明細書
2— ( ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ツ ド及び長鎖 ω 一ォキシカルボン酸の製造法
技術分野
本発明は、 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4—ブタノ リ ツ ド 及び長鎖 ω—ォキシカルボン酸の製造法に関する。
背景技術
長鎖 ω—ォキシカルボン酸は分子内環化反応を行わせ大環伏ラク ト ンに誘導でき る。 シクロペンタデカノ リ ド、 シクロへキサデカノ リ ドなどの大環状ラク トンは ムスク香料と して価値がある。 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ツ ドは、 これを加水分解、 脱炭酸、 次いでカルボニル基の還元と いうステツプを経て長鎖 ω—ォキシカルボン酸となることが知られている。 本発 明は、 大環状ラク トンの中間体である長鎖 ω—ォキシカルボン酸およびその中間 体と位置づけられる 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタ ノ リ ッ ドの製造法に関する。
従来から 1 5—ヒ ドロキシペンタデカン酸、 1 6ヒ ドロキシへキサデ力ン酸な どの長鎖 ω—ォキシカルボン酸の合成法に関しては、 種々の方法が知られてい る。 例えば D u t c h P a t. 67, 458 ( 1 9 5 1 ) [P o l a k& S c h w a r z ] C. A. 4_5 907 6 (1 95 1) に記載された方法等がある。 しかしながら、 この方法は、 なんと 1 0工程を経て、 長鎖 ω—プロモカルボン酸 を得ており、 これを加水分解すると長鎖 ω—ォキシカルボン酸となるが、 長い合 成工程を要するとか、 原料物質が比較的入手し難いとか、 したがって工業的な大 量生産に適しないとかいった理由から、 工業的な製造法としては決して満足のい く ものではない。
また、 別の方法として、 ω—シァノ脂肪酸エステルと 7—プチロラク ト ンとを 出発物質とする方法が特開平 5 - 86 0 1 3号公報に記載されていて、 公知であ る。 すなわち、 1 1ーシァノ ウンデカン酸メチルと 7—プチロラク トンとをアル カリ金属アルコラ一 トの存在下に反応させて、 α— ( 1 1—シァノウンデカノィ ル) 一ァ—プチ口ラク 卜ンを取得し、 これを加水分解して 15—ヒ ドロキシ一 1
2—ケ トペンタデカノ二 ト リルを取得し、 これを、 ゾン化、 二次加水分解、 およ び還元の各工程に供して、 1 5—ヒ ドロキシペン夕デカン酸を取得している。 この方法によるも、 原料入手が一般的に困難とされており、 しかも比較的高価 とされている 1 1—シァノウンデカン酸メチルを原料としているので、 優れた方 法ではあるが、 いまだ充分満足すべきものではない。 また、 ωの位置の二 ト リル 基を最終的にはカルボキシル基にしなければならない、 というのも若千の問題で
¾ Ο ο
発明の開示
本発明の目的は、 結果的には長鎖 ω—ォキシカルボン酸を短い工程で、 かつ入 手容易な原料から取得することになる 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノ ィル) — 4—ブタノ リ ツ ドの工業的に有利な製造法を提供すること、 及び、 長鎖 ω—ォキシカルボン酸の工業的に有利な製造法を提供すること、 にある。
本願発明者らは、 鋭意研究の結果、 ァ一プチロラク トンを次の一般式
R 00 C (CH2) nC 00 R (但し n = 7〜: L 3、 Rはアルキル基または アルケニル基)
を有する、 入手が極めて容易であり、 かつ安価なジカルボン酸エステルと縮合反 応させると、 予想に反して選択率、 収率ともに良好に 2— (ω—アルコキシカル ボニルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ッ ドが得られることを見出し本発明を完成 した。 また、 本願発明者らは、 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ツ ドは、 これを加水分解、 脱炭酸させ、 次いで得られた生成物の カルボ二ル基を還元してメチレン基とすると長鎖 ω—ォキシカルボン酸が提供さ れるので、 長鎖 ω—ォキシカルボン酸の工業的に有利な製造法を確立したのであ る。
一般に本発明方法において使用される長鎖のジカルボン酸エステルは、 分子内 に長いメチレン鎖を介して 2個のエステル官能基を持っているため、 シユウ酸の エステルのように近接して 2個のエステル官能基を持つ化合物とは反応性に大き な違いがあり、 自己縮合とか分子内環化反応 (D i e c k m a n n縮合, J . P. S c h a e f e r , O r g a n i c R e a c t i o n s , V 0 1 1 5, P 1 J 0 h nW i e l y& S 0 n s, 1 967 ) とかいつた副反応を起こ しゃす
い。
したがって長鎖のジカルボン酸エステルとモノカルボン酸エステル (分子内ェ ステルであるラク ト ンを含む) の縮合によつて異種エステル間の特定の縮合物を 得ようとすれば、 その選択性は極めて悪く製法と して実用に供し得ないものと予 想される。 また、 本発明者らの検討によると、 アジピン酸エステルという炭素数 が比較的少ないジカルボン酸のエステルとァ一プチロラク トンとの反応も同様の 結果であった。 しかしながら、 本発明者らはモノカルボン酸のエステルとしてァ
—プチロラク トンを使用し、 ジカルボン酸エステルとして炭素数 9〜 1 5のジカ ルボン酸のエステルを使用すると、 上記予想に反して、 7—ラク ト ンの α位にお いて、 長鎖のジカルボン酸エステルの一方のエステル基へ選択的に縮合反応が起 こり 2— ( ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ツ ドが収率 よく得られることを見出だした。
周知の如く、 長鎖のジカルボン酸はナイロン 6 1 2、 ナイロン 6 1 0などの いわゆる高級ナイロンの原料として入手容易であり、 安価であり、 したがって長 鎖のジカルボン酸エステルも入手容易であり、 安 ffiである。
発明を実施する最良の形態
本発明において、 縮合反応は塩基からなる縮合剤の存在下に行うのが好ま し い。 ここに言う縮合剤としては、 一般にエステルのクライゼン縮合あるいはディ ークマン縮合に使用されるものが使用され、 具体例を挙げると リチウム、 ナ 卜 リ ゥム、 カ リ ウム、 などのアル力 リ金属、 リチウムハイ ドライ ド、 ナ ト リ ゥムハイ ドライ ド、 カ リウムハイ ドライ ド、 などのアルカ リ金属ハイ ドライ ド、 リチウム アミ ド、 ナ ト リウムアミ ド、 カリ ウムアミ ド、 などのアンモニアのアルカ リ金属 塩、 リチウムジイソプロピルアミ ド、 ナ ト リ ウムジイソプロピルアミ ド、 リチウ ム N—メチルァニリ ド、 ナ ト リ ウム N—メチルァニリ ドなどのァ ミ ン類のアル力 リ金属ァ ミ ド、 ジイソプロピルア ミ ノマグネシウムクロ リ ド、 N—メチルァニリ ノマグネシゥムクロ リ ドなどのァミ ン類のマグネシゥム塩、 ナ ト リウムメ トキサ イ ド、 ナ ト リ ウムェ トキサイ ド、 ナ ト リ ウム n—プロポキサイ ド、 ナ ト リウムィ ソプロポキサイ ド、 ナ ト リ ウム n—ブトキサイ ド、 カ リウム t—ブトキサイ ドな どのアルコ一ル類のアルカ リ金属アルコラ一卜、 ナ ト リ ウムナフタレン、 卜 リ フ
ヱ二ルメチルナ ト リ ウムなどの有機アル力 リ金属化合物等である。 本発明におい て、 縮合剤は、 一般式 R O M ( Rは炭素数 1〜 4のアルキル基であり、 Mはアル カ リ金属である) を有するアルカ リ金属アルコラ一 トであることが好ま しい。 ま た、 本発明において、 縮合剤の使用量は特に制限はないが、 7 —プチロラク トン 1モルに対して 0 . 1〜 5当量、 好ま しく は 0 . 5〜 3当量である。
本発明において、 縮合反応の温度は特に限定はされないが 0〜 2 0 0 °C特に 5 0 - 1 5 0 °Cの範囲が好ま しい。
また、 本発明において、 ジカルボン酸エステルの使用量は、 ァープチ口ラク 卜 ンに対して過剰モルであることが好ま しく、 2倍モル以上が特に好ましい。 2倍 モル以上であると、 とりわけ選択率が向上するからである。 反応混合物から未反 応のジカルボン酸エステルを回収し、 縮合反応に循環再使用することが効率的な 反応のために好ましく、 反応混合物から未反応ジカルボン酸エステルの回収は単 蒸留で容易に行うことが出来る。 ジカルボン酸エステルの過剰モル使用と循環再 使用とが相俟ってより効率的な反応を実現する。
溶媒は特に使用する必要はないが、 縮合剤の活性を低下させない溶媒であれば 一般のエステル縮合に使用される溶媒を添加して反応を行うこともできる。 本発 明において使用される一般式 R 0 0 C ( C H 2) „C 0 0 Rの Rはアルキル基また はアルケニル基である力 <、 使用する便利さから炭素数 1〜 6のアルキル基または アルケニル基が特に好んで使用される。 Rの具体例を挙げるとメチル、 ェチル、 プロ ピル、 ブチル、 イ ソプチル、 ペンチル、 へキシル、 2 —ェチルへキシル、 ォ クチル、 ァリル、 2—ブテニル、 5—へキセニル基等である。 とりわけ、 メチル 基が好ましい。
次に、 本発明に係る長鎖 ω—ォキシカルボン酸の製造法について説明すると、 上記縮合反応によつて得られた 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4ーブタノ リ ツ ドを加水分解し、 同時にラク 卜ン部分のカルボニル炭素を、 脱 炭酸反応により除去し、 かく して得られた生成物のカルボ二ル基を還元し、 メチ レン基とすることにより、 長鎖 ω—ォキシカルボン酸を容易に得ることが出来 る。 その反応経路は次に示す通りである。
脱炭酸 o ケトン還元
II , ^ H0-(GH23 G(GH GOOH > H0-(CrtH-(Gria>nC00(-|! 一般式 4 —般式 2
一般式 1の化合物、 すなわち 2— (ω—アルコキシカルボ二ルアルカノィル) 一 4—ブ夕ノ リ ッ ドをアル力リ性塩基又は酸により水性溶媒中加水分解すると中 間体として一般式 3 (但し η = 7〜1 3) を生成する。 一般式 3の化合物はただ ちに脱炭酸反応を起こ して一般式 4の化合物 (但し η = 7~1 3) となる。 一般 式 4の化合物の単離確認は行っていないが、 反応中に一般式 3の化合物を生成す ることは容易に推察できる。 中間体である一般式 3、 4の化合物のカルボキシル 基はアル力リ性塩基で加水分解した場合にはカルボン酸塩の形で溶液中に存在す る。 一般式 1の化合物の加水分解に使用されるアル力 リ性塩基と してはエステ ル、 ラク トンを加水分解できるものであれば特に限定されないが、 水酸化リチウ ム、 水酸化ナ ト リ ウム、 水酸化力 リ ウムなどの水酸化アル力 リ、 炭酸ナ ト リ ウ ム、 炭酸カ リ ウムなどのアルカ リ金属炭酸塩、 水酸化バリ ウムなどのアルカ リ土 類金属水酸化物などが使用できる。 酸としては硫酸のような鉱酸が好んで使用さ れる。 一般式 4の化合物のケ ト ンをメチレンに還元するには、 一般によく知られ ているケ 卜ンをメチレンに還元する反応であれば特に限定されない。
具体例をあげると、 W o l f f - K i s h n e r還元 (D a v i d T o d d, O r g a n i c R e a c t i o n s , V o 1 4 , P 378 , J o h n W i l e y & S o n s, 1 948) と して総称される H u a n g -M i n l o n 改良法 [H u a n g— M i n i o n J . Am C h e m S o c. , 68 2 487 ( 1 946 ) ] をも含めたヒ ドラジン類との反応でいったんヒ ドラゾン類 を生成させ、 これを塩基の共存下に加熱してケ ト ンをメチレンに還元するもので める。
ヒ ドラゾン類は分離する必要はなく、 反応系内で発生させ、 そのまま塩基と処 理すればよい。
塩基としては、 水酸化ナ ト リウム、 水酸化カリ ウムなどのアルカ リ金属水酸化 物、 炭酸ナ ト リウム、 炭酸力リゥムなどのアル力 リ金属炭酸塩、 アルミ ン酸ナ ト リゥム、 アルミ ン酸カ リゥムなどのアルミ ン酸アル力 リ金属塩、 リ ン酸ナ 卜 リ ウ ム、 リ ン酸カリゥムなどのアル力 リ金属リ ン酸塩、 酢酸ナ ト リウム、 酢酸力リゥ ムなどのアル力リ金属酢酸塩、 ナ ト リウムメ トキサイ ドなどのアルカ リ金属アル コラー トなどが使用できる。
還元温度は 15 0~ 25 0°Cが好んで使用される。 使用するヒ ドラジン類は一 般式 4の化合物 1モルに対して 1モル以上使用すればよい。 好ま しく は 1 ~3モ ルである。 使用するヒ ドラジン類としては水化ヒ ドラジン、 硫酸ヒ ドラジンなど が好ましい。
ケ トンをメチレンに還元するその他の方法としては、 C l e mm e n s e n還 元 [E. L. Ma r t i n O r g a n i c R e a c t i o n s , V o l 1, P 1 5 5, J o h n W i l e y & S o n s, (1942) ] として総 称される亜鉛又は亜鉛アマルガムと酸による還元である。
本発明においては、 ヒ ドラジン類還元法が最も好ましく使用される。
なお、 一般式 1の化合物を ω—ォキシカルボン酸へ誘導するには、 中間体であ る一般式 4の化合物をいつたん分離又は単離することなく加水分解後の化合物 4 ないしはそのカルボン酸塩を含む反応混合物をそのまま次のケ 卜ン還元反応に付 して ω—ォキシカルボン酸とすることも出来る。 但し、 一般式 4の化合物は単離 可能な化合物である。 例を挙げて説明すれば、 一般式 1の化合物を水性アルカリ 中で加水分解、 脱炭酸し、 一般式 4の化合物 (但し、 この際一般式 4の化合物は カルボン酸のアルカ リ塩の形で存在する。 ) を含む反応混合物とした後、 ヒ ドラ ジン類を添加し、 ヒ ドラゾン類の生成を行った後、 ケ トン還元に必要な温度まで 昇温し、 塩基の共存下に還元を行って化合物 2のアルカ リ性塩基溶液を得る。 こ れを酸性にもどせば ω—ォキシカルボン酸を遊離する。 もちろんのことながら本 発明はここに述べた方法に限定されるものではない。 又一般式 1の化合物につい ても単離して反応を行う必要はなく、 化合物 1を含む反応混合物のまま反応を行
つて ω—ォキシカルボン酸 2へ誘導することも可能である。 ω—ォキシカルボン 酸 2は高度希釈法、 重合一解重合法、 分子内のエステル交換法などにより分子内 で環化させ、 ラク トン化することにより大環状ラク 卜 ン化合物を容易に得ること ができる。
本発明方法により得られる ω—ォキシカルボン酸 2の純品はもちろんのことで あるが、 各反応中間体 1, 4の分離精製を行わずに、 粗生成物のまま反応を進め て得られる ω—ォキシカルボン酸 2を主生成物と して含む粗生成物そのままで も、 環化を行いラク トン化することにより容易に大環状ラク ト ンを得ることがで きる。
次に本発明方法を実施例により詳細に説明する。 もっとも、 下記実施例は例示 のためにのみ示すものであり、 いかなる意味においても限定的に解釈してはなら ない。
実施例 1
1, 12— ドデカンニ酸ジメ チルエステル (5 5. 7 g、 2 1 6mmo l e) と 7—プチロラク トン (4. 3 g、 50 mm o 1 e ) と金属ナ ト リウム ( 1. 2 0 g、 52 mm 0 1 e ) を室温で混ぜ 1 1 0〜: L 1 5 °Cで 2時間加熱攪拌する。 冷却し過剰のメタノールを加えた後、 氷水中へ注ぎ、 酢酸ェチルで抽出する。 有 機層は水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、 溶媒を留去する。 残りの油 伏物を減圧蒸留 (油浴温度 1 7 0〜 1 80 °CZ 0. 5〜 0. 2mmH g) して過 剰の 1, 1 2— ドデカンニ酸ジメチルエステルを留去する。 留分 42. 17 gと 蒸留残渣 1 4. 48 gを得た。 蒸留残渣 6 gを取りシリ力ゲルカラムクロマ トグ ラフィ ーにより、 ベンゼン一酢酸ェチル (1 0 : 1) の混合溶媒で展開して 4. 13 gの一般式 1の化合物 (n = 1 0, R = M e) を得た。
これをエーテル一へキサンから再結晶して m. p. 43〜 45 °Cの一般式 1の 化合物 (n = 1 0, R = M e) を 3. 42 gを得た。 I R, NMRおよびマスス ぺク トルにより一般式 1の化合物 (n = 1 0 , R = M e ) であるこ とを確認し た。
元素分析 C H
C H 2805としての計算値 (%) 6 5. 36 9. 03
実測値 (%) 6 5. 5 3 8. 99 蒸留残渣部分についてガスクロマ トグラフィ一により分析した結果、 68重量% の一般式 1の化合物 (n = 1 0, R=Me) を含むことが判った。 7—プチロラ ク トン基準の収率は 64 %であった。
実施例 2
1, 12— ドデカ ンニ酸ジメチルエステル (5 5. 7 g、 216mmo l e) と 7—プチロラク トン (4. 3 g、 50 mm o 1 e ) とナ ト リウムメ トキサイ ド (2. 8 1 g、 5 2mmo 1 e) を室温で混ぜ, 1 1 0〜 1 1 5 °Cで 2時間加熱 攪拌した後、 実施例 1と同様に後処理、 蒸留をおこなって 43. 26 gの留分と 13. 9 1 gの蒸留残渣を得た。 蒸留残渣を調べた結果 69重量%の一般式 1の 化合物 (n = 10, R = M e ) を含むことが判った。 ァープチロラク トン基準の 収率は 6 2 %であった。
以下同様にしてナ ト リウムメ トキサイ ドの代わりにナ ト リゥムハイ ドライ ド、 ナ ト リウムアミ ドを使用して、 各成分のモル比、 反応条件を同じにして反応を行 つた結果、 一般式 1の化合物 (n = 1 0, R=M e) の収率はナ ト リ ウムハイ ド ラィ ドの場合が 6 5 %、 ナ ト リ ウムアミ ドの場合が 57 %であつた。
実施例 3
実施例 2と全く同一条件で溶媒としてトルエン 60m 1を添加して反応をおこ なつた。 一般式 1の化合物 (n = 1 0, R =M e ) の収率は 56 %であつた。 実施例 4
1 , 12— ドデカンニ酸ジメチルエステル ( 3 0. 9 6 g、 1 2 0 m m o 1 e) と 7—プチロラク ト ン (2. 58 g、 1 20 mm o 1 e ) とナ ト リ ウムメ ト キサイ ド (1. 69 g、 3 0 mm o 1 e ) を室温で混ぜ, 1 10°Cで、 反応で生 成したメ タノ ールを除きながら、 2時間加熱攪拌した。 実施例 2と同様に後処 理、 蒸留を行って 23. 63 gの留分と 8. 36 gの蒸留残渣を得た。 残渣部分 を調べた結果 85. 1 %の一般式 1の化合物 ( n = 1 0 , R=M e) を含むこと が分かった。 収率は 76 %であり、 選択率は 7 7 %であつた。 また、 全く同じ反 応を、 反応で生成したメタノールを除かないで行ったところ、 収率は 62 %であ り、 選択率は 63 %であった。
1. 12—ドデカンニ酸ジメチルエステルの使用量をそれぞれ 60 mm 0 1 e 及び 1 80mmo 1 eに変えて全く同じ反応を行ったところ、
前者はメタノールを除きながらの反応で収率 6 2 %、 選択率 70%、 メタノー ルを除かない反応で収率 4 9%、 選択率 56%であり、 後者はメタノールを除き ながらの反応で収率 7 9 %、 選択率 79 %、 メ タノールを除かない反応で収率 6 5 %、 選択率 66 %であった。 実施例 5
1. 1 3—ト リデカンニ酸ジメチルエステル (=ブラ シル酸ジメ チルエステ ル) (65. 2 g、 2 00mmo l e) と 7—プチロラク トン (4. 3 g、 50 mm o 1 e ) と金属ナ ト リ ウム (1. 20 g、 52mm o l e) を室温で混ぜた 後、 1 1 0〜1 1 5 °Cで 2時間加熱攪拌する。 冷却し過剰のメ タノ一ルを加えた 後、 希塩酸の中へ注ぎ、 酢酸ェチルで抽出する。 有機層は水洗し、 無水硫酸マグ ネシゥムで乾燥した後、 溶媒を留去する。 残りの油状物を減圧蒸留 (油浴温度 1 80〜 200°CZ0. 5 ~ 0. 2 mmH g) して過剰のブラシル酸ジメチルエス テルを留去する。 残りは更に加熱して b. p. 2 09〜21 3°Cノ 1 0一2 mmH gの一般式 1の化合物 (n = l l、 R=M e) 留分 4. 2 gを得た。 これをカラ ムクロマ トによりさらに精製して一般式 1の化合物 (n = l l、 R = M e ) 9. 8 gを単離した。
I R, NMRおよびマススぺク トルの結果から構造を確認した。
7—プチロラク トン基準の収率は 60 %であつた。
元素分析 C H
C 18H 3005としての計算値 (%) 6 6. 24 9. 2 6
実測値 (%) 66. 5 1 9. 12 実施例 6
1, 12—ドデカンニ酸ジメチルエステル (5 5. 7 g、 2 1 6 mm o 1 e ) と■ 一プチロラク トン (4. 3 g、 50mmo l e) と金属ナ ト リ ウム (1. 2 0 g、 52 mm o 1 e ) を実施例 1と全く同様にして反応させた。
過剰の 1. 12— ドデカンニ酸ジメチルエステルを留去した後、 一般式 1の化
合物 (n = 1 0, R = M e ) を主生成物 (72重量%含まれている) とする蒸留 残渣 14. 50 gを得た。 これを 1 50 gのメ タノールと 4%水酸化ナ ト リウム 水溶液 300 gと混ぜ、 5. 5時間加熱還流する。 次にァスピレー夕で吸引し、
2 Z 3ほどのメタノール、 水を留去する。 残渣に 80 m 1のジエチレングリコー ルと 85%水化ヒ ドラジン 6. 5 m 1を加え 1 1 0 °Cで 1時間加熱攪拌後系内を 1 9 5~ 200°Cに昇温し、 14時間同温度で攪拌する。 。 冷却し、 希塩酸を加 えクロロホルム抽出する。 後処理して 1 5—ヒ ドロキシペンタデカン酸 2 (n = 1 0) を主生成物として含む結晶性残渣 1 3. 7 gを得た。 これを分子内エステ ル交換反応により環化して粗シクロペンタデカノ リ ド 5. 18 gを得た。 このも のは 97重量%のシクロペンタデカノ リ ドを含んでいた。
実施例 7
1, 13— ト リデカンニ酸ジメチルエステル (=ブラシル酸ジメ チルエステ ル) (65. 2 g、 200 mm o 1 e ) と ァ一プチロラク ト ン (4. 3 g、 50 mm 0 1 e ) と金属ナ ト リウム (1. 20 g、 52 mm o 1 e ) を実施例 5と同 様にして反応させ、 反応後過剰のブラシル酸ジメチルエステルを留去して一般式 1の化合物 (n = 1 1, R=Me) を主生成物として含む蒸留残渣、 1 5. 3 g を得た。 これを 1 50 gのメタノールと 4 %水酸化ナ ト リゥム水溶液 300 gと 混ぜ、 5. 5時間加熱還流する。 以下実施例 6と全く同様にしてヒ ドラジン還元 して、 16—ヒ ドロキンへキサデカン酸 4 (n = 1 1 ) を主生成物として含む結 晶性生成物 1 4. 4 gを得た。 これを環化して粗シクロへキサタデカノ リ ド 5. 1 7 gを得た。 これを精製して純粋なシクロへキサ夕デカノ リ ドを得た。 このも のは標品とスぺク トル、 物性値が一致した。
実施例 8
1. 12—ドデカンニ酸ジメチルエステル (55. 7 g、 2 1 6 mmo l e) と 7—プチロラク トン (4. 3 g、 5 0mmo l e) と金属ナ ト リ ウム (1. 2 0 g、 52 mm 0 1 e ) を実施例 6と全く同様にして反応させ後処理をし、 1 5 —ヒ ドロキシペン夕デカン酸 4 (n = 1 0) を主生成物として含む結晶性残渣 1
3. 2 gを得た。 ガスク口分析によりこのものは 6 1重量%の 1 5—ヒ ドロキシ ペンタデカン酸 4 (n = 1 0) を含むことが判つた。
実施例 9
1, 1 0—デカン酸ジメチルエステル (セバシン酸ジメ チルエステル) (4 9. 7 g、 2 1 6 mm 0 1 e ) と 7—プチロラク ト ン (4. 3 g、 50 mm o 1 e ) と金属ナ ト リ ウム (1. 20 g、 52 mm o 1 e ) を実施例 6と同様にして 反応させ後処理をし、 1 3—ヒ ドロキシ ト リデカン酸 4 (n = 8) を主生成物と して含む結晶性残渣 1 1. 7 gを得た。 これを再結晶し、 シリカゲルカラムクロ マ トにより分離を行い、 1 3—ヒ ドロキシ ト リデカン酸を単離した。 m. p. 7 7〜78°C、 I R, NMRスペク トルの結果から構造を確認した。
元素分析 C H
C 13H 2603と しての計算値 (%) 67. 75 1 1. 38
実測値 (%) 67. 81 1 1. 36 ガスク口分析の結果、 上記結晶性残渣は 60 %の 1 3—ヒ ドロキシ ト リデカン 酸 4 (n = 8) を含むことがわかった。
比較例 1
アジピン酸ジメチルエステル (1 7. 4 g, l O Ommo l e) と 7—プチ口 ラク トン (2. 1 5 g、 25mm o l e) とナ ト リウムメ トキサイ ド (1. 4 1 g, 25 mm 0 1 e) を室温で混ぜ、 1 1 0 °Cで 2時間加熱し生成したメ タノー ルを除きながら、 攪拌する。 実施例 1と同様に後処理、 蒸留を行ってアジピン酸 ジメチルエステルを蒸留した。 蒸留残渣をシ リ カゲルク ロマ 卜グラフィ 一によ り、 ベンゼン一酢酸ェチル (1 1 : 1) の混合溶媒で展開して 0. 46 gの一般 式 1の化合物 (n = 4, R = Me) を得た。 収率は 8%であった。 実施例 1 0
一般式 1の化合物 (n = 1 0, R = M e ) (8. 3 7 g, 2 6. 8 m m o 1 e ) と 1 70 gの 6. 5 %水酸化ナ ト リ ウム水溶液と 8 3 gのメ タノ ールを混 ぜ、 6時間加熱還流して、 加水分解、 脱炭酸を行った。
分液口一 トに希硫酸と氷とク口口ホルムを入れ、 ここに上記の反応混合物を注 ぎ手早く抽出する。 クロ口ホルム層は水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した 後、 溶媒を留去し結晶を得た。 これをエーテル一へキサンから再結晶して 6. 7
0 gの一般式 4の化合物 (n = 1 0) を得た。 m. p. 77〜78°C、 構造は I R, NMRスぺク トルの結果から確認した。
元素分析 C H
C H OJと しての計算値 (%) 6 6. 1 4 1 0. 3 6
実測値 (%) 66. 24 1 0. 02 実施例 1 1
一般式 1の化合物 (n = 1 0, R =M e ) (1 50 g, 4. 8 1 mm o 1 e ) を 3%硫酸 20 gと混ぜ、 1 20°Cで 6時間加熱攪拌する。 水、 クロ口ホルムを 加え、 抽出する。 クロ口ホルム層は水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した後 溶媒を留去して結晶性残渣を得た。 これを ト リ メチルシリル化してガスクロマ ト グラフィ 一により分析した結果一般式 4の化合物 (n = 1 0) が収率 38%で得 られたことがわかつた。
実施例 12
—般式 4の化合物 (n - 1 0) (2. 72 g, l Ommo l e) を 2. 0 gの 粉枠した水酸化ナ ト リウムとジエチレングリコール 1 6m l と 85 %水化ヒ ドラ ジン 1. 3m l とメタノール 0. 6 m 1 と混ぜ、 1 1 0°Cで 30分攪拌する。 そ の後昇温し系内を 1 95〜200°Cにして 1 5時間加熱攪拌する。 この間に留去 される部分はすべて留去し系外へぬき取る。 冷却し、 希塩酸で酸性にしたのち、 クロ口ホルムで抽出する。 クロ口ホルム層は水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾 燥した後溶媒を留去して 24. 4 gの結晶を得た。 これをベンゼンから再結晶し て 1 5—ヒ ドロキシペンタデカン酸 4 (n = 1 0) 2. 1 gを得た。 収率 81 % である。 m. p . 84~8 6°C、 I R、 N M Rスペク トルから 1 5—ヒ ドロキシ ペンタデカン酸の構造を確認した。
元素分析 C H
C 15H 3003としての計算値 (%) 69. 72 70
実測値 (%) 6 9. 8 5 57 実施例 1 3·
一般式 1の化合物 (n = L 0, R = M e ) (2. 0 0 g , 6. 4 1 mm o 1 e) と水酸化ナ ト リ ウム (1. 75 g, 4 3. 7 mmo l e) と水 4 0 gとメタ
ノール 20 gを混ぜ、 4時間加熱還流する。 油浴を 1 30°Cにしてメタノール、 水を半分ほど留去する。 留去後ジェチレングリ コール 1 1 m 1を添加し更に留去 を続ける。 1時間後に 85%水化ヒ ドラジン 1. 1 m 1を加え 1 1 0°Cで 40分 攪拌する。 その後昇温して系内が 1 9 5〜20 0束になってから 1 6時間加熱攪 拌する。 実施例 1 2と同様に後処理をして 1. 57 gの結晶を得た。 このものを 卜 リメチルシリル化してガスクロマ 卜グラフィ 一により分析した結果 99%の 1 5—ヒ ドロキシペン夕デカン酸 2 (n = 1 0) を含むことがわかった。 一般式 1 の化合物 (n = 1 0, R = M e) からの収率は 94 %である。
実施例 14
粒状亜鉛 (2. 14 g) を取り、 3. 57m lの水と 0. 1 m 1の濃塩酸を加 え、 そこへ塩化第二水銀 (0. 2 1 g) を加え 5分間よくふってアマルガム化す る。 デカンテーシヨ ンして上澄を除去する。 ここへ 1. 34m lの水と 3. 1 m 1 の濃塩酸を加え、 1. 5 m 1 の トルエンと一般式 4の化合物 '( n - 1 0 ) ( 1. 36m m o l e) を添加し、 1 1時間加熱還流する。 6時間後に l m l の濃塩酸を追加した。 反応後、 水、 クロ口ホルムを加え抽出する。 クロ口ホルム 層は水洗し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を留去し 1. 1 0 gの結晶性 残渣を得た。 ガスクロ分析の結果、 1 5—ヒ ドロキシペンタデカン酸 2 (n = 1 0) の収率は 51 %であった。
実施例 1 5
一般式 4の化合物 (n = 1 0) (1. 00 g, 3. 68mmo l e) を 50m Iのメタノールに溶かし、 トルエンスルホニルヒ ドラジ ド ( 1. 4 g) を加え、 3時間加熱還流する。 冷却し攪拌しつつ 1. 4 gのナ ト リウムポロハイ ドライ ド を少しずつ加えた後、 更に 4時間加熱還流する。 反応後、 希塩酸中へ注ぎ、 クロ 口ホルム抽出した。 後処理して 1. 47 gの一部結晶性の残渣を得た。 ガスクロ 分析の結果、 15—ヒ ドロキシペンタデカン酸 2 (n = 1 0) の収率は 62 %で あった。
実施例 16
一般式 1の化合物 ( n = 1 1 , R = M e ) (2. 0 0 g , 6. 1 3 m m o 1 e ) を実施例 13と全く同様にして加水分解、 脱炭酸し、 ヒ ドラジンにより還元
して、 16—ヒ ドロキシへキサデカン酸 2 (n = 11 ) を主生成物として含む結 晶を 1. 59 g得た。 これをベンゼンから再結晶させて 1. 2 gの 16—ヒ ドロ キシへキサデカン酸 2 (n = 11 ) を得た。 m. p. 92〜94°Cであり、 I R, NMRスぺク トルから構造を確認した。
元素分析 C H
C 16H 3203としての計算値 (%) 72. 93 10. 88
実測値 (%) 73. 11 10. 69