JPWO2021060390A1 - 被覆電線シール用組成物、及び、被覆電線 - Google Patents

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Abstract

炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物と、増粘剤とを含有し、25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sである、被覆電線シール用組成物が提供される。

Description

本発明は、被覆電線シール用組成物、及び、被覆電線に関する。より詳細には、自動車、家電製品及びOA(Office Automation)機器等の各種電気系統の配線における被覆電線のシール剤として広く利用される組成物、及び、前記組成物の硬化物を備える被覆電線に関するものである。
自動車、家電製品及びOA機器等には、各種電気系統が電線により配線されており、そのハーネス部は従来、加締めやシールが行われていた。
従来の被覆電線シール用組成物としては、特許文献1又は2に記載のものが知られている。
特許文献1には、アルキル−2−シアノアクリレート、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートからなる被覆電線シール用組成物が記載されている。
特許文献2には、主鎖の炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを10質量%以上含む2−シアノアクリレートを含有してなる被覆電線シール用組成物が記載されている。
特開平9−118839号公報 国際公開第2018/216737号
本発明の一実施形態によれば、高温多湿条件での耐水性と耐冷熱衝撃性を両立し、耐熱性にも優れる硬化物が得られる被覆電線シール用組成物が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、前記被覆電線シール用組成物の硬化物を備えた被覆電線が提供される。
本発明には、以下の態様が含まれる。
<1> 炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物と、増粘剤とを含有し、25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sである、被覆電線シール用組成物。
<2> 前記増粘剤の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、1質量部〜12質量部である、<1>に記載の被覆電線シール用組成物。
<3> 前記増粘剤が、(メタ)アクリルモノマーからなるモノマー単位を含む共重合体である、<1>又は<2>に記載の被覆電線シール用組成物。
<4> 前記増粘剤が、エラストマーである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<5> 前記増粘剤の重量平均分子量が、5万以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<6> 内径1.05mm、長さ120mmのキャピラリーチューブの先端部を、深さ30mmの前記被覆電線シール用組成物の浴液に2秒間浸漬させて引き上げた後、前記キャピラリーチューブの長手方向を重力方向に対して水平方向になるように設置した状態で24時間静置したときの吸い上げ長さが、7mm以上35mm以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<7> 前記被覆電線シール用組成物の硬化物の80℃における貯蔵弾性率が、9.0×10Pa以上1.5×10Pa以下である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<8> 前記2−シアノアクリレート化合物が、2−オクチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート、n−オクチル−2−シアノアクリレート、n−ヘキシル−2−シアノアクリレート、n−ブチル−2−シアノアクリレート、及び、イソブチル−2−シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<9> 前記2−シアノアクリレート化合物が、炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレート及び/又はエステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを含む<1>〜<8>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<10> 前記2−シアノアクリレート化合物が、炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを含み、
前記炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートの含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<11> 前記2−シアノアクリレート化合物が、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを含み、
前記エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートの含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、0質量%を超え50質量%以下である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<12> 前記増粘剤が、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とを少なくとも共重合してなる共重合体である、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<13> 前記増粘剤が、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とカルボキシ基を有する単量体とを少なくとも共重合してなる共重合体である、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<14> 下記式(1)で表される無水フタル酸誘導体を更に含む、<1>〜<13>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
Figure 2021060390

式(1)中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アリーロキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは、1〜4の整数を表す。
<15> 可塑剤を更に含む、<1>〜<14>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<16> 前記可塑剤の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部である、<15>に記載の被覆電線シール用組成物。
<17> (メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートを更に含み、
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートの含有量が、前記被覆電線シール用組成物の全質量に対し、1質量%以上35質量%以下である、<1>〜<16>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物。
<18> <1>〜<17>のいずれか1つに記載の被覆電線シール用組成物の硬化物を備える被覆電線。
本発明の一実施形態によれば、高温多湿条件での耐水性と耐冷熱衝撃性を両立し、耐熱性にも優れる硬化物が得られる被覆電線シール用組成物を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、前記被覆電線シール用組成物の硬化物を備えた被覆電線を提供することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下において、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
(被覆電線シール用組成物)
本開示の被覆電線シール用組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物と、増粘剤とを含有し、25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sである。
また、本開示の被覆電線シール用組成物は、自動車、家電製品及びOA機器等のワイヤーハーネスにおける被覆電線シール用組成物として、好適に用いることができ、自動車のワイヤーハーネスにおける被覆電線シール用組成物として、特に好適に用いることができる。
本発明者らが鋭意検討した結果、前記構成をとることにより、高温多湿条件での耐水性と耐冷熱衝撃性を両立し、耐熱性にも優れる硬化物が得られる被覆電線シール用組成物を提供できることを見出した。
これによる優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物を含むことにより、湿気に対する耐久性が高く、かつ柔軟性が十分である硬化物が得られるとともに、増粘剤とを含有し、25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sであることにより、柔軟性、特に低温時の柔軟性に優れ、更に耐熱性にも優れると推定される。
また、本開示の被覆電線シール用組成物は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含み、かつ増粘剤を含むことにより、得られる硬化物の曲げ耐性にも優れる。
<組成物又は硬化物の各種物性値>
−粘度−
本開示の被覆電線シール用組成物は、25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sであり、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、25mPa・s〜100mPa・sであることが好ましく、30mPa・s〜80mPa・sであることがより好ましく、35mPa・s〜60mPa・sであることが特に好ましい。
本開示の被覆電線シール用組成物の25℃における粘度の測定方法は、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)であるTVE−20H型粘度計(塩水/平板方式、東機産業(株)製)を用いて、下記の条件下で粘度を測定する。
−測定条件−
コーン形状:角度1°34′、半径24mm
温度:25℃±0.5℃
−吸い上げ長さ−
本開示の被覆電線シール用組成物は、20mPa・s〜120mPa・sであり、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、内径1.05mm、長さ120mmのキャピラリーチューブの先端部を、深さ30mmの前記被覆電線シール用組成物の浴液に2秒間浸漬させて引き上げた後、前記キャピラリーチューブの長手方向を重力方向に対して水平方向になるように設置した状態で24時間静置したときの吸い上げ長さが、7mm以上35mm以下であることが好ましく、10mm以上32mm以下であることがより好ましく、13mm以上25mm以下であることが特に好ましい。
また、上記吸い上げ長さの測定は、23℃±0.5℃で行うものとし、キャピラリーチューブは、ホウケイ酸ガラス製のものを使用する。
−貯蔵弾性率−
本開示の被覆電線シール用組成物の硬化物の80℃における貯蔵弾性率が、9.0×10Pa以上1.5×10Pa以下であることが好ましく、9.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることがより好ましく、9.0×10Pa以上5.0×10Pa以下であることが特に好ましい。
本開示の被覆電線シール用組成物の硬化物の80℃における貯蔵弾性率は、Anton Paar社製MCR 301を使用して、下記のように測定するものとする。
上下パラレルプレートの両面に硬化促進剤溶液(5質量%N,N’−ジメチルパラトルイジンのエタノール溶液)を塗布して乾燥させた後、下部プレートに適量の組成物を塗布して、直ちに上部プレートを降下させる。その後、25℃で2時間放置し、歪み0.1%、周波数1Hz、昇温速度2℃/分、初期ギャップ300μmの条件で80℃における貯蔵弾性率を測定する。
<2−シアノアクリレート化合物>
本開示の被覆電線シール用組成物は、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物を含む。
本開示の被覆電線シール用組成物は、2−シアノアクリレート化合物として、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートのみを含んでいても、炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートとそれ以外の2−シアノアクリレート化合物とを含んでいてもよい。
本開示の被覆電線シール用組成物における2−シアノアクリレート化合物の含有量は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、組成物の全質量に対し、50質量%〜99.8質量%であることが好ましく、70質量%〜99.5質量%であることがより好ましく、80質量%〜99質量%であることが更に好ましく、85質量%〜97質量%であることが特に好ましい。
<<炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレート>>
本開示の組成物の構成成分である主鎖の炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートは、種々のものが使用可能である。主鎖の炭素数の上限は特に限定されないが、例えば、12以下とすることができる。主鎖の炭素数の上限は、8以下であることが好ましい。具体例としては、n−ブチル−2−シアノアクリレート、2−ブチル−2−シアノアクリレート、イソブチル−2−シアノアクリレート(2−メチルプロピル−2−シアノアクリレート)、n−ヘキシル−2−シアノアクリレート、n−ヘプチル−2−シアノアクリレート、1−メチルペンチル−2−シアノアクリレート、n−オクチル−2−シアノアクリレート、2−オクチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート、n−ノニル−2−シアノアクリレート、イソノニル−2−シアノアクリレート、n−デシル−2−シアノアクリレート、イソデシル−2−シアノアクリレート、n−ウンデシル−2−シアノアクリレート、及びn−ドデシル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、2−オクチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート、n−オクチル−2−シアノアクリレート、n−ヘキシル−2−シアノアクリレート、イソブチル−2−シアノアクリレート及びn−ブチル−2−シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むと、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、並びに、耐熱性に優れるため好ましい。また、本開示の組成物は、2−シアノアクリレート化合物として、2−オクチル−2−シアノアクリレート、及び、イソブチル−2−シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
また、高温多湿条件下での耐水性の観点から、2−オクチル−2−シアノアクリレート、及び、イソブチル−2−シアノアクリレートを併用することも好ましい。
炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートの含有量は、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上であり、10質量%〜100質量%であってもよく、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性の観点から、25質量%〜100質量%であることが好ましく、40質量%〜100質量%であることがより好ましく、50質量%〜95質量%であることが特に好ましい。
また、本開示の組成物は、以下の態様であることも好ましい。
本開示の組成物は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、並びに、耐熱性の観点から、2−シアノアクリレート化合物として、イソブチル−2−シアノアクリレートの含有量が、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、90質量%を超え100質量%であることが好ましく、95質量%〜100質量%であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
<<炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレート>>
本開示の組成物には、得られる硬化物の耐熱性向上を目的として、炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを配合可能である。
炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートとしては、種々のものを配合可能であり、具体例としては、メチル−2−シアノアクリレート、エチル−2−シアノアクリレート、n−プロピル−2−シアノアクリレート、及びイソプロピル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。これらは1種単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、得られる硬化物における耐冷熱衝撃性を高め易くする観点から、イソプロピル−2−シアノアクリレート及び/又はエチル−2−シアノアクリレートが好ましく、エチル−2−シアノアクリレートがより好ましい。
炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートの含有量は、得られる硬化物における耐冷熱衝撃性、及び、曲げ耐性の観点から、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、15質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。
<<エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレート>>
本開示の組成物には、得られる硬化物における耐冷熱衝撃性に関係する柔軟性の付与を目的として、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを配合可能であり、その種類としては、アルコキシアルキル−2−シアノアクリレート及び環状アルキルエーテルの2−シアノアクリレート等が挙げられる。
なお、「エステル残基」とは、当該化合物におけるエステル結合の酸素原子に結合する原子団のことである。
また、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートは、エステル結合の酸素原子に結合する基がエーテル結合を有する2−シアノアクリレートであることが好ましい。
アルコキシアルキル−2−シアノアクリレートの具体例としては、メトキシエチル−2−シアノアクリレート、エトキシエチル−2−シアノアクリレート、プロポキシエチル−2−シアノアクリレート、イソプロポキシエチル−2−シアノアクリレート、ブトキシエチル−2−シアノアクリレート、ヘキシロキシエチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシロキシエチル−2−シアノアクリレート、ブトキシエトキシエチル−2−シアノアクリレート、ヘキシロキシエトキシエチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシロキシエトキシエチル−2−シアノアクリレート、メトキシプロピル−2−シアノアクリレート、メトキシプロポキシプロピル−2−シアノアクリレート、メトキシプロポキシプロポキシプロピル−2−シアノアクリレート、エトキシプロピル−2−シアノアクリレート及びエトキシプロポキシプロピル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。
環状アルキルエーテルの2−シアノアクリレートの具体例としては、テトラヒドロフルフリル−2−シアノアクリレート等が挙げられる。
エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートは、1種単独で使用することができ、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、メトキシエチル−2−シアノアクリレート、エトキシエチル−2−シアノアクリレート及びブトキシエチル−2−シアノアクリレート等の低級アルコキシエチル−2−シアノアクリレートを使用することが、入手容易で安定性に優れるため好ましく、エトキシエチル−2−シアノアクリレートが特に好ましい。
本開示の組成物がエステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを含む場合、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートの含有量は、得られる硬化物における耐水性及び耐冷熱衝撃性の観点から、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、0質量%を超え50質量%以下であることが好ましく、0質量%を超え40質量%以下であることがより好ましい。
<増粘剤>
本開示の被覆電線シール用組成物は、増粘剤を含む。
増粘剤としては、増粘効果を発現するものであれば、特に限定されるものではないが、具体的には、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチルメタアクリレートとメチルアクリレートとの共重合体、メチルメタアクリレートとエチルアクリレートとの共重合体等の各種(メタ)アクリレートのホモポリマー或いはコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ブチル等のアクリルゴム、エチレン−アクリルエラストマー等のオレフィン−アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)などが挙げられる。
また、増粘剤は、ヒドロキシ基、アミノ基等の極性基を有しないことが好ましい。
中でも、増粘剤としては、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、オレフィン−アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、セルロース誘導体、アクリルゴム、及び、ブタジエンゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が好ましく、オレフィン−アクリルゴム、及び、アクリロニトリルブタジエンゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物がより好ましく、オレフィン−アクリルゴムが更に好ましく、エチレン−アクリルエラストマーが特に好ましい。
増粘剤の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、1万以上であることが好ましく、5万以上であることがより好ましく、10万以上100万以下であることが更に好ましく、15万以上50万以下であることが特に好ましい。
本開示において、増粘剤の重量平均分子量は、下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)により測定した分子量をポリスチレン換算した値を意味する。
装置 :HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgel GMHXL 2本(東ソー(株)製)
カラム温度 :40℃
溶離液 :テトラヒドロフラン 1.00ml/分
検出器 :RI(示差屈折率計)
増粘剤としては、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、並びに、耐熱性の観点から、(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む共重合体であることが好ましい。
(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、後述するエラストマーに用いられる(メタ)アクリルモノマーが好適に挙げられる。
中でも、(メタ)アクリレート化合物からなるモノマー単位が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物からなるモノマー単位がより好ましい。
また、増粘剤としては、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、エラストマーであることが好ましい。
本開示における「エラストマー」とは、常温(20℃±15℃)付近でゴム状弾性を有するもの、又は、周波数1Hzで測定された動的粘弾性の損失正接(tanδ)のピークが20℃以下にあるものであれば特に限定されない。
常温付近でゴム状弾性を有するエラストマーとしては、アクリル酸エステル系共重合体、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−イソプレン系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ポリウレタン系共重合体、ポリエステル系共重合体、フッ素系共重合体、ポリイソプレン系共重合体、及びクロロプレン系共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、周波数1Hzで測定された動的粘弾性の損失正接(tanδ)のピークが20℃以下にあるエラストマーとしては、コアシェル型エラストマーも用いることができる。
コアシェル型エラストマーにおいて、コア及び/又はシェルを構成する重合体のガラス転移点(以下、「Tg」ともいう)は、20℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましい。
このような重合体を形成するコア相の単量体としては、アクリル酸エステルが挙げられ、炭素数2〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルが好ましい。
一方、最外層を形成するシェル相は、2−シアノアクリレート化合物と相溶又は分散しやすい高分子成分であれば特に限定されないが、ガラス転移点が60℃以上のガラス状重合体を最外層に形成させることが好ましい。
ガラス状重合体を形成する単量体としては、メタクリル酸メチル及びスチレンなどが挙げられる。
また、増粘剤として使用され得るこれらのエラストマーのうち好ましいものとして、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に難溶性の重合体となり得る単量体、及び、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に可溶性の重合体となり得る単量体(ただし、下記カルボキシ基を有する単量体を除く)を共重合してなる共重合体が挙げられる。この共重合体は、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に難溶性の重合体となり得る単量体が重合してなる難溶性セグメントと、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に可溶性の重合体となり得る単量体が重合してなる可溶性セグメントとを備えることが好ましい。
ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に難溶性の重合体となり得る単量体は、特に限定されず、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、1−ヘキセン及びシクロペンテン等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記難溶性の重合体となり得る単量体としては、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン及びクロロプレンがよりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることが好ましく、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体であることがより好ましい。
また、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に可溶性の重合体となり得る単量体も、特に限定されず、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン及びアクリロニトリル等が挙げられ、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体であることが好ましい。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸エトキシエチル及びアクリル酸エトキシプロピル等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸エトキシエチル及びメタクリル酸エトキシプロピル等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを併用してもよい。
前記難溶性の重合体となり得る単量体が重合してなる難溶性セグメントと、前記可溶性の重合体となり得る単量体が重合してなる可溶性セグメントとの割合は、特に限定されない。
難溶性セグメントを形成するモノマー単位及び可溶性セグメントを形成するモノマー単位の合計を100モル%とした場合に、難溶性セグメントを形成するモノマー単位の量が、好ましくは5モル%〜90モル%であり、より好ましくは10モル%〜80モル%であり、更に好ましくは30モル%〜80モル%であり、特に好ましくは40モル%〜80モル%であり、最も好ましくは50モル%〜75モル%である。
難溶性セグメントを形成するモノマー単位及び可溶性セグメントを形成するモノマー単位の合計を100モル%とした場合に、可溶性セグメントを形成するモノマー単位の量が、好ましくは10モル%〜95モル%、より好ましくは20モル%〜90モル%であり、更に好ましくは20モル%〜70モル%であり、特に好ましくは20モル%〜60モル%であり、最も好ましくは25モル%〜50モル%である。
各々のセグメントの割合が上記範囲であると、共重合体を2−シアノアクリレート化合物に適度に溶解させることができ、高いせん断接着強さ等と、優れた耐久性とを併せて有する組成物とすることができる。
各々のセグメントの割合は、プロトン核磁気共鳴分光法(以下「H−NMR」と表記する。)測定によるプロトンの積分値により算出することができる。
更に、増粘剤として使用され得る上記のエラストマーのうち特に好ましいものとして、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に難溶性の重合体となり得る単量体と、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に可溶性の重合体となり得る単量体と、カルボキシ基を有する単量体と、を共重合してなる共重合体も挙げられる。この共重合体において、カルボキシ基を有する単量体は、少量共重合されていればよい。
カルボキシ基を有する単量体も、特に限定されず、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸及び桂皮酸等が挙げられる。これらの単量体は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシ基を有する単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく挙げられ、これらはいずれか一方を用いてもよく、併用してもよい。
このカルボキシ基を有する単量体が共重合してなるカルボキシ基を有するセグメントは、親水性の高い2−シアノアクリレート化合物に可溶性のセグメントになる。当該エラストマーがカルボキシ基を有する共重合体である場合、より優れた接着耐久性を発現する組成物が提供される。
カルボキシ基を有するセグメントの割合も、特に限定されない。
前記難溶性セグメントを形成するモノマー単位、前記可溶性セグメントを形成するモノマー単位、及び、カルボキシ基を有するセグメントを形成するモノマー単位の合計を100モル%とした場合に、カルボキシ基を有するセグメントを形成するモノマー単位の量が、好ましくは0.1モル%〜5モル%であり、より好ましくは0.3モル%〜4モル%、更に好ましくは0.4モル%〜3モル%であり、特に好ましくは0.5モル%〜2.5モル%、最も好ましくは0.5モル%〜2.3モル%である。
カルボキシ基を有するセグメントの割合が上記範囲であると、硬化性に優れ、かつ、得られる硬化物が優れた耐温水性を有する。
カルボキシ基を有するセグメントの割合は、JIS K0070(1992)に準じ、電位差滴定法又は指示薬滴定法により測定することができる。
ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に難溶性の重合体となり得る単量体、及び、ホモポリマーが2−シアノアクリレート化合物に可溶性の重合体となり得る単量体(ただし、上記カルボキシ基を有する単量体を除く)を共重合してなる共重合体としては、例えば、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ブタジエン/アクリル酸メチル共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体、及びブタジエン/スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチル共重合体等を用いることができる。中でも、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、又は、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体が特に好ましい。
また、上記の各々の共重合体に用いられる単量体と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸等のカルボキシ基を有する単量体と、を重合させてなる共重合体、例えば、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体、及びエチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体等を用いることもできる。
これらの共重合体は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよく、カルボキシ基を有する単量体を共重合していない共重合体と、カルボキシ基を有する単量体を共重合した共重合体と、を併用してもよい。
中でも、増粘剤としては、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とを少なくとも共重合してなる共重合体であることが好ましく、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とカルボキシ基を有する単量体とを少なくとも共重合してなる共重合体であることがより好ましい。
増粘剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤の含有量は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、0.5質量部〜20質量部であることがより好ましく、1質量部〜12質量部であることが更に好ましく、2質量部〜9質量部であることが特に好ましい。
<式(1)で表される無水フタル酸誘導体>
本開示の被覆電線シール用組成物は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、並びに、耐熱性の観点から、下記式(1)で表される無水フタル酸誘導体を更に含むことが好ましい。
Figure 2021060390

式(1)中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アリーロキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは、1〜4の整数を表す。
式(1)におけるRはそれぞれ独立に、2−シアノアクリレート化合物への溶解性、組成物の安定性及び硬化性の観点から、炭素数1〜4のアルキル基、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、メチル基又は臭素原子であることがより好ましい。
また、nは、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(1)で表される無水フタル酸誘導体として具体的には、例えば、3−メチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物、4−ヒドロキシフタル酸無水物、3−アセトキシフタル酸無水物、4−ベンゾイルフタル酸無水物、4−フェニルフタル酸無水物、4−フェノキシカルボニルフタル酸無水物、3−クロロフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、3−ブロモフタル酸無水物、4−ブロモフタル酸無水物、3−ヨードフタル酸無水物、4−ヨードフタル酸無水物、3,4−ジクロロフタル酸無水物、3,5−ジクロロフタル酸無水物、3,6−ジクロロフタル酸無水物、4,5−ジクロロフタル酸無水物、3,4−ジブロモフタル酸無水物、3,5−ジブロモフタル酸無水物、3,6−ジブロモフタル酸無水物、4,5−ジブロモフタル酸無水物、3,4−ジヨードフタル酸無水物、3,5−ジヨードフタル酸無水物、3,6−ジヨードフタル酸無水物、4,5−ジヨードフタル酸無水物、4−ブロモ−5−ヨードフタル酸無水物、3,4,5−トリクロロフタル酸無水物、3,4,6−トリクロロフタル酸無水物、3,4,5−トリブロモフタル酸無水物、3,4,6−トリブロモフタル酸無水物、3,4,5−トリヨードフタル酸無水物、3,4,6−トリヨードフタル酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、及びテトラヨードフタル酸無水物等が挙げられる。
前記式(1)で表される無水フタル酸誘導体の含有量は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、並びに、耐熱性の観点から、組成物全質量に対して、0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.05質量%〜4質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜3質量%であることが特に好ましい。
<可塑剤>
本開示の被覆電線シール用組成物は、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、可塑剤を更に含むことが好ましい。
可塑剤としては、増粘剤として特に、前記難溶性の重合体となり得る単量体を多く用いてなる共重合体、即ち、難溶性セグメントが多い共重合体(例えば、難溶性セグメントの割合が65モル%以上の共重合体)を用いる場合、適量含有させることで、当該共重合体の溶解性を向上させることができる。
可塑剤としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジペンタデシル、テレフタル酸ジオクチル、イソフタル酸ジイソノニル、トルイル酸デシル、ショウノウ酸ビス(2−エチルヘキシル)、2−エチルヘキシルシクロヘキシルカルボキシレート、フマル酸ジイソブチル、マレイン酸ジイソブチル、カプロン酸トリグリセライド、安息香酸2−エチルヘキシル、及びジプロピレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。
これらの中でも、2−シアノアクリレート化合物との相溶性が良く、かつ可塑化効率が高いという点から、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、安息香酸2−エチルヘキシル、及び、ジプロピレングリコールジベンゾエートよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
可塑剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤の含有量は、特に限定されないが、得られる硬化物における高温多湿条件下での耐水性及び耐冷熱衝撃性、耐熱性、並びに、曲げ耐性の観点から、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、0.01質量部〜20質量部であることが好ましく、0.01質量部〜10質量部であることがより好ましく、0.01質量部〜7質量部であることが特に好ましい。
<(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレート>
本開示の組成物には、得られる硬化物における耐熱性及び柔軟性を付与することを目的として、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートを配合可能である。(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートとしては、種々のものが使用できるが、組成物の安定性、及び、2−シアノアクリレート化合物の接着性に影響を及ぼしにくいという観点から、アミノ基等の官能基を含有しないものが好ましい。(メタ)アクリロイルオキシ基数の上限は特に限定されないが、例えば、6以下とすることができる。
2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート〔市販品としては、NKエステル1G(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。以下同様〕、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート〔アクリレート:アロニックスM−240(東亞合成(株)製)等、メタクリレート:NKエステル4G,9G,14G,23G(新中村化学工業(株)製)等〕、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−220(東亞合成(株)製)等〕、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート〔ライトアクリレートNP−A(共栄社化学(株)製)等〕、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート〔ライトアクリレート1.6HX−A(共栄社化学(株)製)等〕、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−211B(東亞合成(株)製)等〕、3−(メタ)アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート〔ライトアクリレートG−201P(共栄社化学(株)製)等〕、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート〔ライトアクリレートDCP−A(共栄社化学(株)製)等〕、下記式(A)で表されるポリエステル(メタ)アクリレート〔KAYARAD HX−220,620(日本化薬(株)製)等〕、ウレタン(メタ)アクリレート〔アロニックスM−1100,1200(東亞合成(株)製)等〕、並びに、ビスフェノールA−ジエポキシ−(メタ)アクリル酸付加物〔ビスコート#540(大阪有機化学工業(株)製)等〕等が挙げられる。
Figure 2021060390

式(A)において、mA+nAの平均値は、2〜4である。
3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−305(東亞合成(株)製)等〕、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−309(東亞合成(株)製)等〕、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−321(東亞合成(株)製)等〕、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート〔NKエステルA−TMPT,TMPT(新中村化学工業(株)製)等〕等が挙げられる。
4個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート〔アロニックスM−450(東亞合成(株)製)等〕があり、5個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、6個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート〔KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)〕、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート〔KAYARAD DPCA−20,30,60,1209;日本化薬(株)製〕等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
これらの中でも、式(1)で表されるアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び/又はポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等を使用すると、得られる硬化物が適度な柔軟性を有するため好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートの含有量は、得られる硬化物の耐水性及び耐冷熱衝撃性の観点から、組成物の全質量に対し、50質量%以下であることが好ましく、1質量%〜35質量%であることがより好ましく、1質量%〜20質量%であることが更に好ましく、1質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
<重合開始剤>
本開示の組成物には、重合開始剤を配合してもよい。
特に、本開示の組成物に上記(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレート成分を配合する形態においては、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレート成分の重合を促進させるラジカル重合開始剤を配合することが好ましい。
また、重合開始剤としては、熱重合開始剤が好ましく挙げられ、熱ラジカル重合開始剤がより好ましく挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、ハイドロパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、及びジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、並びに、ジアシルパーオキサイド及びパーオキシジカーボネート等の有機過酸化物が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、貯蔵安定性の観点から、組成物の全質量に対し、0.1質量%〜1質量%であることが好ましく、0.3質量%〜0.6質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本開示の組成物には、上記成分以外に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、公知の添加剤が挙げられ、具体的は例えば、安定化剤、重合促進剤、染料、顔料、及び希釈剤等が挙げられる。
また、その他の成分の含有量は、特に制限はないが、組成物の全質量に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
その他の成分としては、安定化剤が好ましく挙げられる。
安定化剤としては、公知の重合抑制剤及び重合禁止剤等を用いることができ、例えば、ハイドロキノン及び亜硫酸ガス等が挙げられる。
また、その他の成分としては、重合促進剤が好ましく挙げられ、アニオン重合促進剤がより好ましく挙げられる。
アニオン重合促進剤としては、ポリアルキレンオキサイド及びその誘導体、クラウンエーテル及びその誘導体、シラクラウンエーテル及びその誘導体、並びに、カリキサレン誘導体等が挙げられる。
これら以外にも、染料、顔料、希釈剤、及び、充填剤(シリカ粒子など)等を配合することもできる。
<使用方法>
本開示の被覆電線シール用組成物は、1本の導線が絶縁性の被覆物で被覆されているもの、数本の導線をよったより線が絶縁性の被覆物で被覆されているもの等、種々の被覆電線に使用可能である。
具体的には、被覆電線の露出部及びその周辺を本開示の組成物で被覆し、本開示の組成物を硬化させることにより、被覆電線露出部周辺のシールが可能である。
被覆方法としては、種々の方法が採用でき、例えば、被覆電線の露出部及びその周辺に本開示の組成物を塗布或いは注入する方法、又は被覆電線の露出部及びその周辺を本開示の組成物に浸す方法等を挙げることができる。
被覆した本開示の組成物の硬化方法としては、シアノアクリレート系接着剤で通常採用される方法が適用でき、通常は放置することにより空気中の水分により硬化し、又、組成物の硬化速度が充分でないときは、被覆部分を、アニオン重合開始剤であるアミン、例えばN,N’−ジメチルアニリン、トリエタノールアミン〔市販品としては、aaアクセラレータ(東亞合成(株)製)等がある〕等を噴霧し、硬化促進させることもできる。
本開示の組成物のうち低粘度の組成物は、これが導線と被覆物の隙間に容易に浸透し、被覆電線を充分にシールすることができ、また作業性にも優れるため好適であり、被覆電線の露出部及びその周辺を本開示の組成物に浸す方法を採用することが好ましい。
より具体的には、被覆電線の被覆物を剥がした導線を特定の部品と加締め、この被覆電線の露出部及びその周辺を、本開示の組成物に浸す。被覆電線の露出部及びその周辺を浸す時間としては、使用する組成物の種類によって適宜選択すればよいが、通常は数秒〜30秒程度である。
この方法において、硬化速度が速すぎ、組成物が導線と被覆物の隙間内部に十分浸透しない場合には、上記した重合抑制剤の割合を増加させた組成物を使用すればよい。
(被覆電線)
本開示の被覆電線は、本開示の被覆電線シール用組成物の硬化物を備える。
本開示の被覆電線シール用組成物は、被覆電線、特に被覆電線の末端等において、電線が露出している部分をシールするために好適に用いることができ、2以上の被覆電線を電気的に接続している電線露出部分をシールするためにより好適に用いることができる。
前記電線露出部分は、被覆電線の末端であっても、中間部分であってもよい。
また、本開示の被覆電線シール用組成物は、被覆電線と他の部材(コネクタ、端子、保護具、成形具、固定具、又は基板等)との接続部分におけるシールにも好適に用いることができる。
前記被覆電線における電線としては、特に制限はなく、公知の電線を用いることができる。電線の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、及びこれらの合金等が挙げられる。
また、電線は、単線であっても、複数素線であってもよいが、複数素線であることが好ましい。
前記被覆電線における被覆材料は、特に制限はなく、公知の被覆材料を用いることができる。
被覆材料としては、絶縁性の材料であることが好ましい。
また、被覆材料としては、樹脂を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂を含むことがより好ましい。
前記被覆電線における断面形状、長さ、及び被覆の厚さ等については、特に制限はなく、適宜選択することができる。
本開示の被覆電線としては、自動車、家電製品及びOA機器等のワイヤーハーネスが好適に挙げられ、自動車のワイヤーハーネスが特に好適に挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<吸い上げ長さの測定方法>
内径1.05mm、長さ120mmのキャピラリーチューブの先端部を、深さ30mmの組成物の浴液に2秒間浸漬させて引き上げた後、前記キャピラリーチューブの長手方向を重力方向に対して水平方向になるように設置した状態で24時間静置したときの吸い上げ長さを測定した。
また、上記吸い上げ長さの測定は、23℃±0.5℃で行うものとし、キャピラリーチューブは、ホウケイ酸ガラス製のものを使用した。
<25℃における粘度の測定方法>
組成物における粘度は、E型粘度計(コーンプレート型粘度計)であるTVE−20H型粘度計(塩水/平板方式、東機産業(株)製)を用いて、下記の条件下で測定した。
−測定条件−
コーン形状:角度1°34′、半径24mm
温度:25℃±0.5℃
<被覆電線シール用組成物の硬化物の80℃における貯蔵弾性率の測定方法>
Anton Paar社製MCR 301を使用して、下記のように測定した。
上下パラレルプレートの両面に硬化促進剤溶液(5質量%N,N’−ジメチルパラトルイジンのエタノール溶液)を塗布して乾燥させた後、下部プレートに適量の組成物を塗布して、直ちに上部プレートを降下させた。その後、25℃で2時間放置し、歪み0.1%、周波数1Hz、昇温速度2℃/分、初期ギャップ300μmの条件で80℃における貯蔵弾性率を測定した。
(実施例1〜24、及び、比較例1〜10)
実施例1〜3、5〜11、及び13〜24、並びに、比較例6〜10においては、表1に示す組成の化合物を常法により混合し、被覆電線シール用組成物を調製した。
また、実施例4、実施例12、及び比較例1〜5においては、表1に示す組成の化合物及びこれらの全量100質量部に対して1質量部のジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド(パーブチルZ、日油(株)製)を常法により混合し、被覆電線シール用組成物を調製した。
<評価>
得られた被覆電線シール用組成物について、以下の評価を行った。それらの結果を表2に示す。
−電線シール性試験(湿熱試験、冷熱衝撃試験及び耐熱試験)−
軟質ポリ塩化ビニル被覆導線(導線の直径:30本の銅線がよられたものの直径2.5mm,被覆塩ビの外径3.5mm)の被覆ポリ塩化ビニルを先端から15mm剥ぎ、その先端から30mmを被覆電線シール用組成物に約2秒浸した後、23℃、湿度50%の雰囲気下1日以上養生して硬化させた。
上記シールした被覆電線について、80℃、湿度95%RHの湿熱環境下に、50時間暴露したものについて、電線シール性試験を行った(湿熱試験)。
一方、上記シールした被覆電線について、−40℃30分〜120℃30分の冷熱衝撃に100サイクル供したものについても、上記と同様に電線シール性試験を行った(冷熱衝撃試験)。
更に上記シールした被覆電線について、120℃に96時間暴露したものについても、上記と同様に電線シール性試験を行った(耐熱試験)。
電線シール性試験は、被覆電線のシール処理していない側から以下に示す所定の圧力の圧縮空気を送り、被覆電線の先端を水につけて空気漏れの有無を確認した。
空気漏れが生じた気密圧に応じて、A〜Eで評価した。
A:気密圧1.0kg/cm以上
B:気密圧0.8kg/cm以上、1.0kg/cm未満
C:気密圧0.6kg/cm以上、0.8kg/cm未満
D:気密圧0.4kg/cm以上、0.6kg/cm未満
E:気密圧0.4kg/cm未満
−屈曲試験(曲げ耐性試験)−
上記シールした被覆電線について、JIS K5600−5−1(1999)の耐屈曲性の記載に基づき、以下の装置を用いて電線1本ずつ測定し、以下の評価基準で目視により評価した。
<<試験装置>>
オールグッド社製円筒形マンドレル屈曲試験機
マンドレル径:2mmΦ
<<評価基準>>
A:割れ及びクラックなし
B:割れはなく、クラックのみあり
C:割れ及びクラックの両方あり
Figure 2021060390


Figure 2021060390
表1における添加剤(前記式(1)で表される無水フタル酸誘導体)及び開始剤以外の欄の各数値は、組成物における含有質量比を表し、添加剤及び開始剤の欄の数値は、組成物の全質量に対する含有量(ppm)を表す。なお、内部(暗部)が未硬化の光硬化性樹脂組成物はなかった。
また、表1における略語の詳細を以下に示す。
KAYARAD HX−620:前記式(A)で表されるアクリレート化合物、mA+nA=4、日本化薬(株)製
KAYARAD HX−220:前記式(A)で表されるアクリレート化合物、mA+nA=2、日本化薬(株)製
M−305:東亞合成(株)製アロニックスM−305(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート)
Vamac G:エチレンアクリルエラストマー(エチレン−メチルアクリレート−アクリル酸共重合体)、Du Pont社製、Mw=26万
Vamac LT:エチレンアクリルエラストマー(エチレン−メチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体)、Du Pont社製、Mw=27万
NIPOL 1072:アクリロニトリルブタジエンゴム、日本ゼオン(株)製、Mw=16万
CAB:セルロースアセテートブチレート、イーストマンケミカルジャパン社製、Mw=>7万
BR−60:アクリル樹脂、Mw=7万
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル
DINP:フタル酸ジイソノニル
DIDP:フタル酸ジイソデシル
4−BrPA:4−ブロモフタル酸無水物
4−MePA:4−メチルフタル酸無水物
表1及び表2に示すように、実施例1〜24の被覆電線シール用組成物は、比較例1〜10の組成物に比べ、得られる硬化物において、高温多湿条件での耐水性と耐冷熱衝撃性を両立し、得られる硬化物の耐熱性にも優れる。
また、表1及び表2に示すように、実施例1〜24の被覆電線シール用組成物は、得られる硬化物の曲げ耐性にも優れる。
2019年9月27日に出願された日本国特許出願第2019−176677号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
本開示の被覆電線シール用組成物は、作業性に優れ、かつその硬化物は、厳しい高温多湿等の条件下や冷熱サイクルの条件下においても電線シール性を維持することができるため、自動車、家電製品、OA機器等の各種電気系統の配線の電線シール剤として広く利用され得るものである。

Claims (18)

  1. 炭素数が4以上のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを、2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上含む2−シアノアクリレート化合物と、
    増粘剤とを含有し、
    25℃における粘度が、20mPa・s〜120mPa・sである、
    被覆電線シール用組成物。
  2. 前記増粘剤の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、1質量部〜12質量部である、請求項1に記載の被覆電線シール用組成物。
  3. 前記増粘剤が、(メタ)アクリルモノマーからなるモノマー単位を含む共重合体である、請求項1又は請求項2に記載の被覆電線シール用組成物。
  4. 前記増粘剤が、エラストマーである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  5. 前記増粘剤の重量平均分子量が、5万以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  6. 内径1.05mm、長さ120mmのキャピラリーチューブの先端部を、深さ30mmの前記被覆電線シール用組成物の浴液に2秒間浸漬させて引き上げた後、前記キャピラリーチューブの長手方向を重力方向に対して水平方向になるように設置した状態で24時間静置したときの吸い上げ長さが、7mm以上35mm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  7. 前記被覆電線シール用組成物の硬化物の80℃における貯蔵弾性率が、9.0×10Pa以上1.5×10Pa以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  8. 前記2−シアノアクリレート化合物が、2−オクチル−2−シアノアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノアクリレート、n−オクチル−2−シアノアクリレート、n−ヘキシル−2−シアノアクリレート、n−ブチル−2−シアノアクリレート、及び、イソブチル−2−シアノアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  9. 前記2−シアノアクリレート化合物が、炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレート及び/又はエステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  10. 前記2−シアノアクリレート化合物が、炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートを含み、
    前記炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキル−2−シアノアクリレートの含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  11. 前記2−シアノアクリレート化合物が、エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートを含み、
    前記エステル残基にエーテル結合を有する2−シアノアクリレートの含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の全質量に対し、0質量%を超え50質量%以下である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  12. 前記増粘剤が、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とを少なくとも共重合してなる共重合体である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  13. 前記増粘剤が、エチレン、プロピレン、イソプレン及びブタジエンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体と(メタ)アクリレート化合物とカルボキシ基を有する単量体とを少なくとも共重合してなる共重合体である、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  14. 下記式(1)で表される無水フタル酸誘導体を更に含む、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
    Figure 2021060390


    式(1)中、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アリーロキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表し、nは、1〜4の整数を表す。
  15. 可塑剤を更に含む、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  16. 前記可塑剤の含有量が、前記2−シアノアクリレート化合物の含有量100質量部に対し、0.01質量部〜10質量部である、請求項15に記載の被覆電線シール用組成物。
  17. (メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートを更に含み、
    前記(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する(メタ)アクリレートの含有量が、前記被覆電線シール用組成物の全質量に対し、1質量%以上35質量%以下である、請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物。
  18. 請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の被覆電線シール用組成物の硬化物を備える被覆電線。
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