WO1999052715A1

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Publication number: WO1999052715A1
Application number: PCT/JP1998/002067
Authority: WO
Inventors: Hiroshi Ochiai; Yoshinari Yasui; Hiroshi Miyamura
Original assignee: Labo Co., Ltd.
Priority date: 1998-04-10
Filing date: 1998-05-11
Publication date: 1999-10-21
Also published as: US6492003B1; EP0993961A4; EP0993961A1

Description

明細書

画像記録シ一トおよび画像記録シー卜の被覆層形成素材技術分野

本発明は画像記録シ一トおよび画像記録シー卜の被覆層形成素材に係り、特にインクジェット式等の画像記録装置により、所定の画像を記録するための画像記録シートおよび画像記録シー卜の被覆層形成素材に関する。背景技術

一般に、例えば、インクジエツ卜式等の画像記録装置により、所定の画像を記録するための画像記録シ一卜が多く用いられている。

従来のこの種の画像記録シー卜に対しては、高解像度の原画像を高品位の画像としてシ一ト面に記録するために、シ一ト面において拡散する性質を有するィンクが拡散することを防止してディジタル的な画像を形成することができるィンク受像層を形成することが要望されていた。

そのため、従来においては、基材の表面に平均粒子径が 0 . 1 m以下のべ一マイトおよびアルミナ微粒子を主たる組成とした所定厚さのィンク受像層を形成するようにしていた。

また、前記インク受像層に記録されたインク画像を保護するために、従来からィンク受像層の表面を適宜な被覆素材からなる被覆層によって被覆している。

しかしながら、前記従来の画像記録シートにおいては、次のような不都合があった。

即ち、従来は通常インク受像層に被覆層を形成する場合に、インク受像層に被覆層を塗布した後に乾燥させて形成していたために、被覆層の形成に長時間を要するとともに、コス卜が高くなるという問題点があった。また、ベーマイ卜の平均粒子径が非常に小さいので、ベ一マイ卜を適宜のバインダと合成してゾル化して基材にコ一ティングするものであるが、そのコーティング時にインク受像層がひび割れしたり、画像記録シート自体がカールしてしまい、画像記録に用いることができなくなつていた。また、ベ一マイトのコ一ティング層を基材の表面に安定化させるために、当該コ一ティング層を予め 1 5 0 °C程度で焼く必要があり、加熱により画像記録シ一ト自体に凹凸のくせがついてしまい、画像記録に用いることができなくなつていた。また、前記べ一マイ卜のコーティング層はタバコの煙等を吸収して色が黄変してしまい、画像記録に用いることができなくなつていた。更に、前記べ一マイトのコ一ティング層はインクの吸い込みが良好で、インクの拡散を防止して、ディジタル的な画像を形成することができるが、その反面、インクはインクドットの大きさ単位で残るために、ァナログ的な画像、即ち銀塩写真状の画像の記録はできなかった。発明の開示

本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、前記従来の問題点を解消し、インク受像層に対して被覆層を簡単にかつ低コス卜に形成することができ、しかも被覆層をインク受像層に強固に被覆させることができ、被覆層がィンク受像層から剥離する等の損傷を発生することがなく、更に、高品位であり、かつ、アナログ的な画像、即ち銀塩写真状の画像の記録が可能であり、光沢を調整することができ、耐水性、耐候性等に優れており、製造が容易であり、コストも低廉な画像記録シートおよび画像記録シ一卜の被覆層形成素材を提供することを目的とするものである。

本発明者等は前記目的を達成するために、鋭意研究し、インク受像層に対して被覆層を転写によって形成する場合に、被覆層の素材とィンク受像層の素材との相性がよい場合には、ィンク受像層の表面に剥離シー卜に形成されている被覆層を転写すると、被覆層をインク受像層に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層がィンク受像層から剥離する等の損傷を発生することがなく、また、前記両者とは異なる素材であって、両者とともに相性のよい素材からなる転写補助層を両者の少なくとも一方に予め被覆形成しておいて、当該転写補助層を介して被覆層をィンク受像層の表面に転写すると、前記と同様に被覆層をインク受像層に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層がィンク受像層から剥離する等の損傷を発生することがなく、また、前記両者の相性に関係なくインク受像層の表面に被覆層を形成する素材と同一素材を予め薄く形成しておき、その上に剥離シ一卜に形成されている被覆層を転写すると、被覆層をインク受像層に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層がインク受像層から剥離する等の損傷を発生することがないことを見出して本発明を完成させた。更に、本発明者等は、前記インク受像層の組成分に膨潤性樹脂と固形組成部材とを含めるとともに、両組成分の配合割合、前記固形組成部材の最大寸法および平均粒径を調整することにより優れた画像記録シートを得ることができることを見出して本発明を完成させた。

即ち、本発明に係る画像記録シートは、インクジエツ卜式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたインク受像層に画像を記録し、インク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シー卜において、前記被覆層は剥離シ一卜に剥離自在に形成された被覆層を前記ィンク受像層の上に転写することにより形成されることを特徴とする。このように形成されている記載の画像記録シ一卜によれば、インク受像層の素材と被覆層の素材とが相性のよいものとされているために、インク受像層に対して被覆層形成素材の転写シ一卜に剥離自在に形成されている被覆層をインク受像層の表面に直接転写させることができ、互いに相性のよいィンク受像層と直接転写された被覆層とが大きな付着力をもって付着させられる。

また、本発明に係る画像記録シ一卜は、インクジエツト式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたィンク受像層に画像を記録し、インク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シ一卜において、剥離シー卜に剥離自在に形成された被覆層の表面および前記ィンク受像層の表面の少なくとも一方に転写補助層を予め被覆し、この転写補助層を介在させて前記被覆層を前記ィンク受像層の上に転写することにより形成されることを特徴とする。このように形成されている画像記録シートによれば、インク受像層の素および被覆層の素材とは異なる素材であって、両者とともに相性のよい素材からなる転写補助層であって、両者の少なくとも一方に予め被覆形成されている転写補助層を介して被覆層をィンク受像層の表面に転写させることができる。これにより、転写補助層を介して被覆層をインク受像層に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層がインク受像層から剥離する等の損傷を発生することが皆無となる。また、この結果被覆層全体の厚さを薄く形成しても十分にインク受像層を保護することができる。このように請求項 2によれば、インク受像層の素材と被覆層の素材との相性に関係なく両者を強固に付着させることができる。従って、両者の相性が悪くて転写させた被覆層がィンク受像層から剥離しやすい素材の組合せの場合に用いると極めて有効である。

また、本発明に係る画像記録シートは、インクジエツト式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたインク受像層に画像を記録し、インク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シー卜において、前記被覆層は被覆層と同一素材を前記ィンク受像層の表面に予め前処理被覆層として薄く形成し、剥離シ一卜に剥離自在に形成された被覆層を前記前処理被覆層の上に転写することにより形成されることを特徴とする。このように形成されている画像記録シートによれば、画像記録シートのインク受像層の表面に被覆層と同一素材からなる前処理被覆層が予め薄く形成されているために、ィンク受像層に形成されている前処理被覆層の上に被覆層形成素材の転写シ一卜に剥離自在に形成されている被覆層を転写させて被覆させることができる。これによりィンク受像層の前処理被覆層と転写された被覆層とが強固に一体化して、被覆層全体のインク受像層に対する付着力が大きくなり、被覆層をインク受像層に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層がインク受像層から剥離する等の損傷を発生させることが皆無となる。また、この結果被覆層全体の厚さを薄く形成しても十分にィンク受像層を保護することができる。この場合、前処理被覆層の素材は当該前処理被覆層に直接転写される被覆層の素材と同一であればよく、例えば、被覆層の前処理被覆層に直接転写されない部分の素材と前処理被覆層との素材は相違してもよい。このように本発明によれば、インク受像層の素材と被覆層の素材との相性に関係なく両者を強固に付着させることができる。従って、両者の相性が悪くて転写させた被覆層がィンク受像層から剥離しやすい素材の組合せの場合に用いると極めて有効である。

また、本発明に係る画像記録シートは、インク受像層が膨潤性樹脂組成部材 1 0 0重量部に対して 1 0〜 3 0 0重量部の固形組成部材を混合させた組成を有しており、前記固形組成部材は最大寸法がィンク受像層の厚さの 1 Z 2以下とされているとともに、平均粒径が 1〜 1 0 mとされていることを特徴とする。このように形成されている発明によれば、インク受像層の組成分である膨潤性樹脂と固形組成部材との配合割合を膨潤性樹脂組成部材 1 0 0重量部に対して 1 0 ~ 3 0 0重量部とすることにより、ィンクを適正に受像することができ、固形組成部材の最大寸法をインク受像層の厚さの 1ノ2以下とすることにより、インク受像層にピンホールの発生を防止することができ、固形組成部材の平均粒径を 1〜 1 0 とすることにより、高品位であり、かつ、アナログ的な画像、即ち銀塩写真状の画像の記録が可能であり、光沢を調整することができる。

また、本発明に係る画像記録シートは、固形組成部材をシリカとしとしたことを特徵とする。このように形成されている発明によれば、画像記録シートをより優れたものとすることができる。

また、本発明に係る画像記録シートは、被覆層を形成する素材がラテツクスにより形成されていることを特徵とする。このように形成されている発明によれば、インク受像層に形成された画像を透明なラテックスからなる被覆層により被覆することができ、画像を写真のように見せることができ、画像の品位を大きく向上させることができる。

また、本発明に係る画像記録シートの被覆層形成素材は、剥離シートに被覆層が剥離自在に形成されていることを。このように形成されている発明によれば、剥離シー卜から被覆層を剥離させてィンク受像層の表面に転写させて被覆させることができる。

また、本発明に係る画像記録シートの被覆層形成素材は、被覆層を形成する素材がラテックスにより形成されていることを特徴とする。このように形成されている発明によれば、ィンク受像層に形成された画像を透明なラテックスからなる被覆層により被覆することができ、画像を写真のように見せることができ、画像の品位を大きく向上させることができる。

以上述べたように本発明の画像記録シ一トおよび画像記録シ一卜の被覆層形成素材は構成され、作用するものであるから、従来のような問題点を発生することがなく、ィンク受像層に対して被覆層を簡単にかつ低コストに形成することができ、しかも被覆層をインク受像層に強固に被覆させることができ、被覆層がインク受像層から剥離する等の損傷を発生することがなく、更に、高品位であり、かつ、アナログ的な画像、即ち銀塩写真状の画像の記録が可能であり、光沢を調整することができ、耐水性、耐候性等に優れており、製造が容易であり、コストも低廉なものとなる等の効果を奏する。図面の簡単な説明

第 1図は本発明に係る画像記録シ一卜の実施の一形態を示す概略断面図、第 2図は本発明に係る画像記録シートの 1実施の形態を製造工程順に示す拡大断面図、

第 3図（ a ) および（ b ) はそれぞれ画像記録シ一卜の被覆層形成素材の実施形態を示す概略断面図、

第 4図（ a ) および（ b ) はそれぞれ画像記録シ一卜の他の実施形態を示す概略断面図である。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施形態を図 1から図 4を参照して説明する。

図 1は本発明に係る画像記録シートおよび画像記録シー卜の被覆層形成素材の実施の一形態を利用して作成された画像シートを示したもので、この画像記録シート 1は、シート状の基材 2を有しており、この基材 2の表面側には、インク受像層 3が形成されている。このインク受像層 3に対して画像を形成するィンクがィンクジエツト式の画像記録装置により直接記録され、その表面に被覆層 4が形成されて画像の記録が終了する。

本実施形態の画像記録シー卜 1を図 2に示す製造工程に沿って説明する。前記基材 2は、図 2 ( a ) に示すように、例えば、合成樹脂、布または紙等のシート状の材料によって形成されている。

前記ィンク受像層 3は、図 2 (b) に示すように、固形組成部材 3 aと膨潤性樹脂組成部材 3 bと溶媒との液状混合物を基材 2の表面に塗布して、乾燥させて形成されており、乾燥後のインク受像層 3は、固形組成部材 3 aと膨潤性樹脂組成部材 3 bとを混合させた組成を有している。固形組成部材 3 aは膨潤性樹脂組成部材 3 bの 1 00重量部に対して、 1 0〜 30 0重量部の混合割合とされている。この固形組成部材 3 aは最大寸法がィンク受像層 3の厚さの 1 / 2以下とされているとともに、平均粒径が 1〜 1 0 mとされている。前記膨潤性樹脂組成部材 3 bとしては、前記固形組成部材 3 aのバインダとしての機能を発揮したり、インクを吸収する機能を発揮するものであればよく、吸水性を有する高分子剤であればよい。この膨潤性樹脂組成部材 3 bの具体例としては、高松油脂株式会社製の商品名： NS— 1 20 XK、 NS - 2 82 LK. NS— 1 4 1 LXをあげることができる。前記固形組成部材 3 aとしては、例えば、シリカやアルミナ等のセラミック材料や炭酸カルシウム等の固形材料を用いるとよい。例えば、シリカを用いる場合には、乾式法（気相法ともいう）、湿式法（水ガラス法ともいう）およびゾルゲル法のいずれの合成法によって生成されたものでも用いることができる。その中でも、特に、湿式法のゲルタイプのシリカはィンクジエツト用の固形組成部材 3 aとして最適である。また、固形組成部材 3 aの形状は、球状、針状、板状、立方状等のどのような形状であってもよい。この固形組成部材 3 aの膨潤性樹脂組成部材 3 bの 1 0 0重量部に対する割合を前記のようにするのは、 1 0重量部より少ないとインクの拡散効果が少なくなり、 3 0 0重量部より多いとインク受像層 3としての基材 2に対する塗膜強度が弱くなるためである。また、固形組成部材 3 aの最大寸法をィンク受像層 3の厚さの 1 / 2以下とすることにより、ィンク受像層 3にピンホールを形成することが皆無となり高品位の画像記録が可能となる。また、固形組成部材 3 aの平均粒径を 1〜 1 Q μ mとしているのは、 1 〃mより小さいとインクの吸収性が悪くなり、しかもインク受像層 3を基材 2に安定的に固着させるために前記乾燥時に焼くと、ィンク受像層 3にひび割れが発生し、 1 0 mより大きくなるとインクの拡散度合いが大きくなりすぎて、高品位の画像を記録できないためである。また、インク受像層 3の厚さは 2 0〜 5 0 / m程度とするとよい。ィンク受像層 3の厚さが 2 0 ^ mより薄いとィンクの吸収性が悪く、高品位の画像の記録ができなくなり、 5 0 mより厚いと画像記録シ一ト 1をカールさせた時にィンク受像層 3にひび割れ等の損傷が発生するおそれがあるからである。前記ィンク受像層 3は基材 2に転写形成してもよい。被覆層 4は、図 2 ( c ) に示すように、インク受像層 3の表面に予め薄く形成されている被覆層 4と同一素材からなる前処理被覆層 4 aに対して、図 2 ( e ) に示すように、被覆層形成素材 6の転写シー卜 Ίに剥離自在に形成されている被覆層 4 bを転写させて形成されている。本実施形態においては、被覆層 4はラテックス、熱可塑性接着剤等の耐久性を有する被覆素材 5によって形成されている。

工程順に説明すると、前処理被覆層 4 aは、図 2 ( c ) に示すように、ラテックス等の耐久性を有する被覆素材 5と溶媒との液状混合物を、前記のようにして形成されたィンク受像層 3の表面に薄く塗布して、乾燥させることにより形成されている。被覆素材 5としては耐水性、耐候性等の性質を有するものであればよく、耐紫外線性を有する U Vカツト素材も含まれるものであり、画像記録シ一ト 1の用途等に応じて適宜に選択するとよい。また、記録された画像の視認性をよくするためには透明性を有する、例えば透明ラテックス等を被覆素材 5に用いるとよい。また、透明ラテツクス以外の透明被覆素材としては、例えば、日信化学株式会社製のビニブラン（商品名）等のホットメルト素材とあげることができる。このホットメルト素材は、常温でべたべたせず、加熱および加圧により透明となり接着性を発揮し、転写可能な被覆素材に好適である。また、ラテックスを耐熱性を有する微細カプセル内に封入したものを被覆素材 5に用いて、被覆層 4 bと加熱圧着する時に微細カプセルを潰壊させて、被覆素材 5を突出させて前処理被覆層 4 aと一体とさせるようにしてもよい。また、必要に応じて半透明、有彩色の被覆素材 5を用いてもよい。

この前処理被覆層 4 aの厚さは、次工程において転写される被覆層 4 b と一体となって形成される被覆層 4全体のィンク受像層 3に対する付着力を大きくできるに十分な厚さ（例えば、被覆素材 5の 1分子から複数分子の厚さ： 0 . 1〜 5 m ) であり、この前処理被覆層 4 aを通してインク受像層 3に浸透させられるィンクの浸透を阻害しない厚さとするとよい。このようにして形成された前処理被覆層 4 aにおいては、被覆素材 5の間にィンクがィンク受像層 3側に通過できる空所が形成されている。

このようにして基材 2の表面にィンク受像層 3および前処理被覆層 4 a が順に形成された画像記録シ一ト 1は、その状態でェンドユーザーに提供するようにしてもよい。この場合、画像記録シ一卜 1は所定大にカツトしたり、所定幅の長尺物をロール状にして提供するとよい。

画像記録は、図 2 ( d ) に示すように、画像記録シート 1の前処理被覆層 4 aに向けてィンクジエツト記録装置から画像データに基づいてィンク 8を吐出（噴出）させることにより行なわれる。前処理被覆層 4 aに飛着したインク 8は、相互に隣接する被覆素材 5の間を通過して下層のインク受像層 3へ進行する。その後、インク受像層 3の相互に隣接する固形組成部材 3 aと膨潤性樹脂組成部材 3 bとの間に浸透して行く。即ち、インク 8はィンクジエツト記録装置から吐出されたドッ卜の大きさを維持したまま被覆素材 5の間を通過してィンク受像層 3に到達し、続いてィンク受像層 3の厚さ方向に浸透すると同時に厚さ方向と直交する方向に若干浸透拡散して、アナログ的な画像の記録を可能とさせる。これは、インク受像層 3を構成する固形組成部材 3 aと膨潤性樹脂組成部材 3 bとの割合、固形組成部材 3 aの平均粒子径、インク受像層 3の厚さ等が前記のように形成されているからである。インク 8としてはィンクジエツト用に利用できるものであれば、どのようなものも利用することができ、インク受像層 3の固形組成部材 3 aおよび膨潤性樹脂組成部材 3 bとの相性のよいものを用いるとよい。最後に、図 2 ( e ) に示すように、前処理被覆層 4 aの表面に被覆層形成素材 6の転写シ一ト 7に剥離自在に形成されている被覆層 4 bをラミネ一卜させる。即ち、前処理被覆層 4 aの表面に被覆層 4 bを重ねるとともに、全体を図示しない加熱圧着ロール間を同図の左から右に向けて順に通過させる。これにより、前処理被覆層 4 aと被覆層 4 bとの同一素材からなる被覆素材 5が互いに強固に融着して一体状の被覆層 4となるとともに、特に前処理被覆層 4 aの被覆素材 5がィンク受像層 3の固形組成部材 3 a と膨潤性樹脂組成部材 3 bとの間に侵入していって、ィンク受像層 3に対して大きな付着力をもって転写形成される。そして、剥離シート 7は被覆層 4から剥離され、図 1に示す画像記録シート 1が形成される。

このように形成された被覆層形成素材 6はその単独状態でェンドュ一ザ —に提供するようにしてもよい。この場合、被覆層形成素材 6は所定犬にカツ卜したり、所定幅の長尺物をロール状にして提供するとよい。

また、一体状とされた被覆層 4の厚さは、少なくともインク受像層 3に形成された画像を保護するのに十分な厚さとするとよい。

このように本実施形態によれば、画像記録シート 1のィンク受像層 3の表面に被覆層 4と同一素材からなる前処理被覆層 4 aが予め薄く形成されているために、被覆層形成素材 6の転写シート 7に剥離自在に形成されている被覆層 4 bを転写させると、前処理被覆層 4 aと転写された被覆層 4 bとが強固に一体化して、被覆層 4全体のインク受像層 3に対する付着力が大きくなり、被覆層 4をインク受像層 3に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層 4がィンク受像層 3から剥離する等の損傷を発生させることが皆無となる。即ち、画像記録シート 1は耐水性、耐候性、耐紫外線性等の耐久性の優れたものとなる。これにより被覆層 4全体の厚さを薄く形成しても十分にインク受像層 3を保護することができる。また、簡単に強固な被覆層を形成することができるために、コストが非常に低廉となる。具体的には、通常のィンクジエツト用の画像記録シ一卜の約 1 / 5となり、銀塩写真用の印画紙の約 1 / 3となる。

また、被覆層 4を形成する素材を透明なラテックスにより形成すると、インク受像層 3に形成された画像を透明な被覆層 4により被覆することができ、光沢を上げて画像を写真のように見せることができ、画像の品位を大きく向上させることができる。

本発明においては、基材 2にインク受像層 3を形成した図 2 ( b ) に示す素材は如何なる構成のものも利用することができるものである。

一方、本実施形態のように、インク受像層 3の組成分である膨潤性樹脂組成部材 3 bに対する固形組成部 3 aの配合割合を、膨潤性樹脂組成部材 3 bの 1 0 0重量部に対して 1 0〜 3 0 0重量部とすることにより、ィンク 8を適正に受像することができ、固形組成部材 3 aの最大寸法をインク受像層 3の厚さの 1 Z 2以下とすることにより、インク受像層 3にピンホールの発生を防止することができ、固形組成部材 3 aの平均粒径を 1〜 1 0 mとすることにより、高品位であり、かつ、アナログ的な画像、即ち銀塩写真状の画像の記録が可能であり、光沢を調整することができる。また、インク受像層 3の厚さを 2 0〜 5 0 mとすることにより、インク 8 をより適正に受像することができ、更に被覆層 4によって耐水性、耐候性等を付与して極めて耐久性の優れた画像記録シ一ト 1を得ることができる。また、前記固形組成部材 3 aをシリカとし、被覆層 4の被覆素材 6を透明なラテックスとしているために、より優れた画像記録シ一ト 1を得ることができる。また、固形組成部材 3 aのシリカの平均粒径を調節することにより画像の光沢度合いを調整することができ、例えば、シリカの平均粒径を 3 // mより小さくすると、画像記録シート 1は光沢を有する画像を記録させることができ、 5 mより大きくすると、画像記録シ一ト 1は非光沢の画像を記録させることができる。なお、光沢性をより確実に付与するために、インク受像層 3と被覆層 4 との間に適宜な光沢化層を設けるようにしてもよい。

また、前記実施形態においては、インク受像層 3の表面に前処理被覆層 4 aを形成しているが、この前処理被覆層 4 aを省略することもできる。即ち、ィンク受像層 3の素材とこれに転写する被覆層 4の素材との濡れ性、相溶性等の相性がよいものとすると、インク受像層 3の表面に剥離シ —ト 7に形成されている被覆層 4を転写すると、被覆層 4をィンク受像層 3に簡単かつ強固に被覆させることができ、被覆層 4がィンク受像層 3力、ら剥離する等の損傷を発生を皆無にすることができる。また、前記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。

また、被覆層形成素材 6について図 3により更に説明する。

図 3 ( a ) は被覆層形成素材 6の 1実施形態を示すものであり、 P E T フィルム等の素材からなる剥離シ一ト 7に剥離層 9を介してラテックス等からなる被覆層 4 bを積層したものであり、被覆層 4 bは剥離層 9により剥離シ一ト 7に対して剥離自在に形成されている。被覆層 4 bが剥離シート 7に対して直接剥離自在に付着されれば、剥離層 9を省くことができる。剥離シート 7の表面が平坦である場合には、ィンク受像層 3に転写された被覆層 4 bの表面が平坦に形成され、光沢が付与される。また、剥離シ一ト 7の表面に微細な凹凸を付与すると、インク受像層 3に転写された被覆層 4 bの表面が微細な凹凸を付与され、防眩処理を施されることとなる。この防眩処理を施された部分には簡単に文字を書いたり印字することができる。従って、剥離シート 7の表面に平坦部と凹凸部とを所望位置に設けることにより、画像記録シー卜 1の被覆部 4の表面の所望位置に平坦部と凹凸部とをデザイン配置することができる。更に、剥離シート 7を転写時に加圧 ·加熱する図示しない加熱圧着ロールの表面にエンボス処理を施して所定の凹凸模様を形成しておいて、その凹凸模様をもって剥離シ一ト 7、剥離層 9を介して転写時に転写される被覆層 4の表面を押圧して、画像記録シー卜 1の被覆部 4の表面の所望位置に平坦部と凹凸部とをデザィン配置させるとよい。また、前記熱ロールの表面にシリコーン樹脂やフッ素系樹脂をコートして剥離性を付与しておくと、加熱圧着ロールにより加圧 . 加熱を受けている基材 2側と被覆層形成素材 6とが幅方向に適正な相対位置からずれてしまってしまい、基材 2側のィンク受像層 3の表面に形成されている前処理被覆層 4 aが加熱圧着ロールに直接接触しても、前処理被覆層 4 aおよびインク受像層 3が加熱圧着口一ル側に誤って転写されることが防止される。また、被覆層 4 bの前処理被覆層 4 aに対する転写は、図 2 ( e ) に示すように基材 2側と被覆層形成素材 6側とを直接密着させるようにして行なう他に、被覆層形成素材 6から被覆層 4 bのみを中間転写ロール（図示せず）に転写し、その後中間転写ロールから基材 2側の前処理被覆層 4 aの表面に転写させるようにしてもよい。この転写ロールの表面に、オフセット印刷を行なう場合と同様にして、被覆層 4 bを転写すべきパタ一ンを形成しておけば、所定パタ一ンに対応した被覆層 4をインク受像層 3の表面に形成することができる。

図 3 ( b ) は被覆層形成素材 6の他の実施形態を示すものであり、同図 ( a ) の被覆層形成素材 6の実施形態における被覆層 4 bと剥離層 9との間に他の機能を有する層としての他機能層 1 0を設けたものである。この他機能層 1 0はインク受像層 3の表面に形成されている前処理被覆層 4 a に直接転写されないので、当該前処理被覆層 4 aおよび被覆層 4 bと異なる素材であってもよい。この他機能層 1 0としては、どのような機能を備えたものであってもよく、例えば、紫外線による影響を防止する UVカツト層、画像記録シートに硬さを付与するハードコ一卜層、前記の両機能を有する U Vカツトハ一ドコ一ト層、耐候性を付与する耐候性層、耐溶剤性を付与する耐溶剤性層等をあげることができる。これらの機能を発揮する他機能層 1 0の素材としては、公知の樹脂剤を付与する機能の内容において 1種若しくは複数種を組み合わせて用いるとよい。これらの樹脂としては、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂等をあげることができる。具体的には他機能層 1 0として UVカツト層を設ける場合には、 UVカツ卜層素材としては、例えば大塚化学株式会社製の商品名： RUV A— 93、 PUVA— 3 0M等の素材を用いるとよい。この UVカット層の厚さとしては、紫外線を吸収してィンクの退色を防止できるものであればよく、例えば 2. 5 m程度とするとよい。また、他機能層 1 0として更に被覆層を形成してもよい。この場合、一方のインク受像層 3の表面に形成されることとなる前処理被覆層 4 aおよび被覆層 4 bを形成する素材として、最低造膜温度（MFT) およびガラス転位点（T g) が低い素材を用いて、低温による転写を可能とするとともに前処理被覆層 4 aおよび被覆層 4 bの密着強度を向上させ、他方の他機能層 1 0を形成する被覆層を形成する素材として、最低造膜温度（MF T) およびガラス転位点（T g) が高い素材を用いて、耐候性を向上させることができる。一方の最低造膜温度（MFT) およびガラス転位点（T g) が低い素材としては、前記した日信化学株式会社製のビニブラン（商品名）の品番 240をあげることができ、被覆層 4 bの厚さは 1 0 m程度とするとよい。他方の最低造膜温度（MFT) およびガラス転位点（T g) が高い素材としては、前記した日信化学株式会社製のビニブラン（商品名）の品番 6 0 2をあげることができ、他機能層 1 0としての厚さは 2 m程度とするとよい。また、前記各実施形態の被覆層形成素材 6においては、被覆層 4を転写した後の剥離シート 7を回収して、再度被覆層 4を形成することにより素材の再利用を図ることができ、環境汚染を未然に防止することもできる。また、被覆層 4を転写する際には、熱ロールによって基材 2および剥離シート 7がともに加熱されるために、両者の熱収縮率が異なると、熱収縮率の高い方の面が凹入するように完成された画像記録シ一卜 1が湾曲することとなるので、両者の熱収縮率がほぼ等しい素材を選択するとよい。例えば、基材 2として紙等の熱収縮率が低い素材を用いた場合には、剥離シ —ト 7として低熱収縮率の樹脂フィルムを用いるとよい。低熱収縮率の樹脂フィルムとしては、低熱収縮率性を有する P E T、 PEN, P P S、 P E S、 PAR, PA、 P I等の樹脂をあげることができる。これらの低熱収縮率の樹脂フィルムは、転写時の熱ロールの表面温度が 1 40°C以上になる場合においても十分に使用に耐え得るものである。また、転写時の加熱圧着ロールの表面温度が 1 20°C程度の場合には、前記の低熱収縮率性を有する P E Tフィルムに代えて標準の P E Tフィルムを用いることができる。また、基材 2および剥離シート 7の熱収縮率が異なる場合には、いずれか一方の裏面にラテックスや P V A等をバックコートして合成熱収縮率を他方の熱収縮率とほぼ等しくなるようにするとよい。また、本発明においては、インク受像層 3の上に形成される層の厚さ (被覆層 4単独の場合の厚さまたは被覆層 4と他機能層 1 0との合計厚さ）と剥離シ一卜 7の厚さとの一方若しくは双方を調整することにより、完成された画像記録シ一ト 1の表面の光沢度を調整することができる。即ち、平坦な表面を有する剥離シート 7の厚さが所定厚さ以下の場合は、完成された画像記録シ一卜 1の表面の光沢度は銀塩写真の光沢を有しており、当該所定値を越えると光沢度は更に大きく光沢度を上げた超光沢となる。ィンク受像層 3の上に形成される層の厚さが所定厚さ以下の場合は、完成された画像記録シー卜 1の表面の光沢度は銀塩写真の光沢を有しており、当該所定値を越えると光沢度は更に大きく光沢度を上げた超光沢となる。例えば、基材 2として上質紙（ 1 5 7 g / m ² ) を用い、被覆層 4の素材としてラテックスを用い、剥離シ一卜 7として P E Tフィルム（帝人株式会社製：商品名テトロン Sタイプ）を用いて、被覆層 4および剥離シ一卜 7の厚さを変化させて完成された画像記録シ一卜 1の表面の光沢度を調ベると下表の通りとなった。

P E Tフィルムラテツクスの厚さ

の厚さ 1 5 μ m S μ m 4 ^ m

1 0 0 ^ m 超光沢超光沢超光沢

5 Ό μ 超光沢銀塩写真銀塩写真

の光沢の光沢

3 8 β π\ 銀塩写真銀塩写真銀塩写真

の光沢の光沢の光沢この結果より、剥離シー卜 7としての P E Tフィルムは厚さが 5 0 m 以上であれば画像記録シート 1の表面は超光沢となり、 3 8 m以下であると銀塩写真状の光沢となることがわかる。また、被覆層 4の素材としてのラテックスは厚さが 4 m以上であれば画像記録シート 1の表面は超光沢となることがわかる。

図 4は本発明の更に他の実施形態を示す。

前記各実施例においては、ィンク受像層 3に被覆層 4を転写させるために、被覆層 4と同一素材を予めインク受像層 3に形成しているが、本実施形態においては、ィンク受像層 3および被覆層 4とは異なる素材であって、両者とともに相性のよい素材からなる転写補助層 1 1をインク受像層 3および被覆層 4の対向面のいずれか一方に若しくは両方に予め薄く形成し (図 4の（ a ) および（ b ) 参照）、その後図 4 ( c ) に示すように、転写させたものである。図 4 ( a ) に示すように、転写補助層 1 1をインク受像層 3の表面に形成する場合には、転写補助層 1 1越しにインク 8によるインク受像層 3への書込が可能になるようにしておく。図 4 ( b ) に示すように、転写補助層 1 1を被覆層 4の表面に形成する場合には、インク 8によるィンク受像層 3への書込については考慮しなくてもよい。

また、本発明を実施するために、ィンク受像層 3にィンク 8による画像を形成するプリンタに、被覆層形成素材 6の被覆層 4をインク受像層 3に転写する転写機構を一体的に組込むと、本発明を簡単な構成の装置により低コス卜に適用することができる。

なお、本発明は前記各実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。

Claims

請求の範囲

1 ) インクジエツト式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたィンク受像層に画像を記録し、ィンク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シー卜において、前記被覆層は剥離シ一卜に剥離自在に形成された被覆層を前記ィンク受像層の上に転写することにより形成されることを特徴とする画像記録シート。 2 ) インクジェット式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたインク受像層に画像を記録し、ィンク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シ一卜において、剥離シ一卜に剥離自在に形成された被覆層の表面および前記ィンク受像層の表面の少なくとも一方に転写補助層を予め被覆し、この転写補助層を介在させて前記被覆層を前記インク受像層の上に転写することにより形成されることを特徴とする画像記録シ一卜。

3 ) インクジエツト式等の画像記録装置により基材の表面に形成されたィンク受像層に画像を記録し、ィンク受像層および画像の表面を被覆層により被覆して所定の画像を記録するために用いられる画像記録シ一卜において、前記被覆層は被覆層と同一素材を前記ィンク受像層の表面に予め前処理被覆層として薄く形成し、剥離シー卜に剥離自在に形成された被覆層を前記前処理被覆層の上に転写することにより形成されることを特徴とする画像記録シート。 4 ) 前記ィンク受像層は、膨潤性樹脂組成部材 1 0 0重量部に対して 1 0 - 3 0 0重量部の固形組成部材を混合させた組成を有しており、前記固形組成部材は最大寸法がィンク受像層の厚さの 1 Z 2以下とされているとともに、平均粒径が 1〜 1 0 mとされている

ことを特徴とする請求項 1または請求項 2または請求項 3に記載の画像記録シート。

5 ) 固形組成部材をシリカとしとしたことを特徴とする請求項 4に記載の画像記録シ一ト。

6 ) 被覆層を形成する素材がラテックスにより形成されていることを特徴とする請求項 1から請求項 5のいずれか 1項に記載の画像記録シ一ト。

7 ) 請求項 1から請求項 6のいずれか 1項に記載の画像記録シー卜の被覆層を形成する画像記録シートの被覆層形成素材において、剥離シートに被覆層が剥離自在に形成されていることを特徴とする画像記録シー卜の被覆層形成素材。

8 ) 被覆層を形成する素材がラテックスにより形成されていることを特徴とする請求項 7に記載の画像記録シ一卜の被覆層形成素材