以下、本発明の実施形態に係る作業支援システムについて、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る作業支援システム1は、現場で作業者3により行われる作業の成否をリアルタイムで判定することにより作業ミスを防止するシステムである。具体的には、作業支援システム1は、熟練者2の作業記録(作業映像・作業音声)に基づいて作業チェック情報を生成し、作業チェック情報に基づいて熟練者2の作業映像と作業者3の作業映像を対比することにより作業者3の作業の成否を判定している。なお、支援対象の作業は、保守・点検作業に限定されず、現場で行われるどんな作業であってもよい。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る作業支援システム1の構成を示す構成図である。図1に示すように、作業支援システム1は、熟練者端末10と、作業者端末20と、作業情報生成サーバ30と、を備え、それらがネットワーク4を介して相互に接続されている。
熟練者端末10には、映像取得装置(例えば、カメラ)11と音声取得装置(例えば、マイク)12とが有線あるいは近接無線により接続されている。また、作業者端末20には、映像取得装置(例えば、カメラ)21と音声取得装置(例えば、マイク)22と支援情報出力装置(例えば、イヤホン、スピーカ、ディスプレイなど)23が有線あるいは近接無線により接続されている。作業情報生成サーバ30には、各種データベースを格納した記憶装置31が接続されている。
本実施形態では、映像取得装置11および音声取得装置12が熟練者端末10に接続された構成であるが、これに限定されない。映像取得装置11および音声取得装置12が、それぞれネットワーク4を介して作業情報生成サーバ30に接続されるようにしてもよい。この場合には、熟練者端末10は必ずしも必要ではない。
また、本実施形態では、映像取得装置21、音声取得装置22、および支援情報出力装置23が、作業者端末20に接続された構成であるが、これに限定されない。映像取得装置21、音声取得装置22、および支援情報出力装置23が、それぞれネットワーク4を介して作業情報生成サーバ30に接続されるようにしてもよい。この場合には、作業者端末20は必ずしも必要ではない。
なお、本実施形態の熟練者2、作業者3、熟練者端末10、および作業者端末20は、それぞれ本発明の第1作業者、第2作業者、第1端末、および第2端末に対応する。また、本実施形態の映像取得装置11、および映像取得装置21は、それぞれ本発明の第1映像取得装置、および第2映像取得装置に対応する。
(熟練者端末)
まず、熟練者端末10について説明する。
熟練者端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ノート型PCなどである。また、熟練者端末10は、熟練者2に装着した映像取得装置(例えば、耳掛けカメラ)11から作業の映像(作業映像)を取得し、熟練者2に装着した音声取得装置(例えば、マイク)12から作業中に熟練者2が発した音声(作業音声)を取得するようになっている。映像取得装置11は、携帯可能な例えば、耳掛けカメラであるが、任意の場所に固定して用いる固定カメラであってもよい。
映像取得装置11および音声取得装置12のいずれか一方、両方が、熟練者端末10に組み込まれたものであってもよい。
図2は、熟練者端末10の構成を示す構成図である。図2に示すように、熟練者端末10は、制御部14、各種処理プログラムを格納したメモリ15、各種データベースを格納したストレージ16、通信部17、映像取得部11a、音声取得部12a、表示部13、および電源供給部18を備えている。
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース、外部記憶装置等を有するコンピュータを用いる構成であってもよく、その機能の一部または全部は、メモリ15に記憶された各種処理プログラムをCPUで実行することにより実現することができる。
通信部17は、ネットワーク4を介して作業情報生成サーバ30と通信を行うようになっている。
音声取得部12aは、作業時の熟練者2の音声を例えばマイクなどの音声取得装置12から取得するようになっている。
映像取得部11aは、例えば耳掛けカメラなどの映像取得装置11が撮影した熟練者2の作業映像を取得するようになっている。
表示部13は、熟練者2に作業情報等を提示するためのものであり、具体的には、スマートフォン、タブレット端末など表示部で構成される。
電源供給部18は、熟練者端末10を駆動するのに必要な電力を供給するようになっている。
メモリ15には、映像記録処理部15b、音声記録処理部15a、および情報送受信処理部15cを構成する各種処理プログラムが格納されている。これらの処理プログラムは、制御部14のCPUにより実行されることにより、それぞれの処理機能を実現できるようになっている。
映像記録処理部15bは、制御部14のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、映像取得部11aを駆動、制御して作業の映像を記録(録画)する処理を実行するようになっている。作業映像は動画であるが、静止画であってもよい。いずれの場合でも、動画あるいは静止画を構成する各画像と時間情報(時刻、開始時からの経過時間など)とが対応付けられてストレージ16の熟練者作業行動情報記録データベース16aに記録される。
音声記録処理部15aは、制御部14のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、音声取得部12aを駆動、制御して作業中の音声を記録する処理を実行するようになっている。音声情報は、時間情報(時刻、開始時からの経過時間など)と対応付けられてストレージ16の熟練者作業行動情報記録データベース16aに記録される。
情報送受信処理部15は、制御部14のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、通信部17を駆動、制御して作業情報生成サーバ30と情報を送受する処理を実行するようになっている。
ストレージ16には、熟練者作業行動情報記録データベース16aが格納されている。
図5は、熟練者作業行動情報記録データベース16aの構成例を示す構成図である。図5に示すように、熟練者作業行動情報記録データベース16aの各レコード(行)に記録される項目は、例えば、熟練者2の作業者No、作業No、記録映像、記録音声、作業時間などである。
作業者Noは、各作業者に一意に割り当てられた識別番号である。作業Noは、作業を特定するために一意に割り当てられた番号である。記録映像は、作業を記録した動画ファイル名である。記録音声は、作業時の音声を記録した音声ファイル名である。作業時間は、作業に要した時間である。
熟練者作業行動情報記録データベース16aには、熟練者2が作業Noで特定される作業を行うごとに、レコード(行)データが追加されるようになっている。
なお、熟練者2の作業映像と作業音声を取得しつつ、それらのデータを作業情報生成サーバ30に送信し、作業情報生成サーバ30の記憶装置31に記憶する場合には、熟練者端末10に熟練者作業行動情報記録データベース16aを格納しておかなくてもよい。
(作業者端末)
次に作業者端末20について説明する。
作業者端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ノート型PCなどである。また、作業者端末20は、作業者3に装着した映像取得装置(例えば、耳掛けカメラ)21から作業の映像(作業映像)を取得し、作業者3に装着した音声取得装置(例えば、ピンマイク)22から作業中に作業者3が発した音声(作業音声)を取得するようになっている。また、作業者端末20は、作業支援情報を支援情報出力装置23(例えば、イヤホン、スピーカなど)に出力するようになっている。
映像取得装置21、音声取得装置22、および支援情報出力装置23のいずれか1つまたは2つ、或いはすべては、作業者端末20に組み込まれたものであってもよい。
図3は、作業者端末20の構成を示す構成図である。図3に示すように、作業者端末20は、制御部24、各種処理プログラムを格納したメモリ25、各種データベースを格納したストレージ26、通信部27、音声取得部22a、映像取得部21a、表示部23a、音声/映像出力部23b、および電源供給部28を備えている。表示部23aは、作業支援情報を動画または静止画で表示する場合に、支援情報出力装置としても機能する。
作業者端末20の制御部24、各種処理プログラムを格納したメモリ25、通信部27、音声取得部22a、映像取得部21a、表示部23a、および電源供給部28は、熟練者端末10の対応する構成要素と同じ機能を有するので、詳細な説明は省略する。
音声/映像出力部23bは、作業者3に作業支援情報(作業の成否、注意喚起など)を音声または/および映像で伝えるために支援情報出力装置23(イヤホン、スピーカ、ディスプレイなど)に音声または/およびデータを出力するようになっている。
メモリ25には、映像記録処理部25b、音声記録処理部25a、および情報送受信処理部25cを構成する各種処理プログラムが格納されている。これらの処理プログラムは、制御部24のCPUにより実行されることにより、それぞれの処理機能を実現できるようになっている。上記処理プログラムは、熟練者端末10の対応する処理プログラムと同様の機能を実現するので、詳細な説明は省略する。
ストレージ26には、現地作業者作業情報記録データベース26aが備えられている。
図6は、現地作業者作業情報記録データベース26aの構成例を示す構成図である。図6に示すように、現地作業者作業情報記録データベース26aの各レコード(行)に記録される項目は、例えば、作業者No、作業日時、作業No、要素作業No、チェック項目、作業時間、作業成否、記録動画、記録音声などである。
作業者Noは、各作業者に一意に割り当てられた識別番号である。作業日時は、作業者3が作業を行った日時である。作業Noは、作業を特定するために一意に割り当てられた番号である。要素作業Noは、作業を要素作業に分割した場合の要素作業を特定する番号である。チェック項目は、チェック内容を示す。作業時間は、作業者3が要素作業に要した時間である。作業成否は、作業の成否判定の結果である。記録動画は、作業を記録した動画ファイル名である。記録音声は、作業時の音声を記録した音声ファイル名である。
現地作業者作業情報記録データベース26aには、作業者3が作業Noで特定される作業を行うごとに、レコード(行)データが追加されるようになっている。
なお、現地作業者作業情報記録データベース26aは、作業者端末20のストレージ26および作業情報生成サーバ30のストレージ302のいずれか一方、或いは両方に記憶するようにしてもよい。
(作業情報生成サーバ)
次に、作業情報生成サーバ30について説明する。
図4は、作業情報生成サーバ30の構成図である。図4に示すように、作業情報生成サーバ30は、制御部300、各種処理プログラムを格納したメモリ301、各種データベースを格納したストレージ302、通信部307、表示部303、認証部308、外部機器接続部311、電源供給部312、作業者端末管理部330、および作業分析/解析部335を備えている。
制御部300は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、外部記憶装置等を有するコンピュータを用いる構成であってもよく、作業情報生成サーバ30の機能の一部または全部は、メモリ301に記憶された各種処理プログラムをCPUで実行することにより実現することができる。
通信部307は、ネットワーク4を介して熟練者端末10および作業者端末20と通信を行うようになっている。
表示部303は、液晶ディスプレイ等で構成され、熟練者2および/または作業者3の作業映像やシステム管理状況等を表示できるようになっている。
認証部308は、公知の認証方法を用いてユーザの利用資格を確認するものであり、利用資格を有するユーザのみが作業情報生成サーバ30を利用できるようになっている。
外部機器接続部311は、必要に応じて、例えば、モニター装置、プリンタ装置、外部記憶装置などの外部機器と接続できるようになっている。
電源供給部312は、作業情報生成サーバ30を駆動するのに必要な電力を供給するようになっている。
<メモリ>
メモリ301には、映像データ処理部313、音声データ処理部314、情報重畳処理部315、情報送受信処理部316、位置データ処理部318、および空間データ処理部319を構成する各種処理プログラムが格納されている。これらの処理プログラムは、制御部300のCPUにより実行されることにより、それぞれの処理機能を実現できるようになっている。
映像データ処理部313は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、熟練者端末10および作業者端末20から送信された作業映像データに対して、各種データ処理を行うようになっている。映像データ処理部313は、例えば、画像認識処理を行い、作業対象機器、熟練者2や作業者3の腕や手、作業工具などを認識できるようになっている。また、映像データ処理部313は、例えば、作業映像(動画)に含まれる各画像について、特徴点の抽出や特徴量の算出をするようになっている。これら特徴点や特徴量の情報を基に、2画像の類否判定、画像中の対象物の存否判定などを行うことができる。
音声データ処理部314は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、熟練者端末10および作業者端末20から送信された作業音声データに対して、各種データ処理を行うようになっている。具体的には、音声データ処理部314は、音声認識処理部、言語変換処理部などを備えている。
音声認識処理部は、熟練者端末10から送信される熟練者2の音声データ、または作業者端末20から送信される作業者3の音声データに対して、音声認識処理を実行し、テキストデータに変換する。また、言語変換処理部は、熟練者2の作業音声を音声認識処理して得られた日本語のテキストデータを、指定された外国語に変換(翻訳)する。支援情報出力装置23は、該外国語に翻訳された、作業支援情報を伝えるテキストデータを、音声または/および映像で出力する。なお、本実施形態の音声データ処理部314が本発明の言語変換装置に対応する。
情報重畳処理部315は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、例えば、拡張現実の画面において作業手順の情報を重畳して表示する処理を実行するようになっている。
情報送受信処理部316は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、通信部307を駆動、制御して熟練者端末10および作業者端末20と情報を送受する処理を実行するようになっている。
位置データ処理部318は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、熟練者端末10および作業者端末20から送信された位置データに対して、各種データ処理を実行するようになっている。
空間データ処理部319は、制御部300のCPUにより処理プログラムが実行されることにより、熟練者端末10および作業者端末20から送信された空間(距離)データに対して、各種データ処理を実行するようになっている。
<作業者端末管理部>
作業者端末管理部330は、作業支援情報配信部331、および機器状態管理部332を備えている。
作業支援情報配信部331は、作業支援情報を作業者端末20に配信するようになっている。具体的には、作業支援情報配信部331は、作業者3が行った作業の成否の判定結果や、要注意段階の前に作業者3に与える注意喚起のメッセージなどの作業支援情報を作業者端末20に送信する。作業者端末20では、受信した作業支援情報のデータを音声/映像出力部23bを介して支援情報出力装置23に送る。支援情報出力装置23は、作業支援情報を、音声および映像(動画)の少なくとも一方で選択的に出力できるようになっている。作業支援情報の映像データは表示部23aに表示するようにしてもよい。この場合、表示部23aは支援情報出力装置23として機能する。
作業の成否の判定結果、作業が失敗の場合に送信される音声または映像のメッセージとしては、例えばネジを外す作業において「外すネジが間違っています!」などである。作業の成否の判定結果、作業が成功の場合には、特にメッセージを送信しなくてもよいし、或いは「ネジを外す作業が正常に終わりました」などのメッセージを送信してもよい。注意喚起のための音声または映像のメッセージとしては、例えば部品交換の作業において「感電に注意!」などである。
作業支援情報として、例えば、作業手順、環境情報およびステータス情報を含むようにしてもよい。作業手順の説明としては、例えば「作業1:ネジを外してください」というメッセージが挙げられる。環境情報としては、例えば現場環境の温度、湿度が挙げられる。ステータス情報としては、作業の進捗度、経過時間などが挙げられる。
機器状態管理部332は、作業対象機器を含めて作業に関係する機器の仕様およびその状態、ならびに作業現場の環境に関する情報を記憶し、管理するようになっている。
<作業分析/解析部>
作業分析/解析部335は、作業行動記録集計部336、作業記録分析部338、分析結果出力部339、作業チェック情報生成部340、および作業報告書作成部341を備えている。なお、本実施形態の作業記録分析部338が、本発明の判定装置および注意喚起制御装置に対応する。
作業行動記録集計部336は、熟練者2または作業者3による作業行動の記録(作業映像、作業音声)を取得し、集計するようになっている。熟練者2の作業行動の情報は、ストレージ302に格納された熟練者作業行動情報記録データベース323に記憶され、作業者3の作業行動の情報は、現地作業者作業情報記録データベース324に記憶されている。
作業記録分析部338は、作業チェック情報に基づき、作業者3の作業記録(作業映像、作業音声などの作業行動情報)を、熟練者2の作業記録(作業映像、作業音声などの作業行動情報)と対比、分析し、作業者3の作業の成否を判定するようになっている。
また、作業記録分析部338は、作業チェック情報および作業者3の作業の経時情報(経過時間または作業段階の情報)に基づき作業中の特定段階の前に支援情報出力装置23に作業支援情報として注意情報を出力させる制御を行うようになっている。
分析結果出力部339は、作業記録の分析結果を作業者端末管理部330の作業支援情報配信部331や作業報告書作成部341等に出力するようになっている。
作業チェック情報生成部340は、熟練者作業行動情報記録データベース323に記憶された熟練者2の作業映像および作業音声を基に作業チェック情報70を生成する。生成した作業チェック情報は、例えば、現地作業者作業情報記録データベース324や熟練者作業行動情報記録データベース323などストレージ302の適当な場所に格納しておく。
作業報告書作成部341は、作業記録分析部338による作業者3の各作業の成否の判定結果、各作業に要した時間などの情報を含む作業報告書を電子ファイルの形式で作成し、現地作業者作業情報記録データベース324などストレージ302内の適当な場所に格納する。作業報告書には、作業者No、作業者名、作業日時、作業No(作業内容)なども併せて記録される。作業報告書は、必要に応じて作業者端末20に送信され、作業者3が作業報告書の内容を見ることができる。
<ストレージ>
ストレージ302には、熟練者作業行動情報記録データベース323、現地作業者作業情報記録データベース324、および作業対象機器情報記録データベース325が格納されている。ストレージ302は図1の記憶装置31に対応する。
熟練者作業行動情報記録データベース323、現地作業者作業情報記録データベース324については、熟練者端末10または作業者端末20の対応するデータベース構造と同じであるので、詳細な説明は省略する。なお、熟練者作業行動情報記録データベース323、現地作業者作業情報記録データベース324に格納する作業映像の情報は、元の映像データの代わりに、映像を構成する各画像に対して画像処理を行って得られた特徴点や特徴量などの情報であってもよい。
図7は、作業対象機器情報記録データベース325の構成を示す構成図である。図7に示すように、作業対象機器情報記録データベース325の各レコード(行)に記録される項目は、機器No、作業No、仕様、および画像である。
機器Noは、作業Noで特定される作業において対象となる機器を特定する識別番号である。作業Noは、作業を特定するために一意に割り当てられた番号である。仕様の欄には、機器Noで特定される機器の仕様(スペック)の情報を記録したファイル名が入っている。画像の欄には、機器Noで特定される機器の画像ファイル名が入っている。
次に、図8を参照して作業チェック情報の生成において映像情報および音声情報を分割する方法を説明する。
作業チェック情報生成部340は、熟練者2の作業映像および作業音声を熟練者2の作業音声の情報に基づいて要素作業に分割し、作業記録分析部338は要素作業ごとに作業の成否を判定する。
具体的には、まず映像取得装置11が、熟練者2の作業映像を取得し、音声取得装置12が、熟練者2の作業音声を取得する。熟練者端末10は、取得した作業映像および作業音声のデータを受け取り、熟練者作業行動情報記録データベース16aに格納する。作業映像は、動画ファイル51であり、所定時間間隔で撮影された一連の画像を含んでいる。作業音声は、音声ファイル52であり、熟練者2が発した音声が含まれている。熟練者端末10は、通信部17を介して、熟練者作業行動情報記録データベース16aに格納された熟練者2の作業映像(動画ファイル51)および作業音声(音声ファイル52)を作業情報生成サーバ30に送信する。
作業情報生成サーバ30は、熟練者2の作業映像および作業音声を熟練者作業行動情報記録データベース323に格納する。次いで、音声データ処理部314が、熟練者2の作業音声のデータに対して、音声認識処理を実施する。次いで、作業チェック情報生成部340が、音声認識処理の結果から、「作業1 〇〇〇を実施」などのメッセージを見つけ、各要素作業(作業1、作業2、・・・)の開始時間を特定する。作業チェック情報生成部340は、各要素作業の開始時間の情報を基に、作業映像および作業音声のファイルを各要素作業に分割し、ストレージ302内の適当な場所に記憶する。
次に、図9を参照して作業チェック情報生成部340による作業チェック情報70の生成処理を説明する。
作業チェック情報70の生成処理は、熟練者2の作業映像および作業音声の分割処理と同時に行うが、これに限定されず、分割処理の前、あるいは後に行ってもよい。
作業チェック情報生成部340は、音声データ処理部314を用いて、熟練者作業行動情報記録データベース323に記録された熟練者2の作業音声のデータに対して音声認識処理を実施し、成否をチェックすべき作業(作業チェック項目)および注意すべき事項(注意項目)を特定し、作業チェック情報70としてストレージ302内の適当な場所に記憶する。
作業チェック項目を特定するため、例えば、各作業の開始を示す特定の語句(例えば「作業1」、「作業2」など)を含む作業開始メッセージ(例えば「作業1 ネジを外す」、「作業2 蓋を取る」など)を特定し、そのメッセージ内容と時間(基準となる時刻からの経過時間)を取得する。
図9に示すように、例えば、作業チェック情報生成部340は、熟練者2の作業音声から、「作業1 ネジを外す」、「作業2 蓋を取る」、「作業3 部品を交換する」、「作業4 蓋を閉める」、「作業5 ネジを締める」などという作業開始メッセージを特定した場合、作業チェック情報70の作業No、作業時間、作業チェック項目の各欄に特定した情報を記録する。
作業チェック項目は、作業開始メッセージから取得するだけでなく、各作業の作業中に熟練者2が発するメッセージから作業チェック項目を取得してもよい。例えば、熟練者2の「交換した部品を回収箱に入れる」というメッセージから、「交換した部品を回収箱に入れる」という内容を作業チェック項目の欄に記録し、その時間も記録しておく。
また、作業チェック情報生成部340は、熟練者2の作業音声から注意項目を特定するため、例えば、注意喚起を示す注意メッセージを特定し、そのメッセージ内容と経過時間(基準となる時刻(例えば作業開始時)からの経過時間)を取得する。
例えば、図9に示すように、作業チェック情報生成部340が、熟練者2の作業音声から、「感電に注意」や「指挟みに注意」などという注意メッセージを特定した場合、注意項目、経過時間の各欄に特定した情報を作業チェック情報70として記録する。
<作業成否判定法1>
次に、図10Aおよび図10Bを参照して作業チェックにおける作業成否判定法1を説明する。
作業記録分析部338が、熟練者2の作業映像に含まれる特定の対象物が作業者3の作業映像に含まれているか否かにより作業の成否を判定する。
具体的には、作業記録分析部338は、作業者3の作業映像と、熟練者作業行動情報記録データベース323に記録された熟練者2の作業映像と、を対比する。この対比処理は、現地での作業者3の作業映像を取得しつつリアルタイムで行われる。リアルタイム性を損なわなければ、現地での作業者3の作業映像を一旦、現地作業者作業情報記録データベース324に記録し、該データベースに記録された作業者3の作業映像のデータを用いてもよい。
図10Aに示すように、例えば、作業チェック項目が作業1の「ネジを外す」である場合、作業1の熟練者2の作業映像中に対象機器から作業対象のネジが外れた画像Aが存在する。よって、作業者3の作業映像中に対象機器からネジが外れた画像Aが存在しないならば、「ネジを外す」という作業は実施されていないと判定できる。そこで、作業者3の作業映像中にネジが外された画像Aに相当する画像が存在するか否かを調べ、存在していれば、作業は成功であると判定し(図10A)、存在していなければ、作業は失敗であると判定する(図10B)。
作業者3の作業映像中に特定状態の対象物の画像Aに対応する画像が存在するか否かは、例えば、比較する画像が画像Aと同様の特徴点または/および特徴量を有しているか否かにより判断することができる。
作業者3の作業映像中における画像Aの存否判断は、熟練者2の画像Aが出現する時間t1の±Δtの範囲において作業者の作業映像に画像Aに対応する画像が存在するか否かを判断する。このように対比判断する画像範囲を限定することにより、作業の迅速な成否判定が可能となる。
本実施形態では、作業者3の作業映像において対比する画像範囲を経過時間により所定範囲に限定したが、これに限定されない。作業者3の作業映像の最初の画像Sから最後の画像Eまでの全画像について対比判断してもよい。また、対比中に画像Aに対応する画像が存在することが分かった場合、後の画像については対比を省略してもよい。
図10Bに示すように、時間t1±Δtの範囲で、作業者3の作業映像中に画像Aに対応する画像が存在しない場合には、作業1の開始時間tsからの時間t1+Δtが経過した後の適当な時点で、「ネジを外してください」などと音声または/および映像で注意喚起する。
ここで、作業者3の作業開始・作業終了の判断法を説明する。図10Aおよび図10Bに示すように、作業1における熟練者2の作業映像の先頭には特定の対象物を撮影した画像Sが存在し、末尾には画像Eが存在している。例えば、作業者3の作業映像に画像Sに対応する画像が出現すれば、作業1が開始したものと判断し、作業者3の作業映像に画像Eに対応する画像が出現すれば、作業1が終了したものと判断する。このようにして、作業者3が作業Noで一意的に特定される作業(或いは要素作業)を開始したか、或いは終了したか否かを判断することができる。
別法として、作業者3が音声取得装置22(例えばマイク)に発した音声に対して、音声データ処理部314により音声認識処理し、例えば「作業1を開始する」などのメッセージ音声を検出すると、それを合図に作業映像において作業1が開始したと判断するようにしてもよい。
<作業成否判定法2>
次に、図11を参照して作業チェックにおける別の作業成否判定法2を説明する。
作業成否判定法2では、作業記録分析部338は、熟練者2の作業映像に含まれない対象物が作業者3の作業映像に含まれているか否かにより作業の成否を判定する。
具体的には、作業記録分析部338は、作業者3の作業映像と、熟練者作業行動情報記録データベース323に記録された熟練者2の作業映像と、を対比する。この対比処理は、現地での作業者3の作業映像を取得しつつリアルタイムで行われる。リアルタイム性を損なわなければ、現地での作業者3の作業映像を一旦、現地作業者作業情報記録データベース324に記録し、該データベースに記録された作業者3の作業映像のデータを用いてもよい。
図11に示すように、例えば、作業チェック項目が作業1の「ネジを外す」である場合、作業1の熟練者2の作業映像中に対象機器から作業対象のネジ以外のネジが外れた画像Bは存在しない。よって、作業者3の作業映像中に対象機器からネジ以外のネジが外れた画像Bが存在するならば、「ネジを外す」という作業は成功裡に実施されていないと判定できる。そこで、作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像の各画像のいずれにも対応しない画像が存在するか否かを調べ、存在していなければ、作業は成功であると判定し、存在していれば、作業は失敗であると判定する(図11)。
作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像の各画像のいずれにも対応しない画像が存在するか否かは、例えば、画像の特徴点または/および特徴量が類似しているか否かにより判断することができる。
作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像中の画像に対応する画像が存在するか否かの判断は、作業者3の作業映像の画像が出現する時間t1の±Δtの範囲において熟練者2の作業映像に対応する画像が存在するか否かを判断してもよい。このように対比判断する画像範囲を限定することにより、迅速な成否判定が可能となる。
図11に示すように、例えば、作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像の各画像のいずれにも対応しない画像Bが存在する場合には、例えば「外すネジが間違っています」などと音声または/および映像で注意喚起する。
<作業成否判定法3>
次に、図12を参照して作業チェックにおける別の作業成否判定法3を説明する。
作業成否判定法3では、作業記録分析部338は、熟練者2の作業映像に含まれる特定の対象物が作業者3の作業映像に所定の順序で含まれているか否かにより作業の成否を判定する。
具体的には、作業記録分析部338は、作業者3の作業映像と、熟練者作業行動情報記録データベース323に記録された熟練者2の作業映像と、を対比する。この対比処理は、現地での作業者3の作業映像を取得しつつリアルタイムで行われる。リアルタイム性を損なわなければ、現地での作業者3の作業映像を一旦、現地作業者作業情報記録データベース324に記録し、該データベースに記録された作業者3の作業映像のデータを用いてもよい。
図12に示すように、例えば、熟練者2の作業映像または/および作業音声から、作業1について作業手順1、作業手順2、作業手順3の順に作業を進めるべきであることが分かっている場合、作業1の成否判定は次のようにする。まず、熟練者2の作業映像から作業手順1、2、3にそれぞれ対応する画像A、B、Cを特定する。次いで、作業者3の作業映像中に画像A、B、Cにそれぞれ対応する画像が存在し、かつ、それらがその順で出現しているか否かを調べる。作業者3の作業映像中に画像A、B、Cにそれぞれ対応する画像がその順序で存在している場合には、作業は成功であると判定し、存在していなければ、作業は失敗であると判定する(図12)。
作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像の画像A、B、Cに対応する画像が存在するか否かは、例えば、対比する両画像の特徴点または/および特徴量が類似しているか否かにより判断することができる。
作業者3の作業映像中に熟練者2の作業映像中の画像A、B、またはCに対応する画像が存在するか否かの判断は、熟練者2の作業映像の画像A、B、またはCが出現する時間t1の±Δtの範囲において作業者3の作業映像に対応する画像が存在するか否かを判断してもよい。このように対比判断する画像範囲を限定することにより、迅速な成否判定が可能となる。
図12に示すように、作業者3の作業映像中に画像A、B、Cにそれぞれ対応する画像がその順序で存在していない場合には、例えば「作業手順が間違っています」などと音声または/および映像で注意喚起する。
<注意喚起方法1>
次に、図13を参照して注意喚起方法1を説明する。
この注意喚起方法1では、作業記録分析部338は、作業チェック情報および作業者3の作業の経時情報に基づき作業中の特定段階の前に支援情報出力装置に作業支援情報として注意情報を出力させる。
ここで、「特定段階」とは、作業中に注意喚起を行うべき段階であり、例えば、「部品を交換する」作業3において交換のために「部品を把持する」段階や、「蓋を閉める」作業4において「蓋を本体に載せる」段階などが該当する。作業チェック情報生成部340が、作業チェック情報として、熟練者2の作業音声の情報に基づいて特定段階を決定する。
本実施形態において、「経時情報」は作業者3の作業開始からの経過時間の情報である。作業チェック情報生成部340は、熟練者2の作業音声を分析し、例えば「感電に注意」などの注意項目を抽出するとともに、そのメッセージが発せられた時間(作業開始時からの経過時間)を記録している。
図13に示すように、作業記録分析部338は、作業者3の作業開始時からの経過時間を監視し、特定段階(画像Dに対応)の時間t2よりΔtだけ前の時間t1に、音声または/および映像で例えば「感電に注意」と注意喚起する。t1=t2−Δtである。
<注意喚起方法2>
次に、図14を参照して別の注意喚起方法2を説明する。
本実施形態では、作業者3の作業開始からの経過時間に基づいて注意喚起を行っているが、この構成に限定されず、作業者3の作業映像から認定される作業段階の情報に基づいて注意喚起を行うようにしてもよい。
図14に示すように、作業チェック情報生成部340は、予め熟練者2の作業映像を分析し、注意喚起すべき特定段階(画像Dに対応)の前に作業段階1、2、3(それぞれ画像A、B、Cに対応)がこの順に存在することを確認、記録しておく。そして、作業記録分析部338は、作業者3の作業中にリアルタイムで作業映像を分析し、画像A、B、Cに対応する画像が出現することを監視し、画像Cに対応する画像を検出すると、音声または/および映像で例えば「感電に注意」と注意喚起する。すなわち、画像Dに対応する特定段階の前の作業段階で確実に注意喚起するようになっている。
次に、本実施形態に係る作業支援方法を説明する。
図15は、本実施形態に係る作業支援方法のフローチャートである。
作業情報生成サーバ30において、予め、作業チェック情報生成部340が、熟練者2の作業音声を基に熟練者2の作業映像および作業音声を要素作業に分割するとともに、熟練者2の作業映像および作業音声を基に作業チェック情報70を生成しておく(S1)。作業者3の作業時には、作業情報生成サーバ30において作業記録分析部338が、作業チェック情報70を基に、作業者3が行った作業に対して作業チェックをリアルタイムで実施する(S2)。作業終了後に、作業情報生成サーバ30において作業報告書作成部341が、作業チェックの実施結果を基に作業報告書を作成する(S3)。
次に、作業チェック情報70の生成方法を説明する。
図16は、作業チェック情報70の生成方法を示すフローチャートである。
まず、熟練者2の作業中の映像・音声を取得する(S10)。具体的には、熟練者2が装着した映像取得装置(例えば耳掛けカメラ)11により撮影した映像と、音声取得装置(例えばマイク)12により取得した音声を熟練者端末10に取り込み、ネットワーク4を介して作業情報生成サーバ30に送信する。作業情報生成サーバ30において受信した作業映像および作業音声は、熟練者作業行動情報記録データベース323に記憶しておく。
次いで、熟練者2の作業映像および作業音声のファイルを、熟練者2の作業音声に基づいて要素作業に分割する(S11)。具体的には、作業情報生成サーバ30において音声データ処理部314により熟練者2の作業音声に対して音声認識処理を行う。音声認識処理の結果、「作業1 ○○○を実施」などの要素作業を特定するメッセージを検出し、各要素作業(作業1、作業2、・・・)の開始時間を特定する。そして、各要素作業の開始時間の情報を基に、作業映像および作業音声のファイルを各要素作業に分割する。
次いで、熟練者2の作業音声から作業チェック項目を抽出する(S12)。具体的には、作業情報生成サーバ30において熟練者2の作業音声に対して行った音声認識処理の結果から、作業チェック項目を抽出する。例えば、「作業1 ネジを外す」、「作業2 蓋を取る」、「作業3 部品を交換する」、「作業4 蓋を閉める」、「作業5 ネジを締める」などのメッセージを検出すると、作業チェック項目として、作業1「ネジを外す」、作業2「蓋を取る」、作業3「部品を交換する」、作業4「蓋を閉める」、作業5「ネジを締める」などが抽出される。作業チェック情報生成部340は、作業チェック項目を、作業に要する作業時間と共に作業チェック情報70として記憶する。
また、作業チェック情報生成部340は、例えば、「感電に注意」、「指挟みに注意」などの注意喚起のメッセージを検出すると、該メッセージを注意項目として認識し、基準時点(例えば作業開始時)からの経過時間の情報とともに作業チェック情報70として記憶する。
次に、図17を参照して、作業者3が行った作業に対して作業チェックを実施する方法を説明する。
まず、作業情報生成サーバ30の作業記録分析部338が、作業チェック情報70から最初の作業チェック項目を取得する(S20)。具体的には、ストレージ302に記憶された作業チェック情報70の作業1に対応する作業チェック項目、作業時間などの情報を取り出す。
次に、作業記録分析部338が、作業チェック情報70のうち、作業1に対応する注意項目が存在するか、すなわち注意喚起が必要か否かを判断する(S21)。注意喚起が必要であれば(S21でYes)、作業記録分析部338は、作業開始から所定の経過時間がたった時に、支援情報出力装置23に音声または/および映像で注意喚起を行わせる(S22)。例えば、作業3の開始から60秒たった時に「感電に注意」と音声または/および映像により作業者3に注意喚起する。注意喚起が必要でなければ(S21でNo)、ステップS23に進む。
ステップS23では、作業記録分析部338が、熟練者2の作業映像と作業者3の作業映像を対比することにより、作業者3の作業に対して作業チェックを実施する。具体的には、上記の作業成否判定法1〜3のいずれか、或いは任意の組合せを順に用いて、作業の成否を判定する。作業の内容によって作業成否判定法を変えてもよい。
判定により作業チェック項目が不合格(失敗)ならば(S24でNo)、作業記録分析部338は、支援情報出力装置23に音声または/映像で作業者3に警告させる(S25)。例えば、作業5の「ネジを締める」という作業チェック項目が首尾良く実施されていない場合に、「ネジを締めてください」というメッセージを支援情報出力装置23を介して作業者3に音声または/および映像で知らせる。警告を受けた作業者3は作業をやり直し(S26)、ステップS23に戻り、作業チェックを実施する。
判定により作業チェック項目が合格(成功)ならば(S24でYes)、ステップS27に進み、作業記録分析部338は、作業チェック項目の合格、作業時間などの情報をストレージ302の現地作業者作業情報記録データベース324などに記録する(S27)。そして、作業チェック情報70に作業チェックすべき他の作業チェック項目が有れば(S28でYes)、ステップS20に戻り、上記ステップを繰り返す。作業チェック情報70に作業チェックすべき他の作業チェック項目が無ければ(S28でNo)、作業チェックを終了する。
次に、作用・効果について説明する。
上述のように、本実施形態に係る作業支援システム1は、作業チェック情報生成部340が、音声取得装置12により取得された音声の情報に基づいて、作業チェックの基準となる作業チェック情報70を生成するとともに、作業記録分析部338が作業チェック情報に基づき熟練者2の作業映像と現場の作業者3の作業映像を対比することにより作業の成否を判定する。
この構成により、作業記録分析部338が作業チェック情報70に基づき熟練者2の作業映像と現場の作業者3の作業映像を対比することにより作業の成否を判定するので、確実に作業チェック(作業の成否判定)を行うことができる。作業チェックの結果に基づき作業ミスを音声や映像により指摘することにより、作業をやり直すよう誘導することもできる。よって、作業スキルが低い作業者に対しても、確実に作業チェックを行うことにより作業ミスを防止することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業記録分析部338は、熟練者2の作業映像に含まれる特定の対象物が作業者3の作業映像に含まれているか否かにより作業の成否を判定する。この構成により、作業に必須の特定の対象物の存否を基に作業の成否を判定することにより、作業忘れを確実に検出することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業記録分析部338は、熟練者2の作業映像に含まれない対象物が作業者3の作業映像に含まれているか否かにより作業の成否を判定するようにしてもよい。この構成により、作業に不要な対象物の存否を基に作業の成否を判定することにより、誤作業(作業内容の間違い)を確実に検出することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業記録分析部338は、熟練者2の作業映像に含まれる特定の対象物が作業者3の作業映像に所定の順序で含まれているか否かにより作業の成否を判定するようにしてもよい。この構成により、作業に必須の対象物が所定順序で出現するか否かを基に作業の成否を判定することにより、手順ミスを確実に検出することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業チェック情報生成部340は、熟練者2の作業映像を熟練者2の音声情報に基づいて要素作業に分割し、作業記録分析部338は要素作業ごとに作業の成否を判定するようになっている。この構成により、長時間の作業であっても適当な所要時間の要素作業に分割することにより、作業の成否をより正確に判定することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、支援情報出力装置23は、作業支援情報を、音声および映像(動画や静止画)の少なくとも一方で選択的に出力できるようになっている。この構成により、作業環境に応じて最適な方法(音声のみ/動画のみ/音声と動画)を選択して作業支援を行うことができる。
また、本実施形態の作業支援システム1は、支援情報出力装置23より出力される作業支援情報を伝える音声を、指定された言語に変換する音声データ処理部314をさらに備えている。この構成により、日本語の分からない外国人の作業者に対しても該外国人の理解できる外国語で作業支援を行うことができる。
また、本実施形態の作業支援システム1は、作業記録分析部338による作業の判定結果を含む作業報告書を作成する作業報告書作成部341をさらに含んでいる。この構成により、現場での作業が完了すると作業報告書が自動的に作成されるので、作業者3が作業報告書を作成する手間が省ける。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業記録分析部338は、作業チェック情報70および作業者3の作業開始からの経過時間の情報に基づき作業中の特定段階の前に支援情報出力装置23に作業支援情報として注意情報を出力させるようになっている。この構成により、作業記録分析部338が作業チェック情報70および経過時間に基づき注意喚起を要する特定段階の前に注意情報を出力させるので、作業ミスや事故を効果的に防止することができる。それにより、作業の質を高めることができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業チェック情報生成部340は、作業チェック情報として、熟練者2の作業中の音声情報に基づいて特定段階を決定する。この構成により、注意喚起を要する特定段階を容易に指定することができる。
また、本実施形態の作業支援システム1では、作業記録分析部338は、作業チェック情報70および作業者3の作業映像から認定される作業段階の情報に基づき、作業中の特定段階の前に支援情報出力装置23に作業支援情報として注意情報を出力させるようにしてもよい。この構成により、より適切な時に注意喚起を行うことができる。
また、本実施形態の作業支援システム1は、少なくとも作業チェック情報生成部340を備えた作業情報生成サーバ30と、映像取得装置11および音声取得装置12を有し、作業情報生成サーバ30に接続される熟練者端末10と、映像取得装置21および支援情報出力装置23を有し、作業情報生成サーバ30に接続される作業者端末20と、を備えた構成である。この構成により、サーバを用いることにより、現場の作業者が携える作業者端末20の構成を簡素にすることができる。
なお、本実施形態は、作業情報生成サーバ30が、作業記録分析部338、熟練者作業行動情報記録データベース323などを有し、作業者3の作業チェック(成否判定)を行う構成であるが、この構成に限定されない。作業者端末20が作業記録分析部338、熟練者作業行動情報記録データベース323、現地作業者作業情報記録データベース324などを有し、作業者端末20において作業者3の作業チェック(成否判定)を行う構成であってもよい。また、本実施形態は、作業情報生成サーバ30が、作業報告書作成部341を有し、作業報告書の作成を行う構成であるが、この構成に限定されない。作業者端末20が作業報告書作成部341を有し、作業者端末20において作業報告書の作成処理を行う構成であってもよい。
また、本実施形態の作業支援方法は、作業チェック情報生成ステップS1において、音声取得ステップS10により取得された音声ファイル52の情報に基づいて、作業チェックの基準となる作業チェック情報70を生成するとともに、判定ステップS2において作業チェック情報70に基づき熟練者2の作業映像と現場の作業者3の作業映像を対比することにより作業の成否を判定する。
この構成により、判定ステップS2にて作業チェック情報70に基づき熟練者2の作業映像と現場の作業者3の作業映像を対比することにより作業の成否を判定するので、確実に作業チェック(作業の成否判定)を行うことができる。作業チェックの結果に基づき作業ミスを音声や映像で指摘することにより、作業をやり直すよう誘導することもできる。よって、作業スキルが低い作業者に対しても、確実に作業チェックを行うことにより作業ミスを防止することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明において、第1の実施形態の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る作業支援システム1Aの概略構成を示す図である。作業支援システム1Aは、現場の作業者3と例えば音声や端末画面により対話を行うことにより作業者3の作業を支援するシステムである。具体的には、図18に示すように、作業支援システム1Aは、作業者端末20と作業支援サーバ30Aとを備え、それらがネットワーク4を介して相互に接続されている。作業支援サーバ30Aは作業情報生成サーバ30の構成を含んでいてもよい。
作業者端末20には、作業の映像を取得する映像取得装置(例えば、耳掛けカメラ)21、作業中の音声を取得する情報取得装置としての音声取得装置(例えば、マイク)22、作業支援情報を出力する支援情報出力装置(例えば、イヤホン、スピーカ、ディスプレイ、AR(Augmented Reality)グラス)23、作業の対象物の画像(例えば、写真)を取得する画像取得装置(例えば、カメラ)122、および作業に関連する情報を感知するセンサ装置123が、有線あるいは近接無線により接続されている。作業支援サーバ30Aには、各種データベースを格納した記憶装置31が接続されている。なお、本実施形態に係る支援情報出力装置23が、本発明の情報出力装置に対応する。
作業者端末20は、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末であり、音声取得装置22、画像取得装置122、映像取得装置21、支援情報出力装置23のいずれか或いはすべてが作業者端末20に内蔵されたものであってもよい。例えば、支援情報出力装置23は、スマートフォンやタブレット端末などの作業者端末20に内蔵されたスピーカやディスプレイなどであってもよい。作業者端末20は、作業者による画面操作の情報を取得する、情報取得装置としての画面操作取得装置(例えばタッチパネル)121を備えてもよい(図19参照)。作業者端末20に接続される上記の各種装置は、内蔵されているか外部機器かに関わらず、作業内容、作業環境、作業者の技能レベル、後で説明する作業支援パターン等に応じて必要なものだけが適宜装備され使用される。
作業者3の代表的な装備として、限定するものではないが、例えば(i)作業者端末20としてのスマートフォンのみ、(ii)作業者端末20としてのスマートフォンと支援情報出力装置23としてのイヤホン、(iii)作業者端末20としてのスマートフォンと支援情報出力装置23としてのARグラス、(iv)作業者端末20としてのスマートフォンと支援情報出力装置23としてのイヤホンと映像取得装置21としての耳掛けカメラ、(v)作業者端末20としてのスマートフォンと支援情報出力装置23としてのイヤホンとセンサ装置123としての身体センサ、等のケースが挙げられる。
(i)の装備ケースでは、作業者3はタッチパネル付きのスマートフォンを携帯して作業を行い、スマートフォンのタッチパネルの画面表示および画面操作で作業支援システム1Aと画面上の対話を行うことにより作業支援を受ける。この装備ケースでは、低コストで作業支援システムを構築できる。
(ii)の装備ケースでは、作業者3はスマートフォンを携帯するとともにイヤホンを装着して作業を行い、イヤホンとスマートフォン内蔵のマイクで作業支援システム1Aと音声対話を行うことにより作業支援を受ける。この装備ケースでは、低コストで作業支援システムを構築できるとともに、作業中に作業者3がスマートフォンを操作する必要がなく、両手を自由に使えるので作業性がよい。
(iii)の装備ケースでは、作業者3はスマートフォンを携帯するとともにARグラスをかけて作業を行い、ARグラスに表示される映像により作業支援を受ける。この装備ケースでは、作業者3の両手が自由に使えるので作業性がよく、またAR技術により作業対象物に重畳して支援情報を表示できるので高機能な支援が可能である。
(iv)の装備ケースでは、作業者3はスマートフォンを携帯するとともにイヤホンと耳掛けカメラを装着し作業を行い、耳掛けカメラから作業の映像情報を作業支援システム1Aに送るとともに、イヤホンから音声により作業支援を受ける。この装備ケースでは、作業者3の両手が自由に使えるので作業性がよく、また作業の映像情報を基に作業の成否をより正確に判定することができるので、高機能な支援が可能である。
(v)の装備ケースでは、作業者3はスマートフォンを携帯するとともにイヤホンと身体センサを装着し作業を行い、身体センサから身体情報(例えば、動作、指先感覚、指先圧力など)を作業支援システム1Aに送るとともに、イヤホンから音声により作業支援を受ける。この装備ケースでは、作業者3の両手が自由に使えるので作業性がよく、また作業者3の身体情報を基に作業の成否をより正確に判定することができるので、高機能な支援が可能である。
上記各装備ケースでは、必要に応じて、スマートフォンは、カメラ機能、スピーカ機能、マイク機能、表示機能、タッチセンサ機能のいずれか或いはすべてを内蔵したものを使用する。なお、上記各装備ケースの作業者端末20としてのスマートフォンは、タブレット端末などの他の携帯端末であってもよいことは勿論である。
図19は、本発明の第2の実施形態に係る作業支援システム1Aの機能ブロックを示す図である。図19に示すように、作業支援システム1Aは、作業支援サーバ30A側に制御装置100、およびストレージ302を備え、作業者3側に支援情報出力装置23、情報取得装置120、画像取得装置122、映像取得装置21、およびセンサ装置123を備えている。情報取得装置120は、作業者3からの音声や画面操作などの情報を取得するものであり、音声取得装置22、および画面操作取得装置121を備えている。なお、本実施形態に係る制御装置100が、本発明の判定装置に対応する。
制御装置100は、情報取得装置120が取得した作業者3からの情報を基に所定の判定基準に従って作業の成否を判定するものであり、対話部101と情報入出力部108と判定部112と書類作成部117とを備えている。
対話部101は、作業者3との音声対話、または支援情報出力装置23として作業者端末3付属のタッチパネル等の画面(以下、単に「画面」ともいう)による対話を行うものであり、作業指示部102と注意情報出力部103と情報検出部104と問い掛け確認部107とを備えている。情報検出部104は、情報取得装置120が取得した情報を検出するものであり、発話検出部105と画面操作検出部106とを備えている。
作業指示部102は、ストレージ302の作業チェック情報記憶部130に記憶された作業チェック情報に基づき、作業を指示する指示情報を、支援情報出力装置23から出力させるようになっている。支援情報出力装置23からの出力は、音声、画面表示、音声+画面表示のいずれの出力方式であってもよい(以下同様)。例えば、作業指示部102は、作業開始時に、「ネジ締め作業を実施してください」という指示メッセージを、支援情報出力装置23から音声により出力させる。
作業指示部102は、映像取得装置21が取得した作業の映像やセンサ装置123が取得した作業情報等に基づいて、判定部112が作業は未完了であると判定した場合には、作業が未完了であることを示す注意情報を、リアルタイムで支援情報出力装置23から音声等で出力させるようにしてもよい。作業ミス等により作業が未完了の場合に、作業指示部102がリアルタイムで音声による注意情報を作業者3に通知することで、作業ミスをより効果的に防止することができる。
注意情報出力部103は、ストレージ302の作業チェック情報記憶部130に記憶された作業チェック情報に基づき、作業の注意情報を支援情報出力装置23から出力させるようになっている。支援情報出力装置23からの出力は、音声、画面表示、音声+画面表示のいずれの出力方式であってもよい。例えば、注意情報出力部103は、作業開始時に、「ネジ締め作業を実施してください」という指示メッセージに続けて、「ネジとドライバを両手で持たないでください」という注意メッセージを、支援情報出力装置23から音声等により出力させる。このように、作業の開始時などに、注意情報出力部103が作業の注意情報を支援情報出力装置23から音声等で出力させることで、作業者3に注意を喚起することができ、作業ミス、作業事故を効果的に低減することができる。
情報検出部104は、支援情報出力装置23による指示情報の出力後に、情報取得装置120が取得した情報から指示情報に応答した応答情報を検出するようになっている。
発話検出部105は、公知の音声認識技術を利用して、支援情報出力装置23による指示情報の出力後に、音声取得装置22が取得した音声情報から指示情報に応答した音声の応答情報を検出するようになっている。例えば、発話検出部105は、作業終了時あるいは問い掛け確認時に作業者3が発する「完了」という言葉を検出する。発話検出部105により検出した応答情報を示す音声情報は、作業のエビデンスとして、ストレージ302に設けられた音声記憶部133に格納される。
発話検出部105が検出する作業者3の特定の発話としては、「完了」に限定されるものではなく、他の単語、単語の組合せ、フレーズ、文章、造語などであってもよいことは勿論である。
画面操作取得装置121は、支援情報出力装置23として作業者端末3付属のタッチパネル等の画面に対する作業者3の操作(例えば、タップ、ダブルタップ、ソフトキー入力など)の情報を取得するようになっている。以下では、作業者3による画面の操作を「画面操作」という。
問い掛け確認部107は、後で説明する判定部112が作業を成功と判定した後、作業の完了を確認する問い掛け情報を、支援情報出力装置23から出力させるようになっている。支援情報出力装置23からの出力は、音声、画面表示、音声+画面表示のいずれの出力方式であってもよい。例えば、問い掛け確認部107は、「最後まで締め切りましたか?」という問い掛け確認メッセージを、支援情報出力装置23から音声により出力させる。
また、情報入出力部108は、作業者端末20に内蔵または接続された画像取得装置122、映像取得装置21、センサ装置123などから情報を入力するとともに、支援情報出力装置23に各種支援情報を出力するようになっており、画像・映像情報取得部109、センサ情報取得部110、および支援情報出力部111を備えている。
画像・映像情報取得部109は、画像取得装置122が取得した作業の対象物の画像情報を取得し、かつ/または、映像取得装置21が取得した映像の情報を取得するようになっている。画像・映像情報取得部109により取得された画像情報および映像情報は、ストレージ302に設けられた画像・映像記憶部131に格納される。画像・映像記憶部131に格納された作業の画像情報および映像情報は、作業のエビデンスとして、或いは公知のAI(人工知能)技術に基づいた作業比較モデルの機械学習に用いられる。なお、本実施形態の画像・映像情報取得部109が、本発明の画像情報取得部および映像情報取得部に対応する。
センサ情報取得部110は、センサ装置123が検知した作業に関連する情報を取得するようになっている。センサ装置123としては、例えば、作業者3に装着して作業者3の動作を検出する動作センサ、作業者3の指先に装着して指先の感覚、圧力を検出するセンサ、現場の匂いを検出する匂いセンサ、温度センサ、湿度センサ、味覚センサ、現場の設備音や音響を検出する音センサ、振動を検出する振動センサ、加速度センサ、作業者3の視線を検出する視線センサなどが挙げられる。センサ情報取得部110が取得した情報に基づいて、判定部112により作業の完了が判定されるようにしてもよい。このようにすることで、より正確に作業の完了を判定することができる。
支援情報出力部111は、制御装置100の判定部112による判定結果に基づいて作業支援情報を支援情報出力装置23に出力させるようになっている。支援情報出力装置23からの出力は、音声、画面表示、音声+画面表示のいずれの出力方式であってもよい。
また、判定部112は、情報検出部104が検出した応答情報に基づいて作業の成否を判定するようになっており、判定切替え部113と第1判定部114と第2判定部115と第3判定部116とを備えている。
判定切替え部113は、作業の重要度に応じて第1判定部114、第2判定部115、第3判定部116のいずれか1つを選択するようになっており、判定切替え部113により選択された判定部が作業の成否を判定する。
第1判定部114は、作業指示部102および支援情報出力装置23による指示情報の出力後に、情報検出部104が検出した応答情報に基づいて作業の成否を判定するようになっている。例えば、支援情報出力装置23により「ネジ締め作業を実施してください」という指示メッセージを音声で出力した後、情報検出部104の発話検出部105が検出した作業者3の発話(応答情報)に基づいて作業の成否を判定する。この場合、第1判定部114は、作業者3の発話が例えば「完了」であれば、作業は完了したものと判定し、「完了」以外であれば、作業は未完了であると判定する。
第2判定部115は、問い掛け確認部107および支援情報出力装置23による問い掛け情報の出力後、情報検出部104が検出した応答情報に基づいて作業の成否を判定するようになっている。例えば、支援情報出力装置23により「最後まで締め切りましたか?」という問い掛けメッセージを音声で出力した後、情報検出部104の発話検出部105が検出した作業者3の発話(応答情報)に基づいて作業の成否を判定する。この場合、第2判定部115は、作業者3の発話が例えば「完了」であれば、作業は完了したものと判定し、「完了」以外であれば、作業は未完了であると判定する。
ここで問い掛けのメッセージは、作業の終了を確認する上記表現だけではなく、ランプの色や入力数値を確認したり(例えば、「ランプの色は何色ですか?」や「入力数値はいくつですか?」)、作業の終了状態を確認する(例えば「バルブのレバーの向きはどちら向きですか?」)等を音声で出力するようにしてもよい。その応答は、ランプの色は「青」ですや、バルブの向きは「右」向きです等、具体的に返答する完了通知でもよい。また、それら問い掛けと応答を複数回繰り返してもよい。
第3判定部116は、画像・映像情報取得部109が作業の対象物の写真などの画像情報を取得していない場合は作業が未完了であると判定し、作業の対象物の画像情報を取得している場合は、支援情報出力装置23による指示情報の出力後に、情報検出部104が検出した応答情報に基づいて作業の成否を判定するようになっている。例えば、支援情報出力装置23により「ネジ締め作業を実施してください」という指示メッセージを音声で出力した後、画像・映像情報取得部109が作業の対象物の写真などの画像情報を取得した場合は、情報検出部104の発話検出部105が検出した作業者3の発話(応答情報)に基づいて作業の成否を判定する。この場合、第3判定部116は、作業者3の発話が例えば「完了」であれば、作業は完了したものと判定し、「完了」以外であれば、作業は未完了であると判定する。
第3判定部116は、画像・映像情報取得部109が取得した画像情報(証拠写真)が適切な撮影位置や適切な撮影方向で撮影されたものであるか等を基準にその適否を判定してもよい。作業指示部102は、第3判定部116が画像情報は不適であるか或いはアップロードされていないと判定した場合には、画像情報を要求する指示情報を、支援情報出力装置23から音声等で出力させるようにしてもよい。これにより、不適切な画像情報(証拠写真)を取得することが防止できる。また、作業者3の注意を喚起することにもなり、作業ミスを低減することができる。
本実施形態では、判定部112が作業の重要度に応じて第1〜3判定部114、115、116のいずれか1つを選択して使用するので、重要性の低い作業に対しては判定基準の緩い例えば第1判定部114を使用し、重要度の高い作業に対しては判定基準の厳格な例えば第2判定部115や第3判定部116を使用するといった柔軟な対応が可能であり、作業の効率を落とさずに作業ミスを効果的に低減することができる。
また、書類作成部117は、作業に関し必要な書類(例えば、チェックリスト、作業報告書など)を作成する機能を有しており、データ取得部118と作業書類生成部119とを備えている。
データ取得部118は、判定部112が作業は正常に完了したものと判定したとき、該作業に関連したデータを取得するようになっている。具体的には、データ取得部118は、例えば、判定部112による作業の成否の判定結果および該作業に要した作業時間の情報を取得するようになっている。
作業書類生成部119は、データ取得部118が取得した作業に関連したデータを基にチェックリスト、作業報告書などの作業書類を生成するようになっている。具体的には、作業書類生成部119は、例えば、判定部112が情報検出部104により検出された発話や画面操作などの応答情報に基づいて作業が完了したものと判定した場合に、チェックリストなどの作業書類を生成するようになっている。このように、作業者3からの「完了」を示す関連情報を契機として、作業書類生成部119によりチェックリストなどの作業書類が自動的に生成されるので、作業者3の負担が軽減され、記載ミスや記載漏れが防止されるとともに、作成作業に要する工数が低減される。また、作業書類生成部119は、判定部112による判定結果と作業時間の情報を含めてチェックリストなどの作業書類を生成するようになっている。これにより、より適切な作業書類を作成することができる。
また、ストレージ302は、作業に関連する情報、各種データベース等を記憶しておく記憶装置であり、作業チェック情報記憶部130、音声記憶部133、画像・映像記憶部131、および作業書類記憶部132を含んでいる。
作業チェック情報記憶部130は、作業チェック(作業の成否判定)の基準となる作業チェック情報70を記憶するようになっている。
音声記憶部133は、情報検出部104の発話検出部105により検出された作業者3の発話の音声情報を、作業のエビデンスとして、作業項目、作業日時などの情報と関連付けて記憶するようになっている。音声記憶部133に記憶された音声情報は、トレーサビリティの確保に資するものである。
画像・映像記憶部131は、画像・映像情報取得部109により取得された画像情報および映像情報を、作業項目、作業日時などの情報と関連付けて記憶するようになっている。これらの画像情報や映像情報は、作業のエビデンスとしてトレーサビリティの確保に資するものであり、またAI技術に基づいた作業比較モデルの機械学習に用いることもできる。
作業書類記憶部132は、作業書類生成部119により生成されたチェックリストや作業報告書などの作業書類の情報を記憶するようになっている。
本実施形態に係る制御装置100は、判定部112により成否が判定される作業の範囲を作業者の技能レベルに応じて変更するようにしてもよい。このようにすると、作業支援をより効率的に行うことができる。例えば、技能レベルの高い作業者には、作業Aと作業Bとを合わせた範囲の作業について作業の成否を判定することにより、作業Aと作業Bの間で中断されずに作業を行うことができる。また、例えば技能レベルの低い作業者には、作業Aと作業Bそれぞれの作業の成否を判定することにより、きめ細かく作業支援を行うことができる。
図20は、本実施形態に係る制御装置100の概略構成を示す図である。図20に示すように、制御装置100は、バス143により相互に接続されたCPU140、ROM141、RAM142、入出力I/F144、および通信I/F145を備えており、図19に示す制御装置100の各機能ブロックは、例えば、ROM141やストレージ302などに記憶された各種プログラムをRAM142に読み出してCPU140により実行することで実現される。
次に、本実施形態における作業支援パターン(方法)について図面を参照しつつ説明する。以下では、まず音声による作業支援について説明し、次いで画面表示による作業支援について説明する。
<音声による作業支援>
音声による作業支援の場合、作業支援システム1Aは、例えば、制御装置100を備えた作業支援サーバ30Aと、ネットワーク4を介して作業支援サーバ30Aに接続された作業者端末20と、支援情報を出力する支援情報出力装置23と、を備えている。以下では、スマートフォン(作業者端末20に対応)、Bruetooth(登録商標)によりスマートフォンに接続されたイヤホン(支援情報出力装置23に対応)、スマートフォンに内蔵されたマイク(音声取得装置22に対応)を用いる場合について作業支援パターン1〜4を説明する。
なお、本構成では音声単独ではなく、スマートフォンなどのスマートデバイスの画面も併用したハイブリッド型であってもよい。この際、スマートデバイスには作業の詳細や作業動画、作業全体における現作業の位置や、不明点問い合わせの連絡等について、表示してもよい。
[作業支援パターン1]
図21は、本実施形態に係る作業支援パターン1を説明する図である。破線内は作業Bに対する作業支援を示す。以下、作業支援の各ステップを順に説明する。
(1)作業指示ステップ:作業Bの開始時に、作業支援システム1Aにおける作業支援サーバ30Aの作業指示部102が、作業を指示する指示情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)が、その指示情報を音声で出力する。指示情報は、例えば、「ネジ締め作業を実施してください」という音声による指示メッセージである。さらに、作業の内容について、説明を加えてもよい。
(2)注意喚起ステップ:指示情報の出力に続いて、作業支援システム1Aの注意情報出力部103は、作業における注意情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から作業者3に音声で注意情報を出力する。注意情報は、例えば、「ネジとドライバを両手で持たないでください」という音声による注意メッセージである。この注意喚起は、作業ミスや怪我/事故防止や作業効率化に関する作業の工夫、コツについて指示してもよい。
(3)完了通知ステップ:作業の終了時に、作業者3が音声で完了通知を行う。具体的には、作業者3が「完了」と発話し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「完了」という音声情報を検出する。ここで、完了通知は、完了などの終了状態のみではなく、ランプの色は「青」ですや、バルブの向きは「右」向きです等、具体的に返答する完了通知でもよい。
そして、判定部112が、発話検出部105が検出した発話の情報に基づいて作業の成否を判定する。例えば、作業者3の発話の内容が「完了」であれば、作業は成功したと判定して次の作業Cに移行し、「完了」以外であれば、作業は失敗あるいは未完了であると判定する。
このように、作業支援パターン1では、作業支援システム1Aと作業者3とが音声により対話を行うことにより、作業者3の作業を支援するので、簡素な構成により低コストで作業支援システム1Aを構築でき、作業者3は両手が自由に使えるので使い勝手もよく、作業者3の発話に基づいて作業の成否を判定するので、効率的に作業ミスを防止することができる。
[作業支援パターン2]
図22は、本実施形態に係る作業支援パターン2を説明する図である。破線内は作業Bに対する作業支援を示す。以下、作業支援の各ステップを順に説明する。
(1)作業指示ステップ:作業Bの開始時に、作業支援システム1Aにおける作業支援サーバ30Aの作業指示部102が、作業を指示する指示情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)が、その指示情報を音声で出力する。指示情報は、例えば、「ネジ締め作業を実施してください」という音声による指示メッセージである。この際、上記作業の内容について追加説明してもよい。
(2)注意喚起ステップ:指示情報の出力に続いて、作業支援システム1Aの注意情報出力部103は、作業における注意情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から作業者3に音声で注意情報を出力する。注意情報は、例えば、「ネジとドライバを両手で持たないでください」という音声による注意メッセージである。この注意喚起は、作業ミスや怪我/事故防止や作業効率化に関する作業の工夫、コツについて指示してもよい。
(3)完了通知ステップ:作業の終了時に、作業者3が音声で完了通知を行う。具体的には、作業者3が「完了」と発話し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「完了」という音声情報を検出する。
(4)問い掛け確認ステップ:完了通知の後、作業支援システム1Aの問い掛け確認部107が、作業者3に音声による問い掛け確認を行う。具体的には、判定部112が作業を成功と判定すると、問い掛け確認部107が、作業の完了を確認する問い掛け情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から音声で問い掛け情報を出力する。問い掛け情報は、例えば、「最後まで締め切りましたか?」という音声による問い掛けメッセージである。このメッセージは、「ランプの色は何色ですか?」や、「バルブの向きはどっちですか?」等、具体的に問いかけてもよい。
(5)完了通知ステップ:問い掛けメッセージを受けた後、作業者3が音声で完了通知を行う。具体的には、作業者3が「完了」と発話し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「完了」という音声情報を検出する。また、問い掛けメッセージに応じて、具体的な状態や状況を発話してもよい。また、(4)と(5)を複数回繰り返してもよい。
そして、判定部112が、支援情報出力装置23による問い掛けの音声出力後、発話検出部105が検出した作業者3の発話の情報に基づいて作業の成否を判定する。例えば、作業者3の発話の内容が「完了」であれば、作業は成功したと判定して次の作業Cに移行し、「完了」以外であれば、作業は失敗あるいは未完了であると判定する。
このように、作業支援パターン2では、判定部112が作業の成功を判定した後、問い掛け確認部107および支援情報出力装置23が、作業の完了を確認する問い掛けを行うので、作業者3に作業ミスを気付かせる可能性を高めることができ、作業ミスを効果的に低減することができる。
[作業支援パターン3]
図23は、本実施形態に係る作業支援パターン3を説明する図である。破線内は作業Bに対する作業支援を示す。作業支援パターン3では、画像取得装置122(スマートフォンに内蔵されたカメラ)も使用する。以下、作業支援の各ステップを順に説明する。
(1)作業指示ステップ:作業Bの開始時に、作業支援システム1Aにおける作業支援サーバ30Aの作業指示部102が、作業を指示する指示情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)が、その指示情報を音声で出力する。指示情報は、例えば、「ネジ締め作業を実施してください。完了後、対象部分の写真をアップしてください。」という音声による指示メッセージである。この際、作業の内容についても言及してもよい。
(2)注意喚起ステップ:指示情報の出力に続いて、作業支援システム1Aの注意情報出力部103は、作業における注意情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から作業者3に音声で注意情報を出力する。注意情報は、例えば、「ネジとドライバを両手で持たないでください」という音声による注意メッセージである。この注意喚起は、作業ミスや怪我/事故防止や作業効率化に関する作業の工夫、コツについて指示してもよい。
(3)写真アップロードステップ:作業が終わると、作業者3が、作業を行った対象部分を画像取得装置122(内蔵カメラ)で撮影し、撮影した写真データを画像・映像情報取得部109が取得する。
(4)完了通知ステップ:写真アップロードの後、作業者3が音声で完了通知を行う。具体的には、作業者3が「完了」と発話し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「完了」という音声情報を検出する。この際、送付された写真に対して正解画像と比較を行い、正解・不正解を確認してその結果を通知してもよい。この際、正解画像と異なる場合には、対象作業の初めからやり直しをさせてもよい。
そして、判定部112は、発話検出部105が検出した作業者3の発話の情報に基づいて作業の成否を判定する。例えば、作業者3の発話の内容が「完了」であれば、作業は成功したと判定して次の作業Cに移行し、「完了」以外であれば、作業は失敗あるいは未完了であると判定する。
(5)再要求ステップ:判定部112は、画像・映像情報取得部109が作業の対象物の画像情報(写真データ)を取得していない場合は作業が未完了であると判定し、作業指示部102は、画像情報(写真データ)を再要求する指示情報を、支援情報出力装置から音声で出力させる。この指示情報は、例えば、「写真がアップされていません。再度アップしてください。」という音声による再要求メッセージである。
また、本ブロックで送付画像について、予め保存されている正解画像との比較を実施し、正確・不正解を確認してその結果を送付してもよい。その場合、正解画像と異なっていると判定する場合には、対象作業を初めからやり直すように制御していもよい。
(6)完了通知ステップ:再要求メッセージを受けた後、作業者3が音声で完了通知を行う。具体的には、作業者3が「完了」と発話し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「完了」という音声情報を検出する。
そして、判定部112が、支援情報出力装置23による再要求の音声出力後、発話検出部105が検出した作業者3の発話の情報に基づいて作業の成否を判定する。例えば、作業者3の発話の内容が「完了」であれば、作業は成功したと判定して次の作業Cに移行し、「完了」以外であれば、作業は失敗あるいは未完了であると判定する。
このように、作業支援パターン3では、判定部112は、画像・映像情報取得部109が作業の対象物の画像情報(証拠写真)を取得していない場合は作業が未完了であると判定するので、作業者3はより注意深く作業を行うことになり、作業ミスをより効果的に低減することができる。また、作業対象物の画像情報(証拠写真)を取得しておくことで、トレーサビリティを実現することもでき、さらには、該画像情報は、作業の成否モデルの機械学習において教師データとして使用することもできる。
また、作業支援パターン3において、判定部112は、画像・映像情報取得部109が取得した画像情報(証拠写真)に基づいて作業の完了を判定するようにしてもよい。このようにすると、より正確に作業の完了を判定することができる。
作業者3の作業を画像取得装置122(カメラ)で撮影する場合、作業画像をエビデンスとして画像・映像記憶部131に記憶しておき、後で説明する作業報告書に音声データとともにパスを記載しておく。
[作業支援パターン4]
図24は、本実施形態に係る作業支援パターン4を説明する図である。作業支援パターン4では、例えば作業者3の動作や指先の感覚等の身体情報を検知するセンサ装置123および映像取得装置21(耳かけカメラ)を使用する。以下、作業支援の各ステップを順に説明する。
(1)作業指示ステップ:作業Bの開始時に、作業支援システム1Aにおける作業支援サーバ30Aの作業指示部102が、作業を指示する指示情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)が、その指示情報を音声で出力する。指示情報は、例えば、「ネジ締め作業を実施してください」という音声による指示メッセージである。
(2)注意喚起ステップ:指示情報の出力に続いて、作業支援システム1Aの注意情報出力部103は、作業における注意情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から作業者3に音声で注意情報を出力する。注意情報は、例えば、「ネジとドライバを両手で持たないでください」という音声による注意メッセージである。
(3)センサ情報取得ステップ:作業中、センサ情報取得部110は、センサ装置123により取得された作業者3の身体情報を取得する。
(4)指摘ステップ:判定部112は、センサ情報取得部110が取得した作業者3の身体情報に基づいて作業状況を認識し、作業の完了を判定する。作業が正常に実施されていない場合、支援情報出力部111は、作業が正常でない旨の注意情報を作業者端末20(スマートフォン)に送り、支援情報出力装置23(イヤホン)から作業者3に音声で注意情報を出力する。注意情報は、例えば、「ネジ締めの作業を行っていますか?」という音声による注意メッセージである。
(5)正常自動確認ステップ:判定部112は、画像・映像情報取得部109が取得した作業者3の作業の映像を基に映像認識を行い、作業が正常に行われたか否か(作業の完了)を自動で確認する。これにより、より正確に作業の完了を判定することができる。
具体的には、映像取得装置21により作業者3の作業映像を動画で撮影し、画像・映像情報取得部109を介して画像・映像記憶部131に格納しておき、もともと取得しておいた模範的な作業映像と比較して違いが大きければ作業ミスと判断し、支援情報出力装置23により作業者3に作業ミスを指摘するようにしてもよい。これは、作業中でも作業終了後に行ってもよい。作業員の作業進捗については、映像や身体センサにより認識を行ってもよい。また、格納されている正常音データと比較する事で、異音等を検出して作業員に指摘してもよい。また、振動センサや周辺環境センサ(天候、気温、湿度、風向き、明るさ、時間)等の情報を認識して、予め定められたアルゴリズムに応じて作業のミスや判断を指摘してもよい。
(6)終了通知ステップ:(5)の代わりに、作業者3が音声で終了通知を行ってもよい。具体的には、作業者3が「ネジ締め作業終了」と発話(復唱)し、音声取得装置22(スマートフォン内蔵マイク)がその発話の音声を取得し、音声取得装置22により取得された音声情報から発話検出部105が、指示情報に応答した応答情報である「ネジ締め作業終了」という音声情報を検出する。
そして、判定部112は、発話検出部105が検出した作業者3の発話の情報に基づいて作業の成否を判定する。例えば、作業者3の発話の内容が「ネジ締め作業終了」であれば、作業は成功したと判定して次の作業Cに移行し、「ネジ締め作業終了」以外であれば、作業は失敗あるいは未完了であると判定する。
(7)センサ情報取得部110が取得したセンサ情報や、画像・映像情報取得部109が取得した映像情報から、判定部112が作業は正常に完了していると判定した場合には、終了通知を行わず、作業Cに移行するようにしてもよい。作業Cでは、開始時に行われる作業指示と注意喚起のステップを省略してもよい。このようにすると、作業Bと作業Cとの間で中断されずに作業を行うことができる。
次に、図25を参照して画像データや映像データの利用法を説明する。
画像・映像情報取得部109により取得された画像(写真)データおよび映像データは、ストレージ302の画像・映像記憶部131に送られ格納される。作業対象物の写真データ(証拠写真)や映像データをエビデンスとして取得しておくことで、トレーサビリティを実現することができる。また、画像・映像記憶部131に格納される写真データおよび映像データは、もともと蓄えられている作業終了状態の写真データ(証拠写真)や映像データと比較することにより、現場でリアルタイムに作業ミスの指摘をすることも可能となる。
画像・映像記憶部131に格納された写真データおよび映像データは、作業比較モデル136の機械学習において教師データとして使用される。具体的には、画像・映像記憶部131に格納された写真データおよび映像データについて、人間が作業の成否の判定を行い、その判定結果から各写真データや映像データに成否のラベル付けを行う。具体的には、例えば、(i)撮影位置が正しいか、(ii)正常に終了しているか等を観点にラベル付けを行う。ラベル付けられた写真データや映像データ(教師データ)を用いて、作業比較モデル136の機械学習を行う。機械学習においては、熟練者が作業を行った際に撮影した写真データおよび映像データも教師データとして使用される。
<画面による作業支援>
次に、画面表示による作業支援について説明する。
上述した音声による作業支援は、音声のみによる作業支援も可能であるが、支援情報出力装置23(スマートフォンに内蔵されたタッチパネル)の画面による作業支援を併用することもできる。以下では、音声による作業支援パターン1〜4において併用される画面による作業支援を説明する。
[画面による作業支援パターン1]
図26は、上述した音声による作業支援パターン1における支援情報出力装置23(タッチパネル)の表示画面の一例を示す図であり、作業誘導画面151を示す。
作業誘導画面151は、作業指示エリア152と模範作業エリア153と注意喚起エリア154とを備え、ソフトキーとして、完了ソフトキー155、再スタートソフトキー156、作業詳細ソフトキー157、作業ナビソフトキー158、および問合せソフトキー159を有している。
作業指示エリア152には、作業支援システム1Aから作業者3への作業指示メッセージが表示される。例えば、「側面のネジ締めを行ってください。終了したら完了を押してください。」などの作業指示メッセージが表示される。
模範作業エリア153は、作業者3が参考にするため、熟練者などによる模範作業の動画が表示されるエリアである。この模範作業の動画は、通常はタップ時か、あるいは作業開始とともに再生される。また、模範作業の動画は、作業者3の作業を認識して、同期して再生されるようにしてもよい。このエリアをタップすると、動画が拡大して表示されるようにしてもよい。また、模範作業の動画は、作業者3の現在の作業段階と模範作業の作業段階が一致(同期)するように動画位置が調整されて再生されるようにしてもよい。作業者3の現在の作業状況は、映像取得装置21や音声取得装置22などにより取得される映像情報や音声情報に基づいて認識される。
注意喚起エリア154は、例えば、「ドライバを落とさないように両手で持つ」などの注意メッセージが表示されるようになっている。
完了ソフトキー155には、例えば「完了」と表示され、作業の終了時に作業者3が完了ソフトキー155を押すと、完了情報が作業支援システム1Aに通知されるようになっている。
再スタートソフトキー156には、例えば「初めから」と表示され、作業者3が再スタートソフトキー156を押すと、模範作業エリアに表示される模範作業の動画が初めから再生されるようになっている。
作業詳細ソフトキー157は、作業者3が押すと、作業のマニュアルなどの技術資料が表示されるようになっている。
作業ナビソフトキー158は、作業者3が押すと、一連の作業全体における現在の作業の位置が表示されるようになっている。例えば、一連の作業のフロー図において、現在の作業を示す文字のサイズを大きくする、文字の色を変える、などにより現在の作業の位置を強調表示するようにしてもよい。
問合せソフトキー159は、作業者3が押すと、問合せ先の情報が表示されるようになっている。
上記の各ソフトキーは、作業者3が押して選択するようになっているが、これに加えて、作業者3が発した音声を音声認識技術により選択できるようにしてもよい。例えば、作業者3が「問合せ」と発すると、問合せ先の情報が表示されるようにしてもよい。
[画面による作業支援パターン2]
図27は、上述した音声による作業支援パターン2における支援情報出力装置23(タッチパネル)の表示画面の一例を示す図であり、問い掛け確認時の画面を示す。
図27の問い掛け確認時の画面は、図26の作業誘導画面151において作業終了時に作業者3が完了ソフトキー155を押した後に表示される画面である。問い掛け確認エリア160に、例えば、「最後まで締め切りましたか」という問い掛け確認メッセージが表示され、「はい」と表示された応答ソフトキー161を作業者3が押すと、完了情報が作業支援システム1Aに通知される。
[画面による作業支援パターン3]
図28は、上述した音声による作業支援パターン3における支援情報出力装置23(タッチパネル)の表示画面の一例を示す図であり、作業誘導画面151を示す。
作業指示エリア152には、作業支援システム1Aから作業者3への作業指示メッセージが表示されるようになっている。例えば、「側面のネジ締めを行ってください。完了後、対象部分の写真をアップしてください。」などの作業指示メッセージが表示される。
注意喚起エリア154には、例えば、「ドライバを落とさないように両手で持つ」などの注意メッセージが表示されるようになっている。
写真撮影ソフトキー163には、例えば「写真」と表示され、作業者3が写真撮影ソフトキー163を押すと、カメラ機能の画面に移行し、作業対象物の写真が撮れるようになっている。撮影された写真データは作業支援システム1Aにアップロードされる。
作業者3は、作業指示メッセージに従って作業を行い、作業が完了すると、写真撮影ソフトキー163をタップし、作業対象物の写真を撮影し、写真データを作業支援システム1Aにアップロードする。次いで、作業者3は、完了ソフトキー155をタップし、作業支援システム1Aに完了通知する。
図29は、作業支援パターン3における支援情報出力装置23(タッチパネル)の表示画面の一例を示す図であり、写真データのアップロードの再要求時の画面を示す。
図29の写真データのアップロードの再要求時の画面は、図28の作業誘導画面151において作業者3が完了ソフトキー155を押した後、判定部112が写真データのアップロードを確認できないか、適切な写真データでない場合に表示される画面である。再要求エリア164に、例えば、「写真がアップされていません。再度アップしてください。」という再要求メッセージが表示され、「写真の再撮影」と表示された写真再撮影ソフトキー165を作業者3が押すと、カメラ機能の画面に移行し、作業対象物の写真が撮影可能になる。撮影された写真データは作業支援システム1Aにアップロードされる。次いで、作業者3は、完了ソフトキー155を押し、作業支援システム1Aに完了通知する。
[画面による作業支援パターン4]
図30は、上述した音声による作業支援パターン4における支援情報出力装置23(タッチパネル)の表示画面の一例を示す図であり、作業ミスの指摘時の画面を示す。
図30の作業ミスの指摘時の画面は、判定部112が、センサ装置123により取得されたセンサ情報を基に作業認識を行い、作業ミスと判断される場合に表示される画面を示す。指摘エリア166には、例えば、「ネジ締めの作業を行っていますか?」という指摘メッセージが表示される。作業者3は、作業終了時に、例えば「ネジ締め作業終了」と表示された作業終了ソフトキー167をタップし、作業支援システム1Aに作業終了通知を行う。
上述したように、本実施形態に係る作業支援システム1Aは、音声対話による作業支援と画面上での対話による作業支援とを併用して作業支援を行うことができるが、これに限定されず、音声対話のみによる作業支援や画面上での対話のみによる作業支援を行うこともできる。画面上での対話のみによる作業支援を行う場合、作業者3は少なくともタッチパネル(支援情報出力装置23)を内蔵したスマートフォン(作業者端末20)を携帯すればよい。また、音声対話と画面上での対話を併用する場合、作業者3による完了通知は、音声で行ってもよいし、画面操作で行ってもよい。
<作業書類>
作業支援サーバ30Aの作業書類生成部119は、全体作業の終了後に、データ取得部118が取得した各作業に関連したデータを基にチェックリスト、作業報告書、作業分析書などの作業書類を自動的に作成し、ストレージ302に格納する。ストレージ302に格納された作業書類は、必要に応じて作業者端末20や作業支援サーバにて表示器に表示させることができる。書類作成部117により作成される作業書類の形式や記載事項は、任意に設定できるようになっている。
図31は、支援情報出力装置23(タッチパネル)に表示された作業書類画面168示す。作業書類画面168は、チェックリストを兼ねた作業報告書を示す。作業報告書は、上部に作業日時、作業場所、作業内容、作業担当者など作業を特定する情報が記され、下部には作業ID、作業名称、作業時間、完了チェックボックス、エビデンス、品質、リトライ/詳細確認の欄が設けられている。
作業時間の欄は、標準時間と作業時間を含み、「標準時間」は、作業チェック情報の抽出(生成)時に求めておいた標準的な作業時間または予め設定された標準的な作業時間であり、同欄の「作業時間」は、現作業において実際に計測した作業時間である。
完了の欄には、判定部112による作業成否の判定結果がチェックボックスに示される。例えば、音声による作業指示に対して応答された音声による完了通知に基づく作業成否の判定結果(作業支援パターン1)、音声による問い掛け確認に対して応答された音声による完了通知に基づく作業成否の判定結果(作業支援パターン2)、音声による作業指示に対して応答した写真アップおよび音声による完了通知に基づく作業成否の判定結果(作業支援パターン3)、音声による作業指示および音声による作業ミス指摘に対して応答した音声による終了通知に基づく作業成否の判定結果(作業支援パターン4)などが完了の欄のチェックボックスに示される。
エビデンスの欄には、作業指示に対して応答された完了通知の音声のデータファイル(作業支援パターン1)、問い掛け確認に対して応答された完了通知の音声のデータファイル(作業支援パターン2)、アップロードされた画像(写真)のデータファイル(作業支援パターン3)、作業指示および作業ミス指摘に対して応答した終了通知の音声のデータファイル(作業支援パターン4)にリンクが張られている。
品質の欄には、例えば、映像取得装置21(耳掛けカメラ)により取得した作業の映像や作業時間などに基づいて判定された作業の品質(上からA,B,C順に区分)が記載される。
リトライ/詳細確認の欄には、作業においてリトライや詳細確認を行った回数が記載される。
図32は、支援情報出力装置23(タッチパネル)に表示された作業分析書画面169を示す。作業分析書画面169は、作業を分析した結果を示す作業分析書を表示する画面である。作業分析書は、上部に作業日時、作業場所、作業内容、作業担当者など作業を特定する情報が記され、下部には各作業IDの作業時間と標準時間の差が分かるように両者が対比して表示されるとともに、全作業の標準時間に対する作業時間の比率(%)が示されている。また、リトライ/詳細確認の回数が作業IDごとに表示されている。リトライ/詳細確認の回数表示に近接して「詳細」ソフトキーが表示され、タップすると、問合せ内容や詳細確認履歴が表示されるようになっている。そして、標準作業時間に対する実際の作業時間の比率、リトライ/詳細確認の回数に基づいて判定された全体的な作業レベル(上からA,B,C順に区分)が表示されている。
作業分析書画面169の右下部には、「推奨する教育プログラム」ソフトキーが表示され、タップすると、判定された作業レベルに基づいて推奨される教育プログラムのWebアプリが起動するようになっている。
本実施形態では、現場の作業を例として説明したが、本技術は、その他に、料理や家電/家具の取り付け、組立支援などでの実施も可能である。料理の例について説明する。各家庭特有の調理方法である通称「お袋の味」を保存、次の世代に教示するために、本技術を用いて伝承を行うことが考えられる。次の料理工程や調理での注意点や怪我防止のポイント等が抽出された支援コンテンツに対して、スマートフォンやタブレットを介して、音声や画面を用いて本明細書に記載の技術を用いて料理の支援を行う使用法に適用できる。また、味覚センサを用いて、各工程での味付けの数値を予め保存されている味覚の数値と比較して違いを指摘してもよい。また、予め保存されている盛り付けの画像と比較して、違いを指摘してもよい。
以上説明したように、本発明は、作業スキルが低い作業者に対しても、確実に作業チェックを行うことにより作業ミスを防止することができるという効果を有し、作業支援システムおよび作業支援方法の全般に有用である。
[付記1]
付記1の作業支援システム1は以下の通りである。
[背景技術]
保守・点検等を含めて各種の現場作業では、作業手順の情報、作業対象機器の情報、使用する作業工具の情報など、様々な情報が必要となる。一方、作業者の作業スキルは高低様々である。そこで、現場で作業する作業者に必要な情報を提供して現場作業を支援する支援システムが提案されている(例えば、特開2009−069954号公報等参照)。
特開2009−069954号公報には、作業対象となる物体が置かれている状況を把握するための計測部、計測部をコントロールし、かつ得られた情報に対して適切な情報処理を行い、さらに作業者へ提示する視覚情報を構築する情報処理部、および作業者に対し対象となる物体上に重ね合わせた視覚情報を与えるための表示部を具備し、作業者がなすべき作業を作業現場において指示する作業支援装置が開示されている。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、特開2009−069954号公報に記載の従来の作業支援装置にあっては、熟練者の高度な作業スキルを作業者に伝えるのには資するが、作業スキルの低い作業者が犯す作業ミスを確実に防止することには何ら考慮されていなかった。実際の作業現場では、作業スキルが低く、日本語に不慣れな外国人労働者が作業を行うケースが増えており、作業ミスや作業忘れの発生、作業中の傷害事故も増加傾向にある。事故発生による社会的影響は大きく、再発防止策として作業品質の向上に加え、2人作業での確認、作業チェックリストや作業報告書の詳細化が求められる場合もある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、作業スキルが低い作業者に対しても、確実に作業ミスを防止することができる作業支援システムを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
本発明に係る作業支援システム(1)は、上記目的を達成するため、第1作業者(2)が行う作業の映像を取得する第1映像取得装置(11)と、前記作業中の前記第1作業者の音声を取得する音声取得装置(12)と、前記第1映像取得装置により取得された作業の映像と、前記音声取得装置により取得された音声の情報に基づいて、作業チェックの基準となる作業チェック情報(70)を生成する作業チェック情報生成装置(30)と、第2作業者(3)が行う作業の映像を取得する第2映像取得装置(21)と、前記第2作業者への作業支援情報を出力する支援情報出力装置(23)と、前記作業チェック情報および前記第2作業者の作業の経時情報に基づき作業中の特定段階の前に前記支援情報出力装置に前記作業支援情報として注意情報を出力させる注意喚起制御装置(30)と、を備えることを特徴とする。
この構成により、注意喚起制御装置が作業チェック情報および経時情報(例えば作業経過時間や作業段階)に基づき注意喚起を要する特定段階の前に注意情報を出力させるので、作業スキルが低い作業者に対しても、確実に作業ミスを防止することができる。
[付記2]
付記2の作業支援システム1Aは以下の通りである。
特許文献2等に記載の従来の作業支援装置にあっては、作業者の作業性を損なわず、低コストで作業支援を行うことに対しても考慮されていなかった。実際の作業現場では、作業スキルが低く、日本語に不慣れな外国人労働者が作業を行うケースも増えており、作業者が作業しやすい軽微な装備にて低コストで作業支援を行うことが求められている。
本発明は、作業スキルが低い作業者に対しても、作業者の作業性を損なわず簡単な構成で作業支援を行うことができる作業支援システムを提供することを目的とする。
本発明に係る作業支援システムは、上記目的を達成するため、作業支援システム(1A)であって、作業者からの情報を取得する情報取得装置(120)と、前記作業の成否を判定する判定装置(100)と、作業支援情報を出力する情報出力装置(23)と、を備え、前記判定装置は、前記作業を指示する指示情報を、前記情報出力装置から出力させる作業指示部(102)と、前記情報出力装置による前記指示情報の出力後に、前記情報取得装置が取得した情報から前記指示情報に応答した応答情報を検出する情報検出部(104)と、前記情報検出部が検出した前記応答情報に基づいて作業の成否を判定する判定部(112)と、を備えることを特徴とする。
この構成により、作業の開始時に、作業指示部および情報出力装置が作業の指示情報を音声や画面表示により作業者に伝え、作業終了時に、情報取得部が作業者からの情報を音声や画面操作などにより取得する。その際、情報検出部が指示情報に応答した応答情報を検出し、判定部がその応答情報の内容から作業の成否を判定する。このように、作業支援システムと作業者とが例えば音声や画面により対話を行うことにより、作業者の作業を支援するものである。簡素な構成により低コストで作業支援システムを構築でき、作業者は両手が自由に使えるので使い勝手もよく、作業者の発話や画面操作など作業者からの情報に基づいて作業の成否を判定するので、効率的に作業ミスを防止することができる。