明 細 書
ヒルジン類緣体またはその塩及びその製造方法並びにこれを 有効成分とする抗血液凝固剤
枝 術 分
本発明はヒルジン類緣体またはその塩及びその製造方法並 びにこれを有効成分として舍む薬用製剤に閬する。 本発明の ヒルジン類縁体またはその塩は、 急性の深部静脈血栓症、 肺 梗塞症、 急性の四肢動脈梗塞症、 心筋梗塞及び伝染した血管 内凝固の薬理学的治療において有用な治療剤として利用され る。
背
天然のヒルジンは、 治療用ヒルの唾液腺から非常に少量分 泌される、 6 5個及び 6 6個のア ミノ酸からなるペプチ ドの 混合物である。 H V— 1 と称されるバリアン トはヒルから最 初に単離されたヒルジンである。 H V— 2 と称されるバリ ア ン トは前記 H V— 1 と 9個のア ミノ酸が異なり、 H V— 3 は 3 2位のセリ ンまで H V— 2 と同一で、 C末端側の 6 3位の ァラニンの付加を舍む、 1 0個のア ミノ酸が異なっている。 また、 天然のヒルジン中には、 構成ア ミノ酸のう ちの C末 端側のチロシン残基のフユノール性水酸基が硫酸エステル化 されている次式
NH―
HO— S02— 0 — ( )V~ CH 2— CH
、 ! \
CO - または、 一 〔Tyr (S03H) 〕 ―
で示されるものが存在することが確認されている。
このチロシン残基の硫酸基の存在により抗トロンビン活性 が約 1 0倍向上することが報告されている。
従来、 分子中のチロシン残基に硫酸基を舍むボリ ぺプチ ド 類を遺伝子組換え法で製造することは困難であり、 また遺伝 子組換え法等で得たポリ ペプチ ド中のチロシン残基へ化学的 な方法で硫酸基を導入するにしても、 ァミノ酸配列が長い場 合には他のア ミノ酸に影響を与えることなく 目的とするチロ シンだけを選択的に硫酸エステル化することは困難で、 しか も ドラスチックな反応条件を必要とするため、 しばしばぺプ チ ド結合の分解が起こり、 満足しうる収率で硫酸化合物を得 ることは困難であった。 このため、 現在抗血液凝固剤として 研究開発されているヒルジン類は硫酸基を持たない活性の-低 いものである。
ヒルジンば抗血液凝固剤としての臨床応用が期待されてい るが、 非体内成分であるため、 ショ ック、 湿疹などのア レル ギー症状の発現の恐れがある。 しかし、 ア レルギー症扰は投 与量の削減あるいはポリぺプチ ドのァミノ酸配列の縮減によ り緩和することが可能と考えられる。 本発明の目的は、 ァ レ ルギー症状を緩和するため、 より抗 トロンビン活性の高いヒ ルジン類緣体を分子中のチロシン残基の水酸基を硫酸エステ ル化することにより提供することにある。
発 明 の 開 示
本発明は、 次の一般式 ( I )
Phe- G l u- A - I l e- Pro- B- Tyr (R) - Tyr (R) ( I )
〔式中、 Aは Glu または Pro を、 Bは Glu 、 Tyr(R)、 Glu- Asp または Glu-Tyr(R)を意味し、 (R) はチロ シン残基の水酸 基またはそれが硫酸エステル化(-0-S03H) されているこ とを 示す〕 で表されるァ ミノ酸配列をその一部も し く は全部とし て含むヒルジン類緣体またはその塩に関する。
さ らに、 本発明は、 次の一般式 (Π )
Phe-Glu-A-Ile-Pro-B-Tyr-Tyr ( Π )
〔式中、 Aは Glu または Pro を、 Bは Glu 、 Tyr, Glu-Asp または Glu- Tyr をそれぞれ意哚する〕 で表されるア ミ ノ酸配 列をその一部も し く は全部として含むヒルジン類緣体または その塩の当該ア ミ ノ酸配列中のチロ シン残基の水酸基を硫酸 エステル化する こ とを特徴とする ヒルジン類緣体またはその 塩の製造方法である。
本発明における硫酸エステル化は、 前記したヒルジン類緣 体またはその塩に硫酸供与体の存在下にァ リ ルスルホ ト ラ ン スフエラーゼを作用させ、 またはサルファー ト リ オキサイ ド コ ンプレ ッ クス或いは硫酸とジシク ロへキシル力ルボジィ ミ ドとを作用させて行う こ とができる。
本発明における重要な点の一つは、 天然ヒルジンの C末端 側のチロ シン残基の前後のア ミ ノ酸 1 つ又は 2つをチロ シン 残基で置換する こ とにより、 ァ リ ルスルホ ト ラ ンスフヱラー ゼのチ口 シン認識能を高めている点である。 本発明者らは本 発明に用いるボリ ペプチ ドでは、 この操作を行わなければァ リ ルスルホ ト ラ ンスフユラーゼを用いた硫酸エステル化反応 はほとんど進行しないこ とを確認している。
また、 本発明のもう一つの重要な点は、 天然ヒルジンの N 末端より 5 6位のフヱニルァラニンから C末端側へ 8個まで のアミノ酸をその一部に舍んでさえいれば、 またこの 8個の ァミノ酸配列のみからなるもの、 あるいはこの両末端がスク シニル基ゃァミノ基等の保護基で置換されたものであっても、 硫酸エステル体とすれば高い抗 ト ロ ンビン活性を有するもの が得られるという ことである。 特に、 一般式 〔 I 〕 の N末端 をスクシニル基等の保護基で置換したもので、 2個のチロシ ンの水酸基を 2倔とも硫酸エステル化したわずか 8個のアミ ノ酸配列からなるヒルジン類緣体は抗ト 口 ンビン活性が極め て高いことが確かめられている。
本発明におけるヒルジン類緣体とは、 このようなア ミノ酸 配列からなり、 抗ト ロ ンビン活性の高いペプチ ドをいう。
本発明における C末端は、 前記したように- Tyr(R) である 力、、 さらに- Tyr(B)- Leu または- Tyr (R) - Asp である。 さらに この -T_vr(R)、 -Tyr(E)-Leu または- Tyr (R) - Asp に次の置換 基が結合されていてもよい。
ア ミ ド、 低級アルキル 5)ァ ミ ド、 [例えば、 -NHCH3 - HC2H5]、 ア ミノ酸 〔例えば、 天然型ァ ミノ酸、 D-Glu 、 - ア ミノアジピン酸、 or-アミノスベリ ン酸(以下 Asuという)〕 、 ァ ミノ酸低級アルキル( C , 〜C 5)エステル 〔例えば、 Glu- OCzHs 、 Glu(0C2H5)0C2H5 、 Asu (OMe) -0«e 〕 、 アミノ酸ァ ミ ド 〔例えば、 Glu-NHZ 、 -Gln-NH Asu( Hz)NH2 J 、 アミ ノ酸低級アルキル ( C ^ 〜C S)ア ミ ド 〔例えば、 Glu-NHC2H5. -Gln- HC2H5 ; 、 ア ミ ノ スルホ ン酸 〔例えば、 -KH-CH2-S03H、
タ ウ リ ン (以下、 Tauという)、 -NH- (CH2) 3-S03H j 、 ァ ミ ノ スルホ ンア ミ ド 〔例えば、 -NH-CH2- S02NH2、 Tau-NHZ J 、 ァ ミ ノ アルコール 〔例えば、 -NH(CH2) 2-0H、 -NH(CH2) 3-0H Le u-ol ) 、 ァ ミ ノ ホスホ ン酸 〔例えば、 -ΝΗΡ0(0Η)3:' 、 ァミ ノ ホスホ ン酸エステル 〔例えば、 -NHP0(0C2H5) 3 、 -NHPO(OPh) 2 またはァ ミノ ホスホ ンアミ ド 〔例えば、 - NHPO- (NH2)2] 。
また、 本発明における N末端のァ ミノ基の保護基としては、 次のァ シル基を使用することができる。
アルカノ ィ ル 〔例えば、 ァセチル (CH3C0-) 、 プチ リ ル
(CH3CH2CH2C0-)、 イ ソプチ リ ル((CH3) 2CHC0-) 〕 、 置換アル カ ノ ィ ル 〔例えば、 ラ ク チュル(CH3CH(0iOC0- )〕 、 カルボキ シアルカノ ィ ル 〔例えば、 ス ク シニル(H00CCH2CH2C0 、 グ ルタ リ ル(H00C(CH2) 3C0-) 〕 、 置換カルボキ シアルカ ノ イノレ
〔例えば、 マ リ シル(1100(:(^(01 (:112(0-)〕 、 アルコ キ シカル ボニルアルカノ ィ ル 〔例えば、 エ ト キ シカルボニルプロ ピオ 二ノレ(Et00CCH2CH2C0- ) 〕 、 カ ルノ モ イ ルアルカ ノ ィ ノレ 〔伊】え ば、 力ルバモ イ ルプロ ピオニル(H2N0CCH2CHzC0-)〕 、 ァルケ ニル 〔例えば、 アク リ ル(CH2 = CHC0-)、 ォ レイ ル(CH3(CH2)7
CH = CH(CH2) 7CO-) ] 、 カルボキ シアルケニル 〔例えば、 マ レ ィ ニル、 フマ リ ル(H00CCH = CHC0-)〕 、 アルコ キ シカルボニル アルケニル 〔例えば、 エ ト キ シカルボ二ルァ ク リ ル(E tOOCCH = CHC0-) j または力ルバモイ ルアルケニル 〔例えば、 力ルバ モ イ ルアク リ ル(H2N0CCH = CHCO- ) 〕
本発明のヒルジン類緣体は、 酸、 塩基等によって塩を形成 する。
本発明における塩としては塩酸塩、 硫酸塩、 P — トルエ ン スルホン酸塩、 リ ン酸塩、 ギ酸塩、 マ口ン酸塩、 コハク酸塩、 乳酸塩、 しゅ う酸塩、 酒石酸塩、 酢酸塩、 ト リ フルォ π酢酸 塩、 ナ ト リ ウム塩、 カ リ ウム塩、 マグネ シウム塩、 ノ リ ウム 塩、 カルシウム塩、 ア ンモニゥム塩、 ピぺリ ジ ン塩、 モルホ リ ン塩、 ジメ チルァ ミ ン塩、 ジェチルァ ミ ン塩等を挙げるこ とができる。
本発明に用いられる上記一般式 ( U ) で表わされるァ ミノ 酸配列を舍むポリぺプチ ドは容易に知られた種々の手段によ つて製造される。 そのような手段には、 固相法または液相法 による化学合成、 遺伝子組換え及びそれらの技術の組合せが 舍まれる。
本発明のァ リ ルスルホ ト ラ ンスフヱ ラーゼを用いて硫酸ェ ステル化する方法は、 遺伝子組換えのような手段にて得られ たァミノ酸配列の長いポリ ぺプチ ドをぺプチ ド鎖に影響を与 えない温和な条件下でチロシン残基を特異的に硫酸エステル 化する反応を行いえるという利点がある。 硫酸エステル化に 用いられる酵素としては、 ァ リ ルスルホ ト ラ ンスフ ヱ ラーゼ 活性を有するものであれば特に限定されるものではないが、 ヒ ト腸内細蘭由来のもの(Eubac ter i um A - 44)などが挙げられ る。
硫酸基供与体の好ましい例としては、 ァリ ルサルフヱイ ト あるいはその塩が用いられるが、 その例としてフヱニル硫酸、 P —または m —ニ トロフエ二ル硫酸、 P 一または m —ァセチ ルフヱニル硫酸、 チラ ミ ン硫酸、 p — 二 ト ロカテコ ール硫酸、
p—ニ ト ロカテコールジ硫酸、 ピコサルフェー ト、 フエノ ー ルフタ レイ ンジ硫酸、 4 ーメ チルゥ ンベリ フヱ リ ル硫酸、 1 一または 2 —ナフチル硫酸、 4 一二 ト ロ— 1 —ナフチル硫酸 、 4 一フエナン ト リ ル硫酸、 あるいはこれらのアルカ リ金属 塩などが挙げられる。
反応温度や P Hはボリ ペプチ ドの種類とァ リ ルスルホ ト ラ ンスフヱ ラーゼの最適条件とするべきで、 好ま し く は、 2 5 〜 3 7 'Cの温度で、 8〜 9 の P Hで行う と良い。
反応終了後の硫酸ヱステル化物は高速液体ク ロマ トグラフ 法により、 適当な条件下で容易に未反応の原料と分離分取す る こ とができる。 画収された未反応の原料は再び反応系へ戻 すこ とにより、 無駄な く ボリ ぺプチ ドの硫酸エステル化に使 用できる。
一方、 前記一般式 ( I ) で表わされるァ ミ ノ酸配列を含む ポリ ペプチ ド鎖のう ちァ ミ ノ酸配列が比較的短いものは、 一 船に固相法や液相法で化学的に合成される。 これらは、 硫酸 エステル化試薬を用いた化学的な方法で、 チロ シン残基の水 酸基を硫酸エステル化することができる。 この硫酸エステル 化は、 前記ポリ ぺプチ ド鎖に、 ビリ ジンゃジメ チルホルムァ ミ ド等の溶剤の存在下で、 1 0〜 5 0 0等量の過剰なサルフ アー ト リ オキサイ ドコ ンプレ ッ クス、 例えば、 ピリ ジン一サ ルファー ト リ オキサイ ド、 ジォキサンーサルファー ト リ オキ サイ ド、 ト リ メ チルァ ミ ンーサルファー ト リ オキサイ ド、 ト リ エチルァ ミ ンーサルファー ト リオキサイ ド、 ジメ チルァニ リ ンーサルファー ト リオキサイ ド、 チォキサ ンーサルファー
ト リオキサイ ド、 ビス ( 2 —ク ロロェチル) エーテルーサル ファー ト リオキサイ ド、 2 —メ チルビリ ジン一サルフアー ト リオキサイ ド、 キノ リ ンーサルファー ト リオキサイ ド、 ジメ チルホルムア ミ ドーサルファー ト リオキサイ ド等を室温付近 で作用させることにより行う ことができる。 また、 他の方法 として、 過剎な硫酸とジシク 口へキシルカルボジィ ミ ドを上 記ボリぺプチ ド鎖に室温付近で作用させて、 縮合法により ¾流 酸エステル化することもできる。
本発明により得られた化合物を医薬として用いる場合、 例 えば、 経口投与或いは皮下、 静脈内、 筋肉内、 動脈内への注 射による投与、 又は粘膜に対する投与等非経口投与とするこ とができる。 その用量は 1 日、 成人 1人あたり 0. 1 〜: lOOOmg が適量である。 これを 1 日 1回〜数回に分けて投与する。 た だし、 必要に応じて適宜増減し得ることは言うまでもない。 経口投与のためには、 製剤上受け入れられる助剤、 希釈剤、 担体、 賦型剤等を用いて錠剤、 カプセル剤、 顆粒剤の形で用 いてもよい。 非経口投与のためには、 水及び油の滅菌液体、 表面活性剤、 その他の製薬上受け入れられる助剤、 生理学上 受け入れられる希釈剤、 担体等を用い、 化合物を溶液又は懸 濁液の形とし、 注射することができる投与形態とすることが できる。 また ¾様に製剤上受け入れられる助剤、 希釈、剤、 担 体、 陚型剤等を用い坐剤として用いてもよいし、 皮膚、 粘膜 等から吸収される形態としてもよい。
面面の簡単な說明
図 1 は、 実施例 1 で合成したア ミノ酸とそのフユ二ルチオ
ヒダン トイ ン(PTH) 誘導体の回収量の関係を示す。
図 2 は、 実施例 1 で合成した各べプチ ドの HPLC分圻ク 口マ トグラムを示す。
1¾| 3 は、 実施例 2 の硫酸エステル体の HPLC分圻ク ロマ トグ ラムを "。
図 4 は、 実施例 2 のペプチ ド(A) 硫酸エステル体のカルボ キシぺプチダーゼ Y分解によるア ミ ノ酸ク ロマ トグラムを示 す。
囟 5 は、 実施例 3 のヒルジン HV- 17 の発現ベクターの構築 方法を示す。
図 6 は、 実施例 6 のヒルジン HV-17 の硫酸エステル体の HPLC分折ク ロマ トグラムを示す。
図中、 A, Bはペプチ ド (A)及びペプチ ド(B) をそれぞれ示 す。
発明を荬施するための最良の形態
実施例 1
(A) Gly-Asp-Phe-Glu-Glu-I le-Pro-Glu-Tyr-Tvr-Leu-Gln 、 及び
(B) Gly-Asp-Phe-Glu-Glu- I le-Pro-Tyr-Tyr-Tvr-Leu-Gln の製造
上記のペプチ ド (A)及びペプチ ド(B) は、 アプライ ドバイ ォシステム社の固相合成機 430 Aによって合成した。 Boc-G In- 0CHz- PArt 樹脂(O.SmM) を出発原料と し、 ト リ フルォロ 酢酸による Boc 基の脱離後、 対称無水物法により C末端側か ら顺次ァ ミ ノ酸を縮合しペプチ ド鎖を延長した。 このよう に
して次式で表わされる樹脂に結合した保護べプチ ド(Α ' ) . (Β' ) をそれぞれ得た。
(A' ) Gly-Asp(0Bzl) -Phe-Glu(0Bzl) -Glu(0Bzl) -Ile-Pro-
Glu(OBzl)-Tyr(Br-Z)-Tyr- (Br-Z) - Leu-Gin-0CH2-樹脂 (Β' ) Gly-Asp(0Bzl) -Phe-Glu(0Bzl) -Glu (OBzl) - I le-Pro- Tyr(Br-Z) -Tyr(Br- Z) -Tyr(Br-Z) -Leu-Gln-OCH2-樹脂 この保護べプチ ドが結合した樹脂 0.75 gをァニソール 1.9 存在下、 無水フ ッ化水素 1 7 でそれぞれ 0 ° (:、 1時間処 理し全保護基を脱離した。 脱離後、 フ ッ化水素を滅圧留まし、 残渣をジヱチルエーテルで洗浄した後、 窒素ガスで乾燥した。 これを 1 N酢酸 1 0 0 ^に溶解し、 樹脂を濾去した後、 陰ィ オン交換カラム(DOWEX 1-X2)に添加し、 ペプチ ドを齚酸で溶 出した。 次いで、 これを次の条件の高速液体クロマ トグラフ ィ一(HPLC)で精製した。
装 置 : ウォーターズ Delta prep 3000
カラム : プレップパック C , 8 , 300 A
溶 媒 : A. 0.05% ト リ フルォロ酢酸 Z水
B. ァセ トニ ト リ ル
勾 配 : B. 0〜: I 0 0 %Z 1 0 0分
流 速 : 80 Z分
検 出 : 214 nm
ペプチ ド (A)は 3 2分に、 (B) は 3 1分にそれぞれ溶出し た。 次いでこれらを濃縮してァセ トニ ト リルを除去した後、 凍結乾燥した。 尚、 これらのペプチ ドを 6 N塩酸で 110てで、 2 4時間加水分解した後の (A)及び (B)のア ミノ酸分圻値は
それぞれ次のとおりであった
^ ノ酸 (A) (B)
Asx 1 Λ 0 /" 1、 1.01(1)
Glx 4.37 (4) 3.24 (3)
Gly 1.00(1) 1.00(1)
He 1.00(1) 0.99(1)
し eu 1.06(1) 1.05(1)
Tyr 2,07(2) 3.09(3)
Phe 1.03(1) 1.02(1)
Pro 1.02(1) 1.01(1)
( )内の数字は理論値を示す 上記ペプチ ド (A)、 (B)の配列は、 気相シークェンサ一(ァ プライ ドバイ オ システムズ社製 477A)によって確認した。 同 定したア ミ ノ酸とそのフエ二ルチオヒダン トイ ン ( P T H ) 誘導体の回収量の関係は図 1 のようであった。
また、 上記べプチ ド (A)、 (B) の純度は、 HPLC 〔ウォータ ーズ社製、 i/ -Bondapak C , 8 (3.9 X 150mm) ) 分折より、 それ ぞれ 9 9 %以上であった。 各ぺプチ ドの HPLC分折のク ロマ ト グラムは図 2 のとおりである。
実施例 2
(A) 61 v-Asp-Phe-Glu-Glu- 1 le-Pro-Glu-Tyr-Tvr-Leu-Gln ΆΙ
(B) Glv-Asp-Phe-Glu-Glu-Ile-Pro-Tvr-Tvr-Tvr-Leu-Gln の硫酸エステル体の製造
実施例 1で合成したペプチ ド (A) 、 ( B ) を、 ヒ ト腸内 細菌由来の硫酸転移酵素ァリルスルホ ト ラ ンスフヱラーゼを 用いて、 次の条件でそれぞれ硫酸エステル化を行った。
ぺプチ ド O.lmM
p —二 トロフ Λ二ル硫酸 l.OraM
硫酸転移酵素 1 ου/«£
塩化マグネシゥム 2 5mM
反応溶媒 0.1M ト リス—塩酸緩衝液
(pH 8.6)
反応温度 3 IX
反応時間 6 6〜9 6 時間
硫酸エステル体の分取は HPLCにより、 次の条件で行った。
カラム : ウォーターズ -Bondapak C18 (3.9 X 150M«) 溶 媒 : A. 0.1 % ト リ フルォ口酢酸/水、 B . ァセ ト 二 ト リ ル
勾 配 : B . ΙΟ δΟ^ΖδΟ分
流 速 : 1.5 分
検 出 : 230 nm
この条件でペプチ ド (A)の硫酸エステル体は 23.3分に、 ま た、 ペプチド(B)の硫酸エステル体は、 21.4分、 23.4分、 24.6 分に 3種の硫酸化体がそれぞれ溶出した。 次いで各硫酸化体 の分画を濃縮してァセ トニ ト リルを除去後、 凍結乾燥した。 各ぺプチ ドを上記の条件で酵素的に硫酸エステル化を行つ たときの HPLC分圻のクロマ トグラムを図 3 (A)、 (B) として、 それぞれ示した。
硫酸エステル化部位の冏定
上記の硫酸エステル化したペプチ ド (A)、 (B)をア ミ ノ ぺ プチダーゼ M、 カルボキシぺプチダーゼ Y、 キモ ト リ ブ シン、 V 8 プロテアーゼを用いて硫酸エステル化部位の j定 を ί亍つた。
(1) ペプチ ド (Α)の硫酸エステル化部位の同定
① ァ ミノ ぺプチダ一ゼ Μ分解によるァ ミ ノ 酸分圻
1 mMの基質 1 0 に、 氷冷下で o —キモ ト リ ブシ ン ( シ グマ社製、 TLCK処理品) を 5 ( 2 5 0 ng) 加え、 0.1 M リ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液 (PH7.0)中で 3 7 'Cの温度下に、 4 時間分解した。 この反応液にア ミ ノ ぺプチダーゼ M ( ピアス 社製、 5 rag/ ) を 5 加え、 更に 1 8時間加水分解を行 つた。 加水分解後のア ミ ノ酸分析値からペプチ ド (A)の硫酸 エステル体はモノ硫酸エステル体であることを確認した。
② カルボキシぺプチダ一ゼ Yによる分解
1 mMの基質 1 0 £に、 氷冷下で 1 mgZffl£のカルボキ シぺ プチダーゼ Y (ベーリ ンガーマ ンハイ ム社製) を加え、 0.1M リ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液(PH7.0) 中で、 3 7 ての温度下に、 3 0分間分解した。 分解後、 ァ ミ ノ酸分圻機 (オル ト フタル アルデヒ ド法) を用いて分折した。 図 4 のク ロマ トグラフよ り 、 ペプチ ド (A)の C末端側から Gin 、 Leu 、 Tyr (S03H) の 各ア ミ ノ酸の遊離が確認され、 Tyr は遊離しないこ とが確認 された。
上記①及び②の結果より、 ペプチ ド (A)の硫酸エステル体 は C末端側の Tyr が硫酸ェステル化したモノ硫酸ェステル体
であることが確認された。
(2) ペプチ ド (B)の硫酸エステル化部位の同定
① ァミノ ぺプチダーゼ M分解によるァ ミノ酸分圻
(1)①の方法に従い、 ペプチド (B)の 3種の硫酸エステル体 (闵 3のピーク 1 〜 3 ) をアミノ ぺプチダーゼ Mを用いてそ れぞれ加水分解を行った。 加水分解後のァミノ酸分折値より、 ビーク 1 はジ硫酸エステル体、 ピーク 2及びビーク 3 はモノ 硫酸エステル体であることを確認した。
② キモ ト リブシ ン分解によるペプチ ドマップ
1 mMの基質 1 0 に、 氷冷下で or —キモ ト リ ブシンを 5 2 ( 2 5 0 ng)加え、 0. 1 Mリ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液(Ρ Η7 · 0) 中で 3 7 'Cの温度下に、 2 4時間分解を行った。 この反応液 を Nuc l eos i l 5C I 8 ( 4 X 1 5 0 mm) を担体とする逆相 HPLCに かけ、 分解物の溶出位置を確認した。 その結果、 基質が非硫 酸エステル体のペプチ ド (B)である場合、 N末端側の Tyr の 後のア ミ ド結合が切断されることにより、 8ア ミノ酸と 4ァ ミノ酸の 2つのフラグメ ン トが生じた。 また、 ピーク 1 〜 3 の 3種の硫酸エステル体について isj処理を行ったところ、 8 アミノ酸から成るフラグメ ン トの溶出位置は 3種とも非硫酸 エステル体のフ ラグメ ン トの溶出位置と一致した。 この結果 から、 3種の硫酸エステル体はいずれも N末端側の Tyr は硫 酸エステル化されていないことが明らかになった。 従って、 この結果と①の結果から、 ピーク 1 は C末端側の 2つの Tyr が硫酸エステル化したジ硫酸エステル体であることが確認さ れた。
③ V 8 プロテアーゼによる分解
1 mMの基質 1 0 / £に、 氷冷下で、 V 8 プロテアーゼ ( シ グマ社製) を 5 (2.5 ユニ ッ ト) 加え、 0.1 Mリ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液 (PH7.0)中で、 3 7 ての温度下に、 1時間分 解した。 この反応液を Nucleosil 5C, 8 ( 4 X 1 5 0 mm) を担 体とする逆相 HPLCにかけ、 分解物の溶出位置を確認した。 そ の結果、 基質がペプチ ド (A)の硫酸エステル体である場合、 N末端側の Glu と Tyr の間のア ミ ド結合が切断される こ とに より、 8 ア ミ ノ酸と 4 ア ミ ノ酸の 2 つのフラグメ ン トが生じ た。 このう ち、 4つのア ミ ノ酸から成るフラグメ ン ト、 すな わち Tyr-Tyr (S03H) -Leu-Gin の溶出位置は、 ②のビーク 1 〜 3 のキモ ト リ プシ ン分解で生じたフラグメ ン トのう ち、 ビー ク 3 を分解して生じた 4つのア ミノ酸から成るフラグメ ン ト の溶出位置と一致した。 この結果から、 ビーク 3 は C末端側 の Tyr が硫酸エステル化したモノ硫酸エステル体である こ と が確認された。 また、 そのフ ラグメ ン ト の溶出位置が異つた ビーク 2 は、 ①より ピーク 3 と 1¾様にモノ硫酸エステル体で ある こ とから硫酸エステル化部位は- Tyr-Tyr (S03H) -Tyr- と 同定された。
以上、 (1)及び (2)の硫酸エステル化部位の ^定の結果を次に まとめた。
一メ チル BHA 樹脂(0.5mM) をそれぞれ出発原料とし、 実施例
1 と同様の方法で合成し、 ぺプチ ド鎖延長後、 無水コハク酸 により N末端のスク シニル化を行い、 樹脂に結合した保護べ ブチ ドをそれぞれ得た。 この樹脂に結合した保護べプチ ドを 実施例 1 と同様の方法により脱保護し、 精製して、 上記 (C) (D), (E), (F), (G)及び (H)のペプチ ドをそれぞれ得た。
このようにして得られた各ペプチ ドを 6規定の塩酸を用い. 1 1 0 'Cの温度で 2 4時間加水分解し、 ァ ミノ酸分析を行つ た結果、 次の通りで、 上記目的のペプチ ドが得られているこ とが分かった。 ァ ミノ! _ (C) (D) (E) (F) (G) (H)
ASX 1.01(1) 0.97(1) 1.01(1) 1.01(1)
Glx 3.25 (3) 2.70(3) 2.13 (2) 3.06(3) 3.05(3) 3.06 (3) Gly 1.00(1) 1.00 (1) 1.00 (1)
lie 1.00 (1) 0.92 (1) 0.95 (1) 0.97 (1) 0.98(1) 0.98 (1) Leu 1.05 (1) 0.96 (1) 1.01 (1) 1.03(1) 1.04 (1) 1.03 (1) Tyr 2.07 (2) 1.86 (2) 2.91 (3) 1.97 (2) 1.98 (2) 1.97 (2) Phe 1.02 (1) 0.95 (1) 0.98 (1) 1.01 (1) 1.00 (1)
Pro 1.71 (2) 1.75 (2) 1.93 (2) 1.96 (2) 1.95 (2) 1,95 (2)
( ) 内の数字は理 値を示す。 実施例 4
(C) Suc-Glv-Asp-Phe-Glu-Pro- Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-teu
Gln-0H、
(D) Suc-Gly-Asp-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-Leu- Gln-NH2 、
(E) Suc-GIy-Asp-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Tyr-Tyr-Tyr-Leu- Gln-OH,
(F) Suc-Asp-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tvr-Leu-Gln-OH.
(G) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-Leu-61n-0H
及び
(H) Suc-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tvr-Tvr-Leu-Gln-OH
の硫酸ヱステル体の製造
実施例 3で製造したペプチ ド (C), (D), (F), (G),及び(H) の 5 0 ragをそれぞれ 2 0 %ピリ ジン Zジメ チルホルムア ミ ド 4 に溶解し、 室温 ( 2 5て) 下に、 ビリ ジンーサルファー ト リオキサイ ド 1.05g(225等量)を加え、 4時間反応させ、 硫 酸エステル化を扦つた。
一方、 ぺプチ ド(E)はジシクロへキシルカルボジイ ミ ド
( D C C ) を用いた縮合法により硫酸エステル化した。 すな わち、 このペプチ ド 1 tfmol に濃硫酸 4 を舍むジメ チルホルムァ ミ ド 1 0 を加え、 室温 ( 2 5 'C ) で 1分間 撹拌し、 硫酸エステル化を行った。
上記で得られた硫酸エステル化体は、 それぞれ、 逆栢 HPLC を用い、 次の条件で精製した。
装 置: 島津 LC- 6A
カラム : ウォーターズ^- Bondapak d 8 (3.9 X 300«m) 溶 媒 : 0.1% ト リ フルォ口酢酸、 ァセ トニ ト リル
勾 配 : ァセ トニ ト リル 10〜60%ノ50分
流 速 : 1.5 Z分
検 出 : 230 nm
この条件で、 ペプチ ド (D)の硫酸エステル体は 18.7分に、 (E)の硫酸エステル体は 17.6分、 (F)の硫酸エステル体は 18.0 分、 (G) の硫酸エステル体は 19.3分、 (H) の硫酸エステル体 は 13.6分にそれぞれ溶出した。 分取した各硫酸エステル体は 濃縮後、 ゲルろ過 (フアルマシア社製、 Sephadex G-10)によ り脱塩し、 1 0 %ア ンモニア水で p H7.0 〜7.5 に調整して 谍結乾燥した。 この操作により、 安定な硫酸エステル体をァ ンモニゥム塩として回収した。
硫酸エステル化都位の 定
上記各硫酸エステル化ぺプチ ドを実施例 2 の硫酸ヱステル 化部位の同定法に従い、 硫酸ヱステル部位を问定し、 この結 果から明らかになつた各硫酸エステル化体の構造式を示した。
ぺプチ ド(C) Suc-Gl -Asp-Phe-Glu-Pro- I le-Pro-Glu- Tyr(S03H)-Tyr(S03H)-Leu-Gln-OH ぺプチ ド(D) Suc-Gl -Asp-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu- Tyr(S03H)-Tyr(S03H)-Leu-Gln-NHz ぺプチ ド(E) Suc-Gly-Asp-Phe-Glu-Pro- I le-Pro-Tyr
(S03H) -Tyr(S03H)-Tyr (S03H) -Leu-Gln-OH ぺプチ ド(F) Suc-Asp-Phe-Glu-Pro- I le-Pro-Glu-Tyr
(SO3H) -Tyr(SOsH) -Leu-Gln-OH
ぺプチ ド(G) : Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr (S03H)
-Tyr (SOsH) -Leu-Gln-Ofl
ぺプチ ド(H) : Suc-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr(S03H)-Tyr
(S03_H)-Leu-Gln-0H
実施例 5
(I) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-OH,
(J) Suc-Phe-Glu-Pro-IIe-Pro-Glu-Tvr-Tvr-NHz 、
(K) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-NH(CH2) 2C00H、
(L) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tvr-Tyr-NH(CH2) 4C00H、
(M) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tvr-Tvr-Tau-WH2 、
(N) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-NH(CH2) 30H 及び
(0) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr- (L) Asu (OMe) QMe の製造
上記ペプチ ド (I), (J), (K), (L), (M), (N) 及び(0) に ついては、 まずこれらべプチ ド製造のための共通原料化合物 として、 次式で表される保護ペプチ ド (ィ)を液相法により製 造した。
(ィ) Boc-Phe-Glu(0Bzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(0B2l)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-0H
ペプチ ド(ィ) は、 Boc-Tyr(Bzl-Cl2)OPac (OPacは、 フエナ シルエステルを示す。 ) を出発原料として、 ト リ フルォロ酢 酸を用いて Boc 基を脱離後、 Boc-T'yr(Bzl- Cl2)- 0H を D C C 一 H O B t法により縮合し、 Boc-Tyr(Bzl-Cl2)-Tyr(Bzl-Cl2)
OPacとした o 次いで Boc-Tyr(Bzl - Cl2)- Tyr(Bz卜 Cl2)0Pac よ り順次、 保護ア ミノ酸を上記と问様の操作で脱保護、 縮合を 繰り返し、 ペプチ ド鎖を延長して、 次式で表される保護ぺプ チ ド(π) を得た。
(π) Boc-Phe-Glu(OBzl) -Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) -Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-OPac
ペプチ ド(Π) を水浴下酢酸に溶解し、 その中に亜鉛末を加 え、 2時間撹拌し、 反応液より亜鉛末を除いた後、 减圧濃縮 し、 上記ぺプチ ド (ィ)を得た。
上記(I) のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ト リ フルォロ酢酸を用いてペプチ ド(ィ) の Boc 基を 脱離後、 塩基存在下コハク酸無水物を作用させ、 次式で表さ れる保護べプチ ド ) を得た。
()\) Suc-Phe-Glu(OBzl) - Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) - Tyr (Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-OH
ぺプチ ド ) をァニソール存在下、 無水フ ッ化水素で 0 て、 1時間処理し全保護基を脱離した。 脱離後、 フ ッ化水素を滅 圧留去し、 残渣をジェチルエーテルで洗浄した後、 これを 1 N酢酸に溶解し、 強塩基性イオン交換カラム (ダイ ヤイオン PA-308) にチャージし、 ペプチ ドを 50%酢酸で溶出した。
次いで、 これを次の条件でゲル濾過により精製した。
カ ラム : Sephadex LH-20 (2.2 Φ X 97 η)
溶 媒 : 50%Me0H/H20
流 速 : 0.8 /min
検 出 : UV230nm, 280nm
該当する部分を集め凍結乾燥し、 目的化合物 (I)を得た。
上記 (J)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ィ) のクロ口ホルム溶液に、 D C C— HOSu を作用させて、 (ィ) を活性エステル化した。 この溶液にアン モニァガスを吹き込んだ後、 滅圧濃縮し、 得られた残渣を(I) の合成と同様な操作で Boc 基を脱離し、 スク シニル化し、 次 式で表される保護ペプチド(こ) を得た。
(二) Suc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-NH2
ペプチ ド(ニ) をァニソール存在下、 無水フッ化水素で 0て、 1時簡処理し全保護基を脱離した。 脱離後、 フ ッ化水素を減 圧留去し、 残渣をジェチルエーテルで洗浄した後、 これを 1 N酢酸に溶解し、 強塩基性イオン交換カラムにチャージし、 ペプチ ドを 50%^酸で溶出した。 次いで、 これをペプチ ド(I) と同様な条件でゲル濾過により精製した。 該当する部分を集 め凍結乾燥し、 目的化合物 ) を得た。
上記 (K)のペプチ ドは、 ペプチド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ィ) と fiH2(CH2) 2C00Bzl ' HC1 とを D C C 一 H O B t法により縮合し、 次式で表される保護べプチ ド ) を得た。
(*) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Clz)-NH(CH2) zC00Bzl
ペプチ ド(ホ) を上記(I) の合成と I様の方法で Boc 基を脱 離し、 N末端のスク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ド を上記(I) の合成と同様の方法により脱保護し、 精製し、 目 的化合物(K) を得た。
上記(い のペプチ ドは、 ぺプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ィ) と! ilhiCi COOBzl · HC1を用いて、 上 記(K)のペプチ ドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド (へ)を得た。
(へ) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Clz)-NH(CH2) 4C00Bzl
ペプチ ド( を(K) のペプチ ドと同様の方法で、 Ν末端の スク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(Κ) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物(L) を得た。
上記 (Μ)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ィ)と Tau-N'H2 · HC1を用いて、 (K)のべプチ ドと RI様な方法で次式に表される保護ペプチ ド(ト)を得た。
(ト) Boc-Phe-Glu (OBzl) -Pro- Ile-Pro-Glu(OBzl) -Tyr (Bzl-Cl 2) -Tyr(Bzl-Clz)-Tau-NH2
ペプチ ド(ト) を(K) のペプチ ドと同様の方法で、 Ν末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(Κ) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物(Μ) を得た。
上記 (N)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 保護ペプチ ド(ィ) と H2N(CH2)30H を用いて、 (K) の ぺプチドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド(チ) を 得た。
(チ) Boc-Phe-Glu(OBzl) -Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-NH(CH2) 30H
ペプチド(チ) を(K) のペプチドと同様の方法で、 Ν末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(Κ) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (Ν) を得た。
上記 (0)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 保護ペプチ ド(ィ) と(L)Asu(0Me)0Me * HC1 を用いて、 (K) のペプチ ドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド (V) を得た。
(V) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)- (DAsu(OMe)OMe
ペプチ ド(')) を(K) のペプチ ドと ¾様の方法で、 Ν末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを (Κ)のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (0) を得た。
尚、 これらのぺプチ ドを 6 Ν塩酸で 110'Cで、 24時間加水 分解した後のァミノ酸分圻値及び薄層クロマ トグラフィーの Bf値については、 それぞれ次のとおりであった。 上記目的の
ぺブチ ドが得られていることが分かった ァミノ (I) (J) (K) (L) (M) (N) (0)
Glu 2.17(2) 2.13(2) 2.12(2) 2.14(2) 2.15(2) 2.19(2) 2.15(2) Pro 2.08(2) 1.89(2) 2.00(2) 1.83(2) 1.84(2) 1.83(2) 2.09(2) lie 0.98(1) 0.96(1) 0.91(1) 0.95(1) 0.99(1) 1.00(1) 0.93(1) Tyr 1.92(2) 2.12(2) 2.01(2) 2,11(2) 2.13(2) 2.15(2) 2.11(2) Phe 1.00(1) 1.00(1) 1.00(1) 1.00(1) 1.00(1) 1.00(1)
Tau-NHZ 1.11(1)
Asu 0.98(1)
NH2 (CHZ) 2C00H + Phe 1.93(2)
NH2 (CH2) 4C00H 0.89(1)
( )内の数字は理論値を示す
TLC (I) (J) (K) (L) (M) (N) (0)
I 0.63 0.71 0.71 0.66 0.68 .0.72 0.84 Π 0.54 0.59 0.55 0,52 0.5¾ 0.59 0.64 Merck 20 X 20 silica gel 60 glass plates F254, 0.25BIIB thickness '
I ; CHCl3/MeOH/AcOH(5/2/l) ,
Π; n-BuOH/AcOH/H20/Pyridine (15/3/12/10) 実施例 6
(I) Sue- Phe-Glu-Pro- He- Pro- Glu- Tvr- Tvr- OH,
(J) Suc-Phe-Glu-Pro- Ile-Pro-Glu-Tjvr-Ti;r-NH2.
( ) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-61u-Tyr-Tyr-NH(CH2) 2C00B、 (L) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tvr-Tyr-NHCCHz) 4COOH, (M) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-61u-Tyr-Tyr-Tau-NH2 、
(N) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-NH(CH2) 30H 及び
(0) Sue - Phe - Glu - Pro - lie - Pro - Glu-Tyr - Tyr - (L) Asu(OMe) OMe の硫酸エステル体の製造
実施例 5で製造したペプチ ド(I), (J), (K), (L)s ( )s (N) 及び(0) の約 50m をそれぞれピリ ジン ジメ チルホルム アミ ド (l:l)20s£に溶解し、 室温 (25て) 下に、 ビリ ジン一 サルファー トリオキサイ ド 1.29g (200等量) を加え、 4時間 反応させ、 硫酸エステル化を行った。 次いで、 飽和炭酸水素 ナ トリ ゥム水溶液で PH7.0 にした後、 圻出した沈澱物を濾別. し、 濾液を減圧濃縮した。
上記で得られた硫酸エステル体は、 それぞれ、 逆相 HPLCを 用い、 次の条件で椿製した。 、
装 置 : B本分光 808-SC - カラム : ウォーターズ - Bondapak 5C, 8 (3.9 X 300mm) 镕 媒: メ タノール、 10mM齚酸ァンモユウム水溶液 ('ρΗ6.0) 勾 配 : メ タノ ールを 1→60%Ζ60分
流 途 : 1 ノ分
検 出 : 230nm 及び 280nm
この条件で、 分取した各硫酸エステル体を凍結乾燥し、 得 られた粉体を 0.05N酢酸に溶解し、 Sephadex G-10 にて脱塩 した。 該当部分を集め、 凍結乾燥することにより、 目的とす
る硫酸エステル体をナ ト リ ウ ム塩と して得た。
硫酸エステル化部位の同定
上記の各硫酸エステル化べプチ ドを実施例 2 の硫酸エステ ル化部位の同定法に従い、 硫酸エステル化部位を同定し、 こ の結果から明らかになつた各硫酸エステル化体の構造式を次 に示した。
硫酸エステル化体
ペプチ ド(I) Suc-Phe-Glu-P構ro- 1 le-Pro-Glu-Tyr (S03H) - Tyr(S03H)-0H
ぺプチ ド(J) Suc-Phe-Glu-Pro- He-Pro- Glu-Tyr (S03H) - 式
Tyr(S03H)-NH2
ぺブチ ド (K) Sue- Phe- G 1 u- Pro- 1 le- Pro- Glu-Tyr (SO 3H) -
Tyr(S03fl)-NH(CHz) 2C00H
ぺプチ ド (L) Suc-Phe-Gl u-Pro- He- Pro- Glu-Tyr (S03H)-
Tyr (S03H)-NH(CH2) 4C00H 、
ぺプチ ド (M) Suc-Phe-Glu-Pro- 1 le- Pro- Glu-Tyr (SO 3H) -
Tyr(S03H)-Tau-NH2
ぺプチ ド(N) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr*(S03H) - Tyr(S03H)-NH(CH2) 30H
ぺプチ ド (0) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr (SO3H) - ^riSO^H) - (DAsu(OMe)O e
実施例 7
(P) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-GIu-Tyr-Tvr-Leu-oK
(Q) Sue - Phe - Glu - Pro - lie - Pro - Glu - Tyr - Tyr - Leu - 0H、
(R) Sue - Phe - Glu - Pro - lie - Pro - Glu - Tyr - Tyr - Leu -隱 t、
(S) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-Leu-Tau-NH2 、
(T) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr-Tyr-Leu- (D)Glu-OH,
(U) Sue- Phe-Glu- Pro- 1 le-Pro- Glu-Tyr-Tyr-Leu- (D) su (OMe)
OMe 、
(V) Sue- Phe-Glu- Pro- I le-Pro- Glu-Tyr-Tyr-Leu- (L) Asu (OMe) OMe 、
(W) Suc-Phe-Glu-Pro- I le-Pro- Glu-Tyr-Tyr-Leu- (D) su(NH2) NH2
(X) Sue- Phe-Glu- Pro- I le-Pro- Glu-Tyr-Tyr-Leu- (L)Asu(WHe)
NH2
及び
(Y) Sue- Phe-Glu- Pro- He- Pro- Glu-Tyr-Tyr-Leu-NHPO (OH) 2 の製造 '
上記ペプチド (a), (β), (S), (Τ), (10, (V), (W)及び(X) については、 まずこれらべプチドの製造のための共通原料化 合物として、 次式で表される保護ペプチ ド(ヌ) を液相法によ り製造した。
(ヌ) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bz^Cl2) -Tyr(Bzl-Clz) -Leu-OH
ペプチ ド(ヌ) は、 実施例 5で合成した保護ペプチ ド(ィ) と TosOH · Leu-OTce (OTceは、 2,2,2- ト リ ク ロ ロェチノレエステノレ
を示す) を W S C I — H O B t法により縮合し、 次式で表さ れる保護ペプチ ド ) を合成した。
(ft) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) -Tyr (Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2) -Leu-OTce
次いで、 ペプチ ド Ot) を水浴下酢酸に溶解し、 その中に亜 鉛末を加え、 2時間撹拌し脱 Tee した後、 反応液より亜鉛末 を除き、 滅圧溏縮し、 上記 (ヌ)を得た。
上記 (P)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ィ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ィ) と Leu- olとを W S C 1 一 H O B t法に より縮合し、 次式で表される保護ペプチ ド (ォ)を得た。
(才) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl- Clz)
-Tyr(Bzl-Cl2) -Leu-ol
ペプチ ド(ォ) を(I) の合成と ^様の方法で Boc 基を脱離し、 N末端のスク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを (I) の合成と i5j様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物
(P) を得た。
上記 (Q)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ト リ フルォ ロ酢酸を用いてペプチ ド(ヌ) の Boc 基を 脱離後、 塩基存在下コハク酸無水物を作用させて、 次式で表 される保護ペプチ ド(ヮ) を得た。
(7) Suc-Phe-Glu(OBzl) -Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) -Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Cl2)-Leu-OH
ペプチ ド(ヮ) をァニソール存在下、 無水フッ化水素で 0 'C、
1時間処理し全保護基を脱離した。 脱離後、 フッ化水素を滅 圧留去し、 残渣をジェチルエーテルで洗浄した後、 これを 1 N酢酸に溶解し、 強塩基性ィオ ン交換カ ラムにチャージし、 ペプチ ドを 50%酢酸で溶出した。 次いで、 これを先の条件で ゲル濾過により精製し、 目的化合物(Q) を得た。
上記(R) のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ぺプチ ド(ヌ)と H2NEtとを W S C I — H O B t法によ り縮合し、 次式で表される保護ペプチ ド(力)を得た。
(力) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Clz) -Tyr(Bzl-Cl2)-Leu-NH2Et
ぺプチ ド(力)を(β)の合成と同様の方法で Boc基を脱離し、 N末端のスクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを ) の合成と同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (K) を得た。
上記(S) のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチド(ヌ)と Tau-NH2 · HC1を用いて、 (M)のぺブチ ドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド(ョ) · を得た。
(3) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2)
-Tyr(Bzl-Cl2)-Leu-Tau-Nfl2
ペプチ ド(ョ) を (M)のペプチ ドと同様の方法で、 N末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを (M)のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (S) を得た。
上記 (T)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ヌ) t (D)Glu(OBzDOBzl - HC1 を用いて、
(S) のペプチ ドと M様な方法で次式に表される保護ペプチ ド (タ) を得た。
(タ) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) -Tyr (Bzl-Cl2) -Tyr (Bzl-Clz) -Leu- (D) G 1 u (OBz 1 ) OBz 1
ペプチ ド(タ) を(S) のペプチ ドと ^様の方法で、 N末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを (S)のぺブチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (T) を得た。
上記 (U)のペプチ ドは、 ペプチ ド (ヌ)を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド (ヌ)と(D) Asu (OMe)OMe · HC1 を用いて、 (S) のぺプチ ドと^様な方法で次式に表される保護べプチ ド ) を得た。
(10 Boc- Phe-Gl u (OBz 1) -Pro- II e-Pro-Glu (OBz 1) -Tyr (Bzl-Clz) -Tyr(Bzl-Clz)-Leu- (D) Asu (OMe) OMe
ペプチ ド ) を(S) のペプチ ドと同様の方法で、 N末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(S) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 (U) を得た。
上記 (V)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチ ド(ヌ)と a)Asu(0Me)0Me · HC1を用いて、 (S)
のべプチ ドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド ) を得た。
) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) -Tyr(Bzl-Clz)-Leu- (L) Asu (OMe) OMe
ペプチ ド ) を(S) のペプチ ドと同様の方法で、 N末端の スク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(S) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物(V) を得た。
上記 (ίν')のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。
先ず、 ペプチド(ヌ)と(D)Asu(NH2)NH2 · HC1を用いて、 (S) のべプチ ドと同様な方法で次式に表される保護べプチ ド ) を得た。
(*) Boc-Phe-Glu(OBzl)-Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl)-Tyr(Bzl-Cl2) Tyr(Bzl-Cl2)-Leu- (D) Asu (NHZ) NH2
ペプチ ド( を(S) のペプチ ドと! "sj様の方法で、 N 末端の スク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(S) のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物(W) を得た。
上記 (X)のペプチ ドは、 ペプチ ド(ヌ) を出発原料として、 以下の手順により合成した。 先ず、 ペプチ ド(ヌ) と(い Asu (NH2) NHz-HCl を用いて、 (S) のペプチ ドと同様な方法で 次式に表される保護ペプチド(ネ) を得た。
(ネ) Boc - Phe-Gl"0Bzl Pro- lie- Pro-Glu(OBzl) - fyr(Bz卜 Cl2) -Tyr(Bzl-Clz)-Leu- (L) Asu (NH2) NHZ
ペプチ ド(ネ) を(S) のペプチ ドと isj様な方法で、 N 末端の スクシ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを(S のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物(X) を得た。
上記 (Y)のペプチ ドは、 ペプチ ド (ィ)を出発原料として、 以下の手順により合成した。 先ず、 ペプチ ド (ィ)と Leu -NHP0 (0H)2 · HC1を用いて、 (S) のペプチ ドと 様な方法で次式に 表される保護ペプチ ド(ナ) を得た。
(ナ) Boc-Phe-Glu(OBzl) -Pro-Ile-Pro-Glu(OBzl) - Tyr (Bzl-Clz) -Tyr(Bzl-Clz)-Leu-NHP0(0H) z
ペプチ ド (ナ)を (S)のペプチ ドと同様の方法で、 N 末端の スク シ二ル化を行い、 得られた保護ペプチ ドを (S)のべプチ ドと同様の方法により脱保護し、 精製して、 目的化合物 ) を得た。
尚、 これらのペプチ ドを 6 N塩酸で 110'Cで、 24時間加水 分解した後のア ミノ酸分析値及び薄層ク ロマ ト グラ フ ィーの Rf値については、 それぞれ次のとおりであった。 上記目的の ぺプチ ドが得られていることが分かった。
£§/0zdf/:6I:>d9/9Z6 OMI
実施例 7で製造したペプチ ド(P) , (Q) , (R) , (S) , (T) , (U) , (V) , (W) , (50及び (Y)の約 50ra をそれぞれピリ ジン ジメ チルホルムアミ ド(1:1) 20 に溶解し、 室温 (25て) 下に 、 ピリ ジン一サルファー ト リ オキサイ ド 1.29 g (200等量) を 加え、 4時間反応させ、 硫酸エステル化を行った。 次いで、 飽和炭酸水素ナ トリ ゥム水溶液で PH7.0 にした後、 このとき 折出した沈毅物を濾別し、 濾液を減圧濃縮した。
上記で得られた硫酸エステル体は、 それぞれ、 逆相 H P L Cを用い、 次の条件で精製した。
装 置 : 日本分光 808— S C
カラム : ウォーターズ -Bondapak 5 C ,。(3.9 X 300m) 溶 媒 : メ タノール、 lOmil酢酸アンモニゥム水溶液
(pH 6.0)
勾 配 : メ タノ ールを 1 →60%ノ60分
流 速: 1 諕 Z分
検 出 : 230nm及び 280nm
この条件で、 分取した各硫酸エステル体を凍結乾燥し、 得 られた粉体を 0.05N' 酔酸に溶解し、 ゲルろ過 (フアルマシア 社製, Sephadex G-10) にて脱塩した。 該当部分を集め、 凍結 乾燥することにより、 目的とする硫酸エステル体をナ トリウ ム塩として得た。
硫酸エステル化部位の 1¾定
上記の各硫酸ヱステル化べプチ ドを実施例 2の硫酸エステ ル化部位の间定法に従い、 硫酸エステル化部位を同定し、 こ の結果から明らかになつた各硫酸ェステル化体の構造式を示
した。
硫鲶エスチル化休 構造式
ぺプチ ド(P) Sue- Phe- Glu- Pro- He- Pro- Glu- Tyr (S03H)
Tyr (SO3H) -Leu-ol 、
ぺプチ ド(Q) Sue- Phe- Glu- Pro- I le-Pro- Glu- Tyr (S03H)
Tyr(S03H)-Leu-OH 、
ぺプチ ド (R) Suc-Phe-Glu-Pro-Ile-Pro-Glu-Tyr (SO3H)
ペプチ ド (S) Sue- Phe- Glu- Pro- I le-Pro- Glu -Tyr (SO 3H)
Tyr(S03H)-Leu-Tau-NH2、
ペプチ ド(T) Sue - Phe - Glu - Pro- 1 le-Pro- Glu - Tyr (SO 3H) -
Tyr(S03H)-Leu- (D)Glu-OH.
ぺプチ ド(ϋ) Sue- Phe- Glu- Pro- Ile-Pro-Glu-Tyr (S03H) -
Tyr (SO 3H) -Leu- (D) Asu (OMe) - 0Me、
ぺプチ ド(V) Sue- Phe- Gl u- Pro- 1 le-Pro- Glu- Tyr (SO 3H) -
Tyr(S03H) -Leu- (L) Asu (OMe) - 0Me、
ぺプチ ド(W) Sue- Phe- Glu- Pro- 1 le-Pro- Glu- Tyr (S03H) -
Tyr(S03H)-Leu- (D) Asu (NH2) -NH2、
ぺプチ ド(X) Sue- Phe- G 1 u- Pro- 1 le-Pro- Glu- Tyr (S03H) -
Tyr(S03H)-Leu- (L) Asu (NH2) -NH2、
ぺプチ ド(Υ) Sue- Phe- G 1 u- Pro- I le-Pro- Glu- Tyr (SO 3H) -
Tyr(S03H)-Leu-NHPO(OH)2 実施例 9
I ヒルジン HV-1の Glu 61-62 の Tyr 61-62 への変異方法
次式 ( IE ) の DfiA 配列を有する変異原プライマ一を D N A 合成機 (アプライ ドバイオシステムズ社製 380B) を用いて、 リ ン酸アミダイ ト法によって合成した。
GAA ATC CCG TAC TAC TAG CTG CAG (I) 市販のファージ M 13mp 19 (東洋紡社製) 二本鎖 DNA 1 μ g を、 制限酵素 EcoR I 10単位、 HindlE 10単位で分解し、 ァガ ロースゲル電気泳動を用いて精製した。
一方、 市販のプラス ミ ド PUC 18に HV-1遺伝子を組み込んだ ベクター pl/CHVl (特開平 3- 164184号参照) 10 gを、 制限酵素 EcoR I 30 単位、 HindlK 30 単位で分解し、 210bp の fiV-1を コ一ドする D 断片を得た。
次に、 この断片 lOOng と上記ファージ M 13πιρ 19 の EcoR I -Hind Π [断片精製物 lOOng を DNAリガーゼにより 1 6 てで 一晩反応させた。 この反応液を用いて、 J. Messing の方法
〔メ ソ ッ ド イ ン ェンザィ モロジ一(Methods in Enzymolo gy), 101 , 21-78 (1983) ) に従って大腸菌 JM101 を形質転 換した。 得られた各プラークから J. Messing の方法 (|¾上) にしたがって単鎮 DNA (M13HV1)を鋦製した。 これを l g/
の濃度になるように TE緩衝液(PH8.0) に溶解した。
5 O pmolの上記式 (M ) の変異原プライマーを、 2単位の T4ポリヌク レオチ ドキナーゼを舍むキナーゼ緩衝液(0.1M ト リ ス一塩酸緩衝液 ΡΗ8.0, O.lmM gCl 25 7mM ジチオスレィ ト ール, ΙπιΜ ATP)中で、 3 7てで 1 5分間反応させてリ ン酸化 した後、 7 0てで 1 0分間加熱することにより反応を停止し た。
b gの前述の M13HV1と 4 pmolの上記リ ン酸化変異原オリ ゴデォキシリ ボヌク レオチ ドを用い、 Ecksteinらの方法 〔二 ユーク レイ ック ァシ ド リ サーチ(Nucleic Acids Res. ) , 13, 8764 (1985) 〕 を応用した Amersham社製の" 01 i gonucleo t i de- α l rec ted in vitro mutagenesis system** キ 'ン 卜の方 法に従い、 変異体 DNA M13HV17 を作製した。
(2) 変異体遺伝孑の調整及び変異休分铋プラス ミ ドの作製 上記 (1)で得られた変異体 DNA M13HV17 を含む溶液 2 0 μ £. を用いて、 コ ン ビテ ン ト大腸菌 TG1 細胞を形質転換し、 ブラ ークを得た。 この形質転換体より二本鎖 DNA を調製した。
3 0 μ gの上記二本鎖 DNA を制限酵素 Acc I -Hind 1Πで分 解し、 Ν末端ア ミノ酸をコー ドする領域が欠失した 200bp の DNA 断片を精製した 0
また、 ヒルジン HV- 1発現べクター pMTSHVl (特鼬平 2- 303096 号参照) を上記と同様に制限酵素 Acc I -Hind BIで分解し、 phoAシグナルぺブチ ドをコ一 ドする DNA を舍む 2.75Kbの DN A 断片を精製した。
前述の変異した 200bp の DNA 断片と上記発現ベクター pMTS HV 1 の断片を T4 DNAリガーゼにより連結したのち (図 5 ) 、 これで大腸菌 JM 109株を形質転換し、 変異体発現プラスミ ド PMTSHV17を得た。 このプラス ミ ドの塩基配列はサンガー等の 方法で確認した。 さらにこのプラス ミ ドを用いて大腸菌 BR1 株を形質転換したところ、 JM109 株より高発現であった。
(3) ヒルジ ン変異体 HV- 17 分泌プラス ミ ドによる HV-17 の分
上記 (2)で精製したプラスミ ド PMTSHV17により形質転換され た大腸菌 1株(E. coli RR 1/pMTSHVnとして微生物工業技 術研究所に寄託、 微ェ研条寄第 3268号) を 100 も/ 7ソ ピシリ ンを舍む 2 X TY培地 〔バク ト ト リブト ン(Bacto-trypt one)16g/ ϋ、 ノ ク トイース トエキス ト ラク ト(Bactoyeast ex tract) 10g/ £、 NaCl 5g/ £、 pH7.2)で培養した。 3 7 'Cで 24 時藺培養した後、 培養液 を集菌した。 沈澱した細胞を 1 ^の 2 5 %シユーク ロース、 3 0 mMト リ スー塩酸緩衝液 (PH 7.4)、 1 mM EDTA に懸濁し、 室温で 1 0分間処理した。 これ を遠心分離して集菌した後、 細胞を 1 の冷水に慈濁し、 浸 透圧ショ ックをかけてペリブラズム空間中の物質を放出させ た。
次いで、 これを遠心分離して細胞を除去し、 上清を得た Λ この上清中の抗 ト口ンビン活性を測定することにより ヒルジ ン変異体の分泌蓄積量を測定した。
抗トロ ンビン活性は、 ト ロ ンビンによる合成基質ク ロモザ ィム ΤΗ (ト シルグリ シルプロ リ ルアルギニン 4 一二 ト ロア ニリ ドアセテー ト) の水解活性の阻害度を比色定量すること により測定した。
まず、 測定用緩衝液 UOOmM ト リ スー塩酸緩衝液 PH 8.5 、 150mM NaCK 0.1 %ポリ エチレングリ コール 6000) に 0.5 ュ ニッ トのヒ ト一 ト ロ ンビン (シグマ社製) を加え、 さらにヒ ルジン変異体を添加し、 3 7 'Cで 3分間プレイ ンキュペー ト した。 これに基質として lOOnmol のクロモザィム TH (ベーリ ンガーマンハイ ム社製) を加え、 A0D405nm/min を測定した。
加えたヒルジ ン変異体の量を横軸に、 AOD405nm/min を縦 軸にしてグラフを作成し、 ト ロ ンビンの活性を 100 %阻害す るヒルジン変異体の量をグラフから求め、 これを 0.5 アンチ ト ロ ンビンユニ ッ ト ( A T U ) とした。
その結果、 ブラス ミ ド PMTSHV 17 を有する株では培地 1 ίί あたり 131 万 A T Uの抗 ト ロ ンビン活性、 すなわち約 131mg の HV- 17 のペリブラズム空間への分秘生産が認められた。
(4) 形晳 換株 E.coli RR 1 /PMTSHV- 17の発酵および培養液 への HV-17 分泌
上記 (3)に記載と同様に、 プラス ミ ド PMTSHV17により形質転 換された大腸菌 RR 1株を 100 μも/諕の 7 ンビシ リ ンおよび 2 %のグルコースを舍む 2 £の 2 X ΤΥ培地で 5 £の発酵槽にお いて、 3 7 ·" 2 4時間通気撹拌培養を行ったところ、 培養 液中に 1 あたり約 556mg の HV- 17 の分泌生産が認められた。
(5) 培養液からのヒルジ ン変異休 HV-17 の精製法
培養終了後、 1.6 £の培養液を回収し、 遠心して細胞を分 離した。 上清を 3.2 μ α のフィルター (ポール社製) で濾過 して細胞を完全に除去した後、 次の順序のク ロマ トグラフィ 一によ り ヒルジ ン変異体 HV- 17 を精製した。
①陰ィオ ン交換ク ロマ ト グラ フ ィ ー
カ ラム : QAE- ト ョパール(4.4 X 7 cm)
溶 媒 : lOmMリ ン酸カ リ ゥム緩衝液(PH7.0)
溶 出 : 0.2 M NaCl、 lOmMリ ン酸力 リ ウム緩衝液(PH7.0)
②ゲル濾過ク ロマ トグラフ ィ ー
カ ラム : セ フ ァ ク リ ル S-100H1M4.4 X97cm)
溶 媒: 10mMリ ン酸カ リ ゥム緩衝液(PH7.0)
③陰ィォン交換ク 口マ トグラフィー
カ ラム : DEAE— ト ヨパール(4.4 X 40cm)
溶 媒 : A. 10mMリ ン酸カ リ ウム緩街液(PH7.0)
B . lOmilリ ン酸カ リ ウム緩衝液(PH7.0) 、 0.3M NaCl
勾 配: B. 0〜100 %/12.5 時間
④逆相高速液体ク口マ トグラフィー
装 置: ウォーターズ社 デルタブレップ 3000
カラム r Vydac しヽ (4.7 X 30cm)
媒: A. 0.05% ト リ フルォロ酢酸ノ水
B . ァセ トニ ト リ ル
勾 配 : B . 10〜60%、 ノ 50分
流 速 : B . SO /rain
精製した HV- 17 5nraolを用いて、 110 て、 24時間、 6N HC1 による加水分解後、 アミノ酸分圻計 (ベックマン 7300) でァ ミノ酸分圻を行った。 この結果を表 1 に示す。 HV-Π は HV- 1 と比較してグルタ ミ ン酸が 2分子少なく、 チロシンが 2分子 多く、 導入したとおりの変異をもつことが確認された。
上記 (3)と同様にして抗ト ロ ンビン活性を測定したところ、 比活性は 12000ATU/nig であった。
ア ミノ酸 分折値
ASX 8.86 9
Thr 3.86 4
Ser 3.64 4
Glx 11.63 11
Gly 8.82 9
Ala
Cys 5.63 6
Val 3.33 4
Met
lie 1.95 2
Leu 4.11 4
T r 4.04 4
Phe 1.00 1
His 1.11 1
Lys 2.73 理 3
Arg
Pro 3.28 厶面
実施例 1 0
ヒルジ ン変異体 HV- 17 の硫酸エステル体の製造
実施例 9で作製した 6 1 , 6 2位の Glu を Tyr に置換した ヒルジ ン変異体 HV-17 をァリ ルスルホ ト ラ ンスフヱ ラーゼを 用いて、 次の条件でそれぞれ酵素的に硫酸エステル化を行つ
ヒルジ ン変異体 HV-17 0. ImM
p —ニ トロフユ二ル硫酸 l.OmM 硫酸転移酵素 10U/
塩化マグネシゥム 25raM 溶 液 0.1Mト リ スー塩酸緩衝液
(PH8.6)
反応温度 : 37 -C
反応時間 : 24時間
硫酸エステル体の分取は HPLCにより、 次の条件で行った。
カラム : ヌク レオシル 5C, 8 ( 4 X 150mm)
溶 媒 : A. 0.1 % ト リ フルォロ酢酸ノ水、 B . ァセ ト 二 ト リル
勾 配 : B . 1〜60%Z60分
流 速 : 1.0 分
検 出 : 230nm
この条件で、 ヒルジン変異体 HV-17 の硫酸エステル体は、 図 6 (A)に示したように 32, 4分、 33.0分、 33.7分に 3種の硫 酸エステル体 (図中、 それぞれ 1 , 2 , 3 として示した) が それぞれ溶出した。 次いで各硫酸エステル体の分画を濃縮し てァセ トニ ト リ ルを除去後、 凍結乾燥した。
ピーク 3に関しては、 非硫酸エステル体との分離が悪いた め、 さらに、 HPLCにより次の条件で分取した。
カ ラム - TSKgel DEAE-5PW (7.5x75mm)
溶 媒 : A. 20m« ト リスー塩酸緩衝液(PH8.0)
B . 20mM ト リ ス—塩酸緩衝液(PH8.0) +0.5M 塩化ナ ト リ ウム
勾 配 : B . 0〜100 %/50 分
流 速 : 0.8 id/ 分
検 出 : 230nm
この条件で、 ヒルジン変異体 HV- 17 の硫酸エステル体は図 6 (B) に 3 として示したように 40.6分に溶出した。 次いで、
この硫酸エステル体の分画を濃縮し、 逆相 HPLCにて脱塩した 後、 凍結乾燥した。
硫酸エステル化都位の冏定
分取した 3種のヒルジ ン変異体 HV-17 硫酸エステル体をァ ミ ノ ぺプチダーゼ M、 キモ ト リ プシンを用いて硫酸エステル 化部位の同定を行った。
①ァ ミノ べプチダーゼ M分解によるア ミノ酸分圻
1 ηιΜの基質 1 0 £に、 氷冷下で o —キモ ト リ ブシン (シ ダマ社製、 TLCK処理品) を 5 μ £ (250ng)加え、 0.1 Mリ ン 酸ナ ト リ ウム緩衝液中で、 3 7 ての温度下に、 4時間分解し た。 この反応液にア ミノ ぺプチダーゼ ( ピアス社製、 5 mg/ id) を 5 £加え、 更に 1 8時間加水分解を行つた。 加水分 解後のアミノ酸分折値より、 ビーク 1 はジ硫酸エステル体、 ピーク 2及びビーク 3 はモノ硫酸エステル体である こ とを確 認した。
②キモ ト リプシ ン分解によるペプチ ドマップ
I mMの基質 1 0 に、 氷冷下で α —キモ ト リ ブシンを 5 μ i ( 250ng)加え、 0.1 Mリ ン酸ナ ト リ ウム緩衝液中で、 37 ての温度下に、 24時間分解を行った。 この反応液を Nucleosil 5C1 8 ( 4 X l50mm)を担体とする逆相 HPLCにかけ、 分解物の溶 出位置を確認した。 その結果、 基質が非硫酸エステル体のヒ ルジン変異体 HV-17 である場合、 6 1位の Tyr の後のア ミ ド 結合が切断される こ とにより、 6 1 ア ミ ノ酸と 4 ア ミ ノ酸の 2つのフラグメ ン トが生じた。 また、 ビーク 1 〜 3 の 3種の 硫酸エステル体について同処理を行ったところ、 6 1 ァ ミ ノ
酸から成るフラグメ ン トの溶出位置は 3種とも非硫酸ェステ ル体のフラグメ ン トの溶出位置と一致した。 この結果から、 3種の硫酸エステル体はいずれも 3位及び 6 1位の Tyr は硫 酸エステル化されていないことが明らかになった。 従って、 この結果と上記①の結果から、 ピーク 1 は 6 2位及び 63位の 2つの Tyr が硫酸エステル化したジ硫酸エステル体であるこ とが確認された。 また、 ビーク 2及びピーク 3を分解して生 じた 4つのア ミノ酸から成るフラグメ ン トの溶出位置は、 ぺ プチ ド (B)のビーク 1〜 3のキモ ト リプシ ン分解で生じたフ ラグメ ン トのうち、 それぞれビーク 2、 ビーク 3を分解して 生じた 4つのア ミノ酸から成るフラグメ ン トの溶出位置と一 致した。 この結果からピーク 2 は 6 2位の Tyr が、 ピーク 3 は 6 3位の Tyr が硫酸エステル化されたモノ硫酸エステル体 であることが確認された。
以上、 硫酸エステル化部位の同定の結果を次にまとめた。
硫酸エステル体 直
ピーク 1 : Va卜 Va卜 Tyr-Thr-Asp-Cys-Thr-Glu-Ser-Gly- Gln-Asn-Leu-Cys-.teu-Cys-Glu-Gly-Ser-Asn-Val-Cys- Gly - Gin - Gly - Asn— Lys - Cys - 1 le -し eu - Gly-Ser— Asp— Gly - Glu-Lys-Asn-Gln-Cys-Val-Thr-Gl -Glu-Gl -T r-Pro- Lys-Pro-Gln-Ser-His-Asn-Asp-Gly-Asp-Phe-Glu-Glu- Ile-Pro-Tyr-Tyr(S03H)-Tyr (S03H)-Leu-Gln
ビーク 2 : Va卜 Va卜 Tyr - Thr-Asp-じ ys- Thr-Glu-Ser - G - Gln-Asn-Leu-Cys-Leu-Cys-Glu-Gly-Ser-Asn-Val-Cys- Gly-Gln-Gly- Asn-Lys-Cys- I le-Leu-Gly-Ser- Asp-Gly- Glu-Lys-Asn-Gln-Cys-Val-Thr-Gl -Glu-Gl -Thr-Pro- Lys-Pro-Gln-Ser-His-Asn-Asp-Gly-Asp-Phe-Glu-Glu- I le-Pro-Tyr-Tyr (S03H) -Tyr-Leu-Gln
ピーク 3 : Val-Val-Tyr-Thr-Asp-Cys-Thr-Glu-Ser-Gly- Gln-Asn-Leu-Cys-Leu-Cys-Glu-Gly-Ser-Asn-Val-Cys- G ly- Gin - Gly- Asn-Lys-Cys- 1 le- Leu - Gly-Ser- Asp- Gly - Glu-Lys-Asn-Gln-Cys-Val-Thr-Gly-Glu-Gl -Thr-Pro- Lys-Pro-Gln-Ser-His-Asn- Asp-Gly-Asp-Phe-Glu-Glu- Ile-Pro-Tyr-Tyr-Tyr (SOaH) -Leu-Gin
実施例 1 1
蘧理試餘例 (杭 ト 口 ンビン活性; ク ロ ッチイ ング · ア ツセィ) ヒルジンは血液凝固因子である ト ロ ンビンと 1 : 1 で結合 し血液凝固を阻害する。 最近、 結晶解圻により、 ヒルジンと ト ロ ンビンの結合様式が明らかになった 〔T. J. Rydel et
al,,サイ エンス (Science) (1990), 249, p277-280 〕 。 それ によると、 ヒルジンの C末端側がト ロンビンをまきこむよう に結合し、 6 3位の Tyr の水酸基が硫酸エステル化されると さらにこの結合は強固になり、 その結果、 抗ト ロ ンビン活性 の上昇が起こると考えられる。
木発明により得られた化合物のうち、 いくつかは、 従来の 技術で製造されたヒルジンにく らべ、 強い抗ト口ンビン活性 を有している。 抗トロンビン活性の測定はフイ ブリノ一ゲン を基質に用いた抗凝固活性を指標として行った。 すなわち、 化合物を 0.1 %ボリエチレングリ コール 6000を舍む 0.1 M リ ス一塩酸緩衝液 (PH7.5) 200 u 1 に溶解し、 同緩衝液で 10 NIfl units/fflgとなるように溶解したヒ トー トロンビン (シグ マ社製) 100 £を加え、 3 7 ΐで 3分間プレイ ンキュベー 卜 した後、 上記の ト リスー塩酸緩衝液で 6 mg/ 諕 となるよ うに溶解したヒ トーフイブリ ノ一ゲン (シグマ社製) 200 u £を加え、 反応溶液の凝固時間を測定した。 凝同時間の測定 には、 凝固時間測定装置 (A LUNG 社 KC10A) を用いた。 得 られた測定値は、 あらかじめ求めた ト ロ ンピンの標準曲線か らュニッ ト数に換算し、 この値を縦軸に、 化合物の濃度を横 軸にしたグラフを作成した。 グラフより化合物の濃度が 0の ときの ト ロ ンビンのユニッ ト数を 100 とし、 50のときの化 合物の濃度を求め、 ト ロ ンビンに対する化合物の 5 0 %阻害 濃度とした。 この結果を表 2に示した。
表 2
注) 力価は HV-l (54-65) を 1 と して計算した
HV-1 (54-65): fl-Gly-Asp-Phe-Glu-Glu-Ile-Pro-Glu-Glu- Tyr-し eu - Gin - OH
ヒルジ HV-1: Val.-Val-Tyr-Thr-Asp-Cys-Thr-Glu-Ser- Gly-Gln-Asn-Leu-Cys-Leu-Cys-Glu-Gly-Ser-Asn-Val- Cys-Gl -Gln-Gly-Asn-Lys-Cys-Ile-Leu-Gly-Ser-Asp- Gly-Glu-Lys-Asn-Gln-Cys-Val-Thr-Gly-Glu-Gly-Thr- Pro-Lys-Pro-Gln-Ser-His-Asn-Asp-Gl -Asp-Phe-Glu- Glu-Ile-Pro-Glu-Glu-Tyr-Leu-Gln 実施例 1 2
薬揮試験例 (杭トロンビン活性 ; クロモジ ニック ' アツ セィ )
トロ ンビンによる合成基質ク ロモザィ ム TH (ト シルグリク ルプロリルアルギニン 4 一二 トロアユリ ドアセテー ト) の水 解活性の阻害度を指標として抗ト ロ ンビン活性を求めた。 す なわち、 0.1Mト リス—塩酸緩衝液(ΡΗ8·5)、 150fflM NaCl.0.1 %ポリ エチレングリ コール 6000からなる緩衝液に 350pM の ヒ トー トロンビン (シグマ社製) を加え、 これに種々の濃度 のヒルジン HV-1、 ヒルジン HV-17 及びヒルジン HV-17 の硫酸 エステル体の分取物 (ピーク 1 , ビーク 2 , ピーク 3 ) を添 加し、 3 7てで 3分間プレイ ンキュペー トを行った。 尚、 前 記ヒ トー ト ロ ンビンのモル濃度は、 4 ーメ チルゥ ンベリ フエ 二ルー P —グァニジノ ベンゾエー トを基質とし、 アクティブ サイ トタイ ト レーシヨ ン法 ( G. W. Jameson et al. , ノ、'ィォ ケ ミカル ジャーナル(Biochera.J.) (1973) , 131, P107-117]
により求めた。 ブレイ ンキュペー ト後に、 終濃度 100 μ ϊ\ と なるよ う にク ロモザィ ム ΤΗ (ベー リ ンガーマ ンハイ ム社製) を加え、 ρ —二 トロアユリ ドの遊離を波長 405nm で測定し、 水解反応の初速度 Vを、 上記各ヒルジ ンの各攮度において求 めた。 こ の水解反応の初速度から S. fi. Stone らの方法 〔バ ィ ォケ ミ ス ト リ ー(Biochemistry) (1986) , 25, P4622-4628 ] により、 みかけの解離定数 ΚΓを求めた。 この結果を表 3に 示した。
この結果、 ヒルジ ン HV-17 はヒルジ ン HV-1より活性が劣る が、 これを硫酸エステル化としたものは、 ヒルジ ン HV- 1より 約 2倍の活性を有していることが分かる。
3
実施例 1 3
ト ロ ンビン誘発致死反応に対する硫酸エステル化べプチ ド の 1¾害作用
雄性マウ ス ( 2 0〜 2 5 g ) に無麻酔下で ト ロ ンビン 1 5 NIH ュニッ ト Z 1 0 g ) を静注し、 正向反射の消失及び致死 を指標として、 被験化合物の抗 ト ロ ンビン作用を評価した。
尚、 被験化合物は、 全て生理食塩水に溶解し、 ロ ンビン投 与 5分前に、 0.05/δ£ノ 1 0 gの用量で静注した 結果を表 4 に示す。
M ^
* スコ ア一 0 :正向反射の消失を認めない。
1 : 正向反射は消失するが 2 0分以内は死亡し ない。
2 : 2 0分以内に死亡。 実施例 1 4
出血時間の延長作用
雄性マウス ( 2 0〜2 5 g ) を用いてペン トバルビタール ( O ragZkg,i,p.)麻酔下に尾静脈より被験化合物を投与し、 その 5分後に化合物投与の反対側の尾静脈に 2 1 G注射針 (外径 0.85ミ リ) を挿入して作製した傷口の出血時間を測定 した。
岀血時間は、 1 5秒毎に傷口を濾紙で拭い、 濾紙上に血液
斑が確認されな く なつた時点とした。 結果を表 5に示す 表 5
一般に、 抗血液凝固剤の副作用としては出血時間の延長作 用があげられる。 本実験より、 本発明の硫酸エステル体は、 ヒルジン HV-1に比べて明らかに出血傾向が低いことが確認さ れた。
実施例 1 5
製 剤
(1) 実施例 4 で得られた(C) 及び(G) の硫酸ェ、ステル体を用 いて、 それぞれ次の成分で腸溶性カプセル剤を製造した。
(ィ) (口)
• 主材(C) 又は(G) の硫酸エステル体 10 g 5' g . 乳 糖 2.5 g 7.5g
• ヒ ドロキシプロ ピルセルロース 0.5 g 0.5 g この経口剤を 1 日 1 回〜数回患者に投与する。
(2) 実施例 10で得られたヒルジン変異体 HV-Π 磅酸エステル 体の涑結乾燥物 5 mgを滅菌生理食塩水 1 に溶解し、 ァ ンプルに充填して静脈注射剤を製造した。
この注射剤を 1 日 1 回〜数回患者に投与する。
産業上の利用可能性
木発明のぺプチ ドのうち硫酸ヱステル体は、 非常に高い抗 ト口ンビン活性及び抗血小板作用を有し、 急性深部静脈血栓 症、 肺梗塞症、 急性四肢動脈梗塞症、 心筋梗塞、 血管内凝血 等の治療及び予防、 すなわち、 抗血液凝固剤として有用であ る。 また非硫酸エステル体は、 それ自体でも前記抗 トロンビ ン活性及び抗血小板作用を有するが、 当該ペプチ ドのチロ シ ン残基の水酸基を硫酸エステル化して、 非常に高い抗 ト口ン ビン活性及び抗血小板作用を有するペプチ ドを得るために有 用である。
微生物への言及
1. E. co l i RRl/pMTSHV17
寄託機閬 : 通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所 住 所 : 日本国茨城県つく ば市東 1丁目 1番 3号 寄託日 : 平成 3 ( 1991 )年 2月 6 日 .
受託番号 : FERM BP - 3268 '