【発明の詳細な説明】
5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピンの3-カルボキサミド誘導体
本発明は、例えば、うっ血性心不全、水の過剰な腎再吸収を伴う疾患状態、な
らびに、血管抵抗性の増大および冠血管収縮を伴う症状のように、低下したバソ
プレシン効果が望ましい症状を治療するのに有用である新規な三環系非ペプチド
バソプレシン拮抗薬に関する。
発明の背景
バソプレシンは、脳浸透圧受容体により検出される血漿オスモル濃度の上昇、
または、低圧容量受容体および動脈圧受容体により感知される血量および血圧の
減少のいずれかに応答して、脳下垂体後葉から放出される。このホルモンは、十
分に解明されている2個の受容体サブタイプ、つまり血管V1a受容体および腎上
皮V2受容体により、その作用を及ぼす。腎上皮V2受容体により媒介されるバソ
プレシン誘発性の抗利尿は、正常な血漿オスモル濃度、血量および血圧を維持す
るのに役立っている。
バソプレシンは、末梢血管抵抗性が上昇するうっ血性心不全のいくつかの場合
に関連している。V1a受容体拮抗薬は、全身血管抵抗性を低下させ、心搏出量を
増大させ、かつ、バソプレシン誘発性の冠血管収縮を阻害しうる。かくして、全
末梢血管抵抗性および変化した局所血流のバソプレシン誘発性の増大を伴う症状
については、V1a受容体拮抗薬が治療上有用な薬剤となりうる。V1a受容体拮抗
薬は、血圧を低下させ、降圧作用を誘発し、それゆえいくつかのタイプの高血圧
症の治療に治療上有用でありうる。
V2受容体の阻害は、遊離水の過剰な腎再吸収により特徴付けられる疾患を治
療するのに有用である。抗利尿は、腎臓の集合細管細胞上の特異的な受容体に結
合するバソプレシン(抗利尿ホルモン)の視床下部からの放出により制御される。
この結合は、アデニル酸シクラーゼを刺激し、これらの細胞の内腔表面への水孔
のcAMP-媒介導入を促進する。V2拮抗薬は、うっ血性心不全、肝硬変、ネフ
ローゼ症候群、中枢神経系障害、肺疾患および低ナトリウム血症における体液
停留を治療しうる。
慢性心不全の老齢患者に共通して多く見られるうっ血性心不全では、バソプレ
シンレベルが上昇する。低ナトリウム性のうっ血性心不全に罹患し、バソプレシ
ンレベルが上昇した患者では、V2拮抗薬は、抗利尿ホルモンの作用を拮抗する
ことにより、遊離水の排出を促進するのに有益でありうる。このホルモンの生化
学的および薬理学的な作用に基いて、バソプレシンの拮抗薬は、高血圧症、心不
全、冠血管痙攣、心虚血、腎血管痙攣、肝硬変、抗利尿ホルモン不適合分泌症候
群(SIADH)、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、脳水腫、脳虚血、脳出血
-卒中、血栓症-出血および水停留の異常状態の治療および/または予防に治療上
有用であると期待される。
以下の先行技術文献には、ペプチドバソプレシン拮抗薬が記載されている:エ
ム・マニング(M.Manning)ら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー
(J.Med.Chem.),35,382(1992);エム・マニング(M.Manning)ら、ジャーナル・
オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),35,3895(1992);エイチ・
ガブラス(H.Gavras)およびビー・ラメック(B.Lammek)、米国特許第5,070,187
号(1991年);エム・マニング(M.Manning)およびダブリュ・エイチ・ソーヤー(W
.H.Sawyer)、米国特許第5,055,448号(1991年);エフ・イー・アリ(F.E.Ali)、
米国特許第4,766,108号(1988年);アール・アール・ラッフォロ(R.R.Ruffolo)
ら、ドラッグ・ニューズ・アンド・パースペクティブ(Drug News and Perspec-t ive
),4(4),217,(5月)(1991年)。ピー・ディー・ウィリアムズ(P.D.Williams)
らは、V1およびV2受容体に結合する際に弱いバソプレシン拮抗薬活性をも示す
、有効なヘキサペプチドオキシトシン拮抗薬について報告している[ジャーナル
・オブ・メディシナル・ケミストリー(J.Med.Chem.),35,3905(1992)]。ペプチ
ドバソプレシン拮抗薬には、経口活性および選択性を有しないという欠点がある
。部分的な作用薬活性を示すものも存在する。
最近、非ペプチドバソプレシン拮抗薬が開示されている:ワイ・ヤマムラ(Y.
Yamamura)ら、サイエンス(Science),252,579(1991);ワイ・ヤマムラ(Y.Yamamu
ra)ら、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー
(Br.J.Pharmacol.),105,787(1992);ジェイ・ディー・アルブライト(J.D.Al
bright)ら、米国特許第5,536,718号、米国特許第5,532,235号、米国特許第5,516
,774号、米国特許第5,512,563号、米国特許第5,459,131号;エイ・ヴェンカテサ
ン(A.Venkatessan)ら、米国特許第5,521,173号;オガワ(Ogawa)ら、(大塚製薬
株式会社)EP 0514667-A1;EPO 382185-A2;WO 9105549および米国特許第5,258,5
10号;WO 9404525山之内製薬株式会社、WO 9420473;WO 9412476;WO 9414796;
藤沢薬品株式会社、EP 620216-A1オガワ(Ogawa)ら、(大塚製薬株式会社)EP 4705
14Aは、カルボスチリル誘導体およびそれを含有する医薬組成物を開示している
。非ペプチドオキシトシンおよびバソプレシン拮抗薬は、メルク・アンド・カン
パニー(Merck and Co.);エム・ジー・ボック(M.G.Bock)およびピー・ディー・
ウィリアムズ(P.D.Williams)、EP 0533242A;エム・ジー・ボック(M.G.Bock)
ら、EP 0533244A;ジェイ・エム・エルブ(J.M.Erb)、ディー・エフ・バーバー(
D.F.Verber)、ピー・ディー・ウィリアムズ(P.D.Williams)、EP 0533240A;ケ
イ・ギルバート(K.Gilbert)ら、EP 0533243Aにより開示されている。米国特許
第5,436,333号(ヴェンカテサン(Venkatesan)ら)は、冠血管薬の製造中間体とし
て有用な三環系ヘテロ環化合物の製造方法を教示している。
本発明は、V2受容体におけるインビトロでのバソプレシン拮抗薬活性を示し
、かつ、インビボでのバソプレシン拮抗薬活性を示す、新規な三環系誘導体に関
する。また、これらの化合物は、上記3-アシルピロロベンゾジアゼピン誘導体
に比べて、水への溶解度が向上している。
発明の簡単な説明
本発明は、一般式I:
[式中、Rは、-OH、-NR1R3、-NHOR1、-NH-(CH2)-COOH、から選択される;
R1およびR2は、独立して、水素または低級アルキル;
R3は、
Xは、CH2、NR1、O、またはS;
nは、1〜4;
pは、1〜4;
qは、2〜4;
R4およびR5は、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン、シアノ、トリフ
ルオロメチル、アミノ、ヒドロキシ、または低級アルコキシから選択される;
R6は、式:
で示される部分;
Arは、
から選択される部分;
R7およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級
アルコキシ、ヒドロキシ、またはトリフルオロメチルからなる群から選択される
;
R9は、式:
で示される部分;
R10は、C3-C7シクロアルキル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ま
たは部分:
から選択される;
Ar'は、
から選択される部分;
R11およびR12は、独立して、水素、F、Cl、Br、シアノ、低級アルキル
、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、フェノキシ、または、部分:
(ここで、R14は、水素、ハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、
ヒドロキシ、またはトリフルオロメチルから選択される)におけるような置換フ
ェノキシから選択される;
Ar''は、
1.フェニル;
2.N、O、Sから選択される1または2個のヘテロ原子を有する芳香族ヘテ
ロ環系の(不飽和)5員環;
3.3または4個の窒素原子を有する芳香族ヘテロ環系の(不飽和)5員環;あ
るいは、
4.1、2または3個の窒素原子を有する芳香族ヘテロ環系の(不飽和)6員環
から選択され、また、Ar''は、所望により、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロ
キシ、低級アルコキシ、またはトリフルオロメチルで置換されていてもよい]
で示されるものから選択される新規な化合物あるいはその医薬上許容される塩、
エステルまたはプロドラッグ形態に関する。
本明細書の目的では、低級アルキルは、直鎖または有枝鎖のC1-C6(好ましく
は、C1-C4)アルキル、例えば、メチル、エチル、n-ブチル、tert-ブチルなど
が挙げられ、低級アルコキシは、直鎖または有枝鎖のC1-C6(好ましくは、C1-
C4)アルキルオキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキ
シなどが挙げられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
シクロアルキルとは、単環式のC3-C7シクロアルキル部分を意味する。
さらに、R3に関する上記定義には、下記の構造を有する部分が含まれるもの
と理解される:
本発明の置換基Ar''のうち、N、O、Sから選択される1または2個のヘテ
原子を有する芳香族へテロ環系の(不飽和)5員環としては、チエニル、フリル
、ピロリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオ
キサゾリル、およびイミダゾリル基などが挙げられるが、これらに限定されない
。基A''のうち、3または4個の窒素原子を有する芳香族ヘテロ環系の(不飽和)
5員環としては、トリアゾールおよびテトラゾール部分などが挙げられる。基A
r''のうち、1、2または3個の窒素原子を有する芳香族ヘテロ環系の(不飽和)
6員環としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,
3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、および1,3,5-トリアジン基などが挙
げられるが、これらに限定されない。
より好ましい本発明の化合物としては、下記の式I:
[式中、Rは、-OH、-NR1R3、-NH-(CH2)-COOH、
から選択される;
R1およびR2は、独立して、水素または低級アルキル;
R3は、
Xは、CH2、NR1、O、またはS;
nは、1〜4;
qは、2〜4;
R4およびR5は、独立して、水素、低級アルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロ
キシ、シアノ、トリフルオロメチル、または低級アルコキシからなる群から選択
される;
R6は、式:
で示される部分;
Arは、
から選択される部分;
R7およびR8は、独立して、水素またはハロゲンから選択される;
R9は、式:
で示される部分;
R10は、式:
で示される部分;
Ar'は、
から選択される部分;
R11およびR12は、独立して、水素、F、Br、Cl、または低級アルキル
から選択される;
Ar''は、フェニル、あるいは、N、O、Sから選択される1または2個のヘ
テロ原子を有する芳香族ヘテロ環系の(不飽和)5員環から選択される]
で示される化合物あるいはその医薬上許容される塩、エステルまたはプロドラッ
グ形態が挙げられる。
さらにより好ましい本発明の化合物は、式:
[式中、Rは、-OH、-NR1R3、または、
から選択される;
R9は、
R10は、2-Ar''-シクロペンテニル;および
R1、R2、R3、R6、R7、R9、R10、R11、R12、X、n、p、q、Ar、
Ar'、およびAr''は、上記の最も包括的な基と同意義であり、より好ましく
は上記のやや包括的な基と同意義である]
で示される化合物あるいはその医薬上許容される塩、エステルまたはプロドラッ
グ形態である。
発明の詳細な説明
本発明は、上記化合物、ならびに、これらの化合物と1種またはそれ以上の医
薬的に許容される担体、賦形剤などとを含有する医薬組成物を包含する。本発明
は、低下したバソプレシン効果が望ましい哺乳動物(好ましくは、ヒト)の症状を
治療する方法も包含する。かかる方法は、その治療を必要とする哺乳動物に、治
療上有効量の1種またはそれ以上の本発明の化合物を投与することからなる。
本発明の化合物は、医薬上または生理学的に許容される酸または塩基から誘導
される塩の形態で用いることができる。これらの塩としては、塩酸、硫酸、硝酸
、リン酸などの無機酸の塩、および、場合によっては、酢酸、シュウ酸、クエン
酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸などの有機酸の塩が挙げられるが、これらに
限定されることはない。他の塩としては、ナトリウム、カリウム、カルシウムま
たはマグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、あるいは、
有機塩基の塩が挙げられる。これらの化合物は、エステル、カルバミン酸塩(エ
ステル)などの形態および他の従来の「プロドラッグ」形態で用いることもでき
る。かかる形態で投与する場合、これらはインビボで活性部分に変換される。本
発明の化合物を上記用途に用いる場合、それらは1種またはそれ以上の医薬上許
容される賦形剤または担体(例えば、溶媒、希釈剤)と組み合わせて、錠剤、カプ
セル剤、分散性散剤、顆粒剤、または、例えば、約0.05〜5%の懸濁化剤を
含有する懸濁剤、例えば、約10〜50%の砂糖を含有するシロップ剤、および
、例えば、約20〜50%のエタノールを含有するエリキシル剤などの形態で経
口投与するか、あるいは、無菌注射液剤、または、等張性媒体中に約0.05〜
5%の懸濁化剤を含有する懸濁剤の形態で非経口投与すればよい。かかる医薬製
剤は、例えば、約25〜約90重量%までの、より一般的には約5〜60重量%
の有効成分を担体と組み合わせて含有しうる。
用いた有効成分の効果的な用量は、用いた特定の化合物、投与の様式および治
療する症状の重篤度に依存して変化しうる。しかし、一般的には、本発明の化合
物を、哺乳動物の体重1kgあたり約0.5〜約500mgの一日量で、好まし
くは一日に2〜4回の分割量で、あるいは、徐放性の形態で投与した場合に、満
足な結果が得られる。大抵の大型哺乳動物については、合計の一日量は、約1〜
100mg、好ましくは約2〜80mgである。体内用途に適した投与形態は、
約0.5〜500mgの活性化合物を、固形または液状の医薬上許容される担体
と密に混合した状態で含有する。この投与計画は、最適な治療応答を与えるよう
に調節すればよい。例えば、数個の分割量を毎日投与するか、あるいは、治療状
況の緊急度による必要性に応じて、投与量を比例的に減少させてもよい。
これらの活性化合物は、経口的だけでなく、静脈内、筋肉内または皮下経路で
投与してもよい。固形担体としては、デンプン、乳糖、リン酸二カルシウム、微
結晶性セルロース、ショ糖およびカオリンなどが挙げられ、液状担体としては、
滅菌水、ポリエチレングリコール、非イオン界面活性剤および食用油(例えば、
コーン油、落花生油およびゴマ油)などが挙げられるが、いずれも有効成分の性
質および所望の特定投与形態に適当なものである。医薬組成物の製造に習慣的に
用いられる補助剤を含有させると好都合でありうるが、例えば、香味剤、着色剤
、保存剤および酸化防止剤(例えば、ビタミンE、アスコルビン酸、BHTおよ
びBHA)などが挙げられる。
製造および投与の容易性の観点から好ましい医薬組成物は、固形組成物、特に
錠剤、および、硬質充填または液体充填のカプセル剤である。上記化合物の経口
投与が好ましい。
これらの活性化合物は、非経口的または腹腔内に投与してもよい。これらの活
性化合物が遊離塩基または医薬上許容される塩である場合の液剤または懸濁剤は
、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水中に調製
することができる。分散剤は、油中におけるグリセロール、液状ポリエチレング
リコールおよびその混合物中に調製することもできる。保存および使用の通常条
件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する。
注射用途に適当な医薬形態としては、無菌水溶液剤または分散剤、および、無
菌注射液剤または分散剤の即席調製用の無菌粉剤などが挙げられる。すべての場
合、この形態は無菌でなければならず、また、容易に注射可能である程度に流体
でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず
、また、細菌類および真菌類などの微生物の汚染作用に対して保護されねばなら
ない。担体は溶媒または分散媒とすることができ、例えば、水、エタノール、ポ
リオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレ
ン
グリコール)、その適当な混合物、および植物油などが挙げられる。
上記のように、本発明の新規な三環系非ペプチドバソプレシン拮抗薬は、例え
ば、うっ血性心不全、水の過剰な腎再吸収を伴う疾患状態、ならびに、血管抵抗
性の増大および冠血管収縮を伴う症状のように、低下したバソプレシンレベルが
望ましい症状を治療するのに有用である。
特に、本発明のバソプレシン拮抗薬は、高血圧症、心不全、冠血管痙攣、心虚
血、腎血管痙攣、肝硬変、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、うっ
血性心不全、ネフローゼ症候群、脳水腫、脳虚血、脳出血-卒中、血栓症-出血お
よび水停留の異常状態の治療および/または予防に治療上有用である。
本発明は、上記の一般式Iで示される化合物を製造する方法も提供する。さら
に詳しくは、本発明は、式Iで示される化合物を製造する方法であって、下記の
a)式:
[式中、R4、R5およびR6は上記と同意義、halはハロゲン、例えば、塩素]
で示される化合物を、式:
HNZ1Z2
[式中、-NZ1Z2は、-NR1R3、-NHOR1、-NH-(CH2)n-COOH、
(ここで、n、X、R1、R2およびR3は上記と同意義)]
で示されるアミンと反応させて、式I(ここで、Rは上記と同意義)で示される対
応の化合物を得ること;あるいは、
b)式:
[式中、R4、R5およびR6は上記と同意義、halはハロゲン、例えば、塩素]
で示される化合物を塩基水溶液で処理して、式I(ここで、RはOH)で示される
対応の化合物を得ること;あるいは、
c)式:
[式中、R、R4およびR5は上記と同意義(ただし、RはOHではない);
R14は、
(ここで、R7およびR8は上記と同意義)]
で示される化合物を、式:
で示される酸またはその反応性誘導体、例えば、酸塩化物または酸無水物でアシ
ル化して、式I(ここで、R9は上記と同意義)で示される対応の化合物を得るこ
とのうちの1つからなる製造方法を提供する。
本発明の化合物である3-アシル化ピロロベンゾジアゼピン誘導体7(スキーム
I)は、共通の3-トリハロメチルケトン誘導体(例えば、4)から、2つの方法を
用いて調製しうる。この中間体およびその前駆体の合成は、EP 636625 A2に記載
されている。3-トリハロメチルケトン誘導体4を第一または第二アミンと直接
反応させて、所望の生成物7を得る。あるいは、3-トリハロメチルケトン誘導
体4を塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の水溶液で処理して、酸性にした後、対
応のカルボン酸5を得る。カルボン酸基は、酸塩化物、酸臭化物、または酸無水
物に変換することにより、あるいは、まず活性化試薬(例えば、N,N-ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、および、「ペプチドアミ
ド結合」の形成に用いられる関連の活性化試薬)と反応させることにより、カッ
プリングに対して活性化すればよい。上記酸を活性化する方法は、分子内の他の
置換基との相性に基いて選択される。例えば、酸5を塩化オキサリル/ジメチル
ホルムアミドで処理して、酸塩化物6を得ればよい。これは、第一または第二ア
ミンで処理したとき、所望の生成物7を与える。ここで、-NZ1Z2は、
-NR1R3、-NHOR1、-N-(CH2)n-COOH、
R1およびR2は、独立して、水素または低級アルキル;
R3は、
Xは、CH2、NR1、O、またはS;
nは、1〜4;
pは、1〜4;
qは、2〜4である。
スキームI
3-トリハロメチルケトン誘導体4は、適当なトリハロアセチルハライド試薬
を用いたピロロベンゾジアゼピン3の3位のアシル化により得られる。3-無置
換化合物3は、最終的な目的化合物(ここで、R17は、式IのR6から選択される
)または中間体(ここで、R17は、
のいずれかでありうる。
R17が、である場合には、上記化合物は、スキームIIに記載した方法の後、スキームIの
適当な工程に従うことにより、調製することができる。
一般式4aおよび4bで示される化合物は、スキームIIに示すように調製すれ
ばよい。三環系誘導体1を置換または無置換4-ニトロアリールカルボニルクロ
リドまたは6-ニトロピリジン-3-カルボニルクロリドと反応させて、中間体8 a
または8bを得た。中間体8aまたは8bのニトロ基を還元して、対応のアミ
ノ誘導体9aおよび9bを得た。8aおよび8bのニトロ基の還元は、接触還元
の条件下(すなわち、水素/Pd/C、ヒドラジン-エタノール/Pd/C)または化
学的な還元条件下(すなわち、塩化第一スズ/エタノール、亜鉛/酢酸-三塩化チタ
ニウム)または当該分野で公知の関連した還元条件下で実施すればよい。ニトロ
基のアミノ基への変換の条件は、分子内の他の官能基の保護との相性に基いて選
択される。
ピリジンおよびアリールカルボン酸試薬、
は、酸塩化物、酸臭化物、または酸無水物に変換することにより、あるいは、ま
ず活性化試薬(例えば、N,N-ジシクロカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエ
チル、および、「ペプチドアミド結合」の形成に用いられる関連の活性化試薬)
と反応させることにより、カップリングに対して活性化される。三環系誘導体9 a
および9bにカップリングさせるために上記酸を活性化する方法は、分子内の
他の置換基との相性に基いて選択される。選択される方法は、カルボン酸を対応
の酸塩化物に変換することである。酸塩化物、
は、当該分野で公知の標準的な方法(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリルな
どとの反応)で調製すればよい。カップリング反応は、ピリジンまたは第三アミ
ン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロ
ホルム、ジクロロメタン)、エーテル溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン)、または炭化水素溶媒(例えば、トルエン)中で実施される。あるいは、上
記カルボン酸から調製した酸塩化物を、必要に応じて4-(ジメチルアミノ)ピリ
ジンを用いて、ピリジン中で誘導体9aおよび9bと反応させて、化合物10a
および10bを得ればよい。
式9aおよび9bで示される化合物を、第三アミン塩基(例えば、トリエチル
アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン)の存在下、ハロゲン化溶媒(例
えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エーテル溶媒(例えば、ジオキサン、テ
トラヒドロフラン)、または炭化水素溶媒(例えば、トルエン)中で、アロイル、
アリールアセチル、またはシクロアルケニルカルボニルクロリドあるいは対応の
活性化カルボン酸と反応させて、誘導体10aおよび10bを得る。誘導体10 a
および10bを、不活性溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)または
エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中、0℃〜溶媒の還流温度で、トリ
ハロメチルアシルクロリドと反応させて、トリハロメチルケトン誘導体4aおよ
び4bを得る。
スキームII 別の一連の工程を利用して、スキームIIbに示すように、表題化合物を調製す
ることができる。中間体12aおよび12b(ここで、-NZ1Z2は、-NR1R3
、
-NHOR1、または-N-(CH2)n-COOH、R7およびR8は、独立して、水素
、ハロゲン、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、またはトリ
フルオロメチルから選択される)のニトロ基を還元して、対応のアミノ誘導体1 3a
および13bを得た。12aおよび12bのニトロ基の還元は、接触還元の
条件下(すなわち、水素/Pd/C、ヒドラジン-エタノール/Pd/C)または化学
的な還元条件下(すなわち、塩化第一スズ/エタノール、亜鉛/酢酸-三塩化チタニ
ウム)または当該分野で公知の関連した還元条件下で実施すればよい。ニトロ基
のアミノ基への変換の条件は、分子内の他の官能基の保護との相性に基いて選択
される。アミノ誘導体13aおよび13bを、適当に置換または活性化されたピ
リジンおよびアリールカルボン酸でアシル化して、目的化合物14aおよび14 b
を得た。
ピリジンおよびアリールカルボン酸試薬、
は、酸塩化物、酸臭化物、または酸無水物に変換することにより、あるいは、ま
ず活性化試薬(例えば、N,N-ジシクロカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエ
チル、および、「ペプチドアミド結合」の形成に用いられる関連の活性化試薬)
と反応させることにより、カップリングに対して活性化される。三環系誘導体1 3a
および13bにカップリングさせるために上記酸を活性化する方法は、分子
内の他の置換基との相性に基いて選択される。選択される方法は、カルボン酸を
対応の酸塩化物に変換することである。酸塩化物、
は、当該分野で公知の標準的な方法(例えば、塩化チオニル、塩化オキサリルな
どとの反応)で調製すればよい。カップリング反応は、ピリジンまたは第三アミ
ン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、ハロゲン化炭化水素、トルエン、
キシレン、テトラヒドロフラン、またはジオキサンなどの溶媒中で実施される。
あるいは、上記カルボン酸から調製した酸塩化物を、必要に応じて4-(ジメチル
アミノ)ピリジンを用いて、ピリジン中で誘導体13aおよび13bと反応させ
て、化合物14aおよび14bを得ればよい。
スキームIIb
あるいは、中間体1(スキームIII)をより反応性の高いフッ化物誘導体15に
変換してもよい。15を置換アミンNHR1(R1=低級アルキル)と反応させて、
対応のアミノニコチニル誘導体16を得る。これらの誘導体16をアシル化して
、目的分子17を得る。この化合物をトリハロメチルアセチルクロリドで処理し
て、スキームIIの式4bで示される対応の生成物を得ることができる。
スキームIII 式I(ここで、R6は下記に示すとおり:
で示される本発明の化合物の別の合成法として、一般式18で示されるピリジル
またはアリールカルボン酸を三環系誘導体1とカップリングさせて、目的化合物20
を得る。これは、トリハロメチルアヤチルクロリドと反応させたとき、スキ
ームIの中間体4を与える。
上記ピリジンおよびアリールカルボン酸は、酸塩化物、酸臭化物、または酸無
水物に変換することにより、あるいは、まず活性化試薬(例えば、N,N-ジシク
ロカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、および、「ペプチドアミド結合
」の形成に用いられる関連の活性化試薬)と反応させることにより、カップリン
グに対して活性化される。三環系誘導体1(スキームIV)にカップリングさせるた
めに酸18を活性化する方法は、分子内の他の置換基との相性に基いて選択され
る。選択される方法は、カルボン酸18を対応の酸塩化物19に変換すること
である。酸塩化物19は、当該分野で公知の標準的な方法(例えば、塩化チオニ
ル、塩化オキサリルなどとの反応)で調製すればよい。カップリング反応は、ピ
リジンまたは第三アミン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、ハロゲン化
溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン)、エーテル溶媒(例えば、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン)、または炭化水素溶媒(例えば、トルエン)中で実施
される(スキームIV)。あるいは、上記カルボン酸から調製した酸塩化物19を、
必要に応じて4-(ジメチルアミノ)ピリジンを用いて、ピリジン中で誘導体1と
反応させればよい。
一般に、酸18を「ペプチド型」活性化試薬で活性化する場合は、酸塩化物を
用いる場合より、高温が必要である。
スキームIV
スキームVに示す方法で調製すればよい。
スキームV アリール(またはヘテロアリール)ボラン、ホウ酸塩(エステル)、マグネシウム
、トリアルキルスズ、または亜鉛試薬を、配位リガンド(例えば、トリフェニル
ホスフィン)および有機塩基または無機塩基の存在下または非存在下で0価のパ
ラジウムまたはニッケル触媒を用いて、アリール21またはピリジル24化合物
(ここで、Qは、臭素、ヨウ素、フルオロスルホネートまたはトリフルオロメチ
ルスルホネートから選択され、R11は、水素、フッ素、塩素または臭素)にカッ
プリングさせる。次いで、得られたメチルビスアリール(ヘテロアリールアリー
ル)22またはアリールピリジル(ヘテロアリールピリジル)25化合物を、試薬(
例えば、KMnO4)を用いて酸化して、対応のカルボン酸23および26を得る
ことができる。23および26の誘導体(ここで、R11は低級アルキル)は、23
および26のメチルエステル(ここで、R11は臭素)を、0価のパラジウム触媒の
存在下、対応の低級アルキルボランで処理することにより、調製することができ
る。
シクロアルキル部分である化合物29の場合、この物は、適当なケトエステル27
から出発して調製することができる。ケトエステル27を、例えば、トリハ
ロゲン化リン(臭化物、ヨウ化物)または無水トリフルオロメタンスルホン酸と反
応させて、対応のβ-ハロまたはβ-トリフルオロメチルスルホネート化合物28
を得る。化合物28を、0価のパラジウムまたはニッケル触媒および有機塩基ま
たは無機塩基の存在下、アリール(ヘテロアリール)ボラン、ホウ酸塩(エステル)
、マグネシウム、トリアルキルスズまたは亜鉛試薬と反応させて、目的化合物2 9
をエステルとして得ることができる。29のエステル部分を、アルコール水溶
液またはエーテル溶媒中、アルカリ金属の水酸化物で加水分解して、カルボン酸29
を得る。
あるいは、一般式Iで示される化合物は、スキームVI(ここで、JはB(OH)2
、Sn(低級アルキル)3から選択され、R16はBr、I、OSO2CF3から選択
され、Ar''は上記のように選択される)に示すように調製することができる。
スキームVI
中間体30を、配位リガンドおよび塩基の存在下または非存在下で0価のパラ
ジウムを用いて、スティル(Stille)またはスズキ(Suzuki)の条件下で、それぞれ
、アリールスズまたはホウ素試薬にカップリングさせて、一般式31の化合物を
得ることができる。
本発明は、下記の非限定的な実施例により、さらに理解される。実施例1 10-[2-クロロ-4-(5-フルオロ-2-メチル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸
工程a)N-{1-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ
[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル]-フェニル}-5-フルオロ
-2-メチル-ベンズアミド
ジクロロメタン(300mL)中におけるN-[3-クロロ-4-(5H,11H-ピロ
ロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-5-フルオ
ロ-2-メチル-ベンズアミド(4.73g、10ミリモル)の懸濁液を、トリクロロ
アセチルクロリド(1.81g、10ミリモル)と共に、窒素下、室温で6時間攪
拌した。さらに同量のトリクロロアセチルクロリド(1.81g、10ミリモル)
を加え、この反応物を室温で一晩攪拌した。ジクロロメタン(500mL)で希釈
した後、この反応混合物をシリカゲルプラグで2回濾過し、濾液を真空中でエバ
ポレートして残渣とした。この残渣をジクロロメタン(300mL)に再溶解し、
0.5N水酸化ナトリウムおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。シリカゲ
ルプラグで2回濾過し、濾液を真空中でエバポレートして、上記3-トリクロロ
メチルケトン6.2g(10ミリモル)を黄褐色の無定形粉末として得た。これは
、さらに精製することなく、実施例1の工程bで用いた。
工程b)10-[2-クロロ-4-(5-フルオロ-2-メチル-ベンゾイルアミノ)-ベ
ンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピ
ン-3-カルボン酸
N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1-
c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル]-フェニル}-5-フルオロ-2-メ
チル-ベンズアミド(1.22g、2ミリモル)を、2.5N水酸化ナトリウム(1.
6mL、4ミリモル)と共に、アセトン(5mL)中、窒素下、室温で45分間攪
拌した。この反応混合物を2N HCl(2mL、4ミリモル)でpH7.0に中和
した。水(10mL)を加えた後、沈殿物を濾過し、冷水、エタノール、およびジ
エチルエーテルで順次洗浄して、風乾した後に、粗生成物を無色の粉末(750
mg、72%)として得た。メタノール-水(3:1、10mL)から粗生成物を再
結晶して、真空中、25℃で3時間乾燥した後に、表題化合物600mg(1.2
ミリモル)を均質な無色の結晶性固体として得た。融点218℃(分解)。MS(+
FAB),m/z:520/518(M+H)。
元素分析の結果(C28H21ClFN3O4・0.62H2Oとして)
計算値:C,63.55;H,4.24;N,7.94
実測値:C,63.53;H,4.21;N,7.82
実施例2 10-[2-クロロ-4-(5-フルオロ-2-メチル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸のカリウム塩(1:1)
メタノール(10mL)中における実施例1の工程bの生成物10-[2-クロロ-
4-(5-フルオロ-2-メチル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-10,11-ジヒド
ロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(517mg
、1ミリモル)の懸濁液を1N水酸化カリウム(1mL、1ミリモル)で処理し、
濾過した。溶媒を真空中でエバポレートした後、残渣をアセトン(50mL)に再
溶解し、2回再濾過し、少量(20mL)になるまで濃縮した。ジエチルエーテル
を加え、冷却した後、固形物を濾過し、真空中、70℃で3時間乾燥させた後に
、上記酸のカリウム塩270mg(0.49ミリモル)をわずかに着色した無定形
粉末として得た。融点195〜205℃。
MS(+FAB),m/z:520/518(M+H)。
元素分析の結果(C28H20ClFKN3O4・3.2H2Oとして)
計算値:C,60.48;H,3.63;N,7.56
実測値:C,59.22;H,4.03;N,7.30
実施例3 N-{3-クロロ-4-[3-(N',N'-ジメチル-ヒドラジノカルボニル)- 5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル]- フェニル}-5-フルオロ-2-メチル-ベンズアミド
N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1-
c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル]-フェニル}-5-フルオロ-2-メ
チル-ベンズアミド(1.86g、3ミリモル)を、過剰のN,N-ジメチルヒドラジ
ン(5mL)と共に、窒素下、60℃で3時間攪拌した。過剰のN,N-ジメチルヒ
ドラジンを高真空下で除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、短いシリカゲルプ
ラグで濾過し、濾液を真空中でエバポレートして、粗生成物1.63g(2.9ミ
リモル、97%)を得た。酢酸エチルで溶離するシリカゲル(150g)上でのフ
ラシュカラムクロマトグラフィーで精製して、真空中、25℃で一晩乾燥した後
に、表題化合物1.15g(2.1ミリモル)を、酢酸エチル0.33モルを保持す
る明るい黄色の無定形粉末として得た。融点133〜135℃。
MS(−ESI),m/z:560/558(M−H)-。
元素分析の結果(C30H27ClFN5O3・0.33C4H8O2として)
計算値:C,63.85;H,5.07;N,11.88
実測値:C,63.17;H,5.10;N,11.77
実施例4 2-[[10-[2-クロロ-4-[(5-フルオロ-2-メチルベンゾイル)アミノ]- ベンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]- ベンゾジアゼピン-3-イル]カルボニル]-1,1,1- トリメチルヒドラジニウムヨージド
実施例3の生成物N-{3-クロロ-4-[3-(N',N'-ジメチルヒドラジノカルボ
ニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニ
ニル]-フェニル}-5-フルオロ-2-メチル-ベンズアミド(700mg、1.25ミ
リモル)を、ジクロロメタン(100mL)中における過剰のヨードメタン(5g、
35ミリモル)で処理し、窒素下、室温で60時間攪拌した。沈殿を濾過し、冷
ジクロロメタンおよびジエチルエーテルで順次洗浄して、真空中、25℃で一晩
乾燥させた後に、表題化合物700mg(1.0ミリモル)を無色の無定形粉末と
して得た。融点(188)193℃。
MS(-ESI),m/z:828(MI+I)-。
MS(+FAB),m/z:574(M+H)+。
元素分析の結果(C31H30ClFN5O3・H2O・0.6CH2Cl2として)
計算値:C,49.23;H,4.34;N,9.08;I,16.47
実測値:C,48.83;H,4.00;N,9.11;I,17.02
実施例5 2-[[10-[2-クロロ-4-[(5-フルオロ-2-メチルベンゾイル)アミノ]- ベンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]- ベンゾジアゼピン-3-イル]ヒドロキシメチレン]-1,1,1- トリメチルヒドラジニウム内部塩
実施例4の生成物2-[[10-[2-クロロ-4-[(5-フルオロ-2-メチルベンゾ
イル)-アミノ]ベンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]
ベンゾジアゼピン-3-イル]カルボニル]-1,1,1-トリメチルヒドラジニウムヨ
ージド(400mg、0.57ミリモル)を、メタノール-水(10mL:10滴)の
混合物中における0.1N水酸化ナトリウム(5.7mL、0.57ミリモル)で処
理した。真空中で濃縮した後、さらに水を加えた。沈殿を濾過し、水、冷メタノ
ール、およびジエチルエーテルで順次洗浄して、真空中、25℃で5時間乾燥し
た後に、表題化合物160mg(0.28ミリモル)を無色の無定形粉末として得
た。融点255℃。MS(+ESI),m/z:576/574(M+H)+。
元素分析の結果(C31H29ClFN5O3として)
計算値:C,64.86;H,5.09;N,12.20
実測値:C,63.44;H,5.09;N,12.15実施例6 N-[5-[3-トリクロロメチルカルボニル]-[5H-ピロロ-[2,1-c][1,4]- ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル]カルボニル]-2-クロロフェニル]- 2-フェニルベンズアミド
窒素下で、ジクロロメタン(55mL)中における2-フェニル-N-[4-(5H-
ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル-カルボニル]-2
-クロロフェニル]-ベンズアミド(5.00g、9.7ミリモル)の攪拌溶液に、N,
N-ジイソプロピルエチルアミン(3.39mL、19.4ミリモル)を加えた後、
トリクロロアセチルクロリド(3.25mL、29.1ミリモル)を5分間にわたっ
て滴下した。この反応混合物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を水で3回
洗浄した。合わせた水抽出物をジクロロメタンで逆洗浄し、有機抽出物を乾燥さ
せ、溶媒を除去して、粗生成物(8.05g)を得た。酢酸エチル-ヘキサンから結
晶化させて、純粋な生成物(5.12g)を得た。再結晶から得た分析試料は、融
点が168〜170℃であった。MS(+ESI),m/z:663M+。
元素分析の結果(C34H27N3O5として)
計算値:C,61.56;H,3.49;N,6.33
実測値:C,61.28;H,3.22;N,6.32
実施例7 10-{4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル}- 10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]- ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸
アセトン(22mL)中におけるN-[5-[3-トリクロロメチルカルボニル]-[5
H-ピロロ-[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル]カルボニル
-2-クロロフェニル]-2-フェニルベンズアミド(2.24g)3.4ミリモル)の溶
液に、水酸化ナトリウム水溶液(2.48mL、2.5N、6.2ミリモル)を加え
、この反応物を室温で1.25時間攪拌した。この反応物をHCl(3.47mL
、2N)で酸性にし、溶媒を真空中で除去した。残渣を酢酸エチルと水の間で分
配し、乾燥させ、溶媒を除去して、粗生成物(2.41g)を得た。エーテル-
ヘキサンと共に摩砕して、固形物(1.9g)を得た。試料をクロロホルム-メタノ
ール-エーテルから結晶化させた。融点216〜218℃。MS(+FAB),m/
z:562/564(M+H)+。
元素分析の結果(C34H27N3O5として)
計算値:C,70.52;H,4.30;N,7.48
実測値:C,69.25;H,4.39;N,7.14実施例8 10-(4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル)- 10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン- 3-カルボン酸-1,1-ジメチルヒドラジド
ジクロロメタン(2mL)中におけるN-[5-[3-トリクロロメチルカルボニル]
-[5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル]カルボ
ニル-2-クロロフェニル]-2-フェニルベンズアミド(0.941g、1.5ミリモ
ル)の懸濁液に、1,1-ジメチルヒドラジン(1.1mL、15ミリモル)を加え、
この反応物を24時間攪拌した。この固形物は、溶液になったが、後で懸濁液に
戻った。溶媒をエバポレートし、過剰のヒドラジンを真空中で除去した。残渣を
メタノール-酢酸エチル(1:20)中におけるシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーを用いて精製して、生成物を同じ溶媒で溶離して、化合物0.8gを得た。
メタノール-エーテルから2回結晶化させて、純粋な生成物0.454gを得た。
融点173〜176℃。MS(+FAB),m/z:604(M+H)+。
元素分析の結果(C34H27N3O5として)
計算値:C,69.59;H,5.01;N,11.59
実測値:C,69.40;H,5.01;N,11.60
実施例9 10-(4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル)- 10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン- 3-カルボン酸-ピペラジン-N-メチルアミド
方法A ジクロロメタン(27mL)およびジメチルホルムアミド(0.66mL
、
8.54ミリモル)中における上記カルボン酸(実施例7)(4g、7.12ミリモル
)の懸濁液を、窒素下で約0〜5℃に冷却した。ジクロロメタン(3mL)中にお
ける塩化オキサリル(0.75mL、8.54ミリモル)を徐々に加えた。この混合
物を室温で1.5時間攪拌した。ジイソプロピルエチルアミン(7.45mL、4
2.72ミリモル)を含有するジクロロメタン(30mL)中におけるN-メチルピ
ペラジン(3.2mL、28.5ミリモル)の溶液に、新しく調製した上記酸塩化物
の溶液を、窒素下で約15分間にわたって滴下した。この反応物を室温で1.5
時間撹拌した。この混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、この混合物を
水、5%重炭酸ナトリウム、および25%食塩水で洗浄した。水性抽出液をジク
ロロメタンで逆洗浄し、合わせた有機溶液を乾燥させ、溶媒を真空下で除去して
、粗生成物(5.8g)を得た。残渣をメタノール-酢酸エチル(1:20)によるシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(140g)で精製した。生成物をメタノール
-酢酸エチル(1:10)で溶離して、純粋な化合物をオフホワイト色の発泡物と
して得た。試料(0.97g、1.51ミリモル)をメタノール-エーテル(1:1、
6mL)の混合物に溶解し、メタノール性塩化水素(1N、2mL、1.96mM)
を加えた。45分間攪拌した後、すべての溶媒を真空下で除去した。残渣を数m
Lのメタノールを含有するエーテルと共に一晩摩砕した。得られた無定形の固形
物を濾過して、粗製の塩酸塩(0.876g)を得た。エタノール-エーテルから再
沈殿させて、上記塩(0.516g)を得た。MS(EI),m/z:604(M+H)+
。
元素分析の結果(C38H34ClN5O3・HCl・1.5H2Oとして)
計算値:C,64.44;H,5.22;N,9.89
実測値:C,64.15:H,5.39;N,9.61
方法B ジクロロメタン(150mL)中における実施例7の生成物(2.0g、
3.56ミリモル)の懸濁液に、N-メチルピペリジン(0.414mL、3.74ミ
リモル)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0
.716g、3.74ミリモル)、および4-ジメチルアミノピリジン(触媒)を順次
加えた。この反応物を室温で36時間撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、水、N
aOH(1N)、食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。フラッシュクロマト
グラフィー(シリカゲル;溶離剤は、クロロホルム-メタノール(50:1、次い
で20:1))で精製して、白色の発泡物(1.55g)を得た。
実施例10 10-{4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル}- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸(2-ジメチルアミノ-エチル)-メチル-アミド
実施例10の化合物は、N-メチルピペラジンをN,N,N’-トリメチルエチレ
ン-ジアミンで置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製
した。表題化合物をオフホワイト色の無定形固形物として得た。融点100〜1
20℃。MS(+FAB),m/z:646(M+H)+。
実施例11 ビフェニル-2-カルボン酸{3-クロロ-4-[3-(4-ピペリジニル-ピペリジン- 1-カルボニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 10-カルボニル]-フェニル}-アミド
実施例11の化合物は、N-メチルピペラジンを4-ピペリジニル-ピペリジン
で置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製した。表題化
合物をオフホワイト色の無定形固形物として得た。融点209〜219℃。MS
(+FAB),m/z:712/714(M+H)+。
実施例12 ビフェニル-2-カルボン酸{3-クロロ-4-[3-(4-ジメチルアミノ-ピペリジン- 1-カルボニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 10-カルボニル]-フェニル}-アミド
実施例12の化合物は、N-メチルピペラジンを4-ジメチルアミノ-ピペリジ
ンで置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製した。表題
化合物を褐色の無定形固形物として得た。融点138〜152℃。MS(+FA
B),m/z:672(M+H)+。
元素分析の結果(C40H38ClN5O3・HCl・H2Oとして)
計算値:C,66.04;H,5.64;N,9.63
実測値:C,65.22;H,5.49;N,9.32
実施例13 ビフェニル-2-カルボン酸{3-クロロ-4-[3-(4-メチルーピペラジン-1- アミノカルボニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 10-カルボニル]-フェニル}-アミド
実施例13の化合物は、ジメチルヒドラジンを4-N-メチル-N-アミノピペラ
ジンで置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製した。表
題化合物を淡黄色の固形物として得た。融点172〜182℃。MS(+FAB)
,m/z:660(M+H)+。
実施例14 10-{4-[(ビフェニル-2-カルボン酸)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル}- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミド
実施例14の化合物は、N-メチルピペラジンをN,N-ジメチル-エチレン-ジ
アミンで置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製した。
表題化合物を白色の固形物として得た。融点85〜94℃。MS(+FAB),m
/z:632(M+H)+。
元素分析の結果(C37H34ClN5O3・2H2Oとして)
計算値:C,66.45;H,5.69;N,10.47
実測値:C,64.57;H,5.50;N,9.28
実施例15 ビフェニル-2-カルボン酸{3-クロロ-4-[3-(4-モルホリノ-ピペリジン-1- カルボニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 10-カルボニル]-フェニル}-アミド
実施例15の化合物は、N-メチルピペラジンを4-モルホリノ-ピペリジンで
置き換えたこと以外は、実施例9の方法Aに記載したように調製した。表題化合
物を無定形の固形物として得た。MS(+FAB),m/z:714(M+H)+。実施例16 10-(4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-ベンゾイル)- 10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン- 3-カルボン酸ピペラジン-N-メチルアミド
工程a)2-メトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステル
4-ニトロ-2-メトキシ安息香酸(50g、250ミリモル)およびメタノール
の溶液に、塩化チオニル(13.9mL、190ミリモル)をシリンジで加えた。
これを室温で撹拌した。この反応物を室温で16時間撹拌した。揮発物を真空中
で除去した。残渣をジクロロメタンに溶解し、1N水酸化ナトリウムで洗浄し、
有機層を分離し、MgSO4で乾燥させた。真空中でエバポレートして、明るい
黄色の固形物(50g)を得た。融点80〜81℃。これは、次の工程で、そのま
ま用いた。
元素分析の結果(C9H9NO5として)
計算値:C,51.19;H,4.30;N,6.63
実測値:C,50.97;H,4.11;N,6.51
工程b)4-アミノ-2-メトキシ-安息香酸メチルエステル
2-メトキシ-4-ニトロ安息香酸メチルエステル(12g、57ミリモル)、パ
ラジウム(活性炭上に10%)、およびエタノール(150mL)の混合物を、50
psiの水素下、室温で2時間振盪した。この反応物を珪藻土で濾過し、この珪
藻土をクロロホルムで洗浄した。クロロホルム洗浄液をエバポレートして、黄色
の固形物を得た。結晶化で精製して、明るい黄色の結晶性固形物(8.76g)を
得た。融点148〜149℃。
元素分析の結果(C9H11NO3として)
計算値:C,59.66;H,6.12;N,7.73
実測値:C,59.42;H,6.02;N,7.69
工程c)4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-安息香酸メチ
ルエステル
ジクロロメタン中における2-ビフェニル安息香酸(9.2g、46ミリモル)の
還流溶液に、ジメチルホルムアミド(0.1mL、1.4ミリモル)を加えた後、純
粋な塩化オキサリル(8.1mL、92ミリモル)をシリンジで加えた。この反応
物を10分間還流した後、揮発物を真空中で除去した。残渣をジクロロメタンに
再溶解し、高真空下で15分間濃縮乾燥させた。上記酸塩化物をジクロロメタン
(50mL)に溶解し、4-アミノ-2-メトキシ-安息香酸メチルエステル(8.4g
、46ミリモル)、ジイソプロピルエチルアミン(10.5mL、60ミリモル)、
およびジクロロメタン(200mL)の0℃溶液に加えた。この反応物を室温に加
温し、16時間撹拌した。この反応物をジクロロメタンで希釈し、水、1N水酸
化ナトリウム、1N塩酸、および食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。エ
バポレートして、黄色の発泡物を得た。これをメタノールから結晶化させて、明
るい黄色の固形物(16.08g)を得た。融点141〜142℃。
元素分析の結果(C22H19NO4として)
計算値:C,73.12;H,5.30;N,3.88
実測値:C,72.93;H,5.20;N,3.83
工程d)4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-安息香酸
メタノール(200mL)中における4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]
-2-メトキシ-安息香酸メチルエステル(11.6g、32ミリモル)の還流溶液に
、1N水酸化ナトリウム(38mL、38ミリモル)を加えた。この反応物を2時
間還流した。揮発物を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル/HCl水溶液に入れ
た。水層を酢酸エチルで再抽出し、有機抽出物を合わせ、MgSO4で乾燥させ
た。エバポレートして、淡橙色の発泡物を得た。これをメタノールから結晶化さ
せて、白色の固形物(9.33g)を得た。融点158〜159℃。
元素分析の結果(C21H17NO4として)
計算値:C,72.61;H,4.93;N,4.03
実測値:C,72.20;H,4.61;N,3.96
工程e)[3-メトキシ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジア
ゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-ビフェニル-2-カルボン酸アミド
4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-安息香酸(3.29g
、
9.5ミリモル)およびジクロロメタン(50mL)の還流溶液に、ジメチルホルム
アミド(0.02mL、0.28ミリモル)を加えた後、純粋な塩化オキサリル(0.
87mL、10ミリモル)をシリンジで加えた。この反応物を10分間還流した
後、揮発物を真空中で除去した。残渣を新しいジクロロメタンと共にエバポレー
トした後、高真空下で15分間乾燥させた。上記酸塩化物をジクロロメタン(5
0mL)に溶解し、10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾ
ジアゼピン(1.57g、8.55ミリモル)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン
(1.93mL、12.35ミリモル)、およびジクロロメタン(200mL)の0℃
溶液に加えた。この反応物を室温に加温し、2時間撹拌した。この反応混合物を
ジクロロメタンで希釈し、水、1N水酸化ナトリウム、1N塩酸、および食塩水
で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。エバポレートして、黄色の発泡物を得た。
これをメタノールから結晶化させて、白色の固形物(2.05g)を得た。融点2
24〜226℃。
元素分析の結果(C33H27N3O3として)
計算値:C,76.87;H,5.35;N,8.07
実測値:C,76.82;H,5.23;N,8.04
工程f)N-[5-[3-トリクロロメチルカルボニル]-[5H-ピロロ[2,1-c][
1,4]ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル]カルボニル]-2-メトキシフェニル
]-2-フェニルベンズアミド
0℃のジクロロメタン(50mL)中における実施例357の工程eの生成物(
2.5g、4.87ミリモル)の溶液に、トリクロロアセチルクロリド(1.09m
L、9.74ミリモル)をシリンジで加え、この反応物を室温で4時間攪拌した。
この反応物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄し
、有機抽出物をMgSO4で乾燥させた。エバポレートし、残渣をシリカゲルパ
ッドで濾過した後、酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で洗浄して、所望の生成物を
白色の発泡物(1.5g)として得た。融点139〜143℃。
元素分析の結果(C35H26Cl3N3O4+0.25H2Oとして)
計算値:C,63.36;H,4.03;N,6.33
実測値:C,63.05;H,4.03;N,6.21
工程g)10-{4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシベンゾ
イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピ
ン-3-カルボン酸
テトラヒドロフラン(10mL)中におけるN-[5-[3-トリクロロメチルカル
ボニル]-[5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10(11H)-イル]
カルボニル]-2-メトキシフェニル]-2-フェニルベンズアミド(0.8g、1.2
ミリモル)の室温溶液に、1N水酸化ナトリウム(2.0mL、1.92ミリモル)
を加え、この反応物を1.5時間攪拌した。1N塩酸を加え、この反応物を氷で
希釈した。揮発物を真空中で除去し、白色の固形物を濾過し、乾燥させて、表題
化合物(0.8g)を得た。融点149〜151℃。
元素分析の結果(C34H27N3O5として)
計算値:C,70.21;H,5.14;N,7.22
実測値:C,70.20;H,4.89;N,7.31
工程h)10-(4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-ベンゾ
イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピ
ン-3-カルボン酸-ピペラジン-N-メチル-アミン
ジクロロメタン中における10-{4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-
2-メトキシベンゾイル)-10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a
][1,4]ジアゼピン-3-カルボン酸(0.434g、0.778ミリモル)、1-(3
-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.157g、0.
817ミリモル)、4-ジメチルアミノピリジン(触媒)、およびN-メチルピペラ
ジン(0.091mL、0.817ミリモル)の溶液を室温で3.5時間攪拌した。
この反応物をジクロロメタンで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機抽出物
をMgSO4で乾燥させ、濃縮して、白色の発泡物を得た。フラッシュクロマト
グラフィー(シリカゲル;溶離剤は、クロロホルム-メタノール(50:1、次い
で20:1))で精製し、エタノールから結晶化させて、白色の固形物(0.23g
)を得た。融点139〜140℃。
元素分析の結果(C39H37N5O4+1.0H2Oとして)
計算値:C,71.21;H,5.98;N,10.65
実測値:C,71.25;H,5.99;N,10.64
実施例17 10-(4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-メトキシ-ベンゾイル)- 10,11-ジヒドロ-5H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン- 3-カルボン酸-1,1-ジメチルヒドラジド
0℃のジクロロメタン(20mL)中における実施例16の工程hの生成物(1.
0g、1.947ミリモル)の溶液に、トリクロロアセチルクロリド(0.434m
L、3.89ミリモル)をシリンジで加え、この反応物を室温で4時間撹拌した。
この反応物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄し
、有機抽出物をMgSO4で乾燥させた。エバポレートし、残渣をシリカゲルパ
ッドで濾過した後、酢酸エチル-ヘキサン(1:1)で洗浄して、濃縮したとき、
上記トリクロロケトンを白色の発泡物として得た。この発泡物を室温の純粋なN
,N-ジメチルヒドラジンに溶解した後、25分間加熱還流した。揮発物を真空中
で除去し、残渣をシリカゲルに吸着させ、フラッシュクロマトグラフィー(溶離
液は、酢酸エチル-ヘキサン(1:1)、次いで酢酸エチルーメタノール(4:1))
で精製した。エタノールから結晶化させて、黄褐色の固形物(0.23g)を得た
。融点164〜165℃。
元素分析の結果(C36H33N5O4+1.0H2Oとして)
訃算値:C,70.0;H,5.71;N,11.34
実測値:C,70.01;H,5.62;N,11.29
実施例18 10-{4-[(ビフェニル-2-カルボニル)-アミノ]-2-クロロ-ベンゾイル}- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸(グリシル)-アミド
実施例18の化合物は、反応物としてジメチルヒドラジンをt-ブチルグリシ
ンで置き換えたこと以外は、実施例8に記載したように調製した。かくして得ら
れた表題化合物のt-ブチルエステル(0.725g)を、室温にて、ギ酸(2.3m
L)で48時間処理することにより加水分解して、表題化合物を白色の無定形固
形物として得た。融点176〜186℃。MS(ESI),m/z:617(M-H)+
。
元素分析の結果(C36H30N4O6として)
計算値:C,67.9;H,4.40;N,9.05
実測値:C,66.51;H,4.23;N,8.44
実施例19 10-[2-クロロ-4-(2-チオフェン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸-1,1-ジメチルヒドラジド
N-[3-クロロ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-
10-カルボニル)-フェニル]-2-チオフェン-2-イル-ベンズアミド
工程a)2-ブロモベンゾイルクロリド
窒素下、無水テトラヒドロフラン(20mL)中におけるブロモ安息香酸(1.8
8g、9.35ミリモル)の溶液に、1滴のジメチルホルムアミドを加えた後、塩
化オキサリル(1mL、11.4ミリモル)を加えた。この混合物を、ガスの発生
が止むまで、室温で撹拌した後、加熱還流した。この溶液を室温に冷却した後、
真空中で濃縮して、金色の油状物(1.87g)を得た。これは、さらに精製する
ことなく用いた。
工程b)2-ブロモ-N-[3-クロロ-4-(10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,
1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-ベンズアミド
窒素下で、ジクロロメタン(40mL)中における10,11-ジヒドロ-10-(
2-クロロ-4-アミノベンゾイル)-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼ
ピン(2.25g、6.66ミリモル)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(1.19m
L、8.53ミリモル)を加えた。この混合物を0℃に冷却した後、ジクロロメタ
ン(20mL)中における2-ブロモベンゾイルクロリド(1.87g、8.52ミリ
モル)の溶液を滴下した。冷却浴を取り外し、14時間撹拌し続けた。この反応
混合物を水に注ぎ込んだ。有機層を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液、お
よび水で順次洗浄した後、Na2SO4で乾燥させた。この物を濾過し、真空中で
濃縮して、淡橙色の発泡物(2.00g)を得た。ヘキサン-酢酸(1:1)を移動相
とするシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーで精製して、白色の粉末
(1.39g)を得た。融点188〜189℃。MS(EI),m/z:519(M+)
。
元素分析の結果(C26H19BrClN3O2+0.5H2Oとして)
訃算値:C,58.93;H,3.80;N,7.93
実測値:C,59.12;H,3.62;N,7.75
工程c)N-[3-クロロ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジア
ゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-2-チオフェン-2-イル-ベンゾアミド
2-ブロモ-N-[3-クロロ-4-(10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][
1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-ベンズアミド(1.04g
、2.0ミリモル)、チオフェン-2-ボロン酸(0.32g、2.4ミリモル)、およ
び水酸化バリウム八水和物(0.88g、2.8ミリモル)をエチレングリコールジ
メチルエーテル(28.8mL)および水(4.8mL)に懸濁した。この不均質な混
合物を室温で攪拌し、窒素で10分間パージした後、ビス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(II)クロリド(0.17g、0.24ミリモル)を加え、この反応
物を静圧の窒素下に置いた。この反応物を70℃の油浴中で加熱した。20時間
後、この反応物にさらにチオフェン-2-ボロン酸(0.13g、1ミリモル)を加
えた。全反応時間として24時間後、この反応フラスコに、さらにビス(トリフ
ェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(84mg、0.12ミリモル)を加え
た。この反応物を室温に冷却し、この混合物をベンゼンに抽出した。合わせた有
機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して
、褐色の固形物(1.42g)を得た。この固形物を酢酸エチルと共に摩砕して、
濾過した。濾液を、ヘキサン-酢酸エチル(1:1)を移動相とするシリカゲルを
用いたフラッシュクロマトグラフィーで精製して、淡黄色の固形物を得た。これ
を真空下、78℃で2日間乾燥させた(0.59g)。融点132〜136℃。M
S(EI),m/z:523(M+)。
元素分析の結果(C30H22ClN3O2S+0.5H2Oとして)
計算値:C,67.53;H,4.36;N,7.88
実測値:C,67.53;H,4.08;N,7.90
工程d)N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ
[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル]-フェニル}-2-チオフェ
ン-2-イル-ベンズアミド
工程cの生成物は、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応のトリク
ロロケトンに変換した。
工程e)10-[2-クロロ-4-(5-チオフェン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベ
ンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピ
ン-3-カルボン酸
工程dで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した手順に従
って、加水分解して表題の酸を得た。
工程f)10-[2-クロロ-4-(2-チオフェン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベ
ンゾイル]-10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピ
ン-3-カルボン酸-1,1-ジメチルヒドラジド
工程dで調製したトリクロロケトンを、実施例8の手順に従って、N,N-ジメ
チルヒドラジンと反応させた。
実施例20 10-[2-クロロ-4-(3-ピリジン-2-イルーベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸-ピペラジン-N-メチル-アミド
N-[3-クロロ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-
10-カルボニル)-フェニル]-3-ピリジン-2-イル-ベンズアミド
工程a)実施例20の工程aの化合物は、実施例19の工程aおよびbに記載
したように調製した。実施例19の工程aでは、2-ブロモ安息香酸に代えて、
2-(ピリジン-3-イル)安息香酸を用いた。2-(ピリジン-3-イル)安息香酸の
調製は、2-ブロモピリジンに代えて、3-ブロモピリジンを用いて、チマリ(Tim
ari)らの方法[ヘーミッシェ・ベリヒテ(Chem.Ber.),1992,125,929]で実施した
。表題化合物は、オフホワイト色の粉末(0.21g)として得た。融点155〜
158℃。
元素分析の結果(C31H23ClN4O2+0.85H2Oとして)
計算値:C,69.68;H,4.66;N,10.49
実測値:C,69.69;H,4.70;N,10.16
N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1
-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル}-3-ピリジン-2-イ
ル-ベンズアミド
工程b)工程aの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
10-[2-クロロ-4-(3-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸
工程c)工程bで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
10-[2-クロロ-4-(3-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸-ピペラジン-N-メチルアミド
工程d)工程cで調製した酸を、実施例9の工程aの方法を用いて、アミドに
変換した。
実施例21 10-[2-クロロ-4-(4-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸(2-ジメチルアミノ-エチル)-メチル-アミド
N-[3-クロロ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン
-10-カルボニル)-フェニル]-2-ピリジン-4-イル-ベンズアミド
工程a)実施例21の工程aの化合物は、実施例19の工程aおよびbに記載
したように調製した。実施例19の工程aでは、2-ブロモ安息香酸に代えて、
2-(ピリジン-4-イル)安息香酸を用いた。2-(ピリジン-4-イル)安息香酸の調
製は、2-ブロモピリジンに代えて、4-ブロモピリジン塩酸塩およびさらに同量
の塩基を用いて、チマリ(Timari)らの方法[ヘーミッシェ・ベリヒテ(Chem.Ber.
),
1992,125,929]で実施した。表題化合物は、淡黄色の固形物(1.21g)として
得た。融点165〜168℃。
元素分析の結果(C31H23ClN4O2+0.47H2Oとして)
計算値:C,70.59;H,4.57;N,10.62
実測値:C,70.58;H,4.50;N,10.33
N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1-
c][1,4]ベンゾージアゼピン-10-カルボニル)-フェニル}-2-ピリジン-4-
イル-ベンズアミド
工程b)工程aの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
10-[2-クロロ-4-(4-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸
工程c)工程bで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
10-[2-クロロ-4-(4-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸(2-ジメチルアミノエチル)-メチル-アミド
工程d)工程cで調製した酸を、実施例10の手順に従って、その2-ジメチル
アミノ-エチル-メチルアミドに変換した。
実施例22 10-[2-クロロ-4-(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸-ピペラジン-N-メチルアミド
N-[4-(3-メトキシ-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピ
ン-10-カルボニル)-フェニル]-2-ピリジン-2-イル-ベンズアミド
工程a)2-メトキシ-4-[(2-ピリジン-2-イルベンゾイル)アミノ]ベンゾイ
ルクロリド
窒素下で、無水テトラヒドロフラン(25mL)中における2-メトキシ-4-[(
2-ピリジン-2-イルベンゾイル)アミノ]安息香酸(0.92g、2.64ミリモル
)の溶液に、1滴のジメチルホルムアミドを加えた後、塩化オキサリル(0.28
mL、3.17ミリモル)を加えた。この混合物を、ガス発生が止むまで、室温で
撹拌した。この溶液を真空中で濃縮して、黄褐色の固形物(1.16g)を得た。
これは、さらに精製することなく用いた。
工程b)N-[4-(3-メトキシ-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジ
アゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-2-ピリジン-2-イル-ベンズアミド
窒素下で、ジクロロメタン(30mL)中における10,11-ジヒドロ-5H-
ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(0.405g、2.20ミリモル)の
攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.37mL、2.64ミリモル)を加えた。この
混合物を0℃に冷却し、ジクロロメタン(30mL)中における粗製の2-メトキ
シ-4-[(2-ピリジン-2-イルベンゾイル)アミノ]ベンゾイルクロリド(1.16
g)の溶液を滴下した。5時間後、この反応混合物を水に注ぎ込んだ。有機層を
分離し、水および重炭酸ナトリウム水溶液で2回、水で1回、順次洗浄し、Na2
SO4で乾燥させた。この物を濾過し、真空中で濃縮して、栗色の固形物(1.1
g)を得た。ヘキサン-酢酸エチル-塩化メチレン-メタノール(3:6:2:0.5
)を移動相とするシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーで精製した後
、真空下で濃縮して、淡紫色の固形物(0.88g)を得た。融点138〜140
℃。MS(FAB),m/z:515(M+H)。
元素分析の結果(C32H26N4O3+0.43H2Oとして)
計算値:C,73.58;H,5.18;N,10.73
実測値:C,73.59;H,5.05;N,10.47
N-{3-クロロ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1-
c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル}-2-ピリジン-2-イ
ル−ベンズアミド
工程c)工程bの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
10-[2-クロロ-4-(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸
工程d)工程cで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
10-[2-クロロ-4-(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ビロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸-ピペラジン-N-メチルアミド
工程e)工程dで調製した酸を、実施例9の工程bの方法で、そのN-メチルピ
ペラジンアミドに変換した。
実施例23 10-[2-ブロモ-4-(2-ビリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸-1,1-ジメチルヒドラジド
N-[3-ブロモ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-
10-カルボニル)-フェニル]-2-ピリジン-2-イル-ベンズアミド
工程a)2-ブロモ-4-アミノ安息香酸メチル
乾燥テトラヒドロフラン(20mL)中における2-(ピリジン-2-イル)安息香
酸(2.85g、14.3ミリモル)の溶液を、1滴のジメチルホルムアミドで処理
した後、乾燥テトラヒドロフラン(5mL)中における塩化オキサリル(1.5mL
、17.1ミリモル)で処理した。ガス発生が止んだら、この混合物を5分間加温
還流し、室温に冷却し、真空中で濃縮して、明るい黄色の固形物を得た。この固
形
物をテトラヒドロフラン(20mL)と共に摩砕して、再び濃縮した。この粗製の
酸塩化物は、さらに精製することなく、次の工程で用いた。
工程b)2-ブロモ-4-[(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイル)アミノ]安息香酸メ
チル
ジクロロメタン(50mL)中における2-ブロモ-4-アミノ安息香酸メチル(3
g、13ミリモル)およびトリエチルアミン(2.5mL、18ミリモル)の溶液を
、0℃に冷却し、ジクロロメタン(20mL)中における2-(ピリジン-2-イル)
ベンゾイルクロリドのスラリーで処理した。室温で4時間撹拌し続けた。この反
応物を20%酢酸でクエンチし、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水、次いで、飽
和食塩水で順次洗浄した。この溶液をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で
濃縮して、白色の発泡物5.23gを得た。MS(+FAB),m/z:411/4
13(M+H)+。
元素分析の結果(C20H15BrN2O3として)
計算値:C,58.41;H,3.68;N,6.81
実測値:C,57.73;H,3.66;N,6.54
工程c)2-ブロモ-4-[(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイル)アミノ]安息香酸
メタノール(100mL)中における2-ブロモ-4-[(2-ピリジン-2-イル-ベ
ンゾイル)アミノ]安息香酸メチルの溶液を、1N水酸化ナトリウム(15mL、
1.2当量)で処理した。この溶液を3.5時間加温還流し、さらに1N水酸化ナ
トリウム(10.4mL、合計2当量)を加えた。さらに2時間還流し続け、この
反応物を室温で一晩撹拌した。この試料を真空中でシロップ状に濃縮し、水で希
釈した。この水溶液を酢酸エチルで洗浄し、水層を酢酸でpH4.5〜5に調節
した。生成物を沈殿させ、濾過し、風乾して、黄褐色の固形物(4.43g)を得
た。MS(EI),m/z:397/399(M+)。
工程d)2-ブロモ-4-[(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイル)アミノ]ベンゾイル
クロリド
窒素下で、乾燥テトラヒドロフラン(25mL)中における2-ブロモ-4-[(2-
ピリジン-2-イル-ベンゾイル)アミノ]安息香酸(1.4g、3.52ミリモル)の
溶液に、1滴のジメチルホルムアミドを加えた後、塩化オキサリル(0.37mL
、4.23ミリモル)を加えた。この混合物を、さらなるガス発生が止むまで、室
温で攪拌した後、加熱還流した。この反応混合物を室温に冷却し、真空中で濃縮
して、黄褐色の固形物(1.385g)を得た。これは、さらに精製することなく
用いた。
工程e)N-[3-ブロモ-4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジ
アゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-2-ピリジン-2-イル-ベンズアミド
窒素下で、ジクロロメタン(35mL)中における10,11-ジヒドロ-5H-ピ
ロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(0.54g、2.93ミリモル)の撹拌
溶液に、トリエチルアミン(0.49mL、3.52ミリモル)を加えた。この混合
物を0℃に冷却した後、ジクロロメタン(5mL)中における粗製の2-メトキシ-
4-[(2-ピリジン-2-イルベンゾイル)-アミノ]ベンゾイルクロリド(1.4g)の
懸濁液を滴下した。添加が完了した後、この反応混合物を室温に加温した。18
時間後、この反応混合物を水に注ぎ込み、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗
浄し、10%酢酸水溶液で2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で1回、および、
水で1回、順次洗浄した。有機溶液をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で
濃縮して、暗紫色の発泡物(1.73g)を得た。ヘキサン-酢酸エチル(1:2)を
移動相とするシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーで精製した後、真
空下で濃縮して、白色の固形物(1.23g)を得た。融点227.5〜229℃。
MS(ESI),m/z:563(M+)。
元素分析の結果(C31H23BrN4O2として)
計算値:C,66.08;H,4.11;N,9.94
実測値:C,65.84;H,3.86;N,9.85
N-{3-ブロモ-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロロ[2,1-
c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル}-2-ピリジン-2-イ
ル-ベンズアミド
工程f)工程eの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
10-[2-ブロモ-4-(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸
工程g)工程fで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
10-[2-ブロモ-4-(2-ピリジン-2-イル-ベンゾイルアミノ)-ベンゾイル]-
10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カル
ボン酸1,1-ジメチルヒドラジド
工程h)工程fで調製したトリクロロケトンを、実施例8で概説した手順に従
って、1,1-ジメチルヒドラジンで処理した。
実施例24 10-[2-クロロ-4-(8-キノロイニルイルアミノ)-ベンゾイル]- 10,11-ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン- 3-カルボン酸-ピペラジン-N-メチル-アミド
キノリン-8-カルボン酸[4-(5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジ
アゼピン-10-カルボニル)-3-クロロ-フェニル]-アミド
工程a)実施例24の化合物は、実施例19の工程aおよびbに記載したよう
に調製した。実施例19の工程aでは、2-ブロモ安息香酸に代えて、キノリン-
8-カルボン酸を用いた。表題化合物は、白色の粉末(0.69g)として得た。融
点230〜231℃。
元素分析の結果(C29H21ClN4O2+0.33H2Oとして)
計算値:C,69.81;H,4.38;N,11.23
実測値:C,69.81;H,4.09;N,11.14
キノリン-8-カルボン酸-4-[3-(トリクロロカルボニル)-(5H,11H-ピロ
ロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-3-クロロ-フェニル]
-アミド
工程b)工程aの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
10-[2-クロロ-4-(8-キノリンカルボキサミド)-ベンゾイル]-10,11-
ジヒドロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸
工程c)工程bで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
10-[2-クロロ-4-(8-キノリニルアミノ)-ベンゾイル]-10,11-ジヒド
ロ-5H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸-ピペラジン
-N-メチルアミド
工程d)工程cで調製した酸を、実施例9の工程bの方法を用いて、そのN-メ
チルピペラジンアミドに変換した。
実施例25 2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸[3-クロロ-4-(3-カルボン酸 ( 2-ジメチルアミノ-エチル)-メチル-アミド-5H,11H-ピロロ- [ 2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-アミド
工程a)[2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸]
メタノール(40mL)中における2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン
酸メチルエステル(2.32g、10.7ミリモル)(リン(Lin)ら、ジャーナル・オ
ブ・チャイニーズ・ケミカル・ソサイエティ(J.Chin.Chem.Soc.),1993,40,273-
282)の還流溶液に、1N水酸化ナトリウム(10.7mL、11.8ミリモル)を加
えた。この反応物を2時間還流した。揮発物を真空中で除去し、残渣を酢酸エチ
ルと1N塩酸の間で分配した。水層を酢酸エチルで再抽出し、有機抽出物を合わ
せ、MgSO4で乾燥させた。この溶液を真空中でエバポレートして、淡黄色の
固形物を得た。これをアセトン/ヘキサンから再結晶して、白色の固形物(1.2
7g)を得た。融点145〜146℃。
元素分析の結果(C12H12O2として)
計算値:C,76.57;H,6.43
実測値:C,76.47;H,6.35
工程b)2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボニルクロリド
ジクロロメタン(20mL)中における2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカル
ボン酸(0.43g、2.28ミリモル)の溶液に、ジメチルホルムアミド(1滴)を
シリンジで加えた後、純粋な塩化オキサリル(0.4mL、4.56ミリモル)を加
えた。この反応物を室温で2時間撹拌した後、揮発物を真空中で除去した。残渣
をジクロロメタンに再溶解し、真空中で濃縮し、高真空下で15分間乾燥させて
、琥珀色の油状物を得た。これは、さらに精製することなく、次の工程で、その
まま用いた。
工程c)2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸[4-(5H,11H-ピロ
ロ-[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-3-クロロ-フェニル
]-アミド
実施例25の工程bの生成物2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボニルク
ロリドをジクロロメタン(20mL)に溶解し、室温で、ジクロロメタン(20m
L)中における10,11-ジヒドロ-10-(2-クロロ-4-アミノベンゾイル)-5
H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(0.77g、2.28ミリモル)、
4-ジメチルアミノピリジン(触媒)の溶液に加えた。次いで、トリエチルアミン(
0.38mL、2.74ミリモル)をシリンジで加えた。この反応物を16時間攪
拌し、ジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム、1N塩酸、および食塩水で
洗浄した。このジクロロメタン溶液をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮して
、黄色の固形物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(溶離液は、クロロホル
ム-メタノール(50:1)およびヘキサン-酢酸エチル(2:1))で精製して、白
色の固形物(0.70g)を得た。融点121〜122℃。
元素分析の結果(C31H26ClN3O2として)
計算値:C,73.29;H,5.16;N,8.27
実測値:C,73.18;H,5.02;N,8.11
2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸[3-クロロ-4-(3-トリクロロ
-カルボニル)-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-
カルボニル]-フェニル]-アミド
工程d)工程cの生成物を、実施例1の工程aで概説した手順に従って、対応
のトリクロロケトンに変換した。
2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸[3-クロロ-4-(3-カルボン酸
-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フ
ェニル]-アミド
工程e)工程dで調製したトリクロロケトンを、実施例1の工程bで概説した
手順に従って、加水分解して表題の酸を得た。
2-フェニル-シクロペンタ-1-エンカルボン酸[3-クロロ-4-(3-カルボン酸
(2-ジメチルアミノ-エチル)-メチル-アミド-5H,11H-ピロロ[2,1-c][1
,4]ベンゾジアゼピン-10-カルボニル)-フェニル]-アミド
工程f)このアミドは、実施例10で概説した手順に従って、上記工程eで調製
した酸の反応により調製した。
実験前には自由に水を飲用できるが実験中には水を飲用できない有意識ラット
における内因性アルギニンバソプレシン抗利尿性(V2)応答の拮抗作用に対する
効果:
体重400〜450gの雄または雌の正常血圧スプラーグードーリー(Sprague
-Dawley)ラット(チャールズ・リバー・ラボラトリーズ・インク(Charles River
Laboratories,Inc.)、キングストン(Kingston)、ニューヨーク州)にラボラトリ
ー・ロデント・フィード(Laboratory Rodent Feed)#5001(ピー・エム・ア
イ・フィーズ・インク(PMI Feeds,Inc.)、リッチモンド(Richmond)、インジア
ナ州)および水を自由に与えた。試験の当日、(尿から糞便を分離するために)ス
テンレス製の網および尿の採集用トンネルを備えた代謝カゴにラットを個別に入
れた。賦形剤または参照薬剤を様々な経口投与量で与えた。試験の間、ラットに
は、水も飼料も与えなかった。試験化合物を投与してから4時間にわたり尿を採
集した。4時間の最後には、尿量を測定した。フィスケ(Fiske)のワン-テン(One
-Ten)浸透圧計(フィスケ・アソシエーツ(Fiske Associates)、ノーウッド(Norwo
od)、マサチューセッツ州02062)またはアドバンスド(Advanced)のクライオマテ
ィック(CRY0MATIC)浸透圧計3C2型(アドバンスド・インスツルメンツ(Advance
d Instruments)、ノーウツド(Norwood)、マサチューセッツ州)を用いて、尿のオ
スモル濃度を求めた。Na+、K+およびCl-イオンの定量は、ベックマ
ン(Beckman)のシンクロン・イー・エル-アイ・エス・イー・エレクトロライト・
システム・アナライザー(SYNCHRON EL-ISE Electrolyte System analyzer)にイ
オン特異的電極を用いて実施した。以下の結果において、AVP-対照に対して
増大する尿量および減少するオスモル濃度は活性を示している。本発明の代表的
な化合物についてのこの試験の結果を表5に示す。
ヒトV2バソプレシン受容体を発現するcDNAをトランスフェクトさせたマ
ウス繊維芽細胞系(LV-2)の膜に対する結合
膜の調製
集密になるまで増殖させた付着細胞を有する容量175mLのフラスコから吸
引により培地を除去する。付着細胞を有するこれらのフラスコをリン酸緩衝食塩
水(PBS)2×5mLですすぎ、毎回、液体を吸引により除去する。最後に、酵
素を含まない解離用のハンク(Hank)基礎溶液(スペシャルティ・メディア・イン
ク(Specia1ty Madia,Inc.)、ラファイェッテ(Lafayette)、ニュージャージー州
)5mLを加え、これらのフラスコを2分間静置する。すべてのフラスコの内容
物を遠心管に注ぎ入れ、細胞を300×gで15分間ペレット化する。ハンク(H
ank)基礎溶液を吸引により除去し、これらの細胞を、0.25Mショ糖および1.
0mM EDTAを含有する10.0mMトリス・HCl緩衝液(pH7.4)中、
#6に設定したポリトロンで10秒間均質化する。このホモジェネートを150
0×gで10分間遠心分離し、ゴースト膜を除去する。上澄み液を100,00
0×gで60分間遠心分離し、受容体タンパクをペレット化する。完了後、これ
らのペレットを少量の50.0mMトリス・HCl緩衝液(pH7.4)に再懸濁す
る。そのタンパク含量をローリー(Lowry)の方法で求め、受容体膜を0.1mMフ
ェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)および0.2%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)を含有する50.0mMトリス・HCl緩衝液に、懸濁液1mLあた
り受容体タンパク2.5mgとなるように懸濁する。
受容体の結合
結合実験においては、0.2%熱不活化BSA、10.0mM MgCl2および
プロテアーゼ阻害剤の混合物:ロイペプチン1.0mg%;アプロチニン1.0
mg%;1,10-フェナントロリン2.0mg%;トリプシン阻害剤10.0mg
%および0.1mM PMSFを含有する100.0mMトリス・HCl緩衝液1
00.0mL、0.8nMの[3H]アルギニン8、バソプレシン(S.A.75.0C
i/ミリモル)20.0mLを96ウェル形式のマイクロタイタープレートの各ウ
ェルにmL容量で加えた後、組織膜80.0mL(組織タンパク200.0mgを
含有)を加えることにより、反応を開始させる。これらのプレートを、平衡に達
するまで、実験台上で120分間静置する。非特異的な結合を、容量20.0m
Lで加えた非標識リガンド1.0mMの存在下で、アッセイする。試験化合物に
ついては、これらを50%ジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶化し、最終イ
ンキュベーション容量の200mLになるまで、容量20.0mLで加える。
(Gaithersburg)、メリーランド州)を用いて、各ウェルの内容物を濾別する。リ
ガンド-受容体複合体によりフィルターディスク上に捕捉された放射能を、液体
シンチレーション計数法により、パッカード(Packard)LSカウンターで、トリ
チウムについて効率65%でアッセイする。得られたデータを、拮抗実験用ラン
ドン(LUNDON)-2プログラム(ランドン・ソフトウェア(LUNDON SOFTWARE)、オハ
イオ州)により、IC50値について分析する。
本発明の代表的な化合物についてのこの試験の結果を表5に示す。表5 ラット尿量データ*およびヒトV2受容体を発現するcDNAをトランスフェク トさせたマウス繊維芽細胞系(LV-2)の膜に対する結合アッセイ
尿量 バソプレシン結合
実施例 (mL/4時間) ヒトV2受容体
10mg/kgラット経口 nM
実施例1 13.2 14
実施例2 11.5
実施例3 22 15
実施例4 9.2 60
実施例5 9.1 60
実施例6 5.6
実施例7 19.2 4.3
実施例8 40.9 8.6
実施例9 23.7 3.3
実施例10 22.2 5.5
実施例11 20.5 9.3
実施例12 21.4
実施例13 16.8
実施例14 11.3
実施例15 19.3 10.7
実施例16 24.3
実施例17 9.4
実施例18 7.8 7.6
*ラットへの用量10mg/kgの経口投与により4時間で産生された尿量
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 9/10 A61P 9/10
103 103
9/12 9/12
13/12 13/12
43/00 111 43/00 111
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 モリナリ,アルバート・ジョン
アメリカ合衆国08540ニュージャージー州
プリンストン、ジョナサン・コート1506
番
(72)発明者 バグリ,ジェハン・フラムロズ
アメリカ合衆国08540ニュージャージー州
プリンストン、セイヤー・ドライブ61番
(72)発明者 アッシュウェル,マーク・アンソニー
アメリカ合衆国08536ニュージャージー州
プレインズボロー、アスペン・ドライブ
1015番
(72)発明者 カギアノ,トーマス・ジョゼフ
アメリカ合衆国19067ペンシルベニア州
モリスビル、ストッカム・アベニュー350
番