明 細 書 3—ォキサジァゾリルキノキサリン誘導体 技術分野
本発明は医薬として有用な、 特に、 ベンゾジァゼピン受容体に選択的な親和性 を有する新規 3—ォキサジァゾリルキノキサリン誘導体およびその医薬としての 使用に関する。
背景技術
ジァゼバムに代表されるべンゾジァゼピン(B Z P)系化合物は抗不安作用を有 し、 当初抗不安薬として開発されたが、 抗不安作用のほかに抗痙攣作用、 鎮静 · 催眠作用を有することから、 その後これらの化合物は 1)抗不安薬、 2)催眠(睡眠) 薬、 3)筋弛緩薬、 4)抗てんかん薬として広範囲に臨床応用されている。
BZP系化合物の主な薬理作用は、 1)馴化作用、 2)催眠作用、 3)中枢性筋弛緩 作用、 4)抗痙攣作用などであるが、 これらの薬理作用は、 それぞれ独立した作用 機序により出現するものではなく、 密接に関連した神経薬理学的機序に起因する と解釈されている。 BZP系化合物はふらつき、 眠気、 筋弛緩あるいは認知力、 反射運動能力の低下などの副作用や、 耐性、 依存性形成など改善すべき問題点が 多く残されている。
1 970年代後半以降、 BZP系化合物の薬理作用の研究の進展により、 その 作用機序の解明の足掛かりが 2つあった。 その 1つは B Z P系薬物による中枢神 経系の γ—ァミノ酪酸(GAB A)作動性神経情報伝達機構の増強現象であり、 も う 1つは BZP特異的結合部位(BZP受容体)の発見とともに、 脳内 BZP受容 体と G A B A受容体との間の機能的連絡機構の証明である。 これらの研究成果に より、 B Z P系化合物の薬理作用発現に GAB A作動性神経情報伝達機構が関与 することがほぼ確立した。
BZP系化合物の有する前述の副作用や、 耐性、 依存性形成など改善すべき諸 問題を解決する目的で、 現在ではべンゾジァゼピンとは化学構造上異なるが、 作
用機構上同様に機能する非 B Z P系化合物の開発研究がなされている。 これらの 化合物も含めてベンゾジァゼピン受容体作動薬としてまとめられている。 このよ うな非 B Z P系化合物として、 例えば下記式(A;)、 式(B )および式(C)で表され る化合物が知られている。
式(A)および式(B )で示される化合物はジャーナル ォブ メジシナル ケミス トリー(Journal of Medicinal Chemistry)第 34卷第 2060頁(1991)に記載されて レ、る。
(A) (B)
(式中、 R aは水素原子、 R h〜R Hはメチル基など、 および R はメ トキシ基など を表す)
また、 式( C )で示される化合物は特開平 6- 192258号および特開平 7- 10874号公 報に記載されている。
(C)
ところ力 ベンゾジァゼピン受容体に対して同様に選択的な高い親和性を持ち ながら全く逆の作用を示す化合物が非 B Z P系化合物の中から見出された
[Braestrup. C 等、 Neuropharmacol. , 22, 1451-1457 (1983)〕 。 これらの化 合物の投与により痙攣増強、 不安誘発、 筋緊張亢進などの薬理作用が発現する。 このことにより、 従来の抗不安薬としての B Z P化合物群をァゴニストとし、 こ の逆の薬理作用を有する化合物群をィンバースァゴニストと呼ばれた。
インバースァゴニストの発見により、 ベンゾジァゼピン受容体(B Z P受容体)
に結合する化合物の固有活性と薬理作用との関係について精力的な研究が行われ、 その結果、 現在では B Z P受容体に結合 (親和)する化合物は、 複合体機能の修飾 様式により、 あるいは化合物の固有活性により、 ァゴニス ト(さらにフルァゴニ ストとパーシャルァゴニストに小分類)、 インバースァゴニス ト(さらにフルイン バースァゴニストとパーシャルィンバースァゴニス卜に小分類)およびアンタゴ ニストに分類されている。 ァゴニストは B Z P受容体への選択的な結合により、 G A B A受容体と C 1イオンチャンネルのカツプリング機能を増強する方向に作 用し、 C 1イオンチャンネル開閉頻度の増加により C 1イオンの細胞内への流入 を増加させ、 細胞内の負電荷の増加により細胞活性を抑える。 インバースァゴニ ス トはこのカップリング機能を低下させる方向、 すなわち、 C 1イオンチャンネ ルの開閉頻度を減少させる方向に作用し、 C 1イオンの細胞内への流入を減少さ せ、 細胞内の負電荷の減少により細胞活性を充進させる(細胞の興奮性を高める)。 アンタゴニストはそれ自体カツプリング機能に何ら変化をもたらさず、 ァゴニス トあるいはィンバースァゴニストが B Z P受容体に結合するのを阻害する。
このように B Z P受容体は G A B A受容体と C 1イオンチャンネルの間に介在 し、 これらと複合体を形成する分子単位として認識されている。 最近、 この B Z P受容体には少なくとも 3種のサブタイプが存在することが明らかにされ、 それ ぞれ ω ,、 ω。および ω .,受容体と名付けられている。 ω ,受容体は鎮静 ·睡眠作 用ゃ抗不安作用の発現に、 ω 2受容体は筋弛緩作用に、 ω 3受容体は抗狭心作用 等の薬理作用や耐性形成に深く関わっていることが示唆されている。 従来の Β Ζ Ρ系化合物は ω iおよび ω 2受容体に結合してその薬理作用を発現するものと考 えられている。
一般に、 Β Ζ Ρ受容体に結合する化合物の固有活性を予測する指標として、 G A B A存在下と非存在下での B Z P受容体親和性の比(G A B A比)が知られてレヽ る。 固有活性と G A B A比との関係では、 G A B A比が 1を越えるのものはァゴ 二ス ト、 G A B A比が 1のものはアンタゴニス ト、 G A B A比が 1未満のものは インバースァゴニストとして分類される。 前記式(A)、 式(B )および式(C )で示 される化合物のような従来の B Z P系化合物はほとんどのものが G A B A比が 1
を越えァゴニストとしての固有活性を有している。 逆に、 G A B A比が 1未満で インバースァゴニストとしての性質を有しているものが、 例えば下記式(D )で表 される化合物である。
(D)
式(D)で示される |3—カルボリン誘導体は Braestrup. C 等、 Pro Natl. Acad. Sci. USA 1980, 77, 2288 に記載されている。
—方、 固有活性と薬理効果との関係についても、 多くの研究がなされており、 B Z Pァゴニストは前述のように、 抗不安薬、 睡眠障害治療薬 (睡眠導入薬)また は癲癇治療薬として使用される。 し力 しながら、 B Z Pァゴニストの投与は他の 作用として健忘作用をもたらすことが、 動物だけでなくヒ 卜においてもよく知ら れている。 それ故に B Z Pインバースァゴニストに健忘を誘発する作用の逆の作 用すなわち、 抗健忘作用、 脳賦活作用が期待される。 しかも認知機能に重要な関 わりを有しているァセチルコリンの活動がァゴニストにより低下し、 インバース ァゴニストにより高まるので、 インバースァゴニストの中から抗記憶障害作用を 持つものが期待される。 したがって、 B Z Pインバースァゴニストは脳賦活薬や 老年性痴呆、 脳血管性およびアルツハイマー型痴呆などの記憶障害に対する治療 薬として期待されている。
ベンゾジァゼピン受容体に対して選択的な高い親和性を示す、 後記一般式 (I) で表される本発明の化合物については未だ全く報告されていない。
発明の開示
本発明は医薬として有用な、 特に、 ベンゾジァゼピン受容体に選択的な高い親 和性を有する下記一般式(I)で表される新規 3—ォキサジァゾリルキノキサリン 誘導体およびその医薬としての使用に関する。
(式中、 He tはォキサジァゾリル基を意味し、
R1は水素原子、 低級アルキル基、 トリフルォロメチル基、 シクロ低級アルキル 基、 低級アルケニル基、 低級アルキニル基、 置換若しくは非置換ァリール基、 置 換若しくは非置換へテロアリール基または低級アルコキシ基を意味し、
R 2は水素原子、 低級アルキル基、 トリフルォロメチル基、 シクロ低級アルキル 基、 ハロゲン原子、 ヒドロキシ基、 低級アルコキシ基、 シァノ基、 ニトロ基、 ァ シル基、 置換若しくは非置換ベンゾィル基、 アミノ基、 モノ若しくはジ低級アル キルアミノ基、 低級アルコキシカルボニルメチルォキシ基、 モノ若しくはジ低級 アルキルァミノカルボニルメチルォキシ基または置換若しくは非置換ベンジルォ キシ基を意味し、
R3は水素原子、 低級アルキル基、 シクロ低級アルキル基、 ハロゲン原子または 低級アルコキシ基を意味する)
本発明者らは、 脳内べンゾジァゼピン受容体に親和性を有する非べンゾジァゼ ピン系化合物の研究において、 上記一般式(I)で表される 3—ォキサジァゾリル キノキサリン誘導体がベンゾジァゼピン(BZ P)受容体に対して選択的な高い親 和性を有し、 ベンゾジァゼピン受容体作用薬として有用であること、 しかも置換 基 R1と R2(R3)の組み合わせにより、 BZPァゴニストとしての性質を有する もの、 また、 BZPインバースァゴニストとしての性質を有するものがあること を見出した。
本発明の化合物は一般式 (I)で表されるが、 好適な化合物としては式(I)におい て、 R 1が C 〜 C 3アルキル基または C 3〜 C 4シクロアルキル基または置換若し くは非置換へテロアリール基であり、 R 2が水素原子、 Ci Cgアルキル基、 ト リフルォロメチル基、 ハロゲン原子または Ci〜C。アルコキシ基であり、 R3が 水素原子である化合物が挙げられる。 より好適な化合物としては下記の化合物が 挙げられる。
3—(3—メチル一 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 5—ィル)キノキサリン一 2
(1 H)—オン、
3— (3—ェチル— 1, 2, 4—ォキサジァゾール— 5—ィル)キノキサリン一 2 ( 1 H)—オン、
3—(3—プロピル一 1, 2, 4—ォキサジァゾ一ルー 5—ィル)キノキサリン一 2 (1H)—オン、
6—クロ口一 3— (3—メチル一 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 5—ィル)キノ キサリン一 2 (1 H)—オン、
6—クロ口 _ 3— (3—ェチルー 1, 2, 4一ォキサジァゾール一 5—ィル)キノ キサリンー 2 (1 H)—オン、
6—フルオロー 3—(3—ェチル一 1, 2, 4一ォキサジァゾ一ノレ一 5—ィル)キ ノキサリン一 2 (1H)—オン、
6—メ トキシ一 3—(3—ェチノレー 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 5ーィノレ)キ ノキサリン一 2 (1 H)—オン、
3— [3— (3—ピリジル)一 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 5—ィル] キノキ サリン— 2 (1 H)—オン、
3— (3—シクロプロピル一 1, 2, 4—ォキサジァゾ一ル一 5—ィル)キノキサ リン一 2 (1 H)—オン、
3— (5—メチルー 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 3—ィル)キノキサリン一 2 (1 H)—オン、
3—(5—シクロプロピル一 1, 2, 4一ォキサジァゾ一ルー 3—ィル)キノキサ リン一 2 ( 1 H)—オン、
3— (5—ェチノレー 1, 2, 4—ォキサジァゾール一 3—ィル)キノキサリン一 2 (1 H)—オン
本明細書中において、 「低級アルキル基」 及び 「低級アルキル」 部分は炭素数 1〜 5個の直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、 例えばメチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 ペンチル基が挙げられ る。
「低級アルケニル基」 および 「低級アルキニル基」 は炭素数が 2〜 6個の直鎖
状または分岐状の炭素鎖を持ち、 例えばァリル基、 1一プロぺニル基、 プロパル ギル基、 2—メチルー 1 —ェチニル基が挙げられる。
「シクロ低級アルキル基」 は炭素数 3〜 6個のシクロアルキル基を意味し、 例 えばシクロプロピノレ基、 シクロブチル基、 シクロペンチル基、 シクロへキシル基 が挙げられる。
「ァリール基」 及び 「ァリール」 部分はフエニル基、 ナフチル基等を意味し、 その環は置換基を有していてもよい。 その環の好ましい置換基としてはハロゲン 原子、 C i C gアルキル基、 トリフルォロメチル基、 C i C sアルコキシ基、 ヒ ドロキシ基、 アミノ基、 ニトロ基が挙げられる。
「低級アルコキシ基」 及び 「低級アルコキシ」 部分は炭素数 1 〜 5個の直鎖ま たは分岐鎖アルコキシ基を意味し、 例えばメ トキシ基、 エトキシ基、 プロポキシ 基、 イソプロピルォキシ基、 ブチルォキシ基、 イソブチルォキシ基、 t e r t— ブチルォキシ基、 ペンチルォキシ基が挙げられる。
「ァシル基」 とは低級アルカノィル基を意味する。 「低級アルカノィル基」 は炭素数 1 〜 5個の直鎖または分岐鎖アルカノィル基を意味し、 例えばホルミル 基、 ァセチル基、 プロピオニル基、 プチリル基、 イソプチリル基、 バレリル基、 ビバロイル基が挙げられる。
「ヘテロァリール基」 は窒素原子、 酸素原子、 硫黄原子から選択される同一ま たは異なって 1 〜 2個のへテロ原子を含んでなる 5〜 6員芳香族複素環を意味し、 例えばフリル、 チェニル、 ピロリル、 ォキサゾリル、 イソキサゾリル、 ピリジル、 ピリダジニル、 ピリミジニルが挙げられ、 これら複素環基はハロゲン原子、 ヒド ロキシ基、 C 1〜C 3アルコキシ基、 C i C gアルキル基、 ァミノ基から選ばれ る 1 〜 3個の置換基を有していてもよい。
また、 「ハロゲン原子」 とはフッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子を意 味する。
本発明の化合物は下記の製造法 1 〜 4により製造することができる。
(製造法 1 )
下記一般式 (la)
(la)
(式中、 R 1 R 2および R 3は前掲に同じ)
または、 下記一般式(lb) : (lb)
(式中、 R R 2および R 3は前掲に同じ)
で表される本発明の化合物にぉレ、て、 R 1が低級アルコキシ基以外の基である化 合物は下記一般式 (II) :
(式中、 R は低級アルコキシ基以外の前掲の R 1と同じ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ)
または、 下記一般式 (ΠΙ) :
(式中、 Rいは低級アルコキシ基以外の前掲の R 1と同じ基を意味し、 R 2および
R 3は前掲に同じ)
で表される化合物を分子内閉環させることにより製造することができる。
本閉環反応は脱水剤を用いて行つてもよいが、 通常反応に影響を及ぼさない適 当な溶媒中で加熱することにより行われる。 溶媒として、 ベンゼン、 トルエン、 キシレンの如き芳香族炭化水素、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサンの如き ^ーテ ル類、 N, N—ジメチルホルムアミ ドなどが挙げられる。 これらの溶媒は単独で、 または 2種以上混合して用いられる。 反応温度は用いる原料化合物の種類等によ り異なる力 通常 5 0〜1 5 0 °C、 好ましくは 8 0〜1 2 0 °Cである。
(製造法 2 )
また、 一般式(la)で表される本発明の化合物において、 R 1が低級アルコキシ 基である化合物は下記一般式 (IV) :
(IV)
(式中、 R 1 " は低級アルコキシ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ) で表される化合物に、 例えばジャーナル ォブヘテロサイクリック ケミストリ 一(Journal of Heterocyclic Chemistry)第 18卷第 1197頁(1981)に記載の方法に 準じて、 ヒドロキシルァミンを反応させることにより製造することができる。 本反応は通常適当な溶媒中で行われ、 溶媒としてはメタノール、 エタノールの 如きアルコール類、 水などが挙げられる。 反応温度は用いる原料化合物の種類な どにより異なるが、 通常 5 0〜9 0 °Cである。
(製造法 3 )
また、 一般式(lb)で表される本発明の化合物において、 R
1が低級アルコキシ 基である化合物は下記一般式 (V) :
(式中、 R は低級アルコキシ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ) で表される化合物を、 例えばシンセシス(Synthesis) 第 843 頁(1986)に記載の 方法に準じて、 分子内閉環反応させることにより製造することができる。
本閉環反応は通常適当な溶媒中で加熱することにより行われるが、 溶媒として はベンゼン、 キシレン、 トルエンの如き芳香族炭化水素、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサンの如きエーテル類などが挙げられる。 反応温度は用いる原料化合物の 種類などにより異なるが、 通常 5 0〜1 5 0 °C、 好ましくは 8 0〜 1 2 0 °Cであ る。
(製造法 4 )
下記一般式 (Ic) :
(式中、 R R 2および R 3は前掲に同じ)
(式中、 R R 2および R 3は前掲に同じ)
で表される化合物を分子內閉環させることにより製造することができる。
本閉環反応は脱水剤を用いて行ってもよいが、 通常、 反応に影響を及ぼさない 適当な溶媒中で加熱することにより行われる。 溶媒として、 ベンゼン、 トルエン、 キシレンの如き芳香族炭化水素、 テトラヒ ドロフラン、 ジォキサンの如きエーテ ル類、 N, N—ジメチルホルムアミ ドなどが挙げられる。 これらの溶媒は単独で、
または 2種以上混合して用いられる。 反応温度は用いる原料化合物の種類等によ り異なる力 通常 5 0〜 1 5 0 °C、 好ましくは 8 0〜 1 2 0 °Cである。
本閉環反応は、 また、 特開平 6- 192258号公報に記載された方法に準じて、 反応 に影響を及ぼさない適当な溶媒中トリフエニルホスフィンの如き 3.価のリン化合 物とジアルキルァゾジカルボン酸エステルの存在下に行うこともできる。 反応温 度は用いる原料化合物の種類などにより異なるが、 通常 0〜1 1 0 °C、 好ましく は 0〜6 0 °Cである。
上記製造法 1〜4により製造される一般式 ( I)で表される本発明の化合物はク 口マトグラフィー、 再結晶、 再沈澱などの常法により単離、 精製される。
次に、 本発明化合物の原料化合物の製造法について説明する。
前記製造法 1で用いられる一般式(II)の化合物は、 下記反応式一 1に示される 方法により製造することができる。
反応式一 1
( 1 ) (2) (II)
(式中、 R ' 'は低級アルコキシ基以外の前掲の R 1と同じ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ)
化合物( 1)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と種々のアミ ドキ シム(2)を通常のアミ ド化反応条件下に反応させ、 化合物(II)を製造することが できる。
また、 前記製造法 1で用いられる一般式 (III)の化合物は、 下記反応式一 2に 示される方法により製造することができる。
反応式一 2
(3) (4) ,
(式中、 R は低級アルコキシ基以外の前掲の R 1と同じ基を意味し、 R 2および
R 3は前掲に同じ)
化合物(3 )とヒドロキシルァミンを通常の方法で反応させて化合物(4 )とし、 次いで、 塩基の存在下カルボキシル基における反応性誘導体と反応させ、 化合物 (III)を製造することができる。
前記製造法 2で用いられる一般式 (IV)の化合物は、 例えば特開平 7- 10874号公 報に記載の方法に準じて、 下記反応式一 3に示される方法により製造することが できる。
反応式一 3
(1) (13) (IV)
(式中、 R 1 " は低級アルコキシ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ) 化合物(1)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体とチォシアン酸の アルカリ金属塩を適当な溶媒中で反応させて化合物(1 3 )とし、 次いで、 この化 合物をアルコーリシスに付して化合物( IV)を製造することができる。
前記製造法 3で用いられる一般式 (V)の化合物は、 下記反応式一 4に示される 方法により製造することができる。
反応式— 4
(14) (15)
(8)
(V)
(式中、 R 1 " は低級アルコキシ基を意味し、 R 2および R 3は前掲に同じ) 化合物 (8)を反応に影響を及ぼさない適当な溶媒中水素化ホウ素ナトリゥム、 テトラプチルアンモニゥムポロヒ ドリ ド、 水素化リチウムアルミニウムの如き還 元剤で還元して化合物(1 4 )とし、 次いで、 適当な溶媒中活性二酸化マンガンで 酸化して化合物(1 5 )を得る。
化合物(1 5 )に通常のォキシム化の条件でヒドロキシルァミンを反応させて化 合物(1 6 )とし、 次いで、 例えば、 ジャーナルォブ オルガニック ケミストリ 第 45巻第 3916頁(1980)に記載の方法に準じて、 N クロロコハク酸イミ ドと反 応させて化合物(1 7 )を得る。
化合物(1 7)に、 例えば、 シンセシス (Synthesis)第 102頁(1979)に記載の方 法に準じて、 適当な溶媒中アジ化ナトリウムを反応させて化合物(1 8)とし、 次 いで、 例えば、 シンセシス第 843頁(1986)に記載の方法に準じて、 適当な溶媒中 X C O R 1 " (Xはハロゲン原子を意味し、 R1" は低級アルコキシ基を意味す る)で表される化合物を反応させて化合物(1 9)とした後、 トリフエニルホスフ インと反応させて化合物 (V)を製造することができる。
また、 前記製造法 4で用いられる一般式 (VI)の化合物は、 下記反応式一 5に示 される方法により製造することができる。
(1) (VI)
(式中、 R R 2および R 3は前掲に同じ)
化合物(1)またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と R1 CONHN H2 (R 'は前掲に同じ)で表されるヒ ドラジド(5)を通常のアミ ド化反応条件下 に反応させ、 化合物(VI)を製造することができる。
また、 化合物(VI)の別製法として、 化合物(1)またはそのカルボキシル基にお ける反応性誘導体とヒドラジンとを通常のアミ ド化反応条件下に反応させ、 次い で、 R 1 C〇〇 H ( R 1は前掲に同じ)で表されるカルボキシル基における反応性 誘導体を反応させる 2段階反応で製造することもできる。
更に、 本発明化合物の他の原料ィ匕合物の製造法について説明する。
前記反応式— 1および反応式— 3において用いられる化合物( 1 )は、 例えばジ ヤーナル ォブヘテロサイクリック ケミストリー第 13卷第 427 頁(1976)に記載 の方法に準じて、 下記反応式一 6に示される方法により製造することができる。
反応式一 6
(1)
(式中、 R2および R3は前掲に同じ)
o—フ 二レンジァミン誘導体(6)に適当な溶媒中ケトマロン酸ジェチル(7) を反応させ化合物(8)とし、 次いで、 酸またはアルカリ条件下で加水分解して、 化合物( 1 )を製造することができる。
また、 前記反応式— 2において用いられる化合物(3)は、 例えばジャーナル ォブ ザ アメリカン ケミカル ソサイァティー第 73巻第 3246頁(1951)およびジャ ーナル ォブ オーガ二ック ケミストリ一第 37卷第 2498頁(1972)に記載の方法に 準じて、 下記反応式一 7に示される方法により製造することができる。
(3)
(式中、 R 2および R 3は前掲に同じ)
o—フ 二レンジアミン誘導体 ( 6 )に適当な溶媒中ォキサリル酢酸ジェチルナ トリゥム塩(9 )を反応させて化合物( 1 0 )を得、 この化合物を酢酸中トリクロ口 酢酸の存在下亜硝酸エステルでォキシム化して化合物( 1 1 )としたのち、 これに 適当な溶媒中塩基の存在下トリフ; ニルホスフィン Zァゾジカルボン酸エステル を反応させて化合物( 1 2 )に導き、 この化合物を室温下アル力リ条件下で加水分 解して化合物( 3 )を製造することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、 本発明の代表的化合物についての薬理試験方法およびその結果を示し、 本発明の化合物の作用の特徴について説明する。
試験例 1 ベンゾジァゼピン受容体結合試験
ライフ サイエンス(Life Science)第 20卷第 2101頁(1977)に記載の方法により
'受容体結合試験を行った。
7〜 8週令のウィスター系ラットの脳より調整した粗シナブトゾーム B莫分画を 1 18mM塩化ナトリウム、 4. 8 mM塩化カリウム、 1.28mM塩化カルシゥ ムおよび 1.2 mM硫酸マグネシゥムを含む 1 5 mMトリス—塩酸緩衝液 (p H 7. 4)に懸濁(1 g脳湿重量 Z2 Oml)し、 受容体膜標品とした。 また、 標識リガ ンドとしては L H] ジァゼパムを用いた。
各試験管に濃度既知の試験化合物、 [ 3 H] ジァゼパム(最終濃度 1. 5 n M)、 受容体膜標品および上記緩衝液を加えて反応液 (総量 1 m 1 )とし、 反応の開始は 膜標品の添加により行った。 0°C、 20分間のインキュベーションの後、 受容体 に結合した標識リガンドをセルハーべスター(ブランデル社製)を用いてヮットマ ン GF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、 直ちに、 氷冷 50 mMトリス一塩酸緩衝液(pH7. 7) 5m lで 3回洗浄した。 次レ、で、 フィルター上の放射能活性を液体シンチレーシヨンカウンタ一により測定し、 全 結合量を求めた。 また、 同時に測定した 1 μΜジァゼパム存在下における結合量 を非特異的結合量とし、 これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を 求めた。 さらに、 試験化合物が標識リガンドの特異的結合を 50%抑制する濃度 ( I C 5。値)をプロビット法により算出した。 結果を表 1に示した。
ジァゼピン受容体結合試験
実施例 BZP受容体結合 実施例 BZP受容体結合 化合物 I C50(nM) 化合物 I C50(nM)
1 1 1. 5 56 8.60
7 3. 56 57 2.37
8 6.97 58 6.50
9 3.80 59 4.33
1 1 3.81 60 8. 14
1 7 1. 56 62 1.46
1 9 1. 90 74 1 8.8
20 1.41 85 38.9
21 3. 96 86 26.2
28 4. 96 87 3.25
36 7.00 95 1 7.7
44 2.02 96 1.52
52 1 3.6 97 4.09
試験例 2 ベンゾジァゼピン ω と ω 2受容体結合試験および G A B A比 ジャーナノレ ォブ ファ一マコロジー アンド イクスペリメンタノレ セラピュー アイ ツクス (Jornal or Pharmacology and Experimental Therapeutics) 第 253 卷第 334 頁(1990)に記載の方法に準じて、 ベンゾジァゼピン(B Z P) ω iと ω2 受容体結合試験および G A Β Α比( G A B A存在下と非存在下における B Z P受 容体の親和性の比)の算出を行った。
7〜 8週令のウイスター系雄性ラットの小脳および脊髄より調整した粗シナプ トゾーム膜分画を 1 20 mM塩化ナトリウム、 5 mM塩化力リウム、 2 mM塩化 カルシウムおよび 1 mM硫酸マグネシゥムを含む 50mMトリス一塩酸緩衝液 (pH7.4)に懸濁(1 g湿重量/ 4 Om 1 )し、 それぞれ ω tと ω2受容体の 8對票 品とした。 また、 どちらの結合試験にも、 [3Η] フルマゼニルを標識リガンド として用いた。
各試験管に濃度既知の試験化合物、 [ 3 Η] フルマゼニル(ω ,受容体結合試験 の場合は最終濃度 0. 3 η Μ、 ω2受容体結合試験の場合は最終濃度 1 η Μ)、 受 容体膜標品、 ビククリンあるいは GABAのどちら力 ^最終濃度 1 00 μΜ)およ び上記緩衝液を加えて反応液 (総量 1 m 1 )とし、 膜標品の添加により反応を開始 した。 37°C、 30分間のインキュベーションの後、 受容体に結合した標識リガ ンドをセルハーべスター(ブランデル社製)によりワッ トマン GFZBグラスファ ィバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、 直ちに、 氷冷 50 mMトリス —塩酸緩衝液 (pH 7. 7) 5m lで 3回洗浄した。 続いて、 フイノレタ一上の放射 活性を液体シンチレーシヨンカウンタ一にて測定し、 全結合量を求めた。 また、 同時に測定した 10 / Mフルニトラゼパム存在下における結合量を非特異的結合 量とし、 これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。 次いで、 試験化合物が標識リガンドの特異的結合を 50%抑制する濃度(I C5 Q値)をプ 口ビッ ト法により算出した。 さらに、 GAB A存在下と非存在下(ビククリン存 在下)における I C5。値の比(GAB A存在下の I C5 ()/ビククリン存在下の I C5。)を求め、 GAB A比とした。 結果を表 2に示した。
表 2
ω ,と ω 2受容体結合試験および G A B A比
GAB Α比 実施例 ω j受容体結合 ω2受容体結合
化合物 I C50(n ) I C 50 (ηΜ)
ω i受容体 ω2受容体
1 16.6 62.4 0.42 0.59
7 2.31 8.73 0.38 0.42
8 3.25 14.8 0.42 0.84
9 2.57 10.9 0.38 0.59
11 6.89 40.9 0.65 0.79
17 1.90 8.43 0.70 0.64
19 2. 12 7.79 0.50 0.72
20 1.51 4.68 0.83 0.67
21 5.41 15.5 0.78 1.08
28 7.88 31.0 0.69 0.90
36 14.7 58.6 0.78 1.93
44 8.55 21.5 0.97 0.97
56 57.7 226 1.03 1.69
表 2 (続き)
GAB Α比 実施例 ω ,受容体結合 ω2受容体結合
化合物 I C50(nM) I C 50 (ηΜ)
受容体 ω2受容体
57 7.21 34.8 1.21 2.64
58 1 1.0 30. 3 0.21 0.50
59 6.82 29. 5 0.60 0.66
60 1 1.0 58. 3 1.04 1.45
62 1.42 6. 90 1.08 1. 77
74 1 8.9 76. 9 0.82 1. 1 6
85 56.2 1 87 1. 1 6 1. 1 9
86 28. 5 1 27 0.85 1. 38
87 6. 29 24.8 0.87 1. 1 9
95 36.8 1 55 2.67 2.48
96 0. 76 6. 14 1.09 1.80
97 9.93 24. 5 1.64 1. 14
試験例 3 ペンチレンテトラゾール誘発痙攣増強試験
ベンゾジァゼピン受容体インバースァゴニストは、 種々の痙攣惹起薬による痙 攣を増強することが知られている 〔プログレス イン ニューロ一サイコ ファー マコロジー アンド ノくィォロジカノレ サイカイアトリー (Progress in Neuro- Psychopharmacology and Biological Psychiatry)第 12卷苐 951 (1988; J 。 そ こで、 上記試験例 2において 1以下の G A B A比を示した化合物のうち、 2種の 化合物についてペンチレンテトラゾール誘発痙攣増強作用を検討した。
d d Y系雄性マゥス(体重 2 2〜 2 5 g ) 5匹に実施例 2 8の化合物( 2 0 m g / k g )を経口投与し、 1 5分後に単独では強直性痙攣を誘発しない用量のペン チレンテトラゾール(7 O m g Z k g )を皮下投与した。 その直後から 3 0分間、 後肢の強直性伸展痙攣が起こるかどうかを観察した。 その結果、 5匹中 5匹に痙 攣増強作用が認められた。 同様にして実施例 5 9の化合物( 1 0 m g / k g )を経 口投与したとき、 1 5匹中 6匹に痙攣増強作用が認められた。
以上の試験結果に示す通り、 本発明の化合物はべンゾジァゼピン受容体に対し て選択的な高い親和性を有し、 ベンゾジァゼピン受容体作用薬として有用である。 しかも、 本発明の化合物の中には G A B A比を指標とした固有活性において、 B Z Pァゴニストとしての性質を有するもの、 B Z Pインバースァゴニストとして の性質を有するものがある。 インバースァゴニス卜としての性質を有する本発明 の化合物はァゴニストとは全く異なった臨床応用、 例えば脳賦活薬、 老年性痴呆 やアルツハイマー病などの記憶障害に対する治療薬として期待される。
本発明化合物の医薬としての使用方法:
本発明の化合物をべンゾジァゼピン受容体作用薬として使用する場合は、 経口 投与、 非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよいが、 経口投与が好ましい。 投与量としては、 投与方法、 患者の症状 Z年齢、 処置形式 (予防又は治療)等によ り異なるが、 通常 0 . 0 1〜: 1 O mgZkg 日、 好ましくは 0 . 0 2〜 5 mgZkg 日 である。
本発明の化合物は通常製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。 製剤用担体としては、 製剤分野において常用され、 かつ本発明の化合物と反応し
ない物質が用いられる。 具体的には例えば、 乳糖、 ブドウ糖、 マンニット、 デキ ス トリン、 デンプン、 白糖、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、 合成ケィ酸ァ ノレミニゥム、 結晶セルロース、 カルボキシメチルセルロースナトリウム、 ヒ ドロ キシプロピルデンプン、 カルボキシメチルセルロースカルシウム、 イオン交換榭 脂、 メチルセルロース、 ゼラチン、 アラビアゴム、 ヒ ドロキシプロピルセルロー ス、 低置換度ヒ ドロキシプロピノレセノレロース、 ヒ ドロキシプロピノレメチノレセノレ口 ース、 ポリビニルピロリ ドン、 ポリビニルアルコール、 軽質無水ケィ酸、 ステア リン酸マグネシウム、 タノレク、 カルボキシビ二ルポリマー、 酸化チタン、 ソルビ タン脂肪酸エステル、 ラウリノレ硫酸ナトリウム、 グリセリン、 脂肪酸グリセリン エステル、 精製ラノ リン、 グリセ口ゼラチン、 ポリソルベート、 マクロゴール、 植物油、 ロウ、 流動パラフィン、 白色ワセリン、 非イオン界面活性剤、 プロピレ ングリコール、 水等が挙げられる。
剤形としては、 錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤、 散剤、 シロップ剤、 懸濁剤、 坐剤、 ゲル剤、 注射剤等が挙げられる。 これらの製剤は常法に従って調製される。 なお、 液体製剤にあっては、 用時、 水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁する形態であ つてもよい。 また錠剤、 顆粒剤は周知の方法でコーティ ングしてもよい。 注射 剤の場合には、 本発明の化合物(I) の生理的に許容される酸付加塩を水に溶解 させて調製される力 必要に応じて等張化剤に溶解させてもよく、 また p H調節 剤、 緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
これらの製剤は、 本発明の化合物を 0 . 0 1 %以上、 好ましくは 0 . 0 5〜7
0 %の割合で含有することができる。 これらの製剤はまた、 治療上有効な他の成 分を含有してもよい。
以下に参考例および実施例を挙げて、 本発明の化合物について具体的に説明す る。 尚、 表中の記号は次の各置換基を意味する。 M e : メチル基; E t :ェチル 基; n— P r : n—プロピル基; i— P r :ィソプロピル基; c一 P r : シクロ プロピル基; P h : フエ二ル基を表す。
参考例 1
1, 2—ジヒ ドロ一 2—ォキソ一 3—キノキサリンカルボン酸の製造:
(1) o—フエ二レンジァミン 10.8 gとエタノール 200m lの混合物にケ トマロン酸ジェチル 1 7.4 gを加え、 2時間加熱環流した。 反応液を氷冷し、 析出結晶を濾取して無色固体の 1, 2—ジヒドロ _ 2—ォキソ一3—キノキサリ ンカルボン酸ェチル 19. 3 gを得た。
(2) 上記エステル 10 gと 10 %塩酸水溶液 150m lの混合溶液を 3時間 加熱環流した。 冷却後、 析出結晶を濾取、 水洗し、 標記化合物 8. 2 gを得た。 参考例 2
1, 2—ジヒ ドロー 2—ォキソ一 3—キノキサリンカルボ二トリルの製造:
(1) o—フエ二レンジァミン 10. 8 gのエタノール 200m lの混合物にォ キサリル酢酸ジェチルナトリウム 23. 1 gの水 1 50m lの水溶液と酢酸 7 m
1を加え、 30分加熱環流した。 反応液を氷冷し、 析出結晶を濾取、 乾燥して、 無色固体の 2—エトキシカルボニルメチレン一 2ォキソ一 1, 2, 3, 4—テトラ ヒドロキノキサリン 10.3 gを得た。
(2) 上記固体 7 gと トリクロ口酢酸 0.9 gの酢酸 1 50m lの懸濁液に、 亜 硝酸ィソペンチル 3. 9 gを滴下し、 2時間室温で撹拌した。 析出結晶を濾取、 次いで酢酸ェチルで洗浄し乾燥した。 濾液を減圧下に濃縮乾固した後、 残渣に酢 酸ェチルを加え、 析出結晶を濾取、 乾燥し、 上記の結晶と合わせて、 ェチル 2 — (1, 2—ジヒ ドロ一 2—ォキソ一3—キノキサリル)ヒ ドロキシィミノァセテ ート 5.7 gを得た。
(3) 上記固体 20 g、 トリフエニルホスフィン 40. 2 gと トリエチルァミン
27 gのテトラヒドロフラン 500m lの懸濁液に、 氷冷撹拌下ァゾジカルボン 酸ジェチル 26. 7 gを滴下した。 滴下後、 室温で 1時間撹拌した。 反応液に少 量の水を加えた後、 反応液を減圧下に濃縮乾固した。 残渣にイソプロパノールを 加え、 結晶を濾取し、 3—エトキシカルボ二ルイソキサゾロ [4, 5— b] キノ キサリン 18 gを得た。
(4) 上記固体 2.43 gと 5 %水酸化ナトリゥム水溶液( 2 Om l )の混合物を 2時間室温で撹拌した。 氷冷後、 反応液を 1 N塩酸水で酸性にし、 析出結晶を濾 取した。 得られた粗結晶を水、 イソプロパノールで洗浄し、 標記化合物 1.6 g
を得た。
参考例 3
1, 2—ジヒ ドロー 2—ォキソ一3—キノキサリンアミ ドォキシムの製造: 炭酸ナトリウム 6. 96 gの水(5 Om l )溶液に氷冷下塩酸ヒドロキシルアミ ン 9. 1 3 gを加えた。 これを 1, 2—ジヒ ドロ一 2—ォキソ一 3—キノキサリン カルボ二トリノレ 1 5 gのェタノール 300m lの懸濁液に加え、 5時間加熱還流 した。 溶媒を減圧留去後、 残渣に水を加え結晶を濾取した。 水洗後、 イソプロパ ノールで洗浄し無色個体の標記化合物 10.4 gを得た。
参考例 4
N' —ァセチル一 1, 2—ジヒ ドロー 2—ォキソ一キノキサリンカルボヒ ドラ ジドの製造:
1, 2—ジヒドロ一 2—ォキソ一 3—キノキサリンカルボン酸(0.95 g)と N, N'—カルボニルジイミダゾール( 1.22 g)の N, N—ジメチルホルムアミ ド(D MF : 10m 1 )の溶液を 70°Cで 3時間加熱撹拌した。 次いで、 反応液にァセ トヒドラジド 0.55 gを加え、 70 °Cで 1時間加熱撹拌した。 溶媒を減圧留去 後、 残渣にイソプロバノールを加え、 結晶を濾取し、 標記化合物 1.06 gを得 た。
実施例 1
3—(3—メチルー 1, 2, 4—ォキサジァゾ一ル一 5—ィル)キノキサリン一 2 (1H)—オンの製造:
1, 2—ジヒドロー 2—ォキソ一3—キノキサリンカルボン酸 0.95 g (5ミ リモル)と N, N ' —カルボ二ルジィミダゾール l, 22 g (7. 5ミリモル)の DM F 5 Om 1の溶液を 60°Cで 3時間加熱撹拌した。 次いで、 この溶液にァセトァ ミ ドォキシム 0.56 g (7.5ミリモル)を加え、 同温度で 1. 5時間撹拌した。 更に、 この溶液を 130°Cで 3時間加熱撹拌した後、 減圧下に濃縮乾固した。 残 渣にイソプロパノールを加え、 結晶を濾取した。 得られた結晶をシリカゲルカラ ムクロマトグラフィ一に付し、 クロ口ホルム一メタノール( 100 : 1)で溶出 · 精製した後、 エタノールから再結晶して、 無色固体の標記化合物 0.6 g (収率 5
2 . 6 %)を得た。 融点 2 5 4〜 2 5 5 °C。
実施例 2〜 5 7
対応する原料化合物を用い、 実施例 1と同様にして、 実施例 2〜実施例 57の化 合物を得た。 これらの化合物を表 3に示す。
表 3
R 1 R 2 R 3 融点 (°c) 再結晶溶媒 化合物
2 Me 5-Me H 279-281 CH3 CN
3 Me 5- Me 6-Me 293-295 EtOH
4 Me 6-Me H 233-234 DMF-i-Pr20
0 Me 6- Me 7- Me 255-256 EtOH
6 Me 6 - CF3 H 266-267 CH3CN
7 Me 6- CI H 254-256 EtOH
8 Me 6-F H 239-240 EtOH
9 Me 6-0Me H 281-283 EtOH
10 Me 7- CI H 285-288 EtOH
11 Et H H 232-233 EtOH
表 3 (続き)
実施例
R1 R2 R3 融点 (°c) 再結晶溶媒 ィ匕合物
12 Et 5 - Me H 220-222 CH.CN
13 Et 5- e 6- Me 234-235 CH. 3CN
14 Et 6- Me H 219-222 DMF - i— Pr 0
15 Et 6- Me 7-Me 258-259 EtOH
16 Et 6-CF, H 232-234 CH CN
17 Et 6-C1 H 218-220 EtOH
18 Et 6- CI 7- CI 268-271 EtOH
19 Et 6-F H 234-236 EtOH
20 Et 6-OMe H 234-235 EtOH
21 Et 6-PhCO H 250-252 EtOH
22 Et 7-Me H 271-274 CH3CN
23 Et 7- Me 8 - Me 260-262 CH3CN
24 Et 7 - CI H 274-276 CH3CN
25 Et 7-F H 277-279 CH3CN
表 3 (続き)
実施例
R 1 R2 R3 融点(°c) 再結晶溶媒 化合物
26 Et 7-OMe H 258-260 CH3CN
27 Et 8 - Me H 257-259 CH。CN
28 n-Pr H H 252-254 EtOH
29 5 - Me H 190-192 CH3CN
30 n-Pr 5 - Me 6 - Me 214-216 CH3CN
31 n-Pr 6 - Me H 202-205 CH„CN
32 n-Pr 6-CF, H 236-237 CH CN
33 n-Pr 6- CI H 210-211 CH3CN
34 n-Pr 6-F H 174-175 CH3CN - i- Pr,,0
35 n-Pr 6-OMe H 194-197 CH3CN
36 i-Pr H H 266-267 EtOH
37 i-Pr 5- Me H 217-218 CH3CN
38 i-Pr 5 - Me 6 - Me 277-279 CH3CN
表 3 (続き)
実施例
R1 R2 R3 融点(°c) 再結晶溶媒 化合物
39 i-Pr 6— Me H 207-209 CH,CN
40 i-Pr 6-CF, H 236-237 CH.CN
41 i-Pr 6-C1 H 199-201 CH.CN
42 i-Pr 6 - F H 225-227 CH.CN
43 i-Pr 6-OMe H 232-234 CH3CN
44 c~Pr H H 253-254 EtOH
45 c-Pr 5 - Me H 236-239 CH^CN
46 c-Pr 5 - Me 6 - Me 252-254 CH 3 CN
47 c-Pr 6- Me H 236-238 DMF— i-Pr。0
48 c-Pr 6-CF, H 230-232 CH CN
49 c-Pr 6 - CI H 232-234 CH3CN
50 c-Pr 6 - F H 257-259 CH3CN
51 c-Pr 6-OMe H 233-234 CH3C
52 Ph H H > 290 CHC13- MeOH
表 3 (続き)
3—(5—メチル一 1, 2, 4一ォキサジァゾール一 3—ィル)キノキサリン一 2 (1H)—オンの製造:
(1) 1, 2—ジヒドロ一 2—ォキソ一 3—キノキサリンアミ ドォキシム 1.0
2 g (5ミリモル)と炭酸力リウム 1. 14 g (8.25ミリモル)のメチルェチルケ トン懸濁液に、 氷冷撹拌下、 塩ィ匕ァセチル 0. 59 g (7.5ミリモル)を滴下した。 滴下終了後室温で終夜撹拌した。 溶媒を減圧下に濃縮乾固した。 残渣に水を加え、 析出結晶を濾取、 水洗後、 イソプロパノールで洗浄し乾燥し無色固体 0. 98 g を得た。 更に精製することなく次の反応に使用した。
(2) 上記固体 0.98 gの DMF 50m lの溶液を 1 30 °Cで 3時間加熱撹拌 した。 反応溶液を減圧下に濃縮乾固した後、 残渣をシリカゲルカラムクロマトグ ラフィ一に付し、 クロ口ホルム一メタノール(100 : 1)で溶出 '精製した後、 エタノールから再結晶し、 無色固体の標記化合物 0.44 g (収率 38.6%)を得 た。 融点 289〜 291 °C。
実施例 59〜 64
対応する原料化合物を用い、 実施例 58と同様にして、 実施例 59〜実施例 6 4の化合物を得た。 これらの化合物を表 4に示す。
表 4
3— (1, 2, 4—ォキサジァゾール一 3—ィル)キノキサリン一 2 (1 H)—オン の製造:
三フッ化ホウ素エーテル錯体(0. 22m 1 )に氷冷下、 1, 2—ジヒ ドロー 2— ォキソ一3—キノキサリンアミ ドォキシム 1.02 gのオルトぎ酸ェチル(1 Om 1)を滴下した。 反応液を 1時間加熱還流した後、 溶媒を減圧留去した。 残渣に 水を加え、 結晶を濾取した。 得られた粗結晶を中圧力ラムクロマトグラフィ一 (ダイヤイオン C HP— 20 P)に付し、 溶媒溶出 '精製した後、 メタノールから
再結晶し、 標記化合物を得た。 融点 290〜292°C.
実施例 66
3—(5—メチル一 1, 3, 4—ォキサジァゾール一 2—ィル)キノキサリン一 2 (1H)—オンの製造:
(1) 1, 2—ジヒドロ一 2—ォキソ一3—キノキサリンカルボン酸 0. 95 g
( 5ミリモル)と N, N' —カルボエルジイミダゾール 1. 22 g (7. 5ミリモル) の DM F 50 m 1の溶液を 60 °Cで 3時間加熱撹拌した。 次レ、で、 この溶液にァ セトヒ ドラジド 0.56 g (7.5ミリモル)を加え、 同温度で 1. 5時間撹拌した。 反応溶液を減圧下に濃縮乾固した。 残渣にイソプロパノ一ルを加え、 結晶を濾取 し、 から再結晶して無色固体の N' —ァセチル _ 1, 2—ジヒ ドロ一 2—ォキソ
— 3—キノキサリンカルボヒ ドラジド 1.06 g (収率 86. 1 %)を得た。 融点〉 290°C.
(2) 上記化合物 0. 74 g (3ミリモル)、 トリフエニルホスフィン 1. 57 g (6ミリモル)およびトリェチルァミン 1.06 g (10.5ミリモル)の無水テトラ ヒ ドロフラン 50m lの溶液に氷冷撹拌下ァゾジカルボン酸ジェチル 1.04 g
( 6ミリモル)の無水テトラヒ ドロフラン 5m lの溶液を滴下した。 室温で 3時間 撹拌した後、 少量の水を加えて減圧下で濃縮乾固した。 残渣にイソプロパノール を加えて析出結晶を濾取し、 ェタノールから再結晶して無色固体の標記化合物 0. 26 g (収率 38 %)を得た。 融点 > 290°C。
実施例 6 7〜 9 7
対応する原料化合物を用い、 実施例 66と同様にして、 実施例 67〜実施例 9 7の化合物を得た。 これらの化合物を表 5に示す。
表 5
実施例
R1 R2 R3 融点 (°c) 再結晶溶媒 化合物
79 Et 6-C1 H 271-272 MeOH
80 Et 6-F H 249-250 CHqCN
81 Et 7 - Me H 278-280 CH.CN
82 Et 7-F H > 300 EtOH
83 Et 7-OMe H 293-295 EtOH
84 Et 8- Me H 270-272 CH,CN
85 n-Pr H H 209-211 EtOH
86 i-Pr H H 221-223 CH.CN
87 c-Pr H H 277-279 EtOH
88 c-Pr 5- Me H 265-267 CH.CN
89 c-Pr 5-Me 6 - Me 265-268 EtOH
90 c-Pr 6- Me H > 290 CH3CN
91 c-Pr 6 - CF3 H
92 c-Pr 6-C1 H > 290 EtOH
表 5 (続き)
本発明の化合物はべンゾジァゼピン受容体に对して選択的な高レ、親和性を有し、 ベンゾジァゼピン受容体作用薬として有用であり、 例えば脳賦活薬、 老年性痴呆 およびアルツハイマー病などの記憶障害に対する治療薬として期待される。