WO1999004967A1

WO1999004967A1 - Substrat composite a fibres unidirectionnelles de renfort

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Publication number: WO1999004967A1
Application number: PCT/JP1998/003233
Authority: WO
Inventors: Shigeo Yamaguchi
Original assignee: Nitto Boseki Co., Ltd.
Priority date: 1997-07-23
Filing date: 1998-07-17
Publication date: 1999-02-04
Also published as: KR20010014068A

Description

明細書一方向性強化繊維複合基材技術分野

本発明は、繊維強化プラスチックの強化用基材として、また、繊維強化プラスチックゃコンクリ一ト構造体等の捕強補修用基材として用いられる一方向性強化繊維複合基材に関する。

背景技術

炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を一方向に引き揃えたシート状基材は、色色な形で繊維強化プラスチックゃコンクリ一ト構造体の強化材として利用されている。例えば、従来より（i ) 一方向に引き揃えられたシート状基材を樹脂ヮニス中に含浸させ乾燥し、半硬化状のプリプレダとして使用するもの、（i i )一方向に引き揃えられたシート状基材に強化繊維の織物を積層し、（i ) と同様にプリプレダとして使用するもの、また（i i i ) 一方向に引き揃えられたシート状基材に強化繊維の織物ゃチョップドストランドマットを積層し、その層間を二 —ドリングや樹脂パウダーで部分固着したものを使用するもの（特公平 1 一 2 2 1 4 7号）等が存在する。また最近では、高速道路や橋脚等のコンクリート構造体の老化に対する補強補修用の基材として、（ i V ) 薄く全面に塗布された接着剤層を介して、強化繊維の織物や離型シート、離型フィルム等の支持体上に一方向に引き揃えられた強化繊維シートを積層したものも開示されている（特開平 6 — 2 0 6 2 7 2号）。

しかし、（i ) 又は（i i ) の場合には、一方向に引き揃えられた強化繊維が取り扱い時にバラけるという問題を避けることができない。また、プリプレダのライフ、すなわち使用可能期間、硬化不良、強度不足等の問題から常温硬化型の樹脂を使用することができず樹脂の選択の点でも制限を受ける。そのため、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いた一方向引き揃えプリプレダも市販されているが、この熱可塑性樹脂を用いたものでは、常温での柔軟性に乏しく、賦形性をもたせるために予熱する必要がある。一方、（i i i ) の一方向に引き揃えられたシート状基材に強化繊維の織物やチョップドス卜ランドマツトを部分固着したものにおいては、上記した樹脂選択の問題ゃセパレ一夕として用いられる離型フィルム剝がし等の煩わしさがなく、また、一方向に引き揃えられた強化繊維がバラける等の取扱性の問題もない。しかしながら、（ i i i ) の場合においても、層間の接着が部分固着であるため織物やマツト層をある程度単重の大きいものにしなければならず、強化材層中に占める一方向性の強化繊維の割合がそれだけ小さくなるという欠点があり、また、特に、強化繊維の織物を用いた場合には、一方向性基材シートの反対側（織物側）から樹脂を含浸させる場合に時間がかかるという問題点もある。

また、（ i V ) の接着剤層を介して支持体上に一方向性基材シ一トを積層したものは、基材シ一卜の支持体面側に薄いとはいえ全面に接着剤が塗布されているため樹脂を含浸させる場合に時間がかかったり、未含浸部が発生しやすい。更に、一方向に引き揃えられる強化繊維として炭素繊維が用いられた場合には、炭素繊維は一般に毛羽だちやすい性質を有しているため、接着剤層を介して支持される一方向性基材シートの支持体面との反対側は、補強補修作業時に毛羽が発生しやすいという問題も生じていた。

本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、繊維強化プラスチックの成形作業時やコンクリート構造体の補強補修作業時に、一方向に配列された強化繊維がバラけたりしないような一方向性強化繊維複合基材を提供することにある。

また他の目的は、繊維強化プラスチックの成形作業時やコンクリ一ト構造体の捕強補修作業時において、複合基材に含浸させる樹脂の含浸性に優れ、また樹脂の選択にも制約がない一方向性強化繊維複合基材を提供することにある。

更に他の目的は、一方向に配列された強化繊維の捕強効果に優れる一方向性強化繊維複合基材を提供することにある。

また他の目的は、補強補修作業時に表面に毛羽だちを起こさないような一方向性強化繊維複合基材の提供を目的とする。

また他の目的は、複合基材を補強補修作業に使用する際に、離型紙ゃセパレータ用フィルムなどを剝がしたりする作業を必要としない一方向性強化繊維複合基材の提供を目的とする。

また他の目的は、気温等の変化により粘着剤が基材シート内部の強化繊維部に移行することを防止し、これによつて一方向性強化繊維複合基材の強度等の物性低下を抑制することにある。

また他の目的は、繊維目付量の高い一方向性強化繊維複合基材を提供することであり、またこれによつて作業現場における施工工数を減少させ、生産効率の向上及びコスト低減を図ることである。

また他の目的は、冬期においても施工時にメッシュ状体の剥がれ等の問題が生じない、良好な取扱い性及び作業性を有する一方向性強化繊維複合基材を提供することにある。

更に他の目的は、曲面を含むブラスチック材料及びコンクリ一ト構造体等に対しても補強補修用基材として使用することができる、複合基材自体が柔軟性を有する一方向性強化繊維複合基材を提供することにある。

発明の開示

要するに本発明は、一方向に引き揃えられた強化繊維からなる基材シートと、 0 . 3〜し 5 g /m² の粘着剤が付着する無機若しくは有機繊維又はこれらの組み合わせからなるメッシュ状体とを含み、前記メッシュ状体がその繊維部分におレ、て前記基材シ一トの両面と粘着固定している一方向性強化繊維複合基材である。

本発明の一方向性強化繊維複合基材においては、粘着剤がメッシュ状体の片面にのみ付着しており、その付着面側においてメッシュ状体が基材シートと粘着固定していることが好ましい。

また本発明の一方向性強化繊維複合基材においては、基材シー卜の片面に無機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定しており、もう一方の面に有機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定していることが好ましい。

また本発明の一方向性強化繊維複合基材においては、一方向に引き揃えられた炭素繊維を基材シートとして用いることが好ましく、ガラス繊維からなるメッシュ状体を用いることが好ましい。

また本発明の一方向性強化繊維複合基材は、メッシュ状体の厚さが 7 0〜1 1 0 mであることが好ましい。

更に本発明の一方向性強化繊維複合基材のメッシュ状体に付着される接着剤としては、数平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0〜1 , 0 0 0 , 0 0 0であり、 2次転移点が一 4 0〜一 7 0 °Cであるアクリル系粘着剤を用いることが好ましい。

図面の簡単な説明

図 1は、本発明の一方向性強化繊維複合基材の幅方向断面図である。

図 2は、本発明の一方向性強化繊維複合基材製造を示す概略図である。

図 3は、本発明の一方向性強化繊維複合基材の幅方向断面の拡大図である。図面中、 1は一方向性強化繊維複合基材、 2は一方向に引き揃えられた強化繊維、 2 aは強化繊維、 3はメッシュ状体、 4はメッシュ状体用繊維、 5は粘着剤、 6は櫛状ガイド、 7 a及び 7 bは塗布装置、 8 a及び 8 bはドラムシリンダ、 9 a及び 9 bは圧着ローラ、 1 0 a及び 1 0 bは圧着ローラ、 1 1 a及び l i bはプレスローラ、 1 2は一方向性強化繊維複合基材の巻取りロール、 1 3は強化繊維パ一ン、 1 4はメッシュ状体巻出しロールを示す。

発明を実施するための最良の形態

本発明の一方向性強化繊維複合基材について更に詳細に説明する。図 1に示すように、本発明の一方向性強化繊維複合基材 iは、一方向に引き揃えられた強化繊維 2 aからなる基材シ一ト 2の両面にメッシュ状体 3がメッシュ状体を構成する繊維 4に付着している粘着性樹脂 5により粘着固定されている。

ここで、本発明における粘着固定とは、流動性を有する粘着剤の粘性（粘々した状態）を利用し、メッシュ状体 3の繊維部分 4に付着した粘着剤の粘々さにより、引き揃えられた強化繊維 2 aからなる基材シート 2を固定することを意味するのであって、固定の際に溶解 ·加熱等の手段を必要とし、また固定部分の引き離し時に粘弹性的抵抗を有さない接着及び熱融着とは異なる固定状態を示している。すなわち、粘着固定においては固定時に溶解 ·加熱等の手段は必要でなく、また粘着後にメッシュ状体 3を基材シ一ト 2から引き離そうとするときには、その外力に対して粘弹性的抵抗を示すことになる。したがって、本発明の粘着固定においては、メッシュ状体が基材シ一卜に接着又は熱融着した複合基材に比べ、大きな曲面を有する構造体等に対してもメッシュ状体が剥がれる等の問題無く作業を行うことが可能となる。

粘着剤の付着量としては、気温等の変化による粘着剤の強化繊維部への移行に伴う複合基材の強度低下を防止する、及び繊維目付量を高める等の点より、固形分で 0 . 3〜し 5 g/m ² の範囲であることが必要であり、より好ましくは 0 . 5〜し 0 g /m ² の範囲である。また、付着量が 0 . 3 g /m ² より小さい場合にはメッシュ状体の粘着力が不充分で、一方向に引き揃えた基材シ一卜の支持体として充分な効果を発揮することができず、一方、付着量が 1 . 5 g /m² より大きい場合には粘着剤をメッシュ状体の片面のみに付着させることが難しくなるため、剥離紙又は離型フィルムが必要となる場合もある。更に、付着量が 1 . 5 g /m ² より大きい場合には、複合基材にエポキシ樹脂などを含浸させる際に、メッシュ状体の粘着部分が含浸の妨げになるという問題が生ずる。

上述のように、本発明の複合基材においては、粘着剤の付着量が 0 . 3〜1 . 5 g /m² と少ないため、粘着剤は原則としてメッシュ状体の片面のみに付着することになる。なお、たとえ両面に付着したとしても基材シート側と接触しない面に付着した粘着剤の量は僅かであるため、剥離紙及び離型フィルム等が必要となるほどの粘着性をその面が有することはないが、図 3に示すようにメッシュ状体 3の繊維部分 4の片面にのみ粘着剤が付着する方がより好ましい。

本発明に用いられる一方向に引き揃えられた強化繊維としては、ガラス繊維や炭素繊維、ァラミド繊維、アルミナ繊維等の連続繊維の一種類又は複数種類を使用することが好ましく、最も好ましくは炭素繊維である。また、連続繊維の形態としては、フイラメント径が 3 m〜 3 0 〃 mのモノフィラメントを 1 0 0〜3 0 0 0 0本集束したストランドを無撚りの状態又は軽く撚りをかけた状態にしたものが好適であり、 1本のストランドの番手としては、 5 0〜2 0 0 0 t e xの範囲のものが望ましい。

本発明のメッシュ状体には、ガラス繊維若しくは炭素繊維等の無機繊維又はァラミド繊維若しくはアルミナ繊維有機繊維からなるもの、又はこれらを組み合わせたものを用いることができる。但しこれらの繊維に限定されることはなく、用途によっては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維等の有機繊維も使用することができる。なお、本発明においては、基材シートに粘着固定するメッシュ状体は、両面とも同じものを用いても良いし、片面ずっ異なっていても良い。但し、耐アルカリ性の点より、基材シートの片面に無機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定しており、コンクリート面に接する、もう一方の面に有機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定しているものも製造出来る。また、一方向に引き揃えられた強化繊維とメッシュ状体に使用される繊維に関しても、同じ種類のものを用いても異なる種類のものでも良いが、基材シートに炭素繊維を用い、メッシュ状体にガラス繊維を用いることが寸法安定性、耐熱性の点から好ましい。

本発明のメッシュ状体とは、原則的には経糸と緯糸を有し織物状を構成し、糸の間隔が 2〜 2 O mmのものを指す。間隔が 2 mmより小さい場合は、樹脂を含浸する際にメッシュ状体が障害となり、 2 0 mmより大きい場合は、樹脂を含浸させる場合の刷毛による摩擦により、一方向に引き揃えられた強化繊維が毛羽だちを起こしやすくなる。

織物状ということは織物も含むが織物以外でも上記構成のものであれば当然含まれる。例えば、組布といわれる経糸と緯糸を重ね、その交点を樹脂で接着した布状体がある。これは織機を使わずに製造できるためコス卜が織物と比較すると安く、メッシュ状の織物と比較して取扱性も良い。組布としては二軸の他に三軸もあるがこれも本発明のメッシュ状体の中に含まれる。三軸は経糸に対し斜行糸が 2方向に配されたものであり、二軸組布や織物と比較して強度及びその他の特性における方向性が少なく支持体として安定した物性が得られるため、本発明においては好適である。

本発明に使用されるメッシュ状体は、単重が 5〜7 0 g /m ² のものが好ましく、更に好ましくは 7 ~ 2 5 g /m ² である。 5 g /m ² より小さい場合は、支持体としての強度が十分でなく、 7 0 g /m ² より大きい場合は、複合基材中に占めるメッシュ状体の割合が大きくなり、成形体中での一方向への補強効果が低下することになる。

また、本発明のメッシュ状体の厚さは、 7 0〜1 1 0〃mの範囲が望ましい。これは、本発明の複合基材は一層だけで使用される場合もあるが、通常は 2層以上の複数層を積層して使用されるということによる。すなわち、複合基材を積層してその上からマトリックス樹脂を含浸させた場合、メッシュ状体の部分はその他の部分と比較して樹脂分の多い層となりやすい。従って、この部分の強度は一方向性基材の層の強度に比べて弱くなるので、メッシュ状体としてはできるだけ薄い方が望ましい。し力、し、一層で使用する場合や用途によっては上記の範囲より厚いものでも使用することができる。また、メッシュ状体の厚さが 7 0 mより薄くなると強度的に弱くなり支持体としての機能が不十分になる。

本発明の織物や組布等のメッシュ状体に塗布される粘着剤としては、常温で粘着性を有するものが使用される。特に、高分子量の重合体を比較的容易に得ることができ、また粘着剤としての粘着力が大きいという点より、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。すなわち、このような粘着力が強く、高分子量であるァクリル系粘着剤を用いることで、繊維目付量の高い一方向性強化繊維複合基材を得ることができ、またこれによつて作業現場における施工工数を減少させ、生産効率の向上及びコスト低減を図ることが可能となる。更にまた、冬期においても施ェ時にメッシュ状体の剥がれ等の問題が生じず、良好な取扱い性及び作業性を有する一方向性強化繊維複合基材を得ることも出来る。具体的には、アクリル酸ェステルの重合体や共重合体を主成分とする粘着剤を挙げることが出来るが、これらに限られるものではない。また、共重合させるモノマ一を選択することによりガラス転移点の低い重合体を得ることができ、低温での粘着力を有する粘着剤とすることが可能となる。

本発明の場合、上述のように粘着剤の使用量が少ないため、粘着力の大きい粘着剤を使用する必要がある。したがって、本発明に使用されるアクリル系粘着剤としては、数平均分子量が 1 0 0， 0 0 0〜し 0 0 0 , 0 0 0の範囲のものが好ましい。より好ましくは、数平均分子量が 5 0 0， 0 0 0〜し 0 0 0， 0 0 0の範囲である。数平均分子量が 1 0 0， 0 0 0より小さい場合は、粘着力が小さいため一方向に引き揃えられた強化繊維基材を確実に保持することが難しい。また、数平均分子量が 1， 0 0 0， 0 0 0より大きくなると、逆に粘着力や接着力が低下し、引き揃えられた強化繊維基材の保持に問題を起こす。

また、本発明に使用されるアクリル系粘着剤は、 2次転移点が一 4 0〜一 7 0 °Cの範囲のものが望ましい。 2次転移点が一 4 0 °Cより高いと、本発明の複合基材を冬季に屋外で使用する場合、粘着剤が柔軟性を失ってしまい、メッシュ状体カ方向基材から剥離してしまうなどの問題が発生する。 2次転移点が— 7 0 °C より低い場合は、逆に夏季における使用の際に粘着力の低下による剥離や、プリ ―ドなどの現象が発生しロール巻において表裏が粘着するなどの不都合が起こりやすくなる。

なお、本発明の一方向性強化繊維複合基材に用いられる粘着剤は、必ずしもァクリル系に限定されるものではなく、常温での粘着性が大きく、且つ低温でも充分な粘着性を有するものであれば、アタリル系以外でも使用することができる。例えば、粘着テープなどに用いられるポリビニルェチルエーテル、イソプチルェ —テル、ポリイソブチレン、 S B Rゴム、ブチルゴムなどの粘着剤がある。また、ァクリル系とその他の粘着剤を混合したものも当然に使用することができる。また、溶媒の種類により、粘着剤は溶液型、ラテックス型、ェマルジヨン型などに分けられるが、いずれの種類も使用可能である。

本発明の基材シ一卜においては、一方向に引き揃えられた強化繊維が連続に配置されてなるものでも良いし、間隔をおいて配置されても良い。

また、本発明の一方向性強化繊維複合基材を巻き取る場合は、一方向引き揃え基材の両面にメッシュ状体が粘着固定されているためと、メッシュ状体の粘着面の反対側は粘着性を有していないために、従来の複合基材のようにセパレー夕としての離型紙や離型フィルムを入れて巻き取る必要がない。その結果、本発明の一方向性強化繊維複合基材を用いて、コンクリート構造体の補強作業を行う場合、セパレ—タを剝がしたり、作業終了後にそれを廃棄したりすることが必要なくなり、補強作業の効率化を図ることができる。

次に本発明の一方向性強化繊維複合基材の製造方法について図 2により説明する。まず、強化繊維 2 aを一方向に揃えてパ一ン 1 3から引き出してシート状とし、櫛状ガイド 6を通しピッチを揃え、一方向基材シ一卜 2とする。一方、メッシュ状体 3をロール 1 4から引き出し塗布装置 7 aにより、粘着剤 5がコ一ティングされる。粘着剤 5はェマルジョンの状態で供給され、塗布量はェマルジョン液の粘度や塗布ローラの回転速度、メッシュ状体の引き出し速度等により制御される。粘着剤の付着量は前記したように固形分で 0 . 3〜1 . 5 gZm ² の範囲が望ましく、この範囲内であれば図 3に示すようにメッシ状体を構成する繊維 4 の表面の片側に粘着剤 5が付着された状態にすることができる。

なお、粘着剤を付着させたメッシュ状体は基材に貼り付けるとき同時に作製する必要はなく、予め別の場所で作製しロール状に巻き取ったものを使用しても良い。

メッシュ状体 3への粘着剤 5の付着方法は、コーティング法に限らず、含浸法やスプレー法等により行うことも可能である。粘着剤がコーティングされたメッシュ状体 3は、乾燥用のドラムシリンダ一 8 aにより乾燥される。この時、メッシュ状体 3はドラムシリンダ 8 aのシリンダ面に接触して乾燥されるため、シリンダに接触している面から加熱され乾燥することになる。その結果、メッシュ状体全体に塗布されていた粘着剤 5は乾燥に伴いシリンダ面側と反対のメッシュ状体表面にマイグレーションする。塗布量が 1 . 5 g /m ² 以下に制限されているため、乾燥されたメッシュ状体 3 ' はシリンダ一面と反対のメッシュ状体表面側だけに粘着性を有するようになり、一方向基材シート 2と圧着ロール 9 a， 9 b により積層圧着される。更に、基材シ一卜の反対側に供給されたメッシュ状体 3 に塗布装置 7 bにより樹脂 5をコ一ティングし、ドラムシリンダ 8 bにより乾燥しシリンダ一面と反対のメッシュ状体表面側に粘着性を持たせるようにする。一方向基材シート 2の反対面に圧着ロール 1 0 a， 1 O bにより積層圧着し、両面にメッシュ状体が粘着固定された一方向性強化繊維複合基材 1が得られる。コンクリート構造体の補強などの場合に、基材の合わせ目を数 c m程度重ねる必要があるが、本発明の一方向性強化繊維複合基材はセパレ一タを使用していないため合わせ目のコントロールがしゃすいという利点も有する。

本発明の一方向性強化繊維複合基材を用いて繊維強化プラスチックを成形する場合、型の形状に合わせて切断し、一方向に揃えられた強化繊維の方向に合わせて必要枚数を積層する。上から樹脂をかけて含浸させ、型を閉じ圧力をかけ樹脂を硬化させる。本発明の一方向性複合基材は、一方向に引き揃えられた強化繊維基材シー卜の両面にメッシュ状体が粘着されているため適当な形状に切断しても一方向に引き揃えられた強化繊維がバラけたりしない。また、メッシュ状体が粘着剤の付着量が 0 . 3〜し 5 g /m ² という少ない量であるため、基材自体が柔軟性を保持しており、型合わせなどの作業も容易である。

補強補修作業の際にマトリックス樹脂を含浸させる場合も、メッシュ状体がその繊維部分上の少量の粘着剤により基材シートと粘着固定されているだけなので、メッシュ状体の開口部分から含浸用樹脂が一方向性基材シー卜に浸透しやすく、基材シートもその表面に接着剤層等を有しないため含浸用樹脂の含浸速度が速い。また、樹脂を含浸させる際に刷毛やローラ等で表面を摩擦しても、メッシュ状体力《表面にあるため一方向に引き揃えられた強化繊維は、毛羽だちなどを起こし難い。

また、本発明の一方向性強化繊維複合基材は、メッシュ状体の占める比率が小さいため、本来の目的である一方向への補強効果を大きくすることができる。更に、両面にメッシュ状体を有するため、どちらの面も同じように使用すること力《でき面を自由に選択できるという利点も有する。

本発明の一方向性強化繊維複合基材は、高速道路や橋脚などのコンクリート構造体の補強補修工事に用いることもでき、その場合は現場施工になる。補修必要な場所に合わせて適当な大きさに切断する。補修箇所にプライマーを塗布し、更に常温硬化型の例えばエポキシ樹脂等を塗布する。切断した複合基材を張り付けその上から更に刷毛でエポキシ樹脂を塗布する。

上記したような捕強補修方法において、本発明の一方向性強化繊維複合基材は、切断しても強化繊維がバラけることもなく、また、樹脂の含浸速度も速く、一方向の補強効果も大きい。樹脂塗布時の表面の毛羽だちもなく、どちらの面も同様に使用することができ、現場での施工性、取扱性等が非常に良い。

また、コンクリート構造体などの補強作業は、冬季に屋外で作業する場合もあるが、本発明における一方向性強化繊維複合基材はアクリル系などのガラス転移点の低い粘着剤を使用するため、冬期における屋外の気温でも粘着性、柔軟性を保持することができる。そのため、メッシュ状体と一方向性基材シートとの剥離の問題や、補強面に対するなじみ性が悪いといった問題がなく、作業性を良好に維持することができる。

<実施例 1〉

①一方向性基材シート強化繊維として PAN系炭素繊維 [トレ力 T 3 0 0— 1 2 K ;東レ（株）製] を用い、 2 0 0 gZm² となるように引き揃え一方向性基材シートとした。

(T 30 0 - 1 2 Kはフィラメント径 7 で集束本数 1 2 0 00本）

②メッシュ状体

ガラス繊維製三軸組布 [KT 2 2 8 E ；日東紡績（株）製] を用いた。三軸組布の仕様は次の通りである。

単重 9 g/m²

密度（タテ Xナナメ） 1本 9 mmx 1本 Z9 mm

厚さ 1 0 0〃m

使用糸 ECE 22 5 1/0 1 Z

(フィラメント径； 7 //m、番手； 2 2. 5 t e x)

③ー方向強化繊維複合基材の製造

メッシュ状体に粘着剤としてァクリル酸アルキルエステル共重合物 [ァクロナ —ル Y J- 8 4 0 0 D；三菱化学 B ASF (株）製] を固形分で 1. 0 gZm² となるよう塗布し、ドラムシリンダで乾燥、片面粘着仕上げを行い、一方向基材シー卜の両面に貼り合わせ、一方向性炭素繊維複合基材を得た。

このようにして得られた一方向性炭素繊維複合基材をセパレー夕なしで巻取り、 2曰放置した後、巻き出したところ巻取り面同士が粘着するという現象は見られなかった。また、この一方向性炭素繊維複合基材をエポキシ樹脂に含浸させたところ含浸性は良好であり、刷毛で樹脂を塗工する際も一方向に引き揃えられた炭素繊維が毛羽だっこともなく、施工性も良好であった。

く実施例 2 >

メッシュ状体として次のガラス繊維製二軸組布を用いた。

ガラス繊維製二軸組布 [KC 0 5 0 5 A AD 1 ；日東紡績（株）製] 二軸組布の仕様は次の通りである。

単重 2 2 g/m²

密度（タテ Xョコ） 5本 / 2 5 mm X 5本 / 2 5 mm 上記ガラス繊維二軸組布をメッシュ状体として用いた他は実施例 1と同様にして一方向性炭素繊維複合基材を得た。実施例 2で得られた一方向性炭素繊維複合基材をエポキシ樹脂に含浸させたところ、含浸性良好であった。

く実施例 3〉

一方向性基材シートとして実施例 1と同じものを用い、メッシュ状体としてビ二ロン製三軸組布〔KTV 3 2 2 6 ; 日東紡績（株）製] と実施例 1で用いたガラス繊維製三軸組布を用いた。ビニロン製三軸組布の仕様は次の通りである。

単重 2 1. 3 g/m²

密度（タテ Xナナメ） 1本 /9mmx 1本 Z9mm

上記の三軸組布を用い、図 2に示す方法により、片面にガラス繊維製三軸組布、もう一方の面にビニロン製三軸組布が粘着固定された一方向性炭素繊維複合基材が得られた。塗布量は両面ともし 5 g/m² とした。

実施例 3で得られた一方向性炭素繊維複合基材をエポキシ樹脂に含浸させたところ含浸性も良好であり、炭素繊維基材の毛羽だちの発生もなく、施工性も良好であった。

く比較例 1 〉

実施例 1において、メッシュ状体に対する粘着剤の塗布量を 2. 5 g/m² とした他は実施例 1と同様に行った。

比較例 1で得られた一方向性炭素繊維複合基材を巻き取り、 2日間放置した後巻き出したところ、基材の表面と裏面がメッシュ状体の部分で粘着しており炭素繊維の毛羽だちゃメッシュ状体同志の粘着や剥離が見られた。

<比較例 2〉

実施例 1において、メッシュ状体に対する粘着剤の塗布量を 0. 2 gZm² とした他は実施例 1と同様に行った。

比較例 2で得られた一方向炭素繊維複合基材はメッシュ状体と一方向炭素繊維基材との間の粘着が不十分で部分的な剝離が見られた。

<比較例 3 >

実施例 1において、メッシュ体に対する粘着剤の塗布量を 1 0 g/m² とした他は実施例と同様に一方向性炭素繊維複合基材を製造した。

この様にして得られた基材を巻き取り、 2日間室内に放置した後広げたところ、基材の表面と裏面がメッシュ状体の部分で粘着しており炭素繊維の毛羽立ちゃメッシュ状体同士の粘着ゃ剝離が起こり、剥離シ一卜なしでは製品として販売することは不可能であつた。

さらに、実施例 1と同様にして、エポキシ樹脂を含浸させたところメッシュ体の周囲に広がった粘着剤により含浸が邪魔され施工に時間が掛かった。

く比較例 4 >

実施例 1と同じ一方向性基材シートの両面に粘着させるメッシュ体として、実施例 2で使用したガラス繊維製 2軸組布を使用し、粘着性樹脂としてエポキシ樹脂 [ェピコート 8 3 4 ；油化シヱルエポキシ（株）製] をホットロールによる口一ルコ一タ一法により 1 0 gZm² 塗布したものを作成し、実施例 1と同様にして一方向性炭素繊維複合基材を得た。

この基材を気温が 0 °Cの現場で切断したが、粘着剤として使用した硬化剤の入つていないエポキシ樹脂が低温のため硬くなり、 2軸組布が基材表面から剝がれ、その後の刷毛によるエポキシ樹脂含浸作業でも剝がれが起こり作業がやりにくく、時間が掛かつた。実施例 1、実施例 2の基材ではこの様な現象は起こらなかつた。また、この基材を雰囲気温度が 3 0 °Cの場所に 2 8曰保管した後、広げ実施例 1と同様に刷毛で硬化剤の入ったエポキシ樹脂を塗布し含浸させたが、メッシュ体に付着したエポキシ樹脂粘着剤が移動し広がって炭素繊維基材層中にエポキシ樹脂の含浸出来ない部分が出来た。同様に試験した実施例 1， 2， 3の基材ではこの様な現象は起こらなかった。

産業上の利用可能性

このように、本発明によれば、繊維強化プラスチックの成形作業時やコンクリ ―ト構造体の補強補修作業時に一方向に配列された強化繊維がくラけたりせず、且つ補強効果に優れた一方向性強化繊維複合基材を提供することができる。

また本発明においては、メッシュ状体の繊維部分上に少量の粘着剤が付着しているだけであるので、繊維強化プラスチックの成形作業時やコンクリート構造体の捕強補修作業時において、複合基材に含浸させる樹脂の含浸性に優れ、また樹脂の選択にも制約を受けることがない。

また本発明においては、メッシュ状体が基材シ一卜の両面に存在するため、捕強補修作業時に表面に毛羽だちを起こさないような一方向性強化繊維複合基材の提供をすることが可能となる。

また本発明においては、メッシュ状体に付着させる粘着剤の量を特定の量とするため、一方向性強化繊維複合基材に関し離型紙ゃセパレ一タ用フィルム等が不要であり、また複合基材を補強補修作業に使用する際に、離型紙ゃセパレ一夕用フィルムなどを剥がしたりする作業を行う必要がないという効果が得られる。また本発明においては、メッシュ状体に付着させる粘着剤の量を特定の量とするため、気温等の変化により粘着剤が基材シート内部の強化繊維部に移行することを防止でき、これによつて一方向性強化繊維複合基材の経時的な物性低下を抑制することができる。

更に本発明においては、基材シートとメッシュ状体とが粘着固定されているため、複合基材自体が柔軟性を有し、それにより曲面を含むプラスチック材料及びコンクリート構造体等に対しても補強補修用基材として使用することが可能となる。

以上のように、本発明の一方向性強化繊維複合基材は、樹脂の含浸性にも優れ、 —方向に引き揃えられた強化繊維の比率が高いため一方向への補強効率を高めることができる。更に本発明の複合基材は、一方向に揃えられた強化繊維がバラけることなく、基材自身が柔軟性を有し、表裏面による選択性もなく、離型紙等も不要であるため、取扱性、現場施工性に非常に優れており、産業上その効果の極めて大きい発明である。

Claims

請求の範囲

1. 一方向に引き揃えられた強化繊維からなる基材シートと、固形分で 0 . 3 〜し 5 g/m² の粘着剤が付着する無機若しくは有機繊維又はこれらの組み合わせからなるメッシュ状体とを含み、前記メッシュ状体がその繊維部分において前記基材シ一トの両面と粘着固定している一方向性強化繊維複合基材。

2. 粘着剤がメッシュ状体の片面にのみ付着しており、その付着面側においてメッシュ状体が基材シートと粘着固定している、請求の範囲 1に記載の一方向性強化繊維複合基材。

3. 基材シ一卜の片面に無機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定しており、もう一方の面に有機繊維からなるメッシュ状体が粘着固定している、請求の範囲

1又は 2に記載の一方向性強化繊維複合基材。

4. 基材シ一トがー方向に引き揃えられた炭素繊維からなり、メッシュ状体がガラス繊維からなる、請求の範囲 1又は 2に記載の一方向性強化繊維複合基材。

5. メッシュ状体の厚さが 7 0〜1 1 0 mである、請求の範囲 1〜4のいずれか 1項に記載の一方向性強化繊維複合基材。

6. 粘着剤が、数平均分子量 1 0 0 , 0 0 0〜1 , 0 0 0， 0 0 0及び 2次転移点一 4 0〜― 7 0 °Cのァクリル系粘着剤である、請求の範囲 1〜 5の何れか 1 項に記載の一方向性強化繊維複合基材。