JP3528348B2 - 樹脂含浸シートおよびその製造方法 - Google Patents

樹脂含浸シートおよびその製造方法

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JP3528348B2 JP21276695A JP21276695A JP3528348B2 JP 3528348 B2 JP3528348 B2 JP 3528348B2 JP 21276695 A JP21276695 A JP 21276695A JP 21276695 A JP21276695 A JP 21276695A JP 3528348 B2 JP3528348 B2 JP 3528348B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ック(FRP)に用いる樹脂含浸シートおよびその製造
方法、ならび含浸シートの貼付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂含浸シートによるコンクリート構造
物の補強方法として、(1)プリプレグを補強箇所に貼
り付ける方法、(2)繊維基材を補強箇所に貼り付けな
がら樹脂も同時に含浸させ、その後樹脂を硬化させる方
法、が知られている。
【0003】一般にプリプレグにおいては、補強繊維に
含浸される熱硬化性樹脂の粘度はBステージ状態で高い
ので、希釈剤を混合し樹脂粘度を下げて含浸をよくした
り、Bステージ状態の樹脂を加熱して樹脂粘度を下げ、
加熱された多段のプレスローラで含浸させるようにして
いる。したがって、上記(1)のプリプレグ法において
も、樹脂の含浸性といった点では問題はない。
【0004】しかしながら、粘着性のあるプリプレグを
構造物に貼り付けると空気を抱き込んでしまう。空気の
逃げ道がないため、プリプレグの樹脂が硬化すると、抱
き込んだ空気はそのまま残り、FRPがふくれた状態、
すなわち空洞となり、FRPを完全に構造物に接着させ
ることが出来なくなる。したがって、補強されたコンク
リート構造物の補強効果がこれら空気の抱き込み状態に
支配されるという問題がある。また、長年経過すると、
この空洞部に水が溜まり、凍結、融解の繰り返しによっ
て、FRPが構造物から剥離する懸念もある。また、こ
のプリプレグは現場での冷凍保管が必要になったり、硬
化のため加熱することも必要となり、取扱いが厄介であ
る。
【0005】一方(2)の現場含浸の方法は、作業員が
ローラやへらによって、繊維基材に樹脂を塗布したり、
塗布した樹脂を繊維基材へ含浸させるが、作業面積が大
きくなるため樹脂を均一に塗布できなかったり、樹脂含
浸が不完全な箇所も発生する。これらの出来栄えは作業
者の熟練度によって支配される。しかも、構造物の下面
を補強、補修する場合、樹脂が垂れ落ちないように粘度
の高い樹脂が使われるので、樹脂を完全に繊維基材へ含
浸させることが益々困難となる。また、樹脂粘度が高い
と、プリプレグ法の場合と同様、基材と構造物の間に空
気を抱き込み、空洞が出来てしまう。
【0006】さらに(2)の現場含浸の方法では、ロー
ラ掛けを何度も行うので、補強繊維が蛇行したり、補強
繊維にほつれを生じてしまうという問題もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の問題を解消し、補強繊維の蛇行やほつれがなく、材料
としての信頼性の高い樹脂含浸シートと、樹脂粘度が高
くても樹脂の含浸性に優れた樹脂含浸シートの製造方法
を提供し、また、本発明の他の課題は、作業者の熟練度
によってFRPの特性やコンクリート構造物の補強効果
がばらつかない信頼性の高い樹脂含浸シートの貼付け方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の樹脂含浸シートは、補強繊維からなる一方
向性織物に液状の常温硬化型樹脂が35〜70重量%含
浸されており、かつ、樹脂含浸シートにおけるカバーフ
ァクターが70〜94%であり、かつ、前記織物の繊維
目付が180〜500g/m2 であることを特徴とする
ものからなる。つまり、本発明の樹脂含浸シートでは、
補強繊維からなる繊維基材として、一方向性織物を用い
る。
【0009】本発明の樹脂含浸シートにおいては、その
樹脂重量は35%以上必要である。これは樹脂含浸シー
トの補強繊維の強度が十分に発現するためには、補強繊
維にマトリックス樹脂となる上記液状の常温硬化型樹脂
が十分に浸透し、かつ補強面に貼り付けるに足る樹脂を
保持する必要があるからである。35重量%以下だと樹
脂量が不足し、含浸不良や接着不良を起こし、強度発現
率が低下することになる。
【0010】しかし70重量%以上になると、樹脂量が
過剰となり、とくに構造物の下面に樹脂含浸シートを貼
り付けると樹脂が垂れ落ちたり、樹脂が多く付着して重
いので、樹脂が硬化する前の積層した含浸シートが樹脂
と繊維基材の自重で落下してしまうという問題がある。
【0011】樹脂含浸シートにおける繊維基材のカバー
ファクターは、樹脂含浸シートの補強繊維糸間に形成さ
れる隙間の大きさに関係する要素で、樹脂含浸シート上
に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1 内において
補強繊維糸間に形成される隙間の面積をS2 とすると、
次式で定義される値をいう。 [(S1 −S2 )/S1 ]×100
【0012】このカバーファクターは、実際には、含浸
シートの樹脂が未硬化の状態で面積の設定や測定するこ
とは困難であるので、樹脂含浸シートを常温下に放置
し、樹脂が硬化してから面積の設定や測定を行ってもよ
い。
【0013】上記カバーファクターは、70〜94%と
される。カバーファクターが94%を越えて補強繊維糸
間に形成される隙間が小さいと、空気の抜け道が少なく
なり、樹脂含浸シートが構造物との間に抱き込んだ空気
が抜けにくくなる。逆に70%未満の場合は、補強繊維
が配列しない空隙が大きくなることになるから、繊維目
付の小さな繊維基材となり、所定の繊維量を積層するに
は、樹脂含浸シートの貼付け回数が多くなり、非効率的
である。また、カバーファクターが70%未満で補強繊
維の目付を大きくすると、繊維基材が厚くなり、樹脂含
浸性が悪くなる。また、繊維による拘束も甘くなるの
で、樹脂含浸シートが柔らかくなり、大きな面積に貼り
付けると皺が入るなど取扱い性が悪くなる。
【0014】上記カバーファクターが70〜94%であ
ると、樹脂含浸シートと補強面との間に抱き込んだ空気
が補強繊維糸間に形成された隙間を通して抜けやすい
し、含浸が完全になされた樹脂含浸シートが得られる。
また、樹脂含浸シートの貼付けも簡単に出来る。
【0015】さて、粘度の高い樹脂がよく含浸されて、
かつ樹脂含浸シートにおける繊維基材のカバーファクタ
ーが70〜94%である、すなわち、含浸シートで補強
繊維糸間に形成される隙間を確保するには、樹脂含浸時
にプレスロール(たとえば、一対のプレスロール)で圧
力をかけることが好ましい。しかしながら、通常の繊維
基材は、樹脂含浸する前の状態で隙間が確保されていて
も、樹脂含浸時のプレスロールで繊維束が潰されて拡幅
し、補強繊維糸間の隙間の確保が困難となる。したがっ
て、樹脂含浸シートの状態になってからも同じカバーフ
ァクターを維持することは難しい。本発明者らによる鋭
意検討の結果、繊維基材の補強繊維を目どめ剤によって
接着固定した目どめ織物を使用することにより、上記カ
バーファクターが樹脂含浸後も維持できることがわかっ
た。
【0016】図1に、本発明の樹脂含浸シートの製作に
あたって使用する目どめ繊維基材としての織物の一実施
例を示す。どめ剤接着し、動きにくくしたものであ
る。ここで目どめ剤として用いる接着剤としては、熱可
塑性ポリマーを用いるのが好ましく、この中でもエポキ
シ樹脂との接着性が良好である共重合ナイロンが好まし
い。目どめ剤の量としては、シート重量に対し0.5〜
5%程度が好ましい。0.5重量%未満であると、接着
力が弱いためプレスやローラがけの圧力によって補強繊
維糸の蛇行やばらけを生じ、補強効果を失いかねない。
逆に5重量%以上となると、接着は強固であるが、目ど
め部分付近に接着剤が多く分布することになる。目どめ
剤は本質的にはマトリックスを形成するものではないか
ら、目どめ剤が多くなりすぎるとFRPの性能を低下さ
せることになる
【0017】目どめ繊維基材は、接着によって補強繊維
糸を固定することで、樹脂含浸後も隙間を保持できるこ
とにより、含浸性に優れ、かつ樹脂含浸シートと補強面
との間に抱き込んだ空気を簡単に抜くことが出来る。さ
らに、補強繊維糸を接着することにより補強繊維糸が動
かないため、プレスやローラがけの圧力が加わっても補
強繊維糸の蛇行やばらけといったことが起き難く、部分
的に強度の発現率が悪い所もなく信頼性の高い樹脂含浸
シートを得ることができる。
【0018】本発明に使用する繊維基材の補強繊維は、
高強度で高弾性率である炭素繊維、ガラス繊維、アラミ
ド繊維がよい。特に、コンクリート構造物の補修や補強
に用いる場合、耐アルカリ性に優れる炭素繊維を用いる
のがよく、中でも引張強度が450kgf/mm2
上、引張弾性率が20〜65×103 kgf/mm2
高強度、高弾性率の炭素繊維を用いると構造物への貼付
け枚数が少なくなるので、省力化に繋がり好ましい。
【0019】本発明に使用する繊維基材は補強繊維を
たて糸またはよこ糸に配列し、よこ糸またはたて糸に細
い補助糸を織り組織した方向性織物である。たとえ
ば、一例を図に示すが、たて糸としてマルチフィラメ
ント糸からなる補強繊維糸3を1方向に配し、よこ糸と
して細い補助糸4を用いて1方向性織物として組織し、
よこ糸4に目どめ剤5を配して目どめ繊維基材とするこ
とが出来るは、図の繊維基材に樹脂6を含浸し
た樹脂含浸シートのたて糸3に直角な方向の切断面を示
したものである。
【0020】樹脂含浸シートとする繊維基材の補強繊維
の目付は、180〜500g/m2とされる。これは、
目付180g/m2 未満では、補強繊維量が小さいの
で、所定の繊維量を貼り付けるには樹脂含浸シートの積
層枚数を増やす必要が生じ、非効率的である。一方、5
00g/m2 を越えると、少ない積層枚数での作業が可
能ではあるが、前記カバーファクターを達成するには補
強繊維量が多くなり過ぎ、さらに繊維基材も厚目になる
ため、樹脂含浸を行いにくくなる。
【0021】本発明において使用される常温硬化型樹脂
の粘度が、20℃において20〜200ポイズである
と、含浸性が良く、貼り付けた際に樹脂が垂れ落ちな
い。20ポイズ未満の場合、樹脂粘度が低過ぎるため、
含浸性には優れるが、補強面が下面のとき、樹脂含浸シ
ートを貼り付けると樹脂が垂れ落ち、衛生上はもちろ
ん、樹脂含浸シートの樹脂量が減少して接着性や含浸性
を損ね、補強効果が落ちる。ここで、樹脂粘度が20〜
70ポイズの場合でも垂れ落ちが考えられるが、樹脂の
重量パーセントを35〜70、好ましくは35〜60と
することで、含浸性に優れ、かつ樹脂量が少ないので垂
れ落ちがない樹脂含浸シートとすることができる。一
方、200ポイズを越えると、上記のような垂れ落ちの
心配はないが、樹脂粘度が高いために、プレスロールに
通しても繊維基材への樹脂の含浸が悪い。
【0022】常温硬化型樹脂は、使用雰囲気の温度が2
0℃のとき、主剤と硬化剤を混合してから30分〜5時
間で樹脂がゲル化し始めるもので、剛性に優れたエポキ
シ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂
が好ましい。この中でも、繊維の接着に共重合ナイロン
が用いられる場合は、接着性の点と耐アルカリ性に優れ
る点とからエポキシ樹脂が好ましい。
【0023】樹脂の粘度が比較的低い場合には、繊維基
材を樹脂中に配された単なるガイドローラに通し、図
に示すように、樹脂の付着した繊維基材7をボビン8に
巻き取ることにより本発明の樹脂含浸シートを得ること
が可能である。樹脂中のガイドローラに繊維基材を単に
通すだけでは樹脂は完全に含浸されないので、好ましく
はボビンに樹脂付着シートが0.1〜10kg/cmの
張力で巻き取られていくようにし、既に巻き取られた樹
脂付着シート部分が、その上に重なる樹脂付着シート部
分によって加圧され、樹脂の含浸が進むようにすること
が好ましい。張力が0.1kg/cm未満の場合には、
巻取時の樹脂付着シートによる加圧が小さいため、樹脂
を繊維基材へ所定量含浸させることができない。一方、
張力が10kg/cmを越える場合には、繊維中の樹脂
が絞り出されるため付着樹脂量が少なくなり、張力が強
過ぎて巻き取りにくくなる。
【0024】また、樹脂の粘度が比較的高い場合には、
に示すように、樹脂バス11の樹脂12中で繊維基
材13を一対のプレスローラ14、14の間に通過させ
ることにより本発明の樹脂含浸シートが得られる。図に
おいて、15は導入ローラ、16は巻取用の紙管を示し
ている。プレスローラによるプレス圧は、樹脂粘度にも
よるが、線圧が0.5〜5.0kg/cm程度で樹脂の
含浸は十分となる。なお、樹脂粘度が高いと、プレスロ
ーラで樹脂が絞られて、シートへの樹脂の付着量が少な
くなるので、プレスローラ通過後のシートをさらに樹脂
中を通過させることにより、つまり、樹脂の液面17が
常にプレスローラの上方になるように設定するとよい。
【0025】また、所定の樹脂量は、樹脂含浸後に所定
の間隙のスリット18を形成した部材19や所定の間隙
を有する一対の回転ローラを通過させることによって設
定することが出来る。
【0026】このように、本発明では簡単な装置で十分
に樹脂含浸が行われ、かつ、樹脂の付着量を均一にする
ことができるので、作業員の熟練度によって左右される
ことがなく、これら樹脂含浸シートでコンクリート構造
物を補強すると、補強効果がばらつき、所定の補強効果
発揮出来ないという異常事態の発生を防ぐことができ
る。
【0027】樹脂含浸シートの貼付けは、図に示すよ
うな貼付け治具21を用い、治具21のアームの一端に
設けられたボビンホルダー23に樹脂含浸シート24が
巻かれたボビン25を取り付け、治具21を矢印方向に
移動し、ボビン25の矢印方向への回転によりシート2
4を連続的に引出しながら、同時にアーム22の他端に
取り付けられた貼付けローラ26を矢印方向に回転させ
ることによりコンクリート構造物27に貼り付けていく
ことができる。このような貼付けでは、通常の貼付けは
面状となるのに対し、貼付けローラ線が接触する箇所か
ら順番に貼付けができるので、貼り付ける際に起きる補
強面と樹脂含浸シートの間への空気の抱き込みが起こり
にくい。また、たとえ、空気を抱き込んでも、含浸シー
トの繊維基材は補強繊維糸間に間隙を有するので、脱泡
ローラで簡単に空気抜きができる。
【0028】本貼付け方法においては、貼付け治具が簡
単な機構なので軽くすることができ、樹脂含浸シートを
含めた総重量も小さいので、貼付けに作業員の移動を伴
うものの、樹脂塗布、樹脂含浸の反復作業を伴わないの
で極めて効率的である。また、貼付け作業のみなので、
積層の作業が容易である。さらに貼付け作業後にローラ
がけやへらがけを行うと、繊維基材の補強繊維糸間に隙
間が存在するので、余剰樹脂の除去、脱泡が促進されて
一層効果的である。
【0029】
【実施例】
実施例1 図5に示す含浸装置、巻取装置において、85ポイズの
常温硬化型のエポキシ樹脂を液面17まで入れた樹脂バ
ス11に東レ株式会社製炭素繊維“トレカ”T700
(単糸数:12000本、繊度:7200デニール)を
使い、低融点ナイロンで目どめした、織物目付が300
g/m2 の、幅が25センチメートルの炭素繊維が長さ
方向に配列した一方向炭素繊維織物13を侵入させ、プ
レスローラ14、14の間を通過させることによって炭
素繊維織物に樹脂を含浸させ、紙管16に巻取った。樹
脂を含浸させて巻き取った織物の長さは10メートルで
あった。プレスローラの圧力は、線圧1.3kg/cm
とした。その後紙管16を取り外し、コンクリート構造
物の下面へ紙管を回転させながら貼付けを行った。貼付
け後、脱泡ローラでローラがけを行い、コンクリート構
造物と樹脂含浸織物との間の空気を抜いた。貼付けを行
った後、30℃の雰囲気で60分程度で樹脂が硬化し
た。樹脂が硬化するまでにコンクリート構造物の下面か
ら樹脂が垂れ落ちることはなく、貼付けも容易かつ完全
に行うことができた。また、炭素繊維強化プラスチック
板に空気抱き込みによる膨れは観察されなかった。
【0030】一方、樹脂含浸織物を30cm紙管16か
ら解舒し、ポリエステルフイルムの上に静かに置き、2
4℃の室温に放置して樹脂を硬化させた。この硬化板を
断面観察した結果、大きなボイドは観察されず、樹脂の
含浸性もよく、樹脂重量が65パーセント、この硬化板
のカバーファクターは90パーセントであった。
【0031】実施例2 25ポイズの常温硬化型のエポキシ樹脂を使用し、その
他は実施例1と同じ炭素繊維織物、巻取装置を使用し
た。樹脂含浸は、プレスローラを使用せず、単に樹脂中
に配されたガイドローラに通し、張力1.0kg/cm
で巻き取ることで行った。樹脂含浸シートのコンクリー
トの下面への貼付けを実施例1と同じ方法で行った。貼
付けを行った後、30℃の雰囲気で60分程度で樹脂が
硬化した。樹脂が硬化するまでにコンクリート構造物の
下面から樹脂が垂れ落ちることはなく、貼付けも容易か
つ完全に行うことができた。また、炭素繊維強化プラス
チック板に空気抱き込みによる膨れは観察されなかっ
た。
【0032】樹脂含浸織物を30cm紙管16から解舒
し、ポリエステルフイルムの上に静かに置き、24℃の
室温に放置して樹脂を硬化させた。この硬化板を断面観
察した結果、大きなボイドは観察されず、樹脂の含浸性
もよかった。樹脂重量は、55パーセントで、この硬化
板のカバーファクターは92パーセントであった。
【0033】比較例1 実施例1と同じ樹脂、含浸装置および巻取装置を使用
し、炭素繊維織物はカバーファクターが90パーセント
で、目どめされておらず、その他は実施例1と同じ炭素
繊維織物を使用し、実施例1と同じ方法で樹脂含浸し、
紙管に巻き取り、コンクリートの下面へ紙管を回転させ
ながら貼付けを行った。貼付け後、脱泡ローラでローラ
がけを行ったが、炭素繊維強化プラスチック板に空気抱
き込みによる膨れが観察された。実施例1と同じ方法で
カバーファクターを測定したところ、補強繊維糸が潰さ
れて幅が広がり、97パーセントであった。
【0034】比較例2 実施例1と同じ樹脂、含浸装置、炭素繊維織物、巻取装
置を使用し、巻取条件も同じにして、樹脂の液面がニッ
プローラの回転中心になるようにした。樹脂硬化後に観
察したところ、樹脂含浸織物の含浸性は余り良くなく、
コンクリートと炭素繊維強化プラスチック板との間に樹
脂が不足し、接着していない箇所があった。なお、測定
の結果、樹脂重量は30パーセントであった。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂含浸
シートおよびその製造方法においては、高粘度樹脂であ
っても十分に含浸させ、含浸樹脂量を容易に所望量に調
整でき、コンクリート構造物の補強等に最適な樹脂含浸
シートが得られる。この樹脂含浸シートは、補強箇所に
貼り付けてそのまま放置、硬化させて繊維強化プラスチ
ックとすればよいので、貼付け後の樹脂含浸作業が不要
となり、作業性と補強効果がともに高い補強を行うこと
ができる。
【0036】また、樹脂含浸シートの補強繊維が接着さ
れて所望の隙間(カバーファクター)が保持されている
ので、補強繊維がほつれることがなく、また、樹脂含浸
性に優れているので補強効果が高い。
【0037】さらに、樹脂含浸シートをボビンや紙管に
巻き取るので、それを用いた貼付けを少人数で行え、し
かも樹脂含浸シートの持込み樹脂量が十分なので、貼付
け後に樹脂の塗布、含浸を行う必要がなく効率的に作業
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂含浸シートの一方向性織物
一例を示す部分斜視図である。
【図2】図1の樹脂含浸シートのたて糸と直角方向の断
面図である。
【図3】ボビンへの巻取の様子を示す斜視図である。
【図4】本発明における繊維基材への樹脂含浸の様子を
示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る樹脂含浸ンシートの貼付け方法を
示す、治具等の側面図である。
【符号の説明】 たて糸 よこ糸 5 目どめ剤 6 樹脂 7 樹脂含浸シート 8 ボビン 11 樹脂バス 12 樹脂 13 繊維基材 14 プレスローラ 15 導入ローラ 16 紙管 17 液面 18 スリット 19 部材 21 治具 22 アーム 23 ボビンホルダー 24 樹脂含浸シート 25 ボビン 26 貼付けローラ 27 コンクリート構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 63:00 C08L 63:00 101:00 101:00 (56)参考文献 特開 平4−294136(JP,A) 特開 昭57−70127(JP,A) 特開 平7−118412(JP,A) 特開 昭50−17478(JP,A) 特開 昭61−272242(JP,A) 実開 平2−85110(JP,U) 実開 平2−38442(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/04 - 5/10 C08J 5/24 B29B 11/16 B29B 15/08 - 15/14

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強繊維からなる一方向性織物に液状の
    常温硬化型樹脂が35〜70重量%含浸されており、
    つ、樹脂含浸シートにおけるカバーファクターが70〜
    94%であり、かつ、前記織物の繊維目付が180〜5
    00g/m2 であることを特徴とする樹脂含浸シート。
  2. 【請求項2】 前記常温硬化型樹脂の粘度が20〜20
    0ポイズである、請求項1に記載の樹脂含浸シート。
  3. 【請求項3】 ボビンに捲回されている、請求項1また
    は2に記載の樹脂含浸シート。
  4. 【請求項4】 前記補強繊維が炭素繊維である、請求項
    1ないし3のいずれかに記載の樹脂含浸シート。
  5. 【請求項5】 前記織物の補強繊維が目どめ剤により固
    定されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の樹
    脂含浸シート。
  6. 【請求項6】 前記常温硬化型樹脂がエポキシ樹脂であ
    る、請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂含浸シー
    ト。
  7. 【請求項7】 織物を樹脂中に配されたガイドローラに
    通し、樹脂の付着した織物をボビンに巻き取ることによ
    り、織物へのマトリックス樹脂の含浸を行うことを特徴
    とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂含浸
    シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 織物を樹脂中に配されたプレスローラに
    通し、織物へのマトリックス樹脂の含浸を行うことを特
    徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂含
    浸シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 樹脂が付着した織物をスリットを通過さ
    せることによって、樹脂含浸シートの樹脂量を制御す
    る、請求項7または8に記載の樹脂含浸シートの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 ボビンに捲回された請求項1ないし6
    のいずれかに記載の樹脂含浸シートを貼付け治具に取り
    付け、該樹脂含浸シートを、ボビンから連続的に引き出
    しながら貼付け治具に設けられた貼付けローラで構造物
    に貼り付けることを特徴とする、樹脂含浸シートの貼付
    け方法。
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