JPH09182465A - 圧電体発電装置及びこれを備えた電力供給装置及び電気機器 - Google Patents

圧電体発電装置及びこれを備えた電力供給装置及び電気機器

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JPH09182465A
JPH09182465A JP7341923A JP34192395A JPH09182465A JP H09182465 A JPH09182465 A JP H09182465A JP 7341923 A JP7341923 A JP 7341923A JP 34192395 A JP34192395 A JP 34192395A JP H09182465 A JPH09182465 A JP H09182465A
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piezoelectric
vibrating piece
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power
vibration
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JP7341923A
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Inventor
Tsukasa Funasaka
司 舩坂
Taiji Hashimoto
泰治 橋本
Hajime Miyazaki
肇 宮崎
Makoto Furuhata
誠 古畑
Osamu Takahashi
理 高橋
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪みを加えることにより発電する圧電素子を
含む発電装置において、歪みエネルギから電気エネルギ
に変換する変換効率を向上させることにより、実際に使
用可能な小型で充電能力を備えた発電装置と、これを用
いた小型の携帯用電子機器を提供する。 【解決手段】 ニオブ酸リチウム振動片21は接着層を
介さず分極方向310および分極方向311に分極され
ており、反転分極層あるいは直接接合により接着層のな
いバイモルフ振動片21を形成している。振動片21は
材料の内部損失が小さく接着損失がないため、振動が減
衰しにくく、振動を利用して電気エネルギを取り出すこ
とが出来る。また、最適なカット角を選択することによ
り1回の変形で歪みのエネルギを効率良く電気エネルギ
に変換でき、機械電気変換効率の高い発電装置を実現で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的な振動を用
いて発電する発電装置に関し、特に、時計などの小型・
携帯用機器に搭載可能であり、重りなどの運動エネルギ
を振動片を介して電気エネルギに変換する発電装置およ
びこれを備えた携帯型や据え置き型の電子機器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】携帯時計用の小型電源装置として、回転
錘の運動により圧電素子に歪みを加え発電する携帯用小
型電源装置が特公昭51−17393号公報に記載され
ている。この携帯用小型電源装置は、バネ性レバーに圧
電素子が取付固定されており、レバーの振動により圧電
素子に繰り返し歪みが加えられ、これにより圧電素子に
発生した電力を電源として用いることが記載されてい
る。
【0003】圧電素子を振動させることによって得られ
る電力を用いる発電装置においては、バネ性レバーおよ
び圧電素子に加えられるエネルギ(以下、入力エネルギ
と定義する)は、主に、バネ性レバーの歪みエネルギ、
圧電素子の歪みエネルギ、および圧電素子の発電により
蓄電部に蓄えられる電気エネルギの3つに分けられる。
これらの内、発電装置として最も重要な電気エネルギ
は、圧電素子の電気機械結合係数、圧電素子の充電しな
い時の出力電圧(以下、起電圧という)および静電容
量、蓄電部の電圧(以下、コンデンサ電圧という)等に
より変動するが、圧電素子の歪みエネルギの数%にしか
ならない。しかしながら、レバーが振動を繰り返すため
圧電素子に何度も歪みが与えられるので、バネ性レバー
と圧電素子の歪みエネルギを徐々に電気エネルギに変換
できる。従って、最終的には、1回の振動で電気エネル
ギに変換される量より多くの電気エネルギを得ることが
できる。しかし、入力エネルギに対する取り出した電気
エネルギのトータル量である変換効率は低く、変換効率
を向上することが実用上必要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、特公昭5
1−17393号公報に記載された圧電素子を用いた発
電装置は可能であるが、携帯用としては形状が著しく大
きくなる。そこで、本発明においては、圧電素子を用い
た発電装置を実用化するために、本願発明者らは以下の
ような項目を検討し、さらに変換効率の高い小型の発電
装置を提供することを目的としている。
【0005】第1に、バネ性レバーおよび圧電素子から
なる片持ち梁においては、バネ性レバーおよび圧電素子
の歪みエネルギが固定部から逃げやすい。このため、エ
ネルギ損失(以下、振動漏れという)が大きくなり、変
換効率の向上が難しい。この振動漏れを少なくするため
には、固定部の剛性を高くすれば良いが、固定部が大型
化し、携帯用には限界がある。
【0006】第2に、圧電素子は、それ自体に与えられ
た圧縮または引っ張りのみの歪みエネルギを圧縮あるい
は引っ張りに応じた効率で電気エネルギに変換する。こ
の際、バネ性レバーの歪みエネルギの僅かな部分しか圧
電素子の歪みエネルギとして与えられないので変換効率
が非常に低い。特に最も歪みの大きなバネ性レバーの根
元の部分の歪みエネルギが圧電素子に与えられていない
ので変換効率が非常に低い。また、バネ性レバーと圧電
素子は接着層を介して接合されているので、この接着層
が緩衝材になり圧電素子に加わる歪みを減少させたり、
接着層でのエネルギ損失を発生する。従って、入力エネ
ルギは殆ど振動漏れとして損失してしまう。
【0007】第3に、圧電素子は通常、チタン酸ジルコ
ン酸鉛(PZT)が幅広く用いられており、PZTとバ
ネ性レバーは接着することにより梁を形成している。そ
のため1度の変位では影響を受けないが、振動した時に
接着部の損失が加わるため振動の減衰が大きくなり、振
動を利用した発電では発電効率が低くなる。また、接着
を均一におこなうことは非常に難しく、電気機械結合係
数が低下するなどの課題がある。
【0008】第4に、PZTは曲げ振動子の電気機械結
合係数が1回当たり最大約10%であるため、発電効率
が悪く充分な発電量を得るためには装置が大きくなると
いう課題がある。
【0009】このように、本発明においては、圧電素子
を用いた発電装置の変換効率を向上し実用可能な発電装
置を提供することを目的としている。そして、振動漏れ
が少なく、歪みのエネルギーを効率良く電気に変換でき
る発電装置を提供することを目的としている。さらに振
動の減衰が少なく、機械エネルギを効率良く電気エネル
ギに変換可能な発電装置を提供することも目的としてい
る。そして、主として、携帯用の電子機器に好適な発電
装置、および発電装置を備えた主として携帯用電子機器
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電体を用いた
発電装置においては、圧電体を振動片の根元まで延ば
し、さらに圧電体としてニオブ酸リチウムを利用したこ
とにより、歪みエネルギを有効に活用して発電できるよ
うにしている。すなわち、本発明の圧電体発電装置は、
少なくとも1つの圧電体部と、これら圧電体部の少なく
とも1部を覆う電極とを備え、これらの電極から交流を
出力可能な発電部を有しており、この発電部が自由振動
を行う自由端と、この自由端を支持する支持端とを備え
た振動片の少なくとも支持端の側に設けられており、こ
の圧電体がニオブ酸リチウムであることを特徴としてい
る。
【0011】このような圧電体発電装置においては、歪
みが最も大きく、歪みエネルギの逃げやすい振動片支持
端の側、すなわち振動片の根元に圧電体部を設けること
により、この部分の歪みエネルギを圧電体部に効率良く
伝達し、電気エネルギに変換できるようにしている。
【0012】ニオブ酸リチウム単結晶基板は、所定の雰
囲気中でキュリー点より若干低い温度で熱処理すること
により、その+C面に分極反転領域を形成することが可
能であり、接着層のないバイモルフ振動子が形成できる
ため、振動の際に接着部での振動損失がなくなる。
【0013】また、2枚の分極方向の異なるニオブ酸リ
チウム単結晶基板を親水化処理し、基板同士を重ね合わ
せ熱処理を行うことにより直接接合され、接着層のない
バイモルフ振動子が形成でき、上記と同様に振動の際に
接着部での振動損失がなくなる。
【0014】さらに、振動片の振動方向に直交する圧電
体部の幅方向の寸法を、自由端の側に対し支持端の側の
方が広くなるほぼ三角形あるいは台形状の振動片とする
ことが望ましい。これにより、振動に起因する応力を圧
電体部にほぼ均等に分散できるので、変換効率を高める
ことができる。
【0015】振動片の支持端の側を固定部材に固定する
場合には、その固定する部分と、この固定する部分から
自由端の方向に向かって伸びた部分とに圧電体部を設け
ることによって、振動片の根元の歪みエネルギを電気エ
ネルギに変換し易くなる。この場合、電極は伸びた部分
に設け、固定する部分にはできるだけ設けないようにす
ることが望ましい。圧電体部を延在させた部分に電極を
設けることで、振動片の根元を発電部として活用でき、
ここに加わる歪みエネルギをより一層効率的に活用する
ことができる。その一方で、振動片を固定する部分は発
電には寄与しないので、この部分には電極を設けず、電
荷が分散されるのを防止して起電圧の低下を抑制でき
る。一方、圧電体部を固定する部分まで延ばすことによ
り、圧電体部の端部に加わる応力を緩和できる。つま
り、圧電体部を固定する部分まで延ばすことにより、自
由端から支持端を経て固定する部分まで圧電体部が存在
し、応力が圧電体部の根元側の一カ所に集中されるのを
避けられるので、圧電体部の破損等を防止することがで
きる。
【0016】発電装置は、充電する系統の電圧より高い
電圧を発生する必要がある。さらに、振動片を用いた発
電装置では振動の減衰に伴って起電圧が低下するので、
初期にある程度の起電圧が必要となる。従って、上記し
たように電極の面積を不必要に広げないようにすると共
に、発電装置に用いられるニオブ酸リチウム単結晶基板
の分極方向を逆方向にすることによって、振動片の両面
から高い起電圧を得ることができる。従って、振動片の
初期の変位が小さくとも充分な起電圧が得られるので、
振動の減衰によるエネルギ損失を小さくすることがで
き、変換効率をあげられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいてさ
らに詳しく説明する。
【0018】図1に本発明に係る発電装置を備えた腕時
計装置の概要を示してある。本例の腕時計装置10は、
ケース1の内部に収納された発電装置20、これを駆動
する駆動系11、発電装置20から得られた交流電流を
整流する整流回路2、整流された電流を蓄積する蓄電回
路4、さらに、発電された電流によって計時処理を行う
処理装置6を備えている。処理装置6は、時計部7を駆
動したりアラーム処理を行うなどの計時処理の他にラジ
オ、ページャあるいはパソコンなどの機能を備えている
ものであってももちろん良い。また、本例では、蓄電回
路4にコンデンサ5を用いているが、2次電池などの電
力蓄積能力を備えたものであれば良い。整流回路2は、
本例のようにダイオード3を用いた全波整流に限定され
ず、半波整流回路であっても良く、インバータなどを用
いた整流回路であってももちろん良い。図1では本例の
腕時計装置を概念図を用いて示してあるが、整流回路
2、蓄電回路4および処理装置6などは、後記する駆動
系11と平面的に重なる様に配置されており、装置全体
の小型化が図られている。
【0019】本例の腕時計装置10に用いられている発
電装置20は、片持ち梁(カンチレバー)状に地板12
に固定された振動片21を備えている。振動片21の両
側に圧電体部22が設けられており発電部が構成されて
いる。また、振動片21の先端23には重り25が取り
付けられており、先端の重り25が駆動系11によって
動かされることにより振動片21が加振される。駆動系
11によって加振されると、振動片21の先端が自由端
23となり、地板12にネジ27で固定された側が支持
端24となって自由振動し、これに伴って圧電体部22
に起電力が発生する。
【0020】本例の駆動系11は、ケース1の内部で回
転運動を行う回転錘13を備えており、腕時計として装
着された際にこの回転錘13がユーザーの腕や体の動き
などと連動して回転し、その力を利用して振動片21に
振動を与えられるようにしている。このため、図2に示
すような構成の輪列を用いて回転錘13の運動を振動片
の先端の重り25に伝達している。まず、回転錘13の
動きは、回転錘車14によって中間車15に伝達され増
速される。この中間車15および後記する歯車やカム
は、ケース1内の地板12と、回転錘13を支持する回
転錘受16に挟まれて狭い空間にも輪列を構成できるよ
うにしている。中間車15の動きはカム駆動車17に伝
達され、このカム駆動車17によってカム19が左右に
駆動され、カム19の振動片の重り25の内部に納めら
れた突出部18が動く。従って、ユーザーが腕や体を動
かすなど、回転錘13に回転力が与えられるとその力に
よってカム19が左右に振動し、カム19の突出部18
が振動片の重り25を左右に打つ。この打撃によって、
振動片21には所定の変位が与えられ、歪みエネルギと
なって蓄積される。そして、カム19が中央に戻ると振
動片21が振動し、その振動によって圧電体部22に起
電力が発生する。なお、本例の駆動系11に用いられて
いるカム19には、駆動系の負荷を小さくするために慣
性モーメントの小さな柄タイプのカムが採用されてい
る。また、カム19を小型化できるようにカム駆動車1
7を中間車15に加えて設けてある。
【0021】図3に、本例の発電装置20に採用されて
いる振動片21の概要を示してある。本例の振動片21
は、長方形の形状をしており、110°〜150°Yカ
ットのニオブ酸リチウム単結晶である。先端には重り2
5がつけられている。分極方向はプラス方向310とマ
イナス方向311に反転分極されており、バイモルフ振
動子が形成されている。振動片21には上部の全面に電
極312、下部の全面に電極313がアルミの蒸着等に
よって形成されている。振動片21は地板302上に置
かれ、固定板27に挟まれて、ねじ304によって固定
されている。固定板27は絶縁材料であり上下面が短絡
しないようになっている。上部電極312と電極308
はワイヤーボンディング等により接続されている。ま
た、下電極313と地板302は導通している。
【0022】本例の振動片21は、先端についたコの字
型の重り25の内部をカムの突出部18によって駆動さ
れるので、矢印Aで示す上下方向に加振される。そし
て、本例の振動片21は、振動方向と直角な方向には広
い板状になっているので、振動方向には比較的柔らか
く、振動と直交する方向には比較的固い構造となってい
る。このため、カム19によって印加された上下方向A
の歪みに呼応して上下方向Aに安定した振動が励起され
るようになっている。
【0023】カム19によって加振した際、歪みエネル
ギーは支持端24近傍が最も大きく、歪みエネルギーが
大きいため固定部近傍での発電量は大きい。また同時に
支持端24には振動によるモーメントが大きくかかる所
でもあり、振動漏れも大きな部分である。
【0024】振動片21の支持端24近傍の幅を大きく
し、重り25近傍の幅を小さくし、台形形状とすると、
加振した際には歪みエネルギー、応力は均等となり、長
方形に比べて発電量が大きくなる。
【0025】こうして得られた電気は+端子305、−
端子306より整流回路へ送られ発電が行われる。
【0026】振動片21の支持端24は振動しない部分
であるが、ここに上面電極312、下面電極313があ
る場合には、発電には寄与せず、発生した電荷が平均化
され、起電圧を低下させることになる。よって上面電極
312および下面電極313を振動部および支持端24
近傍のみとすることにより、起電圧を低下させることな
く発生電圧を高く保てるようにできる。
【0027】図4は、本発明において利用した分極反転
層をニオブ酸リチウム単結晶に形成する公知のプロセス
を示している。図4(a)は140°Yカットのニオブ
酸リチウム基板401である。分極方向404に沿って
基板内は分極されている。この基板401をArガス等
の不活性ガス中で約1150℃の熱を加えると、徐々に
図4(b)の分極反転層402に示されるように+c側
より、反転分極405が進行する。時間と共に反転分極
層は−c側に伸びゆき、最終的には図4(c)のごと
く、基板401の厚みの半分の所で分極反転層403は
停止する。以上のごとく、熱処理によって、接着層のな
い高Qの振動片21が形成される。
【0028】図5には、ニオブ酸リチウム単結晶基板の
回転Yカット板について横方向の電気機械結合係数K’
23を示してある。回転角度により、電気機械結合係数
が大きく変化しており、発電の際、なるべく多くの電気
量を得たい場合には140°付近のYカット板を使用す
れば電気機械結合係数は約0.55と最大となることが
わかる。曲げ振動子にした場合には、応力分布、変形曲
線によって、材料力学的に長方形の場合には横方向の電
気機械結合係数の約56%得られるため、1回当たりの
変形で約0.55×0.55×0.56=16.9%の
梁の持っているばねエネルギーに対して電気エネルギー
が取り出せる。また、振動片21の固定部側の幅を増や
して長尺方向への応力分布を均等にした場合には、材料
力学的に横方向の電気機械結合係数の75%得られるた
め、1回当たりの変形で約0.55×0.55×0.7
5=22.7%の梁の持っているばねエネルギーに対し
て電気エネルギーが取り出せる。これと比較してPZT
の場合には横方向の電気機械結合係数は約0.34程度
であり、長方形の曲げモードでは6.5%、応力分布を
均等にした形状では8.7%であり、ニオブ酸リチウム
の方が1回の振動にて取り出せるエネルギー効率が大き
い。また、ニオブ酸リチウムのQ値は約5000であ
り、PZTの1500〜2500と比較して大きいた
め、振動が長続きし、取り出せる回数も大きくなるた
め、PZTと比較して大きい充電効率が得られる。
【0029】また、本例の振動片21は、分極方向が反
転した圧電素子であるため、起電圧は分極方向を同じに
した振動片の2倍になる。
【0030】圧電素子を用いた発電素子において、充電
しない場合は圧電素子に歪みを加えて発生する電気エネ
ルギは電気機械結合係数が同じならば、同じ入力エネル
ギに対して同じ電気エネルギを発生する。しかしなが
ら、充電によってコンデンサなどの蓄電回路に蓄えられ
る電気エネルギは、電気機械結合係数に加え、圧電素子
の起電圧、静電容量およびコンデンサなどの蓄電回路の
電圧の関数になる。例えば、静電容量が大きく起電圧が
蓄電回路の電圧より低い発電装置を使用しても充電は不
可能である。一方、静電容量が限りなく0に近く、起電
圧が無限大に近い発電装置を使用すると、電荷がほとん
ど発生しないため充電量はわずかであり、現実的には充
電できない。従って、これらの条件の間で充電に最も適
した起電圧および静電容量を見いだすことが重要とな
る。
【0031】図6に、2V系の充電系統に充電する際の
ニオブ酸リチウムとPZTの場合の効率と初期振動電圧
との関係を示してある。ここでニオブ酸リチウムは電気
機械結合係数が17%、Q値が500であり、PZTの
場合には電気機械結合係数が6.5%、Q値が250の
バイモルフ振動子の比較をしている。ニオブ酸リチウム
の場合には充電効率が85%、PZTの場合には70%
と明らかにニオブ酸リチウムの方が充電効率が大きくな
る。また、この図から判るように、2V系の充電系統に
対しては初期振動電圧が約10Vとなるように発電装置
を設定することが望ましい。このように、同じ電気エネ
ルギを蓄える能力がある発電装置であっても、発生する
電流能力を大きくするためには、静電容量を大きくする
ことが不可欠であり、その一方で、適当な初期起電圧が
必要とされる。
【0032】さらに、振動片を用いた発電装置において
は、初期変位を大きくすることによって大きな初期起電
圧を得ることが可能である。しかしながら、図7に示す
ように振幅が大きくなると振動エネルギ損失率が大きく
なるので、トータルの充電量は減少してしまう。従っ
て、振幅はできるかぎり小さくして、適当な初期起電圧
を得ることが望ましい。
【0033】なお、振動片に初期の変位を与えるための
駆動系は、上記の回転錘を用いたものに限定されないこ
とはもちろんである。発電装置の振動片に対して歪みエ
ネルギを与えることができるものであれば特に制限はな
く、例えば、ばね自身、ばねを用いた揺動部材、振り
子、ハンマーなどでもよい。このような駆動系は、携帯
用の機器に適したできるだけ小型・軽量であることが望
ましい。
【0034】図8にはPZTとニオブ酸リチウムを振動
片として用いた場合のQ低下の定性的な比較を行ってい
る。横軸は損失率であり1振動あたりに減衰するエネル
ギを示してる。このグラフに示されるようにニオブ酸リ
チウムは自己損失が少なく、また反転分極層を形成する
ことにより接着損失がほぼ0に近づく。振動漏れについ
ては同等であるので、総合的に見て、Qの高い発電装置
となる。
【0035】図9はニオブ酸リチウム801基板を直接
接合することによってバイモルフ振動子を作成するプロ
セスについて示す。2枚のニオブ酸リチウム基板801
の表面を平坦化、清浄化し、表面を親水化処理した後、
水酸基を吸着させ、図9(b)の基板802、基板80
3に見られるように分極方向を反対に向けて重ね合わせ
る。そして水酸基の分子間力によって基板同士を吸着さ
せ、その状態で約300℃以上で熱処理することによ
り、界面から水酸基や水素が離脱していくことによっ
て、基板同士の接合が強化される。これにより接着損失
のない振動片21が形成される。
【0036】上記にて、いくつかの実施例に基づき本発
明を説明したが、本発明は上記の実施例で説明した時計
装置に限定するものではない。時計以外の携帯型電子機
器としては、例えばページャ、電話機、無線機、補聴
器、万歩計、電卓、電子手帳などの情報携帯端末、IC
カード、ラジオ受信機などに本発明の発電装置を採用す
ることにより、人間の動きなどに連動して絶えず蓄電装
置に充電を行うことが可能であり、電池の消費を抑制し
たり、あるいは電池その物を不要にすることも可能であ
る。従って、ユーザは電池切れを心配せずに、これらの
携帯用機器を使用することができ、電池切れによってメ
モリに記憶した内容が失われるなどのトラブルも未然に
防止できる。さらに、電池や充電装置が容易に入手でき
ない地域や場所、あるいは災害などによって電池の補充
が困難な事態であっても携帯用電子機器の機能を発揮さ
せることが可能となる。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の圧電体
発電装置は、ニオブ酸リチウム単結晶に反転分極層を形
成したり、あるいは直接接合することによってバイモル
フ振動片を構成し、片持ち梁構造の振動片の支持端の根
元部分まで圧電体部を延ばして形成することによって1
回の振動で多くの電気エネルギを取り出すことが可能と
なり、変換効率の高い発電装置を提供できる。
【0038】さらに、振動片の形状を三角形あるいは台
形のように支持端の側に多くの圧電体部を設け、振動片
の根元の部分に集中する歪みエネルギを効率良く用いて
発電できるようにしている。そして、電極部を振動しな
い固定部には設けないことにより、起電圧が高くなり、
その結果振幅が少なくて済み、Qが高くなるため、1回
の振動で多くの電気エネルギが取り出せると共に、振動
の減衰が小さくなり、発電量を多くとることが出来る。
【0039】本発明においては、振動の自己減衰に着目
し、接着層がなく、接着層に起因する振動損失のない振
動片を1枚のニオブ酸リチウム単結晶に熱処理を加える
ことにより反転分極層する。あるいは2枚の基板を直接
接合することによりニオブ酸リチウムのバイモルフ振動
片を作成しているため、接着損失がない、機械的にも安
定で、高温でも剥がれず、耐久力のある振動片が作成で
きる。またニオブ酸リチウムの材料特性自体がいわゆる
一般に使用されているPZTと比較して内部減衰量が少
ないためQが高く、振動を長く持続させることができ、
多くの発電量を得ることが出来る。
【0040】このように、本発明によって、主として小
型・携帯機器に適した高効率の圧電体発電装置を実現す
ることができ、この圧電体発電装置を用いて何時でも何
処でも安心して確実に使用できる多種多用な機能を備え
た主として携帯用電子機器を実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例係る圧電体を用いた発電装置
および携帯用機器の概略構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す発電装置の駆動系の概略構成を示す
断面図である。
【図3】図1に示す振動片を用いた発電装置を示す斜視
図である。
【図4】図3に示す振動片を反転分極形成するプロセス
図である。
【図5】ニオブ酸リチウムの回転Y板におけるカット角
と結合係数の変化を示す図である。
【図6】図3に示す発電装置によって充電する際の充電
効率が初期振動電圧によって変化する様子を示す図であ
る。
【図7】図3に示す圧電体部を備えた振動片を用いた発
電装置において、エネルギ損失率が振幅によって変化す
る様子を示す図である。
【図8】図3に示す圧電体部を備えた振動片を用いた発
電装置においてPZTとニオブ酸リチウムのエネルギ損
失率の要因と割合を示す定性的に示す図である。
【図9】図3に示す振動片を直接接合により作成するプ
ロセス図である。
【符号の説明】
2 整流回路 4 蓄電回路 6 処理部 10 携帯用電子機器 13 回転錘 15 中間車 17 カム駆動車 19 カム 20 発電装置 21 振動片 22 圧電体部 23 自由端 24 支持端 25 先端の重り 27 固定板 302 地板 304 ネジ 305,306 リード線 307,308 電極 310,311 分極方向 312 上部電極 313 下部電極 401 ニオブ酸リチウム基板 402,403 分極反転層 404,405 分極方向 801,802,803 ニオブ酸リチウム基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古畑 誠 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 高橋 理 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自由振動を行う自由端と、自由端を支持
    する支持端とを備えた振動片を有し、 ニオブ酸リチウム単結晶基板で構成された圧電体部と、
    圧電体部の最上面および最下面をおおう電極を備え、電
    極から交流を出力可能な発電部が前記振動片の前記支持
    端の側に形成されたことを特徴とする圧電体発電装置。
  2. 【請求項2】 前記ニオブ酸リチウム単結晶基板が、+
    C面に分極反転領域を有することを特徴とする請求項1
    記載の圧電体発電装置。
  3. 【請求項3】 前記ニオブ酸リチウム単結晶基板が、厚
    さ方向の中央部に接合界面を有し、前記界面の上下面で
    分極方向が異なることを特徴とする請求項1記載の圧電
    体発電装置。
  4. 【請求項4】 前記振動片の振動方向と直交する前記圧
    電体部の幅方向の寸法が、前記自由端の側に対し前記支
    持端の側の方が広いことを特徴とする請求項1記載の圧
    電体発電装置。
  5. 【請求項5】 前記振動片の支持端の側は、前記振動片
    を固定部材に固定する部分とを備えており、前記圧電体
    部は少なくとも前記固定する部分および伸びた部分に設
    けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電体発
    電装置。
  6. 【請求項6】 前記電極が、前記伸びた部分に設けられ
    ていることを特徴とする請求項5記載の圧電体発電装
    置。
  7. 【請求項7】 前記請求項1に記載の圧電体発電装置
    と、前記発電部から出力された交流を整流する整流装置
    と、整流された電流を蓄積する蓄電装置とを有する電力
    供給装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項1に記載の圧電体発電装置
    と、前記発電部から出力された交流を整流する整流装置
    と、整流された電流を蓄積する蓄電装置と、蓄電装置か
    ら供給された電力によって処理を行う処理装置とを有す
    る電気機器。
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