JPWO2021100876A1 - ジルコニア組成物、ジルコニア仮焼体及びジルコニア焼結体、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

ジルコニア組成物、ジルコニア仮焼体及びジルコニア焼結体、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ジルコニア焼結体を製造する際の焼成時間を短縮しつつ、高い遮蔽性を有し、かつ発色の良好なジルコニア焼結体を作製することができるジルコニア組成物及び仮焼体を提供する。本発明は、ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有し、以下の(1)〜(3)をすべて満たすジルコニア組成物。(1)該ジルコニア粉末が、平均粒径が0.17μm超0.4μm以下であるジルコニア粒子を含む。(2)該安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていない。(3)該組成物を1300〜1600℃で焼成した場合、前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C*(30)と前記温度で120分間保持した際の焼結体の彩度C*(120)の比C*(30)/C*(120)が0.4以上である。

Description

本開示は、ジルコニア(酸化ジルコニウム(IV);ZrO)を主として含有する組成物に関する。また、本開示は、ジルコニアの仮焼体及び焼結体に関する。さらに、本開示は、ジルコニア組成物、仮焼体及び焼結体の製造方法に関する。
ジルコニアは、複数の結晶系間で相転移が生じる化合物である。そこで、イットリア(酸化イットリウム;Y)等の安定化剤をジルコニアに固溶させて相転移を抑制した部分安定化ジルコニア(PSZ;Partially−Stabilized Zirconia)及び完全安定化ジルコニアが種々の分野において利用されている。例えば、特許文献1には、歯科材料に使用するための部分安定化ジルコニア焼結体が開示されている。
特許文献1に記載の透光性ジルコニア焼結体は、ジルコニア粉末のプレス成形体を1450℃、昇温速度300℃/hr、及び保持時間2時間の条件で焼結することによって作製される。当該ジルコニア粉末は、2〜4mol%のイットリアと、0.1〜0.2wt%のアルミナを含有し、BET比表面積が5〜15m/gであり、平均粒径が0.3〜0.7μmである。
特開2009−269812号公報
歯科材料としてジルコニアを用いる用途の一形態として、う蝕罹患部位を切削することで支台となる歯を形成し、該支台歯に適合するように加工したジルコニア歯冠を合着して用いる用途がある。支台歯が病変又は生活習慣による着色等により変色している場合、変色した支台歯の色を遮蔽するために、ジルコニア歯冠にはある程度低い透光性(高い遮蔽性)が求められるが、特許文献1に記載のジルコニアでは遮蔽性が不十分である。
また、ジルコニア粒子(粉末)を焼結させたジルコニア焼結体は通常高強度であるため、ジルコニア焼結体を所望の形状に直接機械加工することは容易ではない。そこで、ジルコニア焼結体の成形は、ジルコニア粉末のプレス成形体(CIP(Cold Isostatic Pressing;冷間静水等方圧プレス)処理を施した成形体も含む)を焼結に至らない温度で焼成(以下「仮焼」という)してブロック化した仮焼体において行われることがある。この場合、ジルコニア仮焼体のブロック体を切削加工等によって所望の形状に成形し、成形した仮焼体を焼結可能温度以上で焼成することによって目的とする形状を有するジルコニア焼結体を作製する。特に歯科材料としては天然歯に近い色となるように、着色剤を含むジルコニア焼結体が作製される。
ジルコニア粉末のプレス成形体は、焼成すると、焼成温度に依存して収縮する。例えば、プレス成形体は、焼成によって仮焼体になると約1%収縮し、焼結体になると約20%収縮する。そこで、仮焼体の成形は、これらの収縮率を考慮して、最終目的物となる焼結体の寸法よりも大きく成形される。例えば、成形した仮焼体の大きさは、粉末のプレス成形体から焼結体になるまでの収縮率から、プレス成形体から仮焼体になるまでの収縮率を控除することによって算出された係数に基づいて決定される。
そこで、1つの焼成炉で複数のプレス成形体を焼成して複数の仮焼体(ブロック体)を作製する場合に、複数の製品間で、プレス成形体から仮焼体になるまでの収縮率が、仮焼体作製時に焼成炉内に生じる温度差(温度ムラ)によって影響を受けにくいジルコニア組成物が望まれている。
また、特許文献1に記載のジルコニア焼結体の製造方法においては、最高焼成温度での保持時間が2時間となっている。このような長時間の焼成は、生産効率を低下させると共に、エネルギーコストを増大させる。また、例えば、ジルコニア焼結体で歯科用補綴物を作製する場合には、患者は、診察当日に補綴物で治療を受けることができず、補綴物で治療を受けるためには別の日に再度通院しなければならない。一方で、特許文献1に記載のようなジルコニア粉末においては、最高焼成温度での保持時間を短縮すると、白濁して発色が低下してしまう。
そこで、ジルコニア焼結体を製造する際の焼成時間を短縮しつつ、高い遮蔽性を有し、かつ発色の良好なジルコニア焼結体を作製することができるジルコニア組成物及び仮焼体が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の結晶系を有し、特定のジルコニア粒子の平均粒径を有し、かつ焼成時に特定の彩度を発現するジルコニア組成物とすることによって、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づいて研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有し、以下の(1)〜(3)をすべて満たすジルコニア組成物。
(1)該ジルコニア粉末が、平均粒径が0.17μm超0.4μm以下であるジルコニア粒子を含む。
(2)該安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていない。
(3)該組成物を1300〜1600℃で焼成した場合、前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C(30)と前記温度で120分間保持した際の焼結体の彩度C(120)の比C(30)/C(120)が0.4以上である。
[2]ジルコニアの結晶系は単斜晶系が55%以上である、[1]に記載のジルコニア組成物。
[3]前記安定化剤がイットリアである、[1]又は[2]に記載のジルコニア組成物。
[4]ジルコニアとイットリアの合計molに対して、イットリアを3〜7.5mol%含有する、[3]に記載のジルコニア組成物。
[5]X線回折パターンにおいてイットリアのピークが存在する、[3]又は[4]に記載のジルコニア組成物。
[6]以下の数式(i)に基づいて算出したジルコニアに固溶されていないイットリアの存在率fが1%以上である、[3]〜[5]のいずれかに記載のジルコニア組成物。
Figure 2021100876
(ただし、I(111)は、CuKα線によるX線回折パターンにおける2θ=29°付近のイットリアの(111)面のピーク強度を示し、
(111)及びI(11−1)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの単斜晶系の(111)面及び(11−1)面のピーク強度を示し、
(111)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの正方晶系の(111)面のピーク強度を示し、
(111)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの立方晶系の(111)面のピーク強度を示す。)
[7]前記fが15%以下である、[6]に記載のジルコニア組成物。
[8]前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C(30)が、3以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載のジルコニア組成物。
[9]最高焼成温度を1300〜1600℃とする焼成によって得られる焼結体の透光性が以下の式を満たす、[1]〜[8]のいずれかに記載のジルコニア組成物。
ΔL(W−B)≦11
(式中、ΔL(W−B)は第1のL値から第2のL値を控除した値であり、第1のL値は、厚さ1.2mmの焼結体の背景を白色にして測定したL値であり、第2のL値は、第1のL値を測定した同一の焼結体の背景を黒色にして測定したL値であり、L値は、L表色系(JIS Z 8781−4:2013)における色度(色空間)のL値である。)
[10]前記温度で30分保持した場合の透光性ΔL(30)と、前記温度で120分保持した場合の透光性ΔL(120)との比ΔL(30)/ΔL(120)が0.88以上である、[9]に記載のジルコニア組成物。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載のジルコニア組成物を用いて作製する、ジルコニア仮焼体の製造方法。
[12][1]〜[10]のいずれかに記載のジルコニア組成物からなるプレス成形体を800〜1200℃で焼成して作製する、[11]に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[13][1]〜[10]のいずれかに記載の、ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有するジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程と、
前記第1の成形体をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成する仮焼工程と、
を含む、[11]又は[12]に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[14]前記仮焼工程において、前記第1の成形体を800〜1200℃で焼成する、[13]に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[15]前記第1成形工程前に、前記ジルコニア粉末が、ジルコニア粒子の平均粒径が0.17μm超0.4μm以下を含むように、前記ジルコニア粉末と前記安定化剤との混合物を粉砕してジルコニア組成物を得る粉砕工程をさらに含む、[13]又は[14]に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[16]前記第1成形工程前に、前記ジルコニア組成物を噴霧乾燥により顆粒形態にする乾燥工程をさらに含む、[13]〜[15]のいずれかに記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[17]ジルコニア仮焼体の密度が2.7〜4.0g/cmである、[11]〜[16]のいずれかに記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[18]ジルコニア仮焼体の、ISO6872:2015に準拠して測定した曲げ強さが15〜70MPaである、[11]〜[17]のいずれかに記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
[19][1]〜[10]のいずれかに記載のジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程と、
前記第1の成形体を焼結可能温度以上で焼成する焼結工程と、
を含む、ジルコニア焼結体の製造方法。
[20]前記焼結工程前に、前記第1の成形体をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成してジルコニア仮焼体を作製する仮焼工程をさらに含み、前記焼結工程において前記第1の成形体として前記ジルコニア仮焼体を焼成する、[19]に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[21]前記焼結工程前に、前記ジルコニア仮焼体を成形して、第2の成形体を作製する第2成形工程をさらに含み、
前記焼結工程において、前記第2の成形体を焼成する、[20]に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
[22]前記焼結工程において、最高焼成温度での保持時間が1時間以下である、[19]〜[21]のいずれかに記載のジルコニア焼結体の製造方法。
本開示によれば、焼結体の製造時間を短縮しながらも、高い遮蔽性を有し、かつ発色の良好なジルコニア焼結体を作製することができる。これにより、製品の生産効率を高めることができると共に、エネルギーコストを低減させることができる。ジルコニア焼結体を歯科用補綴物に適用する場合には、患者に対する時間的負担を低減できる。また、本開示によれば、遮蔽性に優れるため、変色した支台歯の色を遮蔽でき、病変や生活習慣によって変色した支台歯を有する患者の歯科治療に、ジルコニア焼結体を歯科用補綴物として好適に適用することができる。
本開示のジルコニア組成物は、ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有し、以下の(1)〜(3)をすべて満たすことが重要である。
(1)該ジルコニア粉末が、平均粒径が0.17μm超0.4μm以下であるジルコニア粒子を含む。
(2)該安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていない。
(3)該組成物を1300〜1600℃で焼成した場合、前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C*(30)と前記温度で120分間保持した際の焼結体の彩度C*(120)の比C*(30)/C*(120)が0.4以上である。
まず、本開示のジルコニア組成物について説明する。本開示におけるジルコニア組成物は、ジルコニア焼結体及び仮焼体の前駆体(中間製品)となり得るものである。
本開示のジルコニア組成物は、ジルコニア粉末と、ジルコニアの相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有する。該安定化剤は、部分安定化ジルコニアを形成可能なものであることが好ましい。安定化剤としては、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリア(酸化イットリウム;Y)、酸化セリウム(CeO)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタン(La)、酸化エルビウム(Er)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、酸化ユウロピウム(Eu)及び酸化ツリウム(Tm)等の酸化物が挙げられる。ジルコニア組成物、仮焼体及び焼結体中の安定化剤の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)発光分光分析、蛍光X線分析等によって測定することができる。
本開示のジルコニア組成物において、短時間焼成した際のジルコニア焼結体の彩度Cの観点から、安定化剤は、ジルコニアの結晶のうち少なくとも一部が単斜晶系であるように存在している、すなわち安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていないことが重要である。安定化剤の一部がジルコニアに固溶されていないことは、例えば、X線回折(XRD;X−Ray Diffraction)パターンによって確認できる。ジルコニア組成物のXRDパターンにおいて、安定化剤に由来するピークが確認された場合には、ジルコニア組成物中においてジルコニアに固溶されていない安定化剤が存在していることになる。安定化剤の全量が固溶された場合には、基本的に、XRDパターンにおいて安定化剤に由来するピークは確認されない。ただし、安定化剤の結晶状態等の条件によっては、XRDパターンに安定化剤のピークが存在していない場合であっても、安定化剤がジルコニアに固溶されていないこともあり得る。ジルコニアの主たる結晶系が正方晶系及び/又は立方晶系であり、XRDパターンに安定化剤のピークが存在していない場合には、安定化剤の大部分、基本的に全部、はジルコニアに固溶しているものと考えられる。
本開示のジルコニア組成物から作製したジルコニア焼結体の強度及び遮蔽性の観点から、安定化剤がイットリアであることが好ましい。イットリアの含有率は、ジルコニアとイットリアの合計molに対して、3mol%以上であることが好ましく、所定の平均粒径を有するジルコニア粉末と組み合わせた際に、変色した支台歯の色を十分に遮蔽でき、より遮蔽性に優れる点から、3.3mol%以上であることがより好ましく、3.5mol%以上であることがさらに好ましい。イットリアの含有率が3mol%以上であることがジルコニア焼結体の相変態を抑制することができる。また、イットリアの含有率は、ジルコニアとイットリアの合計molに対して、7.5mol%以下であることが好ましく、7mol%以下であることがより好ましく、6.5mol%以下であることがさらに好ましく、6mol%以下であることが特に好ましい。イットリアの含有率が7.5mol%以下である場合ジルコニア焼結体の強度の低下を抑制することができる。
本開示のジルコニア組成物におけるジルコニアに固溶されていないイットリア(以下において「未固溶イットリア」という)の存在率fは、以下の数式(i)に基づいて算出することができる。未固溶イットリアの存在率fは、0%より大きいと好ましく、1%以上であることがより好ましく、2%以上であることがさらに好ましく、3%以上であることがよりさらに好ましい。未固溶イットリアの存在率fの好ましい上限は、ジルコニア組成物におけるイットリアの含有率に依存する。イットリアの含有率がジルコニアとイットリアの合計molに対して7.5mol%以下であるとき、短時間焼成の観点から、fは15%以下とすることができる。例えば、イットリアの含有率が3.5mol%以上4.5mol%以下であるとき、fは7%以下とすることができる。イットリアの含有率が4.5mol%超6mol%以下であるとき、fは10%以下とすることができる。イットリアの含有率が6mol%超7.5mol%以下であるとき、fは11%以下とすることができる。
Figure 2021100876
上記数式(i)において、I(111)は、CuKα線によるXRDパターンにおける2θ=29°付近のイットリアの(111)面のピーク強度を示す。I(111)及びI(11−1)は、ジルコニアの単斜晶系の(111)面及び(11−1)面のピーク強度を示す。I(111)は、ジルコニアの正方晶系の(111)面のピーク強度を示す。I(111)は、ジルコニアの立方晶系の(111)面のピーク強度を示す。
上記数式(i)は、I(111)の代わりに他のピークを代入することによって、イットリア以外の安定化剤について未固溶での存在率の算出にも適用することができる。
本開示のジルコニア組成物におけるジルコニアの主たる結晶系は単斜晶系であることが好ましい。本開示において、「主たる結晶系が単斜晶系である」とは、ジルコニア中のすべての結晶系(単斜晶系、正方晶系及び立方晶系)の総量に対して、CuKα線によるXRDピークに基づいて以下の数式(ii)で算出される、ジルコニア中の単斜晶系の割合fが55%以上の割合を占めるものを指す。なお、数式(ii)における各記号の意味は数式(i)と同じである。本発明のジルコニア組成物において、ジルコニア中の単斜晶系の割合fは55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることがよりさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。ジルコニア組成物における主たる結晶系は、変速温度の高温化及び焼成時間の短縮化に寄与している可能性がある。
Figure 2021100876
本開示のジルコニア組成物は、ジルコニア粉末を含有する。本開示において、粉末は顆粒の集合体であってもよい。顆粒は、一次粒子及び/又は一次粒子が凝集した二次粒子が凝集したものである。
本開示における「一次粒子」とは、最小単位の球状体の粒子のことをいう。例えば、一次粒子は、電子顕微鏡(例えば、走査電子顕微鏡)において、粒子同士結合しておらず、分離可能な状態に見える球状体のことをいう。本開示にいう「二次粒子」とは、電子顕微鏡において一次粒子のように見える粒子が凝集した状態の粒子のことをいう。二次粒子には、一次粒子が解砕可能に付着した凝集体、及び一次粒子同士が分離不可能に融着して1つの粒子となって見える凝集体も含まれる。二次粒子は、電子顕微鏡画像において、多くの場合、球状体になっておらず、いびつな形状を有している。
顆粒を構成する粒子は、一次粒子が主体であることが好ましい。例えば、電子顕微鏡画像の目視確認において、一次粒子の数は、二次粒子の数よりも多いと好ましい。例えば、電子顕微鏡画像の目視確認において、一次粒子(二次粒子を構成する一次粒子を含む)のうち、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の一次粒子が、二次粒子を構成しない粒子である。二次粒子は通常不規則的な形状になるため、二次粒子が多くなると、後述の顆粒の円形度が低くなってしまう。
本開示におけるジルコニア粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定方法により測定したとき、0.17μmを超えることが重要であり、0.18μm以上であることが好ましく、0.19μm以上であることがより好ましい。ジルコニア粉末が平均粒径0.17μmを超えるジルコニア粒子を含むことで遮蔽性に優れる。また、ジルコニア粉末が平均粒径0.17μm以下のジルコニア粒子のみである場合、遮蔽性が不十分となる。また、当該平均粒径は、0.40μm以下であることが重要であり、0.35μm以下であることが好ましく、0.30μm以下であることがより好ましい。0.40μmを超えると、強度が不足する可能性がある。本開示における「ジルコニア粒子の平均粒径」とは、一次粒子と二次粒子とを区別することなく測定される粒径である。ある好適な実施形態では、「ジルコニア粒子の平均粒径」は、一次粒子を意味する。他の好適な実施形態では、「ジルコニア粒子の平均粒径」は、二次粒子を意味する。また、ジルコニア粉末が顆粒である場合には、顆粒を構成する粒子の平均粒径を指す。レーザー回折散乱法は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製「SALD−2300」等)により、エタノール、又は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて体積基準で測定することができる。
本開示におけるジルコニア粉末のBET比表面積は、JIS Z 8830(2013)に準拠して測定したとき、7.0m/g以上であることが好ましく、7.5m/g以上であることがより好ましく、8m/g以上であることがさらに好ましい。7.0m/g未満である場合、焼結が困難であったり、焼結できたとしても焼結体が白濁したりしてしまう。また、当該BET比表面積は、30m/g以下であることが好ましく、25m/g以下であることがより好ましく、20m/g以下であることがさらに好ましい。30m/gを超えると、後述の変速温度が高くなって、焼成炉内の温度ムラの影響を受けやすくなってしまう。また、焼結のための焼成時間を短縮すると焼結体の発色が悪化してしまう。ここでいうBET比表面積とは、一次粒子と二次粒子とを区別することなく測定される比表面積である。
本開示のジルコニア組成物におけるジルコニア粉末のうち、50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上のジルコニア粉末が顆粒形態を採ることができる。
ジルコニア粒子の平均粒径が一次粒子である実施形態において、本開示のジルコニア組成物における顆粒(二次粒子)の平均粒径は10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、14μm以上であることがさらに好ましい。顆粒の平均粒径が10μm未満である場合、顆粒を金型に入れたときに空気を巻き込み、成形時に脱気が不十分となり、均一で緻密な成形体を作製できないおそれがある。また、成形時に隙間から顆粒が噴出し、所定の必要量を満たさない成形体を作製するおそれがある。顆粒の平均粒径は、200μm以下であることが好ましく、190μm以下であることがより好ましく、180μm以下であることがさらに好ましく、150μm以下であることがよりさらに好ましく、100μm以下であることが特に好ましい。顆粒の平均粒径が200μmを超えると、顆粒の内部に空洞が形成されやすくなってしまう。また、顆粒を金型へ入れたときに間隙が生じやすくなってしまう。これらの現象により、成形時に脱気が不十分となり、緻密な成形体を作製できないおそれがある。また、成形時に収縮が大きくなり、所望の大きさを有する成形体を作製できないおそれがある。本開示において、顆粒の平均粒径は、顆粒が破壊されないような方法で測定すると好ましい。顆粒の平均粒径は、例えば、乾式篩分け法、湿式ふるい分け法で測定できる。乾式篩分け法は、JIS Z 8815:1994に記載されたふるい分け試験方法に従って測定可能であり、手動ふるい分け、機械ふるい分けを用いることができ、機械ふるい分けが好ましい。篩分け法に用いるふるいとしては、JIS Z 8801−1:2019 試験用ふるいに記載されたふるいを使用することができる。篩分け法に用いる測定装置としては、例えば、ロータップ式ふるい振とう機又は音波振動式ふるい分け測定器で測定できる。ロータップ式ふるい振とう機としては、例えば、株式会社セイシン企業製の「RPS−105M」等が挙げられる。音波振動式ふるい分け測定器としては、例えば、株式会社セイシン企業製の「ロボットシフター RPS−01」、「ロボットシフター RPS−02」等が挙げられる。
本開示のジルコニア組成物における顆粒の球形度は高いと好ましい。顆粒の球形度を高めることによって、組成の異なるジルコニア粉末を積層したときに、層間の界面における混合を引き起こすことができる。また、ジルコニア粉末を型に充填して成形体を作製する場合に、平均粒径が同じであることがしても球形度が高いほうが充填密度を高めることができる。ジルコニア粉末又はジルコニア顆粒を特定の型(金型等)に充填し、圧力で特定形状にした成形体の密度である充填密度を高めることによって、焼結体の強度を高めることができる。また、型が角部を有する場合であっても、角部への顆粒の充填性を高めることができる。顆粒の球形度は、例えば、投影像に基づく円形度、安息角、軽装かさ密度、重装かさ密度等で表すことができる。
本開示のジルコニア組成物における顆粒の投影像に基づく平均円形度は、0.81以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.90以上であることがさらに好ましく、0.95以上であることがよりさらに好ましい。円形度は、投影像における顆粒の周囲長に対する顆粒の面積と等しい円の周囲長の比として算出することができる。すなわち、円形度は以下の式から算出することができる。平均円形度は、1万個以上の顆粒の円形度の平均値とすると好ましい。
円形度=(顆粒の面積と等しい円の周囲長(円周))/顆粒の周囲長
本開示のジルコニア組成物の安息角は、35°以下であることが好ましく、32°以下であることがより好ましく、28°以下であることがさらに好ましく、26°以下であることがよりさらに好ましく、24°以下であることが特に好ましい。安息角は、JIS R 9301−2−2:1999に準拠して測定することができる。
本開示のジルコニア組成物の軽装かさ密度は、1.0g/cm以上であることが好ましく、1.1g/cm以上であることがより好ましく、1.2g/cm以上であることがさらに好ましく、1.3g/cm以上であることが特に好ましい。軽装かさ密度は、JIS R9301−2−3:1999に準拠して測定することができる。
本開示のジルコニア組成物の重装かさ密度は、1.3g/cm以上であることが好ましく、1.4g/cm以上であることがより好ましく、1.5g/cm以上であることがさらに好ましい。重装かさ密度は、JIS R 9301−2−3:1999に準拠して測定することができる。
本開示のジルコニア組成物は、ジルコニア粉末及び前記安定化剤以外の添加物を含有してもよい。添加物としては、例えば、着色剤(顔料、複合顔料及び蛍光剤を含む)、バインダ、分散剤、消泡剤、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)等が挙げられる。添加物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。目的の彩度Cを考慮して、これらの添加物の含有量を適宜設定できる。
着色剤としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Y、Zr、Sn、Sb、Bi、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb及びErの群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物(具体的には、NiO、Cr等)が挙げられる。複合顔料としては、例えば、(Zr,V)O、Fe(Fe,Cr)、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)・ZrSiO、(Co,Zn)Al等の複合酸化物が挙げられる。蛍光剤としては、例えば、YSiO:Ce、YSiO:Tb、(Y,Gd,Eu)BO、Y:Eu、YAG:Ce、ZnGa:Zn、BaMgAl1017:Eu等が挙げられる。
バインダとしては、例えば、有機バインダが挙げられる。例えば、アクリル系バインダ、パラフィン系バインダ、脂肪酸系バインダ、ポリビニルアルコール系バインダ等が挙げられる。
本開示のジルコニア組成物は、乾燥した状態であってもよいし、液体を含む状態又は液体に含まれる状態であってもよい。例えば、ジルコニア組成物は、パウダー状、ペースト状、スラリー状等の形態を採ることができる。また、ジルコニア組成物は、所定の形状を有する成形体(以下「第1の成形体」という)であってもよい。
第1の成形体の密度は、2.75g/cm以上であることが好ましく、2.80g/cm以上であることがより好ましく、2.85g/cm以上であることがさらに好ましく、2.90g/cm以上であることがよりさらに好ましく、3.00g/cm以上であることが特に好ましい。該密度は、例えば、(第1の成形体の質量)/(第1の成形体の体積)として算出することができる。
本開示において、ジルコニア焼結体の発色の程度は彩度Cによって表すことができ、本発明のジルコニア組成物は、1300〜1600℃で焼成した場合、彩度Cが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましい。本発明における彩度Cとは、L表色系(JIS Z 8781−4:2013)における色度(色空間)のC値であり、厚さ1.2mmのジルコニア焼結体の試料の背景を黒色にして測定したa値とb値から、数式(iii)を用いて算出することができる。なお、1300〜1600℃の範囲内において、少なくとも1つの温度で焼成した場合の彩度Cが上記範囲を満たすことが好ましい。
={(a+(b(1/2) (iii)
該試料の作製方法については、まず、ジルコニア焼結体の厚さが1.2mmとなるように、ジルコニア組成物(例えば、顆粒)をプレス成形、続くCIP成形にて、例えば直径19mmの円板状の成形体を作製することができる。次に、該成形体を所定の焼成条件で焼成して、試料となる厚さ1.2mmのジルコニア焼結体を作製することができる。a値及びb値の測定については、試料の表面に接触液を塗布した後、色差計(例えば、歯科用測色装置「クリスタルアイ CE100−DC/JP」(オリンパス株式会社製)、解析ソフト「クリスタルアイ」(オリンパス株式会社製))を用いて、黒色背景のa値及びb値を測定することができる。黒色背景とは、JIS K 5600−4−1:1999第4部第1節に記載の隠ぺい率試験紙の黒部を意味する。接触液としては、例えば、測定波長589nm(ナトリウムD線)で測定した屈折率nDが1.60のものを使用することができる。
本発明のジルコニア組成物は、短時間の焼成であっても良好な発色を示し、所望の彩度Cを示すジルコニア焼結体を得ることができる。短時間での焼成の可否を判断する指標として、各保持時間x,yにおけるCの比=C(x)/C(y)(x≦y 単位:分)を算出することができる。本発明のジルコニア組成物は、最高焼成温度1300〜1600℃で焼成した場合、前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C(30)と前記温度で120分間保持した際の焼結体の彩度C(120)の比C(30)/C(120)が0.4以上であることが重要であり、0.6以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましく、0.93以上であることが特に好ましい。C(30)/C(120)が0.4未満である場合、短時間焼成時の発色が悪く、所望の彩度Cを得られない。なお、1300〜1600℃の範囲内において、少なくとも1つの特定の温度で焼成した場合の彩度の比C(30)/C(120)が上記範囲を満たすことが重要である。
なお、本開示の彩度Cを測定する際、上述したようなジルコニア組成物を1300〜1600℃の範囲内の温度で焼成して直接的に焼結状態とした試料を用いる代わりに、仮焼状態を経由した試料、例えば、まず800〜1200℃の範囲内の温度で焼成してジルコニア仮焼体とした後、1300〜1600℃の範囲内の温度で焼成したジルコニア焼結体の試料を用いてもよい。
本発明のジルコニア組成物の利点の一つについて、以下に説明する。一般に、ジルコニアのプレス成形体から焼結体までの収縮速度は、焼成温度に対して一定ではなく、ある温度までは収縮速度は低いが、当該ある温度で収縮速度が高くなる。この収縮速度が変化する温度を本開示では「変速温度」と表記する。本開示のジルコニア組成物によれば、変速温度を1050℃以上、好ましくは1100℃以上とすることができる。
1つのロットとして、1つの焼成炉で複数のプレス成形体を同時に焼成して、複数の仮焼体(ブロック体)を作製する場合、複数のプレス成形体間において、仮焼体までの収縮率のばらつきが小さいと好ましい。収縮率のばらつきが大きいと、その仮焼体を成形加工する際に、当該ロットに対して、同じ係数を適用して成形加工体の寸法を決定すると、目的とする寸法を有しないジルコニア焼結体が得られてしまう。この点は、歯科用補綴物等の高度の寸法精度が要求される製品の場合に特に問題となる。従って、1つのロットにおいて収縮率が許容範囲から外れたブロック体は製品として使用することができず、歩留まりが低下してしまう。
本開示のジルコニア組成物によれば、ジルコニア仮焼体のブロック体を製造するための焼成温度(例えば、約1000℃)に対して、1つのロットにおける収縮率のばらつきを小さくすることができる。通常、ジルコニア仮焼体を作製するための最高焼成温度(以下「仮焼温度」という)は、変速温度と近い。通常、仮焼温度において焼成炉内には20〜50℃くらいの温度差(温度ムラ)が生じる。このため、変速温度が仮焼温度付近であることが、組成物のロットは、この温度ムラの影響を強く受けることになる。すなわち、1つのロットにおいて、温度に低い箇所にあったジルコニア仮焼体と温度の高い箇所にあったジルコニア仮焼体とでは収縮率が大きく異なってしまうことになる。収縮率が許容範囲から外れたジルコニア仮焼体は製品とすることができないため、歩留まりが低下してしまう。一方、本開示のジルコニア組成物によれば、変速温度を高くし、変速温度と仮焼温度との差を小さくすることができる。このため、1つのロットにおいて、温度の低い箇所にあったジルコニア仮焼体と温度の高い箇所にあったジルコニア仮焼体との収縮率の差を小さくすることができる。これにより、収縮率が許容範囲から外れるジルコニア仮焼体を少なくして、歩留まりを高めることができる。また、一度に焼成可能な製品数を増やすことができ、生産効率を高めることができる。
具体的には、ジルコニア組成物のプレス成形体を800℃以上1000℃以下で焼成して仮焼体を作製した場合、プレス成形体から仮焼体への収縮率は、プレス成形体の一方向の寸法に対して1%以下であることが好ましい。また、ジルコニア組成物のプレス成形体を1000℃より高く1200℃以下で焼成してジルコニア仮焼体を作製した場合、プレス成形体から仮焼体への収縮率は、プレス成形体の一方向の寸法に対して5%以下であることが好ましい。ただし、ここでいうプレス成形体は、例えば、ジルコニア粉末を所定の圧力(例えば、300kg/cm)でプレス成形した成形体に対して、さらにCIP処理(例えば、1700kg/cm)を施したものである。
さらに、本開示のジルコニア組成物及びそれから製造されたジルコニア仮焼体によれば、1つのロット内のどのブロック体であっても高い寸法精度で最終製品(ジルコニア焼結体)を作製することができる。本開示のジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体は、特に高度の寸法精度が要求される製品(例えば歯科用製品)の作製に有用である。
本開示のジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体はさらなる利点を有する。本開示のジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体によれば、作製されるジルコニア焼結体の強度を低下させることなく、ジルコニア焼結体を作製するための焼成時間を短縮することができる。特に、ジルコニア焼結体を作製するための最高焼成温度における保持時間を短縮することができる(短時間焼成)。これにより、生産効率を高めると共に、製造コストを低減させることができる。短時間焼成を行う場合、焼成炉内にジルコニア組成物又はジルコニア仮焼体を保持する係留時間は、前記最高焼成温度において60分以下が好ましい。また、本開示のジルコニア組成物及びジルコニア仮焼体を歯科用製品に適用する場合に、治療に使用する歯科用製品の寸法を決定してから、当該歯科用製品で治療可能とするまでの時間を短縮することができ、患者の時間的負担を軽減することができる。
次に、本開示のジルコニア組成物の製造方法の一例について説明する。
まず、ジルコニア粉末と安定化剤とを所定の割合で混合して混合物を作製する(混合工程)。例えば、安定化剤がイットリアである場合、混合比率は、前述したジルコニア組成物におけるイットリアの含有率と同様とすることができる。混合は乾式で行ってもよいし、湿式で行ってもよい。該混合物を上述のジルコニア粒子の平均粒径となるまで、さらに必要に応じてジルコニア粉末のBET比表面積となるまで粉砕することで本開示のジルコニア組成物を製造することができる(第1の粉砕工程)。なお、混合工程と第1の粉砕工程とは同一の工程で行うことができる。粉砕は、例えば、水等の溶媒に混合物を分散させた後、ボールミルを用いて行うことができる。ジルコニア組成物の製造方法は、後述の仮焼工程以降の工程を行わない場合には、変速温度の高温化及び/又は短時間焼成のため、ジルコニア粉末が平均粒径0.17μm超0.4μm以下のジルコニア粒子を含むように、該混合物を粉砕する工程を含む。該平均粒径は、上述したようにレーザー回折/散乱式粒度分布測定方法によって測定することができる。混合工程及び/又は第1の粉砕工程後、ジルコニア組成物をスプレードライヤ等による噴霧乾燥で乾燥させて、ジルコニア組成物を上述のような顆粒形態に成形することもできる(第1の乾燥工程)。これにより、本発明に係るジルコニア組成物を製造することができる。
以下の工程は、ジルコニア組成物の利用目的に応じて、任意に実施することができる。例えば、上述の工程のいずれかの工程の後、混合物及び/又はジルコニア組成物をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成(即ち仮焼)することができる(焼成(仮焼)工程)。焼成条件は、焼成後冷却したときのジルコニアの主たる結晶系が、上述のように正方晶系及び立方晶系とならないような条件であることが好ましい。また、焼成条件は、少なくとも一部の安定化剤がジルコニアに固溶しないような条件であることが好ましい。例えば、焼成温度は700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましい。また、焼成温度は、1200℃以下であることが好ましく、1100℃以下であることがより好ましく、1000℃以下であることがさらに好ましく、980℃以下であることがよりさらに好ましく、950℃以下であることが特に好ましい。焼成は大気下で行うことができる。仮焼工程を行うことにより、安定化剤の一部をジルコニアに固溶させたり、後の焼結工程において安定化剤を固溶させやすくしたり、ジルコニア焼結体の性状を改善したりすることができると考えられる。
上述の工程のいずれかの工程の後、ジルコニア組成物を水等の溶媒に分散させてスラリーを作製して、バインダ、着色剤等の添加物をジルコニア組成物に添加することができる(添加工程)。添加工程の後、ジルコニア組成物を上述のジルコニア粒子の平均粒径となるまで、さらに必要に応じて上述のジルコニア粉末のBET比表面積となるまで粉砕することができる(第2の粉砕工程)。なお、添加工程と第2の粉砕工程とは同一の工程で行うことができる。第2の粉砕工程は、第1の粉砕工程と同様にして行うことができる。添加工程及び/又は第2の粉砕工程後、スプレードライヤ等でジルコニア組成物を噴霧乾燥で乾燥させて、ジルコニア組成物を上述のような顆粒形態に成形することもできる(第2の乾燥工程)。
上述したように、ジルコニア組成物を成形して第1の成形体とすることもできる(第1成形工程)。成形方法は特定の方法に限定されず、目的に応じて適宜好適な方法を選択することができる。例えば、ジルコニア組成物は、プレス成形、射出成形、光造形法等の成形方法によって成形し、第1の成形体とすることができる。また、多段階的な成形を行ってもよい。例えば、ジルコニア組成物をプレス成形した後に、さらにCIP処理を施したものでもよい。
所望の彩度Cを得るために、上述したバインダ、着色剤などの添加物は、各工程において適宜添加することができる。
前記製造方法によれば、本発明のジルコニア組成物を作製することができる。好適なジルコニア組成物の製造方法としては、上述の変速温度が高く、及び/又は焼結のための焼成時間を短縮できるジルコニア組成物を作製することができる製造方法が挙げられる。焼成時間の短縮は、前記した未固溶イットリアの存在率fの調整又は選択、ジルコニア粉末の平均粒径の選択等によって調整できる。
本開示のジルコニア組成物を用いて、ジルコニア仮焼体を好適に作製することができる。また、本開示のジルコニア組成物、又はジルコニア組成物から作製されたジルコニア仮焼体を用いて、ジルコニア焼結体を好適に作製することができる。以下、具体的に説明する。
まず、本開示のジルコニア仮焼体について説明する。本開示における仮焼体は、ジルコニア焼結体の前駆体(中間製品)となり得るものである。本開示において、ジルコニア仮焼体としては、例えば、ジルコニア粒子(粉末)が完全には焼結していない状態でブロック化したものであってもよい。本開示のジルコニア仮焼体の密度は2.7g/cm以上であることが好ましい。また、該密度は4.0g/cm以下であることが好ましく、3.8g/cm以下であることがより好ましく、3.6g/cm以下であることがさらに好ましい。ジルコニア仮焼体の密度が該範囲内にあると成形加工を容易に行うことができる。密度は、例えば、(仮焼体の質量)/(仮焼体の体積)として算出することができる。ジルコニア仮焼体の密度は、ジルコニア顆粒を特定の型(金型等)に充填し、圧力で特定の形状にした成形体を、バインダが除去できる温度で熱してバインダを除去した後、イットリアが程よく固溶し、かつ程よくネッキング(固着)が形成する温度で熱して得られる仮焼体の密度を意味する。前記バインダを除去する際の温度は、バインダが除去できる温度であれば特に限定されず、150〜500℃であってもよい。イットリアが程よく固溶し、かつ程よくネッキング(固着)が形成する温度は、特に限定されないが、800〜1050℃であってもよい。
本開示のジルコニア仮焼体における安定化剤の含有率の好ましい範囲は、上述したジルコニア組成物における含有率と同様である。焼結後の強度及び透光性の観点から、該安定化剤はイットリアであることが好ましい。
本開示のジルコニア仮焼体において、安定化剤は、ジルコニアの結晶のうち少なくとも一部が単斜晶系であるように存在している、すなわち安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていないことが好ましい。ジルコニア仮焼体における安定化剤の未固溶での存在率は、ジルコニア仮焼体作製時の焼成温度にも依存するが、通常、ジルコニア仮焼体作製前のジルコニア組成物における存在率以下であることが考えられる。ジルコニア仮焼体における未固溶イットリアの存在率fは、上記数式(i)に基づいて算出することができる。ジルコニア仮焼体における未固溶イットリアの存在率fの好ましい範囲は、上述のジルコニア組成物のfと同様である。
本開示のジルコニア仮焼体におけるジルコニアの結晶系は、ジルコニア仮焼体作製時の焼成温度にも依存するが、通常、ジルコニア仮焼体作製前のジルコニア組成物における単斜晶系の割合以下であることが考えられる。ジルコニア仮焼体における単斜晶系の割合fは、単斜晶系、正方晶系及び立方晶系の総量に対して60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
本開示のジルコニア仮焼体の、ISO6872:2015に準拠して測定した曲げ強さは、機械的加工を可能にする強度を確保するために、15MPa以上であることが好ましい。また、該曲げ強さは、機械的加工を容易にするために、70MPa以下であることが好ましく、60MPa以下であることがより好ましい。
本開示のジルコニア仮焼体は、ジルコニア組成物について上述したような添加物を同様に含有することができる。
本開示のジルコニア仮焼体は、所定の形状を有する成形体(以下「第2の成形体」という)であってもよい。例えば、ジルコニア仮焼体は、ディスク(円板)形状、直方体形状、歯科用製品形状(例えば歯冠形状)を有することができる。仮焼したジルコニアディスクをCAD/CAM(Computer−Aided Design/Computer−Aided Manufacturing)システムで加工した歯科用製品(例えば歯冠形状の補綴物)も仮焼体に含まれる。
本開示のジルコニア仮焼体は、上述したようにジルコニア組成物からの収縮率の変動が小さくなるように作製されている。これにより、本開示のジルコニア仮焼体によれば、仮焼体から焼結体への収縮率を同等にすることができ、寸法精度の高いジルコニア焼結体を製造することができる。
本開示のジルコニア仮焼体によれば、上述のように、短時間の焼成でも透光性の高いジルコニア焼結体を作製することができる。すなわち、本開示のジルコニア仮焼体は、上述の短時間焼成に関する利点を有する。
次に、本開示のジルコニア仮焼体の製造方法の一例について説明する。
本開示のジルコニア仮焼体は、上記第1成形工程で作製したプレス成形体(第1の成形体)を、ジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成(即ち仮焼)して作製することができる(仮焼工程)。すなわち、本開示のジルコニア仮焼体の製造方法としては、第1の成形体を、ジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成する仮焼工程を含む製造方法が挙げられる。前記製造方法は、ジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程を含んでいてもよい。第1成形工程は前記ジルコニア組成物で上述したとおりである。焼成温度は、ブロック化を確実にするため、例えば、800℃以上であることが好ましく、900℃以上であることがより好ましく、950℃以上であることがさらに好ましい。また、焼成温度は、寸法精度を高めるため、例えば、1200℃以下であることが好ましく、1150℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることがさらに好ましい。特に、仮焼工程において、本開示のジルコニア組成物からなるプレス成形体(第1の成形体)を800〜1200℃で焼成して、ジルコニア仮焼体を作製することが好ましい。
本開示のジルコニア仮焼体の製造方法としては、前記第1成形工程前に、前記ジルコニア粉末が、ジルコニア粒子の平均粒径が0.17μm超0.4μm以下を含むように、前記ジルコニア粉末と前記安定化剤との混合物を粉砕してジルコニア組成物を得る粉砕工程をさらに含んでいてもよい。当該粉砕工程は、前記第1の粉砕工程と同様である。さらに、本開示のジルコニア仮焼体の製造方法としては、前記第1の粉砕工程に加えて、又は第1の粉砕工程に代えて、第2の粉砕工程をさらに含んでいてもよい。第2の粉砕工程は、前記したとおりである。
また、本開示のジルコニア仮焼体の製造方法としては、前記第1成形工程前に、前記ジルコニア組成物を噴霧乾燥により顆粒形態にする乾燥工程をさらに含んでいてもよい。当該乾燥工程は、前記第1の乾燥工程と同様である。さらに、本開示のジルコニア仮焼体の製造方法としては、前記第1の乾燥工程に加えて、又は第1の乾燥工程に代えて、第2の乾燥工程をさらに含んでいてもよい。第2の乾燥工程は、前記したとおりである。
本開示のジルコニア仮焼体は、後述する焼結工程前に成形して第2の成形体を作製することができる(第2の成形工程)。該成形方法は特定の方法に限定されず、目的に応じて適宜好適な方法を選択することができる。例えば、ジルコニア仮焼体でもあるジルコニアディスクをCAD/CAMシステムで歯科用製品(例えば歯冠形状の補綴物)の形状に切削加工して第2の成形体を作製することができる。
前記製造方法によれば、本開示のジルコニア仮焼体を作製することができる。好適なジルコニア仮焼体の製造方法としては、収縮率の変動が小さいジルコニア仮焼体を作製することができ、及び/又は短時間焼成可能なジルコニア仮焼体を作製することができる製造方法が挙げられる。収縮率の変動は、前記した変速温度の調整、ジルコニアの主たる結晶系等を合わせて選択することによって抑制できる。短時間焼成は、前記した未固溶イットリアの存在率fの調整又は選択、ジルコニア粉末の平均粒径の選択等によって調整できる。
続けて、本開示のジルコニア焼結体について説明する。本開示における焼結体とは、例えば、ジルコニア粒子(粉末)が焼結状態に至ったものということができる。本開示のジルコニア焼結体の相対密度は99.5%以上であることが好ましい。該相対密度は、理論密度に対する、アルキメデス法で測定した実測密度の割合として算出することができる。相対密度は、ジルコニア粒子又は顆粒を特定型に充填し、圧力で特定形状にした成形体において、前記成形体を高温で焼成した焼結体の密度d1を、理論的に(内部に空隙を含まない)ジルコニア密度d2で割った値を意味する。
本開示のジルコニア焼結体には、成形したジルコニア粒子を常圧下ないし非加圧下において焼結させた焼結体のみならず、HIP(Hot Isostatic Pressing;熱間静水等方圧プレス)処理等の高温加圧処理によって緻密化させた焼結体も含まれる。
本開示のジルコニア焼結体における安定化剤の含有率の好ましい範囲は、上述したジルコニア組成物及び/又はジルコニア仮焼体における含有率と同様である。また、本開示のジルコニア焼結体におけるジルコニアの結晶系について、単斜晶系の割合fは、単斜晶系、正方晶系及び立方晶系の総量に対して10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、実質的には含有されていない(0%)ことがさらに好ましい。
本開示のジルコニア焼結体における安定化剤の固溶の割合については、含有されている安定化剤の95%以上がジルコニアに固溶されていることが好ましく、実質的には全安定化剤が固溶されていることがより好ましい。該安定化剤がイットリアである場合、未固溶イットリアの存在率fは、5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、実質的にはすべて固溶されている(0%)とさらに好ましい。
本開示のジルコニア焼結体の透光性(ΔL(W−B))は、変色した支台歯の色を遮蔽する観点から11以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、7以下であることがさらに好ましい。ここでいう透光性(ΔL(W−B))とは、L表色系(JIS Z 8781−4:2013)における色度(色空間)のL値について、厚さ1.2mmの試料(焼結体)の背景を白色にして測定したL値を第1のL値とし、第1のL値を測定した同一の試料について、試料の背景を黒色にして測定したL値を第2のL値とし、第1のL値から第2のL値を控除した値である。試料の作製方法については、まず、焼結体の厚さが1.2mmとなるように、ジルコニア組成物(例えば、顆粒)をプレス成形し、続くCIP成形にて、例えば直径19mmの円板状の成形体を作製することができる。次に、該成形体を所定の焼成条件で焼成して、試料となる厚さ1.2mmの焼結体を作製することができる。L値の測定については、試料の表面に接触液を塗布した後、色差計(例えば、歯科用測色装置「クリスタルアイ CE100−DC/JP」(オリンパス株式会社製)、解析ソフト「クリスタルアイ」(オリンパス株式会社製))を用いて、黒色背景及び白色背景のL値を測定することができる。白色背景とは、JIS K 5600−4−1:1999第4部第1節に記載の隠ぺい率試験紙の白部を意味し、黒色背景とは、前記隠ぺい率試験紙の黒部を意味する。接触液としては、例えば、測定波長589nm(ナトリウムD線)で測定した屈折率nDが1.60のものを使用することができる。
本開示のジルコニア焼結体の透光性について、最高焼成温度を1300〜1600℃の範囲内とする温度で30分保持して焼成した焼結体の透光性(前記白色背景での測定値と黒色背景での測定値の差、以下、「ΔL(30)」ともいう。)と、前記ΔL(30)の最高焼成温度と同一温度で120分保持して焼成した焼結体の透光性(前記白色背景での測定値と黒色背景での測定値の差、以下、「ΔL(120)」ともいう。)との比ΔL(30)/ΔL(120)が0.88以上であることが好ましく、高い遮蔽性を有しながらも良好な発色を有し、病変や生活習慣によって変色した支台歯を有する患者の歯科治療において、歯科用補綴物として好適に使用できる点から、0.90以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。
本開示のジルコニア焼結体は、ジルコニア組成物について上述したような添加物を同様に含有することができる。
本開示のジルコニア焼結体は、所定の形状を有する成形体(以下「第3の成形体」という)であってもよい。例えば、焼結体は、ディスク(円板)形状、直方体形状、歯科用製品形状(例えば歯冠形状)を有することができる。
本開示のジルコニア焼結体は、良好な発色を達成する観点から、彩度Cが3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましい。なお、彩度Cの定義、及びその測定方法については、ジルコニア組成物について上述した通りであるが、ジルコニア焼結体の彩度Cを評価する際の焼成温度及び焼成時間については特に限定されない。
次に、本開示のジルコニア焼結体の製造方法の一例について説明する。
本開示のジルコニア焼結体は、本開示のジルコニア組成物(第1の成形体を含む)及び/又はジルコニア仮焼体(第2の成形体を含む)を、ジルコニア粒子が焼結に至る温度(焼結可能温度)以上で焼成して作製することができる(焼結工程)。ある実施形態としては、前記第1の成形体を焼結可能温度以上で焼成する焼結工程を含むジルコニア焼結体の製造方法が挙げられる。前記製造方法は、ジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程を含んでいてもよい。第1成形工程は前記ジルコニア組成物で上述したとおりである。焼結可能温度は、例えば、1400℃以上であることが好ましく、1450℃以上であることがより好ましい。また、焼結可能温度は、例えば、1650℃以下であることが好ましく、1600℃以下であることがより好ましい。焼結工程における最高焼成温度は、1400℃以上であることが好ましく、1450℃以上であることがより好ましい。焼結可能温度の含まれる最高焼成温度は、1650℃以下であることが好ましく、1600℃以下であることがより好ましい。昇温速度及び降温速度は300℃/分以下であることが好ましい。前記焼結工程前に、前記第1の成形体をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成してジルコニア仮焼体を作製する仮焼工程をさらに含んでいてもよい。仮焼工程は前記ジルコニア仮焼体の製造方法で上述したとおりである。また、ジルコニア焼結体の製造方法としては、前記焼結工程前に、前記ジルコニア仮焼体を成形して、第2の成形体を作製する第2成形工程をさらに含んでいてもよい。第2成形工程を含む場合、前記焼結工程において、前記ジルコニア仮焼体として前記第2の成形体を焼成するジルコニア焼結体の製造方法が挙げられる。
焼結工程において、焼結可能温度(特に、最高焼成温度)における保持時間は、120分未満であることが好ましく、焼成時間を短縮しつつ、高い遮蔽性を有し、かつ発色が良好な歯科用製品を作製することができる点から、90分以下であることがより好ましく、75分以下であることがさらに好ましく、60分以下であることがよりさらに好ましく、45分以下であることが特に好ましく、30分以下であることが最も好ましい。当該保持時間は1分以上であることが好ましく、5分以上であることがより好ましく、10分以上であることがよりさらに好ましい。本開示のジルコニア焼結体の製造方法によれば、このような焼成時間であっても、作製されるジルコニア焼結体の透光性の低下を抑制することができる。また、焼成時間を短縮することにより、生産効率を高めると共に、エネルギーコストを低減させることができる。
本開示のジルコニア焼結体は、成形して第3の成形体を作製することができる(第3の成形工程)。該成形方法は特定の方法に限定されず、目的に応じて適宜好適な方法を選択することができる。例えば、ジルコニア焼結体でもあるジルコニアブロックをCAD/CAMシステムで歯科用製品(例えば歯冠形状の補綴物)の形状に切削加工して第3の成形体を作製することができる。
本開示のジルコニア焼結体は、歯科用製品として好適に用いることができる。該ジルコニア焼結体は、例えば、歯冠形状を有することができる。本開示における歯科用製品としては、ジルコニア焼結体上に積層された陶材をさらに含むことができる。陶材は、例えばガラス材料等のセラミックスとすることができる。歯科用製品としては、例えば、歯科用補綴物(例えば、セラミックフレーム、フルカントゥアークラウン)、歯列矯正用製品(例えば、歯列矯正用ブラケット)、歯科インプラント用製品(例えば、歯科インプラント用アバットメント)が挙げられる。
次に、本開示における歯科用製品の製造方法について説明する。歯科用製品は、所定の形状を有する本開示のジルコニア組成物(第1の成形体を含む)及び/又はジルコニア仮焼体(第2の成形体を含む)を焼結させて作製することができる。また、歯科用製品は、本開示のジルコニア焼結体を切削加工して作製することもできる(第3の成形体を含む)。
本開示における歯科用製品が陶材を有する場合、例えば、ジルコニア焼結体の上に、陶材を含有するスラリーを塗布する工程、及び陶材を塗布したジルコニア焼結体を焼成して焼結体上に陶材を焼き付ける工程によって作製することができる。陶材を焼き付ける温度や時間は、適宜設定することができる。
本開示のジルコニア組成物、ジルコニア仮焼体、及び/又はジルコニア焼結体によれば、寸法精度の高い歯科用製品を得ることができ、及び/又は高い遮蔽性を有し、かつ発色が良好な歯科用製品を短時間で作製することができる。
以下に、本開示の実施例を説明するが、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[ジルコニア組成物の作製]
(実施例1〜3)
まず、ジルコニアとイットリアの合計molに対するイットリアの含有率が表1に記載の通りとなるように、100%が単斜晶系の酸化ジルコニウム粉末とイットリアとを合わせて混合物を作製した(混合工程)。次に、この混合物を水に添加してスラリーを作製し、ジルコニア粒子の平均粒径(一次粒子)が0.20μmとなるまでボールミルで湿式粉砕した。次に、粉砕後のスラリーにバインダを添加した後、スプレードライヤで乾燥させて、ジルコニア組成物を作製した。次いで、酸化ニッケル(II)(NiO)を上述の方法と同様にして平均粒径0.20μmとなるまでボールミルで湿式粉砕し、スプレードライヤで乾燥させてNiO粉末を作製した。上述のジルコニア組成物に0.02質量%の割合でNiO粉末を加え、十分に混合したものを実施例1〜3に係るジルコニア組成物とした。なお、前記平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2300:株式会社島津製作所製)により、0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を分散媒に用いて体積基準で測定することができる。
(比較例1〜3)
比較例として、市販の部分安定化ジルコニア粉末を用いた。比較例1に係るジルコニア組成物は、東ソー株式会社製TZ−3YSB−Eに、実施例1〜3で作製したNiO粉末を0.02質量%加え、十分に混合したものである。同様にして、比較例2に係るジルコニア組成物は、東ソー株式会社製Zpexに上述のNiO粉末を0.02質量%加え、十分に混合したものであり、比較例3に係るジルコニア組成物は、東ソー株式会社製Zpex Smileに上述のNiO粉末を0.02質量%加え、十分に混合したものである。
(実施例4)
実施例1と同様にして作製した単斜晶系の酸化ジルコニウム粉末及びイットリアを含むジルコニア組成物に加えて、比較例1のジルコニア組成物を添加した後、実施例1〜3で作製したNiO粉末を0.02質量%加え、十分に混合したものを実施例4に係るジルコニア組成物とした。該ジルコニア組成物は、単斜晶系の割合が実施例1〜3よりも低下するものである。表1では、比較例1に係るジルコニア組成物に含まれるジルコニア粒子の平均粒径は測定不可能であったため、当該部分については「NA」と示す。
(比較例4)
NiO粉末を加える前のジルコニア組成物について、粉砕後のジルコニア粒子の平均粒径が0.12μmとなるように粉砕した以外は実施例1と同様にして、比較例4に係るジルコニア組成物を作製した。
(比較例5)
NiO粉末を加える前のジルコニア組成物について、粉砕後のジルコニア粒子の平均粒径が0.50μmとなるように粉砕した以外は実施例1と同様にして、比較例5に係るジルコニア組成物を作製した。
[未固溶イットリアの存在率及びジルコニアの結晶系の割合の確認]
実施例及び比較例に係るジルコニア組成物についてXRD測定を行い、未固溶イットリアの存在率を示すfを、上記数式(i)を基に算出した。また、ジルコニアにおける単斜晶系の割合を示すfを、上記数式(ii)を基に算出した。結果を表1に示す。
[焼成時間に対する透光性及び発色の測定]
本開示のジルコニア組成物を用いてジルコニア焼結体を作製し、焼成温度における保持時間(焼成時間)に対する透光性及び発色の関係を調べた。まず、厚さ1.2mmのジルコニア焼結体が得られるように、実施例及び比較例に係るジルコニア組成物を300kg/cmの圧力でプレス成形した。次に、プレス成形体に対して1700kg/cmでさらにCIP処理を施して、上述にいう第1の成形体を作製した。第1の成形体を1000℃で2時間焼成してジルコニア仮焼体を作製した。最高焼成温度を1550℃に設定して、該最高焼成温度での保持時間を120分間として、得られたジルコニア仮焼体を焼成することでジルコニア焼結体を作製した。次に、同じ方法で作製したジルコニア仮焼体について、最高焼成温度を1550℃に設定して、該最高焼成温度での保持時間を30分間に変更してジルコニア焼結体を作製した。得られたジルコニア焼結体を試料として、後述の方法により透光性及び彩度Cを測定した。結果を表1に示す。
透光性は、色差計(歯科用測色装置「クリスタルアイ CE100−DC/JP」(7bandLED照明,45°入射の拡散反射式、オリンパス株式会社製)、解析ソフト「クリスタルアイ」(オリンパス株式会社製))を用いて測定した、L表色系(JIS Z 8781−4:2013)における色度(色空間)のL値を用いて算出した。焼結体の試料の背景を白色にして測定したL値を第1のL値とし、第1のL値を測定した同一の試料について、試料の背景を黒色にして測定したL値を第2のL値とし、第1のL値から第2のL値を控除した値ΔL(W−B)を、透光性を示す数値とした(n=1)。試料の測定面には、屈折率nDが1.60の接触液を塗布した。白色背景とは、JIS K 5600−4−1:1999第4部第1節に記載の隠ぺい率試験紙の白部を意味し、黒色背景とは、前記隠ぺい率試験紙の黒部を意味する。
彩度Cは、色差計(歯科用測色装置「クリスタルアイ CE100−DC/JP」(7bandLED照明,45°入射の拡散反射式、オリンパス株式会社製)、解析ソフト「クリスタルアイ」(オリンパス株式会社製))を用いて測定した、黒色背景のa値及びb値を用いて、上記数式(iii)より、各試料について算出した(n=1)。試料の測定面には、屈折率nDが1.60の接触液を塗布した。
Figure 2021100876
まず、ジルコニア組成物に関して説明する。比較例1〜3に係る、市販品のジルコニア粉末からなるジルコニア組成物においては、ジルコニアの結晶系は基本的には正方晶系及び/又は立方晶系であり、単斜晶系は多くても約52%であった。また、比較例1〜3に係るジルコニア組成物においては、イットリアのXRDピークは確認されなかった。従って、イットリアはすべてジルコニアに固溶されていると考えられる。
一方、実施例1〜3においては、ジルコニアの結晶系は100%が単斜晶系であった。実施例4においては、市販品のジルコニア粉末からなる正方晶系の部分安定化ジルコニアを一部添加したため、約76%が単斜晶系であった。また、実施例1〜4及び比較例4、5においては、いずれもイットリアのXRDピークが観測された。イットリア含有率の低い実施例1、4及び比較例4、5では、fは6%以下であった。また、イットリア含有率が5〜6mol%と高い実施例2〜3においては、fは7%超10%以下の範囲内であった。
次に、ジルコニア焼結体に関して説明する。実施例1〜4では120分間焼成時も30分間焼成時も透光性が11以下で、彩度Cが3以上であり、また、C(30)/C(120)の値も0.97以上の高い数値を示したため、短時間焼成であっても遮蔽性も発色も十分という結果であった。これによって、歯科治療において、短時間焼成で良好な発色が得られながら、支台歯が病変又は生活習慣による着色等により変色している場合に変色した支台歯の色を遮蔽することができる。
一方、比較例1〜3は120分間焼成時も30分間焼成時も透光性が11以下であったものの、彩度Cは30分焼成時に3未満であり、C(30)/C(120)の値も0.40以下の低い数値を示したことから、短時間焼成で所望の色を発現しなかった。
比較例4は透光性が高すぎ、遮蔽性が不十分であった。また、C(30)/C(120)の値も実施例1〜3に比べるとやや低い値であり、短時間焼成での発色についても劣る結果であった。
比較例5は120分間焼成時も30分間焼成時も緻密なジルコニア焼結体を作製できなかった。
本開示のジルコニア組成物、ジルコニア仮焼体及びジルコニア焼結体並びにこれらの製造方法は、歯科用補綴物等の歯科用製品、フェルールやスリーブ等の光ファイバ用接続部品、各種工具(例えば、粉砕ボール、研削具)、各種部品(例えば、ネジ、ボルト・ナット)、各種センサ、エレクトロニクス用部品、装飾品(例えば、時計のバンド)等の種々の用途に利用することができる。組成物、仮焼体及び焼結体を歯科用材料に使用する場合、例えば、コーピング、フレームワーク、クラウン、クラウンブリッジ、アバットメント、インプラント、インプラントスクリュー、インプラントフィクスチャー、インプラントブリッジ、インプラントバー、ブラケット、義歯床、インレー、アンレー、矯正用ワイヤー、ラミネートベニア等に使用することができる。

Claims (22)

  1. ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有し、以下の(1)〜(3)をすべて満たすジルコニア組成物。
    (1)該ジルコニア粉末が、平均粒径が0.17μm超0.4μm以下であるジルコニア粒子を含む。
    (2)該安定化剤の少なくとも一部はジルコニアに固溶されていない。
    (3)該組成物を1300〜1600℃で焼成した場合、前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C(30)と前記温度で120分間保持した際の焼結体の彩度C(120)の比C(30)/C(120)が0.4以上である。
  2. ジルコニアの結晶系は単斜晶系が55%以上である、請求項1に記載のジルコニア組成物。
  3. 前記安定化剤がイットリアである、請求項1又は2に記載のジルコニア組成物。
  4. ジルコニアとイットリアの合計molに対して、イットリアを3〜7.5mol%含有する、請求項3に記載のジルコニア組成物。
  5. X線回折パターンにおいてイットリアのピークが存在する、請求項3又は4に記載のジルコニア組成物。
  6. 以下の数式(i)に基づいて算出したジルコニアに固溶されていないイットリアの存在率fが1%以上である、請求項3〜5のいずれか一項に記載のジルコニア組成物。
    Figure 2021100876
    (ただし、I(111)は、CuKα線によるX線回折パターンにおける2θ=29°付近のイットリアの(111)面のピーク強度を示し、
    (111)及びI(11−1)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの単斜晶系の(111)面及び(11−1)面のピーク強度を示し、
    (111)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの正方晶系の(111)面のピーク強度を示し、
    (111)は、前記X線回折パターンにおけるジルコニアの立方晶系の(111)面のピーク強度を示す。)
  7. 前記fが15%以下である、請求項6に記載のジルコニア組成物。
  8. 前記温度で30分間保持した際の焼結体の彩度C(30)が、3以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のジルコニア組成物。
  9. 最高焼成温度を1300〜1600℃とする焼成によって得られる焼結体の透光性が以下の式を満たす、請求項1〜8のいずれか一項に記載のジルコニア組成物。
    ΔL(W−B)≦11
    (式中、ΔL(W−B)は第1のL値から第2のL値を控除した値であり、第1のL値は、厚さ1.2mmの焼結体の背景を白色にして測定したL値であり、第2のL値は、第1のL値を測定した同一の焼結体の背景を黒色にして測定したL値であり、L値は、L表色系(JIS Z 8781−4:2013)における色度(色空間)のL値である。)
  10. 前記温度で30分保持した場合の透光性ΔL(30)と、前記温度で120分保持した場合の透光性ΔL(120)との比ΔL(30)/ΔL(120)が0.88以上である、請求項9に記載のジルコニア組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のジルコニア組成物を用いて作製する、ジルコニア仮焼体の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のジルコニア組成物からなるプレス成形体を800〜1200℃で焼成して作製する、請求項11に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の、ジルコニア粉末と、ジルコニア粉末の相転移を抑制可能な安定化剤と、を含有するジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程と、
    前記第1の成形体をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成する仮焼工程と、
    を含む、請求項11又は12に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  14. 前記仮焼工程において、前記第1の成形体を800〜1200℃で焼成する、請求項13に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  15. 前記第1成形工程前に、前記ジルコニア粉末が、ジルコニア粒子の平均粒径が0.17μm超0.4μm以下を含むように、前記ジルコニア粉末と前記安定化剤との混合物を粉砕してジルコニア組成物を得る粉砕工程をさらに含む、請求項13又は14に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  16. 前記第1成形工程前に、前記ジルコニア組成物を噴霧乾燥により顆粒形態にする乾燥工程をさらに含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  17. ジルコニア仮焼体の密度が2.7〜4.0g/cmである、請求項11〜16のいずれか一項に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  18. ジルコニア仮焼体の、ISO6872:2015に準拠して測定した曲げ強さが15〜70MPaである、請求項11〜17のいずれか一項に記載のジルコニア仮焼体の製造方法。
  19. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のジルコニア組成物を成形して第1の成形体を作製する第1成形工程と、
    前記第1の成形体を焼結可能温度以上で焼成する焼結工程と、
    を含む、ジルコニア焼結体の製造方法。
  20. 前記焼結工程前に、前記第1の成形体をジルコニア粒子が焼結に至らない温度で焼成してジルコニア仮焼体を作製する仮焼工程をさらに含み、前記焼結工程において前記第1の成形体として前記ジルコニア仮焼体を焼成する、請求項19に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  21. 前記焼結工程前に、前記ジルコニア仮焼体を成形して、第2の成形体を作製する第2成形工程をさらに含み、
    前記焼結工程において、前記第2の成形体を焼成する、請求項20に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
  22. 前記焼結工程において、最高焼成温度での保持時間が1時間以下である、請求項19〜21のいずれか一項に記載のジルコニア焼結体の製造方法。
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