JPH11299482A - 酸化酵素及びその用途 - Google Patents

酸化酵素及びその用途

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JPH11299482A
JPH11299482A JP32877795A JP32877795A JPH11299482A JP H11299482 A JPH11299482 A JP H11299482A JP 32877795 A JP32877795 A JP 32877795A JP 32877795 A JP32877795 A JP 32877795A JP H11299482 A JPH11299482 A JP H11299482A
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polyphenol oxidase
polyphenol
myrothecium
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oxidase
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JP32877795A
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Takashi Echigo
貴 愛知後
Shiro Fukuyama
志朗 福山
Ritsuko Ono
律子 大野
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Novo Nordisk AS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 pH8以上のアルカリ側に至適反応pHを有
するポリフェノールオキシダーゼ、その生産微生物及び
用途の開発、提供。 【解決手段】 ミロセシウム属細菌が生産するポリフェ
ノールオキシダーゼ、該酵素を含有する洗剤組成物、ミ
ロセシウム・ヴェルカリア SD3001(受託番号F
ERM P−14955)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微生物が生産するpH
8以上のアルカリ側に至適反応pHを有するポリフェノ
ールオキシダーゼとその生産微生物に関する。更に詳し
くは、新規な特性を有する酵素により、着色物質の酸化
処理やポリフェノール含有物の酸化処理、洗浄に関して
新たな酵素利用方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェノール酸化作用を持つ微
生物由来の酵素として、担子菌類、不完全菌類等の糸状
菌が生産するポリフェノールオキシダーゼやラッカーゼ
が知られている。しかしながら、従来のポリフェノ−ル
酸化酵素はpH8以上のアルカリ側で活性が著しく低い
ため、実際の用途が限られていた。例えば、ポリフェノ
ール酸化酵素の漂白への利用については、WO91−0
5839、EP91610032、DE400889
4、特開昭64−60693などに記載されている。し
かしながら洗濯などの洗浄操作は通常アルカリpHで行
われ、特に過酸化水素存在下での酸化漂白を同時に行う
場合には過酸化水素の漂白作用を促進するためにもアル
カリpHでの洗浄操作が望ましい。従って、こうした用
途にポリフェノールオキシダーゼを用いる場合、酸性p
Hに至適反応pHを有する従来の酵素では実質的な利用
は困難であった。
【0003】ポリフェノールを構造部分に有する天然物
として、フラボノイド系、キサントン系、メラニン系な
どの植物色素やリグニンが知られており、ポリフェノー
ルオキシダーゼはこれらの天然物に対する酸化作用を有
する。また、毒性が問題になっているジクロロフェノー
ル、トリクロロフェノールをもポリフェノールオキシダ
ーゼは反応基質にできる。それ故に、これらの天然物や
非天然物を含有する排水処理においてもポリフェノール
オキシダーゼは有用である。しかしながら従来の酵素で
は酸性pHから中性pHに至適反応pHを有するためア
ルカリpHでの利用は実質的に困難であり、このことが
ポリフェノールオキシダーゼの産業上の利用範囲を狭く
する要因となっていた。
【0004】一方、動植物由来のポリフェノールオキシ
ダーゼの中には、pH8以上の高pHに至適pHを有す
るものが知られている。(Comp. Biochem. Physiol.,19
92,102B(4)891-896 : Zhongguo Nongye Huaxue Huizhi,
1991,29(2),177-185 : Agric. Biol. Chem.,1991,55
(1),13-17)しかしながら、これらのポリフェノールオ
キシダーゼを動植物の組織から安定かつ安価に生産する
ことは困難であり、産業上の利用に供するためには微生
物由来のポリフェノールオキシダーゼが望まれていた。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題は、微生物が生産するpH8以上のアルカリ
側に至適反応pHを有するポリフェノールオキシダーゼ
とその生産微生物を提供し、これを用いることでアルカ
リpHでのポリフェノールの酵素的酸化を達成し、ポリ
フェノールオキシダーゼの利用分野の拡大に寄与するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段・作用】ポリフェノール酸
化作用を持つ微生物由来の酵素として、担子菌類、不完
全菌類等の糸状菌が生産するポリフェノールオキシダー
ゼやラッカーゼが知られている。しかしながら、従来の
ポリフェノールオキシダーゼはpH8以上のアルカリ側
で活性が著しく低いため、実際の用途が限られていた。
【0007】そこで、本発明者らはポリフェノ−ル物質
の酸化をアルカリpHにおいて触媒する菌体外生産物を
広範な微生物において鋭意探索を行った。その探索は極
めて困難であったがついに、不完全菌類であるミロセシ
ウム(Myrothecium )属に属する菌株がpH8以上のア
ルカリ側に至適反応pHを有する目的の酵素を菌体外に
生産することを見い出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0008】すなわち本発明は以下のものを提供するも
のである。 1) 微生物由来のpH8以上のアルカリ側に至適反応
pHを有するポリフェノールオキシダーゼ。 2) 下記の性質を有する前記1)記載のポリフェノー
ルオキシダーゼ。 (1)作用 ポリフェノールを酸化する。 (2)至適反応pH pH8.5〜9付近に至適反応pHを有する。 (3)至適反応温度 約60℃に至適反応温度を有する。 (4)分子量 GFC分析により測定した分子量が約62,000。
【0009】3) ミロセシウム(Myrothecium )属細
菌由来の前記1)または2)記載のポリフェノールオキ
シダーゼ。 4) ミロセシウム(Myrothecium )属細菌がミロセシ
ウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucaria)である
前記3)記載のポリフェノールオキシダーゼ。 5) ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verr
ucaria)SD3001(受託番号FERM P−149
55)から得ることの出来る前記1)または2)記載の
ポリフェノールオキシダーゼ。
【0010】6) 前記1)〜5)のいずれか一項に記
載のポリフェノールオキシダーゼを作用させることを特
徴とする、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香
族、ハロゲン化フェノール化合物、または芳香族アミン
化合物の処理方法。 7) 前記1)〜5)のいずれか一項に記載のポリフェ
ノールオキシダーゼを作用させることを特徴とする着色
物質の処理方法。 8) 前記1)〜5)のいずれか一項に記載のポリフェ
ノールオキシダーゼを作用させることを特徴とする、微
生物またはウィルスの処理方法。 9) 前記1)〜5)のいずれか一項に記載のポリフェ
ノールオキシダーゼを作用させることを特徴とする紙、
パルプ、または繊維の処理方法。
【0011】10) 洗浄剤、洗剤、または界面活性剤
と共に用いることを特徴とする前記1)〜5)のいずれ
か一項に記載のポリフェノールオキシダーゼの使用方
法。 11) ペルオキシダーゼ作用を有する物質と共に用い
ることを特徴とする前記1)〜5)のいずれか一項に記
載のポリフェノールオキシダーゼの使用方法。 12) 酸化剤として空気、酸素、オゾン、過酸化水
素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸を、単独
で、または複数組み合わせて用いることを特徴とする前
記1)〜5)のいずれか一項に記載のポリフェノールオ
キシダーゼの使用方法。 13) オキシダーゼ及びその基質と共に用いることを
特徴とする前記1)〜5)のいずれか一項に記載のポリ
フェノールオキシダーゼの使用方法。
【0012】14) ミロセシウム(Myrothecium )属
細菌を培養することを特徴とする前記1)〜5)のいず
れか一項に記載のポリフェノールオキシダーゼの製造方
法。 15) ミロセシウム(Myrothecium )属細菌がミロセ
シウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucaria)であ
る前記14)記載のポリフェノールオキシダーゼの製造
方法。 16) ミロセシウム(Myrothecium )属細菌がミロセ
シウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucaria)SD
3001(受託番号FERM P−14955)または
その変異株である前記14)記載のポリフェノールオキ
シダーゼの製造方法。 17) ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium ve
rrucaria)SD3001(受託番号FERM P−14
955)。 18) 前記1〜5のいずれかに記載のポリフェノール
オキシダーゼを含むことを特徴とする洗剤組成物。
【0013】(生産菌)本発明のポリフェノールオキシ
ダーゼを得るために用いるミロセシウム属に属する菌株
にはミロセシウム・ロリダム(Myrothecium roridum
)、ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verru
caria)、ミロセシウム・プレストニ(Myrothecium pre
stonii )、ミロセシウム・ロイコトリカム(Myrotheci
um leucotrichum)が挙げられるが、好ましくはミロセ
シウム・ヴェルカリア(Myrotheciumverrucaria)、特
に好ましくはミロセシウム・ヴェルカリア SD300
1(Myrothecium verrucaria SD3001 )( 工業技術院生
命工学工業技術研究所にFERM P−14955とし
て寄託)を用いる。本発明での代表的な菌株について、
マルトエキス寒天培地上での集落の色調、形状及び分生
子、分生子形成構造等の形態観察の結果を下記に示す。
【0014】 ────────────────────────────── 項目 性状 ────────────────────────────── 集落表面の色 白色〜黄白色,黒色の分生子座を認める 集落裏面の色 白色〜黄白色 集落表面の組織 やや羊毛状 菌糸 無色,滑面,幅 1.5〜 3μm フィアライド 円柱形, 3〜 6本輪生 大きさ10〜15× 1.5〜 2μm 分生子 紡錘形〜レモン形 大きさ 6〜8 × 2〜 3.5μm 一部は先端に扇形の付属糸を形成 ────────────────────────────── さらには、分生子の一部が先端に扇形の付属糸を形成す
ることから本菌株はミロセシウム・ヴェルカリア SD
3001(Myrothecium verrucaria SD3001 )と命名さ
れた。
【0015】(酵素の調製)本発明のポリフェノールオ
キシダーゼは、前記のミロセシウム属に属する菌株及び
その変異株を培養して得られる他、遺伝子操作菌を利用
して調製することも可能である。すなわち、該ポリフェ
ノールオキシダーゼをコードするDNA配列と宿主生物
での酵素発現機能を有する適当なプロモーター、及びオ
ペレーター、ターミネーターDNA配列と共に、宿主生
物中でベクターを複製するための複製開始点を有するD
NAベクターに挿入された発現ベクターを用いて形質転
換された宿主細胞、もしくは該ポリフェノールオキシダ
ーゼをコードするDNA配列と宿主生物での酵素発現機
能を有する適当なプロモーター、及びオペレーター、タ
ーミネーターDNA配列と共に、宿主細胞DNAにイン
テグレーションせしめることで形質転換された宿主細胞
を、ポリフェノールオキシダーゼの発現できる条件のも
とに培養し、さらにポリフェノールオキシダーゼを培地
から回収する方法によっても生産される。
【0016】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼは、該ポリフェノールオキシダーゼをコードするDN
A配列等をもとに得られる該ポリフェノールオキシダー
ゼのアミノ酸配列に関する知見をもとに、従来の酸性側
に至適反応pHを有するポリフェノールオキシダーゼの
DNAを改変するプロテイン・エンジニアリングの手法
によって生産されるものであってもよい。
【0017】本発明のポリフェノールオキシダーゼをコ
ードするDNA断片の取得のためには、例えば本発明の
菌株からのcDNAまたはゲノムライブラリィを分離源
とし、本発明のポリフェノールオキシダーゼのアミノ酸
配列もしくは既知のポリフェノールオキシダーゼのアミ
ノ酸配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチドをプ
ローブとして目的のDNA断片を特定するか、または酵
素活性を発現するクローンを選択するか、または該ポリ
フェノールオキシダーゼに対する抗体と反応する蛋白質
を生産するクローンを選択するといった常法によって行
うことができる。
【0018】本発明のポリフェノールオキシダーゼを得
るための培養は、通常用いられる合成培地や有機炭素源
及び有機窒素源を含む栄養培地が使用可能である。ま
た、Cu2+イオンを金属塩として0.001mMから1
0mM、好ましくは0.01mMから1mMの濃度で添
加することが望ましい。培養温度は10〜35℃、好ま
しくは20〜30℃である。また、適当な培養時間は2
0時間から150時間、好ましくは40時間から100
時間である。分泌されたポリフェノールオキシダーゼは
培地中から周知の方法で回収出来る。この回収手順に
は、遠心分離もしくはろ過、膜分離により培地から細胞
を分離し、例えばイオン交換クロマトグラフィー等によ
るクロマトグラフィーを行うという一連の手順によるこ
とができる。また、限外ろ過膜を用いる膜濃縮も有効で
ある。
【0019】(酵素の性質)本発明のポリフェノールオ
キシダーゼの代表例であるミロセシウム・ヴェルカリア
SD3001由来の酵素は5〜11の広いpH範囲で
酸化反応を行えるが、好ましくはpH7〜10、より好
ましくはpH8〜9.5であり、pH8.5〜9付近に
至適pHがあり、アルカリ側での酸化反応を触媒すると
いう特長を有する(図1)。また、至適温度は約60℃
であり(図2)、さらには、様々な一定温度で30分間
の加熱処理を施した後の活性は、例えば60℃において
はほぼ100%の残存活性を示した(図3)。さらに
は、様々なpHのバッファー中で30℃、30分間の処
理を施した後の残存活性は、広範囲のpHにおける安定
性を示した(図4)。これらの結果は、中性からアルカ
リ性の広範囲のpH域で、中低温の様々な溶液中での酸
化反応を保証する。
【0020】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼは、従来の酸性側に至適反応pHを有する酵素と共に
組み合わせて用いることも可能である。つまり、従来知
られている酸性側に至適反応pHを有するポリフェノー
ルオキシダーゼと本発明のポリフェノールオキシダーゼ
を組み合わせて用いることで、酸性からアルカリ性の広
範囲のpH域においてポリフェノールオキシダーゼ反応
を行うことが可能となる。このような目的で酵素を混合
して用いるとき、酸性側に至適反応pHを有するポリフ
ェノールオキシダーゼの活性量と本発明のポリフェノー
ルオキシダーゼの活性量の混合比率は、好ましくは1:
10〜10:1、より好ましくは1:3〜3:1であ
る。このようにして広範囲のpH域においてポリフェノ
ールオキシダーゼ反応を達成するためにも、本発明のポ
リフェノールオキシダーゼは有用である。
【0021】(活性測定方法)本発明において、ポリフ
ェノール酸化活性の活性測定は20℃において20pp
mのシリンガルダジン(syringaldazine)と100mM
のTris−HClバッファー溶液(pH8.7 )を含む水
溶液中で反応を行い、525nmの吸光度を測定するこ
とで行った。そして、1分間に1μmolのシリンガル
ダジンを酸化する活性量を1unit(以下Uと略す)
と定義した。また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼを用いてポリフェノール含有物の処理を行うときは、
0.1〜5u/mlの活性濃度で使用した。
【0022】(用途)アルカリpHに至適反応域を有す
る新規なポリフェノールオキシダーゼの用途としては、
例えば、漂白への適用が可能である。ポリフェノール酸
化酵素の漂白への利用については、WO91−0583
9、DE4008894、特開昭64−60693など
に記載されている。しかしながら洗濯などの洗浄操作は
通常アルカリpHで行われ、特に過酸化水素存在下での
酸化漂白を同時に行う場合には過酸化水素の漂白作用を
促進するためにもアルカリpHでの洗浄操作が望まし
い。従って、こうした用途にポリフェノールオキシダー
ゼを用いる場合、酸性pHに至適反応pHを有する従来
の酵素では実質的に利用は困難であった。本発明のポリ
フェノールオキシダーゼはこうした、アルカリ洗浄、ア
ルカリ漂白分野に酵素の用途を開くものとして有用であ
る。
【0023】過酸化水素による酸化漂白は洗浄、洗濯に
おいて現在広く用いられている。しかしながら、過酸化
水素は60℃以下の低温でその漂白力が十分ではない。
これを改善するために、過酸前駆体が過酸化水素と共に
用いられているが、40℃以下の低温での漂白力は十分
ではなく、より効果の高い漂白系が求められている。そ
のため、様々な酵素的漂白促進方法が従来より提案され
ている。ここに開示するポリフェノールオキシダーゼ
を、ペルオキシダーゼ、リグニンペルオキシダーゼ、マ
ンガンペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ作用を有
する物質の内の1つもしくは複数と共存させることで、
アルカリpHでの酸化漂白を促進することができ、本発
明の有用性は明かである。
【0024】酸化漂白のために広く用いられている過酸
化水素は高価な酸化剤であり、そして、洗浄剤にしばし
ば用いられている過酸化水素前駆体や過酸前駆体、過酸
はさらに高価な酸化剤である。また、オキシダーゼとそ
の基質を用いることで過酸化水素を酵素的に生成するこ
とも可能だが、こうした過酸化水素発生系もまた高価な
酸化剤と考えることができる。ここに開示するポリフェ
ノールオキシダーゼを、従来から酸化漂白のために用い
られている酸化剤である空気、酸素、オゾン、過酸化水
素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体、または過酸を、単
独で、または複数組み合わせて用いることで、酸化漂白
を促進することができる。従って、酸化剤を有効に用い
て酸化漂白を達成できる本発明の有用性は明かである。
【0025】酸化剤の内、過酸化水素前駆体は水に溶解
してパーヒドロキシルイオンを生成するものである。こ
のような物質には、1水和物もしくは4水和物のパーボ
レート(過硼酸塩)、パーカーボネート(過炭酸塩)、
過ホウ砂、過ピロリン酸ナトリウム、過安息香酸、尿素
−H22 反応物、メラミン−H22 反応物、クエン
酸過水和物などがあり、特に好ましくはパーボレート、
パーカーボネートである。またさらには、過酸化水素前
駆体としてオキシダーゼ及びその基質による過酸化水素
発生系を用いることもできる。このようなオキシダーゼ
の例は、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダ
ーゼ、グリセロールオキシダーゼ、アミンオキシダー
ゼ、アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダー
ゼ、アリールアルコールオキシダーゼ、アルデヒドオキ
シダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ソルボースオキ
シダーゼ、ウレートオキシダーゼ、キサンチンオキシダ
ーゼ、コレステロールオキシダーゼなどがあり、特に好
ましくはグルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダ
ーゼである。
【0026】また過酸前駆体は、反応性アシル基を有す
る有機化合物もしくはカルボン酸エステル、カルボン酸
無水物、酢酸塩であり、このような物質にはTAED
(tetraacetylethylenediamine)、TAMD(tetraace
tylmethylenediamine )、TAGU(tetraacetylglyco
luril )、DADHT(diacetyldioxohexahydrotriazi
ne)、SNOBS(sodium nonanoyloxybenzene sulfon
ate )、ISONOBS(sodium isononanoyloxybenze
ne sulfonate)、コハク酸無水物、安息香酸無水物、フ
タル酸無水物、PAG(glucose pentaacetate)、キシ
ローステトラアセテートがあり、特に好ましくは、TA
ED、SNOBSである。さらに過酸は、例えばDPD
DA(diperoxydodecanedioic acid)、diperoxyisopht
halic acid、magnesium monoperoxyphthalate hexahydr
ate 、NAPAA(nonylamidoperoxyadipic acid )で
ある。
【0027】本発明のポリフェノールオキシダーゼは、
様々な洗浄剤、洗剤、または界面活性剤と共に用いるこ
とができる。これにより、本発明のポリフェノールオキ
シダーゼを配合した洗浄剤または洗剤組成物が提供され
る。このような洗浄剤または洗剤組成物の代表例は、洗
浄剤または洗剤組成物重量当たり10〜50重量%の界
面活性剤、0〜50重量%のビルダー、1〜50重量%
のアルカリ剤あるいは無機電解質、0.1〜10重量%
の再汚染防止剤、酵素、漂白剤、蛍光染料、ケーキング
防止剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくと
も1種以上の配合成分からなる洗浄剤または洗剤組成物
が挙げられる。
【0028】界面活性剤としては石鹸、例えば直鎖また
は分岐アルキルあるいはアルケニル硫酸塩、アミド硫酸
塩、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基
を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及
びブチレンオキサイドのうちの単独あるいは複数成分が
付加したアルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩のよ
うな脂肪族硫酸化物、アルキルスルホン酸塩、アミドス
ルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−オレフ
ィン、ビニリデン型オレフィン及び内部オレフィンの各
スルホン酸塩のような脂肪族スルホン酸塩、直鎖または
分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩のような芳香族
スルホン酸塩、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはア
ルケニル基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド及びブチレンオキサイドのうちの単独あるいは
複数成分が付加したアルキルまたはアルケニルエーテル
カルボン酸塩またはアミド、α−スルホ脂肪酸塩または
エステル、アミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアル
ケニル酸性リン酸エステル、アルキルまたはアルケニル
リン酸塩のごときリン酸エステル系界面活性剤、スルホ
ン酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、直
鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有
し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブ
チレンオキサイドのうちの単独あるいは複数成分が付加
したアルキルまたはアルケニルエーテルあるいはアルコ
ール、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル
基を有し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド
及びブチレンオキサイドのうちの単独あるいは複数成分
が付加したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレ
ンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸グ
リセリンモノエステル、アルキルまたはアルケニルアミ
ンオキサイド、テトラアルキルアンモニウム塩型カチオ
ン界面活性剤など洗剤組成物として通常配合される界面
活性剤であればいずれも使用可能であり、陰イオン性界
面活性剤の場合の対イオンとしてはナトリウムイオンま
たはカリウムイオンであることが好ましい。これらの界
面活性剤は、単独または2種以上の混合物として使用さ
れる。
【0029】ビルダー及びアルカリ剤あるいは無機電解
質としてはオルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリ酸
塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩
などのリン酸塩、エタン−1,1 −ジホスホン酸及びその
誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2 −トリホスホン酸、
エタン−1,2 −ジカルボキシ−1,2 −ジホスホン酸、メ
タンヒドロキシホスホン酸などのホスホン酸塩、2 −ホ
スホノブタン−1,2 −ジカルボン酸、1 −ホスホノブタ
ン−2,3,4 −トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハ
ク酸などのホスホノカルボン酸塩、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸などのアミノ酸塩、ニトリロ三酢酸塩、エチ
レンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩
などのアミノポリ酢酸塩、ポリアクリル酸、ポリイタコ
ン酸、ポリマレイン酸、無水マレイン酸共重合体、カル
ボキシメチルセルロース塩などの高分子電解質、ポリエ
チレングリコール、ポリビニルアルコールなどの非解離
高分子、ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキ
シメチルオキシコハク酸、グルコン酸、クエン酸、乳
酸、酒石酸、ショ糖、ラクトースなどのカルボキシメチ
ル化物、ペンタエリスリトールのカルボキシメチル化
物、グルコン酸のカルボキシメチル化物、ベンゼンポリ
カルボン酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、
グルコン酸などの有機酸塩、ゼオライトなどのアルミノ
ケイ酸塩、炭酸塩、セスキ炭酸塩、硫酸塩、メタケイ酸
塩などの無機塩をアルカリ金属塩として用いることがで
き、またデンプン、尿素などの有機物質及び塩化ナトリ
ウム、ベントナイトなどの無機化合物を用いることがで
き、更には有機アルカリ剤としてトリエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリ
イソプロパノールアミンなどを用いることができる。
【0030】本発明の洗剤組成物は、前述のごとく、界
面活性剤、本発明のポリフェノールオキシダーゼ等を構
成成分として含むが、その必要に応じて両性界面活性
剤、例えばパーボレート、パーカルボネートなどの漂白
剤、色素、ビルダー、例えばポリエチレングリコール、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボ
キシメチルセルロースなどの再汚染防止剤、ケーキング
防止剤、酸化防止剤、例えば他のオキシダーゼやペルオ
キシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セ
ルラーゼなどのその他の酵素を必要に応じて含ませるこ
とができる。
【0031】本発明の洗剤組成物にポリフェノールオキ
シダーゼ等の酵素を配合するには如何なる方法をもって
行ってもよいが、微粉末状で配合することは、洗剤取扱
い時の発塵による洗剤使用者や洗剤工業における作業者
の安全衛生上好ましいことではなく、溶液状態あるいは
あらかじめ発塵性をおさえた形状に賦形しておくことが
好ましい。この賦形は通常よく用いられるマルメ造粒、
押し出し造粒、流動造粒、遠心流動造粒やその他の方法
のいずれによるものであってもよく、本発明の洗剤組成
物に配合する酵素の形状は特にこれらの方法によって賦
形されたものに限定されるものではない。
【0032】脱リグニン、漂白を目的として、パルプ工
程の一部において本発明の菌株を接種して本発明のポリ
フェノールオキシダーゼを生産せしめるか、もしくは直
接本発明の酵素標品を添加して、チップや粗砕パルプ等
に作用させるバイオパルピング、バイオ漂白が有用な用
途分野に挙げられる。この場合も、従来の酸性側に至適
反応pHを有するポリフェノールオキシダーゼと比べ、
アルカリ側に至適反応pHを有する本発明のポリフェノ
ールオキシダーゼの方がpH調整のために使用する薬液
の量を削減することができコスト・ダウンが可能であ
る。
【0033】ポリフェノールを構造部分に有する天然物
として、フラボノイド系、キサントン系、メラニン系な
どの植物色素やリグニンが知られており、ポリフェノー
ルオキシダーゼはこれらの天然物に対する酸化作用を有
する。また、毒性が問題になっているジクロロフェノー
ル、トリクロロフェノール等のAOXをもポリフェノー
ルオキシダーゼは反応基質にできる。それ故に、例えば
これらの天然物や非天然物を含有する排水処理において
も本発明のポリフェノールオキシダーゼは有用である。
【0034】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼを用いるバイオセンサーは、本酵素の特性を反映し
て、中性からアルカリ性域のpHを有する様々な水溶
液、有機溶媒中の芳香族化合物をモニターするために用
いることができ有用である。また、本発明のポリフェノ
ールオキシダーゼにより発生するフェノキシラジカルの
反応性を利用して、中性〜アルカリ性のpH域において
効率よく微生物やウィルスの殺菌や不活性化を行うこと
も可能である。つまり、ポリフェノールオキシダーゼの
基質自体の殺菌性に加えて、酵素的に発生するフェノキ
シラジカルによってより強力な殺菌性を与えることが可
能である。しかも、殺菌処理物がそののち人体に接触も
しくは摂取される場合、もしくは環境中に放出される場
合には、ポリフェノールオキシダーゼの基質は酸化によ
って毒性の軽減された物質に変わっているため、必要な
時点での殺菌性とその後の安全性の双方を達成でき、有
用性が高い。
【0035】また、ポリフェノールオキシダーゼにより
発生するフェノキシラジカルやキノン類を利用してポリ
マー合成を行う場合も、適用する反応の拡大が期待で
き、本発明のポリフェノールオキシダーゼは有用であ
る。さらには、カテコール類等の易酸化性のポリフェノ
ールを含む物質群を酸化する場合、アルカリpHでの自
動酸化反応と酵素触媒的なポリフェノールの酸化反応を
同時に進行させることができるアルカリpHでのポリフ
ェノールオキシダーゼの使用は、効率の良い酸化のため
に極めて有効である。
【0036】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示し、さ
らに具体的に説明する。ただし、これらは単なる例示で
あり、本発明はこれらのみに限られるものではない。
【0037】実施例1:培養及び濃縮 2リッター容のフラスコを培養装置に用い、0.5%グ
ルコース及び0.1%(NH42 SO4 、1.34%
Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH2PO4
0.1%NaCl、0.1%ペプトン、0.01%酵母
エキス、0.1mM CuSO4 を含む400mlの培
地に2N−NaOHを加えてpHを8としたものに、ミ
ロセシウム・ヴェルカリア SD3001(受託番号F
ERMP−14955)を接種し、27℃、3日間の振
とう培養を行った。培養後、4℃での遠心分離により除
菌された培養ブロスを得た。これをさらに精製、濃縮す
るためには限外ろ過膜が有効で、分子量10,000〜
100,000の分画範囲に精製、濃縮された粗精製濃
縮水溶液(20 U/ml )を得た。
【0038】実施例2:粗精製 1.34%Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH
2 PO4 、0.1%NaClによって平衡化したDEA
E−Cellulofine A−800m(生化学工
業(株))カラム(φ20mm, 50cc)の上部に、実施例1
記載の除菌後の培養ブロスをカラム上部の空隙にアプラ
イし、通液開始と同時に1フラクション15mlで溶出
液の回収を開始した。345mlの培養ブロスをアプラ
イした後、平衡化に使用したものと同組成の緩衝液によ
るカラム洗浄と、NaCl濃度を0.15Mに上昇させ
るステップワイズにより溶出を行った。各フラクション
の280nmの吸光度とポリフェノールオキシダーゼ活
性値のパターンを図5に示した。フラクションの内、N
o.1〜55は0.1% NaClで溶出を行ったもの
で、No.56〜75は0.15M NaClで溶出を
行ったものである。酵素活性はフラクションNo.59
と60において強く検出された。フラクションNo.5
9と60の詳細を以下に示した。
【0039】
【表1】 なお、フラクションNo.59の吸光度を380nmか
ら700nmの範囲で測定した結果、600nm近辺で
の吸収極大が認められた(図6)。
【0040】実施例3:基質特異性 実施例2記載のフラクションNo.59の粗精製ポリフ
ェノールオキシダーゼを用いてポリフェノール化合物酸
化反応の基質特異性を調べた。室温(20℃)におい
て、0.05mMの基質と100mMのTris−HC
lバッファー溶液(pH8.7 )における酵素添加、無添加
での酸素消費速度の差を測定することで行った。結果を
表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】実施例4:分子量 分子量測定は、GFC(ゲルろ過クロマトグラフィー)
を用いて行った。1.34%Na2 HPO4 ・12H2
O、0.3%KH2 PO4 、1%NaClによって流速
1.0ml/minで平衡化したGFCカラム(Shodex
PROTEINKW-802.5,2連)とUV検出器(280nm)
を用いるHPLCにより、実施例2記載のフラクション
No.59の粗精製ポリフェノールオキシダーゼの分析
及び分取と活性測定を行ったところ、ポリフェノールオ
キシダーゼ活性ピークは分子量62,000であった。分子量
マーカー蛋白質は、オリエンタル工業(株)のMW−M
arker(HPLC)を用いた。なお、上記GFC分
析(HPLC)におけるフラクションNo.59の溶出
パターンを図7に示した。
【0043】実施例5:紅茶汚染布の漂白処理 0.1%Tween80、0.02%の活性化ゼオライ
ト粉末を含む50mM炭酸ナトリウムバッファ−(pH
9.0)10mlに5×5cmの紅茶汚染布を浸漬し、
さらにここに、あらかじめ実施例2記載のフラクション
No.59の粗精製ポリフェノールオキシダーゼを他の
漂白剤と組み合わせて調製した配合物を添加し、これを
30℃で40分間振とうすることで洗浄、漂白処理を行
った。その後、水洗、風乾し、色彩色差計(CR-200, MI
NOLTA 製)によって Y,y,x値を測定し、さらに式[Z=
(1−x−y)Y/y]によってZ値を算出した。そし
て、処理前後のZ値の差(ΔZ値)によって、白色度の
上昇を評価した。結果を表3に示す。なお紅茶汚染布
は、市販の紅茶160g(ホテルレストラン ブレンド
セイロン,日本紅茶(株))を5リットルの沸騰水に
入れ、5分間煮沸後、ろ過により紅茶を取り除き、ろ液
を5分間沸騰させたあと木綿白布を入れ再び5分間煮沸
し、布を取り出し乾燥後、イオン交換水により十分に水
洗し、再乾燥したものを用いた。
【0044】
【表3】
【0045】実施例6:5リッター培養槽での培養及び
濃縮、粗精製 0.5%グルコース及び0.1%NaNO3 、1.34
%Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH2 PO
4 、0.1%NaCl、0.2%ペプトン、20ppm
酵母エキス、0.01%MgSO4 ・7H2 O、0.1
mM CuSO4からなる3リッターの培地に10%N
aOHを加えてpHを8としたものを含む5リッター培
養槽にミロセシウム・ヴェルカリア SD3001(受
託番号FERM P−14955)を接種し、28℃、
3日間の振とう培養を行った。培養後、4℃での遠心分
離により除菌された培養ブロス2.5リッターを得た。
次に、この培養ブロスの一部を、ミニタン・フィルター
パケット(CAT.NO.: PTGC0MP04, ミリポア社製)を用い
るミニタン限外ろ過システム(ミリポア社製)によっ
て、分子量10,000以上の画分として濃縮した。こ
れをさらに、DEAE−Cellulofine A−
800mカラムクロマトグラフィーに供し、溶出した活
性画分を再び、上記のミニタン限外ろ過システムによっ
て、分子量10,000以上の画分として再濃縮した。
さらにこの再濃縮液を200ppmNH4 HCO3 に対
して透析後、凍結乾燥に供し、粗精製物を凍結乾燥品と
して得た。凍結乾燥品のポリフェノールオキシダーゼ活
性は10U/mgであった。
【0046】実施例7:酵素含有洗剤による汚染布の処
25重量%のLAS及び5重量%のポリオキシエチレン
ラウリルエーテル、15重量%のトリポリリン酸ナトリ
ウム、6重量%のケイ酸ナトリウム、1重量%のカルボ
キシメチルセルロースナトリウム、48重量%のNa2
SO4 からなる指標洗剤10グラムに、実施例6記載の
凍結乾燥品を0.1グラム添加したものを酵素配合洗剤
とし、凍結乾燥品を添加していないものを酵素非配合洗
剤とした。また、木綿白布(5cmx 5cm)の中央に
100ppmエバンスブルー(和光純薬工業(株))
0.2mlを加えることで汚染布を調製した。次に、5
00ml容ビーカーに汚染布1枚と水10mlを加えた
後、さらに酵素配合洗剤または酵素非配合洗剤を10m
g添加し、12分間振とうすることで洗浄処理を行っ
た。処理後の汚染布は、水洗、風乾し、実施例5と同様
に色彩色差計(CR-200, MINOLTA 製)によってZ値を算
出したところ、酵素配合洗剤は、酵素非配合洗剤に比
べ、6ポイントの白色度向上を示した。
【0047】実施例8:粗精製パルプの漂白処理 500ml容のビーカーを培養装置に用い、0.3%グ
ルコース及び0.05%(NH42 SO4 、1.34
%Na2 HPO4 ・12H2 O、0.3%KH2 PO
4 、0.1%NaCl、0.02%ペプトン、50pp
m酵母エキス、0.02mM CuSO4 、8%広葉樹
未漂白クラフトパルプ(LUKP)(カッパー価18)を含
む50mlの培地に2N- NaOHを加えてpHを8.
5としたものにミロセシウム・ヴェルカリア SD30
01(受託番号FERM P−14955)を接種し、
27℃、4日間の静置培養を行った後にカッパー価を測
定したところ5ポイントのカッパー価の向上を認めた。
【0048】実施例9:従来のポリフェノールオキシダ
ーゼとの混合 試薬として市販されているポリフェノールオキシダーゼ
Rigidoporus zonalis 由来、TaKaRa(株))0.1U
/ml溶液と、本発明のポリフェノールオキシダーゼの
0.2U/ml溶液を等容量混合したものを用いて様々
なpHで活性測定を行ったところ、図8に示したように
pH5〜11の広範囲のpHにおいて酸化反応が進行し
た。
【0049】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明により
pH8以上のアルカリ側に至適反応pHを有するポリフ
ェノールオキシダーゼが提供され、これを用いることに
よりアルカリpHでの酵素的酸化を達成し、ポリフェノ
ール物質や着色物質の酸化処理や、洗浄、漂白といった
ポリフェノールオキシダーゼの利用分野の拡大に寄与す
ることが示された。
【0050】また、本発明のポリフェノールオキシダー
ゼの製造方法により、本発明のポリフェノールオキシダ
ーゼを効率良く製造できる。また、本発明のミロセシウ
ム・ヴェルカリア SD3001は本発明のポリフェノ
ールオキシダーゼの製造に有効であり、更にパルプの漂
白処理に直接使用しても高い効果が得られる。また、本
発明のポリフェノールオキシダーゼを用いることによ
り、有効な着色物質の処理、紙、パルプもしくは繊維の
処理、漂白処理、洗浄処理、または、微生物もしくはウ
ィルスの処理等の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】SD3001由来のポリフェノールオキシダー
ゼのpHプロファイル。
【図2】SD3001由来のポリフェノールオキシダー
ゼの温度プロファイル。
【図3】SD3001由来のポリフェノールオキシダー
ゼの温度安定性を示すグラフ。
【図4】SD3001由来のポリフェノールオキシダー
ゼのpH安定性を示すグラフ。
【図5】各フラクションの280nmの吸光度及び活性
値のパターン。
【図6】フラクション No.59の吸光度を示すグラフ。
【図7】GFC分析(HPLC)におけるフラクション
No.59の溶出パターン。
【図8】ポリフェノールオキシダーゼ混合物のpHプロ
ファイル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/14 C12R 1:645) (72)発明者 福山 志朗 千葉県千葉市緑区大野台1丁目1番1号 昭和電工株式会社 総合研究所内 (72)発明者 大野 律子 千葉県千葉市緑区大野台1丁目1番1号 昭和電工株式会社 総合研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物由来のpH8以上のアルカリ側に
    至適反応pHを有するポリフェノールオキシダーゼ。
  2. 【請求項2】 下記の性質を有する請求項1記載のポリ
    フェノールオキシダーゼ。 (1)作用 ポリフェノールを酸化する。 (2)至適反応pH pH8.5〜9付近に至適反応pHを有する。 (3)至適反応温度 約60℃に至適反応温度を有する。 (4)分子量 GFC分析により測定した分子量が約62,000。
  3. 【請求項3】 ミロセシウム(Myrothecium )属細菌由
    来の請求項1または2記載のポリフェノールオキシダー
    ゼ。
  4. 【請求項4】 ミロセシウム(Myrothecium )属細菌が
    ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucari
    a)である請求項3記載のポリフェノールオキシダー
    ゼ。
  5. 【請求項5】 ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothec
    ium verrucaria)SD3001(受託番号FERM P
    −14955)から得ることの出来る請求項1または2
    記載のポリフェノールオキシダーゼ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポ
    リフェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とす
    る、フェノール化合物、アルコキシル基含有芳香族、ハ
    ロゲン化フェノール化合物、または芳香族アミン化合物
    の処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポ
    リフェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とす
    る着色物質の処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポ
    リフェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とす
    る、微生物またはウィルスの処理方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポ
    リフェノールオキシダーゼを作用させることを特徴とす
    る紙、パルプ、または繊維の処理方法。
  10. 【請求項10】 洗浄剤、洗剤、または界面活性剤と共
    に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項
    に記載のポリフェノールオキシダーゼの使用方法。
  11. 【請求項11】 ペルオキシダーゼ作用を有する物質と
    共に用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項に記載のポリフェノールオキシダーゼの使用方法。
  12. 【請求項12】 酸化剤として空気、酸素、オゾン、過
    酸化水素、過酸化水素前駆体、過酸前駆体または過酸
    を、単独で、または複数組み合わせて用いることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリフェノ
    ールオキシダーゼの使用方法。
  13. 【請求項13】 オキシダーゼ及びその基質と共に用い
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載
    のポリフェノールオキシダーゼの使用方法。
  14. 【請求項14】 ミロセシウム(Myrothecium )属細菌
    を培養することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項に記載のポリフェノールオキシダーゼの製造方法。
  15. 【請求項15】 ミロセシウム(Myrothecium )属細菌
    がミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucar
    ia)である請求項14記載のポリフェノールオキシダー
    ゼの製造方法。
  16. 【請求項16】 ミロセシウム(Myrothecium )属細菌
    がミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucar
    ia)SD3001(受託番号FERM P−1495
    5)またはその変異株である請求項14記載のポリフェ
    ノールオキシダーゼの製造方法。
  17. 【請求項17】 ミロセシウム・ヴェルカリア(Myroth
    ecium verrucaria)SD3001(受託番号FERM
    P−14955)。
  18. 【請求項18】 請求項1〜5のいずれかに記載のポリ
    フェノールオキシダーゼを含むことを特徴とする洗剤組
    成物。
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