明 細 書 酸化酵素、 その酵素を生産する微生物及びその酵素の用途 技術分野 本発明はアル力リ側に至適反応 p Hを有する新規なォキシダーゼ及び その用途に関する。 更に詳しく言えば、 微生物が生産する p H 8以上の アルカリ側に至適反応 p Hを有する新規なポリフヱノールォキシダ一ゼ、 そのォキシダーゼを生産する微生物、 そのォキシダーゼの製造方法、 及 び着色物質やポリフ ノール含有物の酸化処理、 洗浄等の分野における 前記ォキシダーゼの利用方法に関するものである。 背景技術
従来、 ポリフ ノール酸化作用を有する微生物由来の酵素として、 担 子菌類、 不完全菌類等の糸状蘭が生産するポリフ Xノールォキシダ一ゼ やラッカーゼが知られている。 し力、し、 従来のポリフヱノール酸化酵素 は酸性から中性域に至適反応 P Hを有するものであり、 アル力リ側、 特 に p H 8以上のアル力リ側で活性が著しく低いため、 実際の用途が限ら れていた。
例えば、 ポリフヱノール酸化酵素の漂白への利用については、 W091 - 05839、 EP91610032s DE4008894 特開昭 64-60693号などに記載されて いる。 しかしながら、 洗濯などの洗浄操作は、 通常アルカリ p H域で行 われ、 特に過酸化水素存在下での酸化漂白を同時に行う場合には過酸化 水素の漂白作用を促進するためにもアル力リ P Hでの洗浄操作が望まし い。 従って、 こうした用途にポリフヱノールォキシダーゼを用いる場合、
酸性 p Hに至適反応 p Hを有する従来の酵素では実質的に利用は困難で あつ /
ポリフエノールを構造部分に有する天然物として、 フラボノィ ド系、 キサントン系、 メラニン系などの植物色素やリグニンが知られており、 ポリフヱノ一ルォキシダーゼはこれらの天然物に対する酸化作用を有す る。 また、 毒性が問題になっているジクロロフエノール、 トリクロロフ ヱノールをもポリフヱノールォキシダーゼは反応基質にできる。 それ故 に、 これらの天然物や非天然物を含有する排水処理においてもポリフユ ノールォキシダーゼは有用である。 しかし従来の酵素では酸性 p Hから 中性 P Hに至適反応 p Hを有するためアル力リ p H域での利用は実質的 に困難であり、 このことがポリフヱノールォキシダーゼの産業上の利用 範囲を狭くする要因となっていた。
—方、 動植物由来のポリフエノールォキシダーゼの中には、 p H 8以 上の高 p Hに至適 p Hを有するものが知られている (Comp. Biochem. Physiol. , 1992, 102B, 4, 891-896 : Zhongguo Nongye Huaxue Huizhi, 1991, 29, 2, 177-185 : Agric. Biol. Chem. , 1991, 55, 1, 13-17) 。 しかしながら、 これらのポリフエノールォキシダーゼを動植物の組織か ら安定かつ安価に生産することは困難であり、 産業上の利用に供するた めには微生物由来のアル力リ側に至適反応 p Hを有するポリフヱノール ォキシダーゼが望まれていた。 発明の開示
本発明の課題は、 P H 8以上のアル力リ側に至適反応 p Hを有するポ リフユノールォキシダーゼを生産する微生物を探索し、 その微生物が生 産するォキシダーゼを提供し、 アルカリ p H域でのポリフエノール類の 実用的な酵素的酸化を達成して、 ポリフユノールォキシダーゼの利用分
野の拡大に寄与することにある。 図面の簡単な説明
図 1は本発明の SD 3001株由来のポリフエノールォキシダ一ゼの p Hプロファイルを示す図である。
図 2は S D 3001株由来のポリフエノ一ルォキシダ一ゼの温度プロ ファイルを示す図である。
図 3は SD 3001株由来のポリ フエノールォキシダーゼの温度安定 性を示すグラフである。
図 4は S D 3001株由来のポリフヱノールォキシダ一ゼの p H安定 性を示すグラフである。
図 5は SD 3001株培養液由来の各フラクシヨ ンの 280 nmの吸 光度及び活性値のパターンを示す図である。
図 6は SD 3001株培養液由来のフラクシヨン No. 59の吸光度 を示すグラフである。
図 7は G F C分析 (H P L C) における S D 3001株培養液由来の フラクション No. 59の溶出パターンを示す図である。
図 8は SD 3001株由来のポリ フ エノールォキシダーゼと市販のポ リフヱノールォキシダーゼとの混合物の p Hプロフアイルを示す図であ る。
図 9は本発明の S D 3002株由来のポリフヱノ一ルォキシダーゼの pHプロファイルである。
図 10は SD 3002株由来のポリフエノ一ルォキシダ一ゼの温度プ 口フアイルである。
図 11は SD 3002株由来のポリフエノールォキシダーゼの温度安 定性を示すグラフである。
図 12は SD3002株由来のポリフエノールォキシダーゼの p H安 定性を示すグラフである。
図 13は SD 3002株培養液由来の各フラクシヨ ンの 280 nmの 吸光度及び活性値のパターンである。
図 14は SD 3002株由来のポリフエノールォキシダーゼと市販の ポリフヱノールォキシダーゼとの混合物の p Hプロファイルである。 発明の詳細な説明
本発明者らはポリフヱノ—ル物質の酸化をアル力リ p H域において触 媒する酵素を菌体外に生産する微生物を求めて広範な微生物について鋭 意探索を行った。 その探索は極めて困難であつたが、 ついに不完全菌類 であるミロセシウム ( yrothecium) 属に属する菌株が p H 8以上のァ ルカリ側に至適反応 p Hを有する目的の酵素を菌体外に生産することを 見出し、 本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下のものを提供するものである。
1) 微生物由来の p H 8以上のアル力リ側に至適反応 p Hを有するポ リフヱノールォキシダーゼ。
2) ミロセシウム (Myrothecium) 属細菌由来の前記 1) 記載のポリ フエノールォキシダーゼ。
3 ) 下記の性質を有する前記 1) または 2) 記載のポリフ ノ一ルォ キシダ一ゼ。
(1) 作用
ポリフヱノールを酸化する。
(2) 至適反応 p H
PH8. 5〜9付近に至適反応 ρΗを有する。
(3) 至適反応温度
約 6 crcに至適反応温度を有する。
(4) 分子量
ゲルろ過ク ロマ トグラ フ ィ ー分析により測定した分子量が約
62, 000である。
(5) 等電点電気泳動により測定した等電点は 4.5±0.5 である。
4 ) ミ ロセシウム · ヴェノレカ リア (Myrothecium verrucaria) 力ヽら得 ることのできる前記 1) 〜3) 記載のポリフヱノ一ルォキシダーゼ。
5 ) ミ ロセシウム · ヴェノレカ リア (Myrothecium verrucaria) S D 3 001 (受託番号 FEBM P- 14955) から得ることのできる前記 1 ) 〜 3 ) 記載のポリフエノールォキシダーゼ。
6) 下記の性質を有する前記 1) または 2) 記載のポリフユノールォ キシダーセ。
(1) 作用
ポリフ ノールを酸化する。
(2) 至適反応 p H
P H 9付近に至適反応 p Hを有する。
(3) 至適反応温度
70°C付近に至適反応温度を有する。
(4) 分子量
ゲルろ過クロマ トグラフィ ー分析により測定した分子量が約
60, 000である。
(5) 等電点電気泳動により測定した等電点は 4.1±0.5 である。
7 ) ミ ロセシウム · 口 リダ厶 (Myrothecium roridum) から得る こ と のできる前記 1) 、 2) または 6) 記載のポリフヱノ一ルォキシダーゼ。 8) ミ ロセシウム · 口 リダム (Myrothecium roridum) S D 3 0 0 2 (受託番号 FE P- 15255) から得ることのできる前記 1 ) 、 2) または
6 ) 記載のポリフヱノールォキシグーゼ。
9) 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフエノールォキシダー ゼを作用させることを特徴とする、 フヱノール化合物、 アルコキシル基 含有芳香族化合物、 ハロゲン化フニノール化合物、 または芳香族ァミ ン 化合物の処理方法。
1 0) 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフユノールォキシダ ーゼを作用させることを特徴とする着色物質の処理方法。
1 1) 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフヱノールォキシダ ーゼを作用させることを特徴とする微生物またはゥィルスの処理方法。 12) 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフヱノールォキシダ ーゼを作用させることを特徴とする紙、 パルプ、 または繊維の処理方法。 13) 洗浄剤、 洗剤、 または界面活性剤と共に用いることを特徴とす る前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフユノールォキシダ一ゼの 使用方法。
14) ペルォキシダーゼ作用を有する物質と共に用いることを特徴と する前記 1 ) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフ ノールォキシダーゼ の使用方法。
1 5) 酸化剤として空気、 酸素、 オゾン、 過酸化水素、 過酸化水素前 駆体、 過酸前駆体または過酸を単独でまたは複数組み合わせて、 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフヱノールォキシダーゼと共に用いる ことを特徴とするポリフヱノールォキシダーゼの使用方法。
1 6) ォキシダーゼをその基質と共に用いることを特徴とする前記 1) 乃至 8) のいずれかの項に記載のポリフヱノ一ルォキシダーゼの使用方 法。
1 7) ミロセシウム (ityrothecium) 属に属する細菌を培養すること を特徴とする前記 1) 乃至 8) のいずれかの項に記載のポリフエノール
ォキシダーゼの製造方法。
1 8) ミロセシウム (Myrothecium) 属細菌がミ 口セシウム · ヴエル カリア (Myrothecium verrucaria) である前記 1 7 ) 記載のポリフヱノ ―ルォキシダ一ゼの製造方法。
1 9) ミ ロセシウム (Myrothecium) 属細菌がミ 口セシウム · ヴエル カ リア (Myrothecium verrucaria) S D 3 0 0 1 (受託番号 FEBM P-14955) またはその変異株である前記 1 7) 記載のポリフヱノ一ルォ キシダーゼの製造方法。
2 0) ミロセシウム (Myrothecium) 属菌類がミ ロセシウム . 口リダ ム (Myrothecium roridum) である前記 1 7 ) 記載のポリ フヱノ一ルォ キシダ一ゼの製造方法。
2 1) ミ ロセシウム (Myrothecium) 属菌類がミ ロセシウム · 口 リ ダ ム (Myrothecium roridum) S D 3002 (受託番号 FERM P-15255) ま たはその変異株である前記 1 7) 記載のポリフヱノールォキシダ一ゼの 製造方法。
22) ミ ロセシウム · ヴェルカ リァ (Myrothecium verrucaria) S D 3 00 1 (受託番号 FEM P-14955) 。
23) ミ ロセシウム · ロ リダム ( yrothecium roridum) S D 3 0 0 2 (受託番号 FERM P-15255) 。
24) 前記 1) 乃至 8) のいずれかに記載のポリフヱノ一ルォキシダ ーゼを含むことを特徴とする洗剤組成物。
[生産菌]
本発明のポリフエノ一ルォキシダ一ゼを得るために用いるミロセシゥ ム属に属する菌株にはミ口セシウム · 口リダム (Myrothecium roridum) 、 ミ ロセシウム - ヴェゾレカ リ ア (Myrothecium verrucaria) 、 ミ ロセシ ゥム · プレス 卜二 (Myrothecium prestonii) 、 ミ ロセシウム ♦ ロイコ
トリカム (Myrothecium leucotrichum) が挙げられる力 、 好ましくはミ 口セシウム · ヴェノレカ リア (Myrothecium verrucaria) Λ ミ ロセシウム • 口リダム (Myrot ecium roridum) 、 特に好ましく はミ 口セシウム · ヴエルカリア S D 3 0 0 1 (Myrothecium verrucaria SD3001) ある いはミロセ ウム ·ロリダム S D 3 0 0 2 (Myrothecium roridum SD 3002) を用いる。
なお、 ミ ロセシウム * ヴエルカ リア S D 3 0 0 1 ( Myrothecium verrucaria SD3001) は 1995年 5月 2 9日に日本国茨城県つくば市東 1 丁目 1番 3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に FERM P-14955として寄託され、 1996年 4月 2 4日に FERM BP- 5520として 国際寄託に移管されている。 また、 ミロセシウム · ロリダム S D 3 0 0 2 (Myrothecium roridum SD3002) は 1995年 1 0月 2 6日に日本国茨城 県つくば市東 1丁目 1番 3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業 技術研究所に FEM P-15255 として寄託され、 1996年 4月 2 4日に FERM BP-5523として国際寄託に移管されている。
本発明のポリ フエノ ールォキシダ一ゼを生産する ミ 口セシウム (Myrothecium) に属する代表的な菌株について、 マルトエキス寒天培 地上での集落の色調、 形状及び分生子、 分生子形成構造等の形態を観察 した観察の結果を下記に示す。
項目 性状
集落表面の色 白色〜黄白色, 黒色の分生子座を認める 集落裏面の色 白色〜黄白色
集落表面の組織 やや羊毛状
菌糸 無色, 滑面, 幅 1.5〜 3/ m
フィ アラィ ド 円柱形, 3〜 6本輪生
大きさ 10〜15x 1.5〜 2 / D1
分生子 紡錘形〜レモン形
大きさ 6〜8 X 2〜 3.5jum
—部は先端に扇形の付属糸を形成 本菌株は、 分生子の一部が先端に扇形の付属糸を形成することからミ 口セシウム 《 ヴェノレカ リ ア S D 3 0 0 1 (Mvrothecium verrucaria SD3001) と命名された。
本発明のポリ フヱノールォキシダーゼを生産する ミ 口セシウム (Mvrothecium) に属する他の代表的な菌株について、 ポテトキヤロッ ト寒天培地 (P C A) 上で、 25°Cにて 1 4日間培養したときの集落の 色調、 形状及び分生子、 分生子形成構造等の形態観察の結果を下記に示 す。
項目 性状
生育速度 集落の直径 54〜56卿
集落表面の色 白色〜黄白色, 黒色の分生子座を認める 集落裏面の色 白色〜黄白色
無色, 滑面, 幅 1.5〜 3 m
フィ アラィ ド 円柱形, 3〜 6本輪生
大きさ 12〜16x 1.5〜 2.5t m
分生子 桿状〜細い楕円形, 両端は丸いが基部は裁断状
大きさ 5.5〜7.5 X 1.5〜 2 m
上記の観察結果から、 本菌株はミ口セシウム · ロリダム S D 30 02 (Myrothecium roridum SD3002) と命名された 0
[酵素の調製]
本発明のポリ フヱノールォキシダーゼは、 前記の ミ 口セシウム (Myrothecium) 属に属する菌株及びその変異株を培養して得られる他、 遺伝子操作菌を利用して調製することも可能である。 すなわち、 そのポ リフヱノールォキシダ一ゼをコ一ドする DN A配列と宿主生物での酵素 発現機能を有する適当なプロモータ一、 及びオペレーター、 夕一ミネ一 ター DN A配列と共に、 宿主生物中でベクターを複製するための複製開 始点を有する DN Aベクターに挿入された発現ベクターを用いて形質転 換された宿主細胞、 もしくは該ポリフヱノ一ルォキシダーゼをコ一ドす る DN A配列と宿主生物での酵素発現機能を有する適当なプロモーター、 及びオペレーター、 ターミネータ一 DN A配列と共に、 宿主細胞 DNA にィンテグレーシヨンせしめることで形質転換された宿主細胞を、 ポリ フヱノールォキシダーゼの発現できる条件のもとに培養し、 さらにポリ フヱノールォキシダーゼを培地から回収する方法によっても生産される。
0
また、 本発明のポリフエノールォキシダーゼは、 前記ポリフエノール ォキシダーゼをコ一ドする D N A配列等をもとに得られるポリフヱノー ルォキシダーゼのァミノ酸配列に関する知見をもとに、 従来の酸性側に 至適反応 P Hを有するポリフヱノールォキシダーゼの D N Aを改変する プロティン ·エンジニアリングの手法によって生産されるものであって もよい。
本発明のポリフヱノ一ルォキシダーゼをコ一ドする D N A断片の取得 のためには、 例えば本発明の菌株からの c D N Aまたはゲノムライブラ リィを分離源とし、 本発明のポリフヱノ一ルォキシダーゼのァミノ酸配 列もしくは既知のポリフヱノ一ルォキシダーゼのァミノ酸配列に基づい て合成されたォリゴヌクレオチドをプローブとして目的の D N A断片を 特定するか、 または酵素活性を発現するクローンを選択するか、 または 該ポリ フエノールォキシダーゼに対する抗体と反応する蛋白質を生産す るクローンを選択するといつた常法によって行うことができる。
本発明のポリフヱノールォキシダーゼを得るための培養は、 通常用い られる合成培地や有機炭素源及び有機窒素源を含む栄養培地が使用可能 である。 また、 C u 2+イオンを金属塩として 0. 001 m Mから 1 O m M、 好ましくは O. Olm Mから 1 m Mの濃度で添加することが望ましい。 培養 温度は 1 0〜 3 5 °C、 好ましくは 2 0〜 3 0 °Cである。 また、 適当な培 養時間は 2 0時間から 1 5 0時間、 好ましくは 4 0時間から 1 0 0時間 である。 分泌されたポリフヱノ一ルォキシダ一ゼは培地中から周知の方 法で回収出来る。 この回収手順には、 遠心分離もしくはろ過、 膜分離に より培地から細胞を分離し、 例えばイオン交換クロマトグラフィ一等に よるクロマトグラフィーを行うという一連の手順によることができる。 また、 限外ろ過膜を用いる膜濃縮も有効である。
[酵素の性質]
( 1 ) ミ ロセシウム - ヴェノレカ リア CMyrothecium verrucaria^) S D 3 001由来の酵素
本発明のポリフエノールォキシダーゼの代表例であるミロセシウム · ヴェルカリァ (Myrothecium verrucaria S D 3001由来の酵素は、 ゲルろ過ク口マトグラフィ一分析により測定した分子量が約 62, 000であ り、 等電点電気泳動により測定した等電点は 4.5±0.5 である。
本酵素は 5〜 1 1の広い p H範囲でポ " フ エノールの酸化反応を行え るが、 好ましい反応 p Hは?〜 1 0、 より好ま しくい反応 p Hは 8〜 9.5 であり、 p H8.5 〜 9付近に至適 p Hがあり、 アルカリ側での酸化 反応を触媒するという特長を有する (図 1) 。 また、 至適温度は約 60 °Cである (図 2) 。 さらには、 様々な一定温度で 30分間の加熱処理を 施した後の活性は、 例えば 60でにおいてはほぼ 1 00%の残存活性を 示す (図 3 ) 。 さ らには、 様々な p Hのバッ ファ一中で 3 0 °C、 3 0分間の処理を施した後の残存活性は、 広範囲の p Hにおいて安定性 を示す (図 4 ) 。 これらの結果は、 ミ ロセシウム · ヴヱルカ リ ア CMyrothecium verrucaria) S D 300 1由来の酵素力中性力ヽらァノレ力 リ性の広範囲の p H域で、 中低温の様々な溶液中での酸化反応を行なう ことを保証する。
(2) ミロセシウム · ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3 0 0 2 由来の酵素
本発明の他のポリフヱノールォキシダーゼの代表例であるミ 口セシゥ ム · 口リダム (Myrot_hecium roridum) S D 3 0 0 2由来の酵素は、 ゲ ルろ過クロマトグラフィ一分析により測定した分子量が約 60, 000であり、 等電点電気泳動により測定した等電点は 4.1±0.5 である。
本酵素は 6〜1 2の広い p H範囲でポリフユノールの酸化反応を行え るが、 好ましい反応 p Hは 8〜1 1、 より好ましい反応 p Hは 8.5 〜
2
10であり、 p H 9付近に至適 p Hがあり、 アルカリ側での酸化反応を 触媒するという特長を有する (図 9) 。 また、 pH8.7 で 10分間の反 応を行った場合の至適温度は 70°C付近にある (図 10) 。 さらには、 70°Cで様々な時間の加熱処理を施した後の活性は、 例えば 30分間の 処理ではほぼ 50%の残存活性を示す (図 11) 。 また、 様々な p Hの バッファ一中で 30°C、 30分間の処理を施した後の残存活性は、 図 1 2に示すように広範囲の p Hにおいて安定性を示す。 これらの結果は、 ミ ロセシウム · ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3002由来の 酵素が中性からアル力リ性の広範囲の p H域で、 中低温の様々な溶液中 での酸化反応を行なうことを保証するものである。
本発明のポリ フ Xノ一ルォキシダ一ゼは、 従来の酸性側に至適反応 p Hを有する酵素と共に組み合わせて用いることも可能である。 つまり、 従来知られている酸性側に至適反応 P Hを有するポリフ ノールォキシ ダーゼと本発明のポリフヱノールォキシダーゼを組み合わせて用いるこ とにより、 酸性からアルカリ性の広範囲の p H域においてポリフヱノー ルォキシダーゼ反応を行うことが可能となる。 このような目的で酵素を 混合して用いる場合の、 酸性側に至適反応 P Hを有するポリフヱノール ォキシダ一ゼの活性量と本発明のポリフヱノ一ルォキシダ一ゼの活性量 の混合比率は、 好ましくは 1 : 10〜; L 0 : 1、 より好ましく は 1 : 3 〜3 : 1である。 このようにして広範囲の pH域においてポリフヱノー ルォキシダーゼ反応を達成することを可能にする点からも本発明のポリ フエノールォキシダーゼは有用である。
[酵素活性測定方法]
本発明において、 ポリオキシダ一ゼのポリフヱノール酸化活性の活性 測定は 20°Cにおいて 20 p pmのシリンガルダジン (syringaldazine) と l O OmMの T r i s— HC 1ノ ッファ一溶液 (p H 8.7) を含む水
3
溶液中で反応を行い、 5 2 5 n mの吸光度を測定することで行う。 そし て、 1分間に 1〃m o 1のシリンガルダジンを酸化する活性量を 1ュニ ッ ト (以下、 Uと略す。 ) と定義した。
[用途]
アル力リ P Hに至適反応域を有する新規な本発明のポリフエノールォ キシダーゼの用途としては、 例えば、 漂白への適用が可能である。
ポリフヱノール酸化酵素の漂白への利用については、 WO91-05839、 DE4008894. 特開昭 64- 60693号などに記載されているが、 洗濯などの洗 浄操作は通常アルカリ p Hで行われ、 特に過酸化水素存在下での酸化漂 白を同時に行う場合には過酸化水素の漂白作用を促進するためにもアル カリ p Hでの洗浄操作が望ましい。 し力、し、 酸性 p Hに至適反応 p Hを 有する従来のポリフヱノールォキシダーゼではこうした用途への実質的 な利用は困難であった。 本発明のポリフエノールォキシダーゼは、 こう したアル力リ洗浄、 アル力リ漂白分野へのポリフヱノールォキシダーゼ の用途を開く ものとして有用である。
過酸化水素による酸化漂白は、 洗浄、 洗濯において現在広く利用され ている。 しかしながら、 過酸化水素は 6 0 °C以下の低温でその漂白力が 十分ではない。 これを改善するために、 過酸前駆体が過酸化水素と共に 用いられているが、 4 0 °C以下の低温での漂白力は十分ではなく、 より 効果の高い漂白系が求められている。 そのため、 様々な酵素的漂白促進 方法が従来より提案されている。 本発明によるポリフヱノ一ルォキシダ ーゼを、 ペルォキシダーゼ、 リグニンペルォキシダーゼ、 マンガンペル ォキシダーゼ等のペルォキシダーゼ作用を有する物質の内の 1つもしく は複数と共存させることにより、 アル力リ P Hでの酸化漂白を促進する ことができ、 本発明のポリフヱノールォキシダ一ゼの有用性は明かであ
酸化漂白に広く用いられている過酸化水素は高価な酸化剤であり、 そ して、 洗浄剤にしばしば用いられている過酸化水素前駆体や過酸前駆体、 過酸はさらに高価な酸化剤である。 また、 ォキシダーゼとその基質を用 いることで過酸化水素を酵素的に生成させることも可能であるが、 こう した過酸化水素発生系もまた高価な酸化剤と考えることができる。 本発 明によるポリフエノールォキシダーゼを、 従来から酸化漂白のために用 いられている酸化剤である空気、 酸素、 オゾン、 過酸化水素、 過酸化水 素前駆体、 過酸前駆体、 または過酸を、 単独で、 または複数組み合わせ て用いることで、 酸化漂白を促進することができる。 従って、 酸化剤を 有効に用いて酸化漂白を達成できる本発明のポリフ ノ一ルォキシダ一 ゼの有用性は明かである。
酸化剤のうち、 過酸化水素前駆体は水に溶解してパーヒ ドロキシルイ オンを生成するものである。 このような物質には、 1水和物もしくは 4 水和物のパーボレート (過硼酸塩) 、 パーカーボネート (過炭酸塩) 、 過ホウ砂、 過ピロリン酸ナトリゥム、 過安息香酸、 尿素一過酸化水素反 応物、 メラミ ンー過酸化水素反応物、 クェン酸過水和物などがあり、 特 にパーボレート、 パーカーボネートが好ましい。 またさらには、 過酸化 水素前駆体としてォキシダーゼ及びその基質による過酸化水素発生系を 用いることもできる。 このようなォキシダ一ゼの例は、 グルコースォキ シダーゼ、 アルコールォキシダ一ゼ、 グリセロールォキシダーゼ、 アミ ンォキシダ一ゼ、 アミノ酸ォキシダーゼ、 D—アミノ酸ォキシダ一ゼ、 ァリールアルコールォキシダ一ゼ、 アルデヒ ドォキシダーゼ、 ガラク ト —スォキシダーゼ、 ソルボースォキシダ一ゼ、 ウレ一トォキシダ一ゼ、 キサンチンォキシダーゼ、 コレステロールォキシダーゼなどがあり、 特 に好ましくはグルコースォキシダ一ゼ、 アルコールォキシダ一ゼである。 また過酸前駆体は、 反応性ァシル基を有する有機化合物もしくはカル
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ボン酸エステル、 カルボン酸無水物、 酢酸塩であり、 このような物質に は TAE D (tetra acetyl ethyl ene Qiamineソ N AMD (tetra ace tyl methylene diamine) TAGU (tetra acetyl glycoluril) D A D H T (diacetyl dioxohexahydro triazine) S NO B S (sodium nonanoy 1 oxybenz ene sulfonate) I S 0 N 0 B S (sodium isononan oyloxybenzene sulfonate) ヽク酸無水物、 安息香酸無水物、 フタ ノレ酸無水物、 P A G (glucose pentaacetate) 、 キシローステ 卜ラァセ テ一卜があり、 特に TAED S NO B Sが好ましい。
さらに、 過酸としては、 例えば D PDDA (diperoxydodecanedioic acid) D P I P A (diperoxyisophthalic acid) MMP PH (magn esium monoperoxyphthalate hexahydrate) N A P A A (nonylamidop eroxyadipic acid) が挙げられる 0
本発明のポリフヱノールォキシダーゼは、 様々な洗浄剤、 洗剤、 また は界面活性剤と共に用いることができる。 これにより、 本発明のポリフ ュノールォキシダーゼを配合した洗浄剤または洗剤組成物が提供される。 このような洗浄剤または洗剤組成物の代表例としては、 洗浄剤または洗 剤組成物重量当たり 1 0 5 0重量%の界面活性剤、 0 50重量%の ビルダー、 1 5 0重量%のアルカリ剤あるいは無機電解質、 0.1 1 0重量%の再汚染防止剤、 酵素、 漂白剤、 蛍光染料、 ケーキング防止 剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも 1種以上の配合成 分からなる洗浄剤または洗剤組成物が挙げられる。
界面活性剤としては石験、 例えば直鎖または分岐アルキルあるいはァ ルケニル硫酸塩、 アミ ド硫酸塩、 直鎖または分岐鎖のアルキル基または アルケニル基を有し、 エチレンォキサイ ド、 プロピレンォキサイ ド及び ブチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加したアルキル またはアルケニル テル硫酸塩のような脂肪族硫酸化物、 アルキルス
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ルホン酸塩、 アミ ドスルホン酸塩、 ジアルキルスルホコハク酸塩、 α— ォレフィ ン、 ビニリデン型ォレフィ ン及び内部ォレフィ ンの各スルホン 酸塩のような脂肪族スルホン酸塩、 直鎖または分岐鎖のアルキルべンゼ ンスルホン酸塩のような芳香族スルホン酸塩、 直鎖または分岐鎖のアル キル基またはアルケニル基を有し、 エチレンオキサイ ド、 プロピレンォ キサイ ド及びプチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加 したアルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩またはアミ ド、 一スルホ脂肪酸塩またはエステル、 アミ ノ酸型界面活性剤、 アルキルま たはアルケニル酸性リ ン酸エステル、 アルキルまたはアルケニルリ ン酸 塩のごときリ ン酸エステル系界面活性剤、 スルホン酸型両性界面活性剤、 ベタイン型両性界面活性剤、 直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアル ケニル基を有し、 エチレンオキサイ ド、 プロピレンォキサイ ド及びプチ レンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加したアルキルまた はアルケニルエーテルあるいはアルコール、 直鎖または分岐鎖のアルキ ル基またはアルケニル基を有し、 エチレンオキサイ ド、 プロピレンォキ サイ ド及びプチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加し たポリォキシェチレンアルキルフェニルエーテル、 高級脂肪酸アルカノ ールアミ ドまたはそのアルキレンォキサイ ド付加物、 ショ糖脂肪酸エス テル、 脂肪酸グリセリ ンモノエステル、 アルキルまたはアルケニルアミ ンォキサイ ド、 テトラアルキルアンモニゥム塩型カチオン界面活性剤な ど洗剤組成物として通常配合される界面活性剤であればいずれも使用可 能である。 また、 陰イオン性界面活性剤の場合の対イオンとしてはナト リウムイオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。 これらの界 面活性剤は、 単独または 2種以上の混合物と して使用される。
ビルダ一及びアル力リ剤あるいは無機電解質としてはオルソリン酸塩、 ピロリ ン酸塩、 ト リポリ酸塩、 メタ リ ン酸塩、 へキサメタリ ン酸塩、 フ
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イチン酸塩などのリ ン酸塩、 エタンー 1, 1—ジホスホン酸及びその誘 導体、 エタンヒ ドロキシー 1, 1, 2— ト リホスホン酸、 エタンー 1 , 2—ジカルボキシ一 1 , 2—ジホスホン酸、 メタンヒ ドロキシホスホン 酸などのホスホン酸塩、 2—ホスホノブタン一 1, 2—ジカルボン酸、 1 一ホスホノブタン一 2, 3, 4一 トリカルボン酸、 α—メチルホスホ ノコハク酸などのホスホノカルボン酸塩、 ァスパラギン酸、 グルタミ ン 酸などのァミ ノ酸塩、 二ト リ 口三酢酸塩、 エチレンジァミ ン四酢酸塩、 ジエチレン ト リアミ ン五酢酸塩などのァミノポリ酢酸塩、 ポリァク リル 酸、 ポリイタコン酸、 ポリマレイン酸、 無水マレイン酸共重合体、 カル ボキシメチルセルロース塩などの高分子電解質、 ポリエチレングリコー ル、 ポリ ビニルアルコールなどの非解離高分子、 ジグリ コール酸、 ォキ シジコハク酸、 カルボキシメチルォキシコハク酸、 ダルコン酸、 クェン 酸、 乳酸、 酒石酸、 ショ糖、 ラク トースなどのカルボキシメチル化物、 ペンタエリスリ トールのカルボキシメチル化物、 ダルコン酸のカルボキ シメチル化物、 ベンゼンポリカルボン酸、 シユウ酸、 リ ンゴ酸、 ォキシ ジコハク酸、 ダルコン酸などの有機酸塩、 ゼォライ トなどのアルミノケ ィ酸塩、 炭酸塩、 セスキ炭酸塩、 硫酸塩、 メタケイ酸塩などの無機塩を アルカリ金属塩として用いることができ、 またデンプン、 尿素などの有 機物質及び塩化ナト リウム、 ベン トナイ トなどの無機化合物を用いるこ とができ、 更には有機アルカリ剤としてトリエタノールァミ ン、 ジエタ ノールアミ ン、 モノエタノールアミ ン、 トリイソプロパノールアミ ンな どを用いることができる。
本発明の洗剤組成物は、 前述のごとく、 界面活性剤、 本発明のポリフ ヱノールォキシダ一ゼ等を構成成分として含むが、 その必要に応じて両 性界面活性剤、 例えばパーボレー ト、 パ一カルボネートなどの漂白剤、 色素、 ビルダー、 例えばポリェチレングリコール、 ポリ ビニルアルコー
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ル、 ポリビニルピロリ ドン、 カルボキシメチルセルロースなどの再汚染 防止剤、 ケーキング防止剤、 酸化防止剤、 例えば他のォキシダーゼやべ ルォキシダーゼ、 プロテアーゼ、 リパーゼ、 アミラーゼ、 セルラーゼな どのその他の酵素を必要に応じて含ませることができる。
洗剤組成物に本発明のポリフユノ一ルォキシダ一ゼ等の酵素を配合す るには如何なる方法で行ってもよいが、 微粉末状の酵素を配合すること は、 洗剤取扱い時の発塵による洗剤使用者や洗剤工業における作業者の 安全衛生上好ましいことではなく、 溶液状態あるいは予め発塵性を抑え た形状に賦形しておく ことが好ましい。
この賦形は、 通常よく用いられるマルメ造粒、 押し出し造粒、 流動造 粒、 遠心流動造粒やその他の方法のいずれによるものであってもよいが、 本発明の洗剤組成物に配合する酵素の形状は特にこれらの方法で賦形さ れたものに限定されるものではない。
脱リグニン、 漂白を目的として、 パルプ工程の一部において本発明の 菌株を接種して本発明のポリフエノールォキシダーゼを生産せしめるか、 もしくは直接本発明の酵素標品を添加して、 チップゃ粗砕パルプ等に作 用させるバイオパルビング、 バイオ漂白が有用な用途分野として挙げら れる。 この場合も、 従来の酸性側に至適反応 p Hを有するポリフニノー ルォキシダーゼと比べて、 アル力リ側に至適反応 p Hを有する本発明の ポリフヱノ一ルォキシダ一ゼの方が p H調整のために使用する薬液の量 を削減することができるのでコスト ·ダウンが可能である。
ポリフヱノールを構造部分に有する天然物として、 フラボノィ ド系、 キサントン系、 メラニン系などの植物色素やリグニンが知られており、 ポリフヱノ一ルォキシダ一ゼはこれらの天然物に対する酸化作用を有す る。 また、 毒性が問題になっているジクロロフヱノール、 トリクロロフ ェノール等の A O X (有機塩基) をもポリフヱノールォキシダーゼは反
応基質にできる。 それ故に、 例えばこれらの天然物や非天然物を含有す る排水処理においても本発明のポリフエノールォキシダーゼは有用であ 4) o
また、 本発明のポリフエノ一ルォキシダ一ゼを用いるバイオセンサー は、 本酵素の特性を反映して、 中性からアルカリ性域の p Hを有する様 々な水溶液、 有機溶媒中の芳香族化合物をモニターするために用いるこ とができ有用である。
また、 本発明のポリフエノールォキシダーゼにより発生するフヱノキ シラジカルの反応性を利用して、 中性〜アル力リ性の p H域において効 率よく微生物やウィルスの殺菌や不活性化を行うことも可能である。 つ まり、 ポリフヱノールォキシダーゼの基質自体の殺菌性に加えて、 酵素 的に発生するフエノキシラジカルによってより強力な殺菌性を与えるこ とが可能である。 しかも、 殺菌処理物がそののち人体に接触もしくは摂 取される場合、 もしくは環境中に放出される場合には、 ポリフエノール ォキシダーゼの基質は酸化によって毒性の軽減された物質に変わってい るため、 必要な時点での殺菌性とその後の安全性の双方を達成できるの で、 有用性が高い。
また、 ポリフヱノールォキシダーゼにより発生するフエノキシラジカ ルゃキノン類を利用してポリマー合成を行う場合も、 適用できる反応の 拡大が期待でき、 本発明のポリフユノールォキシダーゼは有用である。
さらには、 カテコール類等の易酸化性のポリフヱノールを含む物質群 を酸化する場合、 アル力リ p Hでの自動酸化反応と酵素触媒的なポリフ ェノールの酸化反応を同時に進行させることができるアル力リ p Hでの ポリフヱノ一ルォキシダーゼの使用は、 効率の良い酸化処理のために極 めて有効である。
発明を実施するための最良の形態 以下に本発明について代表的な例を示し、 さらに具体的に説明する。 ただし、 これらは単なる例示であり、 本発明はこれらのみに限られるも のではない。 実施例 1 : ミ ロセシウム · ヴヱルカリア (Myrothecium verrucaria) S D 30 01株の培養及び濃縮
2リッ夕一容のフラスコを培養装置に用い、 0.5 %グルコース及び 0. 1 % (NH4 ) 2 S O/| . 1.34%N a H P O | · 12 H2 0. 0.3 % KH2 P〇4、 0.1 %N a C 0.1 %ペプトン、 0.01%酵母エキス、 0.1 mM C u S 04 を含む 400 m lの培地に 2 N-N a OHを加え て p Hを 8としたものに、 ミ ロセシウム * ヴヱルカリァ (Myrothecium verrucaria) S D 3.001 (受託番号 FERM P - 14955) を接種し、 27°C、 3曰間の振とう培養を行った。 培養後、 4 °Cでの遠心分離により除菌さ れた培養ブロスを得た。 これをさらに限外ろ過膜で濃縮、 精製して、 分 子量 10, 000〜: 100, 000 の分画範囲に精製、 濃縮された粗精製濃縮水溶液 (20 U/m 1 ) を得た。 実施例 2 :粗精製
1.34%N a0 H PO^ · 12 H2 0、 0.3 %KH2 P 04、 0.1 %N a C 1によって平衡化した D E A E— C e l l u l o f i n e A— 8 00m (生化学工業 (株) ) カラム (¾620 mm, 50 c c) の上部に、 実施例 1記載の除菌後の培養ブロスをカラム上部の空隙にアプライし、 通液開始と同時に 1フラクション 1 5m lで溶出液の回収を開始した。 345 m lの培養ブロスをアプライした後、 平衡化に使用したものと同 組成の緩衝液によるカラム洗浄と、 N a C 1濃度を 0.15Mに上昇させる
2
ステップワイズにより溶出を行った。 各フラクションの 280 nmの吸 光度とポリフエノールォキシダーゼ活性値のパターンを図 5に示した。 フラクショ ンの内、 N o. 1〜55は 0.1 %N a C 1で溶出を行ったも ので、 No. 56〜 75は 0.15MN a C 1で溶出を行ったものである。 酵素活性はフラクショ ン N 0. 59と 60において強く検出された。 フ ラクシヨ ン No. 59と 60の詳細を表 1に示す。
フラクショ ン 280 nmでの 活 性 精製倍率
No. 吸光度 (unit/ml)
59 3.32 32.4 1 12
60 4.17 15.1 42 なお、 フラクション No. 59の吸光度を 380 nmから 700 nm の範囲で測定した結果、 600 nm近辺での吸収極大が認められた (図 6) o 実施例 3 :基質特異性
実施例 2記載のフラクション No. 59の粗精製ポリフエノールォキ シダーゼを用いてポリフエノ一ル化合物酸化反応の基質特異性を調べた。 室温 (20°C) において、 0.05m Mの基質と l O OmMの T r i s -H C 1バッファー溶液 (pH 8.7) における酵素添加、 無添加での酸素消 費速度の差を測定することで行った。 結果を表 2に示す。
表 2 基質 酸化反応
4—ァニシジン + + +
0—フエ二レンジァミ ン + + +
シリ ンガルダジン + + +
シリンギン酸 + + +
フェルラ酸 + + 実施例 4 :分子量
分子量測定は、 G F C (ゲルろ過クロマトグラフィー) を用いて行つ た。 すなわち、 1.34%N a 2 H P 04 · 1 2 H2 0、 0.3 %K H2 P 04、 l %N a C lによつて流速 1.0 m 1 /m i nで平衡化した G F C カラム (Shodex PROTEIN KW- 802.5, 2連) と UV検出器 (2 8 0 nm) を用いる H P L Cにより、 実施例 2記載のフラクショ ン N o. 59の粗 精製ポリフエノールォキシダーゼの分析及び分取と活性測定を行ったと ころ、 ポリフエノールォキシダ一ゼ活性ピークは分子量 62, 000であつた。 . 分子量マーカ一蛋白質は、 ォリェンタル工業 (株) の MW— M a r k e r (H P L C) を用いた。 なお、 上記 G F C分析 (H P L C) における フラクショ ン N o. 5 9の溶出パターンを図 7に示した。 実施例 5 :紅茶汚染布の漂白処理
0.1 %Tw e e n 8 0、 0.02%の活性化ゼォライ ト粉末を含む 5 0 m M 炭酸ナ ト リウムバッファ— (p H9.0 ) 1 0m 1 に 5 X 5 cmの紅 茶汚染布を浸漬し、 さらにここに、 予め実施例 2記載のフラクシヨ ン N o. 5 9の粗精製ポリフヱノールォキシダ一ゼを他の漂白剤と組み合
わせて調製した配合物を添加し、 これを 30°Cで 4 0分間振とうするこ とで洗浄、 漂白処理を行った。 その後、 水洗、 風乾し、 色彩色差計 (CR -200, MINOLTA 製) によって XY Z表色系 (C I E (国際照明委員会) 標準表色) に基づく Y, y, X値を測定し、 さらに次式
Z = (1 - X - y ) Y/y
によって Z値を算出した。 そして、 処理前後の Z値の差 (Δ Ζ値) によ つて、 白色度の上昇を評価した。 結果を表 3に示す。
なお紅茶汚染布は、 市販の紅茶 1 60 g (ホテルレス トラン . プレン ド ·セイロン, 日本紅茶 (株) ) を 5 リ ッ トルの沸騰水に入れ、 5分間 煮沸後、 ろ過により紅茶を取り除き、 ろ液を 5分間沸騰させたあと木綿 白布を入れ再び 5分間煮沸し、 布を取り出し乾燥後、 イオン交換水によ り十分に水洗し、 再乾燥したものを用いた。 表 3 添加物 △ z値 添加物なし 0.2 l UZral粗精製酵素液
200ρρπ!過酸化水素 4, 8
1 UZml粗精製酵素液 + 200ppm過酸化水素 6.5
200ρρπιノヽ。一力—ボネ一 卜 · Na塩 2.8
1 UZinl粗精製酵素液 + 200ρρπιパーカーボネー 卜 · Na塩 6
200ρρπιパーカーボネー 卜 ' Na塩 + 50ppm TAED 6.1
1 U/ral粗精製酵素液 + 200ppraパ—カーボネー ト * Na塩 + 50ppra TAED 8.1
200ppraパ一カーボネ一 卜 ' Na塩 + 50ppni SNOBS 7.2
1 U/ral粗精製酵素液 + 200ρρπパ—力—ボネー 卜 * Na塩 + 50ppm SNOBS 8.7
実施例 6 : 5 リ ッター培養槽での培養及び濃縮、 粗精製
0.5 %グルコース及び 0.1 %N a N03、 1.34%N a 2 H P 0. · 1 2 H2 0、 0.3 %KU2 P〇4、 0. l %N a C l、 0.2 %ペプトン、 2 0 p p m酵母エキス、 0.01%Mg S O4 * 7 H2 O、 0.1 mM C u S 04 からなる 3 リ ツターの培地に 1 0%N a 0 Hを加えて p Hを 8とし たものを含む 5 リ ッタ一培養槽にミ ロセシウム ·ヴヱルカリア (Myroth ecium verrucaria) S D 3 0 0 1 (受託番号 FE P- 14955) を接種し、 2 8°C、 3日間の振とう培養を行った。 培養後、 4°Cでの遠心分離によ り除蘭された培養ブロス 2.5 リツターを得た。
次に、 この培養ブロスの一部を、 ミニタ ン · フィ ルタ一バケツ ト (CAT. NO.: PTGC0MP04, ミ リポア社製) を用いるミニタン限外ろ過シス テム (ミ リポア社製) によって、 分子量 10, 000以上の画分として濃縮し た。 これをさらに、 D E AE— C e l l u l o f i n e A— 8 0 0m カラムクロマトグラフィ一に供し、 溶出した活性画分を再び、 上記のミ 二タン限外ろ過システムによって、 分子量 10, 000以上の画分として再濃 縮した。 さらにこの再濃縮液を 2 O O p pmNH4 H C Οπ に対して透 析後、 凍結乾燥に供し、 粗精製物を凍結乾燥品として得た。 凍結乾燥品 のポリフエノールォキシダ一ゼ活性は 1 0 U Zm gであった。 実施例 7 :酵素含有洗剤による汚染布の処理
25重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナト リ ウム (L A S) 及び 5重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、 1 5重量%のト リボリ リ ン酸ナトリウム、 6重量%のゲイ酸ナトリ ウム、 1重量%の力 ルポキシメチルセルロースナ ト リ ウム、 4 8重量%のN a 2 S 04 から なる指標洗剤 1 0グラムに、 実施例 6記載の凍結乾燥品を 0.1 グラム添 加したものを酵素配合洗剤とし、 凍結乾燥品を添加していないものを酵
素非配合洗剤とした。
また、 木綿白布 (5 c m X 5 c m) の中央に 1 0 0 p p mエバンスプ ルー (和光純薬工業 (株) ) 0.2 m 1を加えることで汚染布を調製した。 次に、 5 0 0 m 1容ビーカーに汚染布 1枚と水 1 Om 1を加えた後、 さらに酵素配合洗剤または酵素非配合洗剤を 1 Om g添加し、 12分間 振とうすることで洗浄処理を行った。 処理後の汚染布は、 水洗、 風乾し、 実施例 5と同様に色彩色差計 (CR-200, MINOLTA 製) によって Z値を算 出したところ、 酵素配合洗剤は、 酵素非配合洗剤に比べ、 6ポイン トの 白色度向上を示した。 実施例 8 :粗精製パルプの漂白処理
5 0 0 m l容のビーカ一を培養装置に用い、 0.3 %グルコース及び 0.05% (NH^ ) 2 S 04、 1.34%N aり H P 04 · 1 2 H。 0、 0.3 %KH2 04 . 0.1 %N a C 0.02%ぺプトン、 50 p pm酵母ェキ ス、 0.02mM C u S 04、 8%広葉樹未漂白クラフトパルプ (L UK P) (カッパ一価 1 8) を含む 5 Om 1の培地に 2 N-N a OHを加え て p Hを 8.5 としたものにミ ロセシウム · ヴエルカリア (Myrothecium verrucaria) S D 3001 (受託番号 FERM P-14955) を接種し、 27°C、 4日間の静置培養を行った後に力ッパー価を測定したところ 5ポイント のカッパ一価の向上を認めた。 実施例 9 : ミロセシウム ·ヴエルカリア (Mv_rothecium verrucaria) S D 3001由来酵素と従来のポリフヱノ一ルォキシダ一ゼとの混合 試薬として市販されているポリフヱノールォキシダーゼ (Bigidoporu s zonal is 由来、 Takara (株) ) 0.1 U/m 1溶液と、 本発明のポリつ エノ—ルォキシダーゼの 0.2 UZm 1溶液を等容量混合したものを用い
て様々な p Hで活性測定を行つたところ、 図 8に示したように pH5〜 11の広範囲の pHにおいて酸化反応が進行した。 実施例 10 : ミ ロセシウム · ロ リダム (Myrothecium roridum) S D 3 002株の培養及び濃縮
2リ ッ夕一容のフラスコを培養装置に用い、 1%グルコース及び 0.2 ^NH^ C 1、 1.34%N a 2 H P 0 ^ · 12 H2 0、 0.3 %KH。 P 0 t、 0.1 %N a C 0.2 %ペプトン、 0.05%Mg S〇4 · 7H2 0、 0.02mMC u S 04 を含む 550 m lの培地に 2 N— N a OHを加えて pHを 8としたものに、 ミロセシウム · ロリダム (Myrothecium roridu m) S D 3002 (受託番号 FERM P- 15255) を接種し、 2 7。C、 90時 間の振とう培養を行った。 培養後、 4°Cでの遠心分離により除菌された 培養ブロスを得た。 これをさらに限外ろ過膜で濃縮、 精製して、 分子量 10, 000〜100,000 の分画範囲に精製、 濃縮された粗精製濃縮水溶液 (0.4 U/m 1 ) を得た。 実施例 11 :粗精製
1.34%N a0 H P 04 · 12 H2 ◦、 0.3 %KH2 P〇4 、 0.1 % N a C 1によって平衡化した D E A E— C e 1 1 u 1 o f i n e A— 800 m (生化学工業 (株) ) カラム (026 mm, 90 c c) の上部 に、 実施例 10記載と同様の方法で得た除菌後の培養ブロスをカラム上 部の空隙にァプラィし、 通液開始と同時に 1フラク ショ ン 16 m 1で溶 出液の回収を開始した。 480 m lの培養ブロスをアプライした後、 平 衡化に使用したものと同組成の緩衝液による力ラム洗浄と、 N a C 1濃 度を 0.12Mに上昇させるステップワイズにより溶出を行った。 各フラク シヨンの 280 n mの吸光度とポリフエノ一ルォキシダ一ゼ活性値のパ
ターンを図 13に示した。 フラクションのうち、 N o. 1〜70は0.1 %N a C 1で溶出を行ったもので、 N 0. 71〜10 (Hi0.12M N a C 1で溶出を行ったものである。 酵素活性はフラクシヨン No. 80〜 84において強く検出された。 実施例 12 :基質特異性
実施例 1 1記載のフラクシヨン No. 82の粗精製ポリフヱノールォ キシダーゼを用いてポリ フエノール化合物酸化反応の基質特異性を調べ た。 室温 (20°C) において、 0.05m Mの基質と 1 0 OmMの T r i s 一 HC lバッファー溶液 (pH 8.7) における酵素添加、 無添加での酸 素消費速度の差を測定することで行つた。 結果を表 4に示した。 表 4 酸化反応
シリンガルダジン + +
4一ァニシジン +
o—フエ二レンジァ ン +
フユルラ酸 実施例 13 :分子量
分子量測定は、 GF C (ゲルろ過クロマトグラフィー) を用いて行つ た。 すなわち、 1.34%N a 2 H P O , 1 2Ho O、 0.3 %KH。 P
2
0 、 1 %N a C 1によって流速 1.0 m 1 /m i nで平銜化した G F C カラム (Shodex PROTEIN -802.5, 2連) と U V検出器 ( 280 n m) を用いる H P L Cにより、 実施例 1 1記載のフラクシヨン No. 82の
粗精製ポリフエノールォキシダーゼの分析及び分取と活性測定を行った ところ、 ポリフ ノールォキシダ一ゼ活性ピークは分子量 60, 000であつ た。 なお、 分子量マ一カー蛋白質として、 オリエンタル工業 (株) の M W— M a r k e r (H P L C) を使用した。 実施例 14 : 5リ ッターフラスコでの培養及び粗精製
1 %グルコース及び 0.2 %NHA C l、 1.34%N a9 H P〇4 · 1 2 H2 0、 0.3 %KH2 P 04 、 0.1 %N a C 1、 0.2 %ペプトン、 0.05 %Mg S 04 · 7 H9 0、 0.02mM C u S〇4 からなる 1 リ ツターの 培地に 2 N— N a OHを加えて p Hを 8としたものを含む 5 リ ッ夕一容 のフラスコ 2器に、 それぞれミ ロセシウム ' ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3 0 0 2 (受託番号 FERM P- 15255) を接種し、 2 8°C、 3日間の振とう培養を行った。 培養後、 4°Cでの遠心分離により除菌さ れた培養ブロス 1.6 リ ツ夕一を得た。
次に、 この培養プロスの一部を、 ミニタン ' フィルターパケッ ト (CA
T. NO.: PTGC0 P04, ミ リポア社製) を用いるミニタン限外ろ過システム (ミ リポア社製) によって、 分子量 10, 000以上の画分として濃縮した。 これをさらに、 D E A E— C e 1 l u l o f i n e A— 8 0 0mカラ ムクロマトグラフィ一に供し、 溶出した活性画分を再び、 上記のミニ夕 ン限外ろ過システムによって、 分子量 10,000以上の画分として再濃縮し た。 さらにこの再濃縮液を 2 00 p pmNH4 HC〇3 に対して透析後、 凍結乾燥に供し、 粗精製物を凍結乾燥品として得た。 凍結乾燥品のポリ フエノ一ルォキシダ一ゼ活性は 5 U/m gであった。 実施例 1 5 :酵素含有洗剤による汚染布の処理
25重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LA S) 、
5重量%のポリオキシェチレンラウリルエーテル、 1 5重量%の ト リポ リ リ ン酸ナ トリウム、 6重量%のケィ酸ナト リウム、 1重量%のカルボ キシメチルセルロースナトリウム、 及び 48重量%のN a 2 S 04 から なる指標洗剤 1グラムに、 実施例 1 4記載の凍結乾燥品を 0.01グラム添 加したものを酵素配合洗剤とし、 凍結乾燥品を添加していないものを酵 素非配合洗剤とした。
また、 木綿白布 (5 cmx 5 c m) の中央に 1 0 0 p pmエバンスブ ルー (和光純薬工業 (株) ) 0.2 m 1を加えることで汚染布を調製した。 次に、 5 0 0m 1容ビーカーに汚染布 1枚と水 1 Om 1を加えた後、 さらに酵素配合洗剤または酵素非配合洗剤を 1 O m g添加し、 1 2分間 振とうすることで洗浄処理を行った。 処理後の汚染布は、 水洗、 風乾し、 色彩色差計 (CB- 200, MINOLTA 製) によって Y, y, x値 (前記と同じ 意味を表わす) 、 を測定し、 さらに次式
Z= (1 - X - y) Y/y
によって処理前後の Z値の差 (Δ Ζ値) を算出したところ、 酵素配合洗 剤は、 酵素非配合洗剤に比べ、 3ポイン トの白色度向上を示した。 実施例 1 6 : ミロセシウム · ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3 0 02由来酵素と従来のポリフエノールォキシダーゼとの混合
試薬として市販されているポリフユノールォキシダーゼ (Bigidoporu s zona lis 由来、 TaKaRa (株) ) 0.1 Ό/m 1溶液と、 本発明のポリ フエノールォキシダーゼの 0.2 U/m 1溶液を等容量混合したものを用 いて様々な p Hで活性測定を行つたところ、 図 1 4に示したように p H 5〜1 1の広範囲の p Hにおいて酸化反応が速やかに進行した。 実施例 1 7 :等電点の測定
実施例 1 4記載の凍結乾燥品について、 ロ トフォア · システム (B I 0— R A D社製) を用いる等電点電気泳動により等電点を測定した。 バ ッファーにはフアルマライ ト (p H 2. 5〜5) ( S i g m a社から入手) を使用した。
その結果、 ミロセシウム · ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3
0 0 2 (受託番号 FERM P-15255) 由来のポリフエノールォキシダ一ゼの 等電点は 4. 1 ± 0. 5 であった。 また、 実施例 6に記載の凍結乾燥品につ いて同様の方法により測定したミ口セシウム · ヴヱルカリア (Mvrothec ium verrucaria) S D 3 0 0 1 (受託番号 FERM P-14955) 由来のポリフ エノールォキシダ一ゼの等電点は 4. 5 ± 0. 5 であった。 産業上の利用可能性
以上詳細に説明した通り、 本発明により p H 8以上のアル力リ側に至 適反応 p Hを有するポリフユノールォキシダーゼが提供され、 これを用 いることによりアルカリ P H域での酵素的酸化を達成し、 ポリフエノー ル物質や着色物質の酸化処理や、 洗浄、 漂白といったポリフユノールォ キシダーゼの利用分野が拡大される。
また、 本発明のポリフヱノ一ルォキシダ一ゼの製造方法により、 本発 明のポリフエノールォキシダ一ゼを効率良く製造できる。
また、 本発明のミロセシウム · ヴェルカリァ (Myrothecium verrucar ia) S D 3 0 0 1及びミロセシウム ' ロリダム (Myrothecium roridum) S D 3 0 0 2は本発明のポリフヱノ一ルォキシダ一ゼの製造に有効であ り、 更にパルプの漂白処理に直接使用しても高い効果が得られる。
また、 本発明のポリフヱノ一ルォキシダーゼを用いることにより、 有 効な着色物質の処理、 紙、 パルプもしくは繊維の処理、 漂白処理、 洗浄 処理、 または、 微生物もしく はウィルスの殺菌や不活性化処理等の方法
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PCT/JP96/01594
が提供される ,