JPWO2021130895A1 - 流体軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
この流体軸受には、動圧型と静圧型及び静動圧型があり、動圧型は、回転により流体に圧力を加え、軸と回転体との隙間に流体を挿入させることで、軸と軸受けとの間で円滑な回転を得ようとするものであるが、回転が低速となると油圧が不足し、摩擦やNRROが発生し易い。その為、一定の高速回転にしか適用できない欠点がある。
静圧型は、外部ポンプを導入して、そのポンプ圧で軸と軸受内に予め流体をさせておく手法をとるもので、比較的安定的な作動が得られる一方で、装置が大型化し、メンテナンスも大掛かりとなってしまう。
静動圧型は、低速時には外部ポンプを作動し、高速時に動圧を利用しようとするもので、比較的広範囲で安定な作動が得られるが、やはり装置が大型でメンテナンスの困難さは静圧型と同様である。
そして、これらはすべて一体型となることから、装置が大型化する他、軸受部を部品として扱うことができず、汎用性に欠け、交換や補修等が容易でなく、費用的にも甚大となる。
ところで、この流体軸受にあって、含油焼結軸受という技術が開発さている(例えば特許文献1)。その概要は、空孔を備えた焼結体に潤滑油を含浸させ、回転軸と軸受との摩擦面に潤滑油の油膜を保持させて、その油膜による潤滑性で摩擦を緩和し、円滑な回転を促そうとするものである。
しかし、その油膜の保持に外部からの加圧が必要であることは、上記動圧型や静圧型等と同様であり、密閉された油液層の中に空孔焼結体が浸漬した状態にあり、一体型としての大型化や部品交換の困難さに変わりはない。
同時に、流れの一部が、軸受体のシールカバー側に向いた側面に向かうが、軸受体の側面には遮蔽膜が設けられているので、流れはそこで封止され、反射されて戻されるが、そこに上記遠心力が作用しているので、上記ラジアル方向への流れに合流し、外輪へと向かう流れとなる。
侵入した油は、油圧空間α内を流動するが、それは谷底となった斜壁溝の中央部へと向かい、各流れがそこに集中する。そして、真ん中で互いが衝突する格好となり、そこに反力が生まれ、流動する油は、斜壁溝の傾斜面に沿って回転横方向へ変換されたスラスト方向への流れとなる。
この変換されたスラスト方向への流れは、周縁部の方向へと向かい、やがて軸受体と外輪とが接触する狭隘な隙間に入り込む状態となる。
その羽根は外輪へと向けて形成されているから、風の流れは回転縦方向となるラジアル方向に向かって風圧空間 内を流れ、上記軸受体と外輪との接触部となる狭隘な隙間を圧する。
この結果、油圧空間α側の油の流れがそのまま継続されても、油の流れは風車によって封止され、隙間を超えて漏れ出すことがない。
同時に、隙間に入り込んだ油は、油圧空間αの作用で継続的に油圧が加えられ、その圧力によって、接触部と隙間には油膜が安定的に形成されることになり、軸受体と外輪との間に接触や摩擦が生じず、円滑な回転が継続的に得られるものとなる。
本発明流体軸受1は、図1に示す如く、大略、モーターに連結するシャフトとなる軸体Aに嵌着されるもので、外側から枠付けする外輪2と、内側から枠付けする内輪3と、側面を覆うシールカバー4と、その外輪2と内輪3の間に介設される含油性を備えた多孔質焼結体で形成される軸受体5でから構成される。
軸体Aに嵌着される内輪3とこれに結合する軸受体5とが連結状態となり、一方ハウジング側に結合される外輪2とこれに結合するシールカバー4とが連結状態となる。
焼結金属とした場合、金属合金の粉末をプレス成型し、これを高温で焼成して成型したものを用いることができる。
多孔質とは、内部に空孔を備え、その孔が潤滑油を浸み込ませて油を保持すると共に、軸体Aの回転で生じる遠心力で油がゆっくりと流動し、内外への出入が自在となる程度の孔径を備えたものをいう。
又、その油は摩擦を減じる潤滑性のある油で、且つ、上記流動性を保持する程度の粘稠性を備えたものを使用する。
該遮蔽膜6は、多孔質の軸受体5に含浸される油の流動を封止する機能を備えた膜体をいう。
具体的には、図示の如く、軸受体5の側面に膜体を密接させるか、或いは、製造にあたって軸受体5と風車7とを一体的に成形し、その表面に膜体を密接させる態様とすることができる。
軸受体5の遠心力の働きで移動する油の流れがシールカバー4側へ向かおうとするとき、その流れを遮断して、後述する油圧空間α側へと向かわせる役割を担うものである。
油圧空間αとは、軸受体5の回転に伴って生じる遠心力で流入する回転縦方向(ラジアル方向)の油を回転横方向となるスラスト方向へ導こうとするもので、外輪2の中央部が谷底となる斜壁溝2aを刻設して形成される。
中央部とは断面長方形となる外輪2の中央にあたる部位で、そこに該中央部が谷底となり周縁部2cに向かって寸浅となる斜めに傾いた傾斜面2bを備えた断面v字形の斜壁溝2aに形成する。
その周縁部2cは、図2に示す如く、傾斜面2bが軸受体5の側面側に漸近して、やがて接触部となる狭隘な隙間に向かう広がり部をいう。
この斜壁溝2aは、上記の通り断面v字形の谷型をなすが、谷の中心線を軸に傾斜面2bが対称形をなし、それが外輪2の周方向に渡って環状に形成される。
そして、この外輪2の斜壁溝2aと軸受体5との間には一定容積を備えた油圧空間αを形成されるものとなる。その一定容積とは、後述する軸受体の回転に伴って生じる遠心力で流入する油をスラスト方向に導くに適した容積をいう。
風圧空間βとは、軸受体5に装着した風車7の回転によって生じる風を回転縦方向となるラジアル方向へ導こうとするもので、羽根7aが外輪2側へと向いた風車7を軸受体5のシールカバー4に向いた側面に装着して形成される。
風車7の形態は、羽根7aが外輪側に傾いて回転に伴う風の流れを外輪2側へと向かわせるものとする。
羽根7aの形態は、必要とされる風圧との関係で決定され、軸体Aの回転速度等を考慮して目的に応じた本数、長さ及び傾斜角度等を設定する。
軸受体5には着脱自在に装着するのが望ましく、その位置は上記側面に付設した遮蔽膜6の外側に固定する。
該油溜空間γは、軸受体5の回転の停止に伴って生じる負圧で逆流する油を貯留させようとするもので、内輪3の中央部が窪みとなる凹溝3aを刻んで形成される。
凹溝3aは、上記外輪2の斜壁溝2aと反対側に位置し、軸体Aの回転の停止した静止時に軸受体5に含浸される油を貯留させ、流動する油の充分な量を確保する役割を果たす。
その溝の形状は、中央部が最深となる窪み状をなし、軸受体5の回転時に油を安定的に供給できるよう凹溝3aの底部を中心に対称に形成するのが好ましい。
該内輪3及び抑え部材8と軸受体5との境界部には、Oリング等のシールリング9を嵌着させる。
該シールリング9は、軸受体5内の密閉性を図るためで、該軸受体5に密閉性がないと、油圧及び風圧が阻害されてしまい本装置が機能しないためである。
同様の目的で、上記シールカバー4の外輪2との接合部にもシール材4a及びリング4bを施す。
先ず、モーターを始動させて、軸体Aが回転を開始すると、内輪3を介してこれに固定された軸受体5が従動して回転を始める。
すると、軸受体5の回転によって、環状をなす軸受体5の内部に遠心力が働き、軸受体5に含浸された潤滑油に遠心力に沿うラジアル方向の流動が起こる。即ち、軸受体5は、多孔質でその内部に空孔が形成されているから、回転すると孔内に蓄えられた油に遠心力が働き、その孔内を通って外側へと向かう油の流れが惹起される。
その流れは、遠心力に沿うものであるから、軸体Aに沿った外輪2側へと向かい、多孔質内の油が移動すると、連れて油溜空間γに貯留された油の一部も移動する。
封止された流れは反射されて戻されるが、そこには上記遠心力が作用しているので、上記ラジル方向の流れに合流し、外輪2へと向かう流れとなる(図3(a)参照)。
侵入した油は、油圧空間α内を流動するが、それは谷底となった斜壁溝2aの中央部へと向かい、各流れがそこに集中する。即ち、斜壁溝2aは谷底に向かう傾斜面2bが中央部を軸に対称に形成されているから、その傾斜面2bに沿って流動し、バランスされながら谷底に集中する形態となる。
そして、それらが集中すると、真ん中で互いが衝突する格好となり、そこに反力が生まれ、その対抗力によって、流動する油は、今度は斜壁溝2aの傾斜面2bに沿ってスラスト方向となる中心から離れた周縁部2cの方向へと向かう、変換された流れとなる。
この変換されたスラスト方向への流れは、やがて周縁部2cの先端部、即ち、軸受体5と外輪2とが接触する部位付近へと至る。
その接触部は、v字形の斜壁溝2aと比較的平坦な軸受体5との摺り合わせで、極く狭い隙間が形成されており、油はその狭隘な隙間に入り込む状態となる(図3(c)参照)。
その羽根7aは外輪2へと向けて形成されているから、風の流れはラジアル方向に向かって風圧空間β内を流れ、やがてそれは上記軸受体5と外輪2との接触部となる狭い間隙を圧する。
即ち、上記の如く、v字形の斜壁溝2aを伝って入り込んだ油は回転を継続する遠心力の作用で油に圧力が加わるものとなり、一方羽根7aの回転に伴う風の力が反対側に発生し、これが狭い間隙となる接触部で対峙し、この力が互いに拮抗し合い、均衡する状態を保つものとなる(図4(d)参照)。
その結果、懸念される油の漏出が阻止され、それは軸体Aの回転が継続される範囲において、常時維持されるものとなる。
このとき、均衡状態は油圧と風圧とが等しい値とするのを原則とするが、風圧が若干だけ上回る状態とすると、油の漏れを完全に封止できる。
その結果、安定した油膜の作用で軸受体5と外輪2とは接触することなく、円滑な回転が継続的に得られるものとなる。
この結果、左右のアンバランスによる流体軸受全体の揺れ等がなくなり、円滑な回転や静音と共にNRRO等の現象を解消することができる。
すると、油圧空間αに貯められた油が逆流を始め、軸受体5へと戻されつつ、余ったものは油溜空間γへと至り、貯留される(図4(e)参照)。
この結果、軸受体5を含めた全体に十分な油量が確保されることになり、油不足から生じる緩衝や内外径の真円度のズレが軽減され、又、静粛性も向上される。
従って、動力源付加の構造上の複雑さが回避され、且つ、小型で運転経費の少ないものとなる。
又、軸受体5のみを交換しようとする際には、抑え部材8とカバーリング9と取り外し、内輪3を外すと、中から軸受体5を引き出すことができる。
故障やメンテナンスの際に、全体をそっくり交換するのでなく、部品として一部を交換するだけで足り、経費の大きな節減効果が得られる。
Claims (3)
- 含油性を備えた多孔性焼結体で形成した軸受体を備え、その外側に外輪を内側に内輪を配し、周囲をシールカバーで覆った、軸体に嵌着される流体軸受であって、
該軸受体を、断面略四方形とすると共にその側面を遮蔽膜で封止し、
該外輪の中央部が谷底となる傾斜面を有する斜壁溝を刻設して、軸受体と外輪との間に、軸受体の回転に伴って生じる遠心力で流入する油を回転横方向に導く油圧空間αを形成し、
該軸受体の側面に羽根が外輪側へと向いた風車を軸受体の側面に装着して、軸受体とシールカバーとの間に、該風車の回転で生じる風を回転縦方向へと導く風圧空間βを形成し、
上記油圧空間αに生じる油圧と風圧空間βに生じる風圧とが軸受体と外輪との接触部位で対峙して互いの圧力が均衡するようにしたことを特徴とする流体軸受。 - 内輪の中央部に凹溝を刻設して、軸受体と内輪との間に、軸受体の回転の停止に伴って生じる負圧で逆流する油を貯留させる油溜空間γを形成したことを特徴とする請求項1記載の流体軸受。
- 内輪の一部に抑え部材を設け、該内輪と抑え部材との間にシールリングを配したことを特徴とする請求項1又は2記載の流体軸受。
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2019
- 2019-12-25 JP JP2020536284A patent/JP6814912B1/ja active Active
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