JPWO2021124795A1 - 脳波検出用電極及び脳波検出システム - Google Patents
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Abstract
Description
バンド部材の一面に、バンド部材と一体に設けられた、複数の弾性体の突起部と、
を有し、
前記突起部の少なくとも先端部が、導電部材からなる電極を構成している、
脳波検出用電極を提供できる。
本実施の形態では図示するように前後左右上下の方向を規定して説明する。しかし、これは構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定するものである。従って、本発明を実施する製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
図1は人の頭部99に脳波検出用電極10を装着した状態の脳波検出システム1を示す模式図である。図2は、頭部から取り外した状態の脳波検出用電極10を示す模式図である。図示のように、脳波検出システム1は、脳波検出用電極10と脳波表示装置20とを備える。
脳波検出用電極10は、人の頭部99に装着され、脳波を生体からの電位変動として検出し、検出した脳波を脳波表示装置20に出力する。脳波表示装置20は、脳波検出用電極10が検出した脳波を取得して、モニタ表示したり、データ保存したり、周知の脳波解析処理(測定処理)を行う。
図1や図2に示すように、脳波検出用電極10は、人間の頭部99の形状に追随して装着されるゴム状の弾性体のバンド部材11と、バンド部材11の一面に、バンド部材11と一体に設けられた、複数の弾性体の突起部12と、を有する。
突起部12の少なくとも先端部が、導電部材からなる電極13を構成している。
脳波検出用電極10は、コネクタや電子部品等を備えて、脳波表示装置20と接続する。なお、脳波検出用電極10と脳波表示装置20とが一体に構成されてもよい。また、脳波表示装置20がスマートデバイス(スマートホン、タブレット端末)及びそれらで機能する所定のアプリケーションにより構成されてもよい。この場合、脳波検出用電極10は、検出した脳波を無線で送信する通信機能を有する。
図3〜図6を参照して、脳波検出用電極10の具体的な構造について説明する。
図3は脳波検出用電極10の正面図である。図4は脳波検出用電極10の平面図である。ここでは、図1、2で湾曲していたバンド部材11を平らな状態にして示している。なお、各図の説明において、便宜的に、バンド部材11の厚さ方向をZ方向(上方向が+Z)、矩形形状の長手方向をX方向(右方向が+X)、短手方向をY方向(奥方向が+Y)として説明する。また奥側(+Y側)を前、手前側(―Y側)を後として説明する。
脳波検出用電極10のバンド部材11は、所定厚さtの板状体である。具体的には、バンド部材11は、上面視(平面図)で帯状の矩形形状を呈する。
バンド部材11の厚さtは、例えば、0.1mm〜30mmである。
矩形形状の長手方向の長さL1は、例えば20cm〜65cmである。
矩形形状の短手方向の長さL2は、例えば0.5cm〜5cmである。
なお、バンド部材11の形状は、帯状の矩形形状に限る趣旨ではない。例えば、矩形形状の代わりに長細い楕円形状であってよい。また、バンド部材11の厚さtが一定に限る趣旨ではなく、一部の厚さが薄くなったり厚くなったりしてもよい。いずれにせよ、バンド部材11は、脳波検出用電極10が頭部99に装着された際に、その頭部99の形状に追従する。
突起部12は、バンド部材11の一面に、バンド部材11と一体に複数設けられる。例えば図4の平面図に示すように、複数の突起部12は、上面視で一列に所定ピッチPで並んで設けられる。突起部12(すなわち電極13)のピッチPは、例えば、1mm〜20mmである。ピッチPは、脳波の検知に必要とされる電極13の数及び頭部99へのバンド部材11の追従性の観点から定まる。
図5および図6に突起部12を手前側(後側)から見た図を示す。図5は、図3の正面図の領域X1を拡大して一つの突起部12を示した図である。図6は、図4のX2−X2断面図であり、図6の突起部12の断面図でもある。
三角錐の突起部12の高さh1は、例えば、0.5mm〜20mmであり、好ましくは3mm〜15mmであり、より好ましく4mm〜10mmである。
突起部12の少なくとも先端部には導電部材からなる電極13が、突起部12の表面を覆うように設けられている。ここでは、突起部12の三角錐の頂点から所定高さh2の範囲の表面に電極13が設けられている。
電極13が形成される所定高さh2は、突起部12の高さh1にもよるが、例えば、1mm〜10mmである。
信号線14は、突起部12の先端を覆う電極13と電気的に接続するとともに、先端からバンド部材11に向かって突起部12の内部に配置される。
導電繊維としては、金属繊維、金属被覆繊維、炭素繊維、導電性ポリマー繊維、導電性ポリマー被覆繊維、および導電ペースト被覆繊維からなる群から選択される一種以上を用いることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
信号線14は、突起部12の内部を導通する態様であれば各種の配置構造を採用し得る。
例えば、信号線14の先端は、突起部12の先端あるいは先端部の傾斜面に対して、突出した構造、略同一面上となる構造、埋没した構造のいずれでもよい。電極13との接続安定性の観点から、突出した構造を用いてもよい。信号線14の先端の突出部分は、一部または全体が電極13で覆われている。
なお、信号線14において、電極13と接続される側の端部と反対側の端部は、それぞれが個別にバンド部材11の外部に引き出されてもよい。また、複数の信号線14について、バンド部材11のバンド外面11bに設けられたコネクタ等にバンド部材11内部から接続され取りまとめられてもよい。
バンド部材11及び突起部12は、ゴム状の弾性体であり、より具体的にはゴムや熱可塑性エラストマー(単に「エラストマー(TPE)」ともいう)である。ゴムとしては、例えばシリコーンゴムがある。熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系TPE(TPS)、オレフィン系TPE(TPO)、塩化ビニル系TPE(TPVC)、ウレタン系TPE(TPU)、エステル系TPE(TPEE)、アミド系TPE(TPAE)などがある。
上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。シリコーンゴム系硬化性樹脂組成物の硬化工程は、例えば、100〜250℃で1〜30分間加熱(1次硬化)した後、100〜200℃で1〜4時間ポストベーク(2次硬化)することによって行われる。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるビニル基含有オルガノポリシロキサンをさらに含んでもよい。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる架橋剤をさらに含んでもよい。
(Ha(R7)3−aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、非導電性フィラーを含む。非導電性フィラーは、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含んでもよい。これにより、エラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なるシランカップリング剤をさらに含んでもよい。
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーを含む柱状部と導電性樹脂層との密着性を高めることができる。また、シリコーンゴムの機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、シリコーンゴムが適度な機械特性を持つことができる。
本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物は、触媒を含んでもよい。触媒は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
なお、絶縁性シリコーンゴム系硬化性組成物および導電性シリコーンゴム系硬化性組成物は、互いに異なる触媒をさらに含んでもよい。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
また、本実施形態に係るシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)〜(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)〜(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
導電性シリコーンゴムは、シリコーンオイルを含まない構成であってもよい。これにより、電極13の表面にシリコーンオイルがブリードアウトすることで導通性が低下することを抑制できる。
本実施形態の脳波検出用電極10の製造方法の一例は次の工程を含むことができる。
まず、金型を用いて、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を加熱加圧成形し、バンド部材11および突起部12からなる成形体を得る。続いて、得られた成形体の各突起部12の内部に、縫い針を用いて、信号線14を通した。その後得られた成形体の突起部12の先端部分の表面(所定高さh2)に、ペースト状の導電性溶液をディップ塗布し、加熱乾燥後、ポストキュアを行う。これにより、突起部12の表面に電極13を形成できる。
以上により、脳波検出用電極10を製造することができる。
なお、上記成形工程時において、信号線14を配置した成形空間内に、上記シリコーンゴム系硬化性組成物を導入し、加圧加熱成形するインサート成形を用いてもよい。
実施形態の特徴および効果をまとめると次の通りである。
(1)脳波検出用電極10は、人間の頭部99の形状に追随して装着されるゴム状の弾性体のバンド部材11と、
バンド部材11の一面に、バンド部材11と一体に設けられた、複数の弾性体の突起部12と、
を有し、
突起部12の少なくとも先端部が、導電部材からなる電極13を構成している。
バンド部材11がゴム状の弾性体であることから、人の頭部99の形状に追従する。その結果、人の頭部99の形状によらず、脳波検出用電極10の装着が可能となる。また、複数の突起部12のバンド部材11の全体に配置することで、装着時の圧力を分散させることができる。さらに、装着した際に、頭部99の形状に追従する柔軟性を有することから、特定の突起部12(電極13)に圧力が集中することがなく、人に不快を感じさせることを回避できる。換言すると、不快に感じることで測定結果に影響を及ぼすことを回避できる。また、バンド部材11が弾性体であり可撓性を有するため、突起部12の電極13が、頭部99に適切な向きで、かつ適切な圧力で当接する。この観点でも、脳波検出を安定化できる。
(2)隣接する突起部12同士は1mm以上20mm以下のピッチPで構成されている。
このようなピッチPとすることで、頭部99への追従を良好にでき、頭部99への違和感を一層排除できる。
(3)導電部材(電極13)は良導電性金属を含むペーストからなる。すなわち、電極13の材料をペーストとすることで、突起部12の先端部分へ電極13を安定的に形成できる。また、上述のようにペースト状の導電性溶液にディップ(浸漬塗布)することで形成できるため、電極13を形成する厚さや範囲(所定高さh2)の制御が容易である。
(4)良導電性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む。
これらの良導電性金属を選択することで、電極13の製造が容易になり、製造品質を安定させることができる。特に、脳波検出用電極10の電極13には、銀、塩化銀を含む良導電性金属のペーストが好適である。
(5)バンド部材11はシリコーンゴムである。
シリコーンゴムは、弾性の程度(柔軟性)や可撓性、耐久性(耐候性、耐薬品性)の観点から非常にバランスがとれており、かつ製造が容易でコストを抑えられる。すなわち、良好な装着性を実現しつつ耐用期限を大きくでき、また、使用毎の洗浄にも耐えることができ、清潔な状態で脳波検出用電極10を頭部99に装着できる。
(6)突起部12は一列に配置されている。
突起部12を一列に配置することで、頭部99へ適切に追従させ、突起部12(電極13)を安定して頭部99に当接させることができる。
<実施形態の構成>
図8に本実施形態の脳波検出用電極10Aの平面図を示す。第1の実施形態と異なる点は、主に、突起部12の配置にある。すなわち、第1の実施形態では、複数の突起部12が一列に同じ向きで配列していた。
一方、本実施形態では、複数の突起部12が二列に並んでいる。すなわち、第1の実施形態の突起部12の並びをもう一列追加した構成といえる。換言すると、複数の突起部12が格子状(正格子状)に配置されている。
本実施形態の脳波検出用電極10Aでは、複数の突起部12が格子状(正格子状)に配置されている。これによって、第1の実施形態の効果を実現できるとともに、脳波検出にとって好適な突起部12(すなわち電極13)の配置が可能となる。すなわち、安定した脳波検出を実現できる。
<実施形態の構成>
図9に本実施形態の脳波検出用電極10Bの平面図を示す。第1の実施形態と異なる点は、主に、突起部12の配置にある。すなわち、第1の実施形態では、複数の突起部12が一列に同じ向きで配列していた。
一方、本実施形態では、複数の突起部12が二列に並んでいる。ただし、第2の実施形態の脳波検出用電極10Aと異なり、突起部12の並びが互い違いになっている。換言すると、複数の突起部12が千鳥格子状に配置されている。
本実施形態の脳波検出用電極10Bでは、複数の突起部12が千鳥格子状に配置されている。これによって、第1の実施形態の効果を実現できるとともに、脳波検出にとって好適な突起部12(すなわち電極13)の配置が可能となる。すなわち、安定した脳波検出を実現できる。
<実施形態の構成>
図10に本実施形態の脳波検出用電極10Cの平面図を示す。本実施形態の特徴は、複数の突起部12が二列に並んでおり、前側の列(+Y側列)の突起部12の数(密度)が少なくなっている点にある。具体的には、図示で後側の列(−Y側列)の突起部12は、所定の第1のピッチPc1で配置されている。また、奥側の列(+Y側)の突起部12は、所定の第2のピッチPc2(例えば第1のピッチPc1の2倍)で配置されている。言い換えると、複数の突起部12が互い違いかつ密度違いに配置されているとも言える。
本実施形態の脳波検出用電極10Cでは、複数の突起部12が互い違いかつ密度違いに配置されている。これによって、第1の実施形態の効果を実現できるとともに、脳波検出にとって好適な突起部12(すなわち電極13)の配置が可能となる。すなわち、安定した脳波検出を実現できる。具体的には、人の頭部99は、共通する一定の形状を有する。また、脳波検出用電極10が装着され頭部99の位置、装着する際に触れる頭部99の位置の形状に一定の特徴がある。脳波検出用電極10Cによれば、そのような特徴に対しても良好に追従することができる。
<実施形態の構成>
図11に本実施形態の脳波検出用電極10Dの平面図を示す。本実施形態の脳波検出用電極10Dでは、複数の突起部12が一列に配置されている点では第1の実施形態と同じであるが、突起部12の向きが異なる。これにより毛髪の流れに適切に対応させる。
具体的には、図示で左側半分(左側の8個)の突起部12の向きが右向き(すなわちバンド部材11の長手方向中央向き)であり、図示で右側半分(右側の8個)の突起部12の向きが左向き(すなわちバンド部材11の長手方向中央向き)である。言い換えると、脳波検出用電極10を頭部99に装着したときに、それぞれの突起部12は、頭部99の頂部を向いていると言える。
本実施形態の脳波検出用電極10Dでは、上述のように脳波検出用電極10を頭部99に装着したときに、それぞれの突起部12は、頭部99の頂部を向いている。したがって、頭部99の毛髪の流れや量に対して適切に追従して脳波検出用電極10を装着することができる。特に、バンド部材11を平らな状態から湾曲させて状態で装着する場合に、突起部12のなだらかな辺から頭部99に接することになるため、不快感を与えることを回避できる。
<実施形態の構成>
図12に本実施形態の脳波検出用電極10Eの平面図を示す。本実施形態の脳波検出用電極10Eでは、複数の突起部12が一列に配置されている点では第1、5の実施形態と同じであるが、突起部12の向きが異なる。これにより毛髪の流れに適切に対応させる。
具体的には、図示で左側半分(左側の8個)の突起部12の向きが左向き(すなわちバンド部材11の長手方向の左端部側向き)であり、図示で右側半分(右側の8個)の突起部12の向きが右向き(すなわちバンド部材11の長手方向の右端部側向き)である。言い換えると、脳波検出用電極10を頭部99に装着したときに、それぞれの突起部12は、頭部99の頂部から下側(耳の位置側)に向いていると言える。
本実施形態の脳波検出用電極10Eでは、上述のように脳波検出用電極10を頭部99に装着したときに、それぞれの突起部12は、頭部99の頂部から下側を向いている。したがって、頭部99の毛髪の流れや量に対して適切に追従して脳波検出用電極10を装着することができる。特に、バンド部材11をバンド内面11aにある程度湾曲させた状態で装着する場合に、突起部12のなだらかな辺から頭部99に接することになるため、不快感を与えることを回避できる。
<実施形態の構成>
図13に本実施形態の脳波検出用電極10Fの平面図を示す。本実施形態の脳波検出用電極10Fでは、第5の実施形態の脳波検出用電極10Dにおける突起部12の配置に、さらに、バンド部材11の長手方向中央において、互いに向きを対向させた二つの突起部12を追加して設けている。
具体的には、追加した二つの対向する突起部12について、図示で前側(+Y側)の突起部12は後向き(−Y方向)であり、図示で後側(−Y側)の突起部12は前向き(+Y方向)である。すなわち、上面視でバンド部材11(バンド内面11a)の中心(長手方向及び短手方向の各中央)に向いた二つの対向する突起部12が設けられている。
本実施形態の脳波検出用電極10Fでは、第5の実施形態の脳波検出用電極10Dと同様の効果が得られる。さらに、上述の二つの対向する突起部12を追加したことで、脳波検出用電極10の頭部99への装着を安定させることができる。
<実施形態の構成>
図14に本実施形態の脳波検出用電極10Gの平面図を示す。本実施形態の脳波検出用電極10Gでは、第6の実施形態の脳波検出用電極10Eにおける突起部12の配置に、さらに、バンド部材11の長手方向中央において、互いに向きを背向させた二つの突起部12を追加して設けている。
具体的には、追加した二つの背向する突起部12について、図示で前側(+Y側)の突起部12は前向き(+Y方向)であり、図示で後側(−Y側)の突起部12は後向き(−Y方向)である。すなわち、上面視でバンド部材11(バンド内面11a)の中心(長手方向及び短手方向の各中央)で二つの背向した突起部12が設けられている。
本実施形態の脳波検出用電極10Gでは、第6の実施形態の脳波検出用電極10Eと同様の効果が得られる。さらに、上述の二つの背向する突起部12を追加したことで、脳波検出用電極10の頭部99への装着性、特に突起部12が毛髪を分け入って安定させる機能を向上させることができる。
本実施形態の脳波検出用電極10Hでは、第5の実施形態の脳波検出用電極10Dにおける複数の突起部12の列を前後2列としたものである。言い換えると第2の実施形態と第5の実施形態の特徴をあわせたものともも言える。
具体的には、前後のそれぞれの列において、図示で左側半分(左側の各列8個)の突起部12の向きが右向き(すなわちバンド部材11の長手方向中央向き)であり、図示で右側半分(右側の各列8個)の突起部12の向きが左向き(すなわちバンド部材11の長手方向中央向き)である。
本実施形態の脳波検出用電極10Hでは、第5の実施形態の脳波検出用電極10Dと同様の効果が得られる。さらに、複数の突起部12の配置を手前及び奥の2列としたことで、第2の実施形態の脳波検出用電極10Bと同様の効果、すなわち、脳波検出にとって好適な突起部12(すなわち電極13)の配置が可能となり、安定した脳波検出を実現できる。
本実施形態の脳波検出用電極10Iでは、第6の実施形態の脳波検出用電極10Eにおける複数の突起部12の列を前後2列としたものである。言い換えると第2の実施形態と第6の実施形態の特徴をあわせたものとも言える。
具体的には、前後のそれぞれの列において、図示で左側半分(左側の各列8個)の突起部12の向きが左向き(すなわちバンド部材11の長手方向の左端部側向き)であり、図示で右側半分(右側の各列8個)の突起部12の向きが右向き(すなわちバンド部材11の長手方向の右端部側向き)である。
本実施形態の脳波検出用電極10Iでは、第5の実施形態の脳波検出用電極10Eと同様の効果が得られる。さらに、複数の突起部12の配置を手前及び奥の2列としたことで、第2の実施形態の脳波検出用電極10Bと同様の効果、すなわち、脳波検出にとって好適な突起部12(すなわち電極13)の配置が可能となり、安定した脳波検出を実現できる。
<脳波検出用電極の構成>
(1)実施例の構成として、実施形態で説明したバンド部材11と突起部12とがシリコーンゴムで一体に形成された脳波検出用電極10を用いた。突起部12の配置は図3及び図4と同等の一列の配置とした。バンド部材11と突起部12(電極13)の具体的仕様は次の通りで、高さh1、ピッチP、厚さt、幅L2は、図3及び図4で示したものに対応する。被験者は、同じ脳波検出用電極10を用いた。
バンド部材11
厚さt: 3mm
幅L2: 25mm
材質:シリコーンゴム
ゴム硬度:35
電極13(突起部12)
高さh1: 7mm
ピッチp: 5.5mm
(2)比較例では、湾曲した硬質のバンド部材にシリコーンゴム製の電極部(5ch)が取り付けられた脳波検出用電極を用いた。各電極部は、円柱状の基部から複数の電極突起が延出した構成であった。各電極部は、バンド部材から所定の突き出し量だけ内側に突き出した構成であった。具体的な仕様は次の通りである。被験者は、同じ脳波検出用電極を用いた。
バンド部材
直径: 120mm
厚み: 3mm
幅 : 25mm
材質: ポリアミド樹脂
電極部
突き出し量: 10mm
材質: シリコーンゴム
ゴム硬度: 35
ch位置: T3、C3、Cz、C4、T4(国際10−20電極配置法)
実施例のバンド部材11及び突起部12(電極13)と比較例の電極部に使用したシリコーンゴムの原料成分及び作製方法を以下に示す。
(A1−1):第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.04モル%、Mn=2,2×105、Mw=4,8×105)、下記の合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1−1)で表わされる構造)
(A1−2):第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.93モル%、下記の合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1−1)で表わされる構造でR1およびR2がビニル基である構造)
(B):オルガノハイドロジェンポリシロキサン:モメンティブ社製、「TC−25D」
(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m2/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(D−1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
(D−2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3−DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(E):白金または白金化合物:モメンティブ社製、「TC−25A」
(F):純水
(G1):銀粉、徳力化学研究所社製、商品名「TC−101」、メジアン径d50:8.0μm、アスペクト比16.4、平均長径4.6μm
[合成スキーム1:第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)の合成]
下記式(5)にしたがって、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−1)を得た(Mn=2,2×105、Mw=4,8×105)。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.04モル%であった。
上記(A1−1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8−テトラメチル2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1−1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1−2)を合成した。また、H−NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.93モル%であった。
次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物を調製した。
まず、下記の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160〜180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、下記の表1に示す割合で、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物A(エラストマー組成物)を得た。
得られた13.7重量部のシリコーンゴム系硬化性組成物Aを、31.8重量部のデカン(溶剤)に浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、54.5重量部の金属粉(G1)を加えた後に三本ロールで混練することで、導電性ペースト(ディップコート用の導電性溶液)を得た。
実施例のバンド部材11及び突起部12(電極13)を次の方法で作成した。
上記で得られたシリコーンゴム系硬化性組成物Aを、バンド部材11および三角錐の突起部12の成形空間(凹部)を複数有する金型を用いて、180℃、10MPaで10分間加熱して、硬化させ、それぞれの凹部内に、バンド部材11と突起部12とが一体化した成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体の突起部12の内部に、縫い針を用いて、導電線A(ミツフジ社製、AGposs、太さ:100d/34f、引張破断伸度:29.3%)を通した(導電線挿入工程)。
続いて、成形体の突起部12の先端部の表面(所定高さh2)を、上記の<ディップコート用の導電性溶液>にディップし、120℃、30分間で加熱乾燥した(先端被覆工程)。
その後、140℃、2時間のポストキュアを行った(アニール工程)。
以上により、図1に示す、バンド部材11上に三角錐の突起部12を複数有する脳波検出用電極10を得た。
比較例の電極部についても、シリコーンゴム系硬化性組成物Aを用いて同様の工程を経て作製した。
表2に被験者の属性及び評価結果を示す。
評価は5名の被験者で行った。被験者の属性は表2の通りであり、年齢は20歳代〜50歳代、身長は160cm〜178cmであった。
<<装着可否>>
複数の被験者に実施例の脳波検出用電極10及び比較例の脳波検出用電極を装着させ、国際10−20電極配置法に則った電極位置T3、C3、Cz、C4、T4(実施例の場合は、上記の5chの電極位置に相当する部位)の5chの電極が頭皮に接触しているか否かを判断した。接触している場合が「○」、接触していない場合が「×」である。
<<装着時違和感>>
複数の被験者に実施例の脳波検出用電極10及び比較例の脳波検出用電極を装着させ、下記の評価尺度(1〜4)で装着時快適性を評価した。
評価尺度
1:接触感はあるが、気にならない
2:痛みは感じないが、違和感がある
3:痛みを感じるが、短時間なら耐えられる
4:痛みを感じ、短時間でも耐えられない
実施例では、装着可否について装着可能性:100%であり、かつ装着快適性平均:1で5名全員が「接触感はあるが、気にならない」と評価した。
比較例では、装着可否について装着可能性:40%(5名中2名のみ可)であり、装着快適性平均:2.1であった。具体的には、「4:痛みを感じ、短時間でも耐えられない」とした被験者はいなかったが、評価尺度2〜3が4名であった。このように、比較例の脳波検出用電極500では不特定の被験者に対応させるためには複数のサイズの脳波検出用電極10を容易する必要なことが明確となった。実施例(実施形態)の脳波検出用電極10では、一つのサイズの脳波検出用電極10で多様なタイプの被験者に対応できることが確認できた。
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I 脳波検出用電極
11 バンド部材
11a バンド内面
12 突起部
13 電極
14 信号線
20 脳波表示装置
Claims (9)
- 人間の頭部の形状に追随して装着されるゴム状の弾性体のバンド部材と、
前記バンド部材の一面に、前記バンド部材と一体に設けられた、複数の弾性体の突起部と、
を有し、
前記突起部の少なくとも先端部が、導電部材からなる電極を構成している、
脳波検出用電極。 - 隣接する突起部同士は1mm以上20mm以下のピッチで構成されている、請求項1に記載の脳波検出用電極。
- 前記導電部材は良導電性金属を含むペーストからなる、請求項1または2に記載の脳波検出用電極。
- 前記良導電性金属は、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらの合金からなる群から選択される一種以上を含む、請求項3に記載の脳波検出用電極。
- 前記バンド部材はシリコーンゴムからなる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の脳波検出用電極。
- 前記突起部は一列に配置されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の脳波検出用電極。
- 前記突起部は格子状に配置されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の脳波検出用電極。
- 前記電極は前記突起部の先端部の表面に設けられ、前記突起部の内部を通る信号線に接続されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の脳波検出用電極。
- 請求項1から8までのいずれか一項に記載の脳波検出用電極を備える、脳波検出システム。
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