JPWO2022009800A5 - - Google Patents
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Description
本開示の第1側面に係る固体電解コンデンサ素子は、少なくとも表層に多孔質部を備えた陽極体と、前記陽極体の表面の少なくとも一部に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を備え、前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備え、前記陽極体は、前記固体電解質層が形成される陰極形成部である第1部分と、前記固体電解質層が形成されていない第2部分と、を有し、前記第2部分は、前記陽極体の前記第1部分とは反対側の端部を含む陽極部を少なくとも含み、前記第1部分は、複数の領域に区分されており、前記複数の領域のうちの隣接する領域の境界には溝部が存在する。
本開示のさらに他の側面の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、(i)少なくとも表層に多孔質部を備えるとともに、陰極形成部である第1部分と、前記第1部分とは反対側の端部を含む陽極部を少なくとも含む第2部分とを備える、陽極体を準備する工程、(ii)前記陽極体の表面の少なくとも一部に誘電体層を形成する工程、(iii)前記陽極体の前記第1部分に溝部を形成して、前記第1部分を複数の領域に区分する工程、および(iv)前記第1部分における前記誘電体層の少なくとも一部を固体電解質層で覆う工程、を備える。
上記課題を鑑み、本開示の固体電解コンデンサ素子は、少なくとも表層に多孔質部を備えるとともに、固体電解質層が形成される陰極形成部である第1部分、および固体電解質層が形成されない第2部分とを備えている。第2部分は、陽極体の第1部分とは反対側の端部を含む陽極部を少なくとも含む。そして、第1部分は、複数の領域に区分されており、複数の領域のうちの隣接する領域の境界には溝部が存在する。溝部は空気の通路を遮断する役割を有する。溝部により複数の領域の境界に空気を遮断する障壁が形成されるため、陽極部側からの空気の侵入や空気の拡散を低減することができる。また、溝部により、第1部分が複数の領域に区分されていることで、陽極部側から空気が侵入しても、溝部で区分された領域への空気の侵入(または拡散)を低減することができる。固体電解コンデンサ素子内部への空気の侵入が低減されることで、固体電解コンデンサが高温に晒された後も、固体電解質層の劣化を低減する効果が高まる。よって、固体電解コンデンサが高温に晒された後のコンデンサ性能の低下(例えば、静電容量の低下またはESRの上昇)が抑制され、高い熱安定性を確保することができる。これにより、固体電解コンデンサ素子の信頼性を高めることができる。また、固体電解質層の劣化が低減されることで、固体電解コンデンサが高温に晒された場合の誘電正接(tanδ)の増加を低く抑えることもできる。
溝部は、陽極体の長さ方向および幅方向の少なくとも一方において、多孔質部の少なくとも一部に設けられていれば、第1部分に占める溝部の比率、溝部の幅、長さ、深さ、および区分される領域の数などに応じて、空気の侵入を低減する効果を得ることができる。例えば、基材部と、基材部の双方の主たる表面側にそれぞれ位置する表層の多孔質部とを含む陽極箔では、溝部は、陽極箔の厚み方向において、多孔質部の少なくとも一部に設けられていてもよく、多孔質部に加え基材部に設けられていてもよい。例えば、陽極箔の厚み方向において多孔質部から基材部の一部に食い込むように溝部が設けられていてもよい。また、陽極体が成形体または焼結体の場合には、全体が多孔質部であるため、陽極体の厚み方向および幅方向の少なくとも一方において、陽極体の表面から内部に向かって、多孔質部の一部に溝部が設けられていてもよい。
コンデンサ素子において、溝部の深さ方向での陽極体への投影面積の合計が、陰極部の有効面積に対する比率は、0.002%以上が好ましく、0.01%以上または0.1%以上であってもよい。溝部の投影面積の合計比率がこのような範囲である場合、コンデンサ素子内部への空気の侵入をさらに低減し易いため、有利である。溝部の投影面積の合計比率は、例えば、50%以下であり、30%以下であってもよく、20%以下であってもよい。溝部の投影面積の合計比率がこのような範囲である場合、比較的高容量を確保し易い。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。
分離部は、第1部分の陽極体の厚み(上記の厚みTtの場合に準じて求められる平均厚み)よりも、厚みが小さくなっている凹部を備えていてもよい。凹部は、多孔質部を圧縮したり、多孔質部の一部を除去したりすることにより形成される。凹部の部分では、多孔質部に比較して空気の通路が少なくなるため、凹部を設けることで、陽極部側からのコンデンサ素子内への空気の侵入をさらに低減することができる。圧縮により形成される凹部では、凹部の下部の領域(例えば、凹部と基材部との間)に圧縮された多孔質部(圧縮部とも称する)が存在する。陽極体が陽極箔である場合、除去により形成される凹部では、凹部と基材部との間には、多孔質部が存在してもよいが、空気が通過し難くなるように、多孔質部が存在しないことが好ましい。なお、凹部は、分離部において、第1部分の陽極体の厚み(上記の厚みTtの場合に準じて求められる平均厚み)よりも陽極体の厚みが小さくなっている部分である。
図3に示されるように、陽極箔6の第1部分Iには、陽極箔6の主たる表面を、当該表面に垂直な方向から見たときに、陽極箔6の幅方向DWに沿って直線状に延びる複数の第1溝部g1と、第1溝部g1と交差し、かつ長さ方向DLに沿って直線状に延びる複数の第2溝部g2とが設けられている。図示例では、互いに交差する、複数の第1溝部g1と複数の第2溝部g2とが設けられることで、第1部分Iは格子状に複数の領域に区分されている。複数の領域のうちの隣接する領域の境界には、第1溝部g1または第2溝部g2が存在している。図示例では、第1部分Iは、一方の主たる表面において、16の領域に区分されている。このように、第1部分Iが第1溝部g1および第2溝部g2により、複数の領域に区分された状態であることで、陽極部iia側からのコンデンサ素子2内への空気の侵入を低減することができる。よって、固体電解コンデンサ1が高温に晒された場合でも、コンデンサ性能の低下が抑制され、高い熱安定性を確保することができる。また、16の領域の中央に位置する4つの領域のそれぞれは、周囲が第1溝部g1および第2溝部g2で囲まれた状態である。溝部で囲まれた領域では、さらに空気の侵入が低減される。
Claims (13)
- 少なくとも表層に多孔質部を備えた陽極体と、
前記陽極体の表面の少なくとも一部に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆う陰極部と、を備え、
前記陰極部は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を備え、
前記陽極体は、前記固体電解質層が形成される陰極形成部である第1部分と、前記固体電解質層が形成されていない第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記陽極体の前記第1部分とは反対側の端部を含む陽極部を少なくとも含み、
前記第1部分は、複数の領域に区分されており、前記複数の領域のうちの隣接する領域の境界には溝部が存在する、固体電解コンデンサ素子。 - 前記第1部分は、3以上の領域に区分されている、請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記複数の領域の少なくとも1つの領域は、周囲を前記溝部で囲まれている、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記第1部分は、前記溝部により格子状に区分されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記陰極部の有効面積に対する、前記溝部の深さ方向での前記陽極体への投影面積の合計の比率は、0.002%以上50%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記溝部の少なくとも一部の領域を、第1絶縁材料が覆っている、請求項1~5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記溝部の少なくとも一部の領域に、前記固体電解質層が配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記第2部分は、前記陽極部と前記第1部分との間に分離部を備え、
前記分離部の少なくとも一部に第2絶縁材料を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。 - 前記分離部は、前記第1部分の厚みよりも小さい厚みの凹部を備える、請求項8に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 前記第2部分の前記陰極部側の部分から前記陰極部の前記第2部分側の部分に渡る領域の少なくとも一部を、第3絶縁材料が覆っている、請求項1~7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ素子を少なくとも1つ備える、固体電解コンデンサ。
- (i)少なくとも表層に多孔質部を備えるとともに、陰極形成部である第1部分と、前記第1部分とは反対側の端部を含む陽極部を少なくとも含む第2部分とを備える、陽極体を準備する工程、
(ii)前記陽極体の表面の少なくとも一部に誘電体層を形成する工程、
(iii)前記陽極体の前記第1部分に溝部を形成して、前記第1部分を複数の領域に区分する工程、および
(iv)前記第1部分における前記誘電体層の少なくとも一部を固体電解質層で覆う工程、
を備える、固体電解コンデンサ素子の製造方法。 - 前記工程(iii)では、前記多孔質部の一部にレーザー光を照射することにより、前記溝部を形成する、請求項12に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。
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