WO1999057143A1 - Facteur regulateur de transcription - Google Patents

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Description

明細 転写調節因子 技術分野
本発明は、 プロモドメインを有する新規な転写調節因子およびその遺伝子に 関する。 背景技術
ブロモドメインは、 転写調節因子に見られる特徴的なアミノ酸のモチーフで あり、 他の転写調節因子などとの相互作用に関与すると考えられている。 プロ モドメインを有するタンパク質は、 通常、 1 個または 2 個 (Tamkun JW et al.(1992). Nuc. Acids. Res., 20, 2603、Haynes SRetal. (1992). Nuc. Acids. Res., 20, 2603)、 あるいは 5個 (Nicolas RH and Goodwin GH. (1996). Gene, 175 (12), 233-240) のプロモドメインモチーフを含んでいる。 このモチーフの 見られる動物は広範囲にわたっており、例えば、ショウジヨウバエ(drosophila) におけるホメォ遺伝子 (Digan ME et al.(1986). Dev. Biol., 114, 161-169、 Tamkun JWetal. (1992). Cell, 68, 561-572) や酵母 (Winston F et al.( 1987). Genetics, 115, 649-656、 Laurent BC et al.(1991). Proc. Nat. Acad. Sci., USA 88, 2687-2691) および哺乳動物 (Denis GV, and Green MR. (1996). Genes and Devel., 10, 261-271, Yang X J et al.(1996). Nature, 382, 319-324) の転写調節遺伝子などで同定されてぃる。最近の報告 6&1111101¾11161:&1.(1997). Trends Biochem. Sci. 22, 15卜 153)によれば、 13のヒ トの遺伝子を含む 37の ブロモドメイン遺伝子がデ一夕ベースに登録されている。 さらには 59- 63アミ ノ酸残基のブロモドメインモチーフに加え、 モチーフに近接する配列も構造的 に保存されており、それらはさらに長い 110アミノ酸に 4つのひ-ヘリックス(Z, A, B および C)がコードされていることが報告されている。
プロモドメインを有する転写調節因子を比較すると、 これらのすべては活発 に増殖している細胞でシグナル依存性の転写を調節している (Tamkun JW et al.(1992). Cell, 68, 561-572、 Haynes SR et al. (1992). Nuc. Acids. Res., 20, 2603)。 この特徴は、 プロモドメインを有するタンパク質をコードする遺伝 子の正常な制御が行われない場合に発癌する可能性があることを示唆している。 現に 6つのヒ トプロモドメイン遺伝子との関連が実験的に証明されている。 こ れら遺伝子の中の 3つ HRX/ALL- 1 (Tkachuk et al.(1992). Cell, 71, 691-700、 Gu etal.(1992) Cell, 71, 701-708)、 TIF1 (Miki et al, (1991) Proc. Nat. Acad. Sci., 88,5167-5171, Le Douarin et al,(1995) EMBO J. 14, 2020-2033) や CBP (Borrow et al. (1996). Nature Genet., 14, 33-41) は白血病の遺伝子切 断点と関連している。 また、 これらの 3つのタンパク質は全て C4HC3 (別名 PHD/LAP/TRX)ジンクフィ ンガー(Aasland et al.(1995). Trends Biochem. Sci., 20, 56-59、 Koken et al,(1995). CR Acad. Sci. III, 318, 733-739、 Saha et al.(1995). Proc. Nat. Acad. Sci.,92, 9737- 9741)を保持している。 さらに、 CBP/P300は p53 (Gu et al.(1997) Nature 387, 819-823、 Lill et al.(1997) Nature 387,823- 827)や他の様々な転写因子と相互作用しそれらを制御してい るという知見もあり、このことは CBPやそれに非常に相同性がある P300が癌に おいては鍵となる役割を担っていることを示唆するものである。
他の 3つの遺伝子は様々なかたちで癌との関連が示唆されている。 BRG1は癌 抑制遺伝子である網膜芽細胞腫タンパク Rb (Dunaief et al.(1994) Cell 79, 119- 130)と相互作用し、 単層化し、 増殖が停止した細胞の形成を誘導すること によって癌抑制活性を示す。 RING3 は、 ショウジヨウバエ (Drosophila) 成長 制御タンパク fsh (Haynes et al.(1989). Dev. Biol., 134, 246- 257)と相同 性があり、核内自己リン酸化活性を有するセリン一スレオニンキナーゼである。 この活性は慢性と急性リンパ性白血病での増殖期と関連があることが報告され ている(Denis and Green, ( 1996 ) . Genes and Devel . , 10, 26卜 271 )。 P/CAFに ついては、 E1A と P300/CBPとの相互作用を阻害することが知られている(Yang et al , ( 1996 ) . Nature, 382, 319-324)。 HeLa細胞で P/CAF を外来性に発現さ せると、細胞周期の進行が阻害される。 これはすなわち P/CAFが p300/CBPへ結 合することにより、 E1A の転写制御を乱してしまうというメカニズムに由来し ているものと考えられる。 また p300/CBP ( Bannister and Kouzarides, ( 1996 ) . Nature, 384, 64卜 643 )と同様、 P/CAFはヒストンァセチルトランスフェラ一ゼ 活性を持つことも報告されている(Yang et al . ( 1996 ) . Nature, 382, 319-324)。 このようにプロモドメインを有する転写調節因子は、 その調節異常が種々の 疾患、 特に、 癌やその他の増殖性疾患と密接に関与していると考えられる。 こ のためブロモドメインを有する転写調節因子は、 癌やその他の増殖性疾患の治 療のための新しい標的として近年注目されている。 発明の開示
本発明はブロモドメインを有する新規な転写調節因子およびその遺伝子、 並 びにこれらの製造方法およびこれらを利用した医薬品候補化合物のスクリ一二 ング方法を提供する。
本発明者らは上記課題を解決すベぐ、 まず既知のプロモドメインモチーフを コードする種々の塩基配列を用い、 ESTデ一夕一ベースに対して BLAST検索を 行った。 その結果、 テトラヒメナ サーモフイラ (Tetrahymena thermophi la) HAT A1遺伝子の塩基配列を用いた検索により、 ブロモドメイン遺伝子をコード する可能性のあるいくつかの ESTを見出した。 これら ESTの一つである胎児肺 cDNAライブラリー由来の EST(W17142 )は、 未知の遺伝子をコードしていた。 そ こで、 次に、 ESTW17142 に対する全長 cDNA の単離を試みた。 具体的には、 ESTW17142の配列を基にプライマ一をデザィンし、精巣の cDNAを銪型にポリメ ラーゼ連鎖反応を行って増幅産物を得た。 次いで、 この増幅産物をプローブと して精巣 cDNAラィブラリ一のスクリーニングを行い、さらに上記 ESTの配列を 有する cDNAクローンを用いたライブラリーの再スクリ一ニングを行った。その 結果、 ESTW17142に対する全長 cDNAを単離することに成功した。 また、 本発明 者らは、単離した cDNAがコ一ドするタンパク質の構造につき解析を行い、該夕 ンパク質がプロモドメイン以外に、 転写調節因子に保存されたいくつかの領域 やドメインを有することを見出した。
また、 本発明者等は、 単離した cDNAがコードするタンパク質が、 クロマチン 介在転写制御機構の一連の過程に関与していることが示唆される hSNF2H およ び hSNF2Lや、 種々の核受容体(VDR、 RAR) のリガンド結合ドメィンゃウィルス 腫瘍タンパク質(oncoprotein)である Ski と相互作用する転写コアクチべ一夕 -NCoA-62/Skipと相互作用することを見出した。
本発明者等により見出された転写調節因子およびその遺伝子は、 該転写調節 因子とこれに相互作用する因子との結合の阻害する化合物やその活性を制御す る化合物のスクリーニングへの利用が可能であり、 このスクリーニングにより 単離される化合物は医薬品への応用が期待される。
即ち、 本発明は、 プロモドメインを有する新規な転写調節因子およびその遺 伝子、 並びにそれらの製造およびそれらを利用した関連因子および医薬品候補 化合物のスクリーニングに関し、 より具体的には、
1 . 配列番号: 1または 1 0に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
2 . 配列番号: 1または 1 0に記載のアミノ酸配列において 1若しくは複 数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および/または挿入されたアミノ酸配列か らなり、 プロモドメインを有する転写調節因子、
3 . 配列番号: 1または 1 0に記載のアミノ酸配列において 1若しくは複 数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および/または挿入されたアミノ酸配列か らなり、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipおよびそれらの他種相同体からなる群 より選択されるタンパク質に結合する活性を有するタンパク質、 4. 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列からなる DNAとハイブリダィ ズする DNAがコードし、 プロモドメインを有する転写調節因子、
5. 配列番号 : 2または 9に記載の塩基配列からなる DNAとハイブリダィ ズする DNAがコードし、 hSNF2H、 hSNF2L, NCoA- 62/Skipおよびそれらの他種相 同体からなる群より選択されるタンパク質に結合する活性を有する転写調節因 子、
6. ( 1 ) から ( 5) のいずれかに記載の転写調節因子をコードする DNA、
7. 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列のコード領域を含む、 ( 6) に 記載の DNAヽ
8. ( 6) または ( 7) に記載の DNAを含むベクタ一、
9. ( 6) または ( 7) に記載の DNAを発現可能に保持する形質転換体、
1 0. (9 ) に記載の形質転換体を培養する工程を含む、 ( 1 ) から ( 5) のいずれかに記載の転写調節因子の製造方法、
1 1. ( 1 ) から ( 5) のいずれかに記載の転写調節因子に結合する抗体、
1 2. ( 1 ) から ( 5) のいずれかに記載の転写調節因子に結合する活性 を有する化合物のスクリーニング方法であって、
(a) 該転写調節因子と被験サンプルとを接触させる工程、
( b ) 該転写調節因子と被験サンプルとの結合活性を検出する工程、
(c) 該転写調節因子に結合する活性を有する化合物を選択する工程、 を含む 方法、
1 3. ( 1 )から( 5)のいずれかに記載の転写調節因子と、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skip およびそれらの他種相同体からなる群より選択されるタンパク 質との結合を阻害または促進する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a) 被検サンプルの存在下で、 該転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体とを接触させる工程、
(b)該転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相 同体との結合活性を検出する工程、
(C) 被検サンプル非存在下で検出した場合 (対照) と比較して、 該結合活性 を低下または増加させる化合物を選択する工程、 を含む方法、
14. ( 13) に記載の方法により単離しうる、 ( 1 ) から ( 5 ) のいずれ かに記載の転写調節因子と、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipおよびそれらの他 種相同体からなる群より選択されるタンパク質との結合を阻害する化合物、
1 5. 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列からなる DNAと特異的にハイ ブリダィズし、 少なくとも 15ヌクレオチドの鎖長を有する DNA、 に関する。 なお、 本発明において 「転写調節因子」 とは、 遺伝子の発現を調節している タンパク質を指す。 また、 「プロモドメイン」 とは、 シグナル依存的な転写に関 連している転写調節因子中で保存されているタンパク質-夕ンパク質相互作用 に関与するアミノ酸のモチーフを指す。
本発明は、 プロモドメインを有する新規な転写調節因子に関する。 本発明の 転写調節因子に含まれる、 「TCoAl」 と命名されたタンパク質のアミノ酸配列お よびそのバリアントのアミノ酸配列をそれそれ配列番号: 1および 10に、 その cDNAの塩基配列をそれそれ配列番号: 2および 9に示す (以下、 特に断らない 限り、 これらを併せて 「TCoAl」 と称する)。 「TCoAl」 は 1つのコスミ ド F26H11 のゲノム配列から同定された機能が未知の遺伝子である線虫 (C. Elegans) 染 色体 III遺伝子 F26H11.2, F26H11.3aおよび F26H11.3b (Wilson at al.,(1994) Nature, 368, 32- 38)の推定タンパク質に最も深い関連がある。 これら 2つの推 定される線虫タンパク質と「TCoAl」タンパク質のアミノ酸配列を比較すると、 それらはドメインの配置は異なるものの非常に類似したタンパク質である。 多くのプロモドメインタンパク質と同様に、 「TCoAl」 は一個所のブロモドメ インを保持する。 TIFファミリー、 GCN5と P/CAFの構造と類似して、 このドメ ィンはカルボキシ末端に近接して存在する (Jeanmouginetal .(1997). Trends Biochem. Sci. 22, 15卜 153)。 「TCoAl」 には、 他のプロモドメインタンパク質 と同様に、 C4HC3ジンクフィンガーが存在する。 プロモドメインと C4HC3ジン クフィンガーの組み合わせは、 これまでいくつかの白血病の遺伝子切断点でし ばしば発見されたものである(Tkachuketal.(1992). Cell, 71, 691-700、 Gu et al.(1992) Cell, 71, 701-708、 Miki et al.(1991) Proc. Nat. Acad. Sci., 88,5167-5171, Le Douarin et al.(1995) EMBO J.14, 2020-2033、 Borrow etal. (1996). Nature Genet., 14, 33-41) 。 従って、 厂 TCoAlj は染色体第 17番 q23 に関与する切断遺伝子の候補である。
「TCoAl」 には、 核移行シグナルのモチーフが多数存在する。 このことは
「TCoAl」 タンパク質が核内に局在することを示している。 「TCoAl」には、 他の プロモドメインタンパク質と同様に、 核受容体と相互作用する部位を規定する と予測される LXXLL モチーフのシリーズが存在する(Heery et al.(1997). Trends Biochem. Sci. 22, 151-153、 Torchia et al.(1997). Nature 387, 677-684)。 LXXLL ドメインを介した、 リガンドが結合した受容体との相互作用 は、 転写コアクチベクターとして 「TCoAl」 が機能することを示唆する。 また、
「TCoAl」のカルボキシ末端には非常に広範なグル夕ミンリツチなドメインが存 在する。 グルタミ ンリ ッチなドメインは、 p300/CBP(Shikama et al.(1997) Trends in Cell Biol. 2, 230- 236)やショウジヨウバエ (drosophila) の fsh (Haynes et al.(1989). Dev. Biol., 134, 246- 257)のようなプロモドメインを 持つタンパク質を含め、 多くの転写調節因子で同定されている。 これらの酸性 領域は、 活性物質としての機能を規定するタンパク一タンパク相互作用に関与 することが予測される (Courey et al.(1989) Cell 59, 827-836)。
「TCoAl」タンパク質には、 このように癌などの増殖性疾患に関連することが 知られている他のブロモドメインタンパク質と共通した多くの特徴を有する。 従って、 「TCoAl」タンパク質もまた癌に関連していることが考えられ、 「TCoAl」 タンパク質やその遺伝子、 「TCoAl」タンパク質の機能を調節する化合物などは、 癌や他の増殖性疾患の治療や予防に応用しうる。 また、 「TCoAl」 と相互作用する hSNF2Hおよび hSNF2Lがクロマチン介在転写 制御機構の一連の過程に関与していることから、 該夕ンパク質がクロマチンが 介在する転写制御においてなんらかの役割を果たすことを強く示唆するもので ある。 従って、 TCoAl はクロマチン再構成機構に関連することにより、 核受容 体への転写応答を統合するタンパク質として大きな役割を果していることが考 えられる。
本発明の転写調節因子は、 当業者に公知の方法により、 遺伝子組み換え技術 を用いて調製される組み換えタンパク質として、 また天然の夕ンパク質として 調製することが可能である。 組み換えタンパク質であれば、 例えば、 本発明の 転写調節因子をコードする DNA (例えば、 配列番号: 2または 9に記載の塩基配 列を有する DNA) を適当な発現ベクターに組み込み、 これを宿主細胞に導入し て得た形質転換体から精製するなどの方法により調製することが可能である。 また、 天然のタンパク質であれば、 例えば、 調製した組み換えタンパク質を小 動物に免疫することにより得た抗体を用いたカラムを調製し、 本発明の転写調 節因子の発現の高い組織や細胞 (例えば、 精巣や癌細胞など) の抽出物に対し 該カラムを用いたァフィ二ティ一クロマトグラフィ一を行うなどの方法により 調製することが可能である。
本発明は、 また、 「TCoAl」 タンパク質 (配列番号: 1または 10) と機能的に 同等な転写調節因子を包含する。 このような転写調節因子には、 「TCoAl」 タン パク質 (配列番号: 1または 10) の変異体や種々の生物由来の 「TCoAl」 タンパ ク質が含まれる。
あるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を単離する方法としては、 タン パク質中のアミノ酸に変異を導入する方法が当業者によく知られている。即ち、 当業者であれば、 例えば、 PCRによる部位特異的変異誘発システム (GIBC0- BRL 社, Gaithersburg, Maryland)、オリゴヌクレオチドによる部位特異的変異誘発法 (Kramer, W. and Fritz,HJ ( 1987) Methods in Enzymol ., 154: 350-367) などの 方法を利用して、 配列番号: 1 または 10 に記載の 「TCoAl」 タンパク質の機能 に影響を与えないアミノ酸を適宜置換などして、 「TCoAl」 タンパク質と同等の 機能を有する転写調節因子を単離することは通常行いうることである。 また、 タンパク質中のアミノ酸の変異は自然界においても生じることもある。 本発明 の転写調節因子には、 配列番号: 1 または 10 に記載の 「TCoAl」 タンパク質の アミノ酸配列において 1 もしくは複数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および /または挿入されたアミノ酸配列からなり、 hSNF2H、 hSNF2L や NCoA- 62/Skip との結合活性を有するタンパク質、 および配列番号 : 1 または 10 に記載の 「TCoAl」タンパク質のアミノ酸配列において 1もしくは複数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および/または挿入されたアミノ酸配列からなり、 プロモドメイ ンを保持している転写調節因子が含まれる。
変異するアミノ酸の個数は、 「TCoAl」 タンパク質の機能が保持される限り特 に制限はないが、 通常、 50アミノ酸以内であり、 好ましくは 30アミノ酸以内 であり、 さらに好ましくは、 10アミノ酸以内であり、 さらに好ましくは 3アミ ノ酸以内である。 また、 アミノ酸の変異部位も 「TCoAl」 タンパク質の機能が保 持される限り特に制限はない。
あるアミノ酸配列に対する 1又は複数個のアミノ酸残基の欠失、 付加及び/ 又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク 質がその生物学的活性を維持することはすでに知られている (Mark, D. F . et al ., Proc . Natl . Acad. Sci . USA ( 1984) 81 , 5662-5666、 Zoller, M. J. & Smith, M. Nucleic Acids Research ( 1982 ) 10, 6487-6500、 Wang, A. et al ., Science 224, 1431-1433、 Dalbadie-McFarland, G. et al ., Proc . Natl . Acad. Sci . USA ( 1982 ) 79, 6409-6413 )。
また、 変異するアミノ酸残基においては、 アミノ酸側鎖の性質が保存されて いる別のアミノ酸に変異されることが望ましい。 例えばァミノ酸側鎖の性質と しては、 疎水性アミノ酸 (A、 I、 L、 M、 F、 P、 W、 Y、 V)、 親水性アミノ酸 (R、 D、 N、 C、 E、 Q、 G、 H、 K、 S、 T)、 脂肪族側鎖を有するアミノ酸 (G、 A、 V、 L、 I、 P)、 水酸基含有側鎖を有するアミノ酸 (S、 Τ、 Υ)、 硫黄原子含有側鎖を有す るアミノ酸 ( Μ)、 カルボン酸及びアミ ド含有側鎖を有するアミノ酸 (D、 N、
E、 Q)、 塩基含有側鎖を有するアミノ離 (R、 K、 Η)、 芳香族含有側鎖を有するァ ミノ酸 (H、 F、 Y、 W) を挙げることができる (括弧内はいずれもアミノ酸の一 文字標記を表す)。
「TCoAl」 タンパク質のアミノ酸配列 (配列番号: 1または 10) に複数個のァ ミノ酸残基が欠失したタンパク質としては、 例えば、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体との結合活性を有する 「TCoAl」 タンパク質 の部分ペプチドが含まれる。 実施例 6 (図 5 ) に記載のように 「TCoAl」 タンパ ク質の N末端側アミノ酸残基には、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skipまたはそれ らの他種相同体との結合活性が存在する。 このようなペプチドは、 生体内にお いて 「TCoAl」 タンパク質と上記したその結合タンパク質との結合を阻害し、 「TCoAl」タンパク質の生体内での機能を阻害するために利用することが可能で ある。
「TCoAl」 タンパク質のアミノ酸配列 (配列番号: 1または 10) に複数個のァ ミノ酸残基が付加されたタンパク質としては、 例えば、 「TCoAl」 タンパク質を 含む融合タンパク質が挙げられる。 融合タンパク質は、 「TCoAl」 タンパク質と 他のペプチド又はタンパク質とが融合したものであり、 本発明に含まれる。 融 合タンパク質を作製する方法は、 本発明の 「TCoAl」 タンパク質をコードする DNAと他のぺプチド又は夕ンパク質をコードする DNAをフレームが一致するよ うに連結してこれを発現ベクターに導入し、 宿主で発現させればよく、 当業者 に公知の手法を用いることができる。 本発明の夕ンパク質との融合に付される 他のぺプチド又はタンパク質としては、 特に限定されない。
本発明のタンパク質との融合に付される他のペプチドとしては、例えば、 FLAG (Hopp, T. P . et al ,, BioTechnology ( 1988) 6, 1204-1210 )、 6個の His (ヒ スチジン) 残基からなる 6 x His、 10 xHis、 インフルエンザ凝集素 (HA)、 ヒト c-mycの断片、 VSV- GPの断片、 pl8HIVの断片、 T7- tag、 HSV- tag、 E- tag、 SV40T 抗原の断片、 lck tag、 ひ- tubul inの断片、 B- tag 、 Protein C の断片等の公 知のペプチドを使用することができる。 また、 本発明のタンパク質との融合に 付される他のタンパク質としては、 例えば、 GST (グル夕チオン一S—トランス フェラ一ゼ)、 HA (インフルエンザ凝集素)、 ィムノグロブリン定常領域、 β— ガラク トシダ一ゼ、 ΜΒΡ (マルトース結合タンパク質) 等が挙げられる。
市販されているこれらべプチドまたはタンパク質をコードする DNAを本発明 のタンパク質をコードする DNA と融合させ、 これれにより調製された融合 DNA を発現させることにより、 融合夕ンパク質を調製することができる。
また、 あるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を単離するための他の方 法としては、 ハイブリダィゼ一シヨン技術 (Sambrook,J et al . , Molecular Cloning 2nd ed.9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989) を利用する 方法が当業者によく知られている。 即ち、 当業者にとっては、 ハイブリダィゼ ーシヨン技術 (Sambrook, J et al . , olecular Cloning 2nd ed. 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989) を用いて、 配列番号: 2に記載の 「TCoAl」 夕 ンパク質をコードする DNA配列もしくはその一部を基に、 これと相同性の高い DNAを単離して、 該 DNAから 「TCoAl」 タンパク質と機能的に同等な転写調節因 子を得ることも通常行いうることである。 本発明の転写調節因子には、 配列番 号: 2に記載の「TCoAl」タンパク質をコードする DNAとハイプリダイズする DNA がコードし、 プロモドメインを有する転写調節因子も含まれる。 機能的に同等 な転写調節因子を単離するための生物としては、 ヒト以外に、 例えば、 マウス、 ラッ ト、 ゥシ、 サル、 ブ夕などが挙げられるが、 これらに制限されない。 機能 的に同等な転写調節因子をコ一ドする DNAを単離するためのハイプリダイゼ一 シヨンのストリンジエンシーは、 通常、 「42°C、 2xSSC、 0.1¾ SDSj程度であり、 好ましくは 「50°C、 2xSSC、 0. 1¾ SDSj 程度、 さらに好ましくは 「65。C、 2xSSC、 0.1% SDSj 程度と、 温度を上げる程に高い相同性を有する DNAを得ることがで きる。 但し、 ハイプリダイゼ一シヨンのストリンジエンシーに影響する要素と しては温度以外にも複数の要素が考えられ、 当業者であればこれら要素を適宜 選択することで同様のストリンジエンシーを実現することが可能である。
また、 ハイブリダィゼ一シヨンにかえて、 「TCoAl」 タンパク質をコードする 配列番号: 9に記載の MA配列の配列情報を基に合成したプライマーを用いる 遺伝子増幅法、 例えば、 ポリメラ一ゼ連鎖反応 (PCR) 法を利用して、 「TCoAl」 タンパク質と機能的に同等な転写調節因子をコ一ドする DNAを単離することも 可能である。
これらハイプリダイゼ一シヨン技術または遺伝子増幅技術により単離される DNA がコードするタンパク質は、 通常、 「TCoAl」 タンパク質とアミノ酸配列に おいて高い相同性を有する。 高い相同性とは、 「TCoAl」 タンパク質とアミノ酸 配列において、 通常、 40%以上の相同性、 好ましくは 60%以上の相同性、 さら に好ましくは 80%以上の相同性、さらに好ましくは 95%以上の相同性を指す。 タンパク質の相同性を決定するには、 文献 (Wi lbur, W. J. and Lipman, D. J. Pro Natl . Acad. Sci . USA ( 1983) 80, 726-730) に記載のアルゴリズムにし たがえばよい。
このようなハイブリダイゼーション技術や遺伝子増幅技術を利用して単離さ れる TcoAlタンパク質 (配列番号: 1または 10) と機能的に同等な転写調節因 子としては、 TcoAlタンパク質 (配列番号: 1 または 10) と一次構造において 高い相同性を有し、 hSNF2H、 hSNF2Lや NCoA- 62/Skip との結合活性を有する転 写調節因子、 および TcoAlタンパク質 (配列番号 : 10) と一次構造において高 い相同性を有し、 癌に関連した機能の上で重要であると考えられるモチーフで あるブロモドメインを保持している転写調節因子が含まれる。
これら転写調節因子は、 プロモドメイン以外にも、 他のタンパク質との相互 作用に関与する配列 (例えば、 ロイシンジッパー、 LXXLLモチーフ)、 MAとの 結合などに関与する配列 (例えば、 ジンクフィンガー)、核移行シグナルなどを 有しうる。
タンパク質中のブロモドメインの存在は、 DNASIS (日立ソフ トウエアェンジ ニァリング社) 上のブロモドメインモチーフ PR0SITEデ一夕一ベースを検索す ることにより決定することが可能である。
また、 本発明は、 本発明の転写調節因子をコードする DNAに関する。 本発明 の DNAとしては、 本発明の転写調節因子をコードしうるものであれば特に制限 はなく、 cDNA、 ゲノム MA、 化学合成 DNAなどが含まれる。 また、 本発明の夕 ンパク質をコードしうる限り、 遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有す る DNAが含まれる。 本発明のタンパク質をコ一ドする cDNAは、 例えば、 本発明 の転写調節因子をコ一ドする MAの配列情報 (例えば、 配列番号: 9) を基にプ ライマ一を調製し、 プラーク PCRを行うことにより調製することが可能である (例えば、 文献 「Affara NA et al ( 1994) Genomics, 22, 205-210」 参照)。 また、 ゲノム DNA であれば、 例えば、 市販の 「Qiagen genomic DNA kitsj ( Qiagen 社, Hilden, Germany)を用いた方法により調製することが可能である。得られた DNA の塩基西己歹 ϋは、 市販の 「dye terminator sequencing kit」 ( Applied Biosystems社) などを用いて常法により決定することが可能である。 本発明の DNA は、 後述するように組み換えタンパク質の製造に用いられる他、 遺伝子治 療などへの応用が考えられる。
また、本発明は、本発明の DNAが挿入されたベクターに関する。本発明の DNA が挿入されるべクタ一としては特に制限はなく、 本発明の転写調節因子を生体 内で発現させるためのベクタ一、 組み換えタンパク質を調製するためのベクタ —など目的に応じて種々のベクターが用いられる。 本発明の転写調節因子を生 体内で発現させるため (特に遺伝子治療のため) に用いられるベクタ一として は、 各種ウィルスベクタ一や非ウィルスベクターが挙げられる。 ウィルスべク 夕一としては、 例えば、 アデノウイルスベクター 「pAdexLcw」 やレトロウィル スベクター 「pziPneo」 などが、 非ウィルスベクタ一としては、 例えば、 カチォ ニックリボソームなどが挙げられる。 本発明の転写調節因子を生産する目的に おいてベクターを使用する場合には、 特に、 発現ベクターが有用である。 発現 ベクタ一としては、例えば、大腸菌(E. col i)を用いる場合には「PREP4」(Qiagen ¾ , Hi lden, Germany) などが、 酵母を用いる場合には 「SP- Q01」 ( Stratagene 社, La Jol la, California) などが、 昆虫細胞を用いる場合には 「BAC- to- BAC baculovirus expression systemj (GIBCO - BRL ¾ , Gaithersburg, Mar land) な どが好適であるが、 これらに制限されない。 また、 哺乳動物細胞、 例えば、 CH0 細胞、 COS 細胞、 NIH3T3 細胞などを用いる場合には、 例えば、 「LacSwitch I I expression system」 ( Stratagene社, La Jol la, California) などが好適である が、 これらに制限されない。 ベクタ一への本発明の DNAの揷入は、 常法により 行うことができる。
また、 本発明は、 本発明の DNAを発現可能に保持する形質転換体に関する。 本発明の形質転換体には、 本発明の DNAが挿入された上記べクタ一を保持する もの、本発明の DNAが宿主ゲノム内に組み込まれているものなどが含まれるが、 本発明の DNAを発現可能に保持している限り、 その存在形態は問わない。 本発 明のベクタ一が導入される細胞としては特に制限はない。 例えば、 遺伝子治療 目的の場合には、 疾患に応じて、 種々の細胞を標的細胞として用いることが可 能である。 また、 本発明の転写調節因子を製造する目的の場合には、 例えば、 大腸菌、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞などを宿主として用いることが可能である。 細胞へのベクタ一の導入は、 例えば、 電気的穿孔法、 熱ショックなどの公知の 方法で行うことが可能である。
組み換えタンパク質を製造するために作製した形質転換体からの該組み換え タンパク質の分離、 精製は、 常法により行うことが可能である。 例えば、 形質 転換体を回収し、 抽出物を得た後、 イオン交換、 逆相、 ゲル濾過などのクロマ トグラフィ一、 あるいは本発明のタンパク質に対する抗体をカラムに固定した ァフィ二ティークロマトグラフィーにかけることにより、 または、 さらにこれ らのカラムを複数組み合わせることにより目的のタンパク質を精製し、 調製す ることが可能である。
また、 本発明のタンパク質をグル夕チオン S トランスフェラーゼタンパク質 との融合夕ンパク質として、 あるいはヒスチジンを複数付加させた組み換え夕 ンパク質として宿主細胞 (例えば、 動物細胞や大腸菌など) 内で発現させた場 合には、 発現させた組み換えタンパク質はグル夕チオンカラムあるいはニッケ ルカラムを用いて精製することができる。 融合タンパク質の精製後、 必要に応 じて融合夕ンパク質のうち目的のタンパク質以外の領域を、 トロンビンまたは ファクタ一 Xaなどにより切断し、 除去することも可能である。
また、 本発明は、 本発明の転写調節因子に結合する抗体に関する。 本発明の 抗体の形態には、 特に制限はなく、 ポリクロ一ナル抗体の他、 モノクローナル 抗体も含まれる。 また、 ゥサギなどに本発明の転写調節因子を免疫して得た抗 血清、 すべてのクラスのポリクロ一ナル抗体およびモノクローナル抗体、 さら に遺伝子組み換えによるヒト型化抗体、 ヒト抗体も含まれる。本発明の抗体は、 以下の方法により調製することが可能である。 ポリクローナル抗体であれば、 例えば、 本発明の転写調節因子をゥサギなどの小動物に免疫し血清を得て、 こ れを本発明の転写調節因子をカップリングさせたァフィ二ティ一カラムにより、 本発明の転写調節因子のみを認識する画分を得て、 さらにこの画分から免疫グ ロブリン Gあるいは Mを、 プロテイン A、 あるいはプロテイン Gカラムにより 精製することにより調製することができる。 また、 モノクローナル抗体であれ ば、 本発明の転写調節因子をマウスなどの小動物に免疫を行い、 同マウスより 脾臓を摘出し、 これをすりつぶして細胞にし、 マウスミエローマ細胞とポリエ チレングリコールなどの試薬により融合させ、 これによりできた融合細胞 (ハ ィプリ ドーマ) の中から、 本発明の転写調節因子に対する抗体を産生するクロ —ンを選択する。 次いで、 得られたハイプリ ドーマをマウス腹腔内に移植し、 同マウスより腹水を回収し、 得られたモノクローナル抗体を、 例えば、 硫安沈 殿、 プロティン A、 プロティン Gカラム、 DEAEイオン交換クロマトグラフィ一、 本発明の転写調節因子をカヅプリングしたァフィ二ティーカラムなどにより精 製することで調製することが可能である。 本発明の抗体は、 本発明の転写調節 因子の精製や検出に用いられる他、 本発明の転写調節因子の機能を抑制するた めの薬剤として用いることも可能である。 抗体を薬剤として用いる場合には、 免疫原性の点で、 ヒト抗体またはヒト化抗体が有効である。 ヒト抗体またはヒ ト化抗体は当業者に公知の方法により調製することができる。 例えば、 ヒ ト抗 体は、 免疫系をヒトと入れ換えたマウスに本発明の転写調節因子を免疫するこ とにより調製することが可能である。 また、 ヒト化抗体は、 モノクローナル抗 体産生細胞から抗体遺伝子をクローニングし、 その抗原決定部位を既存のヒト 抗体に移植する CDRグラフ 卜法により調製することが可能である。
また、 本発明は、 本発明の転写調節因子に結合する化合物のスクリーニング 方法に関する。 本発明のスクリーニング法は、 本発明の転写調節因子と被験サ ンプルとを接触させ、 被験サンプルと本発明の転写調節因子との結合活性を検 出し、 本発明の転写調節因子に結合する活性を有する化合物を選択する工程を 含む。スクリーニングに用いる被検サンプルとしては特に制限はなく、例えば、 細胞抽出液、 細胞培養上清、 合成低分子化合物のライブラリー、 精製タンパク 質、 遺伝子ライブラリ一の発現産物、 合成ペプチドのライブラ リーなどが挙げ られる。
本発明の転写調節因子を用いてこれに結合する化合物を単離する方法として は、 例えば、 以下の方法が当業者によく知られている。 本発明の転写調節因子 に結合するタンパク質のスクリーニングは、 例えば、 本発明の転写調節因子と 結合するタンパク質を発現してることが予想される組織若しくは細胞(例えば、 精巣組織細胞や癌細胞系など) よりファージベクター (人 gtll , ZAP など) を 用いた cDNAライブラリーを作製し、 これを LB-ァガロース上で発現させフィル 夕一に発現させたタンパク質を固定し、 本発明の転写調節因子をピオチンラベ ル、 あるいは GSTタンパク質との融合タンパク質として精製し、 これを上記フ ィルターと反応させ、 結合するタンパク質を発現しているプラークを、 ストレ ブトアビジン、 あるいは抗 GST抗体により検出する 「ウェストウエスタンプロ ヅティング法」 ( Skolnik EY, Margol is B, Mohammad 1 M, Lowenstein E, Fischer R, Drepps A, Ul lrich A, and Schlessinger J ( 1991 )Cloning of PI3 kinase - associated p85 uti l izing a novel method for expression/cloning of target proteins for receptor tyrosine kinases. Cel l 65, 83-90) により実 施することが可能である。 また、 本発明の転写調節因子に結合するタンパク質 またはその遺伝子のスク リーニングは、 「2 ハイ ブリ ッ ドシステム」 (TMATCHMARKER Two-Hybrid Systemj , Γ Mammal ian MATCHMAKER Two-Hybrid Assay Kitj , i" MATCHMAKER One-Hybrid Systemj (いずれも clontech社)、 「HybriZAP Two-Hybrid Vector Systemj ( stratagene社)、 文献 「Dalton S, and Treisman R ( 1992) Characterization of SAP-1 , a protein recruited by serum response factor to the c-fos serum response element. Cel l 68, 597— 612」) (こ従レ、実 施することも可能である。 2 ハイブリツ ドシステムにおいては、 本発明の転写 調節因子を SRF結合領域または GAL4結合領域と融合させて酵母細胞の中で発現 させ、 本発明の転写調節因子と結合するタンパク質を発現していることが予想 される細胞より、 VP16 または GAL4転写活性化領域と融合する形で発現するよ うな cDNAライブラリーを作製する。これを上記酵母細胞に導入し、検出された 陽性クローンからライブラリー由来 cDNAを単離する(酵母細胞内で本発明の転 写調節因子と結合するタンパク質が発現すると、 両者の結合によりレポーター 遺伝子が活性化され、 陽性のクローンが確認できる)。 さらに、 該 cDNAを大腸 菌に導入して、該 cDNAによりコ一ドされるタンパク質を発現させ、該夕ンパク 質を回収することができる。
本発明の転写調節因子に結合するタンパク質のスクリ一ニングは、 さらに、 本発明の転写調節因子を固定したァフィ二ティーカラムに本発明の転写調節因 子と結合するタンパク質を発現していることが予想される細胞の培養上清もし くは細胞抽出物をのせ、 カラムに特異的に結合するタンパク質を精製すること により実施することも可能である。
また、 固定した本発明の転写調節因子に、 合成化合物、 または天然物バンク、 もしくはランダムファージぺプチドディスプレイライブラリ一を作用させ、 結 合する分子をスクリーニングする方法や、 コンビナトリアルケミストリー技術 によるハイスループッ トを用いたスクリーニング (Wrighton NC ; Farrel l FX; Chang R; Kashyap AK; Barbone FP; Mulcahy LS; Johnson DL; Barrett RW; Joll iffe LK; Dower WJ. , Small peptides as potent mimetics of the protein hormone erythropoietin, Science (UNITED STATES ) Jul 26 1996, 273 p458- 64、 Verdine GL. , The combinatorial chemistry of nature. Nature (ENGLAND) Nov 7 1996 , 384 pll-13、 Hogan JC Jr. , Directed combinatorial chemistry. Nature (ENGLAND ) Nov 7 1996, 384 pl7-9) により本発明の転写調節因子に結 合する、 低分子化合物、 タンパク質 (またはその遺伝子)、 ペプチドなどを単離 する方法も当業者に周知の技術である。
本発明において、 結合した化合物を検出又は測定する手段として表面プラズ モン共鳴現象を利用したバイオセンサ一を使用することもできる。 表面プラズ モン共鳴現象を利用したバイオセンサーは本発明のタンパク質と被検化合物と の間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、 表面ブラ ズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である (例えば BIAcore、 Pharmacia製)。 したがって、 B IAcore等のバイオセンサ一を用いるこ とにより本発明のタンパク質と被験化合物との結合を評価することが可能であ る。
また、 本発明は、 本発明の転写調節因子とこれに相互作用するタンパク質と の結合を阻害または促進する化合物のスクリ一ニング方法に関する。 本発明に おいて、 TcoAlタンパク質と、 hSNF2H、 hSNF2Lおよび NCoA- 62/Skipとの結合が 検出されたことに基づき、 このようなスクリーニングを行なうことが可能とな つた。 このスクリーニングは、 ( a )被検サンプルの存在下で、 本発明の転写調 節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体とを接触さ せる工程、 (b ) 本発明の転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまた はそれらの他種相同体との結合活性を検出する工程、 および ( c ) 被検サンプ ル非存在下で検出した場合 (対照) と比較して、 該結合活性を低下させる化合 物を選択する工程、 を含む方法により実施することが可能である。
被検サンプルとしては特に制限はなく、 例えば、 細胞抽出液、 細胞培養上清、 合成低分子化合物のライブラリー、 精製タンパク質、 遺伝子ライブラリ一の発 現産物、 合成ペプチドのライブラリ一などが挙げられる。 また、 上記の本発明 のタンパク質に結合する化合物のスクリーニングにより単離された化合物を被 検試料として用いることも可能である。
また、 スクリーニングに用いる本発明の転写調節因子としては、 完全なタン パク質であっても、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体 との結合領域を含む部分ペプチドであってもよい。 また、 スクリーニングに用 いる hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skipまたはそれらの他種相同体としては、 完全 なタンパク質であってもよく、 また、 本発明の転写調節因子とのけ都合領域を 含む部分べプチドであってもよい。
本発明の転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種 相同体との結合活性の検出は、 例えば、 以下のように行なうことができる。 マイクロプレートに固定した本発明の転写調節因子に被験サンプルと hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skipまたはそれらの他種相同体を存在せしめ、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skip またはそれらの他種相同体 に対するマウスゃゥサギ抗 体を反応させ、 さらにペルォキシダ一ゼやアル力リフォスファタ一ゼなどで標 識した抗マウスあるいは抗ゥサギ抗体を加えて反応させた後、 標識した酵素の 基質を添加し、 その酵素活性を測定する。 この酵素活性が、 被検サンプルを添 加しなかった場合において検出した酵素活性と比較して、 低いまたは高い値を 示すような化合物を選択する。 これにより、 本発明の転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体との間の結合を阻害または促 進する活性を有する化合物を得ることができる。
このスクリ一ニングは、固定するタンパク質を hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skip またはそれらの他種相同体として、 被験試料とともに加えるタンパク質を本発 明の転写調節因子としてもよい。
また、 被験サンプルと加える本発明の転写調節因子あるいは hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skip またはそれらの他種相同体を直接にペルォキシダ一ゼやアル力 リフォスファタ一ゼで標識したり、 これらの酵素との融合夕ンパク質としたも のを使用してもよい。 また、 これらの酵素に限らず、 ルシフヱラーゼやべ一夕 ギャラクトシダ一ゼ、 GFPタンパク質、 などとの融合タンパク質として発現し、 被験サンプルによるそれらの酵素活性の阻害あるいは促進を測定することによ り本発明の転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA-62/Skipまたはそれらの他種 相同体との間の結合を阻害または活性化する活性を有する化合物を選択するこ とができる。
また、 本発明の転写調節因子とこれに相互作用するタンパク質との結合を阻 害または促進する化合物のスクリーニングは、 哺乳動物の 2ハイプリッ ドシス テム (Clontech, Palo Alto )を利用して行なうことができる。 即ち、 2ハイブ リッ ドシステムを利用して、 哺乳動物細胞内で本発明の転写調節因子とこれに 相互作用するタンパク質とを発現させ、 該哺乳動物細胞に被検サンプルを添加 して、 その後、 レポ一夕一活性を検出する。 検出されたレポ一夕一活性が、 被 検サンプルを添加しなかった場合において検出したレポ一夕一活性と比較して、 低いまたは高い値を示すような化合物を選択する。 これにより、 本発明の転写 調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体 との間 の結合を阻害または促進する活性を有する化合物を得ることができる。
本発明のスクリーニングにより単離される化合物は、 癌および他の増殖性疾 患の治療や予防への応用が考えられる。 単離される化合物をヒ トゃ哺乳動物、 例えばマウス、 ラッ ト、 モルモッ ト、 ゥサギ、 ニヮトリ、 ネコ、 ィヌ、 ヒッジ、 ブ夕、 ゥシ、 サル、 マントヒヒ、 チンパンジーの医薬として使用する場合には、 単離された化合物自体を直接患者に投与する以外に、 公知の製剤学的方法によ り製剤化して投与を行うことも可能である。 例えば、 必要に応じて糖衣を施し た錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤として経口的に、 あ るいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 又は懸濁 液剤の注射剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、 薬理学上許容される担体 もしくは媒体、 具体的には、 滅菌水や生理食塩水、 植物油、 乳化剤、 懸濁剤、 界面活性剤、 安定剤、 香味剤、 賦形剤、 べヒクル、 防腐剤、 結合剤などと適宜 組み合わせて、 一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和す ることによって製剤化することが考えられる。 これら製剤における有効成分量 は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、 力プセル剤に混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、 コーンスターチ、 トラガントガム、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル ロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸のような膨化 剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖又はサッカリン のような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油又はチェリーのような香味剤が用 いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記の材料にさらに油脂 のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物は注射用 蒸留水のようなべヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができ 注射用の水溶液としては、 例えば生理食塩水、 ブドウ糖やその他の補助薬を 含む等張液、 例えば!)-ソルビトール、 D-マンノース、 D-マンニトール、 塩化ナ トリウムが挙げられ、 適当な溶解補助剤、 例えばアルコール、 具体的にはエタ ノール、 ポリアルコール、 例えばプロピレングリコール、 ポリエチレングリコ
—ル、 非イオン性界面活性剤、 例えばポリソルベート 80 ( TM)、 HC0- 50と併用 してもよい。
油性液としてはゴマ油、 大豆油があげられ、 溶解補助剤として安息香酸ベン ジル、 ベンジルアルコールと併用してもよい。 また、 緩衝剤、 例えばリン酸塩 緩衝液、 酢酸ナトリゥム緩衝液、 無痛化剤、 例えば、 塩酸プロ力イン、 安定剤、 例えばべンジルアルコール、 フヱノール、 酸化防止剤と配合してもよい。 調製 された注射液は通常、 適当なアンプルに充填させる。
患者への投与は、 例えば、 動脈内注射、 静脈内注射、 皮下注射などのほか、 鼻腔内的、 経気管支的、 筋内的、 または経口的に当業者に公知の方法により行 いうる。 投与量は、 患者の体重や年齢、 投与方法などにより変動するが、 当業 者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。 また、 該化合物が DNAによりコードされうるものであれば、 該 DNAを遺伝子治療用べクタ一に組 込み、 遺伝子治療を行うことも考えられる。 投与量、 投与方法は、 患者の体重 や年齢、 症状などにより変動するが、 当業者であれば適宜選択することが可能 である。
例えば、 本発明のタンパク質と結合する化合物や本発明の夕ンパク質の活性 を調節する化合物の投与量は、 症状により差異はあるが、 経口投与の場合、 一 般的に成人 (体重 60kgとして) においては、 1 日あたり約 0. 1から 100mg、 好 ましくは約 1 . 0から 50mg、 より好ましくは約 1 . 0から 20mgである。
非経口的に投与する場合は、 その 1回投与量は投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重 60kgとし て) においては、 1 日あたり約 0. 01から 30mg、 好ましくは約 0. 1から 20mg、 より好ましくは約 0. 1から 10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ る。他の動物の場合も、体重 60kg当たりに換算した量を投与することができる < また、 本発明は、 「TCoAl」 タンパク質をコードする DNAと特異的にハイプリ ダイズし、少なくとも 15ヌクレオチドの鎖長を有する DNAに関する。ここで「特 異的にハイブリダィズする」 とは、 通常のハイブリダィゼーシヨン条件下、 好 ましくはストリンジェン卜なハイブリダィゼーシヨン条件下で、 他のタンパク 質をコ一ドする DNAとクロスハイプリダイゼ一シヨンが有意に生じないことを 指す。 このような DNAには、 本発明のタンパク質をコードする DNA又は該 DNA と相補的な DNAと特異的にハイブリダィズし得るプローブやプライマー、 ヌク レオチド又はヌクレオチド誘導体 (例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドゃ リボザィム等) が含まれる。
本発明は、 例えば、 配列番号: 2または 9 に示される塩基配列中のいずれか の箇所にハイプリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。 このァ ンチセンスオリゴヌクレオチドは、 好ましくは配列番号: 2 または 9に示され る塩基配列中の連続する少なくとも 15 個以上のヌクレオチドに対するアンチ センスオリゴヌクレオチドである。 さらに好ましくは、 前記連続する少なくと も 15個以上のヌクレオチドが翻訳開始コ ドンを含む、前記のアンチセンスオリ ゴヌクレオチドである。
アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、 それらの誘導体や修飾体を使用 することができる。 このような修飾体として、 例えばメチルホスホネート型又 はェチルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、 ホスホロ チォェ一ト修飾体又はホスホロアミデ一ト修飾体等が挙げられる。
ここでいう 「アンチセンスオリゴヌクレオチド」 とは、 DNA又は mRNAの所定 の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドが全て相補的であるも ののみならず、 DNA または mMAとオリゴヌクレオチドとが配列番号: 9 に示さ れる塩基配列に特異的にハイブリダィズできる限り、 1 又は複数個のヌクレオ チドのミスマッチが存在していてもよい。
このような DNAとしては、少なくとも 15個の連続したヌクレオチド配列領域 で、 少なくとも 70% 、 好ましくは少なくとも 80% 、 より好ましくは 90% 、 さ らに好ましくは 95%以上の塩基配列上の相同性を有するものを示す。 なお、 相 同性を決定するためのアルゴリズムは本明細書に記載したものを使用すればよ い。 このような DNAは、 後述の実施例に記載するように本発明のタンパク質を コードする DNAを検出若しくは単離するためのプロ一ブとして、 又は増幅する ためのプライマーとして有用である。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、 本発明のタンパク質の 産生細胞に作用して、 該夕ンパク質をコードする DNA 又は mMAに結合するこ とにより、 その転写又は翻訳を阻害したり、 mRNAの分解を促進したりして、 本 発明のタンパク質の発現を抑制することにより、 結果的に本発明のタンパク質 の作用を抑制する効果を有する。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、 それらに対して不活性 な適当な基剤と混和して塗布剤、 パップ剤等の外用剤とすることができる。 また、 必要に応じて、 賦形剤、 等張化剤、 溶解補助剤、 安定化剤、 防腐剤、 無痛化剤等を加えて錠剤、 散財、 顆粒剤、 カプセル剤、 リボソームカプセル剤、 注射剤、 液剤、 点鼻剤など、 さらに凍結乾燥剤とすることができる。 これらは 常法にしたがって調製することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は患者の患部に直接適用す るか、 又は血管内に投与するなどして結果的に患部に到達し得るように患者に 適用する。 さらには、 持続性、 膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用い ることもできる。 例えば、 リボソーム、 ポリ- L- リジン、 リピッ ド、 コレステ ロール、 リボフヱクチン又はこれらの誘導体が挙げられる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体の投与量は、 患者の状態に 応じて適宜調整し、好ましい量を用いることができる。例えば、 0.1〜100mg/kg、 好ましくは 0. 1 〜50mg/kg の範囲で投与することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明のタンパク質の発現を阻 害し、 従って本発明のタンパク質の生物学的活性を抑制することにおいて有用 である。 また、 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する発現阻害 剤は、 本発明の夕ンパク質の生物学的活性を抑制することが可能である点で有 用である。 図面の簡単な説明
図 1は、 「TCoAl」 に同定されたドメインの配置を示す。 図中の記号は、 下記 を示す。
「CH4C3」; CH4C3 zincフィンガ一、 「bHLH」;塩基性へリックスループへリック ス、 「Q- richj; グル夕ミンリツチ、 「C2HC4」 ; C2HC4 zincフィンガ一、 「BDM」 ; プロモドメイン、 「个」; LXXLLモチーフ。
図 2は、 Aは、染色体第 17番に対するモノクロモソ一ムハイプリッ トセルパ ネルをプライマ一 nbl5Gとプライマ一 nbl5Hを用いて解析した結果を示す。各々 のハイプリッ ドを含むヒ ト染色体を示す。 133bpの産物はヒト染色体第 17番の モノクロモソ一ムである GM10498細胞系で特異的に増幅された。
Bは、 染色体第 17番上にある 「TCoAl」 の位置を Genebridge4放射ハイプリ ッドパネル解析によって決定した結果を示す。
図 3は、 「TCoAl」 の正常組織における発現のノーザンブロッ ト解析を示す電 気泳動写真である。 Aは 「TCoAl」、 Bはァクチンをプローブにフィル夕一をハ ィプリダイズした。 また図の右側はサイズマーカ一を示している。
図 4 . 哺乳動物の 2ハイプリッ ド解析系を用いて、 TCoAl と hSNF2H、 hSNF2L、 および NCoA- 62/Skipとの相互作用を検出した結果を示す。
図 5は、 TCoA 1の C末端領域と NCoA62/SKIP、 hSNF2H 、 または hSNF2L との 相互作用の地図を示す。
図 6は、 TCoA lと NCoA62/SKIPとの相互作用地図を示す。 相互作用最小領域 (224- 317位) を図下に示した。 図 7は、 TCoA lと hSNF2H との相互作用地図を示す。 hSNF2Hの相互作用最小 領域 (921- 1017位) を図下に示した。
図 8は、 TcoAl との相互作用に関連するタンパク質を示す。 確認されていな い相互作用を波線で示した。 発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが本発明はこれら実施例 に制限されるものではない。
[実施例 1 ] 「TCoAl」 遺伝子の単離
( 1 ) 新規ブロモドメインを有する遺伝子の同定
既知のプロモドメインモチーフをコードする種々の塩基配列を用い、 EST デ 一夕—ベースに対して BLAST検索を行った。 テトラヒメナ サ一モフイラ HAT Al 遺伝子(Brownwel l et al , ( 1996 ) Cel l 84, 843-851 )の塩基配列を用いた検 索結果から、 プロモドメイン遺伝子をコードする可能性のある幾つかの ESTを 同定した。 その内の一つ、 胎児肺 cDNAライブラリー由来の EST(W17142 )は、 新 規遺伝子を提供することが判明した。
( 2 ) 全長塩基配列の単離
ESTW17142に対する全長 cDNAのクロ一ニングを以下のように行った。まず PCR ブラィマー nM5U ( GGATTATGAGGGGTTGMGAGGG/配列番号: 3 )およびブライマ一 nbl5L (AAGGCMCAGAGTCTGTAGCCCAA/配列番号: 4 )をデザィンし、 精巣の cDNA を鎵型にポリメラ一ゼ連鎖反応を行い、 119bp の産物を得た。 PCR 産物は直接 QIAquick( Qiagen社)の精製カラムを用いて精製した。この PCR産物をプローブ として、 精巣 cDNAライブラリ一(Clontech社 HL3024a)のスクリーニングを行 い、 さらに上記 ESTの配列をもつ cDNAクローンを用いて、 ライブラリーのスク リーニングを再度行った。 なお、 プローブはランダムプライミングにより [ひ - 32P] dCTPで標識し、 クロマスピン 10カラム (Clontech社)で精製した。 ライ ブラリ一フィルターのハイブリダイゼ一ションは、 ExpressHybハイブリダイゼ —シヨン溶液(Clontech社)を用い、 65°Cで 1時間かけて行った。 フィル夕一を 65°Cで 0.5x SSC、 0.1¾ SDSの最終的ストリンジエンシーになるまで洗浄した。 続いてそのフィルターをシグナル強度増大のために- 70°Cで 1― 3日間ォ一ト ラジオグラフィーを行った。 同様な操作を、 得られたクローンを連結させ、 本 遺伝子の全コード領域をカバ一する塩基配列が得られるまで繰り返し行った。 全ての塩基配列は、 ABI色素ターミネータ一化学を用いて ABI377自動配列決定 機で決定した。 5'端のクローンは非常に GC含有率が高かったため、配列決定の 前にプラスミ ドにサブクローンした。
ライブラリーのスクリーニングの結果、全体で 9865bpの塩基配列が得られた。 この全塩基配列中には、 8979番目の塩基で終止する 2993アミノ酸をコードす るオープンリ一ディングフレーム(0RF)が存在し、それに続いてポリ Aテールま で 877 bpの 3, UTRが存在した(図 1)。 この配列は、 配列の長さがノーザン分 祈で示された 10,5kbに匹敵すること、および 5'端の配列は GCリツチであり、 多くの遺伝子の開始点に見られる CpGアイランドが存在することと一致するこ と (Cross and Bird, (1995) Curr. Opin. Genet. Dev .5, 309 - 314)から、 ほぼ 完全長であると考えられる。 単離された cDNAの塩基配列を配列番号: 2に、 該 cDNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号: 1に示す。
(3) 相同性および転写因子のモチーフ特性の同定
モチーフは PR0SITEにより検索した。 タンパク質の比較は GCG.中の Bestfit を利用して行った。 核移行シグナルの同定は PS0RTで行った。 モチーフ検索の 結果、 いくつかの保存された領域やドメインが、 予測されたタンパク質のアミ ノ酸配列中に存在していることが判明した (図 1)。 これらの保存された部分に は、 C4HC3ジンクフィンガー (Aasland et al.(1995). Trends Biochem. Sci., 20, 56-59、 Koken et al.(1995). CR Acad. Sci. III, 318, 733-739)、 塩基性 のヘリヅクス一ループ一ヘリックスドメイン (Murre et al. (1989). Cell, 58, 537-544)、 広範な疎水性グル夕ミンリッチなドメイン、 CH2CH3ジンクフィンガ 一とプロモドメインが存在した。 さらに、 核受容体との相互作用を与えている 可能性があると予測できる 3つの LXXLL モチーフ (Torchia et al . ( 1997) . Nature 387, 677-684、 Heery et al . ( 1997) Nature 387, 733-736) が存在した。 これら全てのモチーフは、転写調節因子としての機能を示す特性を持つ。 PSPORT プログラムの結果、 この機能と密接に関連した核位置のコンセンサス配列 (Robbins et al . ( 1991 ) Cel l , 64, 615-23) が全体で 8箇所存在することが 判明した。 遺伝子の機能を表すようにこの遺伝子を「TCoAl」 (transcriptional co-activator ) と命名した 0
「TCoAl」 の塩基配列を non- redundant DNA デ一夕ベース上で解析すると、 「TCoAl」は 810残基の夕ンパク質をコードすると予測される FAC1遺伝子(Zhu and Bowser, ( 1996 ) Biochemica et Biophysica Acta 1309, 5-8) と 2, 183bp において 100%の相同性があることが判明した。 FAC1は元来モノクロ一ナル抗 体 Alz50 ( Bowser et al . ( 1995 ) Dev. Neuroscience 17, 20- 37)を用いた発現 ライブラリーの免疫一スクリーニングによって単離されている。 FAC1 は 「TCoAl」 とは塩基配列において広範な領域が一致することに加え、転写サイズ (Bowser et al . ( 1995 ) Dev. Neuroscience 17, 20- 37)や局在 ( Zhu and Bowser. ( 1996 ) Biochemica et Biophysica Acta 1309, 5- 8)においても、 FAC1 と重なる領域の外側の塩基配列を用いて得られた「TCoAl」の結果と一致してい た。 即ち、 FAC1の 2673bp塩基配列は 「TCoAl」 の 5'末端 248から 2631塩基に 相当する部分配列であると考えられる。 そこで 「TCoAl」 の塩基配列と FAC1塩 基配列を比較した結果、 一塩基欠失のエラー配列 (2400 の地点で A) が FAC1 に存在することが判明し、 これにより 0RFの読み枠のシフトと共に翻訳が早期 に終止することが想定された。 同様に FAC1の 5'末端配列のエラ一によって、 メチォニン残基の開始点の誤認識を引き起こしていた。
「TCoAl I の予測されるアミノ酸配列には、 線虫 ( elegans) で推定される 夕ンパク質 F26H11.2, F26H11.3a and F26H11.3b (Wi lson at al . ( 1994) . Nature, 368, 32- 38 )に相同ないくつかの広範な領域があった。 「Gene Finderj ソフ トゥ エア一を用いた解析の結果、 F26H11コスミ ドに含まれるゲノム配列を検索する ことにより、 これらの夕ンパク質をコードする遺伝子の予測が可能であった。
「TCoAl」の N末端は F26Hll . gに、 また C末端は F26H11. Iに塩基配列の一致す る部分が存在した。 この結果から 「TCoAl」 と FAC1により予測されるこれら 2 つの夕ンパク質がいずれも線虫の単一の夕ンパク質に相当することが示唆され、
「TCoAl」 はこのヒトのホモログであると考えられる。
[実施例 2 ] 「TCoAl」 の染色体地図作製
「TCoAl」 の染色体上の位置を決定するために、 PCR プライマ一 nbl5G (CCTCAGCTGCAACAAGTCC / 配 列 番 号 : 5 ) と プ ラ イ マ 一 nbl5H ( GCACTGCTTTGCTGAATTTGGA /配列番号 : 6 ) を用 いて、 Coriel l Cell Repositories, New Jerse から入手した 24 monochromosomal human/ rodent somatic cel l l ines (Dubois and Naylor. ( 1993 ) Genomics, 16, 315- 319 )の それそれから得られる DNAを増幅した。 その結果、 予測通りの 133bpの PCR産 物が細胞系の GM 10567から増幅され、 本遺伝子はヒト第 17番染色体に存在す る可能性を示唆するものであった(図 2A)。
また、 「TCoAl」 の領域座は GeneBridge4放射パネル 91ハイプリッ ド(Walter et al . ( 1994) . Nature Genetics, 7, 22-28) を用いて決定した。 再度プライマ 一 Gとプライマ一 Hを使い、そのハイブリッ ドパネルで PCRを行うことによって スクリーニングした。 増幅に対して正あるいは負としてそれそれのハイプリッ ド評価することによって、 生成する 2進符号をア ドレス (http:〃 www- genome, wi . mit. edu/cgi -bm/contig/rhmapper. pl) (こあるサ——ノ を用レ、てフレ ムワーク地図を形成するマーカ一についての類似コードと比較し、 本遺伝子の 染色体上の位置を同定した。 その結果、 「TCoAl」 はマ一力一 D17S1557に存在す ることが確認された (図 2B)。 「TCoAl」 が D17S1557から離れた場所に位置する 可能性を示す 11以下のスコアが唯一認められた。 この場所は FI SHにより染色 体第 17番 q24に FAC1があるという結果(Bowser ( 1996 ) Genomics 38, 455-457) と一致する。
「TCoAl」 の更に正確な位置を知るために、 CEPH mega- YACライブラリ一を用 い、 プライマ一 nbl5S (AAGATGTTGTCTTGGAGCCGT/配列番号: 7 )とプライマ一 nbl5Q ( TTTTTTACCATTTGCTTCAGTCCC/配列番号 : 8 )を用い hierarchical PCR でスクリーニングを行った(Jones et al . ( 1994) Genomics 24, 266-275 )0 シン グルク ローン 983dl2 が同定され、 CEPH infoclone データーベース ( www. cephb . fr/infoc lone . html )によって YAC 983dl2の地図情報を検索したが、 このクローンに関する情報は全く得られなかった。 しかし、 Alu- PCR 産物のハ イブリダィゼ一シヨンにより、 983dl2 と部分的に重複する 2 つのクローン ( 902cl0と 938f7)は、ともに D17S1557の末端にある D17S789に対して陽性であ ることが認められた。 これは本発明者らにより得られた放射ハイブリッ ドによ る結果と一致し、 細胞遺伝学上 「TCoAl」 が染色体第 17番 q23に位置すること を示すものであり (Col lins et al . ( 1996 ) Proc . Natl . Acad. Sci . USA 93, 14771-14775 ), FAC1において報告されている染色体第 17番 q24( Bowser ( 1996 ) Genomics 38, 455- 457)に僅かながら近接した位置である。
[実施例 3 ] 「TCoAl」 の発現解析
240 bpの cDNAプローブを用い、 16の正常組識をパネルとしてノーザン解析 を行った。 プローブはランダムプライミングにより [ひ-32 P] dCTP で標識し、 クロマスピン 10カラム (Clontech社)で精製した。ノーザン分析のためハイブ リダイゼーシヨンは ExpressHybハイブリダイゼ一ション溶液(Clontech社)を 用い、 65°Cで 1時間かけて行った。 フィル夕一を 65°Cで 0.5xSS 0.1° SDSの 最終的ストレンジエンシーになるまで洗浄した。 続いてそのフィル夕一をシグ ナル強度増大のために- 70°Cで卜 3日間オートラジオグラフィーを行った。 mMA プロッ ドは Clontech社から購入し、 300-540塩基の領域に相当する 240bpの cDNAプローブでハイブリダィズした。 その結果、 ほとんどの組識で、 約 10. 5kb の mMA が検出され、 この転写産物の大きさは、 塩基配列から同定された 0RF の大きさと同一で、 報告された FAC1の結果と一致した(図 3 )。
[実施例 4 ] TCoAl 完全長 cDNA塩基配列の決定
本発明者等は、 完全な cDNAを単離するために、 実施例 1 ( 2 ) の 119bpの PCR産物をプローブとして精巣 cDNAライブラリ一(Clontech社 HL3024a)の再ス クリーニングを行なった。 スクリーニングは、 実施例 1 ( 2 ) と同様の条件で 行なった。
これにより得られた cDNAの塩基配列を解読した結果、開始コ ドンメチォニン の上流にィンフレームの終止コドンが存在する 9700塩基の配列であった。この ことから、 得られた cDNAが、 全長配列であることが判明した。単離した完全長 cDNAの塩基配列を配列番号: 9に、 該 cDNAがコードするタンパク質のァミノ 酸配列を配列番号: 1 0に示す。
TCoAlの塩基配列を FAC-1 ( Zhu and Bowser, ( 1996 ) B iochemica et B iophysica Acta 1309, 5-8) と比較すると、 FAC- 1 の 57-1519 位の塩基配列が TCoAl の 461- 1917位の塩基配列に、 また FAC-1 の 1898- 2622位が TCoAl の 1918-2643 位にほぼ一致しすることが判明した。 しかし FAC- 1の 1520- 1897位は TCoAlの 塩基配列には存在しない。 TCoAlの塩基配列には 2781のアミノ酸をコードする オープンリーディングフレーム (0RF)が存在するのに対して、 FAC- 1の塩基配 列には開始コドンメチォニンで始まる TCoAlの一部のわずか 810アミノ酸に相 当する 0RFが存在するのみである。 TCoAlのアミノ酸配列は 2つの C4HC3ジン クフィンガー (254-295 位のアミノ酸) と 1 つのプロモドメイン (2684-2747 位のアミノ酸) を保持している。さらに広範囲のグル夕ミンン酸リツチな領域 ( 1840- 2400位のアミノ酸) がある。
[実施例 5 ] TCoAl の N末端領域と相互作用するタンパク質の同定
TCoAlの C4HC3 ジンクフィンガ一を含む最初の 482アミノ酸をコードしてい る cDNAクローンを用いて、 マウス精巣とヒト脳の酵母 2ハイプリッ ド cDNAラ イブラリー (Clontech 社, Palo Alto) をスクリーニングした。 また、 この酵 母 2ハイプリヅ ドライブラリ一スクリーニングにはクローンテックの手法に従 つて、酵母べクタ一 PJ69- 4A(JamesP, etal. (1996) Genetics; 144(4) :1425-36) を用いて行った。
その結果、 ヒトの cDNA ライブラリ一から hSNF2H遺伝子 (Aihara T, et al. (1998) Cytogenet Cell Genet;81(3-4) : 191-3) が単離され、 これに対応する マウス遺伝子がマウスの cDNAライブラリーから単離された。
また、 hSNF2L遺伝子が、 ヒトの cDNAライブラリ一から同定された (Aihara T, et al. (1998) Cytogenet Cell ^/3et;81(3-4) : 191-3)0
さらに、 ヒトの cDNA ライプラリーから、 転写コアクチべ一夕一である NCoA- 62( Skip としても知られている) (Baudino TA, et al. (1998) J Biol Chem; 273(26 ):16434-41、 Dahl R, et al. (1998) feco^e; 16(12) :1579-86) が単 離された。
hSNF2H/2Lは D.Melanogaster ISWIのヒト相同体である。 この ISWI夕ンパク 質はクロマチン再構成複合体中で発見されており、 この複合体は DNA 上で ATPase 依存性にヌクレオソ一ムを再構成する分子機械であることが報告され ている(Varga- Wei szPD, Becker PB. (1998) Curr OpinCell Biol; 10(3) :346- 53)。 hSNF2Hや hSNF2Lはこれらの複合体の中で ATPaseサブュニッ トとして働いてい o
最近、 ISWIだけで染色体の再構成の活性がある可能性を示唆する報告もなさ れている(Corona DF, et al. (1999) Mol Cell 3(2) :239-45)0 取得した hSNF2H クローンの全長配列は、 データベースの配列 (GenBank Accession No. AB010882) と比較すると C末端側 50アミノ酸の欠失があり、オル夕ナティブスプライシン グをしていると考えられた。
NCoA-62/Skipは、 種々の核受容体 (VDR、 RAR) のリガンド結合ドメインゃゥ ィルス腫瘍タンパク質(oncoprotein)である Ski と相互作用する転写コアクチ ベー夕一である。またこの NCoA- 62/Skipはェクジソンにより誘導されるショウ ジヨウバエ (Drosophila ) の Bx42タンパク質に相同性がある。
TCoAl と前述のタンパク質との相互作用を確認するために、 クローンテック の手法に従っての哺乳動物 2ハイ プリ ッ ドシステムのコ ンス トラク ト (Clontech, Palo A o)を使って解析した。 その結果 TCoAl と hSNF2Hの間には 特異的な相互作用を見つけることができたが (図 4 )、 hSNF2Lや Skipに対し てはいかなる相互作用も見られなかった。 hSNF2H と hSNF2Lの類似性から判断 して、 hSNF2Lの相互作用の欠如は驚くべきことで、 このシステムで hSNF2Lの 発現がなかったことが推測される。
[実施例 6 ] TCoAlの相互作用地図
酵母 2ハイブリツ ドシステムを用い、 相互作用地図作製の実験を以下のよう に行つた。 TCoAlの種々の領域 (図 5参照) をコードする cDNAを pASベクター (Clontech社)にクローニングした。 また、 TCoAlの種々の領域との相互作用の 検出を行なう 3つのタンパク質(hSNF2H, hSNF2Lおよび NCoA-62/Skip) をコ一 ドする cDNAを pACTベクター(Clontech社)にクロ一ニングした。これらべクタ 一の組み合わせを、 酵母宿主(PJ69- 4A) に導入し、 該宿主内で発現させたタン パク質同士の相互作用をルシフェラーゼをレポ一夕一として検出した。
その結果、 hSNF2H、 hSNF2L、 および bx42 (NCoA- 62/Skip) のいずれとも相互 作用する TCoAlの領域が明らかになった。 即ち、 図 5で見られるように、 これ ら 3つのすベてのタンパク質は TCoAlの 85- 247アミノ酸と相互作用した。 この事実から、さらに、タンパク質相互作用部位として知られている C4HC3ジ ンクフィンガーが、 これらの 3つのタンパク質との相互作用部位から除外され ていることが判明した。
[実施例 7 ] ブロモドメイン相互作用タンパク質の機能解析 酵母 2ハイプリッ ドスクリーニングで同定した TCoAlが相互作用しているク ローン(hSNF2H, hSNF2L, NCoA- 62/Skip )は、 大きなポリペプチドをコードして いる。 そこで、 本発明者等は、 次ぎに、 酵母 2ハイブリッ ドシステムを利用し て、 これらタンパク質中の、 TCoAl タンパク質と相互作用する領域の同定を行 なった。 具体的には、 NCoA- 62と hSNF2H中の部分的に重なり合う一連のポリべ プチドをコードする cDNAを含む pACTベクター(C lontech社)を構築し(図 6、 図 7 )、 TCoAl タンパク質の 卜 525位のアミノ酸をコードする cDNAを含む pAS ベクター(C lontech 社)とともに酵母細胞 (PJ69- 4A) に導入し、 該宿主内で発 現させた夕ンパク質同士の相互作用をルシフェラ一ゼをレポ一夕一として検出 した。
NCoA-62 についてはそのオリジナルクローンの完全なカルボキシ末端ドメイ ンを含む約 450ァミノ酸の領域、 および該領域における一連の 5つの欠失ク口 —ンについて検討した (図 5 )。 その結果、 NCoA- 62中の 224- 317位のアミノ酸 が TCoAlへの相互作用領域として同定された。
一方、 hSNF2H については、 3つの欠失クローンにっき検討した (図 7 )。 そ の結果、 hSNF2H中の TCoAlタンパク質との相互作用領域は、 そのカルボキシ末 端側にマッピングされた (92卜 1017 位)。 同じ領域を含むもうひとつのクロ一 ン (855- 1017位) では相互作用がみられなかった。 これは、 このクローンが特 別な二次構造を形成することによる可能性がある。 産業上の利用の可能性
本発明の転写調節因子および該転写調節因子をコードする MAは、 癌や他の 細胞増殖性疾患の治療や医薬品候補化合物のスクリーニングに用いることが可 能である。 また、 本発明の転写調節因子に結合する抗体ゃ該転写調節因子の機 能を調節する化合物、 該転写調節因子の他のタンパク質との相互作用を阻害す る化合物には、 これら疾患の治療薬や予防薬としての利用が考えられる。

Claims

請求の範囲
1 . 配列番号: 1または 1 0に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
2 . 配列番号: 1または 1 0に記載のアミノ酸配列において 1若しくは複 数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および/または挿入されたアミノ酸配列か らなり、 プロモドメインを有する転写調節因子。
3 . 配列番号 : 1または 1 0に記載のアミノ酸配列において 1若しくは複 数のアミノ酸が置換、 欠失、 付加、 および または挿入されたアミノ酸配列か らなり、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipおよびそれらの他種相同体からなる群 より選択されるタンパク質に結合する活性を有するタンパク質。
4 . 配列番号 : 2または 9に記載の塩基配列からなる DNAとハイブリダイ ズする DNAがコードし、 ブロモドメインを有する転写調節因子。
5 . 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列からなる DNAとハイブリダイ ズする DNAがコードし、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipおよびそれらの他種相 同体からなる群より選択されるタンパク質に結合する活性を有する転写調節因 子。
6 . 請求項 1から 5のいずれかに記載の転写調節因子をコードする DNA。
7 . 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列のコ一ド領域を含む、 請求項 6に記載の DNAo
8 . 請求項 6または 7に記載の DNAを含むベクター。
9 . 請求項 6または Ίに記載の DNAを発現可能に保持する形質転換体。
1 0 . 請求項 9に記載の形質転換体を培養する工程を含む、 請求項 1から 5のいずれかに記載の転写調節因子の製造方法。
1 1 . 請求項 1から 5のいずれかに記載の転写調節因子に結合する抗体。
1 2 . 請求項 1から 5のいずれかに記載の転写調節因子に結合する活性を 有する化合物のスクリ一ニング方法であって、 ( a ) 該転写調節因子と被験サンプルとを接触させる工程、
( b ) 該転写調節因子と被験サンプルとの結合活性を検出する工程、
( c ) 該転写調節因子に結合する活性を有する化合物を選択する工程、 を含む 方法。
1 3 . 請求項 1から 5のいずれかに記載の転写調節因子と、 hSNF2H、hSNF2L、 NCoA-62/Skip およびそれらの他種相同体からなる群より選択されるタンパク 質との結合を阻害または促進する化合物をスクリーニングする方法であって、
( a ) 被検サンプルの存在下で、 該転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相同体とを接触させる工程、
( b )該転写調節因子と hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipまたはそれらの他種相 同体との結合活性を検出する工程、
( c ) 被検サンプル非存在下で検出した場合 (対照) と比較して、 該結合活性 を低下または増加させる化合物を選択する工程、 を含む方法。
1 4 . 請求項 1 3に記載の方法により単離しうる、 請求項 1から 5のいず れかに記載の転写調節因子と、 hSNF2H、 hSNF2L、 NCoA- 62/Skipおよびそれらの 他種相同体からなる群より選択されるタンパク質との結合を阻害する化合物。
1 5 . 配列番号: 2または 9に記載の塩基配列からなる MAと特異的にハイ ブリダィズし、 少なくとも 15ヌクレオチドの鎖長を有する DNA。
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