WO1992009393A1

WO1992009393A1 - Drill

Info

Publication number: WO1992009393A1
Application number: PCT/JP1991/001680
Authority: WO
Inventors: Masao Kubota
Original assignee: Masao Kubota
Priority date: 1990-11-30
Filing date: 1991-11-30
Publication date: 1992-06-11
Also published as: EP0513374A1; EP0513374B1; EP0513374A4; DE69116548D1; JPH04201106A; DE69116548T2; US5314272A

Description

明細書

リル

技術分野

本発明はチップを用いたドリルの構造に関する。

本発明は、あらゆる穴加工に利用できる。特に本発明は比較的小さな穴を高能率に加工する場合にも利用できる ο

背景技術

従来のチップを用いたドリルは、中心刃と外周刃との切削抵抗のバランスに対する配慮から、外径の比較的大きいものに限られている。発明者が本出願の発明者である米国特許第 4， 5 8 6， 8 5 8号明細書及び日本特許公開公報特開昭 6 2 - 8 4 9 1 2号には、特殊形状のチップを用いることによって、ある程度小径の穴加工が可能となるドリルが記載されており、チップを用いた小径穴加工のドリルは公知である。

しかし、米国特許 4， 5 8 6， 8 5 8号明細書に開示されたドリルは切刃を構成するチップを複数配設し、かつ、切刃の一部が欠除するようにチップを配設しない部分を設けて左右の切刃の切削抵抗のバランスをとつたものであり、加工する穴の径を小さくするには限界がある < また、他の実施例として記載されたドリルは、切刃を構成するチップに特殊加工を施して切刃の一部に切削作用を行わない部分を設け切削抵抗のバランスを図ったものであり、切刃に特殊加工を施さねばならないことにより，コスト高となる。

また、上記特開昭 6 2 - 8 4 9 1 2号公報に記載されているドリルも切刃を構成するチップに特殊加工を施し、切刃の一部に切削作用を行わない部分を設け切削抵抗のランスを図ったものであり、このドリルもコスト高となる。

発明の開示

本発明の目的は、なるべく市販のチップを用い、チップに加える加工を最小限に止どめつつ、小径の穴加工にも適用できるような、簡単な構造のドリルを提供することにある。

上述の目的を達成するために、本発明は、中心側切刃の稜線と、反対側の中間切刃の稜線とが、工具中心線と成す半頂角が相等しく、中心側切刃の両端間の稜線の長さの中点と、中間切刃の稜線の両端間の稜線の長さの中点とを結ぶ直線が工具中心線と直角を成し、中心側切刃の両端間の稜線の長さが、中間切刃の両端間の稜線の長さの概ね二倍とし、中間切刃の稜線が中心側切刃の稜線に対し、工具軸方向に、ドリル一回転当たりの送り量の 1 2より大きいリップハイトを有するように構成する。さらに、好ましくは、前記中心側切刃及び中間切刃はドリル本体に取外し自在に固定されたチップによって構成する。好ましくは、前記チップを正三角形状の各頂点近傍を同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃として構成する。若しくはチップの基本形状を矩形形状とし、対角線上の対応する各頂点を各々同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃として構成する。そして、チップの一辺が前記中心側切刃及び中間切刃となるように大きさの異なる 2 つのチップをドリル本体に固定するようにする。加工する穴の径を拡大するときには、前記中心側切刃及び中間切刃の外側に対称の位置に切刃を有する同形同大のチップを固定する。

本発明の別な態様として、前記チップを正三角形形状の各頂点近傍を同一形状に除去し、各辺を切刃とすると共に、各辺の中央部にニックを設けて構成する。この同形同大の 2つのチップの一辺が前記中心側切刃の稜線上に載るよに 2つのチップをドリル本体に固定して、 2つのチップの各一辺で前記中心側切刃を構成する。また、チップの一辺が前記中間切刃となるように前記チップと同形同大のチップをドリル本体に固定する。

さらに、本発明の別な態様として、前記チップを矩形形状の対角線上の対応する各頂点近傍を同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃にして構成し、この同形同大の 2 つのチップの一方を該チップの長辺が前記中心側切刃になるようにドリル本体に固定する。又、他方をチップの短辺が前記中間切刃になるようにドリル本体に固定する < 本発明の別の態様として、前記チップを、矩形形状の対角線上の対応する各頂点近傍を同一形状に除却し、各辺を切刃とすると共に、長辺の中央部にニックを設けて構成する。この同形同大の 2つのチップの長辺が前記中心側切刃の稜線上に載るように 2つのチップをドリル本体に固定して、 2つのチップの長辺で前記中心側切刃を構成する。又、前記チップと同形同大の 2つのチップの短辺が前記中間切刃の稜線上に載るようにドリル本体に固定し、 2つのチップの短辺で前記中間切刃を構成する c 以上のように、本発明は、中間切刃の稜線が中心側切刃の稜線に対し、工具軸方向に、ドリル一回転当たりの送り量の 1 Z 2より大きいリップハイトを有するように構成されているので、中心側切刃が本来切削すべき部分の一部を、中間切刃が 1 8 0 ° 先回りして切削し、中心側切刃は中間切刃で切削された部分を切削しないことになる。さらに、中心側切刃の両端間の稜線の長さが、中間切刃の両端間の稜線の長さの概ね二倍としたから、簡単な構成で切削抵抗のバランスがとれた高性能のドリルを得ることができる。また、中心側切刃と中間切刃の切削部位が異なるので、左右の半頂角の誤差によるパランスへの影響は極めて僅かとなり、通常のドリルと比べバランスのよいドリルを得ることができる。

さらに、市販のチップ若しくはそのチップに簡単な加ェを施したチップを用いることにより、本発明のドリルを得ることができる。

図面の簡単な説明

第 1図（ a ) は両側チップに正三角形を基本形とする各 1個のチップを用いた本発明の第 1の実施例によるドリル先端の正面図、第 1図（b ) は第 1図（ a ) におけるドリル先端部の拡大図、第 2図は第 1 の実施例の平面図、第 3図は両側チップとして矩形を基本形とする各一個のチップを用いた本発明の第 2の実施例によるドリル先端の正面図、第 4図は第 2の実施例の平面図、第 5図は正三角形を基本形とする同形同大のチップを組み合わせて用いた本発明の第 3の実施例によるドリル先端の正面図、第 6図は第 3の実施例の平面図、第 7図は同形同犬の矩形を基本形とするチップを組み合わせで用いた本発明の第 4の実施例によるドリル先端の正面図、第 8図は第 1の実施例に付加チップを用いて加工径の拡大を図つた本発明の第 5の実施例のドリル先端の正面図である _c 発明を実施するための最良の形態

第 1図（ a ) ， ( b ) 及び第 2図を参照すると、本発明の第 1の実施例によるドリルは、図示しない被加工物に加工穴（図示略）を穿設するためのもので、ドリル先端に被加工物を切削するための中心側切刃 1 (第 1図中左側切刃），中間切刃 2 (第 1図中右側切刃）を備えている。なお、チップブレーカ等の図示は省略している (他の実施例も同様である）。中心側切刃 1 は、工具中心軸 0 0上の点 Sから切刃先端 Aに至る中心部切刃 1 1 と、先端 Aから外端 Dに至る主切刃 1 2 とから成る。主切刃 1 2は、工具中心軸 0 0上の点 Vを頂点とする半頂角 αの円錐の母線 V P上にある。中間切刃 2 は、工具中心軸 0 0に関し母線 V Ρに対称な母線 V Qに平行で軸方向に t m m進んだ直線 V ' Q ' 上の中間二点 E， Fを両端としている。ただし、このドリルの一回転当たりの最大送り量を f mm/ r e vとして " t " は " f /2" より僅かに大きい値とする。 " t " は軸方向リップハイト (軸方向の相対的切刃高さ）と呼ばれるもので、その量がドリルー回転当たりの送り量の 1 Z 2より大きければ、中心側切刃 1が本来切削すべき部分の一部を、中間切刃 2が 1 8 0° 先回りして切削するので、反対側の中心側切刃 1 (主切刃 1 2) の対応する部分 B Cは切削作用をしない。

この第 1の実施例においては、前記中心側切刃 1及び中間切刃 2を夫々基本正三角形のチップ 20， 21の一辺で構成し、これらチップ 20， 21は夫々ドリル本体にボルト 4 0， 4 1で取外し自在に固定されている。第 1図に示すように、主切刃 1 2は基本正三角形 L MNの辺 LM上に乗っているものとし、外端 Dにおける外角ァを半頂角 αと工具軸方向逃げ角 <5との和に等しくなるように、基本正三角形の各頂点の近傍を除去し、各辺に切刃を設けてチップ 2 0を構成している。従つて頂点 Αにおける内角は 6 0 ° + y となる。特にドリル頂角を 1 1 8° 、従って半頂角 αを 5 9° とすると、切刃外端 Dにおける軸方向逃げ角 5は 1 ° となり、工具中心軸 0 0と中心部切刃 1 1とのなす角；3は 6 1° になる。ドリルー回転当たりの送り量の 1Z2を上回るリップハイト tを与える中間切刃 2は、一辺の長さが L Mの 1 Z2より大きめの正三角形の頂点近傍を対辺に平行に除去して、 E F = A DZ 2 としたチップ 2 1 を用いるのがよい。なお、このチップ 2 1の各辺には切刃が設けられており、この一辺が前記中間切刃 2 として利用される。

そこで、上記の切刃を備えたドリルについて、切削抵杭によってドリルに働く曲げモ一メントが零になる条件 ¾考る。

切刃に沿った長さ s mmの単位長さ当たりの切削抵抗の円周方向成分を f (； k g f /mm, 工具中心軸 0 0 と切刃稜線とを含む平面内で切刃に直角な切削抵抗成分を f _n k g f Zmmとし、 kを定数として f _n = i _c Z k と表す。またドリルの軸方向の切削抵抗成分及び半径方向の切削抵抗成分を各々 f _t k g f mm, f _ k g f mm とすると、半頂角 αの母線にのる切刃上の任意の点（半径 r mm) における切刃の微小長さ d s ( = d r / s i n a ) に対する切削抵抗は、

円周方向に f • d s = k d r / s in a 軸方向に f d s = f — s l n a d r Z s i n a d r

n 、

半径方向に f d s = f • cos a · ά τ s l n

= f _n - cot a · d r

と表される。中間切刃 2の両端 E， Fに対応する主切刃 1 2上の点をそれぞれ B , Cとすれば、 B C間は切削作用がない。

工具中心軸 0 0上の任意の点 0 (O S = a ) を通る水平軸◦ Xの回り、及び工具中心軸 0 0 と水平軸とに直角な軸 O Y (第 1図で紙面に垂直）の回りの各曲げモーメントを考え、それぞれを零とおけば、ドリルに働く曲げモーメントを無くする条件が得られる。

軲 Ο Χの回りの曲げモーメントを考えると、

( a + r · c 0 t /3 ) f _c d s

+ ( a 一 r c o t o f „ d s

+ ( a 一 r c o a f d s ( a c o t な ) f „ d s = 0 ここで a ' = a + r _B ( c o t a + c o t ）であるただし E点及び F点における段差は比較的小さいので段差部分による切削抵抗は無視した。

点 A， B， C , D， E， Fにおける半径 rをそれぞれ

^Γ Β D r _Ε として上記積分を実施すると、

[ a - r + ( r ² X2 ) c o t βΫ

0

+ [ a ' « r - ( r ² /2 ) c o t r Β

r A

+ [ a - ( r ² X 2 ) c o

[ a r— ( r 2 ) c o t a ] I^F = 0

D点はドリルの外端であるから半径 r _D はドリルの半径

0 と等しく ^r D r ₀ とする。また、簡単のため、 a βとして整理すると、 a ( ^r 0 _ 2 + 2 r , ) c o t a

(1/2) ( r 2 + 2 r ) c o t a

= 0 · · · ( ]_ ) を得る。

同様にして水平軸 O Yの回りの曲げモーメントを零とおけば、

A

( a + r · c 0 t 3 ) f _r d s

+ ( a ' — r · c o t ) f _T d s

+ ( a ― r c o t a) f _r d s d s r f , d s d s

- [ J p (a ' - r « c o t a) f . d s

！ r f , d s ] = 0

積分を実行すると、

[a « r + ( r ² _/ ^/2) c o t 3]^r^ c o β

+ 〔 [a ( r 2 ) c o t a] Γ B

r A

+ [a 2 ) c o t a ]；° c o t a

— [ r ² Z2]^rA 0 - [ r ² Z2]; i A^B — [ r 2 ] Γ D

〔 [a r一 ( 2 ) c o t a ] ί ^F c o t a

Γ E

- [ r ² Z2 ] Γ E ^F 〕 = 0 前記同様にして、 a ( r ₀ - 2 r _F + 2 r _E ) c o t a — ( l / s i n 2 ひ） ( r _n ² - 2 ² + 2 r o = 0 ( 2) 式（1 から式（2 ) を辺辺相差し引くと、

t an (a 2 ) · ( r ₀ ² - 2 r _F ² + 2 r _E ) = 0 従って、

- 2 r

F + 2 E 0 ( 3 ) を得る。従って式（1 ) または（2 ) から、

a ( ^Γ 0 一 ^{2 r} F + 2 r _r リ一 c o t a A 0 a ひの値に拘らず上式が成り立っためには、

0 - 2 r _F + 2 r _E : 0， - - (4 )

(5 ) でなければならない。

実際は取り付け誤差があつても r < 0 とならないようにするため、 r 〉 0 とするのがよいが、その値は小さいので、 r 〉 0 とすることによる誤差は小さい。また rが十分小さければ 8≠ でも切削抵抗のバランスにはほとんど影響がない。なお E， F点における段差は rの影響を打ち消すように働くので、段差無視による誤差も僅少ある。

式（ 3 ) と（4) とから、

E 0 4 F ⁼ 3 r 0 4 ( 6 ) 力得られる。

すなわち、前記第（6 ) 式より中間切刃 2の長さ E F を中心側切刃 1 1の主切刃 12の長さ A Dの 1Z2としたとき、中間切刃 2の中点と主切刃 1 2の中点を結ぶ直線が工具中心軸 0 0 と略直交するようにチップ 2 0 , 2 1をドリル本体に取付けることにより、ドリルに働く曲げモーメントを無くしたドリルを得る。

本第 1の実施例では、両側のチップ 2 0 , 2 1がー個づっであるから、比較的小さい直径のドリルにも適用できる。中間切刃 2のチップ 2 1が小さくてチップや取付けねじの強度が過小になる場合は、大きなチップの頂点近傍を大きく除去したものを用いる。なお中間切刃用チップ 2 1の基本形として正方形のものを用いることもある o

次に本発明の第 2の実施例によるドリルを説明する。本実施例は、中心側切刃及び中間切刃を構成するチップを矩形を基本形としている。そのため、上記第 1の実施例と比べてチップの形状が異なっている。但し、その他の基本構成は第 1の実施例のものと同様で、両実施例に共通する要素を共通の参照符号で図示し、その説明を省略する。

第 3図，第 4図を参照すると、第 3図に示すように、チップ 2 2， 2 3の基本形を H , I , J , Kを頂点とする矩形（H I , J Kを長辺、 I J， K Hを短辺）とする _c 中心側切刃 1 について述べると、外端 Dにおける外角が半頂角 α と工具軸方向逃げ角 5の和（ α + δ ) となるように頂点 i (及び K ) 近傍を削除し、切刃先端 Aにおける内角が 2 αになるように頂点 H (及び J ) 近傍を削除して中心部切刃 1 1を形成する。実用的な値として α == 7 5 ° , 5 = 1 ° が適当である。長辺及び短辺の両端を削除して残った部分を切刃とし、長辺部分を主切刃 1 2 (左側）短辺部分を中間切刃 2 (右側）として用い、ドリル本体にボルト 4 2〜 4 5で各チップ 2 2 , 2 3を取外し自在に固定する。主切刃 1 2，中間切刃の幅は 2 : 1 とする。この場合は一つのチップを左側と右側で切刃を交替してそれぞれ二切刃を使用可能である。なお、本第 2の実施例では、同形同大のチップ 2 2， 2 3を用いたが中心側切刃用と中間切刃用との大きさの異なるチップを用いてもよい。 .

次に、本発明の第 3の実施例によるドリルを説明する c 本実施例のドリルは正三角形を基本形とする同形同大のチップを組み合わせて切刃を構成したドリルである。上記第 1の実施例のドリルと比べ、中心側切刃 1が同形同大のチップ 2 4 , 2 5で構成されている点等が異なる。第 5， 6図を参照すると各チップ 2 4， 2 5， 2 6 は、各頂点の近傍を外端の外角が半頂角と工具軸方向逃げ角の和（な + 5 ) になるように均等に除去されていると共に、各辺の中央部にニック 3， 4， 5が設けられ、各辺には切刃が設けられている。一般に、ニックは切屑の細分化に役立つものであるが、この実施例における二ック 3 , 4は切削領域の境界として役立つ。各チップ 2 4 , 2 5 , 2 6は同形同大である。切刃半頂角を αとする円錐母線上に切刃を載せた二つのチップ 2 4， 2 5 を密接設置してチップ 2 4 , 2 5の一辺で主切刃 1 2を構成するようにボルト 4 6， 4 7でドリル本体に取外し自在に固定されている。また、工具中心線 0 0に関し反対側に所要のリップハイトを与えて一個のチップ 2 6をその一辺を中間切刃 2を構成するようにボルト 4 8でドリル本体に取外し自在に固定されている。

中心側切刃 1 を構成するチップ 2 4， 2 5のニック 3 と 4 とに挟まれた切刃部分は、中間切刃 2 に対応し、中間切刃 2によつて切削が行われ、上記二ック 3 と 4 とに挟まれた切刃部分は、切削作用を行わない領域内にあるように固定する。このような構成によって、切削抵抗による曲げモーメントに関するニックの影響は相殺されて- バランスが維持される。切刃を構成するチップ 2 4， 2 5， 2 6は入れ換えて、無傷で残った切刃を利用する ( 特に α + 5 = 6 0 ° とした場合は、チップの形状が対称形となり構成も簡明で実用的である。

次に、本発明の第 4の実施例によるドリルを説明する < 本実施例のドリルは矩形を基本形状とする同形同大のチップを組み合わせて切刃を構成したドリルである。第 3 の実施例のドリルと比べチップの形状が矩形になつている点で異なる。

第 7図を参照すると、チップ 2 7 , 2 8， 2 9， 3 0 は同形同大で、長辺と短辺との比が概ね 2 とする矩形を基本形状としている。中心側切刃 1を 2つのチップ 2 7， 2 8の長辺で構成したとき、外端側は外角が、半頂角ひと工具軸方向逃げ角 < の和（ + 5 ) となるように長辺の端部を僅小な長さ mだけ斜めに除去され、中心側は内角が 2 α となるように長辺の端部を僅小な長さ ηにだけ斜めに除去されている。そのため、主切刃の中央部には幅（ m + η ) のニックが設けられることになる。各辺には切刃が設けられている。こうして、各チップ 2 7〜 3 0は同一の形状，同一の大きさで構成されている。

切刃半頂角をとする円錐母線上にチップ 2 7， 2 8 の長辺の切刃を載せ二つのチップ 2 7 , 2 8を密接設置し、ボルト 4 9， 5 0でドリル本体に取外し自在に固定して、中心側切刃を構成する。工具中心線 0 0に関し反対側に、チップ 2 9， 3 0の短辺の切刃を利用しチップを縦長に並べ、所要のリップハイトを与えてボルト 5 1， 5 2でドリル本体に取外し自在に固定し、中間切刃 2を構成する。なお、中間切刃 2を構成するチップ 2 9 , 3 0の配置位置は、中心側切刃 1の 2つのニック間に対応する位置とし、この中心側切刃 1の 2つのニック間の切刃部分は、被加工物を中間切刃 2で切削するため、切削作用を行わないこととなる。そのためチップ 2 7， 2 8は入れ換えることによって新たな切刃とすることができる。

次に本発明の第 5の実施例によるドリルを説明する。本実施例のドリルは第 1の実施例のドリルにチップを付加してドリルによる加工穴径の拡大を図つたものである。第 8図に示すように第 1図に示す第 1の実施例のドリル 5

に対し、ドリルの左右切刃の外側に対称の位置に同形同犬のチップ 3 1 , 3 2をボルト 5 3， 5 4で取外し自在に固定し、チップ 3 1， 3 2の一辺で切刃 6， 7を構成したものである。中心側切刃 1側に付加したチップ 3 1 による切刃 6は中心側切刃 1の主切刃と同一線上になるように配置し、中間切刃 2側に付加したチップ 3 2の切刃 7 はリップハイト t を与えずに配置する。

以下、本発明の利点を列記する。

( 1 ) 中間切刃にリップハイトを設け、中心側切刃では. この中間切刃に対応する部分で切削作用をしないようにしたから切削抵抗のバランスが取れる。 .

( 2 ) 中間切刃にリップハイトを設けるのみで、切刃を構成するチップに市販のチップ若しくはそのチップに簡単な加工を施したチップを用いることができるので低コストで、かつ、小径の穴加工ができるドリルを得ることができる。

( 3 ) チップの各辺が切刃を構成しているから、各チップの一辺の切刃が消耗したとき、チップの他の一辺がドリルの新しい切刃となるように固定しなおすことにより、チップをむだなく使用できる。

Claims

6 請求の範囲

1 . 中心側切刃の稜線と、反対側の中間切刃の稜線とが工具中心線と成す半頂角が相等しく、中心側切刃の両端間の稜線の長さの中点と、中間切刃の稜線の両端間の稜線の長さの中点とを結ぶ直線が工具中心線と略直角を成し、中心側切刃の両端間の稜線の長さが、中間切刃の両端間の稜線の長さの概ね二倍とし、中間切刃の稜線が中心側切刃の稜線に対し、工具軸方向に、ドリルー回転当たりの送り量の 1 2より大きいリップハイトを有するように構成されていることを特徴とするドリル。

2 . 前記中心側切刃及び中間切刃はドリル本体に固定されたチップで構成されている請求の範囲 1記載のドリル。

3 . 前記チップはドリル本体に取外し自在に固定されている請求の範囲 2記載のドリル。

4 . 前記チップは、正三角形形状の各頂点近傍を同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃にして構成され、チップの一辺が前記中心側切刃及び中間切刃となるように大きさの異なる 2つのチップをドリル本体に取外し自在に固定した請求の範囲 4記載のドリル。

. 前記チップは、正三角形形状の各頂点近傍を同一形状に除去し、各辺を切刃とすると共に、各辺の中央部にニックを設けて構成し、同形同大の 2つのチップの一辺が前記中心側切刃の稜線上に載るように 2つのチップをドリル本体に固定して、 2つのチップの各一辺で前記中心側切刃を構成し、チップの一辺が前記中間切刃となるように前記チップと同形同大のチップをドリル本体に固定した請求の範囲 3記載のドリル。

6 . 前記チップは、矩形形状の対角線上の対応する各頂点近傍を各々同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃にして構成し、チップの一辺が前記中心側切刃及び中間切刃となるように大きさの異なる 2つのチップをドリル本体に取外し自在に固定した請求の範囲 3記載のドリル。

7 . 前記チップは、矩形形状の対角線上の対応する各頂点近傍を各々同一形状に除去し、かつ、各辺を切刃にして構成し、同一形状の 2つのチップの一方を該チップの長辺が前記中心側切刃になるようにドリル本体に固定すると共に、他方をチップの短辺が前記中間切刃になるようにドリル本体に固定した請求の範囲 3記載のドリル。

8 . 前記チップは、矩形形状の対角線上の対応する各頂点近傍を各々同一形状に除去し、各辺を切刃とすると共に、長辺の中央部にニックを設けて構成し、同形同大の 2つのチップの長辺が前記中心側切刃の稜線上に載るように 2つのチップをドリル本体に固定して、 2 つのチップの長辺で前記中心側切刃を構成し、前記チップと同形同大の 2つのチップの短辺が前記中間切刃の稜線上に載るようにドリル本体に固定し、 2つのチップの短辺で前記中間切刃を構成した請求の範囲 3記載のドリル。

9 . 前記中心側切刃及び中間切刃の外側に対称の位置に切刃を有する同形同大のチップを固定した請求の範囲 2 , 請求の範囲 3，請求の範囲 4，請求の範囲 5，請求の範囲 6，請求の範囲 7又は請求の範囲 8記載のドリル。