極大に対応する各周波数を一括して固有振動周波 数という。 そして、 最も低い固有振動周波数に対応する振動の態様を 1次の振動 モード、その次に低い固有振動周波数に対応する振動の態様を 2次の振動モ一ド、 …という。
構造物は、 これらの振動モードの固有振動周波数で振動する時、 その機械的ィ ンピーダンスが極小となり、 小さな駆動力で容易に大きな変位が得られることが 知られている。
そこで、 この例では、 駆動信号 Vの周波数を、 振動伝達部材 1 4と振動伝達部 材 2 0を一体として見たときの固有振動周波数と略一致するように設定している。
[ 1 - 2 :第 1実施形態の動作]
次に、 本実施形態に係る電力伝送システムの動作を説明する。
電力給電装置 A 1から電力受電装置 B 1へ電力を給電する場合には、 まず、 電 カ受電装置 B 1の上に電力受電装置 B 1を置き、 振動伝達部材 1 4と振動伝達部 材 2 0とを物理的に接触させる。
この状態において、 電力給電装置 A 1を動作させると、 駆動回路 1 1は電源 1 0から給電を受けて駆動信号 Vを生成する。 ァクチユエ一夕 1 2に駆動信号 Vが 供給されると、 ァクチユエ一夕 1 2が縦方向に振動する。 これに伴って振動伝達 部材 1 4が縦方向に振動する。 この場合、 振動伝達部材 1 4は加振体として作用 し、 振動体として作用する振動伝達部材 2 0を加振する。 すると、 振動伝達部材 2 0が加振され、 変換器 2 1を構成する圧電素子 2 1 1 , 2 1 2が振動する。 駆 動信号 Vの周波数は、 振動伝達部材 1 4と振動伝達部材 2 0を一体として見たと きの固有振動周波数と略一致するように設定されているので、 低い機械的インピ 一ダンスの下で振動伝達部材 1 4および 2 0を振動させることができる。 これに より、 圧電素子 2 1 1 , 2 1 2を大きく変位させることができ、 大きな起電圧 V gを得ることができる。
圧電素子 2 1 1 , 2 1 2が起電圧 V gを発生すると、 整流回路 2 3は起電圧 V gを整流して、 大容量コンデンサ 2 4に整流された電圧を充電する。 こうして、 電力給電装置 Aから電力受電装置 Bへ電力を伝送することができる。
このように、 本実施形態によれば、 振動の形態でエネルギーを伝送するので、 機械的に振動伝達部材 1 4および振動伝達部材 2 0を接触させればエネルギーを 十分伝送できる。 したがって、 エネルギーを伝送するために電気的な接触を必要 としない。 つまり、 電力伝送のための電極が不要となるから、 電極の腐食ゃ静電 気によるノイズの混入といった不都合を防止することができる。
また、 振動伝達部材 1 4と振動伝達部材 2 0と直接接触させるので、 高い伝送 効率のものとにエネルギーを伝送させることができる。 さらに、 駆動信号 Vの周 波数は振動伝達部材 1 4および 2 0の固有振動周波数に対応するように設定され ているので、 大きな起電圧 V gを得ることができる。
[ 2 . 第 2実施形態]
以下、 本発明の第 2実施形態に係る電力伝送システムを図面を参照しつつ説明
する。 この電力伝送システムは、 第 1実施形態で説明した電力伝送システムにデ 一夕伝送の機能を付加したものである。 なお、 この例の電力給電装置 A 2はパ一 ソナルコンピュータとのインターフェースを有している。 また、 電力受電装置 B 2は、 腕時計タイプの電子時計に、 操作ポタンを用いたデータ入力機能や、 アナ ログ音声信号をデジタル信号に変換してデ一夕を記憶する機能を有している。
[ 2 - 1 :第 2実施形態の構成]
第 2実施形態に係る電力伝送システムの機械的構成は、 図 2に示す第 1実施形 態の構成と同様であるので、 ここでは、 説明を省略する。 図 3は第 2実施形態に 係る電力伝送システムの電気的なブロック図である。
電力給電装置 A 2は、 電源 1 0、 駆動回路 1 1、 および変換器 1 2 ' (第 1実 施形態のァクチユエ一夕 1 2に相当) の他に、 選択回路 1 6、 変復調回路 1 7 、 処理回路 1 8および制御回路 1 9から構成される。
ここで、 変換器 1 2 ' は機械的には第 1実施形態のァクチユエ一夕 1 2と同一 の構成である。 しかし、 変換器 1 2 ' は、 電気エネルギーを運動エネルギーに変 換するとともに、 運動エネルギーを電気エネルギーに変換する変換装置として機 能する点で、 電気エネルギーを運動エネルギーに変換するがその逆は行わない第 1実施形態のァクチユエ一夕 1 2と相違する。
次に、 選択回路 1 6は制御回路 1 9から供給される制御信号に基づいて、 駆動 回路 1 1と変換器 1 2 ' を接続するか、 あるいは変復調回路 1 7と変換器 1 2 ' とを接続するかを制御する。
次に、 変復調回路 1 7は、 制御回路 1 9の制御の下、 電力給電装置 A 2から電 カ受電装置 B 2にデータ D aを伝送する場合には変調回路として動作し、 電力受 電装置 B 2から電力給電装置 A 2にデータ D bを伝送する場合には復調回路とし て動作する。 変調方式としては、 各種のものを用いることができるが、 この例で はリターンゼロ (R Z ) 変調を用いるものとする。 リターンゼロ変調は、 直流成 分がないので、 振動によるデ一夕伝送に好適である。
また、 データ D aとしては、 例えば、 時刻合わせのための時間情報や電話番号 情報等が該当する。 また、 データ D bとしては、 使用者が出先で電力受電装置 B 2に入力した情報や音声情報等が該当する。
次に、 処理回路 1 8は、 インターフエ一ス 1 8 1、 メモリ 1 8 2および計時回 路 1 8 3を備えている。 このインタフェース 1 8 1は外部のパーソナルコンビュ 一夕と接続され、 デ一夕の入出力ができるようになつている。 メモリ 1 8 2は、 インターフェース 1 8 1を介してパーソナルコンピュータから取り込んだデータ を記憶したり、 あるいは、 電力受電装置 B 2から伝送されるデ一夕 D bを記憶す る。 これにより、 メモリ 1 8 2に記憶したデータ D bをイン夕一フェース 1 8 1 を介してパーソナルコンピュータに転送し、 そこでデ一夕 D bを加工することが できる。 また、 デ一夕 D bが音声データであれば、 パーソナルコンピュータは、 これを再生してスピーカから発音させることが可能となる。 また、 計時回路 1 8 3は常時動作しており、 正確な時間を計測し、 現在の時刻を示すデータを生成す る。 このデ一夕は、 必要に応じて処理回路 1 8から変復調回路 1 7に出力される ようになっている。
次に、 制御回路 1 9は、 選択回路 1 6、 変復調回路 1 6、 および処理回路 1 8 を制御している。
電力受電装置 B 2は、 変換器 2 1 ' (第 1実施形態の変換器 2 1に相当) 、 整 流回路 2 3、 大容量コンデンサ 2 4および計時回路 2 5の他に、 選択回路 2 7、 変復調回路 2 8、 処理回路 2 9および制御回路 3 0から構成される。
ここで、 変換器 2 1 ' は機械的には第 1実施形態のァクチユエ一夕 2 1と同一 の構成であるが、 電気エネルギーを運動エネルギーに変換するとともに、 運動ェ ネルギーを電気エネルギーに変換する変換装置として機能する点で、 運動エネル ギーを電気エネルギーに変換するがその逆は行わない第 1実施形態の変換器 2 1 と相違する。
次に、 選択回路 2 7は制御回路 3 0によって制御され、 整流回路 2 3と変換器 2 1 ' を接続するか、 あるいは変復調回路 2 8と変換器 2 1 ' とを接続するかを 制御する。
次に、 変復調回路 2 8は、 変復調回路 1 7と相補的な関係にあり、 リターンゼ 口変調 ·復調を行う。 変復調回路 2 8は、 電力受電装置 B 2から電力給電装置 A 2にデ一夕 D bを伝送する場合には変調回路として動作し、 電力給電装置 A 2か ら電力受電装置 B 2にデータ D aを伝送する場合には復調回路として動作する。
次に、 処理回路 2 9は、 入力マイク 1 9 1、 A D変換器 1 9 2、 入力ボタン 1 9 3、 およびメモリ 1 9 4等を備えている。 入力マイク 1 9 1は音を電気信号に 変換して A D変換器 1 9 2に出力する。 A D変換器 1 9 2はアナログ音声信号を デジタルデータに変換し、 メモリ 1 9 4に供給する。 メモリ 1 9 4は、 音声デ一 夕や入力データを記憶するとともに電力給電装置 A 2から転送されたデータ D a を記憶する。 なお、 入力データは使用者が入力ポタン 1 9 3を操作することによ つて入力される。
また、 処理回路 2 9は、 電力給電装置 A 2から時間情報を示すデ一夕 D aが転 送されてきた場合には、 これを計時回路 2 5に転送するようになっている。 これ によって、 計時回路 2 5は現在の正確な時刻を検知することができ、 当該時刻に 基づいて時刻合わせを自動的に行うことができる。 また、 処理回路 2 9は、 制御 回路 3 0の制御の下、 必要に応じて音声データや入力デ一夕を出力するように構 成されている。
また、 制御回路 3 0は、 選択回路 2 7、 変復調回路 2 8および処理回路 2 9を 制御する。 また、 制御回路 3 0は大容量コンデンサ 2 4の充電電圧を検知し、 こ れを第 1の基準電圧および第 2の基準電圧と比較している。
[ 2 - 1 :第 2実施形態の動作]
次に、 第 2実施形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
この電力伝送システムにおいては、 最初に電力伝送を主体とする第 1モードが あり、 次に電力伝送とデータ伝送を行う第 2モードがあり、 その次にデータ伝送 を行う第 3モードがある。
図 4は、第 1モ一ドにおける動作を説明するためのタイミングチヤ一トである。 第 1モードにおいては、 電力給電装置 A 2から電力受電装置 B 2へ向けて電力の 伝送が行われる。 電力受電装置 B 2が長時間使用され、 大容量コンデンサ 2 4に 電力が殆ど蓄電されてないような場合には、 大容量コンデンサ 2 4の電圧が低下 して変復調回路 2 8や処理回路 2 9を正常に動作させることができない。 したが つて、 そのような場合に、 電力給電装置 A 2から電力受電装置 B 2へ向けてデ一 夕 D aを伝送しても無駄になる。 このため、 まず、 第 1モードにおいて、 電力伝 送を主体とする動作を行ない、 電力受電装置 B 2の大容量コンデンサ 2 4に電力
を充電する。 そして、 充電された電力によって、 変復調回路 28や処理回路 29 等が正常に動作可能となった時に、 第 1モードから第 2モードに移行するように システム全体を制御している。
この点について具体的に説明する。 図 4に示すように、 選択回路 16には制御 信号 CTLが供給される。 制御信号 CTLは、 期間 T aにおいてハイレベルとなり期間 Tbにおいてローレベルとなる信号である。 選択回路 16は、 制御信号 CTLがハ ィレベルの時、 駆動回路 1 1と変換器 12 ' とを接続し、 一方、 制御信号 CTLが ローレベルの時、 変復調回路 17と変換器 12 ' とを接続する。 なお、 変復調回 路 17は第 1モードにおいて復調回路として動作する。
このため、 期間 Taにあっては、 電力給電装置 A 2の圧電素子 121, 122 に正弦波状の駆動信号 Vが印加される。 すると、 圧電素子 121, 122が振動 する。 この振動が振動伝達部材 14および 20を介して電力受電装置 B 2の圧電 素子 21 1, 2 12に伝達される。 これにより、 圧電素子 21 1, 212に図に 示すような起電圧 V gが励起される。
一方、 期間 Tbにあっては、 電力給電装置 A 2は電力受電装置 B 2から伝送さ れるデ一夕 D b 1を待ち受ける状態にある。 デ一夕 D b 1は第 1モードから第 2モ ードへの切り換えを指示する。 この例では、 大容量コンデンサ 24の充電が十分 でなく、 データ Dblが電力受電装置 B 2から電力給電装置 A 2にデータ D blが 転送されていない。 このため、 期間 T aと期間 Tbを繰り返し、 大容量コンデン サ 24の電圧が第 1の基準電圧を上回るまで第 1モードが継続する。 ここで、 期 間 T aと期間 Tbを比較すると、 Ta〉Tbの関係にある。 このように期間 T a を期間 Tbより長く設定することによって、 充電期間を長くとることができ、 第 1モードを短時間で終了させて第 2モ一ドへ速やかに移行することが可能となる。 図 5は第 2モードにおける動作を説明するための夕イミングチヤ一トである。 この図に示す期間 T aにおいて、 大容量コンデンサ 24の電圧が第 1の基準電圧 まで上昇し、 変復調回路 28や処理回 29の動作が可能になると、 制御回路 30 はこのことを検知する。 すると、 制御回路 30は、 図に示すように期間 Tbにお いて、 処理回路 29に対してデータ D blを出力するように指示する。 処理回路 29がこの指示に従ってデ一夕 Dblを出力すると、 データ Dblは変復調回路 2
8によって変調され、 変換器 21 ' の圧電素子 21 1, 212に供給される。 す ると、 圧電素子 21 1, 212が振動する。 この振動が振動伝達部材 20および 14を介して電力給電装置 A2の圧電素子 121, 122に伝達されると、 圧電 素子 121, 122に図に示すような起電圧 Vglが励起される。
この起電圧 Vglは、 選択回路 16を介して変復調回路 1 7に供給され、 そこ で復調されて、 データ Dblとして出力される。 このデータ Dblは処理回路 18 を介して制御回路 19に転送される。 これにより、 制御回路 19は電力受電装置 B 2の充電がある程度進み、 第 1モードから第 2モードへ移行可能になったこと を検知する。
すると、 制御回路 19は第 2モードに対応して、 電力伝送、 データ受信、 デー 夕送信を繰り返し、 電力給電装置 A2を時分割で動作させるように制御を行う。 図に示す Tcは電力伝送期間に、 Tdはデ一夕受信期間に、 Teはデータ送信期 間に各々相当する。 この場合、 全体に占める電力伝送期間 Tcは第 1モードに比 較して減少する。 しかし、 大容量コンデンサ 24の電圧値は変復調回路 28ゃ処 理回路 29を動作させることができる程度に上昇しているので、問題とならない。 データ受信期間 Tdにあっては、 電力受電装置 B 2の処理回路 29よりデータ Db2が出力されると、 変復調回路 28がデ一夕 D b2に変調を施して変調信号を 生成する。 この変調信号が選択回路 27を介して変換器 2 1 ' に供給されると, 圧電素子 2 1 1, 2 12には変調信号に対応した電圧が印加される。 これにより、 圧電素子 2 1 1, 212が振動する。 この振動が振動伝達部材 20および 14を 介して電力給電装置 A 2の圧電素子 121, 122に伝達され、圧電素子 12 1, 122に図に示すような起電圧 Vg2が励起される。 この起電圧 Vg2は、 選択回 路 1 6を介して変復調回路 17に供給され、 そこで復調されて、 デ一夕 Db2と して出力される。 こうして、 電力給電装置 A2はデ一夕 Db2を取得することが できる。
次に、 データ送信期間 Teにあっては、 電力給電装置 A 2から電力受電装置 B 2に向けてデータ D aが送信される。 この過程は、 データ受信期間 Tdと逆にな るだけであるので、 ここでは説明を省略する。 なお、 データ D aが、 現在時刻を 示す時刻情報である場合には、 処理回路 29はこれを検知して、 データ Daを計
時回路 2 5に転送する。 すると、 計時回路 2 5はデータ D aの示す時刻情報に基 づいて、 時刻合わせを行う。 これにより、 自動的に時刻合わせを行うことができ る。
ところで、 第 2モードにおいても、 電力が大容量コンデンサ 2 4に充電される が、 一般に二次電池は過充電されると性能が劣化していまう。 このため、 制御回 路 3 0は、 大容量コンデンサ 2 4の電圧を監視して、 その電圧が第 2の基準電圧 に達すると第 2モードから第 3モードへの移行指示するデ一夕 D b 3をするよう に処理回路 2 9を制御する。 これにより、 処理回路 2 9がデータ D b 3を生成す ると、 変復調回路 2 8→選択回路 2 7→変換器 2 1 ' →振動伝達部材 2 0、 1 4 —変換器 1 6→変復調回路 1 7→処理回路 1 8→制御回路 1 9の経路でデ一夕 D b 2が電力給電装置 A 2に伝送される。 すると、 制御回路 1 9は第 2モードから 第 3モードへ移行させ、 データ受信期間 T dとデータ送信期間 T eを繰り返す。 なお、 データの送受信が終了した場合には、 そのことを示すデ一夕が相互に伝送 され、 全ての動作が終了する。
このように第 2実施形態にあっては、 電力給電装置 A 2と電力受電装置 B 2と の間で電力伝送のみならず、 データ伝送も行うようにしたので、 データ入出力端 子を介することなくデ一夕の相互伝送を行うことができる。
また、 電力受電装置 B 2の用途を飛躍的に拡大させることができる。 例えば、 電力受電装置 B 2を携帯電話機に適用したとすれば、 出先で出会った人の電話番 号等を携帯電話機に記憶させえておき、 家に戻って充電を行いつつパーソナルコ ンピュー夕で電話番号の整理することが可能である。
[ 3 . 変形例]
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、 以下に述べる各種の 変形が可能である。
( 1 ) 上述した各実施形態では、 電力を伝送する際に、 連続した駆動信号 Vを用 いて電力給電装置の圧電素子 1 2 1, 1 2 2を駆動した。 しかし、 本発明はこれ に限定されるものではない。 例えば、 電力給電装置において、 図 6に示すように 間欠的なパルス (デューティ比の異なる駆動信号) で圧電素子 1 2 1 , 1 2 2を 駆動してもよい。 この場合には、 振動が減衰していく過程で圧電素子 2 1 1, 2
12から電力を取り出すことができる。 特に、 固有振動周波数 f における共振特 性の Q値が高い場合に有効である。 この場合、 パルス幅 Wを、 固有振動周波数 f の 1 2周期に相当するように設定すると、 パルスの立ち上がりと立ち下がりで 振動を強め合うことになるので、 減衰期間を長くすることができる。
(2) 上述した各実施形態では、 振動伝達部材 14, 20が筐体 15, 26とは 独立して形成されていた。 しかし、 本発明はこれに限定されるものではなく、 振 動伝達部材 14, 20を筐体 15, 26と一体として形成してもよい。 図 7は、 振動伝達部材を筐体と一体として形成した場合の一例を示す断面図である。 この 図に示すように、 電力給電装置 A 3の筐体 15には円柱状の振動伝達部材 14 ' が形成されている。 また、 電力受電装置 B 3の筐体 26には円柱状の振動伝達部 材 20' が形成されている。 振動伝達部材 20' の上面には、 弾性体として作用 する円盤状のシム板 120 ' が接着されている。 そして、 その上下面にはリング 状の圧電素子 12 1 ' 、 122' が張り合わせてある。 ここで、 振動伝達部材 1 4' が縦方向に振動すると、 振動伝達部材 20' が縦方向に振動し、 圧電素子 1 21 ' 、 122' が図中矢印方向に振動して、 起電圧が発生する。 この構成例に よれば、 固定部材を省略することができる。 さらに、 この構成例は、 振動伝達部 材 14' および 20' を筐体 1 5, 26と各々一体として形成することができる ので、 部品数を削減することができる。
(3) 上述した各実施形態の電力受電装置では、 振動伝達部材 20を介して圧電 素子に振動を伝達していたが、 図 8に示すように圧電素子を筐体 26の内周底面 に固着するようにしてもよい。 ところで、 携帯用の電子時計では、 アラーム用の 発音手段として裏蓋に圧電素子を接着したものがある。 そのようなものに、 本例 を適用する場合にあっては、 アラーム用の圧電素子と電力やデータを伝送するた めの圧電素子とを兼用することが可能である。
なお、 電力受電装置のみならず電力給電装置側の圧電素子を、 筐体の内周上面 に直接固着するようにしてもよい。
(4) 上述した各実施形態において、 振動伝達部材 14の上面と振動伝達部材 2 0の下面とは、 平面であるものとした。 しかし、 図 9に示すように振動伝達部材 14の上面に凸部を形成し、 振動伝達部材 20の下面にこれと嚙み合う凹部を形
成するようにしてもよい。 また、 この逆であってもよい。 要は、 加振体と振動体 のうち、 いずれか一方に凹部が形成されており、 他方に凸部が形成されており、 当該凹部と当該凸部とが嚙み合うようになっていればよい。 この場合には、 加振 体と振動体とをより密接に連結することができるので、 エネルギーを効率よく伝 達することが可能となる。
( 5 ) 上述した各実施形態において、 振動伝達部材 1 4と振動伝達部材 2 0とは 縦方向の振動によって電力やデータの伝送を行った。 しかし、 本発明はこれに限 定されるものではなく、 振動を媒介して電力ゃデ一夕を伝送するのであれば、 振 動の種類はどのようなものであってもよい。 例えば、 ねじれ振動を利用して電力 ゃデ一夕を伝送することができる。 この場合には、 図 1 0に示すように振動伝達 部材 1 4に突起部 1 4 a, 1 4 b, 1 4 cを形成し、振動伝達部材 2 0に突起部 1 4 a,
1 4 b, 1 4 cと嚙み合う穴部 2 0 a, 2 0 b, 2 0 cを形成する。 そして、 図 1 1に示 すように各穴部 2 0 a, 2 0 b, 2 0 cに各突起部 1 4 a, 1 4 b, 1 4 cを挿入させる。 この状態で、 図中矢印方向に振動伝達部材 1 4がねじれ振動すると、 振動伝達部 材 2 0もこれに伴ってねじれ振動し、 電力やデータがねじれ振動を媒介して伝送 される。
( 6 ) 上述した各実施形態においては、 電力給電装置によって、 振動伝達部材 1 4を強制的に振動させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば、 携帯電話機のような携帯機器を使用者がキヤリングケース (収納体) に 収納して移動する場合に、 移動に伴う振動を利用して、 電力を携帯機器に給電す るようにしてもよい。
図 1 2は、 キヤリングケースに収納された携帯電話機の断面図である。 この図 に示すように、 キヤリングケース Cの内周底面には直方体の形状をした連結ピン 1 4 0が底面に対して垂直に形成されている。 キヤリングケース Cは、 例えば、 プラスチックで構成されている。 キヤリングケース C携帯電話機 Dとを連結する 連結ピン 1 4 0は弾性部材として作用する。 なお、 キヤリングケース Cは車のダ ッシユボードゃドァ部に携帯電話機 Dを収納するケースとして使用することも可 能である。
一方、 携帯電話機 Dは、 その筐体 2 6 0の底面に連結ピン 1 4 0に対応するジ
ャック部 3 0 0を備えている。 図 1 3はジャック部 3 0 0の平面図である。 図 1 2、 1 3に示すようにジャック部 3 0 0は、 筒部 3 0 1、 振動体 3 0 2、 および 圧電素子 3 0 3 a、 3 0 3 bから構成されている。 筒部 3 0 1は筐体 2 6 0と一 体として形成される。 振動体 3 0 2はこの筒部 3 0 1を覆うように形成される。 圧電素子 3 0 3 a , 3 0 3 bは振動体 3 0 2の側面に貼り付けられている。
このような構造において、 キヤリングケース Cを使用者が持ち運ぶ時、 携帯電 話機 Dが自重によって振動すると、 振動体 3 0 2が変形する。 すると、 これに伴 つて圧電素子 3 0 3 a、 3 0 3 bが変位する。 ここで、 図 1 2に示すように、 連 結ピン 1 4 0の長さは、 ジャック部 3 0 0と連結した状態において、 キヤリング ケース Cの内周底面と携帯電話機 Dの外周底面との間には隙間があくように設定 されている。 これにより、 携帯電話機 Dは振動し易いようになつている。
なお、 ジャック部 3 0 0を図 1 4に示すように構成してもよい。 この場合には、 筐体 2 6 0の一部によってジャック部 3 0 0が形成されており、 振動体 3 0 2力 省略されている。 換言すれば筐体 2 6 0が振動体を兼ねている。 また、 この例で は、 連結ピン 1 4の先端部でのみ連結ピン 1 4とジャック部 3 0 0とが係合し、 ジャック部 3 0 0の開口面積が大きくなつている。 このため、 連結ピン 1 4をジ ャック部 3 0 0に挿入し易くなつている。
次に、 圧電素子 3 0 3 a、 3 0 3 bは左右方向の変位を電力に変換するために 用いられる。なお、圧電素子 3 0 3 a、 3 0 3 bの起電力は整流回路によって各々 整流された後、 二次電池に充電される。 携帯電話機の電子回路は、 二次電池から の給電を受けて動作する。
図 1 5は、 携帯電話機 Dと電力給電装置 Eとを連結した状態の断面図である。 この電力給電装置 Eは、 自宅やオフィスあるいは車内に設けられ、 携帯電話機 D の置台として機能するとともに、 携帯電話機 Dに対して充電を行う充電器として 機能する。この電力供給装置 Eの筐体 1 5 0には突起部 1 5 1が形成されている。 また、 筐体 1 5 0の一部には穴部が形成されており、 この穴部には連結ピン 1 4 0 ' が挿入されている。電力供給装置 Eから突出した連結ピン 1 4 0 ' の部分は、 上述した連結ピン 1 4 0と同一の形状をしている。 一方、 電力供給装置 Eの内側 に形成される連結ピン 1 4 0と突起部 1 5 1との間には圧電素子 1 2 5が設けら
れている。 この圧電素子 1 2 5は上述した第 1および第 2実施形態で説明したァ クチユエ一夕 1 2と同様に電力を振動に変換する変換手段として作用する。 そこ には、 図示せぬ電源から給電を受けて動作する駆動回路から駆動信号が供給され るようになっている。
このような構成において、 駆動信号が圧電素子 1 2 5に供給されると、 圧電素 子 1 2 5が振動する。 すると、 連結ピン 1 4 0 ' が振動し、 これによつて電力が 携帯電話機 Dに伝送される。
上述した例は、 左右方向の振動に基づいて電力を発電するものであつたが、 以 下に述べる例は上下方向の振動に基づいて電力を発電し、 これによつて二次電池 を充電するものである。
図 1 6は、 キヤリングケースに収納された携帯電話機の断面図である。 この図 に示すように携帯電話機 Dにおいて、 筐体 2 6 0の底面中央には穴部が形成され ており、その上に振動体 3 0 2によってジャック部が形成されている。 くわえて、 振動体 3 0 2の上には、 図 1 7に示す形状をした圧電素子 3 0 3 Cが貼り付けら れている。
一方、 キヤリングケース Cの底面中央には、 円柱状の連結ピン 1 4 1が底面に 対して垂直に形成されている。 この連結ピン 1 4 1の径はジャック部の径より若 干小さい。 このため、 携帯電話機 Dは上下方向に動くことが可能である。
このような構成において、 キヤリングケース Cを使用者が持ち運ぶ時、 携帯電 話機 Dが上下方向によって振動すると、 振動体 3 0 2が変形し、 これに伴って圧 電素子 3 0 3 cが変位する。 すると、 圧電素子 3 0 3 cは起電圧を発生し、 この 起電力によって、 二次電池が充電される。
なお、 以上の構成は、 キヤリングケース Cに突出部としての連結ピン 1 4 1を 設けるものであった。 しかし、 図 1 8に示すように携帯電話機 Dにおいて筐体 2 6 0の底面に突出部 2 6 1を設け、 この突出部 2 6 1の形状に対応した凹部 2 6 2をキヤリングケース Cに設けるようにしてもよい。
以上説明したように、 この変形例によれば、 極めて簡単な構造でキャリンダケ —ス Cと携帯電話機 Dを構成することができる。 また、 キヤリングケース Cに携 帯電話機 Dを収納して持ち運ぶと、 自動的に携帯電話機 Dを充電することができ
る。 くわえて、 キヤリングケース Cに携帯電話機 Dを収納した状態で使用者がキ ャリングケース Cを振れば充電することができるので、 一次電池を用いる必要が なくなる。 このため、 煩わしい電池交換や電池の廃棄に伴う問題が起こらない。 さらに、 振動によ όて振動体 3 0 2を変形させればよいので、 ジャック部 3 0 0 の内周や連結ピン 1 4 0、 1 4 0 ' 、 1 4 1を導電性の金属で構成する必要がな い。 このため、 容易に防水構造にすることができる。
[ 4 . 効果]
上述したように本発明によれば、 振動を利用して電力ゃデ一夕の授受を行うこ とができる。 このため、 電力伝送やデータの入出力用に特別の端子を設ける必要 がなくなり、 電力伝送やデータ伝送の信頼性を高めかつノイズの混入を防止する ことができる。