明細書 屈折率分布型光学素子および屈折率分布型口ッ ドレンズアレイ
技術分野
本発明は、 半径方向に屈折率分布を持つコア/クラッド構造の屈折率分布型光 学素子及び屈折率分布型ロッドレンズアレイ、 特にそのクラッド用ガラス組成の 改良に関する。 背景技術
断面内で中心から外周に向けて、 屈折率がパラボリック状に変化している屈折 率分布型光学素子、 例えば光集束性レンズは、 レンズ面が平面であっても、 球面 レンズと同様な結像作用を有し、 微小径、 単焦点のレンズも容易に作製できる等 の利点を持っているため、 複写機、 光プリンタ、 ファクシミリ装置等の光学装置 の光学ヘッ ド等に広く用いられている。 この屈折率分布型光学素子には、 屈折率 分布型ロッ ドレンズ、 屈折率分布型ファイバ等がある。
屈折率分布型光学素子を製造する方法としては、 ガラスロッドを溶融塩に浸漬 することによって、 屈折率分布を付与するイオン交換法が工業的に広く行われて いる。 例えば、 L i +、 T 1 + s C s +、 A g +などの陽イオンを含むガラス口 ッドを硝酸ナトリウムゃ硝酸力リゥムなどの溶融塩中に浸漬し、 ガラス中の陽ィ オンと溶融塩中の陽イオンとを交換させることによって、 屈折率分布を有する口 ッドレンズを得ることができる。
また溶融塩を用いる代わりに、 ナトリウムイオンやカリゥムイオンを含むクラ ッドガラス層で上記ガラスロッドを被覆したコア/クラッ ドガラスロッドの成形 中に、 または成形後の加熱により、 ガラスロッド中の陽イオンとクラッドガラス 層中の陽イオンとを交換させることによって、 屈折率分布を有するコア/クラッ ド搆造の口ッ ドレンズを得ることができる。 このコア/クラヅ ドガラスロッ ドは 二重るつぼ法、 パイプロ ヅド法等によって製造することができる。
上記のィォン交換法によって作製されたロッ ドレンズでは、 ィォン交換が主と
して拡散現象によって進行するために、 主としてその測表面近滂部分においてパ ラボリック状分布 (2乗分布) から外れることが多い。 コア/クラッド構造の口 ッドレンズの屈折率分布を示したものが図 1である。 レンズの断面は円形で、 中 心部にコアがあり、 コアの周辺に同心円状にクラッ ドが設けられている。 その下 に屈折率分布曲線が示されている。 横軸 rはコア中心からの半径方向距離で、 n は屈折率である。 この際、 イオン交換前のコアガラスおよびクラッ ドガラスの組 成は、 イオン交換後のコアとクラッ ドの境界で屈折率が連続的に変化するように 選択することが、 特にコア直径に対して相対的にクラッ ド層厚みを大きくすると きに、 好ましい。
画像などの情報を伝送しょうとする場合、 この正規なパラボリック状分布から 外れた側表面近傍部分を通過した光線は、 歪や収差の原因となり、 屈折率分布型 口ッドレンズの光学特'性を低下させる。 また屈折率分布型口ッ ドレンズの側面近 傍を通して外部から侵入してくる光 (フレア一光) もまた、 屈折率分布型ロッ ド レンズの光学特性を低下させる。
このようなレンズ光学特性の低下およびフレアー光の侵入を防ぐために、 特開 昭 63— 30 1 90 1号公報には、 例えば、 L i+などの陽イオンをそれぞれ含 むコア/クラッドガラスロッ ドを、 例えば硝酸ナトリウムのような溶融塩に所定 時間浸漬して、 コア/クラッ ドガラスロ ヅド中のリチウムイオンと溶融塩中のナ トリウムイオンとを交換させることによって、 屈折率分布型光学素子を製造する 際に、 クラヅ ドガラス中に、 着色成分として Mn、 Cr、 Co、 N i、 Fe、 C u、 Ag、 T i、 P bs Ru、 Cd、 V、 M oなどの金属イオンを含有するガラ スの光吸収層を形成し、 フレアー光の浸入を防く、技術が開示されている。 しかし、 その実施例で用いられている MnO、 CoO、 または C o 0と MnOの組み合わ せの着色剤では、 光源として単色光を用いる光学装置では充分であるが、 白色光 を用いた光学装置には、 解像度が不足するという問題があった。
また、 特閧平 10— 139472号公報には、 2重るつぼを用いた熱相互拡散 法による屈折率分布型光学素子において、 クラッドガラス層として、 着色剤とし ての、 Co〇、 MnO、 および C r 2〇 3を、 咧えば、 C oO 1. 5重量%、 MnO 1. 0重量%、 および C r 2〇 3 0. 4重量%含有する光吸収ガラス
を用いて、 フレアー光の ί曼入を防ぎ、 かつ外径精度を良くする技術が開示されて いる。 しかし、 この着色剤は、 コアおよびクラッ ドガラスに失透を生じさせやす く、 コアおよびクラッ ドガラスとして、 使用可能なガラス組成範囲が狭く限定さ れるという問題点があった。 発明の開示
本発明の目的は、 屈折率が正規なパラボリック状分布から外れている部分によ る光学特性の低下を防止するとともに、 フレアー光の侵入を防止し、 白色光を用 いた光学装置においても、 優れた解像度を有するコア/クラッ ド型屈折率分布型 光学素子、 およびこれを用いたロッドレンズアレイを提供することにある。
本発明の屈折率分布型光学素子は、 イオン交換法により製造されるコア/クラ ッド構造の屈折率分布型光学素子であって、 クラッ ドガラス中に金属酸化物着色 成分を含有する屈折率分布型光学素子において、 該クラッ ドガラスが、 該金属酸 化物着色成分として、 着色成分を除く母ガラス成分の合計を 1 0 0重量%として、 重量%で表して、
C ο 0 0 . 3〜4 . 0
F e 2 0 3 1 . 0〜 1 2 . 0
N i 0 0 . 0〜2 . 0
C r 2 0 3 0 . 0〜0 . 2
を含有することを特徴とする。
本発明の屈折率分布型ロッ ドレンズアレイは、 このような本発明の屈折率分布 型光学素子を複数本、 互に光軸が平行になるように配列して互いに固着したもの である。
なお、 本発明においてクラッ ドガラス中の金属酸化物着色成分 (以下 「着色 剤」 と称す場合がある。) は、 クラッ ドガラスの母ガラス成分 (着色剤を除く基 材ガラス成分) に対して付加的に添加したものとして、 クラッ ドガラスの母ガラ ス成分の合計に対する重量%、 即ち、 母ガラス成分の合計を 1 0 0重量%とした ときの着色剤の重量%で示す (以下、 この割合を単に 「添加量」 と称す場合があ る)。
本発明の屈折率分布型光学素子では、 クラッ ドガラスに着色剤を添加したため、 屈折率が正規なパラボリック状分布から外れている部分による光学特性の低下を 防止すると共に、 フレアー光の浸入を防止することができる。 特に、 この着色剤 として、 所定量の C ο θと F e 2〇 3と、 必要に応じて更に N i 0及び/又は C r 2 0 3とを添加することにより、 可視光全体の波長の光を効率的に除去するこ とができるため、 白色光を用いた光学装置においても、 優れた解像度を有するコ ァ /クラッ ド型屈折率分布型光学素子を得ることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 屈折率分布型ロッ ドレンズの屈折率分布曲線を示す図である。
図 2は、 本発明の屈折率分布型ロッ ドレンズ用の二重ガラスロッ ド作製のため の紡糸炉を示す側断面図である。
図 3は、 実施例 1のクラッ ドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 4は、 実施例 3のクラッ ドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 5は、 実施例 4のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 6は、 実施例 5のクラッ ドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 7は、 実施例 6のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 8は、 実施例 7のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 9は、 実施例 8のクラッ ドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。
図 1 0は、 実施冽 9のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。 図 1 1は、 実施例 1 0のクラッ ドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。 図 1 2は、 比較例 1のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。 図 1 3は、 比較例 3のクラッドガラスの透過率分光特性を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態
まず、 本発明に係るクラッ ドガラス中に含有される金属酸化物着色成分 (着色 剤) について記述する。
クラッドガラスの着色剤として用いる金属酸化物は、 基本的にイオン交換反応 そのものには関係ないのものが選択される。 一般に、 着色剤量の増加に比例して、-
JP /03748 ガラスの密度、 粘性、 熱膨張等の特性が変化する。 また、 着色剤の添加量が多く なると、 コア Zクラッ ドガラスロッ ドの成形中、 咧えば 2重るつぼを用いた紡糸 工程中に失透が発生しやすくなる。 したがって、 着色剤の添加量 (重量%) は、 目的とする波長の光が吸収できる範囲で、 できるだけ少ない方がよい。 さらには、 イオン交換法による屈折率分布をできるだけパラボリック状分布に近づけるため にも、 着色剤の添加量は少ない方がよい。 このような観点から、 着色剤として C 00が適している。
ガラス中に C o 0が含まれると、 そのガラスは、 C 0 +イオンに起因して、 520〜680 nm帯域の光を強く吸収する吸収能を示すようになる。 C o 0は その添加量に比例して吸収が増加するので、 C 00の添加量が多いほど、 クラッ ド層に入射した結像に寄与しない光の除去に効果が大きい。 しかし上述したよう な理由で、 Co Oの添加量は 0. 3〜4. 0重量%であり、 望ましいのは 0. 4 〜2. 5重量%であり、 さらに望ましいのは 0. 5〜1. 5重量%である。
光源として白色光を用いる場合には、 可視光全体の波長の光の除去を考慮しな ければならない。 上述の C oOのみでは、 500 nm以下の波長の光の吸収能が 不足している。 500 nm以下の短波長を吸収する金属イオンとしては、 F eィ オンが用いられる。 F e 3 +イオンは 380~460 nmの光を強く吸収する。 F e 203は、 比較的短波長の可視光を吸収するための必須成分であるが、 その 添加量があまり多すぎると、 ガラスが失透しやすくなるので、 過剰に使用しない ことが望ましく、 1. 0〜 12. 0重量%の範囲でクラッ ドガラスの母ガラス組 成等に応じてその添加量が設定される。
即ち、 MgOを多く含むガラスをクラッ ドガラスの母ガラスとして使用する場 合には、 失透の発生が顕著であるため、 母ガラス中の MgOの濃度が、 母ガラス 成分の合計を 100重量%としたとき、 重量%で表して 5重量%以上の場合には、 F e 2〇 3の添加量は 1. 0〜4. 0重量%であることが好ましい。 特に、 着色 剤として後述の N i 0を添加する場合、 F e 2〇 3の添加量は 1. 0〜2. 5重 量%であることが望ましい。 N i Oを添加しない場合、 62〇 3の添加量は1. 5〜4. 0重量%であることが望ましい。
MgO濃度が低いガラスをクラッドガラスの母ガラスとして使用する場合には、
失透が発生しにく くなるので、 更なる F e 2◦ 3の添加が可能である。 CoOと 比較して F e 203の吸収は小さいため、 380〜460 nmの光の吸収を大き くして、 この波長域の解像度をよくするためにはできるだけ F e 203の添加量 を多くすることが望ましい。 母ガラス中の MgO濃度が、 母ガラス成分の合計を 100重量%としたとき、 重量%で表して 5重量%未満の場合、 620;3は1
2. 0重量%まで添加することができる。 特に、 着色剤として後述の N i 0を添 加する場合、 Fe 2〇3の添加量は 5. 0〜8. 0重量%であることが望ましい。 NiOを添加しない場合、 Fe2〇3の添加量は 6. 0〜12. 0重量%である ことが望ましい。
本発明では、 特に C o 2 +イオンと F e 3 +イオンとをクラッ ドガラス中に共 存させることにより、 可視光全体の波長の光の除去を効率よく行うことができる。
N i 0は必須成分ではないが、 C o 0および F e 203と共に用いることによ り、 C o 0による可視光吸収域と F e 203による可視光吸収域の間の帯域の光 (420〜500 nm) を吸収するので好ましい。 NiOの添加量は、 あまり多 すぎると、 ガラスが失透しやすくなるので、 できるだけ少ないことが望ましい。 NiOの添加量は 0. 0〜2. 0重量%であり、 望ましいのは 0. 2〜2. 0重 量%で、 より望ましいのは 0. 2〜1. 0重量%である。
可視光域中の短波長を吸収するその他の金属イオンとしては C r、 Μη等が知 られている。 Milまたは C rを上記 C o、 Fe、 および Niに、 以下に述べるよ うに付加的に添加して使用することができる。
C r 203は必須成分ではないが、 F e 203と同様に 380〜430 nmの 光を強く吸収し、 その吸収能は F e 203よりも高い。 しかし Cr2〇3は、 ク ラッドガラス、 特にリチウムを含有するガラスを失透させ易い。 Cr2〇3の添 加量は 0. 2重量%以下であれば、 ガラスを失透させることなしに添加できる。
MnOは必須成分ではないが、 ガラス中で Mn 3 +イオンの形で存在すると、 440〜500 nmの光を強く吸収する。 しかし MnOは F e 2〇 3と共存する 状態では、 Mn 2 +イオンの形で存在し、 光をほとんど吸収しなくなるので、 1. 0重量%以下添加しても差し支えないが、 着色剤として有効ではない。
上記着色剤を含有するクラッ ドガラスの、 イオン交換処理前の母ガラスの成分
組成の好ましい例は、 重量%で表して次の通りである (ただし、 合計で 100重 量%とする。)。
[クラヅ ドガラスの母ガラス組成 (イオン交換処理前) (重量%)]
J 丄 リ n
Na 0 1 ~2 8
M O 2. 5〜 1
B a 0 2〜 10
PbO 0〜 25
T i 02 2〜 10
S i 02 45 -60
—方、 コアガラスの、 イオン交換処理前のガラスの成分組成の好ましい例は、 重量%で表して次の通りである (ただし、 合計で 1 00重量%とする。)。
[コアガラス組成 (イオン交換処理前) (重量%)]
L i 20 3〜 12
N a 20 0〜 15
MgO 2. 5- 1 5
B a 0 2〜 10
PbO 0〜 25
T i 02 2〜 10
S i 02 45 ~ 60
なお、 クラッ ドガラスおよびコアガラスはともに、 イオン交換処理の結果とし て、 その組成は均一ではなく半径方向に分布 (特に L i 20および Na 20成 分) するようになるので、 イオン交換処理を行って製造された本発明の屈折率分 布型光学素子のクラッドガラスの母ガラス及びコアガラスの成分組成は、 平均的 に重量%で表してそれそれ次の通りであり (ただし、 合計で 1 0 0重量%とす る。)、 クラッ ドガラス中の N a 20含有量がコアガラス中の N a 20含有量より も多く、'かつコアガラス中の L i 20含有量はクラヅドガラス中の L i 0含有 量よりも多いことが好ましい。 なお、 ここで、 「平均的」 とは、 下記組成分布が それそれクラッ ドガラス中およびコアガラス中で、 それそれ均質化されたとして
計算した値であることを意味する。
[クラッ ドガラスの平均的母ガラス組成 (イオン交換処理後) (重量%)]
L i 0 0. 5〜 1 2
N a 0 14〜28
M g 0 2. 5〜 1 5
2 ~ 1 0
P b 0 0〜 25
T i 0 2-10
S i 0 ? 45-60
ァガラス 日 5^ fイオン Ι®·机理 ί糸)
L i 90 2〜 9
n 〜 り
I a 2 ^
MgO 2. 5〜 1 5
B aO 2〜 : I 0
PbO 0〜25
T i02 2〜 10
S i02 45〜 60
本発明の屈折率分布型光学素子は、 母ガラスに着色剤を添加した所定組成のク ラッドガラス素地とコアガラス素地とを用いて常法に従ってコア/クラヅドガラ スロッドを製造し、 このコア/クラッ ドガラスロッドを、 例えば硝酸ナトリウム のような溶融塩に所定時間浸漬して、 コァ /クラッ ドガラスロッ ド中のリチウム イオンと溶融塩中のナトリウムイオンとをイオン交換させることによって、 製造 することができる。
このようにして製造される本発明の屈折率分布型光学素子は、 好ましくは、 1 00〜 1000 mの直径のコアガラスと 1 ~ 100 ^mの厚みのクラヅドガラ ス層 (ただしクラヅ ドガラス層の厚みはコアガラス直径の好ましくは 1〜 2 5%) からなり、 0. 1〜4の屈折率定数 (g) を有し、 クラッ ドガラス層のガ ラスは、 厚みが 100 mのときに 380 nmから 680 nmの範囲内の全ての 波長の光について 75 %以下の透過率を有する。
7 また本発明の屈折率分布型ロッ ドレンズアレイは、 このような本発明の屈折率 分布型光学素子を 5 0〜1 0 0 0本、 互いの光軸が平行になるように、 そして、 各光学素子の両端面が同一平面を形成するように、 1列または 2〜 4列の千鳥状 に配列して接着剤を用いて互いに固着させることにより製造される。 実施例
以下、 実施冽及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。 ただし、 本 発明はその要旨を超えない限り以下の実施咧によって限定されるものではない。 実施咧 1、 比較例 1〜4
表 1, 3に示す組成を有し、 厚みが 0 . 5 mm、 内径が 3 0 . 5 mmの中空円 筒形状のクラヅドガラス、 およびその中に挿入した直径 3 0 mmのコアガラス口 ッドを電気炉中で 6 5 0 °Cで加熱し、 引張ローラ一で延伸することにより、 中空 円筒形状のクラヅ ドガラスとコアガラスロッ ドが融着して一体化して、 各々外径 が 3 0 0 mでコア径が 2 9 5 ja m (クラヅ ド層厚み 2 . 5 rn) のコア/クラ ヅ ドガラスロッドを得た。 なお、 表 1 , 3及び後述の表 2のガラス組成において、 着色剤の添加量 (重量%) は着色剤以外の母ガラス成分の合計を 1 0 0重量%と した値である。
このガラスロッドを約 1 mの長さに切断し、 約 4 4 5 °Cに維持した硝酸ナトリ ゥムの溶融塩の浴の中に約 2 4時間浸漬して、 ガラスロッ ド中のリチウムイオン と溶融塩中のナトリウムイオンとをイオン交換させた後、 引き上げた。 このロッ ドを切断して、 両端面を平坦に研磨して長さ 4 . 1 3 mm又は 4 . 0 1 mmで屈 折率分布を有するロッドレンズを得た。 このロッドレンズの外径、 長さ、 中心軸 上の屈折率 (n 0 )、 屈折率定数 (g:)、 および T C (等倍の正立実像が結像する 物像間距離) は表 4に示す通りであった。 なお、 屈折率定数 (g ) は、 n 0を中 心軸上の屈折率として、 半径 (r ) 方向の屈折率 (n ) の分布を、
n = n 0 ( 1 - g r ^ )
で近似させたときの定数である。 そして、 屈折率はコアとクラッ ドの境界におい て連続的に変化していた。
また、 各屈折率分布型ロッ ドレンズ約 2 0 0本を互いの光軸が平行になるよう -
に 2列に千鳥状に配列して接着剤を用いて互いに固着させて口 'ソ ドレンズアレイ を作製した。 このロ ヅ ドレンズアレイについて、 グリッドパターンの空間周波数 を 12 Lp/mmとし、 測定光として白色光を用いて、 470 nm, 530 nm, および 660 nmの波長における MT F (Modulation Transfer Function) の値 を測定し、 結果を表 4に示した。 なお MTFは物体と像のコントラス トの比を空 間周波数の関数として表したものであり、 MTFが 100%に近いほど原画に忠 実な像が形成されていて、 高い解像力が維持されていることを示す。
なお、 着色剤として、 CoO、 ΜηΟ、 および C r 203を用いた比較例 2で は、 加熱炉中での加熱延伸の途中で、 クラッ ドガラスに失透がしばしば発生して、 得られる二重ガラスの直径が不均一となったため、 口ッドレンズアレイの光学特 性を測定できなかった。
実施例 2〜: L 0
コア、 クラッ ドガラスの組成として表 1 , 2に示すものを用いて、 図 2に示す 2重るつぼを用いた紡糸により、 二重ガラスロッドを次のようにして得た。 図 2 において、 2重るつぼ 1は内るつぼ 2および外るつぼ 3からなり、 内るつぼ 2お よび外るつぼ 3に、 それそれコアガラス用ガラスカレットおよびクラヅドガラス 用ガラスカレッ トを投入し、 2重るつぼ 1内でそれぞれ加熱溶融して、 内るつぼ 2よりコアガラス 4を、 外るつぼ 3より着色剤を含むクラッ ドガラス 5を下部ノ ズル 6より引き出し、 引っ張りローラー (図示せず) により紡糸して両者を融着 —体化することによりコア/クラヅドガラスロッドを得ることができる。 各々の ガラスロッ ドを実施例 1と全く同様にしてイオン交換処理して、 屈折率分布を有 するロッドレンズおよび口ッ ドレンズアレイを作製し、 その光学特性を表 4に示 した。
なお、 上述の実施例及び比較冽で用いたクラッ ドガラスのうち、 実施例 1で用 いたクラヅ ドガラス (C 00 1. 0重量%、 F e 2〇 3 3. 0重量%) の透 過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 3に、 実施冽 3で用いたクラ ッドガラス (C oO 1. 0重量%、 F e 203 2. 0重量%、 N i 0 0. 5重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 4に、 実施例 4で用いたクラッ ドガラス (C o O 1. 0重量%、 F e 203 10. 0重
7 量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1 mm換算) を図 5に、 実施咧 5で用 いたクラッ ドガラス (C oO 1. 0重量%、 F e 203 6. 0重量%、 N i 0 1. 0重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 6に、 実施冽 6で用いたクラッ ドガラス (C o〇 2. 0重量%、 F e 203 6. 0 重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 7に、 実施例 7 で用いたクラヅ ドガラス (C oO 3. 5重量%、 F e 203 3. 0重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 8に、 実施例 8で用いた クラッ ドガラス (C oO 3. 5重量%、 F e 203 1 0. 0重量%) の透過 率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mm換算) を図 9に、 実施例 9で用いたクラッ ド ガラス (Co O 1. 0重量%、 F e 203 3 - 0重量%、 N i 0 1. 75 重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 10に、 実施例 10で用いたクラッ ドガラス (CoO 1. 0重量%、 F e 203 10. 0重 量%、 N i O 1. 75重量%) の透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mm換 算) を図 1 1に、 比較例 1で用いたクラッドガラス (Co O 1. 0重量%) の 透過率分光特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 12に、 比較例 3で用いた クラヅ ドガラス (C oO 1. 0重量%、 N i O 0. 5重量%) の透過率分光 特性 (ガラス厚み 0. 1mmに換算) を図 13にそれそれ示す。
/JP9 8 表 1
実施例 1 実施例 2 実施例 3 実施例 4 実施例 5
11ァ クラッに コア クラッド、 :]ァ クラッド、 ]ァ クラッド コア クラッ
Li20 4.2 0.0 5.5 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 母
ガ Na20 8.3 16.4 7.6 17. 9 8.3 16.4 8.3 16.6 8.3 16.6 フ
gO 8.4 8. 1 8.0 7.6 8.4 8. 1 8.4 4.5 8.4 4.5 ス
PbO 20.0 19. 1 19.2 18. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 里 BaO 4.6 4.4 5.0 4.7 4.6 4.4 4.6 4.3 4.6 4.3
0/
Ti02 4.2 4.0 6.2 5.9 4.2 4.0 4.2 3.7 4.2 3.7
Si02 50.3 48.0 48.5 45.8 50.3 48.0 50.3 51.8 50.3 51.8
CoO 0 1.0 0 1.0 0 1.0 0 1.0 0 1.0 色
剤 Fe203 0 3.0 0 3.0 0 2.0 0 10. 0 0 6.0
NiO 0 0 0 0 0 0.5 0 0 0 1.0 里 MnO 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0/
/0
Cr203 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
実施例 6 実施例 7 実施例 8 実施例 9 実施例 1 0 コア クラッド 17 クラット、、 コア クラッド コア クラッド コア クラ、ソ卜、、
Li20 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.6 母
ガ Na20 8.3 16.6 8.3 16.6 8.3 16.6 8.3 16.6 8.3 16.6 ラ
MgO 8.4 4.5 8.4 4.5 8.4 4.5 8.4 4.5 8.4 4.5 ス
PbO 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19.1 里 BaO 4.6 4.3 4.6 4.3 4.6 4.3 4.6 4.3 4.6 4.3
% Ti02 4.2 3.7 4.2 3.7 4.2 3.7 4.2 3.7 4.2 3.7
Si02 50.3 51.8 50.3 51.8 50.3 51.8 50.3 51.8 50.3 51.8
CoO 0 2.0 0 3.5 0 3.5 0 1.0 0 1.0 色
剤 Fe203 0 6.0 0 3.0 0 10. 0 0 3.0 0 10.0
NiO 0 0 0 0 0 0 0 1.75 0 1.75 里 MnO 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
0/
/0
Cr203 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
表 3
比較例 1 比較例 2 比較例 3 比較例 4 コア クラ、ソ卜、、 コア クラッド、 コア クラッに コア クラッド
Li20 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 4.2 0.0 母
ガ Na20 8.3 16.4 8.3 16.4 8.3 16.4 8.3 16.4 ノ MgO 8.4 8. 1 8.4 8. 1 8.4 8. 1 8.4 8.1 ス
PbO 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 20.0 19. 1 里 BaO 4.6 4.4 4.6 4.4 4.6 4.4 4.6 4.4
0/
/0 Ti02 4.2 4.0 4.2 4.0 4.2 4.0 4.2 4.0
Si02 50.3 48.0 50.3 48.0 50.3 48.0 50.3 48.0
CoO 0 1.0 0 1.0 0 1.0 0 1.0 色
剤 Fe203 0 0 0 0 0 0 0 0
NiO 0 0 0 0 0 0.5 0 0 里 MnO 0 0 0 0.75 0 0 0 1.5
0/
/0
Cr203 0 0 0 0.25 0 0 0 0
oi i/oo O0/66u7:M£<1>dl一寸 z.
O'ZZ V\L 9'Si, 8'9i 'LL I'll I'LL L' L 6'S Γ9 S* i 9"9i rauo99 'Z 8"C O'Si Γ9Ζ 0" A I'll 'll 9'9 Ή C Z 'U 6 8'CZ muo s
Z'9 Q' S*IS 9'9Z C*9 'ZL VZL ' L 0*9Z Z'ZL d'lL 8- O^
OZ'Q 02'6 OZ'6 OZ'6 0Z*6 QZ'Q 0Z*6 02.6 0Z"6 OZ'6 T8 OZ'6 (ran) 01
T68*0 T68*0 T68"0 Ϊ68Ό Ϊ68Ό Τ68Ό Ϊ68Ό Ϊ68Ό Ϊ68.0 168*0 168*0 0C6*0 Ϊ68Ό
ZW\ Ζ19Ί zw\ Ζΐ9·ϊ 1W\ Zld'l ZW\ ZW\ ZW\ ZW\ 0S9'T ZW\
ZV εΐ· εΐ· Z\'f cr CT' TO' \' (画)
OC'O οε·ο OC'O OC"0 οε·ο οε·ο OC'O οε·ο οε·ο οε·ο OC'O OC'O OC'O (ΠΜ) c ΐ Οΐ 6 8 I 9 S ε Z ΐ m 爾
実施例 1〜 1 0と比較 ί列 1、 3、 4とを比較すると、 実施冽 1〜 1 0は、 いず れも、 4 7 0 , 5 3 0 , 6 6 0 n mの各波長において、 高い M T F値が得られて いる。 それに対して比較例 1、 3および 4では、 4 7 0 n mにおける M T F値が 低く、 白色光光源を用いた場合には解像度が低下することを示している。 そして 実施例 1および 2は、 着色成分が同じで、 コア、 クラッ ドガラスの母ガラス組成 が異なるが、 失透を生じることはなかった。 それに対して比較例 2では実施例 1 と同じ母ガラス組成のコア、 クラッドガラスを用いているが、 失透を生じている。 産業上の利用可能性
以上に説明したように、 本発明によれば、 少なくとも C oおよび F eの着色成 分をクラッ ドガラス中に含有させたコア/クラッドニ重ガラスロッ ドをイオン交 換することによって、 外径精度がきわめて良く、 外周部分の屈折率分布の乱れた 部分を通る光の影響を小さくし、 フレアー光の侵入を防止し、 白色光を用いた光 学装置においても、 優れた解像度を有する屈折率分布型ロッドレンズ、 および口 ッドレンズアレイを得ることができる。